JP2007183147A - 振動素子およびこの振動素子を用いた角速度センサ - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、温度変化に対する特性の変化を低減させることができる振動素子およびこの振動素子を用いた角速度センサを提供することを目的とするものである。
【解決手段】Si基板16上に下部電極層18、圧電体層19、上部電極層20を備え、さらに、前記Si基板16と下部電極層18との間に前記圧電体層19の熱膨張係数より小さい熱膨張係数を有する第1の制御層17を形成し、かつ前記上部電極層20の上に前記圧電体層19の熱膨張係数より小さい熱膨張係数を有する第2の制御層21を形成することにより、圧電体層19の上面側と下面側の熱膨張係数のアンバランスを低減させるようにしたものである。
【選択図】図2

Description

本発明は、各種電気機器や、車両のナビゲーションシステム等に利用可能な振動素子およびこの振動素子を用いた角速度センサに関するものである。
角速度センサ等に使用される振動素子には、Si基板に下部電極層、圧電体層、上部電極層をこの順番に積層した構成からなるものがあり、このような振動素子は、下部電極層と上部電極層間に適当な電圧を印加して振動素子を駆動振動させることにより使用することができる。角速度を検出するためには、このような振動素子を駆動振動させた状態で、所定の方向の角速度運動がなされたときのコリオリの力により振動素子の駆動振動方向に対する直角方向の振動を検出する方法が用いられている(特許文献1参照)。
また、基板、第1の電極、誘電体薄膜、第2の電極をこの順番に積層した圧電体薄膜素子等において、基板と誘電体薄膜の熱膨張係数を所定の関係にする構成も知られている(特許文献2,3参照。)。
そしてまた、基板、下部電極、強誘電体膜、上部電極をこの順番に積層したトランジスタ等において、強誘電体膜を保護するために、この強誘電体膜の側壁に絶縁膜を形成する方法も知られている(特許文献4,5参照)。
国際公開第03/046479号パンフレット 特開2004−146640号公報 国際公開第02/027809号パンフレット 特開2000−260956号公報 特開2000−91540号公報
以上のようなSi基板に下部電極層、圧電体層、上部電極層をこの順番に積層した構成の振動素子は、小型化の点でも優れているため、各種電気機器やセンサ等に使用されることが期待されている。しかしながら、このような振動素子は、環境温度の変化により特性が変化することがわかった。
この特性の変化については、以下の事が要因であると推測される。
上部電極層および下部電極層はともに金属からなるため、熱膨張係数が大きい。一方、Si基板は熱膨張係数が小さく、また圧電体層は上部電極層および下部電極層の熱膨張係数よりは小さいが、Si基板の熱膨張係数よりは大きい。従って、圧電体層には、熱膨張係数の違いに起因する応力が発生する。また、この圧電体層に着目すると、その上面側には熱膨張係数の大きな上部電極層のみが存在するのに対し、その下面側には熱膨張係数の大きな下部電極層とさらにその外側に熱膨張係数の小さなSi基板が存在することになり、このような状態のもとでは、圧電体層の上面側と下面側とでアンバランスを生じてしまうため、振動素子に撓みが生じるもので、このような現象下で特性が変化すると考えられる。
本発明は上記従来の課題を解決するもので、温度変化に対する特性の変化を低減させることができる振動素子およびこの振動素子を用いた角速度センサを提供することを目的とするものである。
上記目的を達成するために、本発明は以下の構成を有するものである。
本発明の請求項1に記載の発明は、振動板と、この振動板に形成され前記振動板の熱膨張係数より大きい熱膨張係数を有する下部電極層と、この下部電極層に形成され前記振動板の熱膨張係数より大きく、かつ前記下部電極層の熱膨張係数より小さい熱膨張係数を有する圧電体層と、この圧電体層に形成され前記圧電体層の熱膨張係数より大きい熱膨張係数を有する上部電極層とを備え、前記振動板と下部電極層との間に前記圧電体層の熱膨張係数より小さい熱膨張係数を有する第1の制御層を形成し、かつ前記上部電極層の上に前記圧電体層の熱膨張係数より小さい熱膨張係数を有する第2の制御層を形成したもので、この構成によれば、前記振動板と下部電極層との間に前記圧電体層の熱膨張係数より小さい熱膨張係数を有する第1の制御層を形成し、かつ前記上部電極層の上に前記圧電体層の熱膨張係数より小さい熱膨張係数を有する第2の制御層を形成しているため、圧電体層の上面側と下面側の熱膨張係数のアンバランスを低減させることができ、これにより、使用時の環境温度に変化があるときの振動素子の特性変化を低減させることができるという作用効果を有するものである。
本発明の請求項2に記載の発明は、特に、第1の制御層と第2の制御層を振動板の熱膨張係数よりも小さい熱膨張係数を有するもので構成したもので、この構成によれば、使用時の環境温度に変化があるときの振動板の反りを抑制できるため、圧電体層の熱膨張をさらに抑制することができ、これにより、振動素子の特性変化を低減させることができるという作用効果を有するものである。
本発明の請求項3に記載の発明は、特に、振動板を非金属で構成するとともに、下部電極層および上部電極層を金属または金属化合物で構成し、さらに圧電体層を金属酸化物で構成し、かつ第1の制御層および第2の制御層をそれぞれSiO2で構成したもので、この構成によれば、SiO2の熱膨張係数が小さいため、圧電体層の熱膨張を抑制することができ、これにより、振動素子の特性変化を低減させることができるという作用効果を有するものである。
本発明の請求項4に記載の発明は、特に、少なくとも圧電体層の側面を第2の制御層で覆った構成としたもので、この構成によれば、圧電体層の側面を保護するようにしているため、周辺の水分やアウトガスによる特性変動への影響を受け難い保護膜の機能を持たせることができるという作用効果を有するものである。
本発明の請求項5に記載の発明は、振動板と、この振動板を駆動させるために前記振動板上に形成された駆動膜と、前記振動板に生じるコリオリの力による変形を検知するために前記振動板上に形成された検知膜とを有する振動素子とを備え、前記駆動膜および検知膜を、それぞれ、振動板上に形成された第1の制御層と、この第1の制御層の上に形成され、かつ前記振動板および第1の制御層のいずれの熱膨張係数より大きい熱膨張係数を有する下部電極層と、この下部電極層に形成され前記振動板および第1の制御層のいずれの熱膨張係数より大きく、かつ前記下部電極層の熱膨張係数より小さい熱膨張係数を有する圧電体層と、この圧電体層に形成され前記圧電体層の熱膨張係数より大きい熱膨張係数を有する上部電極層と、この上部電極層に形成され前記圧電体層の熱膨張係数より小さい熱膨張係数を有する第2の制御層とで構成したもので、この構成によれば、前記振動板と圧電体層との間に前記圧電体層の熱膨張係数より小さい熱膨張係数を有する第1の制御層を形成し、かつ前記上部電極層上に前記圧電体層の熱膨張係数より小さい熱膨張係数を有する第2の制御層を形成しているため、圧電体層の上面側と下面側の熱膨張係数のアンバランスを低減させることができ、これにより、使用時の環境温度に変化があるときの角速度センサの特性変化を低減させることができるという作用効果を有するものである。
本発明の請求項6に記載の発明は、特に、第1の制御層と第2の制御層を振動板の熱膨張係数よりも小さい熱膨張係数を有するもので構成したもので、この構成によれば、使用時の環境温度に変化があるときの振動板の反りを抑制できるため、圧電体層の熱膨張をさらに抑制することができ、これにより、角速度センサの特性変化を低減させることができるという作用効果を有するものである。
本発明の請求項7に記載の発明は、特に、振動板を非金属で構成するとともに、下部電極層および上部電極層を金属または金属化合物で構成し、さらに圧電体層を金属酸化物で構成し、かつ第1の制御層および第2の制御層をそれぞれSiO2で構成したもので、この構成によれば、SiO2の熱膨張係数が小さいため、圧電体層の熱膨張を抑制することができ、これにより、角速度センサの特性変化を低減させることができるという作用効果を有するものである。
本発明の請求項8に記載の発明は、特に、少なくとも圧電体層の側面を第2の制御層で覆った構成としたもので、この構成によれば、圧電体層の側面を保護するようにしているため、周辺の水分やアウトガスによる特性変動への影響を更に受け難い保護膜の機能を持たせることができるという作用効果を有するものである。
以上のように本発明の振動素子および角速度センサは、振動板と下部電極層との間に圧電体層の熱膨張係数より小さい熱膨張係数を有する第1の制御層を形成し、かつ上部電極層の上に前記圧電体層の熱膨張係数より小さい熱膨張係数を有する第2の制御層を形成しているため、圧電体層の上面側と下面側の熱膨張係数のアンバランスを低減させることができ、これにより、使用時の環境温度に変化があるときの振動素子の特性変化を低減させることができるという優れた効果を奏するものである。
(実施の形態1)
以下、実施の形態1を用いて、本発明の特に請求項1〜3、5〜7に記載の発明について説明する。
図1は本発明の実施の形態1における角速度センサの平面図、図2は図1のA−A線断面図である。
図1、図2において、1はSiから構成された音叉形状を有する振動板、2〜5は前記振動板1の上に形成されるとともに、振動板1を駆動させるための駆動膜、6,7は前記振動板1の上に形成されるとともに、コリオリの力による振動板1の形状変化を検知する検出膜、8は前記振動板1の上に形成されるとともに、振動板1の駆動状態をモニターするためのモニター膜である。なお、上記した駆動膜2〜5、検出膜6,7およびモニター膜8の具体的な構成は、後述する。9,10は駆動端子、11,12は検出端子、13はモニター端子で、これらは、それぞれ駆動膜2〜5、検出膜6,7、モニター膜8と電気的に接続されている。14は基準電位端子である。15は振動素子で、この振動素子15は上記した振動板1、駆動膜2〜5、検出膜6,7、モニター膜8、駆動端子9,10、検出端子11,12、モニター端子13および基準電位端子14から構成されているものである。16はSi基板で、このSi基板16は前記振動板1に相当するものである。17はSi基板16の上に形成された第1の制御層で、SiO2により構成されている。18は第1の制御層17の上に形成されたPtからなる下部電極層である。19は下部電極層18の上に形成されたPZTからなる圧電体層である。20は圧電体層19の上に形成されたPtからなる上部電極層である。21は上部電極層20の上に形成された第2の制御層で、SiO2により構成されている。
上記した駆動膜2〜5、検出膜6,7、モニター膜8は、それぞれ、上記第1の制御層17、下部電極層18、圧電体層19、上部電極層20、および第2の制御層21の積層体から構成されるものである。
以上のように構成された本発明の実施の形態1における角速度センサについて、以下にその製造方法を図面を参照しながら説明する。
図3(a)〜(f)および図4(a)〜(e)は本発明の実施の形態1における角速度センサの製造方法を示す断面図である。
図3(a)において、22はSiから構成された円板形状を有するSiウエハ、23はSiウエハ22の上に形成された第1のSiO2層である。そしてこの第1のSiO2層23は前記Siウエハ22の上面側の一面に熱酸化あるいはスパッタで形成されるものである。
図3(b)において、24は第1のSiO2層23の上に形成された第1のPt層、25は第1のPt層24の上に形成されたPZT層、26はPZT層25上に形成された第2のPt層である。そしてこれらの第1のPt層24、PZT層25、および第2のPt層26はそれぞれスパッタで形成されるものである。
図3(c)において、27は第2のPt層26の上に所定の形状で形成されたレジスト層で、このレジスト層27は、まず第2のPt層26の上の一面にスピンコートで形成され、次に所定形状のフォトマスクを用いてフォトリソにより所定形状に形成されるものである。この図3(c)の状態で、エッチングを行って、第2のPt層26、PZT層25を所定の形状に加工する。その後、レジスト層27を除去すると図3(d)の状態になる。
図3(e)において、28はレジスト層で、このレジスト層28は、まず、図3(d)において、第2のPt層26および露出している第1のPt層24上にスピンコートで形成され、次に所定形状のフォトマスクを用いてフォトリソにより所定形状に形成されるものである。そしてこの図3(e)の状態で、エッチングを行って、第1のPt層24、第1のSiO2層23を所定の形状に加工する。その後、レジスト層28を除去すると図3(f)の状態になる。
図4(a)において、29は第2のSiO2層で、この第2のSiO2層29は、まず第2のPt層26の上と露出しているSiウエハ22の上、並びに第1のSiO2層23、第1のPt層24、PZT層25および第2のPt層26の側面にスパッタで形成されるものである。
図4(b)において、30は第2のPt層26上に形成されている第2のSiO2層29の上面に形成されたレジスト層で、このレジスト層30は、まず、第2のSiO2層29の上にスピンコートで形成され、次に所定形状のフォトマスクを用いてフォトリソにより所定形状に形成されるものである。そしてこの図4(b)の状態でエッチングを行い、第2のSiO2層29が第2のPt層26の上にのみ残留するようにする。その後、レジスト層30を除去すると図4(c)の状態になる。
図4(d)において、31はレジスト層で、このレジスト層31は、Siウエハ22が露出している一部を除いて形成されている。すなわち、このレジスト層31は第2のSiO2層29の上面、並びに第1のSiO2層23、第1のPt層24、PZT層25、第2のPt層26、および第2のSiO2層29の側面を覆うように形成されている。このレジスト層31の形成方法も他のレジスト層の形成方法と同様に、スピンコートした後にフォトリソにより所定形状に形成されるものである。そしてこの図4(d)の状態でドライエッチングを行い、Siウエハ22に所定形状の溝を形成することにより、図4(e)の状態になる。
そしてこの図4(e)の状態で、Siウエハ22はダイシングにより個片に分割することができ、図1に記載した振動素子15を得ることができる。
以上のような製造方法によって、本発明の実施の形態1における角速度センサは製造されるものである。
次に本発明の実施の形態1における角速度センサの動作について説明する。
図1において、振動素子15の駆動膜2〜5に交流信号を与え、その位相を駆動膜2と駆動膜5、駆動膜3と駆動膜4とでそれぞれ逆位相にすると、振動素子15の音叉形状における2本の脚部が開閉するようにそれぞれ幅方向に駆動振動する。すなわち、図1において振動素子15における2本の脚部が脚部の紙面上下方向に駆動振動する。このとき振動素子15の中心軸周りに角速度が印加されるとその角速度に応じて発生したコリオリ力により振動素子15は駆動振動方向に直交する厚み方向に振動する。すなわち、図1における紙面の手前側および奥側に振動する。この振動により検出膜6,7に表面電荷が発生し、電圧値として出力することができる。この電圧値を所定の処理回路で処理することにより角速度を検知することができる。
次に、本発明の実施の形態1における角速度センサの使用時に温度変化が生じた場合について説明する。
例えば、温度が上昇した場合、振動素子15を構成するSi基板16、第1の制御層17、下部電極層18、圧電体層19、上部電極層20および第2の制御層21はいずれも熱膨張する。このとき、熱膨張係数は、高い順番に、Pt,PZT,Si,SiO2となるため、上部電極層20および下部電極層18、圧電体層19、Si基板16、第1の制御層17および第2の制御層21の順番に、熱膨張が大きいことになる。しかしながら、本発明の実施の形態1における角速度センサにおいては、これらの構成要素を積層して一体化しているため、これらの構成要素が自由に熱膨張することができず、このため、内部に応力が発生してしまうことになる。
ここで、圧電体層19に注目すると、圧電体層19は上下を熱膨張係数の高い上部電極層20と下部電極層18とに挟まれているが、さらにその外側にそれぞれ熱膨張係数の小さな第2の制御層21、第1の制御層17が形成されているため、上部電極層20と下部電極層18による熱膨張を抑制することができ、これにより、圧電体層19に生じる応力を低減させることができるものである。また、圧電体層19の上面側と下面側のそれぞれに熱膨張係数の大きな電極層が存在し、そしてその外側に熱膨張係数の小さな制御層が存在するという構成であるため、圧電体層19の上面側と下面側のバランスがよくなり、これにより、使用温度が変化した際の振動素子15の撓みを低減させることができるものである。さらに、Si基板16より熱膨張係数の小さな第2の制御層21、第1の制御層17が形成されているため、使用温度が変化した際の振動素子15の反りも抑制され、これにより、圧電体層19に生じる応力を低減させることができるものである。
以上のように本発明の実施の形態1における振動素子および角速度センサは、振動板1と、この振動板1に形成され前記振動板1の熱膨張係数より大きい熱膨張係数を有する下部電極層18と、この下部電極層18に形成され前記振動板1の熱膨張係数より大きく、かつ前記下部電極層18の熱膨張係数より小さい熱膨張係数を有する圧電体層19と、この圧電体層19に形成され前記圧電体層19の熱膨張係数より大きい熱膨張係数を有する上部電極層20とを備え、前記振動板1と下部電極層18との間に前記圧電体層19の熱膨張係数より小さい熱膨張係数を有する第1の制御層17を形成し、かつ前記上部電極層20の上に前記圧電体層19の熱膨張係数より小さい熱膨張係数を有する第2の制御層21を形成しているため、圧電体層19の上面側と下面側の熱膨張係数のアンバランスを低減させることができ、これにより、使用時の環境温度に変化があるときの振動素子の特性変化を低減させることができるものである。
また、上記本発明の実施の形態1においては、第1の制御層17と第2の制御層21を振動板1の熱膨張係数よりも小さい熱膨張係数を有するもので構成しているため、使用時の環境温度に変化があるときの振動板の反りを抑制でき、これにより、圧電体層19の熱膨張をさらに抑制することができるため、振動素子の特性変化を低減させることができるものである。
そしてまた、上記本発明の実施の形態1においては、振動板1を非金属で構成するとともに、下部電極層18および上部電極層20を金属または金属化合物で構成し、さらに圧電体層19を金属酸化物で構成し、かつ第1の制御層17および第2の制御層21をそれぞれ熱膨張係数の小さいSiO2で構成しているため、圧電体層19の熱膨張を抑制することができ、これにより、振動素子の特性変化を低減させることができるものである。
さらに、上記本発明の実施の形態1においては、圧電体層19をそれぞれPtで構成された上部電極層20と下部電極層18とで上下から挟み、さらにその上下にそれぞれSiO2で構成された第2の制御層21と第1の制御層17を配設した構成としているため、前記圧電体層19の上下は同一の組成のもので挟まれることになり、これにより、圧電体層19の上下における熱膨張の影響のバランスをとることができるため、圧電体層19が反るのも低減させることができるものである。
なお、上記本発明の実施の形態1においては、上部電極層20をPtで構成したが、Auで構成してもよい。Auで構成した場合には上部電極層20の加工性が優れたものになるという効果が得られるものである。
また、駆動膜2〜5、検出膜6,7およびモニター膜8はそれぞれ第1の制御層17、下部電極層18、圧電体層19、上部電極層20および第2の制御層21からなる構成としたが、圧電体層19と下部電極層18または上部電極層20との間、下部電極層18と第1の制御層17との間、上部電極層20と第2の制御層21との間の密着性を向上させるために、これらの間に密着層を形成してもよいものである。特に、下部電極層18をPtで構成した場合には、この下部電極層18と第1の制御層17との間に密着層を形成するのが好ましい。また、上部電極層20をAuで構成した場合には、上部電極層20と圧電体層19との間ならびに上部電極層20と第2の制御層21との間に密着層を形成するのが好ましい。この密着層としては、Tiを用いることができる。なお、この密着層は、薄く形成することで足りるため、この密着層の熱膨張等による圧電体層19および振動素子15全体に与える影響は小さくすることができるものである。
そしてまた、下部電極層18と圧電体層19間の密着性を向上させながら、圧電体層19の結晶構造を所定の構造にするために、下部電極層18と圧電体層19間にバッファ層を形成してもよい。このバッファ層としては、PLTやPLZTを用いることができる。そしてこのバッファ層も前記密着層と同様に薄く形成することで足りるため、このバッファ層の熱膨張等による圧電体層19および振動素子15全体に与える影響は小さくすることができるものである。
(実施の形態2)
以下、実施の形態2を用いて、本発明の特に請求項4および8に記載の発明について説明する。
図5は本発明の実施の形態2における角速度センサの断面図を示したもので、この本発明の実施の形態2における角速度センサが上記した本発明の実施の形態1における角速度センサと違う点は、第2の制御層21により、第1の制御層17、下部電極層18、圧電体層19および上部電極層20の側面を覆っている点である。
なお、この本発明の実施の形態2における角速度センサの製造方法は、基本的には上記した本発明の実施の形態1における角速度センサの製造方法と同じであるが、図4(b)におけるレジスト層30を第1のPt層24、PZT層25および第2のPt層26の側面上に形成されている第2のSiO2層29にも形成するようにすればよいものである。
以上のように本発明の実施の形態2における振動素子および角速度センサは、上記した本発明の実施の形態1における振動素子および角速度センサと同様の効果を有するとともに、さらに第1の制御層17、下部電極層18、圧電体層19および上部電極層20のそれぞれの側面を第2の制御層21で覆った構成としているため、圧電体層19の側面を含めて保護することができ、これにより、周辺の水分やアウトガスによる特性変動への影響を更に受け難い保護膜の機能を持たせることができるものである。
本発明に係る振動素子および角速度センサは、使用時の温度変化による振動素子の特性の変化を低減させることができるという効果を有するものであり、各種電気機器や、車両のナビゲーションシステム等に利用可能な振動素子およびこの振動素子を用いた角速度センサに適用して有用なものである。
本発明の実施の形態1における角速度センサの平面図 図1のA−A線断面図 (a)〜(f)同角速度センサの製造方法を示す断面図 (a)〜(e)同角速度センサの製造方法を示す断面図 本発明の実施の形態2における角速度センサの断面図
符号の説明
1 振動板
2〜5 駆動膜
6,7 検出膜
15 振動素子
16 Si基板
17 第1の制御層
18 下部電極層
19 圧電体層
20 上部電極層
21 第2の制御層

Claims (8)

  1. 振動板と、この振動板に形成され前記振動板の熱膨張係数より大きい熱膨張係数を有する下部電極層と、この下部電極層に形成された前記振動板の熱膨張係数より大きく、かつ前記下部電極層の熱膨張係数より小さい熱膨張係数を有する圧電体層と、この圧電体層に形成され前記圧電体層の熱膨張係数より大きい熱膨張係数を有する上部電極層とを備え、前記振動板と下部電極層との間に前記圧電体層の熱膨張係数より小さい熱膨張係数を有する第1の制御層を形成し、かつ前記上部電極層の上に前記圧電体層の熱膨張係数より小さい熱膨張係数を有する第2の制御層を形成した振動素子。
  2. 第1の制御層と第2の制御層を振動板の熱膨張係数よりも小さい熱膨張係数を有するもので構成した請求項1記載の振動素子。
  3. 振動板を非金属で構成するとともに、下部電極層および上部電極層を金属または金属化合物で構成し、さらに圧電体層を金属酸化物で構成し、かつ第1の制御層および第2の制御層をそれぞれSiO2で構成した請求項1または2に記載の振動素子。
  4. 少なくとも圧電体層の側面を第2の制御層で覆った構成とした請求項1〜3のいずれかに記載の振動素子。
  5. 振動板と、この振動板を駆動させるために前記振動板上に形成された駆動膜と、前記振動板に生じるコリオリの力による変形を検知するために前記振動板上に形成された検知膜とを有する振動素子とを備え、前記駆動膜および検知膜を、それぞれ、振動板上に形成された第1の制御層と、この第1の制御層の上に形成され、かつ前記振動板および第1の制御層のいずれの熱膨張係数より大きい熱膨張係数を有する下部電極層と、この下部電極層に形成され前記振動板および第1の制御層のいずれの熱膨張係数より大きく、かつ前記下部電極層の熱膨張係数より小さい熱膨張係数を有する圧電体層と、この圧電体層に形成され前記圧電体層の熱膨張係数より大きい熱膨張係数を有する上部電極層と、この上部電極層に形成され前記圧電体層の熱膨張係数より小さい熱膨張係数を有する第2の制御層とで構成した角速度センサ。
  6. 第1の制御層と第2の制御層を振動板よりも小さい熱膨張係数を有するもので構成した請求項5記載の角速度センサ。
  7. 振動板を非金属で構成するとともに、下部電極層および上部電極層を金属または金属化合物で構成し、さらに圧電体層を金属酸化物で構成し、かつ第1の制御層および第2の制御層をそれぞれSiO2で構成した請求項5または6に記載の角速度センサ。
  8. 少なくとも圧電体層の側面を第2の制御層で覆った構成とした請求項5〜7のいずれかに記載の角速度センサ。
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