JP2007182484A - ポリ乳酸架橋成形体の製造方法およびポリ乳酸架橋成形体 - Google Patents

ポリ乳酸架橋成形体の製造方法およびポリ乳酸架橋成形体 Download PDF

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Abstract

【課題】ポリ乳酸のガラス転移温度である60℃以上の高温になっても強度が低下しにくく形状を維持することができる生分解性ポリ乳酸架橋成形体の製造方法を提供する。
【解決手段】ポリ乳酸と架橋性モノマー(A)との混合物を一次架橋して、ポリ乳酸一次架橋物を作製する第一工程と、該第一工程で得られたポリ乳酸一次架橋物を、ポリ乳酸のガラス転移温度以上融点以下の温度で、架橋性モノマー(B)に浸漬し、ポリ乳酸一次架橋物内に該架橋性モノマー(B)を含浸させる第二工程と、前記架橋性モノマー(B)が含浸されたポリ乳酸一次架橋物を二次架橋する第三工程を備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、生分解性を有するポリ乳酸架橋成形体の製造方法および該方法で製造されたポリ乳酸架橋成形体に関し、該ポリ乳酸架橋成形体は、フィルム、容器または筐体などの構造体や部品などのプラスチック製品が利用される分野において、特に使用後の廃棄処理問題の解決を図るために有用な生分解性製品または部品として利用されるものである。
現在、多くのフィルムや容器に利用されている石油合成高分子材料は、加熱廃棄処理に伴う熱および排気ガスによる地球温暖化、さらに燃焼ガスおよび燃焼後の残留物中の毒性物質による食物や健康への悪影響、廃棄埋設処理地の確保など、その廃棄処理過程についてだけでも様々な社会問題が懸念されている。
このような石油合成高分子材料の廃棄処理の問題点を解決する材料として、デンプンやポリ乳酸に代表される生分解性高分子材料が注目されてきている。生分解性高分子材料は、石油合成高分子材料に比べて、燃焼に伴う熱量が少なく、かつ自然環境での分解・再合成のサイクルが保たれる等、生態系を含む地球環境に悪影響を与えない。生分解性高分子材料のなかでも、脂肪族ポリエステル系樹脂は強度や加工性の点で石油合成高分子材料に匹敵する特性を有し、近年特に注目を浴びている素材である。脂肪族ポリエステル系樹脂のなかでも、特にポリ乳酸は植物から供給されるデンプンから作られ、近年の大量生産によるコストダウンで他の生分解性高分子材料に比べて非常に安価になりつつある点から、現在その応用について多くの検討がなされている。
しかし、ポリ乳酸はガラス転移温度の60℃以上では形状が維持できないくらい軟らかくなるため、実用化の妨げとなっている。60℃という温度は自然界における気温や水温としては容易に達しない温度であるが、例えば真夏の締め切った自動車の車内や窓材などでは達し得る温度である。ゆえに、60℃以上になると軟弱になって形成された形状を維持できないという特性の著しい変化は致命的な欠陥である。
このような著しい特性の変化はポリ乳酸の結晶構造に由来している。すなわち、溶融成形後の通常の冷却スピードでは、ポリ乳酸は殆ど結晶化せず、大部分は非結晶となる。ポリ乳酸は融点が160℃と高く、結晶部分は容易に融けないが、大部分を占める非結晶部分はガラス転移温度の60℃付近で拘束が解けて動き始める。そのため、ガラス転移温度の60℃付近で極端な特性変化を生じる。
ガラス転移温度が60℃以上になると柔軟になりすぎて強度が低下してしまうという問題を解決するために、電離性放射線や化学開始剤を利用してポリ乳酸を架橋させることが特開2003−313214号公報(特許文献1)に記載されている。
しかし、架橋されたポリ乳酸でもガラス転移温度は存在し、そのガラス転移温度以上では非結晶部分は柔軟になってしまい、ガラス転移温度以下での強度をそのまま維持できるわけではない。
本発明者らの検討では、ポリ乳酸を架橋させるための架橋性モノマーの添加量を増やしたり、架橋性モノマーを活性化させ架橋反応を起こさせるための放射線照射量を増加したりしても、ガラス転移温度以上の温度における強度の向上には限界があることを究明している。即ち、架橋性モノマーの添加量を増やし、ポリ乳酸に対して数十%以上も添加すると、混合状態を維持できず、架橋性モノマーの析出が起る。また、放射線照射量を増加していくと、本来放射線崩壊型のポリ乳酸は徐々に分解していき、強度が向上するどころか逆に低下していき、問題の解決が図れない。
特開2003−313214号公報
本発明は、ポリ乳酸のガラス転移温度である60℃以上の高温になっても強度が低下しにくく、形状を維持することができる生分解性のポリ乳酸架橋成形体およびその製造方法を提供することを課題としている。
より具体的には、本発明は、ガラス転移温度を持たず、優れた強度を温度環境に左右されることになく維持することができる生分解性ポリ乳酸架橋成形体およびその製造方法を提供することを課題としている。
前記課題を解決するため、第一の発明として、
ポリ乳酸と架橋性モノマー(A)との混合物を一次架橋して、ポリ乳酸一次架橋物を作製する第一工程と、
前記第一工程で得られたポリ乳酸一次架橋物を、ポリ乳酸のガラス転移温度以上融点以下の温度で、架橋性モノマー(B)に浸漬し、ポリ乳酸一次架橋物内に該架橋性モノマー(B)を含浸させる第二工程と、
前記架橋性モノマー(B)が含浸されたポリ乳酸一次架橋物を二次架橋する第三工程と
を備えることを特徴とするポリ乳酸架橋成形体の製造方法を提供している。
本発明者らは、ポリ乳酸のガラス転移温度である60℃以上の温度における強度維持について鋭意研究を重ねた結果、架橋性モノマーを析出させることなく、その含有量を増加させ、架橋密度を上げることに成功した。
即ち、第一工程で、架橋性モノマー(A)を混合して成形したポリ乳酸成形物を一次架橋してポリ乳酸を略完全に架橋させた後、第二工程で架橋性モノマー(B)に浸漬させている。
通常、ポリ乳酸はガラス転移温度以上となると非結晶部分が動いて結晶構造になっていくが、結晶化すると融点に達するまで動かない。
本発明では、第一工程で架橋により分子を結合して、分子の動きを拘束しているため、第二工程で架橋性モノマー(B)に浸漬し、ポリ乳酸のガラス転移温度以上で加熱してもポリ乳酸の結晶化は発生せず、浸漬した架橋性モノマー(B)がポリ乳酸の分子間に浸透していき、膨潤のみを発生させることができる。このように、第一工程で一次架橋して略100%架橋させることで、第二工程において分子の結晶化を発生させず、架橋性モノマー(B)を膨潤させることができ、重量を増加させると共に柔らかくすることができる。
この状態で、第三工程において二次架橋すると、第二工程で含浸させた架橋性モノマー(B)同士および架橋性モノマー(B)とポリ乳酸とを架橋させることができる。
すなわち、本発明では、第一工程での一次架橋と、第三工程での二次架橋の2回の架橋を行い、一次架橋によりポリ乳酸を架橋し、二次架橋により架橋性モノマー同士および架橋性モノマーとポリ乳酸を架橋させ、架橋構造を複合化させている。
その結果、ガラス転移温度の60℃以上の高温になっても60℃以下の強度を維持できるようになる。そのうえ、含浸された架橋性モノマーは架橋により拘束されるので架橋性モノマーの析出を防ぐことができる。
前記工程について、図1を用いて説明する。
まず、(a)に示すように、第一工程において、ポリ乳酸に架橋性モノマー(A)を混合した後に所要形状に成形し、このポリ乳酸成形物を一次架橋し、(b)に示すように、前記ポリ乳酸をゲル分率で略100%架橋している。該ポリ乳酸一次架橋物1を微視的に見ると、(c)に示すようにポリ乳酸分子は架橋11により相互に拘束されている。この状態では、ガラス転移温度以上の温度になっても分子が架橋されているため、動きが拘束されて変形するまでには至らない。
ついで、第二工程においてポリ乳酸一次架橋物1をポリ乳酸のガラス転移温度以上融点以下の温度で液体状の架橋性モノマー(B)に浸漬すると、(d)に示すように架橋された分子の間に架橋性モノマー(B)が含浸されていく。
第二工程においては、ポリ乳酸一次架橋物1がガラス転移温度以上の温度にさらされると、非結晶部分の拘束が解けてある程度柔軟になってしまうという上記性質を逆に利用している。すなわち、ポリ乳酸一次架橋物1を液体状の架橋性モノマー(B)内でガラス転移温度以上の温度にすることにより、ポリ乳酸の非結晶部分を運動させ、架橋されたポリ乳酸の分子間に架橋性モノマー(B)を浸入させ、架橋性モノマー(B)によりポリ乳酸一次架橋物1を膨潤させる。
ついで、室温に戻すと、(e)(f)に示す状態となる。この状態では、架橋性モノマー(B)はポリ乳酸の分子間に含浸されているだけで、固定化されていない。
その後、第三工程において、電離性放射線を照射するなどして架橋すると、含浸させた架橋性モノマー(B)同士が架橋12されて固定化されると共に、該架橋性モノマー(B)とポリ乳酸の間もグラフト架橋され、(g)(h)に示す複合化した架橋構造を有するポリ乳酸架橋成形体10となる。
このように、一次架橋と二次架橋の2回の架橋で、複合化された架橋構造を設けているため、ポリ乳酸架橋成形体10の強度が高められ、ガラス転移温度60℃以上となっても変形しない強度を付与することができる。
本発明のポリ乳酸架橋成形体の製造方法においては、まず、ポリ乳酸成形物を100%近く架橋して、ポリ乳酸一次架橋物を作成することが重要である。
架橋されていないポリ乳酸成形物4を用いて、第二工程で架橋性モノマーに浸漬した場合に起こる現象を、図2および図3に示す。
図2(b)に示したように、架橋されていないポリ乳酸成形物4を架橋性モノマー(B)に浸漬すると、ポリ乳酸分子同士を拘束する架橋が存在しないため、架橋性モノマー(B)の浸入により図2(c)に示したようにポリ乳酸が溶融して形状の変形または崩壊が起こる。
また、図3(b)に示したように、架橋されていないポリ乳酸成形物4をガラス転移温度以上の状態に置くと非結晶部分が徐々に結晶化し(図3(b)中の符号5)、架橋性モノマー(B)が浸入する前に図3(c)に示したように硬く固まる。
本発明においては、架橋性モノマー(B)を含浸させるのはポリ乳酸一次架橋物1であり、架橋11によりポリ乳酸分子が拘束されて一体化しているので、非結晶部分が徐々に結晶化し始めて再結晶するということが見られない。
図2および図3に示した現象が起こらないようにするため、第一工程で作成するポリ乳酸一次架橋物はゲル分率が95%以上、好ましくは98%以上、特に、実質的に100%で、完全に架橋させていることが好ましい。
なお、ゲル分率が実質的に100%を越えた範囲でも、架橋点の量、すなわち架橋密度が重要で、架橋密度を上げていくことで第二工程における架橋性モノマー(B)の含浸量を制御することが可能である。これは、架橋ネットワーク構造が緻密になることで構造変化・体積変化しにくくなることを利用しており、ポリ乳酸成形物に含まれる架橋性モノマー(A)の量、架橋させる電離性放射線の量などを増減させることで架橋密度を増減させて、架橋性モノマー(B)の含浸量を制御することが可能である。
本発明で用いるポリ乳酸としては、L−乳酸からなるポリ乳酸、D−乳酸からなるポリ乳酸、L−乳酸とD−乳酸の混合物を重合することにより得られるポリ乳酸、またはこれら2種以上の混合物が挙げられる。なお、ポリ乳酸を構成するモノマーであるL−乳酸またはD−乳酸は化学修飾されていても良い。
本発明で用いるポリ乳酸としては前記のようなホモポリマーが好ましいが、乳酸モノマーまたはラクチドとそれらと共重合可能な他の成分とが共重合されたポリ乳酸コポリマーを用いても良い。コポリマーを形成する前記「他の成分」としては、例えばグリコール酸、3−ヒドロキシ酪酸、5−ヒドロキシ吉草酸もしくは6−ヒドロキシカプロン酸などに代表されるヒドロキシカルボン酸;コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、グルタル酸、デカンジカルボン酸、テレフタル酸もしくはイソフタル酸などに代表されるジカルボン酸;エチレングリコール、プロパンジオール、オクタンジオール、ドデカンジオール、グリセリン、ソルビタンもしくはポリエチレングリコールなどに代表される多価アルコール;グリコリド、ε−カプロラクトンもしくはδ−ブチロラクトンに代表されるラクトン類等が挙げられる。
前記第一工程において、一次架橋するポリ乳酸に配合する架橋性モノマー(A)としては、比較的低濃度で高い架橋度を得ることができることから、アリル系架橋性モノマーが好ましい。
アリル系モノマーとしては、トリアリルイソシアヌレート、トリメタアリルイソシアヌレート、トリアリルシアヌレート、トリメタアリルシアヌレート、ジアリルアミン、トリアリルアミン、ジアクリルクロレンテート、アリルアセテート、アリルベンゾエート、アリルジプロピルイソシアヌレート、アリルオクチルオキサレート、アリルプロピルフタレート、ビチルアリルマレート、ジアリルアジペート、ジアリルカーボネート、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド、ジアリルフマレート、ジアリルイソフタレート、ジアリルマロネート、ジアリルオキサレート、ジアリルフタレート、ジアリルプロピルイソシアヌレート、ジアリルセバセート、ジアリルサクシネート、ジアリルテレフタレート、ジアリルタトレート、ジメチルアリルフタレート、エチルアリルマレート、メチルアリルフマレート、メチルメタアリルマレート、ジアリルモノグリシジルイソシアヌレート等が挙げられる。
なかでも、トリアリルイソシアヌレート(以下、TAICという)はポリ乳酸に対する架橋効果が高いために特に好ましい。また、TAICと加熱によって相互に構造変換しうるトリアリルシアヌレートを用いても、実質的に効果は同じである。
一次架橋されるポリ乳酸に対して架橋性モノマー(A)は4重量%以上10重量%以下含まれていることが好ましい。これは4重量%未満ではゲル分率を100%近くすることが出来ず、一方10重量%を越えると、ポリ乳酸に架橋性ポリマー全量を均一に混合するのが困難になり、実質的に架橋効果に顕著な差が出なくなるという理由からである。より好ましくは、ポリ乳酸に対して5重量%以上7重量%以下である。
本発明で用いるポリ乳酸成形物を構成する組成物には、前記ポリ乳酸および架橋性モノマー(A)以外に、本発明の目的に反しない限り、他の成分を配合しても良い。
例えば、ポリ乳酸以外の生分解性樹脂を配合しても良い。ポリ乳酸以外の生分解性樹脂としては、ラクトン樹脂、脂肪族ポリエステルもしくはポリビニルアルコール等の合成生分解性樹脂、またはポリヒドロキシブチレート・バリレート等の天然直鎖状ポリエステル系樹脂等の天然生分解性樹脂を挙げることができる。
また、生分解性を有する合成高分子および/または天然高分子を、溶融特性を損なわない範囲で混合してもよい。生分解性を有する合成高分子としては、酢酸セルロース、セルロースブチレート、セルロースプロピオネート、硝酸セルロース、硫酸セルロース、セルロースアセテートブチレートもしくは硝酸酢酸セルロース等のセルロースエステル、またはポリグルタミン酸、ポリアスパラギン酸もしくはポリロイシン等のポリペプチドが挙げられる。天然高分子としては、例えば澱粉として、トウモロコシ澱粉、コムギ澱粉もしくはコメ澱粉などの生澱粉、または酢酸エステル化澱粉、メチルエーテル化澱粉もしくはアミロース等の加工澱粉が挙げられる。
さらに、前記組成物には、生分解性樹脂以外の樹脂成分、硬化性オリゴマー、各種安定剤、難燃剤、帯電防止剤、防カビ剤もしくは粘性付与剤等の添加剤、ガラス繊維、ガラスビーズ、金属粉末、タルク、マイカもしくはシリカ等の無機・有機充填材、染料もしくは顔料等の着色剤等を加えることもできる。
上述したポリ乳酸、架橋性モノマーおよび所望により他の成分を含む組成物を所望の形状に成形する。成形方法は特に限定されず、公知の方法を用いて良い。例えば、押出成形機、圧縮成形機、真空成形機、ブロー成形機、Tダイ型成形機、射出成形機、インフレーション成形機等の公知の成形機が用いられる。
前記ポリ乳酸組成物を所要形状に成形した後、該ポリ乳酸成形物を一次架橋しており、該架橋方法は特に限定されず公知の方法が用いられるが、特に、電離性放射線を照射し架橋することが最も好ましい。
電離性放射線としてはγ線、エックス線、β線またはα線などが使用できるが、工業的生産にはコバルト−60によるγ線照射や、電子線加速器による電子線照射が好ましい。
電離性放射線の照射は空気を除いた不活性雰囲気下や真空下で行うのが好ましい。電離性放射線の照射によって生成した活性種が空気中の酸素と結合して失活すると架橋効率が低下するためである。
電離性放射線の照射量は50kGy以上200kGy以下であることが好ましい。
架橋性モノマーの量によっては電離性放射線の照射量が1kGy以上10kGy以下であってもポリ乳酸の架橋は認められるが、ほぼ100%のポリ乳酸分子を架橋するには電離性放射線の照射量が50kGy以上であることが好ましい。さらに、後の工程で液体状の架橋性モノマーに浸漬したときに形状の変化を抑えて均一に膨潤させるためには、電離性放射線の照射量が80kGy以上であることがより好ましい。
一方、電離性放射線の照射量が200kGy以下であるのは、ポリ乳酸が樹脂単独では放射線で崩壊する性質を有するため、電離性放射線の照射量が200kGyを超えると架橋とは逆に分解を進行させることになるからである。電離性放射線の照射量の上限値は150kGyであることが好ましく、100kGyであることがより好ましい。
なお、電離性放射線を照射して一次架橋する代わりに、ポリ乳酸に架橋性モノマー(A)と化学開始剤を混合したのち所望の形状に成形し、化学開始剤が熱分解する温度まで上げることによっても、ポリ乳酸一次架橋物を作製することができる。
架橋性モノマー(A)としては、前記態様と同じ物質を用いることができる。
化学開始剤としては、熱分解により過酸化ラジカルを生成する過酸化ジクミル、過酸化プロピオニトリル、過酸化ベンゾイル、過酸化ジ−t−ブチル、過酸化ジアシル、過酸化ペラルゴニル、過酸化ミリストイル、過安息香酸−t−ブチルもしくは2,2’−アゾビスイソブチロニトリルなどの過酸化物触媒をはじめとするモノマーの重合を開始する触媒であればいずれでもよい。
架橋させるための温度条件は化学開始剤の種類により適宜選択することができる。架橋は、放射線照射の場合と同様、空気を除いた不活性雰囲気下や真空下で行うのが好ましい。
具体的には、第一工程においては、ポリ乳酸に架橋性モノマー(A)として、アリル系モノマー5重量%以上配合して、電離性放射線を50kGy以上で照射して一次架橋を行い、該一次架橋により、ポリ乳酸を略100%架橋していることが最も好ましい。
第二工程において、第一工程で得られたポリ乳酸一次架橋物をポリ乳酸のガラス転移温度以上融点以下の温度で架橋性モノマー(B)に浸漬している。
前記架橋性モノマー(B)としては、常温で液体状のもの、または常温では固体であってもポリ乳酸のガラス転移温度以上融点以下の温度で融解し液体となるものであれば、特に限定なく使用することができる。
該架橋性モノマー(B)としては、アクリル系もしくはメタクリル酸系モノマー、スチレン系モノマー、アリル系モノマー、またはラクトン系モノマーが揚げられる。
ポリ乳酸の架橋密度を向上させるには前記アリル系架橋性モノマーが適している。
ポリ乳酸のガラス転移温度以上の高温における強度を向上させる目的にはアクリル系もしくはメタクリル系の架橋性モノマーが適している。とくに、アクリル系はポリマーとなると硬いため、高温時における耐熱性を高めることができる。かつ、複合化後も透明なために光学系材料として採用できる。
ポリ乳酸へのグラフト重合、官能基導入への基点としてグラフト鎖を付与する目的にはスチレン系架橋性モノマーも有効である。
ポリ乳酸架橋成形体の生分解性をより高める目的にはラクトン系架橋性モノマーが適している。
前記アクリル系もしくはメタクリル系の架橋性モノマーとしては、(メタ)アクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタアクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、トリス(メタクリロキシエチル)イソシアヌレート等が挙げられる。
前記スチレン系の架橋性モノマーとしては、スチレン、p−メチルトルエンなどの主としてそのパラ位に官能基を備えたもの、スチレンスルホン酸塩、クロロスチレン、α−メチルスチレンなどが挙げられる。
ラクトン系架橋性モノマーとしては、ε−カプロラクトン、4−メチルカプロラクトン、3,5,5−トリメチルカプロラクトン、3,3,5−トリメチルカプロラクトンなどの各種メチル化カプロラクトン、β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、エナントラクトン等が挙げられる。
前記ポリ乳酸一次架橋物を浸漬する際の架橋性モノマー(B)の温度は、ポリ乳酸のガラス転移温度以上融点以下で、かつ架橋性モノマー(B)が液体状態を保つことができる温度であれば、架橋性モノマー(B)の種類等に応じて適宜選択することができる。架橋性モノマー(B)がポリ乳酸架橋構造の中に拡散していくのは高温の方が早いが、一般的には80〜120℃の範囲が好適である。
また、浸漬時間も特に限定されないが、一般に拡散現象は厚みの二乗に比例するため、1mm以内の厚みの物は5〜120分、より好ましくは30〜90分であり、厚みが数mm以上の場合は10〜20時間である。
ポリ乳酸一次架橋物内に架橋性モノマー(B)が含浸され、ポリ乳酸一次架橋物が膨潤した状態でポリ乳酸のガラス転移温度以下に冷却することにより、ポリ乳酸と架橋性モノマー(B)が複合化されたポリ乳酸−架橋性モノマー複合体が得られる。このように製造されたポリ乳酸−架橋性モノマー複合体3は、図1(e)に示すようにポリ乳酸の架橋ネットワーク11中に架橋性モノマー2が含浸されている。
第三工程においては二次架橋を行い、第二工程で含浸させた架橋性ポリマー(B)同士を架橋させると共に該架橋性ポリマー(B)とポリ乳酸とをグラフト架橋させている
この第三工程における二次架橋は、第一工程の一次架橋とは相違し、架橋によるゲル分率を必ずしも100%とする必要はない。よって、第二工程で含浸させる架橋性モノマー(B)の配合量も一次架橋のポリ乳酸の架橋密度と架橋性モノマー(B)とポリ乳酸との親和性に応じたものとしている。
この二次架橋の架橋方法も特に限定されず、公知の方法が用いられるが、電離性放射線を照射する方法が好ましい。
電離性放射線の照射による架橋方法は第一工程と同様であるが、電離性放射線の照射量は、含浸させた架橋性モノマーの量にもよるが、第一工程における架橋に必要とされる照射量より少なくてもよい。
即ち、第三工程における電離性放射線の照射量は1kGy以上200kGy以下、好ましくは10kGy以上200kGy以下、より好ましくは30kGy以上200kGy以下である。
前記したように、本発明は、前記第一工程、第二工程、第三工程により2回架橋されて製造されるポリ乳酸架橋成形体を提供している。
前記ポリ乳酸架橋成形体は、一次架橋でポリ乳酸が架橋されて一体化され、該一次架橋されたポリ乳酸成形体に架橋性モノマーを含浸させた後に二次架橋して、含浸させた架橋性モノマー同士および該架橋性モノマーとポリ乳酸をグラフト架橋して複合化させた架橋構造を有するものとしている。
このように、複合化させて密な架橋構造としているため、ポリ乳酸のガラス転移温度60℃以上の高温時にも変形を発生させない耐熱性を有する。
この本発明のポリ乳酸架橋成形体では、架橋性モノマーの含有割合がポリ乳酸に対して5質量%以上50質量%以下とすることが好ましい。
これは、架橋性モノマーの含有割合を5質量%以上としているのは、架橋性モノマーの含有割合が5質量%未満であると、架橋性モノマーを配合することによる架橋密度の向上が十分ではなく、一方、50質量%以下としているのは、架橋性モノマーの析出よるブリードの発生を防止するためである。
また、本発明のポリ乳酸架橋成形体においては、示差走査熱量計による40℃から200℃までの熱量解析においてポリ乳酸のガラス転移温度における熱量吸収および融点付近の結晶溶融に伴う熱吸収の両方がないことが好ましい。
このようなポリ乳酸架橋成形体であれば、従来のポリ乳酸成形物で見られるような、ガラス転移温度において非結晶部分の拘束が解けて一気に動き始め、ガラス転移温度前後で極端な強度変化を生じるという現象が起こりにくい。
本発明のポリ乳酸架橋成形体は、ポリ乳酸の分子同士の架橋と、配合した架橋性モノマー同士の架橋と、該架橋性モノマーとポリ乳酸との架橋とが複合された架橋構造とし、架橋密度を高めているため、ポリ乳酸のガラス転移温度である60℃を超える高温時においてもポリ乳酸の架橋ネットワークにより確実に形状を維持することができる。加えて高いグラフト率にもかかわらず透明性を維持している。このように、本発明のポリ乳酸架橋成形体はポリ乳酸の長所を維持したままその欠点を改良しうるものであり、生分解性樹脂の本来の目的である石油由来の汎用プラスチックの代替の可能性を大幅に向上させるものである。
本発明のポリ乳酸架橋成形体は生分解性を有していることから、自然界において生態系に及ぼす影響が極めて少なく、従来のプラスチックが有していた廃棄処理に関わる諸問題を解決できる。そのため、大量に製造、廃棄されているプラスチック製品・部品全般の代替材料としての応用が期待される。特に、他の生分解性樹脂にはないポリ乳酸独自の透明性を維持し、さらに高温時の強度維持性が向上されている点から、光ファイバーや光ディスクなどの光学製品への応用が期待できる。また、生体への影響がない点から、生体内外に利用される注射器やカテーテルなどの医療用器具への適用が可能である。
さらに、本発明は、スチレンやアクリル酸、メタクリル酸など様々な分野で使用されている汎用グラフトモノマーをポリ乳酸と重合することで、他の材料を複合化したり、ポリ乳酸を高機能化したりする方法を提供するものであり、広範囲の技術分野に応用が可能である。
以下に、本発明の実施形態を説明する。
本発明のポリ乳酸架橋成形体の製造方法において、まず最初にポリ乳酸一次架橋物を下記の手順で製造する。
まず、ポリ乳酸を加熱により軟化させるか、あるいはクロロホルムやクレゾール等のポリ乳酸が溶解しうる溶媒中にポリ乳酸を溶解または分散させる。
ついで、架橋性モノマー(A)を添加する。架橋性モノマーとしてはTAICが特に好ましい。架橋性モノマーの添加量は、ポリ乳酸100重量%に対して5重量%以上7重量%以下が好ましい。
添加後、架橋性モノマーが均一になるように撹拌混合する。
ついで、さらに溶媒を乾燥除去しても良い。
このようにして、ポリ乳酸成形物を構成するポリ乳酸組成物を調製する。
前記ポリ乳酸組成物を再び加熱などにより軟化させて、シート、フィルム、繊維、トレイ、容器または袋等の所望の形状に成形する。この成形は、ポリ乳酸組成物を調製したあと、例えば溶媒に溶解した状態のまま続けて行っても良いし、一旦冷却または溶媒を乾燥除去した後に行っても良い。
ついで、得られたポリ乳酸成形物に電離性放射線を照射し、ポリ乳酸を架橋させ、ポリ乳酸一次架橋物を得る。
電離性放射線は電子線加速器による電子線照射が好ましい。
放射線照射量は80kGy以上100kGy以下の範囲から架橋性モノマーの配合量等に応じて適宜選択する。特に電離性放射線照射後に得られるポリ乳酸一次架橋物のゲル分率が実質的に100%となることを目安に選択する。
得られたポリ乳酸一次架橋物を架橋性モノマー(B)に浸漬する。
架橋性モノマー(B)としては、メタクリル系架橋性モノマーであるメタクリル酸もしくはメチルメタクリレート、アリル系架橋性モノマーであるTAIC、スチレン系架橋性モノマーであるスチレン、ラクトン系架橋性モノマーであるε−カプロラクトンを用いる。
架橋性モノマー(B)に浸漬させる際の温度は65〜100℃で、架橋性モノマー(B)が液体状態を保てる温度が必要である。また、架橋性モノマー(B)に浸漬させる時間は、ポリ乳酸一次架橋物が1mm程度以内の厚みの場合は30〜90分が好ましく、60分がより好ましい。
ポリ乳酸一次架橋物内に架橋性モノマー(B)が含浸され、ポリ乳酸一次架橋物が膨潤した状態でポリ乳酸のガラス転移温度以下に冷却することにより、ポリ乳酸−架橋性モノマー複合体が得られる。冷却は放冷により徐々に冷却しても良いし、水冷などにより急冷してもよい。
ついで、得られたポリ乳酸−架橋性モノマー複合体に電離性放射線を照射して二次架橋し、ポリ乳酸と含浸させた架橋性モノマーをグラフト架橋させると共に、架橋性モノマー(B)同士を架橋させて、本発明のポリ乳酸架橋成形体を製造している。
二次架橋時の放射線照射量は30kGy以上200kGy以下の範囲から架橋性モノマーの種類および配合量等に応じて適宜選択している。
前記方法で製造する本発明のポリ乳酸架橋成形体は、高濃度の架橋性モノマーが含まれている。具体的には、ポリ乳酸に対し架橋性モノマーは15質量%〜100質量%、好ましくは5質量%以上50質量%以下の架橋性モノマーが含まれている。
かつ、該架橋性モノマーは、実施例に記載の方法で測定される固定率を5〜95%、より好ましく8〜85%としている。
本発明のポリ乳酸架橋成形体においては、上記のように架橋性モノマー(A)(B)が高濃度に含まれていても、当該架橋性モノマーはポリ乳酸とまたは架橋性モノマー同士で架橋しているので析出することがない。そして、高濃度の架橋性モノマーのおかげで架橋構造が密になり、本発明のポリ乳酸架橋成形体は、ポリ乳酸のガラス転移温度である60℃以上の高温においても60℃以下の温度条件下での強度を維持できる。
その指標として、実施例に記載の耐熱変形性試験において、下方への曲がりが45°未満であることが好ましい。
以下、本発明について実施例および比較例を挙げて具体的に説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
(実施例1〜4)
ポリ乳酸として、ペレット状の三井化学(株)製ポリ乳酸レイシア(LACEA)H−400を使用した。アリル系架橋性モノマーの1種であるTAICを用意し、押出機(池貝鉄工(株)製PCM30型)を用いてシリンダ温度180℃でポリ乳酸を溶融押出する際に押出機のペレット供給部にTAICをペリスタポンプにて定速滴下することでポリ乳酸にTAICを添加した。その際、TAICの配合量がポリ乳酸100質量部に対して7質量部になるように、TAICの滴下速度と押出機の押出速度の比率を調整した。押出品は水冷ののちにペレタイザーにてペレット化し、ポリ乳酸と架橋性モノマー(A)のペレット状混練物を得た。
この混練物を160℃でシート状に熱プレスしたのち水冷で急冷し、500μm厚のシート状のポリ乳酸成形物を作製した。
このシート状のポリ乳酸成形物に対し、空気を除いた不活性雰囲気下で電子加速器(加速電圧10MeV、電流量12mA)により電子線を100kGy照射し、ポリ乳酸一次架橋物を得た。
得られたポリ乳酸一次架橋物を架橋性モノマー(B)にポリ乳酸のガラス転移温度以上融点以下の温度で浸漬した。架橋性モノマーとしてメタクリル酸を使用した。具体的には、前記ポリ乳酸一次架橋物を80℃の恒温漕内でメタクリル酸に1時間浸漬、膨潤させた。
その後、常温に戻して、余剰なモノマーをふき取ってから真空パックした状態でふたたび電子加速器(加速電圧10MeV、電流量12mA)により電子線を30kGy、60kGy、100kGy、200kGy照射した。その後、24時間真空乾燥して固定されていない余分なモノマーを除去して、本発明のポリ乳酸架橋成形体を得た。
(実施例5〜10)
ポリ乳酸一次架橋物を浸漬させる架橋性モノマー(B)としてメタクリル酸の代わりにTAIC、スチレン、ε−カプロラクトン、メチルメタクリレート、トリメチロールプロパンメタクリレート(以下、TMPTMAと称す)、トリメチロールプロパンアクリレート(イカ、TMPTAと称す)を用いたこと以外は、実施例3と全く同様にして、各々実施例5〜10とした。
(比較例1〜3)
2回目の電子線照射を行わなかったこと以外は、実施例1〜4と同様にして比較例1とした。
実施例1〜4と同様にして得られるポリ乳酸一次架橋物をもって比較例2とした。
1回目の電子線照射を行わず、2回目の電子線照射の照射量を90kGyとしたこと以外は、実施例1〜4と同様にして比較例3とした。
実施例および比較例において、架橋性モノマー(B)への含浸前のポリ乳酸一次架橋物のゲル分率、ならびに最終製品であるポリ乳酸架橋成形体の架橋性モノマー(B)の固定率、耐熱変形性および透明性を下記方法で評価した。
(1)ゲル分率の評価
各ポリ乳酸一次架橋物の乾燥質量を正確に計ったのち、200メッシュのステンレス金網に包み、クロロホルム液の中で48時間煮沸したのちに、クロロホルムに溶解したゾル分を除いて残ったゲル分を得た。50℃で24時間乾燥して、ゲル中のクロロホルムを除去し、ゲル分の乾燥質量を測定した。得られた値をもとに下記式に基づきゲル分率を算出した。
ゲル分率(%)=(ゲル分乾燥質量/ポリ乳酸一次架橋物の乾燥質量)×100
(2)架橋性モノマー固定率の評価
架橋性モノマー(B)に浸漬する前の常温におけるポリ乳酸一次架橋物の質量を予め測定しておき、最終的に得られたポリ乳酸架橋成形体の質量を測定した。得られた値をもとに下記式に基づき架橋性モノマー固定率を算出した。
架橋性モノマー固定率(%)={(B−A)/A}×100
A;架橋性モノマー(B)への含浸前のポリ乳酸一次架橋物の質量
B;ポリ乳酸架橋成形体の質量
(3)耐熱変形性の評価
ポリ乳酸架橋成形体を幅1cm、長さ7cmの短冊状にカットし、端から2cmを図4のように固定して水平に保った状態で100℃の恒温槽内で1時間放置して、重力による下方への変形性を測定した。
図4中において、実線は試験前のポリ乳酸架橋成形体10を、点線は試験後に重力により下方へ変形したポリ乳酸架橋成形体10を示す。
下方への曲がりが1°以下で変形も見られないものを「◎」と、下方への曲がりが5°未満のものを「○」と、下方への曲がりが5°以下45°未満のものを「△」と、下方への曲がりが45°以上のものを「×」と評価した。
(4)透明性
最終的に得られたポリ乳酸架橋成形体が原料であるポリ乳酸の透明性を維持していた場合を「○」と、曇り部分が見られた場合を「△」と、白色化した場合を「×」と評価した。
前記評価の結果を、製造条件の相違点とともに、下記表にまとめた。
実施例ではいずれも架橋性モノマー(B)が架橋固定されたポリ乳酸架橋成形体が得られた。24時間真空乾燥により未固定の架橋性モノマー(B)は除去していることから、架橋性モノマー(B)はポリ乳酸の内部でグラフト重合されているか、あるいは架橋物を形成していることが確認できた。
本発明のポリ乳酸架橋成形体の特徴は、第一にポリ乳酸のガラス転移温度以上の高温における変形が無いことである。第二に、実施例6では若干曇った部分が見られたが、ポリ乳酸およびその架橋物が持つ透明性をほぼ保っていることである。
特に、メタクリル酸やメチルメタクリレートなどのメタクリル系架橋性モノマー、又はTMPTA等のアクリル系モノマーは固定率が45〜86%と高く、優れた高温時の強度維持効果と透明性を有し、本発明の目的に最もかなっていることが確認できた。
実施例に対して、2回目の電子線照射を行わなかった比較例1では固定率が1%未満と架橋性モノマーを固定できず、高温時の強度維持効果は見られなかった。
また、架橋性モノマー(B)の含浸、その後の再架橋という第二工程および第三工程を行わず、ポリ乳酸を架橋しただけの比較例2でも同様に高温時の強度維持効果は見られなかった。
ポリ乳酸成形物を架橋せず、第二工程および第三工程に付した比較例3では、架橋性モノマー(B)が含浸できず、一部は溶解した。また、ガラス転移温度以上の温度にさらされたために、結晶化が起り硬くなると同時に、結晶による乱反射で光を通さなくなり、顕著に白色化した。
本発明のポリ乳酸架橋成形体の製造工程を示す模式図である。 架橋されていないポリ乳酸成形物を架橋性モノマー(B)に含浸させた場合に起こる現象を示した模式図である。 架橋されていないポリ乳酸成形物を架橋性モノマー(B)に含浸させた場合に起こる現象を示した模式図である。 耐熱変形性試験に用いる試験器具の概略図である。
符号の説明
1 ポリ乳酸一次架橋物
3 ポリ乳酸−架橋性モノマー複合体
4 ポリ乳酸成形物
5 結晶化
10 ポリ乳酸架橋成形体
(A)第一工程で配合する架橋性モノマー
(B)第二工程で含浸させる架橋性モノマー

Claims (7)

  1. ポリ乳酸と架橋性モノマー(A)との混合物を一次架橋して、ポリ乳酸一次架橋物を作製する第一工程と、
    前記第一工程で得られたポリ乳酸一次架橋物を、ポリ乳酸のガラス転移温度以上融点以下の温度で、架橋性モノマー(B)に浸漬し、ポリ乳酸一次架橋物内に該架橋性モノマー(B)を含浸させる第二工程と、
    前記架橋性モノマー(B)が含浸されたポリ乳酸一次架橋物を二次架橋する第三工程と
    を備えることを特徴とするポリ乳酸架橋成形体の製造方法。
  2. 前記一次架橋されるポリ乳酸に混合する架橋性モノマー(A)として、アリル系モノマーを用い、
    前記第二工程でポリ乳酸一次架橋物内に含浸させてる架橋性モノマー(B)として、メタクリル酸系モノマー、スチレン系モノマー、アリル系モノマー、またはラクトン系モノマーを用いている請求項1に記載のポリ乳酸架橋成形体の製造方法。
  3. 前記第一工程の一次架橋および第三工程の二次架橋は電離性放射線を照射して行い、
    前記一次架橋でポリ乳酸を架橋させ、前記二次架橋では第二工程で含浸させた架橋性ポリマー(B)同士を架橋させると共に該架橋性ポリマー(B)とポリ乳酸とをグラフト架橋させている請求項1または請求項2に記載のポリ乳酸架橋成形体の製造方法。
  4. 前記一次架橋されるポリ乳酸には、4重量%以上10重量%以下のアリル系モノマーを前記架橋性モノマー(A)として配合し、一次架橋は電離性放射線を50kGy以上で照射して行い、該一次架橋によりポリ乳酸を100%架橋している請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のポリ乳酸架橋成形体の製造方法。
  5. 請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の製造方法で製造されたポリ乳酸架橋成形体。
  6. ポリ乳酸がゲル分率で100%架橋されて一体化されていると共に、前記第二工程で含浸させた架橋性モノマー同士が架橋され、前記ポリ乳酸の架橋と架橋性モノマー同士の架橋との複合化された架橋構造を有する請求項5に記載のポリ乳酸架橋成形体。
  7. 示差走査熱量計による40℃から200℃までの熱量解析においてポリ乳酸のガラス転移温度における熱量吸収および融点付近の結晶溶融に伴う熱吸収の両方がないことを特徴とする請求項5または請求項6に記載のポリ乳酸架橋成形体。
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