JP2006175657A - 液体吐出ヘッドおよびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 有機溶剤、油または表面張力が40mN/m以下からなる液体などの水よりも表面張力が低い液体をインクとして、安定して吐出させることができる液体吐出ヘッドおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】 本発明の液体吐出ヘッドは、溶液の液滴を吐出させるものであり、液滴が吐出される複数の貫通孔が形成された吐出基板を有し、この吐出基板は、その表面に、前記貫通孔の周囲を囲むように前記貫通孔の形状と平面視略相似形状を呈する凹部と凸部とが、前記貫通孔の中心から離れる方向に対して所定の間隔で交互に複数繰り返して形成されている凹凸部を備える。
【選択図】 図7

Description

本発明は、有機溶剤、油または表面張力が40mN/m以下からなる液体などの水よりも表面張力が低い溶液をインクとして、安定して吐出させることができる液体吐出ヘッドおよびその製造方法に関する。
従来、インクの微小液滴を吐出・飛翔させ、記録紙に付着させることで記録を行なうインクジェット記録装置において、インクの吐出口周辺に撥液性膜を形成することが吐出性能向上に非常に重要であることが知られている。
また、この撥液性膜を形成する撥液性材料として、ニッケル共析メッキによって形成されたPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)膜があり、このPTFE膜により水に対する接触角が150°を超える超撥水膜が実現されている。
このように撥液性を向上させるには、材料の性質(低い表面張力をもつ材料)と表面構造の両方の検討が重要である。
低い表面張力を持つ材料を用いて撥液性が向上されたものとしては、フッ素を含んだ化合物が良く知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、表面構造により撥液性を向上させたものとしては、フォトリソグラフィ法により表面に微細な凹凸を形成したものが知られている(例えば、特許文献2参照)。
特許文献1には、予め0.4〜20μmの範囲の凸凹が形成された基材の表面に、シロキサン結合を介して結合形成されているフッ素を含む単分子膜である被膜が形成された撥水撥油性被膜が開示されている。この特許文献1の撥水撥油性被膜における基材の表面の凹凸構造は様々な大きさおよび深さを含んだフラクタル構造である。
また、特許文献2には、基板の表面に凹部および凸部が形成され、その表面の凸部の高さが均一であり、また、凹部および凸部は、液滴が凹部に落ち込むことなく、かつ液滴が凹部の空気層と接することができる大きさに形成され、凹部および凸部の表面には撥水膜が形成されている多孔構造体が開示されている。この多孔構造体は、インクジェット記録ヘッドのインク吐出孔以外のインク吐出面に設けられている。この多孔構造体における凹凸構造は、フォトリソグラフィ法およびエッチング法により人工的に均一な大きさと高さに形成されているものである。この凹凸構造パターンは格子、ドットまたはラインのものが例示されている。
特許第2809886号公報 国際公開第99/12740号パンフレット
上述の特許文献1の撥水撥油性被膜においては、水に対しては十分な撥水性を得ることができることが実施例を挙げて示されているものの、有機溶剤または油などが表面に付着して撥液性が得られるか否かについては、実施例が挙げられておらず十分に検討されていない。
また、特許文献2の多孔構造体においては、水に対しては十分な撥水性を得ることができることが実施例を挙げて示されているものの、水よりも表面張力が低い、例えば、40mN/m以下の有機溶剤または油などが表面に付着して撥液性が得られるか否かについては、実施例が挙げられておらず十分に検討されていない。
上述の如く、従来から、水に対しては十分な撥水性を得ることができることが知られている。これに対して、有機溶剤または油などが表面に付着して撥液性を劣化させてしまうことが知られており、有機溶剤または油であっても撥液性を示す材料が望まれている。
しかしながら、現状では、有機溶剤または油などでも撥液性を示す材料の検討はあまりなされていない。その主な理由は、有機溶剤または油の表面張力が水よりかなり小さいため撥液性を得ることが容易でないためである。
以下、有機溶剤または油について撥液性を得ることが容易でない理由について詳細に説明する。
図13に示すように、平滑な固体150の表面150a上に置かれた液体152が作る接触角θは、液体152の表面張力γと固体150の表面張力γと、更に固体150と液体152の間に働く相互作用(界面張力)γSLとの関係で下記数式1のように表される。
Figure 2006175657
また、固体−液体間の界面張力γSLは、下記数式2のように表される。
Figure 2006175657
上記数式1および数式2を組み合わせることにより下記数式3が導かれる。この数式3は固体の表面張力γと液体の表面張力γとの大小関係で撥液性をあらわす接触角が導かれることを意味する。
Figure 2006175657
ここで、接触角が90°以上である場合、「撥液性」を示すと定義され、接触角が90°未満である場合、「親液性」を示すと一般的に定義されている(高撥水技術の最新動向、東レリサーチセンター、p1)。この撥液性を実現しうる関係は下記4式で表される。
Figure 2006175657
すなわち、固体の表面張力γが液体の表面張力γの1/4以下である必要がある。水の表面張力が74mN/mであり、水に対して撥液性を示すには固体の表面張力γはその1/4以下、すなわち、19mN/m以下である必要がある。ここで、下記表1に各物質の表面張力を示す。固体でその値を持つ材料としてテフロン(登録商標)またはサイトップ(登録商標)などが挙げられ、90°以上の接触角θを得ることができる。
Figure 2006175657
一方、有機溶剤、または油などは水に比べて著しく小さい値を持っている。例えば、デカンは、表面張力が24mN/mであり、このような液体に対して撥液性を示すためには、6mN/m以下の表面張力を持つ固体が必要である。このような固体としては、パーフルオロラウリック酸があるが、原子層オーダーの単分子膜しか形成できないこと、また水に対して撥液性を示さないことから、実際のところ実用的ではないと言える。
撥液性を向上させるもう1つの方法として、表面構造の導入が知られている。この表面構造のモデルとしては、大きく2つのモデルがある。1つは、図14に示すように、固体154の表面にミクロな凹凸156を形成して表面積を増大させることで、接触角が増加するWentzel(ウェンゼル)モデルである。
ここで、図14において、θは真の接触角(表面が平滑な場合の接触角θ(図13参照))であり、θは見かけの接触角である。
接触角θと見かけの接触角θとの関係は下記数式5のように表される。なお、下記数式5におけるrは表面増倍係数である。このrは、真の表面積と見かけの表面積の比で表されるものである。
Figure 2006175657
このウェンゼルモデルにおいては、親液性であるものは、より親液性になり、撥液性であるものは、より撥液性になる。
ここで、図15は、縦軸にcosθをとり、横軸にcosθをとってウェンゼルモデルにおける接触角θと見かけの接触角θとの関係を示すグラフである。
図15に示すように、ウェンゼルモデルにおいては、材料自体が対象となる液体に対して接触角が90°以上(cosθ<0)でなければ、それ以上の接触角の向上は困難である。
また、ウェンゼルモデルにおいては、表面に凹凸などの表面構造がない場合、図15に示す直線Lのようになる。この直線Lにおける表面増倍係数rは1(r=1)である。一方、表面に凹凸などの表面構造を有する場合、図15に示す直線Mのようになる。表面に表面構造が導入されると、表面積が大きくなり、この直線Mにおける表面増倍係数rが1よりも大きくなる(r>1)。
また、表面構造モデルとしてはもう一つCassie(カッシー)モデルがある。図16に示すように、カッシーモデルにおいては、固体158に凹部160が形成されている。この凹部160には固体158とは異なる物質159が充填されている。異なる表面張力をもつ2種の材料(固体158、および物質159)で表面が構成されている場合において、見かけの接触角θは表面158aに露出した2種の材料(固体158、および物質159)と液体162と真の接触角θ、θ(図示せず)との関係で定まるものであり、下記数式6により表される。なお、下記数式6におけるA、Aはそれぞれ係数であり、複合表面における各物質の面積割合を示すものである。これらの係数A、Aは下記数式7に示すような関係にある。
Figure 2006175657
Figure 2006175657
このカッシーモデルにおいては、2種の材料のうち、1種が空気である場合、すなわち、1種の材料(固体158)の表面に微細な凹凸が形成されている場合を考える。図16に示すように単一の固体158の表面158aに微細な凹凸(凹部160)が存在するものであり、図17(a)に示すように、固体158自体が対象となる液体162に対して撥液性を示す(θ>90°)とき、凹部160には液体162が侵入できず、凹部160に空気層が存在することになる。
ここで、空気における接触角θは180°になることから、上記数式6で表される見かけの接触角θは、下記数式8のように表すことができる。
Figure 2006175657
一方、単一の固体158が対象となる液体に対して、親液性を示す(θ<90°)とき、図17(b)に示すように、凹部160に液体162が侵入し、凹部160が液体162で満たされる。このとき、凹部160の液体との接触角は、0°であるから、上記数式6で表される見かけの接触角θは、下記数式9のように表すことができる。
Figure 2006175657
ここで、図18は、縦軸にcosθをとり、横軸にcosθをとってカッシーモデルにおける接触角θと見かけの接触角θとの関係を示すグラフである。
このカッシーモデルにおいても、図18に示すように、親液性であるものは、より親液性になり、撥液性であるものは、より撥液性になる。
なお、カッシーモデルにおける接触角が90°付近の急峻な変化については、ウェンゼルモデルが適用できるという説明もある。
このように、図15および図18に示すように、ウェンゼルモデルおよびカッシーモデルのいずれにおいても、対象となる液体に対して固体自体が撥、すなわち、接触角>90°でない限り、固体に、表面構造が導入されても撥液性が向上することがない。したがって、有機溶剤または油などの表面張力が低い液体で、接触角90°以上を示すことができる撥液性を示す撥液材料が存在しないため、有機溶剤または油で撥液性を実現することができない。
本発明の目的は、前記従来技術の問題点を解決することにあり、有機溶剤、油または表面張力が40mN/m以下からなる液体などの水よりも表面張力が低い液体をインクとして、安定して吐出させることができる液体吐出ヘッドおよびその製造方法を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明の第1の態様は、溶液の液滴を吐出させる液体吐出ヘッドであって、前記液滴が吐出される複数の貫通孔が形成された吐出基板を有し、前記吐出基板は、その表面に、前記貫通孔の周囲を囲むように前記貫通孔の形状と平面視略相似形状を呈する凹部と凸部とが、前記貫通孔の中心から離れる方向に対して所定の間隔で交互に複数繰り返して形成されている凹凸部を備えることを特徴とする液体吐出ヘッドを提供するものである。
本発明においては、前記溶液は、帯電粒子が分散されたものであり、さらに、前記貫通孔の個々に対応して配置される、前記溶液に静電力を作用させる吐出電極と、前記貫通孔を通過して前記吐出基板の液滴吐出側に突出する溶液ガイドとを有し、前記吐出電極による静電力により、前記液滴が吐出されることが好ましい。
また、本発明においては、さらに、前記吐出基板の前記各貫通孔から前記液滴を吐出させる圧電方式またはサーマル方式の液滴吐出手段を有し、前記液滴吐出手段により、前記液滴が吐出されることが好ましい。
本発明においては、さらに、前記凹凸部の表面に撥液層が形成され、前記撥液層の厚さは、前記凹部の前記貫通孔の中心から離れる方向における長さの1/2以下であることが好ましい。
また、本発明においては、前記凸部および前記凹部が繰り返して形成される周期は、前記貫通孔の直径よりも短いことが好ましい。
さらに、本発明においては、前記溶液は、有機溶剤、油または表面張力が40mN/m以下であることが好ましい。
また、本発明の第2の態様は、液滴を吐出するための複数の貫通孔が形成された吐出基板を有する液体吐出ヘッドの製造方法であって、基材の表面に撥液支持層を形成する工程と、前記撥液支持層の表面にレジスト膜を形成する工程と、前記レジスト膜に、前記撥液支持層における前記貫通孔の形成予定領域の周囲に前記貫通孔の形状と平面視略相似形状を呈する凹部と凸部とが、前記貫通孔の中心から離れる方向に対して所定の間隔で交互に複数繰り返して形成されるパターンを形成する工程と、前記パターンが形成されたレジスト膜をマスクとして、前記撥液支持層の表面に前記凹部と前記凸部とを有する凹凸部を形成する工程と、前記貫通孔の形成予定領域に、貫通孔を形成する工程とを有することを特徴とする液体吐出ヘッドの製造方法を提供するものである。
本発明においては、前記貫通孔を形成する工程の前に、前記凹凸部の表面に前記凹部の前記貫通孔の中心から離れる方向における長さの1/2以下の厚さを有する撥液層を形成する工程を有することが好ましい。
本発明の液体吐出ヘッドおよびその製造方法によれば、液滴が吐出される複数の貫通孔が形成された吐出基板の表面に、貫通孔の周囲を囲むように、この貫通孔の形状と平面視略相似形状を呈する凹部と凸部とが貫通孔の中心から離れる方向に対して所定の間隔で交互に複数繰り返して形成されている凹凸部を設けることにより、溶液が有機溶剤、油または表面張力が40mN/m以下からなる液体であっても、溶液の接触角を大きくすることができ、さらに、凹凸部が貫通孔の周囲に形成されているため、溶液を貫通孔に円形状に集めることができ、メニスカスを経時変化させることなく安定化できる。これにより、インクに、表面張力が低い有機溶剤、油または表面張力が40mN/m以下からなる液体を用いた場合であっても、インクを安定して吐出させることができ、高画質の画像を得ることができる。
以下に、添付の図面に示す好適実施形態に基づいて、本発明の液体吐出ヘッドおよびその製造方法を詳細に説明する。
図1は、縦軸にcosθをとり、横軸にcosθをとって本発明の表面構造モデルにおける接触角θと見かけの接触角θとの関係を示すグラフである。
本発明者は、表面構造、および撥液材料について鋭意検討した結果、表面構造、および撥液材料の最適化により、カッシーモデルの修正に基づく凹部における空気内包の効果により、親液性から撥液性への改善が可能であることを見出した。すなわち、固体自体で接触角が90°以下(親液性の材料)であっても、表面構造によっては、接触角が90°以上になることを見出し、有機溶剤、または油などの表面張力が低い液体に対しても撥液性を有する手段を知見し、本発明に至った。
一般的に良く知られているモデル(ウェンゼルモデル、カッシーモデル)では、固体材料自体が撥液性を有するものでなければ、撥液性を向上させることは不可能(図15および図18参照)である。それらのモデルによれば、水のような表面張力が高い液体で高い接触角を得られても、有機溶剤、または油などの表面張力が低い液体に対しては、接触角が小さく、撥液性を示さないことが容易に予測される。多くの報告は、水での実験結果から高い撥液性を報告するものの、有機溶剤、または油などで実験することはない。そして、多くの発明では、撥液性について、水の実施例(実験結果)を示し、それに追加する形で実験をすることなく、従来のモデルから撥液性を示さないことが予測できるにもかかわらず、有機溶剤、または油などでも撥液性があるかのような記述をしている。これは正しい知見から得られた発明とはいえない。
そこで、本発明者は、表面の凹凸構造の形状について詳細な検討を行った結果、カッシーモデルが場合によっては、修正されうることを見出した。すなわち、材料の性質による接触角が90°以下であっても、表面構造の導入によっては、接触角を増加させることができる。従来のモデルでは、材料の性質による接触角が90°以下である場合には、表面構造の導入により、接触角は減少する。すなわち、親液性は、より親液性になる。
材料の性質で決まる接触角θが90°以下(cosθ>0)であっても、凹部160が空気で占められる状態が維持(図17(a)参照、数式8参照)され、図1に示すように、接触角θは増加する。なお、この場合、接触角θは、下記数式10で表される。
Figure 2006175657
そして、ある値(θ=θ(遷移角度))を境にカッシーモデル(図18参照、数式9参照)に従い親液性を示すようになる。カッシーモデルにおける遷移角θは、90°であるが、固体の表面に凹凸構造を設けることにより、遷移角θが90°以下にシフトすることが見出された。
本発明においては、遷移角θまで、所定の液体に対して固体が親液性であっても、その所定の液体に対して、撥液性への遷移が許容される。そして、この遷移角度は、凹凸の先鋭度、そのなす角度などに関係している。
一般に接触角が90°を境にして、親液性および撥液性を区別しているが熱力学的には、何の根拠もない。また、ウェンゼルモデル、カッシーモデルともに親液性、撥液性の性質を別々に考えており、その間の境界部分については、何ら考慮されていない。ウェンゼルモデルでは、材料の性質による接触角が90°である場合、表面構造を導入しても変化なく90°であり、カッシーモデルでは、90°近辺で急激な変化が起こることにになってしまう。実際の表面では両モデルで表されるふるまいが混在しているはずであり、この90°近辺の詳しい検討が必要である。そして、その詳細な検討の結果、カッシーモデルに従う表面構造において、その急激な変化が起こる遷移角度が構造によって異なること、そしてそれは、親液性材料でも表面構造で撥液性に変わりうることを見出した。
なお、図1において、第1象現は、所定の液体に対して固体が撥液性である場合には、撥液性になる領域である。また、第3象現は、所定の液体に対して固体が親液性である場合には、親液性になる領域である。第4象現は、所定の液体に対して固体が親液性であっても撥液性になる領域である。
本発明においては、図2(a)に示すように、固体10に凹部12が形成されており、この凹部12の側壁12aと固体10の表面10aとの境界が不連続に変化する場合、液滴は、凹部12の内部に侵入しにくい。これは、液滴が凹部12の内部に侵入するためには、凹部12の内部に存在している空気を追い出して、それと交換しなければならないためである。このことは、固体10が液滴に対して親液性を有するものであっても同じであり、この空気と液滴との交換の容易さによって、遷移角度が決定される。凹部12における側壁12aと固体10の表面10aとのなす角度αにより空気と液滴との交換のし易さが変化する。
また、図2(b)に示すように、角度αが大きくなると、空気と液滴との交換が容易になり、遷移角θが90°に近づく。遷移角θを高く維持できる角度αは、150°以下であり、望ましくは135°以下である。また、図2(c)に示すように、凹部12における側壁12aと固体10の表面10aとの境界が連続的に変化する場合も、空気と液滴との交換が容易になる。側壁12aと固体10の表面10aとの境界における曲率半径をρとするとき、曲率半径ρは、凹部12の直径d、凹部12の深さhとの関係で、空気と液体との交換が容易になり遷移角θが90°に近づく。遷移角θを低くするためには、曲率半径ρが、凹部12の直径dおよび凹部12の深さhのいずれか小さい方の値よりも小さく、望ましくは、凹部12の直径dおよび凹部12の深さhのいずれか小さい方の値の1/10以下である。
また、凹部12の直径dは、液滴に対して無視できるほど十分小さければよく、望ましくは50μm以下、更に望ましくは10μm以下、更に一層好ましくは5μm以下である。
また、凹部12の面積比率は、20%以上であることが好ましく、更に好ましくは40%以上であり、更に一層好ましくは60%以上である。凹部12の面積比率を高くすることにより、液体が空気に接触する割合が増え、見かけの接触角θが高くなる。
また、凹部の面積比率および固体自体の表面張力によって、その表面構造による接触角の増大の割合が変化する。
上記数式1および数式10から、みかけの接触角θ、面積比率A、液体の表面張力、および固体の表面張力が下記数式11で表される。下記数式11において、見かけの接触角θが90°以上になる関係は、下記数式12で表される。対象となる液滴によりこの関係を満たす固体材料、凹部の面積比率Aを決定することにより、撥液性を得ることができる。
Figure 2006175657
Figure 2006175657
上記数式11および数式12における面積比率Aは、図3に示すように、仮想的な六角形Uの中心に同じ大きさの円形状の凹部12が形成されていることを仮定して算出される凹部12の面積比率である。すなわち、凹部12の配置が最密充填である場合にものおける面積比率である。この面積比率Aは、下記数式13により表されるものである。なお、下記数式13におけるdは凹部12の直径であり、pは六角形Uの大きさである。
Figure 2006175657
また、液体を基板表面に滴下すると、液体はその表面積を最小にしようとすることは良く知られている。液体は表面積を最小にしようとするため、液体は球形、またはそれに準ずる形状になろうとする。
ここで、図4(a)は、基板の表面に液体を滴下したときの平面図であり、(b)は、(a)のI−I線による断面図である。
図4(a)に示すように、基板20の表面22に液体24を滴下した場合、液体24は、上方から見ると円形であり、その断面は、図4(b)に示すように円弧形状となる。また、液体24は、3次元的には球の一部を切り取った形で構成される。
基板20の撥液性が高い場合、円狐の角度が大きくなり、液体は円(球)の形に近くなる。インクジェット記録ヘッドの吐出孔の形状は、表面積を最小にしようとする液体の性質、ならびに吐出の安定化、液滴の分断されやすさ、およびメニスカスの安定化などのインクジェット記録装置(液体吐出ヘッド)の特性を考慮すれば円形が好ましい。
一方、インク吐出面に形成される撥液膜の構造も、表面積を最小にしようとする液体の性質を考慮することが重要である。したがって、撥液構造により、液体が表面積を最小にしやすくなるように促進すれば、液滴の安定化ひいては撥液性の向上につながる。
このようなことから、本発明者が見出した撥液性構造は、インクジェット記録ヘッドなどの液体吐出ヘッドの溶液吐出面(インク吐出面)に適したものであることを見出し本発明に至った。
以下、本発明の液体吐出ヘッドおよびその製造方法の実施形態について詳細に説明する。
[第1の実施形態]
図5は、本発明の第1の実施形態に係る液体吐出ヘッドが適用されたインクジェット記録装置を示す模式的断面図であり、図6は、図5に示す液体吐出ヘッドの模式的部分斜視図である。本実施形態は、本発明の液体吐出ヘッドが静電式インクジェット記録装置に適用された例である。
図5に示すインクジェット記録装置30(以下、記録装置30という)は、静電式のインクジェット記録装置によってインク液滴Rを吐出して、例えば、矩形状の記録媒体Pに画像記録(描画)を行なうものであり、基本的に、本発明の液体吐出ヘッド32(以下、吐出ヘッド32という)と、記録媒体Pの保持手段34と、インク循環系36と、電圧印加手段38とを有して構成される。
なお、本実施形態の記録装置30は、例えば、表面張力が40mN/m以下であるインクQをインク液滴Rとして吐出させるものである。
本実施形態の記録装置30において、吐出ヘッド32は、記録媒体Pの一辺の全域に対応するインク液滴Rの吐出口(貫通孔)46の列(以下、ノズル列という)を有する、いわゆるラインヘッドである。
記録装置30においては、記録媒体Pを保持手段34で保持して、記録媒体Pを吐出ヘッド32と対面して所定の記録位置に位置した状態で、保持手段34を吐出ヘッド32のノズル列と直交する方向に移動(走査搬送)することにより、ノズル列によって記録媒体Pの全面を二次元的に走査する。この走査に同期して、吐出ヘッド32の各吐出口46から、記録画像に応じて変調してインク液滴Rを吐出することにより、記録媒体Pにオンデマンドで画像を記録する。
また、画像記録時には、インク循環系36によって、吐出ヘッド32(後述するインク流路52)を含む所定の循環経路でインクQを循環することにより、各吐出口46にインクQを供給する。
吐出ヘッド32は、静電力によってインクQ(インク液滴R)を吐出する静電式インクジェットの液体吐出ヘッドであって、図5および図6に示すように、基本的に、吐出基板40と、支持基板42と、インクガイド(溶液ガイド)44とを有して構成される。
吐出基板40は、支持体40aと、この支持体40aの表面に形成された基材74と、この基材74に形成された凹凸部73と、この基材74の表面に形成された撥液層78とを有するものである。吐出基板40を貫通して、インクQのインク液滴Rを吐出するための吐出口46が、複数、支持体40aおよび基材74を貫通して形成されている。この吐出口46は、その輪郭形状が円形である。
支持体40aは、例えば、Al23もしくはZrO2などのセラミックス材料、ガラスまたはポリイミドなどの絶縁性材料からなるものである。
基材74は、凹凸部73が形成されるものであり、支持体40aの表面に形成されている。この基材74は、必ずしも、その特性が水に対して撥液性を有するものに限定されるものではなく、水に対して親液性であってもよい。
凹凸部73は、基材74における吐出口46の周囲を囲むように、吐出口46の形状と平面視略相似形状を呈する凸部74a〜74dと凹部76a〜76cとが、吐出口46の中心から離れる方向に対して交互に複数繰り返して形成されてなるものである。
凸部74a〜74dは、例えば、いずれも同じ高さであり、吐出口46の中心から離れる方向に対して同じ幅である。また、凹部76a〜76cも、例えば、いずれも同じ深さであり、吐出口46の中心から離れる方向に対して同じ幅である。なお、本発明においては、凹部76a〜76cは、いずれも同じ深さであることが好ましい。しかしながら、本発明においては、凹部76a〜76cの深さが異なるものであっても、凹部76a〜76cの深さが同じものに比して効果が若干劣るものの、本発明の効果を得ることができる。さらに、凹凸部73における凹部76a〜76cの面積率は40%以上であることが好ましく、さらに好ましくは、面積率は60%以上である。
本実施形態においては、吐出口46が円形であるため、吐出口46の直径方向に対して、吐出口46と平面視略相似形状を呈するリング状の凸部74a〜74dとリング状の凹部76a〜76cとが、吐出口46の中心を中心として、例えば、4回交互に繰り返して同心円状に4重に形成されている。
この凸部74a〜74dと凹部76a〜76cとが繰り返して形成される周期は、吐出口46の直径よりも短い。
撥液層78は、基材74(凹凸部73)の表面に形成されたものであり、撥液性を有する材料により構成されている。この撥液層78は、凹凸部73の凹部76a〜76cを埋めることなく、表面形状を維持できる厚さに形成されている。また、撥液層78は、例えば、フッ素を含有する有機物、またはフルオロアルキルシランなどのフッ素を含みF(フッ素)の数が、例えば、10以上の低分子の撥液材料により構成されるものである。
なお、吐出基板40については、後に詳細に説明する。
吐出ヘッド32は、図6に示すように、より高解像度で高速な画像記録が可能な好適例として、格子状に二次元的に配列された吐出口46を有する。
なお、本発明の液体吐出ヘッドは、本実施形態のように格子状に吐出口46を有するものに限定はされず、例えば、隣接するノズル列を互いに半ピッチ分ずらして、千鳥格子状に吐出口を配列したものであってもよい。また、吐出口を二次元的に配列した構成ではなく、1列のノズル列のみを有するものであってもよい。いずれの場合においても、吐出46は、凹凸部73を形成できるだけの間隔をあけて形成されている。
また、本発明は、本実施形態のようなラインヘッドに限定はされず、記録媒体Pをノズル列の長さに対応する所定長ずつ断続的に搬送しつつ、この断続的な搬送に同期して、ノズル列と直交する方向に液体吐出ヘッドを移動して描画を行なう、いわゆるシャトルタイプの液体吐出ヘッドであってもよい。
さらに、本発明の液体吐出ヘッドは、モノクロの画像記録に対応する1種のインクのみを吐出する吐出ヘッドであってもよく、カラー画像記録に対応する複数種のインクを吐出する液体吐出ヘッドであってもよい。
吐出基板40の下面には、各吐出口46に対応して、吐出電極50が設けられている。
本実施形態において、吐出電極50は、吐出口46を囲むリング状の電極であり、電圧印加手段38に接続されている。
なお、吐出電極50は、本実施形態のようなリング状に限定はされず、吐出口46を囲む矩形であってもよく、あるいは、吐出口46の全域を囲むものにも限定はされず、例えば、略C字状等の吐出電極も利用可能である。
吐出電極50には、電圧印加手段38が接続される。電圧印加手段38は、駆動電源60とバイアス電源82とが直列に接続されたもので、インクQの色材粒子の帯電電位と同極側(例えば正極)が吐出電極50に接続されて、他極側は接地されている。
駆動電源60は、例えばパルス電源であって、記録画像(画像データ=吐出信号)に応じて変調したパルス状の駆動電圧を吐出電極50に供給する。バイアス電源82は、画像記録中に、所定のバイアス電圧を、常時、吐出電極50に印加する。このようなバイアス電源82(バイアス電圧の印加)を有することにより、駆動電圧の低減を図ることができ、消費電圧の低減および駆動電源の低コスト化を図ることができる。
支持基板42も、ガラス等の絶縁性の材料で形成される基板である。
吐出基板40と支持基板42とは、所定の間隔だけ離間して配置され、その間隙がインクQを各吐出口46に供給するインク流路52となる。
インク流路52は、後述するインク循環系36に接続されており、インク循環系36が所定の経路でインクQを循環することにより、インク流路52にインクQが流れ(本実施形態では、例えば、図5中右から左)、各吐出口46にインクが供給される。
支持基板42の上面には、インクガイド44が設けられている。
インクガイド44は、インク流路52から吐出口46に供給されたインクQを案内して、メニスカスの形状または大きさを調整してメニスカスを安定させ、かつ、自身に電界(静電力)を集中させてメニスカスに電界を集中させることにより、インク液滴Rを吐出し易くするためのもので、吐出口46を貫通して吐出基板40の表面から記録媒体P(保持手段34)側に突出するように、各吐出口46に対応して配置されている。
互いに対応する吐出口46、吐出電極50、およびインクガイド44によって、1ドットのインク液滴Rの吐出に対応する1つの吐出部(1チャンネル)が形成され、インクガイド44の先端部が、インクQの飛翔位置となる。
本実施形態の吐出ヘッド32において、インクガイド44は、一例として、吐出電極50と中心を一致する、下方(基部側)の円筒部分と、その上(先端部)の円錐部分部とを有する形状である。インクガイド44の最大径部分は、吐出電極50の内径よりも、若干、小さくなっている。また、電界密度を集中させるために、インクガイド44の先端部には金属を蒸着してもよい。
吐出電極50およびインクガイド44のサイズには特に限定はなく、記録密度、吐出孔の大きさ、インクの種類等に応じて、適宜、設定すればよい。
本実施形態の吐出ヘッド32において、インクガイド44は、一例として、下方(基部側)の円筒部分と、その上(先端部)の円錐部分部とを有する形状であるが、本発明において、インクガイドは本実施形態の形状に限定はされず、各種の形状が利用可能である。
例えば、本実施形態における下方の円筒部分を有さない円錐状であってもよく、四角錐または六角錐などの角錐状の形状であってもよく、下方の角柱部と上方の角錐部とを有する形状でもよい。また、先端部などにインクを案内する切り欠き部または溝等を有するものであってもよい。
また、インクガイドは、以上のように先端部に向けて、漸次、細くなる形状に限定はされず、円柱状または角柱状等の太さが均一のものであってもよい。
しかしながら、インクガイドの先端部すなわちメニスカス先端部での電界集中を考慮すると、少なくとも上部は先端に向けて次第に細くなる形状とするのが好ましく、特に、円錐状または角錐状のように先端部分を先鋭な形状とするのが好ましい。また、インクガイドの先端部を細くすることにより、メニスカスを細くして吐出性を向上でき、かつ、インク液滴Rも微小にできるというメリットも有る。
前述のように、吐出基板40と支持基板42との間に形成されるインク流路52には、インク循環系36によってインクが供給される。
インク循環系36は、インクQを貯留するインクタンクおよびインクQを供給するポンプを有するインク供給手段64と、インク供給手段64とインク流路52のインク流入口(インク流路52の図5中の右側端部)とを接続するインク供給流路66と、インク流路52のインク流出口(同左側端部)とインク供給手段64とを接続するインク回収流路68とを有して構成される。また、これ以外にも、インクタンクへのインク補充手段等を有してもよい。
インクQは、インク供給手段64からインク供給流路66を経て吐出ヘッド32のインク流路52に供給されて、インク流路52を流れ(図中右から左に流れる)、インク流路52からインク回収流路68を経てインク供給手段64に戻る経路で循環され、これによりインク流路24から各ノズル28に供給される。
なお、本発明の吐出ヘッド32が吐出するインクQとしては、色材を含む帯電粒子を分散媒にしてなるインクQ等、帯電した微粒子を分散媒に分散してなる、静電式のインクジェットに利用される各種のインクQ(溶液)が利用可能である。このインクQは、表面張力が水より小さい。
前述のように、保持手段34は、記録媒体Pを保持して吐出ヘッド32のノズル列方向と直交方向(以下、走査方向という)に走査搬送するものである。
図示例において、保持手段34は、吐出ヘッド32(吐出基板40)の上面(溶液吐出面)に対面した状態で記録媒体Pを保持するプラテンとしても作用する対向電極70と、対向バイアス電源72と、対向電極70を走査方向に移動することにより、記録媒体Pを走査方向に走査搬送する走査搬送手段(図示省略)とを有して構成される。この走査搬送により、記録媒体Pは、吐出ヘッド32の吐出口46(ノズル列)によって、全面を二次元的に走査され、各吐出口46から変調して吐出されたインク液滴Rによって画像が記録される。
対向電極70による記録媒体Pの保持手段には、特に限定はなく、静電気を利用する方法、治具を用いる方法、および吸引による方法等、公知の方法によればよい。
また、対向電極70の移動方法にも、特に限定はなく、公知の板状部材の移動方法を利用すれば良い。なお、本発明の吐出ヘッド32を利用する記録装置においては、記録媒体Pを固定して、吐出ヘッド32を移動(走査)することにより、ノズル列で記録媒体Pを走査するようにしてもよい。
対向バイアス電源72は、吐出電極50(=色材粒子)と逆極性のバイアス電圧を対向電極70に印加するものである。なお、対向バイアス電源72の他極側は、接地されている。
以下、本実施形態における液体吐出ヘッド30の吐出基板40について詳細に説明する。
図7(a)は、本実施形態における液体吐出ヘッドの吐出基板のうち、1つの吐出口を含む模式的平面図であり、(b)は、(a)のII−II線による断面図である。なお、図7(a)においては、撥液層78の図示は省略している。
図7(a)に示すように、吐出基板40においては、吐出口46の周囲を囲んで支持体40aの表面には、凹凸部73が形成されている。また、図7(b)に示すように、この凹凸部73の表面には撥液層78が形成されている。この撥液層78は、厚さが薄く、実質的に凹凸部73の表面がインク吐出面となる。
撥液層78の厚さは、凸部74a〜74dと凹部76a〜76cの形状が維持できる厚さ、すなわち、この撥液層78の厚さは、凹部76a〜76cの吐出口46の中心から離れる方向における長さの1/2以下であり、さらに好ましくは1/10以下である。これにより、撥液材料により凹部76a〜76cが埋まることがなく、凹凸部73の凹凸構造が維持される。なお、撥液層78の厚さは、吐出口46の直径の1/10以下であることが好ましい。
図7(a)に示すように、これらの凸部74a〜74dの間は凹部76a〜76cであり、凹部76a〜76cは相互に独立したものであり、凹部76a〜76cは、開口部以外で外部とつながるところがなく、凹凸部73は閉構造である。このように凹凸部73を閉構造とすることにより、凹部76a〜76cに存在する空気とインクQとが接触し、インクQの接触角を大きく、すなわち、遷移角を小さくすることができる。これにより、インクQの広がりが抑制され、インクQを安定して吐出させることができる。
さらに、凹凸部73の表面に、撥液層78が形成されており、撥液層78による撥液効果も得ることができる。このように、凹凸部73の構造による撥液性および撥液層78による撥液性の2つの効果により、インクなどの表面張力が水よりも低いものであっても、接触角を大きくすることができる。さらに、凹凸部73のパターンにより、インクQを吐出口46に円形状に集めることができる。これにより、インクQのメニスカスの形状を経時変化させることなく、その形状を安定にすることができる。本実施形態においては、吐出口46の形状が円形であり、インクQを、図4(a)および(b)に示すように、平面視略円形の状態に保持することができる。
また、本実施形態においては、例えば、吐出口46の直径φが、130μmであり、凸部74a〜74dの吐出口46の中心から離れる方向における幅tは、例えば、2μmであり、吐出口46の中心から離れる方向における凹部の幅vは、5μmである。また、最外層の凸部74dの直径Dは、例えば、508μmである。本実施形態においては、最外層の凸部74dの直径Dが隣の吐出口(図示せず)の最外層の凸部(図示せず)と接する大きさであるか、または吐出基板40の表面全てがその凹凸構造であることが望ましい。
なお、凸部74a〜74dの幅tは、吐出口46の直径φの1/10以下であることが好ましい。さらに、吐出口46の中心の形成間隔(ピッチ)は、508μmである。
本実施形態においては、吐出口46を、例えば、50×24(合計1200個)の千鳥状に配列してもよい。
さらに、本実施形態においては、凸部74a〜74dの縁の角度(図2(a)に示す角度αに相当)は、90°に形成されている。この角度αは60〜120°であることが好ましい。
また、凸部74a〜74dの側壁と凸部74a〜74dの上面とが連続的に滑らかな場合、その曲率半径ρ(図2(c)参照)は凹部76a〜76cの幅vおよび凹部76a〜76cの深さhのいずれか小さい方の値よりも小さい値である。この曲率半径ρは、望ましくは、凹部76a〜76cの幅vおよび凹部76a〜76cの深さhのいずれか小さい方の値の1/10以下の値である。
次に、本実施形態における液体吐出ヘッドの吐出基板の製造方法について説明する。
図8(a)〜(e)は、本実施形態における液体吐出ヘッドの吐出基板の製造方法を工程順に示す模式的断面図である。なお、本実施形態の液体吐出ヘッドの吐出基板の製造方法においては、吐出電極50の形成工程の図示は省略している。
図8(a)に示すように、先ず、例えば、ポリイミドからなる支持体40aの表面に、例えば、ポリイミドからなる撥液支持層80を形成する。この支持体40aは、例えば、ロールコートによりフィルムとして製造される。
次に、撥液支持層80の表面にレジスト(図示せず)を塗布し、レジスト膜を形成する。
次に、図8(b)に示すように、フォトリソグラフィ法により、レジスト膜82に吐出口46の形成予定領域(図示せず)の周囲に、凹凸部73のパターン82aを形成する。
このパターン82aが形成されたレジスト膜82は、上述の如く、例えば、凸部74a〜74dとなる領域の幅が2μmであり、凹部76a〜76cとなる領域の幅(凸部の間隔)が5μmである。このレジスト膜82のパターン82aは、吐出口46と平面視略相似形状であるリング状の凸部74a〜74dとリング状の凹部76a〜76cとが吐出口46の中心を中心として同心円状に、例えば、4回交互に繰り返して吐出口46の直径方向に対して4重に形成されるものである。
次に、パターン82aが形成されたレジスト膜82をマスクにして、撥液支持層80の表面に、例えば、ドライエッチングにより、凹凸部73(凸部74a〜74dおよび凹部76a〜76c)を形成する。
次に、レジスト膜82を除去する。これにより、図8(c)に示すように、リング状の凸部74a〜74dおよび凹部76a〜76cを有する凹凸部73が形成される。この凹凸部73は、同心円状にリング状の凸部74a〜74dとリング状の凹部76a〜76cとが交互に4重に配置されたものである。
次に、図8(d)に示すように、凹凸部73の表面に、例えば、フッ素を含有した有機材料、またはフルオロアルキルシランなどの撥液性を有する材料を塗布し、撥液層78を形成する。
次に、図8(e)に示すように、吐出口46の形成予定領域(図示せず)に吐出口46を、例えば、ドライエッチングにより形成する。このようにして、本実施形態の吐出基板40が形成される。
なお、本実施形態においては、撥液層78を形成することなく、撥液支持層80を、撥液性を有する材料により形成してもよい。すなわち、基材74(凹凸部73)を、水に対して撥液性を有する材料により形成してもよい。
以下、本実施形態の記録装置30における画像記録について説明する。
画像記録時には、インク循環系36によって、インク供給手段64〜インク供給流路66〜吐出ヘッド32のインク流路52〜インク回収流路68〜インク供給手段64の経路でインクQが循環される。この循環により、インク流路52にインクQが、例えば、200mm/秒のインク流で流れ、これにより各吐出口46にインクが供給される。
また、画像記録時には、バイアス電源82が吐出電極50に100Vのバイアス電圧を印加している。さらに、記録媒体Pは対向電極70に保持され、対向電極70には、対向バイアス電源72が−1000Vのバイアス電圧を印加している。したがって、吐出電極50と対向電極70(記録媒体P)との間には、1100V分のバイアス電圧が印加され、その分の電界(静電力)が形成されている。
このインクQの循環、バイアス電圧による静電力、インクQの表面張力、毛管現象、およびインクガイド44の作用などにより、吐出口46にはインクQのメニスカスが形成され、また、色材粒子(本例では正に帯電)が吐出口46(メニスカス)に泳動してインクQが濃縮され、この濃縮の作用によってメニスカスがさらに成長し、インクQの表面張力と静電力等とのバランスが取れることによってメニスカスが安定した状態となっている。
また、本実施形態においては、吐出基板40の表面には、凹凸部73が形成されているため、吐出基板40の表面は、表面張力が水より小さいインクQであっても撥液性を有するものである。このため、さらに一層メニスカスを安定にすることができる。
この状態において、駆動電源60が吐出電極50に、例えば、200Vの駆動電圧を印加すると、インクQおよびメニスカスに作用する静電力が大きくなり、かつ、メニスカスでのインクQの濃縮が促進されて、メニスカスが急激に成長し、メニスカスの成長力、色材粒子のメニスカスへの移動力、および対向電極70からの吸引力が、インクQの表面張力を超えた時点で、色材粒子が濃縮されたインクQのインク液滴Rが吐出される。
吐出されたインク液滴Rは、吐出された際の勢い、および、対向電極70による引力によって飛翔し、記録媒体Pに着弾して画像を形成する。
前述のように、画像記録時には、記録媒体Pは吐出ヘッド32と対面した状態で、ノズル列と直交する走査方向に走査搬送されている。
したがって、この走査搬送に同期して、画像データ(インク液滴Rの吐出信号)に応じて変調して各吐出電極50に駆動電圧を印加(吐出電極50を駆動)することにより、記録する画像に応じて変調してインク液滴Rを吐出して、記録媒体Pの全面にオンデマンドで画像記録を行なうことができる。
本実施形態の吐出ヘッド32は、吐出基板40の表面に、本発明者の知見に基づいたパターン、および形状を有する凹凸部73を形成することにより、水よりも表面張力が小さいインクQであっても、接触角を90°以上とすることができるともに、インクQの形状を円形に近づけることができる。このため、インクQを溶液を吐出口46の近傍に略円形状に集めることができ、メニスカスの経時変化を抑制し、メニスカスを安定にできる。これにより、インク液滴Rの飛翔方向も一定になり、インク液滴Rの着弾位置が、インクガイドの突状先端の中央に定まるため、記録媒体Pの正確な位置にインク液滴Rを着弾させることができ、画像が高画質となるように記録媒体Pに記録することができる。さらに、メニスカスの形状が安定することにより、所定サイズ(所定量)のインク液滴Rを確実に安定して吐出させることができ、濃度が安定した良好な画像を記録媒体Pに記録することができる。
また、基板40の凹凸部73により、インクQが吐出口46に略円形状に集められ、メニスカスが所定の位置に固定されるので、隣接する他の各吐出口46のインクと一体化することがなくなり、各チャンネル間干渉が生じない。このように、各チャンネル間の干渉が生じないので、インクの架橋によるインク液滴の吐出方向の乱れ、および吐出周波数の乱れを防止することができる。
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
図9は、本発明の第2の実施形態に係る吐出基板を示す模式的平面図であり、吐出口を1つ示すものである。なお、本実施形態においては、図5〜図7(a)および(b)に示す第1の実施形態の吐出基板40と同一構成物には同一符号を付してその詳細な説明は省略する。また、図9においては、撥液層78の図示は省略している。
図9に示すように、本実施形態の吐出基板41は、第1の実施形態の吐出基板40に比して、凹凸部73aの構成が異なり、それ以外の構成は、第1の実施形態の吐出基板40と同様であるので、その詳細な説明は省略する。
図9に示すように、本実施形態の吐出基板41は、凹凸部73aが吐出口46の中心を中心として放射状に延びる直線部84、84aを、例えば12個有するものである。
この直線部84aは、凸部74a〜凸部76dに渡って延びるものであり、吐出口46の直径方向に対向して、例えば、2個線対称に形成されている。また、直線部84は、吐出口46の縁から凸部74dまで延びたものであり、直線部84aを対称軸として、例えば、5個ずつ線対称に形成されている。
このように、凹凸部73aに直線部84、84aを設けることにより、インクQを拭いたとき等、インク吐出面(凹凸部73aの表面)における耐磨耗性を向上させることができる。なお、本実施形態においても、凹部は開口部以外に外部とつながるところがなく、独立したものであり、閉構造である。
また、本実施形態の吐出基板41の製造方法は、上述の第1の実施形態の吐出基板40(図8(a)〜(e)参照)の製造方法に比して、レジスト膜82(図8(b)参照)のパターンが異なるだけであり、それ以外の製造方法は、第1の実施形態の吐出基板40の製造方法と同様であるため、その詳細な説明は省略する。
さらに、本実施形態の吐出基板41を備えた液体吐出ヘッドは、第1の実施形態と同様の効果が得られるとともに、加えてインク吐出面(凹凸部73aの表面)の耐磨耗性が向上するため、インクQを更に安定して吐出することができるという効果を奏する。
なお、上述の第1の実施形態の吐出基板40および第2の実施形態の吐出基板41においても、凹凸部のパターンは、凹部が開口部以外に外部とつながるところがないパターンとしたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、吐出口の中心を中心軸として、この中心軸の周りを回る吐出口と平面視略相似形状の渦状のパターンであってもよい。
このように、本発明においては、インクと凹部の空気とを接触させることにより、遷移角を小さく、すなわち、接触角を大きくしている。また、凹部が凹凸部内において、開口部以外で外部と連通されていなければ、凹部の空気とインク(溶液)とが交換されてにくくなる。このため、凹凸部のパターンは、凹部が凹凸部内において、開口部以外で外部と連通されていなければ、特に限定されるものではない。
また、上述の第1の実施形態の吐出基板40および第2の実施形態の吐出基板41においても、図10に示す第1の実施形態および第2の実施形態の変形例の吐出基板41aのように、吐出基板41aの吐出口46以外の領域は、シールド電極48によって全面的に被覆されていることが好ましい。この場合、支持体40aと凹凸部73との間にシールド電極48が形成される。すなわち、シールド電極48の表面に、凹凸部73が形成され、シールド電極48の表面が撥インク処理される。
シールド電極48は、導電性の金属板などで形成される全吐出口46に共通のシート状電極で所定電位に保持されている。この所定電位は、接地による0Vを含む。このようなシールド電極48を有することにより、互いに隣接する吐出口46(吐出部)の電気力線を遮蔽して、吐出口間における電界干渉を防止して、インク液滴Rを安定に吐出できる。
さらに、本変形例の吐出基板41aにおいては、シールド電極48の上面に立体障壁(図示せず)が配置されることが好ましい。この立体障壁は、各吐出口46周辺の凹凸部73を個々に囲んで分離して、吐出口46同士でのインクQの混合の防止、すなわち、各吐出口46(吐出部)毎のインクQのメニスカスの確実な分離を図るためのものである。
立体障壁の形態としては、各吐出口46を分離するように格子状に壁で形成されるものが挙げられる。しかしながら、本発明は、これに限定はされず、個々の吐出口46を分離することができれば、例えば、各吐出口46を個々に囲む円筒状の立体障壁等であってもよい。
また、立体障壁の壁面をへのインクの這い上がりを確実に防止し、吐出口46同士を確実に防止するためには、立体障壁の表面を撥インク性(撥液性)とすることが好ましい。
さらに、上述の第1の実施形態および第2の実施形態においても、吐出口46の形状は、特に限定されるものではなく、例えば、楕円形または四角などであってもよい。
なお、上述のいずれの実施形態においては、基材74に凹凸部73、73aを形成する構成としたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、支持体40aに凸部のみを形成する構成でもよく、また、支持体と基材とを一体にして、凹凸部を形成してもよい。
また、本実施形態においては、静電式のインクジェットについて説明したが、本発明は、溶液を吐出する液体吐出ヘッドを有するものであれば、液体吐出方法は特に限定されるものではない。本発明の液体吐出ヘッドは、例えば、ピエゾ方式のインクジェット記録装置およびサーマル方式のインクジェット記録装置にも適用できる。
以上、本発明の液体吐出ヘッドおよびその製造方法について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定はされず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良または変更を行ってもよいのは、もちろんである。
以下、本発明の撥液性構造体の具体的な例を挙げ、本発明をより詳細に説明する。なお、本発明は、以下に示す例に限定されないのは言うまでもない。
本実施例においては、上述の第1の実施形態の吐出基板の凹凸部73(図7(a)および(b)参照)を有する基板、ならびに比較例No.1の基板および比較例No.2の基板を作製し、これらの基板について撥液性を評価した。また、参考のために、平滑表面についても撥液性を評価した。なお、実施例No.1、比較例No.1および比較例No.2の基板は、いずれも吐出口が形成されていないものである。
実施例No.1の基板は、図8(d)に示すものであり、吐出口46を形成する前のものである。実施例No.1は、基材および凹凸部の組成はポリイミドであり、凸部の幅が2μm、凹部の幅が5μm、凹凸部の最外円の直径Dが508μmである。また、撥液層はフルオロアルキルシランを用いて形成した。
図11に示すように、比較例No.1の基板100は、基材102の表面に、直線部104aと直線部104bとが直交して配置された格子状のパターンが形成された凹凸部104が形成されたものである。直線部104aは4本形成され、直線部104bは5本形成されている。比較例No.1において、直線部104aおよび直線部104bは、幅を2μmとし、直線部104aおよび直線部104bの長さを508μmとした。また、基材102および直線部106aにはポリイミドを用いた。さらに、基材102および直線部106aの表面にフルオロアルキルシランからなる撥液層を形成した。
また、図12(a)に示すように、比較例No.2の基板100aは、基材102の表面に、平行に並んで設けられた直線部106aが、6本直線状のパターンが形成された凹凸部106が形成されたものである。比較例No.2において、直線部106aは幅を2μmとし、長さを508μmとした。また、基材102および直線部106aには、ポリイミドを用いた。さらに、基材102および直線部106aの表面にフルオロアルキルシランからなる撥液層を形成した。
なお、実施例No.1、比較例No.1および比較例No.2の基板においては、パターン形成領域の大きさは、全て同じとした。
本実施例においては、実施例No.1、比較例No.1および比較例No.2の基板ならびに平滑表面について、表面張力が23mN/m(水の1/3)であるデカンにおける接触角により撥液性を評価した。この結果を下記表2に示す。
なお、平滑表面は、表面構造のない平滑なガラス基板の表面にフッ素膜を形成したものである。フッ素膜はフルオロアルキルシランを用いて形成されたものである。このフッ素膜の厚さは10nmであった。
Figure 2006175657
上記表2に示すように、実施例No.1は、接触角が130°であり、撥液性を有するものであった。また、液滴の安定性も良好であり、液滴の形状が図4(a)および(b)に示すような形状で安定し、経時変化もなかった。
一方、比較例No.1は、接触角114°であり、実施例No.1に比して効果が劣り、十分に高い接触角が得られなかった。
また、比較例No.2は、液滴の形状が図12(b)に示すように、液滴108が楕円形状であり接触角に異方性が生じた。比較例No.2は、直線部106aの配列方向では、接触角が128°と高かった。また、直線部106aが延びる方向と平行な方向では、接触角が63°であった。さらに、比較例No.2においては、時間の経過とともに、液滴が直線部106aが延びる方向と平行な方向に時間と共に広がる傾向があり、接触角の安定性が不十分であった。
なお、平滑表面における接触角は60°であり、撥液性を示すものではなかった。
縦軸にcosθをとり、横軸にcosθをとって本発明の表面構造モデルにおける接触角θと見かけの接触角θとの関係を示すグラフである。 (a)〜(c)は、本発明の表面構造モデルにおける凹部の形状を示す模式的断面図である。 本発明の表面構造モデルにおける凹部の面積比率を算出するモデルを示す模式図である。 (a)は、基板の表面に液体を滴下したときの平面図であり、(b)は、(a)のI−I線による断面図である。 本発明の第1の実施形態に係る液体吐出ヘッドが適用されたインクジェット記録装置を示す模式的断面図である。 図5に示す液体吐出ヘッドの模式的部分斜視図である。 (a)は、本実施形態における液体吐出ヘッドの吐出基板のうち、1つの吐出口を含む模式的平面図であり、(b)は、(a)のII−II線による断面図である。 (a)〜(e)は、本実施形態における液体吐出ヘッドの吐出基板の製造方法を工程順に示す模式的断面図である。 本発明の第2の実施形態に係る吐出基板を示す模式的平面図であり、吐出口を1つ示すものである。 本発明の第1の実施形態の吐出基板および第2の実施形態の吐出基板の変形例を示す模式的断面図である。 比較例No.1の基板の構成を示す模式的平面図である。 (a)は、比較例No.2の基板の構成を示す模式的平面図であり、(b)は、比較例No.2の基板の表面に液体を滴下したときの液滴の状態を示す平面図である。 平面上に滴下された液体の表面張力と、固体の表面張力と、固体と液体との間に働く界面張力と、接触角との関係を示す模式図である。 ウェンゼル(Wentzel)モデルを示す模式図である。 縦軸にcosθをとり、横軸にcosθをとってウェンゼルモデルにおける接触角θと見かけの接触角θとの関係を示すグラフである。 カッシー(Cassie)モデルを示す模式図である。 (a)は、カッシーモデルにおいて、固体が撥液性を有する状態を示す模式的断面図であり、(b)は、カッシーモデルにおいて、固体が親液性を有する状態を示す模式的断面図である。 縦軸にcosθをとり、横軸にcosθをとってカッシーモデルにおける接触角θと見かけの接触角θとの関係を示すグラフである。
符号の説明
10、150、154、158 固体
12、160 凹部
12a 側壁
24、152、162 液体
30 インクジェット記録装置(記録装置)
32 液体吐出ヘッド(吐出ヘッド)
34 保持手段
36 インク循環系
38 電圧印加手段
40、41、41a 吐出基板
40a 支持体
42 支持基板
44 インクガイド
46 吐出口
48 シールド電極
50 吐出電極
52 インク流路
60 駆動電源
62 バイアス電源
64 インク供給手段
66 インク供給流路
68 インク回収流路
70 対向電極
72 対向バイアス電源
73 凹凸部
74 基材
74a〜74d 凸部
76a〜76c 凹部
78 撥液層
80 撥液支持層
82 レジスト膜
84、84a 直線部
100 比較例No.1の基板
100a 比較例No.2の基板
102 基材
104、106 凹凸部
104a、104b、106a 直線部
108 液滴
156 凹凸
P 記録媒体
Q インク
R インク液滴

Claims (8)

  1. 溶液の液滴を吐出させる液体吐出ヘッドであって、
    前記液滴が吐出される複数の貫通孔が形成された吐出基板を有し、
    前記吐出基板は、その表面に、前記貫通孔の周囲を囲むように前記貫通孔の形状と平面視略相似形状を呈する凹部と凸部とが、前記貫通孔の中心から離れる方向に対して所定の間隔で交互に複数繰り返して形成されている凹凸部を備えることを特徴とする液体吐出ヘッド。
  2. 前記溶液は、帯電粒子が分散されたものであり、
    さらに、前記貫通孔の個々に対応して配置される、前記溶液に静電力を作用させる吐出電極と、
    前記貫通孔を通過して前記吐出基板の液滴吐出側に突出する溶液ガイドとを有し、
    前記吐出電極による静電力により、前記液滴が吐出される請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
  3. さらに、前記吐出基板の前記各貫通孔から前記液滴を吐出させる圧電方式またはサーマル方式の液滴吐出手段を有し、
    前記液滴吐出手段により、前記液滴が吐出される請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
  4. さらに、前記凹凸部の表面に撥液層が形成され、前記撥液層の厚さは、前記凹部の前記貫通孔の中心から離れる方向における長さの1/2以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
  5. 前記凸部および前記凹部が繰り返して形成される周期は、前記貫通孔の直径よりも短い請求項1〜4のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
  6. 前記溶液は、有機溶剤、油または表面張力が40mN/m以下である請求項1〜5のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
  7. 液滴を吐出するための複数の貫通孔が形成された吐出基板を有する液体吐出ヘッドの製造方法であって、
    基材の表面に撥液支持層を形成する工程と、
    前記撥液支持層の表面にレジスト膜を形成する工程と、
    前記レジスト膜に、前記撥液支持層における前記貫通孔の形成予定領域の周囲に前記貫通孔の形状と平面視略相似形状を呈する凹部と凸部とが、前記貫通孔の中心から離れる方向に対して所定の間隔で交互に複数繰り返して形成されるパターンを形成する工程と、
    前記パターンが形成されたレジスト膜をマスクとして、前記撥液支持層の表面に前記凹部と前記凸部とを有する凹凸部を形成する工程と、
    前記貫通孔の形成予定領域に、貫通孔を形成する工程とを有することを特徴とする液体吐出ヘッドの製造方法。
  8. 前記貫通孔を形成する工程の前に、前記凹凸部の表面に前記凹部の前記貫通孔の中心から離れる方向における長さの1/2以下の厚さを有する撥液層を形成する工程を有する請求項7に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
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