JP2007169754A - 表面処理方法、レーザ吸収粉体層シート及びレーザピーニング用粉体スプレー - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明によれば、レーザピーニングの衝撃波により被加工面としてのワーク10の摺動面に、潤滑油61を溜めることが可能な陥没部30が形成されるので、潤滑油61を摺動面に長時間に亘って保持することが可能となる。しかも、レーザピーニングの衝撃波によりワーク10の摺動面の結晶が細分化されかつクラックの進展が抑制され、耐応力腐食割れ性が向上する。また、陥没部30の表面部に金属などの粉体又は皮膜を打ち込んで表面層を硬化させて、耐摩耗性及び耐摺動性を向上させることができる。
【選択図】図3
Description
東洋ドライループ株式会社、「online」、平成17年12月21日検索、インターネット<http://www.drilube.co.jp/dri/2.html>
以下、本発明に係る表面処理方法の一実施形態を、図1〜図5に基づいて説明する。図1には、摺動部品であるワーク10(本発明の「被加工物」に相当する)の一部が拡大して示されている。ワーク10の母材11は、例えば鉄鋼材料であり、その母材11の表面には、固体潤滑材としてのアモルファス合金からなるワーク既存表面処理層12が例えばメッキ処理にて形成されている。なお、固体潤滑材は、アモルファス合金に代えて、例えば、クロム合金、ニッケル超合金、二硫化モリブデン等で構成してもよい。このワーク既存表面処理層12の表面は、ワーク10の摺動面(本発明の「被加工面」に相当する)となる。なお、母材11の表面にワーク既存表面処理層12を設けない場合は、母材11の表面がワーク10の摺動面(即ち、被加工面)となる。
本実施形態では、第1実施形態と同じ構成のワーク10の摺動面に、図6に示すように、粉体又は混合物13Fを敷き詰めた粉体皮膜層13を形成しておき、その粉体皮膜層13上にレーザ吸収増強皮膜14を密着して設け、そのレーザ吸収増強皮膜14をレーザ干渉層15で覆う。ここで、粉体又は混合物13Fは、ワーク10の摺動面の材質と異なる材質、例えば、アモルファス合金で構成されている。なお、粉体又は混合物13Fは、アモルファス合金に代えて、アモルファス合金以外の合金、金属、金属間化合物、金属炭化物、金属酸化物、セラミックス、樹脂、合金及び/又はガラス等で構成してもよいし、これらの混合物で構成してもよい。この粉体又は混合物13Fの個々の形状は、不均一な粒形状になっている。また、レーザ吸収増強皮膜14は、粉体皮膜層13にグラファイトを塗布して形成されている。
本実施形態では、自動車のエンジンを構成する部品に本発明に係る表面処理方法を用いてディンプル加工を施す場合について説明する。このエンジンには、シリンダブロック70(図10及び図11参照)、ピストン72(図12参照)、連結バー73(図12参照)、クランクシャフト74(図14参照)が備えられている。そして、シリンダブロック70に備えた複数のシリンダ部70Aの内部でピストン72が直動する。また、ピストン72には連結バー73の一端が回動可能に連結され、連結バー73の他端がクランクシャフト74に連結されている。
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下に説明するような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
13 粉体皮膜層
13F 粉体
14 レーザ吸収増強皮膜
15 レーザ干渉層
16 離型剤
18 マスク
18A レーザ通過孔
21 集光レンズ(レーザビーム加工光学系)
30 陥没部
40 レーザ吸収粉体層シート
40A ベースシート
61 潤滑油
Claims (18)
- 被加工物の被加工面の上をレーザの吸収度を増すためのレーザ吸収増強皮膜で覆い、そのレーザ吸収増強皮膜に短パルス高ピーク出力のレーザを照射し、レーザピーニングの衝撃波により前記被加工物の前記被加工面に、潤滑油又は減摩剤を溜めることが可能な陥没部を形成することを特徴とする表面処理方法。
- 前記被加工物の前記被加工面の上に、金属、金属間化合物、金属炭化物、金属酸化物、セラミックス、樹脂、合金及び/又はガラスなどの粉体からなる固体潤滑材及び/又は硬化材を塗布して粉体皮膜層を形成しておき、この粉体皮膜層を介して前記被加工物の前記被加工面の上を覆った前記レーザ吸収増強皮膜に前記レーザを照射し、レーザピーニングの衝撃波により前記被加工物の前記被加工面に前記陥没部を形成すると共に、その陥没部の表面部に前記固体潤滑材及び/又は前記硬化材を打ち込むことを特徴とする請求項1に記載の表面処理方法。
- 前記レーザ吸収増強皮膜は、前記被加工物の前記被加工面又は前記粉体皮膜層に、グラファイト或いは黒色顔料を塗布し、又は、酸化皮膜処理或いはリン酸皮膜処理を施して形成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の表面処理方法。
- フィルム、ガラスシート又は金属薄膜からなるベースシートと、そのベースシートの一方の面にグラファイト或いは黒色顔料を塗布し、又は、酸化皮膜処理或いはリン酸皮膜処理を施して形成された前記レーザ吸収増強皮膜と、前記ベースシートの他方の面に、樹脂、金属、金属間化合物、金属炭化物、金属酸化物、合金、セラミックス、ガラス、酵素、抗菌剤等の粉体及び/又は皮膜を付着させて形成された粉体皮膜層とを備えたレーザ吸収粉体層シートを形成し、そのレーザ吸収粉体層シートを、前記被加工物の前記被加工面に前記粉体皮膜層を向けて敷設しておき、前記レーザ吸収増強皮膜に前記レーザを照射し、レーザピーニングの衝撃波により前記被加工物の前記被加工面に前記陥没部を形成すると共に、その陥没部の表面部に前記粉体又は前記皮膜を打ち込むことを特徴とする請求項1に記載の表面処理方法。
- 前記ベースシートは、前記レーザを照射した後に前記被加工物の前記被加工面から剥離可能であることを特徴とする請求項4に記載の表面処理方法。
- 前記レーザ吸収粉体層シートを前記被加工物の前記被加工面に密着させたことを特徴とする請求項4又は5に記載の表面処理方法。
- 前記レーザ吸収増強皮膜の上に前記レーザを透過可能な水、油類、溶融塩又はプラスチックからなるレーザ干渉層で覆い、前記レーザを前記レーザ干渉層を通して前記レーザ吸収増強皮膜に照射し、レーザピーニングの衝撃波により前記被加工物の前記被加工面を硬化、凹凸化、改質することを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載の表面処理方法。
- レーザ通過孔を備えたマスクを、前記レーザを照射する前に前記レーザ吸収増強皮膜又は前記レーザ干渉層の上に間隔を開けて積層し、前記レーザ吸収増強皮膜を横切るようにして前記マスク上に前記レーザを照射することで、前記被加工面を各種パターンで改質することを特徴とする請求項1乃至7の何れかに記載の表面処理方法。
- 前記マスクを、厚さ0.1mm〜5.0mmの金属シート又はセラミックスシートで構成することを特徴とする請求項8に記載の表面処理方法。
- 前記被加工物の前記被加工面に、予め、酸化皮膜処理又はリン酸皮膜処理を施しておくことを特徴とする請求項1乃至9の何れかに記載の表面処理方法。
- 前記被加工物の前記被加工面に、略円形又は多角形の窪み又はディンプルを前記陥没部として形成することを特徴とする請求項1乃至10の何れかに記載の表面処理方法。
- 前記被加工物の前記被加工面に、金属皮膜又はセラミックスコーティングからなる皮膜層を形成しておき、その皮膜層を前記レーザ吸収粉体層シートで覆い、前記レーザを照射してレーザピーニングの衝撃波により前記被加工物の前記被加工面に前記陥没部を形成すると共に、その陥没部の表面部に前記粉体を打ち込むことを特徴とする請求項4乃至6の何れかに記載の表面処理方法。
- 前記被加工物の前記被加工面にキサゲ模様が形成されるように、線状の溝を複数形成することを特徴とする請求項1乃至12の何れかに記載の表面処理方法。
- 前記被加工物を構成する部材が半凝固状態又はその金属の再結晶温度以上の状態で、前記レーザ吸収増強皮膜に前記レーザを照射することを特徴する請求項1乃至13の何れかに記載の表面処理方法。
- 前記レーザの発振装置から出射される前記レーザを前記被加工物に照射する際に、前記レーザの照射方向を変更する光偏向装置と、レーザビーム加工光学系とのうち少なくとも一方を数値制御して前記レーザの照射位置を正確に制御することを特徴とする請求項1乃至14の何れかに記載の表面処理方法。
- 前記被加工物の前記被加工面に、金属、合金、金属間化合物、金属炭化物、金属酸化物、樹脂及び/又はセラミックスからなる粉体と揮発性油類とを混合したレーザピーニング用粉体スプレーを塗布して前記粉体皮膜層を形成しておき、この粉体皮膜層をフィルム、ガラスシート又は金属薄膜からなるベースシートで覆い、そのベースシートのうち前記粉体皮膜層と反対側の面にグラファイト又は黒色顔料をスプレーで塗布して前記レーザ吸収増強皮膜を形成し、そのレーザ吸収増強皮膜に前記レーザを照射し、レーザピーニングの衝撃波により前記被加工物の前記被加工面に前記陥没部を形成すると共に、その陥没部の表面部に前記粉体を打ち込むことを特徴とする請求項1に記載の表面処理方法。
- フィルム、ガラスシート又は金属薄膜からなるベースシートと、そのベースシートの一方の面にグラファイト或いは黒色顔料を塗布し、又は、酸化皮膜処理或いはリン酸皮膜処理を施して形成されたレーザ吸収増強皮膜と、前記ベースシートの他方の面に樹脂、金属、金属間化合物、金属炭化物、金属酸化物、合金、セラミックス、ガラス、酵素及び/又は抗菌剤等の粉体又は皮膜を付着させて形成された粉体皮膜層とを備えたことを特徴とするレーザ吸収粉体層シート。
- 金属、合金、金属間化合物、金属炭化物、金属酸化物、樹脂及び/又はセラミックスからなる粉体と揮発性油類との混合物を噴射可能な構成であることを特徴とするレーザピーニング用粉体スプレー。
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