JP2007178193A - 浮遊細胞の検査方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】1つの検体について、CTC計数とCTCに対するFISH法の両方を行なう場合等のように、浮遊細胞の表面抗原を蛍光染色することを含む方法と、FISH法の両方を行なう場合に、用いる検体の量を従来よりも少なくすることができる検査方法を提供すること。
【解決手段】浮遊細胞の検査方法は、細胞表面抗原が蛍光染色された浮遊細胞を、蛍光インサイチューハイブリダイゼーション法に供し、次いで細胞の核にピントを合わせて核を蛍光顕微鏡で観察することを含む。
【選択図】なし

Description

本発明は、血液中を循環する癌細胞等の浮遊細胞の検査方法に関する。
固形癌組織から癌細胞が脱落して末梢血中に入り、体内の他の場所に運ばれて増殖することが癌の転移の原因であると考えられている。末梢血中に浮遊する癌細胞は、CTC(Circulating Tumor Cell)と呼ばれている。血液中のCTC数と、癌の転移の可能性及び予後とは相関することが報告されており、癌の診断や癌治療法の効果の判定の指標とするために、血中CTC数を測定することが知られている。特に、血中CTC数を測定することにより乳癌の進行度や悪性度、予後を診断することが米国では臨床的に行われており、我国でも研究用試薬としてではあるが、血中CTC数を測定するためのキットが市販されている。
市販のキットを用いた、血中CTC数の測定方法は、上皮細胞(癌細胞は上皮細胞であり、通常、末梢血中には存在しない)の細胞表面に特異的に発現する表面抗原(EpCAM (Epithelial Cell Adhesion Molecule))に特異的な抗体を不動化した磁気ビーズと血液とを接触させ、磁気ビーズ上に捕捉された癌細胞を、上記表面抗原とは別の上皮特異的表面抗原(サイトケラチン)に対する蛍光標識抗体で蛍光染色し、蛍光染色された細胞数を計数する。この際、細胞に結合していない未反応の蛍光標識抗体等を測定することがないよう、核酸と特異的に結合する蛍光試薬も同時に検体と接触させ、核と細胞膜の両者が蛍光染色された細胞を計数する。さらに、CTC以外の細胞を測定しないように、蛍光標識CD45抗体も同時に作用させ、核が染色され、細胞膜が蛍光標識抗サイトケラチン抗体で染色され、かつ、蛍光標識抗CD45抗体で染色されない細胞をCTCとして計数する。用いられるこれら3種類の蛍光色素は、それぞれ明瞭に識別可能な程度に蛍光波長が異なっている。
一方、癌細胞においては発癌遺伝子が増殖することが知られており、癌細胞中の発癌遺伝子数と癌の悪性度や予後とが相関することが知られている。このため、癌の悪性度の診断や予後の予測のために、癌細胞中の発癌遺伝子数が測定されている。例えば、乳癌では、HER-2/neuという発癌遺伝子やEGFR(epidermal growth factor receptor)遺伝子の増殖が調べられている。生細胞中の遺伝子を検出する手段として、蛍光インサイチューハイブリダイゼーション法(fluorescent in situ hybridization, FISH)が広く用いられている。FISH法は、発癌遺伝子とハイブリダイズする蛍光標識DNAプローブを被検細胞と接触させ、細胞中の発癌遺伝子とハイブリダイズした蛍光標識DNAプローブを測定することにより行われる。この場合も、未反応のプローブ等、細胞の核以外のものを測定しないように、核酸と特異的に反応する蛍光試薬で細胞の核を染色する。また、発癌遺伝子以外の遺伝子とハイブリダイズする蛍光標識DNAプローブも同時に作用させ、発癌遺伝子数は、測定された発癌遺伝子検出用DNAプローブの発光部位の数を、発癌遺伝子以外の遺伝子検出用DNAプローブの発光部位の数で除することにより求められる。このように、FISH法においても3種類の異なる蛍光色素が用いられる。これら3種類の蛍光色素は、上記したCTC計数の場合と同様、それぞれ明瞭に識別可能な程度に蛍光波長が異なるものが選択される。なお、末梢血から回収したCTC対してFISH法を行なうことは公知である(非特許文献1)。
上記の通り、CTC計数とFISH法では、それぞれ、明瞭に識別可能な程度に蛍光波長が異なっている3種類の蛍光色素が用いられる。このため、CTC計数に用いられる蛍光色素の蛍光波長と、FISH法に用いられる蛍光色素の蛍光波長は、波長の範囲が重複ないし近接している。従って、CTC計数と、CTCに対するFISH法を行なう場合、それぞれの測定のための検体を別々に準備し、両者の測定は全く別々に行なわれる(非特許文献1)。
Sondong Meng et al., PNAS, June 22, 2004, vol.101, no.25, 9393-9398
上記の通り、1つの血液検体について、CTC計数とCTCのFISH法とを行なう場合、CTC計数とFISH法の両方にそれぞれに供するために必要な量の血液を採血する必要がある。また、同一の血液検体を用いるとはいえ、FISH法により発癌遺伝子数が測定されるCTCと、CTC計数により計数されるCTCとは異なる細胞であり、実際にCTCとして計数された細胞中の発癌遺伝子数を知ることはできない。
従って、本発明の目的は、1つの検体について、CTC計数とCTCに対するFISH法の両方を行なう場合等のように、浮遊細胞の表面抗原を蛍光染色することを含む方法と、FISH法の両方を行なう場合に、用いる検体の量を従来よりも少なくすることができる検査方法を提供することである。また、本発明の目的は、計数されたCTCのように、実際に蛍光染色された細胞中の遺伝子をFISH法により検出することができる検査方法を提供することである。
本願発明者らは、計数されたCTCのように、蛍光染色した後の細胞を材料としてFISH法を行なうことができれば、用いる検体の量を減少させることができ、かつ、実際に蛍光染色された細胞中の遺伝子をFISH法により検出することができることに想到した。しかしながら、上記の通り、CTC計数のために、細胞の表面及び核が蛍光染色され、一方、FISH法においても蛍光が観察される。そして、両者に用いられる蛍光色素の蛍光波長の範囲は重複ないしは近接している。このため、当然ながら、計数された、蛍光染色後のCTCにFISH法を行なっても、蛍光染色による蛍光とFISH法による蛍光の両方が観察されてしまい、FISH法による検出を正確に行なうことはできないと考えられる。実際、蛍光染色後の浮遊細胞に対してFISH法を行なった例は全く知られていない。
本願発明者らは、FISH法で蛍光染色されるのは細胞の核であり、一方、CTC計測の際に染色される表面抗原は、細胞の表面に存在するため、FISH法において核にピントを合わせて核を蛍光顕微鏡で観察すれば、あるいは蛍光染色された表面抗原の妨害を受けずに核の蛍光を観察することができるかもしれないと考えた。そして実際に、CTC計数に供した、蛍光染色後のCTCに対してFISH法を行ない、その核を、核にピントを合わせて蛍光顕微鏡で観察したところ、驚くべきことに、CTC計数のために用いた蛍光色素による妨害を受けずにFISH法を行なうことができることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、細胞表面抗原が蛍光染色された浮遊細胞を、蛍光インサイチューハイブリダイゼーション法に供し、次いで細胞の核にピントを合わせて核を蛍光顕微鏡で観察することを含む、浮遊細胞の検査方法を提供する。
本発明の方法によれば、蛍光染色後の細胞を材料としてFISH法を行なうので、両者の測定に用いる検体の合計量を従来よりも減少させることができる。従って、本発明の方法によりCTC計測とFISH法を行なう場合、患者からの採血量を従来よりも少なくすることができ、貴重な血液検体を有効に活用することができる。また、本発明の方法によれば、実際に蛍光染色された細胞内の遺伝子をFISHにより検出することができる。従って、本発明の方法によりCTC計測とFISH法を行なう場合、実際に計数されたCTC中の発癌遺伝子数を測定することができるので、従来のCTC計測とFISH法を別個に行なう場合に比べて、癌の進行度や悪性度の診断、転移の可能性や予後の推測をより的確に行なうことができる。
本発明の方法において、FISH法に供する浮遊細胞は、細胞の表面抗原が蛍光染色されたものであり、典型的な例としては計数されたCTCを挙げることができるが、これに限定されるものではなく、例えばセルソーターやFACS等に供した各種の細胞等も用いることができる。なお、本発明における「浮遊細胞」とは、細胞表面の蛍光染色に供する前の細胞が血液や培養液等の液体中に浮遊していた細胞を意味する。CTC計数における染色時には磁気ビーズに結合され、また、FISH法ではスライドガラスに貼り付けられているが、検査開始前に浮遊細胞であったものを本発明では浮遊細胞と呼ぶ。
蛍光染色の1例として、CTCの計数方法について説明する。上記の通り、CTCを計数するためのキットは市販されている(商品名「ECKIT」、輸入元:オーソ・クリニカル・ダイアグノスティックス株式会社)。このキットは、上皮細胞の細胞表面に特異的に発現する表面抗原(EpCAM)に対するモノクローナル抗体を不動化した磁気ビーズと、上皮細胞に特異的な表面抗原であるサイトケラチン(CK)に対するモノクローナル抗体を蛍光色素であるフィコエリスリン(PE)で標識したPE標識抗CKモノクローナル抗体と、リンパ球の表面抗原であるCD45に対するモノクローナル抗体を蛍光色素であるアロフィコシアニン(APC)で標識したAPC標識抗CD45モノクローナル抗体と、核酸に特異的に結合する蛍光色素である4'-6-ジアミジノ-2-フェニルインドール(DAPI)とを含む。APCの蛍光は赤色、PEの蛍光は橙色、DAPIの蛍光は青色である。
CTCを計数する際には、先ず、血液検体を抗EpCAMモノクローナル抗体不動化磁気ビーズと接触させ、CTCを磁気ビーズ上に結合させる。磁力を利用して磁気ビーズを集め、PE標識抗CKモノクローナル抗体、APC標識抗CD45モノクローナル抗体及びDAPIを、磁気ビーズ上の細胞と反応させる。CTCの細胞表面はPEにより染色され、核はDAPIにより染色されるがAPCによっては染色されない。磁気ビーズ上に固定化された細胞のうち、PE及びDAPIにより染色され、APCにより染色されない細胞をCTCとして自動アナライザーによりその数を計数する。これにより、所定量の血液中に含まれるCTC数が計数される。
本発明の方法では、上記した計数後のCTCのような、浮遊細胞の表面が蛍光染色された後の細胞を材料としてFISH法を行なう。FISH法自体は周知であり、そのためのキットも市販されている。例えば、乳癌細胞における発癌遺伝子であるHER-2/neu遺伝子をFISH法により測定するためのキットは、「パスビジョンHER-2 DNAプローブキット」の商品名でアステラス製薬株式会社から市販されている。FISH法はこのような市販のキットを用いて行なうことができる。同様に、乳癌等の固形癌の診断に有用なEGFR(Epidermal Growth Factor Receptor)遺伝子(HER-1/erb-B1遺伝子とも呼ばれる)をFISH法により測定するためのキットが、「LSI EGFR/CEP 7 Dual Color Probe」の商品名でVYSIS社から市販されている(Bredel, M., et al. (1999) Clin Cancer REs 5, 1786-92)。なお、FISH法により検出される遺伝子はHER-2/neu遺伝子及びEGFR遺伝子に限定されるものではなく、例えば、TOP2A、c-myc、ZNF217 CyclinD1、p53、p16、c-myc、chromosome 5、chromosome 6、Androgen receptor、1p36、1q25、19q13、19p13、SYT、EWSR1、 FUS、BCR、CHOP、FKHR等の遺伝子を挙げることができるがこれらに限定されるものではない。
FISH法の1例として、上記市販キットを用いたHER-2/neu遺伝子を検出するFISH法について説明する。本発明の方法では、FISH法に供する細胞が、上記した計数後のCTCのような、細胞表面が蛍光染色された細胞であるが、FISH法自体は通常の細胞を材料とするFISH法と同様にして行なうことができる。なお、上記したECKIT(商品名)を用いて計数したCTCを材料として用いる場合、CTCは磁気ビーズに結合された状態にあるが、CTCは磁気ビーズに結合された状態のままでFISH法に供することができる。
浮遊液の形態にある、蛍光染色された細胞が結合された磁気ビーズは、市販のサイトスピンを用いてスライドガラス上に付着させることができる。細胞の脱水、固定化は、常法により行なうことができる。上記市販キットによりCTC中のHER-2/neu遺伝子を検出することは次のようにして行なうことができる。キット中には、HER-2/neu遺伝子中の部分領域と相補的な塩基配列を有するHER-2/neu DNAプローブが含まれており、このHER-2/neu DNAプローブは、蛍光色素スペクトラムオレンジで標識されている。また、キット中には、17番染色体のセントロメア領域にあるアルファサテライトDNA配列の部分領域に相補的な塩基配列を有するCEP17 DNAプローブが含まれており、このCEP17 DNAプローブは、蛍光色素スペクトラムグリーンで標識されている。さらに、CTC計数の場合と同様、核を染色するためのDAPIが含まれている。FISH法は、常法に従い、固定した細胞を加熱して染色体DNAを変性させた状態で、上記2種類の蛍光標識DNAプローブを加えて反応させ、各DNAプローブと相補的な塩基配列を有するゲノムDNAの領域に各DNAプローブをハイブリダイズさせる。HER-2/neu DNAプローブは発癌遺伝子であるHER-2/neu遺伝子(17q11.2-q12)の領域とハイブリダイズし、CEP17 DNAプローブは、17番染色体のセントロメア領域にあるアルファサテライトDNA配列(17p11.1-q11.1)とハイブリダイズする。ハイブリダイゼーション後、DAPIを作用させて核を蛍光染色する。HER-2/neu DNAプローブの蛍光標識は、橙色の蛍光を発し、CEP17 DNAプローブの蛍光標識は緑色の蛍光を発し、DAPIは青色の蛍光を発するため、これら3種類の蛍光色素は明瞭に識別できる。各DNAプローブ及びDAPIで処理した後、細胞を蛍光顕微鏡で観察し、HER-2/neu DNAプローブがハイブリダイズした領域(橙色の蛍光が観察されるスポット)の数を、CEP17 DNAプローブがハイブリダイズした領域(緑色の蛍光が観察されるスポット)の数で除することにより、HER-2/neu遺伝子の数を測定することができる。なお、CTC計数においてもDAPIにより核が染色されるので、FISH法においてDAPIによる核の染色を省略してもよいが、再度DAPIで染色してもよい。
同様に、EGFR遺伝子をFISH法により検出するための市販のキット(上記した「LSI EGFR/CEP 7 Dual Color Probe」の商品名でVYSIS社から市販)は、プローブとして、染色体7p12上に位置するEGFR遺伝子とハイブリダイズする、約300kbのDNAを蛍光色素スペクトラムオレンジで標識したDNAプローブと、CEP7遺伝子(7p11.1-q11.1) とハイブリダイズするDNAを蛍光色素スペクトラムグリーンで標識したDNAプローブを含み、その他は上記したHER-2/neu遺伝子検出用のキットと同様である。これらのDNAプローブを用い、上記したHER-2/neu遺伝子検出用のキットと同様にして核内のEGFR遺伝子を検出することができる。
なお、蛍光染色された浮遊細胞が、上記したDAPIのような核酸と特異的に結合する蛍光試薬によりその核も染色されたものである場合には、FISH法で用いる核酸プローブの蛍光標識としては、核の染色に用いる上記蛍光試薬とは目視により識別できる程度に異なる色の蛍光を発する蛍光色素を用いる。核の染色は、CTC計数でもFISH法でも、市販のキットではDAPIが用いられているので、市販のFISH用キットでは、核酸プローブはDAPIと目視により区別できる色の蛍光を発するものが選択されているので、この要件が満足される。
また、細胞の表面抗原の蛍光染色に続いてFISH法を行なう際、表面抗原の蛍光染色に続いて直ぐにFISH法を行なってもよいが、15時間以上、好ましくは18時間〜48時間程度経過後にFISH法を行なうことが好ましい。この程度の時間を置くことにより、表面抗原の蛍光染色に用いた蛍光色素の蛍光が多少弱くなるので、FISH法後の蛍光顕微鏡観察をより的確に行なうことができる。
FISH後の細胞を蛍光顕微鏡で観察する。この際、核にピントを合わせて観察する。細胞表面は蛍光染色されているので、FISH法後に細胞を蛍光顕微鏡で観察しても、細胞表面の蛍光に妨害されて正確な観察ができないと考えられた。しかしながら、驚くべきことに、核にピントを合わせて観察すると、細胞表面の蛍光色素は、核と同一平面内に見えるものは、核とは異なる位置に存在するので障害にはならず、また、核と三次元的に重なる位置に存在する蛍光色素(すなわち、核よりも対物レンズの手前側にある蛍光色素及び対物レンズから見て核の裏側に位置する蛍光色素)は、ピンボケ状態となって、FISH法に用いた蛍光標識核酸プローブを検出するのに全く支障がないことがわかった。本発明は、この驚くべき新知見に基づくものである。
蛍光顕微鏡による観察は、最大倍率で行なうことが好ましい。倍率が大きくなるほど、対物レンズからの距離がわずかに違うだけでも、ピントが合ってない部分は低倍率の場合に比べてより激しいピンボケ状態になるので、細胞表面の蛍光色素の影響をより受けにくくなり、より正確にFISH法の結果を観察することができる。蛍光顕微鏡の最大倍率は通常1000倍であるので、1000倍で観察することが好ましい。
以下、本発明を実施例に基づきより具体的に説明する。もっとも、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
1. CTC数の計測
上記した市販のECKIT(商品名)を用い、その添付文書に記載された通りの操作を行い末梢血中のCTC数を測定した。すなわち、キットに含まれる専用採血管で乳癌患者から末梢血10mlを採血した。次に、採血した血液7.5mlをチューブに移し、キットに含まれる希釈バッファー6.5mlを加えた。その後、転倒混和をおこない、800g、10分間、室温で遠心した。遠心後、チューブをCellTracks (商品名)AutoPrep Systemの機器にかけた。機器の操作は、機器使用説明書に従った。ここで、上記した、磁性ビーズへのCTCの結合、PE標識抗サイトケラチンモノクローナル抗体及びAPC標識抗CD45モノクローナル抗体による細胞表面の蛍光染色並びにDAPIによる核の染色が自動的に行なわれる。次にCellTracks(商品名) AnalyzerIIを用いて、機器手順書に従い操作し、CTC数を計測した。ここでは、磁気ビーズ上に結合し、細胞表面がPE標識抗サイトケラチンモノクローナル抗体で染色され、APC標識抗CD45モノクローナル抗体で染色されず、核がDAPIで染色された細胞が自動的に計数される。
2. スライド固定法
CTC計数後、専用カートリッジからサンプルをピペットでとり、サイトスピン法で固定した。すなわち、CTC計数後、専用カートリッジからサンプルをピペットでとり、サイトスピン専用カートリッジに入れた。1400rpm、10分間室温で遠心し、細胞をスライドガラス上に貼り付けた。遠心後、細胞をドライヤーで乾燥した。
3. FISH法
FISH法は、EGFR遺伝子を検出するための、上記した市販のキットである「LSI EGFR/CEP 7 Dual Color Probe」(商品名)を用い、キットの添付文書に従って行なった。すなわち、細胞を固定したスライドを73-74℃の70%ホルムアミド/2xSSC溶液中に入れ、2分間静置した。直ちに、スライドを氷温の70%エタノールに中に入れ、5分間静置した。次に、スライドを氷温の100%エタノールに入れ替え、5分間以上静置した。スライドをドライヤーで乾燥させた。スライド1枚につき、キットに含まれるEGFR DNAプローブとCEP7 DNAプローブの溶液2μLを0.5mlのマイクロチューブに加え、恒温槽で75℃、5分間暖めた。マイクロチューブを直ちに氷中に移し、5分間以上静置した。このプローブ溶液をスライドに固定されている細胞に2μLを滴下した。気泡が入らないように注意して、カバーガラスを載せた。次に、カバーガラスより一回り大きいパラフィルム(商品名)を載せ、ボンドで封入した。モイスト・チェンバーにスライドを移し、37℃のインキュベーターで一晩反応させた。パラフィルム(商品名)を剥がし、室温の2xSSC溶液に入れ、カバーガラスが自然に剥がれるのを待った。45-47℃の50% Formamid/2xSSC溶液で15分間洗浄した。続いて、45-47℃の2xSSC溶液で10分間、45-47℃の2xSSC/0.1%Tween 20溶液で5分間洗浄した。洗浄後、ドライヤーで乾燥させた。乾燥させたスライドに、DAPI封入剤で封入した。なお、FISH法は、CTC計数から24時間経過後に操作を開始した。
4. 蛍光顕微鏡観察
解析は、蛍光顕微鏡で、倍率1000倍で観察することにより行なった。核はDAPIにより弱い青色に染色され、EGFR DNAプローブ及びCEP7 DNAプローブがハイブリダイズした位置は、細胞表面の蛍光標識に妨害されることなく明瞭に観察することができた。

Claims (9)

  1. 細胞表面抗原が蛍光染色された浮遊細胞を、蛍光インサイチューハイブリダイゼーション法に供し、次いで細胞の核にピントを合わせて核を蛍光顕微鏡で観察することを含む、浮遊細胞の検査方法。
  2. 前記浮遊細胞が、血液中を循環している癌細胞である請求項1記載の方法。
  3. 前記癌細胞が乳癌細胞である請求項2記載の方法。
  4. 前記表面抗原がサイトケラチンである請求項3記載の方法。
  5. 前記蛍光インサイチューハイブリダイゼーション法に用いるプローブが、EGFR遺伝子とハイブリダイズする、EGFR/遺伝子検出用プローブ又はHER-2/neu遺伝子とハイブリダイズする、HER-2/neu遺伝子検出用プローブである請求項3又は4記載の方法。
  6. 前記蛍光染色された浮遊細胞は、核酸と特異的に結合する蛍光試薬によりその核も染色されたものであり、蛍光インサイチューハイブリダイゼーション法で用いる核酸プローブの蛍光標識は、核の染色に用いる上記蛍光試薬とは目視により識別できる程度に異なる色の蛍光を発する蛍光色素である請求項1ないし5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 前記蛍光顕微鏡による観察は、蛍光顕微鏡を最大倍率にして行なう請求項1ないし6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 倍率を1000倍にして行なう請求項7記載の方法。
  9. 前記蛍光インサイチューハイブリダイゼーション法における観察を、細胞表面抗原の蛍光染色後15時間以上経過した後に行なう請求項1ないし8のいずれか1項に記載の方法。

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