JP2007176701A - 粉粒体定量供給装置及び粉粒体定量供給方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】粉粒体の流路系が大気圧下の場合、あるいは加圧下の場合であっても定量供給性に優れた粉粒体定量供給装置及び粉粒体定量供給方法を提供する。
【解決手段】粉粒体を貯留した貯留タンク1に接続し、貯留タンク1内の粉粒体を次工程の装置の供給口8に向けて搬送する搬送手段2の先端側に、空間部からなる充填室9を形成し、この充填室9と前記次工程の装置の供給口8との間に、平板に粉粒体が通過する開口11を形成した規制板10を設ける。規制板10の作用により充填室9内の粉粒体のかさ密度を強制的に高めて脱気し、脱気された粉粒体を規制板10の開口11から解しながら供給口8へ排出することにより、定量供給が可能となる。
【選択図】図1

Description

本発明は、貯留タンク内の粉粒体を切り出して次工程の装置に定量供給するために使用される粉粒体定量供給装置及び粉粒体定量供給方法に関するものである。
貯留タンク内から粉粒体を切り出して定量供給する装置としては、貯留タンクの下部にスクリューコンベヤを配置した構造のものが普通であるが、粉粒体は液体とは異なり、粉粒体間への気体の混入によってかさ密度が変動するため、定量供給することは容易ではない。
例えば、特許文献1には、粉粒体の定量供給を達成するために、先端に向けてピッチを小さくしたスクリューを用いて粉粒体を次第に圧密化するとともに脱気し、スクリューの先端側に設けた拡散羽根によって圧密化された粉粒体を分散させる構造の塗装用粉粒体定量供給装置が提案されている。しかし、この粉粒体定量供給装置は粉粒体の流通経路を大気圧下にて使用するものであり、装置構造が複雑である。
また、特許文献2には、スクリューの中間部にスクリュー軸径を拡大した拡径部を形成するとともに、スクリューの外径とほぼ等しい内径の仕切板を設け、この部分で粉粒体を圧密化して定量性を確保し、スクリューの先端側にスパイラルギヤ状のアジャストスクリューを設け、スクリューピッチによる送りムラ(スクリュー羽根のエンド部分が下側にあるときと上側にあるときとの送り出し量のムラ)を解消している粉粒体定量供給装置が提案されている。しかし、この装置も構造が複雑である。
特許第3386326号公報 特許第3350328号公報
本発明は、上記の従来装置よりも構造が簡単で、粉粒体の貯留タンクから搬送手段の出口となる供給口の間の粉粒体経路を大気開放とした場合、あるいは前記粉粒体の経路を密閉して加圧した場合であっても使用可能とし、定量供給性に優れた粉粒体定量供給装置及び粉粒体定量供給方法を提供することを目的とするものである。
本発明の粉粒体定量供給装置は、貯留タンク内の粉粒体を供給口から次工程に定量供給するための装置であって、貯留タンクに接続された取入口から取り入れた粉粒体を供給口に向けて搬送する搬送手段と、この搬送手段の先端側に形成された空間部からなる充填室と、この充填室と供給口との間に設けられた粉粒体が通過する開口を備えた規制板とからなることを特徴とするものである。また本発明の粉粒体定量供給方法は、貯留タンクに接続された取入口から取り入れた粉粒体を供給口に向けて搬送する搬送手段と、この搬送手段の先端側に形成された空間部からなる充填室と、この充填室と供給口との間に設けられた粉粒体が通過する開口を備えた規制板とからなる粉粒体定量供給装置により、供給される粉粒体を前記充填室で脱気し、その脱気された粉粒体を前記規制板により解しながら開口より定量供給することを特徴とするものである。
なお、上記搬送手段がスクリューコンベヤであり、充填室は断面形状が円形で、スクリュー羽根のない空間部であることが好ましい。また、充填室の搬送方向に垂直な断面積をS1、規制板の開口の総面積をS2としたとき、S2/S1で定義される開口率を10〜70%とすることが好ましく、充填室の搬送方向と直交する内径をL1、搬送方向の奥行きをL2としたとき、L2/L1で定義される形状比を5〜55%とすることが好ましい。さらに、本発明の粉粒体定量供給装置は加圧下における供給精度が5%以下であり、吸引式または直圧式ブラスト加工装置に用いた場合、加工深さバラツキが5%以下で加工することができるものである。
本発明の粉粒体定量供給装置及び粉粒体定量供給方法は、貯留タンク内の粉粒体を次工程の装置へ搬送する搬送手段の先端側の供給口に、充填室と規制板を設けて粉粒体間の充填密度を高めることにより、搬送手段内で発生する粉粒体間に気体が混入して発生するかさ密度の変動や搬送手段の送りムラによる供給精度の低下を解消し、規制板に設けた開口より次工程の装置へその供給精度を5%以下にして定量供給できるものである。さらに規制板の開口率や充填室の形状比を調整することにより、平均粒子径が0.01〜1mmまでの各種の粉粒体を安定して定量供給することが可能である。
以下に図面を参照しつつ、本発明の好ましい実施形態を説明する。
図1において、1は粉粒体を貯留するホッパー状の貯留タンクであり、2は貯留タンク1の下方に水平に設置された搬送手段としてのスクリューコンベヤである。スクリューコンベヤ2は円筒形のケーシング3の内部にスクリュー4を収納したもので、軸5をモータ6で任意の速度で駆動し、目的とする供給量を達成できるようにしている。
貯留タンク1の下部はスクリュー4の基部が露出した取入口7となっている。このため貯留タンク1内の粉粒体は下部の取入口7よりスクリューコンベヤ2のケーシング3内に落下し、スクリュー4によりスクリューコンベヤ2の先端側に位置する供給口8の方向に搬送されて行く。
スクリューコンベヤ2の先端側には、充填室9と規制板10とが設けられている。図2はこの部分の拡大図であり、充填室9は断面形状が円形で、スクリュー4のない空間部である。充填室9はスクリューコンベヤ2により搬送されてきた粉粒体を規制板10の作用により充填して、その粉粒体のかさ密度が高められるところである。また規制板10は充填室9と供給口8との間に設けられ、図3あるいは図4に示すように、平板に粉粒体が通過する開口11を備えたもので、充填室9内で所定密度に達した粉粒体を開口11を通じて供給口8に排出する機能を持つ。前記のように規制板10の作用により充填室9内の粉粒体のかさ密度を強制的に高めるため、貯留タンク1内の粉粒体間の気体の混入の程度によるかさ密度の変動に影響されることなく、またスクリューピッチによる送りムラに影響されることなく、粉粒体を一定量ずつ供給口8に送ることができる。
次に規制板10に設けた開口11の開口率について説明する。開口率は、充填室9の搬送方向に垂直な断面積(軸5の断面積を除く)をS1、規制板10の開口11の総面積をS2としたとき、S2/S1で定義される。
表1に、規制板10の開口率を9.7%から100%まで変化させた場合の、各開口率における粉粒体の1分ごとの供給量の平均値を示す。表1で示す供給精度は、測定した供給量の標準偏差を3倍し、平均値で割ることにより算出したものである。この表1に示されるように、開口率を9.7%にした場合、開口面積が小さ過ぎるため、充填室9の充填密度が高くなり過ぎ、粉粒体が凝集し、開口から塊となって排出されるため、供給精度は5.3%となった。また、規制板10の開口率を74.7%にした場合、充填室9の充填密度が低くなり気体が混入するため、供給精度は6.6%となった。本発明の条件とする供給精度は5%以内であるから、規制板10の開口率は10〜70%が好ましい。
なお表1における試験条件は、使用した粉粒体はJIS R 6111「人造研削材」に規定されるGC#600:炭化珪素研削材(平均粒子径25μm、真密度3.2g/cm、かさ密度1.27g/cm)であり、スクリュー4は軸径が20mm、羽根径が55mmで充填室9の搬送方向に垂直な断面積S1は20.6cm、段落:0018に後記する充填室9の形状比は55%、規制板10の外径は54mmであり、規制板10の開口形状は、充填室9の断面積に対し開口11の形状が均一で、かつ構造が簡単な図3または図4のCで示す形状を用いており、スクリュー4の回転速度は40min-1である。また、供給量の測定は、貯留タンク1の取入口及び規制板10の先の供給口が大気圧の状態で行い、供給口8で測定したものである。
Figure 2007176701
規制板10の開口11の形状について検討すると、図4のA,B,C,Dのハッチングで示すように丸、スリット、扇等の様々な形状が考えられ、その開口率が10〜70%の範囲であれば、開口11の形状に関わらず供給精度が低下することはない。図4のA,B,C,Dの4種類の開口形状について、その供給精度を測定した結果を表2に示した。その他の試験条件は表1と同じである。
Figure 2007176701
次に、充填室9の大きさを決定する形状比について説明する。
図2に示すように、充填室9の搬送方向と直交する内径をL1、搬送方向の奥行きをL2としたとき、L2/L1で定義される形状比は、表3に示すように5〜55%とすることが好ましい。表3に開口率を9.7〜100%に変化させ、充填室9の形状比を0〜75%に変化させた場合の供給精度を示す。その試験条件は、規制板10の開口率及び充填室9の形状比を変化させた以外は、表1と同じである。この表3の開口率を11.8%とし、充填室の形状比を0%、即ち充填室9を無くした場合、スクリュー4に搬送された粉粒体は充填されることなく排出されるため、スクリューピッチの送りムラの影響を受け、供給精度は6.4%となった。開口率を19.5〜65.0%とした場合は、供給精度はそれぞれ5%以内となった。また表3の開口率を11.8,19.5%とし、充填室9の形状比を60%にした場合は、充填室9での充填が過剰となり、粉粒体が凝集し、開口11から塊となって供給口8に排出されるため、供給精度はそれぞれ6.0%,5.4%となった。開口率を33.4〜65.0%とした場合は、供給精度はそれぞれ5%以内となった。以上のことから、開口率は10〜70%の範囲で、且つ充填室9の形状比が5〜55%にすることにより、本発明の条件である供給精度は5%以内を得ることができる。
Figure 2007176701
上記のように、本発明の粉粒体定量供給装置及び粉粒体定量供給方法によれば、貯留タンク1内の粉粒体を搬送する搬送手段2の先端側に充填室9と規制板10とを設けたことにより、供給される粉粒体を充填室9で脱気し、その脱気された粉粒体を規制板10の開口11から解しながら供給口8へ排出することにより、各種の粉粒体を精度よく定量供給することができる。上記、実施形態の粉粒体に、平均粒子径が25μm、かさ密度が1.27g/cmの炭化珪素研削材を用いたが、表4に示すように平均粒子径、およびかさ密度が異なる様々な粉粒体についても高い供給精度を得ることができることを確認した。試験条件は、供給する粉粒体を変化させた以外は、表1と同じである。
Figure 2007176701
搬送手段として、スクリューコンベヤ2を使用した実施例について説明する。
スクリューコンベヤ2のケーシング3の断面積20.6cm2、規制板10の開口率55%、充填室9の形状比33.4%とした本発明の装置を用いて、貯留タンク1から平均粒子径25μm、かさ密度1.27g/cmの炭化珪素から成るブラスト装置に用いる噴射材の定量供給を行なった。1分間ごとの供給量を測定し、平均値と供給精度を求めた。その結果は表5に示す通りであり、供給精度は2.0%という優れた値が得られた。規制板10をはずした場合についても測定したが、その供給精度は9.9%まで悪化したことから、供給精度向上には充填室9と規制板10が必要であることが確認できた。
Figure 2007176701
次にスクリューコンベヤ2のスクリュー4の回転速度を変えて供給量を変化させ、その供給精度がどのようになるかを確認した。その結果は図5に示すように、スクリューコンベヤ2のスクリュー4の回転速度の増加に伴い供給量は比例して増加し、供給量を毎分500gから5300gまで変化させても供給精度は常に3%以下であった。
充填室9内の充填率と、規制板10の開口率と、その開口11の単位面積あたりの体積流量Uとの間には相関性があり、粉粒体の流動状態をUの値で評価することができる。Uは規制板10を通過した粉粒体の流量をQ、規制板の開口総面積をS2としたとき、Q/S2で定義される値である。表6は供給量をUに換算したデータを示しており、今回の試験条件ではUが55cm/min/cm以上のときに供給精度が5%以下になることが判明した。試験条件は規制板10の開口率を33.4%とした以外は、表1と同じである。
Figure 2007176701
次に、本発明の粉粒体定量供給装置をブラスト加工装置に用いた実施例を示す。図6は吸引式ブラスト加工装置の模式図、図7は直圧式ブラスト加工装置の模式図である。吸引式ブラスト加工装置は、ブラストノズル12に供給される圧縮気体の負圧力により噴射材を吸引してその圧縮気体と混合されブラストする方式であり、直圧式ブラスト加工装置は、加圧されたタンク内の噴射材を混合室13で圧縮気体と混合されブラストノズル12からブラストする方式であって、その加工形態は、図8に示すようにワークであるガラス基板のガラス基板上にブラストノズル12を3mmピッチで規則的に移動させて平面加工を行なった。
表7に吸引式ブラスト加工装置と直圧式ブラスト加工装置のブラスト加工条件とその加工結果を示した。
Figure 2007176701
表7に示すように、大気圧下での粉粒体の定量供給装置による噴射材の供給精度は2.1%であり、この状態で吸引式ブラスト加工装置を接続し、該吸引式ブラスト加工装置の平均加工深さは46μm、その加工深さバラツキは±3.5%であった。また、加圧下での粉粒体の定量供給装置による噴射材の供給精度は1.9%であり、この状態で直圧式ブラスト加工装置を接続し、該直圧式ブラスト加工装置の平均加工深さは169μm、その加工深さバラツキは±3.6%であった。
上記の表7は供給精度が良好な場合のデータであるが、実際に供給精度が加工深さバラツキに起因しているかを確認するために、規制板を外した場合(請求項3に記載の開口率が100%の場合)のデータを表8に示す。粉粒体の定量供給装置を大気圧下として確認した結果、噴射材の供給精度は8.1%であり、この状態で吸引式ブラスト加工装置を接続し、該吸引式ブラスト加工装置の平均加工深さは41μm、その加工深さバラツキは±11.7%であった。また、加圧下での粉粒体の定量供給装置による噴射材の供給精度は9.2%であり、この状態で直圧式ブラスト加工装置を接続し、該直圧式ブラスト加工装置の平均加工深さは163μm、その加工深さバラツキは±8.1%であった。これらの表7と表8を対比すれば明らかなように、加工深さバラツキは粉粒体定量供給装置の供給精度に依存することが分かる。
Figure 2007176701
以上、本実施例に示すように、大気圧下でブラスト加工する吸引式ブラスト加工装置、あるいは加圧下でブラスト加工する直圧式ブラスト加工装置に本発明の粉粒体定量供給装置を使用すれば、噴射材の供給精度を2.1%、あるいは1.9%の良好な結果が得られ、その噴射材の供給精度に起因してブラスト加工の加工深さバラツキ(平均加工深さに対する,最大値もしくは最小値の平均値との差異の割合)も±3.5%、あるいは±3.6%の良好な結果が得られ、高精度のブラスト加工が可能である。
また図9に、加圧下での供給精度の測定法を示し、図10に測定結果を示した。加圧下での測定方法は、粉粒体タンクと噴射ノズルを本発明の粉粒体定量供給装置に接続し,粉粒体タンクと噴射ノズルを同圧にすることにより噴射ノズルより粉粒体と気体を噴射する直圧式ブラスト加工装置に接続し、ノズルより噴射された粉粒体を集塵機に接続したサイクロン内部に30sec噴射し,噴射前と噴射後のサイクロンの重量を測定し,その重量差を求めることにより加圧下での噴射量(=供給量)を測定した。この方法をN=5回繰り返すことにより供給精度を求めた。図10に示されるように、圧力を大気圧から0.5MPaまで変化させても、供給精度は5%未満に保たれており、本発明の粉粒体定量供給装置は0.5MPaまでの加圧下においても安定した性能を発揮することが確認できた。
本発明の実施形態を説明する概略的な断面図である。 充填室の拡大断面図である。 規制板の正面図である。 開口のパターンを示す図である。 供給量と供給精度の関係を示すグラフである。 吸引式ブラスト加工装置の説明図である。 直圧式ブラスト加工装置の説明図である。 ブラストパターンの説明図である。 加圧下での供給量測定方法の説明図である。 加圧下での供給量測定結果を示すグラフである。
符号の説明
1 貯留タンク
2 搬送手段としてのスクリューコンベヤ
3 ケーシング
4 スクリュー
5 軸
6 モータ
7 取入口
8 供給口
9 充填室
10 規制板
11 開口
12 ブラストノズル
13 混合室

Claims (7)

  1. 貯留タンク内の粉粒体を供給口から次工程に定量供給するための装置であって、貯留タンクに接続された取入口から取り入れた粉粒体を供給口に向けて搬送する搬送手段と、この搬送手段の先端側に形成された空間部からなる充填室と、この充填室と供給口との間に設けられた粉粒体が通過する開口を備えた規制板とからなることを特徴とする粉粒体定量供給装置。
  2. 搬送手段がスクリューコンベヤであり、充填室は断面形状が円形で、スクリュー羽根のない空間部であることを特徴とする請求項1記載の粉粒体定量供給装置。
  3. 充填室の搬送方向に垂直な断面積をS1、規制板の開口の総面積をS2としたとき、S2/S1で定義される開口率を10〜70%としたことを特徴とする請求項2記載の粉粒体定量供給装置。
  4. 充填室の搬送方向と直交する内径をL1、搬送方向の奥行きをL2としたとき、L2/L1で定義される形状比を5〜55%としたことを特徴とする請求項2または3記載の粉粒体定量供給装置。
  5. 大気圧下または加圧下における、粉粒体の供給精度が5%以下であることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の粉粒体定量供給装置。
  6. 吸引式または直圧式ブラスト加工装置に用いた場合、加工深さバラツキが5%以下で加工できることを特徴とする請求項5に記載の粉粒体定量供給装置。
  7. 貯留タンクに接続された取入口から取り入れた粉粒体を供給口に向けて搬送する搬送手段と、この搬送手段の先端側に形成された空間部からなる充填室と、この充填室と供給口との間に設けられた粉粒体が通過する開口を備えた規制板とからなる粉粒体定量供給装置により、供給される粉粒体を前記充填室で脱気し、その脱気された粉粒体を前記規制板により解しながら開口より定量供給することを特徴とする粉粒体定量供給方法。
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