JP2007201185A - 積層型電子部品の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】接着層が形成された支持シートをロール体の状態で所定時間以上保管した後であっても、接着層の背面転写を有効に防止することができ、しかも、グリーンシートと、電極層および余白パターン層との界面に充分なスタック強度を持たせることができ、その結果、積層型電子部品のショート不良を防止することができる積層型電子部品の製造方法を提供すること。
【解決手段】グリーンシートの形成工程と、電極層の形成工程と、接着層の形成工程と、電極層あるいはグリーンシートの表面に接着層を転写する工程と、接着層を介して、電極層およびグリーンシートを交互に積層する工程とを有する積層型電子部品の製造方法であり、接着層を支持シート上に形成する際に、接着層を80[℃]以下の乾燥温度で乾燥させ、接着層を、80[℃]より高く、170[℃]より低い温度で予熱した直後に、接着層を電極層またはグリーンシートの表面に転写することを特徴とする。
【選択図】図5

Description

本発明は、積層セラミックコンデンサなどの積層型電子部品の製造方法に関する。
従来、積層セラミックコンデンサの製造は、以下の手順で行われる。まず、分散剤、バインダ樹脂、可塑剤などの有機成分を含む溶剤中にセラミック誘電体粉末を分散させて、誘電体スラリーを作製する。次に、この誘電体スラリーを、ドクターブレード法やノズル法などの手段により支持シート上に塗布して、グリーンシートとする。次に、内部電極層および余白パターン層をグリーンシートの表面に印刷して積層体ユニットを得る。次に、積層体ユニットから支持体フィルムから剥離し、積層体ユニットを、所定の大きさに切断後、内部電極層のパターン位置合わせを行いつつ、複数回、積層し、加圧および圧着して積層体を得る。次に、この積層体を、所定のサイズに切断してチップとした後、所定の雰囲気、温度で焼成し、得られた焼成体チップの端部に外部電極を形成することによって、積層セラミックコンデンサが完成する。
このような従来の製造方法では、内部電極層の印刷の際、電極層用ペーストが、グリーンシート中に染み込み、グリーンシートのバインダ成分を溶解または膨潤させる。その結果、コンデンサに短絡不良が発生してしまう(シートアタック)。
このシートアタックを防止するために、転写法が用いられる。転写法では、内部電極層および余白パターン層をグリーンシートに直接印刷するのではなく、まず、別の支持シート上に内部電極層および余白パターン層とを形成する。次に、内部電極層および余白パターン層の表面に接着層を転写し、この接着層を介して、内部電極層および余白パターン層がグリーンシート表面へ転写される(特許文献1参照)。
しかし、転写法においては、グリーンシートが薄層化するにつれ、グリーンシートと内部電極層および余白パターン層との転写界面におけるスタック強度が小さくなることが問題となる。転写界面におけるスタック強度が小さくなる結果、積層体ユニットから支持シートを剥離する際、転写界面で積層体ユニットが破断し、この破断がコンデンサにショート不良を引き起こす恐れがある。
この問題を解決するために、接着層を支持シート上に形成する際、接着層を高温で乾燥させることが提案されている。接着層を高温で乾燥させる結果、内部電極層および余白パターン層の表面に対する接着層の粘着力が向上することが判明している。接着層の粘着力が向上することによって、グリーンシートと、内部電極層および余白パターン層との界面に働くスタック強度が大きくなり、界面における積層体ユニットの破断が防止される。
しかし、高温で乾燥させた接着層は、長時間保管できないことが問題となる。通常、接着層が支持シート上に形成され、乾燥した後、接着層の形成された支持シートはリールに巻き取られ、ロール体として転写工程まで保管される。ロール体では、支持シートが重なり合うため、支持シートの背面(接着層が形成された面の反対側の面)に接着層が接触する。接着層を高温で乾燥させた場合、支持シートの背面に、接着層が付着してしまう(以下、背面転写と記す)。背面転写が生じた場合、接着層が所々で欠落する。その結果、接着層の転写後、接着層を介して、内部電極層および余白パターン層がグリーンシート表面へ転写された際、グリーンシートと、内部電極層および余白パターン層との間に密着不良が発生してしまう。この密着不良が積層体内で構造欠陥となる結果、コンデンサにショート不良が発生する恐れがある。
また、本発明者による研究の結果、高温(たとえば120[℃])で接着層を乾燥させた場合、接着層の乾燥後、接着層の形成された支持シートをロール体にしてから2時間経過すると、背面転写が発生することが判明した。積層セラミックコンデンサの製造工程では、接着層の形成された支持シートをロール体にしてから2時間以上保管した後に、接着層の転写を行う場合がある。よって、所定時間以上保管しても背面転写の起こらない接着層が必要とされる。
特開2004−303976号公報
本発明の目的は、接着層が形成された支持シートをロール体の状態で所定時間以上保管した後であっても、接着層の背面転写を有効に防止することができ、しかも、グリーンシートと、電極層および余白パターン層との界面に充分なスタック強度を持たせることができ、その結果、積層型電子部品のショート不良を防止することができる積層型電子部品の製造方法を提供することである。
上記目的を達成するために、本発明によれば、
グリーンシートを形成する工程と、
電極層を形成する工程と、
接着層を形成する工程と、
前記グリーンシートあるいは前記電極層の表面に前記接着層を転写する工程と、
前記接着層を介して、前記グリーンシートおよび前記電極層を交互に積層する工程と、を有する積層型電子部品の製造方法であって、
前記接着層を支持シート上に形成する際に、前記接着層を80[℃]以下の乾燥温度で乾燥させ、
前記支持シート上に形成された前記接着層を、80[℃]より高く、170[℃]より低い温度で、好ましくは、100[℃]より高く、170[℃]より低い温度で予熱した直後に、前記接着層を前記グリーンシートあるいは前記電極層の表面に転写することを特徴とする積層型電子部品の製造方法が提供される。
接着層を支持シート上に形成する際に、接着層を80[℃]以下で乾燥させることによって、接着層表面から可塑剤が滲み出ることを防止できる。その結果、接着層が形成された支持シートをロール体の状態で所定時間(たとえば12時間)以上保管した場合でも、接着層の背面転写を有効に防止することができる。接着層の背面転写を防止することによって、接着層の転写後、接着層を介して、内部電極層および余白パターン層がグリーンシート表面へ転写された際、グリーンシートと、内部電極層および余白パターン層との間に生じうる密着不良を防止することができる。その結果、積層体内に構造欠陥が生じることがなく、コンデンサのショート不良を有効に防止することができる。また、長時間背面転写が防止されるため、接着層を一度に大量生産した後に、所定時間(たとえば12時間以上)保管することが可能となる。
また、接着層を、80[℃]より高く、170[℃]より低い温度で、好ましくは、100[℃]より高く、170[℃]より低い温度で予熱することにより、接着層の転写直前において、接着層表面から可塑剤が滲み出る。接着層の転写後、接着層を介して、内部電極層および余白パターン層がグリーンシート表面へ転写された際、この可塑剤が粘着付与剤として働く結果、グリーンシートと、電極層および余白パターン層との界面に充分なスタック強度を持たせることができる。グリーンシートと、電極層および余白パターン層との界面に充分なスタック強度を持たせることによって、界面における積層体ユニットの破断が防止される。その結果、積層型電子部品におけるショート不良を防止することができる。
接着層の厚みは、好ましくは、0.2[μm]以下である。
好ましくは、接着層が、アクリル系樹脂、ブチラール系樹脂のいずれかのバインダ樹脂を含む。
好ましくは、接着層が、フタル酸ジメチル(DMP)、フタル酸ジエチル(DEP)、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル(DOP)、及びフタル酸ブチルベンジル(BBP)のいずれかのフタル酸エステル系可塑剤を含む。
バインダ樹脂100重量部に対して、可塑剤が、好ましくは、10〜100重量部含まれる。
好ましくは、電極層は、グリーンシートあるいは支持シートの表面に所定パターンで形成され、グリーンシートあるいは支持シートの表面において電極層が形成されていない部分には、電極層と実質的に同じ厚みの余白パターン層が形成され、前記電極層および前記余白パターン層の表面に前記接着層が転写される。
以下、本発明を、図面に示す実施形態に基づき説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る積層セラミックコンデンサの概略断面図、
図2、3、6は、本発明の一実施形態に係る、グリーンシートの積層方法を示す要部断面図、
図4は、本発明の一実施形態に係る、接着層の形成された支持シートのロール体の概略断面図、
図5は、本発明の一実施形態に係る接着層の転写工程の概略図である。
本実施形態では、積層型電子部品の一例として、積層セラミックコンデンサについて説明する。
積層セラミックコンデンサ
図1に示すように、本発明の一実施形態に係る積層セラミックコンデンサ2は、誘電体層10と内部電極層12とが交互に積層された構成のコンデンサ素体4を有する。このコンデンサ素体4の両側端部には、素体4の内部で交互に配置された内部電極層12と各々導通する一対の外部電極6,8が形成してある。内部電極層12は、各側端面がコンデンサ素体4の対向する両端部の表面に交互に露出するように積層してある。一対の外部電極6,8は、コンデンサ素体4の両端部に形成され、交互に配置された内部電極層12の露出端面に接続されて、コンデンサ回路を構成する。
コンデンサ素体4の外形や寸法には特に制限はなく、用途に応じて適宜設定することができる。通常、外形はほぼ直方体形状とし、寸法は、縦(0.4〜5.6mm)×横(0.2〜5.0mm)×高さ(0.2〜1.9mm)程度である。
内部電極層12は、図2(A)などに示される、内部電極層12aを焼成して形成される。内部電極層12の厚さは、好ましくは2.0[μm]以下、より好ましくは1.0[μm]以下に薄層化される。
外部電極6および8の材質は、特に限定されないが、通常、銅や銅合金、ニッケルやニッケル合金などが用いられる。外部電極として、銀や銀とパラジウムの合金なども使用することができる。外部電極6,8の厚みも特に限定されないが、通常10〜50[μm]程度である。
誘電体層10は、図3(A)などに示されるグリーンシート10aを焼成して形成される。誘電体層10の材質は、特に限定されず、たとえばチタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウムおよび/またはチタン酸バリウムなどの誘電体材料で構成される。各誘電体層10の厚みは、特に限定されないが、通常0.5〜5.0[μm]程度である。本実施形態では、各誘電体層10は、好ましくは2.0[μm]以下に薄層化される。
積層セラミックコンデンサの製造方法
次に、本実施形態に係る積層セラミックコンデンサ2の製造方法の一例を説明する。
電極層の形成
図2(A)に示すように、支持シート20cの表面に電極層用ペーストを塗布して、所定のパターンを有する内部電極層12a(内部電極パターン)を形成する。内部電極層12aは、焼成後に図1に示す内部電極層12となる。
内部電極層12aの形成方法は、層を均一に形成できる方法であれば特に限定されず、たとえば電極層用ペーストを用いたスクリーン印刷法あるいはグラビア印刷法などの厚膜形成方法、あるいは蒸着、スパッタリングなどの薄膜法が例示される。
内部電極層12aの厚さは、好ましくは0.1〜2.0[μm]、より好ましくは0.1〜1.0[μm]程度である。内部電極層12aの厚さは、現状の技術では前記範囲の程度であるが、電極の途切れが生じない範囲で、より薄い方が望ましい。内部電極層12aは、単一の層で構成してあってもよく、あるいは2以上の組成の異なる複数の層で構成してあってもよい。
支持シート20cとしては、たとえばPETフィルムなどが用いられる。支持シート20cの厚みは、特に限定されないが、好ましくは5〜100[μm]である。
本実施形態で用いる電極層用ペーストは、導電性粉末と有機ビヒクルとを含有する。
導電性粉末としては、特に限定されないが、Cu、Niおよびこれらの合金から選ばれる少なくとも1種で構成してあることが好ましく、より好ましくはNiまたはNi合金、さらにはこれらの混合物で構成される。
NiまたはNi合金としては、Mn、Cr、CoおよびAlから選択される少なくとも1種の元素とNiとの合金が好ましく、合金中のNi含有量は95重量%以上であることが好ましい。なお、NiまたはNi合金中には、P、Fe、Mgなどの各種微量成分が0.1重量%程度以下含まれていてもよい。
このような導電性粉末は、球状、リン片状等、その形状に特に制限はなく、また、これらの形状のものが混合したものであってもよい。また、導電性粉末の粒子径は、球状の場合、通常0.1〜2[μm]、好ましくは0.2〜1[μm]程度のものを用いる。
導電性粉末は、電極層用ペースト中に、好ましくは40〜70重量%、より好ましくは45〜60重量%で含まれる。
有機ビヒクルは、バインダと溶剤とを含有する。バインダとしては、特に限定されず、エチルセルロース、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、ポリビニルアルコール、ポリオレフィン、ポリウレタン、ポリスチレン、または、これらの共重合体などが例示される。バインダは、電極層用ペースト中に、導電性粉末100重量部に対して、好ましくは8〜20重量部で含まれる。
溶剤としては、特に限定されず、ターピネオール、ブチルカルビトール、ケロシン、アセトン、イソボニルアセテートなどが例示される。溶剤は、電極層用ペースト中に、好ましくは20〜55重量%、より好ましくは20〜45重量%で含まれる。
電極層用ペースト中には、図3(A)のグリーンシート10aに含まれるセラミック粉末と同じ組成のセラミック粉末が共材として含まれていても良い。共材は、焼成過程において導電性粉末の焼結を抑制する作用を奏する。共材として用いるセラミック粉末は、電極層用ペースト中に、導電性粉末100重量部に対して、好ましくは5〜25重量部で含まれる。
電極層用ペーストには、グリーンシートとの接着性を改善する目的で、可塑剤または粘着剤が含まれることが好ましい。可塑剤としては、フタル酸エステル、アジピン酸、燐酸エステル、グリコール類などが例示される。可塑剤は、有機ビヒクル中のバインダ100重量部に対して、好ましくは10〜300重量部で含有される。可塑剤含有量が少なすぎると添加効果がなく、多すぎると形成される内部電極層12aの強度が著しく低下し、しかも内部電極層12aから過剰な可塑剤が滲み出す傾向がある。
電極層用ペーストは、上記各成分を、ボールミルなどで混合し、スラリー化することにより形成することができる。
余白パターン層の形成
図2(A)に示すように、支持シート20cの表面に、所定パターンの内部電極層12aを形成した後(またはその前)に、内部電極層12aが形成されていない支持シート20cの表面隙間(余白パターン部分40)に余白パターン層用ペーストを塗布して、余白パターン層42を形成する。
余白パターン層42の厚さは、内部電極層12aの厚さを同じにして、余白パターン層42と内部電極層12aとの間に段差が生じないようにする。
余白パターン層42は、通常、図3(A)のグリーンシート10aと同じ材質で構成される。また、余白パターン層42は、内部電極層12aあるいはグリーンシート10aと同様の方法によって形成することができる。
図2(A)の内部電極層12aおよび余白パターン層24は、必要に応じて乾燥される。乾燥温度は、特に限定されないが、好ましくは70〜120℃である。
余白パターン層用ペーストとして、誘電体層用ペーストを用いることができる。
グリーンシートの形成
図3(A)に示すように、支持フィルム20bの表面に、誘電体層用ペーストを塗布して、グリーンシート10aを形成する。グリーンシート10aは、焼成後に図1に示す誘電体層10となる。
グリーンシート10aの形成方法は、層を均一に形成できる方法であれば特に限定されず、ドクターブレード法などが例示される。
グリーンシート10aの厚さは、好ましくは0.5〜30[μm]、より好ましくは0.5〜10[μm]程度である。
支持シート20bとしては、たとえばPETフィルムなどが用いられる。支持シート20bの厚みは、特に限定されないが、好ましくは5〜100[μm]である。
誘電体層用ペーストは、通常、セラミック粉末と有機ビヒクルとを混練して得られた有機溶剤系ペーストで構成される。
セラミック粉末としては、特に限定されず、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウムおよび/またはチタン酸バリウムなどが例示される。これらの複合酸化物や、酸化物となる各種化合物、たとえば炭酸塩、硝酸塩、水酸化物、有機金属化合物などから適宜選択され、混合して用いることができる。セラミック粉末は、通常、平均粒子径が0.4[μm]以下、好ましくは0.1〜3.0[μm]程度の粉体として用いられる。なお、きわめて薄いセラミックグリーンシートを形成するためには、セラミックグリーンシート厚みよりも細かい粉体を使用することが望ましい。
有機ビヒクルは、バインダと溶剤とを含有する。バインダとしては、特に限定されず、エチルセルロース、ポリビニルブチラール、アクリル樹脂などの通常の各種バインダが例示される。溶剤としては、特に限定されず、ターピネオール、アルコール、ブチルカルビトール、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、トルエン、キシレン、酢酸エチル、ステアリン酸ブチル、イソボニルアセテートなどの通常の有機溶剤が例示される。
誘電体層用ペースト中の各成分の含有量は、特に限定されるものではなく、通常の含有量、たとえばバインダは1〜5質量%程度、溶剤(または水)は10〜50質量%程度とすればよい。
誘電体層用ペースト中には、必要に応じて、各種分散剤、可塑剤、誘電体、副成分化合物、ガラスフリット、絶縁体などから選択される添加物が含有されてもよい。誘電体ペースト中に、これらの添加物を添加する場合には、総含有量を、約10重量%以下にすることが望ましい。
可塑剤としては、フタル酸ジオクチルやフタル酸ベンジルブチルなどのフタル酸エステル、アジピン酸、燐酸エステル、グリコール類などが例示される。バインダとしてブチラール樹脂を用いる場合は、バインダ樹脂100重量部に対して、25〜100重量部の可塑剤が含有量されることが好ましい。可塑剤が少なすぎるとグリーンシートが脆くなる傾向にあり、多すぎると可塑剤が滲み出し、取り扱いが困難である。
誘電体層用ペーストは、上記各成分を、ボールミルなどで混合し、スラリー化することにより形成することができる。
接着層の形成
まず、接着層用ペーストを準備する。接着層用ペーストは、有機ビヒクルと可塑剤とを含有する。有機ビヒクルは、バインダ樹脂と溶剤とを含有する。
バインダ樹脂としては、アクリル系樹脂、ブチラール系樹脂のいずれかのバインダ樹脂を含むことが好ましい。
溶剤は、特に限定されず、ターピネオール、アルコール、ブチルカルビトール、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、トルエン、キシレン、酢酸エチル、ステアリン酸ブチル、イソボニルアセテートなどの通常の有機溶剤が用いられる。
可塑剤としては、フタル酸ジメチル(DMP)、フタル酸ジエチル(DEP)、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル(DOP)、及びフタル酸ブチルベンジル(BBP)のいずれかのフタル酸エステル系可塑剤を用いることが好ましい。
バインダ樹脂100重量部に対して、可塑剤が、好ましくは、10〜100重量部含まれる。また、溶剤100重量部に対して、バインダ樹脂は、好ましくは、0.5〜5重量部含まれる。
接着層用ペーストには、図3のグリーンシート10aに含まれるセラミック粉末と同じ組成のセラミック粉末が含まれていても良い。さらに、接着層用ペーストには、イミダゾリン系帯電除剤などの帯電除剤が含まれていても良い。セラミック粉末としては、複合酸化物や酸化物となる各種化合物、たとえば炭酸塩、硝酸塩、水酸化物、有機金属化合物などから適宜選択され、混合して用いることができる。
接着層用ペーストは、上記各成分を、ボールミルなどで混練し、スラリー化することにより形成することができる。
図2(A)に示すように、支持シート20aの表面に接着層用ペーストを塗布し、接着層22を形成する。接着層22の形成方法は、層を均一に形成できる方法であれば特に限定されない。例えば、バーコータ法、ダイコータ法、リバースコータ法、ディップコーター法、キスコーター法などが挙げられる。
次に、接着層22を、80[℃]以下の雰囲気温度(乾燥温度)で乾燥させる。接着層22の乾燥後、接着層22および支持シート20a(接着層転写用シート24)は、図4(A)に示すように、リール21に巻き取られ、ロール体26が形成される。ロール体26は、接着層22の転写工程まで保管される。ロール体26においては、接着転写用シート24が重なり合うため、支持シート20aの背面30(接着層が形成された面32の反対側の面)に接着層22の表面28が接触する。
接着層22の平均厚みは、好ましくは0.2[μm]以下、より好ましくは0.1[μm]以下である。また、接着層22の厚さは、図3(A)に示すグリーンシート10aに含まれるセラミック粉末の平均粒径よりも小さいことが好ましい。
図2(A)の接着層22が形成される支持シート20aとしては、たとえばPETフィルムなどが用いられる。支持シート20aの厚みは、特に限定されないが、好ましくは5〜100[μm]である。
接着層22の転写
図2に示すように、接着層22を、支持シート20cの表面に形成された内部電極層12aおよび余白パターン層42の表面に転写する。以下、この転写工程について説明する。
図5に転写工程の概略を示す。ロール体26が反時計回り方向R1に回転し、接着層転写用シート24が矢印D1の方向へ繰り出される。接着層転写用シート24の面35は、図4に示す支持シート20aであり、図5の面37には、図4に示す接着層22が形成されている。
図5のシート39における面41は、図2(A)に示す支持シート20cであり、図5のシート39における面43には、図2(A)に示す内部電極層12aおよび余白パターン層42が形成されている。
図5のロール47およびロール48は、それぞれ反時計回り方向R1、時計回り方向R2に回転し、接着層転写用シート24およびシート39を、ロール47とロール48との間に取り込む。接着層転写用シート24およびシート39は、ロール47とロール48との間に挟まれることによって加圧され、図2(B)に示すように、接着層22が、内部電極層12aおよび余白パターン層42の表面に接着する。図5に示すように、接着層22が接着された積層シート53は、矢印D2の方向へ送り出される。
接着層22の接着後、図2(B)に示す支持シート20bを、積層シート53から剥がし、接着層22を、内部電極層12aおよび余白パターン層42の表面に転写する。その結果、図2(C)に示す積層体ユニットUaを得る。
本実施形態では、図5に示す加熱機構45によって、80[℃]より高く、170[℃]より低い雰囲気温度(予熱温度)、好ましくは、100[℃]より高く、170[℃]より低い雰囲気温度で接着層22を予熱した直後に、接着層22を内部電極層12aおよび余白パターン層42の表面に転写する。さらに好ましくは、120[℃]以上140[℃]以下の雰囲気温度で接着層22を予熱する。
予熱された直後(転写直前)の接着層22の温度は、好ましくは、67.5[℃]より大きく、132.5[℃]未満、より好ましくは、87.5[℃]より大きく132.5[℃]未満である。
接着層22を予熱する時間は、5〜100[秒]程度であることが好ましい。
加熱機構(接着層22の予熱方法)は、特に限定されず、例えば、遠赤外線ヒーター、エアブローヒーターなどが挙げられる。
転写時の加圧力は、0.2〜15[MPa]であることが好ましい。加圧は、プレスによる加圧でも、カレンダロールによる加圧でも良いが、一対のロールにより行うことが好ましい。
グリーンチップの形成
次に、図3(A)〜(C)に示すように、積層体ユニットUaの接着層22に対して、支持シート20b上に形成されたグリーンシート10aを接着し、支持シート20bを剥がし、グリーンシート10aを積層体ユニットUaへ転写する。その結果、積層体ユニットUbが得られる。
次に、図6(A)に示す支持シート20a上に形成された接着層22を、80[℃]より高く、170[℃]より低い予熱温度、好ましくは、100[℃]より高く、170[℃]より低い予熱温度で予熱した直後に、積層体ユニットUbのグリーンシート10aに対して転写する。さらに好ましくは、120[℃]以上140[℃]以下の予熱温度で接着層22を予熱後、転写を行う。その結果、図6(B)に示す積層体ユニットUcが得られる。積層体ユニットUcは、複数準備する。
この転写は、図5に示すものと同様の転写工程によって行う。すなわち、図5において、シート39の代わりに、図6(A)の積層体ユニットUbを用いて転写を行えばよい。この場合、図6(A)の積層体ユニットUbにおける支持シート20cが、図5の面41に位置し、図6(A)の積層体ユニットUbにおけるグリーンシート10aが、図5の面43に位置することになる。
図6(B)の積層体ユニットUcを複数積層することによって、最終的な積層体が形成される。
得られた積層体の上面および/または下面に、外層用のグリーンシートを積層する。次に、積層体に加熱、加圧処理を行い、その後、積層体を所定サイズに切断し、グリーンチップを形成する。なお、加圧時の圧力は、好ましくは10〜200[MPa]とし、加熱温度は、好ましくは、40〜100[℃]とする。
グリーンチップの焼成
得られたグリーンチップは、脱バインダ処理、焼成処理が行われ、さらに必要に応じて誘電体層を再酸化させるための熱処理が行われる。そして、形成された焼結体で構成される図1のコンデンサ素体4に、外部電極用ペーストを印刷または転写して焼成し、外部電極6,8を形成して、積層セラミックコンデンサ2が製造される。製造された積層セラミックコンデンサ2は、ハンダ付等によりプリント基板上などに実装され、各種電子機器等に使用される。
本実施形態では、図4に示すように、接着層22を支持シート20a上に形成する際に、接着層を80[℃]以下の雰囲気温度で乾燥させることによって、接着層22の表面28から可塑剤が滲み出ることを防止できる。その結果、接着層22が形成された支持シート20aをロール体26の状態で所定時間(たとえば12時間)以上保管した後であっても、支持シート20aの背面30(接着層22が形成された面32の反対側の面)に接着層22の一部1が付着すること(背面転写、図4(B)参照)を有効に防止できる。接着層22の背面転写を防止することによって、図3(C)に示す積層体ユニットUbにおいて、グリーンシート10aと、内部電極層12aおよび余白パターン層42との界面に生じうる密着不良を防止することができる。その結果、コンデンサ内に構造欠陥が生じることがなく、コンデンサのショート不良を有効に防止することができる。
図4のロール体26を形成する前に、接着層22を80[℃]より高い雰囲気温度で乾燥させた場合、接着層22の表面28から可塑剤が滲み出て、図4(B)に示す背面転写が起こってしまう。背面転写が生じた場合、支持シート20aの背面30に接着層22の一部1が付着するため、接着層22が所々で欠落する。その結果、図3(C)に示すように、接着層22を介して、内部電極層12aおよび余白パターン層42がグリーンシート10aの表面へ転写された際、グリーンシート10aと、内部電極層12aおよび余白パターン層42との界面に密着不良が発生してしまう。この密着不良が積層体内で構造欠陥となる結果、コンデンサにショート不良が発生する恐れがある。
本実施形態では、図4のロール体26を12時間以上保管しても、接着層22の背面転写は起こらない。
本実施形態では、図4の接着層22の平均厚みを、好ましくは0.2[μm]以下、より好ましくは0.1[μm]以下とすることによって、ボイドの形成を防止することができる。接着層22の平均厚みが厚過ぎると、グリーンチップの焼成過程において、接着層22に含まれるバインダ樹脂が完全に分解されない。その結果、焼成後に得られる図1のコンデンサ素体4の内部にボイドが形成され、層間剥離が発生する。層間剥離は、コンデンサにショート不良を引き起こす。
本実施形態では、図5に示すように、転写直前の接着層22を、80[℃]より高く、170[℃]より低い雰囲気温度、好ましくは、100[℃]より高く、170[℃]より低い雰囲気温度で予熱する。この予熱によって、転写直前における接着層22の表面から可塑剤が滲み出る。その結果、図3(B)、(C)に示すように、接着層22を介して、グリーンシート10aを、内部電極層12aおよび余白パターン層42の上に積層した際に、この可塑剤が粘着付与剤として働く。よって、グリーンシート10aと、内部電極層12aおよび余白パターン層42との界面に、充分なスタック強度を持たせることができる。その結果、図3(B)のグリーンシート10aから支持シート20bを剥がす際に、グリーンシート10aと、内部電極層12aおよび余白パターン層42との界面における破断が防止される。その結果、積層型電子部品におけるショート不良を防止することができる。
図5に示す転写工程において、接着層22の予熱温度が低過ぎると、接着層の表面から可塑剤が充分に滲み出ない結果、図3のグリーンシート10aと、内部電極層12aおよび余白パターン層42との界面に、充分なスタック強度を持たせることができない。また、図5に示す転写工程において、接着層22の予熱のための雰囲気温度が高過ぎると、接着層22の形成された支持シート20a(PETフィルム)が劣化してしまう。
なお、スタック強度とは、例えば、図3(B)において、グリーンシート10aから支持シート20bを引き剥がす際に、グリーンシート10aと、内部電極層12aおよび余白パターン層42との界面に働く、単位面積当たりの力(単位:[N/cm])である。スタック強度が大きいほど、グリーンシート10aと、内部電極層12aおよび余白パターン層42との界面に剥離、破断が生じにくい。
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は、上述した実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々に改変することができる。
たとえば、本発明の方法は、積層セラミックコンデンサの製造方法に限らず、その他の積層型電子部品の製造方法としても適用することが可能である。
以下、本発明を、さらに詳細な実施例に基づき説明するが、本発明は、これら実施例に限定されない。
実施例1
グリーンシートの作製
BaTiO粉末、MgCO、MnCO、(Ba,Ca)SiO 、及び希土類酸化物等の粉末を所定の割合で混合し、乾燥させて誘電体原料を得た。次に、誘電体原料と、エタノール、プロパノール、キシレン、および有機ビヒクル、可塑剤を所定の割合で配合したものを、ボールミルで混合して、誘電体層用ペーストを得た。
次に、誘電体層用ペーストを、バーコータ法により、支持シートであるPETフィルム上に塗布し、厚さ1.0[μm]のグリーンシートを得た。
内部電極層の作製
次に、Ni粉末、溶剤、有機ビヒクルを所定の割合で配合したものを、ロールにより混練して、内部電極層用ペーストを得た。この内部電極層用ペーストを、PETフィルム上に所定のパターンで印刷して、内部電極層を得た。
余白パターン層の作製
次に、内部電極層の形成されたPETフィルム表面において、内部電極層の形成されていない部分に、誘電体層用ペーストを印刷して、余白パターン層を形成した。
接着層の作製
次に、所定量のバインダ樹脂、および可塑剤を、所定量の溶剤に加えて溶解し、接着層用ペーストを得た。この接着層用ペーストを、バーコータ法でPETフィルム上に塗布し、60[℃]の乾燥温度で乾燥させた後に、厚さ0.05[μm]の接着層を得た。接着層の形成されたPETフィルムをリールに巻き取り、ロール体を形成した。
接着層の寿命の測定
接着層の作製直後に、ロール体を形成し、ロール体の形成直後に、ロール体から、接着層の形成されたPETフィルムを繰り出した。繰り出したPETフィルムに背面転写が起こっているか否かを観察した。次に、ロール体の形成直後の時点から2時間ごとに背面転写の有無を観察した。ロール体の形成直後から24時間経過後は、12時間ごとに背面転写の有無を観察した。ロール体の形成直後から96時間後まで観察を続けた。ロール体の形成直後から、背面転写が確認されなかった観察時点のうち最後の時点までの時間を接着層の寿命(単位:hours)とした。例えば、ロール体の形成直後から8[hours]経過後の観察で背面転写か確認された場合、接着層の寿命は6[hours]であり、36[hours]経過後に背面転写が確認された場合、接着層の寿命は24[hours]である。接着層の寿命が、12[hours]未満の場合は×、12[hours]以上の場合○、24[hours]以上の場合は◎と判定した。接着層の寿命の測定を表1に示す。
Figure 2007201185
次に、図5に示すように、ロール体から、接着層の形成されたPETフィルムを繰り出し、接着層を120[℃]の雰囲気温度(予熱温度)で所定時間予熱した。この予熱の直後に、接着層が形成されたPETフィルムと、内部電極層および余白パターン層が形成されたPETフィルムとを、1対のロールに通し、接着層を内部電極層および余白パターン層の表面に転写させて、図2(C)に示す積層体ユニットUaを得た。なお、予熱された接着層の温度は、100[℃]であった。
次に、図3に示すように、積層体ユニットUaの接着層に対して、PETフィルム上に形成されたグリーンシートを転写させ、図3(C)に示す積層体ユニットUbを得た。
次に、積層体ユニットUbのグリーンシートに対して、PETフィルム上に形成された接着層を転写して、図6(B)に示す積層体ユニットUcを得た。
スタック強度の測定
材料測定器5543(INSTRON社製)を用いて、積層体ユニットUcからPETフィルムを引き剥がす際に、積層体ユニットUcにおけるグリーンシートと、内部電極層および余白パターン層との界面のスタック強度[N/cm]を測定した。5個の積層体ユニットUcに対して測定を行った。それらの平均値を表2に示す。スタック強度が大きいほど、グリーンシートと、内部電極層および余白パターン層との界面に剥離、破断が生じにくい。スタック強度が、40[N/cm]以上であれば、十分と考えられる。
Figure 2007201185
次に、積層体ユニットUcを所望の形状にし、数十層重ね合わせてプレスし、積層ブロックを形成した。
積層体ユニットの破断の観察
積層ブロック形成の際、PETフィルムから積層体ユニットUcを剥離させた後、PETフィルムを観察し、PETフィルムの剥離面(積層体ユニットUcが密着していた面)に内部電極層やグリーンシートが付着しているか否かを観察した。PETフィルムの剥離面に電極層やセラミックグリーンシートが付着することは、積層体ユニットUcにおいて、グリーンシートと、内部電極層および余白パターン層との界面で破断が起こったことを意味する。積層ブロック形成に要した積層体ユニットUc100個について破断の有無を確認した。結果を表2に示す。表2では、破断した積層体ユニットUcの個数が1個以上の場合「破断有り」とし、破断した積層体ユニットUcの個数が0個の場合「破断無し」とした。
次に外層用のグリーンシートで積層ブロックを挟んだものをプレスして、ブロック体を得た。このブロック体を所定の形状に切断したものを焼成して、焼結体を得た。
層間剥離検査
200個の焼結体サンプルに対して、焼結体中心部における層間剥離検査を行い、層間剥離を起こした焼結体の数をカウントした。結果を表2に示す。
次に、焼結体の端面をサンドブラストを用いて研磨して、合金ペーストを焼結体の端部に塗布した。合金ペーストを塗布した焼結体を焼成して、外部電極を有する積層セラミックコンデンサを得た。
ショート不良率の測定
得られた積層セラミックコンデンサのショート不良率を測定した。各積層セラミックコンデンサのサンプルに対して、1[Vrm]の電圧を印加し、導通が確認されたものをショート不良としてカウントした。全サンプル200個に対する、ショート不良を起こしたサンプル数の割合[%]をショート不良率と定義した。
総合判定
積層セラミックコンデンサの諸特性に対して、総合的な判定を行った。結果を表2に示す。
総合判定では、以下の(1)〜(4)のいずれかの評価項目で劣っている場合、×と判定した。
(1)スタック強度
積層体ユニットUcのスタック強度の平均値が、40[N/cm]以下の場合、×と判定した。スタック強度が40[N/cm]以下の場合、積層体ユニットUcからPETフィルムを剥離するときに、積層体ユニットUcに破断が起こる結果、ショート不良率が著しく高くなってしまうからである。
(2)破断
積層ブロック形成に要した積層体ユニットUcのうち、1個以上で破断が確認された場合、×と判定した。破断した積層体ユニットUcから形成された積層セラミックコンデンサでは、ショート不良が生じやすいからである。
(3)層間剥離
全焼結体サンプルのうち、50個以上で層間剥離が確認された場合、×と判定した。層間剥離した焼結体から形成された積層セラミックコンデンサでは、ショート不良が生じやすいからである。
(4)ショート不良率
積層セラミックコンデンサのショート不良率が20[%]より大きい場合、×と判定した。
また、総合判定では、スタック強度の平均値が40[N/cm]より大きく、かつ、破断を起こした積層体ユニットcの個数が0個であり、かつ、層間剥離を起こした焼結体サンプルが10個以上50個未満であり、かつ、ショート不良率が20[%]以下の場合、○と判定した。これらの条件に加えて、さらに、層間剥離の確認された焼結体の数が10個未満であるか、または、ショート不良率が0[%]の場合は、総合判定を◎と判定した。
実施例2〜4および比較例1〜3
実施例2〜4および比較例1〜3では、接着層の形成時に、表1に示した乾燥温度で接着層を乾燥させた。それ以外は実施例1と同様の条件下で、PETフィルム上に接着層を形成し、ロール体を得た。また、実施例1と同様の条件下で、接着層の寿命を測定した。結果を表1に示す。
実施例5〜9および比較例4〜7
実施例5〜9および比較例4〜7では、接着層を表2に示す各予熱温度で予熱した直後に、接着層の転写を行った。接着層の予熱温度以外は、実施例1と同じ条件で、実施例5〜9および比較例4〜7の積層セラミックコンデンサを得た。また、実施例5〜9および比較例4〜7において、実施例1と同じ条件下で、予熱された接着層の温度、スタック強度、破断、層間剥離、ショート不良率について評価を行った。結果を表2に示す。
評価1
表1に示す結果から、接着層の形成時に、80[℃]以下の乾燥温度で接着層を乾燥させた実施例1〜4では、比較例1〜3に比べて、接着層の寿命が長いことが確認された。一方、比較例1〜3では、80[℃]より高い乾燥温度で接着層を乾燥させたために、背面転写が起きやすく、接着層の寿命が短いことが確認された。
評価2
表2に示す結果から、接着層を80[℃]より高く、170[℃]より低い予熱温度で予熱した直後に接着層の転写を行った実施例1、5〜9では、比較例4〜7に比べて、スタック強度が高いため、積層体ユニットUcにおける破断が起きないことが確認された。また、実施例1、5〜9では、比較例4〜7に比べて、焼結体における層間剥離が少なく、積層セラミックコンデンサのショート不良率が低いことが確認された。特に、接着層の予熱温度が120[℃]であった実施例1と、接着層の予熱温度が140[℃]であった実施例7においては、ショート不良率がゼロであった。実施例1、7、9の総合判定は◎であり、実施例5、6、8の総合判定は○であった。
比較例4〜6では、接着層を80[℃]以下の予熱温度で予熱した直後に接着層の転写を行ったため、接着層表面から可塑剤が充分に滲み出なかった。その結果、積層体ユニットUcのスタック強度が低く、破断や、層間剥離が多数生じることが確認された。また、比較例4〜6では、破断や層間剥離が多数発生したために、積層セラミックコンデンサのショート不良率が高いことが確認された。比較例4〜6の総合判定は×であった。
比較例7では、接着層を170[℃]の高温で予熱した。その結果、接着層の支持シートであるPETフィルムが劣化してしまい、それ以降、積層セラミックコンデンサの製造を続けることができなかった。比較例7の総合判定は×であった。
図1は、本発明の一実施形態に係る積層セラミックコンデンサの概略断面図である。 図2は、本発明の一実施形態に係る、グリーンシートの積層方法を示す要部断面図である。 図3は、本発明の一実施形態に係る、グリーンシートの積層方法を示す要部断面図である。 図4は、本発明の一実施形態に係る、接着層の形成された支持シートのロール体の概略断面図である。 図5は、本発明の一実施形態に係る接着層の転写工程の概略図である。 図6は、本発明の一実施形態に係る、グリーンシートの積層方法を示す要部断面図である。
符号の説明
2… 積層セラミックコンデンサ
4… コンデンサ素体
6,8… 外部電極
10… 誘電体層
10a… グリーンシート
12,12a… 内部電極層
20a〜20c… 支持シート
22… 接着層
42… 余白パターン層
45… 加熱機構
50… 余白パターン部分
26… ロール体
Ua〜Uc… 積層体ユニット

Claims (7)

  1. グリーンシートを形成する工程と、
    電極層を形成する工程と、
    接着層を形成する工程と、
    前記グリーンシートあるいは前記電極層の表面に前記接着層を転写する工程と、
    前記接着層を介して、前記グリーンシートおよび前記電極層を交互に積層する工程と、を有する積層型電子部品の製造方法であって、
    前記接着層を支持シート上に形成する際に、前記接着層を80[℃]以下の乾燥温度で乾燥させ、
    前記支持シート上に形成された前記接着層を、80[℃]より高く、170[℃]より低い温度で予熱した直後に、前記接着層を前記グリーンシートあるいは前記電極層の表面に転写することを特徴とする積層型電子部品の製造方法。
  2. 前記接着層を、100[℃]より高く、170[℃]より低い温度で予熱した直後に、前記接着層を前記グリーンシートあるいは前記電極層の表面にに転写することを特徴とする請求項1に記載の積層型電子部品の製造方法。
  3. 前記接着層の厚みが、0.2[μm]以下である請求項1または2に記載の積層型電子部品の製造方法。
  4. 前記接着層が、アクリル系樹脂、ブチラール系樹脂のいずれかのバインダ樹脂を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の積層型電子部品の製造方法。
  5. 前記接着層が、フタル酸ジメチル(DMP)、フタル酸ジエチル(DEP)、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル(DOP)、フタル酸ブチルベンジル(BBP)のいずれかのフタル酸エステル系可塑剤を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の積層型電子部品の製造方法。
  6. 前記バインダ樹脂100重量部に対して、前記フタル酸エステル系可塑剤が10〜100重量部含まれることを特徴とする請求項5に記載の積層型電子部品の製造方法。
  7. 前記電極層は、グリーンシートあるいは支持シートの表面に所定パターンで形成され、
    前記グリーンシートあるいは前記支持シートの表面において前記電極層が形成されていない部分には、前記電極層と実質的に同じ厚みの余白パターン層が形成され、
    前記電極層および前記余白パターン層の表面に前記接着層が転写される請求項1〜6のいずれかに記載の積層型電子部品の製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2014112624A1 (ja) * 2013-01-18 2014-07-24 積水化学工業株式会社 電気デバイス及び電気デバイスの製造方法
JP7446896B2 (ja) 2020-04-09 2024-03-11 太陽誘電株式会社 積層セラミック電子部品の製造方法

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