JPH0969749A - 圧電薄膜振動子 - Google Patents

圧電薄膜振動子

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JPH0969749A
JPH0969749A JP7248764A JP24876495A JPH0969749A JP H0969749 A JPH0969749 A JP H0969749A JP 7248764 A JP7248764 A JP 7248764A JP 24876495 A JP24876495 A JP 24876495A JP H0969749 A JPH0969749 A JP H0969749A
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thin film
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film
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 素子に形成する上部、下部電極の接続用パッ
ドの形成領域が破壊することなく、かつ、共振特性に優
れた圧電薄膜振動子を提供する。 【解決手段】 基板1上に薄肉の酸化膜2を形成し、酸
化膜2の中央部を基板1から浮かしてダイアフラム形成
領域と成す。酸化膜2のダイアフラム形成領域の上側に
下部電極3を形成し、その上部側に酸化膜2の上部側ほ
ぼ全体領域を覆う圧電薄膜5を形成し、その上部側に下
部電極3と対向する上部電極6を形成する。その上部側
に圧電薄膜5の上部側ほぼ全体領域を覆う酸化膜12を形
成し、酸化膜12の上部側に、前記ダイアフラム形成領域
を避けて上部電極6および下部電極3の各接続用パッド
7,4を設け、引き出し電極16,13により、それぞれ上
部電極6と下部電極3に接続する。前記各接続パッド
7,4の形成領域は基板1上の酸化膜2と圧電薄膜5と
酸化膜12との密着積層体上とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば加速度セン
サや角速度センサ等に用いられる、半導体結晶基板等を
用いた圧電薄膜振動子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】例えば加速度センサや角速度センサ等に
用いられる圧電薄膜振動子として、半導体結晶基板を使
用した圧電薄膜振動子が用いられており、図4には、こ
の圧電薄膜振動子の一例が示されている。図4に示すも
のは、特開平1−71208号公報に記載されているも
のであり、同図の(a)には圧電薄膜振動子の平面図
が、同図の(b)には(a)のA−A断面図が示されて
いる。これらの図において、半導体結晶の基板1上に薄
肉の第1の絶縁膜としての酸化膜2が形成されており、
この酸化膜2の両端間の中央部分には基板1との間に空
隙8が形成され、それにより、酸化膜2上に基板1から
浮かしたダイアフラム形成領域が形成されている。この
酸化膜2のダイアフラム形成領域の上部側、すなわち、
空隙8に対応する位置には、下部電極3が形成され、さ
らに、引き出し電極13、下部電極接続パッド(接続用パ
ッド)4が順に基板1の一端側(図の右側)にかけて形
成されており、下部電極接続パッド4は引き出し電極13
を介して下部電極3に導通接続されている。
【0003】下部電極3の上部側には酸化膜2の中央側
から図の左側の端側を覆う圧電薄膜5が形成されてお
り、この圧電薄膜5の上部側には、前記下部電極3と対
向する上部電極6が形成され、上部電極6には引き出し
電極16を介して上部電極接続パッド(接続用パッド)7
が導通接続されている。この圧電薄膜振動子には、上部
電極接続パッド7と下部電極接続パッド4の形成領域の
上部側に、コンタクトホール9a,9bを形成した酸化
膜12(同図の(a)には図示せず)が形成されており、
コンタクトホール9a,9bの形成領域を除く圧電薄膜
5と酸化膜2の上部側のほぼ全体領域が、酸化膜12によ
って覆われている。なお、酸化膜12は第2の絶縁膜とし
て機能するものである。
【0004】なお、このような圧電薄膜振動子は、上部
電極接続パッド7および下部電極接続パッド4にそれぞ
れ接続される電圧印加装置(図示せず)によって、上部
電極6と下部電極3との間に電圧を印加すると、この電
圧によって、上部電極6と下部電極3とに挟まれた圧電
薄膜5が伸縮して、同図の(b)の上下方向にダイアフ
ラム形成領域が振動する。
【0005】また、上部電極接続パッド7および下部電
極接続パッド4に電圧検出装置(図示せず)を接続し、
例えば、この圧電薄膜振動子をセンサ等に設ければ、こ
のセンサ等に加速度等が加わることにより、ダイアフラ
ム形成領域が振動し、そのとき、圧電薄膜5が伸縮す
る。その圧電薄膜5の伸縮に伴って変化する上部電極6
と下部電極3との間の電圧を前記電圧検出装置によって
検出すれば、加速度の検出を行うことができる。
【0006】しかしながら、図4で示したような圧電薄
膜振動子は、基板抵抗が無限大でない限り、基板1が仮
想電極の役割をし、基板1と、引き出し電極13,16およ
び、上部電極接続パッド7、下部電極接続パッド4との
間に寄生容量が発生するため、共振特性が劣化してしま
うという問題があった。
【0007】これに対し、このような問題点を解決する
ための手段として、特開平1−71208号公報におい
ては、図5に示すような圧電薄膜振動子が提案されてい
る。この圧電薄膜振動子においては、基板1上に形成さ
れた酸化膜2の両端間に空隙8が形成されている。
【0008】すなわち、図5に示す圧電薄膜振動子にお
いては、前記空隙8は上部電極接続パッド7、下部電極
接続パッド4、引き出し電極13,16の直下に対応する位
置に、犠牲層エッチングを施すことにより形成されてお
り、このように上部電極6、下部電極3の形成領域だけ
でなく、上部電極接続パッド7、下部電極接続パッド
4、引き出し電極13,16の直下に対応する位置に空隙8
を設けることにより、これらの電極3,6,13,16およ
び接続パッド4,7を基板1に対して絶縁し、それによ
り、電極3,6,13,16および接続パッド4,7と基板
1との寄生容量を低減し、共振特性の劣化を防止できる
ようにしている。
【0009】そして、このような圧電薄膜振動子は、図
4で示した圧電薄膜振動子と同様に、上部電極6と下部
電極3との間に電圧を印加することによって、上部電極
6と下部電極に挟まれた圧電薄膜5が伸縮してダイアフ
ラム形成領域が振動する。また、この圧電薄膜振動子を
センサ等に設ければ、圧電薄膜5の伸縮に伴って変化す
る上部電極6と下部電極3との間の電圧を電圧検出装置
に検出することにより、センサ出力を検出することがで
きる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ような従来の圧電薄膜振動子においては、引き出し電極
13,16および下部電極接続パッド4、上部電極接続パッ
ド7の直下に対応する位置に空隙8が形成されているた
めに、共振特性の向上を図れるものの、その一方で、基
板1と酸化膜2との熱膨張差による応力によって、下部
電極接続パッド4および上部電極接続パッド7の形成領
域に対応する酸化膜2が破壊することがあるといった問
題があった。
【0011】また、共振周波数の温度係数を小さくする
ことが考慮されていることから、下部電極接続パッド4
の直下の酸化膜2の厚みは数μmと薄肉となるために、
ワイヤーボンディングを施して下部電極接続パッド4の
形成領域下部側に押し付けたときに、この下部電極接続
パッド4の形成領域が破壊することもあるといった問題
があった。
【0012】さらに、上記圧電薄膜振動子においては、
上部電極接続パッド7が圧電薄膜5上に直接形成されて
いるために、前記ワイヤーボンディングによって、上部
電極接続パッド7形成領域下部側の圧電薄膜5にもダメ
ージを与えてしまうという問題もあった。
【0013】本発明は上記課題を解決するためになされ
たものであり、その目的は、基板と基板上に形成される
絶縁膜との熱膨張差による応力やワイヤーボンディング
の応力等によって電極の接続パッド形成領域が破壊する
ことなく、しかも共振特性の優れた圧電薄膜振動子を提
供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は次のような構成により課題を解決するため
の手段としている。すなわち、本発明は、基板上に薄肉
の第1の絶縁膜が形成されており、この第1の絶縁膜の
両端間の局部部位は前記基板から浮かしたダイアフラム
形成領域と成し、この第1の絶縁膜の前記ダイアフラム
形成領域の上部側には下部電極が形成され、該下部電極
の上部側には前記第1の絶縁膜の上部側のほぼ全体領域
を覆う圧電薄膜が形成されており、前記ダイアフラム形
成領域の圧電薄膜の上部側には前記下部電極と対向する
上部電極が形成され、該上部電極の上部側には前記圧電
薄膜の上部側のほぼ全体領域を覆う第2の絶縁膜が形成
されており、該第2の絶縁膜の上部側には前記ダイアフ
ラム形成領域を避けた位置に形成される前記基板上の前
記第1の絶縁膜と前記圧電薄膜と前記第2の絶縁膜との
密着積層体上に、前記下部電極に引き出し電極を介して
導通接続される下部電極の接続用パッドと前記上部電極
に引き出し電極を介して導通接続される上部電極の接続
用パッドとがそれぞれ分離して形成されていることを特
徴として構成されている。
【0015】また、前記上部電極は互いに間隔を介して
配設された2極の電極によって形成されており、これら
2極の上部電極にはそれぞれ別個の引き出し電極と接続
用パッドとが設けられていること、前記基板は半導体結
晶により形成されており、該基板に凹部が形成され、該
凹部形成面上に第1の絶縁膜が形成されていることも本
発明の特徴的な構成とされている。
【0016】上記構成の本発明において、上部電極と下
部電極とに電圧を印加するための各電極の接続用パッド
は、圧電薄膜の上部側のほぼ全体領域を覆う第2の絶縁
膜の、ダイアフラム形成領域を避けた位置にそれぞれ分
離して設けられており、この位置は、基板上の前記第1
の絶縁膜と前記圧電薄膜と前記第2の絶縁膜との密着積
層体上であるために、応力に対する強度が高くなってお
り、従来のように空隙を介して形成した第1の絶縁膜上
に接続用パッドが形成されている場合と異なり、基板と
第1の絶縁膜との熱膨張差による応力やワイヤーボンデ
ィングによる応力等が接続用パッド形成領域に加えられ
ても接続用パッドの形成領域が破壊することはない。
【0017】また、下部電極の接続用パッドおよび上部
電極の接続用パッドは、上記のように、基板上の第1の
絶縁膜と圧電薄膜と第2の絶縁膜との密着積層体上に形
成されており、各接続用パッドと基板との間には2つの
絶縁膜が介設されていることにより、接続用パッドと基
板の寄生容量がこの2つの絶縁膜によって小さくなって
ほぼ絶縁され、それにより、共振特性の劣化が防止され
て、共振特性の優れた圧電薄膜振動子となり、上記課題
が解決される。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づいて説明する。なお、本実施形態例の説明におい
て、従来例と同一名称部分には同一符号を付し、その重
複説明は省略する。図1には、本発明に係る圧電薄膜振
動子の第1の実施形態例が示されており、同図の(a)
には、圧電薄膜振動子の平面図が、同図の(b)には
(a)のA−A断面図が示されている。同図に示すよう
に、本実施形態例においても、従来例と同様に、半導体
結晶の基板1上には薄肉の酸化膜2が形成されている
が、本実施形態例においては、この酸化膜2の両端間の
中央側の局部部位にのみ空隙8が形成されており、この
局部部位がダイアフラム形成領域と成している。
【0019】この酸化膜2のダイアフラム形成領域の上
側には下部電極3が形成され、この下部電極3の上部側
には、酸化膜2の上部側のほぼ全体領域を覆う圧電薄膜
5が形成されている。ダイアフラム形成領域の圧電薄膜
5の上部側には、下部電極3と対向する上部電極6が形
成されており、上部電極6の上部側には圧電薄膜5の上
部側のほぼ全体領域を覆う酸化膜12が形成されている。
【0020】また、本実施例では、酸化膜12の上部側の
ダイアフラム形成領域を避けた位置に形成される、基板
1上の酸化膜2と圧電薄膜5と酸化膜12との密着積層体
上に、引き出し電極13を介して下部電極3に導通接続さ
れる下部電極接続パッド4と、引き出し電極16を介して
上部電極6に導通接続される上部電極接続パッド7とが
それぞれ分離して形成されている。このように、本実施
形態例においては、下部電極接続パッド4と上部電極接
続パッド7とを、酸化膜12の上部側のダイアフラム形成
領域を避けた位置に形成しており、それにより、下部電
極接続パッド4および上部電極接続パッド7を、それぞ
れ、基板1上の酸化膜2と圧電薄膜5と酸化膜12との密
着積層体上に設けたことが本実施形態例の最も特徴的な
ことである。
【0021】なお、本実施形態例では、下部電極接続パ
ッド4および上部電極接続パッド7を共に酸化膜12上に
形成し、各引き出し電極13,16によって、それぞれ、下
部電極3、上部電極と導通接続するために、引き出し電
極16を挿通するコンタクトホール9aが酸化膜12に形成
されており、なお、引き出し電極13を挿通するためのコ
ンタクトホール9bが酸化膜12および圧電薄膜5に形成
されている。また、本実施形態例においては、下部電極
接続パッド4と上部電極接続パッド7は、基板1の各端
側(下部電極接続パッド4は図の右側、上部電極接続パ
ッド7は図の左端側)に分離して形成されている。な
お、図1においても、同図の(a)には、酸化膜12を省
略した状態で示されている。
【0022】本実施形態例は以上のように構成されてお
り、従来例と同様の動作が行われる。次に本実施形態例
の圧電薄膜振動子の作製工程について説明する。まず、
半導体結晶の基板1上の中央部局部部位に、空隙8の形
成領域に対応させて犠牲層を形成し、この犠牲層の上部
側に、数μmの厚みの酸化膜2を形成して、基板1のほ
ぼ全体領域を酸化膜2によって覆うようにする。次に、
前記犠牲層をエッチングして、酸化膜2と基板1との間
に空隙8を形成し、酸化膜2の中央側の局部部位に基板
1から浮かしたダイアフラム形成領域を形成する。
【0023】次に、酸化膜2のダイアフラム形成領域の
上部側に下部電極3を形成し、下部電極3の上部側に圧
電薄膜5を形成して、酸化膜2の上部側のほぼ全体領域
を圧電薄膜5によって覆うようにする。そして、圧電薄
膜5に、下部電極3と下部電極接続パッド4を導通接続
するためのコンタクトホール9b用の穴を開ける。
【0024】次に、ダイアフラム形成領域の圧電薄膜5
の上部側に、下部電極3と対向するように上部電極6を
形成し、上部電極6の上部側に酸化膜12を形成して、酸
化膜12によって圧電薄膜5の上部側のほぼ全体領域を覆
うようにする。そして、下部電極3と下部電極接続パッ
ド4とを導通接続するためのコンタクトホール9b用の
穴と、上部電極6と上部電極接続パッド7とを導通接続
するためのコンタクトホールを9a用の穴を酸化膜12に
開ける。そして、最後に、ワイヤーボンディングを施す
ことにより、下部電極接続パッド4をコンタクトホール
9bを介して引き出し電極13によって下部電極接続パッ
ド4と接続し、上部電極6をコンタクトホール9aを介
して引き出し電極16によって上部電極接続パッド7を接
続する。
【0025】本実施形態例は以上のようにして作製され
るものであり、従来例と同様に、下部電極接続パッド4
および上部電極接続パッド7にワイヤーボンディングが
施されて、それぞれ、引き出し電極13,16が接続される
が、本実施形態例においては、下部電極接続パッド4お
よび上部電極接続パッド7の形成領域は、ダイアフラム
形成領域を避けた位置であり、基板1上の酸化膜2と圧
電薄膜5を酸化膜12との密着積層体上であるために、応
力に対する強度は高く、従来のような基板1から浮かし
た酸化膜2を上側から押し付ける場合と異なり、ワイヤ
ーボンディングによる応力が接続パッド形成領域に加え
られても、接続パッド形成領域が破壊することはなく、
接続パッド形成領域の破壊を確実に抑制することができ
る。
【0026】また、本実施形態例においては、上記のよ
うに、下部電極接続パッド4および上部電極接続パッド
7の形成領域が前記密着積層体上に形成されているため
に、基板1から浮かした酸化膜2の上部側に接続パッド
形成領域が設けられている従来例と異なり、たとえ、基
板1と酸化膜2との熱膨張差による応力が生じても、そ
の応力によって酸化膜2が破壊することも抑制すること
もできる。
【0027】さらに、本実施形態例においては、上記の
ように、下部電極接続パッド4および上部電極接続パッ
ド7の形成領域が前記密着積層体上に形成されており、
基板1と下部電極接続パッド4、上部電極接続パッド7
および引き出し電極13,16の間には、第1、第2の絶縁
膜として機能する2つの酸化膜2,12および圧電薄膜5
が介設されているために、下部電極3と上部電極6との
容量に比べて、基板1と下部電極接続パッド4との寄生
容量および基板1と上部電極接続パッド7との寄生容量
が共に非常に小さくなり、また、下部電極接続パッド4
と上部電極接続パッド7との間の容量も小さくなる。そ
のため、ダイアフラム形成領域を避けた部分の引き出し
電極13,16および下部電極接続パッド4、上部電極接続
パッド7と基板1との間の寄生容量によって、インピー
ダンスレスポンス低下等の共振特性の劣化が生じること
はなく、共振特性に優れた圧電薄膜振動子とすることが
できる。
【0028】さらに、本実施形態例によれば、下部電極
接続パッド4および上部電極接続パッド7は、共に、酸
化膜12上に形成されており、各接続パッド4,7と圧電
薄膜5との間に酸化膜12が介設されているために、圧電
薄膜5上に直接上部電極接続パッド7を形成した従来例
と異なり、圧電薄膜5にダメージを与えることを抑制
し、圧電薄膜振動子を作製するときの歩留まりを向上す
ることができるし、耐久性を向上させることもできる。
【0029】さらに、本実施形態例によれば、基板1は
半導体結晶基板により構成し、この半導体結晶基板1を
用いて圧電薄膜振動子を形成しているために、従来例の
圧電薄膜振動子と同様に、素子の小型化を図ることが可
能となり、しかも、周辺回路と一体化することも可能と
なり、加速度センサ等のセンサやその他の様々な装置に
容易に組み込んで広く適用することができる。
【0030】図2には、本発明に係る圧電薄膜振動子の
第2の実施形態例が、平面図(a)および、(a)のA
−A断面図(b)により示されている。本実施形態例が
上記第1の実施形態例と異なる特徴的なことは、上部電
極6が互いに間隔を介して配設された2極の電極6a,
6bによって形成されており、これら2極の上部電極6
a,6bには、それぞれ別個の引き出し電極16a,16b
と上部電極接続パッド7a,7bが設けられていること
である。
【0031】なお、同図には図示されていないが、本実
施形態例においても、上記第1の実施形態例と同様に、
下部電極接続パッドが、酸化膜12の上部側のダイアフラ
ム形成領域を避けた位置に形成される、基板1上の酸化
膜2と圧電薄膜5と酸化膜12との密着積層体上に、上部
電極接続パッド7とは分離して形成されており、この下
部電極接続パッドと下部電極3とは引き出し電極(図示
せず)介して導通接続されている。また、図2の(a)
においても、酸化膜12は省略した状態で示されている。
【0032】本実施形態例は以上のように構成されてお
り、本実施形態例の圧電薄膜振動子も上記第1の実施形
態例の圧電薄膜振動子とほぼ同様の作製工程により作製
されるが、本実施形態例では、上部電極6を2極設ける
ために、圧電薄膜5の上部側に2極の上部電極6a,6
bを形成し、この上部電極6a,6bの上部側に形成さ
れる酸化膜12には、各上部電極6a,6bと各上部電極
接続パッド7a,7bとを導通接続するためのコンタク
トホール9a1 ,9a2 用の穴を開ける。そして、コン
タクトホール9a1 ,9a2 を介して、各上部電極6
a,6bを、引き出し電極16a,16bによって各上部電
極接続パッド7a,7bにそれぞれ接続する。
【0033】本実施形態例は以上のように作製され、上
記第1の実施形態例と同様の動作を行い、同様の効果を
奏することができる。
【0034】また、本実施形態例によれば、上部電極6
を2極の上部電極6a,6bにより形成し、それぞれ別
個の引き出し電極16a,16bと上部電極接続パッド7
a,7bとを設けたために、例えば、一方の上部電極6
a側をダイアフラム形成領域の振動用の駆動電極とし、
他方側の上部電極6bを検出用電極として、この検出用
の上部電極6b側で検出される検出電圧に基づいてダイ
アフラム形成領域の振動駆動を上部電極6a側で行え
ば、振動周波数制御等を行い易くすることができる。
【0035】図3には、本発明に係る圧電薄膜振動子の
第3の実施例が、その平面図(a)および、(a)のA
−A断面図(b)により示されている。本実施形態例が
上記第1の実施形態例と異なる特徴的なことは、半導体
結晶の基板1に凹部11を形成し、この凹部11の形成面上
に酸化膜2を形成して基板1の中央側の局部部位にダイ
アフラム形成領域を形成したことである。本実施形態例
においては、上記第1、第2の実施形態例のように、基
板1と酸化膜2との間に空隙8を形成して酸化膜2に基
板1から浮かしたダイアフラム形成領域を形成する場合
と異なり、基板1の凹部形成面上に酸化膜2を形成する
ことにより酸化膜2を基板1から浮かした状態としてお
り、したがって、酸化膜2や酸化膜2の上部側に形成さ
れている圧電薄膜5の形成面は平坦面と成している。
【0036】本実施形態例の上記以外の構成は、上記第
1の実施形態例と同様に構成されており、次に、本実施
形態例の作製工程について説明する。まず、表面14およ
び裏面10が共に平坦な半導体結晶基板1を用意し、この
基板1の表面14側の全体領域に酸化膜2を形成し、基板
1の裏面10側には、凹部11の形成領域(基板1の中央
部)を除く領域にエッチングマスク用の酸化膜(図示せ
ず)を形成する。そして、このエッチングマスク用の酸
化膜をマスクとして、基板1を異方性エッチングするこ
とにより、凹部11を形成し、その後、エッチングマスク
用の酸化膜を除去する。そうすると、基板1の凹部形成
面上(表面14側)に酸化膜2が形成された状態となり、
凹部11に対応する位置にダイアフラム形成領域が形成さ
れる。
【0037】次に、酸化膜2のダイアフラム形成領域の
上部側に下部電極3を形成し、以下、上記第1の実施形
態例の作製工程と同様の作製工程により、図3に示すよ
うな圧電薄膜振動子を形成する。
【0038】本実施形態例は以上のように作製され、上
記第1の実施形態例と同様の動作を行い、同様の効果を
奏することができる。
【0039】また、本実施形態例によれば、上記第1、
第2の実施形態例と異なり、基板1上に犠牲層を形成
し、この犠牲層上に酸化膜2を形成した後に犠牲層エッ
チングを行って空隙8を形成するといった手間を省略す
ることが可能であり、半導体結晶基板1の異方性エッチ
ングといった、非常に加工が容易で加工精度の優れた方
法により凹部11を形成してダイアフラム形成領域を形成
することができるために、非常に簡単に圧電薄膜振動子
を作製することができる。
【0040】なお、本発明は上記実施形態例に限定され
ることはなく、様々な実施の態様を採り得る。例えば、
上記第3の実施形態例では、半導体結晶基板1の異方性
エッチングにより凹部11を形成したが、凹部11の形成方
法は必ずしも基板1の異方性エッチングによるとは限ら
ず、異方性エッチング以外の、例えば切削等により凹部
11を形成してもよい。
【0041】また、上記第3の実施形態例では、凹部11
は基板1の表面14側から裏面10側にかけて貫通の凹部と
したが、凹部11は必ずしも貫通の凹部とするとは限ら
ず、例えば、基板1の断面形状がU型となるように凹部
11を形成し、その凹部形成面上に酸化膜2を形成してダ
イアフラム形成領域と成しても構わない。
【0042】さらに、上記実施形態例では、第1、第2
の絶縁膜として、酸化膜2,12を形成したが、第1、第
2の絶縁膜は必ずしも酸化膜により形成するとは限ら
ず、酸化膜以外の他の絶縁性を有する膜により形成して
もよい。
【0043】さらに、本発明の圧電薄膜振動子に設けら
れる下部電極接続パッド4、上部電極接続パッド7は、
酸化膜12のような第2の絶縁膜の上部側のダイアフラム
形成領域を避けた、基板1上の第1の絶縁膜(上記実施
形態例では酸化膜2)と圧電薄膜5と第2の絶縁膜との
密着積層体上の適宜の位置に設けられるものであり、例
えば、基板1の角部に対応する位置に下部電極接続パッ
ド4や上部電極接続パッド7を形成してもよい。
【0044】さらに、上記実施形態例では、ダイアフラ
ム形成領域は酸化膜2の両端間の中央部の局部部位に形
成したが、ダイアフラム形成領域は必ずしも酸化膜2の
両端間の中央部に形成するとは限らず、中央部から端側
にずれた位置に形成してもよい。また、上記実施形態例
に形成した空隙8や凹部11よりも基板1の長手方向に長
い空隙8や凹部11を形成し、それにより、基板1の長手
方向に長いダイアフラム形成領域を形成してもよい。そ
のように形成した場合にも、本発明においては、下部電
極接続パッド4および上部電極接続パッド7がダイアフ
ラム形成領域を避けた、基板1と酸化膜2と圧電薄膜5
と酸化膜12の密着積層体上に形成されるために、上記実
施形態例と同様の効果を奏することができる。
【0045】
【発明の効果】本発明によれば、上部電極および下部電
極にそれぞれ引き出し電極を介して導通接続される下部
電極および上部電極の接続用パッドを、ダイアフラム形
成領域を避けた位置に形成される基板上の第1の絶縁膜
と圧電薄膜と第2の絶縁膜との密着積層体上に形成する
ことにより、接続用パッドの形成領域の応力に対する強
度を高くすることができるために、この領域にワイヤー
ボンディングを施すことによって接続用パッド形成領域
に応力が加えられても、接続用パッド形成領域の絶縁膜
や圧電薄膜および接続用パッドそのものが破壊すること
を抑制することができる。また、前記上部電極および下
部電極の接続用パッドの形成領域を前記密着積層体上に
形成することにより、基板1と空隙を介して形成された
第1の絶縁膜の上部側に接続用パッドを形成した従来の
圧電薄膜振動子と異なり、基板と第1の絶縁膜との熱膨
張差による応力が生じても、それにより第1の絶縁膜等
が破壊することを抑制することができる。
【0046】さらに、本発明によれば、上部電極および
下部電極の接続用パッドは第2の絶縁膜の上部側に形成
し、接続用パッドと圧電薄膜との間に第2の絶縁膜を介
設した状態とするために、圧電薄膜上に直接接続用パッ
ドを形成する従来の圧電薄膜振動子と異なり、圧電薄膜
にダメージを与えることがなく、圧電薄膜振動子を作製
するときの歩留まりを向上させることができる。
【0047】さらに、本発明によれば、上部電極および
下部電極の接続用パッドは、上記のように、基板上の第
1の絶縁膜と圧電薄膜と第2の絶縁膜との密着積層体上
に形成しており、各接続用パッドと基板との間には第1
と第2の2つの絶縁膜を介設するために、前記密着積層
体上の各接続用パッドおよび各引き出し電極と基板との
容量は上部電極と下部電極との容量に比べて遥かに小さ
いものとすることができるために、第1の絶縁膜と基板
との間に空隙を設けて接続用パッドおよび引き出し電極
と基板との寄生容量の低減を図った従来の圧電薄膜振動
子と同様に、寄生容量の低減を図り、それにより、共振
特性の劣化を防ぎ、共振特性に優れた圧電薄膜振動子を
形成することができる。
【0048】そして、本発明においても、基板を半導体
結晶基板により形成し、この基板を用いて圧電薄膜振動
子を形成することにより、従来の圧電薄膜振動子と同様
に、周辺回路と一体化することが可能となり、加速度セ
ンサおよび角速度センサ等のセンサや、それ以外の様々
な装置に容易に組み込むことが可能となり、様々な装置
に広く適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る圧電薄膜振動子の第1の実施形態
例を示す構成図である。
【図2】本発明に係る圧電薄膜振動子の第2の実施形態
例を示す構成図である。
【図3】本発明に係る圧電薄膜振動子の第3の実施形態
例を示す構成図である。
【図4】従来の圧電薄膜振動子の一例を示す説明図であ
る。
【図5】従来の圧電薄膜振動子の別の例を示す説明図で
ある。
【符号の説明】
1 基板 2,12 酸化膜 3 下部電極 4 下部電極接続パッド 5 圧電薄膜 6 上部電極 7 上部電極接続パッド 9a,9b,9a1 ,9a2 コンタクトホール 11 凹部

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に薄肉の第1の絶縁膜が形成され
    ており、この第1の絶縁膜の両端間の局部部位は前記基
    板から浮かしたダイアフラム形成領域と成し、この第1
    の絶縁膜の前記ダイアフラム形成領域の上部側には下部
    電極が形成され、該下部電極の上部側には前記第1の絶
    縁膜の上部側のほぼ全体領域を覆う圧電薄膜が形成され
    ており、前記ダイアフラム形成領域の圧電薄膜の上部側
    には前記下部電極と対向する上部電極が形成され、該上
    部電極の上部側には前記圧電薄膜の上部側のほぼ全体領
    域を覆う第2の絶縁膜が形成されており、該第2の絶縁
    膜の上部側には前記ダイアフラム形成領域を避けた位置
    に形成される前記基板上の前記第1の絶縁膜と前記圧電
    薄膜と前記第2の絶縁膜との密着積層体上に、前記下部
    電極に引き出し電極を介して導通接続される下部電極の
    接続用パッドと前記上部電極に引き出し電極を介して導
    通接続される上部電極の接続用パッドとがそれぞれ分離
    して形成されていることを特徴とする圧電薄膜振動子。
  2. 【請求項2】 上部電極は互いに間隔を介して配設され
    た2極の電極によって形成されており、これら2極の上
    部電極にはそれぞれ別個の引き出し電極と接続用パッド
    とが設けられていることを特徴とする請求項1記載の圧
    電薄膜振動子。
  3. 【請求項3】 基板は半導体結晶により形成されてお
    り、該基板に凹部が形成され、該凹部形成面上に第1の
    絶縁膜が形成されていることを特徴とする圧電薄膜振動
    子。
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