JP2007175745A - ステンレス鋼板の脱スケール方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】熱間圧延後のステンレス鋼板に5kgf/mm2 (49MPa)以上の張力を付与した状態で曲げ歪みを付与した後に、酸洗を行う。
【選択図】図2
Description
また、特許文献2には、圧下率5%以上40%以下の冷間圧延を施し、次いで塩酸水溶液に浸漬してスケールを除去することを特徴とする、ステンレス熱延鋼板の脱スケール方法が記載されている。
また、特許文献3〜5には、酸洗前のステンレス鋼板に曲げ加工を行うことが記載されているが、これらの文献に記載されている方法には、脱スケール性能の点で更なる改善の余地がある。
本発明の課題は、ステンレス鋼板の脱スケール方法として、脱スケール性能に優れた方法を提供することにある。
本発明の方法によれば、熱間圧延後のステンレス鋼板に曲げ歪みを付与する際に、5kgf/mm2 (49MPa)以上の張力を付与することで、良好な脱スケール性能を得ることができる。
なお、板厚が同じでインターメッシュが同じ場合、使用するロール(曲げロール)の外径が小さいほど、大きな曲げ歪みをステンレス鋼板に付与することができるが、板幅が600mm〜1800mmと変化するステンレス鋼板の酸洗ラインで、外径が50mm未満の曲げロールを使用することは現実的ではない。また、外径が300mmを超える曲げロールを使用すると、インターメッシュを非現実的な大きさにしないと、ステンレス鋼板に必要な曲げ歪みを付与することができない。
本発明の方法では、曲げ歪みを付与した後のステンレス鋼板に、ショットブラスト処理を行った後に酸洗を行うことにより、酸洗時間を短くできるため、生産能率が高くなる。
本発明の方法では、塩酸を用いて酸洗を行うことにより、普通鋼と酸洗ラインを共用することができる。
〔ロール径と張力によるスケール亀裂の差を調べる試験〕
先ず、図1に示す装置(実験用のメカニカルスケールブレーカー)を用いて、ステンレス鋼板に張力を付与した状態で曲げ歪みを付与する処理を行い、この処理によるステンレス鋼板の表面状態の変化を調べた。
また、対象材として、厚さ3.2mmの熱間圧延後のステンレス鋼板(Cr含有率17.9mass%)の黒皮材(スケール付き鋼板)を用意した。先ず、このステンレス鋼板の処理前の状態を顕微鏡で観察した。その写真を図2に示す。
ここで、左側ガイドロール13と曲げロール11とのロール間隔L1 、曲げロール11,12同士のロール間隔L2 、右側の曲げロール12とガイドロール14とのロール間隔L3 を全て300mmに設定し、インターメッシュ(ステンレス鋼板1が真っ直ぐの状態で、曲げロール11,12とガイドロール13,14がステンレス鋼板1に接触する場合を基準として、ステンレス鋼板1の板厚中心線Pがどれだけ押し込まれたか、その押し込み量)hを100mmとした。
図1の装置を用いて、熱間圧延されたステンレス鋼板に、張力を付与した状態で曲げ歪みを付与した後、酸洗を行った。そして、酸洗によって減少した質量を測定し、この測定値をステンレス鋼板の面積で除算することで、脱スケール性能を示す「酸洗減量」を得た。
曲げ歪み付与の各条件を以下のように変化させた。曲げロール11,12として、外径(直径)が50mm、80mm、150mm、200mm、300mm、350mmの各ロールを使用した。付与する張力を2、5、8、10kgf/mm2 の各値とした。インターメッシュhを、ロールの外径(以下、単に「ロール径」)50mm、80mm、150mmの場合で100mmに、200mm、300mm、350mmの場合で150mmに設定した。また、ロール間隔L1 ,L2 ,L3 は全て400mmとした。
図4に示すラインで、脱スケール性能を調べる試験を行った。
このラインは、ペイオフリール2、溶接機3、ルーパー41、メカニカルスケールブレーカー5、ショットブラスト装置6、ルーパー42、研削ブラシ7、第1の酸洗槽81、第2の酸洗槽82、第3の酸洗槽83、第4の酸洗槽84、第5の酸洗槽85、面検査室9、ルーパー43、およびコイル巻き取り機10が、入側からこの順に配置されたステンレス鋼板1の脱スケールラインである。
面検査室9は、第5の酸洗槽85を出た後のステンレス鋼板1の表面状態を、人による監視と画像で認識する空間となっている。
なお、ショットブラスト処理を行う(SB処理有り)場合には、ショット粒の平均粒径:450μm、投射密度:20kg/m2 、投射速度:50m/sの条件で行った。
そして、各サンプルのステンレス鋼板1の脱スケール性能を、面検査室9の画像に基づいて判定した。その結果も表1に併せて示す。表1では、完全に脱スケールされている場合に「○」、スケール残りがある場合を「×」と表示した。
これらのうち、ショットブラスト処理の有無と搬送速度が異なる以外は同じ条件のNo. 9とNo. 10の比較、No. 11とNo. 12の比較では、ショットブラスト処理を行っているNo. 10とNo. 12で、搬送速度を90m/分と速くしても良好な脱スケール性能が得られた。これに対して、ショットブラスト処理を行っていないNo. 9とNo. 11は、搬送速度50m/分では良好な脱スケール性能が得られているが、搬送速度を90m/分にすると脱スケール性能が低下する。
No. 7は、No. 11と張力以外の条件は同じであるが、張力が2kgf/mm2 で「5kgf/mm2 以上」を満たさないため本発明の比較例に相当する。No. 7の脱スケール性能は「×」であり、板の表面全体が黒くなって、スケールが残っていた。
また、同じ条件で曲げ歪みを付与した後のステンレス鋼板に、ショットブラスト処理を行った後に酸洗を行うことで、ショットブラスト処理を行わない場合と比較して、搬送速度が速くても良好な脱スケール性能が得られるため、生産能率を向上できることが分かる。
11,12 曲げロール
13,14 ガイドロール
15 張力付与装置
2 ペイオフリール
3 溶接機
41 ルーパー
42 ルーパー
43 ルーパー
5 メカニカルスケールブレーカー
51,52 曲げロール
53,54 ガイドロール
55,56 ピンチロール
6 ショットブラスト装置
7 研削ブラシ
81 第1の酸洗槽
82 第2の酸洗槽
83 第3の酸洗槽
84 第4の酸洗槽
85 第5の酸洗槽
9 面検査室
10 コイル巻き取り機
Claims (5)
- 熱間圧延後のステンレス鋼板に5kgf/mm2 (49MPa)以上の張力を付与した状態で曲げ歪みを付与した後に、酸洗を行うことを特徴とするステンレス鋼板の脱スケール方法。
- ステンレス鋼板の板厚は2.0mm以上8.0mm以下であり、ステンレス鋼板に対する曲げ歪みの付与は、外径が50mm以上300mm以下のロールを用いて行う請求項1記載のステンレス鋼板の脱スケール方法。
- 曲げ歪みを付与した後のステンレス鋼板に、ショットブラスト処理を行わないで酸洗を行う請求項1または2記載のステンレス鋼板の脱スケール方法。
- 曲げ歪みを付与した後のステンレス鋼板に、ショットブラスト処理を行った後に酸洗を行う請求項1または2記載のステンレス鋼板の脱スケール方法。
- 塩酸を用いて酸洗を行う請求項1〜4のいずれか1項に記載のステンレス鋼板の脱スケール方法。
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