JP2007178959A - カラーフィルタの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、各着色層形成用領域に複数のインクジェットノズルを用いて形成される各着色層の色相等にバラつきが少なく、色ムラの少ない高品質な表示が可能なカラーフィルタを製造する方法を提供することを主目的としている。
【解決手段】上記目的を達成するために、本発明は、着色層を形成するための各着色層形成用領域上に、複数のインクジェットノズルを用いて着色層形成用塗工液を塗布した後、前記着色層形成用塗工液のムラを検査し、ムラの生じている不良着色層形成領域を特定する検査工程と、前記不良着色層形成領域に前記着色層形成用塗工液を塗布した前記インクジェットノズルの中から不良インクジェットノズルを特定し、前記不良インクジェットノズルの設定を調整する調整工程とを有することを特徴とするカラーフィルタの製造方法を提供する。
【選択図】図1

Description

本発明は、液晶表示装置等に用いられるカラーフィルタの製造方法に関するものである。
近年、パーソナルコンピューターの発達、特に携帯用パーソナルコンピューターの発達に伴い、液晶ディスプレイ、とりわけカラー液晶ディスプレイの需要が増加する傾向にある。しかしながら、このカラー液晶ディスプレイが高価であることから、コストダウンの要求が高まっており、特にコスト的に比重の高いカラーフィルタに対するコストダウンの要求が高い。
このようなカラーフィルタにおいては、通常赤(R)、緑(G)、および青(B)の3原色の着色パターンを備え、R、G、およびBのそれぞれの画素に対応する電極をON、OFFさせることで液晶がシャッタとして作動し、R、G、およびBのそれぞれの画素を光が通過してカラー表示が行われるものである。
従来より行われているカラーフィルタの一般的な製造方法としては、例えば染色法が挙げられる。この染色法は、まずガラス基板上に染色用の材料である水溶性の高分子材料を形成し、これをフォトリソグラフィー工程により所望の形状にパターニングした後、得られたパターンを染色浴に浸漬して着色されたパターンを得る。これを3回繰り返すことによりR、G、およびBのカラーフィルタ層を形成する。
また、他の方法としては顔料分散法が挙げられる。この方法においては、まず基板上に顔料を分散した感光性樹脂層を形成し、これをフォトリソグラフィー工程により所望の形状にパターニングすることにより単色のパターンを得る。さらにこの工程を3回繰り返すことにより、R、G、およびBのカラーフィルタ層を形成する。
しかしながら、上記いずれの方法も、R、G、およびBの3色を着色するために、同一の工程を3回繰り返す必要があり、コスト高になるという問題や、露光や現像等、多数の工程を繰り返すため歩留まりが低下するという問題がある。またさらに、現像の際に用いられる薬品等によって、他の部材が劣化してしまう場合がある等の問題もあった。
そこで、例えば基材上に、光触媒と、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により特性が変化する材料とを含有する光触媒含有層形成用塗工液を用いて光触媒含有層を形成し、この光触媒含有層をパターン状に露光することにより、特性が変化したパターンを形成し、着色層をインクジェット法により形成するカラーフィルタの製造方法が提案されている(特許文献1)。また例えば、基材上に着色層を形成する着色層形成用塗工液を留めるためのバンクを形成し、このバンクにフッ素化合物を導入ガスとしてプラズマを照射することによりバンクを撥液性として、インクジェット法等により着色層等の機能性部を形成する方法も提案されている(特許文献2)。
これらの方法によれば、インクジェット法により着色層形成用塗工液を塗布し、着色層を形成することが可能であることから、複雑な工程を繰り返す必要がなく、製造効率がよいという利点を有している。また現像液等を用いる必要がないことから、部材の劣化等が生じるおそれもないものとすることができる。しかしながら、インクジェット法により、着色層を形成する着色層形成用塗工液を吐出して着色層を形成する場合、各インクジェットノズルから吐出される着色層形成用塗工液の吐出量にはバラつきがある。そのため、各着色層形成用領域に吐出される着色層形成用塗工液の量が均一なものとならず、各着色層の色相等にバラつきが生じ、形成されたカラーフィルタに色ムラが発生する等の問題があった。
また例えば、各着色層形成用領域に、複数のインクジェットノズルを用いて着色層形成用塗工液の塗布を行う方法も提案されているが、この場合においても、着色層形成用領域に塗布される着色層形成用塗工液の量が均一とならない場合があり、色ムラのないカラーフィルタを製造することが難しいという問題があった。
特開2001−074928号公報 特開2000−187111号公報
そこで、各着色層形成用領域に複数のインクジェットノズルを用いて形成される各着色層の色相等にバラつきが少なく、色ムラの少ない高品質な表示が可能なカラーフィルタを製造する方法の提供が望まれている。
本発明は、着色層を形成するための各着色層形成用領域上に、複数のインクジェットノズルを用いて着色層形成用塗工液を塗布した後、上記着色層形成用塗工液のムラを検査し、ムラの生じている不良着色層形成領域を特定する検査工程と、上記不良着色層形成領域に上記着色層形成用塗工液を塗布した上記インクジェットノズルの中から不良インクジェットノズルを特定し、上記不良インクジェットノズルの設定を調整する調整工程とを有することを特徴とするカラーフィルタの製造方法を提供する。
本発明によれば、上記検査工程を行うことによってムラが生じている不良着色層形成領域を特定し、さらに調整工程において、その不良着色層形成領域に用いられたインクジェットノズルの中から不良インクジェットノズルを特定し、上記不良インクジェットノズルの調整が行われる。したがって、本発明によれば、各着色層形成用領域に複数のインクジェットノズルを用いて塗布された着色層形成用塗工液にムラが少ないものとすることが可能となり、本発明により製造されたカラーフィルタにおいては、各着色層間での色ムラ等が少なく、高品質な色表示が可能となる。
上記発明においては、上記着色層形成用領域を有する検査用基板を形成する検査用基板形成工程と、上記検査用基板の上記各着色層形成用領域上に、複数のインクジェットノズルを用いて上記着色層形成用塗工液を塗布する着色層形成用塗工液塗布工程と、上記検査工程と、上記調整工程とを行うことによりカラーフィルタの製造条件を決定する製造条件決定工程を有し、上記製造条件決定工程により決定された製造条件に基づいて、カラーフィルタを製造するものとすることができる。上記検査工程および上記調整工程を、上記製造条件決定工程中で行うことによって、上記製造条件決定工程により決定された製造条件を用いて形成されるカラーフィルタを、各着色層間での色ムラ等が少なく、高品質な色表示が可能なものとすることができる。
また、上記発明においては、上記着色層形成用領域を有するカラーフィルタ用基板を形成するカラーフィルタ用基板形成工程と、上記カラーフィルタ用基板の上記着色層形成用領域上に、複数のインクジェットノズルを用いて上記各着色層形成用塗工液を塗布する着色層形成用塗工液塗布工程と、上記着色層形成用塗工液をプリベイクするプリベイク工程と、上記着色層形成用塗工液をポストベイクするポストベイク工程とを行うことによりカラーフィルタを製造するカラーフィルタ製造工程を有し、上記検査工程および上記調整工程が、上記着色層形成用塗工液塗布工程後に行われ、上記検査工程および上記調整工程により、上記着色層形成用塗工液塗布工程の着色層形成用塗工液の吐出条件を調整するものとすることができる。これにより、カラーフィルタ製造中に、着色層に色ムラ等が発生していないか、上記検査工程により適宜検査することが可能となり、不具合が生じた場合には、直ちに上記調整工程により調整することができる。したがって色ムラの少ない、高品質なカラーフィルタを製造することが可能となる。
上記発明においては、上記検査工程が、上記各着色層形成用領域に塗布された上記着色層形成用塗工液の輝度を検査する工程を有するものであってもよく、また上記検査工程が、上記各着色層形成用領域に塗布された上記着色層形成用塗工液の色度を検査する工程を有するものであってもよい。また上記検査工程が、上記各着色層形成用領域に塗布された上記着色層形成用塗工液の膜厚を検査する工程を有していてもよく、また上記検査工程が、上記各着色層形成用領域に塗布された上記着色層形成用塗工液の体積を検査する工程を有していてもよい。これらの測定を行うことにより、効率よく不良着色層形成領域を特定することが可能となるからである。
本発明によれば、各着色層形成用領域に複数のインクジェットノズルを用いて着色層形成用塗工液を塗布して形成された各着色層間に色ムラ等が少ないものとすることができ、高品質な色表示が可能なカラーフィルタを製造することができるという効果を奏する。
本発明は、液晶表示装置等に用いられるカラーフィルタの製造方法に関するものである。本発明のカラーフィルタの製造方法は、着色層を形成するための各着色層形成用領域上に、複数のインクジェットノズルを用いて着色層形成用塗工液を塗布した後、上記着色層形成用塗工液のムラを検査し、ムラの生じている不良着色層形成領域を特定する検査工程と、上記不良着色層形成領域に上記着色層形成用塗工液を塗布した上記インクジェットノズルの中から不良インクジェットノズルを特定し、上記不良インクジェットノズルの設定を調整する調整工程とを有することを特徴とするものである。なお、本発明でいう上記着色層形成用塗工液のムラとは、着色層形成用塗工液の塗布量のムラだけでなく、例えば着色層形成用領域に塗布された際の色度や輝度、膜厚、体積等のムラも含むものとする。
上述したように、各着色層形成用領域に、複数のインクジェットノズルを用いて着色層形成用塗工液の塗布を行った場合であっても、着色層形成用領域に不良が生じる場合があり、色ムラのないカラーフィルタを製造することが難しいという問題があった。
しかしながら、本発明においては、上記検査工程および調査工程を行い、不良インクジェットノズルを特定して、その調整を行うことから、各着色層形成用領域に複数のインクジェットノズルを用いて着色層形成用塗工液を塗布して形成された各着色層間に色ムラ等を少ないものとすることができ、高品質な色表示が可能なカラーフィルタを製造することができるのである。以下、本発明における検査工程および調査工程について説明する。
(1)検査工程
まず、本発明における検査工程について説明する。本工程は、着色層を形成するための各着色層形成用領域上に、複数のインクジェットノズルを用いて着色層形成用塗工液を塗布した後、例えば図1に示すように上記着色層形成用塗工液3のムラを検査し、ムラの生じている不良着色層形成領域(例えば図中3’、3’’、および3’’’で示される領域)を特定する工程である。ここで、本発明でいう着色層を形成するための着色層形成用領域とは、着色層形成用塗工液を塗布することにより、着色層を形成可能な領域であればよい。このような着色層形成用領域や、着色層形成用塗工液の塗布方法等については、後述する第1実施態様および第2実施態様の中で詳しく説明する。
本工程に用いられる不良着色層形成領域の特定方法としては、まず各着色層形成用領域について各種測定方法により測定を行い、得られたデータから平均値を求める。その後、上記測定により各着色層形成用領域について得られたデータと上記平均値とを比較し、上記平均値から所定の値以上、値がずれている着色層形成用領域を抽出し、抽出された着色層形成用領域を不良着色層形成領域とする方法とすることができる。なお、上記不良着色層形成領域を特定するための平均値からのズレ幅は、上記測定方法の種類や、製造するカラーフィルタの種類によって適宜選択される。
また上記検査工程が、後述するカラーフィルタ製造工程中で行われる場合等には、カラーフィルタを製造する前の製造条件決定工程等により得られた、色ムラや輝度ムラ等の少ないサンプルのデータと比較し、上記サンプルデータから所定の値以上、値がずれている着色層形成用領域を抽出し、抽出された着色層形成用領域を不良着色層形成領域とする方法としてもよい。
上記不良着色層形成領域を特定するために行われる測定方法としては、例えば上記各着色層形成用領域に塗布された着色層形成用塗工液の輝度を測定し、平均値やサンプルデータから所定の値以上ずれている着色層形成用領域を抽出する方法や、上記着色層形成用領域に塗布された着色層形成用塗工液の色度を測定し、平均値やサンプルデータから所定の値以上ずれている着色層形成用領域を抽出する方法、上記着色層形成用領域に塗布された着色層形成用塗工液の膜厚を測定し、平均値やサンプルデータから所定の値以上ずれている着色層形成用領域を抽出する方法、上記着色層形成用領域に塗布された着色層形成用塗工液の体積を測定し、平均値やサンプルデータから所定の値以上ずれている着色層形成用領域を抽出する方法等が挙げられる。
上記輝度を測定する方法として具体的には、蛍光灯等の光源を用いて、上記着色層形成用領域に塗布された着色層形成用塗工液の透過画像をRGB各色の色分解フィルタを使用したCCDカメラ等で撮影し、全面または測定したい領域を画像として記録する。その後、この画像のRGB各色の濃淡の分布を解析し、輝度分布として算出する方法等とすることができる。なお、CCDカメラ取得画像は輝度データとして算出できればモノクロでもカラーでも良い。また、顕微鏡型分光光度計を用い、上記着色層形成用領域に塗布された着色層形成用塗工液の測定したい領域について、輝度を計測する方法も用いることができる。輝度が平均値やサンプルデータより高い領域においては、塗布された着色層形成用塗工液の量が少なく、輝度が平均値やサンプルデータより低い領域においては塗布された着色層形成用塗工液の量が多いといえる。そこでこの場合、後述する調整工程において、この不良着色層形成領域に対して着色層形成用塗工液を塗布したインクジェットノズルの中から、不良インクジェットノズルを特定し、本工程によって得られた平均値やサンプルデータからのずれ幅等のデータをもとに、不良インクジェットノズルの吐出条件が決定されるものとすることができる。
また、色度を測定する方法としては、顕微鏡形分光光度計を用い、上記各着色層形成用領域に塗布された着色層形成用塗工液の色度を計測する方法とすることができる。計測した色度より、赤色着色層形成用塗工液(R)に対してはRxを、緑色着色層形成用塗工液(G)に対してはGyを、青色着色層形成用塗工液(B)に対してはByを抽出し、これらをそれぞれの色度データとすることが有効である。例えば、上記Rx、Gy、およびByの値の分布を把握することにより、着色層形成用塗工液の量のブレ等を把握することが可能となり、後述する調整工程において、本工程により特定された不良着色層形成領域に対して着色層形成用塗工液を塗布したインクジェットノズルの中から、不良インクジェットノズルを特定し、この不良インクジェット着色層形成用塗工液の吐出条件を、平均値やサンプルデータからのずれ具合等を参考に、調整することができる。
また、上記膜厚を測定する方法として具体的には、上記着色層形成用領域に塗布された上記着色層形成用塗工液を例えばプリベイクし、触針型の膜厚計や非接触型の3次元形状測定器等により測定する方法とすることができる。触針型の膜厚計とは、例えば針先を着色層形成用塗工液に接触させたまま移動させ、針先の上下動の推移にて膜厚を計測する手法であり、非接触型の3次元形状測定器とは、例えば光学干渉の干渉縞を用いて相対的な膜厚を算出する手法である。ここで、上記着色層形成用塗工液が、完全には硬化していないが混色しない程度に硬化している状態である場合には、非接触型の3次元形状測定器を使用する方法であることが好ましい。なお、上記膜厚を測定する方法を用いる場合、例えば各着色層形成用領域に塗布された上記着色層形成用塗工液の最大膜厚の分布を測定する方法であってもよく、また着色層形成用領域に塗布された上記着色層形成用塗工液の平均膜厚の分布を測定する方法であってもよい。平均膜厚は、上記測定器により、各着色層形成用領域内の膜厚を複数箇所について測定し、その測定値から算出することができる。
ここで、膜厚が厚い領域においては、塗布された着色層形成用塗工液の量が多く、膜厚が薄い領域においては塗布された着色層形成用塗工液の量が少ないといえる。したがってこの場合、後述する調整工程において、本工程により特定された不良着色層形成領域に対して着色層形成用塗工液を塗布したインクジェットノズルの中から、不良インクジェットノズルを特定し、この不良インクジェット着色層形成用塗工液の吐出条件を、平均値やサンプルデータからのずれ幅等のデータをもとに、調整するものとすることができる。
また、上記体積を測定する方法としては、非接触型の3次元形状測定器等により測定する方法とすることができる。例えば各着色層形成用領域における着色層形成用塗工液の体積を測定する場合、この着色層形成用領域を細分化した所定の面積ごとの膜厚を計測し、それぞれ測定された膜厚(高さ)に上記所定の面積を乗じた値の総和により算出することができる。体積が多い領域においては、塗布された着色層形成用塗工液の量が多く、体積が少ない領域においては塗布された着色層形成用塗工液の量が少ないといえる。したがってこの場合、後述する調整工程において、本工程により特定された不良着色層形成領域に対して着色層形成用塗工液を塗布したインクジェットノズルの中から、不良インクジェットノズルを特定し、この不良インクジェット着色層形成用塗工液の吐出条件を、平均値やサンプルデータからのずれ幅等のデータをもとに、調整するものとすることができる。
なお、本工程は、上記のいずれか一種類の測定方法のみを行うものであってもよいが、例えば二種類以上の測定方法を組合わせて行うものであってもよい。二種類以上の測定方法を組合わせた場合、後述する調整工程において、より正確に着色層形成用塗工液の吐出条件を調整することが可能となる。また二種類以上の測定を組合わせて行う場合には、少なくとも1つの測定方法を後述する各検査用基板や各カラーフィルタ用基板について行い、それ以外の測定方法を、数枚の検査用基板やカラーフィルタ用基板のうちの一枚に対して行うもの等としてもよい。
なお本発明においては、特に上記の中でも輝度を測定する方法が少なくとも用いられることが好ましい。これにより、検査工程に要する時間が短く、より短時間で効率よく検査工程を行うことが可能となるからである。
(2)調整工程
次に、本発明における調整工程について説明する。本工程は上記不良着色層形成領域に対する上記着色層形成用塗工液の塗布に用いられた上記インクジェットノズルの中から不良インクジェットノズルを特定し、上記不良インクジェットノズルの設定を調整する工程である。
本工程において、上記不良インクジェットノズルを特定する方法としては、例えば上記検査工程において特定された各不良着色層形成領域に対して着色層形成用塗工液を塗布したインクジェットノズルをそれぞれピックアップする。その後、複数の不良着色層形成領域に共通して用いられたインクジェットノズルを抽出し、不良インクジェットノズルを特定する方法等とすることができる。例えば図1に示すように、不良着色層形成領域3’に用いられたインクジェットノズルが、(iii)、(iv)、(vi)であり、また不良着色層形成領域3’’に用いられたインクジェットノズルが(ii)、(iii)、(v)であり、さらに不良着色層形成領域3’’’に用いられたインクジェットノズルが(i)、(iii)、(iv)である場合、これらの不良着色層形成領域に共通して用いられているインクジェットノズルは(iii)である。したがって、不良インクジェットノズルは(iii)であるといえ、このインクジェットノズル(iii)について、本工程により調整が行われることとなる。なお、上記方法において、不良インクジェットノズルが特定できない場合には、上記検査工程において上記不良着色層形成領域を特定するために用いられる平均値からのズレ幅を、より小さく、または大きく設定しなおすことによって、不良着色層形成領域の数を多く、または少なくし、不良インクジェットノズルの特定が行われることが好ましい。
また本工程における吐出条件の調整方法としては、例えば着色層形成用領域に吐出する着色層形成用塗工液の液滴数を増減して調整する方法や、インクジェットノズルにかける電圧量やパルス幅を調整すること等によって、インクジェットノズルから一回に吐出される着色層形成用塗工液の量を調整する方法、予め各インクジェットノズルから複数段階の液適量(例えば多い、通常、少ない等)吐出できるように設定しておき、これらを適宜組合わせることによって、着色層形成用塗工液の量を調整する方法、またこれらの方法を必要に応じて2つ以上組合わせる方法等が挙げられる。
(3)その他の工程
なお、本発明のカラーフィルタの製造方法は、上記検査工程および調査工程を有する方法であればよい。本発明は、例えば上記検査工程および調査工程をカラーフィルタの製造条件を決定するための製造条件決定工程中に行う実施態様(第1実施態様)、および上記検査工程および調整工程を、カラーフィルタを製造するカラーフィルタ製造工程中に行う実施態様(第2実施態様)に好適に用いられる。以下、上記それぞれの実施態様について説明する。
A.第1実施態様
まず、上記第1実施態様について説明する。上記第1実施態様におけるカラーフィルタの製造方法は、例えば図2のフロー図に示すように、着色層形成用領域を有し、カラーフィルタの製造条件を設定するために用いられる検査用基板を形成する検査用基板形成工程と、上記検査用基板の各着色層形成用領域に複数のインクジェットノズルを用いて着色層形成用塗工液を塗布する着色層形成用塗工液塗布工程と、上記着色層形成用塗工液のムラを検査し、ムラの生じている不良着色層形成領域を特定する検査工程と、上記不良着色層形成領域に上記着色層形成用塗工液を塗布した上記インクジェットノズルの中から不良インクジェットノズルを特定し、上記不良インクジェットノズルの設定を調整する調整工程とを行うことによりカラーフィルタの製造条件を決定する製造条件決定を有し、この製造条件決定工程により決定された製造条件に基づいて、カラーフィルタを製造するカラーフィルタ製造工程を行うものとすることができる。なお、上記調整工程により調整された不良インクジェットノズルの設定条件は、着色層形成用塗工液塗布工程における着色層形成用塗工液の吐出条件にフィードバックされる。
本実施態様においては、これらの工程を行うことによって、カラーフィルタを製造する際の最適条件を決定することができ、カラーフィルタを製造するカラーフィルタ製造工程において、色ムラ等のない、高品質なカラーフィルタを製造することが可能となるのである。以下、本実施態様における製造条件決定工程について説明する。
1.製造条件決定工程
本実施態様における製造条件決定工程は、検査用基板形成工程と、着色層形成用塗工液塗布工程と、検査工程と、調整工程とを有する工程である。本実施態様においては、製造条件決定工程として、上記各工程が1回のみ行われ、製造条件が決定されるものであってもよいが、通常、上記各工程を、例えば上記順序で繰り返し行うことにより、カラーフィルタの製造条件が決定される。なお本工程は、上記各工程以外にも必要に応じて適宜必要な工程を有していてもよく、例えばプリベイク工程や、ポストベイク工程等を有していてもよい。
また、製造条件決定工程に用いられる検査用基板としては、一種類である必要はなく、例えば円形状や矩形状等、任意のパターン状に形成された着色層形成用領域を有する第1の検査用基板を用いて、カラーフィルタの製造条件を大まかに設定した後、実際に製造するカラーフィルタの着色層パターンと同様の着色層形成用領域を有する第2の検査用基板を用いて、より厳密にカラーフィルタの製造条件を設定してもよい。また、さらに複数の検査用基板を用いてカラーフィルタの製造条件を設定してもよい。以下、上記製造条件決定工程における各工程について詳しく説明する。なお、上記検査工程および調整工程については、上述した工程と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
a.検査用基板形成工程
まず、本実施態様における検査用基板形成工程について説明する。本実施態様における検査用基板形成工程は、例えば図3(a)に示されるように、着色層を形成するための着色層形成用領域aを有する検査用基板1を形成する工程である。上述したように、本工程において形成される検査用基板は、1種類である必要はなく、本工程は、適宜着色層形成用領域のパターンを変更して検査用基板を形成する工程であってもよい。
上記着色層形成用領域のパターンとしては、上記検査工程において着色層形成用塗工液のムラを検査可能なパターンであればよく、製造するカラーフィルタの着色層パターンの形状等に合わせて適宜選択される。例えば実際に製造するカラーフィルタの着色層パターンと同じパターンであってもよく、また例えば円形状や矩形状等、検査工程において検査しやすいテストパターン等であってもよい。
また、上記着色層形成用領域としては、着色層形成用塗工液を塗布することにより、着色層を形成可能な領域であればよく、通常、実際にカラーフィルタを製造する際に、基板上に設けられる着色層形成用領域と同一の性状や形状を有するものとされる。このような着色層形成用領域を有する検査用基板としては、例えば着色層形成用領域の周囲に、着色層形成用塗工液を留めるための土手がパターン状に形成されたものや、上記着色層形成用領域が親液性領域であり、かつそれ以外の領域が撥液性領域とされているもの等とすることができる。
ここで本工程は特に、上記着色層形成用領域が親液性領域であり、それ以外の領域が撥液性領域である検査用基板を形成する工程であることが好ましい。このような検査用基板とすることにより、着色層形成用塗工液塗布工程において着色層形成用塗工液が塗布された際、撥液性領域には着色層形成用塗工液が付着せず、親液性である着色層形成用領域のみに高精細に着色層形成用塗工液が付着することが可能となるからである。また実際にカラーフィルタを製造する際にも、この手法が用いられることが、製造効率や、高精細な着色層を形成可能である等の面から好ましいからである。なお、本実施態様でいう撥液性領域とは、隣接する領域より、液体との接触角が1°以上高い領域をいうこととする。本実施態様においては特に、上記撥液性領域の表面張力40mN/mの液体との接触角が、50°以上、中でも70°以上であることが好ましい。また撥液性領域の純水との接触角は90°以上、中でも100°以上であることが好ましい。一方、上記親液性領域の表面張力40mN/mの液体との接触角は、9°以下、特に表面張力60mN/mの液体との接触角が10°以下とされることが好ましい。また、純水との接触角は20°以下、中でも10°以下とされることが好ましい。これにより、上記親液性領域のみに、高精細に着色層形成用塗工液を塗布することが可能となるからである。なお、上記液体との接触角は、上記表面張力を有する液体との接触角を接触角測定器(協和界面科学(株)製CA−Z型)を用いて測定(マイクロシリンジから液滴を滴下して30秒後)し、その結果から、もしくはその結果をグラフにして得られるものである。
本工程において、上記着色層形成用領域が親液性領域であり、それ以外の領域が撥液性領域である検査用基板を形成する方法としては、例えばエネルギー照射に伴う光触媒の作用により濡れ性が変化する濡れ性変化層を基板表面に形成し、この濡れ性変化層の濡れ性をパターン状(着色層形成用領域のパターン状)に変化させる方法等とすることができる。このような濡れ性変化層を利用して、親液性のパターンを形成する方法としては、例えば特開2002−40230公報や、特開2003−105029公報等に記載された方法を用いることができる。
また、例えば上記着色層形成用領域のみに、親液性を有する材料を用いて層を形成する方法や、上記着色層形成用領域以外の領域のみに、撥液性を有する材料を用いて層を形成する方法等であってもよく、またこれらを組合わせた方法であってもよい。またさらに、着色層形成用領域以外の領域に、有機材料からなる層を形成し、この層に対してフッ素化合物を導入ガスとしてプラズマ照射することにより、着色層形成用領域以外の領域を、撥液性とする方法等であってもよい。なおプラズマ照射を行うことにより、検査用基板を形成する場合、上記着色層形成用領域の表面は、無機材料が露出、または無機材料によって覆われていることが好ましい。これにより、基板全面にプラズマ照射をした場合であっても、上記着色層形成用領域にはフッ素が導入されず、着色層形成用領域以外の領域のみにフッ素が導入されるものとすることができるからである。上記プラズマの照射方法は、例えば特開2000−187111号公報に記載されている方法と同様とすることができる。
なお、本工程により形成される検査用基板は、ブラックマトリクス等の部材を有するものであってもよい。このような部材の形成方法としては、一般的なカラーフィルタの製造方法における各部材の形成方法と同様とすることができる。
b.着色層形成用塗工液塗布工程
次に、本実施態様における着色層形成用塗工液塗布工程について説明する。本工程は、例えば図3(b)および(c)に示されるように、上記検査用基板1の上記着色層形成用領域a上に、複数のインクジェットノズル2を用いて、着色層形成用塗工液3を塗布する工程である。ここで、各着色層形成用領域に複数のインクジェットノズルを用いて、着色層形成用塗工液を塗布するとは、例えば図4に示すように、1つの着色層形成用領域a上に、複数のインクジェットノズル2を配置して、着色層形成用塗工液を塗布していく場合や、例えば図5に示すような、ストライプ状の着色層形成用領域aを有する検査用基板1に対して、例えば複数のインクジェットノズル2を有するインクジェットヘッド11を着色層形成用領域のストライプに対して横方向に数ピッチずつスライドさせながら、着色層形成用塗工液を数回にわけて塗布する場合等が挙げられる。
ここで、製造条件決定工程において、初めて着色層形成用塗工液塗布工程が行われる場合には、本工程は通常の吐出条件により着色層形成用塗工液を吐出する工程とされる。また製造条件決定工程において2回目以降に本工程が行われる場合には、上述した調整工程によって調整された吐出条件に基づいて着色層形成用塗工液の吐出が行われることとなる。これにより、先に行われた調整工程における調整によって、不良インクジェットノズルの吐出条件が最適化されたかを検査することができ、また本工程後に行われる調整工程において、さらに微調整を行うことも可能となるからである。
なお、本工程において着色層形成用塗工液を塗布するために用いられるインクジェット装置としては、一般的にカラーフィルタを製造する際に用いられるものと同様とすることができる。
また、本工程に用いられる着色層形成用塗工液としては、通常、実際にカラーフィルタを製造する際に用いられる着色層形成用塗工液と同一のものとされるが、例えば必要に応じてテスト用の着色層形成用塗工液等が用いられてもよい。このような着色層形成用塗工液としては、インクジェット法を用いてカラーフィルタを製造する際に一般的に用いられるものと同様とすることができる。
c.プリベイク工程
本実施態様の製造条件決定工程には、上述したように、プリベイク工程を有していてもよい。プリベイク工程は、上述した着色層形成用塗工液塗布工程により塗布された着色層形成用塗工液をプリベイクする工程である。本工程により着色層形成用塗工液をプリベイクし、着色層形成用塗工液をある程度固化させることによって、上記検査工程において着色層形成用塗工液どうしが混色してしまうことや、各着色層形成用領域に塗布された着色層形成用塗工液の状態が変化してしまうこと等を防ぐことができ、より正確に検査を行うことが可能となる。
本工程においては、上記着色層形成用塗工液が流動性を有しない状態となるまで固化させることが可能であれば、そのプリベイクの条件等は特に限定されるものではなく、一般的なカラーフィルタの製造方法におけるプリベイクの条件と同様とすることができる。
2.その他の工程
本実施態様のカラーフィルタの製造方法においては、上記製造条件決定工程により決定された製造条件に基づいて、カラーフィルタを製造するカラーフィルタ製造工程が行われる。上記カラーフィルタ製造工程として具体的には、上述した検査用基板形成用工程と同様の工程により、着色層を形成するための着色層形成用領域を有するカラーフィルタ用基板を形成するカラーフィルタ用基板形成工程と、上記カラーフィルタ用基板の着色層形成用領域上に着色層形成用塗工液を塗布するカラーフィルタ着色層形成用塗工液塗布工程と、上記着色層形成用塗工液をプリベイクするカラーフィルタ着色層プリベイク工程と、プリベイクされた着色層形成用塗工液をポストベイクするカラーフィルタ着色層ポストベイク工程とを有する工程等とすることができる。
なお、上記カラーフィルタ用基板としては、着色層を形成するパターン状に着色層形成用領域が形成されたものとすることができ、上記着色層形成用領域としては、上述した検査用基板に形成される着色層形成用領域と同様の性状、または形状等を有するものとされる。また、上記カラーフィルタ着色層形成用塗工液塗布工程においては、上述した製造条件決定工程により決定された吐出条件に基づいて着色層形成用塗工液の塗布が行われることとなる。また上記カラーフィルタ着色層プリベイク工程やカラーフィルタ着色層ポストベイク工程としては、一般的なカラーフィルタの製造方法における各工程と同様とすることができる。
なお、本実施態様において、上記製造条件決定工程により決定された製造条件を利用して、カラーフィルタを製造している場合であっても、製造工程中で、例えば色ムラ等の不具合が生じた場合には、再度上記製造条件決定工程を行い、着色層形成用塗工液の吐出条件を決定しなおしてもよい。
B.第2実施態様
次に、上記第2実施態様について説明する。上記第2実施態様のカラーフィルタの製造方法は、例えば図6のフロー図に示されるように、着色層形成用領域を有するカラーフィルタ用基板を形成するカラーフィルタ用基板形成工程と、上記カラーフィルタ用基板の着色層形成用領域上に着色層形成用塗工液を塗布する着色層形成用塗工液塗布工程と、この着色層形成用塗工液をプリベイクするプリベイク工程と、ポストベイク工程とを行うことによりカラーフィルタを製造するカラーフィルタ製造工程を有し、上記検査工程および上記調整工程が、上記着色層形成用塗工液塗布工程後に行われるものとされる。本実施態様においては、例えば図6に示すように、上記検査工程および上記調整工程が、上記プリベイク工程およびポストベイク工程の間に行われるものであってもよいが、例えば図7に示すように、上記検査工程および上記調整工程が、上記着色層形成用塗工液塗布工程およびプリベイク工程の間に行われるものであってもよい
上記検査工程および調整工程を、カラーフィルタを製造するカラーフィルタ製造工程中に行うことによって、製造された各カラーフィルタにムラがないかを検査することができ、ムラが生じている場合には、上記調整工程によって、直ちに不良インクジェットノズルを調整し、その調整結果を着色層形成用塗工液塗布工程にフィードバックすることができる。したがって、本実施態様によれば、色ムラの少ない高品質なカラーフィルタを製造することができるのである。なお、上記検査工程において、不良着色層形成領域が認められない場合には、上記調整工程を行うことなく、上記プリベイク工程や、ポストベイク工程が行われるものとされる。以下、本実施態様のカラーフィルタの製造方法のカラーフィルタ製造工程について説明する。
1.カラーフィルタ製造工程
本実施態様におけるカラーフィルタ製造工程は、カラーフィルタ用基板形成工程と、着色層形成用塗工液塗布工程と、プリベイク工程と、検査工程と、調整工程と、ポストベイク工程とを行うことによってカラーフィルタを製造する工程である。なお本工程は、上記各工程以外にも必要に応じて適宜必要な工程を有していてもよく、例えばポストベイク工程後に、配向膜を形成する配向膜形成工程等を有していてもよい。以下、上記カラーフィルタ製造工程における各工程について詳しく説明する。なお、上記検査工程および調整工程については、上述した工程と同様とすることができるので、ここでの詳しい説明は省略する。
a.カラーフィルタ用基板形成工程
まず、本実施態様におけるカラーフィルタ用基板形成工程について説明する。本実施態様のカラーフィルタ用基板形成工程は、着色層を形成するための着色層形成用領域を有するカラーフィルタ用基板を形成する工程である。
本工程において形成されるカラーフィルタ用基板としては、目的とする形状に着色層を形成可能な着色層形成用領域を有するものであれば、その着色層形成用領域の性状や形状等は特に限定されるものではない。例えば本工程により形成されるカラーフィルタ用基板は、着色層形成用領域の周囲に、着色層形成用塗工液を留めるための土手がパターン状に形成されたものであってもよく、また上記着色層形成用領域が親液性領域とされ、かつ上記着色層形成用領域以外の領域が撥液性領域とされているもの等であってもよい。
本工程は特に、上記着色層形成用領域が親液性領域であり、それ以外の領域が撥液性領域であるカラーフィルタ用基板を形成する工程であることが好ましい。このようなカラーフィルタ用基板とすることにより、着色層形成用塗工液塗布工程において着色層形成用塗工液が塗布された際、撥液性領域には着色層形成用塗工液が付着せず、親液性である着色層形成用領域のみに高精細に着色層形成用塗工液が付着するものとすることができる。したがって、後述する着色層形成用塗工液塗布工程により、高精細なパターン状に着色層形成用塗工液を塗布することが可能となり、高品質な色表示が可能なカラーフィルタを製造することができるからである。
このような着色層形成用領域を有するカラーフィルタ用基板や、その形成方法としては、上述した第1実施態様の検査用基板形成工程により形成される検査用基板や、その形成方法と同様とすることができるので、ここでの詳しい説明は省略する。
b.着色層形成用塗工液塗布工程
次に、本実施態様における着色層形成用塗工液塗布工程について説明する。本工程は、上記カラーフィルタ用基板の上記着色層形成用領域上に、複数のインクジェットノズルを用いて、着色層形成用塗工液を塗布する工程である。
ここで、カラーフィルタ製造工程において、初めて着色層形成用塗工液塗布工程が行われる場合には、本工程は通常の吐出条件、もしくは予め設定された吐出条件により着色層形成用塗工液を吐出する工程とされる。なお予め設定された吐出条件とは、上述した第1実施態様で説明したような製造条件決定工程等により設定された条件をいうこととする。
またカラーフィルタ製造工程において2回目以降に本工程が行われる場合には、上述した調整工程によって調整された吐出条件に基づいて着色層形成用塗工液の吐出が行われることとなる。これにより、より良好な吐出条件で着色層形成用塗工液を塗布することが可能となり、より色ムラ等の少ないカラーフィルタを製造することが可能となるからである。なお上述したように、上記検査工程において特に不良着色層形成領域が認められない場合には、上記調整工程が行われる必要がなく、本工程は、先に決定されている吐出条件に基づいて着色層形成用塗工液の吐出が行われるものとされる。
また、本工程に用いられる着色層形成用塗工液としては、製造されるカラーフィルタの種類等により適宜選択され、一般的にカラーフィルタの製造に用いられるものと同様とすることができる。
なお、本工程において、複数のインクジェットノズルを用いて着色層形成用塗工液を塗布する方法や、本工程に用いられるインクジェット装置等については、上述した第1実施態様の着色層形成用塗工液塗布工程で説明したものと同様とすることができる。
c.プリベイク工程
次に、本実施態様におけるプリベイク工程について説明する。本工程は、上述した着色層形成用塗工液塗布工程により塗布された着色層形成用塗工液をプリベイクする工程である。本工程により着色層形成用塗工液をプリベイクし、着色層形成用塗工液をある程度固化させることによって、上記検査工程において着色層形成用塗工液どうしが混色してしまうことや、各着色層形成用領域に塗布された着色層形成用塗工液の状態が変化してしまうこと等を防ぐことができ、より正確に検査を行うことが可能となる。
本工程においては、上記着色層形成用塗工液が流動性を有しない状態となるまで固化させることが可能であれば、そのプリベイクの条件等は特に限定されるものではなく、一般的なカラーフィルタの製造方法におけるプリベイクの条件と同様とすることができる。
d.ポストベイク工程
次に、本実施態様におけるポストベイク工程について説明する。本実施態様におけるポストベイク工程は、上述した着色層形成用塗工液を完全に固化させることが可能な工程であればよく、ポストベイクの条件等は特に限定されるものではない。このような条件としては、一般的なカラーフィルタの製造方法におけるポストベイクの条件と同様とすることができる。
2.その他の工程
本実施態様のカラーフィルタの製造方法においては、上述したカラーフィルタ製造工程以外にも、必要に応じて、例えば上記第1実施態様で説明した製造条件決定工程等を有していてもよい。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下に実施例を示し、本発明をさらに具体的に説明する。
[実施例1]
(検量線の作成および製造条件の決定)
〔検量線作成用基板の作製〕
カラーフィルタ用ガラス材として用いられている厚み0.7mm、横370mm、縦470mmのCorning社製EAGLE2000を用意し、このガラス基材上にフォトリソグラフィー法にて樹脂製のブラックマトリクスを形成した。ブラックマトリクスは開口部が100μm×300μm、遮光部分の線幅が20μmとなるように形成し、横方向に120μmピッチ、縦方向に320μmピッチにて縦横ともそれぞれ1000画素ずつ配置されるものとした。またこの際、遮光部分の膜厚は平均1.5μmとした。
上記ブラックマトリクス付ガラス基材に対し、フッ素化合物を導入ガスとしたプラズマ処理を加えることにより、ブラックマトリクスの表面を撥液性に、それ以外の領域(着色層形成用領域)を親液性とした。このとき表面張力40mN/mの液体との接触角は、ブラックマトリクス上で65°、着色層形成用領域で10°であった。
次に、上記親疎液性を有する検量線作成用基板に対し、インクジェットヘッドを用いて着色層形成用塗工液を塗布した。着色層形成用塗工液は、カラーフィルタ用顔料と熱硬化型樹脂等からなるRGB各色の顔料分散型インクを用い、1つの開口部(着色層形成用領域)あたり130滴にて所望のカラーフィルタの色が表現できるように濃度を設計したものを用いた。またこのときのインクジェットヘッドへの印加電圧は75V、パルス幅は6μsであった。またさらに、インクジェットヘッドは1ヘッドにつき100ノズルを有するものを用い、1色につき1ヘッド、すなわちRGB3色にて3ヘッドを用いた。塗布は、各着色層形成用領域(1画素)あたり1ノズルが配置されるように位置決めして行い、ノズルから吐出された着色層形成用塗工液の各液滴が、上記着色層形成用領域内に着弾するように行った。また着色層形成用塗工液は横方向にRGBの順に繰り返し配置し、縦方向には同色が並ぶように配置した。
なおこの際、各色の着色層形成用塗工液は開口部全域に塗れ広がり、かつ異なる色同士が混色することは無かった。
上記着色層形成用塗工液を着弾させた検量線作成用基板を120℃のホットプレートに設置し10分間プリベイクした。プリベイク後の着色層形成用塗工液は、先端の直径が12μmの針で5mgの圧力にて表面を触針しても傷が入らない程度に固化し、混色しない状態であった。なお、各着色層形成用領域に、それぞれ100滴ずつ、120滴ずつ、140滴ずつ着色層形成用塗工液を塗布した3種類の検量線作成用基板を形成した。
〔検量線の作成〕
上記着色層を形成した3種類の検量線作成用基板の、着色層形成用塗工液が塗布された面とは反対面側より蛍光灯を照射し、この透過光を着色層形成用塗工液が塗布された面側からCCDカメラにて撮像した。撮像に対し、CCDカメラにRGB各色の色分解フィルタを設置し、R補正用画像、G補正用画像、B補正用画像の3種類、計9枚の画像を取得した。またこのときの撮像の分解能は100μm以下となるように設定した。撮像した画像に認められた濃淡を画像処理し、輝度の分布に変換した。その後、各画素の位置と輝度の分布を着弾液滴数の異なる画像より解析し、各画素すなわちインクジェットヘッドの各ノズルから吐出される吐出液滴数と輝度との関係を求め、検量線を作成した。
〔検査用基板の作製および調整〕
上述した検量線作製用基板と同様の方法により、検査用基板を作製した。この検査用基板の各着色層形成用領域に、130滴ずつ着色層形成用塗工液を塗布し、上記検量線の作成にて記載した手法と同手法によって撮像し、輝度分布を算出した。この輝度分布および上記検量線より、各着色層形成用領域の輝度の差を無くすために必要な各ノズルからの液滴数を算出した。その後、各ノズルに必要とされる液滴数の平均値を算出し、上記平均値と各ノズルに必要とされる液滴数との比率を算出した。
さらに、上記検査用基板を作製し、各着色層形成用領域に、1ノズルあたり26滴に、上記比率を乗じた液滴数ずつ、着色層形成用塗工液の液滴を吐出し、各着色層形成用領域に対し異なるそれぞれ5ノズルを用いて、各着色層形成用領域に塗布する液滴数の平均が130滴となるように着色層形成用塗工液を塗布した。塗布された着色層形成用塗工液の輝度データを測定したところ、輝度の分布が収束することが確認された。
そこで、上記条件を用い、下記のカラーフィルタ用基板形成工程、着色層形成用塗工液塗布工程、プリベイク工程、検査工程、ポストベイク工程を行うことにより、カラーフィルタの製造を開始した。なお、カラーフィルタ製造中の検査工程において、調整が必要なカラーフィルタ用基板が認められ次第、生産をとめることなく、調整工程を行った。
(カラーフィルタ用基板形成工程)
上述した検量線作成用基板と同様の方法により、着色層形成用領域を有するカラーフィルタ用基板を連続して形成した。
(着色層形成用塗工液塗布工程およびプリベイク工程)
上記各カラーフィルタ用基板の各着色層形成用領域上に、上述した方法により算出された液滴量ずつ、着色層形成用塗工液を着弾させて、着色層形成用塗工液を塗布した。その後、120℃のホットプレートに設置し10分間プリベイクした。
(検査工程)
上記プリベイク工程後、上記着色層形成用塗工液が塗布された全てのカラーフィルタ用基板について、上述した手法により撮像し、輝度データの算出を行い、製造されているカラーフィルタ用基板の輝度データが、生産開始時の輝度データと差が生じていないかを確認した。なお、430枚目に作製されたカラーフィルタ用基板に、調整が必要な不良着色層形成領域が50画素生じていることが確認されたので、直ちに、生産を止めることなく、後述する調整工程を行った。
(ポストベイク工程)
上記検査工程が終了したカラーフィルタ用基板について、それぞれポストベイクを行った。
(調整工程)
上記50の不良着色層形成領域に共通して用いられたノズルは、27番目のノズルであることが特定された。そこで、このノズルについて、上記検量線を用いて必要とされる調整量の算出を行い、この条件を、着色層形成用塗工液塗布工程におけるインクジェット装置の設定に反映させた。
(結果)
1000枚のカラーフィルタを上記方法により製造したところ、色ムラおよび輝度ムラの少ないカラーフィルタを製造することができた。
[実施例2]
(検量線の作成および製造条件の決定)
〔検量線作成用基板の作製および検量線の作成〕
上述した実施例1と同様の方法により、3種類の検量線作成用基板を作成し、各着色層形成用領域の分光光度を、大塚電子製顕微鏡型分光光度計LCF−seriesにて測定し、測定値より輝度(Y値)を算出した。その後、インクジェットヘッドの各ノズルから吐出される吐出液滴数と輝度の関係を求め、検量線を作成した。
〔検査用基板の作製および調整〕
上述した検量線作製用基板と同様の方法により、検査用基板を作製した。この検査用基板の各着色層形成用領域に、130滴ずつ着色層形成用塗工液を塗布し、上記検量線の作成にて記載した手法と同手法によって測定し、輝度分布を算出した。この輝度分布および上記検量線より、各着色層形成用領域の輝度の差を無くすために必要な各ノズルからの液滴数を算出した。その後、各ノズルに必要とされる液滴数の平均値を算出し、上記平均値と各ノズルに必要とされる液滴数との比率を算出した。
さらに、上記検査用基板を作製し、各着色層形成用領域に、1ノズルあたり26滴に、上記比率を乗じた液滴数ずつ、着色層形成用塗工液の液滴を吐出し、各着色層形成用領域に対し異なるそれぞれ5ノズルを用いて、各着色層形成用領域に塗布する液滴数の平均が130滴となるように着色層形成用塗工液を塗布した。塗布された着色層形成用塗工液の輝度データを測定した。この結果、輝度データの平均からずれている不良着色層形成領域50画素を特定した。上記50画素に共通して用いられている不良インクジェットノズルは、17番目のノズルであった。そこで、このノズルについて、上記検量線を用いて吐出量を調整した。
調整された条件を用い、下記のカラーフィルタ用基板形成工程、着色層形成用塗工液塗布工程、プリベイク工程、検査工程、ポストベイク工程を行うことにより、カラーフィルタの製造を開始した。なお、カラーフィルタ製造中の検査工程において、調整が必要なカラーフィルタ用基板が認められ次第、生産をとめることなく、調整工程を行った。
(カラーフィルタ用基板形成工程)
上述した検量線作成用基板と同様の方法により、着色層形成用領域を有するカラーフィルタ用基板を連続して形成した。
(着色層形成用塗工液塗布工程およびプリベイク工程)
上記各カラーフィルタ用基板の各着色層形成用領域上に、上述した方法により算出された液滴量ずつ、着色層形成用塗工液を着弾させて、着色層形成用塗工液を塗布した。その後、120℃のホットプレートに設置し10分間プリベイクした。
(検査工程)
上記プリベイク工程後、上記着色層形成用塗工液が塗布されたカラーフィルタ用基板について、200枚に1枚の割合で上述した手法により輝度データの算出を行い、製造されているカラーフィルタ用基板の輝度データが、生産開始時の輝度データと差が生じていないかを確認した。なお、600枚目に作製されたカラーフィルタ用基板に、調整が必要な不良着色層形成領域が50画素生じていることが確認されたので、直ちに、生産を止めることなく、後述する調整工程を行った。
(ポストベイク工程)
上記検査工程が終了したカラーフィルタ用基板について、それぞれポストベイクを行った。
(調整工程)
上記50の不良着色層形成領域に共通して用いられたノズルは、32番目のノズルであることが特定された。そこで、このノズルについて、上記検量線を用いて必要とされる調整量の算出を行い、この条件を、着色層形成用塗工液塗布工程におけるインクジェット装置の設定に反映させた。
(結果)
1000枚のカラーフィルタを上記方法により製造したところ、上記検査工程および調整工程を行う最中に生産した3枚を除き、色ムラおよび輝度ムラの少ないカラーフィルタを製造することができた。
[実施例3]
(検量線の作成および製造条件の決定)
〔検量線作成用基板の作製および検量線の作成〕
上述した実施例1と同様の方法により、3種類の検量線作成用基板を作成し、各着色層形成用領域の分光光度を、大塚電子製顕微鏡型分光光度計LCF−seriesにて測定し、測定値より色度Rx、Gy、Byを算出した。その後、インクジェットヘッドの各ノズルから吐出される吐出液滴数と色度の関係を求め、検量線を作成した。
〔検査用基板作製工程、検査工程、および調整工程〕
上述した検量線作製用基板と同様の方法により、検査用基板を作製した。この検査用基板の各着色層形成用領域に、130滴ずつ着色層形成用塗工液を塗布し、上記検量線の作成にて記載した手法と同手法によって撮像し、色度分布を算出した。この色度分布および上記検量線より、各着色層形成用領域の色度の差を無くすために必要な各ノズルからの液滴数を算出した。その後、各ノズルに必要とされる液滴数の平均値を算出し、上記平均値と各ノズルに必要とされる液滴数との比率を算出した。
さらに、上記検査用基板を作製し、各着色層形成用領域に、1ノズルあたり26滴に、上記比率を乗じた液滴数ずつ、着色層形成用塗工液の液滴を吐出し、各着色層形成用領域に対し異なるそれぞれ5ノズルを用いて、各着色層形成用領域に塗布する液滴数の平均が130滴となるように着色層形成用塗工液を塗布した。塗布された着色層形成用塗工液の色度データを測定した。この結果、色度データの平均からずれている不良着色層形成領域50画素を特定した。上記50画素に共通して用いられている不良インクジェットノズルは、40番目および52番目のノズルであった。そこで、これらのノズルについて、上記検量線を用いて吐出量を調整した。
調整された条件を用い、下記のカラーフィルタ用基板形成工程、着色層形成用塗工液塗布工程、プリベイク工程、検査工程、ポストベイク工程を行うことにより、カラーフィルタの製造を開始した。
(カラーフィルタ用基板形成工程)
上述した検量線作成用基板と同様の方法により、着色層形成用領域を有するカラーフィルタ用基板を連続して形成した。
(着色層形成用塗工液塗布工程およびプリベイク工程)
上記各カラーフィルタ用基板の各着色層形成用領域上に、上述した方法により算出された液滴量ずつ、着色層形成用塗工液を着弾させて、着色層形成用塗工液を塗布した。その後、120℃のホットプレートに設置し10分間プリベイクした。
(検査工程)
上記プリベイク工程後、上記着色層形成用塗工液が塗布されたカラーフィルタ用基板について、200枚に1枚の割合で、上述した手法により色度データの算出を行い、製造されているカラーフィルタ用基板の色度データが、生産開始時の色度データと差が生じていないかを確認した。なお、1000枚カラーフィルタを作製したが、不良着色層形成領域が認められたものはなかった。
(ポストベイク工程)
上記検査工程が終了したカラーフィルタ用基板について、それぞれポストベイクを行った。
(結果)
1000枚のカラーフィルタを上記方法により製造したところ、色ムラおよび輝度ムラの少ないカラーフィルタを製造することができた。
[実施例4]
(検量線の作成および製造条件の決定)
〔検量線作成用基板の作製および検量線の作成〕
上述した実施例1と同様の方法により、3種類の検量線作成用基板を作成し、各着色層形成用領域における着色層形成用塗工液の膜厚を、触針式膜厚計VEECO社製デックタックOSP-1110にて測定した。測定は着色層形成用領域中央部を横断するように触針させ、各着色層形成用領域の最大膜厚を記録した。その後、インクジェットヘッドの各ノズルから吐出される吐出液滴数と上記最大膜厚値との関係を求め、検量線を作成した。
〔検査用基板の作製および調整〕
上述した検量線作製用基板と同様の方法により、検査用基板を作製した。この検査用基板の各着色層形成用領域に、130滴ずつ着色層形成用塗工液を塗布し、上記検量線の作成にて記載した手法と同手法によって最大膜厚分布を算出した。この最大膜厚分布および上記検量線より、各着色層形成用領域の最大膜厚の差を無くすために必要な各ノズルからの液滴数を算出した。その後、各ノズルに必要とされる液滴数の平均値を算出し、上記平均値と各ノズルに必要とされる液滴数との比率を算出した。
さらに、上記検査用基板を作製し、各着色層形成用領域に、1ノズルあたり26滴に、上記比率を乗じた液滴数ずつ、着色層形成用塗工液の液滴を吐出し、各着色層形成用領域に対し異なるそれぞれ5ノズルを用いて、各着色層形成用領域に塗布する液滴数の平均が130滴となるように着色層形成用塗工液を塗布した。塗布された着色層形成用塗工液の最大膜厚分布データを測定した。この結果、最大膜厚分布が収束していることが確認された。
そこで、上記条件を用い、下記のカラーフィルタ用基板形成工程、着色層形成用塗工液塗布工程、プリベイク工程、検査工程、ポストベイク工程を行うことにより、カラーフィルタの製造を開始した。なお、カラーフィルタ製造中の検査工程において、調整が必要なカラーフィルタ用基板が認められ次第、生産をとめることなく、調整工程を行った。
(カラーフィルタ用基板形成工程)
上述した検量線作成用基板と同様の方法により、着色層形成用領域を有するカラーフィルタ用基板を連続して形成した。
(着色層形成用塗工液塗布工程およびプリベイク工程)
上記各カラーフィルタ用基板の各着色層形成用領域上に、上述した方法により算出された液滴量ずつ、着色層形成用塗工液を着弾させて、着色層形成用塗工液を塗布した。その後、120℃のホットプレートに設置し10分間プリベイクした。
(検査工程)
上記プリベイク工程後、上記着色層形成用塗工液が塗布されたカラーフィルタ用基板について、30枚に1枚の割合で、上述した手法により最大膜厚データの算出を行い、製造されているカラーフィルタ用基板の最大膜厚データが、生産開始時の最大膜厚データと差が生じていないかを確認した。なお、720枚目に作製されたカラーフィルタ用基板に、調整が必要な不良着色層形成領域が50画素生じていることが確認されたので、直ちに、生産を止めることなく、後述する調整工程を行った。
(ポストベイク工程)
上記検査工程が終了したカラーフィルタ用基板について、それぞれポストベイクを行った。
(調整工程)
上記50の不良着色層形成領域に共通して用いられたノズルは、51番目のノズルであることが特定された。そこで、このノズルについて、上記検量線を用いて必要とされる調整量の算出を行い、この条件を、着色層形成用塗工液塗布工程におけるインクジェット装置の設定に反映させた。
(結果)
1000枚のカラーフィルタを上記方法により製造したところ、色ムラおよび輝度ムラの少ないカラーフィルタを製造することができた。
[実施例5]
(検量線の作成および製造条件の決定)
〔検量線作成用基板の作製および検量線の作成〕
上述した実施例1と同様の方法により、3種類の検量線作成用基板を作成し、各着色層形成用領域における着色層形成用塗工液の膜厚を、Micromap社三次元非接触表面形状計測装置micromap557を用い測定した。測定は各着色層形成用領域(1画素)毎、すなわち100μm×300μmの範囲における表面形状を計測し、そのエリアにおける平均膜厚を算出した。その後、インクジェットヘッドの各ノズルから吐出される吐出液滴数と平均膜厚値との関係を求め、検量線を作成した。
〔検査用基板の作製および調整〕
上述した検量線作製用基板と同様の方法により、検査用基板を作製した。この検査用基板の各着色層形成用領域に、130滴ずつ着色層形成用塗工液を塗布し、上記検量線の作成にて記載した手法と同手法によって平均膜厚分布を算出した。この平均膜厚分布および上記検量線より、各着色層形成用領域の平均膜厚の差を無くすために必要な各ノズルからの液滴数を算出した。その後、各ノズルに必要とされる液滴数の平均値を算出し、上記平均値と各ノズルに必要とされる液滴数との比率を算出した。
さらに、上記検査用基板を作製し、各着色層形成用領域に、1ノズルあたり26滴に、上記比率を乗じた液滴数ずつ、着色層形成用塗工液の液滴を吐出し、各着色層形成用領域に対し異なるそれぞれ5ノズルを用いて、各着色層形成用領域に塗布する液滴数の平均が130滴となるように着色層形成用塗工液を塗布した。塗布された着色層形成用塗工液の平均膜厚データを測定した。この結果、平均膜厚データの平均からずれている不良着色層形成領域50画素を特定した。上記50画素に共通して用いられている不良インクジェットノズルは、22番目のノズルであった。そこで、このノズルについて、上記検量線を用いて吐出量を調整した。
調整された条件を用い、下記のカラーフィルタ用基板形成工程、着色層形成用塗工液塗布工程、プリベイク工程、検査工程、ポストベイク工程を行うことにより、カラーフィルタの製造を開始した。
(カラーフィルタ用基板形成工程)
上述した検量線作成用基板と同様の方法により、着色層形成用領域を有するカラーフィルタ用基板を連続して形成した。
(着色層形成用塗工液塗布工程およびプリベイク工程)
上記各カラーフィルタ用基板の各着色層形成用領域上に、上述した方法により算出された液滴量ずつ、着色層形成用塗工液を着弾させて、着色層形成用塗工液を塗布した。その後、120℃のホットプレートに設置し10分間プリベイクした。
(検査工程)
上記プリベイク工程後、上記着色層形成用塗工液が塗布されたカラーフィルタ用基板について、200枚に1枚の割合で、上述した手法により平均膜厚データの算出を行い、製造されているカラーフィルタ用基板の平均膜厚データが、生産開始時の平均膜厚データと差が生じていないかを確認した。なお、400枚目に作製されたカラーフィルタ用基板に、調整が必要な不良着色層形成領域が50画素生じていることが確認されたので、直ちに、生産を止めることなく、後述する調整工程を行った。
(ポストベイク工程)
上記検査工程が終了したカラーフィルタ用基板について、それぞれポストベイクを行った。
(調整工程)
上記50の不良着色層形成領域に共通して用いられたノズルは、64番目のノズルであることが特定された。そこで、このノズルについて、上記検量線を用いて必要とされる調整量の算出を行い、この条件を、着色層形成用塗工液塗布工程におけるインクジェット装置の設定に反映させた。
(結果)
1000枚のカラーフィルタを上記方法により製造したところ、上記検査工程および調整工程を行った際の8枚を除き、色ムラおよび輝度ムラの少ないカラーフィルタを製造することができた。
[実施例6]
(検量線の作成および製造条件の決定)
〔検量線作成用基板の作製および検量線の作成〕
上述した実施例1と同様の方法により、3種類の検量線作成用基板を作成し、各着色層形成用領域における着色層形成用塗工液の膜厚を、Micromap社三次元非接触表面形状計測装置micromap557を用い測定した。測定は各着色層形成用領域(1画素)毎、すなわち100μm×300μmの範囲における表面形状を計測し、そのエリアにおける着色層形成用塗工液の体積を算出した。その後、インクジェットヘッドの各ノズルから吐出される吐出液滴数と体積との関係を求め、検量線を作成した。
〔検査用基板の作製および調整〕
上述した検量線作製用基板と同様の方法により、検査用基板を作製した。この検査用基板の各着色層形成用領域に、130滴ずつ着色層形成用塗工液を塗布し、上記検量線の作成にて記載した手法と同手法によって体積分布を算出した。この体積分布および上記検量線より、各着色層形成用領域の体積の差を無くすために必要な各ノズルからの液液滴数を算出した。その後、各ノズルに必要とされる液滴数の平均値を算出し、上記平均値と各ノズルに必要とされる液滴数との比率を算出した。
さらに、上記検査用基板を作製し、各着色層形成用領域に、1ノズルあたり26滴に、上記比率を乗じた液滴数ずつ、着色層形成用塗工液の液滴を吐出し、各着色層形成用領域に対し異なるそれぞれ5ノズルを用いて、各着色層形成用領域に塗布する液滴数の平均が130滴となるように着色層形成用塗工液を塗布した。塗布された着色層形成用塗工液の体積分布データを測定した。この結果、体積データの平均からずれている不良着色層形成領域50画素を特定した。上記50画素に共通して用いられている不良インクジェットノズルは、25番目と72番目のノズルであった。そこで、これらのノズルについて、上記検量線を用いて吐出量を調整した。
調整された条件を用い、下記のカラーフィルタ用基板形成工程、着色層形成用塗工液塗布工程、プリベイク工程、検査工程、ポストベイク工程を行うことにより、カラーフィルタの製造を開始した。
(カラーフィルタ用基板形成工程)
上述した検量線作成用基板と同様の方法により、着色層形成用領域を有するカラーフィルタ用基板を連続して形成した。
(着色層形成用塗工液塗布工程およびプリベイク工程)
上記各カラーフィルタ用基板の各着色層形成用領域上に、上述した方法により算出された液滴量ずつ、着色層形成用塗工液を着弾させて、着色層形成用塗工液を塗布した。その後、120℃のホットプレートに設置し10分間プリベイクした。
(検査工程)
上記プリベイク工程後、上記着色層形成用塗工液が塗布されたカラーフィルタ用基板について、200枚に1枚の割合で、上述した手法により体積データの算出を行い、製造されているカラーフィルタ用基板の体積データが、生産開始時の体積データと差が生じていないかを確認した。なお、1000枚カラーフィルタを作製したが、不良着色層形成領域が認められたものはなかった。
(ポストベイク工程)
上記検査工程が終了したカラーフィルタ用基板について、それぞれポストベイクを行った。
(結果)
1000枚のカラーフィルタを上記方法により製造したところ、色ムラおよび輝度ムラの少ないカラーフィルタを製造することができた。
[実施例7]
(検量線の作成および製造条件の決定)
〔パルス幅と吐出速度との関係の把握〕
以下の方法により、パルス幅4μs、6μs、8μsにて電圧を印加したときの各ノズルからの吐出速度を測定し、インクジェットヘッドに印加する電圧のパルス幅と吐出速度との関連を示す検量線を作成した。吐出速度の測定は、以下の方法により測定した。インクジェットヘッドの吐出周波数2kHzと同じ周波数にてストロボを発光させ、そのストロボ発光を照射したインク液滴の画像をCCDにて撮像し、ストロボ発光をずらすことにより、インクジェットヘッドから吐出されてから10μs後の着色層形成用塗工液の液滴の画像も取得した。これら2種類の画像の吐出液滴の位置と時間より、各ノズルからの吐出液滴の速度を算出した。
〔検量線作成用基板の作製〕
各着色層形成用領域に、着色層形成用塗工液を塗布する際、インクジェットヘッドに印加する電圧のパルス幅をそれぞれ4μs、6μs、および8μsとし、各着色層形成用領域にそれぞれ130滴ずつ着色層形成用塗工液を塗布した以外は、上述した実施例1と同様に、3種類の検量線作成用基板を作製した。
〔検量線の作成〕
上記3種類の検量線作成用基板を作成し、各着色層形成用領域の分光光度を、大塚電子製顕微鏡型分光光度計LCF−seriesにて測定し、測定値より色度Rx、Gy、Byを算出した。その後、インクジェットヘッドの各ノズルに印加する電圧のパルス幅と色度の関係を求め、検量線を作成した。
〔検査用基板の作製および調整〕
上述した検量線作成用基板と同様の方法により、検査用基板を作製した。この検査用基板の各着色層形成用領域に、インクジェットヘッドに印加する電圧のパルス幅を6μsに設定し、130滴ずつ着色層形成用塗工液を塗布し、上記検量線の作成にて記載した手法と同手法によって色度分布を算出した。この色度分布および上記検量線より、各着色層形成用領域の色度の差を無くすために必要な各ノズルからのパルス幅を算出した。
さらに、上記検査用基板を作製し、各着色層形成用領域に、1ノズルから26滴ずつ、上記パルス幅にて着色層形成用塗工液の液滴を吐出し、各着色層形成用領域に対し異なるそれぞれ5ノズルを用いて、各着色層形成用領域に塗布する液滴数の平均が130滴となるように着色層形成用塗工液を塗布した。塗布された着色層形成用塗工液の色度分布データを測定した。この結果、色度データの平均からずれている不良着色層形成領域50画素を特定した。上記50画素に共通して用いられている不良インクジェットノズルは、40番目および52番目のノズルであった。そこで、これらのノズルについて、上記検量線を用いてインクジェットヘッドに印加するパルス幅を調整した。
上記条件を用い、下記のカラーフィルタ用基板形成工程、着色層形成用塗工液塗布工程、プリベイク工程、検査工程、ポストベイク工程を行うことにより、カラーフィルタの製造を開始した。なお、カラーフィルタ製造中の検査工程において、調整が必要なカラーフィルタ用基板が認められ次第、生産をとめることなく、調整工程を行った。
(カラーフィルタ用基板形成工程)
上述した検量線作成用基板と同様の方法により、着色層形成用領域を有するカラーフィルタ用基板を連続して形成した。
(着色層形成用塗工液塗布工程およびプリベイク工程)
上記各カラーフィルタ用基板の各着色層形成用領域上に、上述した方法により算出された液滴量ずつ、着色層形成用塗工液を着弾させて、着色層形成用塗工液を塗布した。その後、120℃のホットプレートに設置し10分間プリベイクした。
(検査工程)
上記プリベイク工程後、上述した検量線作成時と同様の手法により、200枚に1枚の割合でカラーフィルタ用基板について測定し、色度データの算出を行い、生産開始時の色度データと差が生じていないかを確認した。なお、1000枚カラーフィルタを作製したが、不良着色層形成領域が認められたものはなかった。
(ポストベイク工程)
上記検査工程が終了したカラーフィルタ用基板について、それぞれポストベイクを行った。
(結果)
1000枚のカラーフィルタを上記方法により製造したところ、色ムラおよび輝度ムラの少ないカラーフィルタを製造することができた。
本発明のカラーフィルタの製造方法における検査工程を説明するための説明図である。 本発明のカラーフィルタの製造方法の第1実施態様を説明するフロー図である。 本発明のカラーフィルタの製造方法における製造条件決定工程を説明する工程図である。 本発明のカラーフィルタの製造方法における着色層形成用塗工液塗布工程を説明するための説明図である。 本発明のカラーフィルタの製造方法における着色層形成用塗工液塗布工程を説明するための説明図である。 本発明のカラーフィルタの製造方法の第2実施態様を説明するフロー図である。 本発明のカラーフィルタの製造方法の第2実施態様を説明するフロー図である。
符号の説明
1 …カラーフィルタ用基板
2 …インクジェットノズル
3 …着色層形成用領域
3’…不良着色層形成領域
a …着色層形成用領域

Claims (7)

  1. 着色層を形成するための各着色層形成用領域上に、複数のインクジェットノズルを用いて着色層形成用塗工液を塗布した後、前記着色層形成用塗工液のムラを検査し、ムラの生じている不良着色層形成領域を特定する検査工程と、前記不良着色層形成領域に前記着色層形成用塗工液を塗布した前記インクジェットノズルの中から不良インクジェットノズルを特定し、前記不良インクジェットノズルの設定を調整する調整工程とを有することを特徴とするカラーフィルタの製造方法。
  2. 前記着色層形成用領域を有する検査用基板を形成する検査用基板形成工程と、
    前記検査用基板の前記各着色層形成用領域上に、複数のインクジェットノズルを用いて前記着色層形成用塗工液を塗布する着色層形成用塗工液塗布工程と、
    前記検査工程と、
    前記調整工程と
    を行うことによりカラーフィルタの製造条件を決定する製造条件決定工程を有し、前記製造条件決定工程により決定された製造条件に基づいて、カラーフィルタを製造することを特徴とする請求項1に記載のカラーフィルタの製造方法。
  3. 前記着色層形成用領域を有するカラーフィルタ用基板を形成するカラーフィルタ用基板形成工程と、
    前記カラーフィルタ用基板の前記着色層形成用領域上に、複数のインクジェットノズルを用いて前記各着色層形成用塗工液を塗布する着色層形成用塗工液塗布工程と、
    前記着色層形成用塗工液をプリベイクするプリベイク工程と、
    前記着色層形成用塗工液をポストベイクするポストベイク工程と
    を行うことによりカラーフィルタを製造するカラーフィルタ製造工程を有し、前記検査工程および前記調整工程が、前記着色層形成用塗工液塗布工程後に行われ、前記検査工程および前記調整工程により、前記着色層形成用塗工液塗布工程の着色層形成用塗工液の吐出条件を調整することを特徴とする請求項1に記載のカラーフィルタの製造方法。
  4. 前記検査工程が、前記各着色層形成用領域に塗布された前記着色層形成用塗工液の輝度を検査する工程を有することを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかの請求項に記載のカラーフィルタの製造方法。
  5. 前記検査工程が、前記各着色層形成用領域に塗布された前記着色層形成用塗工液の色度を検査する工程を有することを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれかの請求項に記載のカラーフィルタの製造方法。
  6. 前記検査工程が、前記各着色層形成用領域に塗布された前記着色層形成用塗工液の膜厚を検査する工程を有することを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれかの請求項に記載のカラーフィルタの製造方法。
  7. 前記検査工程が、前記各着色層形成用領域に塗布された前記着色層形成用塗工液の体積を検査する工程を有することを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれかの請求項に記載のカラーフィルタの製造方法。
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