JP2007176123A - 液滴噴射装置のメンテナンスユニット及びそれを用いた液滴噴射装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】小型で確実に記録ヘッドのキャッピングを可能とする液滴噴射装置のメンテナンスユニットを提供する。
【解決手段】キャップリフトホルダ41を2本の等長リンク42a,42bによって第1係合部47a、固定点a及び第2係合部47b、固定点bにおいてメンテナンスフレームに係合する。また、キャップリフトホルダ41の右端縁に受け板44を形成する。さらに、メンテナンスフレーム111の第1係合部47aの位置又は第1係合部47aよりも原点位置側にキャップ支持部112を設ける。記録ヘッド10が左側から受け板44に当接して受け板44が押されて第1係合部に固定点a側向きの分力が加わっても、キャップ支持部112でキャップリフトホルダ41の右下端部が支持されるので、等長リンク42aが押下げられてコジリが発生するようなことがない。したがって、等長リンク42a、42bを短くできるのでメンテナンスユニットを小型化できる。
【選択図】図12

Description

本発明は、液滴噴射装置のメンテナンスユニット及びそれを用いた液滴噴射装置に関する。
従来、圧力発生室で加圧したインクをノズルからインク滴として記録用紙に吐出させて印刷デ−タを記録するインクジェット式記録装置は、ノズル開口部からのインク溶媒の蒸発に起因するインクの粘度上昇や、インクの固化、さらには塵埃の付着、ノズル開口部への気泡の混入などにより印刷不良を生じるという不都合を抱いている。
このため、インクジェット式記録装置は、通常、非印刷時に記録ヘッドのノズル開口部を封止するためのキャッピング手段と、必要に応じてノズルプレートを清掃するクリ−ニング手段とを備えている。
たとえば、印刷領域外に配置され、記録ヘッドもしくはこれを担持するキャリッジに押圧されて待機位置と封止位置とを移動するキャップと、記録ヘッドが待機位置から封止位置へ移動する過程で、キャップを記録ヘッドのノズルプレート側へ移動させる4節平行リンク機構を備えたキャッピング装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
このキャッピング装置は、図18(b)に示すように、上下方向へ移動することによって、ノズル開口部を封止/開口するキャップと、キャップを支持するための基盤となすキャッピングベースと、キャップをキャッピングベースに回動可能に係設するための4節平行リンク機構とにより構成されている。
4節平行リンク機構は、両端に係止用の穴を有する2本のリンクから構成され、その2本のリンクの同じ側の一端がキャッピングベースに回動可能に固定され、他端が回動可能にキャップに固定されている。
また、図18(b)に示すように、キャッピングベースには、記録ヘッドがキャップの一端に設けられた受け板に当接する前に位置する位置(待機位置)で、4節平行リンク機構の右側のリンクとキャップとの固定点よりも左側にキャップを支える突起が設けられている。
キャップの一端には記録ヘッドが当接してキャップを押し上げるための受け板が設けられている。したがって、記録ヘッドが印刷領域外に(図18(b)中右向きに)移動してくると、記録ヘッドの右側端が受け板に当接する。
その状態で、記録ヘッドが更に右向きへ移動すると、受け板が押され、4節平行リンク機構のキャッピングベースの固定部を中心としてキャップのノズル封止面が記録ヘッドの下面のノズルプレート面と平行を保つように回動しながら押し上げられ、記録ヘッドの下面に設けられているノズルを封止する。
逆に、記録ヘッドが印刷領域に(図18(b)中左向きに)向かって移動すると、受け板に対する記録ヘッドからの押圧力が無くなるので、キャップの左下端とキャッピングベースとを結合している図示しないバネの弾性力でキャップは、待機位置に戻る。
特開2003−94674号公報
ところで、以上のようにキャップを上下に移動させて記録ノズルを封止するためには、記録ヘッドの移動の障害とならず、かつ、ノズルの開口部を液滴噴射方向に垂直な方向から押えるためにキャップの上下移動のストローク(長さをLとし、長さを含めてストロークLとも称する。)を確保する必要がある。
このストロークLを確保するためには、4節平行リンク機構のリンク長を短くし、キャッピングベースの突起の高さを小さくして封止位置での4節平行リンク機構の立ち上がり角度(α)を小さくする、つまり、4節平行リンク機構が寝た状態にする方法が考えられる。
ところが、この方法では、図18(a)に示すように、受け板が記録ヘッドで押された際に、4節平行リンク機構を構成する一方(図18(a)中左)のリンク(リンクa)には上方への引っ張り力が加わり、他方(図18(a)中右)のリンク(リンクb)には下方への押下げ力が加わって、キャッピングベースの突起を支点としてキャップが傾き(図18(a)の一点鎖線で示す状態)、キャップが正常に上下移動できなくなる場合があるという問題がある。
それを避けるために、図18(b)に示すように、4節平行リンク機構のリンク長を長くし、キャッピングベースの突起の高さを大きくして封止位置での4節平行リンク機構の立ち上がり角度(α)を大きくする、つまり、4節平行リンクが立った状態にすれば、記録ヘッドによって受け板が押されたときに4節平行リンク機構を構成する2つのリンク(リンクa,b)には共に上方への引っ張り力が加わるので、キャップの傾きはなくなる。
ところが、この方法では、リンク長が長いために、上下方向の大きさが大きくなってしまい、メンテナンスユニットが大型化する。延いては、インクジェットプリンタが大型化してしまうという問題がある。
本発明は、上述した問題に鑑みなされたものであり、小型で確実に記録ヘッドのキャッピングを可能とする液滴噴射装置のメンテナンスユニットを提供することを目的とする。
かかる問題を解決するためになされた請求項1に記載の液滴噴射装置のメンテナンスユニット(4:この欄においては、発明に対する理解を容易にするため、必要に応じて「発明を実施するための最良の形態」欄において用いた符号を付すが、この符号によって請求の範囲を限定することを意味するものではない。)は、液滴噴射ヘッド(10)から液滴を被液滴噴射媒体に噴射するための液滴噴射領域(8)と液滴噴射ヘッド(10)の開口部をクリーニングするためのメンテナンス領域(9)との間を往復移動するキャリッジ(3)に搭載された液滴噴射ヘッド(10)の開口部を封止する封止手段(41,60)と、封止手段(41,60)を支持するための第1の係合部(47a)及び第1の係合部(47a)より液滴噴射領域(8)側に設けられた第2の係合部(47b)を備え、キャリッジ(3)の往復移動に連動して封止手段(41,60)が液滴噴射ヘッド(10)の開口部を封止する密着位置と封止面が液滴噴射ヘッド(10)の開口部から離間して液滴噴射ヘッド(10)の開口部を開口させる待機位置へ封止手段(41,60)を移動可能に構成された案内機構と、案内機構を設置する基体(111)と、を備えた液滴噴射装置のメンテナンスユニット(4)であって、封止手段(41,60)が待機位置にあるときに封止手段(41,60)を第1の係合部(47a)の位置又は第1の係合部(47a)よりもメンテナンス領域(9)側向きにある位置で基体(111)に支持する支持部(112)を備えていることを特徴とする。
このような構成の液滴噴射装置のメンテナンスユニット(4)においては、キャリッジ(3)が液滴噴射領域(8)からメンテナンス領域(9)へ移動すると、それに伴いキャリッジ(3)に搭載されている液滴噴射ヘッド(10)が液滴噴射領域(8)からメンテナンス領域(9)へ移動する。
そして、キャリッジ(3)の動きに連動し、例えば、キャリッジ(3)の一部又は液滴噴射ヘッド(10)の一部が封止手段(41,60)に当接し、封止手段(41,60)が案内機構により、待機位置から液滴噴射ヘッド(10)の開口部に密着するように移動する。
すなわち、封止手段(41,60)は第1及び第2の係合部(47a,47b)で案内機構に係合されている。そして、第2の係合部(47b)は、第1の係合部(47a)よりもメンテナンス領域(9)側で案内機構に係合されている。
したがって、例えば、封止手段(41a,60)にキャリッジ(3)又は液滴噴射ヘッド(10)の一部が封止手段(41,60)に当接して、封止手段(41,60)を押すと、その押圧力が封止手段(41,60)を回転させるように作用する場合がある。
すなわち、押圧力が加わる当接部と第1及び第2の係合部(47a,47b)とが押圧力の加わる方向に対し基体(111)側にずれた位置にある場合には、押圧力が第2の係合部(47b)に対しては、第2の係合部(47b)を基体(111)から遠ざける力として加わり、第1の係合部(47a)に対しては、第1の係合部(47a)を基体(111)へ近づける力として加わることがある。
そして、第1の係合部(47a)に、第1の係合部(47a)を基体(111)へ近づける力が加わると、第1の係合部(47a)は基体(111)側へ押されるので、液滴噴射ヘッド(10)に向かって移動できなくなるという、いわゆるコジリが発生する。コジリが発生すると、キャリッジ(3)(液滴噴射ヘッド(10))もそれ以上メンテナンス領域(9)側へ移動できなくなってしまう。
そこで、支持部(112)を設け、その支持部(112)を第1の係合部(47a)の位置又は第1の係合部(47a)よりもメンテナンス領域(9)側向きにある位置に設けている。
このようにすると、第1の係合部(47a)に第1の係合部(47a)を基体(111)へ近づける力が加わっても封止手段(41,60)が支持部(112)で基体(111)に支持され、それ以上基体(111)側へ移動しないので、コジリが発生しない。
コジリが発生しなければ、キャリッジ(3)(液滴噴射ヘッド(10))は更にメンテナンス領域(9)側へ移動できる。封止手段(41,60)が支持部(112)で支持されたままキャリッジ(3)(液滴噴射ヘッド(10))が更にメンテナンス領域(9)側へ移動すれば、第1の係合部(47a)には、第1の係合部(47a)を基体(111)から遠ざける力が加わるようになるので、結局、封止手段(41,60)は液滴噴射ヘッド(10)に向かって移動可能となる。したがって、封止手段(41,60)により液滴噴射ヘッド(10)の開口部が封止されることになる。
なお、支持部(112)は、封止手段(41,60)を基体(111)に支持することができればよいので、案内機構が設置された基体(111)又は封止手段(41,60)の何れに設けてもよい。
以上のように、請求項1に記載のメンテナンスユニット(4)によれば、第1の係合部(47a)よりもメンテナンス領域(9)側の基体(111)に設けた支持部(112)により封止手段(41,60)が基体(111)に支持されるので、第1の係合部(47a)と第2の係合部(47b)の液滴噴射ヘッド(10)に移動方向に垂直な方向での位置に関係なく確実に封止手段(41,60)で液滴噴射ヘッド(10)の開口部を封止することができる。
すなわち、第1の係合部(47a)と第2の係合部(47b)を液滴噴射ヘッド(10)に近づけることができるので、メンテナンスユニット(4)を小型化することができる。
また、請求項2に記載のメンテナンスユニット(4)は、液滴噴射ヘッド(10)から液滴を被液滴噴射媒体に噴射するための液滴噴射領域(8)と液滴噴射ヘッド(10)の開口部をクリーニングするためのメンテナンス領域(9)との間を往復移動するキャリッジ(3)に搭載された液滴噴射ヘッド(10)の開口部を封止する封止手段(41,60)と、キャリッジ(3)の往復移動に連動して封止手段(41,60)が液滴噴射ヘッド(10)の開口部を封止する密着位置と液滴噴射ヘッド(10)の開口部から離間して液滴噴射ヘッド(10)の開口部を開口させる待機位置へ封止手段(41,60)を移動可能に構成された案内機構と、を備えた液滴噴射装置のメンテナンスユニット(4)であって、封止手段(41,60)は、液滴噴射領域(8)側からメンテナンス領域(9)側へ移動するキャリッジ(3)の一部又は液滴噴射ヘッド(10)の一部が当接したときに加わる押圧力が待機位置から密着位置へ向かう向きの分力を発生させる形状に形成されている当接部(44)を備えていることを特徴とする。
このような構成の液滴噴射装置のメンテナンスユニット(4)においては、キャリッジ(3)が液滴噴射領域(8)からメンテナンス領域(9)側へ移動すると、それに伴いキャリッジ(3)に搭載されている液滴噴射ヘッド(10)が液滴噴射領域(8)からメンテナンス領域(9)へ移動する。
そして、キャリッジ(3)の一部又は液滴噴射ヘッド(10)の一部が封止手段(41,60)に設けられている当接部(44)に当接すると押圧力が発生し、その押圧力により当接部(44)が押される。
押圧力により当接部(44)が押されると、封止手段(41,60)は、案内機構により、待機位置から液滴噴射ヘッドの開口部に密着するように移動する。
ここで、当接部(44)は、液滴噴射領域(8)側からメンテナンス領域(9)側へ移動するキャリッジ(3)の一部又は液滴噴射ヘッド(10)の一部が当接したときに当接部(44)に加わる押圧力が当接部(44)において待機位置から密着位置へ向かう向きの分力を発生させる形状に形成されている。
つまり、当接部(44)に押圧力が加わったときに、封止手段(41,60)は、当接部(44)で発生する分力により待機位置から密着位置へ向かって押されることになるので、封止手段(41,60)は、待機位置から密着位置へとスムーズに移動することができる。
したがって、案内機構を封止手段(41,60)が待機位置から密着位置まで最短距離で移動できるような構造にすることができるので、案内機構を小型化することができる。したがって、メンテナンス機構を小型化することができる。
ところで、通常、液滴噴射ヘッド(10)は、液滴を噴射するためのノズルを備えている。つまり、液滴噴射ヘッド(10)の開口部に封止手段を密着させて封止するということは、ノズルの開口部に封止手段を密着させて封止するということになる。
したがって、封止手段(41,60)をノズルの開口部に密着させる際には、密着性を良くしたり、ノズルの開口部を損傷させないようにするために、封止手段(41,60)をノズルの液滴噴射方向からノズル開口部に密着させる必要がある。そのためには、案内機構の構造を次のようにするとよい。
すなわち、待機位置で封止手段(41,60)の封止面がノズルの液滴噴射方向と略垂直になるようにしておき、待機位置から密着位置までできるだけその姿勢が変動しないように封止手段(41,60)を移動させる構造にするのである。
このような機構としては、リンク機構やカム機構を用いたものが考えられる。例えば、リンク機構であれば、請求項3に記載のように、案内機構は、2本のリンク(42a,42b)を備え、2本のリンク(42a,42b)のうち1本は、一端が第1の係合部(47a)に回転可能に結合され、他端が基体(111)に回転可能に結合され、他の1本は、一端が第2の係合部(47b)に回転可能に結合され、他端が基体(111)に回転可能に結合された平行4節リンク機構にするとよい。
このようにすると、待機位置で封止手段(41,60)の封止面をノズルの液滴噴射方向に略垂直になるようにし、待機位置から密着位置まで封止手段(41,60)の姿勢を変動させずに移動させることができるので、容易に封止面でノズル開口部をノズルの液滴噴射方向に対して略垂直に封止することができる。
ノズル開口部をノズルの液滴噴射方向に対して略垂直に封止できるので、ノズルの開口部と封止手段(41,60)との密着性がよくなる。また、封止手段(41,60)がノズルの横方向からノズルの開口部に接触することがないので、ノズルが損傷することもない。
また、請求項1に記載のメンテナンスユニット(4)の説明で述べたように、第1の係合部(47a)と第2の係合部(47b)を液滴噴射ヘッド(10)に近づけることができるが、そのためにリンク長を短くすればよいので、簡単にメンテナンスユニット(4)を小型化することができる。
さらに、このようなメンテナンス機構において、請求項4に記載のように、封止手段(41,60)は、請求項2に記載の当接部(44)を備えているようにすると、第1の係合部(47a)に回転可能に結合されたリンクに押圧力が加わることがないので、コジリを発生させることがない。
そして、請求項5に記載の液滴噴射装置は、液滴を噴射するノズルを有する液滴噴射ヘッド(10)と、液滴噴射ヘッド(10)を搭載し、液滴を被液滴噴射媒体に噴射するための液滴噴射領域(8)とノズルの開口部をクリーニングするためのメンテナンス領域(9)との間で液滴噴射ヘッド(10)を往復移動させるキャリッジ(3)と、被液滴噴射媒体をキャリッジ(3)の往復運動方向に対して略直角方向へ移動させる被液滴噴射媒体移動手段と、請求項1〜請求項4の何れかに記載のメンテナンスユニット(4)を備えたことを特徴とする。
ここで「略直角方向」とは、液滴噴射ヘッド(10)を往復させつつ被液滴噴射媒体に液滴を噴射し、例えば、印字をしたり、画像を形成したりする場合に最も適切である直角方向に対し、印字や画像を形成するといった、液滴を噴射する目的に応じた誤差を有するものである。
このような液滴噴射装置は、請求項1〜請求項3の何れかに記載の特徴を有するメンテナンスユニット(4)、すなわち、小型化されたメンテナンスユニット(4)を備えているので、小型化された液滴噴射装置とすることができる。
また、液滴噴射ヘッド(10)のメンテナンスの際、メンテナンス機構内部で発生するコジリによりキャリッジ(3)の移動が妨げられることがないので、キャリッジ(3)を移動させるための駆動装置、例えば、モータ等に過大な負荷が掛かることがない。したがって、駆動装置を長寿命化することができる。
さらに、メンテナンス時に、案内機構により封止手段(41,60)がスムーズに移動するので、封止手段(41,60)を移動させるためのエネルギーが少なくて済む。つまり、キャリッジ(3)をメンテナンス領域(9)側へ移動させる際に、キャリッジ(3)の駆動装置に大きな力を必要としないので、キャリッジ(3)の駆動装置を小型化・小出力化することができる。
以下、本発明が適用された実施形態について図面を用いて説明する。なお、本発明の実施の形態は、下記の実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採りうる。
<第1実施形態>
以下、本発明を具体化した第1実施形態を、図1〜図17を参照して説明する。
<全体構成>
まず、図1及び図2によりインクジェットプリンタの全体構成について説明する。図1は、インクジェットプリンタの外観斜視図であり、図2は、インクジェットプリンタの内部機構の全体構成を表わす平面図である。
本実施形態のインクジェットプリンタは、プリンタ機能と、コピー機能と、スキャナ機能を備えたものであって、図1及び図2に示すように、本体フレーム1の上面にコピー機能とスキャナ機能のための原稿読取り装置2が設けられ、原稿読取り装置2の下方には、記録用のキャリッジ3と、後述する記録ヘッド10の目詰まりを回復させるためのメンテナンスユニット4と、記録ヘッド10にインクを供給するインクタンク5が設けられている。
また、本体フレーム1の前面には排紙トレイ6と給紙トレイ7が設けられている。キャリッジ3は、左右方向に往復移動するようになっている。キャリッジ3の移動経路の左端から右端に近い位置に至る長い領域は記録領域8となっており、移動経路の右端部はメンテナンス位置9(原点位置、ホームポジション)となっていて、ここにメンテナンスユニット4が設けられている。
さらに、メンテナンス位置9の前方(手前)には、黒色、シアン、マゼンダ、イエローの4色のインクタンク5(インクカートリッジ)が並んで配置されている。
<キャリッジ3及びキャリッジ3へのインクの供給手段>
次に、図3に基づきキャリッジ3及びキャリッジ3へのインクの供給手段について説明する。図3は、キャリッジ3の概略断面図である。
キャリッジ3は、図3に示すように、下面に多数のノズルを設けた4つの記録ヘッド10を有し、キャリッジ3が記録領域8を走行する間に、各記録ヘッド10のノズルからは下向きにインクが噴射され、被記録媒体(印刷用紙)への記録(印字)が行われるようになっている。
黒色用の記録ヘッド10のノズルは、前後方向に長い方形領域側に配置されている。カラー用、即ちシアン、マゼンダ、イエローの3つの記録ヘッド10は、黒色用のノズルよりも左側の領域に並んで配置されている。シアン、マゼンダ、イエローのノズルの数は互いに同数であり、黒色用のノズルの数はカラー用の各ノズルよりも多い数となっている。
各記録ヘッド10の上面には、夫々、バッファタンク11が設けられている。バッファタンク11は、上部に気泡貯留室12を有し、下部に記録ヘッド10に連なるインク流室13を有する。気泡貯留室12には、可撓性を有するチューブ14(図2を参照)を通してインクタンク5からインクが供給されるようになっている。
気泡貯留室12内に供給されたインクは、フィルタ15を通過してインク流室13に流れ込み、記録ヘッド10に至る。インクがフィルタ15を通過する際に、インク内に含まれている気泡が分離され、気泡貯留室12の上方に貯留されていく。
キャリッジ3には、記録ヘッド10よりも右方に位置するようにバルブケース16が設けられている。バルブケース16の下面には、各気泡貯留室12の天井壁から延出された排出路17が排出口18として開口され、これら4つの排出口18は前後方向に並んでいる。バルブケース16の内部では4つの排出路17が上下方向に延びており、この上下方向に延びた部分には、夫々、常閉式の開閉弁19が収容されている。
開閉弁19は、常には、上下方向に細長い弁体20がバネ21により弁口22を塞ぐ閉弁状態に保持されているが、弁体20がバネ21の付勢に抗して上方へ移動すると、開閉弁19が開弁されるようになっている。
また、気泡貯留室12から排出路17の排出口18に至る排気経路(詳しくは後述する)の排気抵抗については、カラー用即ちシアン用の排気経路とイエロー用の排気経路とマゼンダ用の排気経路とが互いに同じ程度となっている。一方、黒色用の排気経路の排気抵抗は、カラー用の各排気抵抗よりも小さい。
かかるキャリッジ3は、その往復移動経路中、最も右端の原点位置と、この原点位置よりも僅かに左側(記録領域8側)であってワイパ90よりも右側の空吸引位置(非キャップ位置)と、ワイパ90よりも僅かに左側のワイピング終了位置とに停止し得るようになっている。
<メンテナンスユニット4の駆動力伝達機構>
次に、図4〜図7に基づいて、メンテナンスユニット4の動力伝達機構について説明する。図4は、メンテナンスユニット4に回転駆動力を伝達するための機構を表わす斜視図であり、図5は、メンテナンスユニット4の外観斜視図であり、図6は、メンテナンスユニット4を底面側から見た斜視図であり、図7は、メンテナンスユニット4の底面図である。
キャリッジフレーム110には、給紙用のローラ(図示せず)を回転させるための手段として、図4に示すように、キャリッジフレーム110の左端部に設けたモータ24を含む回転駆動機構が設けられている。
モータ24の出力軸に係合された減速ギヤ25の回転軸26は右方へ長く延びており、回転軸26の右端部には駆動ギヤ27が一体回転するように設けられている。
駆動ギヤ27には、キャリッジ3がメンテナンス位置9へ移動したときにのみ大径傘歯車28と係合するスライドギヤ29が係合されており、大径傘歯車28は軸線を上下方向に向けた小径傘歯車30に係合されている。
小径傘歯車30は、減速ギヤ31を介して太陽ギヤ32に係合されている。図5に外観を示すメンテナンスユニット4を底面方向から見た図6及び図7に示すように、太陽ギヤ32の軸33には旋回アーム34の一端が相対回転自由に取り付けられ、旋回アーム34の他端には遊星ギヤ35が相対回転可能に取り付けられ、遊星ギヤ35は太陽ギヤ32に係合されている。
遊星ギヤ35の前方には、軸線を太陽ギヤ32及び遊星ギヤ35と平行、即ち上下方向に向けた円盤状のカム55がメンテナンスフレーム111に回転自由に支持され、カム55には、遊星ギヤ35と同じ高さの従動ギヤ36が一体に形成されている。尚、カム55については、後に詳しく説明する。
一方、遊星ギヤ35の後方には、ポンプギヤ37が、遊星ギヤ35と同じ高さでメンテナンスフレーム111に回転自由に支持されている。ポンプギヤ37が回転すると、ロータリー式のポンプ38(本発明の構成要件である吸気手段)が駆動して吸引動作を行うようになっている。
太陽ギヤ32が、下から見た図7における反時計回り方向に回転すると、遊星ギヤ35が太陽ギヤ32を中心に反時計回り方向へ公転してカム55の従動ギヤ36に係合し、カム55が反時計回り方向(上から見ると時計回り方向)に回転駆動される。
これに対し、太陽ギヤ32が時計回り方向に回転すると、遊星ギヤ35が太陽ギヤ32を中心に時計回り方向へ公転してポンプギヤ37に係合し、ポンプ38が回転駆動して吸引動作を行う。したがって、カム55の回転方向は、常に、図7における反時計回り方向(図14及び図15においては時計回り方向)となる。
<メンテナンスユニット4のキャップリフトホルダ41>
次に、図8〜図13に基づいて、メンテナンスユニット4のキャップリフトホルダ41について説明する。
図8は、キャップリフトホルダ41が待機位置にあるときにキャップ支持部112が見えるように、図5に示すメンテナンスユニット4を切断した断面図であり、図9は、キャップリフトホルダ41が待機位置にあるときに等長リンク42a、42bが見えるように、図5に示すメンテナンスユニット4を切断した断面図である。
また、図10は、キャップリフトホルダ41が密着位置にあるときにキャップ支持部112が見えるように、図5に示すメンテナンスユニット4を切断した断面図であり、図11は、キャップリフトホルダ41が待機位置にあるときに等長リンク42a、42bが見えるように、図5に示すメンテナンスユニット4を切断した断面図である。
また、図12は、キャップリフトホルダ41が待機位置にあるときのメンテナンスユニット4の概略構成図であり、図13は、キャップリフトホルダ41が密着位置にあるときのメンテナンスユニット4の概略構成図である。
メンテナンスフレーム111には、キャップリフトホルダ41が移動可能に設けられている。キャップリフトホルダ41は、図8〜図13に示すように、2本の平行な等長リンク42a,42bからなる4節リンク機構により、メンテナンスフレームに係合されている。
つまり、等長リンク42aの一端は、第1係合部47aにおいてキャップリフトホルダ41に係合され、他端は、メンテナンスフレーム111の固定点aに回転可能に固定されている。また、等長リンク42bの一端は、第2係合部47bにおいてキャップリフトホルダ41に係合され、他端は、メンテナンスフレーム111の固定点bに回転可能に固定されている。
このとき、第1係合部47a、第2係合部47b、固定点a、固定点bは2本の等長リンク42a,42bが結合された状態で、その等長リンク42a,42bが平行となる位置に配置されている。
また、メンテナンスフレーム111にはキャップ支持部112が設けられている。このキャップ支持部112は、第1係合部47aの位置又は第1係合部47aよりも原点位置側に設けられており、キャップリフトホルダの右下端を支持している。
また、キャップリフトホルダ41の右端縁には上方へ立ち上がる受け板44が形成されており、キャリッジ3が記録領域8から原点位置(メンテナンス位置9)へ移動する過程では、原点位置に至る直前でキャリッジ3に搭載された記録ヘッド10が受け板44に対して左側から当接し、その後、キャリッジ3が原点位置に到達する間、記録ヘッド10が受け板44を押し続ける。
待機位置は図6及び図10に示すように左側の低い位置に設定され、密着位置は図9及び図11に示すように右側の高い位置に設定されており、キャップリフトホルダ41は、復帰バネ43により待機位置側へ付勢されている。
<メンテナンスユニット4のノズルキャップ60>
次に、図8及び図10に基づきメンテナンスユニット4のノズルキャップ60について説明する。
キャップリフトホルダ41における排気キャップ40よりも左側の領域には、ノズルキャップ60が図示しない押上バネを介して上下方向への相対移動可能に支持されている。ノズルキャップ60は、シリコンゴム製であって、前後方向に長い略方形をなし、上面側に開放された左右2つの凹部を有し、各凹部内には上面が盛り上がった蒲鉾形断面のスペーサ62が収容されている。
かかるノズルキャップ60は、キャップリフトホルダ41が待機位置にある状態では、キャリッジ3の下面よりも低い高さで待機する。キャリッジ3に押されてキャップリフトホルダ41が密着位置に向かって斜め右上方へ円弧状に変位する過程では、ノズルキャップ60の上端縁のリップ部がキャリッジ3の下面に対して気密状に密着するとともに押上バネの付勢により密着度を高めていく。
そして、この密着により、ノズルキャップ60のスペーサの上面とキャリッジ3の下面とによって記録ヘッド10のノズルに連通する左右2つの独立した密閉空間が同時に構成されるようになっている(図10を参照)。右側の幅狭の黒色用密閉空間は黒色用のノズルと対応し、左側の幅広のカラー用密閉空間はカラー用の3色のノズルと対応するようになっている。
ノズルキャップ60の各凹部の底壁には、図4に示すようにその後端部(長手方向における一方の端部)に位置するように吸気口64が開口されており、幅狭の黒色用の凹部の吸気口64は、図6に示すようにチューブを介して切換手段70の黒色インク用ポート79(以下、Bkポートという)に接続され、幅広のカラー用の凹部の吸気口64は、チューブを介して切換手段70のカラー用ポート80(以下、Coポートという)に接続されている。
各密閉空間は、左右方向(即ち、幅方向)中央において上下の間隔が最も狭く、左右両側に向かって上下の間隔が次第に大きくなる形態である。したがって、密閉空間内を負圧にしてノズルのインクを吸気口64側へ吸引する際には、左右方向中央から左右両側に(流動抵抗の小さい側に)向かう空気(インクを含んだ空気)の流れが、前後方向に亘ってほぼ均一に生成され、その空気流が、密閉空間の左右両端部において合流しつつ吸気口64(後方)に向かう大きな流れとなり、吸気口64内に吸引される。
したがって、前後方向に長い密閉空間の後端部に吸気口64が配置された構造となっていても、空気の流れを全域に亘ってほぼ均一にして、インクのパージを全てのノズルに対して均一に行うことができる。
<メンテナンスユニット4のワイパ90>
次に、図14〜図17に基づいて、メンテナンスユニット4のワイパ90について説明する。図14は、カラー用の開閉部材50が閉弁位置にある状態を表わすカムの平面図であり、図15は、カラー用の開閉部材50が開弁位置にある状態を表わすカムの平面図である。
また、図16は、ワイパが拭取位置に保持されているときのワイパのカムフォロアとカムの解除部との位置関係を表わす概略平面図であり、図17は、ワイパが拭取位置から待機位置へ変位する過程を表わす概略断面図である。
カム55の上面には、カム溝が形成されている。カム溝は、開閉部材50用のカム溝の外側に略同心状に配され、カム55と同心の円弧部と、円弧部と略同径の円周上、即ち円弧部の途中の位置に形成された隆起部と、円弧部と略同径の円周上に配置された解除部と、解除部に対して径方向外側の位置で対応するように配置された逃がし凹部とから構成される。
ワイパ90は、記録ヘッド10のノズル面に付着しているインクを拭き取るためのものであって、キャップリフトホルダ41よりも左方の位置、即ちキャリッジ3の移動経路において原点位置(メンテナンス位置9)と記録領域8との間に位置するようにメンテナンスフレーム111に設けられている。
ワイパ90は、全体としてキャリッジ3の移動方向と略直角な板状をなし、カム55よりも上方において、キャリッジ3の移動経路の下方で待避する待避位置(図17を参照)と、キャリッジ3の移動経路上に進出する拭取位置(図16を参照)との間で移動する。
ワイパ90は、左側に位置する規制板91と右側に位置する板状のストッパ92との間に所定のクリアランスを空けて配置されており、これにより、ワイパ90は左右方向へ大きく変位することなく昇降できるように案内されている。左側に位置する規制板91には、係止部93が形成され、ワイパ90の左側面には係止突起94が形成されており、係止突起94が係止部93に対して上から係止することにより、ワイパ90が拭取位置に保持されるようになっている。
また、ワイパ90における規制板91よりも下方の位置とメンテナンスフレーム111との間には、ワイパ90を斜め左下方向へ付勢するバネ95が装着されている。さらに、ワイパ90には下方へ突出するカムフォロア96が形成され、このカムフォロア96は、カム55の中心よりも左側の位置においてカム溝97に係合されている。
カム溝97は、カム55と同心であって、ワイパ90を待機位置に保持可能な円弧部97aと、円弧部97aと略同径の円周上に配置され、待機位置のワイパ90と干渉することでそのワイパ90を拭取位置へ押し動かす隆起部97bと、円弧部97aと同径の円周上に配置され、拭取位置にあるワイパ90のカムフォロア96に対して径方向に干渉する解除部97cとから構成される。
カムフォロア96が円弧部97aに係合している状態では、バネ95の付勢によりカムフォロア96が円弧部97aの上面に当接した状態となり、このとき、ワイパ90は待避位置に保持される。そして、隆起部97bがカムフォロア96に接近すると、カムフォロア96が隆起部97bに乗り上がり、ワイパ90が拭取位置へ上昇する。
この間、ワイパ90は、バネ95による斜め左方への引張りによって規制板91に押し付けられた状態となるので、拭取位置に達したところで係止突起94が係止部93に係止し、この係止によってワイパ90が拭取位置に保持される。
拭取位置にあるワイパ90は、上端の拭取部を規制板91よりも上方へ突出させているとともに、規制板91に対して右から当接し、カムフォロア96を円弧部97aの外周面に対して右側から当接させ、かかる状態でバネ95により斜め左下方へ引っ張られている。
したがって、キャリッジ3が、ワイパ90の上端部に対して右側から(つまり、原点位置(メンテナンス位置9)から記録領域8に向かって移動する過程で)干渉しても、ワイパ90は規制板91に押し付けられることとなって係止突起94を係止部93に係止させた状態に保たれる。このとき、ワイパ90が記録ヘッド10のノズル面を擦り、ノズル面に付着しているインクを除去する。
これに対し、キャリッジ3が、ワイパ90の上端部に対して左側から干渉すると、ワイパ90が右側へ傾くように姿勢を変化させて係止突起94が係止部93から外れるため、バネ95の付勢によってワイパ90は拭取位置から待避位置へ下降する。
また、拭取位置のワイパ90は、カム55の解除部97cによっても待避位置へ下降する。即ち、カム55の回転に伴って解除部97cのテーパ面がカムフォロア96の下端部に当接すると、テーパ面の傾斜によりカムフォロア96の下端部が左方へ押されて逃がし凹部97d内に変位する。つまり、解除部97cはワイパ90に対して径方向に干渉する。
これに伴い、ワイパ90は、規制板91の下端縁を支点として右側へ傾くように姿勢を変化させ、係止突起94が係止部93から右方へ外れる。すると、バネ95の付勢により、ワイパ90は下方へ引っ張られて待避位置へ下降する。
<メンテナンスユニット4のキャリッジロック100>
次に、図6に基づきメンテナンスユニット4のキャリッジロック100について説明する。カム55の外周には、下面がカム面102とされた円形のフランジ部101が形成されている。カム面102には、部分的に上方へ凹んだ形態、即ち部分的に高くなった領域が形成され、この領域がロック領域102aとなっている(図6を参照)。
また、カム面102のうち、ロック領域102aよりも低い部分はロック解除領域102bとなっている。キャリッジロック100は、メンテナンスフレーム111に対して上下移動可能に、且つ図示しないバネにより上方へ付勢された状態で支持されており、キャリッジロック100の下端部に形成したカムフォロア103がカム面102に対して下から当接されている。
したがって、キャリッジロック100の大部分はカム55よりも上方に位置している。カムフォロア103がロック解除領域102bに当接している状態では、キャリッジロック100が下方のロック解除位置に保持され、カムフォロア103がロック領域102aに当接する状態では、キャリッジロック100が上動し、キャリッジ3の移動経路に進出する。
このとき、キャリッジ3が原点位置(メンテナンス位置9)に位置していれば、キャリッジロック100の上端部がキャリッジ3の左側面の前端部に係止し、この係止によってキャリッジ3の左方、即ち記録領域8への移動が規制されるようになっている。
<キャリッジ3の移動に伴うキャップリフトホルダ41の動作>
次に、図12及び図13に基づき、キャリッジ3の移動に伴うキャップリフトホルダ41の動作について説明する。
キャップリフトホルダ41が図12に示すように復帰バネ43の付勢により待機位置に保持されている状態で、キャリッジ3が記録位置側から原点位置側へ移動すると、記録ヘッド10が空吸引位置に達したところで、記録ヘッド10が等長リンク42a、キャップリフトホルダ41の受け板44に当接する。
このとき、排気キャップ40とノズルキャップ60の双方ともに、記録ヘッド10の下面よりも下方に位置する。つまり、記録ヘッド10の下面に対して非接触の(離間した)状態である。
この状態から、記録ヘッド10が原点位置側へ移動すると、キャップリフトホルダ41が、2本の等長リンク42a,42bに支えられ右上方へ向かって移動を開始する。このとき2本の等長リンクの長さやキャップリフトホルダ41が待機位置にあるときの第1係合部47a及び第2係合部47bの位置によっては、第1係合部47aに左下方への押下げの力が加わり、第2係合部47bには右上方への引っ張り上げの力が加わることがある。
その場合、右側の等長リンク42aが下方へ押下げられる形になり、キャップリフトホルダ41が右上方に移動できなくなるので、密着位置に移動できない、いわゆる、コジリが発生し、最悪の場合には固着が発生する。
ところが、図12、図13に示すように、キャップリフトホルダ41の右下端部がキャップ支持部112で支持されているので、第1係合部47aに押し下げの力が加わっても右側の等長リンク42aが押下げられることはなく、キャップリフトホルダ41は、メンテナンスフレーム111の固定点aから一定の高さを保つことができる。
キャップリフトホルダ41の右下端部がキャップ支持部112で支持され、キャップリフトホルダ41がメンテナンスフレーム111から一定の高さを保った状態で、記録ヘッド10が更に原点方向へ移動すると、第1係合部47aには、右上方への引っ張り上げの力が加わるようになる。
つまり、キャップ支持部112が第1係合部47aの位置又は第1係合部47aよりも原点位置側に設けられているので、等長リンク42aが押下げられることがない。したがって、記録ヘッド10が原点側に移動することができ、更に記録ヘッド10が更に原点側に移動すると、第1係合部47a、第2係合部47b共に右上方向への引っ張り上げの力が加わるので、キャップリフトホルダ41が確実に右上方向へ円弧状に変位し、密着位置に移動できる。
キャップリフトホルダ41が密着位置に移動すると、ノズルキャップ60がその下方位置において記録ヘッド10のノズル面に接触する。更にキャリッジ3が右方へ移動すると図10に示すように、上動するキャップリフトホルダ41と記録ヘッド10の下面に当接しているノズルキャップ60との間の図示しない押上バネが弾縮され、この押上バネの弾性復元力によりノズルキャップ60は記録ヘッド10に強く押し付けられ、ノズル面とノズルキャップ60との間に確実に気密状態にシールされた密閉空間が構成される。
この状態から更にキャリッジ3が右方へ移動して原点位置に到達すると、図10に示すように、排気キャップ40がキャリッジ3の下面に密着するとともに、排気キャップ40とキャップリフトホルダ41との間に設けた図示しないバネの弾力により排気キャップ40がキャリッジ3の下面に強く押し付けられ、これにより、キャリッジ3の下面と排気キャップ40との間に確実に気密状態にシールされた気密空間が構成される。
<実施形態の効果>
以上の構成のメンテナンスユニット4によれば、待機位置でキャップリフトホルダ41のノズルキャップ60の封止面をノズルの液滴噴射方向に略垂直になるようにし、待機位置から密着位置までキャップリフトホルダ41の姿勢を変動させずに移動させることができるので、容易にノズルキャップ60の封止面でノズル開口部をノズルの液滴噴射方向に対して略垂直に封止することができる。
ノズル開口部をノズルの液滴噴射方向に対して略垂直に封止できるので、ノズルの開口部とノズルキャップ60との密着性がよくなる。また、ノズルの横方向からノズルキャップ60がノズルの開口部に接触することがないので、ノズルが損傷することもない。
キャップ支持部112が第1係合部47aよりも原点位置側に設けられている。したがって、第1係合部47aにメンテナンスフレーム111の固定点aに向かう力が加わっても、キャップリフトホルダ41ががキャップ支持部112で支持され、それ以上メンテナンスフレーム111の底部側へ移動しないので、コジリが発生しない。
コジリが発生しなければ、記録ヘッド10は更に原点位置側へ移動できる。キャップリフトホルダ41がキャップ支持部112で支持されたまま記録ヘッド10が更に原点位置側へ移動すれば、第1係合部47aには、第1係合部47aをメンテナンスフレーム111の底部から遠ざける力が加わるようになるので、結局、キャップリフトホルダ41は記録ヘッド10に向かって移動可能となる。したがって、キャップリフトホルダ41のノズルキャップ60によりノズルの開口部が封止されることになる。
つまり、メンテナンスユニット4によれば、第1係合部47aと第2係合部47bの記録ヘッド10に移動方向に垂直な方向での位置に関係なく確実に記録ヘッド10でノズルの開口部を封止することができる。
すなわち、第1係合部47aと第2係合部47bとを記録ヘッド10に近づけることができる、つまり、等長リンク42a,42bを短くすることができるので、メンテナンスユニットを小型化することができる。
さらに、メンテナンスユニット4を小型化することができるので、そのメンテナンスユニット4を組み込んだインクジェットプリンタも小型化することができる。
また、メンテナンスユニット4では、キャップリフトホルダ41を移動させる際にコジリが発生しないので、キャップリフトホルダ41を押す記録ヘッド10を搭載するキャリッジ3を駆動するための駆動装置、例えばモータの負荷を軽減できる。したがって、モータも小型化することができるので、その観点からもインクジェットプリンタを小型化することができる。
<第2実施形態>
第1実施形態のインクジェットプリンタでは、キャップ支持部112を第1係合部47aの位置又は第1係合部47aよりも原点位置側に設けることによって、キャップリフトホルダ41は確実に右上方向へ円弧状に変位し、密着位置に移動できるようにしたが、本第2実施形態では、受け板44を記録ヘッド10側に傾斜させることによって、キャップリフトホルダ41を確実に密着位置に移動できるようにしている。
第2実施形態のインクジェットプリンタの構成は上述した第1実施形態のインクジェットプリンタと類似であるので、構成又は機能に関し同じ機能を有するものについては同じ符号を付して説明は省略する。
図19は、キャップリフトホルダ41が待機位置にあるある状態を表わす概略断面図である。図19に示すように、本第2実施形態では、キャップリフトホルダ41の受け板44の記録ヘッド10側の面の上端部が記録ヘッド10側に出っ張るように傾斜させている。
このように、キャップリフトホルダ41の受け板44の記録ヘッド10側の面を傾斜させると、記録ヘッド10が原点位置側に移動して、記録ヘッド10が受け板44の斜面に当接する。
すると、受け板44の斜面が図中左上から右下方向に傾いているので、受け板44の斜面には、図中右上向きの分力が発生する。この右上向きの分力により、第1係合部47a及び第2係合部47bには、右上向きの力、つまり、右上向きに引っ張り上げの力が加わる。
第1係合部47a及び第2係合部47bに右上向きの引っ張り上げの力が加わると、キャップリフトホルダ41は、コジリを生じることなく、記録ヘッド10の原点位置側への移動に伴い、密着位置にスムーズに移動することができる。
つまり、2本の等長リンク42a,42bの長さに関係なくキャップリフトホルダ41を待機位置から密着位置までスムーズに移動させることができる。したがって、2本の等長リンク42a,42bを短くすることができるので、メンテナンスユニット4を小型化することができる。
さらに、メンテナンスユニット4を小型化することができるので、そのメンテナンスユニット4を組み込んだインクジェットプリンタも小型化することができる。
また、メンテナンスユニット4では、キャップリフトホルダ41を移動させる際にコジリが発生しないので、キャップリフトホルダ41を押す記録ヘッド10を搭載するキャリッジ3を駆動するための駆動装置、例えばモータの負荷を軽減できる。したがって、モータも小型化することができるので、その観点からもインクジェットプリンタを小型化することができる。
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
上記実施形態では、4節平行リンクによりキャップリフトホルダ41を待機位置から密着位置へ移動させているが、カム機構によって移動させるようにしてもよい。
つまり、図20(a)に示すように、メンテナンスフレーム111に記録ヘッド10を挟むように壁部113を設け、その壁部113に案内溝114a,114bを設ける。
そして、第1係合部47a、第2係合部47bを記録ヘッド10から突出させたボス形状として、そのボス47aを案内溝114aに挿入し、ボス47bを案内溝114bに挿入する。
このようにすれば、上記実施形態の4節リンク機構と同じようにして、キャップリフトホルダ41を案内溝114a、114bに沿って、待機位置から密着位置まで、コジリを発生させることなく移動させることができる。
また、図20(b)に示すように、カム機構とリンク機構とを併用するようにしてもよい。つまり、第1係合部47aを等長リンク42aでメンテナンスフレームの固定点aに係合し、第2係合部47bをボスで形成し、メンテナンスフレーム111の壁部113に設けた案内溝114bに挿入してカム機構とする。
このようにしても、上記実施形態の4節リンク機構と同じようにして、キャップリフトホルダ41を案内溝114a,114bに沿って、待機位置から密着位置まで、コジリを発生させることなく移動させることができる。
また、以上に説明した実施形態では、いずれの場合もキャップ支持部112をメンテナンスフレーム111に設けていたが、キャップ支持部112をキャップリフトホルダ41に設けるようにしても、前述の実施形態と同じ効果を得ることができる。
また、以上に説明した実施形態では、液滴噴射装置としてインクジェットプリンタについての説明を行っているが、液滴噴射装置は、レンズ製造器等であってもよい。すなわち、例えば、液滴としてインクの代わりに液体樹脂を用い、被液滴噴射媒体として樹脂板を用いる。そして、記録ヘッド10から、液体樹脂を樹脂板に噴射して、樹脂板上に凹面や凸面を形成することによって、樹脂レンズを製造するレンズ製造器を構成してもよい。
さらに、溶融半田をノズルから噴射させることによって各種プリント配線板等への半田付けを自動で行う半田付け装置や、有機ELディスプレイを製造する際に、高分子有機材料(発光体)をインクジェット方式により噴射することによって有機膜を形成するための装置、或いは、樹脂をスラリー化してノズルから噴射させる装置などのように、サブタンクに貯蔵された液体をノズルから液滴として噴射するよう構成された様々な液滴噴射装置を構成することが可能である。
インクジェットプリンタの外観斜視図である。 インクジェットプリンタの内部機構の全体構成を表わす平面図である。 キャリッジの概略断面図である。 メンテナンスユニットに回転駆動力を伝達するための機構を表わす斜視図である。 メンテナンスユニットの外観斜視図である。 メンテナンスユニットを底面側から視た斜視図である。 メンテナンスユニットの底面図である。 キャップリフトホルダ41が待機位置にあるときのメンテナンスユニットの断面図である。 キャップリフトホルダ41が待機位置にあるときのメンテナンスユニットの断面図である。 キャップリフトホルダ41が密着位置にあるときのメンテナンスユニットの断面図である。 キャップリフトホルダ41が密着位置にあるときのメンテナンスユニットの断面図である。 キャップリフトホルダ41が待機位置にあるときのメンテナンスユニット4の概略構成図である。 キャップリフトホルダ41が密着位置にあるときのメンテナンスユニット4の概略構成図である。 カラー用の開閉部材が閉弁位置にある状態を表わすカムの平面図である。 カラー用の開閉部材が開弁位置にある状態を表わすカムの平面図である。 ワイパが拭取位置に保持されているときのワイパのカムフォロアとカムの解除部との位置関係を表わす概略平面図である。 ワイパが拭取位置から待機位置へ変位する過程を表わす概略断面図である。 従来のキャッピング装置の概略構成と作動の概略を表わす概略図である。 第2実施形態におけるメンテナンスユニットの概略構成図である。 他の実施形態におけるメンテナンスユニットの概略構成図である。
符号の説明
1…本体フレーム、2…原稿読取り装置、3…キャリッジ、4…メンテナンスユニット、5…インクタンク、6…排紙トレイ、7…給紙トレイ、8…記録領域、9…メンテナンス位置、10…記録ヘッド、11…バッファタンク、12…気泡貯留室、13…インク流室、14…チューブ、15…フィルタ、16…バルブケース、17…排出路、18…排出口、19…開閉弁、20…弁体、21…バネ、22…弁口、24…モータ、25…減速ギヤ、26…回転軸、27…駆動ギヤ、28…大径傘歯車、29…スライドギヤ、30…小径傘歯車、31…減速ギヤ、32…太陽ギヤ、33…軸、34…旋回アーム、35…遊星ギヤ、36…従動ギヤ、37…ポンプギヤ、38…ポンプ、40…排気キャップ、41…キャップリフトホルダ、42a,42b…等長リンク、43…復帰バネ、44…受け板、47a…第1係合部(ボス)、47b…第2係合部(ボス)、50…開閉部材、55…カム、60…ノズルキャップ、62…スペーサ、64…吸気口、70…切換手段、79…黒色インク用ポート、80…カラー用ポート、90…ワイパ、91…規制板、92…ストッパ、93…係止部、94…係止突起、95…バネ、96…カムフォロア、97…カム溝、97a…円弧部、97b…隆起部、97c…解除部、100…キャリッジロック、101…フランジ部、102…カム面、102a…ロック領域、102b…ロック解除領域、103…カムフォロア、110…キャリッジフレーム、111…メンテナンスフレーム、112…キャップ支持部、113…壁部、114a,114b…案内溝。

Claims (5)

  1. 液滴噴射ヘッドから液滴を被液滴噴射媒体に噴射するための液滴噴射領域と前記液滴噴射ヘッドの開口部をクリーニングするためのメンテナンス領域との間を往復移動するキャリッジに搭載された前記液滴噴射ヘッドの開口部を封止する封止手段と、
    前記封止手段を支持するための第1の係合部及び前記第1の係合部より前記液滴噴射領域側に設けられた第2の係合部を備え、前記キャリッジの往復移動に連動して前記封止手段が前記液滴噴射ヘッドの開口部を封止する密着位置と前記封止面が前記液滴噴射ヘッドの開口部から離間して前記液滴噴射ヘッドの開口部を開口させる待機位置へ前記封止手段を移動可能に構成された案内機構と、
    前記案内機構を設置する基体と、
    を備えた液滴噴射装置のメンテナンスユニットであって、
    前記封止手段が前記待機位置にあるときに前記封止手段を前記第1の係合部の位置又は前記第1の係合部よりも前記メンテナンス領域側向きにある位置で前記基体に支持する支持部を備えていることを特徴とするメンテナンスユニット。
  2. 液滴噴射ヘッドから液滴を被液滴噴射媒体に噴射するための液滴噴射領域と前記液滴噴射ヘッドの開口部をクリーニングするためのメンテナンス領域との間を往復移動するキャリッジに搭載された前記液滴噴射ヘッドの開口部を封止する封止手段と、
    前記キャリッジの往復移動に連動して前記封止手段が前記液滴噴射ヘッドの開口部を封止する密着位置と前記液滴噴射ヘッドの開口部から離間して前記液滴噴射ヘッドの開口部を開口させる待機位置へ前記封止手段を移動可能に構成された案内機構と、
    を備えた液滴噴射装置のメンテナンスユニットであって、
    前記封止手段は、
    前記液滴噴射領域側から前記メンテナンス領域側へ移動する前記キャリッジの一部又は前記液滴噴射ヘッドの一部が当接したときに加わる押圧力が前記待機位置から前記密着位置へ向かう向きの分力を発生させる形状に形成されている当接部を備えていることを特徴とするメンテナンスユニット。
  3. 請求項1に記載の液滴噴射装置のメンテナンスユニットにおいて、
    前記案内機構は、2本のリンクを備え、
    前記2本のリンクのうち1本は、一端が前記第1の係合部に回転可能に結合され、他端が前記基体に回転可能に結合され、他の1本は、一端が前記第2の係合部に回転可能に結合され、他端が前記基体に回転可能に結合された平行4節リンク機構であることを特徴とするメンテナンスユニット。
  4. 請求項3に記載の液滴噴射装置のメンテナンスユニットにおいて、
    前記封止手段は、請求項2に記載の当接部を備えていることを特徴とするメンテナンスユニット。
  5. 液滴を噴射する液滴噴射ヘッドと、
    前記液滴噴射ヘッドを搭載し、液滴を被液滴噴射媒体に噴射するための液滴噴射領域と前記液滴噴射ヘッドの開口部をクリーニングするためのメンテナンス領域との間で前記液滴噴射ヘッドを往復移動させるキャリッジと、
    前記被液滴噴射媒体を前記キャリッジの往復運動方向に対して略直角方向へ移動させる被液滴噴射媒体移動手段と、
    請求項1〜請求項4の何れかに記載のメンテナンスユニットと、
    を備えたことを特徴とする液滴噴射装置。
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