JP2007185255A - 眼内レンズ挿入器具、及びこれを備える眼内レンズ挿入システム - Google Patents

眼内レンズ挿入器具、及びこれを備える眼内レンズ挿入システム Download PDF

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Abstract

【課題】潤滑剤を容易に注入できる眼内レンズ挿入器具、及び眼内レンズ挿入システムの提供。
【解決手段】変形可能な眼内レンズ1を眼内に挿入するための眼内レンズ挿入器具であり、眼球に設けられた切開創に挿入する挿入筒部と,挿入筒部の基端側に設けられ眼内レンズ1を載置する載置面を有する載置部であり眼内レンズ1を折り曲げるために下縁を連結するヒンジ部を有した開閉可能な2つの半割部材からなる載置部とを有するレンズカートリッジ10と、レンズカートリッジ10を先端に配置する筒構造の挿入器具本体と、挿入筒部から眼内レンズ1を押し出すために挿入器具本体の筒内で軸方向に進退移動可能に設けられた押出手段とを有する眼内レンズ挿入器具において、載置部には、2つの半割部材12a,12bが開いた状態で形成される眼内レンズ1と半割部材12a,12bとの間のスペースに対して外部から潤滑剤を注入するための注入路80がある。
【選択図】図7

Description

本発明は、眼内レンズを眼内に挿入する眼内レンズ挿入器具、及びこれを備える眼内レンズ挿入システムに関する。
被検眼の眼内に眼内レンズを挿入する際には、インジェクタと呼ばれる眼内レンズ挿入器具を使用する方法が一般的である。このような眼内レンズ挿入器具は、眼球に設けられた切開創に挿入する挿入筒部と,眼内レンズを載置するレンズ載置部とを持つカートリッジと、先端にカートリッジを装着し眼内レンズを送出するための挿入器具本体からなるものが一般的である(例えば、特許文献1参照)。特許文献1の場合、レンズ載置部は、下縁を連結するヒンジ部を有した開閉可能な2つの半割部材からなり、2つの半割部材を閉じあわせることにより眼内レンズが折り曲げ可能な構成となっている。
特開平5−103803号
ところで、上記のような眼内レンズ挿入器具を用いて被検眼の眼内に眼内レンズを挿入させる際、レンズ載置部に形成されたレンズ載置面に載置される眼内レンズが挿入筒内で円滑に移動できるように潤滑剤(粘弾性物質)が用いられる。特許文献1に示すような眼内レンズ挿入器具において、このような潤滑剤を使用する場合、2つの半割部材を開いた状態でレンズ載置面全体にまんべんなく潤滑剤を塗布する。その後、眼内レンズを載置面に載置し、2つの半割部材を閉じ合わせて本体にセットする。
本発明は、上記従来技術の問題点を鑑み、手間をかけることなく潤滑剤を容易に注入できる眼内レンズ挿入器具、及びこれを備える眼内レンズ挿入システムを提供することを技術課題とする。
上記課題を解決するために、本発明は以下のような構成を備えることを特徴とする。
(1) 変形可能な眼内レンズを眼内に挿入するための眼内レンズ挿入器具であって、眼球に設けられた切開創に挿入する挿入筒部と,前記挿入筒部の基端側に設けられ前記眼内レンズを載置する載置面を有する載置部であって前記眼内レンズを折り曲げるために下縁を連結するヒンジ部を有した開閉可能な2つの半割部材からなる載置部とを有するレンズカートリッジと、該レンズカートリッジを先端に配置する筒構造の挿入器具本体と、該挿入筒部から眼内レンズを押し出すために前記挿入器具本体の筒内で軸方向に進退移動可能に設けられた押出手段とを有する眼内レンズ挿入器具において、前記載置部には、前記2つの半割部材が開いた状態で形成される前記眼内レンズと半割部材との間のスペースに対して外部から潤滑剤を注入するための注入路が設けられていることを特徴とする。
(2) (1)の眼内レンズ挿入器具において、前記注入路は一方の前記半割部材外壁に注入口を有するとともに前記半割部材同士を閉じる際に向き合う前記一方の半割部材が持つ側壁に送出口を有するように形成されていることを特徴とする。
(3) (2)の眼内レンズ挿入器具において、前記注入口は一方の前記半割部材底部に形成されていることを特徴とする。
(4) (1)の眼内レンズ挿入器具において、前記注入路には、前記潤滑剤の注入に用いる注射器の注射針の先端の進行を規制する規制手段が設けられていることを特徴とする。
(5) (4)の眼内レンズ挿入器具において、前記注入路の送出口の位置が前記眼内レンズの中心付近にくるように形成されていることを特徴とする。
(6) (1)〜(5)に記載の眼内レンズ挿入器具をレンズカートリッジが配置された状態で前記挿入器具本体を固定保持するためのホルダを有し、該ホルダには前記眼内レンズを応力をかけることなく前記載置部内の所定の空間に位置させた状態で保管するためのレンズ保管部を有することを特徴とする。
本発明によれば、眼内レンズ挿入器具を使用する際に手間をかけることなく、潤滑剤を容易に注入できる。
以下、本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。図1は、本実施形態に係る眼内レンズ挿入システムの外観概略図である。図1(a)は、インジェクタ50をホルダ30に固定保持した状態を示す図である。
100は眼内レンズ挿入システムである。眼内レンズ挿入システム100は、大別して変形可能な眼内レンズ1(図2参照)を眼内に挿入するための眼内レンズ挿入器具50(以下、インジェクタと記す)と、インジェクタ50を固定保持するためのホルダ(包装材)30とからなる。インジェクタ50は、使用の際に内部に折り曲げ可能な眼内レンズ1を載置し、眼内レンズ1を変形(折り曲げ)させて眼内に挿入するためのレンズ変形部10(以下、カートリッジと記す)と、先端にカートリッジ10を装着(配置)し、眼内レンズ1を送出するための挿入器具本体20(以下、ハンドピースと記す)からなる。ホルダ30はインジェクタ50全体を固定し包装する。使用時には、ホルダ30からインジェクタ50を取り外し、インジェクタ50より眼内レンズを送出する。なお、インジェクタ50は一度の使用で廃棄する使い捨てタイプ(ディスポーザブルタイプ)である。
図1(b)は、インジェクタ50をホルダ30から取り外した状態を示す図である。ベース部31の周囲には、保護壁32が設けられ、ホルダ30に保持されるインジェクタ50を四方から保護する役割を持っている。また、ベース部31にはインジェクタ50を取り付け、固定するための取付手段となる基台33a及び33bが設けられている。
34は眼内レンズ1を載置し、保持するための保持台である。保持台34の横幅は、光学部2の径よりも短くされている。また、その高さはホルダ30からインジェクタ50を取り外す方向に所定量だけ延びている。また、保持台34の上端には、眼内レンズ1の光学部2を載置するための窪み35が設けられている。また、図示するように、窪み35によって前後に形成される側壁34aは、眼内レンズ1の光学部2の径に合わせた曲面を有しており、窪み35に眼内レンズ1(光学部2)を載置した際に、側壁34aにより光学部2を前後方向から挟持する構成となっている。また、窪み35の光学部2が載置される底部分は、所定の曲率でカーブが付けられており、光学部2を載置した際に窪み35の底部分に対して光学部2の中心以外の周辺部分で当接できるようになっている。このような構成により、眼内レンズ1をより安定して載置(保持)することができる。また、保持台34は、窪み35に眼内レンズ1を収めることで、後述する載置部12内の所定の空間に眼内レンズ1を位置させた状態で保管するためのレンズ保管部を兼ねることとなる。
図2は、カートリッジ10に載置される眼内レンズ1の構成を説明するための概略構成図である。インジェクタ50を用いて眼内に挿入される眼内レンズ1は、所定の屈折力を有する光学部2と、光学部2を眼内で支持するための支持部3からなる。眼内レンズ1の光学部2は、折り曲げ(変形)可能な材料から形成されており、例えば、HEMA(ヒドロキシエチルメタクリレート)等の単体や、アクリル酸エステルとメタクリル酸エステルの複合材料等の親水性、疎水性の軟性材料を用いることができる。
図3は本実施形態のカートリッジ10の概略構成を示す斜視図である。カートリッジ10は、図示するように、先端に向かうにしたがって、その径が徐々に小さく(細く)なるテーパ形状を有する挿入部11と、眼内レンズ1を設置する載置部12とが一体的に形成されている。
眼球に設けられた切開創に挿入する挿入部11は中空の筒形状となっており、折り畳まれた眼内レンズ1が、この中空部分を通して外部に送り出されるようになっている。また、挿入部11の基端側に設けられた載置部12は、2つの半割部材12a,12bから形成されており、半割部材12a及び12bの下縁同士がヒンジ部13によって連結され、開閉可能となっている。14a及び14bは半割部材12a,12bに各々設けられた載置面(台)であり、眼内レンズ1を載せる載置面の形状(壁面形状)は、眼内レンズ1を折り曲げる方向に沿った曲面を有している。なお、ヒンジ部13によって連結された半割部材12a及び12bは、所定の間隔を維持できる程度に半開状態を維持できる構成となっている。所定の間隔をとる構成とは、載置部12に眼内レンズ1を載置した状態であっても、半割部材12a及び12bが眼内レンズ1に対して折り曲げるだけの応力をかけることなく、眼内レンズ1を両側から挟み込んで、眼内レンズ1の左右の移動を規制している構造を指す。また、半割部材12a及び半割部材12bは、両部材が閉じ合う際に、互いに向き合った状態に位置する側壁12a1と側壁12b1をそれぞれ有し、半割部材12aと半割部材12bとが下縁(ヒンジ13)を軸に開いた際には、この側壁12a1と側壁12b1とによって断面略V字型のV字スペース19が形成される(図7(c)参照)。ここで、眼内レンズ1及びV字スペース19を上方より見た場合(図示は略す)、載置部12に載置される眼内レンズ1の光学部2の中心付近がV字スペース19上に位置するようになっている。
18はウイングで、カートリッジ10をハンドピース20に固定する際に用いられる。80はヒアルロン酸ナトリウム等からなる潤滑剤をカートリッジ10内に注入させるための注入路である(詳しくは、後述する)。
また、半割部材12a及び12bを閉じ合わせると、載置面の壁面形状(載置面形状)が変形し、挿入部11の基端側開口形状(半円形状)と略一致するようになっている。15a及び15bは、半割部材12a、12bの各々の上部に設けられたカバーであり、半割部材12aと半割部材12bとが閉じ合ったときに、載置面14a及び載置面14bの上方を覆うように形成されている。なお、カバー15bの端部には、カバー15bの長手方向に沿って載置面の上方から下方に向かって延びるように形成された凸部16が設けてある。この凸部16は、カートリッジ10にセットされた眼内レンズ1を折り曲げる際に、その折り曲げを常に載置面の内壁面(載置面)に沿って行うように規制する役目を果たしている。
17a、17bは半割部材12a、12bにそれぞれ設けられた嵌合部材である。図示するように、嵌合部材17a、17bは、カバー15a、15bの面から上方にのびた部材であり、嵌合部材17aには嵌合部材17a,17b同士を閉じ合わせるための凹部17a1が、嵌合部材17bには前述の凹部17a1と嵌合するフック17b1が設けられている。半割部材12aと12bが閉じられる際に、嵌合部材17aと17bが閉じ合わさる。このとき、凹部17a1とフック17b1が嵌め合い、載置部12が閉じ合わさり、半割部材12aと12bはヒンジ13による半開状態から、閉じた状態を維持する。
図4はハンドピース20の構成を示す概略図である。図4(a)はハンドピースの概略構成を示した斜視図、図4(b)は概略断面図を示す。図示するように、ハンドピース20は中空の筒である筒部26を持ち、その先端には、カートリッジ10を装着するための装着部20aが設けられている。また、眼内レンズ1を押し出すために挿入器具20の筒部26内で軸方向に進退移動可能に設けられた押出手段となる押出棒25が設けられ、筒部26の外周には眼内レンズ1の挿入時に術者が指をかける部材となる取手24が設けられている。
図示するように、装着部20aは、ガイド21、把持部22、固定部23により構成される。ガイド21はハンドピース20の先端を円周で4分の1程度残した形状をしている。また、ガイド21上に設けられた固定部23の両端には、カートリッジ10を装着した際にウイング18の基端を固定保持するための固定部23a,23bが形成されている。
挿入部11の根元部分を把持する把持部22は、ハンドピース20の中心軸を取り囲むように、円周の2分の1よりやや長めの円弧からなる略C字形状にて形成されており、カートリッジ部10の動きを制限する。また、固定部23は、ハンドピース20の中心軸よりも若干上方に位置しており、差し込まれたカートリッジ10の動きを規制する。また、把持部22と固定部23aとの間は、カートリッジ10の挿入部11の根元から半割部材12a、12bの端までの前後方向の幅と略一致しており、カートリッジ10が把持部22と収まる構造となっている。また、ガイト21はカートリッジ10の半割部材12aを保持し、カートリッジ10の動きを規制する。
装着部20aにカートリッジ10を取り付ける際には、ガイド21に半割部材12aの底面が当接する。そして、半割部材12aの外壁は円形状をしているため、ガイド21に密着固定される。このとき、半割部材12bは固定しないため、載置面12は閉じられることがない。
なお、把持部22は、装着されたカートリッジ10を係止し、容易にハンドピース20から外れないようにするスナップイン構造を有していてもよい。また、ガイド21の円周は、筒部26の円周に対し、4分の1程度である。このため、ガイド21は半割部材12aをハンドピース20に固定するのみで、半割部材12bを固定はしない。よって、半割部材12a,12bを閉じ合わせる方向の力が生じない。従って、カートリッジ10にハンドピース20が装着されても、カートリッジ10の半開状態は維持される。
図5(a)は、ホルダ30にインジェクタ50が固定された状態を上方より見たときの図である。図5(b)は、ホルダ30及びインジェクタ50のA−A'方向の断面を見たときの断面概略図である。
前述したように保持台34の横幅は、光学部2の径よりも短くされており、カートリッジ10(半割部材12a,12b)の半開の邪魔をしないとともに、載置された光学部2の一部が窪み35から、横方向にせり出すようになっている(図5(b)参照)。よって、ホルダ30からインジェクタ50を図示する矢印方向に向けて取り外す際に、半開しているカートリッジ10の載置面14a,14bに眼内レンズ1が引っ掛かり、載置部12内に残ることとなる。
また、カートリッジ10の載置面12は、外力が加えられていない状態では半開状態となっており、保持台34の窪み35に置かれている眼内レンズ1は、カートリッジ10に覆われる(眼内レンズ1の光学部2が、載置部12の内壁に接触しない状態で、載置部12内に形成される中空部分に位置する)。このような構成により、眼内レンズ1とインジェクター50が保護される。なお、図示するように、押出棒25は基台33bにより、軸方向への動きを規制される。押出棒25の先端は、カートリッジ10の基端よりも、ハンドピース20側に置かれる。このような構成により、インジェクタ50の運搬中に、眼内レンズ1が押出棒25により送出されることを低減できる。
図6は、カートリッジ10内に潤滑剤を注入するために潤滑剤注入用注射器90の構成を示す図である。注射器90は、先端付近が折り曲がった注射針91、シリンダ部92、ピストン部93を持つ。また、注射器90のシリンダ部92の中には、載置部12内及び挿入筒11内で眼内レンズ1を円滑に移動させるための潤滑剤Jが封入されている。
図7(a)は、インジェクタ50を上方より見たときの図であって、カートリッジ10付近を拡大したものである。図7(b)は、インジェクタ50のB−B'方向の断面を見たときの断面概略図(拡大図)である。図7(c)は、インジェクタ50のC−C'方向の断面を見たときの断面概略図(拡大図)である。
70は潤滑剤を注入するための注射器の針をカートリッジ10に形成された注入路80に挿入させるための挿入口であり、カートリッジ10の一部を外側から覆うガイド部21に形成されている。挿入口70は、ガイド部21の内壁側端面に注射針91の針が通る程度の大きさの狭いカートリッジ側開口71、ガイド部21の外壁側端面に挿入器具50の軸方向に延びたスリット状開口72、開口72の押出棒25側端部72aから開口71に向かって傾斜する(軸方向に対して傾斜する)傾斜部73、挿入器具50の軸方向に垂直な挿入部11側の壁74、左右を取り囲む左右壁によって形成されている。なお、カートリッジ側開口71は、ガイド部21に装着された状態のカートリッジ10の注入路80と連通するように形成されている。また、スリット状開口72は、上面から見ると、カートリッジ側開口71を上端として、押出棒25側方向(後ろ方向)に向かって延びたような形状となっている。この場合、傾斜部73の傾斜が前後方向に形成されるため、検者は、挿入口60に対して注射針90の針を容易に挿入することができる。
80は潤滑剤Jをカートリッジ10内に注入させるための注入路(注入孔)であり、2つの半割部材12a及び12bが開いた状態で形成される眼内レンズ1と半割部材12a及び12bとの間のスペースに対して外部から潤滑剤Jを注入できるようになっている。注入路80は、載置部12の半割部材12aの一部に形成されており、注入路80に注射針90が挿入された状態で潤滑剤Jの注入が行われる。この場合、注入路80は、半割部材12aの外壁から半割部材12aの側壁12a1までを結ぶ通路を形成している。
注入路80は、挿入口70の開口71と連通する注入口81を有する。この注入口81は、半割部材14aの底部に形成されている。図7(c)に示すように、注入路80は、注入口81から半割部材12aの内部に向って側壁12a1の一部が所定量削り取られた状態で形成され、出口となる送出口82はV字スペース19と同空間に形成される。
なお、注入路80は、注入口81から眼内レンズ1を載置する載置面14aに向けて注射針91を貫通させず、途中で止めることにより、注射針91の先端の進行を規制する壁83を設けている。その結果、注射器90を用いて潤滑剤Jをカートリッジ10内に注入する際に、注入路80に挿入された注射針93の挿入方向(矢印F方向)への移動を規制し、注射針91先端が眼内レンズ1の後面1aに接触して眼内レンズ1に傷が付いてしまうのを防ぐ。
また、壁83は、図7(c)に示すように、注射針91の挿入方向に対して所定の傾きを持つように形成されており、注射針91が送出口82から眼内レンズ1に向うのを規制する針返しの役割を有する。この場合、注入路80に挿入された注射針91の先端部分は、壁83に当接され、側壁の方向にガイドされる。すなわち、注入路80に挿入された注射針91の先端の位置のV字スペース19側への移動が規制される。これにより、注射針91の先端が送出口82を介して眼内レンズ1に向かうのを防止できる。よって、注射針91の先端部分と眼内レンズ1との接触を規制することができ、眼内レンズ1に傷がついてしまうのを回避することができる。
以上のような構成を持つ眼内レンズ挿入システム100を使用する動作を説明する。まず、術者(使用者)は、眼内レンズ挿入システム100を、無菌状態を維持するためのケース(図示を略す)から取り外した後、ホルダ30からインジェクタ50を取り外す。このとき、図5に示す矢印の方向(ホルダ30から真上に引き抜く方向)にカートリッジ10が移動することとなる。このとき、窪み35に載置されている眼内レンズ1は、取り外す方向に対して移動が規制されていないため、カートリッジ10の移動とともに載置面14a,14bに当接した状態で押し上げられ、規制部材34(窪み35)から外れ、カートリッジ10内部に残る。
次に、潤滑剤Jをカートリッジ10内に注入する際の動作について説明する。まず、検者は、注射針91を挿入口70から注入路80の中に挿入する。注射針91が注入路80内に挿入され、さらに、奥方向(カートリッジ10の内側)に挿入されていくと、針91の先端部分が壁83に当接される。このとき、前述のように、壁83によって注射針91の先端部分が送出口82側に向かわないようにガイドされる。そして、検者は、注射器90のピストン93を押すと、注射器90内に封入された潤滑剤Jが注射器の針の管内を通って、注射針91の先端から流出される。流出された潤滑剤Jは、より広いスペースがある方に多く進んでいくので、V字スペース19周辺に溜められる(図7(c)参照)。
このようにしてカートリッジ10内に潤滑剤が一定量注入されたら、検者は、ヒンジ部13が下側に来るように挿入器具50を回転させる。このとき、眼内レンズ1の上に溜まった潤滑剤Jは、V字スペース19に溜まった状態となる(図8参照)。そして、検者は、カートリッジ10の嵌合部材17a、17bを閉じ合わせていく。この動作により、半割部材12a、12bが閉じ合わされていく。これにより、V字スペース19の間隔が狭くなるので、V字スペース19に溜まった潤滑剤Jは、レンズ載置面14a及び14bと眼内レンジ1とのスペースに徐々に押し出されていく。その後、凹部17a1とフック17b1を嵌め合わせられると、V字スペース19は閉じられた状態となり、潤滑剤は、載置部14の載置面と眼内レンズ1と間に介在した状態となる。なお、注入路80(注入口81)は注射針が通る程度の径(0.5mm程度)であるため、潤滑剤Jが外部に漏れ出すことは極力抑えられる。
なお、半割部材12a、12bが閉じ合わされる際、載置面14aと載置面14bとの幅(間隔)が狭くなっているため、載置面の壁面にて眼内レンズ1を左右方向から押すこととなる。その結果、眼内レンズ1に応力が掛けられた状態となり、眼内レンズ1は載置面14a,14bの壁面(載置面)に沿って折り曲げられることとなる。
なお、眼内レンズ1が反対側に折り曲げられようとした場合には、眼内レンズ1の上面が凸部16に当たり、その方向への折り曲げが規制されるため、最終的には載置面14a,14bの壁面に沿って折り曲げられることとなる。
以上の説明のように、半割部材12a及び12bの閉じ合わせ動作に応じて、V字スペース19に溜まった潤滑剤Jが除去に押し出されていくいき、潤滑剤Jが眼内レンズ1のレンズ面全体に行き渡る。以上のような構成により、カートリッジ10に眼内レンズ1を載置する手間をかけることなく、従来のように載置部12のレンズ載置面に潤滑剤を塗布する手間がなくなるため、検者は、カートリッジ内10に潤滑剤Jを容易に注入することができる。
なお、カートリッジ10内に注入される潤滑剤Jの出口となる送出口82の位置は、インジェクターの軸方向において、カートリッジ10内に載置される眼内レンズ1の光学部2の中心付近下に位置するように形成されており、カートリッジ10内に注入される潤滑剤Jが眼内レンズ1の中心付近及びV字スペース19に溜まるように載置部12に形成されている。このようにすれば、その送出口82の形成位置と、前述のように眼内レンズ1の光学部2の中心付近とV字スペース19とは上方から見て重なるように載置されたことで、潤滑剤Jをカートリッジ10内に注入した際に、潤滑剤Jは眼内レンズ1の中心付近及びV字スペース19に溜まっていく。このため、載置部12を閉じあわせる際に、眼内レンズ1のレンズ面全体に潤滑剤Jが行き渡りやすい。
その後の動作について簡単に説明する。眼内レンズ1がインジェクタ50に装填された後に、押出棒25を押して、押出棒25を前方に移動させていく。押出棒25は、ハンドピース20の筒内を先端に向かって移動し、眼内レンズ1を前方の挿入部11に押していく。眼内レンズ1が挿入部11内に入り、挿入部11の開口径が狭くなってくると、眼内レンズ1は挿入部11内部の壁面に沿って折り曲げられていく(丸め込まれていく)。その結果、挿入部11の先端から小さく折り曲げられた眼内レンズ1が眼内に押出されることとなる。
なお、本実施形態では半割部材の底部に注入口81を形成させたものとしているが、これに限るものではなく、挿入する注射針が眼内レンズに接触せず、眼内レンズの後面(載置面と接する面)側に潤滑剤が塗布できるような注入路が設けられていればよい。例えば、半割部材の外部側壁側からV字スペース(半割部材が開いた状態のときに形成されるスペース)に向けて貫通路を形成することもできる。また、本実施形態ではカートリッジ(載置部)を保持するためのガイド部材を設けているために、このガイド部材に注入路と連通する挿入口を設けるものとしているが、カートリッジ周辺がガイド部材で覆われていなければ、このような挿入口を設ける必要がないことは言うまでもない。
本実施形態に係る眼内レンズ挿入システムの外観概略図である。 カートリッジに載置される眼内レンズの構成を説明するための概略構成図である。 本実施形態のカートリッジの概略構成を示す斜視図である。 ハンドピースの構成を示す概略図である。 (a)はホルダにインジェクタが固定された状態を上方より見たときの図であり、(b)はホルダ及びインジェクタのA−A'方向の断面を見たときの断面概略図である。 カートリッジ内に潤滑剤を注入するために潤滑剤注入用注射器の構成を示す図である。 (a)はインジェクタ50を上方より見たときの図であって、カートリッジ10付近を拡大したものであり、(b)はインジェクタのB−B'方向の断面を見たときの断面概略図であり、(c)はインジェクタのC−C'方向の断面を見たときの断面概略図である。 ヒンジ部が下側に来るように挿入器具を回転させた際の図である。
符号の説明
1 眼内レンズ
10 カートリッジ
12 載置部
12a 半割部材
12b 半割部材
20 挿入器具本体
30 ホルダ
70 挿入口
80 注入路
81 注入口
82 送出口
83 壁



Claims (6)

  1. 変形可能な眼内レンズを眼内に挿入するための眼内レンズ挿入器具であって、眼球に設けられた切開創に挿入する挿入筒部と,前記挿入筒部の基端側に設けられ前記眼内レンズを載置する載置面を有する載置部であって前記眼内レンズを折り曲げるために下縁を連結するヒンジ部を有した開閉可能な2つの半割部材からなる載置部とを有するレンズカートリッジと、該レンズカートリッジを先端に配置する筒構造の挿入器具本体と、該挿入筒部から眼内レンズを押し出すために前記挿入器具本体の筒内で軸方向に進退移動可能に設けられた押出手段とを有する眼内レンズ挿入器具において、前記載置部には、前記2つの半割部材が開いた状態で形成される前記眼内レンズと半割部材との間のスペースに対して外部から潤滑剤を注入するための注入路が設けられていることを特徴とする眼内レンズ挿入器具。
  2. 請求項1の眼内レンズ挿入器具において、前記注入路は一方の前記半割部材外壁に注入口を有するとともに前記半割部材同士を閉じる際に向き合う前記一方の半割部材が持つ側壁に送出口を有するように形成されていることを特徴とする眼内レンズ挿入器具。
  3. 請求項2の眼内レンズ挿入器具において、前記注入口は一方の前記半割部材底部に形成されていることを特徴とする眼内レンズ挿入器具。
  4. 請求項1の眼内レンズ挿入器具において、前記注入路には、前記潤滑剤の注入に用いる注射器の注射針の先端の進行を規制する規制手段が設けられていることを特徴とする眼内レンズ挿入器具。
  5. 請求項4の眼内レンズ挿入器具において、前記注入路の送出口の位置が前記眼内レンズの中心付近にくるように形成されていることを特徴とする眼内レンズ挿入器具。
  6. 請求項1〜5に記載の眼内レンズ挿入器具をレンズカートリッジが配置された状態で前記挿入器具本体を固定保持するためのホルダを有し、該ホルダには前記眼内レンズを応力をかけることなく前記載置部内の所定の空間に位置させた状態で保管するためのレンズ保管部を有することを特徴とする眼内レンズ挿入システム。




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