JP2007184014A - 情報記録再生装置及びディスク装置 - Google Patents

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明哲 塩澤
Hisataka Sugiyama
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Abstract

【課題】
記録または再生中にディスク回転軸に対する歳差運動を加えられた際、コリオリ力によりディスクのチルトが増大するが、記録または再生を止めることなく記録または再生品質を劣化させることなく記録再生動作を維持させる手法を提供する。
【解決手段】
記録または再生中にディスクに発生するチルト量をリアルタイムに監視し、チルト量が所定の値を超えたらディスクの回転数を下げることで、ディスクにかかるコリオリ力を低減しチルトを抑圧する。
【選択図】 図6

Description

本発明は、ディスク状記録媒体の情報記録再生装置に係り、特にコリオリ力によるディスクのチルト発生時の記録再生品質劣化を防止する技術に関する。
従来技術として、「コリオリ力が作用してディスクの変形等によりチルトが大きくなる場合にも、入力される情報を保護し、正常な情報を記録・再生することのできる光ディスク情報記録再生装置の提供する」(特許文献1の要約の課題)ため、「ディスク5に作用するコリオリ力を常時検出し、コリオリ力がディスク5への正常な情報の書き込みができない程度に大きいことがコリオリ力検出器77により検出された場合には記録情報2を一時的にバッファメモリ4に蓄積し、コリオリ力が正常な書き込みができる程度の大きさに復元したことを検出した後でディスク5にバッファメモリ4に退避させた記録情報2を記録する」(特許文献1の要約の解決手段)ことが開示されている。
また、他の従来技術として、「光ディスクビデオカメラにおいて、振動・衝撃、半導体レーザの温度上昇などで光ディスクへの記録不可能な状態が発生しても、撮影を続行できるようにする」(特許文献2の要約の課題)ため、「撮影指令を受けて、ビデオカメラ部で入力した映像・音声情報を圧縮してAVストリームに変換し、このAVストリームをバッファメモリに一旦蓄積し、光ディスクの所定位置に記録すべき撮影データとして光ディスク装置に間欠的に出力し、光ディスクの所定位置に撮影データを記録する光ディスク・ビデオカメラであって、不揮発性メモリと、前記光ディスク装置の記録が可能か不可能かどうかを判定する判定手段と、前記判定手段によって前記光ディスク装置が記録不可能と判定された期間は、前記光ディスクへの記録を停止するとともに記録すべき前記撮影データを前記不揮発メモリに代替記録する記録制御手段と、を備える」(特許文献2の要約の解決手段)ことが開示されている。
特開2000−322813号公報 特開2005−175567号公報
ところで、光磁気ディスク、光ディスク、ハードディスクなど、ディスク状の記録媒体を利用した情報記録再生装置は、高密度、高倍速記録により大記憶容量、高速アクセスなどの優れた性能を発揮している。また、動画像のような大容量のデータもMPEG(Moving Picture Experts Group)に代表されるような圧縮技術により、高品質のまま長時間の動画像データを手軽に扱えるようになった。これらの技術的背景から、既に主流になっているPC等のデータストレージ用途に加え、ビデオレコーダなどの動画像を扱うAV機器への応用が近年著しく拡大している。特に、DVD(Digital Versatile Disc)などの光ディスクは記憶容量とメディア価格とのバランスやリムーバブルメディアで取り扱いやすい等の観点から、民生用AV機器の映像ストレージメディアとして主流になっている。この様な背景の中、ビデオカメラなどの携帯機器においても同様の動向があり、光ディスク媒体を利用するものが一般的になってきている。
ビデオカメラ等の携帯型の情報記録再生装置ではDVDレコーダ等の据え置き型とは違い持ち運びができるため、屋内や屋外等いろいろな場所、場合で使用されるので使用環境が多岐にわたっている。このため、急激な温度変化や、振動、衝撃など、あらゆる状況の変化に常に適応しながら、記録再生を行う必要がある。
一方、今後の市場動向は、さらに、高画質、長時間記録化への要求があり、より高密度に記録できるフォーマットに移行することが予想される。光ディスクドライブの要求仕様としても、これら、高品質化の流れにより、高転送レート、高倍速記録の傾向がさらに高まりつつある。この様な動向の中で、光ディスク媒体を用いた携帯型情報記録再生装置の固有の問題として、光ディスクの回転数が増すことによりビデオカメラ用途の場合、パン動作等を行うと光ディスクドライブの光ディスクに発生するコリオリ力が大きくなり、この影響で光ディスクのチルト量が大きくなり、チルト量が大きくなりすぎると記録再生が正常に出来ない場合が発生することがわかっている。コリオリ力によるチルト量は、パン動作等をすることにより光ディスク回転軸に対する回転運動(以後、歳差運動と記す)を行った場合に発生し、その大きさは、歳差運動の角速度および光ディスクの回転数に比例する。従来から問題になっている振動や衝撃などにより光ディスクドライブに働く加速度は、周期的またはインパルス状に振幅が変化する特性を持ち、この加速度によるデトラックやデフォーカスが記録再生の品質に影響を及ぼしているが、パン動作等により光ディスクに働くコリオリ力には周期性がなく歳差運動のため光ディスクの傾斜(チルト)による光ディスクに照射されるレーザの光軸の角度変動が記録再生の品質に影響を及ぼす。この様な角度変動は従来から用いられてきた振動・衝撃などを検出するための加速度センサでは、一定の角速度で運動する歳差運動状態では加速度センサの出力は0Gであり、検出が出来ないという問題があった。また、コリオリ力によるチルトでは、ディスクの高さ方向が変化しないチルトも発生する為、面ぶれ時のディスクの上下振動の振幅量を検出する方法でも検出できなかった。
また、リアルタイム記録が必須である光ディスクを使用したビデオカメラ(以後、光ディスクカメラと記す)では、映像情報を光ディスクに対しリアルタイムに記録を行うわけではなく、映像情報を所定の圧縮率で変換処理する際の圧縮後に単位時間あたりに出力されるデータ量(以後、変換レートと記す)と光ディスクに単位時間あたりに記録するデータ量(以後、記録レートと記す)の差を吸収する目的等のためにバッファメモリを用いて、一旦バッファメモリに記憶した映像データを読み出して光ディスクへの書き込みと書き込み休止とを交互に繰り返す間欠記録を行っている。
図1に、光ディスクカメラにおける記録動作時のバッファメモリの状態の模式図を示す。横軸を時間軸、縦軸をバッファメモリに記憶されたデータ容量とした場合の、通常記録状態でのバッファメモリの記憶データ容量の増減を表している。
記録する映像情報の欠落をなくすには光ディスクに対しての記録は間欠記録であっても、バッファメモリに対してはシームレスに記憶する必要がある。データA101は、撮像部分等の光ディスクカメラの上位のホストコントローラから所定の変換レートで圧縮され転送されてくる映像データであり、バッファメモリ上に一度記憶するため、バッファメモリ上には図に示すように変換レートに対応した傾き102で蓄えられていく。データA101がバッファメモリの全容量の80%(この値はリトライ等のマージンとして20%考慮した値でありシステムにより任意に決定できる)に達したところで、バッファメモリ上に一時的に記憶されていたデータA101をデータA101の変換レートより大きな所定の記録レートに対応した傾き103で読み出し光ディスク上に記録する。同時にバッファメモリにはデータA101に引き続き時間的に途切れることなく(シームレス)データB104を蓄えていく。その後は、同様にバッファメモリの全容量の80%になったらバッファメモリから読み出し光ディスクに記録すると同時にデータC105をバッファメモリに蓄えるという動作を繰り返す。
尚、通常の記録ではこの様な動作を繰り返しており、バッファメモリに蓄えられる映像データは圧縮されるデータの変換レートに対して、光ディスクに書き出す記録レートのほうが大きいため通常はオーバーフローを起こすことはない。
ここで、パン動作等により光ディスクカメラに加えられた歳差運動によるコリオリ力は、振動や衝撃等の外乱と性質が異なり比較的時間の長い外乱であることを考慮する必要があり、さらに、光ディスクの回転数が高い場合は、パン動作等のように角速度の小さい比較的ゆっくりとした動作の歳差運動でも大きなコリオリ力が発生することにも考慮する必要がある。
しかしながら、上述した文献1と文献2の従来技術は光ディスクに対する記録を一時的に停止するものであり、衝撃・振動のような外乱が瞬間的または比較的短い時間で収束するような動作の場合に有効であるが、パン動作等のように長時間コリオリ力が発生する条件に対しては十分な考慮がなされていないため、記録が中断しデータが欠落してしまう場合があるという課題があった。これに関し図2を用いて説明する。
図2に、光ディスクへの記録開始直前のタイミングでパン動作による歳差運動により、長時間コリオリ力が発生した時のバッファメモリの状態の模式図を示す。記録動作中の一連の動作は図1で説明した通りであり、異なる点は光ディスクへの記録開始直前に歳差運動期間201(歳差運動によるコリオリ力の影響でチルトが発生し正常な記録再生が出来なくなるレベル=記録不可期間)を加えた条件にしていることである。
歳差運動によるチルト量が所定の値より大きくなったことを検出したことで記録を停止する方式では、チルト量が所定の値より大きくなっている期間である歳差運動期間201の間も映像データA202は上位のホストコントローラから転送されてくる所定の変換レートに対応した傾き203でバッファメモリに蓄えられていく。本来であればバッファメモリに一時記憶されたデータが80%の容量に達した状態で光ディスク上へデータA202を書き出すところであるが、コリオリ力による大きなチルト発生で、光ディスクへの記録停止となっているので光ディスクへの書き出しが始まることがない。このため、上位のホストコントローラからのデータはさらにバッファメモリに蓄えられることになり、歳差運動期間201が長い場合にはやがてデータが100%まで達し、最終的にはバッファメモリがオーバーフローしてしまい、データ消失時間の映像情報データであるバッファーオーバーフロー204に当たるデータは捨てられ、その後歳差運動が小さくなったとき(歳差運動期間201終了後)にバッファメモリからデータA202を読み出して光ディスクに記録する。このため、バッファーオーバーフロー204に当たるデータが光ディスクの記録データから欠落してしまうことになる。
以上述べてきたように、歳差運動によってチルト量が大きくなり記録状態を一時的に中断する場合においても、その間のデータはバッファメモリに一時的に記録しなければならない。このため、記録を中断できる時間はバッファメモリの空き容量に依存してしまい、チルトが発生するタイミングや時間の条件によって、すぐにバッファメモリの空き容量が無くなり、その間、データの欠落を生じてしまうことがあるという問題があった。したがって、光ビデオカメラなどのリアルタイムに映像を記録しなければならない機器においては、コリオリ力などの外乱が加わった場合においても、チルトの発生を抑圧し、連続的に記録を行うことが望ましい。
本発明は、歳差運動によってコリオリ力が発生し大きなチルトが生じるような場合においても、ディスクの回転数を減速させてコリオリ力によるチルトを抑圧し、記録を中断することなく連続的に安定した記録再生が可能になる情報記録再生装置及びディスク装置を提供することを目的とする。
上記目的は、特許請求項に記載の発明により達成される。
本発明によれば、使い勝手を向上した情報記録再生装置及びディスク装置を提供することができる。
以下、図面を用いて本発明の実施例を説明する。
本発明の実施例として、図3に示す8cm DVDを記録メディアとする光ディスクドライブ一体型の光ディスクカメラ301を例に歳差運動を説明する。図3は、光ディスクカメラにおける歳差運動の例を示す。図中のx、y、z軸はそれぞれ、x軸が光ディスク302の回転軸、y軸が本カメラを横倒しに回転動作した際の回転軸、z軸が本カメラのパン動作をおこなう際の回転軸を表す。
光ディスクカメラで撮影する際、光ディスクカメラには上下の首振り動作(x軸回転方向)、ローリングの横倒しの動作(y軸回転方向)、パン動作の横振り(z軸回転方向)など様々な運動が加えられる。この様々な動作の中で特に、x軸に対して角速度θxで回転する光ディスク302に対し、y軸、z軸に対して角速度θy、θzの回転成分が発生するような運動を行うと光ディスク302に対する歳差運動となり光ディスク302にコリオリ力が働く。
次に、横倒し動作時y軸方向に角速度θyで動作させた場合、光ディスク302に発生するコリオリ力とその影響でチルトが発生する仕組みについて図4を用いて説明する。図4は、歳差運動とディスクチルトの関係の例を示す。
図4に示すように回転軸x軸405に対して角速度θxで回転する光ディスク401に対し、y軸406に対し、θyの角速度で運動させると、光ディスク401には図に示すように光学ヘッド404側では上向、反対側では下向きのコリオリ力402が働き、この力により光ディスク401は光学ヘッド404の光軸上では半径方向に傾く。また、回転軸x軸405に対して角速度θxで回転する光ディスク401に対し、図示していないz軸に対し、θzの角速度で運動させた場合では、コリオリ力402が働く場所が90度ずれるので、光ディスク401は光ヘッド404の光軸上では周方向に傾く事になる。
この様に光ディスク401が傾くと、通常は光ディスク401に対し垂直に照射される光学ヘッド404の光軸が、斜めから照射されるようになるため、入射と出射の光軸に対し角度が発生する。この様な光ディスク401と光学ヘッド404から照射される光軸に傾きを生じさせるような光ディスクの傾きをチルト403と呼ぶ。
本光ディスクカメラでは、光ディスク固有の歪や変形によるチルト量はディスクの仕様から最大でも±0.35度以内(DVD−RAMディスクの場合)であり、スピンドルの軸傾きや光ディスク装着時の精度バラツキ等を含めたトータルのチルト量でも最悪値で±0.5deg以内となっている。また、光ディスクカメラに使用している光ディスクドライブの正常な記録再生が可能なチルト量に対する余裕度(以後、チルトマージンと記す)は、±0.5deg程度であり、前述の光ディスク装着時のばらつき等を含めた最悪条件であっても正常な品質で記録再生が可能となっている。しかし、前述の歳差運動のコリオリ力により光ディスクが傾くと、さらにチルト量が加算された状態になり、±0.5degを超えるような大きなチルト量が発生し、光ディスクに照射されるレーザ光のスポットで収差(コマ収差)が大きくなり、著しく記録再生の品質を劣化させ、最悪は記録再生不可となる。
図5に本発明による光ディスクカメラにおいて、歳差運動を加えた際の角速度と歳差運動のコリオリ力によって発生した光ディスクのチルト量との関係を説明する。図5は、本発明による光ディスクカメラの歳差運動の角速度と、チルト量とを表した関係図を示す。
歳差運動により光ディスク401に発生するコリオリ力402は歳差運動の角速度と光ディスクの回転数に比例し、そのコリオリ力402により生じるチルト量は、光ディスクをスピンドルに固定するターンテーブルの構造やクランプ力、また、光ディスクがコリオリ力により傾いた際、元に戻ろうとする反力により、実際は緩やかなS字の関係になるが、チルト量が±1deg程度までの範囲であれば図5に示すような直線で近似して差し支えないことが実験的にわかっている。
図5における2種の近似直線のディスク回転数は、第1のディスク回転数(3294rpm)>第2のディスク回転数(1650rpm)の関係にあり、ディスク回転数が大きくなると歳差運動の角速度が同じでも発生するチルト量も大きくなる。
図5の第1のディスク回転数条件501で示される近似直線は、8cm DVD−RAMの最内周のzone0の領域におけるディスク回転数(3294rpm)であり、ZCLV(Zone Constant Linear Velocity)で回転制御される2倍速媒体においてもっとも高回転条件となり、歳差運動の角速度に対して発生するチルト量がもっとも大きくなる。DVD−RAMのzone0の領域における回転数(第1の回転数条件)では、歳差運動の角速度が約7rad/s以上で、チルト量が±0.5degを超え、前述の±0.5degであるチルトマージン503から外れる。また、ディスク回転数を第2のディスク回転数(1650rpm)に下げた第2のディスク回転数条件502では、歳差運動の角速度が7rad/sにおいて、チルトマージン503内にあり、歳差運動の角速度が18rad/sになるまでは正常に記録再生が可能である。
すなわち、本発明を用いた光ディスクカメラでは、光ディスクへ通常の記録回転数で記記録中に前述のチルトマージン503を外れるような大きな歳差運動の角速度が加わった場合ディスク回転数を下げてチルト量を抑圧し、記録を中断することなく連続的に安定した記録再生が可能になる。以下にその詳細の動作を図6を引用しながら説明する。
図6に、本発明による光ディスクカメラの代表的な構成を表したブロック図を示す。601は光ディスク、602はスピンドルモータ、603は光学ヘッド、604はスピンドル制御部、605はバッファメモリ、606は記録再生制御部、607はヘッド制御部、608はチルト検出部、609は任意の上位コントローラを示し、本実施例の光ディスクカメラでは、上位コントローラ609は撮像部分であり、図示していない、レンズ、撮像素子、画像処理部、ユーザーインターフェース部及び内部インターフェースで構成されている。
本カメラの記録時には、光ディスクカメラの撮像部分である上位コントローラ609では録画中は被写体の映像をリアルタイムに取り込み、撮像した映像情報を画像処理部により所定の変換レートで圧縮処理を行い、映像の圧縮データを記録再生制御部606へ転送する。本実施例では標準画質の変換レートである6Mbpsで圧縮処理を行い、上位コントローラ609から、記録再生制御部606に映像の圧縮データが転送される。記録再生制御部606は上位コントローラ609から転送された映像の圧縮データを光ディスク601にリアルタイムには記録せず、前述の図1で説明したように間欠記録を行うため、バッファメモリ605に一時記憶し蓄えていく。その後、バッファメモリ605に一時記憶されたデータ容量がバッファメモリ605の全容量の80%に達すると、記録再生制御部606は、バッファメモリ605から、一時的に記憶した映像の圧縮データを読み出し、光学ヘッド603により光ディスク601に記録を開始する。同時に、バッファメモリ605には上位コントローラ609から転送されてくる映像の圧縮データを引き続きシームレスに蓄えていく。その後は、同様にバッファメモリ605の全容量の80%になったらバッファメモリ605から読み出し光ディスク601に記録すると同時に新たな映像の圧縮データをバッファメモリ605に蓄えるという動作を繰り返す。
光ディスク601に記録されたデータを再生する場合は、光学ヘッド603によるレーザ光を光ディスク601に照射し、マーク及びスペースの配列で記録されている前記データにより変調された反射光を光学ヘッド603は光電変換素子で受光し電気信号の再生信号に変換し記録再生制御部606に再生信号を転送する。記録再生制御部606は、エラー訂正等のデコード処理を行い、デコードされた情報は一時的にバッファメモリ605に記憶し、上位ホストコントローラ609の要求タイミングで記録再生制御部606は、バッファメモリ605から映像の圧縮データを読み出し、上位コントーラ609に転送される。上位コントローラ609では映像の圧縮データを画像処理部により伸張し、さらに映像信号に変換し、内蔵の表示部や外部出力端子を介して外部表示装置に映像を表示する。
次に、本発明に係るパン動作による歳差運動のコリオリ力によるチルトが発生した時の動作を説明する。チルト検出部608は光ディスク601のチルト量を出力し、記録再生制御部606は常にこの値を監視している。チルト検出部608から得られるチルト量が所定値を超えた場合、スピンドル制御部604を制御しスピンドルモータ602の回転数を通常時の第1のディスク回転数より遅い回転数である第2のディスク回転数に切り替え、さらに光学ヘッド603により光ディスク601に記録する際は、ディスク回転数が低速に変更されることにより、低線速での記録特性が最適になるように記録再生制御のパラメータであるレーザ発光パワー、クロック生成の為のPLL(Phase Locked Loop)設定、サーボ設定等を設定し、低線速での記録に対応した記録レートでバッファメモリ605から映像の圧縮データを読み出し光学ヘッド603により光ディスク601に記録する。
ここで、第1のディスク回転数は通常は本カメラとして最大のパフォーマンスを発揮する回転数(通常は装着された光ディスクが対応できる最高回転数)を設定する。また、光ディスク601のチルト量が所定値を超えた場合に切り替える第2の回転数は、第1の回転数より低回転であり、かつ上位ホストコントローラ609から転送されてくる映像の圧縮データの変換レートより大きな記録レートを得られるような線速度になる回転数の範囲で任意に設定している。
再生時においても チルト検出部608から得られるチルト量が所定値を超えた場合、通常時の第1のディスク回転数より遅い回転数である第2のディスク回転数に回転制御を切り替え、低線速で再生する。
図7を用いてチルト検出部608を詳細に説明する。図7は本発明による光ディスクカメラの加速度センサの構成例を示し、図7(a)は本発明による加速度センサの配置例、図7(b)は本発明による加速度センサの構成例を示す。
チルト検出部608の検出方法は、本実施例では安価な加速度センサを用いて、y軸、z軸方向の角速度θy、θzを検出するようにしている。また、コリオリ力は歳差運動の角速度に関係しているが、加速度センサでは振動や衝撃のような常に加速度が加わっている時しか検出できない。すなわち一定速度で移動しているような時は加速度は発生せず加速度センサでは検出できないので、パン動作による歳差運動の時には過渡状態のみならず、一定の角速度の状態を含むような場合にも対応する必要があり何らかの対処が必要になる。
そこで、本実施例ではまずパン動作等の回転運動の加速度を検出できるように図7(a)に示す様に、光ディスク704の回転中心に対し加速度センサA701と加速度センサB702が左右水平方向、センサB702と加速度センサC703が上下垂直方向になるように配置し、加速度センサB702はがその他の加速度センサとは加速度を検出する方向の極性が逆になるような構成にしてある。これらの加速度センサの加速度の出力を図7(b)に示すように、それぞれの加速度センサ出力を加算することで角加速度を算出し、その値を積分する演算処理を行うことでy軸、及びz軸に対する角速度を得ることを可能にしている。加速度センサA701と加速度センサB702からの加速度の出力を加算部A705で加算し、積分部A707で積分することによりz軸に対する回転運動(歳差運動)の角速度θzが求まり、同様に加速度センサB702と加速度センサC703からの加速度の出力を加算部B706で加算し、積分部B708で積分することによりy軸に対する回転運動(歳差運動)の角速度θyが求まる。角速度が求まれば実験的に得た、図5に示す角速度と光ディスクの回転数からチルト換算部709によりチルト量に換算できる。
尚、本実施例ではチルト検出部608は加速度センサを使用したが、他の方法であっても構わない。例えば、チルト検出部608は、光ディスクカメラを横倒回転となるy軸方向の歳差運動を行った場合に発生するチルトに対しては、光学ヘッド603に対し半径方向に光ディスク601が傾きフォーカス位置の高さが変化するため、記録再生制御部606からヘッド制御部607に対し出力されるフォーカスドライブ信号のレベルを監視することでチルト量として検出できる。しかしながら、パン動作等のz軸方向の動作では、光学ヘッド603に対し円周方向に光ディスク601が傾きフォーカス位置の高さが変化しないのでフォーカスドライブ信号のレベルが変化しないのでチルト量の検出が出来ないため、他の検出方法と併用する必要があるが、前述の加速度センサによる検出方式と併用することで加速度センサC703を削除可能になり低コスト化できるメリットがある。
また、他のチルト検出部608の検出方法は、光ディスク601がコリオリ力により傾くことによりスピンドルモータ602の軸負荷が増し、スピンドルモータ602の駆動信号のレベルも変化する為、スピンドルモータ制御部604からのこの駆動信号の変化量を監視することで検出しても良い。
また、他のチルト検出部608の検出方法は、歳差運動の角速度を、角速度センサで検出し図5に示したように角速度、回転数の関係からチルト量を換算しても良い。
また、他のチルト検出部608の検出方法は、ディスクのチルト量を変移センサを用いて検出しても良い。
図8は、本発明による光ディスクカメラの録画中の一連の動作を表す図であり、図8(a)は歳差運動の角速度の変化、図8(b)はディスク回転数の変化、図8(c)は光ディスクのチルト量の変化、図8(d)はバッファメモリの記憶容量の変化を示している。図中横軸は時間軸を表しており、光ディスクカメラの記録動作の開始後、パン動作等による歳差運動の角速度が変化した場合を表している。
本光ディスクカメラの記録動作の開始後、図8(d)に示すように上位のホストコントローラ609から転送されてくる変換レート(6Mbps)に対応した傾きでデータA801をバッファメモリ605へ記憶し蓄えていく。ここで、時間t1までは歳差運動の角速度は図8(a)に示すように7rad/sより小さく、チルト検出部608の出力である図8(c)に示すチルト量も0.5degより小さいので、図8(b)に示すディスク回転数は光ディスク601への記録開始時のディスク回転制定のための待ち時間の低減や、回転数変化による振動や騒音を低減させるために、通常記録と同じ回転数である第1のディスク回転数(3294rpm)に制御されている。
図8(d)に示すようにデータA801をバッファメモリ605へ記憶している区間のバッファ容量の80%に達し光ディスク601への記録開始が開始する時間t2直前の時間t1で、角速度が7rad/sを超えると、チルト検出部608の出力も0.5degを超える。本実施例の光ディスクカメラではチルト量±0.5degをチルト検出レベル807としてディスク回転数切り替えの閾値としており、記録再生制御部606はチルト検出部608の出力が0.5degに達したところで、記録再生制御部606はスピンドル制御部604に対し、第1のディスク回転数より低い第2のディスク回転数(1650rpm)で駆動するための制御切り替えを行う。図8(b)に示すようにチルト量が0.5degを超えた時間t1のところでディスク回転数が第2のディスク回転数(1650rpm)に切り替わっている。第2のディスク回転数に切り替わると、図8(c)に示すようにチルト量は抑圧され、チルトレベル808がチルト検出レベル807より小さくなる。そのため、この第2のディスク回転数では歳差運動による角速度が7degを越えても、光ディスク601への記録が可能となり、バッファメモリ605の容量が80%に達するのを待つ。
図8(d)に示すようにバッファメモリ605に一時記憶されたデータA801の容量が時間t2で80%に達すると、記録再生制御部606は、バッファメモリ605からデータA801を読み出し、記録再生制御部606で、光ディスク601に記録するデータ形式に符号化し、符号化されたデータA'802は第2のディスク回転数にて決まる第2の記録レート(本実施例では11Mbps)に対応した傾き803で光学ヘッド603により光ディスク601へ記録される。ここで、データA'802を光ディスク601に記録している間も上位コントローラ609からはデータA801に続きシームレスにデータB804が転送されてくるため、データA'802の光ディスク601への記録開始と同時にバッファメモリ605にはデータB804を記憶し蓄えていく。
データA'802の記録が時間t3で終了しさらにデータB804をバッファメモリ605に記憶している途中の時間t4で歳差運動の角速度が7rad/sより低くなるが、本実施例ではバッファメモリ605の容量が80%になり光ディスク601への記録を開始する時間t5で通常時の第1のディスク回転数に戻し、第1のディスク回転数にて決まる第1の記録レート(本実施例では22Mbps)に対応した傾き806でデータB’805を光ディスク601に記録する。間欠駆動の欠区間ではディスク回転数は考慮しなくても差し支えないので、本実施例では次のデータB805を光ディスク601へ記録開始するタイミングで第1のディスク回転数に戻している。
本実施例では、第2のディスク回転数を第1のディスク回転数に戻すタイミングを、間欠記録の光ディスクへの記録開始時として説明したが、このタイミングでなくても構わない。例えば、第2のディスク回転数で光ディスク601が回転している時、チルト量は抑圧されているので、第1のディスク回転数に換算した時にチルト量が0.5degとなる第2のチルト検出レベルを閾値として設定し、第2のディスク回転数時にこの第2のチルト検出レベルを下まわったら第1のディスク回転数に戻すようにしてもよい。すなわち、第2のディスク回転数で動作中に第1のディスク回転数に換算したチルト量が所定の閾値(0.5deg)を下回った時点(時間t4)で第1のディスク回転数に戻すことは可能である。
また、このようにチルト量が下がったらディスク回転速度を戻す方法では、左右に往復動作させるようなパン動作を繰り返す場合は歳差運動の角速度はゼロクロスする値になり瞬間的に閾値を下まわる事になるので本ディスクカメラの動作としては一定時間(例えば3秒)閾値を下まわったら第1のディスク回転数に戻すようにすると過剰な切り替え制御が入らない。
加速度センサの出力値を積分する事により歳差運動の角速度に換算して検出しているので、このチルト量に換算する前の角速度の値を用いて所定の閾値と比較して光ディスクの回転数を低減するようにしてもよい。また、このチルト量に換算する前の角速度の値を用いて元の回転数に戻す閾値にするようにすれば、ディスク回転数を低減してチルトを抑圧している状態でも1つの閾値で制御することが可能になるので上記のような第2の検出レベルを設ける必要がない。
尚、本実施例では、チルト量が大きな時は、第1のディスク回転数を低速の第2のディスク回転数に1段階に切り替えることで説明したが、低線速とするディスク回転数の種類を増やし、数段階に切り替えるようにしても構わない。例えば、第2のディスク回転数にしてもチルト量が0.5degを超える場合には、さらに低線速となる第3のディスク回転数にし、さらにチルト量を抑圧した状態で、光ディスク601に記録するようにする。
また、本実施例では、チルト量が大きい時に第2のディスク回転数に切り替えていたが、その期間が短い場合は支障がないので、切り替えずに、所定期間以上である場合に切り替えるようにしても良い。
以上のように、歳差運動により通常であれば大きなチルトが発生する場合でも、本実施例の形態を用いることでチルトを抑圧し、通常の記録再生を維持できるためバッファーオーバーフローによるデータの欠落等を無くすことが可能になる。
また、本実施例によれば、歳差運動によってコリオリ力が発生し大きなチルトが生じるような場合においても、ディスクの回転数を減速させてコリオリ力によるチルトを抑圧し、記録を中断することなく連続的に安定した記録再生が可能になる。
光ディスクカメラにおける記録時のバッファメモリの状態の模式図 長時間コリオリ力が発生した時のバッファメモリの状態の模式図 光ディスクカメラにおける歳差運動の例 歳差運動とディスクチルトの関係の例 本発明による光ディスクカメラの歳差運動の角速度と、チルト量とを表した関係図 本発明による光ディスクカメラの代表的な構成を表したブロック図 本発明による光ディスクカメラの加速度センサの構成例 本発明による光ディスクカメラの録画中の一連の動作を表す図
符号の説明
101、202…データA、102、203…変換レートに対応した傾き、
103…記録レートに対応した傾き、104…データB、105…データC、
201…歳差運動期間、301…光ディスクカメラ、302、401…光ディスク、
402…コリオリ力、403…チルト、404…光学ヘッド、405…x軸、
406…z軸、501…第1のディスク回転数条件の近似直線、
502…第2のディスク回転数条件の近似直線、601、704…光ディスク、
602…スピンドルモータ、603…光学ヘッド、604…スピンドル制御部、
605…バッファメモリ、606…記録再生制御部、607…ヘッド制御部、
608…チルト検出部、609…上位コントローラ、701…加速度センサA、
702…加速度センサB、703…加速度センサC、705…加算部A、
706…加算部B、707…積分部A、708…積分部B、709…チルト換算部、
801…データA、802…データA’、803…記録レートに対応した傾き、
804…データB、805…データB’、806…記録レートに対応した傾き、
807…チルト検出レベル、808…チルトレベル、
θx、θy、θz…角速度

Claims (8)

  1. 記録可能なディスクの回転数を切り替えるディスク回転数切り替え部と、前記ディスクのチルト量を検出するチルト検出部を有する情報記録再生装置において、
    前記チルト検出部から得られたチルト量が所定の値を超えた場合、前記ディスクの回転数を第1の回転数から第2の回転数へ切り替えることを特徴とする情報記録再生装置。
  2. 請求項1記載の情報記録再生装置において、
    前記ディスクの回転数を第2の回転数に切り替えた後、前記チルト検出部から得たチルト量の値が前記所定の値を下まわったら、間欠記録の記録開始のタイミングで第1の回転数に戻すことを特徴とする情報記録再生装置。
  3. 請求項1又は2記載の情報記録再生装置において、
    前期ディスクの回転数を第2の回転数に切り替えた後、前記チルト検出部から得たチルト量の値が前記所定の値を下まわったら、一定時間後に第1の回転数に戻すことを特徴とする情報記録再生装置。
  4. 請求項1乃至3のいずれかに記載の情報記録再生装置において
    前記第1の回転数とは通常動作状態での回転数であり、前記第2の回転数は前記第1の回転数より遅い回転数であることを特徴とする情報記録再生装置。
  5. 請求項1乃至4のいずれかに記載の情報記録再生装置において、
    前記チルト検出部から得られたチルト量が所定の値を超えた期間が所定期間以上である場合に、前記ディスクの回転数を第1の回転数から第2の回転数へ切り替えることを特徴とする情報記録再生装置。
  6. 請求項1乃至5のいずれかに記載の情報記録再生装置において、
    歳差運動の場合に前記ディスクの回転数を第1の回転数から第2の回転数へ切り替えることを特徴とする情報記録再生装置。
  7. 記録可能なディスクの回転数を切り替えるディスク回転数切り替え部を有する情報記録再生装置において、
    チルト量が所定の値より大きい場合、前記ディスクの回転数を第1の回転数から第2の回転数へ切り替えることを特徴とする情報記録再生装置。
  8. 記録可能なディスクの回転数を切り替えるディスク回転数切り替え部と、前記ディスクの傾きであるチルト量を検出するチルト検出部を有するディスク装置において、
    前記チルト検出部から得られたチルト量が所定の値を超えた場合、前記ディスクの回転数を第1の回転数から第2の回転数へ切り替えることを特徴とするディスク装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2008034039A (ja) * 2006-07-28 2008-02-14 Sony Corp 光ディスクドライブ装置及び光ディスクドライブ装置のサーボ制御方法

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JPH11339371A (ja) * 1998-05-25 1999-12-10 Matsushita Electric Ind Co Ltd 光ディスク記録再生装置および光ディスク記録再生装置を有する撮像装置

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