JP2006182014A - 撥液増大構造体およびその製造方法、液体吐出ヘッドならびに防汚フィルム - Google Patents

撥液増大構造体およびその製造方法、液体吐出ヘッドならびに防汚フィルム Download PDF

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泰久 金子
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秀治 高橋
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Abstract

【課題】有機溶剤、油または表面張力が40mN/m以下からなる液体などの水よりも表面張力が低い液体において撥液性を示す撥液増大構造体およびその製造方法を提供することにある。また、有機溶剤、油または表面張力が40mN/m以下からなる液体などの水よりも表面張力が低い液体を安定して吐出させることができる液体吐出ヘッドを提供することにある。さらに、汚れを防止する防汚フィルムを提供することにある。
【解決手段】本発明の撥液増大構造体は、水より表面張力が低い液体に対して平坦な表面で親液性を示す基板を用いるものであり、基板の表面に凹部が複数形成されており、凹部の内壁は基板の厚さ方向に略並行である。この構成により、有機溶剤、油または表面張力が40mN/m以下からなる液体などの水よりも表面張力が低い液体においても接触角が90°以上になるか、または接触角が90°以下であるものの増加させることができる。
【選択図】図8

Description

本発明は、有機溶剤、油または表面張力が40mN/m以下からなる液体などの水よりも表面張力が低い液体において、平坦な表面で接触角が90°以下(親液性)であっても、接触角が増加する撥液増大構造体およびその製造方法、ならびに有機溶剤、油または表面張力が40mN/m以下からなる液体などの水よりも表面張力が低い液体を安定して吐出させることができる液体吐出ヘッド、および汚れを防止する防汚フィルムに関する。
現在、水に対して撥液性を示す材料およびその表面構造に関しては、既にその方法が確立されており、150°以上の接触角が得られている。これに対して有機溶剤および油などの表面張力が低い液体において撥液性を示す材料、および構造は十分に検討されていない。
これまで知られている撥液性を有する材料は、主に水に対して撥液性(撥水性とも呼ばれる)を示すものがほとんどである。雨具、もしくは台所用品などの家庭で使われる器具、または産業用品などに撥水性材料が使われている。
また、撥液性を有する材料は、産業用ではインク微小液滴を吐出・飛翔させ、記録紙に付着させることで記録を行なうインクジェットに適用されている。インクジェットにおいては、吐出口周辺に撥液性膜を形成させることが吐出性能向上に非常に重要である。
このような水に対して撥液性を示す撥液性材料としてニッケル共析メッキによって形成されたPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)膜で水に対する接触角が150°を超える超撥水膜が実現されている。
このように撥液性を向上させるには、材料の性質(低い表面張力をもつ材料)と表面構造の両方の検討が重要である。
低い表面張力を持つ材料を用いて撥液性が向上されたものとしては、フッ素を含んだ化合物が良く知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、表面構造により撥液性を向上させたものとしては、アルミニウムを陽極酸化させるか、またはフォトリソグラフィ法により表面に微細な凹凸を成させる方法が知られている(例えば、特許文献2参照)。
特許文献1には、予め0.4〜20μmの範囲の凸凹が形成された基材の表面に、シロキサン結合を介して結合形成されているフッ素を含む単分子膜である被膜が形成された撥水撥油性被膜が開示されている。
また、特許文献2には、基板の表面に凹部および凸部が形成され、その表面の凸部の高さが均一であり、また、凹部および凸部は、液滴が凹部に落ち込むことなく、かつ液滴が凹部の空気層と接することができる大きさに形成され、凹部および凸部の表面には撥水膜が形成されている多孔構造体が開示されている。この多孔構造体は、インクジェット記録ヘッドのインク吐出孔以外のインク吐出面に設けられている。この多孔構造体における凹凸構造は、フォトリソグラフィ法、およびドライエッチング法またはウエットエッチング法により人工的に均一な大きさと高さに形成されているものである。
特許第2809889号公報 国際公開第99/12740号パンフレット
上述の特許文献1の撥水撥油性被膜においては、水に対しては十分な撥水性を得ることができることが実施例を挙げて示されているものの、有機溶剤または油などが表面に付着して撥液性が得られるか否かについては、実施例が挙げられておらず十分に検討されていない。
また、特許文献2の多孔構造体においては、水に対しては十分な撥水性を得ることができることが実施例を挙げて示されているものの、水よりも表面張力が低い、例えば、40mN/m以下の有機溶剤または油などが表面に付着して撥液性が得られるか否かについては、実施例が挙げられておらず十分に検討されていない。
上述の如く、従来から、水に対しては十分な撥水性を得ることができることが知られている。これに対して、有機溶剤または油などが表面に付着して撥液性を劣化させてしまうことが知られており、有機溶剤または油であっても撥液性を示す材料が望まれている。
しかしながら、現状では、有機溶剤または油などでも撥液性を示す材料の検討はあまりなされていない。その主な理由は、有機溶剤または油の表面張力が水よりかなり小さいため撥液性を得ることが容易でないためである。
以下、有機溶剤または油について撥液性を得ることが容易でない理由について詳細に説明する。
図26に示すように、平滑な固体150の表面150a上に置かれた液体152が作る接触角θは、液体152の表面張力γと固体150の表面張力γと、更に固体150と液体152の間に働く相互作用(界面張力)γSLとの関係で下記数式1のように表される。
Figure 2006182014
また、固体−液体間の界面張力γSLは、下記数式2のように表される。
Figure 2006182014
上記数式1および数式2を組み合わせることにより下記数式3が導かれる。この数式3は固体の表面張力γと液体の表面張力γとの大小関係で撥液性をあらわす接触角が導かれることを意味する。
Figure 2006182014
ここで、接触角が90°以上である場合、「撥液性」を示すと定義され、接触角が90°未満である場合、「親液性」を示すと一般的に定義されている(高撥水技術の最新動向、東レリサーチセンター、p1)。この撥液性を実現しうる関係は下記4式で表される。
Figure 2006182014
すなわち、固体の表面張力γが液体の表面張力γの1/4以下である必要がある。水の表面張力が74mN/mであり、水に対して撥液性を示すには固体の表面張力γはその1/4以下、すなわち、19mN/m以下である必要がある。ここで、下記表1に各物質の表面張力を示す。固体でその値を持つ材料としてテフロン(登録商標)またはサイトップ(登録商標)などが挙げられ、90°以上の接触角θを得ることができる。
Figure 2006182014
一方、有機溶剤、または油などは水に比べて著しく小さい値を持っている。例えば、デカンは、表面張力が24mN/mであり、このような液体に対して撥液性を示すためには、6mN/m以下の表面張力を持つ固体が必要である。このような固体としては、パーフルオロラウリック酸があるが、原子層オーダーの単分子膜しか形成できないこと、また水に対して撥液性を示さないことから、実際のところ実用的ではないと言える。
撥液性を向上させるもう一つの方法として、表面構造の導入が知られている。この表面構造のモデルとしては、大きく2つのモデルがある。1つは、図27に示すように、固体154の表面にミクロな凹凸156を形成して表面積を増大させることで、接触角が増加するWentzel(ウェンゼル)モデルである。
ここで、図27において、θは真の接触角(表面が平滑な場合の接触角θ(図26参照))であり、θは見かけの接触角である。
接触角θと見かけの接触角θとの関係は下記数式5のように表される。なお、下記数式5におけるrは表面増倍係数である。このrは、真の表面積と見かけの表面積の比で表されるものである。
Figure 2006182014
このウェンゼルモデルにおいては、親液性であるものは、より親液性になり、撥液性であるものは、より撥液性になる。
ここで、図28は、縦軸にcosθをとり、横軸にcosθをとってウェンゼルモデルにおける接触角θと見かけの接触角θとの関係を示すグラフである。
図28に示すように、ウェンゼルモデルにおいては、材料自体が対象となる液体に対して接触角が90°以上(cosθ<0)でなければ、それ以上の接触角の向上は困難である。
また、ウェンゼルモデルにおいては、表面に凹凸などの表面構造がない場合、図28に示す直線Lのようになる。この直線Lにおける表面増倍係数rは1(r=1)である。一方、表面に凹凸などの表面構造を有する場合、図28に示す直線Mのようになる。表面に表面構造が導入されると、表面積が大きくなり、この直線Mにおける表面増倍係数rが1よりも大きくなる(r>1)。
また、表面構造モデルとしてはもう一つCassie(カッシー)モデルがある。図29に示すように、カッシーモデルにおいては、固体158に凹部160が形成されている。この凹部160には固体158とは異なる物質159が充填されている。異なる表面張力をもつ2種の材料(固体158、および物質159)で表面が構成されている場合において、見かけの接触角θは表面158aに露出した2種の材料(固体158、および物質159)と液体162と真の接触角θ、θ(図示せず)との関係で定まるものであり、下記数式6により表される。なお、下記数式6におけるA、Aはそれぞれ係数であり、複合表面における各物質の面積割合を示すものである。これらの係数A、Aは下記数式7に示すような関係にある。
Figure 2006182014
Figure 2006182014
このカッシーモデルにおいては、2種の材料のうち、1種が空気である場合、すなわち、1種の材料(固体158)の表面に微細な凹凸が形成されている場合を考える。図30(a)に示すように、固体158自体が対象となる液体162に対して撥液性を示す(θ>90°)とき、凹部160には液体162が侵入できず、凹部160に空気層が存在することになる。
ここで、空気における接触角θは180°になることから、上記数式6で表される見かけの接触角θは、下記数式8のように表わすことができる。
Figure 2006182014
一方、単一の固体158が対象となる液体に対して、親液性を示す(θ<90°)とき、図30(b)に示すように、凹部160に液体162が侵入し、凹部160が液体162で満たされる。このとき、凹部160の液体との接触角は、0°であるから、上記数式6で表される見かけの接触角θは、下記数式9のように表わすことができる。
Figure 2006182014
ここで、図31は、縦軸にcosθをとり、横軸にcosθをとってカッシーモデルにおける接触角θと見かけの接触角θとの関係を示すグラフである。
このカッシーモデルにおいても、図31に示すように、親液性であるものは、より親液性になり、撥液性であるものは、より撥液性になる。
なお、カッシーモデルにおける接触角が90°付近の急峻な変化については、ウェンゼルモデルが適用できるという説明もある。
また、ウェンゼルモデルおよびカッシーモデルを統合したウェンゼルーカッシー統合モデルが提案されている。このウェンゼルーカッシー統合モデルは、ウェンゼルモデル、カッシーモデルの両方の性質を示す。
図32に示すように、ウェンゼルーカッシー統合モデルは、折れ線Kで示され、cosθ=cosθのラインを境にして第1象現Dの上半分の第1A象現D11と第3象現Dの第3A象現D31の中に収まっている。第1A象現D11は親液性が増大する領域であり、接触角が減少する領域である。また、第3A象現D31は撥液性が増大する領域であり、接触角が増加する領域である。ウェンゼルーカッシー統合モデルでは、図32に示すように、第1A象現D11および第3A象現D31の中だけで推移するに留まる。
このように、図28、図31および図32に示すように、ウェンゼルモデルおよびカッシーモデルならびにウェンゼルーカッシー統合モデルのいずれにおいても、対象となる液体に対して固体自体が撥、すなわち、接触角>90°でない限り、固体に、表面構造が導入されても撥液性が向上することがない。したがって、有機溶剤または油などの表面張力が低い液体で、接触角90°以上を示すことができる撥液性を示す撥液材料が存在しないため、有機溶剤または油で撥液性を実現することができない。
本発明の目的は、前記従来技術の問題点を解決することにあり、有機溶剤、油または表面張力が40mN/m以下からなる液体などの水よりも表面張力が低い液体において撥液性を示す撥液増大構造体およびその製造方法を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、有機溶剤、油または表面張力が40mN/m以下からなる液体などの水よりも表面張力が低い液体を安定して吐出させることができる液体吐出ヘッドを提供することにある。
また、本発明のさらに他の目的は、汚れを防止することができる防汚フィルムを提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明の第1の態様は、水より表面張力が低い液体に対して平坦な表面で親液性を示す基板を用いた撥液増大構造体であって、前記基板の表面に凹部が複数形成されており、前記凹部の内壁は前記基板の厚さ方向に略並行であることを特徴とする撥液増大構造体を提供するものである。
なお、本発明において、水より表面張力が低い液体とは、例えば、有機溶剤、油または表面張力が40mN/m以下からなる液体のことである。また、本発明の基板は、その表面張力が、有機溶剤、油または表面張力が40mN/m以下からなる液体の表面張力の1/4以上の値を有するものであることが好ましい。
本発明においては、前記基板の表面と前記凹部の内壁とがなす角度をαとするとき、前記角度αは、α<126°であることが好ましい。
また、本発明においては、前記基板の表面と前記凹部の内壁との境界における曲率半径は、前記凹部の直径または相当直径、および前記凹部の深さのいずれか小さいほうの値よりも小さいことが好ましい。
さらに、本発明においては、前記基板の表面と前記凹部の内壁との境界における曲率半径は、前記凹部の直径または相当直径、および前記凹部の深さのいずれか小さい方の値の1/2以下であることが好ましい。
さらにまた、本発明においては、前記凹部の前記基板に対する面積比率は、18%以上であることが好ましい。
また、本発明の第2の態様は、水より表面張力が低い液体に対して平坦な表面で親液性を示す基板を用いた撥液増大構造体であって、前記基板の表面に凸部が複数形成されており、前記凸部の外壁は前記基板の厚さ方向に略並行であることを特徴とする撥液増大構造体を提供するものである。
なお、本発明において、水より表面張力が低い液体とは、例えば、有機溶剤、油または表面張力が40mN/m以下からなる液体のことである。また、本発明の基板は、その表面張力が、有機溶剤、油または表面張力が40mN/m以下からなる液体の表面張力の1/4以上の値を有するものであることが好ましい。
本発明においては、前記凸部の上面と前記凸部の外壁とのなす角度をβとするとき、前記角度βは、β<126°であることが好ましい。
また、本発明においては、前記凸部の上面と前記凸部の外壁との境界における曲率半径は、前記凸部の直径または相当直径、および前記凸部の深さのいずれか小さいほうの値よりも小さいことが好ましい。
さらに、本発明においては、前記凸部の上面と前記凸部の外壁との境界における曲率半径は、前記凸部の直径または相当直径、および前記凸部の深さのいずれか小さい方の値の1/2以下であることが好ましい。
さらにまた、本発明においては、前記基板に対する凸部を除いた前記凸部の面積比率は、64%以下であることが好ましい。
また、本発明の第1の態様および第2の態様の撥液増大構造体においては、さらに、前記基板の裏面に下基板が設けられていることが好ましい。
さらに、本発明においては、さらに、前記下基板の表面が表出していないことが好ましい。
さらにまた、本発明においては、前記基板の表面にフッ素を含む材料からなるコーティング層が形成されていることが好ましい。
また、本発明においては、前記基板は、フッ素を含む高分子材料、フッ素樹脂、アモルファスフッ素ポリマ、ポリテトラフルオロエチレンまたはエチレン四フッ化エチレンにより構成されることが好ましい。
また、本発明においては、前記基板は、主成分が炭化水素系高分子樹脂、ガラス、金属または合金であり、前記基板中にフッ素を含む材料が予め添加されているものからなることが好ましい。
さらに、本発明の第3の態様は、水より表面張力が低い液体に対して平坦な表面で親液性を示す基板を用いた撥液増大構造体の製造方法であって、前記基板の表面に凹部または凸部を複数、前記凹部の内壁または凸部の外壁を前記基板の厚さ方向に略並行に形成する工程を有し、前記基板の表面と前記凹部の内壁とがなす角度をαとし、前記凸部の上面と前記凸部の外壁とのなす角度をβとするとき、前記角度α、βがα、β<126°となるように形成されている撥液増大構造体の製造方法を提供するものである。
なお、本発明において、水より表面張力が低い液体とは、例えば、有機溶剤、油または表面張力が40mN/m以下からなる液体のことである。
さらに、本発明の第4の態様は、水より表面張力が低い液体に対して平坦な表面で親液性を示す基板を用いた撥液増大構造体の製造方法であって、前記基板の表面に凹部または凸部を複数、前記凹部または凸部の外壁を前記基板の厚さ方向に略並行に形成する工程を有し、前記基板の表面と前記凹部の内壁との境界における曲率半径は、前記凹部の直径もしくは相当直径、および前記凹部の深さのいずれか小さいほうの値よりも小さく、または凸部の直径もしくは相当直径、および凸部の深さのいずれか小さいほうの値よりも小さく形成されている撥液増大構造体の製造方法を提供するものである。
なお、本発明において、水より表面張力が低い液体とは、例えば、有機溶剤、油または表面張力が40mN/m以下からなる液体のことである。
本発明においては、前記溶液は、帯電粒子が分散されたものであり、さらに、前記貫通孔の個々に対応して配置される、前記溶液に静電力を作用させる吐出電極と、前記貫通孔を通過して前記吐出基板の液滴吐出側に突出する溶液ガイドとを有し、前記吐出電極による静電力により、前記液滴が吐出されることが好ましい。
本発明においては、前記基板をエッチングする工程は、ドライエッチングが用いられることが好ましい。
また、本発明においては、前記基板を熱処理する工程は、前記熱処理の温度が100℃〜180℃の範囲であることが好ましい。
さらにまた、本発明においては、前記基板の表面に凹部または凸部を形成する工程は、凸部または凹部が形成された型を前記基板に押し付ける工程を有することが好ましい。
また、本発明においては、前記基板の表面に凹部または凸部を形成する工程は、下基板上に感光性材料を塗布し、フォトリソグラフィ法により前記凹部または凸部を形成し、前記凹部または凸部が形成された前記感光性材料を熱処理により硬化させる工程を有することが好ましい。
さらにまた、本発明においては、前記基板の表面に凹部または凸部を形成する工程の後工程に、前記基板をクリーニングする工程と、前記基板の表面および前記凹部の内壁または凸部の外壁にフッ素を含む材料からなるコーティング層を形成する工程とを有することが好ましい。
さらにまた、本発明においては、前記基板のクリーニング工程は、酸素を含むガスを用いたプラズマ処理であることが好ましい。
さらに、本発明においては、さらに、下基板上に、前記基板を形成する工程を有することが好ましい。
本発明の第5の態様は、溶液の液滴を吐出させる液体吐出ヘッドであって、前記液滴が吐出される複数の貫通穴が形成された吐出基板を有し、前記吐出基板は前記貫通穴の周辺の溶液吐出面が第1の態様の撥液増大構造体、または第2の態様の撥液増大構造体の基板の表面となるように、前記撥液増大構造体が配置されていることを特徴とする液体吐出ヘッドを提供するものである。
本発明においては、前記溶液の主成分が有機溶剤、油または表面張力が40mN/m以下からなる液体で構成されていることが好ましい。
また、本発明においては、前記溶液は帯電粒子が分散されたものであり、さらに、前記貫通穴の個々に対応して配置される、前記溶液に静電力を作用させる吐出電極と、前記貫通穴を通過して前記吐出基板の液滴吐出側に突出する溶液ガイドとを有し、前記吐出電極による静電力により、前記液滴が吐出されることが好ましい。
さらにまた、本発明においては、さらに、前記吐出基板の前記貫通穴から前記液滴を吐出させる圧電方式またはサーマル方式の液滴吐出手段を有し、前記液滴吐出手段により前記液滴が吐出されることが好ましい。
本発明の第6の態様は、支持体と、前記支持体の表面に形成された第1の態様の撥液増大構造体、または第2の態様の撥液増大構造体とを有することを特徴とする防汚フィルムを提供するものである。
本発明の第1の態様の撥液増大構造体によれば、基板の表面に凹部を複数形成し、この凹部の内壁を基板の厚さ方向に略平行とすることにより、有機溶剤、油または表面張力が40mN/m以下からなる液体などの水よりも表面張力が低い液体に対して平坦な表面で親液性を示す基板であっても、有機溶剤、油または表面張力が40mN/m以下からなる液体などの水よりも表面張力が低い液体において、接触角が90°以上になるか、または接触角が90°以下であるものの増加させることができる。
本発明の第2の態様の撥液増大構造体によれば、基板の表面に凸部を複数形成し、この凸部の内壁を基板の厚さ方向に略平行とすることにより、有機溶剤、油または表面張力が40mN/m以下からなる液体などの水よりも表面張力が低い液体に対して平坦な表面で親液性を示す基板であっても、有機溶剤、油または表面張力が40mN/m以下からなる液体などの水よりも表面張力が低い液体において、接触角が90°以上になるか、または接触角が90°以下であるものの増加させることができる。
本発明の第3の態様の撥液増大構造体の製造方法によれば、基板の表面に凹部または凸部を複数、凹部の内壁または凸部の外壁を基板の厚さ方向に略並行に形成し、この基板の表面と凹部の内壁とがなす角度をαとし、凸部の上面とこの凸部の外壁とのなす角度をβとするとき、角度α、βがα、β<126°となるように形成することにより、有機溶剤、油または表面張力が40mN/m以下からなる液体などの水よりも表面張力が低い液体に対して平坦な表面で親液性を示す基板であっても、有機溶剤、油または表面張力が40mN/m以下からなる液体などの水よりも表面張力が低い液体において、接触角が90°以上になるか、または接触角が90°以下であるものの増加させることができる。
本発明の第4の態様の撥液増大構造体の製造方法によれば、基板の表面に凹部または凸部を複数、凹部の内壁または凸部の外壁を基板の厚さ方向に略並行に形成し、基板の表面と凹部の内壁との境界における曲率半径は、凹部の直径もしくは相当直径、および凹部の深さのいずれか小さいほうの値よりも小さく、または凸部の直径もしくは相当直径、および凸部の深さのいずれか小さいほうの値よりも小さく形成することにより、有機溶剤、油または表面張力が40mN/m以下からなる液体などの水よりも表面張力が低い液体に対して平坦な表面で親液性を示す基板であっても、有機溶剤、油または表面張力が40mN/m以下からなる液体などの水よりも表面張力が低い液体において、接触角が90°以上になるか、または接触角が90°以下であるものの増加させることができる。
さらに、本発明の第5の態様の液体吐出ヘッドによれば、本発明の第1の態様の撥液増大構造体、または第2の態様の構造体を、その基板の表面が、吐出基板の貫通孔の周辺の溶液吐出面となるように配置することにより、有機溶剤、油または表面張力が40mN/m以下からなる液体などの水よりも表面張力が低い液体の接触角を大きくすることができ、メニスカスを安定化できる。これにより、インクに、表面張力が低い有機溶剤、油または表面張力が40mN/m以下からなる液体などの水よりも表面張力が低い液体を用いた場合であっても、インクを安定して吐出させることができる。これにより、高画質の画像を得ることができる。
さらに、本発明の第6の態様の防汚フィルムによれば、本発明の第1の態様の撥液増大構造体、または第2の態様の構造体を、支持体の表面に設けることにより、有機溶剤、油または表面張力が40mN/m以下からなる液体などの水よりも表面張力が低い液体の接触角を大きくすることができ、汚れの主成分である油分をはじくことができるため、油などをとりやすくなる。これにより、指紋、皮脂、汗、および化粧品などの付着による汚れを防ぐことができるとともに、汚れも容易に落すことができる。このように、本発明の第6の態様の防汚フィルムは、指紋、皮脂、汗、および化粧品などの汚れを防ぐことができるため、タッチパネル、または各種モニタの表面に貼り付けるフィルターなどに好適に用いることができる。
以下に、添付の図面に示す好適実施形態に基づいて、本発明の撥液増大構造体およびその製造方法、液体吐出ヘッドならびに防汚フィルムを詳細に説明する。
図1は、縦軸にcosθをとり、横軸にcosθをとって本発明の表面構造モデルにおける接触角θと見かけの接触角θとの関係を示すグラフである。
本発明者は、表面構造、および撥液材料について鋭意検討した結果、表面構造、および撥液材料の最適化により、カッシーモデルの修正に基づく凹部における空気内包の効果により、親液性から撥液性への改善が可能であることを見出した。すなわち、固体自体で接触角が90°以下(親液性の材料)であっても、表面構造によっては、接触角が90°以上になるか、または接触角が90°以下であるものの増加させることができることを見出し、有機溶剤、または油などの表面張力が低い液体に対しても接触角を大きくする手段を知見し、本発明に至った。
一般的に良く知られているモデル(ウェンゼルモデル、カッシーモデル)では、固体材料自体が撥液性を有するものでなければ、撥液性を向上させることは不可能(図28、図31および図32参照)である。それらのモデルによれば、水のような表面張力が高い液体で高い接触角を得られても、有機溶剤、または油などの表面張力が低い液体に対しては、接触角が小さく、撥液性を示さないことが容易に予測される。多くの報告は、水での実験結果から高い撥液性を報告するものの、有機溶剤、または油などで実験することはない。そして、多くの発明では、撥液性について、水の実施例(実験結果)を示し、それに追加する形で実験をすることなく、従来のモデルから撥液性を示さないことが予測できるにもかかわらず、有機溶剤、または油などでも撥液性があるかのような記述をしている。これは正しい知見から得られた発明とはいえない。
そこで、本発明者は、表面の凹凸構造の形状について詳細な検討を行った結果、カッシーモデルが場合によっては、修正されうることを見出した。すなわち、材料の性質による接触角が90°以下であっても、表面構造の導入によっては、接触角を増加させることができる。従来のモデルでは、材料の性質による接触角が90°以下である場合には、表面構造の導入により、接触角は減少する。すなわち、親液性は、より親液性になる。
材料の性質で決まる接触角θが90°以下(cosθ>0)であっても、凹部160が空気で占められる状態が維持(図30参照、数式8参照)され、図1に示すように、接触角θは増加する。なお、この場合、接触角θは、下記数式10で表される。
Figure 2006182014
そして、ある値(θ=θ(遷移角度))を境にカッシーモデル(図31参照、数式9参照)に従い親液性を示すようになる。カッシーモデルにおける遷移角θは、90°であるが、固体の表面に凹凸構造を設けることにより、遷移角θが90°以下にシフトすることが見出された。
本発明においては、遷移角θまで、所定の液体に対して固体が親液性であっても、その所定の液体に対して、撥液性への遷移が許容される。そして、この遷移角度は、凹凸の先鋭度、そのなす角度などに関係している。
一般に接触角が90°を境にして、親液性および撥液性を区別しているが熱力学的には、何の根拠もない。また、ウェンゼルモデル、カッシーモデルともに親液性、撥液性の性質を別々に考えており、その間の境界部分については、何ら考慮されていない。ウェンゼルモデルでは、材料の性質による接触角が90°である場合、表面構造を導入しても変化なく90°であり、カッシーモデルでは、90°近辺で急激な変化が起こることになってしまう。実際の表面では両モデルで表わされるふるまいが混在しているはずであり、この90°近辺の詳しい検討が必要である。そして、その詳細な検討の結果、カッシーモデルに従う表面構造において、その急激な変化が起こる遷移角度が構造によって異なること、そしてそれは、親液性材料でも表面構造で撥液性に変わりうることを見出した。
なお、図1において、第1象現Dは、所定の液体に対して固体が撥液性である場合には、撥液性になる領域である。また、第3象現Dは、所定の液体に対して固体が親液性である場合には、親液性になる領域である。第4象現Dは、所定の液体に対して固体が親液性であっても撥液性になる領域である。
本発明者は、さらに、表面構造、および撥液材料について鋭意検討した結果、表面構造、および撥液材料の最適化により、ウェンゼルモデル、カッシ−モデルの修正に基づく効果により撥液性が増大し、親液性から撥液性への改善が可能であることを見出した。すなわち、固体自体で接触角が90°以下(親液性の材料)であっても、表面構造によって接触角が増加し、接触角が90°以上になるか、または接触角は90°以下であるものの増加することを見出し有機材料または油などの表面張力が低い液体に対しても撥液性を有する手段を知見した。
図32に示すように、ウェンゼルーカッシー統合モデルにおいては、cosθ=cosθのラインを境にして第1象現Dの第1A象現D11と第3象現Dの第3A象現D31の中に収まり、第1A象現D、および第3A象現Dの中だけで推移するに留まる。第1A象現Dは親液性が増大し、接触角が減少する領域である。また、第3A象現Dは撥液性が増大し、接触角が増加する領域である。ウェンゼルーカッシー統合モデルにおいても、水のような表面張力の高い液体で高い接触角が得られても、有機溶剤または油などの表面張力が低い液体に関しては接触角が小さく、撥液性を示さないことが容易に予測される。
また、図32の他の領域を見てみると第1B象現D12は親液性を有する固体材料に表面構造を導入することで親液性が減少する領域、すなわち、撥液性が増大する領域である。第1B象現D12においては、表面構造を導入することで接触角が増加する。ただし、その接触角は90°以下に留まる。
また、第4象現Dは親液性を有する固体材料に表面構造を導入することで撥液性に変化する領域である。表面構造を導入することにより、固体材料で90°以下の接触角が90°以上に増大することを意味する。
従って、第3A象現D、第1B象現D、および第4象現Dは撥液性が増大する領域と言える。図2に示すようにcosθ=cosθのラインを境にして下半分の領域Jを撥液性の増大領域と、上半分の領域Jを親液性の増大領域とに分けることができる。
ここで、本発明者は、表面の凹凸構造の形状について詳細な検討を行った結果、従来のウェンゼルーカッシー統合モデルが場合によっては修正されうることを見出した。すなわち、材料の性質による接触角が90°以下であっても、表面構造の導入によっては接触角を増加させることができる。これは、図2において第1B象現D12と第4象現Dにも、表面構造によっては推移することが可能であることを意味する。
図3は、詳細な検討を行って得られた結果を示すグラフである。
材料の性質で決まる接触角θが90°以下(cosθ>0)であっても、凹部160が空気で占められる状態が維持(図30参照、数式8参照)され、接触角θは増加する。
なお、この場合、接触角θは下記数式11、13で表される。数式11は撥液性におけるカッシ−モデル(数式8)の制限(θ>90°)がなく,接触角θが90°以下でも成り立つ。この数式11は、接触角θが数式12により得られる遷移角度θより大きい場合に成り立つ。
Figure 2006182014
Figure 2006182014
また、接触角θがθより小さい場合には、修正されたウェンゼルモデル(下記数式13)が成り立つ。この数式13においては、付加係数bが追加されている。この付加係数bは、主にAに依存する係数である。
また、この数式13によれば、遷移角θ以上においても撥液増大領域である第4象現Dおよび第1B象現D12に留まる。これはあたかも従来モデルのウェンゼルーカッシー統合モデルでカッシーモデルからウェンゼルモデルへ遷移する遷移角度が右方向(cosθ=1側)にシフトしたように見ることができる。
Figure 2006182014
本発明においては、所定の液体に対して固体が親液性であってもその所定の液体に対して撥液性への遷移または親液性であるものの接触角の増大が許容される。このような傾向は凹凸の角度とパターン形状に関係している。
上述の如く、ウェンゼルモデル、カッシーモデルともに親液性、撥液性の性質を別々に考えており、その間の境界部分については何ら考慮されていない。実際の固体表面では、ウェンゼルモデル、カッシーモデルの両モデルであらわされるふるまいが混在しているはずであり、この90°近辺の詳しい検討が必要である。そして、本発明者等の詳細な検討の結果、略平坦な凹凸構造でそのパターン、凹凸の角度によって従来モデルから推移して図3に示すような特性が得られ、親液性の固体であっても表面構造の導入で撥液性を示すことが可能であることを見出した。
先ず、凹部を有する固体について説明する。本発明においては、図4(a)に示すように、固体(基板)10に開口部の形状が円形の凹部12が形成されている。この凹部12においては、凹部12の側壁(内壁)12aは、固体10の厚さ方向に対して略平行に形成されている。
凹部12の側壁(内壁)12aと固体10の表面10aとの境界が不連続に変化する場合、液滴は、凹部12の内部に侵入しにくい。これは、液滴が凹部12の内部に侵入するためには、凹部12の内部に存在している空気を追い出して、それと交換しなければならないためである。このことは、固体10が液滴に対して親液性を有するものであっても同じであり、この空気と液滴との交換の容易さによって、遷移角度が決定される。凹部12における側壁12aと固体10の表面10aとのなす角度αにより空気と液滴との交換のし易さが変化する。
また、図4(b)に示すように、角度αが大きくなると、空気と液滴との交換が容易になり、遷移角θが90°以上になる。遷移角θを小さくできる角度αは、126°以下であり、望ましくは115°以下である。
また、図4(c)に示すように、凹部12における側壁12aと固体10の表面10aとの境界が連続的に変化する場合も、空気と液滴との交換が容易になる。側壁12aと固体10の表面10aとの境界における曲率半径をρとするとき、曲率半径ρは、凹部12の直径d、凹部12の深さhとの関係で、空気と液体との交換が容易になり遷移角θが90°以上になる。遷移角θを小さくするためには、曲率半径ρが、凹部12の直径dおよび凹部12の深さhのいずれか小さい方の値よりも小さく、望ましくは、凹部12の直径dおよび凹部12の深さhのいずれか小さい方の値の1/2以下である。深さhは、望ましくは1μm以上、更に望ましくは2μm以上である。
また、凹部12の直径dは、液滴に対して無視できるほど十分小さければよく、望ましくは50μm以下、更に望ましくは10μm以下、更に一層好ましくは5μm以下である。
次に、凸部を有する固体について説明する。本発明においては、図5(a)に示すように、固体(基板)10に円柱状の凸部13が独立して、2つ形成されている。各凸部13の外壁13aは、固体10の厚さ方向に対して略平行に形成されている。
各凸部13の外壁13aの間の境界が不連続に変化する場合、液滴は、凸部13の間に侵入しにくい。これは、液滴が凸部13の間に侵入するためには、凸部13の間に存在している空気を追い出して、それと交換しなければならないためである。このことは、固体10が液滴に対して親液性を有するものであっても同じであり、この空気と液滴との交換の容易さによって、遷移角度が決定される。凸部13における外壁13aと、この凸部13の上面13bとのなす角度β(以下、角部13cの角度βともいう)により空気と液滴との交換のし易さが変化する。
また、図5(b)に示すように、角部13cの角度βが大きくなると、空気と液滴との交換が容易になり、遷移角θが90°以上になる。遷移角θを小さくできる角度βは、126°以下であり、望ましくは115°以下である。
また、図5(c)に示すように、凸部13における外壁13aと上面13bとの境界が連続的に変化する場合も、空気と液滴との交換が容易になる。凸部13における外壁13aと上面13bとの境界(角部13c)における曲率半径をρとするとき、曲率半径ρは、凸部13の直径dと凸部13の高さ(深さ)hとの関係で、空気と液体との交換が容易になり遷移角θが90°以上になる。遷移角θを小さくするためには、曲率半径ρが、凸部13の直径dおよび凸部13の高さ(深さ)hのいずれか小さい方の値よりも小さく、望ましくは、凸部13の直径dおよび凸部13の高さ(深さ)hのいずれか小さい方の値の1/2以下である。凸部13の高さhは、望ましくは1μm以上、更に望ましくは2μm以上である。
また、凸部13の直径dは、液滴に対して無視できるほど十分小さければよく、望ましくは50μm以下、更に望ましくは10μm以下、更に一層好ましくは5μm以下である。なお、本発明においては、凸部13の高さは、凹部の深さと同じものとして扱うこととし、同一符号を付す。
親液性の固体に凹凸構造を導入して撥液性を増大させる条件は、凹凸パターンによって異なる。また、凹部の面積比率および固体自体の表面張力によって、その表面構造による接触角の増大の割合が変化する。まず、固体の表面に、開口部の形状が円形の凹部12、または円柱状の凸部13が複数形成されているパターンについて説明する。
上記数式1および数式10から、みかけの接触角θ、面積比率A、液体の表面張力、および固体の表面張力が下記数式14で表される。下記数式14において、見かけの接触角θが90°以上になる関係は、下記数式15で表される。対象となる液滴によりこの関係を満たす固体材料、凹部の面積比率Aを決定することにより、平坦な表面における接触角が90°以下であっても、接触角が90°以上になるか、または接触角は90°以下であるものの増加する。
Figure 2006182014
Figure 2006182014
上記数式14および数式15における凹部12の面積比率Aは、図6(a)に示すように、仮想的な六角形Uの中心に同じ大きさの円形状の凹部12が形成されていることを仮定して算出される凹部12の面積比率である。すなわち、凹部12の配置が最密充填である場合にものおける面積比率である。この面積比率Aは、下記数式16により表されるものである。なお、下記数式16におけるdは凹部12の直径であり、pは六角形Uの大きさである。
Figure 2006182014
また、凹部12の面積比率Aは、18%以上であることが好ましく、更に好ましくは40%以上であり、更に一層好ましくは60%以上である。凹部12の面積比率Aを高くすることにより、液体が空気に接触する割合が増え、見かけの接触角θが高くなる。
また、凸部13が複数設けられた凸パターンにおける凸部13の面積比率Aは、図6(b)に示すように、仮想的な六角形Uの中心に同じ大きさの円柱状の凸部13が形成されていることを仮定して算出される凸部13の面積比率である。すなわち、凸部13の配置が最密充填である場合にものおける面積比率である。この面積比率Aは、下記数式17により表されるものである。なお、下記数式17におけるdは凸部13の直径であり、pは六角形Uの大きさである。
Figure 2006182014
また、凸部13の固体10の表面10aに対する凸部13を除いた面積比率Aは、64%以下であることが好ましく、更に好ましくは40%以下である。凸部13の固体10の表面10aに対する凸部13を除いた面積比率Aを低くすることにより、液体が空気に接触する割合が増え、見かけの接触角θが高くなる。
本発明においては、凹部12は、開口部の形状が円形に限定されるものではない。開口部の形状が正方形である凹部であってもよい。この場合においても、表面が平坦な基板とこの基板の表面に、開口部の形状が正方形の凹部が複数形成されているものである。このようなパターンでは個々の凹部、すなわち、空気を内包する領域は独立している。
開口部の形状が正方形の凹部において、撥液性増大をもたらす角度α、凹部の一辺の長さd、凹部の深さhに関する値、および角部(境界)における曲率半径ρなどの条件は、円形の凹部12と同じである。
さらに、正方形の断面形状を有する凹部12bの面積比率Aは、図7(a)に示すように,正方形の凹部12bがマトリックス状に配置されていることを仮定して算出される面積比率である。凹部12bの面積比率Aは、下記数式18により表されるものである。なお、下記数式18におけるdは凹部12bの一辺の長さであり、sは凹部12b間の間隔である。なお、凹部12の形状が楕円形または多角形の場合、円形の直径dに変えて、相当直径を用いることができる。
ここで、相当直径とは、「4×面積/総辺長(または全周長)」で表わされる長さのことである。なお、正方形においては、相当直径は、(4×d)/(4×d)=dとなる。これにより、正方形における相当直径は、一辺の長さとなる。
Figure 2006182014
この面積比率Aは20%以上であることが望ましく、更に好ましくは40%以上であり、更に一層好ましくは60%以上である。凹部12の面積比率Aを高くすることにより、液体が空気に接触する割合が増え、見かけの接触角θが高くなる。
また、基板の表面に正四角柱状の凸部13dが複数形成されている場合、凸部13dが独立しており、隙間(凹部)が共通につながっている。従って、空気はこの隙間(凹部)に存在し、この領域は分離されることなく共通に存在している。このとき、撥液性増大をもたらす凸部13dの角部の角度β、凸部13dの一辺の長さd、凸部13dの高さhに関する値、および角部(境界)における曲率半径ρなどの条件は、円柱状の凸部13と同じである。
また、凸部13dの一辺の長さdは、円柱状の凸部13と同じく液滴に対して無視できるほど小さく、望ましくは、50um以下、更に望ましくは10um以下である。また、凸部13dの高さhは2μm以上が望ましく、更に望ましくは4μm以上である。
さらに、凸部13dの面積比率Aは、図7(b)に示すように,正四角柱状の凸部13dがマトリックス状に配置されていることを仮定して算出される面積比率である。凸部13dの面積比率Aは、下記数式19により表されるものである。なお、下記数式19におけるdは凸部13dの一辺の長さであり、sは凸部13d間の隙間である。なお、凸部13dの形状が楕円形または多角形の場合、円形の直径dに変えて、相当直径を用いることができる。
ここで、相当直径とは、「4×面積/総辺長(または全周長)」で表わされる長さのことである。なお、正方形においては、相当直径は、一辺の長さとなる。
Figure 2006182014
固体(基板)10に対する凸部13を除いて表わされる凸部13dの面積比率(以下、単に、凸部の面積比率という)Aは64%以下であることが望ましく、更に望ましくは40%以下であることが望ましい。凸部13の面積比率Aを小さくすることにより、液体が空気に接触する割合が増え、見かけの接触角θが高くなる。
なお、面積比率Aの範囲から外れる面積比率をもつ凹凸パターンでは、本発明で得られる親液性の固体表面における撥液性の増大の効果が小さい。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
[第1の実施形態]
図8は、本発明の第1の実施形態に係る撥液増大構造体を示す模式的斜視図である。
図8に示すように、本実施形態の撥液増大構造体14は、表面が平坦な基板16と、この基板16の表面に凹部18が複数形成されているものである。
基板16は、表面が平坦であり、かつ厚さが均一なものである。この基板16は、有機溶剤、油または表面張力が40mN/m以下からなる液体などの水よりも表面張力が低い液体に対して、表面に何も形成されていない平坦な状態では撥液性を示さず、親液性を示すものであり、すなわち、液体の接触角が90°未満である。また、基板16の表面張力γは、有機溶剤、油または表面張力が40mN/m以下からなる液体の表面張力γの1/4以上の値であることが好ましい。
さらに、基板16は、例えば、フッ素を含む高分子材料、フッ素樹脂、アモルファスフッ素ポリマ、テフロン(登録商標、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE))またはエチレン四フッ化エチレン(ETFE)により構成される。
さらにまた、基板16は、例えば、主成分が炭化水素系高分子樹脂、ガラス、金属または合金であり、その基板中にフッ素を含む材料が予め添加されているものにより構成される。
凹部18は、平面視略円形の略円筒状を呈するものであり、その内壁が基板16の厚さ方向に略平行に形成されている。すなわち、撥液増大構造体14においては、図8に示す角度αが90°に形成されている。この角度αは126°以下であり、望ましくは115°以下である。
また、凹部18は、基板16の表面に対して面積比率Aが、基板16の表面張力をγとし、有機溶剤、油または表面張力が40mN/m以下からなる液体などの水よりも表面張力が低い液体の表面張力をγとするとき、上記数式15を満足するように形成されている。なお、凹部18の面積比率Aは、上述の如く、18%以上であることが好ましく、更に好ましくは40%以上であり、更に一層好ましくは60%以上である。凹部12の面積比率を高くすることにより、見かけの接触角θが高くなる。
また、凹部12の直径dは、液滴に対して無視できるほど十分小さければよく、望ましくは50μm以下、更に望ましくは10μm以下、更に一層好ましくは5μm以下である。
本実施形態においても、凹部18の側壁と基板16の表面16aとが連続的に滑らかな場合、その曲率半径ρは凹部12の直径dおよび凹部12の深さhのいずれか小さい方の値よりも小さい値である。この曲率半径ρは、望ましくは、凹部12の直径dおよび凹部12の深さhのいずれか小さい方の値の1/2以下の値である。凹部12の深さhは、望ましくは1μm以上であり、更に望ましくは2μm以上である。
本実施形態の撥液増大構造体14においては、表面が平坦な基板16の表面に凹部18を、複数、この凹部18の内壁を基板16の厚さ方向に略平行、かつ基板16の表面張力をγとし、有機溶剤、油または表面張力が40mN/m以下からなる液体などの水よりも表面張力が低い液体の表面張力をγとするとき、凹部18の開口部の基板16の表面に対する面積比率Aが上記数式15を満足するように形成することにより、基板16に何も形成されていない状態で接触角が90°未満である液体に対しても、接触角を90°以上、または接触角を増加させることができる。これにより、有機溶剤、油または表面張力が40mN/m以下からなる液体などの水よりも表面張力が低い液体において撥液性を増大させることができる。
なお、本実施形態においては、基板の表面および凹部の内壁全体に、凹部18の形状を維持できる程度の厚さのコーティング層を形成してもよい。このコーティング層としては、例えば、それ自身が撥液性を有するものであり、フッ素を含みF(フッ素)の数が、例えば、10以上の低分子の撥液材料からなるものである。
また、コーティング層の厚さは、凹部18および基板16の形状が維持できる厚さとし、凹部18の直径の1/10以下であることが好ましい。このコーティング層の厚さは、例えば、100nmとする。さらに好ましくは、コーティング層の厚さは、10nm以下である。これにより、凹部18が、撥液材料により埋まることがなく、撥液増大構造体14の表面の局所的な凹凸構造が維持される。このため、局所的な凹凸構造を有する表面構造による撥液性を発現させることができるとともに、コーティング層よる撥液性の効果の2つの効果を得ることができる。
次に、本実施形態の撥液増大構造体14(図9参照)の製造方法について説明する。
図9(a)〜(d)は、本発明の第1の実施形態に係る撥液増大構造体の製造方法を工程順に示す断面図である。
先ず、図9(a)に示すように、フッ素樹脂、ポリイミド、またはPETからなる基板16の表面に、例えば、アルミニウムからなる金属膜20を、例えば、蒸着により形成する。次に、この金属膜20の全面にレジスト膜22を形成する。
次に、図9(b)に示すように、フォトリソグラフィ法によりレジスト膜22に、凹部18の形成予定領域の基板16の表面に対する面積比率Aが上記数式15を満足するようにパターン24を形成する。そして、パターニングされたレジスト膜22をマスクとして、例えば、りん酸を用いたウエットエッチングにより、金属膜20にパターンを形成する。
次に、図9(c)に示すように、レジスト膜22を除去する。そして、パターニングされた金属膜20をマスクとして、例えば、ドライエッチングにより、基板16に凹部18を、その内壁を基板16の厚さ方向に略平行に形成する。これにより、基板16の表面に、同じ大きさの凹部18が複数形成される。
次に、図9(d)に示すように、金属膜20を、例えば、ウエットエッチングにより除去する。
次に、凹部18が形成された基板16に熱処理を施す。この熱処理により金属膜蒸着またはドライエッチングによる表面のダメージを回復させる。この熱処理をすることにより、撥液性が発現する。また、基板16の熱処理温度は100℃〜180℃の温度範囲で行うことが好ましい。熱処理温度が100℃未満では、基板16のダメージの回復が不十分である事がある。また、熱処理温度が180℃を超えると、凹部18の形状が変化することがあり、撥液性を劣化させる事がある。このようにして、撥液増大構造体14を作製することができる。
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態の撥液増大構造体について説明する。なお、本実施形態においては、図8に示す第1の実施形態の撥液増大構造体14と同一構成物には、同一符号を付してその詳細な説明は省略する。
図10は、本発明の第2の実施形態に係る撥液増大構造体を示す模式的斜視図である。
図10に示すように、本実施形態の撥液増大構造体15は、第1の実施形態の撥液増大構造体14(図8参照)に比して、凹部19の開口部の形状が、円形ではなく正方形である点が異なり、それ以外の凹部19の大きさ、角度α、および面積比率などの構成については、第1の実施形態の撥液増大構造体14と同様である。
この撥液増大構造体15は、開口部の形状が正方形の凹部19が、基板16に複数形成されている。
また、本実施形態の撥液増大構造体15の製造方法も、フォトリソグラフィ法によりレジスト膜22に形成されるパターンが、凹部19の形成予定領域の基板16の表面に対する面積比率Aが上記数式18を満足するように形成する点が異なり、それ以外の製造方法は、第1の実施形態の撥液増大構造体14の製造方法と同様である。このため、本実施形態の撥液増大構造体15の製造方法について、その詳細な説明は省略する。
なお、本実施形態の撥液増大構造体15においても、第1の実施形態の撥液増大構造体14と同様の効果を得ることができることは言うまでもない。
[第3の実施形態]
次に、本発明の第3の実施形態の撥液増大構造体について説明する。なお、本実施形態においては、図8に示す第1の実施形態の撥液増大構造体14と同一構成物には、同一符号を付してその詳細な説明は省略する。
図11は、本発明の第3の実施形態に係る撥液増大構造体を示す模式的斜視図である。
図11に示すように、本実施形態の撥液増大構造体15aは、第1の実施形態の撥液増大構造体14(図8参照)に比して、基板16の表面に、正四角柱状の凸部16が隙間23を設けて複数形成されている点が異なり、それ以外の構成については、第1の実施形態の撥液増大構造体14と同様である。
この撥液増大構造体15aにおいては、凸部21における外壁21aと上面21bとのなす角度β(以下、角部21cの角度βともいう)は、126°以下であり、望ましくは115°以下である。
また、角部21cの曲率半径ρが、凸部21の長さdおよび凸部21の高さhのいずれか小さい方の値よりも小さく、望ましくは、凸部21の長さdおよび凸部21の高さhのいずれか小さい方の値の1/2以下である。凸部21の高さhは、望ましくは1μm以上、更に望ましくは2μm以上である。
また、凸部21の長さdは、液滴に対して無視できるほど十分小さければよく、望ましくは50μm以下、更に望ましくは10μm以下、更に一層好ましくは5μm以下である。なお、凸部21の形状が楕円形または多角形の場合、円形の直径dに変えて、上述の如く、相当直径を用いることができる。正方形の場合、相当直径は一辺の長さdとなる。
また、本実施形態の撥液増大構造体15aの製造方法も、フォトリソグラフィ法によりレジスト膜22に形成されるパターンが、凸部21の形成予定領域の基板16の表面に対する面積比率Aが上記数式19を満足するように形成する点が異なり、それ以外の製造方法は、第1の実施形態の撥液増大構造体14の製造方法と同様である。このため、本実施形態の撥液増大構造体15aの製造方法について、その詳細な説明は省略する。
なお、本実施形態の撥液増大構造体15aにおいても、第1の実施形態の撥液増大構造体14と同様の効果を得ることができることは言うまでもない。
[第4の実施形態]
次に、本発明の第4の実施形態の撥液増大構造体について説明する。なお、本実施形態においては、図8に示す第1の実施形態の撥液増大構造体14と同一構成物には、同一符号を付してその詳細な説明は省略する。
図12は、本発明の第4の実施形態に係る撥液増大構造体を示す模式的斜視図である。
図12に示すように、本実施形態の撥液増大構造体30は、第1の実施形態の撥液増大構造体14(図8参照)に比して、撥液効果を備える基板34の裏面に下基板34が形成されている点が異なり、それ以外の構成は、第1の実施形態の撥液増大構造体14と同様である。
この撥液増大構造体30は、下基板32と、この下基板32の表面に形成された基板34と、この基板34に形成される凹部36とを有する。
このように、本実施形態において、下基板32は、基板34に凹部36が形成されているため、有機溶剤、油または表面張力が40mN/m以下からなる液体などの水よりも表面張力が低い液体に対してその材質が特に限定されるものではない。このため、金属、合金、樹脂、またはガラスなど使用状況に応じて適宜選択することができる。
基板34は、第1の実施形態の基板16(図8参照)と同様の構成のものを用いることができ、詳細な説明は省略する。
また、凹部36についても、第1の実施形態の凹部18と同様であり、その詳細な説明は省略する。この凹部36は、その底面36aが下基板32に達するものではなく、下基板32の表面は表出しない。この凹部36の底面36aと下基板32の表面までの厚さは、0.1μm以上であることが好ましく、更に好ましく1μm以上である。
本実施形態の撥液増大構造体30は、第1の実施形態の撥液増大構造体14に比して、下基板32上に形成された基板34に凹部36が形成され、この基板34により、撥液効果が発現される点が異なり、それ以外の構成は、第1の実施形態の撥液増大構造体14と同様であり、本実施形態の撥液増大構造体30においても、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
次に、本実施形態の撥液増大構造体30の第1の製造方法について説明する。
図13(a)〜(e)は、本発明の第4の実施形態に係る撥液増大構造体の第1の製造方法を工程順に示す断面図である。
先ず、図13(a)に示すように、下基板32の上に基板34を、例えば、塗布により形成する。なお、基板34は、例えば、フッ素系のポリマ、PTFE、アモルファスフッ素ポリマ、炭化水素系ポリマ、無機系のゾルゲル材にフッ素からなる低分子の材料を添加した材料により構成されるものである。この基板34は、数μm〜数10μmの厚さに形成することができるものである。
次に、図13(b)に示すように、基板34の表面に、例えば、アルミニウムからなる金属膜38を、例えば、蒸着により形成する。次に、この金属膜38の全面にレジスト膜40を形成する。
次に、図13(c)に示すように、フォトリソグラフィ法によりレジスト膜40に、凹部36の形成予定領域が、凹部36の形成予定領域の基板34の表面に対する面積比率Aが上記数式15を満足するパターン42を形成する。そして、パターニングされたレジスト膜40をマスクとして、例えば、りん酸を用いたウエットエッチングにより、金属膜38にパターンを形成する。
次に、図13(d)に示すように、レジスト膜40を除去する。そして、パターニングされた金属膜38をマスクとして、例えば、ドライエッチングにより、基板34に凹部36を形成する。これにより、凹部36の基板34の表面に対する面積比率Aが上記数式15を満足する複数の凹部36が同じ大きさで基板34の表面に形成される。
次に、図13(e)に示すように、金属膜38を、例えば、ウエットエッチングにより除去する。
次に、凹部36が形成された基板34に熱処理を施す。この熱処理により金属膜蒸着またはドライエッチングによる表面のダメージを回復させる。この熱処理をすることにより、撥液性が発現する。また、基板34の熱処理温度は100℃〜180℃の温度範囲で行うことが好ましい。熱処理温度が100℃未満では、基板34のダメージの回復が不十分である事がある。また、熱処理温度が180℃を超えると、凹部36の形状が変化することがあり、撥液性を劣化させる事がある。このようにして、撥液増大構造体30を作製することができる。
次に、本実施形態の撥液増大構造体30の第2の製造方法について説明する。
図14(a)〜(d)は、本発明の第4の実施形態に係る撥液増大構造体の第2の製造方法を工程順に示す断面図である。
第2の製造方法は、型44を用いて基板34にパターンを転写して凹部36を形成する方法である。
図14(a)に示すように、型44は、基台46に凸部48が形成されている。この凸部48は、基板34の凹部36を形成するものであり、凸部48の間の凹部48aが基板34の凸になる部分である。凸部48は、形成される凹部36が、基板34の表面に対する面積比率Aが上記数式15を満足するように形成されている。また、この型44は、例えば、金属、ガラス、またはシリコンなどの硬度が高い材料を用いて、リソグラフィ法、ドライエッチング、またはめっきなどにより形成されるものである。
一方、第1の製造方法と同様に、図14(b)に示すように、下基板32上に、例えば、塗布法により基板34を形成する。
次に、図14(c)に示すように、型44を基板34に押し付け、基板34を昇温するか、または基板34を昇温した状態で型44を基板34へ押し付け、固化させ、型44のパターンを基板34に転写する。
次に、図14(d)に示すように、型44を基板34から離す。このようにして、撥液増大構造体30を作製することができる。
次に、本実施形態の撥液増大構造体30の第3の製造方法について説明する。
図15(a)〜(c)は、本発明の第4の実施形態に係る撥液増大構造体の第3の製造方法を工程順に示す断面図である。
先ず、図15(a)に示すように、下基板32の上に第1の感光性膜50を形成する。そして、第1の感光性膜50に熱処理を施し、硬化させる。これにより、第1の膜50aとなる(図15(b)参照)。
次に、図15(b)に示すように、第1の膜50a(第1の感光性膜50)と同じ材料からなる第2の感光性膜52を、第1の膜50a(第1の感光性膜50)の表面に形成する。
次に、図15(c)に示すように、フォトリソグラフィ法により第2の感光性膜52に、凹部36の形成予定領域が、凹部36の形成予定領域の基板34の表面に対する面積比率Aが上記数式15を満足するパターンに露光し、さらに現像する。これにより、第2の感光性膜52が第2の膜52aとなる。この第2の膜52aには、凹部36が形成されている。第1の膜50aと、この上に形成された第2の膜52aとにより、基板34が構成される。このようにして、凹部36が形成された基板34を有する撥液増大構造体30を作製することができる。
本実施形態においては、第1の感光性膜50(第1の膜50a)は、下基板32と、第2の感光性膜52との表面張力の差が大きく異なる場合において、その表面張力の差をなくすため下基板32の表面を露出させないために形成するものである。このため、材料の組み合わせにより、表面張力の差がない場合、または下基板32が表出しない方法であればなんでもよい。第1の感光性膜50(第1の膜50a)は、必ずしも設ける必要はない。
また、本実施形態においては、第1の感光性膜50および第2の感光性膜52には、紫外線などの光が照射されると化学的結合が変化し、現像によるエッチングレートに差を生じる材料であり、かつ熱処理を施すことにより硬化し、化学的に安定になる材料が用いられる。第1の感光性膜50および第2の感光性膜52としては、例えば、感光性ポリイミド、PMMA(ポリメチルメタクリレート)、または感光性フッ素材料などが用いられる。
[第5の実施形態]
次に、本発明の第5の実施形態について説明する。なお、本実施形態においては、図12に示す第4の実施形態の撥液増大構造体30と同一構成物には、同一符号を付してその詳細な説明は省略する。
図16は、本発明の第5の実施形態に係る撥液増大構造体を示す模式的斜視図である。
図16に示すように、本実施形態の撥液増大構造体31は、第4の実施形態の撥液増大構造体30(図12参照)に比して、凹部37の開口部の形状が、円形ではなく正方形である点が異なり、それ以外の凹部37の大きさ、角度α、および面積比率などの構成については、第2の実施形態の撥液増大構造体31と同様である。本実施形態においても、凹部37の底面37aは、下基板32に達することはない。
また、本実施形態の撥液増大構造体31は、第4の実施形態の撥液増大構造体30の第1〜第3の製造方法のいずれの製造方法によっても製造することができるものである。本実施形態の撥液増大構造体31の製造方法においては、凹部37を形成するパターンの形状が基板32の表面に対する面積比率Aが上記数式18を満足するように形成する点が異なり、それ以外の製造方法は、第4の実施形態の撥液増大構造体30の製造方法と同様である。このため、本実施形態の撥液増大構造体31の製造方法について、その詳細な説明は省略する。
なお、本実施形態の撥液増大構造体31においても、第4の実施形態の撥液増大構造体30と同様の効果を得ることができることは言うまでもない。
[第6の実施形態]
次に、本発明の第6の実施形態について説明する。なお、本実施形態においては、図12に示す第4の実施形態の撥液増大構造体30と同一構成物には、同一符号を付してその詳細な説明は省略する。
図17(a)は、本発明の第6の実施形態に係る撥液増大構造体を示す模式的断面図であり、(b)は、図17(a)の要部拡大図である。
本実施形態の撥液増大構造体60は、第4の実施形態の撥液増大構造体30(図12参照)と比して、基板34の表面にコーティング層62が形成されており、また、凹部36の底部36aが下基板32に到達していない点が異なり、それ以外の構成は、第4の実施形態の撥液増大構造体30と同様であるため、その詳細な説明は省略する。
コーティング層62は、それ自身が撥液性を有するものであり、例えば、フルオロアルキルシランにより構成されるものである。
本実施形態の撥液増大構造体60においては、コーティング層62を形成する前にコーティング層62が形成される基板34の表面にクリーニングを行う必要である。これは、撥液性材料の基板34への付着力を高めるためになされる。クリーニングは、特に酸素プラズマによるクリーニングが撥液材料の撥液性向上に必要である。クリーニングの方法は、特に限定されるものではなく、これ以外の方法としては、プライマー処理、コロナ放電処理、レーザ処理、および紫外線照射などを用いることが可能である。
また、本実施形態の撥液増大構造体60においては、凹部の形状は、特に限定されるものではなく、開口形状が四角など多角形状でもよい。また、凹部に換えて凸部を設けた構成でもよい。
また、本実施形態においては、コーティング層62の厚さは、凹部36および基板34の形状が維持できる厚さとし、例えば、100nmとする。さらに好ましくは、コーティング層62の厚さは、10nm以下である。これにより、凹部36が、撥液材料により埋まることがなく、撥液増大構造体60の表面の局所的な凹凸構造が維持される。このため、局所的な凹凸構造を有する表面構造による撥液性を発現させることができるとともに、コーティング層62よる撥液性の効果の2つの効果を得ることができる。
本実施形態の撥液増大構造体60においても、第4の実施形態の撥液増大構造体30と同様に、水よりも表面張力が低い有機溶剤または油などの液体に対しても接触角を大きくし、撥液性を有することができる。
また、本実施形態においては、撥液増大構造体40の基板42を、例えば、ガラスなどの絶縁性部材により構成することにより、撥液増大構造体40を絶縁体とすることができる。このため、例えば、静電式などのインクジェットヘッドの吐出基板に用いることができる。
次に、本実施形態の撥液増大構造体60の製造方法について説明する。
図18(a)〜(f)は、本発明の第6の実施形態の撥液増大構造体の製造方法を工程順に示す断面図である。
本実施形態の製造方法は、図13(a)〜(e)に示す第4の実施形態の第1の製造方法に比して、凹部36の形成(図18(e)参照)後、基板34の表面全面にコーティング層を形成する工程を有する点が異なり、それ以外の製造方法は、第2の実施形態の第1の製造方法と同様であるため、その詳細な説明は省略する。
本実施形態によれば、凹部36を形成した後(図18(e)参照)、例えば、酸素プラズマを用いて、凹部36および基板34の表面のクリーニングを行う。
次に、凹部36および基板34の表面に、例えば、スピンコート、液中に浸漬する方法、真空蒸着、または気相吸着によりコーティング層62を形成する。このようにして、図17(a)および(b)に示す撥液増大構造体60を形成することができる。
なお、本実施形態の撥液増大構造体60においては、コーティング層62を有するため、基板34に形成される凹部36は底面が下基板32に達するものであってもよい。すなわち、下基板32が表出してもよい。
ここで、本発明の撥液増大構造体は、上述の実施形態の構成に限定されるものではない。例えば、図19(a)に示す撥液増大構造体76のように、基板78の表面に円柱状の凸部80が形成された構成であってもよい。この凸部80は、高さが同じである。また、凸部80は最密充填に配列されていることが好ましい。さらに、凸部80の角部の角度βは、上述の条件(β<126°)を満たすことが好ましい。
凸部80の材質は、基板と同様のものを用いることができる。さらに、製造方法も、レジスト膜および金属膜に形成されるパターンが異なるだけで、他の製造方法は、第1の実施形態〜第3の実施形態の撥液増大構造体と同様に製造することができる。
また、本発明においては、図19(b)に示す撥液増大構造体82のように、基板84に形成される凹部86の開口部の形状を、円ではなく長穴形状としてもよい。なお、基板84の下面に下基板を設けてもよいのは、もちろんである。
また、本発明においては、凹部86の開口部の形状は、円、または長穴に限定されるものではなく、凹部が開口部を除いて閉塞していれば、その形状は、特に限定されるものではなく、面積比率、角度αおよび曲率半径ρなどにより適宜決定されるものである。
凹部86のように、開口部の形状を長穴形状としたとき、凹部の長さが長いか、または凹部の形状が非対称の場合、内接する最も長い線の長さが、表面に接する液体のサイズより十分大きく、かつ基板84の表面が平坦であれば、凹部の大きさおよび凹部形状は必ずしも全てが同じである必要はない。
さらに、本発明においては、凸部も円柱状、または正四角柱状に限定されるものではない。凸部の外壁が基板の厚さ方向に対して略平行に形成されていれば、その形状は、特に限定されるものではなく、さらに、面積比率、角度αおよび曲率半径ρなどについて上述の条件を満足することが好ましい。
[第7の実施形態]
次に、本実施形態の第7の実施形態について説明する。
本実施形態は、上述の第1の実施形態〜第6の実施形態の撥液増大構造体が液体吐出ヘッドの吐出基板に適用された静電式インクジェットである。
図20は、本発明の撥液増大構造体が液体吐出ヘッドの吐出基板に適用された静電式インクジェットを有するインクジェット記録装置を示す模式的断面図であり、図21は、図20に示す液体吐出ヘッドの模式的部分斜視図である。
図20に示すインクジェット記録装置90(以下、記録装置90という)は、静電式のインクジェットによってインク液滴Rを吐出して、例えば、矩形状の記録媒体Pに画像記録(描画)を行うものであり、基本的に、本発明の液体吐出ヘッド92(以下、吐出ヘッド92という)と、記録媒体Pの保持手段94と、インク循環系96と、電圧印加手段98とを有して構成される。
本実施形態の記録装置90において、吐出ヘッド92は、記録媒体Pの一辺の全域に対応するインク液滴Rの吐出口106の列(以下、ノズル列という)を有する、いわゆるラインヘッドである。
記録装置90においては、記録媒体Pを保持手段94で保持して、記録媒体Pを吐出ヘッド92と対面して所定の記録位置に位置した状態で、保持手段94を吐出ヘッド92のノズル列と直交する方向に移動(走査搬送)することにより、ノズル列によって記録媒体Pの全面を二次元的に走査する。この走査に同期して、吐出ヘッド92の各吐出口106から、記録画像に応じて変調してインク液滴Rを吐出することにより、記録媒体Pにオンデマンドで画像を記録する。
また、画像記録時には、インク循環系96によって、吐出ヘッド92(後述するインク流路112)を含む所定の循環経路でインクQを循環することにより、各吐出口106にインクQを供給する。
吐出ヘッド92は、静電力によってインクQ(インク液滴R)を吐出する静電式インクジェットの液体吐出ヘッドであって、図20および図21に示すように、基本的に、吐出基板100と、支持基板102と、インクガイド(溶液ガイド)104とを有して構成される。
吐出基板100は、Al23もしくはZrO2などのセラミックス材料またはポリイミドなどの絶縁性材料からなる基板で、吐出基板100を貫通して、インクQのインク液滴Rを吐出するための吐出口106が、多数、穿孔されている。
吐出基板100の上面(液滴吐出側=記録媒体P側の面 以下、こちら方向を上、逆方向を下と称する)の吐出口106以外の領域は、好ましい態様として、シールド電極108によって全面的に被覆されている。このシールド電極108の表面に、撥液層109が形成されている。この撥液層109の表面がインク吐出面(溶液吐出面)となる。
シールド電極108は、導電性の金属板などで形成される全吐出口106に共通のシート状電極で、所定電位に保持されている。この所定電位は、接地による0Vを含む。このようなシールド電極108を有することにより、互いに隣接する吐出口106(吐出部)の電気力線を遮蔽して、吐出部間における電界干渉を防止して、インク液滴Rを安定に吐出できる。
上述の第1の実施形態〜第6の実施形態の撥液増大構造体のいずれも静電式インクジェットヘッドの撥液層109に適用することができる。このため、撥液層109は、上述の第1の実施形態〜第6の実施形態の撥液増大構造体のいずれかと同じ構造を有するものであればよい。
吐出基板100の下面には、各吐出口106に対応して、吐出電極110が設けられている。
本実施形態において、吐出電極110は、例えば、吐出口106を囲むリング状の電極であり、電圧印加手段98に接続されている。
吐出電極110には、電圧印加手段98が接続される。電圧印加手段98は、駆動電源114とバイアス電源116とが直列に接続されたもので、インクQの色材粒子の帯電電位と同極側(例えば、正極)が吐出電極110に接続されて、他極側は接地されている。
駆動電源114は、例えば、パルス電源であって、記録画像(画像データ=吐出信号)に応じて変調したパルス状の駆動電圧を吐出電極110に供給する。バイアス電源116は、画像記録中に、所定のバイアス電圧を、常時、吐出電極110に印加する。
支持基板102も、ポリイミドまたはガラス等の絶縁性材料で形成される基板である。
吐出基板100と支持基板102とは、所定の間隔だけ離間して配置され、その間隙がインクQを各吐出口106に供給するインク流路112となる。
インク流路112は、後述するインク循環系96に接続されており、インク循環系96が所定の経路でインクQを循環することにより、インク流路112にインクQが流れ(本実施形態では、例えば、右から左)、各吐出口106にインクが供給される。
支持基板102の上面には、インクガイド104が設けられている。
インクガイド104は、インク流路112から吐出口106に供給されたインクQを案内して、メニスカスの形状または大きさを調整してメニスカスを安定させ、かつ、自身に電界(静電力)を集中させてメニスカスに電界を集中させることにより、インク液滴Rを吐出し易くするためのもので、吐出口106を貫通して吐出基板100の表面から記録媒体P(保持手段94)側に突出するように、各吐出口106に対応して配置されている。
互いに対応する吐出口106、吐出電極110、およびインクガイド104によって、1ドットのインク液滴Rの吐出に対応する1つの吐出部(1チャンネル)が形成され、インクガイド104の先端部が、インクQの飛翔位置となる。
本実施形態の吐出ヘッド92において、インクガイド104は、一例として、吐出電極110と中心を一致する、下方(基部側)の円筒部分と、その上(先端部)の円錐部分部とを有する形状である。インクガイド104の最大径部分は、吐出電極110の内径よりも、若干、小さくなっている。また、電界密度を集中させるために、インクガイド104の先端部には金属を蒸着してもよい。
吐出基板100と支持基板102との間に形成されるインク流路112には、インク循環系96によってインクが供給される。
インク循環系96は、インクQを貯留するインクタンクおよびインクQを供給するポンプを有するインク供給手段118と、インク供給手段118とインク流路112のインク流入口(インク流路112の図20中の右側端部)とを接続するインク供給流路120と、インク流路112のインク流出口(同左側端部)とインク供給手段118とを接続するインク回収流路122とを有して構成される。また、これ以外にも、インクタンクへのインク補充手段等を有してもよい。
インクQは、インク供給手段118からインク供給流路120を経て吐出ヘッド92のインク流路112に供給されて、インク流路112を流れ(図20中右から左に流れる)、インク流路112からインク回収流路122を経てインク供給手段118に戻る経路で循環され、これによりインク流路112から各吐出口106(ノズル)に供給される。
なお、本発明の吐出ヘッド92が吐出するインクQとしては、色材を含む帯電粒子を分散媒にしてなるインクQ等、帯電した微粒子を分散媒に分散してなる、静電式のインクジェットに利用される各種のインクQ(溶液)が利用可能である。このインクQは、例えば、表面張力が40mN/m以下からなる液体であり、表面張力が水より小さい。
保持手段94は、記録媒体Pを保持して吐出ヘッド92のノズル列方向と直交方向(以下、走査方向という)に走査搬送するものである。
この保持手段94は、吐出ヘッド92(吐出基板100)の上面(溶液吐出面)に対面した状態で記録媒体Pを保持するプラテンとしても作用する対向電極124と、対向バイアス電源126と、対向電極124を走査方向に移動することにより、記録媒体Pを走査方向に走査搬送する走査搬送手段(図示省略)とを有して構成される。この走査搬送により、記録媒体Pは、吐出ヘッド92の吐出口106(ノズル列)によって、全面を二次元的に走査され、各吐出口106から変調して吐出されたインク液滴Rによって画像が記録される。
対向電極124による記録媒体Pの保持手段には、特に限定はなく、静電気を利用する方法、治具を用いる方法、および吸引による方法等、公知の方法によればよい。
対向バイアス電源126は、吐出電極110(=色材粒子)と逆極性のバイアス電圧を対向電極124に印加するものである。なお、対向バイアス電源126の他極側は、接地されている。
以下、記録装置90における画像記録について説明する。
画像記録時には、インク循環系96によってインクQが循環される。この循環により、各吐出口106にインクが供給される。
また、画像記録時には、バイアス電源116が吐出電極110に、例えば、100Vのバイアス電圧を印加している。さらに、記録媒体Pは対向電極124に保持され、対向電極124には、対向バイアス電源126が、例えば、−1000Vのバイアス電圧を印加している。従って、吐出電極110と対向電極124(記録媒体P)との間には、1100V分のバイアス電圧が印加され、その分の電界(静電力)が形成されている。
このインクQの循環、バイアス電圧による静電力、インクQの表面張力、毛管現象、およびインクガイド104の作用などにより、吐出口106にはインクQのメニスカスが形成され、また、色材粒子(本例では正に帯電)が吐出口106(メニスカス)に泳動してインクQが濃縮され、この濃縮の作用によってメニスカスがさらに成長し、インクQの表面張力と静電力等とのバランスが取れることによってメニスカスが安定した状態となっている。
また、本実施形態においては、シールド電極108の表面に撥液層109を形成することにより、有機溶剤、油または表面張力が40mN/m以下からなる液体などの表面張力が水より小さいインクQであっても撥液性を有することができる。このため、さらに一層メニスカスを安定にすることができる。
この状態において、駆動電源114が吐出電極110に、例えば、200Vの駆動電圧を印加すると、インクQおよびメニスカスに作用する静電力が大きくなり、かつ、メニスカスでのインクQの濃縮が促進されて、メニスカスが急激に成長し、メニスカスの成長力、色材粒子のメニスカスへの移動力、および対向電極124からの吸引力が、インクQの表面張力を超えた時点で、色材粒子が濃縮されたインクQのインク液滴Rが吐出される。
吐出されたインク液滴Rは、吐出された際の勢い、および、対向電極124による引力によって飛翔し、記録媒体Pに着弾して画像を形成する。
本実施形態の吐出ヘッド92は、インク吐出面を本発明の撥液増大構造体からなる撥液層109で構成することにより、有機溶剤、油または表面張力が40mN/m以下からなる液体などの表面張力が水より小さいインクQであっても、接触角を90°以上、または接触角を増加させることができ、メニスカスの形状が安定する。このため、インク液滴Rの飛翔方向も一定になり、インク液滴Rの着弾位置が、インクガイドの突状先端の中央に定まるため、記録媒体Pの正確な位置にインク液滴Rを着弾させることができ、画像を高画質となるように記録媒体Pに記録することができる。さらに、メニスカスの形状が安定することにより、所定サイズ(所定量)のインク液滴Rを確実に吐出させることができ、濃度が安定した良好な画像を記録媒体Pに記録することができる。
また、本実施形態においては、本発明の撥液増大構造体を液体吐出ヘッドの吐出基板に適用した静電式インクジェットについて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、液体吐出ヘッドであれば適用することができる。本発明においては、圧電方式またはサーマル方式の液滴吐出手段を有するもの、例えば、ピエゾ方式のインクジェット記録装置およびサーマル方式のインクジェット記録装置に適用できる。
[第8の実施形態]
次に、本実施形態の第8の実施形態について説明する。
図22(a)は、本発明の撥液増大構造体が防汚層に適用された防汚フィルムを示す模式的斜視図であり、(b)は、図22(a)に示す防汚フィルムの模式的部分断面図である。
本実施形態の防汚フィルム130は、上述の第1の実施形態〜第6の実施形態の撥液増大構造体が防汚層134に適用されたものである。
図22に示す防汚フィルム130は、支持体132と、この支持体132の表面に形成された防汚層134とを有する。
支持体132は、例えば、透明なプラスチックフィルムにより形成されるものである。この支持体132としては、例えば、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、およびプロピオニルセルロースなどのセルロースエーテル、または、例えば、ポリプロピレン、ポリエチラン、およびポリメチルペンテンなどのポリオレフィンを用いることができる。
防汚層134は、断面形状が正方形の凹部136が複数形成されたものである。この凹部136の底部136aは支持体132に達するものではない。
本実施形態の防汚層134としては、上述の第1の実施形態〜第6の実施形態のいずれの撥液増大構造体も適用することができる。このため、防汚層134は、上述の第1の実施形態〜第6の実施形態の撥液増大構造体のいずれかと同じ構造を有するものであればよい。
本実施形態の防汚フィルム130においては、防汚層134は、有機溶剤、油または表面張力が40mN/m以下からなる液体などの表面張力が水より小さいものであっても、接触角を90°以上、または接触角を増加させることができる。このため、汚れの主成分である油などの接触角を大きくできるため、防汚層134の表面134aに油が付着しにくくなる。また、油の接触角を大きくできるため、油などをとりやすくなる。これにより、指紋、皮脂、汗、および化粧品などの付着による汚れを防ぐことができ、かつ汚れも容易に落すことができる。
このように、本実施形態の防汚フィルム130においては、指紋、皮脂、汗、および化粧品などの汚れを防ぐことができるため、タッチパネル、または各種モニタの表面に貼り付けるフィルターなどに好適に用いることができる。
以上、本発明の撥液増大構造体およびその製造方法、液体吐出ヘッドならびに防汚フィルムについて説明したが、本発明は上述の実施形態に限定はされず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良または変更を行ってもよいのは、もちろんである。
以下、本発明の撥液増大構造体の具体的な例を挙げ、本発明をより詳細に説明する。なお、本発明は、以下に示す例に限定されないのは言うまでもない。先ず、第1実施例について説明する。
本第1実施例においては、以下に示す実施例No.1〜10の撥液増大構造体、および比較例No.1の撥液増大構造体を作製し、これらの撥液増大構造体について撥液性を評価した。
先ず、実施例No.1〜実施例No.6および実施例No.9、10の構成ならびに製造方法について具体的に説明する。
実施例No.1〜実施例No.6および実施例No.9、10は、本発明の第6の実施形態の撥液増大構造体(図17(a)参照)と同様の構成である。これらの実施例No.1〜実施例No.6および実施例No.9、10においては、下基板にシリコン基板を用い、基板に厚さが4μmのポリイミドを用いた。
また、実施例No.8は、下基板にシリコン基板を用い、基板にシリコンを用いた。
実施例No.1〜4、実施例No.7〜9は凹部を有する凹パターンで構成した。また、実施例No.5、6および実施例No.10は凸部を有する凸パターンで構成した。基板に形成した凹部および凸部は、いずれも平面視略正方形形状である。これらの凹部および凸部の長さは15μmである。
実施例No.1は凹部の断面形状が矩形であり、その角部の角度αは90°である。また、実施例No.1は、凹部の長さが15μmであり、凹部と凹部との隙間が2μmであり、面積比率は78%である。
実施例No.2は、角度αが100°である。また、実施例No.8は、角度αが126°である。実施例No.8はシリコンの異方性エッチングを用いることでその角度の制御を行った。
実施例No.3は、曲率半径が1μmであり、凹部の幅か深さどちらか小さい値、この場合は深さの4μmよりも小さいものである。また、実施例No.9は曲率半径が2.5μmであり、その凹部の深さ(1.4μm)よりも大きい。実施例No.3および実施例No.9においては、エッチング時の条件を制御することで、凹部の周縁を曲面にし、その曲率半径を変えた。
実施例No.4は、凹部の幅が15μm、側壁の幅が20μmで、その面積比率は18%である。
実施例No.5、6、実施例No.10は凸部を有する表面構造における面積比率を変えたものである。実施例No.5、6、および実施例No.10は、凸部の幅(一辺の長さ)が15μmである。また、凸部と凸部の間隔は、実施例No.5が2μmであり、実施例No.6が5μmであり、実施例No.10は、10μmである。また、実施例No.5は、面積比率が22%である。実施例No.6は、面積比率が46%である。実施例No.10は、面積比率が64%である。
さらに、実施例No.7を除く、全ての実施例および比較例については、凹部または凸部が形成された基板全面に、厚さが約10nmのコーティング層を形成した。
このコーティング層は、フルオロアルキルシラン(CF(CFCHCHSi(OCH)(東芝シリコーンTSL8233))を用いて形成したものである。
実施例No.1〜10の撥液増大構造体、および実施例No.8の撥液増大構造体の構成について、下記表2に示す。また、この実施例No.1のSEM(Scanning Electron Microscope)像を図23(a)に示し、実施例No.4のSEM像を図23(b)に示す。
また、実施例No.7は、下基板にシリコン基板を用い、基板にフッ素ポリマ(サイトップ(登録商標))を用いたものである。この実施例No.7は、基板の組成以外は、実施例No.1と全く同じ構造である。
比較例No.1は、シリコン基板の表面に、SiO膜をプラズマCVDにて成膜したものである。SiO膜の表面に、上述の如く、フルオロアルキルシラン(CF(CFCHCHSi(OCH)(東芝シリコーンTSL8233))からなるコーティング層を形成した。このコーティング層の厚さは、10nmであった。比較例No.1において、シリコン酸化膜は、成長時に形成される凹凸形状を有し、その表面構造はフラクタル構造である。
この比較例No.1のSEM像を図23(c)に示す。図23(c)に示すように比較例No.1は、実施例No.1とは異なり、凹凸の形状が丸くなっている。
Figure 2006182014
本第1実施例において、撥液性の評価は、協和界面化学製接触角計を用いて行った。その評価結果を下記表3に示す。
また、本第1実施例において、使用した液体は、水(表面張力が72mN/m)、濃度が7質量%のIPA水溶液(表面張力が44mN/m)、濃度が30質量%のIPA(表面張力が27mN/m)、水溶液デカン(表面張力が23mN/m)、およびシリコンオイル(表面張力が18mN/m)である。以下、7質量%のIPA水溶液をIPA7%水溶液といい、30質量%のIPA水溶液をIPA30%水溶液という。
また、比較として凹凸のない平坦な表面、すなわち、フラット状態での接触角の評価は、平坦(フラット)なシリコン基板上にフルオロアルキルシランをコートしたものと、シリコン基板上にサイトップをコートしたものとを用いた。撥液性の評価に用いた全ての液体について、コートした各基板の接触角を測定した。このように、平坦な表面にコートして得られた結果を下記表3の「接触角(平坦)」の欄に示す。
なお、フルオロアルキルシラン、およびサイトップの表面張力は、それぞれ10、19mN/mである。フルオロアルキルシランおよびサイトップは、表面張力が40mN/m以下の液体の1/4以上の表面張力の値を持つ固体材料である。
Figure 2006182014
上記表3に示すように、実施例No.1〜実施例No.10は、いずれも平坦な表面で接触角が90°未満であっても、その接触角を増大させることができた。
実施例No.1は凹部の角度αが90°であり、実施例No.2は凹部の角度αが100°であり、実施例No.8は凹部の角度αが126°である。
実施例No.1は、いずれの液体においても平坦な場合よりも、接触角が増加し、かつ角度αが90°以上の撥液性が得られた。この実施例No.1においては、デカンに対して、平坦な場合の接触角が60°であるものの、パターンを形成することにより接触角が115°に増加した。
また、実施例No.2は、角度αが100°であり、実施例No.1に比して、水よりも表面張力が低い、40mN/m以下の表面張力の液体(IPA30%水溶液、デカン、シリコンオイル)における接触角は多少小さくなるものの、平坦な場合よりは増加した。
さらに、実施例No.8は、角度αが126°であり、水よりも表面張力が低く、表面張力が40mN/m以下のIPA30%水溶液については、平坦な表面で接触角が90°未満であっても、その接触角が増大した。しかしながら、表面張力がIPA30%水溶液よりも小さいデカン、およびシリコンオイルでは、接触角が増加しなかった。
従って、本発明においては、角部の角度αが接触角増大に関係しており、角度αが126°以下では、平坦な状態で接触角が90°未満であっても、その接触角を増大させる効果が小さくなる。このように、角度αが撥液性の増大に重要である。
実施例No.3は、撥液性の評価に用いた全ての液体において接触角が増加し、撥液性が増大した。実施例No.3は、平坦な表面で接触角が90°未満であっても、その接触角を増大させることができた。
一方、実施例No.9は、IPA30%溶液では接触角の増加が見られるものの、それより表面張力の小さいデカン、およびシリコンオイルでは増加が見られない。従って、本発明においては、凹部の周縁が曲面で構成される場合、その曲率半径が、凹部の幅か深さどちらか小さい値よりも小さければ撥液性を更に増大させることができる。
実施例No.4は、接触角が実施例No.1に比して、小さくなるものの、撥液性の評価に用いた全ての液体において接触角が増加し、撥液性が増大した。上記表3に示すように、デカンでは、平坦な表面で接触角が60°であるが、73°に向上した。従って、凹部を有する表面構造では、面積比率が18%以上であれば撥液性の増大の効果を確実に得ることができる。
実施例No.5、6、および実施例No.10は、凸部をもつ表面構造における面積比率を変えたものである。
実施例No.5、6は、撥液性の評価に用いた全ての液体において接触角が増加し、撥液性が増大した。実施例No.5、6は、平坦な表面で接触角が90°未満であっても、その接触角を増大させることができた。
一方、実施例No.10は、水よりも表面張力が低く、表面張力が40mN/m以下のIPA30%水溶液およびデカンについては、平坦な表面で接触角が90°未満であっても、その接触角を増大させることができた。しかしながら、表面張力がデカンよりも小さいシリコンオイルでは、接触角が増加しなかった。
実施例No.5、6、および実施例No.10は、凸部を有するものであり、凹部を有するものとは、接触角が増大する傾向が異なる。これは、空気が内包される領域が凹パターンのように個々に分離されているものと、凸パターンのように共通になっている違いである。凸部を設けた場合、面積比率が64%以下の場合に、撥液性の増大の効果を確実に得ることができる。
実施例No.7においては、撥液性の評価に用いた全ての液体において接触角が増加し、撥液性が増大した。なお、実施例No.7が、実施例No.1に比べて接触角が小さいのは、フッ素ポリマの表面張力(19mN/m)が実施例No.1で用いたフルオロアルキルシランの表面張力(10mN/m)より低いためである。
比較例No.1は、平坦な表面で接触角が90°未満では、その接触角を増大させることができなかった。平坦な表面で接触角が90°以上である場合には、その表面構造により、接触角は平坦の表面よりも大きくなった。また、平坦な表面で接触角が90°以下である場合には、接触角が0°となり、接触角が小さくなった。これは従来のモデルと一致した傾向を示している。
次に、本発明の第2実施例について説明する。
上述の第1実施例の実施例No.2および実施例No.8、ならびに実施例No.3について、表面張力が異なる種々の液体(水、IPA水溶液(濃度が0.5〜30質量%)、ヘキサデカン、デカン、ヘプタン、オクタン、シリコンオイル、および濡れ張力試験用混合液(和光純薬製))を用いて接触角を測定し、本発明の表面構造の効果を調べた。
この結果を図24(a)および(b)ならびに図25(a)および(b)に示す。
図24(a)は、実施例No.1、2、8の結果を示すグラフであり、凹部の角度αの依存性を示している。また、図24(b)は、実施例No.1、4の結果を示すグラフであり、凹部が形成された凹パターンにおける面積比率依存性を示している。
図25(a)は、実施例No.5と実施例No.10の結果を示すグラフであり、凸部が形成された凸パターンにおける面積比率依存性を示している。また、図25(b)は、比較例No.1の結果を示すグラフである。
図24(a)は、凹部の角度αの角度依存性を示している。折線Eで示す実施例No.1は、凹部の角度αが90°であり、第4象現に広く分布し、遷移角度を境にしてキャシーモデル、ウェンゼルモデルの二つの傾きに分けることができる。また、折線Eで示す実施例No.2と、直線Eで示す実施例No.8とで角度αが大きくなるに従い、遷移角度が大きくなり、すなわち、第3象現の方へ移動する。このため、角度αが大きくなると撥液性の撥液性増大の効果が小さくなる。
図24(b)は、凹部が形成された凹パターンにおける面積比率依存性を示している。
折線Eで示す実施例No.1は、面積比率が78%であり、上述の如く、第4象現に広く分布し、遷移角度を境にしてキャシーモデル、ウェンゼルモデルの二つの傾きに分けることができる。また、直線Eで示す実施例No.4は、面積比率が18%であり、面積比率が小さくなると、遷移角度が大きくなり、すなわち、第3象現の方へ移動する。このため、面積比率が小さくなると撥液性増大の効果が小さくなる。
図25(a)は、凸部が形成された凸パターンにおける面積比率依存性を示している。
折線Eで示す実施例No.5は、面積比率が22%であり、第4象現に広く分布し、遷移角度を境にしてキャシーモデル、ウェンゼルモデルの二つの傾きに分けることができる。
また、面積比率が増加すると、折線E10で示す実施例No.10(面積比率が64%)のように、上記に示した従来モデルとも本発明で得られたモデルとも異なる傾向を示す。すなわち、おおまかに原点を境にして、原点より接触角が大きい場合は、カッシーモデルのような傾向を示す。また、原点より接触角が小さい場合は、ウェンゼルモデルのような傾向を示す。このふるまいは、従来モデルと同じ傾向、すなわち、親はより親へ、撥はより撥への傾向である。これは面積比率を大きく、すなわち、凸部の間隔を広げていくと、隙間への液体の侵入が容易になり、なおかつ局所的な液体の侵入が急激に全面に広がるためである。このような傾向は、類似の凸パターンにおいて報告されている(ドゥジェンヌ、ケレ、ブロシャール−ヴィアール著、奥村 剛訳、「表面張力の物理学」、吉岡書店、p.224)。この傾向は、凹部の凹パターンでは見られものではなく、撥液性が増加する傾向が凹パターンと凸パターンで異なっている。
図25(b)に示すように、折線Cで示す比較例No.1は、キャシーウエンゼル統合モデル(図32参照)の傾向と良く一致している。
以上のように、本第2実施例における表面構造の比較から、本発明においては、凹凸の断面角度、曲率、および面積比率が関係しており、最適な条件を選ぶことで従来モデルとは異なり、本発明で示したような撥液性の増大(親から撥)の効果を得ることができる。
縦軸にcosθをとり、横軸にcosθをとって本発明の表面構造モデルにおける接触角θと見かけの接触角θとの関係を示すグラフである。 縦軸にcosθをとり、横軸にcosθをとって撥液性増大の領域と、親液性の増大領域とを示すグラフである。 縦軸にcosθをとり、横軸にcosθをとって本発明の表面構造モデルにおける接触角θと見かけの接触角θとの更に詳細な関係を示すグラフである。 (a)〜(c)は、本発明の表面構造モデルにおける凹部の形状を示す模式的断面図である。 (a)〜(c)は、本発明の表面構造モデルにおける凸部の形状を示す模式的断面図である。 (a)は、本発明の表面構造モデルにおける開口部が円形の凹部の面積比率を算出するモデルを示す模式図であり、(b)は、本発明の表面構造モデルにおける円柱状の凸部の面積比率を算出するモデルを示す模式図である。 (a)は、本発明の表面構造モデルにおける開口部が正方形の凹部の面積比率を算出するモデルを示す模式図であり、(b)は、本発明の表面構造モデルにおける四角柱状の凸部の面積比率を算出するモデルを示す模式図である。 本発明の第1の実施形態に係る撥液増大構造体を示す模式的斜視図である。 (a)〜(d)は、本発明の第1の実施形態に係る撥液増大構造体の製造方法を工程順に示す断面図である。 本発明の第2の実施形態に係る撥液増大構造体を示す模式的斜視図である。 本発明の第3の実施形態に係る撥液増大構造体を示す模式的斜視図である。 本発明の第4の実施形態に係る撥液増大構造体を示す模式的斜視図である。 (a)〜(e)は、本発明の第4の実施形態に係る撥液増大構造体の第1の製造方法を工程順に示す断面図である。 (a)〜(d)は、本発明の第4の実施形態に係る撥液増大構造体の第2の製造方法を工程順に示す断面図である。 (a)〜(c)は、本発明の第4の実施形態に係る撥液増大構造体の第3の製造方法を工程順に示す断面図である。 本発明の第5の実施形態に係る撥液増大構造体を示す模式的斜視図である。 (a)は、本発明の第6の実施形態に係る撥液増大構造体を示す模式的断面図であり、(b)は、図17(a)の要部拡大図である。 (a)〜(f)は、本発明の第6の実施形態の撥液増大構造体の製造方法を工程順に示す断面図である。 (a)は、本発明の第1の実施形態の撥液増大構造体の第1の変形例を示す模式的斜視図であり、(b)は、本発明の第1の実施形態の撥液増大構造体の第2の変形例を示す模式的斜視図である。 本発明の撥液増大構造体が液体吐出ヘッドの吐出基板に適用された静電式インクジェットを有するインクジェット記録装置を示す模式的断面図である。 図20に示す液体吐出ヘッドの模式的部分斜視図である。 (a)は、本発明の撥液増大構造体が防汚層に適用された防汚フィルムを示す模式的斜視図であり、(b)は、図22(a)に示す防汚フィルムの模式的部分断面図である。 (a)は、実施例No.1の撥液増大構造体のSEM像であり、(b)は実施例No.2の撥液増大構造体のSEM像であり、(c)は比較例No.1の撥液増大構造体のSEM像である。 (a)は、縦軸にcosθをとり、横軸にcosθをとって、実施例No.1、2、8における凹部の角度αの依存性を示すグラフであり、(b)は、縦軸にcosθをとり、横軸にcosθをとって、実施例No.1、4における凹部が形成された凹パターンにおける面積比率依存性を示すグラフである。 (a)は、縦軸にcosθをとり、横軸にcosθをとって、実施例No.5と実施例No.10における凸部が形成された凸パターンにおける面積比率依存性を示すグラフであり、(b)は、縦軸にcosθをとり、横軸にcosθをとって、比較例No.1における接触角θと見かけの接触角θとの関係を示すグラフである。 平面上に滴下された液体の表面張力と、固体の表面張力と、固体と液体との間に働く界面張力と、接触角との関係を示す模式図である。 ウェンゼル(Wentzel)モデルを示す模式図である。 縦軸にcosθをとり、横軸にcosθをとってウェンゼルモデルにおける接触角θと見かけの接触角θとの関係を示すグラフである。 カッシー(Cassie)モデルを示す模式図である。 (a)は、カッシーモデルにおいて、固体が撥液性を有する状態を示す模式的断面図であり、(b)は、カッシーモデルにおいて、固体が親液性を有する状態を示す模式的断面図である。 縦軸にcosθをとり、横軸にcosθをとってカッシーモデルにおける接触角θと見かけの接触角θとの関係を示すグラフである。 縦軸にcosθをとり、横軸にcosθをとってウェンゼルーカッシー統合モデルにおける接触角θと見かけの接触角θとの関係を示すグラフである。
符号の説明
12、12b,18、36 凹部
13,13d 凸部
13a 外壁
13b 上面
13c 角部
14、15、15a、30、60、76、82 撥液増大構造体
16、34、78、84 基板
32 下基板
38 金属膜
40、50 レジスト膜
44 型
62 コーティング層
90 インクジェット記録装置(記録装置)
92 液体吐出ヘッド(吐出ヘッド)
94 保持手段
96 インク循環系
98 電圧印加手段
100 吐出基板
102 支持基板
104 インクガイド
106 吐出口
108 シールド電極
110 吐出電極
112 インク流路
114 駆動電源
116 バイアス電源
118 インク供給手段
120 インク供給流路
122 インク回収流路
124 対向電極
126 対向バイアス電源
130 防汚フィルム
132 支持体
134 防汚層
P 記録媒体
Q インク
R インク液滴

Claims (30)

  1. 水より表面張力が低い液体に対して平坦な表面で親液性を示す基板を用いた撥液増大構造体であって、
    前記基板の表面に凹部が複数形成されており、前記凹部の内壁は前記基板の厚さ方向に略並行であることを特徴とする撥液増大構造体。
  2. 前記基板の表面と前記凹部の内壁とがなす角度をαとするとき、前記角度αは、α<126°である請求項1に記載の撥液増大構造体。
  3. 前記基板の表面と前記凹部の内壁との境界における曲率半径は、前記凹部の直径または相当直径、および前記凹部の深さのいずれか小さいほうの値よりも小さい請求項1に記載の撥液増大構造体。
  4. 前記基板の表面と前記凹部の内壁との境界における曲率半径は、前記凹部の直径または相当直径、および前記凹部の深さのいずれか小さい方の値の1/2以下である請求項1に記載の撥液増大構造体。
  5. 前記凹部の前記基板に対する面積比率は、18%以上である請求項1〜4のいずれか1項に記載の撥液増大構造体。
  6. 水より表面張力が低い液体に対して平坦な表面で親液性を示す基板を用いた撥液増大構造体であって、
    前記基板の表面に凸部が複数形成されており、前記凸部の外壁は前記基板の厚さ方向に略並行であることを特徴とする撥液増大構造体。
  7. 前記凸部の上面と前記凸部の外壁とのなす角度をβとするとき、前記角度βは、β<126°である請求項6に記載の撥液増大構造体。
  8. 前記凸部の上面と前記凸部の外壁との境界における曲率半径は、前記凸部の直径または相当直径、および前記凸部の深さのいずれか小さいほうの値よりも小さい請求項6に記載の撥液増大構造体。
  9. 前記凸部の上面と前記凸部の外壁との境界における曲率半径は、前記凸部の直径または相当直径、および前記凸部の深さのいずれか小さい方の値の1/2以下である請求項6に記載の撥液増大構造体。
  10. 前記基板に対する凸部を除いた前記凸部の面積比率は、64%以下である請求項6〜9のいずれか1項に記載の撥液増大構造体。
  11. さらに、前記基板の裏面に下基板が設けられている請求項1〜10のいずれか1項に記載の撥液増大構造体。
  12. さらに、前記下基板の表面が表出していない請求項11に記載の撥液増大構造体。
  13. 前記基板の表面にフッ素を含む材料からなるコーティング層が形成されている請求項1〜12に記載の撥液増大構造体。
  14. 前記基板は、フッ素を含む高分子材料、フッ素樹脂、アモルファスフッ素ポリマ、ポリテトラフルオロエチレンまたはエチレン四フッ化エチレンにより構成される請求項1〜13のいずれか1項に記載の撥液増大構造体。
  15. 前記基板は、主成分が炭化水素系高分子樹脂、ガラス、金属または合金であり、前記基板中にフッ素を含む材料が予め添加されているものからなる請求項1〜14のいずれか1項に記載の撥液増大構造体。
  16. 水より表面張力が低い液体に対して平坦な表面で親液性を示す基板を用いた撥液増大構造体の製造方法であって、
    前記基板の表面に凹部または凸部を複数、前記凹部の内壁または凸部の外壁を前記基板の厚さ方向に略並行に形成する工程を有し、
    前記基板の表面と前記凹部の内壁とがなす角度をαとし、前記凸部の上面と前記凸部の外壁とのなす角度をβとするとき、前記角度α、βがα、β<126°となるように形成されている撥液増大構造体の製造方法。
  17. 水より表面張力が低い液体に対して平坦な表面で親液性を示す基板を用いた撥液増大構造体の製造方法であって、
    前記基板の表面に凹部または凸部を複数、前記凹部または凸部の外壁を前記基板の厚さ方向に略並行に形成する工程を有し、
    前記基板の表面と前記凹部の内壁との境界における曲率半径は、前記凹部の直径もしくは相当直径、および前記凹部の深さのいずれか小さいほうの値よりも小さく、または凸部の直径もしくは相当直径、および凸部の深さのいずれか小さいほうの値よりも小さく形成されている撥液増大構造体の製造方法。
  18. 前記基板の表面に凹部または凸部を形成する工程は、
    前記基板上に金属膜を形成する工程と、
    前記金属膜をパターニングする工程と、
    前記パターニングされた金属膜をマスクとして前記基板をエッチングする工程と、
    前記金属膜を除去する工程と、
    前記基板を熱処理する工程とを有する請求項16または17に記載の撥液増大構造体の製造方法。
  19. 前記基板をエッチングする工程は、ドライエッチングが用いられる請求項18に記載の撥液増大構造体の製造方法。
  20. 前記基板を熱処理する工程は、前記熱処理の温度が100℃〜180℃の範囲である請求項18または19に記載の撥液増大構造体の製造方法。
  21. 前記基板の表面に凹部または凸部を形成する工程は、凸部または凹部が形成された型を前記基板に押し付ける工程を有する請求項16、17、19および20のいずれか1項に記載の撥液増大構造体の製造方法。
  22. 前記基板の表面に凹部または凸部を形成する工程は、下基板上に感光性材料を塗布し、フォトリソグラフィ法により前記凹部または凸部を形成し、前記凹部または凸部が形成された前記感光性材料を熱処理により硬化させる工程を有する請求項16、17、19および20のいずれか1項に記載の撥液増大構造体の製造方法。
  23. 前記基板の表面に凹部または凸部を形成する工程の後工程に、前記基板をクリーニングする工程と、前記基板の表面および前記凹部の内壁または凸部の外壁にフッ素を含む材料からなるコーティング層を形成する工程とを有する請求項16〜22のいずれか1項に記載の撥液増大構造体の製造方法。
  24. 前記基板のクリーニング工程は、酸素を含むガスを用いたプラズマ処理であることを特徴とする請求項23に記載の撥液増大構造体の製造方法。
  25. さらに、下基板上に、前記基板を形成する工程を有する請求項16〜24のいずれか1項に記載の撥液増大構造体の製造方法。
  26. 溶液の液滴を吐出させる液体吐出ヘッドであって、
    前記液滴が吐出される複数の貫通穴が形成された吐出基板を有し、
    前記吐出基板は前記貫通穴の周辺の溶液吐出面が前記請求項1〜15のいずれか1項に記載の撥液増大構造体の基板の表面となるように、前記撥液増大構造体が配置されていることを特徴とする液体吐出ヘッド。
  27. 前記溶液の主成分が有機溶剤、油または表面張力が40mN/m以下からなる液体で構成されていることを特徴とする請求項26に記載の液体吐出ヘッド。
  28. 前記溶液は帯電粒子が分散されたものであり、
    さらに、前記貫通穴の個々に対応して配置される、前記溶液に静電力を作用させる吐出電極と、前記貫通穴を通過して前記吐出基板の液滴吐出側に突出する溶液ガイドとを有し、
    前記吐出電極による静電力により、前記液滴が吐出される請求項26または27に記載の液体吐出ヘッド。
  29. さらに、前記吐出基板の前記貫通穴から前記液滴を吐出させる圧電方式またはサーマル方式の液滴吐出手段を有し、前記液滴吐出手段により前記液滴が吐出される請求項26または27に記載の液体吐出ヘッド。
  30. 支持体と、前記支持体の表面に形成された前記請求項1〜15のいずれか1項に記載の撥液増大構造体とを有することを特徴とする防汚フィルム。
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