JP2007172861A - ナトリウム−硫黄電池用陽極容器 - Google Patents

ナトリウム−硫黄電池用陽極容器 Download PDF

Info

Publication number
JP2007172861A
JP2007172861A JP2005364615A JP2005364615A JP2007172861A JP 2007172861 A JP2007172861 A JP 2007172861A JP 2005364615 A JP2005364615 A JP 2005364615A JP 2005364615 A JP2005364615 A JP 2005364615A JP 2007172861 A JP2007172861 A JP 2007172861A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
mass
sodium
sulfur battery
aluminum
anode container
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2005364615A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4750549B2 (ja
Inventor
Mitsuhiro Shomura
光広 庄村
Yoshifumi Kawamura
善文 河村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NGK Insulators Ltd
Original Assignee
NGK Insulators Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NGK Insulators Ltd filed Critical NGK Insulators Ltd
Priority to JP2005364615A priority Critical patent/JP4750549B2/ja
Publication of JP2007172861A publication Critical patent/JP2007172861A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4750549B2 publication Critical patent/JP4750549B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/10Energy storage using batteries

Landscapes

  • Sealing Battery Cases Or Jackets (AREA)
  • Secondary Cells (AREA)
  • Extrusion Of Metal (AREA)

Abstract

【課題】長期高温負荷を受けても高耐力を保持することが可能なナトリウム−硫黄電池用陽極容器を提供する。
【解決手段】ナトリウム−硫黄電池用陽極容器に用いられるアルミニウム管の合金組成において、マンガンを1.0〜1.5質量%、銅を0.3〜0.7質量%、及び珪素を0.3〜0.6質量%含有し、残部がアルミニウム及び不純物から構成され、不純物としての鉄が0.7質量%以下、亜鉛が0.25質量%以下、及び、その他元素については個々0.05質量%以下であり、且つその他の元素の合計が0.15質量%以下に抑制されアルミニウム管の合金組織が、繊維状の組織であるナトリウム−硫黄電池用陽極容器。
【選択図】なし

Description

本発明は、ナトリウム−硫黄電池用陽極容器に関する。さらに詳しくは、ナトリウム−硫黄電池において、硫黄、多硫化ナトリウムを収容し、長期高温負荷を受けても高耐力を保持することが可能なナトリウム−硫黄電池用陽極容器に関する。
ナトリウム−硫黄電池は、一方に陰極活物質である溶融金属ナトリウム、他方には陽極活物質である溶融硫黄を配し、両者をナトリウムイオンに対して、選択的な透過性を有するβ−アルミナ固体電解質で隔離し、300〜350℃で作動させる高温二次電池である。
このようなナトリウム−硫黄電池の構成は、例えば、図1に示すように、陽極活物質である硫黄を含浸したカーボンフェルト等の陽極用導電材6を収容する円筒状のナトリウム−硫黄電池用陽極容器3、このナトリウム−硫黄電池用陽極容器3の内部に配設され、ナトリウムイオンを選択的に透過させる機能を有する有底円筒状の固体電解質管(β−アルミナ管)5、及び固体電解質管5の内部に配設され、ナトリウム7及びアルゴン8を貯留するナトリウム収納容器10とからなっている。
固体電解質管5は、ナトリウム−硫黄電池用陽極容器3の上端部と、例えば、α−アルミナ製の絶縁体リング1を介して接合される。また、絶縁体リング1の上面には、陰極金具11が熱圧接合されている。ナトリウム収納容器10と固体電解質管5の間に隔壁管9を介在させてもよい。
以上の構成を有するナトリウム−硫黄電池4において、放電時には溶融ナトリウムが電子を放出してナトリウムイオンとなり、これが固体電解質管5内を透過して陽極側に移動し、陽極用導電材6中の硫黄及び外部回路を通ってきた電子と反応して多硫化ナトリウムを生成し、2V程度の電圧を発生させる。一方、充電時には、放電とは逆にナトリウム及び硫黄の生成反応が起こる。なお、かかるナトリウム−硫黄電池4において、ナトリウム−硫黄電池用陽極容器3の材質には、軽量且つ安価であるということからアルミニム合金が用いられており、その中でも特に、耐力が高く加工性及び耐食性が良好であるということからアルミニウム−マンガン(Al−Mn)合金が用いられている。このようなアルミニウム合金を熱間で押出した素管を冷間で引抜いて所定の精度の径、肉厚寸法とするとともに加工硬化による強度(耐力)調整を行い、製造される。さらに、強度(耐力)調整及び歪除去のための焼鈍を経る場合もある。
従来、このナトリウム−硫黄電池用陽極容器3の材料としては、例えば、日本工業規格A3003アルミニウム合金が用いられている。このA3003アルミニウム合金は、マンガン(Mn)1.0〜1.5質量%を含み、不純物として、珪素(Si)が0.6質量%以下、鉄(Fe)が0.7質量%以下、銅(Cu)が0.05〜0.20質量%、亜鉛(Zn)0.10質量%以下、その他の元素が個々0.05質量%以下で、その他の合計が0.15質量%以下となっており、加工性や耐食性に優れたアルミニウム−マンガン(Al−Mn)合金である。
また、ナトリウム−硫黄電池用陽極容器3としては、上述したように熱間押出加工後に冷間引抜きを施して製作するアルミニウム管が用いられており、このアルミニウム管の合金組成において、マンガン:0.5〜1.5質量%を含有し、残部がアルミニウム及び不純物からなり、不純物としての鉄が0.4質量%以下、Siが0.4質量%以下、Mgが0.5質量%以下、Cuが0.5質量%以下、他元素がそれぞれ0.2質量%以下に抑制されてなり、且つ合金組織において、Mn固溶量が0.3質量%以上で、長径1μm以上の金属間化合物が1×10個/mm未満であり、冷間引抜前の合金組織が再結晶した粒状組織であり、引抜きリダクションが5〜30%であるものが提案されている(特許文献1参照)。
特許第3262740号公報
しかしながら、上述したようなA3003アルミニウム合金を用いて製造された従来のナトリウム−硫黄電池用陽極容器は、ナトリウム−硫黄電池の作動温度である300〜350℃で長期間使用した場合に、時間経過とともに耐力が大きく低下してしまうという問題があった。特に、この従来のナトリウム−硫黄電池用陽極容器においては、ナトリウム−硫黄電池の陽極容器として必要な耐力及び寸法精度を満足するために冷間引抜加工を施すことが必須とされているが、一般的に冷間引抜加工を施した場合には、時間経過に伴う耐力低下の問題が顕著となる。
また、特許文献1に示すアルミニウム管を用いたナトリウム−硫黄電池用陽極容器は、時間経過に伴う耐力低下が改善されたものであるが、要求耐力を満足するには冷間引抜き加工は必須になる。
本発明は、上述した従来の課題に鑑みてなされたものであり、ナトリウム−硫黄電池の使用温度である300〜350℃程度の長期高温負荷を受けても高耐力を保持することが可能なナトリウム−硫黄電池用陽極容器を提供する。
即ち、本発明によれば、以下のナトリウム−硫黄電池用容器が提供される。
[1] 少なくとも熱間押出加工を施して製作するアルミニウム管を備えたナトリウム−硫黄電池用陽極容器であって、前記アルミニウム管の合金組成において、マンガンを1.0〜1.5質量%、銅を0.3〜0.7質量%、及び、珪素を0.3〜0.6質量%含有し、残部がアルミニウム及び不純物から構成され、前記不純物としての鉄が0.7質量%以下、亜鉛が0.25質量%以下、及び、その他元素については個々0.05質量%以下であり、且つ前記その他の元素の合計が0.15質量%以下に抑制され、前記アルミニウム管の合金組織が、繊維状の組織であるナトリウム−硫黄電池用陽極容器。
[2] 前記アルミニウム管の繊維状の組織が、造管圧延方向に結晶粒が偏平になり、その繊維状の偏平粒が径方向500μm幅当たり10本以上存在する前記[1]に記載のナトリウム−硫黄電池用陽極容器。
[3] 前記アルミニウム管が、温度480〜520℃、押出速度10〜15m/分の条件にて前記熱間押出加工を施したものである前記[1]又は[2]に記載のナトリウム−硫黄電池用陽極容器。
[4] 前記アルミニウム管が、前記熱間押出加工を施した後に、冷間引抜加工前の前記アルミニウム管の断面積に対する、冷間引抜加工により前記断面積の縮小した部分の大きさの割合(リダクション)が20〜30%となるように、冷間引抜加工を施したものである前記[1]〜[3]いずれかに記載のナトリウム−硫黄電池用陽極容器。
[5] 前記アルミニウム管が、温度500〜600℃で1〜5時間の均質化処理を施したアルミニウム合金のビレットに前記熱間押出加工を施したものである前記[1]〜[4]のいずれかに記載のナトリウム−硫黄電池用陽極容器。
本発明のナトリウム−硫黄電池用容器は、アルミニウム管を構成するアルミニウム合金が、マンガンを1.0〜1.5質量%、銅を0.3〜0.7質量%及び珪素を0.3〜0.6質量%含有するアルミニウム−マンガン(Al−Mn)合金であるとともに、残部の不純物が所定の量に抑制され、且つその合金組織が繊維状であり、ナトリウム−硫黄電池の使用温度である300〜350℃程度の長期高温負荷を受けても高耐力を保持することができ、その結果、特許第3262740号公報とは別の手段により、同様な長期耐久性に優れたナトリウム−硫黄電池用陽極容器が達成される。
以下、本発明のナトリウム−硫黄電池用陽極容器の実施の形態を詳細に説明するが、本発明は、これに限定されて解釈されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々の変更、修正、改良を加え得るものである。
本実施の形態のナトリウム−硫黄電池用陽極容器は、図1に示すようなナトリウム−硫黄電池4において、陽極活物質である硫黄を含浸したカーボンフェルト等の陽極用導電材6を収容する円筒状のナトリウム−硫黄電池用陽極容器3である。
本実施の形態のナトリウム−硫黄電池用陽極容器は、少なくとも熱間押出加工を施して製作するアルミニウム管を備えたナトリウム−硫黄電池用陽極容器であって、アルミニウム管の合金組成において、マンガンを1.0〜1.5質量%、銅を0.3〜0.7質量%、及び珪素を0.3〜0.6質量%含有し、残部がアルミニウム及び不純物から構成され、この不純物としての鉄が0.7質量%以下、亜鉛が0.25質量%以下、及び、その他元素については個々0.05質量%以下であり、且つその他の元素の合計が0.15質量%以下に抑制され、このアルミニウム管の合金組織が、繊維状の組織であるナトリウム−硫黄電池用陽極容器である。
このように、本実施の形態のナトリウム−硫黄電池用陽極容器は、アルミニウム管を構成するアルミニウム合金が、マンガンを1.0〜1.5質量%、銅を0.3〜0.7質量%、及び珪素を0.3〜0.6質量%含有するアルミニウム−マンガン(Al−Mn)合金であり、その合金組織が緻密な繊維状組織を呈することにより、ナトリウム−硫黄電池の使用温度(300〜350℃)での焼鈍による軟化速度を抑制し、ナトリウム−硫黄電池用陽極容器の耐久性向上に寄与することができる。特に、本実施の形態のナトリウム−硫黄電池用陽極容器は長期高温負荷を受けても高耐力を保持するものであることから、300〜350℃という高温で作動するナトリウム−硫黄電池用陽極容器として好適に用いることができる。
従来のナトリウム−硫黄電池用陽極容器に用いられるアルミニウム管においては、銅(Cu)、珪素(Si)は不純物として含まれる以外は積極的に合金組成に含まれることはほとんどなく、アルミニウム(Al)以外の必須の成分としてはマンガン(Mn)のみが含有されたアルミニウム−マンガン(Al−Mn)合金が用いられていた。
本実施の形態のナトリウム−硫黄電池用陽極容器を構成するアルミニウム管の合金組成における各元素の添加意義及び含有量の限定理由は、次の通りである。
マンガン(Mn)は、純アルミニウムの加工性、耐食性を低下させることなく強度を増加させることができる元素であり、アルミニウム中に固溶することにより再結晶温度を高め、ひいては高温長期負荷時の耐力を高く維持することに寄与する元素である。
このため、マンガン(Mn)が1.0質量%未満であると、上記した耐力を高く維持する効果が得られない。一方、マンガン(Mn)が1.5質量%を超えると、固溶されないマンガン(Mn)の量が増加して粗大な金属間化合物(AlMn)が成形され、再結晶粒を成長させて高温負荷により耐力を低下させる。したがって、本実施の形態のナトリウム−硫黄電池用陽極容器においては、アルミニウム管の合金組成は、マンガン(Mn)が1.0〜1.5質量%であることが好ましく、1.0〜1.3質量%であることがさらに好ましい。
また、銅(Cu)、珪素(Si)は、固溶体強化によって耐力(強度)向上に寄与する元素であるが、その含有量が多くなると加工性や耐食性が低下することから、従来のナトリウム−硫黄電池用陽極容器においては、不純物以外にアルミニウム管の合金組成として積極的に含まれることはなかった。
本実施の形態のナトリウム−硫黄電池用陽極容器においては、マンガン(Mn)含有量を1.0〜1.5質量%、銅(Cu)の含有量を0.3〜0.7質量%、珪素の含有量を0.3〜0.6質量%とし、不純物の含有量を上述した量に抑制するとともに、このアルミニウム管の合金組織を繊維状の組織とすることにより、著しい耐力向上を実現することができるとともに、銅(Cu)を多く含有する際の問題点であった加工性や耐食性の低下を抑制することができる。
なお、銅(Cu)の含有量が0.3質量%未満であると耐力向上の効果が十分に得られない。また、銅(Cu)の含有量が0.7質量%を超えると加工性や耐食性が低下してしまう。なお、本実施の形態のナトリウム−硫黄電池用陽極容器におけるアルミニウム管の合金組成においては、銅(Cu)が0.35〜0.7質量%であることが好ましく、0.4〜0.6質量%であることがさらに好ましい。珪素(Si)についても含有量が0.3質量%未満であると耐力向上の効果が十分に得られない。珪素(Si)の含有量が0.6質量%を超えると加工性や耐食性が低下してしまう。なお、本実施の形態のナトリウム−硫黄電池用陽極容器においては、アルミニウム管の合金組成においては、珪素(Si)が0.35〜0.6質量%であることが好ましく、0.4〜0.6質量%であることがさらに好ましい。
また、マンガン(Mn)、銅(Cu)、珪素(Si)、及び主成分としてのアルミニウム(Al)以外の不純物としては、鉄(Fe)が0.7質量%以下、亜鉛(Zn)が0.25質量%以下、他元素が0.05質量%以下に抑制されている。
合金中に不純物として鉄(Fe)が存在すると、Fe−Si、Fe−Mn等の金属間化合物が晶出し、再結晶し易くなり、高温強度(耐力)を低下させる原因となる。このため、鉄(Fe)の含有量は、0.7質量%以下であり、0.2質量%以下であることが好ましい。
また、不純物として亜鉛(Zn)が、0.25質量%を超えて含まれていると、熱負荷に伴い粗大な結晶粒成長を引き起こす原因となり得る。
また、本実施の形態のナトリウム−硫黄電池用陽極容器に用いられるナトリウム管の合金組成においては、これまでに説明した元素以外の、不純物としてのその他の元素は個々0.05質量%以下に抑制されている。このように構成することによって、粗大粒子の晶出を抑制することができるとともに、この不純物による合金の特性への影響を無視することができる程度に小さくすることができる。また、その他の元素を複数含む場合には、その他の元素は、合計で0.15質量%以下である。
また、本実施の形態のナトリウム−硫黄電池用陽極容器は、上述したように合金組織が繊維状の組織である。なお、この繊維状の組織は、造管圧延方向に結晶粒が偏平になり、その繊維状の偏平粒が径方向500μm幅当たり10本以上存在するように構成されたものである。本実施の形態のナトリウム−硫黄電池用陽極容器は、このような繊維状の組織と、上記の合金組成との相乗効果により、長期高温負荷を受けても高耐力を保持することができる。このような繊維状の組織は、例えば、アルミニウム管の合金組成を、光学顕微鏡にて50倍程度で観察することによって確認することができる。
このような繊維状の合金組織は、上述した合金組成のアルミニウム合金のビレットに熱間押出加工を施してアルミニウム管を形成するに際し、温度480〜520℃、押出速度10〜15m/分の条件で熱間押出加工を施すことにより実現することができる。
このような銅(Cu)、珪素(Si)を指定量含有して繊維状の合金組織にすることにより、日本工業規格A3003アルミニウム合金を用いた従来のナトリウム−硫黄電池用陽極容器と比較して耐力(強度)特性に優れ、特許第3262740号公報に記載されたアルミニウム管と同等又はそれ以上の耐力(強度)特性に優れたものとなる。
また、日本工業規格A3003アルミニウム合金及び特許第3262740号公報に記載されたアルミニウム管を用いた従来のナトリウム−硫黄電池用陽極容器においては、熱間押出加工後の状態での耐力は低く、陽極容器として必要とされる耐力特性を満足するためには、冷間引抜加工をさらに施すことが必要であった。本実施の形態のナトリウム−硫黄電池用陽極容器においては、熱間押出加工後の状態でも高い耐力を実現することが可能であり、冷間引抜加工を施す工程を行わずに、熱間押出加工後のアルミニウム管をそのまま用いる可能性を有する。勿論、ナトリウム−硫黄電池用陽極容器に要求される寸法精度を満足することが前提となる。
アルミニウム管に冷間引抜加工を施す場合には、熱間押出加工を施した後のアルミニウム管に、下記式(1)にて求められる、冷間引抜加工前のアルミニウム管の断面積に対する、冷間引抜加工によりアルミニウム管の断面積の縮小した部分の大きさの割合(以下、リダクション)が20〜30%となるように、冷間引抜加工を施したものであることが好ましい。
リダクション(%)=(1−A/A)×100 ・・・(1)
(但し、Aは冷間引抜加工前のアルミニウム管の断面積であり、Aは冷間引抜加工後のアルミニウム管の断面積である)
冷間引抜加工におけるリダクションが20%未満であると、耐力、寸法精度の向上が十分得られない。また、リダクションが30%を超えると、冷間引抜加工によって硬化が起こり耐力は向上するが、高温保持による耐力の低下率が高くなるため、高温で長時間使用時における耐力が不足することになる。
また、本実施の形態のナトリウム−硫黄電池用陽極容器においては、アルミニウム管が、温度500〜600℃で1〜5時間の均質化処理を施したアルミニウム合金のビレットに熱間押出加工を施したものであることが好ましい。この均質化処理は、ビレットを構成するアルミニウム合金中の晶出物を、このビレット全体に拡散させるための処理である。均質化処理の時間が1時間未満であると、ビレット全体が均一な温度となる前に均質化処理が終了してしまい十分な均質化処理の効果が得られないことがある。また、均質化処理の時間が5時間を超えると、水素ガスの拡散によってポロシティの面積率と数が急激に増加することがある。また、均質化処理の温度が500℃未満であると、マンガン(Mn)、銅(Cu)、珪素(Si)等の元素が固溶せず、再結晶を抑止する効果を十分に得ることができないことがある。また、均質化処理の温度が600℃を超えると、第2相析出物が成長してしまい再結晶を抑止する効果が低下する。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
(実施例1)
まず、マンガンを1.2質量%、銅が0.5質量%、及び珪素を0.5質量%含有し、残部がアルミニウム及び不純物から構成され、不純物としての鉄が0.2質量%、亜鉛が0質量%、他元素が個々0.01質量%以下(他元素の合計0.15質量%以下)に抑制されたアルミニウム合金のビレットを鋳造した。
次に、このアルミニウム合金のビレットを、500℃に加熱した状態で、押出速度12m/分の一定条件で熱間押出加工を施して、外径100mm、厚さ2.1mm、断面の合金組織が繊維状のアルミニウム管を形成した。熱間押出加工を施して得られたそのままの状態のアルミニウム管と、350℃で3時間熱処理したアルミニウム管と、500℃で3時間熱処理したアルミニウム管とを用いてナトリウム−硫黄電池用陽極容器をそれぞれ製造した。それぞれのナトリウム−硫黄電池用陽極容器の0.2%耐力値を求めた。この0.2%耐力値は、上記アルミニウム管から引張試験片を採取し、その試験片を万能試験機で引張して永久歪み0.2%が得られる荷重値を求め、その値を試験片断面積で除して求めた。測定結果を表1に示す。
Figure 2007172861
(実施例2)
実施例1において鋳造したアルミニウム合金のビレットと同様のものに、実施例1と同様の条件にて熱間押出加工を施し、さらに、リダクションが24%となるように冷間引抜加工を施して、外径88.2mm、厚さ1.8mmのアルミニウム管を形成した。冷間引抜加工して得られたそのままの状態のアルミニウム管と、350℃で3時間熱処理したアルミニウム管と、500℃で3時間熱処理したアルミニウム管とを用いてナトリウム−硫黄電池用陽極容器をそれぞれ製造した。それぞれのナトリウム−硫黄電池用陽極容器の0.2%耐力値を、実施例1と同様の方法にて測定した。測定結果を表1に示す。
(比較例1)
マンガンを1.2質量%含有し、残部がアルミニウム及び不純物から構成され、不純物としての銅が0.1質量%、鉄が0.5質量%、珪素が0.1質量%、亜鉛が0質量%、他元素が0.01質量%以下(他元素の合計0.15質量%以下)に抑制されたアルミニウム合金のビレットを鋳造した。
次に、このアルミニウム合金のビレットを、500℃に加熱した状態で、押出速度20m/分の一定条件で熱間押出加工を施して、外径100mm、厚さ2.1mmの断面の合金組織が粒状のアルミニウム管を形成した。熱間押出加工を施して得られたそのままの状態のアルミニウム管と、350℃で3時間熱処理したアルミニウム管と、500℃で3時間熱処理したアルミニウム管とを用いてナトリウム−硫黄電池用陽極容器をそれぞれ製造した。それぞれのナトリウム−硫黄電池用陽極容器の0.2%耐力値を、実施例1と同様の方法にて測定した。測定結果を表1に示す。
(比較例2)
比較例1において鋳造したアルミニウム合金のビレットと同様のものに、比較例1と同様の条件にて熱間押出加工を施し、さらに、リダクションが24%となるように冷間引抜加工を施して、外径88.2mm、厚さ1.8mmのアルミニウム管を形成した。冷間引抜加工して得られたそのままの状態のアルミニウム管と、350℃で3時間熱処理したアルミニウム管と、500℃で3時間熱処理したアルミニウム管とを用いてナトリウム−硫黄電池用陽極容器をそれぞれ製造した。それぞれのナトリウム−硫黄電池用陽極容器の0.2%耐力値を、実施例1と同様の方法にて測定した。測定結果を表1に示す。
実施例1及び2のナトリウム−硫黄電池用陽極容器は、350℃及び500℃で3時間という長期高温負荷を受けても高耐力を保持することができ、300〜350℃で作動するナトリウム−硫黄電池用陽極容器として好適に用いることができるものであった。
本発明のナトリウム−硫黄電池用陽極容器は、ナトリウム−硫黄電池において、硫黄、多硫化ナトリウムを収容するための陽極容器として用いることができる。本発明のナトリウム−硫黄電池用陽極容器は、長期高温負荷を受けても高耐力を保持することが可能な陽極容器である。
ナトリウム−硫黄電池の構造を模式的に示す断面図である。
符号の説明
1:絶縁体リング、3:ナトリウム−硫黄電池用陽極容器、4:ナトリウム−硫黄電池、5:固体電解質管、6:陽極用導電材、7:ナトリウム、8:アルゴンガス、9:隔壁管、10:ナトリウム収納容器、11:陰極金具。

Claims (5)

  1. 少なくとも熱間押出加工を施して製作するアルミニウム管を備えたナトリウム−硫黄電池用陽極容器であって、
    前記アルミニウム管の合金組成において、マンガンを1.0〜1.5質量%、銅を0.3〜0.7質量%、及び、珪素を0.3〜0.6質量%含有し、残部がアルミニウム及び不純物から構成され、前記不純物としての鉄が0.7質量%以下、亜鉛が0.25質量%以下、及び、その他元素については個々0.05質量%以下であり、且つ前記その他の元素の合計が0.15質量%以下に抑制され、
    前記アルミニウム管の合金組織が、繊維状の組織であるナトリウム−硫黄電池用陽極容器。
  2. 前記アルミニウム管の繊維状の組織が、造管圧延方向に結晶粒が偏平になり、その繊維状の偏平粒が径方向500μm幅当たり10本以上存在する請求項1に記載のナトリウム−硫黄電池用陽極容器。
  3. 前記アルミニウム管が、温度480〜520℃、押出速度10〜15m/分の条件にて前記熱間押出加工を施したものである請求項1又は2に記載のナトリウム−硫黄電池用陽極容器。
  4. 前記アルミニウム管が、前記熱間押出加工を施した後に、冷間引抜加工前の前記アルミニウム管の断面積に対する冷間引抜加工により前記断面積の縮小した部分の大きさの割合(リダクション)が20〜30%となるように、冷間引抜加工を施したものである請求項1〜3のいずれかに記載のナトリウム−硫黄電池用陽極容器。
  5. 前記アルミニウム管が、温度500〜600℃で1〜5時間の均質化処理を施したアルミニウム合金のビレットに前記熱間押出加工を施したものである請求項1〜4のいずれかに記載のナトリウム−硫黄電池用陽極容器。
JP2005364615A 2005-12-19 2005-12-19 ナトリウム−硫黄電池用陽極容器 Active JP4750549B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005364615A JP4750549B2 (ja) 2005-12-19 2005-12-19 ナトリウム−硫黄電池用陽極容器

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005364615A JP4750549B2 (ja) 2005-12-19 2005-12-19 ナトリウム−硫黄電池用陽極容器

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2007172861A true JP2007172861A (ja) 2007-07-05
JP4750549B2 JP4750549B2 (ja) 2011-08-17

Family

ID=38299170

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005364615A Active JP4750549B2 (ja) 2005-12-19 2005-12-19 ナトリウム−硫黄電池用陽極容器

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4750549B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2011129391A1 (ja) * 2010-04-16 2011-10-20 住友電気工業 株式会社 溶融塩電池のケースおよび溶融塩電池
JP2014140896A (ja) * 2012-12-27 2014-08-07 Mitsubishi Alum Co Ltd 内面螺旋溝付管およびその製造方法と熱交換器

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH10308234A (ja) * 1997-05-09 1998-11-17 Ngk Insulators Ltd ナトリウム−硫黄電池用陽極容器
JP2001351677A (ja) * 2000-06-02 2001-12-21 Hitachi Ltd 高温ナトリウム二次電池
JP2003181530A (ja) * 2001-12-20 2003-07-02 Mitsubishi Alum Co Ltd 曲げ加工性およびエネルギー吸収特性に優れたアルミニウム合金押出し材の製造方法

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH10308234A (ja) * 1997-05-09 1998-11-17 Ngk Insulators Ltd ナトリウム−硫黄電池用陽極容器
JP2001351677A (ja) * 2000-06-02 2001-12-21 Hitachi Ltd 高温ナトリウム二次電池
JP2003181530A (ja) * 2001-12-20 2003-07-02 Mitsubishi Alum Co Ltd 曲げ加工性およびエネルギー吸収特性に優れたアルミニウム合金押出し材の製造方法

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2011129391A1 (ja) * 2010-04-16 2011-10-20 住友電気工業 株式会社 溶融塩電池のケースおよび溶融塩電池
JP2011228046A (ja) * 2010-04-16 2011-11-10 Sumitomo Electric Ind Ltd 溶融塩電池のケースおよび溶融塩電池
US20120100416A1 (en) * 2010-04-16 2012-04-26 Sumitomo Electric Industries, Ltd. Molten salt battery case, and molten salt battery
CN102473869A (zh) * 2010-04-16 2012-05-23 住友电气工业株式会社 熔融盐电池用壳体和熔融盐电池
US9276241B2 (en) 2010-04-16 2016-03-01 Sumitomo Electric Industries, Ltd. Molten salt battery case, and molten salt battery
JP2014140896A (ja) * 2012-12-27 2014-08-07 Mitsubishi Alum Co Ltd 内面螺旋溝付管およびその製造方法と熱交換器

Also Published As

Publication number Publication date
JP4750549B2 (ja) 2011-08-17

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5160839B2 (ja) 集電体用アルミニウム合金箔
KR101314696B1 (ko) 집전체용 알루미늄 합금박 및 그 제조 방법
JP5160849B2 (ja) 集電体用アルミニウム合金箔
KR20130037217A (ko) 전지 집전체용 알루미늄 경질 박
JP5567719B2 (ja) リチウムイオン二次電池正極集電体用アルミニウム合金箔の製造方法およびリチウムイオン二次電池正極集電体用アルミニウム合金箔とリチウムイオン二次電池
KR101202998B1 (ko) 전지 집전체용 순알루미늄 경질 박
TWI390046B (zh) 具有改良高溫特性的經摻雜銥
KR20130122651A (ko) 성형성 및 용접성이 우수한 전지 케이스용 알루미늄 합금판
WO2016140258A1 (ja) 鉄-クロム-アルミニウム系酸化物分散強化型鋼およびその製造方法
JP2012224927A (ja) リチウムイオン電池正極集電体用アルミニウム合金箔及びその製造方法
EP1325965B1 (en) Ni-based alloy improved in oxidation-resistance, high temperature strength and hot workability
JP2015505905A (ja) アルミニウムフィン合金およびその製造方法
JP5858424B2 (ja) 固体高分子型燃料電池セパレータ用ステンレス鋼およびその製造方法
JP4750549B2 (ja) ナトリウム−硫黄電池用陽極容器
AU2008325589B2 (en) Method for producing lead-base alloy grid for lead-acid battery
CN112899505A (zh) 一种用于正极集流体的高强度铝合金箔及其制备方法
JP2001316742A (ja) 疲労強度の優れた銅合金管
JP2012241232A (ja) 圧延銅合金箔及びそれを用いた二次電池用集電体
US20010015243A1 (en) Rare earth element-containing hydrogen storage alloy, method of producing the same, negative electrode using said alloy, and alkaline rechargeable battery using said electrode encapsulated
JPH1143734A (ja) ガス耐食性とプラズマ耐食性に優れるアルマイト皮膜形成性および耐熱性に優れた半導体製造装置用Al合金および半導体製造装置用材料
JP2005297016A (ja) ブレージングシートの製造方法およびブレージングシート
TWI255576B (en) An anode plate based on the zinc-aluminum alloy and a zinc-air battery containing the same
US11608545B2 (en) Conductive supporting member and method for producing the same
JP3262740B2 (ja) ナトリウム−硫黄電池用陽極容器
JPH06256883A (ja) 優れたクリープ強度を有するマグネシウム合金

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20080716

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20110422

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20110517

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20110519

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4750549

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140527

Year of fee payment: 3