JP2007198978A - 基板検査装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】レーザアブレーション現象を利用し、配線パターンの断線や短絡を検査することの可能な基板検査装置を提供する。
【解決手段】被検査基板10に形成された複数の配線パターンの良否を、被検査基板の表面に形成された配線パターンの第1の検査点11bと、被検査基板の裏面に形成された配線パターンの第2の検査点12bとの間の電気的特性によって検査する基板検査装置1は、配線パターン上の第1の検査点に、レーザアブレーション現象を発生させるレーザ光を照射して荷電粒子を放出させるレーザ光照射手段22と、第1の検査点から放出された荷電粒子を捕捉する捕捉電極14aと、捕捉電極と第2の検査点12bとの間に、捕捉電極が第1の検査点より高電位になるように所定の大きさの電圧を印加する電圧印加手段16と、電圧印加手段に直列に接続され、捕捉電極と第2の検査点の間を流れる電流の値を検出する電流検出手段18とを備える。
【選択図】図2

Description

本発明は、基板検査装置に関し、更に具体的には、主としてレーザアブレーション現象(「レーザアブレージョン現象」ともいう。)を利用した基板検査装置に関する。一般に、基板検査装置は、被検査基板に形成された複数の配線パターンの中から1の配線パターンを順次選択して配線パターンの両端間に流れる電流の値から、この配線パターンの断線(導通)の有無を検出し、あるいは隣接する2つの配線パターンを順次選択して隣接配線パターン間に流れる電流の値から配線パターンの短絡状態の有無を検出する。
この出願書類で、「被検査基板」又は単に「基板」とは、プリント配線基板に限らず、例えば、フレキシブル基板、多層配線基板、液晶ディスプレイやプラズマディスプレイ用の電極板、及び半導体パッケージ用のパッケージ基板やフィルムキャリアなど種々の基板を意味する。
基板には、種々の基板が存在し、それらの配線パターンが設計通りに製造されているか否かを検査するために、従来から数多くの種類の基板検査装置が提供されている。特に、近年、電子機器の小型化等に伴って基板の配線パターンの微細化が進み、ランドが増加すると共に微小化しているため、基板検査装置のプローブを全ての検査点であるランドに直接接触させて配線パターンの断線や短絡を検査することが困難となる場合があった。
そこで、本出願人は、下記特許文献1として、プローブをランドに接触させずに、配線パターンの断線や短絡を検査する基板検査装置を提案している。
特開2002-318258「回路基板の検査装置および検査方法」(公開日:2002年10月31日) 前掲特許文献1では、実施例として、紫外線領域のレーザ光を被検査配線パターンの一端に照射して、そこから光電効果によって放出された光電子をプラス電極で捕捉し、それによる電流を利用して基板を検査する装置を開示している。
しかし、本発明は、後で詳しく説明するように、光電効果現象を利用するのではなく、主としてレーザアブレーション現象を利用した基板検査装置に関する。
そこで、本出願の出願日前に、日本国特許庁の特許電子図書館(IPDL)において、電気的又は磁気的変量の測定に関する技術分野(具体的には、IPCクラスの「G01R」)で、要約書及び特許請求の範囲に技術用語「アブレーション」の記載がある公表された特許文献の検索を行った。その結果は次の通りである。
特開2005-142111「異方性導電シート」(公開日:2005年6月2日) 特開2005-142110「異方性導電シート」(公開日:2005年6月2日) 特開2002-048841「マイクロプローブ支持部品、マイクロプローブ装置、光学部品、電子制御部品、パターニング用マスク及びそれらの製造方法」(公開日:2002年2月15日) 特開2002-005958「プローブカード用測定針、プローブカード及び測定針形成方法」(公開日:2002年1月9日) 特開2000-251228「磁気抵抗効果素子の製造方法及び磁気抵抗効果素子」(公開日:2000年9月14日) 特開平11-326461「プローブ針のレーザクリーニング方法とその装置」(公開日:1999年11月26日) 特開平07-193298「磁気抵抗材料を用いた機器およびその製造方法」(公開日:1995年7月28日) 特開平07-045877「検出装置及びその製造方法」(公開日:1995年2月14日) 特表2005-503847「椎間の診断用および処置用機器」(公表日:2005年2月10日)(対応国際公開番号WO2002/102233) 特表2004-511271「MRIアブレーションカテーテル」(公表日:2004年4月15日)(対応国際公開番号WO2001/087173) 特表2003-506833「コンプライアンスを制御したファインピッチ配線」(公表日:2003年2月18日)(対応国際公開番号WO01/009980) 特表2002-541124「子宮内膜症を検出する方法」(公表日:2002年12月3日)(対応国際公開番号WO00/59547) 特表2002-523756「電気的な構成素子を検査する場合に使用するためのプリント配線板および該プリント配線板を製造する方法」(公表日:2002年7月30日)(対応国際公開番号WO00/11920) 特表平10-503883「磁気応答デバイス」(公表日:1998年4月7日)(対応国際公開番号WO95/35507) 特開2000-307171「磁気デバイスのピン止め層」(公開日:2000年11月2日) 特開平7-193298「磁気抵抗材料を用いた機器およびその製造方法」(公開日:1995年7月28日) これらの特許文献を精査すると、前掲特許文献2〜5,8,9,12,14〜17は、いずれも、レーザアブレーションを加工用途に使用している。前掲特許文献6は、レーザアブレーションを粒子の結晶化を促進するために使用している。前掲特許文献7は、レーザアブレーションをプローブ針先端に付着した不純物を除去するために使用している。前掲特許文献10,11及び13は、レーザアブレーションの医療分野の使用である。
従って、レーザアブレーション現象を利用した基板検査装置に関する特許文献としては、前掲特許文献7があるが、レーザアブレーションのクリーニング効果を利用したものであり、本発明とは関係がない。
前掲特許文献1の方法を用いると、プローブをランドに接触させずに、配線パターンの断線や短絡を検査することが可能となる。
しかし、特許文献1の方法は光電効果を利用する方法であることに起因して、照射するレーザ光の波長の範囲が所定の値(「限界波長」という。)以下に限定される。また、配線パターン(ランド)を構成する材料の種類(例えば、金、銅等)に応じて限界波長が異なるため、ランドを構成する材料に応じて照射するレーザ光の波長を変更する必要がある等の制約が有る。
また、前掲特許文献2〜17によれば、基板検査装置の導通又は短絡検査に関して、レーザアブレーション現象を利用した従来技術は存在しない。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたもので、主としてレーザアブレーション現象を利用して、プローブをランド(パターン)に接触させずに配線パターンの断線や短絡を簡便に検査することの可能な基板検査装置を提供することを目的とする。
上記目的に鑑みて、本発明に係る基板試験装置は、被検査基板に形成された複数の配線パターンの良否を、該被検査基板の表面に形成された該配線パターンの第1の検査点と、該被検査基板の裏面に形成された該配線パターン上の第2の検査点との間の電気的特性によって検査する基板検査装置であって、配線パターン上の第1の検査点に、レーザアブレーション現象を発生させるレーザ光を照射して荷電粒子を放出させるレーザ光照射手段と、第1の検査点から放出された荷電粒子を捕捉する捕捉電極と、前記捕捉電極と第2の検査点との間に、該捕捉電極が第1の検査点より高電位になるように所定の大きさの電圧を印加する電圧印加手段と、前記電圧印加手段に直列に接続され、前記捕捉電極と第2の検査点の間を流れる電流の値を検出する電流検出手段とを備え、前記捕捉電極は、前記レーザ光照射手段と前記被検査基板との間に配置された透明電極である。
更に、本発明に係る基板検査装置は、被検査基板に形成された複数の配線パターンの良否を、該被検査基板の表面に形成された該配線パターンの第1の検査点と、該被検査基板の裏面に形成された該配線パターンの第2の検査点との間の電気的特性によって検査する基板検査装置であって、配線パターン上の第1の検査点に、レーザ光1パルス当たりの強度0.1J/cm2以上、パルス幅1〜20nsecのレーザ光を1又は複数回照射して荷電粒子を放出させるレーザ光照射手段と、第1の検査点から放出された荷電粒子を捕捉する捕捉電極と、前記捕捉電極と第2の検査点との間に、該捕捉電極が第1の検査点より高電位になるように所定の大きさの電圧を印加する電圧印加手段と、前記電圧印加手段に直列に接続され、前記捕捉電極と第2の検査点の間を流れる電流の値を検出する電流検出手段とを備え、前記捕捉電極は、前記レーザ光照射手段と前記被検査基板との間に配置された透明電極である。
更に、上記基板検査装置では、更に、前記レーザ光照射手段が照射するレーザ光の1パルス当たりの強度1.0J/cm2以下とすることもできる。
更に、上記基板検査装置では、更に、磁界発生手段を備え、前記磁界発生手段は、前記第1の検査点から放出された荷電粒子を前記捕捉電極に向けて加速する磁場を形成してもよい。
更に、上記基板検査装置では、更に、ハウジングを備え、前記ハウジングは、少なくとも、前記被検査基板及び前記捕捉電極を取り囲む減圧された閉空間を形成し、前記透明電極は、前記ハウジングの少なくとも一部分として形成してもよい。
更に、上記基板検査装置では、前記透明電極は、インジウム酸化第一錫からなるようにしてもよい。
更に、上記基板検査装置では、前記透明電極は、ガラス板に取り付けてもよい。
更に、上記基板検査装置では、前記レーザ光照射手段は、波長355nmのレーザ光を照射することもできる。
更に、本発明に係る電極は、レーザアブレーション現象を利用した非接触方式の基板検査装置に使用される電極であって、レーザ光を透過する機能と、レーザ照射により被検査基板のパターンから放出される荷電粒子を捕捉する機能とを備えている。
更に、上記電極は、インジウム酸化第一錫から形成してもよい。
本発明によれば、主としてレーザアブレーション現象を利用して、プローブをランド(パターン)に接触させずに配線パターンの断線や短絡を簡便に検査することの可能な基板検査装置を提供することができる。
以下、本発明に係る基板検査装置の実施形態の一例について、添付の図面を参照しながら説明する。なお、図面中、同じ要素に対しては同じ符号を付して、重複した説明を省略する。
[光電効果とレーザアブレーション]
最初に、本発明の理解を容易にするため、前掲特許文献1(特開平14-318258)で利用する光電効果現象と本発明で利用するレーザアブレーション現象とに関して簡単に説明する。
光電効果は、金属表面に光を当てたとき光エネルギにより電子(光電子)が飛び出す現象である。光電効果は、例えば、真空のガラス管内に配置された金属製の2枚の平行電極間に直流電圧を印加し、マイナス(−)電極に光を照射すると光電子が飛び出して、プラス(+)電極に捕捉され、電流が流れることで知られている。
光電効果現象は、次のような特徴を有する。(1)印加電圧を十分に高くした場合、流れる電流はマイナス(−)電極に照射した光の強さに比例する。(2)どのような金属面に対しても、光電効果の起こり得る最小の振動数(「限界波長」に対応する周波数)があり、それ以下の振動数では、どんなに入射光の強度を強くしても光電効果は起こらない。(3)光電子の持つ最大運動エネルギは、入射光の強度に無関係であり、アインシュタインの光電子則E=hν−Wに完全に一致している。ここで、hはプランクの常数、νは入射光の振動数、Wは金属から電子を放出するために必要なエネルギ(仕事関数)である。従って、hν>Wを満たす振動数νの光でなければ光電効果は起こらない。そして、この仕事関数Wは、金属によって異なる。
この結果、光電効果を利用した場合、照射するレーザ光の波長の範囲が限界波長以下に限定される。また、金属の種類に応じて限界波長(hν>Wを満たす振動数νに対応する波長)が異なるため、使用する金属に応じて照射するレーザ光の波長を変更する必要がある。これらは、本出願書類の上記「発明が解決しようとする課題」に対応するものである。
一方、レーザアブレーション現象は、その詳細は未だ明らかになっていない面がある。本発明者の理解する範囲では、レーザアブレーション現象は、エネルギ密度が非常に高いレーザを集光して金属に照射した場合、照射箇所で局所的に急激な温度上昇が起き、金属材料を急激に溶融・気化させ、爆発的な体積膨張に伴って金属材料が原子、分子、クラスタ等となって金属表面より飛び出していく。この飛び出した原子、分子、クラスタ等は、レーザ光に曝されているため急激な温度上昇と共に再励起されて熱プラズマ化し、電子、イオン等の荷電粒子が爆発的に発生する。
このように、光電効果現象は、主として光エネルギを利用した現象であり、一方、レーザアブレーション現象は、主として熱エネルギを利用した現象である。これらは、レーザパワー、印加電圧値、真空のガラス管内の真空度、使用する金属の種類等によって、光電効果現象が起こったり、レーザアブレーション現象が起こったりする。
現象面で見ると、光電効果現象は光電子が放出されるだけなので、ミクロに観察しても金属表面に何等変化はない。一方、レーザアブレーション現象は、金属材料が原子、分子、クラスタ等となって金属表面より飛び出していくため、ミクロに観察した場合(XMA等の測定装置で測定した場合を含む。)には程度の差はあれ、金属表面にスポット状の痕跡(損傷)が残ったり、金属膜厚が薄くなったりする。
本発明者は、図1A及び図1Bに示すような基板検査装置の実験モデルを作成し、光電効果現象を利用した実験と、レーザアブレーション現象を利用した実験とを行った。被検査基板10には、上面に上面パターン部11と、下面に下面パターン部12と、これら両パターン部を電気的に接続する内層パターン部13とが形成されている。上面パターン部11の近傍には、捕捉電極14aが配置されている。
下面パターン部12に対して捕捉電極14aが相対的に高い電位となるように、直流電圧印加手段16が、捕捉電極14aと下面パターン部12との間に接続されている。これにより、電粒子捕捉電極14と上面パターン部11の間には、前者が後者に対して高電位となる電界が発生する。
直流電圧印加手段16の負電極と下面パターン部12との間に、この回路を流れる電流を測定するための電流検出手段18と、可変抵抗20とが、直列に接続されている。ここで、可変抵抗13の抵抗値を変化させることにより、内層パターン部13の断線又は損傷状態をシミュレートする。少なくとも、被検査基板10及び捕捉電極14aを含む領域は、真空雰囲気中に配置される。
図1Aに示すように、レーザ光Lを上面パターン部11に照射して光電効果現象を発生させながら、可変抵抗13の抵抗値の大きさを変化させたとき、上部パターン11から荷電粒子(この場合は、光電子)20が飛び出し、捕捉電極14aに捕捉され、この荷電粒子の移動により抵抗値に影響を受けた電流が流れ、電流検出手段18で感知される。
同様に、図1Bに示すように、レーザ光Lを上面パターン部11に照射してレーザアブレーション現象を発生させながら、可変抵抗13の抵抗値の大きさを変化させたとき、上部パターン11は局所的に急激に溶融・気化し、その金属材料が原子、分子、クラスタ等となって金属表面より飛び出し、飛び出した原子、分子、クラスタ等は更にレーザ光Lに曝されて熱プラズマ化し、電子、イオン等の荷電粒子20が発生する。荷電粒子(この場合は、電子、マイナス金属イオン等)20が飛び出し、捕捉電極14aに捕捉され、この荷電粒子の移動により抵抗値に影響を受けた電流が流れ、電流検出手段18で感知される。
ここで、光電効果現象かレーザアブレーション現象かの判断は、金属表面をミクロに観察して変色、痕跡(損傷)、薄膜化の有無によって行っている。なお、光電効果を発生させるレーザ光及びレーザアブレーションを発生させるレーザ光の詳細に関しては、後で、図7A及び図7Bに関連して説明する。
これにより、本発明者は、光電効果現象を利用した場合、金属の種類によって相違するが、可変抵抗の抵抗値がほぼ1 MΩ(=1×106 Ω)程度であれば判別が可能であるのに対して、レーザアブレーション現象を利用した場合、金属の種類によって相違するが、ほぼ10 kΩ(=1×103 Ω)程度であれば判別が可能であることを発見した。
光電効果現象を利用した基板検査に対して、レーザアブレーション現象を利用した基板検査では、約1000倍の分解能が期待できることが分かった。即ち、本発明に係るレーザアブレーション現象を利用した基板検査装置は、光電効果現象を利用した基板検査装置に比較して、著しく高い分解能を有している。
従って、本発明は、本発明者が基板検査装置にレーザアブレーション現象を利用することを発見したことに基づくものである。更に、光電効果現象を利用した基板検査装置と比較して、レーザアブレーション現象を利用した基板検査装置が著しく高い分解能を有している点は、本発明特有の効果である。
しかし、本発明者は、この実験で発生している現象が、レーザアブレーション現象そのものであるか、或いは他の未知の現象も同時に発生しているのかを確認する迄には至っていない。また、レーザ照射の初期の段階で光電効果も発生していることは容易に推察できる。しかし、レーザ照射後に、ミクロに観察した場合に金属表面にスポット状の痕跡(損傷)が残ったり、金属が薄くなったりした場合には、光電効果現象以外の現象が発生していることは確かなことである。
従って、本出願書類では、「レーザアブレーション」は、主としてレーザアブレーション現象を意味し、更には光電効果以外の何等かの現象を含む場合があることとする。「利用する現象が光電効果現象ではない。」という判断基準は、レーザ照射後に、ミクロに観察した場合にレーザ照射された金属表面にスポット状の痕跡(損傷)が残ったり、金属膜厚が薄くなったりしていることによる。
[基板検査装置]
図2は、基板10を検査する基板検査装置1の構成の要部を示す概念図である。
基板検査装置1は、捕捉電極14aが基板2の第1の検査点11bより高電位になるように、第2の検査点12bと捕捉電極14aとの間に所定の電圧を印加する電圧印加手段16と、第1の検査点11bにレーザ光Lを照射してレーザアブレーション現象により荷電粒子を放出させるレーザ照射手段22と、荷電粒子が捕捉電極14へ移動することにより発生する電流を検出する電流検出手段18とを備えている。
基板10は、例えば、基板ベース10aに複数の配線パターンが形成されている。例えば、配線パターン(11a−13a−12a)は、基板ベース10aの上面に形成された上面パターン部11aと、下面に形成された下面パターン部12aと、これら上面パターン部11aと下面パターン部12aとを電気的に接続するためビアホールを利用して形成された内層パターン部13aとで構成されている。他の配線パターン(11b−13b−12b),(11c−13c−12c)等も同様である。ここで、説明の都合上、被検査パターンを配線パターン(11b−13b−12b)とし、この上面パターン部11bを「第1の検査点」と呼び、下面パターン部12bを「第2の検査点」と称する。
検査時には、基板10は、基板位置決め駆動機構(図3の符号40参照)によって位置決めされ、基板10の下面側には、下面パターン部12bに対して、検査治具(図3の符号25参照)に保持された複数本の内の接触子の1本24bが圧接される。
一方、基板10の上面側には、ハウジング位置決め駆動機構(図3の符号38参照)によってハウジング26が圧接される。このハウジング26は、例えばガラスのような透明な材料で形成された上壁26aと、金属,合成樹脂等の任意の剛体で形成された側壁26bと、例えばゴムのような弾性変形可能な部材にて形成された側壁端部26cとから形成され、基板10の上面の所定範囲を覆うようにキャップ状に形成されている。なお、上壁26aの下側には、第1の検査点12bから放出される荷電粒子を捕捉する透明な捕捉電極(「透明電極」ともいう。)14aが備えられている。なお、この電極構造に関しては、後で図8に関連して詳しく説明する。
ハウジング位置決め駆動機構によってハウジング26が基板10の上面側に圧接されると、側壁26bの端部26cが基板上面に当接して押圧されて変形してパッキンとして機能する。その結果、基板10の上面及びハウジング26で取り囲まれる気密な閉空間28が形成される。この閉空間28内の空気を減圧するべく、減圧ポンプ30に接続された配管30aがハウジング26の適所を貫通して、閉空間28と減圧ポンプ30との間に接続されている。
電圧印加手段16は、直流電源を有し、捕捉電極14と、接触子24bを介して第2の検査点12bとの間に、捕捉電極14に対して第2の検査点12b(これは、第1の検査点11bと同電位である。)が高電位となるよう所定の電圧を印加する。複数本の接触子24a〜24cは、各々、複数個のスイッチ32a〜32cの内の対応する1個のスイッチの一端に接続され、各スイッチ32の他端は相互に接続されて電流計18を介して直流電源16に接続されている。なお、これら複数個のスイッチ32a〜32cは、スキャナ33を構成し、図3に関連して説明するようにテスターコントローラ34の制御の下、被検査パターンを順次選択し、これに圧接する接触子(例えば、24b)に接続するスイッチ(例えば、32b)を閉じ、他の接触子(例えば、24a,24c)に接続するスイッチ(例えば、32a,32c)を開くように動作する。
ここで、直流電源16は、制御部36(図3参照)からのスイッチ32の制御信号により、スイッチ32b,接触子24bを介して第2の検査点12bと、ハウジング26に形成された捕捉電極14aとの間に、所定値の電圧を印加する。
レーザ照射手段22は、発光部22aと、レーザ光走査部22bとを有している。発光部22aは、制御部36(図4のレーザ光照射部36-3b参照)からの動作指令に従ってレーザ光Lを射出し、レーザ光走査部22bは、射出されたレーザ光Lを、制御部36からの動作指令に従って、透明な上壁26a及び捕捉電極14aを通って基板10上の第1の検査点11bに照射する。
発光部22aは、好ましくは、波長λが355nmのYAGレーザ光を発光するように構成され、且つ、照射された第1の検査点11bにおいてレーザアブレーション現象が発生する強度のレーザ光を発光するものである。また、発光部22aは、好ましくは、Qスイッチ素子等を用いてパルス駆動が可能であるように構成されている。詳細は後述するが、発光部22aは、レーザ光1パルス当たりの強度0.1〜1.0J/cm2、パルス幅約1〜20nsecのレーザ光を、1又は複数回検査点に照射する。この条件でレーザ光を検査点に照射することによって、効果的な検査に用いられるレーザアブレーション現象を誘因することができる。
レーザ光走査部22bは、例えば、ガルバノミラー(ガルバノメータ)を用いて構成されている。ここでは、制御部36からの動作指令に基づきガルバノミラーを駆動させることにより、発光部22aから射出されたレーザ光Lを、第1の検査点11bに正確且つ高速に照射することができる。なお、レーザ光走査部22bは、図3に関連して説明するようにテスターコントローラ34の制御の下、被検査パターンを順次選択し、この被検査パターンの上面パターン部(第1の検査点)11a,11b又は11cに正確且つ高速に照射する。
電流検出手段18は、第1の検査点11bから放出された荷電粒子が捕捉電極14aへ移動することにより発生する電流を検出する。ここでは、電流検出手段18は、直流電源16の一方の端子からハウジング26の捕捉電極14aa及び被検査配線パターン(11b−13b−12b)を介して直流電源16の他方の端子に戻る導電経路に介挿され、この導電経路を流れる電流値を検出している。具体的には、直流電源16のプラス(+)側端子がハウジング26の捕捉電極14aと電気的に接続され、直流電源16のマイナス(−)側端子が電流計18,スイッチ32bを介して第2の検査点12bに接続されている。
図3は、基板検査装置10の電気的構成を示す構成図である。基板検査装置1は、CPU,ROM,RAM,モータドライバ等を有して予めROMに記憶されているプログラムに従って装置全体を制御する制御部36と、制御部36からの指示を受け付けてハウジング位置決め駆動機構38,基板位置決め駆動機構40及び検査治具位置決め駆動機構42に対して駆動指令を夫々出力する駆動部44と、テスターコントローラ34と、スキャナ33とを備えている。
基板搬送駆動機構40は、駆動部44からの駆動指令を受けて、基板10をX方向(基板幅方向)駆動及びY方向(基板奥行き方向)駆動して搬送し、所定の検査位置に位置決めする。
ハウジング位置決め駆動機構38は、駆動部44からの駆動指令を受けて、基板10に対して、ハウジング26をX方向駆動,Y方向駆動,Z方向(基板厚み方向)を回転軸に角度θだけ回転移動させるθ駆動及びZ方向駆動して、ハウジング26を基板10に対して相対的に位置決めする。
検査治具駆動機構42は、駆動部44からの駆動指令を受けて、基板10に対して、複数本の接触子42を支持する検査治具41をX方向駆動,Y方向駆動,Z方向を回転軸に角度θだけ回転移動させるθ駆動、及びZ方向駆動して、検査治具25を基板10に対して相対的に位置決めし、接触子42を基板10に形成された被検査パターンに対して当接又は離間させる。
テスターコントローラ34は、制御部36からの検査開始指令を受け付けて、予め記憶されたプログラムに従って、順次選択された基板10の被検査パターンの下面パターン部(第2検査点)12に圧接している接触子24に接続するスイッチ32を閉じ、他の接触子24に接続するスイッチ32を開くように動作する。また、テスターコントローラ34は、レーザ照射手段22の発光部22a及び走査部22bに動作指令を出して、順次選択された被検査パターンの上面パターン部(第1検査点)11に対してレーザ光が照射されるようにする。
図4は、図3の制御部36の機能構成を示す図である。制御部36は、例えば、CPU等からなり、ハウジング26によって形成される閉空間28内の空気圧を設定する圧力設定部36-1aと、減圧ポンプ30に対して設定圧力となるように閉空間28内を減圧する指示情報を出力する減圧部36-1bと、所定の電圧値を設定する電圧設定部36-2aと、直流電源16に対してこの所定電圧値の直流電圧を生成するように指示情報を出力する電圧印加部36-2bと、発光するレーザ光の強度を設定する強度設定部36-3aと、レーザ光照射手段22に対して設定強度のレーザ光を発光するべく指示情報を出力するレーザ光照射部36-3bと、電流計18からの検出信号を受け付けて電流値を取得する電流検出部36-4と、取得された電流値と所定の閾値とを比較して断線又は短絡状態の判定を行う判定部36-5とを備えている。
圧力設定部36-1aによって設定される閉空間28内の空気圧は、例えば、10-2気圧程度が望ましい。実験によると、これよりも圧力が高いとレーザアブレーションによって発生する荷電粒子の生成効率が悪い。一方、圧力を低くすればする程、荷電粒子の生成効率は高められるが、減圧に要する時間が増大し、検査時間が長くなる。
減圧部36-1bは、例えば、閉空間28内に設置する圧力計(図示せず。)から所定時間(例えば、1秒)毎に閉空間28内の圧力の測定値を取得し、閉空間28内が設定圧力になるように減圧ポンプ30に対して減圧指示情報を出力する。
電圧設定部36-2aによって設定される印加電圧は、例えば、通常の測定を行う場合には約200V、高精度の測定を行う場合には約400Vに設定することが好ましい(図7A,7B参照)。電圧印加部36-2bは、直流電源16に対して設定電圧値の直流電圧を生成するべく指示情報を出力する。
強度設定部36-3aで設定されるレーザ光の発光強度PWは、検査点に照射されるレーザ光照射手段22からのレーザ光の強度を次の条件を満たすように調整される。通常の測定を行う場合には、検査点に照射されるレーザ光の強度が、1パルス当たり0.4〜0.5J/cm2となるように制御し、高精度の測定を行う場合には、1パルス当たり0.6〜1.0J/cm2となるように制御され、配線パターンの損傷を最小限とする場合には1パルス当たり0.1〜0.25J/cm2となるように制御される(図7A,7B参照)。本発明で用いられるレーザアブレーション現象を発生させるためには、検査点に照射されるレーザ光の1パルス当たりの強度0.1〜1.0J/cm2、パルス幅1〜20nsecに設定される。この条件は、この強度未満でレーザ光の照射を行うと、発生する負荷電粒子の量が少なく、検査を行うに十分でないからであり、この強度を超えると、検査点自体に大きな損傷を与えることになるからである。
尚、図7(a)及び(b)では、約100kHzのレーザ光を用いた場合を示している。レーザ光照射部36-3bは、レーザ光照射手段22に対して設定強度のレーザ光を発光するよう指示情報を出力する。
電流検出部36-4は、電流計18からの検出信号を受け付けて測定電流値AM(図5参照)を取得する。
判定部36-5は、取得された測定電流値AMと所定の閾値SHとを比較して断線又は短絡状態の判定を行う。閾値は、例えば、短絡検査を行う場合には閾値SH1=2mAに設定され、断線検査を行う場合には閾値SH2=4mAに設定されることが好ましい。即ち、判定部36-5は、短絡検査を行う場合、測定電流値AMが閾値SH1より小さい場合(AM<SH1)には非短絡(良好)と判定し、測定電流値AMが閾値SH1以上である場合(AM≧SH1)には短絡(不良)と判定する。また、判定部36-5は、断線検査を行う場合、測定電流値AMが閾値SH2以上の場合(AM≧SH2)には導通(良好)と判定し、測定電流値AMが閾値SH2未満である場合(AM<SH2)には非導通(不良)と判定する。
[基板検査方法]
図6A,6B及び6Cを参照しながら、この基板検査装置1を用いた基板検査方法について説明する。ここで、図6Aは、基板検査方法の全体的なフローチャート、図6Bは、断線検査処理(図6AのS109)のフローチャート、図6Cは、短絡検査処理(図6AのステップS111)のフローチャートである。
図6Aに示す基板検査方法では、ステップS101で、検査員の操作によって基板10を基板検査装置1に搬入する。搬入されるとステップS103に進む。
ステップS103で、基板10が基板載置部9(図2参照)に適当な手段により固定される。
ステップS105で、基板位置決め駆動機構40によって、基板10が所定の検査位置に移動される。
ステップS107で、ハウジング位置決め駆動機構38によって、基板10に対してハウジング26が所定の位置に移動され上方から圧接される。同時に、検査治具位置決め駆動機構42によって、基板10に対して複数本の接触子24を持つ検査治具25が所定の位置に移動され下方から圧接される。ハウジング26が位置決めされた結果、ハウジング26と基板10の上面とで取り囲まれる閉空間28が形成される(図2参照)。また、検査治具25が位置決めされた結果、接触子24a,24b,24cの先端部が配線パターンの対応する下面パターン部12a,12b,12cに夫々圧接され電気的に接続される。
ステップS109で、断線検査が実行される。この詳細は、図6Bを参照されたい。
ステップS111で、短絡検査が実行される。この詳細は、図6Cを参照されたい。なお、所望により、断線検査と短絡検査はどちらを先に実行してもよく、又はいずれか一方の検査を実行してもよい。
ステップS113で、検査終了に伴い、基板10からハウジング26及び検査治具25を離間させる。
ステップS115で、基板10を基板載置部9から取り外し、基板検査装置1から搬出する。
ステップS117で、基板10が基板検査装置1から搬出されたことを確認し、終了する。
図6Bに示す断線検査処理は、被検査パターン(11b−13b−12b)の上部パターン12bと荷電粒子捕捉電極14aとの間に電界を形成し、レーザアブレーション現象を利用して上部パターン11bから生じる荷電粒子を捕捉電極14aへ移動させることにより、直流電源16のプラス側端子から捕捉電極14a,被検査パターン(11b−13b−12b),接触子24b,電流計18を通って直流電源16のマイナス側端子へ戻る実質的な閉回路を形成し、電流計18で測定される電流値で被検査パターンの断線の有無を判定する処理である。
ステップS201で、10-2気圧程度まで閉空間28内の減圧処理が行われる。
ステップS203で、被検査パターンが選択される。即ち、テスターコントローラ34の制御の下、スキャナ33により被検査パターンが順次選択される。テスターコントローラ34は、選択された基板10の被検査パターンの下面パターン部(第2検査点)12bに圧接する接触子24bに接続するスイッチ32bを閉じ、他の接触子24a,24cに接続するスイッチ32a,32cを開く。また、テスターコントローラ34は、レーザ照射手段22の走査部22bに動作指令を出して、順次選択された被検査パターンの上面パターン部(第1検査点)12bに対してレーザ光Lが照射されるように準備する。
ステップS205で、被検査パターンの下面パターン部(第2検査点)13bと捕捉電極14aとの間に、直流電源16によって電圧が印加される。これによって、上面パターン部11bと捕捉電極14aとの間に電界が発生する。
ステップS207で、テスターコントローラ34がレーザ発光部22aに動作指令を出すことにより、レーザ照射手段22により、被検査パターンの上面パターン部(第1検査点)11bに対してレーザ光Lが照射される。これにより、第1検査点11bにおいてレーザアブレーション現象が発生し、荷電粒子が生成される。
ステップS209で、電流値AMを測定する。即ち、レーザ光Lが照射されている間、電流計18によって測定電流値AM(図5参照)が取得される、ここで、被検査パターンが良好な場合(非断線状態)、上面パターン部11bと捕捉電極14aとの間に電界が発生しているので、レーザ光Lの照射により生成された荷電粒子の内のマイナスの電荷を帯びたもの(電子を含む。)は捕捉電極14aに引き寄せられ捕捉される。この荷電粒子の移動を、電流計18は電流値AMとして測定することができる。しかし、被検査パターンが不良な場合(断線状態)、上面パターン部11bと捕捉電極14aとの間に電界が発生していないので、荷電粒子の移動はほとんど起こらず、電流計18には僅かな測定電流値AMしか現れない。
ステップS211で、判定部36-5により、被検査パターンの断線の有無が判定される。即ち、測定電流値AMが閾値SH2以上場合には導通(良好)と判定され、測定電流値AMが閾値SH2未満である場合には非導通(不良)と判定される。
ステップS213で、全配線パターンの検査が完了したか否かが判定される。全配線パターンの検査が終了していない場合、ステップ203に戻り、テスターコントローラ73の制御の下、次の被検査パターンが選択される。検査が終了している場合、断線検査は終了する。
図6Cに示す短絡検査処理は、2本の被検査パターン(11a−13a−12a),(11b−13b−12b)の内の一方のパターン(11b−13b−12b)の上部パターン11bと荷電粒子捕捉電極14aとの間に電界を形成した場合、両パターン間に短絡が有れば他方のパターン(11a−13a−12a)の上部パターン11aと捕捉電極14aとの間にも電界が形成されることを利用している。即ち、レーザアブレーション現象を利用して他方のパターンの上部電極11aから生じる荷電粒子が捕捉電極14aへ移動すれば両パターン間に短絡があり、移動しなければ両パターン間には短絡がないと判定する処理である。
図6Cに示す短絡検査処理は、図6Bの短絡検査処理とほぼ同様に行われる。相違する点は、次の通りである。
ステップS301で減圧処理が行われるが、図6Bの断線検査で既に減圧処理されている場合は不要である。
ステップS303で、短絡試験であるため、被検査対象として隣接する2つの被検査パターンとして、例えば(11a−13a−12a),(11b−13b−12b)が選択される。
ステップS305で、一方の被検査パターン(11b−13b−12b)に関して、下面パターン部(第2検査点)12bと捕捉電極14aとの間に、直流電源16によって電圧が印加される。これによって、上面パターン部11bと捕捉電極14aとの間に電界が発生する。
ステップS307で、レーザ照射手段22により、他方の被検査パターン(11a−13a−12a)の上面パターン部(第1検査点)11aに対してレーザ光が照射される。ここで、2つの被検査パターンが正常な場合(非短絡状態)、上面パターン部11aと捕捉電極14aとの間には電界が発生していないので、荷電粒子の移動はほとんど起こらず、電流計18には僅かな電流値AMしか現れない。反対に、2つの被検査パターンが不良な場合(短絡状態)、上面パターン部11aと捕捉電極14aとの間にも電界が発生しているので、荷電粒子の内のマイナスの電荷を帯びたものは捕捉電極14aに引き寄せられ捕捉される。この荷電粒子の移動を、電流計18は電流値AMとして測定することができる。
ステップS311で、判定部36-5は、測定電流値AMが閾値SH1より小さい場合には非短絡(良好)と判定し、測定電流値AMが閾値SH1以上である場合には短絡(不良)と判定する。
ステップS313で、全ての配線パターンの組合せについて検査が完了したか否かが判定される。
その他のステップに関しては、図6Bの断線検査処理の同じようなステップの説明を参照されたい。
図5は、断線検査(図6B)及び短絡検査(図6C)における電圧の印加、レーザ光Lの照射、電流値測定の動作を示すタイミングチャートである。時刻T0において、ハウジング26の荷電粒子捕捉電極14aと被検査パターン11bとの間に電圧V0が印加される。時刻T1から時刻T2の間(TLの期間)レーザ光照射手段22からレーザ光Lが被検査配線パターンの上面パターン11bに照射される。時刻T1からレーザアブレージョン現象が起りはじめるが、レーザアブレージョン現象によって流れる電流値AMは安定するまでに所定の時間を要するため、例えば、時刻T1から所定時間TLM経過後の時刻TMで安定した電流値AMを、電流計18により取得することが好ましい。或いは、電荷出力をそれに比例した低インピーダンス電圧信号に調整する増幅器であるチャージアンプを使用してもよい。
図7A,7Bは、断線検査(図6B)及び短絡検査(図6C)におけるレーザ光の強度PWと、測定電流値AMとの関係を示す図表である。図7Aにおいて、横軸は、レーザ光の強度PWであり、縦軸は測定電流値AMである。レーザ光LとしてYAGレーザを使用し、波長は3倍波355nmを使用する。3本のグラフG1,G2,G3は、それぞれ、直流電源76によって印加される電圧V0が400,200,100Vの場合である。
図7A,7Bに示すように、レーザ光の強度PWが約20kW/cm2以上の場合に、上面パターン部211aの表面でレーザアブレージョン現象が発生し、測定電流値AMが、レーザ光の強度PW及び印加電圧V0が大きい程大きくなる。従って、測定電流値AMを大きくするためには、レーザ光の強度PW及び印加電圧V0の少なくともいずれか一方を増大すればよい。
[基板検査装置の電極構造]
次に、図2の基板検査装置1の捕捉電極14aの具体的構造に関して説明する。
(透明電極)
図8に示す電極構造は、透明電極14aを用いたことを特徴とする。この透明電極14aは、発光部22aからのレーザビームLを透過させることができるとともに、所定の電圧が印加されて後述する荷電粒子を捕捉する。このような機能を有するものとして、例えばインジウム酸化第一錫(ITO indium tin oxide)を用いることができる。
この透明電極14aは、基板10の第1の検査点11bの上方を大きく覆う位置に配置する。例えば、図8に示す場合には、被検査基板10の第1の検査点を覆うハウジングの上壁26aの一部で上壁26a面を覆うように形成されている。この図8では、ハウジングの上壁26aの一部に形成されているが、ハウジングの側壁の一部に形成されても良いし、上壁及び側壁を一体とする一体型として形成されても良い。
尚、このように一体型の透明電極として用いる場合には、まずハウジングを形成し、このハウジングの内側表面に当接するように透明電極を取り付けることで効率良く配置することができる。
このITOの透明電極14aを用いる場合には、レーザビームLとしてYAGレーザの3倍波355nmを用いる。この3倍波のYAGレーザは、ITO透明電極14a中を殆ど消耗することなく通過することができる。
このITOの透明電極14aを用いる際に、透明電極14a自体の強度が問題となる場合がある。このような場合には、図8で示す如く、レーザビームLに対して透過性の高い透明基材の窓を補強材として設けることができる。
この透明基材の窓は、例えば、石英ガラスを例示することができるが、特に限定されるものではなく、レーザビームLを十分に透過させることができ、且つ、強度を十分に有している素材であれば構わない。
第1検査点11bの上方に全面又は部分的に透明電極14aを配置することにより、第1検査点11bから上方に向かって飛び出す荷電粒子の捕捉効率を上げることができる。この結果、透明電極14aでは印加電圧を比較的低くすることができる。
また、透明電極14aが配置される位置は、第1検査点11bの実質的に上方であれば、具体的な位置は任意であるが、できるだけ第1検査点11bの近傍であることが好ましい。
更に、図に示していないが、発生した荷電粒子を捕捉電極14aに向けて加速する磁界発生手段を設けてもよい。レーザ光Lが第1検査点11bを照射して局所的に急激に溶融・気化し、その金属材料が原子、分子、クラスタ等となって金属表面より飛び出し、更にレーザ光Lに曝されて熱プラズマ化し、電子、イオン等の荷電粒子が発生する。飛び出した荷電粒子(この場合は、電子、マイナスイオン等)を、捕捉電極14aに向けて加速する向きの磁界発生手段(例えば、電磁石)を、閉空間の近傍に配置することにより、この荷電粒子の移動は一層加速され、捕捉電極14aによる荷電粒子の捕捉効率が向上する。
本実施形態によれば、光電効果現象を利用した場合に比較して、レーザアブレーション現象を利用すると大量のマイナス荷電粒子(電子を含む。)が発生し、基板試験装置として著しく高い分解能が得られる。
更に、レーザアブレーション現象では、マイナス荷電粒子のみならず、プラスの荷電粒子も発生して、マイナス荷電粒子と再結合するおそれがあるが、基板10の第1検査点11bの上方に大きく透明電極14aを配置することにより、第1検査点11bから上方に向かって飛び出すマイナス荷電粒子を、阻害(再結合)されることなく、有効に捕捉することができる。
[その他]
以上、本発明の実施形態について説明したが、これらは本発明の技術的範囲を限定するものではない。本発明は、本実施形態に対して当業者が容易になし得る付加・削除・変換・改良を含むものである。
例えば、本発明は以下の形態をとることができる。
(A)実施形態においては、レーザ光照射手段22が紫外線領域のレーザ光Lを発光する場合について説明したが、レーザ光Lが被検査パターンに対してレーザアブレーション現象を発生させることが出来る限り、その他の領域(例えば、可視光領域、赤外線領域)のレーザ光Lを発光する形態でもよい。
(B)実施形態においては、直流電源16が捕捉電極14aを下面パターン部11bより高電位となるように電圧を付与する場合について説明した。しかし、反対に、捕捉電極14aを下面パターン部11bより低電位となるように電圧を付与する形態でもよい。この場合には、レーザアブレージョンによって生成されたプラス荷電粒子が捕捉電極14aに移動し、この移動を電流検出手段18が検出する。
(C)実施形態においては、基板10の上面の所定箇所を取り囲むハウジング26によって、気密な閉空間28を形成しているが、基板検査装置1の全体を減圧された空間内に配置してもよい。この場合には、ハウジング26によって局所的な気密な閉空間28を形成する必要はない。
従って、本発明の技術的範囲は、添付の特許請求の範囲の記載によって定められる。
図1Aは、光電効果現象を利用した基板検査装置の実験モデルを示す図である。 図1Bは、レーザアブレーション現象を利用した基板検査装置の実験モデルを示す図である。 図2は、基板を検査する基板検査装置の構成の要部を示す概念図である。 図3は、図2の基板検査装置の電気的構成を示す構成図である。 図4は、図3の制御部の機能構成を示す図である。 図5は、断線検査(図6B)及び短絡検査(図6C)における電圧の印加、レーザ光Lの照射、電流値測定の動作を示すタイミングチャートである。 図6Aは、図2の基板検査装置で行われる基板検査方法の全体的なフローチャートである。 図6Bは、図6AのステップS109に示す断線検査処理のフローチャートである。 図6Cは、図6AのステップS111に示す短絡検査処理のフローチャートである。 図7Aは、断線検査(図6B)及び短絡検査(図6C)におけるレーザ光の強度PWと測定電流値AMとの関係を示す図である。 図7Bは、断線検査(図6B)及び短絡検査(図6C)におけるレーザ光の強度PWと測定電流値AMとの関係を示す表である。 図8は、図2の基板検査装置の捕捉電極として、透明電極を用いた電極構造を示す図である。
符号の説明
1:基板検査装置、 10:被検査基板,基板、 10b:基板ベース、 11b:第1の検査点、 12b:第2の検査点、 11a−13a−12a,11a−13a−12a,11a−13a−12a:配線パターン、 11:上面パターン部、 12:下面パターン部、 13:内層パターン部、 13:可変抵抗、 14a:捕捉電極,透明電極、 16:直流電圧印加手段,電圧印加手段,直流電源、 18:電流検出手段,電流計、 20:荷電粒子、 22:レーザ照射手段、 22a:レーザ照射部、 22b:レーザ走査部,ガルバノメータ、 24,24a,24b,24c:接触子、 25:検査治具、 26:ハウジング、 26a:上壁、 26b:側壁、 26c:端部、 28:閉空間、 30:減圧ポンプ、 32,32a,32b,32c:スイッチ、 33:スキャナ、 34:テスターコントローラ、 36:制御部、 36-1a:圧力設定部、 36-1b:減圧部、 36-2a:電圧設定部、 36-2b:電圧印加部、 36-3a:強度設定部、 36-3b:レーザ光照射部、 36-4:電流検出部、 36-5:判定部、 38:ハウジング位置決め駆動機構、 42:検査治具駆動機構、 44:駆動部、 46;光導電物質、 48:磁界発生手段、 50:導電性ガス導入手段、
AM:測定電流値、 L:レーザ光、 SH,SH1,SH2:閾値、 V0:印加電圧、

Claims (10)

  1. 被検査基板に形成された複数の配線パターンの良否を、該被検査基板の表面に形成された該配線パターンの第1の検査点と、該被検査基板の裏面に形成された該配線パターン上の第2の検査点との間の電気的特性によって検査する基板検査装置において、
    配線パターン上の第1の検査点に、レーザアブレーション現象を発生させるレーザ光を照射して荷電粒子を放出させるレーザ光照射手段と、
    第1の検査点から放出された荷電粒子を捕捉する捕捉電極と、
    前記捕捉電極と第2の検査点との間に、該捕捉電極が第1の検査点より高電位になるように所定の大きさの電圧を印加する電圧印加手段と、
    前記電圧印加手段に直列に接続され、前記捕捉電極と第2の検査点の間を流れる電流の値を検出する電流検出手段とを備え、
    前記捕捉電極は、前記レーザ光照射手段と前記被検査基板との間に配置された透明電極である、基板検査装置。
  2. 被検査基板に形成された複数の配線パターンの良否を、該被検査基板の表面に形成された該配線パターンの第1の検査点と、該被検査基板の裏面に形成された該配線パターンの第2の検査点との間の電気的特性によって検査する基板検査装置において、
    配線パターン上の第1の検査点に、レーザ光1パルス当たりの強度0.1J/cm2以上、パルス幅1〜20nsecのレーザ光を1又は複数回照射して荷電粒子を放出させるレーザ光照射手段と、
    第1の検査点から放出された荷電粒子を捕捉する捕捉電極と、
    前記捕捉電極と第2の検査点との間に、該捕捉電極が第1の検査点より高電位になるように所定の大きさの電圧を印加する電圧印加手段と、
    前記電圧印加手段に直列に接続され、前記捕捉電極と第2の検査点の間を流れる電流の値を検出する電流検出手段とを備え、
    前記捕捉電極は、前記レーザ光照射手段と前記被検査基板との間に配置された透明電極である、基板検査装置。
  3. 請求項2記載に基板検査装置において、更に、
    前記レーザ光照射手段が前記検査点に照射するレーザ光の1パルス当たりの強度が1.0J/cm2以下である、基板検査装置。
  4. 請求項1乃至3のいずれか一項に記載の基板検査装置において、更に、
    磁界発生手段を備え、
    前記磁界発生手段は、前記第1の検査点から放出された荷電粒子を前記捕捉電極に向けて加速する磁場を形成している、基板検査装置。
  5. 請求項1乃至3のいずれか一項に記載の基板検査装置において、更に、
    ハウジングを備え、
    前記ハウジングは、少なくとも、前記被検査基板及び前記捕捉電極を取り囲む減圧された閉空間を形成し、
    前記透明電極は、前記ハウジングの少なくとも一部分として形成されている、基板検査装置。
  6. 請求項1乃至3のいずれか一項に記載の基板検査装置において、
    前記透明電極は、インジウム酸化第一錫からなる、基板検査装置。
  7. 請求項1乃至3のいずれか一項に記載の基板検査装置において、
    前記透明電極は、ガラス板に取り付けられている、基板検査装置。
  8. 請求項1乃至3のいずれか一項に記載の基板検査装置において、
    前記レーザ光照射手段は、波長355nmのレーザ光を照射する、基板検査装置。
  9. レーザアブレーション現象を利用した非接触方式の基板検査装置に使用される電極であって、
    レーザ光を透過する機能と、
    レーザ照射により被検査基板のパターンから放出される荷電粒子を捕捉する機能とを備えた電極。
  10. 請求項9に記載の電極において、
    前記電極は、インジウム酸化第一錫からなる、電極。
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