JP2007188948A - 圧電素子及び圧電素子の製造方法。 - Google Patents

圧電素子及び圧電素子の製造方法。 Download PDF

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誠志 佐々木
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Abstract

【課題】 圧電体層の変位を液体に伝達する場合の特性劣化を抑止することができる圧電素子及び圧電素子の製造方法を提供すること。
【解決手段】
圧電素子2は、圧電体層7と、この圧電体層7の変位を液体対象物に伝えるための変位伝達層6とを有している。変位伝達層6はSiOを含有している。変位伝達層6に含有されるSiOは、変位伝達層6の圧電セラミックに固溶せずに粒界に析出して、変位伝達層6の粒子間の隙間を埋めることになる。
【選択図】 図2

Description

本発明は、圧電体層と変位伝達層とを有する圧電素子、及び圧電素子の製造方法に関するものである。
例えば、圧電ブザー、発音体、圧電センサ、圧電アクチュエータなどの圧電部品として、圧電体層と内部電極層とを交互に積層した積層型圧電応用製品が知られている(例えば、特許文献1参照)。このような積層型圧電応用製品は、小型であり、しかも、小さな電圧で大きな機械的、物理的変位が得られるという利点がある。これらの利点は工業的要求に適応するものであるため、近年、その開発が急速に進展しつつある。
最も一般的な圧電アクチュエータとしては、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)を主成分としたセラミック粉体をシート化し、得られたシートにAg及びPdで構成されるペーストを印刷し、その後ペーストが印刷されたシートとペーストが印刷されていないシートとを交互に積層して積層体を作製し、この積層体の焼成後に積層体に端子電極を施すというような構成のものである。
特開2001−260349号公報
圧電アクチュエータの利用方法としては、圧電アクチュエータに印加する電圧のON、OFFにより発生する微小変位を対象物に伝えることで、その対象物を動作させるというのが一般的である。対象物が固体である場合は、アクチュエータの先端に対象物を取付け、変位を伝達させるだけで良い。しかし、対象物が液体であり、更に圧電アクチュエータの変位伝達面に液体が直接触れる場合には、液体が変位伝達面から圧電アクチュエータ内に含浸し、絶縁不良等といった圧電アクチュエータの特性劣化を引き起こすことがある。
そこで、本発明の目的は、圧電体層の変位を液体に伝達する場合の特性劣化を抑止することができる圧電素子及び圧電素子の製造方法を提供することである。
本発明者等は、鋭意検討を重ねた結果、液体が圧電素子内に含浸し素子の特性劣化を引き起こす原因の一つとして、液体が静電気等によって帯電されることで、素子内部の電極の方向へ液体が引き寄せられる、いわゆる電気浸透現象があることを見出した。このことを防止するためには、例えば、圧電素子の変位伝達面と液体との間に薄板など何らか隔壁を設ける必要がある。しかし、そのような隔壁を設けた場合は、圧電素子の破壊は防止できるが、隔壁を設けた分だけ変位伝達のロスが生じ、液体へ伝達できる変位量が少なくなるという問題があった。隔壁による伝達変位の減少分を補うためには、圧電素子をその分大きくしたり、また積層型の圧電素子の場合には層数を増やしたりする必要があるため、素子の小型化が困難になり、製造コストが高くなるなどの問題がある。
本発明者等は、液体の電気浸透現象を解析した結果、液体は変位伝達層の粒子間の隙間から圧電素子内部へ浸透(侵入)することが分かった。そこで、本発明者等は、更なる検討を行ったところ、変位伝達層を形成する圧電材料にSiOを添加して、変位伝達層の粒子間の隙間を埋めれば、電気浸透現象を防止できることを見出した。本発明は、そのような新たな知見に基づいて為されたものである。
即ち、本発明の圧電素子は、圧電体層と、圧電体層の変位を伝えるための変位伝達層とを有する圧電素子であって、変位伝達層はSiOを含有していることを特徴とするものである。
このように、変位伝達層にSiOを含有させることにより、SiOは変位伝達層を形成する圧電材料に固溶せずに粒界に析出するため、結果として、SiOは変位伝達層の粒子間の隙間を埋めることになる。これにより、圧電体層の変位を液体対象物に伝える場合に、変位伝達層と接する液体の電気浸透現象が防止されるため、圧電素子の絶縁不良等といった特性劣化を抑止することができる。
好ましくは、変位伝達層は、SiOを0.03質量%〜3.00質量%含有している。この場合には、圧電体層の変位を液体対象物に伝えるような構成において、圧電素子に電圧を印加した時に発生する絶縁抵抗値の変動を抑制することができると共に、変位伝達層の焼結性を良好にして、圧電アクチュエータとしての品質を向上させることができる。
また、好ましくは、圧電体層は、チタン酸ジルコン酸鉛を主成分とするセラミックからなり、変位伝達層は、チタン酸ジルコン酸鉛を主成分とするセラミックにSiOを添加してなる材料からなっている。この場合には、変位伝達層の材料を圧電体層の材料とは別に用意することなく、同じ圧電セラミック材料にSiOを添加するだけで済む。このため、圧電素子の製造を容易に行うことができる。
また、本発明の圧電素子の製造方法は、圧電体層と、圧電体層の変位を伝えるための変位伝達層とを有する圧電素子の製造方法であって、圧電体層を形成するための第1圧電体ペーストを用意する工程と、圧電材料にSiOを添加してなり、変位伝達層を形成するための第2圧電体ペーストを用意する工程と、第1圧電体ペーストを用いて圧電体層用グリーンシートを形成する工程と、第2圧電体ペーストを用いて変位伝達層用グリーンシートを形成する工程と、圧電体層用グリーンシートと変位伝達層用グリーンシートとを積層して、グリーン積層体を形成する工程と、グリーン積層体を焼成する工程とを含むことを特徴とするものである。
このように、圧電材料にSiOを添加して第2圧電体ペーストを作り、この第2圧電ペーストを用いて変位伝達層用グリーンシートを形成することにより、焼成後においてSiOが含有された変位伝達層が得られる。このSiOは、上述したように、変位伝達層の粒子間の隙間を埋めることになる。これにより、圧電体層の変位を液体対象物に伝える場合に、変位伝達層と接する液体の電気浸透現象が防止されるため、圧電素子の絶縁不良等といった特性劣化を抑止することができる。
本発明によれば、圧電体層の変位を液体に伝達する場合に、帯電した液体の電気浸透現象が防止されるため、圧電素子の絶縁不良等といった特性劣化を抑止することができる。これにより、圧電素子の変位伝達層と液体との間に素子とは別体の隔壁等を設ける必要が無くなるため、素子の小型化及び製造コストの低減化を図ることが可能となる。
以下、本発明に係る圧電素子及び圧電素子の製造方法の好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、図面の説明において同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
図1は、本発明に係わる圧電素子を備えた圧電アクチュエータ1の一実施形態を示す斜視図であり、図2は、その圧電アクチュエータ1の一部側断面図である。各図において、本実施形態の圧電アクチュエータ1は、例えばマイクロポンプユニットに用いられる液体制御用の圧電装置である。
圧電アクチュエータ1は、積層型の圧電素子2と、この圧電素子2の底面に接合された液体流通部3とを備えている。圧電素子2は直方体状の積層体4を有し、積層体4は、活性領域層5と、この活性領域層5の液体流通部3側に配置された変位伝達層6とからなっている。
活性領域層5は、圧電体層7と、この圧電体層7を挟んで対向するように配置され、圧電体層7を伸縮(変位)動作させるための複数の内部個別電極8及び内部コモン電極9とを複数層にわたって有している。各内部個別電極層8及び内部コモン電極9は、圧電体層7を介して交互に積層されている。圧電体層7において、各内部個別電極8と内部コモン電極9とに挟まれた複数の部位は、各内部個別電極8と内部コモン電極9との間に電圧が印加された時に実際に伸縮する圧電活性部7aを構成している。
積層体4の上面には、各層の複数の内部個別電極8とそれぞれ電気的に接続された複数の個別端子電極10と、各層の内部コモン電極9と電気的に接続されたコモン端子電極11とが設けられている。
圧電体層7は、例えばPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)を主成分とした圧電セラミック材料で形成されている。内部個別電極8及び内部コモン電極9は、例えばAg―Pd合金で形成され、個別端子電極10及びコモン端子電極11は、例えばAg、Au、Cuのいずれかで形成されている。圧電体層7の厚みは、例えば20〜50μm程度である。内部個別電極8及び内部コモン電極9の厚みは、例えば0.2〜5.0μm程度である。
このような活性領域層5に対して下側に積層された変位伝達層6は、液体流通部3内を流通する液体に圧電体層7の圧電活性部7aの変位を伝える層である。この変位伝達層6の厚みは、例えば20〜40μm程度である。このとき、変位伝達層6を圧電体層7よりも薄くすると、圧電体層7の変位が伝わりやすくなり効果的である。
変位伝達層6はSiOを含有している。具体的には、好ましくは、変位伝達層6は、圧電体層7と同一の圧電セラミック材料にSiOが添加されてなるものである。これにより、後述するように変位伝達層6を圧電体層7と同じ工程で作ることができるため、積層体4の製作が容易に行える。
圧電素子2は、具体的には、図3に示すように、複数種類(ここでは5種類)のシート状の電極付きセラミック層13〜17を積層した構造を有している。圧電素子2における各層の内部個別電極8は、長方形状の圧電体層7の上面に2次元的に配列されている。
電極付きセラミック層13は、図4に示すように、圧電体層7の上面に、上記の内部個別電極8に相当する複数の個別電極パターン18とコモン電極中継パターン19とを有している。コモン電極中継パターン19は、圧電体層7の上面の一端部に形成されている。また、電極付きセラミック層13には、各内部個別電極8と電気的に接続された複数のスルーホール20と、コモン電極中継パターン19と電気的に接続されたスルーホール21とが設けられている。スルーホール20,21内には、例えばAg―Pd合金からなる導電材料が充填されている。
電極付きセラミック層14は、図5に示すように、上記の電極付きセラミック層13と同様に、圧電体層7の上面に、複数の個別電極パターン18とコモン電極中継パターン19とを有している。電極付きセラミック層14には、電極付きセラミック層13と同じスルーホール21が設けられているが、スルーホール20は設けられていない。
電極付きセラミック層15は、図6に示すように、圧電体層7の上面に、上記の内部コモン電極9に相当するコモン電極パターン22と複数の個別電極中継パターン23とを有している。コモン電極パターン22は、各個別電極パターン18に対応する位置に形成された複数の電極パターン部22aと、コモン電極中継パターン19に対応する位置に形成された電極パターン部22bとを含んでいる。個別電極中継パターン23は、個別電極パターン18に対応する位置において電極パターン部22aと隣接するように形成されている。また、電極付きセラミック層15には、各個別電極中継パターン23と電気的に接続された複数のスルーホール24と、コモン電極パターン22と電気的に接続されたスルーホール25とが設けられている。スルーホール24,25内には、導電材料が充填されている。
電極付きセラミック層16は、図7に示すように、変位伝達層6の上面に、内部コモン電極9に相当するコモン電極パターン26を有している。電極付きセラミック層16には、個別電極中継パターン及びスルーホールが設けられていない。なお、コモン電極パターン26は、電極付きセラミック層16の上面全面にベタ状に形成しても良い。
電極付きセラミック層17は、図8に示すように、圧電体層7の上面に、上記の複数の個別端子電極10とコモン端子電極11とを有している。個別端子電極10は、上記の電極付きセラミック層15の個別電極中継パターン23に対応する位置に形成されている。コモン端子電極11は、上記の電極付きセラミック層13のコモン電極中継パターン19に対応する位置に形成されている。また、電極付きセラミック層17には、各個別端子電極10と電気的に接続された複数のスルーホール27と、コモン端子電極11と電気的に接続されたスルーホール28とが設けられている。スルーホール27,28内には、導電材料が充填されている。
図3に戻り、圧電素子2は、上から順にセラミック層17、セラミック層15、セラミック層13、…、セラミック層15、セラミック層14及びセラミック層16を重ねた構造をなしている。そして、個別端子電極10は、セラミック層17のスルーホール27、セラミック層15の個別電極中継パターン23及びスルーホール24、セラミック層13の個別電極パターン18及びスルーホール20を介して、下から2層目のセラミック層14の個別電極パターン18と電気的に接続されている。また、コモン端子電極パターン11は、セラミック層17のスルーホール28、セラミック層15のコモン電極パターン22及びスルーホール25、セラミック層13のコモン電極中継パターン19及びスルーホール21、セラミック層14のコモン電極中継パターン19及びスルーホール21を介して、最下層のセラミック層16のコモン電極パターン26と電気的に接続されている。
図1及び図2に戻り、各個別端子電極10及びコモン端子電極11には、電圧印加用のリード線29が半田等により接合されている。このリード線29は、例えばフレキシブルプリント配線板(FPC)で構成されている。
このような圧電素子2の裏面側つまり変位伝達面12側に位置する液体流通部3は、圧電体層7の変位が伝達される液体を収容するための複数の液室30を有している。各液室30は、各内部個別電極10に対応する位置に形成されている。液体流通部3の一端側には、各液室30に液体を導入するための液体流入口31が設けられている。また、液体流通部3の底部には、圧電体層7の変位が液体に伝わった時に液室30から液体を流出させる複数の液体流出口32が設けられている。液体流通部3は、ニッケル合金鋼やクロム合金鋼等の金属系材料、樹脂、セラミック等で形成されている。また、液室30に導入される液体は、例えば純水を主成分とし、グリセリンとノンイオン系の界面活性剤を混合したものである。
次に、上述した圧電アクチュエータ1を製造する手順について説明する。まず、圧電素子2を以下のように作製する。
即ち、例えばPZTを主成分とした圧電セラミック粉体を用意し、これに有機バインダ・有機溶剤等を混合した圧電セラミックペーストを作製する。そして、PETフィルムをキャリアフィルムとしてペーストをシート成形することで、上記の圧電体層7及び変位伝達層6となるセラミックグリーンシートを形成する。ここで、変位伝達層6に用いられるグリーンシートについては、PZT材料ペーストを作製する時点で、所定量のSiOを添加する。圧電体層7に用いられるグリーンシートについては、SiOを添加しない。つまり、圧電体層用セラミックグリーンシートは、SiOが添加されていない圧電セラミックペースト(第1圧電体ペースト)から作られる。変位伝達層用セラミックグリーンシートは、SiOが添加された圧電セラミックペースト(第2圧電体ペースト)から作られる。
続いて、例えばYAGの3次高調波レーザ光をグリーンシートの所定位置に対して照射して穴開けを行うことで、グリーンシートにスルーホールを形成する。このとき、スルーホールを、後述する焼成後に穴径が例えば40〜50μmとなるように加工する。そして、例えばAg:Pd=7:3の比率で構成された導電材料と有機バインダ・有機溶剤等とを混合した導電ペーストを作製し、例えばスクリーン印刷法によりスルーホール内に導電ペーストを充填する。
続いて、例えば同様の導電ペーストを用いて、例えばスクリーン印刷法によりグリーンシートの一面に内部電極パターンを形成する。続いて、内部電極パターンが印刷されたグリーンシートを所定の枚数だけ所定の順序で積層する。そして、そのグリーン積層体に対し、例えば60℃程度の熱を加えながら100MPa程度の圧力でプレス加工を行い、各層のグリーンシートを圧着させる。その後、グリーン積層体を所定の寸法に切断する。
続いて、グリーン積層体をセッターに載せ、グリーン積層体の脱脂(脱バインダ)を例えば400℃前後の温度で10時間程度行う。その後、グリーン積層体が載置されたセッターを密閉匣鉢内に入れ、グリーン積層体の焼成を例えば1100℃程度の温度で2時間程度行い、焼結体として上記の積層体4を得る。このとき、変位伝達層6に含有されるSiOが変位伝達層6の圧電セラミックに固溶せずに粒界近傍に析出するため、その結果として、SiOは変位伝達層6の粒子間の隙間を埋めることになる。
続いて、焼成後の積層体4の上面に、例えばAgからなる個別端子電極10及びコモン端子電極11を形成する。端子電極10,11の形成手法としては、焼付、スパッタリング、無電解メッキ法などが用いられる。
続いて、はんだ等により各端子電極10,11にリード線29を接続する。そして、例えば温度120℃の環境下で、圧電体層7の厚みに対する電界強度が3kV/mmとなるように所定の電圧を例えば3分間印加することにより、分極処理を行う。これにより、圧電素子2が完成する。
その後、別に作製した液体流通部3を接着剤により圧電素子2の底面(変位伝達面)12に貼り付けることにより、圧電アクチュエータ1が得られる。
以上のような圧電アクチュエータ1において、液体流通部3の各液室30には予め液体が入っており、液体が圧電素子2の底面12に接触している。その状態で、コモン端子電極11がGND電位となるように何れかの個別端子電極10とコモン端子電極11との間にリード線29を介して所定の電圧を印加すると、選択された個別端子電極10に対応する内部個別電極8と内部コモン電極9との間に電圧が印加されることとなる。これにより、各層の圧電体層7における当該内部個別電極8と内部コモン電極9との間の部位(圧電活性部7a)に電界が生じ、この圧電活性部7aが積層体4の積層方向に変位するようになる。そして、その圧電活性部7aの変位が、変位伝達層6を介して対応する液室30内の液体に伝えられる。これにより、当該液室30の容積が減少し、その容積減少分に相当する量の液体が液体流出口32から吐出される。
このような本実施形態によれば、変位伝達層6にSiOを含有させることで、このSiOが変位伝達層6の粒子間の隙間を埋めることになるので、帯電した液体の電気浸透現象が防止される。従って、圧電素子2の絶縁不良等といった特性劣化を引き起こすことを抑止できる。その結果、圧電素子2の信頼性を向上させることが可能となる。
したがって、圧電素子2の絶縁不良等を避けるために、圧電素子2と液体流通部3との間に隔壁を設ける必要が無くなる。このため、液体に対する圧電体層7の変位伝達が隔壁によって阻害されることは無いため、隔壁による伝達変位量のロス分を補うべく積層体4の層数を必要以上に増大させなくて済む。これにより、圧電素子2ひいては圧電アクチュエータ1の小型化が図れると共に、これらの製造コストの上昇を抑えることができる。
このとき、変位伝達層6に含有されるSiO量は、0.03質量%〜3.00質量%が好ましい。これにより、圧電素子2に電圧を印加した時に発生する絶縁抵抗値の変動を抑制しつつ、変位伝達層6の焼結性を良好にして圧電アクチュエータの品質を高めることができる。
なお、本発明に係わる圧電素子及び圧電アクチュエータは、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態では、圧電体層7を複数積層した構造としたが、特に大きな変位量を必要としないのであれば、圧電体層7は単層であっても良い。また、各層の内部個別電極8の数や配列構成等については、特に上記実施形態のものには限られない。また、各層の内部個別電極8同士及び各層の内部コモン電極9同士の電気的接続手段としては、上記実施形態のようなスルーホールに限られず、例えば積層体4の側面に形成された外部電極としても良い。
上記説明した実施形態の効果を検証するため、以下のように実験を行った。
まず、本発明に係わる圧電素子のサンプルとして、後述する表1に示すSiO含有量ごとに10個ずつ用意し、これらに液体流通部を貼り合わせて圧電アクチュエータを形成した。そして、各圧電素子にリード線を取り付けて、端子電極に電圧を印加できる状態にした。続いて、圧電アクチュエータの液体流通部内に液体を充填し封印した。液体としては、純水を主成分とし、グリセリンとノンイオン系の界面活性剤を混合したものを用いた。続いて、圧電体層の厚み当たり1kV/mmのDC電圧を全ての個別端子電極に同時に印加した。そして、圧電アクチュエータに対して定期的に静電気を印加し、液体を帯電した。
こうして圧電アクチュエータを500時間連続的に駆動し、圧電アクチュエータの駆動前と駆動後の状態を確認した。具体的には、圧電アクチュエータの駆動開始から500時間経過後に、液体流通部から液体を排出し、圧電素子の絶縁抵抗を調べた。その結果を表1に示す。
Figure 2007188948
なお、表1において、SiO量とは、変位伝達層中のSiO量から圧電体層中のSiO量を引いた量、すなわち変位伝達層へのSiOの添加量を表す。また、絶縁抵抗値においては、電圧印加前後で変化がないものを「○」とし、変位においては、所望の変位が得られたものを「○」とした。
表1に示すように、変位伝達層へのSiOの添加量が0.03質量%以上であれば絶縁抵抗値の低下は見られないことが確認できた。そして、変位伝達層へのSiOの添加量を更に増やした場合でも、同じく効果が得られた。しかし、添加量が3質量%を越えると、変位伝達層そのものの焼結性が悪くなり、圧電アクチュエータとしての品質が大きく低下することが分かった。よってSiOの添加量としては、0.03質量%以上かつ3質量%以下であるのがより良いと判断される。
本発明に係わる圧電素子を備えた圧電アクチュエータの一実施形態を示す斜視図である。 図1に示した圧電アクチュエータ1の一部側断面図である。 図2に示した圧電素子2の分解斜視図である。 図3に示した電極付きセラミック層13を示す平面図である。 図3に示した電極付きセラミック層14を示す平面図である。 図3に示した電極付きセラミック層15を示す平面図である。 図3に示した電極付きセラミック層16を示す平面図である。 図3に示した電極付きセラミック層17を示す平面図である。
符号の説明
1…圧電アクチュエータ、2…圧電素子、3…液体流通部、6…変位伝達層、7…圧電体層、8…内部個別電極、9…内部コモン電極。

Claims (4)

  1. 圧電体層と、前記圧電体層の変位を伝えるための変位伝達層とを有する圧電素子であって、
    前記変位伝達層はSiOを含有していることを特徴とする圧電素子。
  2. 前記変位伝達層は、前記SiOを0.03質量%〜3.00質量%含有していることを特徴とする請求項1記載の圧電素子。
  3. 前記圧電体層は、チタン酸ジルコン酸鉛を主成分とするセラミックからなり、
    前記変位伝達層は、チタン酸ジルコン酸鉛を主成分とするセラミックに前記SiOを添加してなる材料からなっていることを特徴とする請求項1または請求項2記載の圧電素子。
  4. 圧電体層と、前記圧電体層の変位を伝えるための変位伝達層とを有する圧電素子の製造方法であって、
    前記圧電体層を形成するための第1圧電体ペーストを用意する工程と、
    圧電材料にSiOを添加してなり、前記変位伝達層を形成するための第2圧電体ペーストを用意する工程と、
    前記第1圧電体ペーストを用いて圧電体層用グリーンシートを形成する工程と、
    前記第2圧電体ペーストを用いて変位伝達層用グリーンシートを形成する工程と、
    前記圧電体層用グリーンシートと前記変位伝達層用グリーンシートとを積層して、グリーン積層体を形成する工程と、
    前記グリーン積層体を焼成する工程と
    を含むことを特徴とする圧電素子の製造方法。
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