JP3900903B2 - 蓄圧式燃料噴射装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、高圧供給ポンプより圧送された高圧燃料をコモンレール内に蓄圧すると共に、そのコモンレール内に蓄圧した高圧燃料を例えばディーゼルエンジンの各気筒に搭載されたインジェクタを介してエンジンの各気筒の燃焼室内に噴射供給する蓄圧式燃料噴射装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、例えばディーゼルエンジン等のエンジンにより回転駆動される高圧供給ポンプによってコモンレール内に高圧燃料を加圧圧送して蓄圧すると共に、そのコモンレール内に蓄圧した高圧燃料をエンジンの各気筒毎に搭載された各気筒のインジェクタに分配し、各気筒のインジェクタからエンジンの各気筒の燃焼室内へ高圧燃料を噴射供給するコモンレール式燃料噴射システム(蓄圧式燃料噴射装置:特開昭62−258160号公報等)が公知である。
【0003】
ここで、高圧供給ポンプが過剰圧送(全量圧送)する等の異常時には、高圧供給ポンプからコモンレールを経て各気筒のインジェクタまでの高圧配管経路(システム)内の燃料圧が限界設定圧を超える可能性がある。このような高圧供給ポンプが過剰圧送する等の異常時に備えて、システム内の燃料圧が限界設定圧を超えた際に開弁するプレッシャリミッタ(圧力安全弁)を、高圧供給ポンプとインジェクタとを結ぶ燃料配管またはコモンレールの端部に搭載し、コモンレール式燃料噴射システムの信頼性を保証している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ここで、高圧供給ポンプより吐出される燃料の圧送量をECUからのポンプ駆動信号に応じて変更することが可能な入り口調量弁を備え、その入り口調量弁としてノーマリオープンタイプ(常開型:入り口調量弁の駆動ラインへの通電が停止している時は全量圧送するタイプ)の電磁弁を用いたコモンレール式燃料噴射システムが見受けられる。
【0005】
ところが、入り口調量弁の駆動ラインの故障(断線等)時には、高圧供給ポンプが全量圧送となることにより、高圧供給ポンプよりコモンレールに燃料が過剰圧送されてシステム内の燃料圧が限界設定圧を超えるため、プレッシャリミッタが開弁する。このため、コモンレール圧が限界設定圧以下に抑えられ、その間に、車両を退避走行(リンプフォーム)させることが考えられる。この場合には、コモンレール圧センサによって検出された実コモンレール圧、およびエンジンの運転条件によって設定される目標噴射量に応じたインジェクタの噴射時期・噴射期間制御(噴射パルス制御)を実施することで、車両の継続走行が可能となっている。
【0006】
但し、車両を運転中に運転者(ドライバー)が不意にイグニッションスイッチをOFFすることによるECUへのECU電源のOFF時または車載バッテリとECUとを結び、ECUへECU電源を供給するECU電源ラインの断線時を考えると、ECUへのECU電源の供給が断たれた時点で、プログラムに基づくインジェクタの噴射時期・噴射期間制御(噴射パルス制御)や高圧供給ポンプの圧送量制御(コモンレール圧制御)は強制的に終了する。
【0007】
このため、ECUより入り口調量弁へポンプ駆動信号を出力することができず、つまり常開型の入り口調量弁の駆動ラインが断線した時と同じ状態となり、高圧供給ポンプが過剰圧送(全量圧送)となる。これにより、プレッシャリミッタが作動するまでは、高圧配管経路(システム)内は異常高圧状態が続く。それによって、システム内の異常高圧による高圧供給ポンプの破損や燃料配管からの燃料漏れ等が発生する可能性があるので、コモンレール式燃料噴射システムの安全性が低下するという問題点があった。
【0008】
また、エンジンを低速で運転している間は、プレッシャリミッタが一旦開弁した後にコモンレール内の燃料圧が閉弁圧以下に低下してプレッシャリミッタが閉弁し、再度コモンレール内の燃料圧が限界設定圧を超えるとプレッシャリミッタが開弁する。このような圧力脈動によりプレッシャリミッタが開弁と閉弁とを繰り返し、コモンレール圧が不安定となり、車両の安全走行ができないという問題点があった。
【0009】
【発明の目的】
本発明の目的は、車両を運転している時に不意にコンピュータへの電源の供給が断たれた時においても、エンジンが回転中は高圧供給ポンプを電気的に駆動することで、安全性および信頼性を向上することのできる蓄圧式燃料噴射装置を提供することにある。また、エンジンを低速で運転している時でも、高圧配管経路内の燃料圧を安定させて、車両の安全走行を可能とすることのできる蓄圧式燃料噴射装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明によれば、車両を運転している時にコンピュータへの電源の供給が断たれた時、あるいはコンピュータ側の異常または故障が発生した時、あるいは高圧供給ポンプの異常または故障が発生した時には、エンジンが回転している間は、つまりエンジンが停止(エンスト)するまでは、バックアップ駆動回路によって高圧供給ポンプの調量弁(電磁式アクチュエータ)を電気的に駆動することにより、高圧供給ポンプの過剰圧送を抑えることができるので、高圧配管経路内の燃料圧の異常高圧状態を抑えることができる。それによって、高圧配管経路内の燃料圧の異常高圧による高圧供給ポンプの破損や高圧配管経路からの燃料漏れ等を防止できるので、蓄圧式燃料噴射装置の安全性および信頼性を高めることができる。また、車両を運転している時に不意に運転スイッチがオフされても、エンジンが回転している間は、コンピュータによって高圧供給ポンプの圧送量が減少する側に高圧供給ポンプの調量弁(電磁式アクチュエータ)を電気的に駆動することを特徴としている。なお、高圧供給ポンプの圧送量を減少する側に駆動するとは、例えば高圧供給ポンプの圧送を停止(中止)側に駆動したり、高圧供給ポンプの圧送量(吐出量)が0に近づくように駆動したりすることである。
【0011】
請求項2に記載の発明によれば、コンピュータは、運転スイッチがオフされて電源の供給が断たれると、メモリに記憶されたプログラムに基づく制御が強制的に終了されるように構成されていることを特徴としている。
【0012】
請求項3に記載の発明によれば、高圧供給ポンプの調量弁(電磁式アクチュエータ)として、高圧供給ポンプの加圧室内に吸入される燃料の吸入量を調整することで、高圧供給ポンプからコモンレールへの燃料の吐出量を変更する吸入量調整用の電磁弁を設けている。そして、高圧供給ポンプの異常または故障とは、電磁弁の全開異常による高圧供給ポンプの過剰圧送である。
【0013】
請求項4に記載の発明によれば、高圧供給ポンプの調量弁(電磁式アクチュエータ)として、高圧供給ポンプの出口からコモンレールへの燃料の吐出量を調整することで、高圧供給ポンプからコモンレールへの燃料の吐出量を変更する吐出量調整用の電磁弁を設けている。そして、高圧供給ポンプの異常または故障とは、電磁弁の全開異常による高圧供給ポンプの過剰圧送である。
【0014】
請求項5に記載の発明によれば、高圧供給ポンプの調量弁(電磁式アクチュエータ)を電気的に駆動するとは、高圧供給ポンプの駆動ラインに対して並列接続されたバックアップ駆動ラインを用いて、エンジン回転数に対応した駆動電流を電磁弁に供給することであることを特徴としている。また、請求項6に記載の発明によれば、コンピュータの電源ラインが正常時に、バックアップ駆動回路に電源オン信号を出力する電源オン信号出力部を設けている。そして、バックアップ駆動回路は、電源オン信号出力部から電源オン信号を入力している間は、高圧供給ポンプの調量弁の電気的な駆動を停止することを特徴としている。
【0015】
請求項7に記載の発明によれば、高圧供給ポンプの加圧室からコモンレールを経て複数個のインジェクタまでの高圧配管経路内の燃料圧が限界設定圧を超えると圧力安全弁が開弁してコモンレール内の燃料圧を限界設定圧以下に抑えて蓄圧式燃料噴射装置の信頼性を保証すると同時に、圧力安全弁の圧力レギュレート機能によって圧力安全弁の開弁後もコモンレール内の燃料圧がレギュレート圧力以上に維持できるので、エンジンを低速で運転している時でも、高圧配管経路内の燃料圧が安定する。これにより、エンジン回転が安定し、車両の安全走行が可能となり、車両を退避走行(リンプフォーム)させることができる。
【0016】
請求項8に記載の発明によれば、コンピュータは、メモリに記憶されたプログラムに基づいて複数個のインジェクタの各電磁式アクチュエータを電気的に駆動するインジェクタ駆動回路を介して複数個のインジェクタの各電磁式アクチュエータを電子制御することを特徴としている。また、請求項9に記載の発明によれば、噴射パルス幅決定手段においては、燃料圧センサによって検出される高圧配管経路内の燃料圧、および噴射量決定手段によって設定された目標噴射量に応じて複数個のインジェクタに印加する噴射パルス幅が決定される。これにより、エンジンの運転条件に応じた最適な目標噴射量に基づく噴射パルス幅制御を決定することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
[実施例の構成]
発明の実施の形態を実施例に基づき図面を参照して説明する。ここで、図1はコモンレール式燃料噴射システムの全体構造を示した図である。
【0018】
本実施例のコモンレール式燃料噴射システムは、多気筒ディーゼルエンジン等の多気筒内燃機関(以下エンジンと言う)の各気筒毎に搭載された複数個(本例では4個)のインジェクタ(INJ)1と、エンジンにより回転駆動されるサプライポンプ3と、このサプライポンプ3より吐出された高圧燃料を蓄圧する蓄圧室を形成するコモンレール5と、複数個のインジェクタ1の各電磁式アクチュエータおよびサプライポンプ3の電磁式アクチュエータを電子制御する、マイクロコンピュータを含んで構成される電子制御ユニット(以下ECUと呼ぶ)9とを備えている。
【0019】
各気筒のインジェクタ1は、コモンレール5より分岐する複数の分岐管(フローダンパ:高圧配管経路)13に連結された高圧配管(高圧配管経路)14の下流端に接続され、コモンレール5に蓄圧された高圧燃料をエンジンの各気筒の燃焼室内に噴射供給する燃料噴射ノズルである。これらのインジェクタ1からエンジンへの燃料の噴射時期・噴射期間の変更は、電磁式アクチュエータとしての噴射時期・噴射期間制御用の電磁弁2への通電および通電停止(ON/OFF)により電子制御される。つまり、各気筒のインジェクタ1にそれぞれ装着された電磁弁2がECU9によって通電されている間、コモンレール5に蓄圧された高圧燃料が、エンジンの各気筒の燃焼室内に噴射供給される。
【0020】
サプライポンプ3は、エンジンのクランク軸(クランクシャフト)の回転に伴ってポンプ駆動軸が回転することで燃料タンク10内の燃料を汲み上げる周知のフィードポンプ(低圧供給ポンプ:図示せず)と、ポンプ駆動軸により駆動されるプランジャ(図示せず)と、このプランジャの往復運動により燃料を加圧する加圧室(プランジャ室:図示せず)とを有している。そして、サプライポンプ3は、フィードポンプにより吸い出された燃料を燃料配管11を介して吸入し、加圧室内で加圧し高圧化して燃料流路を経て吐出口からコモンレール5へ高圧燃料を吐出する高圧供給ポンプである。このサプライポンプ3の加圧室への燃料流路の入り口側には、その燃料流路を開閉することで、サプライポンプ3からコモンレール5への燃料の圧送量(吐出量)を変更する電磁式アクチュエータとしての入り口調量弁4が取り付けられている。
【0021】
入り口調量弁4は、図示しないポンプ駆動回路(EDU)を介してECU9からのポンプ駆動信号によって電子制御されることにより、サプライポンプ3の加圧室内に吸入される燃料の吸入量を調整する吸入量調整用電磁弁で、各インジェクタ1からエンジンへ噴射供給する噴射圧力(燃料圧)、つまりコモンレール圧を変更する。その入り口調量弁4は、通電が停止されると弁状態が全開状態となるノーマリオープンタイプ(常開型)のポンプ流量制御弁(電磁弁)である。
【0022】
コモンレール5には、連続的に噴射圧力に相当する高い圧力(コモンレール圧)が蓄圧される必要があり、そのために燃料配管(高圧配管経路)12を介して高圧燃料を吐出するサプライポンプ3の吐出口と接続されている。本実施例では、コモンレール5の図示右端部に、コモンレール5内の圧力、つまり実コモンレール圧(Pc)を検出するコモンレール圧センサ15を装着している。なお、インジェクタ1からのリーク燃料およびサプライポンプ3からのリーク燃料は、図示しないリーク配管(低圧通路)を経て燃料タンク10にリターンされる。
【0023】
また、リリーフ配管(低圧配管経路)17には、コモンレール5内の圧力(以下コモンレール圧と言う)が限界蓄圧圧力(限界設定圧)を超えることがないように圧力を逃がすためのプレッシャリミッタ16が取り付けられている。本実施例では、プレッシャリミッタ16は、コモンレール5とリリーフ配管17との間に接続される。なお、リリーフ配管17は、コモンレール5から燃料タンク10へ燃料をリリーフする配管である。
【0024】
プレッシャリミッタ16は、コモンレール圧が限界設定圧を超えた際に開弁してコモンレール圧を限界設定圧以下に抑えるための圧力安全弁である。このプレッシャリミッタ16は、バルブボディ(弁本体)、このバルブボディに形成された弁孔を開閉するバルブニードル(弁体)、このバルブニードルと一体的に動作するピストン、バルブニードルおよびピストンが弁座に着座する側(閉弁側)に所定の付勢力で付勢するスプリング等から構成されている。
【0025】
そして、バルブニードルのシート径とスプリングのセット荷重とでプレッシャリミッタ16の開弁圧が決定されている。また、プレッシャリミッタ16は、コモンレール圧が限界設定圧を超えた際に開弁した後に、コモンレール圧が所定値以下に低下すると閉弁してしまうが、本実施例のプレッシャリミッタ16は、圧力レギュレート機能を備えている。すなわち、プレッシャリミッタ16は、一旦開弁した後に、サプライポンプ3が過剰圧送する等の異常時に車両を退避走行(リンプフォーム)させる目的で、車両を安定走行させるのに必要な圧力(レギュレート圧力)を維持できるように閉弁圧を規制している。
【0026】
なお、上記のような車両をリンプフォームさせるためには、車両を安定走行させる時の燃料圧を、インジェクタ1の作動圧力よりも高い圧力にしてインジェクタ1からエンジンの各気筒への燃料噴射を可能にし、且つエンジン振動、車両挙動、異音やノッキング等の発生しない低い圧力にして安定した走行状態を確保する必要がある。この圧力をレギュレート圧力とすると、このレギュレート圧力はプレッシャリミッタ16のバルブニードルまたはバルブニードルと一体的に動作するピストンの外径とバルブニードルおよびピストンを閉弁方向に付勢するスプリングの付勢力とで決まる。すなわち、プレッシャリミッタ16のバルブニードルまたはピストンと開弁圧を決めるバルブニードルのシート径の二乗比で閉弁圧が規制される。
【0027】
ECU9には、制御処理、演算処理を行うCPU、各種プログラムおよびデータを保存するメモリ(ROM、RAMまたはバックアップRAM)、I/Oポート(入力回路、出力回路)等の機能を含んで構成される周知の構造のマイクロコンピュータ(本発明のコンピュータに相当する)が設けられている。そして、高圧配管経路(システム)内の燃料圧に相当するコモンレール5内の圧力(実コモンレール圧:Pc)を検出する燃料圧センサとしてのコモンレール圧センサ15や、エンジンの運転条件を検出する運転条件検出手段としての回転速度センサ、アクセル開度センサおよび冷却水温センサ(いずれも図示せず)等の各種センサからのセンサ信号は、A/D変換器でA/D変換された後にマイクロコンピュータに入力されるように構成されている。
【0028】
本実施例のECU9は、イグニッションスイッチ(本発明の運転スイッチに相当する)21がON(オン)されてECU電源の供給が成された時点で、メモリに記憶されたプログラムに基づいてインジェクタ1のアクチュエータおよびサプライポンプ3のアクチュエータを電気的に駆動するインジェクタ駆動回路およびポンプ駆動回路を介してインジェクタ1およびサプライポンプ3を電子制御するように構成されている。また、ECU9は、イグニッションスイッチ21がOFF(オフ)されてECU電源の供給が断たれると、メモリに記憶されたプログラムに基づく上記の制御が強制的に終了されるように構成されている。
【0029】
また、ECU9には、図1に示したように、IG・ON信号を検出するIG信号検出部22、およびバッテリ電源24からECU9へのECU電源の供給状態を検出するECU電源検出部(以下ECU電源ON信号出力部と言う)23が設けられている。なお、これらのIG信号検出部22およびECU電源ON信号出力部23は、マイクロコンピュータに電源の供給が成されない時でも作動可能なものである。そのIG信号検出部22は、イグニッションスイッチ21のIG・ON信号を検出したら、ECU9とバッテリ電源24とを結ぶECU電源ライン(ワイヤリングハーネス:W/H)31を断続するメインリレー25を通電(ON)するように構成されている。また、ECU電源ON信号出力部23は、ECU電源の供給を検出すると、後記するバックアップ駆動回路7にECU電源ON信号を出力する。
【0030】
なお、IG信号検出部22は、車両を運転している時に運転者(ドライバー)によって不意にイグニッションスイッチ21がOFFされた場合に、メインリレー25の通電停止(OFF)を所定条件を満足するまで遅延させることもできる。その所定条件を満足するとは、イグニッションスイッチ21がOFFされてからエンジンが停止するまで、あるいはイグニッションスイッチ21がOFFされてから所定時間が経過するまでである。
【0031】
そして、ECU9は、エンジンの運転条件に応じた最適な目標噴射量(=噴射期間:Q)、目標噴射時期を決定する噴射量、噴射時期決定手段と、コモンレール圧センサ15によって検出される実コモンレール圧(Pc)および目標噴射量(Q)に応じたインジェクタ1に印加するインジェクタ(INJ)噴射パルス幅(インジェクタ噴射パルス時間:Tq)を演算する噴射パルス幅決定手段と、インジェクタ駆動回路(EDU)を介して各気筒のインジェクタ1にそれぞれ装着された電磁弁2にINJ噴射パルスを印加するインジェクタ駆動手段とを備えている。そして、ECU9によるサプライポンプ調量制御(コモンレール圧制御)は、エンジンの運転条件に応じた最適な目標コモンレール圧(Pt)を演算し、この目標コモンレール圧(Pt)を達成するために、サプライポンプ3の入り口調量弁4への駆動電流(ポンプ駆動信号)の制御を実施することである。
【0032】
ここで、ECU9の異常または故障としては、図1に示したように、メインリレー25を介してECU9とバッテリ電源24とを結ぶECU電源ライン31の故障(断線またはショート)または異常(誤操作によるOFF)、あるいはイグニッションスイッチ21とIG信号検出部22とを結ぶIG信号ライン(ワイヤリングハーネス:W/H)32の故障(断線またはショート)または異常(誤操作によるOFF)が考えられる。なお、ECU電源ライン31の故障(断線等)または異常(誤操作によるOFF)は、上記のECU電源ON信号出力部23からバックアップ駆動回路7へECU電源ON信号が出力されないので、ECU電源ON信号出力部23によって検出可能である。また、IG信号ライン32の断線(またはOFF)は、上述したIG信号検出部22によって検出可能である。また、サプライポンプ3の異常または故障としては、図1に示したように、サプライポンプ3の入り口調量弁4を電気的に駆動するポンプ駆動回路(EDU)を介して入り口調量弁4とECU9とを結ぶ入り口調量弁(ポンプ)駆動ライン(ワイヤリングハーネス:W/H)33の故障(断線またはショート)が考えられる。
【0033】
バックアップ駆動回路7は、ドライバーが車両を運転中(エンジンが回転中)で、且つECU電源ON信号出力部23からECU電源ON信号が出力されない異常時に、入り口調量弁駆動ライン33に対して並列接続されたバックアップ駆動ライン34を用いて駆動電流を入り口調量弁4に供給するように構成されている。このバックアップ駆動回路7は、エンジンにより回転駆動されるオルタネータ(車両用交流発電機)35の発電によって生成される電力を入り口調量弁4の制御電流(エンジン回転数に対応した制御電流)として利用している。
【0034】
[実施例の制御方法]
次に、本実施例のコモンレール式燃料噴射システムの制御方法を図1および図2に基づいて簡単に説明する。ここで、図2はIG信号ラインのOFF(または断線)時、あるいはECU電源ラインの断線時、あるいは入り口調量弁駆動ラインの断線時のサプライポンプ調量制御(コモンレール圧制御)を示した制御フローチャートである。
【0035】
なお、制御フローチャートは、本発明のメモリに記憶されたプログラムに相当するもので、イグニッションスイッチ21がOFF→ONへと切り換わったときに起動されて所定時間毎に随時実行され、また、サプライポンプ3が過剰圧送等の故障がなく正常であって、イグニッションスイッチ21がON→OFFへと切り換わってエンジンが停止し、メインリレー25がOFFされてECU9へのECU電源の供給が断たれたときには、強制的に終了されるものである。
【0036】
先ず、イグニッションスイッチ21がONされているか否かを判定する。すなわち、IG信号検出部22によってIG・ON信号が検出しているか否かを判定する(ステップS1)。この判定結果がNOの場合、つまり不意にイグニッションスイッチ21がOFFされた場合またはIG信号ライン32が断線した場合には、ECU9によってエンジンが回転中であるか否かを判定する。
【0037】
すなわち、回転速度センサによって検出されるエンジン回転速度(以下エンジン回転数と言う:NE)が所定値(例えばエンスト限界回転数)以上であるか否かを判定する(ステップS2)。この判定結果がNOの場合、つまりエンジンの回転が無く、エンジン停止中の場合には、バッテリ電源24からECU9へのECU電源の供給を断つ(OFFする)ために、ECU電源ライン31を断続するメインリレー25をOFF(開成)する(ステップS3)。これにより、ECU9へのECU電源の供給が断たれるため制御フローチャートの実行が終了する。
【0038】
また、ステップS2の判定結果がYESの場合、つまりエンジンが停止しているのではなく、エンジンが回転している場合には、ECU9に制御されるポンプ駆動回路(EDU)によって入り口調量弁4を電気的に駆動する。すなわち、サプライポンプ3よりコモンレール5へ圧送される燃料の圧送量(サプライポンプ3よりコモンレール5へ吐出される吐出量)が減少する(サプライポンプ3の圧送が停止に向かう)ように、ポンプ駆動回路(EDU)によって入り口調量弁4を電気的に駆動する。具体的には、サプライポンプ3より吐出される燃料の圧送量が0に向かうように、つまり入り口調量弁4が閉弁する方向(入り口調量弁4の通電量が大きくなる方向)に向かうように入り口調量弁4の駆動電流を調整する(ステップS4)。以降、ステップS1に戻り、上記の処理を繰り返す。
【0039】
また、ステップS1の判定結果がYESの場合には、バッテリ電源24からECU9へECU電源を供給するために、ECU電源ライン31を断続するメインリレー25をON(閉成)する(ステップS5)。次に、ECU電源ライン31に故障(断線またはショート)が有るか否かを判定する。すなわち、ECU電源ON信号出力部23においてバッテリ電源24からECU9へのECU電源の供給状態を検出しているか否かを判定する(ステップS6)。この判定結果がNOの場合、つまりECU電源ライン31が正常の場合には、ECU電源ON信号出力部23からバックアップ駆動回路7へECU電源ON信号を出力する(ステップS7)。次に、入り口調量弁駆動ライン33に故障(断線またはショート等)が有るか否かを判定する(ステップS8)。この判定結果がYESの場合には、ステップS10へ進む。なお、ステップS8においてECU9が故障しているか否かを判定しても良い。
【0040】
ここで、入り口調量弁4の駆動時には、ECU9はポンプ駆動回路(EDU)を介して所定のパルス間隔のポンプ駆動信号に応じた制御電流値を入り口調量弁4に供給しているので、ECU9は入り口調量弁4へのポンプ駆動信号をフィードバック制御しながら入り口調量弁4を制御している。このため、ECU9では、入り口調量弁4へのポンプ駆動信号の電圧値または電流値が通常使用する範囲外の時にサプライポンプ3の異常または故障として判断するようにしている。本実施例では、入り口調量弁4としてノーマリオープンタイプの電磁弁を使用しているので、入り口調量弁駆動ライン33の故障(断線等)時には通常使用する範囲外の0Vとなり、入り口調量弁4は全開異常、つまりサプライポンプ3は過剰圧送(全量圧送)となる。
【0041】
また、上記のステップS8の判定結果がNOの場合、つまりイグニッションスイッチ21がONされ、ECU9にECU電源の供給が成され、且つ入り口調量弁駆動ライン33が正常の場合には、ECU9によって通常のインジェクタ1の噴射時期・噴射期間制御(噴射パルス制御)、および通常のサプライポンプ調量制御(コモンレール圧制御)を実施する(ステップS9)。以降、ステップS1に戻り、上記の処理を繰り返す。
【0042】
すなわち、ECU9によるインジェクタ1の噴射時期・噴射期間制御(噴射パルス制御)とは、回転速度センサによって検出されたエンジン回転数(NE)およびアクセル開度センサによって検出されたアクセル開度(ACCP)等のエンジン運転情報、更には冷却水温センサによって検出されたエンジン冷却水温(THW)の補正を加味して目標噴射量(Q)を算出し、コモンレール圧センサ15によって検出される実コモンレール圧(Pc)および目標噴射量(Q)からINJ噴射パルス幅(Tq)を算出し、このINJ噴射パルス幅(Tq)に応じたINJ噴射パルスを各気筒のインジェクタ1にそれぞれ装着された電磁弁2に出力する制御を言う。
【0043】
また、ECU9によるコモンレール圧制御は、回転速度センサによって検出されたエンジン回転数(NE)およびアクセル開度センサによって検出されたアクセル開度(ACCP)等のエンジン運転情報、更には冷却水温センサによって検出されたエンジン冷却水温(THW)の補正を加味して目標コモンレール圧(Pt)を演算し、この目標コモンレール圧(Pt)を達成するために、サプライポンプ3の入り口調量弁4にポンプ駆動信号を出力する制御を言う。さらに、より好ましくは、コモンレール圧センサ15によって検出される実コモンレール圧(Pc)が、上述したようにエンジンの運転条件によって設定される目標コモンレール圧(Pt)と略一致するように、サプライポンプ3の入り口調量弁4に供給する駆動電流をフィードバック制御することが望ましい。
【0044】
また、ステップS6の判定結果がYESの場合、つまりECU電源ライン31が故障(断線またはショート)している場合には、ECU9はメモリに予め記憶されたプログラムに基づく制御は強制的に終了すると共に、ECU電源ON信号出力部23においてECU電源の供給状態が検出されないために、ECU電源ON信号出力部23からバックアップ駆動回路7へECU電源ON信号が出力されない。
【0045】
あるいは、ステップS8の判定結果がYESの場合、つまり入り口調量弁駆動ライン33の故障(断線またはショート)の場合には、サプライポンプ3の過剰圧送(全量圧送)等によって高圧配管経路(システム)内が異常高圧状態であると判断できる。このため、ECU10は、ECU電源ON信号出力部23からバックアップ駆動回路7へのECU電源ON信号の出力を禁止(無しに)する(ステップS10)。これにより、バックアップ駆動回路7にECU電源ON信号の入力が無くなると同時に、バックアップ駆動回路7によって入り口調量弁4の電気的な駆動が開始される(ステップS11)。
【0046】
次に、エンジンが回転中であるか否かを判定する(ステップS12)。この判定結果がNOの場合、つまりエンジンが停止した時点で、バックアップ駆動回路7による入り口調量弁4の電気的な駆動が停止される(ステップS13)。また、ステップS12の判定結果がYESの場合、つまりエンジンが回転している場合には、バックアップ駆動回路7によってサプライポンプ3よりコモンレール5へ圧送される燃料の圧送量が減少する(サプライポンプ3の圧送が停止に向かう)ように入り口調量弁4を電気的に駆動する。具体的には、サプライポンプ3より吐出される燃料の圧送量が0に向かうように、つまり入り口調量弁4が閉弁する方向に向かうように入り口調量弁4の駆動電流を調整する(ステップS14)。その後に、ステップS12に戻り、上記の処理を繰り返す。
【0047】
ここで、ステップS11〜S14の処理は、ECU9のメモリに予め記憶されたプログラムではなく、また、バックアップ駆動回路7は回路を切り替える切替スイッチとして機能しているため、バックアップ駆動回路7によって入り口調量弁4を電気的に駆動しているのでもなく、実際には、エンジンが回転中の場合には、エンジンにより回転駆動されるオルタネータ35の発電によって生成される電力によって入り口調量弁4を電気的に駆動している。
【0048】
したがって、ステップS12のように、バックアップ駆動回路7によってエンジンが回転中であるか否かを判定することはできず、エンジンが回転している間、オルタネータ35の発電によって生成される電力によって入り口調量弁4を電気的に駆動できるように構成されている。このため、エンジン回転数(NE)が大きければ大きい程、入り口調量弁4に供給される駆動電流は大きくなり、これにより入り口調量弁4の弁開度は小さくなる。逆に、エンジン回転数(NE)が小さければ小さい程、入り口調量弁4に供給される駆動電流は小さくなり、これにより入り口調量弁4の弁開度は大きくなる。
【0049】
[実施例の特徴]
ここで、本実施例のコモンレール式燃料噴射システムのように、サプライポンプ3の入り口調量弁4としてノーマリオープンタイプ(常開型)の電磁弁を採用している場合には、ECU9と入り口調量弁4とを結ぶ入り口調量弁駆動ライン33に故障(断線等)が生じると、サプライポンプ3の圧送量を変更する入り口調量弁4が全開異常となる。
【0050】
このような入り口調量弁4の全開異常時には、エンジンが回転中の場合、サプライポンプ3が高圧燃料をコモンレール5へ過剰圧送(全量圧送)することにより、サプライポンプ3からコモンレール5を経て各気筒のインジェクタ1までの高圧配管経路(システム)内の燃料圧(以下コモンレール圧と言う)が異常上昇することになる。そして、更にコモンレール圧が上昇して限界設定圧(プレッシャリミッタ16の開弁圧)を超えると、プレッシャリミッタ16が開弁して、コモンレール5内の高圧燃料をプレッシャリミッタ16、リリーフ配管17を経て燃料タンク10に逃がし、コモンレール圧を限界設定圧以下に抑える。このとき、入り口調量弁駆動ライン33の故障(断線等)によりサプライポンプ3の圧送量はECU9側のポンプ駆動回路(EDU)によって制御することはできないが、バックアップ駆動回路7によって入り口調量弁4への駆動電流をエンジン回転数(NE)に応じて変更することで、入り口調量弁4の弁開度を絞る側に調節できるので、システム内の異常高圧状態を抑えることができる。例えば入り口調量弁4の開弁特性を、オルタネータ35より供給される最低電流値において所定値(例えばアイドル時の制御値)となるように設定することもできる。
【0051】
また、エンジン回転数(NE)が所定値(アイドル状態)以下の時、つまりエンジンを低速で運転している間は、プレッシャリミッタ16が一旦開弁した後にコモンレール圧が閉弁圧以下に低下してプレッシャリミッタ16が閉弁し、再度コモンレール圧が限界設定圧を超えるとプレッシャリミッタ16が開弁する。このような圧力脈動によりプレッシャリミッタ16が開弁と閉弁とを繰り返し、コモンレール圧が不安定となり、車両の安全走行ができないという問題点があった。
【0052】
そこで、本実施例では、圧力レギュレート機能を備えたプレッシャリミッタ16を搭載しているので、プレッシャリミッタ16が一旦開弁した後はコモンレール圧が限界設定圧よりも下がるが、車両を安定走行させるのに必要な圧力(レギュレート圧力)にコモンレール圧を維持できるため、プレッシャリミッタ16が閉弁することを抑制できる。それによって、上記のプレッシャリミッタ16の圧力レギュレート機能によってコモンレール圧はインジェクタ1の作動圧力以上に保たれるため、コモンレール圧センサ15によってそのレギュレート圧力を検出し、その圧力に応じたインジェクタ1の噴射時期・噴射期間制御(噴射パルス制御)を実施することで、車両を安定走行させることができ、車両の退避走行(リンプフォーム)が可能となる。
【0053】
しかし、車両を運転している時に不意にドライバーがイグニッションスイッチ21をOFFした時、あるいはイグニッションスイッチ21とIG信号検出部22とを結ぶIG信号ライン32の断線時には、イグニッションスイッチ21をOFF(またはIG信号ライン32の断線)してからエンジンが確実に停止するまで、メインリレー25のOFFを遅延させることによって、ECU9へのECU電源の供給を継続させるようにしている。
【0054】
そして、ECU9によって入り口調量弁4をポンプ圧送停止側に電気的に駆動することで、入り口調量弁4への駆動電流が無くなることによるサプライポンプ3の過剰圧送によるシステム内の異常高圧状態を防止できる。それによって、システム内の異常高圧によるサプライポンプ3の破損や燃料配管12〜14とインジェクタ1およびコモンレール5との継手部からの燃料漏れ、燃料配管12〜14のバースト等を防止できるので、コモンレール式燃料噴射システムの安全性を向上することができる。これにより、不意のイグニッションスイッチ21のOFF時またはIG信号ライン32の断線時に、車両を安定走行させることができ、車両を退避走行(リンプフォーム)させることができる。
【0055】
また、ECU9とバッテリ電源24とを結ぶECU電源ライン31の断線時には、ECU9へのECU電源の供給が断たれた時点で、プログラムに基づくインジェクタ1の噴射時期・噴射期間制御(噴射パルス制御)やサプライポンプ3の圧送量制御(コモンレール圧制御)は強制的に終了してしまう。このため、ECU9より入り口調量弁4へポンプ駆動信号を出力することができず、つまりノーマリオープンタイプ(常開型)の入り口調量弁4の入り口調量弁駆動ライン33が故障(断線等)した時と同じ状態となり、入り口調量弁4が全開異常となりサプライポンプ3が過剰圧送(全量圧送)となってしまうという不具合が生じる。
【0056】
そこで、本実施例では、ECU9へのECU電源の供給が断たれたことを、ECU電源ON信号出力部23からバックアップ駆動回路7へのECU電源ON信号が無くなることで検出し、その後はバックアップ駆動回路7の作動によって入り口調量弁4への駆動電流をエンジン回転数(NE)に応じて変更することで、入り口調量弁4の弁開度を調節できるので、システム内の異常高圧状態を抑えることができる。それによって、システム内の異常高圧によるサプライポンプ3の破損や燃料配管12〜14とインジェクタ1およびコモンレール5との継手部からの燃料漏れ、燃料配管12〜14のバースト等を防止できるので、コモンレール式燃料噴射システムの安全性および信頼性を向上させることができる。
【0057】
[変形例]
本実施例では、コモンレール圧センサ(燃料圧センサ)15をコモンレール5の図示右端部に直接取り付けて、コモンレール5内に蓄圧される燃料圧(実コモンレール圧)を検出するようにしているが、燃料圧センサをサプライポンプ3のプランジャ室(加圧室)からインジェクタ1内の燃料通路までの間の燃料配管等に取り付けて、サプライポンプ3の加圧室より吐出された燃料圧を検出するようにしても良い。
【0058】
本実施例では、サプライポンプ3のプランジャ室(加圧室)内に吸入される燃料の吸入量を変更(調整)する入り口調量弁(吸入量調整用電磁弁)4を設けた例を説明したが、サプライポンプ3のプランジャ室(加圧室)からコモンレール5への燃料の吐出量を変更(調整)する吐出量調整用電磁弁を設けても良い。また、本実施例では、吐出量調整用電磁弁または吸入量調整用電磁弁の弁開度がその電磁弁への通電を停止した時に全開となるノーマリオープンタイプ(常開型)の電磁弁を用いたが、吐出量調整用電磁弁または吸入量調整用電磁弁の弁開度がその電磁弁を通電した時に全開となるノーマリクローズタイプ(常閉型)の電磁弁を用いても良い。
【0059】
本実施例では、マイクロコンピュータ側の異常または故障の判定を、ECU電源ライン31の故障(断線またはショート)を検出することにより判定しているが、ECU9のマイクロコンピュータまたはポンプ駆動回路(EDU)から入り口調量弁(高圧供給ポンプのアクチュエータ)4への出力異常(制御異常)を検出することにより判定するようにしても良い。また、ECU9のマイクロコンピュータ側またはポンプ駆動回路(EDU)側の異常または故障、あるいはサプライポンプ(高圧供給ポンプ)3の異常または故障を検出した場合に、インジケータランプ等の表示手段を点灯してドライバーに注意を促すようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】コモンレール式燃料噴射システムの全体構造を示した概略図である(実施例)。
【図2】サプライポンプ調量制御を示した制御フローチャートである(実施例)。
【符号の説明】
1 インジェクタ
3 サプライポンプ(高圧供給ポンプ)
4 ノーマリオープンタイプの入り口調量弁(吸入量調整用電磁弁)
5 コモンレール
7 バックアップ駆動回路
9 ECU(マイクロコンピュータを含んで構成される電子制御ユニット)
12 燃料配管(高圧配管経路)
13 分岐管(高圧配管経路)
14 高圧配管(高圧配管経路)
15 コモンレール圧センサ(燃料圧センサ)
16 プレッシャリミッタ(圧力安全弁)
21 イグニッションスイッチ(運転スイッチ)
22 IG信号検出部
23 ECU電源ON信号出力部
24 バッテリ電源
25 メインリレー
31 ECU電源ライン
33 入り口調量弁駆動ライン(ポンプ駆動ライン)
34 バックアップ駆動ライン
35 オルタネータ(車両用交流発電機)
Claims (9)
- (a)エンジンの各気筒毎に搭載された複数個のインジェクタと、
(b)前記エンジンにより回転駆動される高圧供給ポンプであって、加圧室内に吸入した燃料を加圧し高圧化する高圧供給ポンプと、
(c)この高圧供給ポンプより圧送された高圧燃料を蓄圧すると共に、この蓄圧された高圧燃料を前記複数個のインジェクタに分配するコモンレールと、
(d)運転スイッチがオンされて電源の供給が成されると、メモリに記憶されたプログラムに基づいて前記高圧供給ポンプの電磁式アクチュエータを電気的に駆動するポンプ駆動回路を介して前記高圧供給ポンプの電磁式アクチュエータを電子制御するコンピュータと、
(e)車両を運転している時に、前記コンピュータへの電源の供給が断たれた時、あるいは前記コンピュータ側の異常または故障が発生した時、あるいは前記高圧供給ポンプの異常または故障が発生した時には、前記エンジンが回転している間は前記高圧供給ポンプの電磁式アクチュエータを電気的に駆動するバックアップ駆動回路と
を備えた蓄圧式燃料噴射装置において、
前記高圧供給ポンプの電磁式アクチュエータは、前記ポンプ駆動回路を介して前記コンピュータによって電子制御されることにより、前記高圧供給ポンプから前記コモンレールへの燃料の吐出量を変更する調量弁であって、
前記コンピュータは、車両を運転している時に不意に前記運転スイッチがオフされても、前記エンジンが回転している間は、前記高圧供給ポンプの圧送量が減少する側に前記高圧供給ポンプの調量弁を電気的に駆動することを特徴とする蓄圧式燃料噴射装置。 - 請求項1に記載の蓄圧式燃料噴射装置において、
前記コンピュータは、前記運転スイッチがオフされて電源の供給が断たれると、前記メモリに記憶されたプログラムに基づく制御が強制的に終了されるように構成されていることを特徴とする蓄圧式燃料噴射装置。 - 請求項1または請求項2に記載の蓄圧式燃料噴射装置において、
前記高圧供給ポンプの調量弁は、前記高圧供給ポンプの加圧室内に吸入される燃料の吸入量を調整する吸入量調整用の電磁弁であって、
前記高圧供給ポンプの異常または故障とは、前記電磁弁の全開異常による前記高圧供給ポンプの過剰圧送であることを特徴とする蓄圧式燃料噴射装置。 - 請求項1または請求項2に記載の蓄圧式燃料噴射装置において、
前記高圧供給ポンプの調量弁は、前記高圧供給ポンプの加圧室から前記コモンレールへの燃料の吐出量を調整する吐出量調整用の電磁弁であって、
前記高圧供給ポンプの異常または故障とは、前記電磁弁の全開異常による前記高圧供給ポンプの過剰圧送であることを特徴とする蓄圧式燃料噴射装置。 - 請求項3または請求項4に記載の蓄圧式燃料噴射装置において、
前記高圧供給ポンプの調量弁を電気的に駆動するとは、前記高圧供給ポンプの駆動ラインに対して並列接続されたバックアップ駆動ラインを用いて、エンジン回転数に対応した駆動電流を前記電磁弁に供給することであることを特徴とする蓄圧式燃料噴射装置。 - 請求項1ないし請求項5のうちいずれかに記載の蓄圧式燃料噴射装置において、
前記コンピュータの電源ラインが正常時に、前記バックアップ駆動回路に電源オン信号を出力する電源オン信号出力部を備え、
前記バックアップ駆動回路は、前記電源オン信号出力部から電源オン信号を入力している間は、前記高圧供給ポンプの調量弁の電気的な駆動を停止することを特徴とする蓄圧式燃料噴射装置。 - 請求項1ないし請求項6のうちいずれかに記載の蓄圧式燃料噴射装置において、
前記高圧供給ポンプの加圧室から前記コモンレールを経て前記複数個のインジェクタまでの高圧配管経路内の燃料圧が限界設定圧を超えた際に開弁して燃料圧を限界設定圧以下に抑えるための圧力安全弁を備え、
前記圧力安全弁は、開弁した後に、前記高圧配管経路内の燃料圧を車両を退避走行させるのに必要なレギュレート圧力以上に維持することが可能な圧力レギュレート機能を備えたことを特徴とする蓄圧式燃料噴射装置。 - 請求項1ないし請求項7のうちいずれかに記載の蓄圧式燃料噴射装置において、
前記コンピュータは、前記メモリに記憶されたプログラムに基づいて前記複数個のインジェクタの各電磁式アクチュエータを電気的に駆動するインジェクタ駆動回路を介して前記複数個のインジェクタの各電磁式アクチュエータを電子制御することを特徴とする蓄圧式燃料噴射装置。 - 請求項8に記載の蓄圧式燃料噴射装置において、
前記高圧供給ポンプの加圧室から前記コモンレールを経て前記複数個のインジェクタまでの高圧配管経路内の燃料圧を検出する燃料圧センサを備え、
前記プログラムは、前記エンジンの運転条件から目標噴射量を算出する噴射量決定手段、および前記燃料圧センサによって検出された前記高圧配管経路内の燃料圧と前記噴射量決定手段によって設定された目標噴射量とから噴射パルス幅を決定する噴射パルス幅決定手段を有することを特徴とする蓄圧式燃料噴射装置。
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