JP2008068307A - 条鋼材の熱間圧延方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】条鋼材を熱間圧延する際に形成されるしわ疵やスケール疵という表面疵の発生を抑制することができる条鋼材の熱間圧延方法を提供することを課題とする。
【解決手段】Siを0.05質量%以上と、Cr、Niのうち少なくとも1種以上を0.1質量%以上含有する条鋼材1を1200℃以下で加熱した後、条鋼材1を少なくとも1回、露点30〜60℃の湿潤雰囲気中に2秒以下曝すと共に、圧延工程での条鋼材1の1パス毎の周方向の圧縮ひずみを、各パス共全て−0.5以上とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、しわ疵やスケール疵という表面疵の発生を抑制でき表面性状に優れた条鋼材を製造できる条鋼材の熱間圧延方法に関するものである。
加熱炉で加熱された条鋼材を、所定の間隔をおいて複数配置した圧延スタンドの対になったロールに設けた種々の孔型によって、複数のパスに分けて順次圧延することで、断面積を順次減少させて所定の製品寸法に仕上げることは従来から行われていた。
しかしながら、この熱間圧延方法によって線材、棒鋼、角材等の条鋼材製品を製造した場合、仕上がった条鋼材製品の表面に、しわ疵やスケール疵という表面疵が多数形成されてしまうことがあり、かねてから問題となっていた。このような表面疵が残存したままで鍛造加工等の2次加工を施すと、表面疵を起点として割れなどの加工欠陥が発生する可能性がある。
この表面疵の発生原因として考えられるのは、しわ疵の場合、圧延によって材料表面に生ずる圧縮ひずみであり、スケール疵の場合、加熱炉や圧延途中で材料表面に発生するサブスケールである。なお、しわ疵とスケール疵の定義については後ほど説明する。
以上の発生原因のうち加熱炉等で材料表面に発生するサブスケールの除去が容易にできるようにした条鋼材の製造方法として、特許文献1、特許文献2に記載された発明がある。これら文献に記載された方法は、表面性状に優れた条鋼材が確実に製造できる非常に優れた発明であるが、スケールロスや加熱炉操業上の問題が残り、改善の余地があるものではあった。
特開2003−119517号公報 特開2002−316207号公報
本発明は上記従来の問題を解決せんとして発明したものであって、条鋼材を熱間圧延する際に形成されるしわ疵やスケール疵という表面疵の発生を抑制することができ、近年の厳しい表面疵保証を満足する条鋼材製品を製造することができる条鋼材の熱間圧延方法を提供することを課題とするものである。
請求項1記載の発明は、Siを0.05質量%以上と、Cr、Niのうち少なくとも1種以上を0.1質量%以上含有する条鋼材を1200℃以下で加熱する加熱工程と、その加熱後、条鋼材を少なくとも1回、露点30〜60℃の湿潤雰囲気中に2秒以下曝す水蒸気酸化処理工程と、所定の間隔をおいて複数配置した圧延機のロールに設けた種々の孔型によって、前記条鋼材を複数パスに分けて順次圧延することで、その条鋼材の断面積を順次減少させて所定の製品寸法の条鋼材に仕上げる圧延工程とより成り、圧延工程での1パス毎の圧延による前記条鋼材の周方向の圧縮ひずみは各パス共全て−0.5以上であることを特徴とする条鋼材の熱間圧延方法である。
請求項2記載の発明は、水蒸気酸化処理工程の後、条鋼材の周囲に形成されたサブスケールを高圧洗浄水で除去する高圧デスケーリングを行うことを特徴とする請求項1記載の条鋼材の熱間圧延方法である。
本発明の条鋼材の熱間圧延方法によると、条鋼材を熱間圧延する際に形成されるしわ疵やスケール疵という表面疵の発生を、確実に抑制することができ、近年の厳しい表面疵保証を満足する条鋼材製品を製造することができる。
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基づいて詳細に説明する。なお、本発明でいう「スケール疵」と「しわ疵」とは、電子線マイクロアナライザーによるEPMAマッピングにより分析したときに、疵内部(表面の凹凸)にFe,OのほかSi,Crの濃縮が確認できるものを「スケール疵」、Fe,Oのみの場合を「しわ疵」という。
本発明の条鋼材の熱間圧延方法は、加熱工程と、水蒸気酸化処理工程と、圧延工程のほか、デスケーリング工程を有している。その熱間圧延方法を図1に示す製造工程の順序に基づいて詳細に説明する。
まず、加熱工程で、正方形断面や丸形断面の素材ビレットで成る条鋼材1が加熱炉4内に搬入され所定温度に加熱される。その際の加熱温度は、1200℃以下であり、条鋼材1の加熱温度としては低温である。この加熱工程で条鋼材1を加熱することは熱間圧延では必ず必要であるが、特に低温加熱での、副産物として条鋼材1の表面には、FeSiO、FeCr4等の緻密なサブスケールが生成されてしまう。このサブスケールは、緻密であると共に非常に剥離しにくく強固である。
加熱炉4を出た条鋼材1は、水蒸気酸化処理工程に進む。この実施形態では、加熱炉4を出た直後に湿潤雰囲気ブース5があり、条鋼材1は湿潤雰囲気ブース5内で、露点30〜60℃の湿潤雰囲気中に2秒以下曝される。
緻密なサブスケールが生成した条鋼材1の表面を、水蒸気を含む湿潤雰囲気中で酸化すると、2秒以下の極短時間でサブスケール内部を介して水蒸気がサブスケールと地鉄の界面に作用する。酸素がサブスケール内部を通り更に内方に移動することによって地鉄表面を直接酸化する。その結果、前記界面部に薄くウスタイト(FeO)が形成されるが、ウスタイトは強度が低いので直ぐに亀裂が入り、上層のサブスケールを破壊する。加えて、水蒸気の作用により均一に酸化されるため、界面が平滑になる。
湿潤雰囲気ブース5を出た条鋼材1は、圧延工程に進む前にデスケーリング工程に進む。デスケーリング工程では、加熱工程で条鋼材1の周囲に形成されたサブスケールを、デスケーリング装置6から吐出される高圧洗浄水で除去する。サブスケールは、前記水蒸気酸化処理工程で破壊されており、且つ前記界面も平滑になっているため、高圧洗浄水を当てれば確実且つ容易に除去される。
デスケーリング工程で、表面のサブスケールが完全に除去された条鋼材1は圧延工程に進む。圧延工程では、所定の間隔をおいて複数配置した圧延機2の対になったロール3,3に設けた種々の孔型3aによって、条鋼材1を複数パスに分けて順次圧延することで、その条鋼材1の断面積を順次減少させて所定の製品寸法の条鋼材1に仕上げる。
なお、上記の説明では、水蒸気酸化処理工程の次にデスケーリング工程に進むと説明したが、デスケーリング工程は加熱工程の直後にもう一工程別にあっても構わない。また、このようにデスケーリング工程を加熱工程の直後に設けた場合等、水蒸気酸化処理工程終了後の残存サブスケールが比較的軽微な場合は、続く圧延工程でサブスケールが除去できてしまう場合があり、この場合は水蒸気酸化処理工程終了後のデスケーリング工程を省くことができる。
また、図1では、水蒸気酸化処理とデスケーリングを2度毎行う「加熱工程→水蒸気酸化処理工程→デスケーリング工程→圧延工程→水蒸気酸化処理工程→デスケーリング工程→圧延工程」という製造工程の順序を示したが、水蒸気酸化処理とデスケーリングは1度だけの「加熱工程→水蒸気酸化処理工程→デスケーリング工程→圧延工程」という製造工程の順序であっても構わないし、「加熱工程→デスケーリング工程→圧延工程→水蒸気酸化処理工程→デスケーリング工程→圧延工程」、「加熱工程→デスケーリング工程→圧延工程→水蒸気酸化処理工程→圧延工程」、「加熱工程→水蒸気酸化処理工程→デスケーリング工程→圧延工程→水蒸気酸化処理工程→圧延工程」等の順序であっても構わない。いずれの製造工程の順序を採用するかは、サブスケールの生成の時点やその程度等によって決めれば良い。
次に、加熱工程と、水蒸気酸化処理工程と、圧延工程の各工程について、更に詳細に説明する。
加熱工程での加熱温度は1200℃以下としているがそれは以下の理由による。従来、Siを0.05質量%以上と、Cr、Niのうち少なくとも1種以上を0.1質量%以上含有する条鋼材を1200℃以下で加熱した場合、サブスケールが生成しやすく、その後の圧延工程で残存サブスケールを押し込むため表面疵が発生してしまうという問題があった。これまでの説明では詳しくは説明しなかったが、本発明はこのような問題を解消せんとしてなされたものであり、1200℃以下という低温で加熱しても表面疵が発生しないということを一つの目的とする。また、1200℃を超える高温で加熱した場合、生成されるスケールが分厚い物となり次工程で全ては除去しきれない。以上の理由により、加熱工程での加熱温度を1200℃以下とした。なお、加熱温度は低すぎても次工程以降で支障が出るため、900℃以上が好ましい。
水蒸気酸化処理工程は、前記の工程順序の説明によれば、加熱工程直後の場合と、圧延工程間の場合がある。加熱工程直後に行う場合は、既に説明したように、緻密であると共に非常に剥離しにくく強固なサブスケールを、破壊して剥離しやすいスケール性状としたり、界面を平滑にしてサブスケールを地鉄から剥離しやすくしたりすることができる。また、圧延工程間に行う場合は、それまでの工程で除去しきれなかったサブスケールや、直前の圧延工程中に生成した密着性の高い2次スケールを、破壊して剥離しやすいスケール性状としたり、界面を平滑にしてサブスケールを地鉄から剥離しやすくしたりすることができる。
なお、水蒸気酸化処理工程での湿潤雰囲気の露点は30〜60℃とした。その理由を次に述べる。サブスケールの破壊に要する湿潤雰囲気の露点は30℃以上であり、露点が30℃未満の場合はサブスケールの破壊が不十分である。また、露点が60℃を超えるとサブスケールが成長しすぎてサブスケールがかえって剥離しにくくなる。以上の理由により湿潤雰囲気の露点は30〜60℃とした。
また、サブスケールが成長による剥離性の低下を抑制するという観点から、水蒸気酸化処理工程での湿潤雰囲気の露点は55℃以下が望ましく、ひいては露点は30〜55℃であることが望ましい。なお、露点30〜60℃の湿潤雰囲気を、絶対水蒸気量を用いて表現すると、30.3〜122g/mとなり、露点30〜55℃の湿潤雰囲気を、絶対水蒸気量を用いて表現すると、30.3〜99.1g/mとなる。
また、水蒸気酸化処理工程での湿潤雰囲気中に曝す時間は2秒以下とした。その理由を次に述べる。水蒸気酸化処理工程での水蒸気酸化による界面部のウスタイト形成効果は、時間が短いほど出やすい。2秒を超えると表面酸化が進行し、界面部に形成されたウスタイトがマグネタイトに変化してしまう。マグネタイトは地鉄との整合性が高く、サブスケールが剥離しにくくなるため、次の圧延工程でのサブスケール押し込みによる表面疵の発生を助長してしまう。加えて、地鉄とサブスケールの界面を平滑化する効果もなくなってしまう。以上の理由により湿潤雰囲気中に曝す時間は2秒以下とした。
なお、水蒸気の効果は、水蒸気がサブスケール等の内部を内方に拡散して、地鉄まで酸化する(ウスタイトを形成して膨張する)結果、サブスケールが破壊される。このため、水蒸気酸化時間があまりに短いと水蒸気がサブスケールの下層まで達することができず、地鉄が酸化されないので、サブスケールを破壊する効果がなくなるため、湿潤雰囲気中に曝す時間は0.1秒以上とするのが好ましい。
また、湿潤雰囲気とは、水蒸気を含む湿潤な雰囲気のことをいう。湿潤雰囲気中の露点は、条鋼材1の表面近傍(表面より50cmの高さ内)に雰囲気ガスを採取して鏡面式露点計を用いて測定する。湿潤雰囲気は湿潤雰囲気ブース5の水蒸気供給配管5aより水蒸気を導入して所定の露点に調整する。
圧延工程では、既に説明したように、所定の間隔をおいて複数配置した圧延機2の対になったロール3,3に設けた種々の孔型3aによって、条鋼材1を複数パスに分けて順次圧延することで、その条鋼材1の断面積を順次減少させて所定の製品寸法の条鋼材1に仕上げるが、ロール3の孔型3aにより条鋼材1を圧延する方向が様々な角度からであるためロール3は様々な方向を向いている。図1に示す実施形態では、90°毎に順次角度を変えて並んだロール3を示している。なお、ロール3の向きは、下記するパススケジュールによって決まる。
次に、圧延工程について更に詳細に説明する。複数配置された圧延スタンドのロール3には、図2に示すように、種々の孔型3aが加工され設けられている。孔型3aには、ボックス、ダイヤ(菱)、スクエア(角)、オーバル(楕円)、ラウンド(丸)等があり、例えば、ボックス→楕円→丸→楕円→角、楕円→角→楕円→角、楕円→丸→楕円→丸というようなパススケジュールが組まれ、ロール3毎の様々な孔型3aで圧延されることにより条鋼材1の断面積は、順を追って減少され、最後のパスで所定の製品寸法にまで仕上げられる。
例えば、「角→楕円」というパススケジュールで、条鋼材1を圧延する場合は、まず、図2(a)に示すように、初期の条鋼材1をスクエア(角)孔型で圧延する。その圧延によって条鋼材1の断面形状は略正方形に変形する。次に、図2(b)に示すように、前記条鋼材1を45°転回させた状態で、オーバル(楕円)孔型によって条鋼材1を圧延する。この圧延で、条鋼材1の断面形状は破線で示す略正方形から楕円形に変形し当初の断面形状より小さくなる。このような圧延を順次繰り返すことにより条鋼材1の断面積は順を追って減少される。なお、「角→楕円」というパススケジュールのように45°異なった方向から圧延する場合は、90°圧延方向が異なる場合のようにロール3の配置を変えるのではなく、条鋼材1を捻るように転回させることで対応する。
次に、図3に基づき、条鋼材1の周方向の圧縮ひずみεについて説明する。この圧縮ひずみεは、圧延変形前後の条鋼材1の表面形状(長さ)の変化から求めることができる。図面左の圧延前の条鋼材1断面の表面(曲線)の長さSは、圧延変形によって図面右に示す長さSに変化する。この長さの変化から求めた次式により圧縮ひずみεを算出することができる。
圧縮ひずみε=(S−S)/S
なお、この圧縮ひずみεは、通常、圧延変形後の長さSの方が圧延変形前の長さSより小さいため負の数値になるが、SからSに変化する変化量自体が大きくなるほど小さな数値となる。従って、圧縮ひずみεとして得られる値は通常負の値で表されるため、本明細書図面では、例えば、前記変化量自体の最大の値を「圧縮ひずみの最小値」というように表現している。
近年は製品の表面疵の深さが0.02mm以下という非常に厳しい表面疵保証が求められている。この表面疵深さが0.02mm以下という基準を達成するためには、圧縮ひずみεがどのような数値の範囲であれば良いのかを、モデル実験と変形解析により求めた。その結果を図4に示す。
図4に示す○は条鋼材1(鋼種:SCM435)の表面に1mm間隔のケガキ線を入れてモデル実験で圧延変形を行い求めたデータ、▲は冷間での鉛に1mm間隔のケガキ線を入れてモデル実験で圧延変形を行い求めたデータ、●は条鋼材1周方向の分割数を1mm単位とし(図3より更に細かく分割した。)変形解析により求めたデータである。なお、SCM435の成分(質量%)については表1に示す。
Figure 2008068307
図4によると、各データとも略一致しており、製品の表面疵(しわ疵)深さが0.02mm以下という基準を達成するためには、条鋼材1周方向の圧縮ひずみεの最小値を−0.5以上にしなければならないことがわかった。また、表面疵(しわ疵)を全くなくしようとすると、その圧縮ひずみεの最小値を−0.35以上にすれば良いことがわかった。
以上の実験及び解析結果より、圧延変形による条鋼材1周方向の圧縮ひずみεは、−0.5以上、望ましくは−0.35以上にすれば良いことがわかったが、本発明の条鋼材の熱間圧延方法に係る圧延工程では、条鋼材1を複数パスに分けて順次圧延する必要がある。これらの複数のパスの全てで、条鋼材1周方向の圧縮ひずみεを上記数値の範囲内とする必要がある。なお、当然のことではあるが、その圧縮ひずみεは、条鋼材1表面の一部だけではなく全ての部位で上記数値の範囲内としなければならない。
〔実施例1〕
表2に示す組成の各種鋼ビレット(150mm角)を燃焼ガス雰囲気中で加熱した後、加熱炉より抽出直後に、湿潤雰囲気ブースで湿潤雰囲気処理(水蒸気酸化処理)をし、その後高圧水デスケーリングをした後、熱間圧延して鋼線材(直径13.5mm)を製造する実験を、条件を様々に変えることにより行った。なお、表2に示す数値の単位は質量%、残部はFeである。
Figure 2008068307
この実験は、熱間圧延での鋼ビレットの周方向の圧縮ひずみの最小値を−0.5(−0.5以上の事例)と−0.7(−0.5未満の事例)の2種類とすると共に、加熱炉内での加熱温度、湿潤雰囲気ブースの湿潤雰囲気の露点、湿潤雰囲気ブースでの湿潤雰囲気処理時間(水蒸気酸化処理時間)を適宜変えることにより行った。
このようにして製造された鋼線材について、スケール疵としわ疵を調査し、その個数を確認した。調査は、鋼線材の長手方向に垂直な断面10箇所以上で観察されるスケール疵、しわ疵の個数を計測し、その平均値(計測されたそれぞれの疵個数の合計数/測定断面の数=1測定断面あたりの疵個数の平均値)を算出した。そして、この疵個数の平均値が0のものをランク0、疵個数の平均値が0超10個以下のものをランク1、10個超20個未満のものをランク2、20個以上30個未満のものをランク3、30個超のものをランク4とした。各疵ともランク1以下であれば製品として全く問題がない。その実験による調査結果を、鋼ビレットの鋼種毎に表3から表7に示す。
Figure 2008068307
Figure 2008068307
Figure 2008068307
Figure 2008068307
Figure 2008068307
まず、しわ疵に関しての実験による調査結果を確認する。
表3〜7からわかるように、圧縮ひずみの最小値が−0.7と−0.5の場合を比較すると、圧縮ひずみの最小値が−0.7の場合は、No.39とNo.46を除いて表面性状レベルは全てランク2〜3であるのに対し、圧縮ひずみの最小値を−0.5とすることで、表面性状レベルは全て製品性能上問題のないランク1以下となっている。また、前記No.39とNo.46の表面性状レベルはランク1であるが、圧縮ひずみの最小値を−0.5とし、その他の各条件をNo.39,No.46とそれぞれ全く同条件としたNo.42,No.51はランク0であり、この結果からも圧縮ひずみの最小値を−0.5とすることで、表面性状レベルが改善できたことがわかる。この調査結果により、しわ疵には圧縮ひずみが影響していることが確認できた。即ち、圧縮ひずみの最小値を−0.5以上とすれば、製品性能上問題となるしわ疵が発生しない。
また、加熱温度が高いほどしわ疵による表面性状レベルは良好な傾向となっている。これは加熱温度の上昇に伴い、圧延加工中の温度も上昇することにより変形能が向上することに起因する。
スケール疵については、しわ疵による表面性状レベルが全て問題のない圧縮ひずみの最小値が−0.5の場合のみ検討する。
No.12,24,35,42の場合、スケール疵による表面性状レベルはランク2〜3である。これは、湿潤雰囲気ブース内での水蒸気酸化処理時間が2秒超と長すぎて、サブスケールと地鉄の界面にマグネタイトが形成され、サブスケールの剥離性が悪くなったためである。
No.10の場合、スケール疵による表面性状レベルはランク2である。これは、湿潤雰囲気ブースの湿潤雰囲気の露点が10℃であり、湿潤雰囲気中の水分量が少ないため、水蒸気効果が不十分でサブスケールの破壊が不十分であったからである。
No.23,52の場合、スケール疵による表面性状レベルはランク2〜3である。これは、湿潤雰囲気ブースの湿潤雰囲気の露点が76℃であり、湿潤雰囲気中の水分量が多すぎて水蒸気効果が強すぎるために、破壊されたサブスケールを介して、更に内部への酸化が進んでウスタイトの成長が加速し、サブスケールが分厚く成長しすぎてサブスケールの剥離性が悪くなるためである。
No.11,36,51の場合、スケール疵による表面性状レベルはランク2である。これは、加熱炉内での加熱温度が高すぎるためポーラスで厚いスケールが生成し、水蒸気酸化することにより更に厚いスケールが生成するために、高圧水デスケーリングを行ってもサブスケールの除去が不十分となったからである。
No.7〜9,19〜22,31〜34,40,41,48〜50の場合、スケール疵による表面性状レベルはランク0または1である。これは加熱炉内の加熱温度、湿潤雰囲気ブースの湿潤雰囲気の露点、湿潤雰囲気ブースでの湿潤雰囲気処理時間(水蒸気酸化処理時間)が本発明に係る条件(加熱温度:1200℃以下、湿潤雰囲気の露点:30〜60℃、湿潤雰囲気処理時間:2秒以下)を全て満たすため、サブスケールが、水蒸気効果により破壊され高圧水デスケーリングにより完全若しくは略完全に除去されたからである。
以上のように、圧縮ひずみの最小値を−0.5以上とし、加熱炉内での加熱温度を1200℃以下、湿潤雰囲気ブースの湿潤雰囲気の露点を30〜60℃、湿潤雰囲気ブースでの湿潤雰囲気処理時間(水蒸気酸化処理時間)を2秒以下とすれば、しわ疵、スケール疵とも製品として全く問題がない個数以下に抑制することができ、製品の表面性状を表面疵の影響が全く或いは殆んどない良好なものとすることができる。
〔実施例2〕
次に、実施例1と同じく表2に示す組成の各種鋼ビレット(150mm角)を用い、実施例1とは異なる製造工程で実験を行った。製造工程の順序は、「鋼ビレット(150mm角)を燃焼ガス雰囲気中で加熱→高圧水デスケーリング→熱間圧延→湿潤雰囲気ブースで湿潤雰囲気処理(水蒸気酸化処理)→高圧水デスケーリング→熱間圧延」という順であり、鋼線材(直径13.5mm)を製造した。
この実験は、熱間圧延での鋼ビレットの周方向の圧縮ひずみの最小値を−0.5(−0.5以上の事例)と−0.7(−0.5未満の事例)の2種類とすると共に、加熱炉内での熱間圧延開始温度(圧延温度)、湿潤雰囲気ブースの湿潤雰囲気の露点、湿潤雰囲気ブースでの湿潤雰囲気処理時間(水蒸気酸化処理時間)を適宜変えることにより行った。なお、熱間圧延は高圧水デスケーリングの後となるため、圧延温度は加熱温度(この実験での加熱温度は全て1200℃以下)より若干低いが、750℃以上とすることが好ましい。(実験結果からもわかる。)
このようにして製造された鋼線材について、実施例1と同様の方法によりスケール疵としわ疵を調査し、その個数を確認し、断面あたりの平均値を算出した。そして実施例1と同様、この疵個数の平均値が0のものをランク0、疵個数の平均値が0超10個以下のものをランク1、10個超20個未満のものをランク2、20個以上30個未満のものをランク3、30個超のものをランク4とした。各疵ともランク1以下であれば製品として全く問題がない。その実験による調査結果を、鋼ビレットの鋼種毎に表8から表12に示す。
Figure 2008068307
Figure 2008068307
Figure 2008068307
Figure 2008068307
Figure 2008068307
まず、しわ疵に関しての実験による調査結果を確認する。
表8〜12からわかるように、圧縮ひずみの最小値が−0.7と−0.5の場合を比較すると、圧縮ひずみの最小値が−0.7の場合は、全て表面性状レベルはランク2〜3であるのに対し、圧縮ひずみの最小値を−0.5とすることで、表面性状レベルは全て製品性能上問題のないランク1以下となっている。この調査結果によっても実施例1と同様、しわ疵には圧縮ひずみが影響していることが確認できた。即ち、製造工程の順序を変えたこの実験からも圧縮ひずみの最小値を−0.5以上とすれば、製品性能上問題となるしわ疵が発生しないということができる。
スケール疵については、実施例1同様しわ疵による表面性状レベルが全て問題のない圧縮ひずみの最小値が−0.5の場合のみ検討する。
No.8,17,23,31,38の場合、スケール疵による表面性状レベルはランク2〜4である。これは、湿潤雰囲気ブース内での水蒸気酸化処理時間が2秒超と長すぎて、サブスケールと地鉄の界面にマグネタイトが形成され、サブスケールの剥離性が悪くなったためである。
No.7の場合、スケール疵による表面性状レベルはランク3である。これは、湿潤雰囲気ブースの湿潤雰囲気の露点が8℃であり、湿潤雰囲気中の水分量が少ないため、水蒸気効果が不十分でサブスケールの破壊が不十分であったからである。
No.10の場合、スケール疵による表面性状レベルはランク2である。これは、湿潤雰囲気ブースの湿潤雰囲気の露点が82℃であり、湿潤雰囲気中の水分量が多すぎて水蒸気効果が強すぎるために、破壊されたサブスケールを介して、更に内部への酸化が進んでウスタイトの成長が加速し、サブスケールが分厚く成長しすぎてサブスケールの剥離性が悪くなるためである。
No.6,9,15,16,18,22,24,29,30,32,36,37の場合、スケール疵による表面性状レベルはランク0または1である。これは加熱炉内の加熱温度、湿潤雰囲気ブースの湿潤雰囲気の露点、湿潤雰囲気ブースでの湿潤雰囲気処理時間(水蒸気酸化処理時間)が本発明に係る条件(加熱温度:1200℃以下、湿潤雰囲気の露点:30〜60℃、湿潤雰囲気処理時間:2秒以下)を全て満たすため、サブスケールが、水蒸気効果により破壊され高圧水デスケーリングにより完全若しくは略完全に除去されたからである。
なお、圧延温度については、No.9を見ればわかるように、最低でも750℃とすれば、しわ疵、スケール疵とも製品として全く問題がない個数以下に抑制することが可能である。
以上のように、実施例2からも、圧縮ひずみの最小値を−0.5以上とし、加熱炉内での加熱温度を1200℃以下、湿潤雰囲気ブースの湿潤雰囲気の露点を30〜60℃、湿潤雰囲気ブースでの湿潤雰囲気処理時間(水蒸気酸化処理時間)を2秒以下とすれば、しわ疵、スケール疵とも製品として全く問題がない個数以下に抑制することができ、製品の表面性状を表面疵の影響が全く或いは殆んどない良好なものとすることができるということが確認できた。
本発明の一実施形態の熱間圧延方法を用いて条鋼材を製造する圧延ラインのレイアウト図である。 「角→楕円」というパススケジュールで圧延材を圧延した際の圧延材の断面形状の変形状態を示す縦断面図であって、(a)はスクエア(角)孔型での圧延時の状態を、(b)はオーバル(楕円)孔型での圧延時の状態をそれぞれ示す。 圧延材を圧延した際に発生する圧縮ひずみを説明するための縦断面図である。 圧縮ひずみと表面疵の深さの関係を示す説明図である。
符号の説明
1…条鋼材
2…圧延機
3…ロール
3a…孔型
4…加熱炉
5…湿潤雰囲気ブース
6…デスケーリング装置

Claims (2)

  1. Siを0.05質量%以上と、Cr、Niのうち少なくとも1種以上を0.1質量%以上含有する条鋼材を1200℃以下で加熱する加熱工程と、
    その加熱後、条鋼材を少なくとも1回、露点30〜60℃の湿潤雰囲気中に2秒以下曝す水蒸気酸化処理工程と、
    所定の間隔をおいて複数配置した圧延機のロールに設けた種々の孔型によって、前記条鋼材を複数パスに分けて順次圧延することで、その条鋼材の断面積を順次減少させて所定の製品寸法の条鋼材に仕上げる圧延工程とより成り、
    圧延工程での1パス毎の圧延による前記条鋼材の周方向の圧縮ひずみは各パス共全て−0.5以上であることを特徴とする条鋼材の熱間圧延方法。
  2. 水蒸気酸化処理工程の後、条鋼材の周囲に形成されたサブスケールを高圧洗浄水で除去する高圧デスケーリングを行うことを特徴とする請求項1記載の条鋼材の熱間圧延方法。
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