JP4082293B2 - 撥水撥油性薄膜およびその製造方法 - Google Patents

撥水撥油性薄膜およびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は含フッ素重合体を含有する有機溶媒溶液から得られる撥水撥油性薄膜およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
表面パターニング技術としてポリマーの希薄溶液を高湿度下でキャストすることでμmスケールの空孔(ハニカム構造)を有するフィルムが得られることが知られている(たとえば、非特許文献1または非特許文献2参照。)。また、最近、本発明者等は前記ハニカム構造を有するフィルムの上面を厚み方向に分割することで、規則的な微細突起構造(ピラー構造)を有するフィルムが得られることを見出した(たとえば、非特許文献3参照。)。
【0003】
これら規則的な表面構造を有するポリマーフィルムは、表面の水滴に対する接触面積が小さいため、顕著なlotus effectがみられ、水に対して高い接触角を示す。しかし、ポリスチレンまたはポリメチルメタクリレートを用いた場合、有機溶剤に対する耐性が低く撥油性は発現しない。
【0004】
一方、ポリフルオロアルキル基を含む重合体はポリフルオロアルキル基由来の低い表面張力に基づく高い撥水撥油性を示し、また、高い耐薬品性を示すことから様々な分野に利用されている。しかしながら、この表面パターニング技術をフッ素系重合体に応用した例は知られていなかった。
【0005】
【非特許文献1】
シンソリッド・フィルムズ、1998年327−329巻、P.854
【非特許文献2】
スープラモレキュラーサイエンス、1998年第5巻、P.331
【非特許文献3】
日本化学会第83回春季年会予稿集、2003年、P.93
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題を解決するものであり、撥水撥油性に著しく優れる薄膜の提供を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、含フッ素重合体を0.1〜10質量%含有する有機溶媒溶液を、基板上に塗布し、相対湿度50〜100%の大気下に、該有機溶媒を徐々に蒸散させると同時に該塗布液表面で結露させ、該結露により生じた微小水滴を蒸散させてなるハニカム構造を有する撥水撥油性薄膜を提供する。
【0008】
また、本発明は含フッ素重合体を0.1〜10質量%含有する有機溶媒溶液を、基板上に塗布し、相対湿度50〜100%の空気を該塗布面に吹付け、該有機溶媒を徐々に蒸散させると同時に該塗布液表面で結露させ、該結露により生じた微小水滴を蒸散させることを特徴とするハニカム構造を有する撥水撥油性薄膜の製造方法を提供する。
【0009】
また、本発明は、前記ハニカム構造を有する撥水撥油性薄膜を、厚み方向で分割してなる規則的な微細突起構造を有する超撥水撥油性薄膜およびその製造方法を提供する。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明における含フッ素重合体は、下式1で表される化合物(以下、化合物1ともいう。)の重合単位を有する重合体が好ましい。
−Q−OCOCR=CH・・・式1
ただし、式1中の記号は以下の意味を示す。
:ポリフルオロアルキル基(以下、R基と記す。)。
Q:2価有機基。
:水素原子またはメチル基。
【0011】
化合物1におけるR基は、アルキル基の水素原子の2個以上がフッ素原子に置換された基である。R基の炭素数は2〜20が好ましく、特に6〜16が好ましい。またR基は、直鎖構造または分岐構造であるが、直鎖構造が好ましい。分岐構造である場合には、分岐部分がR基の末端部分に存在し、かつ分岐部分が炭素数1〜4程度の短鎖であるのが好ましい。
【0012】
またR基は、フッ素原子以外の他のハロゲン原子を含んでいてもよい。他のハロゲン原子としては、塩素原子が好ましい。さらに、R基中の炭素−炭素結合間には、エーテル性の酸素原子またはチオエーテル性のイオウ原子が挿入されていてもよい。
【0013】
基中のフッ素原子数は、[(R基中のフッ素原子数)/(R基と同一炭素数の対応するアルキル基中に含まれる水素原子数)]×100(%)で表現した場合、60%以上が好ましく、特に80%以上が好ましい。R基としては、アルキル基の水素原子の全てがフッ素原子に置換された基、すなわちペルフルオロアルキル基(以下R基と記す。)が好ましい。さらにR基は、直鎖構造のR基、すなわちF(CF−(iは2〜20の整数。)で表される基が好ましく、特にiが6〜16の整数である基が好ましい。
【0014】
基の具体例を以下に挙げる。なお以下の例においては、同一分子式を有する構造の異なる基である、構造異性の基を含む。
−[F(CF−、(CFCFCF−、(CFC−]、C11−[F(CF−、(CFCCF−等]、C13−[F(CF−等]、C15−、C17−、C19−、C1021−、Cl(CF−、H(CF−(tは2〜20の整数。)、(CFCF(CF−(yは1〜17の整数。)等。
【0015】
基が、炭素−炭素結合間に、エーテル性酸素原子またはチオエーテル性イオウ原子が挿入された基である場合の具体例を以下に挙げる。ただし、rは1〜5の整数、zは1〜6の整数、wは1〜9の整数である。
【0016】
F(CFOCF(CF)−、F[CF(CF)CFO]CF(CF)CFCF−、F[CF(CF)CFO]CF(CF)−、F[CF(CF)CFO]CFCF−、F(CFCFCFO)CFCF−、F(CFCFO)CFCF−等。
【0017】
F(CFSCF(CF)−、F[CF(CF)CFS]CF(CF)CFCF−、F[CF(CF)CFS]CF(CF)−、F[CF(CF)CFS]CFCF−、F(CFCFCFS)CFCF−、F(CFCFS)CFCF−等。
【0018】
化合物1におけるQとしては、−(CHp+q−、−(CHCONH(CH−、−(CHOCONH(CH−、−(CHSONR(CH−、−(CHNHCONH(CH−、−(CHCH(OH)(CH−等が好ましい。ただし、Rは水素原子またはアルキル基を示す。また、pおよびqは0以上の整数を示し、p+qは1〜22の整数である。これらのうち、−(CHp+q−、−(CHCONH(CH−、−(CHSONR(CH−であり、かつ、qが2以上の整数であって、p+qが2〜6である場合が好ましい。特に、p+qが2〜6である場合の−(CHp+q−、すなわち、ジメチレン基、トリメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基が好ましい。また、Qと結合するRの炭素原子には、フッ素原子が結合しているのが好ましい。
【0019】
化合物1の具体例としては、下記化合物が挙げられる。ただし、Rは水素原子またはメチル基を示す。
F(CF2)5CH2OCOCR1=CH2
H(CF2)6CH2OCOCR1=CH2
F(CF2)6(CH2)2OCOCR1=CH2
H(CF2)8CH2OCOCR1=CH2
H(CF2)8(CH2)2OCOCR1=CH2
F(CF2)8(CH2)3OCOCR1=CH2
F(CF2)8(CH2)4OCOCR1=CH2
F(CF2)9(CH2)2OCOCR1=CH2
H(CF2)10CH2OCOCR1=CH2
F(CF2)10(CH2)2OCOCR1=CH2
F(CF2)12(CH2)2OCOCR1=CH2
(CF3)2CF(CF2)4(CH2)2OCOCR1=CH2
(CF3)2CF(CF2)6(CH2)2OCOCR1=CH2
(CF3)2CF(CF2)8(CH2)2OCOCR1=CH2
F(CF2)8SO2N(CH3)(CH2)2OCOCR1=CH2
F(CF2)8SO2N(C2H5)(CH2)2OCOCR1=CH2
F(CF2)8SO2N(C3H7)(CH2)2OCOCR1=CH2
F(CF2)8CONH(CH2)2OCOCR1=CH2
F(CF2)9CONH(CH2)2OCOCR1=CH2
(CF3)2CF(CF2)5(CH2)3OCOCR1=CH2
(CF3)2CF(CF2)5CH2CH(OCOCH3)OCOCR1=CH2
(CF3)2CF(CF2)5CH2CH(OH)CH2OCOCR1=CH2
(CF3)2CF(CF2)7CH2CH(OH)CH2OCOCR1=CH2
【0020】
化合物1は、1種を用いてもよく、2種以上を用いてもよい。2種以上である場合には、R基の炭素数が異なる2種以上の化合物であることが好ましい。
【0021】
本発明における含フッ素重合体は、化合物1の重合単位以外の重合単位を含むことが好ましい。化合物1以外の重合単位としては、R基を有しない単量体(以下、他の単量体という。)の重合単位が好ましく、特に限定されない。
【0022】
他の単量体としては、公知または周知の化合物から採用され、1種または2種以上を使用できる。他の単量体の重合単位を含む含フッ素重合体を使用した場合は、形成された膜の機械的強度に優れ、ハニカム構造の規則性に優れる。
【0023】
他の単量体としては、アクリル酸エステル等のポリオレフィン系不飽和エステル、エポキシ基を有する不飽和エステル、ビニル基を有する化合物、アミノ基と重合性不飽和基を有する化合物、置換アミノ基と重合性不飽和基を有する化合物等が好ましい。
【0024】
含フッ素重合体における化合物1の重合単位の含有量は、50〜100質量%が好ましい。該範囲であると、形成された膜の臨界表面張力が低く、撥水撥油性に優れる。また、含フッ素重合体の平均分子量は、1×10〜1×10が好ましく、1×10〜1×10がより好ましい。また、含フッ素重合体における重合単位の連なり方は、ブロックでもよくランダムでもよい。
【0025】
本発明における含フッ素重合体の製造方法は特に制限されず、溶液重合、乳化重合等を用いることができる。
【0026】
本発明のハニカム構造を有する撥水撥油性薄膜の製造においては、含フッ素重合体を含有する有機溶媒溶液上に、微小な水滴粒子を形成させることが必須であり、使用する有機溶媒は非水溶性であることが好ましい。有機溶媒としては、疎水性を有する有機溶媒であれば限定されず、ペルフルオロベンゼン、CClFCClF等のフッ素系溶剤、クロロホルム、塩化メチレン等のハロゲン系溶剤、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、メチルイソブチルケトンなどの非水溶性ケトン類、二硫化炭素等が挙げられる。該有機溶媒としては、フッ素系有機溶剤が好ましく、CClFCFCHClFがより好ましい。該有機溶媒は、1種を用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0027】
有機溶媒溶液における含フッ素重合体の含有量は、0.01〜10質量%が好ましく、0.05〜5質量%がより好ましい。含フッ素重合体の濃度が、0.01質量%未満であると得られる薄膜の力学的強度が不足し、10質量%超であると充分なハニカム構造が得られない。すなわち、含フッ素重合体の含有量が上記範囲であると、得られる薄膜の力学的強度に優れ、ハニカム構造の規則性に優れる。
【0028】
本発明の撥水撥油性薄膜は、1つの細孔が中心でくびれた6本の柱で支えられたハニカム構造を有する。該撥水撥油性薄膜は、含フッ素重合体を含有する有機溶媒溶液を、基板上に塗布し、相対湿度50〜100%の大気下に、有機溶媒溶液を徐々に蒸散させると同時に塗布液で結露させ、結露により生じた微小水滴を蒸散させることで得られる。該相対湿度としては、50〜95%が好ましく、70〜95%がより好ましい。また、該湿度を有する空気の流速は、10〜4000mL/分が好ましく、20〜1000mL/分がより好ましく、50〜500mL/分が最も好ましい。該範囲であると、有機溶媒の蒸発が進み、充分な気化熱が得られ、得られた薄膜が破壊されない。
【0029】
本発明の撥水撥油性膜の厚さは、ハニカム構造における空孔の6〜8割の厚さであり、10〜1000nmが好ましく、50〜500nmがより好ましい。
【0030】
本発明の規則的な微細突起構造(ピラー構造ともいう。)を有する超撥水撥油性薄膜は、前記ハニカム構造を有する薄膜の上面を厚み方向に分割することによって得られる。分割方法としては、例えば撥水撥油性薄膜の上面に粘着テープを貼り付けた後、厚み方向に引き剥す方法が挙げられる。ピラー構造は、前記ハニカム構造における力学的強度の弱いくびれた部分(中心部分)で二分割された構造を有する。
【0031】
本発明の超撥水撥油性膜の厚さは、ハニカム構造の半分程度であり、3nm〜700nmが好ましく、20〜300nmがより好ましい。
【0032】
本発明における基板としては、特に限定されず、ガラス、金属、シリコンウェハー等の無機材料、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエーテルケトン等の耐有機溶剤性に優れる有機材料、水、流動パラフィン、液状ポリエーテル等の液体が挙げられる。これらのうち、基板としては水を使用することが好ましい。水を使用すると、得られた撥水撥油性薄膜の特徴である自立性を生かして、撥水撥油性薄膜を容易に基板から取り出すことができる。
【0033】
本発明におけるハニカム構造またはピラー構造の直径は、0.1〜10μmが好ましく、0.5〜5μmがより好ましく、1〜3μmが最も好ましい。該範囲であると、形成された薄膜が撥水撥油性に優れ、機械的強度に優れる。
【0034】
本発明において、ハニカム構造が形成される機構は次のように考えられる。有機溶媒が蒸発するとき、潜熱を奪うために、塗布液表面の温度が下がり、微小な水滴が含フッ素重合体を含有する有機溶媒溶液の表面に凝集し、付着する。おどろくべきことに、水滴が凝集して1つの塊にならず、安定化される。有機溶媒が蒸発していくに伴い、ヘキサゴナルの形をした水滴が細密充填した形で並んでいき、最後に、水が蒸散し、ポリマーが規則正しくハニカム状に並んだ形として残ると考えられる。
【0035】
【実施例】
以下、合成例(合成例1〜5)、実施例(例1〜5)、比較例(例6〜11)により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの例に限定されない。
【0036】
[合成例1]
内容積100mLのガラス製アンプルに、CH=CHCOOCHCH17(以下、C8FAと記す。)の9.79g(18.9ミリモル)、メチルメタクリレート(以下、MMAで記す。)の0.21g(2.1ミリモル)、溶媒のAK225G(旭硝子社製、商品名)の40mL、重合開始剤のアゾビスイソブチロニトリル(以下、AIBNと記す。)の0.1gを仕込み、気相を窒素置換し、封管後、55℃にて16時間重合反応を行い、含フッ素重合体P1を含む溶液を得た。得られた溶液をアセトン中に再沈して未反応の原料を除去した後、溶媒を除去して、P1の9.6gを得た。得られたP1の数平均分子量(M)は38000、Tは23.4℃、Tは81.3℃であった。
【0037】
[合成例2]
合成例1において、C8FAを9.24g(17.8ミリモル)、MMAを0.76g(7.6ミリモル)にて用いた以外は、合成例1と同様にして、含フッ素ポリマーP2の9.7gを得た。得られたP2のMは40000、Tは33.2℃、Tは79.2℃であった。
【0038】
[合成例3]
合成例1において、C8FAを8.38g(16.2ミリモル)、MMAを1.62g(16.2ミリモル)にて用いた以外は、合成例1と同様にして、含フッ素ポリマーP3の9.6gを得た。得られたP3のMは39000、Tは50.1℃であった。
【0039】
[合成例4]
合成例1において、C8FAの代わりに、CH=CHCOOCH(CH)CHCH17(C8BFA)の8.45g(15.5ミリモル)を用い、MMAを1.55g(15.5ミリモル)にて用いた以外は、合成例1と同様にして、含フッ素ポリマーP4の9.8gを得た。得られたP4のMは38000、Tは18.4℃であった。
【0040】
[合成例5]
合成例1において、C8FAを用いず、MMAを10g(100ミリモル)にて用いた以外は、合成例1と同様にして、ポリマーP59.5gを得た。得られたP5のMは23000、Tは92.5℃であった。
【0041】
[例1]
合成例1で得られたP1の0.1gを、AK225Gの10mLに溶解させ、P1の1質量%濃度のAK225G溶液を調整した。エタノールを用いて洗浄し乾燥した直径90mmのガラスシャーレに、得られた溶液を20℃にて5mL滴下した後、図1に示すように相対湿度70%の高湿度空気を約200mL/分にて吹き付けながら室温にて6分間で溶媒を蒸発させ、厚さ4〜5μmの薄膜F1が得られた。この間、溶媒が蒸発するに従い、塗布液表面に結露が生じ、微小水滴が形成されたが、徐々に蒸散した。
【0042】
得られた薄膜F1について、光学顕微鏡を用いて観察したところ、図2のような孔径約2〜4μmのハニカム構造が観察された。薄膜F1の、純水またはキシレンに対する接触角を表1に示す。
【0043】
[例2]
例1において、P1の代わりに、合成例2で得られたP2を用いた以外は、例1と同様にして、薄膜2が得られた。得られた薄膜F2について、光学顕微鏡を用いて観察したところ、図3のような孔径約2μmのハニカム構造が観察された。薄膜F2の、純水またはキシレンに対する接触角を表1に示す。
【0044】
[例3]
例1において、P1の代わりに合成例3で得られたP3を用いた以外は、例1と同様にして、薄膜F3が得られた。得られた薄膜F3について、光学顕微鏡を用いて観察したところ、図4のような孔径約2μmのハニカム構造が観察された。薄膜F3の純水またはキシレンに対する接触角を表1に示す。
【0045】
[例4]
例1において、P1の代わりに合成例4で得られたP4を用いた以外は、例1と同様にして、薄膜F4が得られた。得られた薄膜F4について、光学顕微鏡を用いて観察したところ、図5のような孔径約2.5μmのハニカム構造が観察された。薄膜4の純水またはキシレンに対する接触角を表1に示す。
【0046】
[例5]
例3において得られた薄膜F3の表面に、セロハンテープを貼り付け、テープを引っぱったところ、図2に示すように薄膜F3が厚さ方向の中心付近から分割され、表面に凹凸を有する薄膜F5が得られた。得られた薄膜F5の表面の凹凸の形状を光学顕微鏡で観察したところ、図6のような先端約300nm、周期間隔約2μmのピラー構造が観察された。薄膜F5の純水またはキシレンに対する接触角を表1に示す。
【0047】
[例6]
例1において、高湿度空気を吹き付ける代わりに、室温下に放置して乾燥する以外は、例1と同様にして薄膜R1が得られた。得られた薄膜R1について、光学顕微鏡を用いて観察したところ、平滑な表面が観察された。薄膜R1の、純水またはキシレンに対する接触角を表1に示す。
【0048】
[例7]
例6において、P1の代わりにP2を用いた以外は、例6と同様にして薄膜R2が得られた。得られた薄膜R2について、光学顕微鏡を用いて観察したところ、平滑な表面が観察された。薄膜R2の、純水またはキシレンに対する接触角を表1に示す。
【0049】
[例8]
例6において、P1の代わりにP3を用いた以外は、例6と同様にして薄膜R3が得られた。得られた薄膜R3について、光学顕微鏡を用いて観察したところ、平滑な表面が観察された。薄膜R3の、純水またはキシレンに対する接触角を表1に示す。
【0050】
[例9]
例6において、P1の代わりにP4を用いた以外は、例6と同様にして薄膜R4が得られた。得られた薄膜R3について、光学顕微鏡を用いて観察したところ、平滑な表面が観察された。薄膜R4の、純水またはキシレンに対する接触角を表1に示す。
【0051】
[例10]
例6において、P1の代わりにP5を用い、AK225Gの代わりにクロロホルムを用いた以外は、例6と同様にして薄膜R5が得られた。得られた薄膜R5について、光学顕微鏡を用いて観察したところ、孔径約2.5μmのハニカム構造が観察された。薄膜R5の純水またはキシレンに対する接触角を表1に示す。
【0052】
[例11]
例5において、薄膜F3の代わりに薄膜R5を用いた以外は、例5と同様にして薄膜R6が得られた。得られた薄膜R6について、光学顕微鏡を用いて観察したところ、先端約300nm、周期間隔約2.5μmのピラー構造が観察された。薄膜R6の、純水またはキシレンに対する接触角を表1に示す。
【0053】
【表1】
Figure 0004082293
【0054】
【発明の効果】
本発明によれば、撥水撥油性に優れた膜が得られる。本発明の撥水撥油性薄膜は、ハニカム構造を有することから、平滑である膜と比較して撥水撥油性に優れる。また、本発明の超撥水撥油性薄膜は、ピラー構造を有しさらに撥水撥油性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の撥水撥油膜を製造する方法の例を示す模式図。
【図2】本発明の超撥水撥油膜を製造する方法の例を示す模式図。
【図3】本発明の撥水撥油膜を表す顕微鏡写真。
【図4】本発明の撥水撥油膜を表す顕微鏡写真。
【図5】本発明の撥水撥油膜を表す顕微鏡写真。
【図6】本発明の撥水撥油膜を表す顕微鏡写真。
【図7】本発明の撥水撥油膜を表す顕微鏡写真。

Claims (6)

  1. 含フッ素重合体を0.1〜10質量%含有する有機溶媒溶液を、基板上に塗布し、相対湿度50〜100%の大気下に、該有機溶媒を徐々に蒸散させると同時に該塗布液表面で結露させ、該結露により生じた微小水滴を蒸散させてなるハニカム構造を有する撥水撥油性薄膜。
  2. 前記含フッ素重合体が、下式1で表される化合物の重合単位を有する重合体である、請求項1に記載の撥水撥油性薄膜。
    −Q−OCOCR=CH・・・式1
    ただし、式1中の記号は以下の意味を示す。
    :ポリフルオロアルキル基。
    Q:2価有機基。
    :水素原子またはメチル基。
  3. 前記有機溶媒が、CClFCFCHClFである、請求項1または2に記載の撥水撥油性薄膜。
  4. 含フッ素重合体を0.1〜10質量%含有する有機溶媒溶液を、基板上に塗布し、相対湿度50〜100%の空気を該塗布面に吹付け、該有機溶媒を徐々に蒸散させると同時に該塗布液表面で結露させ、該結露により生じた微小水滴を蒸散させることを特徴とするハニカム構造を有する撥水撥油性薄膜の製造方法。
  5. 請求項1〜3のいずれかに記載のハニカム構造を有する撥水撥油性薄膜を、厚み方向で分割してなる規則的な微細突起構造を有する超撥水撥油性薄膜。
  6. 請求項4に記載の製造方法によりハニカム構造を有する撥水撥油性薄膜を得て、該撥水撥油性薄膜に粘着テープを貼り付けた後、引き剥がすことにより、厚み方向で分割することを特徴とする規則的な微細突起構造を有する超撥水撥油性薄膜の製造方法。
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