JP2007208023A - Simoxウェーハの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】生産性の低下や品質の劣化を伴うことなく、膜厚の薄いBOX層を有するSIMOXウェーハを得る。
【解決手段】シリコンウェーハ11内部に第1イオン注入層12を形成する工程と、アモルファス状態の第2イオン注入層13を形成する工程と、ウェーハ11を酸素含有雰囲気中、1300℃以上シリコン融点未満の温度で6〜36時間保持することにより、第1及び第2イオン注入層12、13をBOX層15とする高温熱処理工程とを含むSIMOXウェーハの製造方法において、高温熱処理の昇温時の雰囲気に0.1容積%以上1.0容積%未満の塩素を含むガスを混合する。
【選択図】図1

Description

本発明は、シリコン単結晶本体に酸化膜を介して単結晶シリコン層が形成されたSOI(Silicon On Insulater)ウェーハを製造する方法のうち、SIMOX(Separation by IMplanted OXygen)技術によるSIMOXウェーハの製造方法に関するものである。
従来、SOIウェーハの製造方法には、2枚のシリコンウェーハを酸化膜を介して貼合せて形成する貼合せ法と、シリコンウェーハ表面から酸素(O2 +)イオンを注入して、ウェーハ内部の所定の深さの領域に高濃度の酸素層であるイオン注入層を形成し、ウェーハに熱処理を施してこのイオン注入層を埋込み酸化膜(Buried OXide:以下、BOX層という。)とするSIMOX法が知られている。SIMOX法により作製されるSOIウェーハは特にSIMOXウェーハとよばれる。
開発当初のSIMOXウェーハの製造方法は高ドーズ技術によるものであった。この高ドーズSIMOXウェーハの製造方法は、シリコンウェーハに酸素イオンを約200keVの注入エネルギで約2×1018atoms/cm2の割合で注入し、イオン注入したままの状態で(アズ・インプラ)、ウェーハ内部にBOX層を形成した後、高温のアニール処理を行うものである。これによりSOI層に発生した結晶欠陥を回復でき、BOX層を改質でき、SOI層とBOX層の間の界面を平坦化することができる。
しかし、この高ドーズ技術により得られたSIMOXウェーハは酸素イオンドーズ量が多いため、SOI層に貫通転位が多く発生し、またイオン注入時間が長く製造効率が悪いなどの問題があった。この貫通転位はデバイスを作製したときに、リーク電流やヘテロ界面の劣化をもたらし、デバイス性能の向上や機能性の発現を阻害するおそれがある。
そこで、SOI層に発生する貫通転位の抑制及びイオン注入時間の短縮化をはかるために、低ドーズ技術が開発された。この低ドーズSIMOXウェーハの製造方法は、シリコンウェーハの表面から、酸素イオンを約180keVの注入エネルギで、約4×1017atoms/cm2の割合で注入した後、高温熱処理を行うことで連続なBOX層を形成するものである。シリコン表面に対し平行する面で連続するBOX層の形成は、注入エネルギが約180keVの場合、ドーズ量が約4×1017atoms/cm2の場合に限り可能である。このドーズ量はドーズ・ウィンドウと呼ばれる。この低ドーズ技術により得られたSIMOXウェーハは、SOI層の貫通転位密度を低減でき、注入時間の短縮化による製造効率を向上させることができる。
しかし、この低ドーズ技術により得られたSIMOXウェーハは、酸素イオンドーズ量が少ないため、BOX層の膜厚が薄くなり、BOX層の信頼性が問題となる。また、形成されるBOX層の膜厚が薄い場合、イオン注入時にシリコンウェーハ表面にパーティクルが付着すると、このパーティクルがマスクとなってシリコンウェーハ内に形成されたイオン注入層に注入不能部分が生じ易い。イオン注入層はアニール処理によりBOX層となるが、イオン注入不能部分はBOX層の結晶欠陥の1種であるピンホールとなって電気絶縁性を低下させる。このピンホール密度の割合が高ドーズSIMOXウェーハと比べ高いなどの問題があった。
そこで、BOX層のピンホールの発生を抑制するために、ITOX(Internal Thermal OXidation)技術とよばれる、イオン注入されたシリコンウェーハにアニール処理を行った後、更に高温酸素雰囲気中で酸化処理を施すSOI基板の製造方法及びSOI基板が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
特許文献1に示される方法は、ウェーハ内に形成されたイオン注入層を濃度1.0%未満の酸素を含む不活性ガス雰囲気中でアニール処理を施し、BOX層とした後、更にこのウェーハを濃度1%超の高濃度の酸素を含む雰囲気中で、高温熱処理を施すものである。高温熱処理により雰囲気中の高濃度の酸素が、ウェーハ表裏面から内部に拡散され、BOX層界面部へSiO2として滞留し積層されることで、BOX層が成長し、BOX層の厚膜化を行うことができる。このITOX技術により得られたSIMOXウェーハは、SiO2がBOX層に積層されることで、BOX層に発生したピンホールを補修し、ピンホール密度を低減できる。また、BOX層とシリコンウェーハの界面の平方根平均ラフネス(Rms:Root mean square roughness)を改善することができる。その結果、デバイスの電気的特性を均質化できる。
しかし、このITOX技術により得られたSIMOXウェーハでも、酸素イオンドーズ量が多いためイオン注入時間が長く、また、アニール処理に加え高温酸化処理が必要となるため、製造効率が悪く、生産性が低下するという問題があった。
そこで、イオン注入時間を短縮するために、MLD(Modified Low Dose)技術とよばれる、アモルファス(非晶質)状態の層を含む2つのイオン注入層が形成されたウェーハに酸化処理を施すSOIウェーハの製造方法が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
特許文献2に示される方法は、ウェーハの温度を変えてイオン注入することで、ウェーハ内に高濃度の酸素層とアモルファス状態の層という状態の異なる2つのイオン注入層を形成し、混合ガス雰囲気中でウェーハに高温酸化処理を施すものである。
具体的にはシリコンウェーハを加熱した状態で、酸素イオンを185keVの注入エネルギで2×1017atoms/cm2の割合で注入し、ウェーハ内部に高濃度の酸素層である第1イオン注入層を形成する。次にこのウェーハを冷却した状態で、酸素イオンを185keVの注入エネルギで3×1014atoms/cm2の割合で注入し、第1イオン注入層の上に連続した、アモルファス状態の第2イオン注入層を形成する。更にこのウェーハを酸素を含むアルゴン等の不活性雰囲気中で昇温した後、酸素40%及びアルゴン60%の割合の酸化雰囲気中で高温に保持する高温酸化処理を施す。この酸化雰囲気中での高温保持により第1イオン注入層はBOX層となる。また、第2イオン注入層は、第1イオン注入層との一部重複により、アモルファス状態の層の中に高濃度の酸素を含む。このため、不活性雰囲気中での昇温時には、第2イオン注入層は再結晶化が順調に進まず、多結晶、双晶、又は積層欠陥からなる高密度欠陥層となる。欠陥層が形成された領域は酸素が析出し易くなる。続いて酸化雰囲気中での高温保持時には雰囲気中の酸素がウェーハ表裏面から内方拡散して高密度欠陥層に集まって析出することにより、BOX層を形成する。このため少量のイオンドーズ量で、その2倍の量を注入したときと同じ厚さのBOX層を有するSIMOXウェーハを得ることができる。
特開平7−263538号公報(請求項1、請求項3、請求項6、段落[0009]、[0010]、[0025]、[0026]、図1) 米国特許第5930643号公報明細書(クレーム1、明細書1ページ右欄第2カラム5行目〜43行目、Fig.1(a))
しかし、上記特許文献2に示される製造方法では、高温酸化処理での酸化雰囲気中の酸素が高密度欠陥層に析出し易く、デバイスメーカーが要求する膜厚の薄いBOX層を有するSIMOXウェーハの製造が困難であった。
これには、高温酸化処理の温度を更に高温にすることで高密度欠陥層に析出した酸素を再溶解し、或いは酸化雰囲気中の酸素濃度を低下させることで高密度欠陥層に集まる酸素の量を減少させ、酸素析出量を抑えることによって膜厚の薄いBOX層を形成することができる。しかし現在の熱処理炉の性能上、1350℃を越えて高温処理を行うと高品質のSIMOXウェーハを製造するのは困難であり、また、酸化雰囲気中の酸素濃度を低下させると、所定の膜厚を有するSOI層を得るには酸化処理時間が長くなってしまい、製造効率が悪くなり、生産性が低下するという問題があった。
本発明の目的は、生産性の低下や品質の劣化を伴うことなく、膜厚の薄いBOX層を有するSIMOXウェーハの製造方法を提供することにある。
請求項1に係る発明は、図1に示すように、シリコンウェーハ11を200〜600℃に加熱した状態で、ウェーハ11表面から酸素イオンを5×1016〜3×1017atoms/cm2の割合で注入して、ウェーハ11内部の所定の深さに第1イオン注入層(12)を形成する工程と、第1イオン注入層12を形成したウェーハ11を室温〜200℃に冷却した状態でウェーハ11の表面から酸素イオンを1×1014〜1×1016atoms/cm2の割合で注入してウェーハ11内部の所定の深さに、ウェーハ11表面側の第1イオン注入層12に連続してアモルファス状態の第2イオン注入層13を形成する工程と、ウェーハ11を酸素含有雰囲気中、1300℃以上シリコン融点未満の温度で6〜36時間保持することにより、第1及び第2イオン注入層12、13をBOX層15とする高温熱処理工程とをこの順に含むSIMOXウェーハの製造方法の改良である。
その特徴ある構成は、高温熱処理の昇温時の雰囲気に0.1容積%以上1.0容積%未満の塩素を含むガス(HCl、Cl2、トリクロロエチレン、トリクロロエタン等)を混合するところにある。
この請求項1に記載されたSIMOXウェーハの製造方法では、高温熱処理の昇温時の雰囲気に0.1容積%以上1.0容積%未満の塩素を含むガスを混合することにより、生産性の低下や品質の劣化を伴うことなく、膜厚の薄いBOX層15を有するSIMOXウェーハを製造することができる。
次に本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。
図1に示すように、本発明のSIMOXウェーハの製造方法は、シリコンウェーハ11(図1(a))表面から酸素イオンを注入してウェーハ11内部に第1イオン注入層12を形成する工程(図1(b))と、このウェーハ11表面から酸素イオンを注入してウェーハ11表面側の第1イオン注入層12に連続してアモルファス状態の第2イオン注入層13を形成する工程(図1(c))と、そのウェーハ11を酸素含有雰囲気中で、熱処理を施して、第1及び第2イオン注入層12、13をBOX層15とする高温熱処理工程(図1(d))とを含む。
このSIMOXウェーハの製造方法を各工程別に以下に説明する。
<第1イオン注入層形成工程>
先ず、図1(a)及び図1(b)に示すように、シリコンウェーハ11表面から酸素イオンを注入してウェーハ11内部に第1イオン注入層12を形成する。図1(a)に示すシリコンウェーハ11はチョクラルスキー法で製造されることが好適である。
第1イオン注入層12の形成は、この単結晶シリコンからなるシリコンウェーハ11をイオン注入装置(図示せず)に収容し、図3の(a)領域に示すように、装置内を200〜600℃、好ましくは300〜500℃に加熱した状態でウェーハ11表面から酸素イオンを注入することにより行われる。上記装置内雰囲気は真空状態である。また、装置内温度を200〜600℃の範囲内に加熱することで、ウェーハ表面が単結晶シリコンのままイオンを注入でき、イオン注入によるダメージが回復されながら、高濃度の酸素層である第1イオン注入層ができる。200℃未満ではイオン注入によるダメージが回復されないためイオン注入層にダメージが残り、600℃を越えると脱ガス量が多いため装置内の真空度が低下するという不具合が発生する。
ここでの酸素イオンのドーズ量は5×1016〜3×1017atoms/cm2、好ましくは1×1017〜1.5×1017atoms/cm2である。ここでドーズ量を5×1016〜3×1017atoms/cm2に限定したのは、5×1016atoms/cm2未満では、ドーズ量が少ないため、連続なBOX層の形成が困難であり、3×1017atoms/cm2を越えると後の高温熱処理時において形成されるBOX層15が厚くなってしまうという不具合が生じるからである。
更に上記注入エネルギは40〜220keV、好ましくは140〜180keVである。ここで注入エネルギを40〜220keVに限定したのは、40keV未満ではイオンの打ち込みが浅いために所定の膜厚のSOI層16を形成することができないという不具合が生じ、220keVを越えると特殊なイオン注入装置が必要になるからである。
これによりイオン注入層である第1イオン注入層12がウェーハ表面から深さ100〜600nm、好ましくは300〜400nmの位置にウェーハ表面と平行に形成される。
<第2イオン注入層形成工程>
次いで、図1(c)に示すように、ウェーハ11表面から酸素イオンを注入してウェーハ11内部の所定の深さに、第1イオン注入層12の上部界面に連続して、アモルファス状態の第2イオン注入層13を形成する。
第2イオン注入層13の形成は、第1イオン注入層12が形成されたウェーハ11を収容しているイオン注入装置(図示せず)の装置内温度を図3の(b)領域に示すように、室温〜200℃、好ましくは100〜150℃に冷却した状態で、ウェーハ11表面から酸素イオンを注入することにより行われる。また、装置内温度を室温〜200℃の範囲内に冷却することで、特に室温の20〜30℃の範囲内では、イオン注入によるダメージが回復しないまま残り、そのダメージが積み重なることで単結晶状態が完全に破壊されて第2イオン注入層13がアモルファス状態になる。また、特に100〜150℃の範囲では形成される第2イオン注入層13の厚さが薄くなる。
ここでの酸素イオンのドーズ量は1×1014〜1×1016atoms/cm2、好ましくは1×1015〜1×1016atoms/cm2である。第2イオン注入層13は、第1イオン注入層12の上部と重複する。このため、連続したBOX層を形成することができる。ここでドーズ量を1×1014〜1×1016atoms/cm2に限定したのは、1×1014atoms/cm2未満ではアモルファス状態の第2イオン注入層13が形成されないという不具合が生じ、1×1016atoms/cm2を越えると第2イオン注入層13の厚さが厚くなるという不具合が生じるからである。
更に、上記エネルギは40〜220keV、好ましくは140〜180keVである。ここで注入エネルギを40〜220keVに限定したのは、40keV未満ではイオンの打ち込みが浅いために所定の膜厚のSOI層16を形成することができないという不具合が生じ、220keVを越えると特殊なイオン注入装置が必要になるからである。
これによりアモルファス状態にある第2イオン注入層13が、第1イオン注入層12とウェーハ表面との間、ウェーハ表面から深さ100〜400nm、好ましくは300〜400nmの位置に、ウェーハ表面と平行に、第1イオン注入層12と接して又は重複部分を有することで連続して形成される。
<高温熱処理工程>
次に、図1(d)に示すように、高温熱処理工程では、ウェーハ11を酸素含有雰囲気中で、熱処理を施して、第1及び第2イオン注入層12、13をBOX層15とする。図2(c)に示すように、BOX層15は下部の第1BOX層15aと上部の第2BOX層15bからなる。第1BOX層15a及び第2BOX層15bの形成は、第1イオン注入層12及び第2イオン注入層13が形成されたウェーハ11を収容している熱処理炉(図示せず)の温度を所定の温度まで昇温し、ウェーハ11を所定の温度に一定時間保持することにより行われる。
具体的に説明すると、炉内温度を図3の(c)領域に示すように、第2イオン注入層形成工程の処理温度である室温〜200℃から、1300℃〜シリコン融点未満、好ましくは1320〜1350℃にまで昇温し、図3の(d)領域に示すように、この温度でウェーハ11を6〜36時間、好ましくは12〜24時間保持する。その後室温まで冷却する。ここで、炉内温度を1300℃〜シリコン融点未満の範囲に限定したのは、1300℃未満では酸素析出物の溶融及び結合が不十分で、高品質のBOX層15を形成することができないという不具合が生じるからである。また、保持時間を6〜36時間に限定したのは、6時間未満では、酸素析出物の溶融及び結合が不十分で高品質のBOX層15を形成することができないという不具合が生じ、36時間を越えると製造効率が悪くなり生産性が低下するという不具合が生じるからである。
図2(a)に示すように、昇温を始めると、高濃度の酸素層である第1イオン注入層12の下部から酸素析出物が成長し、第1BOX層15aへと変性しはじめる。またアモルファス状態にある第2イオン注入層13が酸化誘起積層欠陥層(OSF:Oxidation induced Stacking Fault)を含む高密度欠陥層14に変わり始める。本発明の特徴ある構成は、高温熱処理の昇温時の雰囲気に0.1容積%以上1.0容積%未満の塩素を含むガス(HCl、Cl2、トリクロロエチレン、トリクロロエタン等)を混合するところにある。
上記昇温中の炉内雰囲気は、酸素を含むアルゴン、窒素(N2)等の不活性ガスの混合雰囲気中に更に0.1〜1.0容積%、好ましくは0.2〜0.5容積%の塩素を含むガスを混合する。炉内雰囲気はマスフローにより制御される。塩素を含むガスを混合することにより、ClとSiの反応でSi−Cl結合を形成する際に生成される空孔に起因して、格子間シリコン原子濃度が減少するという作用で、酸化誘起積層欠陥を収縮又は消滅させることができ、酸化誘起積層欠陥を含む高密度欠陥層14の成長を抑制することができる。塩素を含むガスの含有量を0.1〜1.0容積%と限定したのは、0.1容積%未満では、酸化誘起積層欠陥の成長を抑制できず、膜厚の薄い第2BOX層15bを得ることができないためである。1.0容積%を越えると酸化誘起積層欠陥そのものが消滅してしまい、所定の膜厚の第2BOX層15bを得ることができないためである。
昇温後の炉内雰囲気はアルゴン又は窒素等の不活性ガスを含む、5.0〜100.0容積%好ましくは10〜50容積%酸素ガスの酸化雰囲気である。酸化雰囲気下での高温保持中、酸化雰囲気中の酸素が酸化誘起積層欠陥を含む高密度欠陥層14に集まって析出することにより、図2(b)及び図2(c)に示すように、酸化誘起積層欠陥を含む高密度欠陥層14は第1BOX層15aに連続する第2BOX層15bへと変わる。ここで酸素の含有量を5.0〜100容積%に限定したのは、5.0容積%未満では、ウェーハ11に内方拡散する酸素濃度が低いために、高品質のBOX層15を形成することができないという不具合が生じるためである。
これにより第1BOX層15a及び第2BOX層15bが形成される。このように本発明の製造方法により生産性の低下や品質の劣化を伴うことなく、膜厚の薄いBOX層15を有するSIMOXウェーハ10を得ることができる。
次に本発明の実施例を比較例とともに詳しく説明する。
<実施例1>
図1に示すように、先ず直径が200mmであり、結晶方位が<100>であり、抵抗率が10〜20ΩcmであるP型シリコンウェーハからなるシリコンウェーハ11を準備した。次いでシリコンウェーハ11をイオン注入装置に収容後、装置内を真空状態にして装置内を400℃に加熱した。続いてシリコンウェーハ11表面から注入エネルギ210keV、酸素イオン(O2 +)2.4×1017atoms/cm2のドーズ量でイオン注入し、シリコンウェーハ11の内部に第1イオン注入層12を形成した。
その後装置内を室温に冷却し、シリコンウェーハ11表面から注入エネルギ210keV、酸素イオン(O2 +)2.0×1015atoms/cm2のドーズ量でイオン注入し、ウェーハ表面側の第1イオン注入層12に一部重複する形で第2イオン注入層13を形成した。
次にシリコンウェーハ11を横型炉に収容後、マスフローにより炉内を塩化水素ガス0.2容積%及び酸素1容積%を含むアルゴン混合ガス雰囲気とした。続いて炉内温度を昇温速度0.5℃/分で1320℃まで昇温した。炉内温度を1320℃に到達させた後は、炉内雰囲気を酸素50容積%及びアルゴン50容積%となるようにマスフローにより制御して酸化性雰囲気とした。
この酸化性雰囲気下で炉内温度を1320℃に維持したままウェーハ11を10時間保持した。これによりBOX層15を有するSIMOXウェーハ10を得た。このSIMOXウェーハ10を実施例1とした。
<比較例1>
昇温時の炉内雰囲気を塩化水素ガス0.02容積%及び酸素1容積%を含むアルゴン混合ガス雰囲気としたことを除き、実施例1と同様にしてSIMOXウェーハ10を得た。このSIMOXウェーハ10を比較例1とした。
<実施例2>
第1イオン注入層形成工程での注入エネルギを160keV、酸素イオンのドーズ量を2.5×1017atoms/cm2とし、第2イオン注入層形成工程での注入エネルギを160keV、酸素イオンのドーズ量を1.5×1015atoms/cm2に変更したことを除き、実施例1と同様にしてSIMOXウェーハ10を得た。このSIMOXウェーハ10を実施例2とした。
<比較例2>
昇温時の炉内雰囲気を塩化水素ガス0.02容積%及び酸素1容積%を含むアルゴン混合ガス雰囲気としたことを除き、実施例2と同様にしてSIMOXウェーハ10を得た。このSIMOXウェーハ10を比較例2とした。
<比較試験及び評価>
実施例1〜2及び比較例1〜2の製造条件を表1に示す。実施例1〜2及び比較例1〜2のSIMOXウェーハのSOI層及びBOX層の厚さ、SOI層表面ラフネスRms、BOX層の絶縁耐圧特性を調べた。またSIMOXウェーハのSOI層を除去してSOI層とBOX層の界面ラフネスRmsを評価した。ラフネスの評価にはAFM(Atomic Force Microscope:原子間力顕微鏡;SPA−360;セイコーインスツルメンツ製)を使用した。この結果を表2に示す。
Figure 2007208023
Figure 2007208023
表2から明らかなように、昇温時の炉内雰囲気に塩化水素ガスを0.2容積%含ませた実施例1のウェーハは、その10分の1の0.02容積%の塩化水素ガスを含ませた比較例1のウェーハとSOI層表面ラフネスRms、SOI層とBOX層の界面ラフネスRms、BOX層の絶縁耐圧特性はほぼ同等であった。しかしBOX層の厚さは実施例1のウェーハの方が6.7nmも薄かった。また実施例2のウェーハと比較例2のウェーハのBOX層を比べるとBOX層の厚さは実施例2のウェーハの方が7.1nmも薄かった。実施例1〜2の結果から、昇温中の炉内雰囲気に0.1〜1.0容積%の範囲内で塩素を含むガスを混合することで、生産性の低下や品質の劣化を伴うことなく、膜厚の薄いBOX層を有するSIMOXウェーハを得られることが判った。
本発明実施形態のSIMOXウェーハの製造方法を工程順に示す図である 本発明の高温熱処理を施した際のウェーハ内の変化を示す図である。 図1(a)〜(d)に対応する温度と時間のプロファイルを示す図である。
符号の説明
10 SIMOXウェーハ
11 シリコンウェーハ
12 第1イオン注入層
14 第2イオン注入層
15 BOX層

Claims (1)

  1. シリコンウェーハ(11)を200〜600℃に加熱した状態で、前記ウェーハ(11)表面から酸素イオンを5×1016〜3×1017atoms/cm2の割合で注入して前記ウェーハ(11)内部の所定の深さに第1イオン注入層(12)を形成する工程と、
    前記第1イオン注入層(12)を形成したウェーハ(11)を室温〜200℃に冷却した状態で前記ウェーハ(11)の表面から酸素イオンを1×1014〜1×1016atoms/cm2の割合で注入して前記ウェーハ(11)内部の所定の深さに、前記ウェーハ(11)表面側の第1イオン注入層(12)に連続してアモルファス状態の第2イオン注入層(13)を形成する工程と、
    前記ウェーハ(11)を酸素含有雰囲気中、1300℃以上シリコン融点未満の温度で6〜36時間保持することにより、第1及び第2イオン注入層(12,13)をBOX層(15)とする高温熱処理工程と
    をこの順に含むSIMOXウェーハの製造方法において、
    前記高温熱処理の昇温時の雰囲気に0.1容積%以上1.0容積%未満の塩素を含むガスを混合することを特徴とするSIMOXウェーハの製造方法。
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