JP2007169722A - 強度と伸びのバランスに優れさらに疲労強度にも優れたアルミニウム熱間圧延板の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 強度と伸びのバランスと疲労強度も優れたアルミニウム合金熱間圧延板を得る。
【解決手段】 Mg:2.2〜3.0%未満,Mn:0.2〜1.0%,Fe:0.05〜0.25%,Si:0.02〜0.2%を含有し、残部不可避的不純物を含むアルミニウム合金鋳塊に、460〜520℃の温度で均質化処理を行った後、圧延終了温度を240〜260℃とする熱間圧延を行うことによって、圧延方向の耐力を180MPa以上,伸びを14%以上,107回の疲労強度を120MPa以上とする。
【選択図】 無し
【解決手段】 Mg:2.2〜3.0%未満,Mn:0.2〜1.0%,Fe:0.05〜0.25%,Si:0.02〜0.2%を含有し、残部不可避的不純物を含むアルミニウム合金鋳塊に、460〜520℃の温度で均質化処理を行った後、圧延終了温度を240〜260℃とする熱間圧延を行うことによって、圧延方向の耐力を180MPa以上,伸びを14%以上,107回の疲労強度を120MPa以上とする。
【選択図】 無し
Description
本発明は、例えばブレーキディスクハブ用などに用いられる強度と伸びのバランスに優れさらに疲労強度にも優れたアルミニウム合金熱間圧延板の製造方法に関するものである。
2輪車用ブレーキはブレーキパッドと摺動するディスク部にはスチールが、ディスクを支えるハブ部には軽量化のためアルミが多く使用されている。このディスクハブ材には強度・耐食性の点からAl−Mg系合金が用いられており、さらなる高強度化のためにはMg含有量の増加することが挙げられるが、一般的にこれらは耐食性の低下を招くと言われている。
また内部組織を再結晶させずに高強度化する方法としては、熱間圧延に続いて冷間圧延を行い、安定化処理として焼鈍を施すH3X調質が行われている。
特許文献1ではさらに高強度化あるいはアルマイト後の色調を目的としてMn,Zrを含むAl−Mg合金が提案されている。この方法ではMn,Zrによる再結晶抑制によりサブグレイン組織を維持し高強度化を計る方法や冷間圧延後に焼鈍を行いサブグレインを安定させる方法が提案されている。
特開2001−294964号公報
しかしながら、特許文献1では熱間圧延後あるいは20%以上の冷間圧延を行った後、330-380℃で仕上げ焼鈍をすることが推奨されているが、この温度は一般的に完全焼鈍材(O材)とする処理温度域である。このため最終板材で強度が低下する恐れがあるが、特許文献1ではこれを防止するためにMn,Zrの添加が有効とされているが、この温度域での仕上げ焼鈍では金属間化合物周辺から再結晶が生じやすく再結晶組織とサブグレイン組織が不均一に存在しやすくなる。このため本発明ではMg含有量,均質化処理温度および熱間圧延温度をコントロールすることで仕上げ焼鈍を施すことなく安定して高強度かつ高疲労強度を有するアルミニウム板材の製造方法を見出したものである。
本発明ではAl−Mg系合金の添加元素量および圧延条件について検討し、強度と伸びのバランスに優れさらに疲労強度にも優れたアルミニウム熱間圧延板材の製造方法を提供するものである。
本発明は、請求項1記載の通り、Mg:2.2〜3.0%未満,Mn:0.2〜1.0%,Fe:0.05〜0.25%,Si:0.02〜0.2%を含有し、残部不可避的不純物を含むアルミニウム合金鋳塊に、460〜520℃の温度で均質化処理を行った後、圧延終了温度を240〜260℃とする熱間圧延を行うことによって、圧延方向の耐力を180MPa以上,107回の疲労強度を120MPa以上とすることを特徴とする強度と伸びのバランスに優れさらに疲労強度にも優れたアルミニウム熱間圧延板の製造方法である。
本発明によって得られるアルミニウム熱間圧延板は強度と伸びのバランスに優れさらに疲労強度も優れており、特開2001−294964号公報に記載されているようなZrの添加無しでも安定してブレーキディスクハブ等の用途に好適に用いることができるアルミニウム合金の製造が可能となる。
次に本発明の構成の限定理由を以下説明する。
まず、合金成分の限定理由を説明する。
MgはAl中に固溶し強度を向上させる働きがあり重要な元素である。Mg含有量が2.2%未満では強度向上効果が小さくブレーキディスク用ハブ材として十分な強度が得られない。また3.0%以上の場合、応力腐食割れが懸念され問題となる。従って、Mgの添加量は2.2%以上3.0%未満とする。
MnはAl中に固溶すると同時にAl−Mn系の微細な析出物を分散し、強度を向上させる働きと結晶粒を微細化する働きがある。その効果は0.2%未満では十分ではなく、1.0%を超えると飽和すると同時に粗大な金属間化合物を形成し、延性あるいは疲労特性を低下させる。従って、Mnの添加量は0.2%以上1.0%以下とする。
FeはAlに含まれる不純物の一つである。ただしFe含有量が0.05〜0.25%ではAl−Fe系化合物として分散し、結晶粒の微細化としての効果もある。ただし0.25%を超えると粗大な金属間化合物を形成し、延性あるいは疲労特性を低下させる。従って、Feの添加量は0.05%以上0.25%以下とする。
SiもAl中に含まれる不純物の一つであり、0.2%を超えるとMg2SiやAl−Fe−Si系化合物により延性あるいは疲労特性を低下させる。従って、Siの含有量は0.2%以下とする。
その他不純物元素については特に規定するものではないが、通常工業的に用いられるAl合金中にはCu,Zn,Cr,Niなどが含まれるが0.2%以下の含有量であれば本発明の特性を損なわないかぎり含まれていても問題ない。またTiは通常結晶粒微細化のため0.1%以下程度添加される。
次に製造方法に関して述べる。
上記成分組成の合金を通常の半連続鋳造で鋳塊を製造し、必要に応じて面削し、均質化処理する。均質化条件はAl−Mn系析出物のサイズ,分布に大きく影響し、熱間圧延工程途中での再結晶粒のサイズに大きく影響を与える。このため均質化処理工程で微細・均一に分布させておくことが重要となる。その温度が460℃未満では均一に析出するまでに長時間かかり工業的に困難である。520℃を超えると析出物の粗大化が始まり、熱間圧延工程途中での再結晶微細化効果が小さくなる。従って均質化処理の温度は460〜520℃とする。保持時間は特に規定するものではないが工業的には1時間以上で十分である。
本発明合金においては熱間圧延時の温度条件は最も重要である。最終板では再結晶を抑制するため、熱間圧延工程途中で生じた再結晶粒が圧延によって延ばされた、いわゆるファイバー組織となる。この場合圧延による加工歪みが残存するため、圧延終了温度が異なると回復(歪みの整理)の様子が異なり機械的特性が大きくばらつく。このため熱間圧延終了温度を精度良く制御することが熱間圧延上がりの最終板において特性のばらつきを少なくするために重要となる。熱間圧延終了温度が240℃未満では熱間圧延時の歪みが整理されるまでに時間がかかるため最終板で強度のばらつきが大きくなる。また260℃を超えるとサブグレインの粗大化あるいは部分再結晶が生じるため所望の強度が得られなくなる。
なお本発明では熱間圧延により最終板を製造する方法であるが、板の平坦度を上げるための矯正工程は組織的な変化を起こさないため必要に応じて実施しても問題ない。
次に本発明方法によって得られる板材の特性の規定について述べる。
耐力は最終部品で軽量化を計るために高強度であるほうが望ましいが、成形時の割れ防止あるいは形状凍結性を考慮すると耐力が高すぎても問題となる。このため本発明では完全焼鈍状態で得られる5454−O材の耐力を約50%向上した耐力180MPa以上を得ることを目的とした。また成形時の形状のばらつきを抑えるため好ましくは180〜220MPaとするのが良い。
伸びを14%以上としたのは、成形時の曲げ加工などにおいて表面にクラック等の欠陥を発生させないことが重要であり、良好な成形性を確保するため伸びを14%以上とした。
さらにブレーキディスク材のように回転により応力の変化を受けるような部材については、静的な強度以上に疲労強度の向上が望まれる。このため本発明では均質化処理および熱間圧延時の組織制御を行うことで107回の疲労強度を120MPa以上とすることができることを見出した。
表1に示す通り14種類の組成について実験室的に厚さ80mmx幅200mmx長さ200mmの鋳塊を作製し、これに表2に示す条件で均質化処理を行い熱間圧延終了温度を制御しながら厚さ5mmまで実験圧延機にて熱間圧延を行った。
得られた板材から圧延方向にJIS5号引張り試験片を作製し機械的特性を調査した。また、疲労強度はJIS Z 2275に準じて平面曲げ疲労試験を実施し、応力-サイクル(S-N)曲線から107回の疲労強度を求めた。
耐力および伸びの判定は例えばアルミニウムハンドブックに記載された5454−H111の機械的特性(耐力:180MPa,伸び14%)と比較し、耐力180MPa以上および伸び14%以上を良好であるとした。
表2に評価結果を示す。
比較例は強度と伸びのバランスが悪く、高強度ディスクハブ材用アルミニウム板材としては不適である。
すなわち、比較例のNo.9, 13は熱間圧延終了温度が本発明範囲より高温であり、再結晶が進行したため強度が低下している。No.10は均質化温度が高温のため再結晶抑制効果が低減しやはり強度が不十分となっている。No.11,12,14では熱間圧延終了温度が本発明より低くなっており、耐力は十分高強度化されているが伸びが不足している。
すなわち、比較例のNo.9, 13は熱間圧延終了温度が本発明範囲より高温であり、再結晶が進行したため強度が低下している。No.10は均質化温度が高温のため再結晶抑制効果が低減しやはり強度が不十分となっている。No.11,12,14では熱間圧延終了温度が本発明より低くなっており、耐力は十分高強度化されているが伸びが不足している。
これに対してNo.1-8の本発明例では耐力および伸びともに良好で疲労強度も良好な結果が得られている。
Claims (1)
- Mg:2.2〜3.0%未満(mass%、以下同じ),Mn:0.2〜1.0%,Fe:0.05〜0.25%,Si:0.02〜0.2%を含有し、残部不可避的不純物を含むアルミニウム合金鋳塊に、460〜520℃の温度で均質化処理を行った後、圧延終了温度を240〜260℃とする熱間圧延を行うことによって、圧延方向の耐力を180MPa以上,伸びを14%以上,107回の疲労強度を120MPa以上とすることを特徴とする強度と伸びのバランスに優れさらに疲労強度にも優れたアルミニウム熱間圧延板の製造方法。
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JP2005369477A JP2007169722A (ja) | 2005-12-22 | 2005-12-22 | 強度と伸びのバランスに優れさらに疲労強度にも優れたアルミニウム熱間圧延板の製造方法 |
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CN109355604A (zh) * | 2018-11-27 | 2019-02-19 | 广西柳州银海铝业股份有限公司 | 5083h321铝合金厚板制备方法 |
CN115449707A (zh) * | 2022-08-25 | 2022-12-09 | 首钢集团有限公司 | 一种超高强度热轧复相钢及其制备方法 |
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