JP2007182799A - 内燃機関の燃料供給装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】燃料配管内からの燃料の戻しを制御する電磁リリーフ弁が故障すると、燃料カットを禁止することで、燃料配管における燃料の入れ替えが停止し、燃料温度が上昇し燃料圧力が増大することを回避する。更に、電磁リリーフ弁の故障時には、燃料ポンプの吐出量制御における目標圧力を、予め記憶している低めの値に固定し、圧力上昇に対する余裕代を拡大する。
【選択図】図6
Description
特許文献2には、燃料噴射弁に燃料を圧送するための燃料供給通路から燃料を排出して、前記燃料供給通路内の燃料圧力を低下させる電磁弁を備え、内燃機関の停止に伴う燃料温度の上昇予測から、前記電磁弁を内燃機関の停止前に作動させる燃料供給装置が開示されている。
このため、燃料配管途中から燃料タンク側へ燃料を戻すリリーフ経路を設け、該リリーフ経路を介した燃料の排出を電磁弁で制御することで、燃料配管内における燃料圧力の上昇を抑制する必要があった。
本発明は上記問題点に鑑みなされたものであり、燃料配管内からの燃料の戻し(リリーフ)が不能になっても、燃料圧力の過剰上昇を抑止できる燃料供給装置を提供することを目的とする。
かかる構成によると、リリーフ手段が故障すると、内燃機関における燃料消費量、換言すれば、前記圧送経路内から燃料噴射弁を介して排出される燃料量を低下させる制御を禁止し、前記圧送経路内からの燃料噴射弁を介して排出される燃料量を多く確保できるようにする。
請求項2記載の発明では、内燃機関における燃料消費量を低下させる制御を、燃料噴射弁による燃料噴射を停止させる制御、及び/又は、内燃機関の空燃比をリーン化させる制御とすることを特徴とする。
請求項3記載の発明は、燃料噴射弁に対する燃料の圧送経路内の圧力が目標圧力に近づくように燃料ポンプの吐出量を制御する制御手段を備えると共に、前記圧送経路からの燃料の排出を制御して前記圧送経路内の燃料圧力を低下させるリリーフ手段を備え、前記リリーフ手段の故障時に、前記制御手段における目標圧力を制限することを特徴とする。
従って、燃料カット時に受熱などによる圧力上昇が発生しても、燃料圧力が限界圧を超えてしまうことがないように、ベースの燃料圧力が低く抑えられるから、リリーフ手段による圧力降下が行えない状態であっても、燃料配管の耐性を確保できる限界圧を燃料圧力が超えてしまうことを回避できる。
図1は、実施形態における車両用内燃機関の燃料供給装置の構成図である。
図1において、燃料タンク1は、内燃機関10の燃料であるガソリンを貯留するタンクであり、例えば車両の後部座席の下などに配置される。
前記燃料タンク1には、給油キャップ2で閉塞される給油口3が開口されており、給油キャップ2を外して前記給油口3から燃料が補給される。
前記燃料ポンプ4は、燃料タンク1内のガソリンを吸い込み口から吸い込んで吐出口から吐き出す、例えばタービン式のポンプであり、前記吐出口には、燃料パイプ5aの一端が接続されている。
前記逆止弁7の出口には、燃料パイプ5bの一端が接続され、前記燃料パイプ5bの他端は、燃料ギャラリーパイプ8に接続される。
前記燃料ギャラリーパイプ8には、その延設方向に沿って気筒数(本実施形態は4気筒)と同じ数の噴射弁接続部8aが設けられ、各噴射弁接続部8aには、電磁式の燃料噴射弁9の燃料取り入れ口がそれぞれ接続される。
前記燃料噴射弁9は、内燃機関10の各気筒の吸気ポート部にそれぞれ設置され、各気筒に燃料をそれぞれ噴射供給する。
また、前記燃料ギャラリーパイプ8内と燃料タンク1内とを連通させるリリーフパイプ12が設けられて、前記リリーフパイプ12の途中には、電磁リリーフ弁13(リリーフ手段)が介装されている。
前記電磁リリーフ弁13が開弁すると、前記リリーフパイプ12を介して前記燃料ギャラリーパイプ8内の燃料が前記燃料タンク1内に排出され、その結果、前記燃料ギャラリーパイプ8内の燃料圧力を低下させることができるようになっている。
更に、電子制御ユニット11は、前記電磁リリーフ弁13の開閉を制御することで、燃料噴射弁9への燃料の圧送経路内の圧力を低下させる制御を行う。
前記各種センサとしては、内燃機関10の吸入空気流量を検出するエアフローメータ21、所定クランク角位置毎に検出信号を出力するクランク角センサ22、内燃機関10の冷却水温度Twを検出する水温センサ23、前記燃料ギャラリーパイプ8内における燃料の圧力を検出する燃圧センサ24、前記燃料ギャラリーパイプ8内における燃料の温度を検出する燃温センサ25などが設けられている。
そして、前記電子制御ユニット11は、クランク角センサ22からの信号に基づいて内燃機関10の回転速度Neを演算し、エアフローメータ21で検出された吸入空気流量Qaと前記機関回転速度Neとに基づいて基本燃料噴射量Tpを演算する。
前記目標空燃比としては、運転条件(負荷・回転・始動など)に応じて理論空燃比,理論空燃比よりもリッチな空燃比であるリッチ空燃比,理論空燃比よりもリーンなリーン空燃比とのいずれかに切り換え設定される。
ここで、所定の減速運転状態においては、前記燃料噴射弁9による燃料噴射を一時的に停止させる減速燃料カット制御が実行されるようになっている。
前記目標燃圧は、機関負荷,機関回転速度Ne,冷却水温度Twに基づいて可変に設定される。
一方、低負荷・低回転領域では、目標燃圧を低下させることで燃料ポンプ4の負荷を減らして電力消費を低下させる。
また、燃料温度が高い状態で内燃機関10が始動される場合(高温再始動時)には、燃料圧力が低いと、燃料配管内で発生した燃料ベーパが燃料噴射弁9の開弁時に噴射されることにより、実際に噴射される燃料量が少なくなって始動性が悪化する。
更に、前記電子制御ユニット11は、燃圧センサ24で検出される実際の燃圧が前記目標燃圧よりも高くなっているときに、前記電磁リリーフ弁13を開制御することで、前記リリーフパイプ12を介して前記燃料ギャラリーパイプ8内の燃料を前記燃料タンク1内に排出させ、目標よりも高くなっている燃料圧力を速やかに低下させる。
前記圧力上昇は、燃料ポンプ4の吐出量を0にしたとしても解消できるものではないので、前記電子制御ユニット11は、前記電磁リリーフ弁13を開制御することで、燃料ギャラリーパイプ8内の燃料圧力が過剰に上昇しないようにする。
図2は、前記フェイルセーフ処理の第1実施形態を示す。
尚、前記電磁リリーフ弁13の故障診断については、後で詳細に説明する。
ステップS101で、前記電磁リリーフ弁13が正常であると判断されたときには、ステップS102へ進んで、燃料カット制御を許可する設定を行う。
尚、前記減速燃料カット制御の他に、機関回転速度又は車速が閾値を超えたときに、燃料カットを行う場合には、この高速時燃料カットについても、電磁リリーフ弁13の故障時に禁止するようにする。
前記電磁リリーフ弁13が正常であれば、燃料カットによって燃料ギャラリーパイプ8内に燃料が滞ることで燃料圧力が上昇しても、前記電磁リリーフ弁13を介して燃料を排出することで、燃圧の上昇を抑制できる。
目標空燃比をリーン化させる場合は、燃料噴射弁9による燃料噴射は継続して行われるものの、噴射量が少ない分だけ燃料ギャラリーパイプ8内における燃料の入れ替わりが遅く、それだけ機関の熱影響を受けやすくなって、温度上昇する可能性が高くなる。
即ち、内燃機関の燃料消費量が少ないと、燃料ギャラリーパイプ8内における燃料の入れ替わりが遅く、それだけ機関の熱影響を受けやすくなるので、燃料カットや空燃比のリーン化などの内燃機関の燃料消費量が少なくする制御を禁止するものである。
また、内燃機関の燃料消費量が少なくする制御を禁止すると同時に、目標アイドル回転速度の増大補正や、目標空燃比のリッチ化などによって、積極的に機関の燃料消費量を多くすることも可能である。
図3のフローチャートにおいて、ステップS901では、燃料カット中であるか否かを判別し、燃料カット中であるとステップS902へ進む。
ステップS902では、燃圧センサ24で検出される燃圧が目標燃圧よりも所定値以上に大きくなっているか、及び/又は、燃圧センサ24で検出される燃圧が所定以上の速度で上昇変化を示しているかを判断する。
ステップS904では、燃圧センサ24で検出される燃圧が、前記電磁リリーフ弁13への開指令信号の出力に伴って減少変化したか否かを判別する。
ここで、開指令信号を出力したことで、燃圧センサ24で検出される燃圧が減少変化した場合には、開指令信号に対応して実際に電磁リリーフ弁13が開動作し、燃料ギャラリーパイプ8の燃料が排出されたために燃圧が低下したものと判断し、ステップS906へ進んで、前記電磁リリーフ弁13が正常であると判定する。
尚、電磁リリーフ弁13の故障を診断する方法が、上記図3のフローチャートに示した方法に限定されるものでないことは明らかである。
図4のフローチャートにおいて、ステップS201では、前記電磁リリーフ弁13が故障しているか否かを判別する。
ステップS201で、前記電磁リリーフ弁13が正常であると判断されたときには、ステップS202へ進んで、燃料ポンプ4の吐出量の制御に用いる目標燃圧を、通常に運転条件(負荷・回転)に応じて可変設定させる。
前記故障時用の目標値は通常の目標よりも低め(例えば通常の可変範囲の最小値付近)に設定されている。
そこで、電磁リリーフ弁13が故障したときには、目標燃圧を低く制限することで、燃料配管系の限界圧に対する余裕代を拡大し、たとえ燃料カットに伴って圧力が増大変化したとしても、その変化が前記限界圧を下回る領域内で収束するようにしたものである。
尚、前記故障時用の目標値は、前記限界圧よりも充分に小さい値であり、予め燃料カットに伴う圧力上昇を考慮して設定される。
ところで、目標燃圧を故障時用の目標値に固定する代わりに、通常に運転条件(負荷・回転)に応じて可変設定された目標燃圧を、予め記憶された最大値以下に制限することによっても、同様な効果を得ることができ、係る構成とした第3実施形態を、図5のフローチャートに従って説明する。
ステップS302では、前記電磁リリーフ弁13が故障しているか否かを判別する。
そして、前記電磁リリーフ弁13が正常であれば、ステップS303を迂回して本ルーチンを終了させることで、ステップS301で算出した目標燃圧に基づいて、燃料ポンプ4の吐出量を制御させる。
ステップS303では、ステップS301で算出した目標燃圧を、予め記憶された最大値以下に制限する処理を行わせ、該最大値による制限が加えられた後の目標燃圧に基づいて、燃料ポンプ4の吐出量を制御させる。
係る実施形態においても、燃料配管系の限界圧に対する余裕代が確保され、たとえ燃料カットに伴って圧力が増大変化したとしても、その変化が前記限界圧(>>最大値)を下回る領域内で収束させることができる。
図6のフローチャートは、第1実施形態に示した燃料カットの禁止と、第2実施形態に示した故障時用の目標値への固定とを同時に実行する第4実施形態を示す。
そして、前記電磁リリーフ弁13が正常であれば、ステップS402へ進み、燃料カットを許可する設定を行い、更に、次のステップS403で、そのときの運転条件から燃料ポンプ4の吐出量制御に用いる目標燃圧を通常に設定させる。
上記構成によると、電磁リリーフ弁13が故障していて燃料ギャラリーパイプ8内の燃圧を積極的に低下させることができない状況において、燃圧(燃温)上昇の原因となる燃料カットが禁止され、然も、目標燃圧を低く制限して限界圧に対する余裕代を拡大するので、たとえ何らかの原因で圧力上昇したとしても、前記限界圧を超えて圧力上昇することを抑止できる。
図7のフローチャートにおいて、ステップS501では、燃料ポンプ4の吐出量の制御に用いる目標燃圧を、通常に運転条件(負荷・回転)に応じて算出する。
ステップS502では、前記電磁リリーフ弁13が故障しているか否かを判別する。
一方、前記電磁リリーフ弁13が故障していると判断されると、ステップS504へ進む。
ステップS504では、ステップS501で算出した目標燃圧を、予め記憶された最大値以下に制限する処理を行わせ、該最大値による制限が加えられた後の目標燃圧に基づいて、燃料ポンプ4の吐出量を制御させる。
上記実施形態においても、電磁リリーフ弁13が故障していて燃料ギャラリーパイプ8内の燃圧を積極的に低下させることができない状況において、燃圧(燃温)上昇の原因となる燃料カットが禁止され、然も、目標燃圧を低く制限して限界圧に対する余裕代を拡大するので、たとえ何らかの原因で圧力上昇したとしても、前記限界圧を超えて圧力上昇することを抑止できる。
上記機械式のリリーフ弁を用いる場合、前記機械式リリーフ弁の故障は、例えばリリーフ弁の弁体のリフトを検出するリフトセンサ或いはリミットスイッチを設け、燃圧センサ24の検出圧がリリーフ弁の開弁圧を超えている条件で、実際に開弁したか否かで判断させることができる。
ここで、上記実施形態から把握し得る請求項以外の技術的思想について、以下に効果と共に記載する。
(イ)請求項1〜3のいずれか1つに記載の内燃機関の燃料供給装置において、
前記リリーフ手段が、前記圧送経路と燃料タンク内とを連通させるリリーフパイプを開閉する電磁リリーフ弁であることを特徴とする内燃機関の燃料供給装置。
(ロ)請求項(イ)記載の内燃機関の燃料供給装置において、
前記電磁リリーフ弁の開指令に対する前記圧送経路内の燃料圧力の変化に基づいて、前記電磁リリーフ弁の故障を診断することを特徴とする内燃機関の燃料供給装置。
(ハ)請求項3記載の内燃機関の燃料供給装置において、
前記リリーフ手段の故障時に、機関運転条件に応じて算出された目標圧力を、予め記憶された最大値以下に制限することを特徴とする内燃機関の燃料供給装置。
(ニ)請求項3記載の内燃機関の燃料供給装置において、
前記リリーフ手段の故障時に、前記目標圧力を、予め記憶された値に固定することを特徴とする内燃機関の燃料供給装置。
(ホ)請求項3記載の内燃機関の燃料供給装置において、
前記リリーフ手段の故障時に、前記制御手段における目標圧力を制限すると共に、前記内燃機関の燃料消費量を低下させる制御を禁止することを特徴とする内燃機関の燃料供給装置。
Claims (3)
- 内燃機関に燃料を噴射する燃料噴射弁に対して燃料を圧送する内燃機関の燃料供給装置であって、前記燃料噴射弁に対する燃料の圧送経路からの燃料の排出を制御して前記圧送経路内の燃料圧力を低下させるリリーフ手段を備えた内燃機関の燃料供給装置において、
前記リリーフ手段の故障時に、前記内燃機関における燃料消費量を低下させる制御を禁止することを特徴とする内燃機関の燃料供給装置。 - 前記内燃機関における燃料消費量を低下させる制御が、前記燃料噴射弁による燃料噴射を停止させる制御、及び/又は、前記内燃機関の空燃比をリーン化させる制御であることを特徴とする請求項1記載の内燃機関の燃料供給装置。
- 内燃機関に燃料を噴射する燃料噴射弁に対して燃料タンク内の燃料を燃料ポンプによって圧送する内燃機関の燃料供給装置であって、前記燃料噴射弁に対する燃料の圧送経路内の圧力が目標圧力に近づくように前記燃料ポンプの吐出量を制御する制御手段を備えると共に、前記圧送経路からの燃料の排出を制御して前記圧送経路内の燃料圧力を低下させるリリーフ手段を備えた内燃機関の燃料供給装置において、
前記リリーフ手段の故障時に、前記制御手段における目標圧力を制限することを特徴とする内燃機関の燃料供給装置。
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