JP2007186622A - 難燃性樹脂組成物とそれを用いた成形物品 - Google Patents

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Abstract

【課題】難燃性、耐熱性、機械特性、耐油性、耐摩耗性、圧接性に優れ、環境問題に対応した難燃性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】 不飽和カルボン酸で変性されたポリプロピレン樹脂22〜90質量%、無変性プロピレン−エチレン・プロピレン共重合体10〜78質量%、無変性ポリプロピレン0〜65質量%、および不飽和カルボン酸で変性されたスチレン系エラストマー0〜40質量%を含有する樹脂成分100質量部に対し、水酸化マグネシウム50〜300質量部を含有し、前記不飽和カルボン酸で変性されたポリプロピレン樹脂が不飽和カルボン酸で変性されたプロピレン−エチレン・プロピレン共重合体を含有し、前記不飽和カルボン酸で変性されたプロピレン−エチレン・プロピレン共重合体が前記樹脂成分中、5〜90質量%含有されている難燃性樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、成形加工時において架橋設備等の特殊な設備を必要としない、機械特性と耐摩耗性、耐油性、耐熱性に優れた難燃性樹脂組成物およびそれをもちいた成形物品に関するものであり、また難燃性に優れた成形物品、例えば、シート、チューブ、配線材、光ファイバコードその他の成形物品に関するものである。
より詳しくは、本発明は、加工後に架橋設備等の特殊な設備を必要とせずに耐熱性、耐摩耗性、耐外傷性、耐油性に優れた難燃性樹脂組成物および、耐熱性、耐摩耗性、耐外傷性、耐油性、圧接加工性に優れた電気・電子機器の内部ないしは外部配線に使用される絶縁電線、電気ケーブル、電気コードや光ファイバ心線、光ファイバコード等の成形物品である。特に、埋立、燃焼などの廃棄時において、重金属化合物の溶出や、多量の煙、有害ガスの発生がなく、かつ、使用後のリサイクル処理に適し、環境問題に対応した難燃性樹脂組成物およびその成形物品である。
電気・電子機器の内部および外部配線に使用される絶縁電線・ケーブル・コードや光ファイバ心線、光ファイバコードなどには、難燃性、耐熱性、機械特性(例えば、引張特性、耐摩耗性)など種々の特性が要求されている。
またシート材料には耐熱性や耐外傷性、またチューブについては耐熱性、耐外傷性、耐摩耗性、耐油性、難燃性が要求されている。
従来、前記用途には、ポリ塩化ビニル(PVC)コンパウンドや、分子中に臭素原子や塩素原子を含有するハロゲン系難燃剤を配合したポリオレフィンコンパウンドが主として使用されてきている。
しかし、前記ハロゲンを含有する材料を適切な処理をせずに廃棄し、埋め立てた場合には、被覆材料に配合されている可塑剤や重金属安定剤が溶出し、また燃焼した場合には、被覆材料に含まれるハロゲン化合物から有害ガスが発生することがあり、近年、この問題が議論されている。
このため、環境に影響をおよぼすことが懸念されている有害な可塑剤や重金属の溶出や、ハロゲン系ガスなどの発生の恐れがないノンハロゲン材料で成形を行った成形物品、例えば、配線材、ケーブル、シート、チューブの検討が行われている。
ノンハロゲン難燃材料は、ハロゲンを含有しない難燃剤を樹脂に配合することで難燃性を発現させており、例えばエチレン・1−ブテン共重合体、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸エチル共重合体、エチレン・プロピレン・ジエン三元共重合体などのエチレン系共重合体に、難燃剤として水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムなどの金属水和物を多量に配合した材料が配線材に使用されている。
電気・電子機器の配線材に求められる難燃性、耐熱性、機械特性(例えば引張特性、耐摩耗性)などの規格は、UL、JISなどで規定されている。特に、難燃性に関しては、要求水準(その用途)などに応じてその試験方法が変わってくる。したがって実際は、少なくとも要求水準に応じた難燃性を有すればよい。例えば、UL1581(電線、ケーブルおよびフレキシブルコードのための関連規格(Reference Standard for Electrical Wires, Cables and Flexible Cords))に規定される垂直燃焼試験(Vertical Flame Test)(VW−1)や、JIS C 3005(ゴム・プラスチック絶縁電線試験方法)に規定される水平試験や傾斜試験に合格する難燃性などがそれぞれ挙げられる。
これまでノンハロゲン難燃材料に、VW−1や傾斜試験に合格するような高度の難燃性を付与する場合、樹脂成分100重量部に対して、難燃剤である金属水和物を150〜200重量部配合する必要があり(例えば特許文献1)、この結果として、被覆材料の引張特性や耐摩耗性などの機械特性、耐摩耗性が著しく低下するという問題があった。
特に金属水和物を大量に加えると、耐摩耗性、耐外傷性の低下が顕著であり、これを防止するために、例えば架橋を施す方法やポリプロピレンをベース材料として使用する方法が提案されてきた。しかしこれらの方法では難燃性を向上させると、著しく耐摩耗性や強度、圧接特性が低下する等の問題があった。
さらに金属水和物を大量に加えると耐油性が著しく低下し、油のかかる部分では使用することができなかった。
特開2001−135142号公報
本発明は、上記の問題点を解決し、難燃性、耐熱性、機械特性、耐油性、耐摩耗性、圧接性に優れ、かつ埋立、燃焼などの廃棄時においては、重金属化合物の溶出や、多量の煙、有害性ガスの発生がなく、昨今の環境問題に対応した難燃性樹脂組成物およびそれを用いた成形物品を提供することを目的とする。さらに本発明は、これらの特性を満足しながら、成形物品の再溶融が可能なために再利用でき、折り曲げても白化することなく、また傷つきにくく、特に難燃性や耐摩耗性、耐油性を併せ持った樹脂組成物、配線材、光ファイバ心線、光ファイバコード、シート、チューブ等の成形物品、特に圧接性に優れた配線材として好適な成形物品を提供することを目的とするものである。
上記課題を解決するために、本発明は、
(1)(a)不飽和カルボン酸で変性されたポリプロピレン樹脂22〜90質量%、(b)無変性プロピレン−エチレン・プロピレン共重合体10〜78質量%、(c)無変性ポリプロピレン0〜65質量%(ただし、前記(b)成分のポリプロピレンを除く)、および(d)不飽和カルボン酸で変性されたスチレン系エラストマー0〜40質量%を含有する樹脂成分(A)100質量部に対し、(B)水酸化マグネシウム50〜300質量部を含有し、前記(a)不飽和カルボン酸で変性されたポリプロピレン樹脂が(a−2)不飽和カルボン酸で変性されたプロピレン−エチレン・プロピレン共重合体を含有し、前記(a−2)不飽和カルボン酸で変性されたプロピレン−エチレン・プロピレン共重合体が前記樹脂成分(A)中、5〜90質量%含有されていることを特徴とする難燃性樹脂組成物、
(2)(a)不飽和カルボン酸で変性されたポリプロピレン樹脂22〜90質量%、(b)無変性プロピレン−エチレン・プロピレン共重合体10〜78質量%、(c)無変性ポリプロピレン0〜65質量%(ただし、前記(b)成分のポリプロピレンを除く)、および(d)不飽和カルボン酸で変性されたスチレン系エラストマー0〜40質量%を含有する樹脂成分(A)100質量部に対し、(B)水酸化マグネシウム50〜300質量部を含有し、前記(a)不飽和カルボン酸で変性されたポリプロピレン樹脂が(a−2)不飽和カルボン酸で変性されたプロピレン−エチレン・プロピレン共重合体を含有し、前記(a−2)不飽和カルボン酸で変性されたプロピレン−エチレン・プロピレン共重合体が前記樹脂成分(A)中、10〜90質量%含有されていることを特徴とする難燃性樹脂組成物、
(3)前記(A)成分が、(h−1)不飽和カルボン酸で変性されたポリオレフィン(ただし、前記(a)成分を除く)、(h−2)不飽和カルボン酸で変性されたエチレン−酢酸ビニル共重合体、(h−3)不飽和カルボン酸で変性されたエチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、(h−4)エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、(h−5)エチレン−(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種からなる樹脂(h)を0〜65質量%含有することを特徴とする(1)または(2)項記載の難燃性樹脂組成物、
(4)前記(A)成分が、(e)エチレン−αオレフィン共重合体0〜65質量%、(f−1)エチレン−酢酸ビニル共重合体および/または(f−2)エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体0〜40質量%、(g)無変性スチレン系共重合体0〜40質量%、並びに(k)ゴム用軟化剤0〜20質量%を含有することを特徴とする(1)〜(3)のいずれか1項に記載の難燃性樹脂組成物、
(5)前記(B)水酸化マグネシウムが、(B−1)無処理の水酸化マグネシウムおよび/または(B−2)シラン処理された水酸化マグネシウムであることを特徴とする(1)〜(4)のいずれか1項に記載の難燃性樹脂組成物、
(6)前記(a)成分の不飽和カルボン酸が(メタ)アクリル酸であること特徴とする(1)〜(5)のいずれか1項に記載の難燃性樹脂組成物。
(7)前記(A)樹脂成分中、前記(a)成分の配合量が22〜60質量%であること特徴とする(1)〜(6)のいずれか1項に記載の難燃性樹脂組成物、
(8)(1)〜(7)のいずれか1項に記載の難燃性樹脂組成物を導体または、光ファイバ素線および/または光ファイバ心線の外側に被覆層として有することを特徴とする成形物品、および、
(9)(1)〜(8)のいずれか1項に記載の難燃性樹脂組成物を成形してなることを特徴とする成形物品
を提供する。
本発明の難燃性樹脂組成物は、比較的柔軟性を有し、難燃性、耐熱性、機械特性、耐油性、耐摩耗性、圧接性に優れ、かつ埋立、燃焼などの廃棄時においては、重金属化合物の溶出や、多量の煙、有害性ガスの発生がなく、昨今の環境問題に対応した難燃性樹脂組成物である。前記効果は、水酸化マグネシウムとして、無処理の水酸化マグネシウムおよび/またはシラン処理された水酸化マグネシウムを使用したときに、特に優れたものとなる。
また、本発明の成形物品は上記全ての特性を満足しながら、成形物品の再溶融が可能なために再利用でき、折り曲げても白化することなく、また傷つきにくく、柔軟性を保持しつつ、難燃性や耐摩耗性、耐油性を併せ持った成形物品である。
よって本発明の難燃性樹脂組成物は、配線材、光ファイバ心線、光ファイバコード、シート、チューブや、圧接性に優れた配線材等の成形物品に好適な難燃性樹脂組成物である。
以下、本発明を詳細に説明する。
まず、本発明の難燃性樹脂組成物の各成分を詳細に説明する。
(a)不飽和カルボン酸で変性されたポリプロピレン樹脂
本発明における不飽和カルボン酸で変性されたポリプロピレン樹脂は、不飽和カルボン酸がホモポリプロピレン、ランダムポリプロピレン、またはブロックポリプロピレンにグラフトした樹脂のことである。不飽和カルボン酸による変性は常法により行うことができ、変性量は、通常0.5〜15質量%である。
不飽和カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水フマル酸などを挙げることができ、(メタ)アクリル酸が好ましい。
また、ここで言うランダムポリプロピレン樹脂はエチレン成分含量が好ましくは5質量%以下、ブロックポリプロピレン樹脂はエチレン成分含量が好ましくは15質量%以下のものをいう。
不飽和カルボン酸等により変性されたポリプロピレン樹脂として、具体的には、例えば、ポリボンドP−1001、ポリボンドP−1002(商品名:クロンプトン社製)、アドテックスER313E(商品名:日本ポリエチレン社製)、並びに後述する不飽和カルボン酸で変性されたプロピレン−エチレン・プロピレン共重合体等が挙げられる。
本発明において不飽和カルボン酸で変性されたポリプロピレン樹脂は水酸化マグネシウムとイオン的に結合を行う。この反応により水酸化マグネシウムとの界面近傍の強度が非常に高くしかも結晶性の高いポリプロピレンで形成されることから、樹脂組成物として非常に強度の高く、しかも耐油性の高いノンハロゲン樹脂組成物を得ることができる。特に大量に含まれている難燃剤の界面付近に結晶性の高くしかも強度の大きいポリプロピレンが存在するため、耐外傷性や耐摩耗性、圧壊強度のみならず、難燃性も向上する。さらに圧接用電線に使用される場合、圧接刃での割れやストレインリリーフの盛り上がりがほとんど無く、優れた圧接加工用の電線を得ることができる。
これらの特性は不飽和カルボン酸で変性された他のポリオレフィン樹脂を併用した場合よりも非常に顕著である。
本発明において、不飽和カルボン酸で変性されたポリプロピレン樹脂(a)は後述する樹脂成分(A)中に、22〜90質量%、さらに好ましくは22〜75質量%、より好ましくは25〜50質量%含有される。含有量が少なすぎると、耐外傷性、耐摩耗性、圧壊特性、圧接性に問題が生ずることがあり、また、含有量が多すぎると、伸び特性、外観が著しく低下する。特に含有量が25〜50質量%の場合、強度、耐油性、耐外傷性、耐摩耗性、圧壊特性、圧接性の点で非常にバランスのとれた材料を得ることができる。
(a−2)不飽和カルボン酸変性されたプロピレン−エチレン・プロピレン共重合体
本発明においては、(a)成分:不飽和カルボン酸で変性されたポリプロピレン樹脂が、不飽和カルボン酸で変性されたプロピレン−エチレン・プロピレン共重合体(ポリプロピレンとエチレン−プロピレンゴムの共重合体)を含有する。不飽和カルボン酸変性されたプロピレン−エチレン・プロピレン共重合体を含有させることにより、難燃性樹脂組成物は弾性が確保され、それが被覆された電線は、圧接電線として優れた圧接加工性を得ることができる。さらに電線として皮むき加工性も大幅に向上する。また電線等の成形体の癖のつきやすさも大幅に改善される。従って例えば電線やチューブをドラムやボビンに巻いた際の癖のつきやすさも大幅に低減するため、成形性の優れたチューブや電線等の成形体を得ることが可能となる。この不飽和カルボン酸変性されたプロピレン−エチレン・プロピレン共重合体は、後述する樹脂成分(A)中、5〜90質量%、さらに好ましくは10〜90質量%含有される。この量が少なすぎると実質的に効果がなくなり、また、多すぎると、伸び、外観が著しく低下する。
(a)成分が25〜50質量%の場合、強度、耐油性、耐外傷性、耐摩耗性、圧壊特性、圧接性の点で非常にバランスのとれた材料を得ることができるが、この際(a−2)成分の不飽和カルボン酸変性された、ポリプロピレンとエチレン−プロピレンゴムの共重合体は樹脂成分(A)100質量%中、10〜40質量%であることが好ましい。この不飽和カルボン酸変性された、ポリプロピレンとエチレン−プロピレンゴムの共重合体は10〜40質量%の場合、強度、油性、耐外傷性、耐摩耗性、圧壊特性、圧接性を維持しつつ、皮剥ぎ性は電線のくせがつきにくいバランスのとれた材料を得ることができる。
ここで用いられるプロピレン−エチレン・プロピレン共重合体としては、プロピレンブロックとエチレン−αオレフィンブロックの共重合体などのポリマーであるポリプロピレン系リアクターTPO樹脂が好ましい。ポリプロピレン系リアクターTPOのプロピレン含有量は5〜85質量%であることが好ましく、さらに好ましくは20〜70質量%である。ポリプロピレン系リアクターTPOとしては、例えば、キャタロイ(商品名、サンアロマー(株)製)、ニューコン(商品名、日本三菱化学(株)製)などが挙げられる。
また、不飽和カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水フマル酸などを挙げられ、中でも、アクリル酸もしくはマレイン酸の使用が好ましい。これらの不飽和カルボン酸を用い、常法により変性することができ、変性量は、0.5〜3質量%が好ましい。
(b)無変性プロピレン−エチレン・プロピレン共重合体
本発明においては、後述する樹脂成分(A)中、無変性プロピレン−エチレン・プロピレン共重合体を10〜78質量%、好ましくは10〜60%含有させる。この無変性プロピレン−エチレン・プロピレン共重合体が少なすぎると実質的に柔軟性に効果がなくなり、多すぎると強度が低下したり、耐油性、耐摩耗性、圧接特性が低下する。
無変性プロピレン−エチレン・プロピレン共重合体としては、無変性のポリプロピレン系リアクターTPO樹脂が好ましい。ここで使用するポリプロピレン系リアクターTPO樹脂はプロピレン含有量が好ましくは5〜85質量%、さらに好ましくは20〜70質量%である。このプロピレン含有量が少なすぎると耐油性や耐摩耗性、圧接性に乏しくなり、またプロピレン含有量が多すぎると成形性に乏しくなる恐れがある。ポリプロピレン系リアクターTPOとしては、例えば、キャタロイ(商品名、サンアロマー(株)製)、ニューコン(商品名、日本ポリプロピレン製)などを挙げることができる。
(b)成分である無変性プロピレン−エチレン・プロピレン共重合体は、(a)成分である不飽和カルボン酸で変性されたポリプロピレン樹脂、特に(a−2)成分である不飽和カルボン酸変性されたプロピレン−エチレン・プロピレン共重合体と非常に良く相溶する。柔軟性を有する無変性プロピレン−エチレン・プロピレン共重合体が水酸化マグネシウムとイオン的に結合した不飽和カルボン酸変性されたプロピレン−エチレン・プロピレン共重合体と一体化することにより、比較的柔軟性を有し、しかも強度、耐油性、耐摩耗性、圧接性を確保することが可能となる。
(c)無変性ポリプロピレン
本発明で用いることができる無変性ポリプロピレンは、例えば、無変性のホモポリプロピレン、エチレン・プロピレンランダム共重合体、エチレン・プロピレンブロック共重合体が挙げられる。なお、(c)成分には、上記の(b)成分のポリプロピレンは除かれる。
ここで用いられるエチレン・プロピレンランダム共重合体は、エチレン成分含量が好ましくは1〜5質量%程度であり、またエチレン・プロピレンブロック共重合体は、エチレン成分含量が好ましくは5〜15質量%程度である。
含有されるポリプロピレンのMFR(ASTM‐D‐1238、L条件、230℃)は、好ましくは0.1〜60g/10分、より好ましくは0.1〜25g/10分、さらに好ましくは0.3〜15g/10分のものを用いる。
本発明において無変性ポリプロピレンの含有量は、後述する樹脂成分(A)中、0〜65質量%であり、好ましくは10〜60質量%、さらに好ましくは15〜55質量%、より好ましくは20〜50質量%である。このポリプロピレン樹脂の含有量が多すぎると成形体において著しく柔軟性が損なわれたり、耐摩耗性が低下する。
(d)不飽和カルボン酸で変性されたスチレン系エラストマー
本発明において、不飽和カルボン酸で変性されたスチレン系エラストマーとは、スチレン系共重合体を不飽和カルボン酸で変性することにより、不飽和カルボン酸がスチレン系共重合体にグラフトした樹脂のことである。
不飽和カルボン酸としては、(a)で使用されたものと同様のものを使用することが可能である。
スチレン系共重合体とは、共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物とのブロック及びランダム構造を主体とする共重合体およびその水素添加物である。芳香族ビニル化合物としては、例えばスチレン、t−ブチルスチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、1,1−ジフェニルスチレン、N,N−ジエチル−p−アミノエチルスチレン、ビニルトルエン、p−第3ブチルスチレンなどが挙げられる。また共役ジエン化合物としては、例えば、ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエンなどが挙げられる。
スチレン系共重合体の変性は、例えば、スチレン系共重合体と不飽和カルボン酸を有機パーオキサイドの存在下に加熱、混練することにより行うことができる。不飽和カルボン酸による変性量は、通常0.5〜15質量%である。
不飽和カルボン酸で変性されたスチレン系エラストマーとしては、たとえば、クレイトン1901FG(JSR クレイトン(株)製)、タフテック(旭化成(株)製)等を挙げることができる。
この不飽和カルボン酸で変性されたスチレン系エラストマーは後述する樹脂成分(A)中、0〜40質量%に制限され、さらに好ましくは5〜35質量%、より好ましくは5〜30質量%である。これが多すぎると耐油性が低下するのみならず、外観も大幅に損なわれる。
この不飽和カルボン酸で変性されたスチレン系エラストマーは(a)成分の不飽和カルボン酸変性されたポリプロピレン樹脂、(a−2)成分の不飽和カルボン酸変性されたプロピレン−エチレン・プロピレン共重合体、(b)成分の無変性プロピレン−エチレン・プロピレン共重合体と良く相溶する。また(d)成分である不飽和カルボン酸で変性されたスチレン系エラストマーは水酸化マグネシウムと混合することにより、強いイオン結合を有する。従って同様に水酸化マグネシウムと強いイオン結合を有するカルボン酸変性されたポリプロピレン樹脂との相乗作用により、高強度、高摩耗性を維持することができ、さらに(a−2)成分、および(b)成分のプロピレン−エチレン・プロピレン共重合体との相乗効果で柔軟性をさらに向上させることができる。
(e)エチレン−αオレフィン共重合体
本発明に用いられるエチレン・α−オレフィン共重合体は、例えばエチレンと炭素数4〜12のα−オレフィンとの共重合体であり、α−オレフィンの具体例としては、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセンなどが挙げられる。
エチレン・α−オレフィン共重合体として具体的には、LLDPE(直鎖状低密度ポリエチレン)、LDPE(低密度ポリエチレン)、VLDPE(超低密度ポリエチレン)、EPR(エチレンプロピレンゴム)、EBR(エチレン・1‐ブテンゴム)、及びメタロセン触媒存在下に合成されたエチレン・α−オレフィン共重合体等が挙げられる。なかでも、メタロセン触媒存在下に合成されたエチレン・α−オレフィン共重合体が好ましい。
エチレン・α−オレフィン共重合体の密度は特には制限しないが、940kg/m以下が好ましく、さらに好ましくは930kg/m以下である。この密度の下限は0.875kg/m以上が好ましい。
また、エチレン・α−オレフィン共重合体としては、メルトフローレート(以下、MFRと記す)(ASTM D−1238)が0.5〜50g/10分のものが好ましい。
本発明におけるエチレン・α−オレフィン共重合体は、メタロセン触媒の存在下に合成されるものや通常の直鎖型低密度ポリエチレンや超低密度ポリエチレン等が挙げられるが、中でもメタロセン触媒の存在下に合成されるものが好ましい。このようなものとしては、日本ポリケム(株)から、「カーネル」(商品名)、三井住友ポリオレフィン(株)から「エボリュー」(商品名)が上市されている。
本発明においてエチレン−αオレフィン共重合体の含有量は、後述する樹脂成分(A)中、好ましくは0〜65質量%、より好ましくは0〜50質量%、さらに好ましくは0〜40質量%である。含有量が多すぎると著しく摩耗性や圧接性、強度が低下する場合がある。
(f−1)エチレン−酢酸ビニル共重合体、(f−2)エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体
本発明に用いられるエチレン−酢酸ビニル共重合体とは、エチレンと酢酸ビニルが共重合した樹脂であり、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体とは、例えば、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−メタクリル酸エチル共重合体が挙げられる。具体的には例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体としては、エバフレックス(商品名、三井デュポンポリケミカル(株)製)等が、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体としては、エバルロイ(商品名、三井デュポンポリケミカル(株)製)などが挙げられる。これらは、1種を単独で用いても2種以上を混合して用いてもよい。
本発明における(f−1)および/または(f−2)成分の含有量は、後述する樹脂成分(A)中、好ましくは0〜40質量%であり、さらに好ましくは0〜25質量%、より好ましくは0〜15質量%である。含有量が多すぎると、摩耗性、強度が低下する恐れがある。
(g)無変性スチレン系共重合体
本発明に用いられる無変性スチレン系共重合体は、無変性の共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物とのブロック及びランダム構造を主体とする共重合体もしくはその水素添加物である。
芳香族ビニル化合物としては、例えばスチレン、t−ブチルスチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、1,1−ジフェニルスチレン、N,N−ジエチル−p−アミノエチルスチレン、ビニルトルエン、p−第3ブチルスチレンなどがあり、1種または2種以上が選ばれ、中でもスチレンが好ましい。
また共役ジエン化合物としては、例えば、ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエンなどがあり、1種または2種以上が選ばれ、中でもブタジエンが好ましい。
前記スチレン系共重合体として具体的には例えば、セプトン4077、セプトン4055、セプトン8105(商品名、(株)クラレ製)、ダイナロン1320P(商品名、JSR(株)製)等が挙げられる。
本発明において無変性スチレン系共重合体の含有量は、後述する樹脂成分(A)中、好ましくは0〜40質量%であり、さらに好ましくは0〜35質量%、より好ましくは0〜20質量%である。含有量が多すぎると耐摩耗性、強度、耐油性が低下する恐れがある。
(h−1)不飽和カルボン酸で変性されたポリオレフィン
本発明における不飽和カルボン酸で変性されたポリオレフィンとは、ポリオレフィンを不飽和カルボン酸で変性することにより、不飽和カルボン酸が、ポリオレフィンにグラフトした樹脂のことである。本発明においては(h−1)成分から不飽和カルボン酸で変性されたポリプロピレン樹脂(a)成分は除外するものとする。
本発明における不飽和カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水フマル酸などを挙げることができる。
本発明におけるポリオレフィンとしては、ポリエチレン(直鎖状ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン)、プロピレンと他の少量のαオレフィン(例えば、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン等)との共重合体、エチレンとαオレフィンとの共重合体等が挙げられる。
ポリオレフィンの変性は、例えば、ポリオレフィンと不飽和カルボン酸を有機パーオキサイドの存在下に加熱、混練することにより行うことができる。不飽和カルボン酸による変性量は、通常0.5〜15質量%である。
不飽和カルボン酸等により変性されたポリオレフィンとしては、具体的には例えば、ポリボンドP−1009等(商品名、クロンプトン(株)製)、アドテックスL−6100M等(商品名、日本ポリエチレン(株)製)、アドマーXE070、NE070等(商品名、三井化学(株)製)などが挙げられる。
(h−2)不飽和カルボン酸で変性されたエチレン−酢酸ビニル共重合体
本発明における不飽和カルボン酸で変性されたエチレン−酢酸ビニル共重合体とは、エチレン−酢酸ビニル共重合体を不飽和カルボン酸で変性することにより、不飽和カルボン酸がエチレン−酢酸ビニル共重合体にグラフトした樹脂のことである。
不飽和カルボン酸としては、(h−1)で使用されたものと同様のものを使用することができる。エチレン−酢酸ビニル共重合体とは、エチレンに、酢酸ビニルを共重合させたものである。
エチレン−酢酸ビニル共重合体の変性は、(h−1)と同様、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体と不飽和カルボン酸等を有機パーオキサイドの存在下に加熱、混練することにより行うことができる。不飽和カルボン酸等による変性量は、通常0.5〜15質量%である。
不飽和カルボン酸で変性されたエチレン−酢酸ビニル共重合体としては、たとえば、アドマーVF600,VF500(いずれも商品名、三井化学(株)製)をあげることができる。
(h−3)不飽和カルボン酸で変性されたエチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体
本発明において、不飽和カルボン酸で変性されたエチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体とは、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体を不飽和カルボン酸で変性することにより、不飽和カルボン酸がエチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体にグラフトした樹脂のことである。
不飽和カルボン酸としては、(h−1)で使用されたものと同様のものを使用することができる。
エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体とは、例えば、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−メタクリル酸エチル共重合体等が挙げられる。
エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体の変性は、(h−1)と同様、例えば、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体と不飽和カルボン酸を有機パーオキサイドの存在下に加熱、混練することにより行うことができる。不飽和カルボン酸による変性量は、通常0.5〜15質量%である。
不飽和カルボン酸で変性されたエチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体としては、たとえば、モディパーA−5200、A−8200(いずれも商品名、日本油脂(株)製)をあげることができる。
(h−4)エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、(h−5)エチレン−(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体
本発明においては、前記(h−1)〜(h−3)の樹脂と共にまたはこれらの代わりにエチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体を使用しても良い。
エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体としては、例えば、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体などが挙げられ、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体としては、例えば、エチレン−アクリル酸メチル−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エチル−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸エチル−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸メチル−メタクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エチル−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸エチル−メタクリル酸共重合体などが挙げられる。
具体的には例えば、ニュクレル、ベイマック(いずれも商品名、三井デュポンポリケミカル(株)製)などが挙げられる。
本発明においては、好ましくは(h−1)〜(h−5)からなる群から選ばれる少なくとも1種からなる樹脂(h)を含有する。本発明において樹脂(h)の含有量は、後述する樹脂成分(A)中、好ましくは0〜65質量%である。
(k)ゴム用軟化剤
本発明におけるゴム用軟化剤としては、非芳香族系の鉱物油または液状もしくは低分子量の合成軟化剤を用いることができる。
ゴム用として用いられる鉱物油軟化剤は、芳香族環、ナフテン環およびパラフィン鎖の三者の組み合わさった混合物であって、パラフィン鎖炭素数が全炭素数の50%以上を占めるものをパラフィン系とよび、ナフテン環炭素数が30〜40%のものはナフテン系、芳香族炭素数が30%以上のものは芳香族系と呼ばれて区別されている。
本発明に用いられる鉱物油系ゴム用軟化剤は上記区分でパラフィン系およびナフテン系のものが好ましい。
前記ゴム用軟化剤として具体的には、ダイアナプロセスオイルPW90、PW380(商品名、シェル社製)等がある。
本発明におけるゴム用軟化剤の含有量は、後述する樹脂成分(A)中、好ましくは0〜20質量%であり、より好ましくは0〜10質量%である。含有量が多すぎると、耐磨耗性、強度、耐油性が低下する場合がある。
本発明において、樹脂成分(A)は、上記の(a)及び(a−2)、(b)成分を必須成分とし、必要により(c)、(d)、(e)、(f−1)/(f−2)、(g)、(h)、(k)成分をそれぞれ特定量含有するものである。この、樹脂成分(A)100質量部に対し、水酸化マグネシウム50〜300質量部を含有することで、架橋せずに耐熱性を有し、高い難燃性を有し、しかも機械特性、耐摩耗性、耐油性に非常に優れた樹脂組成物及び成形体を得ることができる。
通常樹脂に対して水酸化マグネシウムなどの金属水和物を添加してゆくと、耐摩耗性が著しく低下する。本発明においては金属水和物である水酸化マグネシウムを本発明の樹脂成分に対して多く添加しても耐摩耗性が低下することはなく、むしろ耐摩耗性が向上する。従って難燃性と耐摩耗性を両立させることができる。またさらに通常水酸化マグネシウムを大量に配合すると耐油性は大幅に低下するが、本発明の組成物は水酸化マグネシウムを大量に配合しても耐油性の低下がなく、バランスの良い優れた物性を維持することができる。また比較的柔軟性の確保も可能であり、成形性、加工性にも優れた樹脂組成物を得ることができる。
さらに電線として使用した場合は非常に圧接性に優れた物性を有しており、ストレインリリーフの盛り上がり等の現象も生じず、優れた圧接性を示す。
本発明における、特定の樹脂成分に水酸化マグネシウムを大量に加えた場合、摩耗性が低下せず、むしろ向上するプロセスについては恐らく、水酸化マグネシウムと(a)、(a−2)成分が強いイオン性結合を有し、水酸化マグネシウムとポリマー全体がナノーミクロ状態で微細にしかも強固に結合することにより、水酸化マグネシウムが本来有している硬質性、強度、補強性が樹脂成分と一体化することにより、樹脂組成物の耐摩耗性が格段に向上したものと考えられる。このような効果により、成形体表面をこすっても白化現象は生じず、非常に高強度の成形体を得ることができる。また(a)、(a−2)成分の変性基が水酸化マグネシウムを触媒として架橋なされることにより、耐熱性が向上するものと考えられる。
また、水酸化マグネシウムと結合している樹脂が比較的柔軟性を有する樹脂であるため、耐摩耗性、強度、耐外傷性、圧接性を有しつつ、弾力性や可塑性に優れていると考えられる。また(a)、(a−2)成分と相溶する形で柔軟性を有する(b)成分が存在するため、比較的柔軟性を確保し、耐摩耗性、耐外傷性に優れた樹脂を得ることができる。このような効果により、例えば比較的硬質の被覆電線やチューブにもかかわらず、例えばボビンに巻いてもくせがつきくく、製品として優れた特性を有する。
さらに、(a−2)及び(b)成分の含有により長期的な耐熱性の向上が達成される。
不飽和カルボン酸成分とは、例えば、(a)、(a−2)、(h−1)〜(h−3)成分の不飽和カルボン酸による変性に用いられた不飽和カルボン酸成分であり、(h−4)、(h−5)成分の酸共重合成分である、アクリル酸やメタクリル酸のことである。本発明において、不飽和カルボン酸成分の含有量を特定量とすることで、特に優れた強度、耐摩耗性、耐油性、電線の圧接性を保持しつつ、優れた伸び、難燃性を有することが可能となるので好ましい。
(B)水酸化マグネシウム
本発明においては、通常市販されている水酸化マグネシウムを使用することが可能である。本発明において、水酸化マグネシウムは、無処理のままでも、表面処理を施されていてもよい。表面処理としてはたとえば、脂肪酸処理、リン酸処理、チタネート処理、シランカップリング剤による処理などがあげられる。樹脂成分(A)との結合特性の点から、本発明においては、(B−1)無処理の水酸化マグネシウムおよび/または(B−2)シラン処理された水酸化マグネシウムであることが好ましい。
本発明におけるシランカップリング剤は末端にビニル基、メタクロキシ基、グリシジル基、アミノ基を有するものが好ましい。具体的にはたとえば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、メルカプトプロピルトリメトキシシラン、メルカプトプロピルトリエトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ―アミノプロピルトリプロピルメチルジメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ―アミノプロピルトリプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。中でもビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン等が好ましい。シランカップリング剤による表面処理の方法としては、通常使用される方法で処理を行うことが可能であるが、たとえば、表面処理をしていない水酸化マグネシウムをあらかじめドライブレンドしたり、湿式処理を行ったり、混練り時にシランカップリング剤をブレンドすることなどにより得ることが可能である。使用するシランカップリング剤の配合量は、表面処理するに十分な量が適宜加えられるが、具体的には水酸化マグネシウムに対し好ましくは0.1〜2.5重量%、さらに好ましくは0.2〜1.8重量%、より好ましくは0.3〜1.0重量%である。
また、すでにシランカップリング剤処理をおこなった水酸化マグネシウム入手することも可能である。シランカップリング剤で表面処理された水酸化マグネシウムとしては、具体的には、キスマ5L、キスマ5N、キスマ5P(いずれも商品名、協和化学(株)製)や、ファインマグMO−E(商品名、(株)TMG)などがあげられる。
また、無処理の水酸化マグネシウムとしては、たとえばキスマ5(商品名、協和化学(株))、マグニフィンH5(商品名、アルベマール(株))などがあげられる。
本発明においては、水酸化マグネシウムをシランカップリング剤で処理をする場合には、いずれか1種のシランカップリング剤のみでも、2種以上を併用してもよい。
本発明においては、表面処理を行っていない水酸化マグネシウムや、表面処理を行った水酸化マグネシウムをそれぞれ単独で使用しても、併用してもよい。異なる表面処理を行った水酸化マグネシウムを併用することも可能である。
本発明における水酸化マグネシウムの含有量は、樹脂成分(A)100質量部に対し50〜300質量部であり、好ましくは100〜260質量部、さらに好ましくは120〜250質量部である。含有量が少なすぎると、難燃性に問題があり、多すぎると機械特性が著しく低下したり、耐低温性が低下する問題がある。
その他難燃性を向上させるためにメラミンシアヌレート化合物を加えることも出来る。メラミンシアヌレートは、粒径が細かい物が好ましい。本発明で用いるメラミンシアヌレート化合物の平均粒径は好ましくは10μm以下、より好ましくは7μm以下、さらに好ましくは5μm以下である。また、分散性の面から表面処理されたメラミンシアヌレート化合物が好ましく用いられる。本発明で用いることのできるメラミンシアヌレート化合物としては、例えばMCA−0、MCA−1(いずれも商品名、三菱化学(株)製)や、Chemie Linz Gmbhより上市されているものがある。また脂肪酸で表面処理したメラミンシアヌレート化合物、シラン表面処理したメラミンシアヌレート化合物としては、MC640、MC860(いずれも商品名、日産化学(株)製)などがある。
本発明で用いることのできるメラミンシアヌレート化合物として、例えば以下のような構造のメラミンシアヌレートがある。
Figure 2007186622
本発明の難燃性樹脂組成物には、必要に応じスズ酸亜鉛、ヒドロキシスズ酸亜鉛及びホウ酸亜鉛から選ばれる少なくとも1種を配合することができ、さらに難燃性を向上することができる。これらの化合物を用いることにより、燃焼時の殻形成の速度が増大し、殻形成がより強固になる。従って、燃焼時に内部よりガスを発生するメラミンシアヌレート化合物とともに、難燃性を飛躍的に向上させることができる。
本発明で用いるホウ酸亜鉛、ヒドロキシスズ酸亜鉛、スズ酸亜鉛は平均粒子径が5μm以下が好ましく、3μm以下がさらに好ましい。
本発明で用いることのできるホウ酸亜鉛として、具体的には例えば、アルカネックスFRC−500(2ZnO/3B・3.5HO)、FRC−600(いずれも商品名、水澤化学(株)製)などがある。またスズ酸亜鉛(ZnSnO)、ヒドロキシスズ酸亜鉛(ZnSn(OH))として、アルカネックスZS、アルカネックスZHS(いずれも商品名、水澤化学(株)製)などがある。
本発明の難燃性樹脂組成物には、成形物品において、一般的に使用されている各種の添加剤、例えば、酸化防止剤、金属不活性剤、難燃(助)剤、充填剤、滑剤などを本発明の目的を損なわない範囲で適宜配合することができる。
酸化防止剤としては、4,4’−ジオクチル・ジフェニルアミン、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリンの重合物などのアミン系酸化防止剤、ペンタエリスリチル−テトラキス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン等のフェノール系酸化防止剤、ビス(2−メチル−4−(3−n−アルキルチオプロピオニルオキシ)−5−t−ブチルフェニル)スルフィド、2−メルカプトベンゾイミダゾールおよびその亜鉛塩、ペンタエリスリトール−テトラキス(3−ラウリル−チオプロピオネート)などのイオウ系酸化防止剤などがあげられる。
金属不活性剤としては、N,N’−ビス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル)ヒドラジン、3−(N−サリチロイル)アミノ−1,2,4−トリアゾール、2,2’−オキサミドビス−(エチル3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)などがあげられる。
難燃(助)剤、充填剤としては、カーボン、クレー、酸化亜鉛、酸化錫、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化モリブデン、三酸化アンチモン、シリコーン化合物、石英、タルク、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ホワイトカーボンなどがあげられる。
滑剤としては、炭化水素系、脂肪酸系、脂肪酸アミド系、エステル系、アルコール系、金属石けん系、シリコーン系などがあげられ、なかでも、炭化水素系やシリコーン系が好ましい。
本発明の難燃性樹脂組成物は、上記の各成分を、二軸混練押出機、バンバリーミキサー、ニーダー、ロールなど、通常用いられる混練装置で溶融混練して得ることができる。
次に本発明の絶縁電線、ケーブル、光コード等の成形物品について説明する。
本発明の成形物品としては例えば、導体または、光ファイバ素線および/または光ファイバ心線の外側に上記の本発明の難燃性樹脂組成物を被覆層として有する絶縁電線やケーブルなどがある。前記絶縁電線やケーブルは、本発明の難燃性樹脂組成物を通常の押出成形機を用いて導体、光ファイバ、集合絶縁電線やその他成形体の周囲に押出被覆することにより製造することが出来る。またチューブについても同様な方式で製造することが出来る。
本発明の成形体の大きさや形状については特に制限はなく、用途に応じて適宜定められる。例えば絶縁電線に使用される場合、導体の周りに形成される絶縁樹脂組成物の被覆層の肉厚も特に制限はないが、0.15〜3mmが好ましい。また、絶縁層が多層構造であってもよく、本発明の絶縁樹脂組成物で形成した被覆層のほかに中間層などを有するものでもよい。
また、本発明の配線材においては、本発明の樹脂組成物を押出被覆してそのまま被覆層を形成することが好ましいが、さらに耐熱性を向上させることを目的として、押出後の被覆層を架橋させることも可能である。但し、この架橋処理を施すと、被覆層の押出材料としての再利用は困難になる。
架橋を行う場合の方法として、常法による電子線照射架橋法や化学架橋法が採用できる。
電子線架橋法の場合は、樹脂組成物を押出成形して被覆層とした後に常法により電子線を照射することにより架橋をおこなう。電子線の線量は1〜30Mradが適当であり、効率よく架橋をおこなうために、被覆層を構成する樹脂組成物に、トリメチロールプロパントリアクリレートなどのメタクリレート系化合物、トリアリルシアヌレートなどのアリル系化合物、マレイミド系化合物、ジビニル系化合物などの多官能性化合物を架橋助剤として配合してもよい。
化学架橋法の場合は、樹脂組成物に有機パーオキサイドを架橋剤として配合し、押出成形して被覆層とした後に常法により加熱処理により架橋をおこなう。
以下、本発明を実施例に基づきさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
まず、表1および2に示す各成分を室温にてドライブレンドし、バンバリーミキサーを用いて溶融混練して、各難燃性樹脂組成物を製造した。
次に、電線製造用の押出被覆装置を用いて、導体(導体径0.48mmφの錫メッキ軟銅撚線 構成:7本/0.16mmφ)上に、予め溶融混練した難燃性樹脂組成物を押し出し法により被覆して、各々絶縁電線を製造した。外径は0.98mm絶縁層の肉厚0.25mm)とした。
得られた絶縁電線に対して、以下の評価試験を行った。
○引張試験
電線より管状片を作成し引張試験を行った。標線間25mm、引張速度50mm/分で試験を行った。伸び100%以上、引張り強さ18Mpa以上が必要である
○長期耐熱試験
電線より管状片を作成し、136℃のギアー付き恒温槽に168hr放置した。取り出し後、上記条件で引張試験を行った。
引張強さ残率50%以上、伸び残率45%以上で合格である。
○耐油試験
試験方法はJIS C 3005に基づきJIS2号試験油を用い70℃24h浸せきを行った後に引張試験を行った
引張り強さ残率60%、伸び残率60%以上が合格である
○耐摩耗性試験
R=0.225のブレードを用い、JASO 608に基づきブレード往復法により試験を行った。加重は7Nとした。回数500回以上で合格であるが、700回以上がより好ましい。
○電線の圧接性
ハンドプレス機を用い、モレックスMi-IIコネクタを用い圧接を行った後に、観察を行った。圧接刃の部分で1カ所でも割れがあるサンプル及びストレインリリーフ部分で電線被覆部の盛り上がりが矢尻部分を超えたものが発生したものを不合格とした
○難燃性
JASO D 608に基づき、水平燃焼試験を行った。60秒以上延焼したものを不合格とした。
○耐外傷性
JASO D 608に基づく耐摩耗試験のブレード往復法の試験方法で、R=0.125mmのブレードを使用し、荷重5Nで4往復摩耗を行った。その後のサンプルを観察した。
○:外傷がない又は白化が無い
×:外傷がある又は白化が著しい
○くせのつきやすさ
電線を500mm(L1)切り取り、25mmのマンドレルに下端に150gのおもりをつけて巻き付け6時間保持する。6時間後おもりを取り外し、電線のL2長を測定する。図1は、この測定方法の概念の説明図である。図1中、1は巻き付け前の電線を、2はL2長を測定する電線を示す。
このL2が140mm以上の場合○、140mm未満110mm以上を△、110mm以下を×とした。
○、△は実用の範囲内である
×は実用することはできない
○外観
外観は、絶縁電線の外径の変動の有無や表面の状態を目視で調査し、これらが良好であったものを○、やや外径が変動しているが肌荒れは小さいものを△、外径が変動しており不安定なもの、表面に肌荒れが発生したもの、ブリードが発生したものを×で示した。
各材料としては、下記のものを使用した。
(a)不飽和カルボン酸で変性されたポリプロピレン樹脂
アクリル酸変性ポリプロピレン
商品名:ポリボンドP1002 製造元:クロンプトン(株)
アクリル酸変性量:6質量%
(a−2)不飽和カルボン酸で変性されたプロピレン−エチレン・プロピレン共重合体
不飽和カルボン酸で変性されたポリプロピレン系リアクターTPO
キャタロイQ300Fのアクリル酸変性品(アクリル酸変性TPO)
アクリル酸変性量:1.2質量%
(a−2)不飽和カルボン酸で変性されたプロピレン−エチレン・プロピレン共重合体
不飽和カルボン酸で変性されたポリプロピレン系リアクターTPO
キャタロイQ300Fのマレイン酸変性品(マレイン酸変性TPO)
マレイン酸変性量:1.2質量%
(b)無変性プロピレン−エチレン・プロピレン共重合体
ポリプロピレン系リアクターTPO
商品名:キャタロイQ300F
製造元:サンアロマー
ポリプロピレン系リアクターTPO
商品名:キャタロイQ100F
製造元:サンアロマー
(c)無変性ポリプロピレン
ホモポリプロピレン
商品名:MA3H 製造元:日本ポリプロ(株)
ランダムポリプロピレン
商品名:BC6DR 製造元:日本ポリプロ(株)
(d)不飽和カルボン酸で変性されたスチレン系エラストマー
マレイン酸変性スチレン系エラストマー(MAH−SBC)
商品名:クレイトン1901FG
製造元:JSRクレイトン(株)
マレイン酸変性量:1.7質量%
(e)エチレン−αオレフィン共重合体
メタロセン触媒ポリエチレン(密度:898kg/m)(ME−PE 0.898)
商品名:カーネルKF−360 製造元:日本ポリケム(株)
(f−1)エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)
商品名:エバフレックス V−527−4 製造元:三井デュポンポリケミカル(株)
酢酸ビニル含有量:17質量%
(g)無変性スチレン系共重合体(スチレン系エラストマー)
SEPS(スチレン−エチレン−プロピレン−スチレン共重合体)
商品名:セプトン4077 製造元:(株)クラレ
(h−4)エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体
商品名:ニュクレルN1207C 製造元:三井デュポンポリケミカル(株)
メタクリル酸成分含有量:12質量%
(k)ゴム用軟化剤
商品名:ダイアナプロセスオイルPW−90 製造元:シェル社
(B)水酸化マグネシウム
(B−2)シラン処理水酸化マグネシウム
商品名:キスマ5L 製造元:協和科学(株)
(B−1)無処理の水酸化マグネシウム
商品名:キスマ5 製造元:協和科学(株)
脂肪酸処理水酸化マグネシウム
商品名:キスマ5AL 製造元:協和科学(株)
滑剤
ポリエチレンワックス
商品名:ACポリエチレンNO.6 製造元:ヘキスト社
Figure 2007186622
Figure 2007186622
表1〜2で示されるように、不飽和カルボン酸で変性されたプロピレン−エチレン・プロピレン共重合体を用いていない比較例1では、耐熱試験における伸び残率の値が低かった。また、くせのつきやすさも劣るものであった。無変性のプロピレン−エチレン・プロピレン共重合体を用いていない比較例2では耐熱試験における伸び残率の値が低かった。また、くせのつきやすさも劣るものであった。不飽和カルボン酸で変性されたポリプロピレンを用いていない比較例3では伸び、耐外傷性、圧接加工性、耐摩耗性、外観が悪く、くせもつきやすいものであった。さらに、耐熱試験における伸び残率や耐油性試験が測定不能となり、耐熱性に問題があるものであった。また、不飽和カルボン酸で変性されたスチレン系エラストマーの含有量が多すぎる比較例4では、伸び、耐外傷性、圧接加工性、耐摩耗性、外観が悪く、くせもつきやすいものであった。さらに、耐熱試験における伸び残率や耐油性試験が測定不能となり、耐熱性に問題があるものであった。
これに対して、実施例1〜10の絶縁電線は、機械特性、耐熱性、耐摩耗性、耐油性、耐外傷性、くせのつきやすさ、圧接性のいずれにも優れた電線であった。
実施例におけるくせのつきやすさ試験の説明図である。
符号の説明
1 電線
2 L2を測定する電線

Claims (9)

  1. (a)不飽和カルボン酸で変性されたポリプロピレン樹脂22〜90質量%、(b)無変性プロピレン−エチレン・プロピレン共重合体10〜78質量%、(c)無変性ポリプロピレン0〜65質量%(ただし、前記(b)成分のポリプロピレンを除く)、および(d)不飽和カルボン酸で変性されたスチレン系エラストマー0〜40質量%を含有する樹脂成分(A)100質量部に対し、(B)水酸化マグネシウム50〜300質量部を含有し、前記(a)不飽和カルボン酸で変性されたポリプロピレン樹脂が(a−2)不飽和カルボン酸で変性されたプロピレン−エチレン・プロピレン共重合体を含有し、前記(a−2)不飽和カルボン酸で変性されたプロピレン−エチレン・プロピレン共重合体が前記樹脂成分(A)中、5〜90質量%含有されていることを特徴とする難燃性樹脂組成物。
  2. (a)不飽和カルボン酸で変性されたポリプロピレン樹脂22〜90質量%、(b)無変性プロピレン−エチレン・プロピレン共重合体10〜78質量%、(c)無変性ポリプロピレン0〜65質量%(ただし、前記(b)成分のポリプロピレンを除く)、および(d)不飽和カルボン酸で変性されたスチレン系エラストマー0〜40質量%を含有する樹脂成分(A)100質量部に対し、(B)水酸化マグネシウム50〜300質量部を含有し、前記(a)不飽和カルボン酸で変性されたポリプロピレン樹脂が(a−2)不飽和カルボン酸で変性されたプロピレン−エチレン・プロピレン共重合体を含有し、前記(a−2)不飽和カルボン酸で変性されたプロピレン−エチレン・プロピレン共重合体が前記樹脂成分(A)中、10〜90質量%含有されていることを特徴とする難燃性樹脂組成物。
  3. 前記(A)成分が、(h−1)不飽和カルボン酸で変性されたポリオレフィン(ただし、前記(a)成分を除く)、(h−2)不飽和カルボン酸で変性されたエチレン−酢酸ビニル共重合体、(h−3)不飽和カルボン酸で変性されたエチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、(h−4)エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、および(h−5)エチレン−(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種からなる樹脂(h)を0〜65質量%含有することを特徴とする請求項1または2記載の難燃性樹脂組成物。
  4. 前記(A)成分が、(e)エチレン−αオレフィン共重合体0〜65質量%、(f−1)エチレン−酢酸ビニル共重合体および/または(f−2)エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体0〜40質量%、(g)無変性スチレン系共重合体0〜40質量%、並びに(k)ゴム用軟化剤0〜20質量%を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の難燃性樹脂組成物。
  5. 前記(B)水酸化マグネシウムが、(B−1)無処理の水酸化マグネシウムおよび/または(B−2)シラン処理された水酸化マグネシウムであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の難燃性樹脂組成物。
  6. 前記(a)成分の不飽和カルボン酸が(メタ)アクリル酸であること特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の難燃性樹脂組成物。
  7. 前記(A)樹脂成分中、前記(a)成分の配合量が22〜60質量%であること特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の難燃性樹脂組成物。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の難燃性樹脂組成物を導体または、光ファイバ素線および/または光ファイバ心線の外側に被覆層として有することを特徴とする成形物品。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の難燃性樹脂組成物を成形してなることを特徴とする成形物品。
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