JP2006182014A - 撥液増大構造体およびその製造方法、液体吐出ヘッドならびに防汚フィルム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の撥液増大構造体は、水より表面張力が低い液体に対して平坦な表面で親液性を示す基板を用いるものであり、基板の表面に凹部が複数形成されており、凹部の内壁は基板の厚さ方向に略並行である。この構成により、有機溶剤、油または表面張力が40mN/m以下からなる液体などの水よりも表面張力が低い液体においても接触角が90°以上になるか、または接触角が90°以下であるものの増加させることができる。
【選択図】図8
Description
これまで知られている撥液性を有する材料は、主に水に対して撥液性(撥水性とも呼ばれる)を示すものがほとんどである。雨具、もしくは台所用品などの家庭で使われる器具、または産業用品などに撥水性材料が使われている。
このような水に対して撥液性を示す撥液性材料としてニッケル共析メッキによって形成されたPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)膜で水に対する接触角が150°を超える超撥水膜が実現されている。
低い表面張力を持つ材料を用いて撥液性が向上されたものとしては、フッ素を含んだ化合物が良く知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、表面構造により撥液性を向上させたものとしては、アルミニウムを陽極酸化させるか、またはフォトリソグラフィ法により表面に微細な凹凸を成させる方法が知られている(例えば、特許文献2参照)。
しかしながら、現状では、有機溶剤または油などでも撥液性を示す材料の検討はあまりなされていない。その主な理由は、有機溶剤または油の表面張力が水よりかなり小さいため撥液性を得ることが容易でないためである。
図26に示すように、平滑な固体150の表面150a上に置かれた液体152が作る接触角θは、液体152の表面張力γLと固体150の表面張力γSと、更に固体150と液体152の間に働く相互作用(界面張力)γSLとの関係で下記数式1のように表される。
ここで、図27において、θは真の接触角(表面が平滑な場合の接触角θ(図26参照))であり、θfは見かけの接触角である。
接触角θと見かけの接触角θfとの関係は下記数式5のように表される。なお、下記数式5におけるrは表面増倍係数である。このrは、真の表面積と見かけの表面積の比で表されるものである。
ここで、図28は、縦軸にcosθfをとり、横軸にcosθをとってウェンゼルモデルにおける接触角θと見かけの接触角θfとの関係を示すグラフである。
図28に示すように、ウェンゼルモデルにおいては、材料自体が対象となる液体に対して接触角が90°以上(cosθ<0)でなければ、それ以上の接触角の向上は困難である。
また、ウェンゼルモデルにおいては、表面に凹凸などの表面構造がない場合、図28に示す直線Lのようになる。この直線Lにおける表面増倍係数rは1(r=1)である。一方、表面に凹凸などの表面構造を有する場合、図28に示す直線Mのようになる。表面に表面構造が導入されると、表面積が大きくなり、この直線Mにおける表面増倍係数rが1よりも大きくなる(r>1)。
ここで、空気における接触角θ2は180°になることから、上記数式6で表される見かけの接触角θfは、下記数式8のように表わすことができる。
このカッシーモデルにおいても、図31に示すように、親液性であるものは、より親液性になり、撥液性であるものは、より撥液性になる。
なお、カッシーモデルにおける接触角が90°付近の急峻な変化については、ウェンゼルモデルが適用できるという説明もある。
図32に示すように、ウェンゼルーカッシー統合モデルは、折れ線Kで示され、cosθf=cosθのラインを境にして第1象現D1の上半分の第1A象現D11と第3象現D3の第3A象現D31の中に収まっている。第1A象現D11は親液性が増大する領域であり、接触角が減少する領域である。また、第3A象現D31は撥液性が増大する領域であり、接触角が増加する領域である。ウェンゼルーカッシー統合モデルでは、図32に示すように、第1A象現D11および第3A象現D31の中だけで推移するに留まる。
また、本発明のさらに他の目的は、汚れを防止することができる防汚フィルムを提供することにある。
なお、本発明において、水より表面張力が低い液体とは、例えば、有機溶剤、油または表面張力が40mN/m以下からなる液体のことである。また、本発明の基板は、その表面張力が、有機溶剤、油または表面張力が40mN/m以下からなる液体の表面張力の1/4以上の値を有するものであることが好ましい。
さらに、本発明においては、前記基板の表面と前記凹部の内壁との境界における曲率半径は、前記凹部の直径または相当直径、および前記凹部の深さのいずれか小さい方の値の1/2以下であることが好ましい。
なお、本発明において、水より表面張力が低い液体とは、例えば、有機溶剤、油または表面張力が40mN/m以下からなる液体のことである。また、本発明の基板は、その表面張力が、有機溶剤、油または表面張力が40mN/m以下からなる液体の表面張力の1/4以上の値を有するものであることが好ましい。
さらに、本発明においては、前記凸部の上面と前記凸部の外壁との境界における曲率半径は、前記凸部の直径または相当直径、および前記凸部の深さのいずれか小さい方の値の1/2以下であることが好ましい。
さらに、本発明においては、さらに、前記下基板の表面が表出していないことが好ましい。
さらにまた、本発明においては、前記基板の表面にフッ素を含む材料からなるコーティング層が形成されていることが好ましい。
また、本発明においては、前記基板は、主成分が炭化水素系高分子樹脂、ガラス、金属または合金であり、前記基板中にフッ素を含む材料が予め添加されているものからなることが好ましい。
なお、本発明において、水より表面張力が低い液体とは、例えば、有機溶剤、油または表面張力が40mN/m以下からなる液体のことである。
なお、本発明において、水より表面張力が低い液体とは、例えば、有機溶剤、油または表面張力が40mN/m以下からなる液体のことである。
また、本発明においては、前記基板を熱処理する工程は、前記熱処理の温度が100℃〜180℃の範囲であることが好ましい。
また、本発明においては、前記基板の表面に凹部または凸部を形成する工程は、下基板上に感光性材料を塗布し、フォトリソグラフィ法により前記凹部または凸部を形成し、前記凹部または凸部が形成された前記感光性材料を熱処理により硬化させる工程を有することが好ましい。
さらにまた、本発明においては、前記基板のクリーニング工程は、酸素を含むガスを用いたプラズマ処理であることが好ましい。
さらに、本発明においては、さらに、下基板上に、前記基板を形成する工程を有することが好ましい。
図1は、縦軸にcosθfをとり、横軸にcosθ1をとって本発明の表面構造モデルにおける接触角θ1と見かけの接触角θfとの関係を示すグラフである。
一般に接触角が90°を境にして、親液性および撥液性を区別しているが熱力学的には、何の根拠もない。また、ウェンゼルモデル、カッシーモデルともに親液性、撥液性の性質を別々に考えており、その間の境界部分については、何ら考慮されていない。ウェンゼルモデルでは、材料の性質による接触角が90°である場合、表面構造を導入しても変化なく90°であり、カッシーモデルでは、90°近辺で急激な変化が起こることになってしまう。実際の表面では両モデルで表わされるふるまいが混在しているはずであり、この90°近辺の詳しい検討が必要である。そして、その詳細な検討の結果、カッシーモデルに従う表面構造において、その急激な変化が起こる遷移角度が構造によって異なること、そしてそれは、親液性材料でも表面構造で撥液性に変わりうることを見出した。
なお、図1において、第1象現D1は、所定の液体に対して固体が撥液性である場合には、撥液性になる領域である。また、第3象現D3は、所定の液体に対して固体が親液性である場合には、親液性になる領域である。第4象現D4は、所定の液体に対して固体が親液性であっても撥液性になる領域である。
また、第4象現D4は親液性を有する固体材料に表面構造を導入することで撥液性に変化する領域である。表面構造を導入することにより、固体材料で90°以下の接触角が90°以上に増大することを意味する。
従って、第3A象現D3、第1B象現D1、および第4象現D4は撥液性が増大する領域と言える。図2に示すようにcosθf=cosθのラインを境にして下半分の領域J1を撥液性の増大領域と、上半分の領域J2を親液性の増大領域とに分けることができる。
材料の性質で決まる接触角θ1が90°以下(cosθ1>0)であっても、凹部160が空気で占められる状態が維持(図30参照、数式8参照)され、接触角θは増加する。
なお、この場合、接触角θfは下記数式11、13で表される。数式11は撥液性におけるカッシ−モデル(数式8)の制限(θ1>90°)がなく,接触角θ1が90°以下でも成り立つ。この数式11は、接触角θ1が数式12により得られる遷移角度θtより大きい場合に成り立つ。
また、この数式13によれば、遷移角θt以上においても撥液増大領域である第4象現D4および第1B象現D12に留まる。これはあたかも従来モデルのウェンゼルーカッシー統合モデルでカッシーモデルからウェンゼルモデルへ遷移する遷移角度が右方向(cosθ1=1側)にシフトしたように見ることができる。
上述の如く、ウェンゼルモデル、カッシーモデルともに親液性、撥液性の性質を別々に考えており、その間の境界部分については何ら考慮されていない。実際の固体表面では、ウェンゼルモデル、カッシーモデルの両モデルであらわされるふるまいが混在しているはずであり、この90°近辺の詳しい検討が必要である。そして、本発明者等の詳細な検討の結果、略平坦な凹凸構造でそのパターン、凹凸の角度によって従来モデルから推移して図3に示すような特性が得られ、親液性の固体であっても表面構造の導入で撥液性を示すことが可能であることを見出した。
凹部12の側壁(内壁)12aと固体10の表面10aとの境界が不連続に変化する場合、液滴は、凹部12の内部に侵入しにくい。これは、液滴が凹部12の内部に侵入するためには、凹部12の内部に存在している空気を追い出して、それと交換しなければならないためである。このことは、固体10が液滴に対して親液性を有するものであっても同じであり、この空気と液滴との交換の容易さによって、遷移角度が決定される。凹部12における側壁12aと固体10の表面10aとのなす角度αにより空気と液滴との交換のし易さが変化する。
また、図4(c)に示すように、凹部12における側壁12aと固体10の表面10aとの境界が連続的に変化する場合も、空気と液滴との交換が容易になる。側壁12aと固体10の表面10aとの境界における曲率半径をρとするとき、曲率半径ρは、凹部12の直径d、凹部12の深さhとの関係で、空気と液体との交換が容易になり遷移角θtが90°以上になる。遷移角θtを小さくするためには、曲率半径ρが、凹部12の直径dおよび凹部12の深さhのいずれか小さい方の値よりも小さく、望ましくは、凹部12の直径dおよび凹部12の深さhのいずれか小さい方の値の1/2以下である。深さhは、望ましくは1μm以上、更に望ましくは2μm以上である。
また、凹部12の直径dは、液滴に対して無視できるほど十分小さければよく、望ましくは50μm以下、更に望ましくは10μm以下、更に一層好ましくは5μm以下である。
各凸部13の外壁13aの間の境界が不連続に変化する場合、液滴は、凸部13の間に侵入しにくい。これは、液滴が凸部13の間に侵入するためには、凸部13の間に存在している空気を追い出して、それと交換しなければならないためである。このことは、固体10が液滴に対して親液性を有するものであっても同じであり、この空気と液滴との交換の容易さによって、遷移角度が決定される。凸部13における外壁13aと、この凸部13の上面13bとのなす角度β(以下、角部13cの角度βともいう)により空気と液滴との交換のし易さが変化する。
また、図5(c)に示すように、凸部13における外壁13aと上面13bとの境界が連続的に変化する場合も、空気と液滴との交換が容易になる。凸部13における外壁13aと上面13bとの境界(角部13c)における曲率半径をρとするとき、曲率半径ρは、凸部13の直径dと凸部13の高さ(深さ)hとの関係で、空気と液体との交換が容易になり遷移角θtが90°以上になる。遷移角θtを小さくするためには、曲率半径ρが、凸部13の直径dおよび凸部13の高さ(深さ)hのいずれか小さい方の値よりも小さく、望ましくは、凸部13の直径dおよび凸部13の高さ(深さ)hのいずれか小さい方の値の1/2以下である。凸部13の高さhは、望ましくは1μm以上、更に望ましくは2μm以上である。
また、凸部13の直径dは、液滴に対して無視できるほど十分小さければよく、望ましくは50μm以下、更に望ましくは10μm以下、更に一層好ましくは5μm以下である。なお、本発明においては、凸部13の高さは、凹部の深さと同じものとして扱うこととし、同一符号を付す。
上記数式1および数式10から、みかけの接触角θf、面積比率A、液体の表面張力、および固体の表面張力が下記数式14で表される。下記数式14において、見かけの接触角θfが90°以上になる関係は、下記数式15で表される。対象となる液滴によりこの関係を満たす固体材料、凹部の面積比率Aを決定することにより、平坦な表面における接触角が90°以下であっても、接触角が90°以上になるか、または接触角は90°以下であるものの増加する。
開口部の形状が正方形の凹部において、撥液性増大をもたらす角度α、凹部の一辺の長さd、凹部の深さhに関する値、および角部(境界)における曲率半径ρなどの条件は、円形の凹部12と同じである。
ここで、相当直径とは、「4×面積/総辺長(または全周長)」で表わされる長さのことである。なお、正方形においては、相当直径は、(4×d2)/(4×d)=dとなる。これにより、正方形における相当直径は、一辺の長さとなる。
また、凸部13dの一辺の長さdは、円柱状の凸部13と同じく液滴に対して無視できるほど小さく、望ましくは、50um以下、更に望ましくは10um以下である。また、凸部13dの高さhは2μm以上が望ましく、更に望ましくは4μm以上である。
ここで、相当直径とは、「4×面積/総辺長(または全周長)」で表わされる長さのことである。なお、正方形においては、相当直径は、一辺の長さとなる。
なお、面積比率Aの範囲から外れる面積比率をもつ凹凸パターンでは、本発明で得られる親液性の固体表面における撥液性の増大の効果が小さい。
[第1の実施形態]
図8は、本発明の第1の実施形態に係る撥液増大構造体を示す模式的斜視図である。
図9(a)〜(d)は、本発明の第1の実施形態に係る撥液増大構造体の製造方法を工程順に示す断面図である。
次に、凹部18が形成された基板16に熱処理を施す。この熱処理により金属膜蒸着またはドライエッチングによる表面のダメージを回復させる。この熱処理をすることにより、撥液性が発現する。また、基板16の熱処理温度は100℃〜180℃の温度範囲で行うことが好ましい。熱処理温度が100℃未満では、基板16のダメージの回復が不十分である事がある。また、熱処理温度が180℃を超えると、凹部18の形状が変化することがあり、撥液性を劣化させる事がある。このようにして、撥液増大構造体14を作製することができる。
次に、本発明の第2の実施形態の撥液増大構造体について説明する。なお、本実施形態においては、図8に示す第1の実施形態の撥液増大構造体14と同一構成物には、同一符号を付してその詳細な説明は省略する。
図10は、本発明の第2の実施形態に係る撥液増大構造体を示す模式的斜視図である。
この撥液増大構造体15は、開口部の形状が正方形の凹部19が、基板16に複数形成されている。
なお、本実施形態の撥液増大構造体15においても、第1の実施形態の撥液増大構造体14と同様の効果を得ることができることは言うまでもない。
次に、本発明の第3の実施形態の撥液増大構造体について説明する。なお、本実施形態においては、図8に示す第1の実施形態の撥液増大構造体14と同一構成物には、同一符号を付してその詳細な説明は省略する。
図11は、本発明の第3の実施形態に係る撥液増大構造体を示す模式的斜視図である。
この撥液増大構造体15aにおいては、凸部21における外壁21aと上面21bとのなす角度β(以下、角部21cの角度βともいう)は、126°以下であり、望ましくは115°以下である。
また、角部21cの曲率半径ρが、凸部21の長さdおよび凸部21の高さhのいずれか小さい方の値よりも小さく、望ましくは、凸部21の長さdおよび凸部21の高さhのいずれか小さい方の値の1/2以下である。凸部21の高さhは、望ましくは1μm以上、更に望ましくは2μm以上である。
なお、本実施形態の撥液増大構造体15aにおいても、第1の実施形態の撥液増大構造体14と同様の効果を得ることができることは言うまでもない。
次に、本発明の第4の実施形態の撥液増大構造体について説明する。なお、本実施形態においては、図8に示す第1の実施形態の撥液増大構造体14と同一構成物には、同一符号を付してその詳細な説明は省略する。
図12は、本発明の第4の実施形態に係る撥液増大構造体を示す模式的斜視図である。
この撥液増大構造体30は、下基板32と、この下基板32の表面に形成された基板34と、この基板34に形成される凹部36とを有する。
また、凹部36についても、第1の実施形態の凹部18と同様であり、その詳細な説明は省略する。この凹部36は、その底面36aが下基板32に達するものではなく、下基板32の表面は表出しない。この凹部36の底面36aと下基板32の表面までの厚さは、0.1μm以上であることが好ましく、更に好ましく1μm以上である。
図13(a)〜(e)は、本発明の第4の実施形態に係る撥液増大構造体の第1の製造方法を工程順に示す断面図である。
先ず、図13(a)に示すように、下基板32の上に基板34を、例えば、塗布により形成する。なお、基板34は、例えば、フッ素系のポリマ、PTFE、アモルファスフッ素ポリマ、炭化水素系ポリマ、無機系のゾルゲル材にフッ素からなる低分子の材料を添加した材料により構成されるものである。この基板34は、数μm〜数10μmの厚さに形成することができるものである。
次に、図13(c)に示すように、フォトリソグラフィ法によりレジスト膜40に、凹部36の形成予定領域が、凹部36の形成予定領域の基板34の表面に対する面積比率Aが上記数式15を満足するパターン42を形成する。そして、パターニングされたレジスト膜40をマスクとして、例えば、りん酸を用いたウエットエッチングにより、金属膜38にパターンを形成する。
次に、凹部36が形成された基板34に熱処理を施す。この熱処理により金属膜蒸着またはドライエッチングによる表面のダメージを回復させる。この熱処理をすることにより、撥液性が発現する。また、基板34の熱処理温度は100℃〜180℃の温度範囲で行うことが好ましい。熱処理温度が100℃未満では、基板34のダメージの回復が不十分である事がある。また、熱処理温度が180℃を超えると、凹部36の形状が変化することがあり、撥液性を劣化させる事がある。このようにして、撥液増大構造体30を作製することができる。
図14(a)〜(d)は、本発明の第4の実施形態に係る撥液増大構造体の第2の製造方法を工程順に示す断面図である。
図14(a)に示すように、型44は、基台46に凸部48が形成されている。この凸部48は、基板34の凹部36を形成するものであり、凸部48の間の凹部48aが基板34の凸になる部分である。凸部48は、形成される凹部36が、基板34の表面に対する面積比率Aが上記数式15を満足するように形成されている。また、この型44は、例えば、金属、ガラス、またはシリコンなどの硬度が高い材料を用いて、リソグラフィ法、ドライエッチング、またはめっきなどにより形成されるものである。
次に、図14(d)に示すように、型44を基板34から離す。このようにして、撥液増大構造体30を作製することができる。
図15(a)〜(c)は、本発明の第4の実施形態に係る撥液増大構造体の第3の製造方法を工程順に示す断面図である。
先ず、図15(a)に示すように、下基板32の上に第1の感光性膜50を形成する。そして、第1の感光性膜50に熱処理を施し、硬化させる。これにより、第1の膜50aとなる(図15(b)参照)。
次に、図15(c)に示すように、フォトリソグラフィ法により第2の感光性膜52に、凹部36の形成予定領域が、凹部36の形成予定領域の基板34の表面に対する面積比率Aが上記数式15を満足するパターンに露光し、さらに現像する。これにより、第2の感光性膜52が第2の膜52aとなる。この第2の膜52aには、凹部36が形成されている。第1の膜50aと、この上に形成された第2の膜52aとにより、基板34が構成される。このようにして、凹部36が形成された基板34を有する撥液増大構造体30を作製することができる。
次に、本発明の第5の実施形態について説明する。なお、本実施形態においては、図12に示す第4の実施形態の撥液増大構造体30と同一構成物には、同一符号を付してその詳細な説明は省略する。
図16は、本発明の第5の実施形態に係る撥液増大構造体を示す模式的斜視図である。
また、本実施形態の撥液増大構造体31は、第4の実施形態の撥液増大構造体30の第1〜第3の製造方法のいずれの製造方法によっても製造することができるものである。本実施形態の撥液増大構造体31の製造方法においては、凹部37を形成するパターンの形状が基板32の表面に対する面積比率Aが上記数式18を満足するように形成する点が異なり、それ以外の製造方法は、第4の実施形態の撥液増大構造体30の製造方法と同様である。このため、本実施形態の撥液増大構造体31の製造方法について、その詳細な説明は省略する。
なお、本実施形態の撥液増大構造体31においても、第4の実施形態の撥液増大構造体30と同様の効果を得ることができることは言うまでもない。
次に、本発明の第6の実施形態について説明する。なお、本実施形態においては、図12に示す第4の実施形態の撥液増大構造体30と同一構成物には、同一符号を付してその詳細な説明は省略する。
図17(a)は、本発明の第6の実施形態に係る撥液増大構造体を示す模式的断面図であり、(b)は、図17(a)の要部拡大図である。
コーティング層62は、それ自身が撥液性を有するものであり、例えば、フルオロアルキルシランにより構成されるものである。
また、本実施形態の撥液増大構造体60においては、凹部の形状は、特に限定されるものではなく、開口形状が四角など多角形状でもよい。また、凹部に換えて凸部を設けた構成でもよい。
本実施形態の撥液増大構造体60においても、第4の実施形態の撥液増大構造体30と同様に、水よりも表面張力が低い有機溶剤または油などの液体に対しても接触角を大きくし、撥液性を有することができる。
図18(a)〜(f)は、本発明の第6の実施形態の撥液増大構造体の製造方法を工程順に示す断面図である。
次に、凹部36および基板34の表面に、例えば、スピンコート、液中に浸漬する方法、真空蒸着、または気相吸着によりコーティング層62を形成する。このようにして、図17(a)および(b)に示す撥液増大構造体60を形成することができる。
凸部80の材質は、基板と同様のものを用いることができる。さらに、製造方法も、レジスト膜および金属膜に形成されるパターンが異なるだけで、他の製造方法は、第1の実施形態〜第3の実施形態の撥液増大構造体と同様に製造することができる。
また、本発明においては、凹部86の開口部の形状は、円、または長穴に限定されるものではなく、凹部が開口部を除いて閉塞していれば、その形状は、特に限定されるものではなく、面積比率、角度αおよび曲率半径ρなどにより適宜決定されるものである。
凹部86のように、開口部の形状を長穴形状としたとき、凹部の長さが長いか、または凹部の形状が非対称の場合、内接する最も長い線の長さが、表面に接する液体のサイズより十分大きく、かつ基板84の表面が平坦であれば、凹部の大きさおよび凹部形状は必ずしも全てが同じである必要はない。
次に、本実施形態の第7の実施形態について説明する。
本実施形態は、上述の第1の実施形態〜第6の実施形態の撥液増大構造体が液体吐出ヘッドの吐出基板に適用された静電式インクジェットである。
図20は、本発明の撥液増大構造体が液体吐出ヘッドの吐出基板に適用された静電式インクジェットを有するインクジェット記録装置を示す模式的断面図であり、図21は、図20に示す液体吐出ヘッドの模式的部分斜視図である。
記録装置90においては、記録媒体Pを保持手段94で保持して、記録媒体Pを吐出ヘッド92と対面して所定の記録位置に位置した状態で、保持手段94を吐出ヘッド92のノズル列と直交する方向に移動(走査搬送)することにより、ノズル列によって記録媒体Pの全面を二次元的に走査する。この走査に同期して、吐出ヘッド92の各吐出口106から、記録画像に応じて変調してインク液滴Rを吐出することにより、記録媒体Pにオンデマンドで画像を記録する。
また、画像記録時には、インク循環系96によって、吐出ヘッド92(後述するインク流路112)を含む所定の循環経路でインクQを循環することにより、各吐出口106にインクQを供給する。
シールド電極108は、導電性の金属板などで形成される全吐出口106に共通のシート状電極で、所定電位に保持されている。この所定電位は、接地による0Vを含む。このようなシールド電極108を有することにより、互いに隣接する吐出口106(吐出部)の電気力線を遮蔽して、吐出部間における電界干渉を防止して、インク液滴Rを安定に吐出できる。
本実施形態において、吐出電極110は、例えば、吐出口106を囲むリング状の電極であり、電圧印加手段98に接続されている。
駆動電源114は、例えば、パルス電源であって、記録画像(画像データ=吐出信号)に応じて変調したパルス状の駆動電圧を吐出電極110に供給する。バイアス電源116は、画像記録中に、所定のバイアス電圧を、常時、吐出電極110に印加する。
吐出基板100と支持基板102とは、所定の間隔だけ離間して配置され、その間隙がインクQを各吐出口106に供給するインク流路112となる。
インク流路112は、後述するインク循環系96に接続されており、インク循環系96が所定の経路でインクQを循環することにより、インク流路112にインクQが流れ(本実施形態では、例えば、右から左)、各吐出口106にインクが供給される。
インクガイド104は、インク流路112から吐出口106に供給されたインクQを案内して、メニスカスの形状または大きさを調整してメニスカスを安定させ、かつ、自身に電界(静電力)を集中させてメニスカスに電界を集中させることにより、インク液滴Rを吐出し易くするためのもので、吐出口106を貫通して吐出基板100の表面から記録媒体P(保持手段94)側に突出するように、各吐出口106に対応して配置されている。
互いに対応する吐出口106、吐出電極110、およびインクガイド104によって、1ドットのインク液滴Rの吐出に対応する1つの吐出部(1チャンネル)が形成され、インクガイド104の先端部が、インクQの飛翔位置となる。
インク循環系96は、インクQを貯留するインクタンクおよびインクQを供給するポンプを有するインク供給手段118と、インク供給手段118とインク流路112のインク流入口(インク流路112の図20中の右側端部)とを接続するインク供給流路120と、インク流路112のインク流出口(同左側端部)とインク供給手段118とを接続するインク回収流路122とを有して構成される。また、これ以外にも、インクタンクへのインク補充手段等を有してもよい。
なお、本発明の吐出ヘッド92が吐出するインクQとしては、色材を含む帯電粒子を分散媒にしてなるインクQ等、帯電した微粒子を分散媒に分散してなる、静電式のインクジェットに利用される各種のインクQ(溶液)が利用可能である。このインクQは、例えば、表面張力が40mN/m以下からなる液体であり、表面張力が水より小さい。
この保持手段94は、吐出ヘッド92(吐出基板100)の上面(溶液吐出面)に対面した状態で記録媒体Pを保持するプラテンとしても作用する対向電極124と、対向バイアス電源126と、対向電極124を走査方向に移動することにより、記録媒体Pを走査方向に走査搬送する走査搬送手段(図示省略)とを有して構成される。この走査搬送により、記録媒体Pは、吐出ヘッド92の吐出口106(ノズル列)によって、全面を二次元的に走査され、各吐出口106から変調して吐出されたインク液滴Rによって画像が記録される。
対向バイアス電源126は、吐出電極110(=色材粒子)と逆極性のバイアス電圧を対向電極124に印加するものである。なお、対向バイアス電源126の他極側は、接地されている。
画像記録時には、インク循環系96によってインクQが循環される。この循環により、各吐出口106にインクが供給される。
また、本実施形態においては、シールド電極108の表面に撥液層109を形成することにより、有機溶剤、油または表面張力が40mN/m以下からなる液体などの表面張力が水より小さいインクQであっても撥液性を有することができる。このため、さらに一層メニスカスを安定にすることができる。
吐出されたインク液滴Rは、吐出された際の勢い、および、対向電極124による引力によって飛翔し、記録媒体Pに着弾して画像を形成する。
次に、本実施形態の第8の実施形態について説明する。
図22(a)は、本発明の撥液増大構造体が防汚層に適用された防汚フィルムを示す模式的斜視図であり、(b)は、図22(a)に示す防汚フィルムの模式的部分断面図である。
本実施形態の防汚フィルム130は、上述の第1の実施形態〜第6の実施形態の撥液増大構造体が防汚層134に適用されたものである。
支持体132は、例えば、透明なプラスチックフィルムにより形成されるものである。この支持体132としては、例えば、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、およびプロピオニルセルロースなどのセルロースエーテル、または、例えば、ポリプロピレン、ポリエチラン、およびポリメチルペンテンなどのポリオレフィンを用いることができる。
本実施形態の防汚層134としては、上述の第1の実施形態〜第6の実施形態のいずれの撥液増大構造体も適用することができる。このため、防汚層134は、上述の第1の実施形態〜第6の実施形態の撥液増大構造体のいずれかと同じ構造を有するものであればよい。
このように、本実施形態の防汚フィルム130においては、指紋、皮脂、汗、および化粧品などの汚れを防ぐことができるため、タッチパネル、または各種モニタの表面に貼り付けるフィルターなどに好適に用いることができる。
実施例No.1〜実施例No.6および実施例No.9、10は、本発明の第6の実施形態の撥液増大構造体(図17(a)参照)と同様の構成である。これらの実施例No.1〜実施例No.6および実施例No.9、10においては、下基板にシリコン基板を用い、基板に厚さが4μmのポリイミドを用いた。
また、実施例No.8は、下基板にシリコン基板を用い、基板にシリコンを用いた。
実施例No.2は、角度αが100°である。また、実施例No.8は、角度αが126°である。実施例No.8はシリコンの異方性エッチングを用いることでその角度の制御を行った。
このコーティング層は、フルオロアルキルシラン(CF3(CF2)7CH2CH2Si(OCH3)(東芝シリコーンTSL8233))を用いて形成したものである。
実施例No.1〜10の撥液増大構造体、および実施例No.8の撥液増大構造体の構成について、下記表2に示す。また、この実施例No.1のSEM(Scanning Electron Microscope)像を図23(a)に示し、実施例No.4のSEM像を図23(b)に示す。
この比較例No.1のSEM像を図23(c)に示す。図23(c)に示すように比較例No.1は、実施例No.1とは異なり、凹凸の形状が丸くなっている。
また、本第1実施例において、使用した液体は、水(表面張力が72mN/m)、濃度が7質量%のIPA水溶液(表面張力が44mN/m)、濃度が30質量%のIPA(表面張力が27mN/m)、水溶液デカン(表面張力が23mN/m)、およびシリコンオイル(表面張力が18mN/m)である。以下、7質量%のIPA水溶液をIPA7%水溶液といい、30質量%のIPA水溶液をIPA30%水溶液という。
実施例No.1は、いずれの液体においても平坦な場合よりも、接触角が増加し、かつ角度αが90°以上の撥液性が得られた。この実施例No.1においては、デカンに対して、平坦な場合の接触角が60°であるものの、パターンを形成することにより接触角が115°に増加した。
また、実施例No.2は、角度αが100°であり、実施例No.1に比して、水よりも表面張力が低い、40mN/m以下の表面張力の液体(IPA30%水溶液、デカン、シリコンオイル)における接触角は多少小さくなるものの、平坦な場合よりは増加した。
従って、本発明においては、角部の角度αが接触角増大に関係しており、角度αが126°以下では、平坦な状態で接触角が90°未満であっても、その接触角を増大させる効果が小さくなる。このように、角度αが撥液性の増大に重要である。
一方、実施例No.9は、IPA30%溶液では接触角の増加が見られるものの、それより表面張力の小さいデカン、およびシリコンオイルでは増加が見られない。従って、本発明においては、凹部の周縁が曲面で構成される場合、その曲率半径が、凹部の幅か深さどちらか小さい値よりも小さければ撥液性を更に増大させることができる。
実施例No.5、6は、撥液性の評価に用いた全ての液体において接触角が増加し、撥液性が増大した。実施例No.5、6は、平坦な表面で接触角が90°未満であっても、その接触角を増大させることができた。
上述の第1実施例の実施例No.2および実施例No.8、ならびに実施例No.3について、表面張力が異なる種々の液体(水、IPA水溶液(濃度が0.5〜30質量%)、ヘキサデカン、デカン、ヘプタン、オクタン、シリコンオイル、および濡れ張力試験用混合液(和光純薬製))を用いて接触角を測定し、本発明の表面構造の効果を調べた。
この結果を図24(a)および(b)ならびに図25(a)および(b)に示す。
図25(a)は、実施例No.5と実施例No.10の結果を示すグラフであり、凸部が形成された凸パターンにおける面積比率依存性を示している。また、図25(b)は、比較例No.1の結果を示すグラフである。
折線E1で示す実施例No.1は、面積比率が78%であり、上述の如く、第4象現に広く分布し、遷移角度を境にしてキャシーモデル、ウェンゼルモデルの二つの傾きに分けることができる。また、直線E4で示す実施例No.4は、面積比率が18%であり、面積比率が小さくなると、遷移角度が大きくなり、すなわち、第3象現の方へ移動する。このため、面積比率が小さくなると撥液性増大の効果が小さくなる。
折線E5で示す実施例No.5は、面積比率が22%であり、第4象現に広く分布し、遷移角度を境にしてキャシーモデル、ウェンゼルモデルの二つの傾きに分けることができる。
また、面積比率が増加すると、折線E10で示す実施例No.10(面積比率が64%)のように、上記に示した従来モデルとも本発明で得られたモデルとも異なる傾向を示す。すなわち、おおまかに原点を境にして、原点より接触角が大きい場合は、カッシーモデルのような傾向を示す。また、原点より接触角が小さい場合は、ウェンゼルモデルのような傾向を示す。このふるまいは、従来モデルと同じ傾向、すなわち、親はより親へ、撥はより撥への傾向である。これは面積比率を大きく、すなわち、凸部の間隔を広げていくと、隙間への液体の侵入が容易になり、なおかつ局所的な液体の侵入が急激に全面に広がるためである。このような傾向は、類似の凸パターンにおいて報告されている(ドゥジェンヌ、ケレ、ブロシャール−ヴィアール著、奥村 剛訳、「表面張力の物理学」、吉岡書店、p.224)。この傾向は、凹部の凹パターンでは見られものではなく、撥液性が増加する傾向が凹パターンと凸パターンで異なっている。
以上のように、本第2実施例における表面構造の比較から、本発明においては、凹凸の断面角度、曲率、および面積比率が関係しており、最適な条件を選ぶことで従来モデルとは異なり、本発明で示したような撥液性の増大(親から撥)の効果を得ることができる。
13,13d 凸部
13a 外壁
13b 上面
13c 角部
14、15、15a、30、60、76、82 撥液増大構造体
16、34、78、84 基板
32 下基板
38 金属膜
40、50 レジスト膜
44 型
62 コーティング層
90 インクジェット記録装置(記録装置)
92 液体吐出ヘッド(吐出ヘッド)
94 保持手段
96 インク循環系
98 電圧印加手段
100 吐出基板
102 支持基板
104 インクガイド
106 吐出口
108 シールド電極
110 吐出電極
112 インク流路
114 駆動電源
116 バイアス電源
118 インク供給手段
120 インク供給流路
122 インク回収流路
124 対向電極
126 対向バイアス電源
130 防汚フィルム
132 支持体
134 防汚層
P 記録媒体
Q インク
R インク液滴
Claims (30)
- 水より表面張力が低い液体に対して平坦な表面で親液性を示す基板を用いた撥液増大構造体であって、
前記基板の表面に凹部が複数形成されており、前記凹部の内壁は前記基板の厚さ方向に略並行であることを特徴とする撥液増大構造体。 - 前記基板の表面と前記凹部の内壁とがなす角度をαとするとき、前記角度αは、α<126°である請求項1に記載の撥液増大構造体。
- 前記基板の表面と前記凹部の内壁との境界における曲率半径は、前記凹部の直径または相当直径、および前記凹部の深さのいずれか小さいほうの値よりも小さい請求項1に記載の撥液増大構造体。
- 前記基板の表面と前記凹部の内壁との境界における曲率半径は、前記凹部の直径または相当直径、および前記凹部の深さのいずれか小さい方の値の1/2以下である請求項1に記載の撥液増大構造体。
- 前記凹部の前記基板に対する面積比率は、18%以上である請求項1〜4のいずれか1項に記載の撥液増大構造体。
- 水より表面張力が低い液体に対して平坦な表面で親液性を示す基板を用いた撥液増大構造体であって、
前記基板の表面に凸部が複数形成されており、前記凸部の外壁は前記基板の厚さ方向に略並行であることを特徴とする撥液増大構造体。 - 前記凸部の上面と前記凸部の外壁とのなす角度をβとするとき、前記角度βは、β<126°である請求項6に記載の撥液増大構造体。
- 前記凸部の上面と前記凸部の外壁との境界における曲率半径は、前記凸部の直径または相当直径、および前記凸部の深さのいずれか小さいほうの値よりも小さい請求項6に記載の撥液増大構造体。
- 前記凸部の上面と前記凸部の外壁との境界における曲率半径は、前記凸部の直径または相当直径、および前記凸部の深さのいずれか小さい方の値の1/2以下である請求項6に記載の撥液増大構造体。
- 前記基板に対する凸部を除いた前記凸部の面積比率は、64%以下である請求項6〜9のいずれか1項に記載の撥液増大構造体。
- さらに、前記基板の裏面に下基板が設けられている請求項1〜10のいずれか1項に記載の撥液増大構造体。
- さらに、前記下基板の表面が表出していない請求項11に記載の撥液増大構造体。
- 前記基板の表面にフッ素を含む材料からなるコーティング層が形成されている請求項1〜12に記載の撥液増大構造体。
- 前記基板は、フッ素を含む高分子材料、フッ素樹脂、アモルファスフッ素ポリマ、ポリテトラフルオロエチレンまたはエチレン四フッ化エチレンにより構成される請求項1〜13のいずれか1項に記載の撥液増大構造体。
- 前記基板は、主成分が炭化水素系高分子樹脂、ガラス、金属または合金であり、前記基板中にフッ素を含む材料が予め添加されているものからなる請求項1〜14のいずれか1項に記載の撥液増大構造体。
- 水より表面張力が低い液体に対して平坦な表面で親液性を示す基板を用いた撥液増大構造体の製造方法であって、
前記基板の表面に凹部または凸部を複数、前記凹部の内壁または凸部の外壁を前記基板の厚さ方向に略並行に形成する工程を有し、
前記基板の表面と前記凹部の内壁とがなす角度をαとし、前記凸部の上面と前記凸部の外壁とのなす角度をβとするとき、前記角度α、βがα、β<126°となるように形成されている撥液増大構造体の製造方法。 - 水より表面張力が低い液体に対して平坦な表面で親液性を示す基板を用いた撥液増大構造体の製造方法であって、
前記基板の表面に凹部または凸部を複数、前記凹部または凸部の外壁を前記基板の厚さ方向に略並行に形成する工程を有し、
前記基板の表面と前記凹部の内壁との境界における曲率半径は、前記凹部の直径もしくは相当直径、および前記凹部の深さのいずれか小さいほうの値よりも小さく、または凸部の直径もしくは相当直径、および凸部の深さのいずれか小さいほうの値よりも小さく形成されている撥液増大構造体の製造方法。 - 前記基板の表面に凹部または凸部を形成する工程は、
前記基板上に金属膜を形成する工程と、
前記金属膜をパターニングする工程と、
前記パターニングされた金属膜をマスクとして前記基板をエッチングする工程と、
前記金属膜を除去する工程と、
前記基板を熱処理する工程とを有する請求項16または17に記載の撥液増大構造体の製造方法。 - 前記基板をエッチングする工程は、ドライエッチングが用いられる請求項18に記載の撥液増大構造体の製造方法。
- 前記基板を熱処理する工程は、前記熱処理の温度が100℃〜180℃の範囲である請求項18または19に記載の撥液増大構造体の製造方法。
- 前記基板の表面に凹部または凸部を形成する工程は、凸部または凹部が形成された型を前記基板に押し付ける工程を有する請求項16、17、19および20のいずれか1項に記載の撥液増大構造体の製造方法。
- 前記基板の表面に凹部または凸部を形成する工程は、下基板上に感光性材料を塗布し、フォトリソグラフィ法により前記凹部または凸部を形成し、前記凹部または凸部が形成された前記感光性材料を熱処理により硬化させる工程を有する請求項16、17、19および20のいずれか1項に記載の撥液増大構造体の製造方法。
- 前記基板の表面に凹部または凸部を形成する工程の後工程に、前記基板をクリーニングする工程と、前記基板の表面および前記凹部の内壁または凸部の外壁にフッ素を含む材料からなるコーティング層を形成する工程とを有する請求項16〜22のいずれか1項に記載の撥液増大構造体の製造方法。
- 前記基板のクリーニング工程は、酸素を含むガスを用いたプラズマ処理であることを特徴とする請求項23に記載の撥液増大構造体の製造方法。
- さらに、下基板上に、前記基板を形成する工程を有する請求項16〜24のいずれか1項に記載の撥液増大構造体の製造方法。
- 溶液の液滴を吐出させる液体吐出ヘッドであって、
前記液滴が吐出される複数の貫通穴が形成された吐出基板を有し、
前記吐出基板は前記貫通穴の周辺の溶液吐出面が前記請求項1〜15のいずれか1項に記載の撥液増大構造体の基板の表面となるように、前記撥液増大構造体が配置されていることを特徴とする液体吐出ヘッド。 - 前記溶液の主成分が有機溶剤、油または表面張力が40mN/m以下からなる液体で構成されていることを特徴とする請求項26に記載の液体吐出ヘッド。
- 前記溶液は帯電粒子が分散されたものであり、
さらに、前記貫通穴の個々に対応して配置される、前記溶液に静電力を作用させる吐出電極と、前記貫通穴を通過して前記吐出基板の液滴吐出側に突出する溶液ガイドとを有し、
前記吐出電極による静電力により、前記液滴が吐出される請求項26または27に記載の液体吐出ヘッド。 - さらに、前記吐出基板の前記貫通穴から前記液滴を吐出させる圧電方式またはサーマル方式の液滴吐出手段を有し、前記液滴吐出手段により前記液滴が吐出される請求項26または27に記載の液体吐出ヘッド。
- 支持体と、前記支持体の表面に形成された前記請求項1〜15のいずれか1項に記載の撥液増大構造体とを有することを特徴とする防汚フィルム。
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