以下、図1から図7を参照し、本発明の第1実施形態に係るウェハに形成された識別マークの読取方法およびこれに用いる読取装置について説明する。本実施形態は、主面側に樹脂層が形成されたウェハの識別マークを読取る方法及び読取装置に関するものである。
本実施形態の識別マークの読取装置A(以下、読取装置Aという)は、図1から図2に示すように、上面2aにウェハ1が載置されるステージ部2と、ステージ部2の上方に配置されウェハ1の外観画像を撮像する第1撮像部3と、ステージ部2の下方に配置されウェハ1の識別マークを読取るための第2撮像部4と、内部に複数のウェハ1が収納された第1収納ケース5が載置される第1収納ケース載置台6と、内部に複数のウェハ1を収納可能な第2収納ケース7が載置される第2収納ケース載置台8と、第1収納ケース5または第2収納ケース7とステージ部2との間でウェハ1の受け渡しを行なう搬送部9とから構成されている。ここで、ステージ部2は、搬送部9を間にして、第1収納ケース載置台6及び第2収納ケース載置台8と対向配置されている。
ステージ部2は、略矩形盤状に形成されているとともに、略中央に上面から下面に貫通する断面円形の開口部2cが形成されている。この開口部2cには、例えば円筒状の吸着本体部2dと吸着本体部2dの先端にウェハ1を吸着保持する吸着パッド2eとからなる吸着部2fが、出没可能に且つ軸線O1回りに回転可能に挿通されている。この吸着部2fは、吸着本体部2dの内孔が例えば真空ポンプなどの真空吸引手段と接続されており、吸着パッド2eをウェハ1の裏面1bに当接させて真空吸引手段を駆動することにより、吸着パッド2eが吸盤として振る舞うものとされている。また、ステージ部2は、搬送部9に対向する一側面2bの反対に位置する他側面2g側に、他側面2gに直交する方向に凹む凹状部2hが形成されている。この凹状部2hは、ステージ部2の上面2aに載置されたウェハ1の外周縁側の一部がこの凹状部2hと重なるように設けられている。
第1撮像部3は、図2に示すように、例えばCCDカメラなどの撮像部3aと、これに接続されたウェハ位置認識装置3bとから構成されている。撮像部3aは、その光軸がステージ部2の上面2aに直交するように設置されている。また、ウェハ位置認識装置3bは、撮像部3aからの撮像信号に基づいてウェハ1の外周縁やウェハ1の外周縁側に切り欠かれた図1に示すノッチ1aの位置などを検知してウェハ1の位置を特定することが可能とされている。さらに、このウェハ位置認識装置3bには、例えばモニターなどの表示部3cが接続され、この表示部3cによって撮像部3aで取得したウェハ1の画像を表示することが可能とされている。
第2撮像部4は、図2から図3に示すように、例えば1100nm以上の波長の赤外光線を出射可能なIR(Infra−red)光源(光源)10とIR光源10から出射した赤外光線の光路を規定するファイバー束11とファイバー束11の先端(他端)から出射された赤外光線の向きを変える反射ミラー12とを備えた照明ユニット13と、レンズ14及び撮像素子15を備えたIRカメラ(撮像ユニット)16とから構成されている。
照明ユニット13のIR光源10は、矩形箱状の筐体内部に納められている。ファイバー束11は、一端が前記筐体内部に配され、他端がIRカメラ16内に設けられた反射ミラー12近傍まで延出されている。このファイバー束11は、一端でIR光源10から出射した赤外光線を受光し、一端で受光した赤外光線を他端から反射ミラー12に向けて出射可能とされている。反射ミラー12は、後述するIRカメラ16の筐体16a内部に設けられ、ファイバー束11の他端から出射された赤外光線の向きを変えて上方に位置するウェハ1に赤外光線を照射可能な角度で設置されている。加えて、この反射ミラー12はハーフミラーとされている。
IRカメラ16は、例えば円筒状に形成された筐体16a内部に、レンズ14及びこのレンズ14よりも下方に配された撮像素子15が設けられている。また、撮像素子15に接続された配線が筐体16aの下端側から外方に延出され例えばモニターなどの表示部16bに接続されている。ここで、前述の反射ミラー12は、IRカメラ16の光学系の光軸と、この反射ミラー12で向きを変えた赤外光線の光軸とが同一直線上に配されるように設けられており、且つレンズ14よりも上方に設置されている。
第1収納ケース載置台6及び第2収納ケース載置台8には、図1から図2に示すように、複数のウェハ1を収納した第1収納ケース5が第1収納ケース載置台6の上面6aに、複数のウェハ1を収納可能な第2収納ケース7が第2収納ケース載置台8の上面8aに載置されている。ここで、第1収納ケース5及び第2収納ケース7は、それぞれ略矩形箱状に形成されるとともに、第1収納ケース載置台6及び第2収納ケース載置台8に設置された状態で搬送部9側を向くそれぞれの一側面5a、7aが開口されている。また、第1収納ケース5及び第2収納ケース7は、それぞれの内部に多数段のスロットが列設され、各スロット内に1枚ずつのウェハ1が挿入されて複数のウェハ1を規則的に1つのロットとして整列するものとされている。さらに、第1収納ケース5及び第2収納ケース7は、例えば第1収納ケース載置台6及び第2収納ケース載置台8に駆動手段が設けられることで昇降可能とされている。また、この駆動手段に例えば図示せぬ制御手段が接続され、第1収納ケース5及び第2収納ケース7のそれぞれを適宜1スロット分ずつ昇降することが可能とされている。
搬送部は、図1から図2に示すように、XYテーブル9cと、このXYテーブル9c上に垂直方向上向きに搭載されたロータリーアクチュエータ9dと、ロータリーアクチュエータ9dの回転軸9eの上端に接続された多関節アーム17とから構成されている。多関節アーム17は、それぞれ水平方向に平行配置された第1アーム17aと第2アーム17bと第3アーム17cとからなり、第1アーム17aは、一端が回転軸9eの上端に接続されて回転軸9eの回転に従動するものとされている。また、第2アーム17bは、一端が第1アーム17aの他端に回転自在に軸支され、内蔵されたベルト伝動装置17dによって第1アーム17aの他端中心に回転可能とされている。第3アーム17cは、一端が第2アーム17bの他端に回転自在に軸支され、内蔵されたベルト伝動装置17eによって第2アーム17bの他端中心に回転可能とされている。さらに、第3アーム17cは、その他端側が二股状に形成されており、分岐した他端側のそれぞれの上面に凸状の支持部18が設けられている。この支持部18には、図示せぬ真空吸着口が形成されており、この真空吸着口が第3アーム17cの内部に設けられた図示せぬ吸引路と連通している。また、吸引路には例えば真空ポンプなどの真空吸引手段が接続されている。
ついで、本実施形態のウェハ1は、例えば多結晶または単結晶のシリコンを円板状に形成したものとされ、図4から図5に示すように、主面1cに、IC(集積回路)1dと、パッド電極1eを介してIC1dと電気的に接続される再配線1fと、この再配線1f上に形成された例えば銅製で柱状の電極端子(メタルポスト)1gとが設けられている。また、主面1cには樹脂層(封止樹脂)1hが形成され、この樹脂層1hでIC1dや再配線1fやメタルポスト1gが封止されている。この樹脂層1hは、ウェハ1の主面1cと接合する一面に対して他面1iが平行するように形成されており、メタルポスト1gの上面が他面1iと同一平面上に位置されて露出している。
一方、このウェハ1には、主面1cの外周縁側の一部に、例えば図6から図7に示すような、ロット番号やウェハ番号などの識別マーク20が形成されている。この識別マーク20は、例えばレーザーマーカーを用いて凹み形状で形成されたものであり、ドット状の刻印の集合体により文字や数字を表示するものとされている。識別マーク20の一つのドット径は、例えば20〜500μm程度とされている。また、このウェハ1には、識別マーク20と反対に位置する外周縁側がV字状に切り欠かれており、この切り欠き部分がウェハ1の位置を特定する目印となるノッチ1aとされている。ちなみに、図4に図示したウェハ1の主面1cの格子状部分は、ウェハ1をダイシングし半導体装置22を個片化する際のダイシングライン23を示すものであり、このダイシングライン23で囲まれた矩形部分が1つの半導体装置22とされる。
ここで、このようにウェハ1の主面1cに形成された識別マーク20は、図5に示すように、主面1cが樹脂層1hで封止された段階で、この樹脂層1hで完全に被覆されてしまい目視や例えば可視光線を照射しこの反射光を受光しつつ撮像するCCDカメラなどで読取ることができなくなってしまう。このため、樹脂封止後のウェハ1を識別することができなくなるという問題が生じていた。
ついで、上記の構成からなる識別マーク20の読取装置Aを用いてウェハ1に形成された識別マーク20を読取る方法について説明する。
はじめに、第1収納ケース載置台6に、複数のウェハ1を収納した第1収納ケース5が載置され、第2収納ケース載置台8上に、空の第2収納ケース7が載置される。ついで、搬送部9を駆動して、第3アーム17cの二股状の先端部分を第1収納ケース5内に挿入し、搬送する1枚のウェハ1の裏面1bに支持部18を当接させて支持部18にウェハ1を吸着保持させる。
そして、吸着保持したウェハ1を第1収納ケース5から取り出すとともに、ステージ部2上に搬送する。ついで、ステージ部2の開口部2cから吸着部2fを突出させ、第3アーム17cで保持したウェハ1の略中央位置に吸着パッド2eを当接させるとともに吸着本体部2dと繋がる真空吸引手段を駆動してウェハ1を吸着保持する。この段階で、第3アーム17cの支持部18の吸着を解除し、搬送部9を元の位置に戻す。これで、第1収納ケース5からステージ部2へのウェハ1の受け渡しが完了する。
一方、この段階では、吸着部2fで保持されたウェハ1は、識別マーク20がどの位置にあるのか不明の状態である。このため、第1撮像部3でウェハ1の外観画像を撮像するとともに、ウェハ1の外周やノッチ1aの位置を頼りにウェハ位置認識装置3bでウェハ1の位置を特定する。ウェハ1の現在位置が特定された段階で、吸着部2fを軸線O1回りに回転させて、ノッチ1aが所定の位置に配されるようにウェハ1を移動する。そして、吸着パッド2eの吸着を解除しつつ吸着部2fをステージ部2の開口部2cに戻して、ウェハ1をステージ部2の上面2aに載置する。このように載置されたウェハ1は、識別マーク20の形成位置がステージ部2の凹状部2hと重なるように載置される。
ついで、第2撮像部4のIR光源10から赤外光線を出射する。この赤外光線は、ファイバー束11を通じて他端から出射され反射ミラー12に照射される。そして、反射ミラー12で赤外光線の光軸がウェハ1の主面1cに直交するように向きを変え、ステージ部2の凹状部2hを介してウェハ1の裏面1bに照射される。
ウェハ1の裏面1bに照射された赤外光線は、その波長が1100nm以上とされていることで、ウェハ1を透過する。透過した赤外光線は、この波長領域において樹脂層1hに吸収されたり、樹脂層1hを透過したりする割合が小さく、樹脂層1hとウェハ1の主面1cの接合界面で多くが反射する。反射した赤外光線(反射光)は、再度ウェハ1を透過してウェハ1の外部に出射され、ハーフミラーとされた反射ミラー12を通過し、IRカメラ16のレンズ14に受光されるとともに集光されて撮像素子15で結像される。これにより、ウェハ1の主面1cに形成された識別マーク20の画像が取得され、撮像素子15に配線を介して接続された表示部16bに表示される。この表示画像を確認することで樹脂層1hが形成された後のウェハ1の識別マーク20を読取ることが可能とされる。
ここで、本実施形態では、赤外光線が、反射ミラー12によりその光軸をウェハ1の主面1cに対して直交する方向としつつウェハ1に照射されるため、図6に示すように、凹み形状の識別マーク20を除く略平面状の主面1cで反射した反射光は、主面1cに直交する方向に光軸を向けることとなる。このため、光学系の光軸を主面1cに直交する方向に向けて設置されたIRカメラ16で撮像した画像には、例えば図7に示すように、主面1cの識別マーク20付近に形成された例えばIC1dのパターンなども同時に写し出されることとなる。
識別マーク20を写し出した画像取得が完了した段階で、ウェハ1は、吸着部2fの吸着パッド2eに当接されて再度吸着保持されるとともに、搬送部9に受け渡される。そして、搬送部9により第2収納ケース載置台8に載置された第2収納ケース7のスロットに収納される。このとき、ウェハ1は、読取られた識別マーク20に応じた所定のスロットに収納される。第1収納ケース5の複数のウェハ1に対し上記と同様の操作を繰り返し行なうことによって、複数のウェハ1は、例えば識別マーク20の数字が昇順や降順となるように整列されて第2収納ケース7に収納される。
したがって、上記のウェハ1に形成された識別マーク20の読取方法及び読取装置Aにおいては、赤外光線を出射可能な照明ユニット13が備えられていることによって、赤外光線をウェハ1に照射して、照射した赤外光線をウェハ1に透過させることができ、且つ樹脂層1hのウェハ1の主面1cとの接合界面で反射させることができる。また、赤外光線の反射光を受光しつつ撮像可能なIRカメラ(撮像ユニット)16が備えられていることにより、反射した赤外光線を受光して結像することができる。これにより、ウェハ1の裏面1b側から赤外光線を照射してウェハ1の主面1cの画像を取得することが可能となり、主面1cに形成された識別マーク20を読取ることが可能となる。よって、樹脂封止が施されたウェハ1に対しても識別マーク20を読取って、そのウェハ1やロットを特定することが可能となる。
また、反射ミラー12を具備することで、ウェハ1に向けて照射される赤外光線の光軸の向きを任意の方向とすることが可能なる。これにより、IC光源10の設置位置を任意とすることができる。
なお、本発明は、上記の第1実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、本実施形態では、識別マーク20の読取装置Aが、ステージ部2と第1撮像部3と第2撮像部4と第1収納ケース載置台6と第2収納ケース載置台8と搬送部9とから構成されているものとしたが、少なくとも第2撮像部4が備えられていればよいものである。また、第2撮像部4がIR光源10とファイバー束11と反射ミラー12とからなる照明ユニット13と、レンズ14と撮像素子15とからなる撮像ユニット16とから構成されるものとしたが、少なくとも照明ユニット13には赤外光線を出射するIR光源10が具備されていればよいものである。この場合には、例えばIR光源10から出射された赤外光線を受光してこれを集光するレンズを設け、このレンズを介してウェハ1に赤外光線を照射する構成としてもよいものである。
これに関連して、半導体装置の製造工程内に設けられた例えば外観検査装置など他の装置に第2撮像部4を設け、外観検査装置などの既存のステージ部や搬送部、収納ケース載置台を利用しつつ外観検査などを行う際にウェハ1の識別マーク20の読み取りが行われてもよいものである。また、本実施形態の第1撮像部3はウェハ1の位置を特定するためのものとしたが、例えば取得した画像を外観検査に用いたり、樹脂層1hが形成される前のウェハ1の識別マーク20を読取るために使用されてもよいものである。
また、照明ユニット13が矩形箱状の筐体にIR光源10を納め、撮像ユニット16が円筒状の筐体16aにレンズ14や撮像素子15が納められているものとしたが、特に筐体の形状が限定される必要はない。また、本実施形態では、撮像ユニット16の筐体16a内部に照明ユニット13の反射ミラー12が設けられているものとしたが、反射ミラー12を使用する場合においても、例えば図8に示すように、照明ユニット13のファイバー束11の他端側に箱体12aを介して反射ミラー12を一体形成し、反射ミラー12と撮像ユニット16とを個別に設けてもよいものである。この場合には、反射ミラー12で偏光する赤外光線の光軸がウェハ1の主面1cに対して交差するように保持しつつ、反射ミラー12を撮像ユニット16とウェハ1の間に配置することで識別マーク20の読み取りが可能とされる。また、反射ミラー12は、撮像ユニット16の光学系の光軸上に設置しない場合、ハーフミラーとされていなくてもよいものである。
さらに、本実施形態では、撮像ユニット16が、その光軸をウェハ1の裏面1bに直交するように設けられているものとしたが、撮像ユニット16は、光軸がウェハ1の主面1cに交差するように設けられればよいものである。
また、本実施形態では、IR光源10から出射される赤外光線の波長が1100nm以上であるものとして説明を行なったが、赤外領域の光線であればその波長が1100nm以上に限定される必要はない。さらに、ウェハ1が多結晶や単結晶のシリコンで形成されているものとしたが、ウェハ1はシリコンに限定される必要のないものである。これに加えて、本発明は、例えば図9に示すように、ウェハ1の裏面1bにダイシングテープ24が貼り付けられていたり、ダイシング後のウェハ1がダイシングテープ24で保持されているウェハ1に対しても、照明ユニット13から出射した赤外光線を、ダイシングテープ24を透過させて主面1cに形成された識別マーク20を読取ることも可能である。
さらに、ウェハ1に形成された識別マーク20の各ドットの径が20〜500μm程度のものであるとしたが、本発明は、このドット径よりも小さい径で形成された識別マーク20を読取ることも充分に可能である。
ついで、図10を参照し、本発明の第2実施形態に係る識別マークの読取方法及びこれに用いる読取装置について説明する。本実施形態の説明においては、第1実施形態に共通する構成に対して同一符号を付し、その詳細についての説明を省略する。
本実施形態の識別マーク20の読取装置Bは、第2撮像部4の構成のみが第1実施形態と異なり、その他の構成は同様とされている。第2撮像部4は、図10に示すように、例えば1100nm以上の波長の赤外光線を出射可能なIR(Infra−red)光源(光源)10及びこのIR光源10から出射した赤外光線の光路を規定するファイバー束11を備えた照明ユニット13と、レンズ14及び撮像素子15を備えたIRカメラ(撮像ユニット)16とから構成されている。
照明ユニット13は、矩形箱状の筐体内部にIR光源10が配され、ファイバー束11の一端が筐体内部に配されてIR光源10から出射された赤外光線を受光可能とされ、他端が筐体外部に延出されて一端から受光した赤外光線をこの他端から出射可能とされている。また、ファイバー束11は、他端の向きや位置を自由に変えることができる柔軟構造体とされている。
ついで、上記の構成からなるウェハ1に形成された識別マーク20の読取装置Bを用いて、識別マーク20を読み取る方法について説明する。
第1実施形態と同様に、ステージ部2にウェハ1を載置した段階で、IR光源10から赤外光線を出射し、ファイバー束11の他端から赤外光線をウェハ1の裏面1bに向けて出射する。このとき、ファイバー束11を自由に変位させ他端から出射する赤外光線の光軸がウェハ1の主面1cに斜めに交差するように設置する。
ウェハ1の裏面1bに照射された赤外光線は、第1実施形態と同様に、その波長が1100nm以上とされているため、ウェハ1を透過し、樹脂層1hとウェハ1の主面1cの接合界面で反射される。反射した赤外光線(反射光)は、再度ウェハ1を透過してIRカメラ16のレンズ14で受光されつつ集光され、撮像素子15で結像される。これにより、表示部16bに識別マーク20を映した画像が表示され、ウェハ1を特定することが可能とされる。
ここで、本実施形態では、赤外光線が、柔軟構造体のファイバー束11によりその光軸をウェハ1の主面1cに対して斜めに交差する方向としつつウェハ1に照射されるため、図11に示すように、凹み形状の識別マーク20を除く略平面状の主面1cにおいて正反射される。一方、凹状のドットの集合体である識別マーク20では、照射した赤外光線がその凹み形状に応じて乱反射することとなる。本実施形態では、IRカメラ16が光学系の光軸を主面1cに直交する方向に向けて設置されているため、IRカメラ16は、識別マーク20を除く主面1cで正反射した反射光を受光せず、識別マーク20で乱反射した反射光のうち、IRカメラ16の光学系の光軸方向に反射した反射光のみを受光して画像を撮像することとなる。これにより、撮像した画像には、例えば図12に示すように、第1実施形態と異なり、主面1cの識別マーク20付近に形成された例えばIC1dのパターンなどは存在せず、識別マーク20のみが鮮明に写し出されることとなる。
したがって、上記の識別マーク20の読取方法及び読取装置Bにおいては、照明ユニット13のファイバー束11から出射した赤外光線を直接ウェハ1に照射して、反射光をIRカメラ16で撮像することで、ウェハ1の識別マーク20を読取ることが可能となる。これにより、樹脂層1hの形成に伴い目視やCCDカメラなどで認識不能となった識別マーク20を読取ることができるため、ウェハ1やロットを特定することが可能となる。
また、ウェハ1の主面1cに対して光軸を斜めに交差する方向に向けて赤外光線を照射することができるため、IRカメラ16の光学系の光軸を、識別マーク20を除く略平面状の主面1cにおいて正反射する反射光の光軸と一致しないようにIRカメラ16を設置することで、識別マーク20で乱反射する反射光のみを受光して画像を取得することが可能となる。これにより、例えばIC1dのパターンなどが写し出されることがなく、識別マーク20のみが鮮明に写し出された画像を取得することが可能となる。
なお、本発明は、上記の第2実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、本実施形態では、照明ユニット13のファイバー束11の他端から出射した赤外光線の光軸がウェハ1の主面1cに斜めに交差するものとしたが、この限りではなく、第1実施形態と同様にウェハ1の主面1cに直交するように照射してもよいものである。また、撮像ユニット16の光学系の光軸がウェハ1の主面1cに直交するように撮像ユニット16が設けられているものとして説明を行なっているが、撮像ユニット16についても光軸がウェハ1の主面1cに斜めに交差するように設けられてもよいものである。この場合には、識別マーク20を除く主面1cで正反射する反射光の光軸と撮像ユニット16の光軸をずらして設置することで、本実施形態で示した識別マーク20が鮮明に写し出された画像を取得することが可能である。
1・・・ウェハ、1a・・・ノッチ、1b・・・裏面、1c・・・主面、1h・・・樹脂層(封止樹脂)、2・・・ステージ部、3・・・第1撮像部、4・・・第2撮像部、5・・・第1収納ケース、6・・・第1収納ケース載置台、7・・・第2収納ケース、8・・・第2収納ケース載置台、9・・・搬送部、10・・・IR光源(光源)、11・・・ファイバー束、12・・・反射ミラー、13・・・照明ユニット、14・・・レンズ、15・・・撮像素子、16・・・IRカメラ(撮像ユニット)、20・・・識別マーク、24・・・ダイシングテープ、A,B・・・識別マークの読取装置