JP2007186687A - ポリオレフィン樹脂組成物およびその成形品 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ポリオレフィン樹脂と、繊維状充填材と、分子量が1000以上のヒンダードアミン系光安定剤と、特定の式で表されるベンゾエート系化合物と、モース硬度が6以下の白色顔料と、ポリオレフィン樹脂に不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体がグラフト変性されてなり、不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体のグラフト変性量が0.5〜10重量%であり、メルトフローレートが20〜190g/10分である変性ポリオレフィン樹脂とを含有するポリオレフィン樹脂組成物。
【選択図】なし
Description
ポリオレフィン樹脂(成分(A))と、下記の変性ポリオレフィン樹脂(成分(B))と、繊維状充填材(成分(C))と、分子量が1000以上のヒンダードアミン系光安定剤(成分(D))と、下記のベンゾエート系化合物(成分(E))と、モース硬度が6以下の白色顔料(成分(F))とを含有するポリオレフィン樹脂組成物であって、
成分(A)39.5〜98.5重量%と、成分(B)0.5〜10重量%と、成分(C)1〜60重量%とを含有する樹脂成分(成分(i)、ただし、成分(i)の全量を100重量%とする)100重量部に対して、成分(D)0.05〜1重量部と、成分(E)0.05〜1重量部と、成分(F)0.001〜10重量部とを含有するポリオレフィン樹脂組成物。
成分(B)は、ポリオレフィン樹脂に不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体がグラフト変性されてなり、不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体のグラフト変性量が0.5〜10重量%であり(ただし、成分(B)の全量を100重量%とする)、メルトフローレートが20〜190g/10分であり、成分(A)と異なる変性ポリオレフィン樹脂である。
成分(E)は、下記一般式(I)で表されるベンゾエート系化合物である。
(式(I)中、R1は炭素原子数1〜30のアルキル基または炭素原子数6〜30のアリール基を示す。)
炭素原子数4〜12のα−オレフィンとしては、例えば、1−ブテン、2−メチル−1−プロペン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、2−エチル−1−ブテン、2,3−ジメチル−1−ブテン、2−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、3,3−ジメチル−1−ブテン、1−ヘプテン、メチル−1−ヘキセン、ジメチル−1−ペンテン、エチル−1−ペンテン、トリメチル−1−ブテン、メチルエチル−1−ブテン、1−オクテン、メチル−1−ペンテン、エチル−1−ヘキセン、ジメチル−1−ヘキセン、プロピル−1−ヘプテン、メチルエチル−1−ヘプテン、トリメチル−1−ペンテン、プロピル−1−ペンテン、ジエチル−1−ブテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン等が挙げられる。
ポリエチレン樹脂としては、エチレン単独重合体、エチレン−α−オレフィン共重合体等が挙げられる。エチレン−α−オレフィン共重合体に用いられるα−オレフィンとして、好ましくは、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテンである。
立体規則性は、通称、アイソタクチックインデックス、シンジオタクチックインデックスと称される。アイソタクチックインデックスの高いポリプロピレン樹脂は、アイソタクチックポリプロピレンと称され、シンジオタクチックインデックスの高いポリプロピレン樹脂は、シンジオタクチックポリプロピレンと称される。
アイソタクチックインデックスと称し、[mmmm]で表す。
ポリプロピレン樹脂のアイソタクチックインデックスとして、好ましくは0.96以上であり、より好ましくは0.97以上であり、さらに好ましくは0.98以上である。
重合触媒としては、例えば、ラジカル開始剤からなる触媒系、チーグラー型触媒系、チーグラー・ナッタ型触媒系、シクロペンタジエニル環を有する周期表第4族の遷移金属化合物とアルキルアルミノキサンからなる触媒系、シクロペンタジエニル環を有する周期表第4族の遷移金属化合物とそれと反応してイオン性の錯体を形成する化合物および有機アルミニウム化合物からなる触媒系、また、その触媒成分を無機化合物または有機化合物担体に担持させた担持型触媒系等が挙げられる。また、上述の触媒系の存在下でエチレンやα−オレフィンを予備重合させて調製された予備重合触媒も挙げられる。
重合の各種条件(重合温度、重合圧力、モノマー濃度、触媒投入量、重合時間等)は、目的とする成分(A)を製造するために、適宜、任意に変更できる。
成分(B)は、成分(A)に配合される繊維状充填材(成分(C))の分散性や、成分(A)と繊維状充填材(成分(C))との界面の接着強度を改良するために配合されるものである。
成分(B)の原料であるポリオレフィン樹脂としては、本発明のポリオレフィン樹脂組成物に含有される成分(A)と同じであっても良く、異なっていても良い。
成分(B)の不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体のグラフト効率としては、機械的強度等の耐久性を高めるという観点から、好ましくは0.8以上である。
同一分子内に少なくとも1種の不飽和基(i)と少なくとも1種のカルボキシル基及び/又はカルボキシル基から誘導される基(ii)とを併せ持つ化合物(1)や、
製造工程内で脱水反応等により構造が変化し、同一分子内に少なくとも1種の不飽和基(i)と少なくとも1種のカルボキシル基及び/又はカルボキシル基から誘導される基(ii)とを併せ持つ構造に変化することができる化合物(2)等が挙げられる。
そして、ポリオレフィン樹脂にグラフトする工程で脱水して不飽和カルボン酸を生じるものとしては、例えば、クエン酸やリンゴ酸等が挙げられる。
有機過酸化物としては、例えば、過酸化アルキル類、過酸化ジアシル類、過酸化エステル類及び過酸化カーボネート類等が挙げられる。
成分(B)を製造する時に、一般にポリオレフィン樹脂に添加される公知の添加剤、例えば、酸化防止剤、中和剤等を配合してもよい。
成分(C)の形状や大きさは、目的に応じて、適宜、選択すれば良く、成分(C)の平均繊維径が、合成や粉砕等によって任意に調整されていても良い。
ヒンダードアミン光安定剤(成分(D))は、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン骨格を分子内に有する光安定剤であり、有機材料、高分子材料等において、光(紫外線)により発生したラジカルを補足したり、ハイドロパーオキサイドの分解によって有機材料や高分子材料が劣化するのを防止する役割を持つ化合物である。
N,N’,N’’,N’’’−テトラキス−(4,6ビス−(ブチル−(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ)−トリアジン−2−イル)−4,7−ジアザデカン−1,10−ジアミン成分(分子量:2286)とコハク酸ジメチルと4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールの重縮合物成分(分子量:約3100〜4000)とからなる光安定剤混合物(商品名:CHIMASORB119FL)、
ミックスト{1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル/β,β,β’,β’−テトラメチル−3,9−[2,4,8,10−テトラオクスアスピロ(5,5)ウンデカン]ジメチル}−1,2,3,4ブタンテトラカルボキシレート(アデカスタブLA−63、分子量:約2000)等が挙げられる。
(式(I)中、R1は炭素原子数1〜30のアルキル基または炭素原子数6〜30のアリール基を示す。)
成分(F)のモース硬度が6を超えた場合、繊維状充填材(成分(C))が折損し、ポリオレフィン樹脂組成物の機械的強度が低下することがある。
成分(E)の含有量が0.05重量部未満の場合、光安定性が不十分であり、製品の外観に亀裂が入って光沢が低下したり、変色したりすることがある。また、1重量部を超えた場合、製品を保管中や使用中に、ベンゾエート系化合物のブリードアウトにより製品の表面が白化したり、黄色系や赤色系に変色することがある。
(1)予め個別に溶融混練されてなる下記の樹脂成分(i)と樹脂成分(ii)と樹脂成分(iii)とを溶融混練して、ポリオレフィン樹脂組成物を製造する方法、または、
(2)予め個別に溶融混練されてなる下記の樹脂成分(i)と樹脂成分(iv)とを溶融混練して、ポリオレフィン樹脂組成物を製造する方法である。
樹脂成分(i)は、成分(A)と成分(B)と成分(C)とが溶融混錬されてなる樹脂成分である。
樹脂成分(ii)は、成分(A)と(D)と(E)とが溶融混錬されてなる樹脂成分である。
樹脂成分(iii)は、成分(A)と(F)とが溶融混錬されてなる樹脂成分である。
樹脂成分(iv)は、成分(A)と成分(D)と成分(E)と成分(F)とが溶融混錬されてなる樹脂成分である。
前記のビヒクルとして、好ましくはポリオレフィン樹脂であり、本発明で用いられる成分(A)と同じであっても良い。より好ましくは、溶融温度が本発明で用いられる成分(A)の溶融温度より低く、また溶融時の粘度が成分(A)の溶融時の粘度より低いポリオレフィン樹脂である。
例えば、中和剤、酸化防止剤、造核剤、結晶化促進剤、透明化剤、気泡防止剤、難燃剤、難燃助剤、分散剤、帯電防止剤、加工助剤、滑剤、抗菌剤、可塑剤、発泡剤等が挙げられる。これらの添加剤は、単独で用いてもよく、少なくとも2種を併用してもよい。中でも、中和剤、酸化防止剤がよく用いられる。
Mg4.5Al2(OH)13CO3・3H2O
Mg4.5Al2(OH)13(CO3)0.8・O0.2
Mg4Al2(OH)12CO3・3H2O
Mg5Al2(OH)14CO3・4H2O
Mg6Al2(OH)16CO3・4H2O(天然鉱物)
Zn4Al2(OH)12CO3・mH2O(mは0〜4)
Mg3ZnAl2(OH)12CO3・mH2O(mは0〜4)
(式(II)中、R2、R3は、炭素原子数12〜30のアルキル基を表す。)
上記の式(II)で表されるヒドロキシルアミン系化合物は、ポリオレフィン樹脂が熱や酸素によって劣化する反応において、ニトロキシルラジカルを形成して、ポリオレフィン樹脂の熱酸化劣化を抑制する化合物である。
例えば、エチレン−α−オレフィン系エラストマー、ポリスチレン類(例えばポリスチレン、ポリ(p−メチルスチレン)、ポリ(α−メチルスチレン)、AS樹脂(アクリロニトリル/スチレン共重合樹脂))、ABS(アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合)樹脂、AAS(特殊アクリルゴム/アクリロニトリル/スチレン共重合)樹脂、ACS(アクリロニトリル/塩素化ポリエチレン/スチレン共重合)樹脂、ポリクロロプレン、塩素化ゴム、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、アクリル系樹脂、エチレン/ビニルアルコール共重合樹脂、フッ素樹脂、ポリアセタール、グラフト化ポリフェニレンエーテル樹脂及びポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエステル樹脂(例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート)、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、芳香族ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ジアリルフタレートプリポリマー、シリコーン樹脂、シリコーンゴム、ポリブタジエン、1,2−ポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン/ブタジエン共重合体、ブタジエン/アクリロニトリル共重合体、エピクロルヒドリンゴム、アクリルゴム、天然ゴム等が挙げられる。これらの他の樹脂は、単独で用いても良く、少なくとも2種を併用しても良い。
(1)樹脂のエマルジョン、サスペンジョン又は溶液を入れた含浸液の中に繊維束を通し含浸する方法、
(2)樹脂の粉末を繊維束に吹き付けた後に樹脂を溶融して含浸する方法、
(3)樹脂の粉末を入れた槽の中に繊維束を通し繊維に樹脂を付着させたのち樹脂を溶融して含浸する方法、
(4)クロスヘッドの中に繊維束を通しながら押出機等からクロスヘッドに樹脂を供給し含浸する方法
等が挙げられる。
自動車材料としては、例えば、ドアートリム、ピラー、インストルメンタルパネル、コンソール、ロッカーパネル、アームレスト、ドアーインナーパネル、スペアタイヤカバー、ドアノブ等の内装部品や、バンパー、スポイラー、フェンダー、サイドステップ、ドア・アウターパネル等の外装部品、その他エアインテークダクト、クーラントリザーブタンク、ラジエターリザーブタンク、ウインドウ・ウオッシャータンク、フェンダーライナー、ファン等の部品、また、フロント・エンドパネル等の一体成形部品等が挙げられる。
実施例および比較例で使用したポリオレフィン樹脂(成分(A))、変性ポリオレフィン樹脂(成分(B))、繊維状充填材(成分(C))、ヒンダードアミン系光安定剤(成分(D))、ベンゾエート系化合物(成分(E))、白色顔料(成分(F))を下記に示した。
以下のプロピレン単独重合体の混合物を用いた。
(A−1)
住友化学(株)製 住友ノーブレンU501E1(プロピレン単独重合体)
(1)MFR(230℃、荷重21.2N):120g/10分
(2)融点:164℃
(3)アイソタクチックインデックス[mmmm]:0.97
住友化学(株)製 住友ノーブレンZ101A(プロピレン単独重合体)
(1)MFR(230℃、荷重21.2N):23g/10分
(2)融点:165℃
(3)アイソタクチックインデックス[mmmm]:0.97
住友化学(株)製 住友ノーブレンHR100G(プロピレン単独重合体)
(1)MFR(230℃、荷重21.2N):23g/10分
(2)融点:164℃
(3)アイソタクチックインデックス[mmmm]:0.97
(B−1)
特開2002−308947号公報に記載された方法によって製造されたプロピレン−(エチレン−プロピレン)ブロック共重合体の変性ブロック共重合体を用いた。用いた変性ブロック共重合体の物性を以下に示した。
(1)(エチレン−プロピレン)共重合体成分の含有量:21重量%
(2)MFR(230℃、荷重21.2N):60g/10分
(3)マレイン酸グラフト変性量:0.6重量%
(C−1)長繊維ガラス
(1)ガラス繊維の平均繊維径:17μm
(2)ガラス繊維の長さ:9mm
(3)強熱減量(集束材量):0.36wt%
ガラスロービングを用いて、長さ9mmのガラス長繊維を40重量%含有する長繊維含有ポリオレフィン樹脂組成物として使用した。
上記の長さ9mmの長繊維ガラスを40重量%含有する長繊維含有ポリオレフィン樹脂組成物は、特開平3−121146号公報に記載されている方法に従って、含浸温度270℃、引取速度33フィート/分で行い、長軸方向の長さが9mmの長繊維ガラスを含有するペレットを製造した。
(D−1)
チバ・スペシャルティケミカルズ(株)製 キマソーブ119FL
[化学名:N,N’,N’’,N’’’−テトラキス−(4,6ビス−(ブチル−(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ)−トリアジン−2−イル)−4,7−ジアザデカン−1,10−ジアミン成分(分子量:2286)とコハク酸ジメチルと4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールの重縮合物成分(分子量:約3100〜4000)からなる光安定剤混合物]
サイテック・ジャパン(株)製 サイアソーブUV−3529
[化学名:ホルムアルデヒド重縮合物,{2,4,6−トリクロロ−1,3,5−トリアジン・[N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)へキサン−1,6−ジイルジアミン]・モルフォリン重合物}及びギ酸の反応生成物(分子量:約1700)]
三共(株)製 サノールLS770
[化学名:ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、(分子量:480)]
(E−1)
住友化学(株)製 スミソーブ400
[化学名:2,4−ジ−t−ブチル−フェニル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート]
サイテック・ジャパン(株)製 サイアソーブUV−2908
[化学名:ステアリル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート]
(F−1)硫化亜鉛(モース硬度:3.5〜4)
(F−2)酸化チタン(モース硬度:6〜7)
(G−1):フェノール系酸化防止剤
住友化学(株)製 スミライザーGA80
[化学名:3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−(β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ)エチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン)
旭電化工業(株)製 アデカスタブPEP−24G
[化学名:ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト]
住友化学(株)製 スミライザーTPM
[化学名:ジミリスチル 3,3’−チオジプロピオネート]
(1)MFR(単位:g/10分)
A.S.T.M. D1238に従って、下記条件で測定した。
測定温度:230℃
荷重:21.2N
示差走査熱量計(パーキンエルマー社製DSC−VII型)を用いて、あらかじめ試片10mgを窒素雰囲気下、220℃で5分間溶融した後、5℃/分の降温速度で50℃まで降温して結晶化させ、その後、5℃/分の速度で昇温さて、測定した。得られた融解吸熱カーブの最大ピークの温度を融点とした。
アイソタクチックインデックスとは、A.ZambelliらによってMacromolecules,第6巻,第925頁(1973年)に記載されている13C−NMRを使用する測定方法によって得られるポリプロピレン分子鎖中のペンタッド単位でのアイソタクチック連鎖であり、換言すればプロピレンモノマー単位が5個連続してメソ結合した連鎖の中心にあるプロピレンモノマー単位の分率(アイソタクチックペンダット分率と称し、[mmmm]で表す。)で表される。ただし、NMR吸収ピークの帰属に関しては、その後発刊されたMacromolecules,第8巻,第687頁(1975年)に基づいて行った。具体的には13C−NMRスペクトルのメチル炭素領域の全吸収ピーク中のmmmmピークの面積分率として、ポリプロピレン樹脂のアイソタクチックインデックス測定した。なお、測定はBRUKER社製AM400を用いて行った。
サンプル1.0gをキシレン100mlに溶解した。サンプルの溶液をメタノール1000mlに攪拌しながら滴下してサンプルを再沈殿させて回収した。(以下、溶解から回収までの上記作業を精製と称する。)精製した回収したサンプルを真空乾燥した後(80℃、8時間)、熱プレスにより厚さ100μmのフイルムを作成した。この作成したフイルムの赤外吸収スペクトルを測定し、1780cm-1付近の吸収から無水マレイン酸グラフト量を定量した。
(1)評価用成形品の製造方法
得られた長繊維ペレットを、下記条件で、下記の日本製鋼所製成形機を使用して、評価用成形品(試験片)を射出成形した。
[日本製鋼所製成形機]
型締力:150t
スクリュー:長繊維深溝スクリュー
スクリュー径:46mm
スクリューL/D:20.3
[成形条件]
シリンダー温度:250℃
金型温度:50℃
背圧:0MPa
成形体表面に存在する白斑点が少なく観察される場合を○とし、多く観察される場合を×とした。
A.S.T.M. D638に従って、下記条件で測定した。
測定温度 :23℃
サンプル厚み:3.2mm
引張速度 :10mm/分
A.S.T.M. D790に従って、下記条件で測定した。
測定温度 :23℃
サンプル厚み:6.4mm
スパン :100mm
速度 :2mm/分
A.S.T.M. D256に従って、下記条件で測定した。
測定温度 :23℃
サンプル厚み:6.4mm[Vノッチあり]
サンシャインウエザーメータ(スガ試験機製WEL−SUN−DCH型)を用いて、以下の条件で光照射処理を行った。
試験片寸法:50mm×50mm×3mm(厚み)
ブラックパネル温度:63℃
照射光量:300〜700(nm)で255(w/m2)
太陽電池式積算照度計で測定した。
スプレー:無し
運転サイクル:連続照射
試験機槽内湿度:50%RH
試験時間:300時間または600時間
照射処理前の試験片の色差と照射処理後の試験片の色差を測定し、色差のΔE値を求めた。
色差の測定は、スガ試験機製SMカラーコンピュータ(モデルSM−5−CH型式)を用いて、45°拡散方式光学系によって、試料台:φ30の条件で行った。試験片には、前記(1)評価用成形品の製造方法に従って作製した射出成形品(50mm×50mm×3mm(厚み))を用いた。ΔE値が小さいほど耐光安定性に優れている。
照射処理前の試験片の表面光沢度と照射処理後の試験片の表面光沢度を測定し、光沢保持率を求めた。
表面光沢度の測定は、JIS Z8741(1997)に従い、(株)村上色彩技術研究所製の精密光沢計(GM−3D、角度60°)を用いて行った。表面光沢度保持率が高いほど耐光安定性に優れている。
照射処理後の試験片に、亀裂等の外観異常の有無を、光学顕微鏡(100倍率)によって観察した。
(1)長繊維含有ポリオレフィン樹脂組成物(GFPP−1)の製造
特開平3−121146号公報に記載されている方法に従って製造した。なお、含浸温度は270℃、引取速度は33フィート/分で行い、ガラス繊維の長軸方向の長さが9mm、ガラス繊維の平均繊維径が17μm、繊維の集束材量が0.36wt%の長繊維ガラス(C−1)を含有するポリオレフィン樹脂組成物のペレット(GFPP−1)を製造した。
プロピレン単独重合体(A−1):48重量%
プロピレン単独重合体(A−2):10重量%
変性ブロック共重合体(B−1):2重量%
繊維状充填剤(C−1):40重量%
((A−1)と(A−2)と(B−1)と(C−1)の合計量は100重量%である。)その他の添加剤
フェノール系酸化防止剤(G−1):0.1重量部
リン系酸化防止剤(G−2):0.1重量部
イオウ系酸化防止剤(G−3):0.3重量部
(その他の添加剤の含有量は、(A−1)と(A−2)と(B−1)と(C−1)の合計量100重量部に対するものである。)
以下のポリプロピレンパウダー(A−3)90重量%と光安定剤(D−1)10重量%を溶融混練し、ペレット状の光安定剤含有マスターバッチ(MB−1)を製造した。
(A−3)ポリプロピレンパウダー(プロピレン単独重合体)
MFR(230℃、荷重21.2N):23g/10分
融点:164℃
アイソタクチックインデックス[mmmm]:0.97
上記のポリプロピレンパウダー(A−3)90重量%とベンゾエート化合物(E−1)10重量%を溶融混練し、ペレット状のベンゾエート化合物含有マスターバッチ(MB−2)を製造した。
以下のプロピレン−エチレンランダム共重合体パウダー(A−4)と、(F−1)硫化亜鉛を溶融混練して、(F−1)硫化亜鉛の含有量が21重量%であるペレット状の着色剤含有マスターバッチ(MB−3)を製造した。ただし、ベージュ色になるように硫化亜鉛以外の顔料として、キナクリドン、イソインドリノン化合物、カーボンブラック(ファーネスブラック)、金属石鹸系分散剤を配合した。
プロピレン−エチレンランダム共重合体パウダー(A−4):
MFR(230℃、荷重21.2N):6g/10分
融点:142℃
エチレン含有量:4重量%
長繊維含有ポリオレフィン樹脂組成物のペレット(GFPP−1)と光安定剤含有マスターバッチ(MB−1)と、ベンゾエート化合物含有マスターバッチ(MB−2)と、着色剤含有マスターバッチ(MB−3)とを溶融混練して、ポリオレフィン樹脂組成物を製造した。光安定剤含有マスターバッチ(MB−1)と、ベンゾエート化合物含有マスターバッチ(MB−2)と、着色剤含有マスターバッチ(MB−3)のそれぞれの配合量は、GFPP−1に含有される(A−1)と(A−2)と(B−1)と(C−1)の合計量100重量部に対して、3重量部、1重量部、2重量部とした。製造されたポリオレフィン樹脂組成物の組成は、表1に示した。
射出成形機を用いて、上記で得られたポリオレフィン樹脂組成物からなる物性測定用の成形品(試験片)を作製した。得られた成形品の物性測定および耐光安定性試験(600時間)を行った。結果を表1に示した。
実施例1に記載の長繊維含有ポリオレフィン樹脂組成物のペレット(GFPP−1)を用い、実施例1で使用した光安定剤含有マスターバッチ(MB−1)に含有される光安定剤(D−1)を光安定剤(D−2)に変更した以外は、実施例1に記載した方法と同様の方法によって、ポリオレフィン樹脂組成物、それからなる成形品(試験片)を作製し、その物性測定および耐光安定性試験(600時間)を行った。結果を表1に示した。
実施例1に記載の長繊維含有ポリオレフィン樹脂組成物のペレット(GFPP−1)を用い、実施例1で使用した光安定剤含有マスターバッチ(MB−1)に含有される光安定剤(D−1)を光安定剤(D−2)に変更し、実施例1で使用したベンゾエート化合物含有マスターバッチ(MB−2)に含有されるベンゾエート化合物(E−1)をベンゾエート化合物(E−2)に変更した以外は、実施例1に記載した方法と同様の方法によって、ポリオレフィン樹脂組成物、それからなる成形品(試験片)を作製し、その物性測定および耐光安定性試験(600時間)を行った。結果を表1に示した。
実施例1に記載の長繊維含有ポリオレフィン樹脂組成物のペレット(GFPP−1)を用い、実施例1で使用した光安定剤含有マスターバッチ(MB−1)に含有される光安定剤(D−1)0.3重量部を光安定剤(D−3)0.28重量部に変更し、実施例1で使用したベンゾエート化合物含有マスターバッチ(MB−2)に含有されるベンゾエート化合物(E−1)の含有量を0.1重量部から0.12重量部に変更した以外は、実施例1に記載した方法と同様の方法によって、ポリオレフィン樹脂組成物、それからなる成形品(試験片)を作製し、その物性測定および耐光安定性試験(600時間)を行った。結果を表1に示した。
実施例1において、表2に示した組成となるように組成を変更して、(A)ポリオレフィン樹脂と(B)変性ポリオレフィン樹脂と(C)繊維状充填材と(G)酸化防止剤とを含有する樹脂組成物を製造した。そして、実施例1で使用した光安定剤含有マスターバッチ(MB−1)に含有される光安定剤(D−1)を光安定剤(D−2)に変更し、ベンゾエート系化合物含有マスターバッチ(MB−2)に含有されるベンゾエート系化合物(E−1)をベンゾエート系化合物(E−2)に変更した以外は、実施例1に記載した方法と同様の方法によって、ポリオレフィン樹脂組成物、それからなる成形品(試験片)を作製し、その物性測定および耐光安定性試験(300時間)を行った。結果を表2に示した。
実施例4において、使用した光安定剤含有マスターバッチおよびベンゾエート系化合物含有マスターバッチを使用せずに、実施例4に記載の(A)ポリオレフィン樹脂と(B)変性ポリオレフィン樹脂と(C)繊維状充填材と(G)酸化防止剤とを含有する樹脂組成物に、光安定剤(D−2)およびベンゾエート系化合物(E−2)を直接配合した以外は、実施例4に記載した方法と同様の方法によって、ポリオレフィン樹脂組成物、それからなる成形品(試験片)を作製し、その物性測定および耐光安定性試験(300時間)を行った。結果を表2に示した。
実施例1に記載の長繊維含有ポリオレフィン樹脂組成物のペレット(GFPP−1)を用い、実施例1で使用した光安定剤含有マスターバッチ(MB−1)に含有される光安定剤(D−1)0.3重量部を光安定剤(D−3)0.14重量部に変更し、実施例1で使用したベンゾエート化合物含有マスターバッチ(MB−2)に含有されるベンゾエート化合物(E−1)0.1重量部をベンゾエート化合物(E−3)0.06重量部に変更した以外は、実施例1に記載した方法と同様の方法によって、ポリオレフィン樹脂組成物、それからなる成形品(試験片)を作製し、その物性測定および耐光安定性試験(600時間)を行った。結果を表3に示した。
比較例2において使用した着色マスターバッチに含有される硫化亜鉛(F−1)を酸化チタン(F−2)に変更した以外は、実施例1に記載した方法と同様の方法によって、ポリオレフィン樹脂組成物、それからなる成形品(試験片)を作製し、その物性測定および耐光安定性試験(600時間)を行った。結果を表3に示した。
Claims (5)
- ポリオレフィン樹脂(成分(A))と、下記の変性ポリオレフィン樹脂(成分(B))
と、繊維状充填材(成分(C))と、分子量が1000以上のヒンダードアミン系光安定
剤(成分(D))と、下記のベンゾエート系化合物(成分(E))と、モース硬度が6以
下の白色顔料(成分(F))とを含有するポリオレフィン樹脂組成物であって、
成分(A)39.5〜98.5重量%と、成分(B)0.5〜10重量%と、成分(C)
1〜60重量%とを含有する樹脂成分(成分(i)、ただし、成分(i)の全量を100
重量%とする)100重量部に対して、成分(D)0.05〜1重量部と、成分(E)0
.05〜1重量部と、成分(F)0.001〜10重量部とを含有するポリオレフィン樹
脂組成物。
成分(B)は、ポリオレフィン樹脂に不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体がグラフト
変性されてなり、不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体のグラフト変性量が0.5〜1
0重量%であり(ただし、成分(B)の全量を100重量%とする)、メルトフローレー
トが20〜190g/10分であり、成分(A)と異なる変性ポリオレフィン樹脂である
。
成分(E)は、下記一般式(I)で表されるベンゾエート系化合物である。
(式(I)中、R1は炭素原子数1〜30のアルキル基または炭素原子数6〜30のアリ
ール基を示す。) - 成分(C)が、平均繊維径が5〜50μmであり、重量平均繊維長が1〜50mmの繊
維状充填材である請求項1に記載のポリオレフィン樹脂組成物。 - 請求項1または2に記載のポリオレフィン樹脂組成物からなる成形品。
- 請求項1または2に記載のポリオレフィン樹脂組成物の製造方法であって、予め個別に溶融混練されてなる下記の樹脂成分(i)と樹脂成分(ii)と樹脂成分(iii)とを溶融混練して、ポリオレフィン樹脂組成物を製造する方法。
樹脂成分(i)は、成分(A)と成分(B)と成分(C)とが溶融混錬されてなる樹脂成
分である。
樹脂成分(ii)は、成分(A)と(D)と(E)とが溶融混錬されてなる樹脂成分である
。
樹脂成分(iii)は、成分(A)と(F)とが溶融混錬されてなる樹脂成分である。 - 請求項1または2に記載のポリオレフィン樹脂組成物の製造方法であって、予め個別に溶融混練されてなる下記の樹脂成分(i)と樹脂成分(iv)とを溶融混練して、ポリオレフィン樹脂組成物を製造する方法。
樹脂成分(i)は、成分(A)と成分(B)と成分(C)とが溶融混錬されてなる樹脂成
分である。
樹脂成分(iv)は、成分(A)と成分(D)と成分(E)と成分(F)とが溶融混錬され
てなる樹脂成分である。
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