JP2007175962A - 撥液性構造体およびその製造方法、液体吐出ヘッドならびに保護フィルム - Google Patents

撥液性構造体およびその製造方法、液体吐出ヘッドならびに保護フィルム Download PDF

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Abstract

【課題】水、有機溶剤、または油などの液体において撥液性を示す撥液増大構造体、およびこの撥液増大構造体を安価かつ大量に製造することができる製造方法を提供することにある。また、水、有機溶剤、または油などを安定して吐出させることができる液体吐出ヘッドを提供することにある。さらに、汚れを防止する保護フィルムを提供する。
【解決手段】本発明の撥液性構造体は、支持体と、有機化合物を溶解した有機溶媒溶液を支持体上に塗布し、この支持体を水蒸気雰囲気中に置き、有機溶媒溶液の表面に液滴を形成させた後、有機溶媒および液滴を蒸発させて形成されたハニカム構造膜と、ハニカム構造膜の表面に形成されたフッ素を含む材料からなるコーティング膜とを有する。
【選択図】図4

Description

本発明は、水、有機溶媒、油などの液体に対しても高い撥液性を示す撥液性構造体、およびこの撥液性構造体を高い生産性で製造する製造方法、さらに、この撥液性構造体を用いた液体吐出ヘッド、および汚れを防止する保護フィルムに関する。
現在、水に対して撥液性を示す材料およびその表面構造に関しては、フッ素系材料を用いることで90°以上の接触角が得られている。これに対して有機溶剤および油などの表面張力が低い液体において撥液性を示す材料、および構造は十分に検討されていない。
これまで知られている撥液性を有する材料は、主に水に対して撥液性(撥水性とも呼ばれる)を示すものがほとんどである。雨具、もしくは台所用品などの家庭で使われる器具、または産業用品などに撥水性材料が使われている。
また、撥液性を有する材料は、産業用ではインク微小液滴を吐出・飛翔させ、記録紙に付着させることで記録を行うインクジェットに適用されている。インクジェットにおいては、吐出口周辺に撥液性膜を形成させることが吐出性能向上に非常に重要である。
このような水に対して撥液性を示す撥液性材料としてニッケル共析メッキによって形成されたPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)膜で水に対する接触角が150°を超える超撥水膜が実現されている。
このように撥液性を向上させるには、材料の性質(低い表面張力をもつ材料)と表面構造の両方の検討が重要であり、従来から種々検討されている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1には、基材表面にフォトリソグラフィー法により形成された凹凸構造を有し、この凹凸構造の表面に、100nm程度の膜厚の撥水膜が形成された撥水性構造体が開示されている。
また、特許文献1以外にも、撥液性のポリマーの表面に結露させた微小水滴を蒸発させることにより、ハニカム構造体を形成する方法が知られている(例えば、特許文献2参照)。
特許文献2には、生分解性ポリマーおよび両親媒性ポリマーからなるポリマーの疎水性有機溶媒溶液を、相対湿度50〜95%の大気下で基板上にキャストし、有機溶媒を徐々に蒸散させると同時にキャスト液表面で結露させ、結露により生じた微小水滴を蒸発させることにより得られるハニカム構造体が開示されている。
さらに、ハニカム構造体において撥水性が優れたものも提案されている(特許文献3および非特許文献1参照)。
特許文献3および非特許文献1には、フッ素重合体を含有する有機溶媒溶液を、基板上に塗布し、水蒸気雰囲気下で、有機溶媒を蒸散させて、塗布液表面で結露させ、この結露により生じた微小液滴を蒸発させて形成されたハニカム構造を有する撥水撥液性薄膜が開示されている。
特開2000−226570号公報 特開2001−157574号公報 特開2005−23122号公報 H.Yabu,et.al. 「Superhydrophobic and Lipophobic Properties of Self-Organized Honeycomb and Pincushion Structures」 Langmuir 3,8,2005,21,3235-3237.
しかしながら、特許文献1の撥水性構造体は、凹凸構造を形成にフォトリソグラフィー法を用いている。このため、高価な製造装置を必要とし、清浄環境で製造する必要がある。さらには、製造工程においても、パターニングなどが必要であり、工程数が増加し、製造時間がかかり、かつ製造コストも嵩むという問題点がある。また、特許文献1の撥水性構造体においては、凹凸構造の表面に形成される撥水膜の膜厚は、100nm程度と薄く、耐摩耗性が十分とはいえず、経時劣化による影響が無視できないという問題点もある。
また、特許文献1の撥水性構造体においては、フォトリソグラフィー法を利用している。このため、1回の露光で露光される領域は限られており、例えば、シート状の支持体上に大面積に形成する場合、パターニング作業が困難であるという問題点もある。
また、特許文献2に開示されているハニカム構造体は、撥水性を考慮していない。
また、特許文献3および非特許文献1の撥水撥液膜は、フッ素を含む有機溶媒溶液を用いるため、ハニカム構造の製造条件が制限されるとともに、用いるフッ素を含む有機溶媒溶液の組成なども制限されるという問題点がある。このようなことから、特許文献3および非特許文献1の撥水撥液膜は、製造条件の余裕度が狭く、低いコストで製造することが困難であるという問題点もある。
また、従来から、有機溶剤または油などが表面に付着すると撥液性を劣化させてしまうことが知られており、有機溶剤または油であっても撥液性を示す材料が望まれている。
しかしながら、現状では、有機溶剤または油などでも撥液性を示す材料の検討はあまりなされていない。その主な理由は、有機溶剤または油の表面張力が水よりかなり小さいため撥液性を得ることが容易でないためである。
以下、有機溶剤または油等の低い表面張力を持つ材料について撥液性を得ることが容易ではない理由について詳細に説明する。
図17に示すように、平滑な固体150の表面150a上に置かれた液体152が作る接触角θは、液体152の表面張力γと固体150の表面張力γと、更に固体150と液体152の間に働く相互作用(界面張力)γSLとの関係で下記数式1のように表される。
Figure 2007175962
また、固体−液体間の界面張力γSLは、下記数式2のように表される。
Figure 2007175962
上記数式1および数式2を組み合わせることにより下記数式3が導かれる。この数式3は固体の表面張力γと液体の表面張力γとの大小関係で撥液性をあらわす接触角が導かれることを意味する。
Figure 2007175962
ここで、接触角が90°以上である場合、「撥液性」を示すと定義され、接触角が90°未満である場合、「親液性」を示すと一般的に定義されている(高撥水技術の最新動向、東レリサーチセンター、p1)。この撥液性を実現しうる関係は下記4式で表される。
Figure 2007175962
すなわち、固体の表面張力γが液体の表面張力γの1/4以下である必要がある。水の表面張力が74mN/mであり、水に対して撥液性を示すには固体の表面張力γはその1/4以下、すなわち、19mN/m以下である必要がある。ここで、下記表1に各物質の表面張力を示す。固体でその値を持つ材料としてテフロン(登録商標)またはサイトップ(登録商標)などが挙げられ、90°以上の接触角θを得ることができる。
Figure 2007175962
一方、有機溶剤、または油などは水に比べて著しく小さい値を持っている。例えば、デカンは、表面張力が24mN/mであり、このような液体に対して撥液性を示すためには、6mN/m以下の表面張力を持つ固体が必要である。このような固体としては、パーフルオロラウリック酸があるが、原子層オーダーの単分子膜しか形成できないこと、また水に対して撥液性を示さないことから、実際のところ実用的ではないと言える。
撥液性を向上させるもう一つの方法として、表面構造の導入が知られている。この表面構造のモデルとしては、大きく2つのモデルがある。1つは、図18に示すように、固体154の表面にミクロな凹凸156を形成して表面積を増大させることで、接触角が増加するWentzel(ウェンゼル)モデルである。
ここで、図18において、θは真の接触角(表面が平滑な場合の接触角θ(図17参照))であり、θは見かけの接触角である。
接触角θと見かけの接触角θとの関係は下記数式5のように表される。なお、下記数式5におけるrは表面増倍係数である。このrは、真の表面積と見かけの表面積の比で表されるものである。
Figure 2007175962
このウェンゼルモデルにおいては、親液性であるものは、より親液性になり、撥液性であるものは、より撥液性になる。
ここで、図19は、縦軸にcosθをとり、横軸にcosθをとってウェンゼルモデルにおける接触角θと見かけの接触角θとの関係を示すグラフである。
図19に示すように、ウェンゼルモデルにおいては、材料自体が対象となる液体に対して接触角が90°以上(cosθ<0)でなければ、それ以上の接触角の向上は困難である。
また、ウェンゼルモデルにおいては、表面に凹凸などの表面構造がない場合、図19に示す直線Lのようになる。この直線Lにおける表面増倍係数rは1(r=1)である。一方、表面に凹凸などの表面構造を有する場合、図19に示す直線Mのようになる。表面に表面構造が導入されると、表面積が大きくなり、この直線Mにおける表面増倍係数rが1よりも大きくなる(r>1)。
また、表面構造モデルとしてはもう一つCassie(カッシー)モデルがある。図20に示すように、カッシーモデルにおいては、固体158に凹部160が形成されている。この凹部160には固体158とは異なる物質159が充填されている。異なる表面張力をもつ2種の材料(固体158、および物質159)で表面が構成されている場合において、見かけの接触角θfは表面158aに露出した2種の材料(固体158、および物質159)と液体162と真の接触角θ、θ(図示せず)との関係で定まるものであり、下記数式6により表される。なお、下記数式6におけるA、Aはそれぞれ係数であり、複合表面における各物質の面積割合(面積比率)を示すものである。これらの係数A、Aは下記数式7に示すような関係にある。
Figure 2007175962
Figure 2007175962
このカッシーモデルにおいては、2種の材料のうち、1種が空気である場合、すなわち、1種の材料(固体158)の表面に微細な凹凸が形成されている場合を考える。図21(a)に示すように、固体158自体が対象となる液体162に対して撥液性を示す(θ>90°)とき、凹部160には液体162が侵入できず、凹部160に空気層が存在することになる。
ここで、空気における接触角θは180°になることから、上記数式6で表される見かけの接触角θは、下記数式8のように表わすことができる。
Figure 2007175962
一方、単一の固体158が対象となる液体に対して、親液性を示す(θ<90°)とき、図21(b)に示すように、凹部160に液体162が侵入し、凹部160が液体162で満たされる。このとき、凹部160の液体との接触角は、0°であるから、上記数式6で表される見かけの接触角θは、下記数式9のように表わすことができる。
Figure 2007175962
ここで、図22は、縦軸にcosθをとり、横軸にcosθをとってカッシーモデルにおける接触角θと見かけの接触角θとの関係を示すグラフである。
このカッシーモデルにおいても、図22に示すように、親液性であるものは、より親液性になり、撥液性であるものは、より撥液性になる。
なお、カッシーモデルにおける接触角が90°付近の急峻な変化については、ウェンゼルモデルが適用できるという説明もある。
また、ウェンゼルモデルおよびカッシーモデルを統合したウェンゼルーカッシー統合モデルが提案されている。このウェンゼルーカッシー統合モデルは、ウェンゼルモデル、カッシーモデルの両方の性質を示す。
図23に示すように、ウェンゼルーカッシー統合モデルは、折れ線Kで示され、cosθ=cosθのラインを境にして第1象現Dの上半分の第1A象現D11と第3象現Dの第3A象現D31の中に収まっている。第1A象現D11は親液性が増大する領域であり、接触角が減少する領域である。また、第3A象現D31は撥液性が増大する領域であり、接触角が増加する領域である。ウェンゼルーカッシー統合モデルでは、図23に示すように、第1A象現D11および第3A象現D31の中だけで推移するに留まる。
このように、図19、図22および図23に示すように、ウェンゼルモデルおよびカッシーモデルならびにウェンゼルーカッシー統合モデルのいずれにおいても、対象となる液体に対して固体自体が撥、すなわち、接触角>90°でない限り、固体に、表面構造が導入されても撥液性が向上することがない。したがって、有機溶剤または油などの表面張力が低い液体で、接触角90°以上を示すことができる撥液性を示す撥液材料が存在しないため、有機溶剤または油で撥液性を実現することができない。
なお、撥液性を向上させるためには、上述のように凹部の面積比率を増大させることが考えられる。このため、特許文献3および非特許文献1の撥水撥液性薄膜においては、ハニカム構造体の凹部の面積比率を増大させることにより、撥液性を向上させることできると考えられる。特許文献3および非特許文献1においては、結露により生じた液滴を蒸発させて孔を形成するため、液滴の大きさを制御して面積比率を調整することができる。しかしながら、液滴の大きさを制御するためには、製造条件の決定に多くの実験などが必要であり、容易にできるものではない。このように、特許文献3および非特許文献1において、凹部の面積比率を制御することは難しい。
本発明の目的は、水、有機溶媒、および油などの液体に対して高い撥液性を有する撥液性構造体を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、水、有機溶媒、および油などの液体に対して高い撥液性を有する撥液性構造体を安価、かつ大量に製造することができる撥液性構造体の製造方法を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、水、有機溶媒、および油などの液体を安定して吐出させることができる液体吐出ヘッドを提供することにある。
また、本発明の他の目的は、汚れを防止することができる保護フィルムを提供することにある。
上述の目的を達成するために、本発明の第1の態様は、支持体と、有機化合物を溶解した有機溶媒溶液を前記支持体上に塗布し、前記支持体を水蒸気雰囲気中に置き、前記有機溶媒溶液の表面に液滴を形成させた後、有機溶媒および前記液滴を蒸発させて形成されたハニカム構造膜と、前記ハニカム構造膜の表面に形成されたフッ素を含む材料からなるコーティング膜とを有することを特徴とする撥液性構造体を提供するものである。
また、本発明の第2の態様は、支持体と、有機化合物を溶解した有機溶媒溶液を前記支持体上に塗布し、前記支持体を水蒸気雰囲気中に置き、前記有機溶媒溶液の表面に液滴を形成させた後、有機溶媒および前記液滴を蒸発させ、さらにエッチングすることにより形成された撥液機能膜とを有することを特徴とする撥液性構造体を提供するものである。
本発明においては、前記撥液機能膜は、多孔質状、繊維状、骨組み状、または針状構造を有することが好ましい。
また、本発明においては、前記撥液機能膜がフッ素を含む材料から形成されるものであることが好ましい。
さらに、本発明においては、さらに、前記撥液機能膜の表面に形成されたフッ素を含む材料からなるコーティング膜を有することが好ましい。
また、本発明の第3の態様は、有機化合物を溶解した有機溶媒溶液を支持体上に塗布する工程と、前記支持体を水蒸気雰囲気中に置き、前記有機溶媒溶液の表面に液滴を形成させた後、有機溶媒および前記液滴を蒸発させてハニカム構造膜を形成する工程と、前記ハニカム構造膜の表面にフッ素を含む材料からなるコーティング膜を形成する工程とを有することを特徴とする撥液性構造体の製造方法を提供するものである。
また、本発明の第4の態様は、有機化合物を溶解した有機溶媒溶液を支持体上に塗布する工程と、前記支持体を水蒸気雰囲気中に置き、前記有機溶媒溶液の表面に液滴を形成させた後、有機溶媒および前記液滴を蒸発させてハニカム構造膜を形成する工程と、前記ハニカム構造膜をエッチングし、第2のハニカム構造膜を形成する工程とを有することを特徴とする撥液性構造体の製造方法を提供するものである。
本発明においては、さらに、前記第2のハニカム構造膜の表面にフッ素を含む材料からなるコーティング膜を形成する工程を有することが好ましい。
また、本発明においては、さらに、前記第2のハニカム構造膜の表面に補強層を形成する工程と、前記補強層の表面にフッ素を含む材料からなるコーティング膜を形成する工程とを有することが好ましい。
また、本発明においては、前記有機化合物がフッ素を含む材料であることが好ましい。
本発明の第3の態様および第4の態様においては、前記コーティング膜を形成する工程は、前記フッ素を含む材料を気相吸着させて形成するものであることが好ましい。
本発明の第3の態様においては、前記コーティング膜を形成する工程は、成膜用有機溶媒と前記フッ素を含む材料とを含有する成膜用有機溶媒溶液に、前記ハニカム構造膜が形成された支持体を浸漬させて、所定の時間経過後、前記支持体を前記成膜用有機溶媒溶液から取り出し、前記支持体を前記成膜用有機溶媒で洗浄し、乾燥させるものであることが好ましい。
また、本発明の第4の態様においては、前記コーティング膜を形成する工程は、成膜用有機溶媒と前記フッ素を含む材料とを含有する成膜用有機溶媒溶液に、前記第2のハニカム構造膜が形成された支持体を浸漬させて、所定の時間経過後、前記支持体を前記成膜用有機溶媒溶液から取り出し、前記支持体を前記成膜用有機溶媒で洗浄し、乾燥させるものであることが好ましい。
さらに、本発明の第4の態様においては、前記コーティング膜を形成する工程は、成膜用有機溶媒と前記フッ素を含む材料とを含有する成膜用有機溶媒溶液に、前記補強層が形成された支持体を浸漬させて、所定の時間経過後、前記支持体を前記成膜用有機溶媒溶液から取り出し、前記支持体を前記成膜用有機溶媒で洗浄し、乾燥させるものであることが好ましい。
また、本発明の第3の態様および第4の態様においては、前記コーティング膜を形成する工程は、CVD、スパッタリング、および蒸着のいずれかの方法が用いられることが好ましい。
また、本発明の第3の態様および第4の態様においては、前記エッチング工程は、プラズマエッチングまたはウェットエッチングが用いられることが好ましい。
また、本発明の第5の態様は、溶液の液滴を吐出させる液体吐出ヘッドであって、前記液滴が吐出される複数の貫通穴が形成された吐出基板を有し、前記吐出基板波、前記貫通穴の周辺の溶液吐出面が、本発明の第1の態様または第2の態様の撥液性構造体の基板の表面となるように、前記撥液性構造体が配置されていることを特徴とする液体吐出ヘッドを提供するものである。
本発明においては、前記溶液は、帯電粒子が分散されたものであり、さらに、前記貫通穴の個々に対応して配置される、前記溶液に静電力を作用させる吐出電極と、前記貫通穴を通過して前記吐出基板の液滴吐出側に突出する溶液ガイドとを有し、前記吐出電極による静電力により、前記液滴が吐出されることが好ましい。
本発明においては、前記吐出基板の前記角貫通穴から前記液滴を吐出させる圧電方式またはサーマル方式の液滴吐出手段を有し、前記液滴吐出手段により、前記液滴が吐出されることが好ましい。
また、本発明の第6の態様は、支持体と、前記支持体の表面に形成された本発明の第1の態様または第2の態様の撥液性構造体とを有することを特徴とする保護フィルムを提供するものである。
本発明の第1の態様の撥液性構造体によれば、支持体と、有機化合物を溶解した有機溶媒溶液を支持体上に塗布し、有機溶媒溶液の表面に液滴を形成させた後、有機溶媒および液滴を蒸発させて形成されたハニカム構造膜と、このハニカム構造膜の表面に形成されたフッ素を含む材料からなるコーティング膜とを設けることにより、水、有機溶媒および油などに対して、接触角を増加させることができ、高い撥液性を得ることができる。さらには、表面張力が40mN/m以下の液体などの水よりも表面張力が低い液体の接触角を増加させることができ、高い撥液性を得ることができる。
本発明の第2の態様の撥液性構造体によれば、支持体と、有機化合物を溶解した有機溶媒溶液を支持体上に塗布し、有機溶媒溶液の表面に液滴を形成させた後、有機溶媒および液滴を蒸発させ、さらにエッチングすることにより形成された撥液機能膜とを設けることにより、水、有機溶媒および油などに対して、接触角を増加させることができ、高い撥液性を得ることができる。さらには、表面張力が40mN/m以下の液体などの水よりも表面張力が低い液体の接触角を増加させることができ、高い撥液性を得ることができる。
本発明の第3の態様の撥液性構造体の製造方法によれば、有機化合物を溶解した有機溶媒溶液を支持体上に塗布する工程と、支持体を水蒸気雰囲気中に置き、有機溶媒溶液の表面に液滴を形成させた後、有機溶媒および液滴を蒸発させてハニカム構造膜を形成する工程と、ハニカム構造膜の表面にフッ素を含む材料からなるコーティング膜を形成する工程とを有することにより、水、有機溶媒および油などに対して、接触角を増加させることができ、高い撥液性を得ることができる。さらには、表面張力が40mN/m以下の液体などの水よりも表面張力が低い液体の接触角を増加させることができ、高い撥液性を得ることができる。
また、本発明の第3の態様の撥液性構造体の製造方法によれば、フォトリソグラフィー法を用いるものではないため、製造工程においてパターニングなどが不要であり、工程を少なくすることができ、製造工程を簡素化できるため、安価に製造することができる。また、有機溶媒溶液を支持体上に塗布し、液滴を結露させ、その後蒸発させるだけであるため、パターニングが不要であり、工程数を減らし、簡素化でき、例えば、広い面積を有するシート状のものについても、容易に製造することができる。
本発明の第4の態様の撥液性構造体の製造方法によれば、有機化合物を溶解した有機溶媒溶液を支持体上に塗布する工程と、支持体を水蒸気雰囲気中に置き、有機溶媒溶液の表面に液滴を形成させた後、有機溶媒および液滴を蒸発させてハニカム構造膜を形成する工程と、ハニカム構造膜をエッチングし、第2のハニカム構造膜を形成する工程とを有することにより、水、有機溶媒および油などに対して、接触角を増加させることができ、高い撥液性を得ることができる。さらには、表面張力が40mN/m以下の液体などの水よりも表面張力が低い液体の接触角を増加させることができ、高い撥液性を得ることができる。
また、本発明の第4の態様の撥液性構造体の製造方法によれば、フォトリソグラフィー法を用いるものではないため、製造工程においてパターニングなどが不要であり、工程を少なくすることができ、製造工程を簡素化できるため、安価に製造することができる。また、有機溶媒溶液を支持体上に塗布し、液滴を結露させ、その後蒸発させ、さらにエッチングを施すだけであるため、パターニングが不要であり、工程数を減らし、簡素化でき、例えば、広い面積を有するシート状のものについても、容易に製造することができる。
本発明の第5の態様の液体吐出ヘッドによれば、本発明の第1の態様または第2の態様の撥液性構造体を、その基板の表面が、吐出基板の貫通孔の周辺の溶液吐出面となるように配置することにより、水、有機溶媒および油などに対して、接触角を増加させることができ、さらには、表面張力が40mN/m以下の液体などの水よりも表面張力が低い液体の接触角を増加させることができ、メニスカスを安定化できる。これにより、水、有機溶媒および油などを安定して吐出させることができ、高画質の画像を得ることができる。さらには、インクに、表面張力が40mN/m以下からなる液体を用いた場合であっても、インクを安定して吐出させることができ、高画質の画像を得ることができる。
本発明の第6の態様の保護フィルムによれば、本発明の第1の態様または第2の態様の撥液性構造体を、支持体の表面に設けることにより、水、有機溶媒および油などに対して、接触角を増加させることができ、高い撥液性を得ることができる。さらには、表面張力が40mN/m以下の液体などの水よりも表面張力が低い液体の接触角を増加させることができ、汚れの主成分である油分をはじくことができるため、油などをとりやすくなる。これにより、指紋、皮脂、汗、および化粧品などの付着による汚れを防ぐことができるとともに、汚れも容易に落すことができる。このように、本発明の第6の態様の保護フィルムは、指紋、皮脂、汗、および化粧品などの汚れを防ぐことができるため、タッチパネル、または各種モニタの表面に貼り付けるフィルターなどに好適に用いることができる。
以下に、添付の図面に示す好適実施形態に基づいて、本発明の撥液増大構造体およびその製造方法、液体吐出ヘッドならびに保護フィルムを詳細に説明する。
図1は、縦軸にcosθをとり、横軸にcosθをとって本発明の表面構造モデルにおける接触角θと見かけの接触角θとの関係を示すグラフである。
本発明者は、表面構造、および撥液材料について鋭意検討した結果、表面構造、および撥液材料の最適化により、カッシーモデルの修正に基づく凹部における空気内包の効果により、親液性から撥液性への改善が可能であることを見出した。すなわち、固体自体で接触角が90°以下(親液性の材料)であっても、表面構造によっては、接触角が90°以上になるか、または接触角が90°以下であるものの増加させることができることを見出し、有機溶剤、または油などの表面張力が低い液体に対しても接触角を大きくする手段を知見し、本発明に至った。
一般的に良く知られているモデル(ウェンゼルモデル、カッシーモデル)では、固体材料自体が撥液性を有するものでなければ、撥液性を向上させることは不可能(図19、図22および図23参照)である。それらのモデルによれば、水のような表面張力が高い液体で高い接触角を得られても、有機溶剤、または油などの表面張力が低い液体に対しては、接触角が小さく、撥液性を示さないことが容易に予測される。多くの報告は、水での実験結果から高い撥液性を報告するものの、有機溶剤、または油などで実験することはない。そして、多くの発明では、撥液性について、水の実施例(実験結果)を示し、それに追加する形で実験をすることなく、従来のモデルから撥液性を示さないことが予測できるにもかかわらず、有機溶剤、または油などでも撥液性があるかのような記述をしている。これは正しい知見から得られた発明とはいえない。
そこで、本発明者は、表面の凹凸構造の形状について詳細な検討を行った結果、カッシーモデルが場合によっては、修正されうることを見出した。すなわち、材料の性質による接触角が90°以下であっても、表面構造の導入によっては、接触角を増加させることができる。従来のモデルでは、材料の性質による接触角が90°以下である場合には、表面構造の導入により、接触角は減少する。すなわち、親液性は、より親液性になる。
材料の性質で決まる接触角θが90°以下(cosθ>0)であっても、凹部160が空気で占められる状態が維持(図21(a)参照、数式8参照)され、図1に示すように、接触角θは増加する。なお、この場合、接触角θは、下記数式10で表される。
Figure 2007175962
そして、ある値(θ=θ(遷移角度))を境にカッシーモデル(図22参照、数式9参照)に従い親液性を示すようになる。カッシーモデルにおける遷移角θは、90°であるが、固体の表面に凹凸構造を設けることにより、遷移角θが90°以下にシフトすることが見出された。
本発明においては、遷移角θまで、所定の液体に対して固体が親液性であっても、その所定の液体に対して、撥液性への遷移が許容される。そして、この遷移角度は、凹凸の先鋭度、そのなす角度などに関係している。
一般に接触角が90°を境にして、親液性および撥液性を区別しているが熱力学的には、何の根拠もない。また、ウェンゼルモデル、カッシーモデルともに親液性、撥液性の性質を別々に考えており、その間の境界部分については、何ら考慮されていない。ウェンゼルモデルでは、材料の性質による接触角が90°である場合、表面構造を導入しても変化なく90°であり、カッシーモデルでは、90°近辺で急激な変化が起こることになってしまう。実際の表面では両モデルで表わされるふるまいが混在しているはずであり、この90°近辺の詳しい検討が必要である。そして、その詳細な検討の結果、カッシーモデルに従う表面構造において、その急激な変化が起こる遷移角度が表面構造によって異なること、そしてそれは、親液性材料でも表面構造で撥液性に変わりうることを見出した。
なお、図1において、第1象現Dは、所定の液体に対して固体が撥液性である場合には、撥液性になる領域である。また、第3象現Dは、所定の液体に対して固体が親液性である場合には、親液性になる領域である。第4象現Dは、所定の液体に対して固体が親液性であっても撥液性になる領域である。
本発明者は、さらに、表面構造、および撥液材料について鋭意検討した結果、表面構造、および撥液材料の最適化により、ウェンゼルモデル、カッシ−モデルの修正に基づく効果により撥液性が増大し、親液性から撥液性への改善が可能であることを見出した。すなわち、固体自体で接触角が90°以下(親液性の材料)であっても、表面構造によって接触角が増加し、接触角が90°以上になるか、または接触角は90°以下であるものの増加することを見出し有機材料または油などの表面張力が低い液体に対しても撥液性を有する手段を知見した。
図23に示すように、ウェンゼルーカッシー統合モデルにおいては、cosθ=cosθのラインを境にして第1象現Dの第1A象現D11と第3象現Dの第3A象現D31の中に収まり、第1A象現D11、および第3A象現D31の中だけで推移するに留まる。第1A象現D11は親液性が増大し、接触角が減少する領域である。また、第3A象現D31は撥液性が増大し、接触角が増加する領域である。ウェンゼルーカッシー統合モデルにおいても、水のような表面張力の高い液体で高い接触角が得られても、有機溶剤または油などの表面張力が低い液体に関しては接触角が小さく、撥液性を示さないことが容易に予測される。
また、図23の他の領域を見てみると第1B象現D12は親液性を有する固体材料に表面構造を導入することで親液性が減少する領域、すなわち、撥液性が増大する領域である。第1B象現D12においては、表面構造を導入することで接触角が増加する。ただし、その接触角は90°以下に留まる。
また、第4象現Dは親液性を有する固体材料に表面構造を導入することで撥液性に変化する領域である。表面構造を導入することにより、固体材料で90°以下の接触角が90°以上に増大することを意味する。
従って、第3A象現D31、第1B象現D12、および第4象現Dは撥液性が増大する領域と言える。図2に示すようにcosθ=cosθのラインを境にして下半分の領域Jを撥液性の増大領域と、上半分の領域Jを親液性の増大領域とに分けることができる。
ここで、本発明者は、表面の凹凸構造の形状について詳細な検討を行った結果、従来のウェンゼルーカッシー統合モデルが場合によっては修正されうることを見出した。すなわち、材料の性質による接触角が90°以下であっても、表面構造の導入によっては接触角を増加させることができる。これは、図2において第1B象現D12と第4象現Dにも、表面構造によっては推移することが可能であることを意味する。
図3は、詳細な検討を行って得られた結果を示すグラフである。
材料の性質で決まる接触角θが90°以下(cosθ>0)であっても、凹部160が空気で占められる状態が維持(図21(a)参照、数式8参照)され、接触角θは増加する。
なお、この場合、接触角θは下記数式11、13で表される。数式11は撥液性におけるカッシ−モデル(数式8)の制限(θ>90°)がなく,接触角θが90°以下でも成り立つ。この数式11は、接触角θが数式12により得られる遷移角度θより大きい場合に成り立つ。
Figure 2007175962
Figure 2007175962
また、接触角θがθより小さい場合には、修正されたウェンゼルモデル(下記数式13)が成り立つ。この数式13においては、付加係数bが追加されている。この付加係数bは、主にAに依存する係数である。
また、この数式13によれば、遷移角θ以上においても撥液増大領域である第4象現Dおよび第1B象現D12に留まる。これはあたかも従来モデルのウェンゼルーカッシー統合モデルでカッシーモデルからウェンゼルモデルへ遷移する遷移角度が右方向(cosθ=1側)にシフトしたように見ることができる。
Figure 2007175962
本発明においては、所定の液体に対して固体が親液性であってもその所定の液体に対して撥液性への遷移または親液性であるものの接触角の増大が許容される。このような傾向は凹凸の角度とパターン形状に関係している。
上述の如く、ウェンゼルモデル、カッシーモデルともに親液性、撥液性の性質を別々に考えており、その間の境界部分については何ら考慮されていない。実際の固体表面では、ウェンゼルモデル、カッシーモデルの両モデルであらわされるふるまいが混在しているはずであり、この90°近辺の詳しい検討が必要である。そして、本発明者等の詳細な検討の結果、略平坦な凹凸構造でそのパターン、凹凸の角度によって従来モデルから推移して図3に示すような特性が得られ、親液性の固体であっても表面構造の導入で撥液性を示すことが可能であることを見出した。
以下、本発明に係る撥液性構造体およびその製造方法、液体吐出ヘッドならびに保護フィルムについて添付の図面を参照して詳細に説明する。
図4は、本発明の第1の実施例に係る撥液性構造体を示す模式的斜視図である。
図4に示すように、本実施例の撥液性構造体10は、支持体12と、支持体12上に形成されたハニカム構造膜14と、ハニカム構造膜14の表面に形成されたコーティング膜18とを有する。
支持体12は、平坦なシート状のものである。
なお、本実施例においては、支持体12の組成は、特に限定されるものではなく、ハニカム構造膜14の材質、製造方法、使用状況などに応じて金属、合金、樹脂またはガラスなどを用いることができる。
具体的には、支持体12には、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、およびプロピオニルセルロースなどのセルロースエーテルを用いることができ、また、支持体12には、例えば、ポリプロピレン、ポリエチラン、およびポリメチルペンテンなどのポリオレフィンを用いることができる。さらには、支持体12には、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリイミド(PI)、シクロオレフィン樹脂等を用いることができる。
ハニカム構造膜14は、その表面14aに複数の凹部16が形成されている。この凹部16は、ハニカム構造膜14に撥液性を発現させるためのものである。この凹部16を形成することにより、上述のように、見かけの接触角θを大きくすることができる。このように、ハニカム構造膜14は、自身の構造特性による撥液性を有するものである。
ハニカム構造膜14の凹部16の面積比率は、18%以上であることが好ましく、更に好ましくは40%以上であり、更に一層好ましくは60%以上である。凹部16の面積比率を高くすることにより、見かけの接触角θが高くなる。
本実施例においては、ハニカム構造膜14は、フッ素を含まない非フッ素系高分子化合物により構成されるものである。
このフッ素を含まない非フッ素系高分子化合物としては、ポリ-ε-カプロラクトン、ポリ−3−ヒドロキシブチレート、アガロース、アートン、ポリ−2−ヒドロキシエチルアクリレート、ポリスルホン、ポリスチレン、ポリ乳酸、ポリブタジエンなどを用いることが望ましい。
また、ハニカム構造膜14においては、凹部16の開口部17の大きさは、対象とする液滴に対して無視できるほどに十分小さいことが好ましい。
この凹部16の開口部17の大きさは、10μm以下が好ましく、更に好ましくは1μm以下である。
コーティング膜18は、ハニカム構造膜14の全面を覆うように、凹部16の内面16aに亘り形成されたものである。このコーティング膜18は、それ自身が撥液性を有するものであり、例えば、F(フッ素)の数が10以上の低分子の撥液材料からなるものであり、例えば、フルオロアルキルシランにより構成されるものである。
また、本実施例においては、コーティング膜18の厚さは、凹部16の形状が維持できる厚さとし、例えば、100nmとする。さらに好ましくは、コーティング膜18の厚さは、10nm以下である。これにより、凹部16が、撥液材料により埋まることがなく、ハニカム構造膜14の局所的な凹凸構造が維持される。このため、局所的な凹凸構造を有する表面構造による撥液性を発現できるとともに、コーティング膜18による撥液性の効果の2つの効果を得ることができる。
上述のように、本実施例の撥液性構造体10においては、ハニカム構造膜14の表面14a(凹部16の内面16aを含む)全面にコーティング膜18を形成することにより、ハニカム構造膜14による局所的な凹凸構造に基づく表面構造による撥液性を得ることができるとともに、コーティング膜18による撥液性の効果の2つの効果を得ることができる。このため、有機溶媒、油または表面張力が40mN/m以下からなる液体などの水よりも表面張力が低い液体の撥液性を増大させることができ、高い撥液性を得ることができる。
次に、本実施例に係る撥液性構造体の製造方法について説明する。
図5(a)〜(e)は、本発明の第1の実施例に係る撥液性構造体の製造方法を工程順に示す模式的断面図である。
先ず、図5(a)に示すように、支持体12の表面に、有機溶媒に非フッ素系高分子化合物(有機化合物)を溶解させた有機溶媒溶液(高分子溶液)を塗布して高分子溶液膜20を形成する。
この高分子材料(非フッ素系高分子化合物)は、水に溶けない非水溶性溶媒(すなわち親油性)に溶解する高分子化合物であり、ポリ-ε-カプロラクトン、ポリ−3−ヒドロキシブチレート、アガロース、アートン、ポリ−2−ヒドロキシエチルアクリレート、ポリスルホン、ポリスチレン、ポリ乳酸、ポリブタジエンなどを好ましく用いることができる。また、有機溶媒の沸点は、水の沸点より低い温度であることが好ましい。キャストした高分子材料を水蒸気を含んだ環境に置き、材料表面に水蒸気が付着して結露し、かつ有機溶媒が、この結露により表面に形成された水滴を避けて蒸発することにより、ハニカム構造膜が形成される。有機溶媒としてはクロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素、シクロヘキサン、酢酸メチル、ポリアクリルアミドなどを用いることが好ましく、その混合質量比は30質量%以下であることが望ましい。
支持体12の表面に、高分子溶液を塗布する方法としては、スライド法、エクストリュージョン法、バー法またはグラビア法などを用いることができる。
次に、図5(b)に示すように、結露用に調整された相対湿度が50%以上の風を高分子溶液膜20上に、その表面21と平行な方向Fに送風する。これにより、高分子溶液膜20が水蒸気雰囲気中に置かれる。加湿雰囲気(水蒸気雰囲気)に置かれることで、風の中の水分22が高分子溶液膜20の表面21で結露し、液滴24となり、高分子溶液膜20の表面21に液滴24が形成される。さらに、風の中の水分22により液滴24がさらに成長する(図5(c)参照)。
次に、図5(c)に示すように、液滴24を蒸発させない条件で高分子溶液膜20の有機溶媒を乾燥させる。一般に水滴より有機溶媒の揮発の方が早いため、液滴24は、維持されたまま高分子溶液膜20は乾燥が進行し、揮発に伴う毛管力により液滴24は配列し、略均一の形態となる。
次に、高分子溶液膜20に乾燥風を吹き付けるか、または乾燥雰囲気下におくことで、図5(d)に示すように、液滴24が蒸発し、液滴24部分が凹部16になり、ハニカム構造膜14が形成される。
次に、図5(e)に示すように、ハニカム構造膜14の表面14aおよび凹部16の内面16aに亘りコーティング膜18を、例えば、スピンコートにより形成する。これにより、撥液性構造体10が製造される。
本実施例の撥液性構造体10の製造方法によれば、高分子溶液膜20の表面21に液滴24を結露させて、乾燥させることによりハニカム構造膜14を形成し、さらに、ハニカム構造膜14の全面に亘りコーティング膜18を形成することにより、撥液性構造体10を製造することができる。
なお、コーティング膜18の形成方法は、スピンコートに限定されるものではない。例えば、フッ素含む材料を加熱蒸発させて形成する方法、CVD、スパッタリング、真空蒸着、および気相吸着のいずれかの方法により形成することができる。また、ハニカム構造膜14が形成された支持体12を、成膜用有機溶媒とフッ素を含む材料とを含有する成膜用有機溶媒溶液に浸漬させて、所定の時間経過後、この支持体12を成膜用有機溶媒溶液から取り出す。そして、支持体12を成膜用有機溶媒で洗浄して、乾燥させてコーティング膜18を形成する方法もある。
本実施例の撥液性構造体10の製造方法においては、フォトリソグラフィー法を用いるものではなく、高価な製造装置を必要とすることなく、かつ清浄環境もフォトリソグラフィー法ほど要求されないため、設備コストを抑制することができる。
また、本実施例の撥液性構造体10の製造方法においては、ハニカム構造膜14を形成するために、支持体12の表面に有機溶媒溶液を塗布して高分子溶液膜20を形成し、その表面21に液滴24を結露させて、その後、液滴24を蒸発させるだけであるため、パターニングが不要である。このため、製造工程を簡素化でき、製造時間を短くすることができる。さらに、本実施例の撥液性構造体10の製造方法においては、ハニカム構造膜14の形成に非フッ素系の高分子化合物を用いるため、素材の選択が多くなり、ハニカム構造膜14の製造条件の制限が緩和される。このようなことから、本実施例の撥液性構造体10の製造方法においては、撥液性構造体10を安価に製造することができる。
また、フォトリソグラフィー法においては、パターニング工程におけるパターン形成領域は限られており、大きな面積をパターニングする場合には、パターニング工程に時間がかかり、その作業は煩雑なものになる。本実施例の撥液性構造体の製造方法においては、パターニングを不要とすることができ、支持体がシート状で面積が大きいものであっても、支持体に有機溶媒溶液を塗布することができるため、ハニカム構造膜を、フォトリソグラフィー法を用いるものに比して、短い製造時間で容易に製造することができる。また、コーティング膜もスピンコートなどにより面積が大きいものであっても形成することができる。このため、本実施例の撥液性構造体10の製造方法においては、面積が大きい撥液構造体を容易に製造することができる。
次に、本発明の第2の実施例の撥液構造体について説明する。なお、本実施例においては、図4に示す第1の実施例の撥液構造体10と同一構成物には、同一符号を付してその詳細な説明は省略する。
図6は、本発明の第2の実施例に係る撥液構造体を示す模式的斜視図である。
本実施例の撥液性構造体30は、第1の実施例の撥液性構造体10(図4参照)に比して、ハニカム構造膜14に変えて、撥液機能膜32が設けられており、さらにコーティング膜18(図4参照)が設けられていない点が異なり、それ以外の構成は、第1の実施例の撥液性構造体10と同様の構成であるため、その詳細な説明は省略する。
本実施例の撥液性構造体30においては、撥液機能膜32は、その表面32aに複数の凹部34が形成されている。この凹部34は、第1の実施例の凹部16と同様の構成であるものの、その開口部36の径が大きい。また、凹部34の面積比率も、第1の実施例に比して大きい。凹部34は、例えば、第1の実施例のハニカム構造膜14に、プラズマエッチングを施して凹部16を拡径することにより得られるものである。
また、撥液機能膜32の構成は、第1の実施例と同様に、複数の凹部34が形成されたものに限定されるものではない。撥液機能膜32は、例えば、複数の凹部34を有するものではなく、多孔質状構造(図7(a)参照)、繊維状構造(図7(b)参照)、骨組み状構造(図7(c)参照)、または針状構造(図7(d)参照)などの構造を有するものであってもよい。
多孔質状構造とは、例えば、図7(a)に示す撥液機能膜33aのように、開口形状が円形である円筒状の凹部35aが複数形成された構造のことである。
また、繊維状構造とは、例えば、図7(b)に示す撥液機能膜33bのように、支持体12上に、円筒状の凸部35bが複数形成された構造のことである。
また、骨組み状構造とは、例えば、図7(c)に示す撥液機能膜33cのように、支持体12上に、平面視六角形状のセルに円形の開口部が形成されており、このセルが複数同一平面で相互に接合されて構成された網部35cが支柱37により支持体12に接続された構造のことである。
また、針状構造とは、例えば、図7(d)に示す撥液機能膜33dのように、支持体12上に、三角柱状のコーン35dが複数形成された構造のことである。
図7(a)〜図7(d)に示す多孔質状構造、繊維状構造、骨組み状構造、または針状構造などの構造も、例えば、第1の実施例のハニカム構造膜14に、プラズマエッチングを施すことにより得られる。
撥液機能膜32は、自身が撥液性を有するものであり、フッ素を含むフッ素系高分子化合物により構成されるものである。
本実施例において、撥液機能膜32に用いられるフッ素系高分子化合物としては、例えば、パーフルオロ基を有するフッ素ポリマ、フッ素を含む高分子材料、フッ素樹脂、アモルファスフッ素ポリマ、ポリテトラフルオロエチレンまたはエチレン四フッ化エチレンが挙げられる。
本実施例の撥液性構造体30は、撥液機能膜32をフッ素系高分子化合物化合物で構成し、さらに径大の凹部34を形成することにより、撥液機能膜32の構造により撥液性を実現するとともに、構成するフッ素系高分子化合物による撥液性も得られる。これにより、表面に撥液性を有するコーティング膜18を設けることなく、有機溶媒、油または表面張力が40mN/m以下からなる液体などの水よりも表面張力が低い液体の接触角を増加させることができ、高い撥液性を実現でき、第1の実施例と同様の効果を得ることができる。
次に、本実施例の撥液性構造体の製造方法について説明する。
図8(a)〜(e)は、本発明の第2の実施例に係る撥液性構造体の製造方法を工程順に示す模式的断面図である。
なお、本実施例の図8(a)〜(c)に示す工程は、第1の実施例の撥液性構造体10の製造方法(図5(a)〜(c))に比して、支持体12上に、有機溶媒にフッ素系高分子化合物を溶解させた有機溶媒溶液を塗布して高分子溶液膜20aを形成する工程以外は、第1の実施例の撥液性構造体10の製造方法と同様の工程であるため、その詳細な説明は省略する。このため、図8(d)に示す工程から詳細に説明する。
なお、本実施例においては、高分子溶液膜20aを形成するための有機溶媒溶液における有機溶媒は、沸点が100℃以下が好ましく、さらに好ましくは60℃以下である。また、本実施例においては、有機溶媒溶液におけるフッ素系高分子化合物の濃度は、10質量%以下が好ましく、さらに好ましくは1質量%以下である。
また、高分子溶液膜20aも、有機溶媒溶液の状態で、その粘性により支持体12の表面に層状に形成されているものであり、揮発可能な状態にある。
本実施例においては、第1の実施例の撥液性構造体10と同様の製造方法により、高分子溶液膜20aの表面21に形成された液滴24が蒸発し、図8(d)に示すように、表面26aに凹部28が形成されたハニカム構造膜26が形成される。
次に、ハニカム構造膜26の表面26aに、例えば、酸素プラズマによるプラズマエッチングを施す。これにより、ハニカム構造膜26の凹部28が拡径されて、図8(e)に示すように、拡径された凹部34を有する撥液機能膜(第2のハニカム構造膜)32が形成される。このようにして、本実施例の撥液性構造体30を製造することができる。
本実施例の撥液性構造体30の製造方法は、第1の実施例と同様の効果を有するものであり、本実施例の撥液性構造体30の製造方法においても、フォトリソグラフィー法を用いるものではなく、パターニングなどが不要であり、工程数を少なくできるため、撥液性構造体30を短時間で、容易にかつ安価に製造することができる。
また、本実施例においては、プラズマエッチングにより凹部34の径を大きくするため、ハニカム構造膜26を形成するために液滴24を大きくする必要がない。これにより、製造条件を決定するための実験などが不要になるとともに、製造条件の余裕度も高くすることができる。
また、本実施例においては、ハニカム構造膜26の凹部28を拡径する場合におけるプラズマエッチングの条件を変えることにより、撥液機能膜32は、例えば、複数の凹部34を有するものではなく、多孔質状構造、繊維状構造、骨組み状構造、または針状構造などの構造(図7(a)〜(d)参照)を有するものとすることができる。このようにして、容易に撥液機能膜32の構造が異なるものを製造することができる。これらの構成は、凹部34を有するものよりも、面積比率が高く、より一層高い撥液性を得ることができる。
また、本実施例では、撥液機能膜32の凹部32を得るために、プラズマエッチングを用いたが、これに限定されるものではなく、ウェットエッチングを用いても同様に凹部を形成することができる。さらには、ウェットエッチングにより、多孔質状構造、繊維状構造、骨組み状構造、または針状構造などの構造(図7(a)〜(d)参照)を有するものも製造することができる。
次に、本発明の第3の実施例の撥液構造体について説明する。なお、本実施例においては、図4に示す第1の実施例の撥液構造体10と同一構成物には、同一符号を付してその詳細な説明は省略する。
図9は、本発明の第3実施例に係る撥液構造体を示す模式的斜視図である。
図9に示す本実施例の撥液性構造体40は、第1の実施例の撥液性構造体10(図4参照)に比して、ハニカム構造膜42の構成が異なるだけであり、それ以外の構成は、第1の実施例の撥液性構造体10と同様の構成であるため、その詳細な説明は省略する。
本実施例のハニカム構造膜42は、第1の実施例のハニカム構造膜14(図4参照)と同様に、その表面42aに複数の凹部44が形成されている。この凹部44は、第1の実施例の凹部16と同様の構成であるものの、その開口部46の径が大きく、また、凹部44の面積比率も、第1の実施例に比して大きい。この凹部44は、例えば、第1の実施例のハニカム構造膜14に、プラズマエッチングを施して、凹部16を拡径することにより得られるものである。
また、ハニカム構造膜42の構成は、凹部44が形成されたものに限定されるものではない。ハニカム構造膜42、例えば、凹部44を有するものに変えて、多孔質状構造、繊維状構造、骨組み状構造、または針状構造などの構造(図7(a)〜(d)参照)などの構造を有するものであってもよい。これらの多孔質状構造、繊維状構造、骨組み状構造、または針状構造などの構造も、例えば、第1の実施例のハニカム構造膜14に、プラズマエッチングまたはウェットエッチングを施すことにより得られる。
なお、本実施例のハニカム構造膜42は、第1の実施例のハニカム構造膜14と同様に非フッ素系高分子化合物を用いて形成される。
本実施例の撥液性構造体40においても、第1の実施例と同様の効果を得ることができる。さらには、ハニカム構造膜42の凹部44の面積比率が、第1の実施例に比して大きいため、有機溶媒、油または表面張力が40mN/m以下からなる液体などの水よりも表面張力が低い液体の接触角を第1の実施例に比して更に増加させることができ、更に高い撥液性を得ることができる。
次に、本実施例の撥液性構造体の製造方法について説明する。
図10(a)〜(f)は、本発明の第3の実施例に係る撥液構造体の製造方法を工程順に示す模式的断面図である。
なお、本実施例の図10(a)〜(d)に示す工程は、第1の実施例の撥液性構造体10の製造方法(図5(a)〜(d))と同様の工程であり、その詳細な説明は省略する。このため、図10(e)に示す工程から詳細に説明する。
本実施例においては、表面14aに凹部16が形成されたハニカム構造膜14に、例えば、酸素プラズマによるプラズマエッチング、またはウェットエッチングを施す。これにより、ハニカム構造膜14の凹部16が拡径されて、図10(e)に示すように、拡径された凹部44を有するハニカム構造膜(第2のハニカム構造膜)42が形成される。
次に、図10(f)に示すように、第1の実施例の撥液性構造体10と同様の方法で、ハニカム構造膜42の表面42aおよび凹部44の内面44aに亘りコーティング膜18を形成する。
このコーティング膜18は、第1の実施例と同様に、例えば、スピンコート、フッ素含む材料を加熱蒸発させて形成する方法、CVD、スパッタリング、真空蒸着、または気相吸着のいずれかの方法により形成されるものである。このようにして、本実施例の撥液性構造体40を製造することができる。
本実施例の撥液性構造体40の製造方法は、第1の実施例と同様の効果を有するものであり、本実施例の撥液性構造体40の製造方法においても、フォトリソグラフィー法を用いるものではなく、パターニングなどが不要であり、工程数を少なくできるため、撥液性構造体40を短時間で、容易にかつ安価に製造することができる。
なお、コーティング膜18は、他にも、例えば、ハニカム構造膜(第2のハニカム構造膜)42が形成された支持体12を、成膜用有機溶媒とフッ素を含む材料とを含有する成膜用有機溶媒溶液に浸漬させて、所定の時間経過後、この支持体12を成膜用有機溶媒溶液から取り出す。そして、支持体12を成膜用有機溶媒で洗浄して、乾燥させることにより形成することもできる。
ここで、図11(a)は、図10(d)に示すハニカム構造膜14を示すSEM像であり、(b)は、図10(f)に示すハニカム構造膜42を示すSEM像である。すなわち、図11(a)は、図4に示す撥液性構造体10のコーティング膜18を形成する前段階のSEM像であり、図11(b)は、図9に示す撥液性構造体40のSEM像である。
本実施例においては、図11(a)および(b)に示すように、プラズマエッチングにより、凹部の間の側壁が薄くなり凹部が拡径されている。
次に、本発明の第3の実施例の変形例について説明する。
図12は、本発明の第3の実施例に係る撥液性構造体の変形例を示す模式的断面図である。なお、図9に示す本発明の第3の実施例の撥液性構造体40と同一構成物には、同一符号を付してその詳細な説明は省略する。
本変形例の撥液性構造体50は、第3の実施例の撥液性構造体40(図9参照)に比して、ハニカム構造膜42の表面42aに補強層52が形成されており、この補強層52の表面52aにコーティング膜18が形成されている点が異なり、それ以外の構成は、第3の実施例の撥液性構造体40と同様の構成であるため、その詳細な説明は省略する。
本変形例の撥液性構造体50においては、補強層52は、ガラスなどの無機材料、または金属材料により構成されるものである。この補強層52は、コーティング膜18と同様に、ハニカム構造膜42の凹部44の形状が維持できる厚さに形成されている。さらに、補強層52は、その表面52aにコーティング膜18が形成されるため、補強層52およびコーティング膜18の合計の厚さが、ハニカム構造膜42の凹部44の形状が維持できる厚さに形成されることが好ましい。
本変形例の撥液性構造体50においては、補強層52を設けることにより、第3の実施例の撥液性構造体40と同様の効果を得ることができるとともに、さらに強度を高くすることができ、耐久性を向上させることができる。
なお、本変形例においては、コーティング膜18は、例えば、補強層52が形成された支持体12を、成膜用有機溶媒とフッ素を含む材料とを含有する成膜用有機溶媒溶液に浸漬させて、所定の時間経過後、この支持体12を成膜用有機溶媒溶液から取り出す。そして、支持体12を成膜用有機溶媒で洗浄して、乾燥させることにより形成することができる。
なお、本発明の撥液性構造体は、例えば、電鋳用の鋳型に用いることができる。また、本発明の撥液性構造体においては、支持体をフィルム状のもとすることにより、曲面、または管の内面などにも配置することができ、これにより、設置場所に高い撥液性を付与することができる。このように、本発明の撥液性構造体は、設置場所の形状が、特に制限されるものではなく、所定の場所に高い撥液性を付与することができる。
次に、本発明の第4の実施例について説明する。
本実施例は、上述の第1の実施例〜第3の実施例の撥液性構造体が液体吐出ヘッドの吐出基板に適用された静電式インクジェット記録装置である。
図13は、本発明の撥液性構造体が液体吐出ヘッドの吐出基板に適用された静電式インクジェットヘッドを有するインクジェット記録装置を示す模式的断面図であり、図14は、図13に示す液体吐出ヘッドの模式的部分斜視図である。
図13に示すインクジェット記録装置90(以下、記録装置90という)は、静電式のインクジェット吐出手段によってインク液滴Rを吐出して、例えば、矩形状の記録媒体Pに画像記録(描画)を行うものであり、基本的に、本発明の液体吐出ヘッド92(以下、吐出ヘッド92という)と、記録媒体Pの保持手段94と、インク循環系96と、電圧印加手段98とを有して構成される。
本実施例の記録装置90において、吐出ヘッド92は、記録媒体Pの一辺の全域に対応するインク液滴Rの吐出口106の列(以下、ノズル列という)を有する、いわゆるラインヘッドである。
記録装置90においては、記録媒体Pを保持手段94で保持して、記録媒体Pを吐出ヘッド92と対面して所定の記録位置に位置した状態で、保持手段94を吐出ヘッド92のノズル列と直交する方向に移動(走査搬送)することにより、ノズル列によって記録媒体Pの全面を二次元的に走査する。この走査に同期して、吐出ヘッド92の各吐出口106から、記録画像に応じて変調してインク液滴Rを吐出することにより、記録媒体Pにオンデマンドで画像を記録する。
また、画像記録時には、インク循環系96によって、吐出ヘッド92(後述するインク流路112)を含む所定の循環経路でインクQを循環することにより、各吐出口106にインクQを供給する。
吐出ヘッド92は、静電力によってインクQ(インク液滴R)を吐出する静電式インクジェット記録装置の液体吐出ヘッドであって、図13および図14に示すように、基本的に、吐出基板100と、支持基板102と、インクガイド(溶液ガイド)104とを有して構成される。
吐出基板100は、AlもしくはZrOなどのセラミックス材料またはポリイミドなどの絶縁性材料からなる基板で、吐出基板100を貫通して、インクQのインク液滴Rを吐出するための吐出口106が、多数、穿孔されている。
吐出基板100の上面(液滴吐出側=記録媒体P側の面 以下、こちら方向を上、逆方向を下と称する)の吐出口106以外の領域は、好ましい態様として、シールド電極108によって全面的に被覆されている。このシールド電極108の表面に、撥液層109が形成されている。この撥液層109の表面がインク吐出面(溶液吐出面)となる。
シールド電極108は、導電性の金属板などで形成される全吐出口106に共通のシート状電極で、所定電位に保持されている。この所定電位は、接地による0Vを含む。このようなシールド電極108を有することにより、互いに隣接する吐出口106(吐出部)の電気力線を遮蔽して、吐出部間における電界干渉を防止して、インク液滴Rを安定に吐出できる。
上述の第1の実施例〜第3の実施例の撥液性構造体のいずれも静電式インクジェットヘッド記録装置の撥液層109に適用することができる。このため、撥液層109は、上述の第1の実施例〜第3の実施例の撥液性構造体のいずれかと同じ構造を有するものであればよい。
吐出基板100の下面には、各吐出口106に対応して、吐出電極110が設けられている。
本実施例において、吐出電極110は、例えば、吐出口106を囲むリング状の電極であり、電圧印加手段98に接続されている。
吐出電極110には、電圧印加手段98が接続される。電圧印加手段98は、駆動電源114とバイアス電源116とが直列に接続されたもので、インクQの色材粒子の帯電電位と同極側(例えば、正極)が吐出電極110に接続されて、他極側は接地されている。
駆動電源114は、例えば、パルス電源であって、記録画像(画像データ=吐出信号)に応じて変調したパルス状の駆動電圧を吐出電極110に供給する。バイアス電源116は、画像記録中に、所定のバイアス電圧を、常時、吐出電極110に印加する。
支持基板102も、ポリイミドまたはガラス等の絶縁性材料で形成される基板である。
吐出基板100と支持基板102とは、所定の間隔だけ離間して配置され、その間隙がインクQを各吐出口106に供給するインク流路112となる。
インク流路112は、後述するインク循環系96に接続されており、インク循環系96が所定の経路でインクQを循環することにより、インク流路112にインクQが流れ(本実施例では、例えば、右から左)、各吐出口106にインクが供給される。
支持基板102の上面には、インクガイド104が設けられている。
インクガイド104は、インク流路112から吐出口106に供給されたインクQを案内して、メニスカスの形状または大きさを調整してメニスカスを安定させ、かつ、自身に電界(静電力)を集中させてメニスカスに電界を集中させることにより、インク液滴Rを吐出し易くするためのもので、吐出口106を貫通して吐出基板100の表面から記録媒体P(保持手段94)側に突出するように、各吐出口106に対応して配置されている。
互いに対応する吐出口106、吐出電極110、およびインクガイド104によって、1ドットのインク液滴Rの吐出に対応する1つの吐出部(1チャンネル)が形成され、インクガイド104の先端部が、インクQの飛翔位置となる。
本実施例の吐出ヘッド92において、インクガイド104は、一例として、吐出電極110と中心を一致する、下方(基部側)の円筒部分と、その上(先端部)の円錐部分部とを有する形状である。インクガイド104の最大径部分は、吐出電極110の内径よりも、若干、小さくなっている。また、電界密度を集中させるために、インクガイド104の先端部には金属を蒸着してもよい。
吐出基板100と支持基板102との間に形成されるインク流路112には、インク循環系96によってインクが供給される。
インク循環系96は、インクQを貯留するインクタンクおよびインクQを供給するポンプを有するインク供給手段118と、インク供給手段118とインク流路112のインク流入口(インク流路112の図13中の右側端部)とを接続するインク供給流路120と、インク流路112のインク流出口(同左側端部)とインク供給手段118とを接続するインク回収流路122とを有して構成される。また、これ以外にも、インクタンクへのインク補充手段等を有してもよい。
インクQは、インク供給手段118からインク供給流路120を経て吐出ヘッド92のインク流路112に供給されて、インク流路112を流れ(図13中右から左に流れる)、インク流路112からインク回収流路122を経てインク供給手段118に戻る経路で循環され、これによりインク流路112から各吐出口106(ノズル)に供給される。
なお、本発明の吐出ヘッド92が吐出するインクQとしては、色材を含む帯電粒子を分散媒にしてなるインクQ等、帯電した微粒子を分散媒に分散してなる、静電式のインクジェットに利用される各種のインクQ(溶液)が利用可能である。このインクQは、例えば、表面張力が40mN/m以下からなる液体であり、表面張力が水より小さい。
保持手段94は、記録媒体Pを保持して吐出ヘッド92のノズル列方向と直交方向(以下、走査方向という)に走査搬送するものである。
この保持手段94は、吐出ヘッド92(吐出基板100)の上面(溶液吐出面)に対面した状態で記録媒体Pを保持するプラテンとしても作用する対向電極124と、対向バイアス電源126と、対向電極124を走査方向に移動することにより、記録媒体Pを走査方向に走査搬送する走査搬送手段(図示省略)とを有して構成される。この走査搬送により、記録媒体Pは、吐出ヘッド92の吐出口106(ノズル列)によって、全面を二次元的に走査され、各吐出口106から変調して吐出されたインク液滴Rによって画像が記録される。
対向電極124による記録媒体Pの保持手段には、特に限定はなく、静電気を利用する方法、治具を用いる方法、および吸引による方法等、公知の方法によればよい。
対向バイアス電源126は、吐出電極110(=色材粒子)と逆極性のバイアス電圧を対向電極124に印加するものである。なお、対向バイアス電源126の他極側は、接地されている。
以下、記録装置90における画像記録について説明する。
画像記録時には、インク循環系96によってインクQが循環される。この循環により、各吐出口106にインクが供給される。
また、画像記録時には、バイアス電源116が吐出電極110に、例えば、100Vのバイアス電圧を印加している。さらに、記録媒体Pは対向電極124に保持され、対向電極124には、対向バイアス電源126が、例えば、−1000Vのバイアス電圧を印加している。従って、吐出電極110と対向電極124(記録媒体P)との間には、1100V分のバイアス電圧が印加され、その分の電界(静電力)が形成されている。
このインクQの循環、バイアス電圧による静電力、インクQの表面張力、毛管現象、およびインクガイド104の作用などにより、吐出口106にはインクQのメニスカスが形成され、また、色材粒子(本例では正に帯電)が吐出口106(メニスカス)に泳動してインクQが濃縮され、この濃縮の作用によってメニスカスがさらに成長し、インクQの表面張力と静電力等とのバランスが取れることによってメニスカスが安定した状態となっている。
また、本実施例においては、シールド電極108の表面に撥液層109を形成することにより、水はもちろんのこと、有機溶剤、油または表面張力が40mN/m以下からなる液体などの表面張力が水より小さいインクQであっても撥液性を有することができる。このため、さらに一層メニスカスを安定にすることができる。
この状態において、駆動電源114が吐出電極110に、例えば、200Vの駆動電圧を印加すると、インクQおよびメニスカスに作用する静電力が大きくなり、かつ、メニスカスでのインクQの濃縮が促進されて、メニスカスが急激に成長し、メニスカスの成長力、色材粒子のメニスカスへの移動力、および対向電極124からの吸引力が、インクQの表面張力を超えた時点で、色材粒子が濃縮されたインクQのインク液滴Rが吐出される。
吐出されたインク液滴Rは、吐出された際の勢い、および、対向電極124による引力によって飛翔し、記録媒体Pに着弾して画像を形成する。
本実施例の吐出ヘッド92は、インク吐出面を本発明の撥液性構造体からなる撥液層109で構成することにより、水はもちろんのこと、有機溶剤、油または表面張力が40mN/m以下からなる液体などの表面張力が水より小さいインクQであっても、接触角を90°以上、または接触角を増加させることができ、メニスカスの形状が安定する。このため、インク液滴Rの飛翔方向も一定になり、インク液滴Rの吐出位置が、インクガイドの突状先端の中央に定まるため、記録媒体Pの正確な位置にインク液滴Rを着弾させることができ、画像を高画質となるように記録媒体Pに記録することができる。さらに、メニスカスの形状が安定することにより、所定サイズ(所定量)のインク液滴Rを確実に吐出させることができ、濃度が安定した良好な画像を記録媒体Pに記録することができる。
また、本実施例においては、本発明の撥液性構造体を液体吐出ヘッドの吐出基板に適用した静電式インクジェット記録装置について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、液体吐出ヘッドを有する記録装置であれば適用することができる。本発明においては、圧電方式またはサーマル方式の液滴吐出手段を有するもの、例えば、ピエゾ方式のインクジェット記録装置およびサーマル方式のインクジェット記録装置に適用できる。
次に、本発明の第5の実施例について説明する。
図15(a)は、本発明の撥液性構造体が防汚層に適用された保護フィルムを示す模式的斜視図であり、図15(b)は、図15(a)に示す保護フィルムの模式的部分断面図である。
本実施例の保護フィルム130は、上述の第1の実施例〜第3の実施例の撥液性構造体が防汚層134に適用されたものである。
図15(a)および(b)に示す保護フィルム130は、支持体132と、この支持体132の表面に形成された防汚層134を有する。
支持体132は、例えば、透明なプラスチックフィルムにより形成されるものである。この支持体132としては、例えば、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、およびプロピオニルセルロースなどのセルロースエーテル、または、例えば、ポリプロピレン、ポリエチラン、およびポリメチルペンテンなどのポリオレフィンを用いることができる。
防汚層134は、表面136aに複数の凹部138が形成された基体136と、この基体136の表面136aおよび凹部138の内面138aの全面に形成されたコーティング膜140とを有する。
図15(a)および(b)に示す防汚層134の構成は、第1の実施例の撥液性構造体10(図4参照)のハニカム構造膜14の表面14aにコーティング膜18が形成されたものと同様の構成である。
なお、本実施例の防汚層134としては、上述の第1の実施例〜第3の実施例の撥液性構造体を適用することができる。このため、防汚層134は、上述の第1の実施例〜第3の実施例の撥液性構造体のいずれかと同じ構造を有するものであればよい。
本実施例の保護フィルム130において、防汚層134は、上述の第1の実施例の撥液性構造体10(図4参照)と同様の構成であるため、水はもちろんのこと、有機溶剤、油または表面張力が40mN/m以下からなる液体などの表面張力が水より小さいものであっても、高い撥液性を示す。このため、汚れの主成分である油などが、防汚層134の表面に付着しにくくなる。これにより、指紋、皮脂、汗、および化粧品などの付着による汚れを防ぐことができ、かつ汚れも容易に落すことができる。
このように、本実施例の保護フィルム130においては、指紋、皮脂、汗、および化粧品などの汚れを防ぐことができるため、タッチパネル、または各種モニタの表面に貼り付けるフィルターなどに好適に用いることができる。
以下、本発明の撥液増大構造体の具体的な例を挙げ、本発明をより詳細に説明する。なお、本発明は、以下に示す例に限定されないのは言うまでもない。先ず、第1実施例について説明する。
本実施例においては、以下に示す実施例No.1および実施例No.2のハニカム構造膜(撥液増大構造体)を作製し、これらのハニカム構造膜について撥液性を評価した。
ポリ−ε−カプロラクトンを用いて形成した図10(d)および図11(a)に示すハニカム構造膜を実施例No.1とした。
また、実施例No.1のハニカム構造膜に対して、さらに酸素プラズマによるエッチングを施し、フルオロアルキルシランによるフッ素コート処理をして形成した図9および図11(b)に示す撥液増大構造体を実施例No.2とした。
本実施例においては、図11(a)および(b)に示すように、酸素プラズマエッチングにより、凹部の間の側壁が薄くなり凹部が拡径されている。
また、実施例No.1に対する比較として、ポリ-ε-カプロラクトンにより構成された凹凸のない平坦表面を用いた。さらに、実施例No.2に対する比較として、ポリ-ε-カプロラクトンに、酸素プラズマによるエッチングを施し、フルオロアルキルシランによるフッ素コート処理をして構成された凹凸のない平坦表面を用いた。下記表2に示す「平坦」とは、上述の各平坦表面による結果のことである。
ポリ-ε-カプロラクトンの平坦表面、処理されたポリ-ε-カプロラクトンの平坦表面、実施例No.1および実施例No.2について、水(表面張力が72mN/m)、濃度が13質量%のイソプロパノール(IPA)水溶液(表面張力が35mN/m)、濃度が30質量%のイソプロパノール(IPA)水溶液(表面張力が27mN/m)、デカン(表面張力が23mN/m)、シリコンオイル(表面張力が18mN/m)を滴下したときの接触角の結果を下記表2に示す。なお、接触角は、協和界面化学製の接触角計を用いて測定した。
Figure 2007175962
実施例No.1においては、ポリ-ε-カプロラクトンの材料自体の特性により水では接触角が88°であり、ハニカム構造にすることにより、接触角は110°となり、撥液性が向上している。これはハニカム構造のような多孔質構造による効果である。しかし、表面張力が低いデカン、シリコンオイルになると接触角が急激に低くなり、撥液性がなくなる。
一方、実施例No.2においては、水では接触角が133°と実施例No.1に比して、向上している。さらに表面張力が低いデカン、シリコンオイルでも接触角が100°以上であり、非常に高い接触角が得られている。これはエッチングにより孔のサイズを大きくしたことと、表面にフッ素材料(フロオロアルキルキシラン)をコートした結果である。ハニカム構造のような多孔質構造のない平坦な表面では90°以下の撥液性を示さないのに関わらず、ハニカム構造のような多孔質構造をもちその表面にフッ素系材料がコートされることにより撥液性が向上するのは、多孔質構造における空気内包の効果によるものである。
次に、本発明の第2実施例について説明する。
上述の第1実施例の実施例No.1および実施例No.2について、表面張力が異なる種々の液体(水、IPA水溶液(濃度が0.5〜30質量%)、ヘキサデカン、デカン、ヘプタン、オクタン、シリコンオイル、および濡れ張力試験用混合液(和光純薬製))を用いて接触角を測定し、本発明の表面構造の効果を調べた。この結果を図16(a)および(b)に示す。
図16(a)および(b)は、実施例No.1、実施例No.2の平坦表面での接触角とハニカム構造での接触角の関係を示すグラフである。
図16(a)に示すように、折線Wで示す実施例No.1においては、2つの傾きに分けることができる。第4象現DにあるラインWがキャシーモデルに従い、第1象現DのラインWがウェンゼルモデルに従う。
このキャシーモデルのラインWにフィッティングさせることにより、実施例No.1における孔(凹部)の面積比率は34%と見積もられる。
一方、実施例No.2では、図16(b)に示すように、キャシーモデルに従う1つのラインHに沿っている。ラインHが第4象現Dにあることは油または溶剤のような表面張力が低い液体でも高い撥液性示していることを意味している。キャシーモデルのフィッティングにより実施例No.2における孔(凹部)の面積比率は55%と見積もられ、酸素プラズマエッチングにより孔の面積が拡大していることが計算上からもわかる。
以上、本発明の撥液性構造体およびその製造方法ならびに液体吐出ヘッドおよび保護フィルムについて説明したが、本発明は、上述の実施例に限定されるものでなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良および変更を行ってもよいのはもちろんである。
また、上述の実施例においては、例えば、フッ素材料からなる膜が表面に形成された撥液性構造体(ハニカム構造膜)について説明したが、撥液性構造体の表面に形成される膜の材料は他のものでも可能であり、その撥液性構造体表面に、材料固有の機能を持たせることができる。例えば、撥液性構造体の表面にPt膜、またはTiO膜を形成することにより触媒作用の向上による抗菌、または有害ガスの分解などに適用できる。加えて、撥液性、特に水に対しての撥水性は、フッ素を含まない有機材料においてもハニカム構造を形成することで得ることができる。
縦軸にcosθをとり、横軸にcosθをとって本発明の表面構造モデルにおける接触角θと見かけの接触角θとの関係を示すグラフである。 縦軸にcosθをとり、横軸にcosθをとって撥液性増大の領域と、親液性の増大領域とを示すグラフである。 縦軸にcosθをとり、横軸にcosθをとって本発明の表面構造モデルにおける接触角θと見かけの接触角θとの更に詳細な関係を示すグラフである。 本発明の第1の実施例に係る撥液性構造体を示す模式的斜視図である。 (a)〜(e)は、本発明の第1の実施例に係る撥液性構造体の製造方法を工程順に示す模式的断面図である。 本発明の第2の実施例に係る撥液性構造体を示す模式的斜視図である。 (a)〜(d)は、本発明の撥液性構造体の撥液機能膜の他の構成の形態を示すものであって、(a)は、多孔質状構造を示す模式的斜視図であり、(b)は、繊維状構造を示す模式的斜視図であり(c)は、骨組み状構造を示す模式的斜視図であり、(d)は、針状構造を示す模式的斜視図である。 (a)〜(e)は、本発明の第2の実施例の撥液性構造体の製造方法を工程順に示す模式的断面図である。 本発明の第3の実施例に係る撥液性構造体を示す模式的斜視図である。 (a)〜(f)は、本発明の第3の実施例の撥液性構造体の製造方法を工程順に示す模式的断面図である。 (a)は、図10(d)に示すハニカム構造膜を示すSEM像であり、(b)は、図10(f)に示すハニカム構造膜を示すSEM像である。 本発明の第3の実施例に係る撥液性構造体の変形例を示す模式的断面図である。 本発明の撥液性構造体が液体吐出ヘッドの吐出基板に適用された静電式インクジェットヘッドを有するインクジェット記録装置を示す模式的断面図である。 図13に示す液体吐出ヘッドの模式的部分斜視図である。 (a)は、本発明の撥液性構造体が防汚層に適用された保護フィルムを示す模式的斜視図であり、(b)は、図15(a)に示す保護フィルムの模式的部分断面図である。 (a)は、縦軸にcosθをとり、横軸にcosθをとって、実施例No.1における平坦表面での接触角とハニカム構造での接触角の関係を示すグラフであり、(b)は、縦軸にcosθをとり、横軸にcosθをとって、実施例No.2における平坦表面での接触角とハニカム構造での接触角の関係を示すグラフである。 平面上に滴下された液体の表面張力と、固体の表面張力と、固体と液体との間に働く界面張力と、接触角との関係を示す模式図である。 ウェンゼル(Wentzel)モデルを示す模式図である。 縦軸にcosθをとり、横軸にcosθをとってウェンゼルモデルにおける接触角θと見かけの接触角θとの関係を示すグラフである。 カッシー(Cassie)モデルを示す模式図である。 (a)は、カッシーモデルにおいて、固体が撥液性を有する状態を示す模式的断面図であり、(b)は、カッシーモデルにおいて、固体が親液性を有する状態を示す模式的断面図である。 縦軸にcosθをとり、横軸にcosθをとってカッシーモデルにおける接触角θと見かけの接触角θとの関係を示すグラフである。 縦軸にcosθをとり、横軸にcosθをとってウェンゼルーカッシー統合モデルにおける接触角θと見かけの接触角θとの関係を示すグラフである。
符号の説明
10、40、50 撥液性構造体
12 支持体
14、26、42 ハニカム構造膜
16、34、44 凹部
17、36、46 開口部
18、140 コーティング膜
20、20a 高分子溶液膜
22 水分
24 液滴
32 撥液機能膜
52 補強層
90 インクジェット記録装置(記録装置)
92 液体吐出ヘッド(吐出ヘッド)
94 保持手段
96 インク循環系
98 電圧印加手段
100 吐出基板
102 支持基板
104 インクガイド
106 吐出口
108 シールド電極
110 吐出電極
112 インク流路
114 駆動電源
116 バイアス電源
118 インク供給手段
120 インク供給流路
122 インク回収流路
124 対向電極
126 対向バイアス電源
130 保護フィルム
132 支持体
134 防汚層
136 基体
138 凹部
P 記録媒体
Q インク
R インク液滴

Claims (20)

  1. 支持体と、
    有機化合物を溶解した有機溶媒溶液を前記支持体上に塗布し、前記支持体を水蒸気雰囲気中に置き、前記有機溶媒溶液の表面に液滴を形成させた後、有機溶媒および前記液滴を蒸発させて形成されたハニカム構造膜と、
    前記ハニカム構造膜の表面に形成されたフッ素を含む材料からなるコーティング膜とを有することを特徴とする撥液性構造体。
  2. 支持体と、
    有機化合物を溶解した有機溶媒溶液を前記支持体上に塗布し、前記支持体を水蒸気雰囲気中に置き、前記有機溶媒溶液の表面に液滴を形成させた後、有機溶媒および前記液滴を蒸発させ、さらにエッチングすることにより形成された撥液機能膜とを有することを特徴とする撥液性構造体。
  3. 前記撥液機能膜は、多孔質状、繊維状、骨組み状、または針状構造を有する請求項2に記載の撥液性構造体。
  4. 前記撥液機能膜がフッ素を含む材料から形成されるものである請求項2または3に記載の撥液性構造体。
  5. さらに、前記撥液機能膜の表面に形成されたフッ素を含む材料からなるコーティング膜を有する請求項2または3に記載の撥液性構造体。
  6. 有機化合物を溶解した有機溶媒溶液を支持体上に塗布する工程と、
    前記支持体を水蒸気雰囲気中に置き、前記有機溶媒溶液の表面に液滴を形成させた後、有機溶媒および前記液滴を蒸発させてハニカム構造膜を形成する工程と、
    前記ハニカム構造膜の表面にフッ素を含む材料からなるコーティング膜を形成する工程とを有することを特徴とする撥液性構造体の製造方法。
  7. 有機化合物を溶解した有機溶媒溶液を支持体上に塗布する工程と、
    前記支持体を水蒸気雰囲気中に置き、前記有機溶媒溶液の表面に液滴を形成させた後、有機溶媒および前記液滴を蒸発させてハニカム構造膜を形成する工程と、
    前記ハニカム構造膜をエッチングし、第2のハニカム構造膜を形成する工程とを有することを特徴とする撥液性構造体の製造方法。
  8. さらに、前記第2のハニカム構造膜の表面にフッ素を含む材料からなるコーティング膜を形成する工程を有する請求項7に記載の撥液性構造体の製造方法。
  9. さらに、前記第2のハニカム構造膜の表面に補強層を形成する工程と、
    前記補強層の表面にフッ素を含む材料からなるコーティング膜を形成する工程とを有する請求項7に記載の撥液性構造体の製造方法。
  10. 前記有機化合物がフッ素を含む材料である請求項7に記載の撥液性構造体の製造方法。
  11. 前記コーティング膜を形成する工程は、前記フッ素を含む材料を気相吸着させて形成するものである請求項6、8および9のいずれかに記載の撥液性構造体の製造方法。
  12. 前記コーティング膜を形成する工程は、成膜用有機溶媒と前記フッ素を含む材料とを含有する成膜用有機溶媒溶液に、前記ハニカム構造膜が形成された支持体を浸漬させて、所定の時間経過後、前記支持体を前記成膜用有機溶媒溶液から取り出し、前記支持体を前記成膜用有機溶媒で洗浄し、乾燥させるものである請求項6に記載の撥液性構造体の製造方法。
  13. 前記コーティング膜を形成する工程は、成膜用有機溶媒と前記フッ素を含む材料とを含有する成膜用有機溶媒溶液に、前記第2のハニカム構造膜が形成された支持体を浸漬させて、所定の時間経過後、前記支持体を前記成膜用有機溶媒溶液から取り出し、前記支持体を前記成膜用有機溶媒で洗浄し、乾燥させるものである請求項8に記載の撥液性構造体の製造方法。
  14. 前記コーティング膜を形成する工程は、成膜用有機溶媒と前記フッ素を含む材料とを含有する成膜用有機溶媒溶液に、前記補強層が形成された支持体を浸漬させて、所定の時間経過後、前記支持体を前記成膜用有機溶媒溶液から取り出し、前記支持体を前記成膜用有機溶媒で洗浄し、乾燥させるものである請求項9に記載の撥液性構造体の製造方法。
  15. 前記コーティング膜を形成する工程は、CVD、スパッタリング、および蒸着のいずれかの方法が用いられる請求項6、8、および9のいずれかに記載の撥液性構造体の製造方法。
  16. 前記エッチング工程は、プラズマエッチングまたはウェットエッチングが用いられる請求項7〜10、13および14のいずれかに記載の撥液性構造体の製造方法。
  17. 溶液の液滴を吐出させる液体吐出ヘッドであって、
    前記液滴が吐出される複数の貫通穴が形成された吐出基板を有し、
    前記吐出基板は、前記貫通穴の周辺の溶液吐出面が、前記請求項1〜5のいずれかに記載の撥液性構造体の基板の表面となるように、前記撥液性構造体が配置されていることを特徴とする液体吐出ヘッド。
  18. 前記溶液は、帯電粒子が分散されたものであり、
    さらに、前記貫通穴の個々に対応して配置される、前記溶液に静電力を作用させる吐出電極と、
    前記貫通穴を通過して前記吐出基板の液滴吐出側に突出する溶液ガイドとを有し、
    前記吐出電極による静電力により、前記液滴が吐出される請求項17に記載の液体吐出ヘッド。
  19. さらに、前記吐出基板の前記各貫通穴から前記液滴を吐出させる圧電方式またはサーマル方式の液滴吐出手段を有し、前記液滴吐出手段により、前記液滴が吐出される請求項18に記載の液体吐出ヘッド。
  20. 支持体と、前記支持体の表面に形成された前記請求項1〜5のいずれかに記載の撥液性構造体とを有することを特徴とする保護フィルム。
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