発明の詳細な説明 少なくとも1つの末梢神経系特異的(PNS)ナトリウムチャンネル(SC)の活性化を調 節する必要がある。このような調節は、PNSにおける神経伝導に関連する疼痛または病状のための鎮痛薬または診断薬を潜在的に提供し得る。
特定のナトリウムチャンネル(本発明のPNS SCPに対応する)は、現在、優先的にまた は選択的に末梢神経系(PNS)において発現されることが見出される。これらのナトリウムチャンネルは、優先的にPNSにおける末梢神経刺激伝導を調節する。本発明は、末梢神 経系特異的(PNS)ナトリウムチャンネルペプチド(SCP)、それをコードする核酸、ベクター、宿主細胞および抗体、ならびにこれらを作製および使用する方法を提供する。これ らには、組換え発現、精製、細胞に基づく薬物スクリーニング、遺伝子療法、結晶化、X線回折分析、ならびにコンピューター読み出し可能な媒体上に提供される少なくとも1つ のPNS SCPアミノ酸配列および/またはX線回折データを利用する、コンピューター構造決定および合理的な薬物設計を含む。
PNSナトリウムチャンネルペプチド(PNS SCP)は、フラグメント、コンセンサス配列、 または繰り返し単位としてSC活性を有するPNSナトリウムチャンネル(SC)のいずれかのサブセットを指し得る。本発明のPNS SCPは、以下によって調製され得る:
(a)組換えDNA法;
(b)完全な分子のタンパク質またはそのフラグメントのタンパク質分解消化;
(c)当該分野で周知の化学的ペプチド合成法;および/または
(d)PNS SCPを生成し、そしてPNS SCPの活性部分に類似したコンホメーションを有しかつSC活性を有することができる任意の他の方法による。SC活性は、ナトリウムチャンネル 活性についての公知のスクリーニングアッセイによって、インビトロ、インサイチュ、またはインビボでスクリーニングされ得る。活性を有するための最小のペプチド配列は、少 なくとも1つのPNS SCPの特定の領域、ドメイン、コンセンサス配列、またはそれらの繰り返し単位を含む最小単位に基づく。
本発明によれば、PNS SCPは、PNS SCP(例えば、1〜40ドメインまたはその中の任意の 範囲または値)に対応する2つ以上のポリペプチドドメイン(例えば、膜貫通ドメイン、孔内張りドメイン(porelining domain)、またはそれらのフラグメント)の会合物を含 む。本発明のPNS SCPの膜貫通ドメイン、細胞質孔内張りドメイン、または他のドメインは、本明細書中に記載のようなSCドメイン(例えば、図1、7、8、10または11に示され るように)に対応する1つ以上に対して少なくとも74%の相同性(例えば、74〜100%の全体にわたる相同性または同一性)あるいはその中の任意の範囲または値を有し得る。当 業者に理解されるように、ドメインの上記の配置は、本発明のPNS SCPの一部として提供される。このようにして、機能的なPNS SCPは、適切な細胞において発現される場合、脂 質二重層、細胞膜、または膜モデルを通してナトリウムイオンを輸送し得る。十分なナトリウムチャンネルを有する完全な細胞において、細胞は、例えば少なくとも1つの本発明 のPNS SCPを発現する細胞において、活動電位のいくつかの形態を生じ得る。このような輸送は、適切なSC活性アッセイにより測定されるように、1つ以上の本発明のPNS SCPのS C活性を確立する。
従って、本発明のPNS SCPは、さもなければ、少なくとも1つの20〜2005アミノ酸フラ グメントおよび/またはPNS SCPまたはPNS SCP群のコンセンサス配列に実質的に対応するSCアミノ酸配列の一部のペプチドを含む。ここで、PNS SCPは、図1、7、8、10、また は11の少なくとも1つの配列またはコンセンサス配列に、少なくとも74〜99%の相同性または同一性、例えば、88〜99%(またはその中の任意の範囲または値、例えば、87〜99、 88〜99、89〜99、90〜99、91〜99、92〜99、93〜99、94〜99、95〜99、96〜99、97〜99、または98〜99%)の相同性を有する。1つの局面において、このようなPNS SCPは、SC生 物学的活性を維持し得る。本発明のPNS SCPが天然に存在するものでないか、あるいは天然に存在するが天然界には存在しない精製または単離された形態であることが好ましい。 好ましくは、本発明のPNS SCPは、実質的に、図1、7、8、10、および11の少なくとも10個の隣接するアミノ酸を有するか、またはそれらに少なくとも74%相同性である、PN1の ドメインのセットに対応する。
あるいは、またはさらに、本発明のPNS SCPは、公知のナトリウムチャンネルドメイン 、例えば、ラットの脳または脊髄のSCドメイン、例えば、膜貫通ドメイン、孔内張りドメ イン、細胞質ドメイン、または細胞外ドメイン、例えば、IIs6(例えば、1〜3から14〜17(IIs6)、18〜23から210〜214(細胞質性)、229〜236から254〜258(IIIS1)、268〜27 2から293〜297(IIIs2)、300〜304から321〜325(IIIs3)、326〜330から347〜351(IIIs4)、368〜374から389〜393(IIIs5)、474〜478から500〜504(IIIs6)、553〜559から 577〜583(IVs1)、589〜593から611〜615(IVs2)、619〜623から642〜646(IVs3)、654〜658から678〜682(IVs4)、690〜694から711〜715(IVs5)、779〜783から801〜805( IVs6)、348〜352から368〜372、501〜505から550〜554、233〜555、676〜678から689〜693、554〜557から941〜945、またはこれらの中の任意の範囲または値)に対応するか、図 7A〜7Dに示す配列番号2または74〜100%の全体にわたる相同性あるいはそれらの中の任意の範囲または値を有し表1または表2に示される置換のようなそれらの変異体に対応す る少なくとも1つのドメインを含み得る。このようなドメインの少なくとも1つは、限定されない例として、図11A〜11Eに示されるPNS SCPまたはそれらのフラグメント中に存在 する。別のドメインはまた、図1、7、9、13、または14、あるいは特殊なコドンとして同じアミノ酸をコードするそれらに対する置換コドンを有する、少なくとも30個の隣接す るヌクレオチドに緊縮な条件下でハイブリダイズするDNAによりコードされる。さらに、リン酸化(例えば、PKAおよびPKC)ドメインがまた、当業者に認識されるように、本発明 によるPNS SCPを提供する場合、あるいは核酸をコードする場合には、考慮される。
相同性または同一性の割合は、例えば、配列情報を、University of Wisconsin Genetics ComputerGroup(UWGCG)から入手可能なGAPコンピュータープログラム(第6版 )を用いて比較することにより決定され得る。GAPプログラムは、SmithおよびWaterman(Adv.Appl.Math.2: 482 (1981))により改訂されたNeedlemanおよびWunsch(J.Mol.Biol. 48: 443(1970))のアラインメント方法を利用する。簡潔には、GAPプログラムは、類似して いる整列した記号(すなわち、ヌクレオチドまたはアミノ酸)の数を2つの配列の短い方の全記号数により割ったものを類似性として定義する。GAPプログラムに対する好ましい 初期設定パラメーターは、以下を含む:(1)SchwartzおよびDayhoff編,ATLASOF PROTEIN SEQUENCE AND STRUCTURE, National Biomedical Research Foundation,353〜358頁(1979)に記載されるように、ユニタリ比較行列(同一性については1の値を、そして非同一につ いては0の値を含む)およびGribskovおよびBurgess,Nucl.AcidsRes. 14: 6745 (1986)の加重比較行列;(2)それぞれのギャップに対して3.0のペナルティーおよびそれ ぞれのギャップにおけるそれぞれの記号に対してさらに0.10のペナルティー;および(3)末端のギャップに対してはペナルティーなし。好ましい実施態様において、本発明のペプ チドは、SCの配列番号2の生物学的活性部分または例えば、図11A〜11Dに示すようなそれらの変異体に対応する。
従って、当業者は、本明細書に示される教示および指針が与えられれば、PNS SCPを得 るために、どのように、SCの他の部分における他のアミノ酸残基を付加、欠失、または置換するかを理解する。これには、例えば、以下の表1または2に示されるような置換を有 する、置換変異体、欠失変異体、または付加変異体が含まれる。
本発明のPNS SCPはまた、そのペプチド中の少なくとも1つのアミノ酸残基が、少なく とも1つの異なるアミノ酸により、保存的に置換、付加、または欠失されている変異体を含む。タンパクの質化学および構造の詳細な説明については、例えば、Schulzら,Princip les of Protein Structure,Springer-Verlag, New York, 1978、およびCreighton,T.E., Proteins: Structure andMolecular Properties, W.H.Freeman & Co.,San Francisco, 1983(これらは、本明細書中に参考として援用される)を参照のこと。コドンの優先性のような推薦されるヌクレオチド配列置換については、Ausubelら編,Current Protocols in Molecular Biology,Greene Publishing Assoc., New York, NY(1987, 1992, 1993, 199 4, 1995)の第A.1.1章〜第A.1.24章、およびSambrookら,Molecular Cloning:A Laborator y Manual, 第2版, Cold Spring Harbor Press, ColdSpring Harbor, NY(1989), 付録C およびDを参照のこと。
本発明のPNS SCPの保存的置換は、そのペプチド中の少なくとも1つのアミノ酸残基が、少なくとも1つの異なるアミノ酸により保存的に、置換、付加、または欠失されている 変異体を含む。このような置換は、好ましくは、表1に示す以下のリストにより行われる。ここで、置換は、日常的な実験により決定され、構造的かつ機能的特性の改変された合 成ペプチド分子が、公知のSC活性アッセイにより決定されるSCの生物学的活性を維持したまま提供され得る。本発明の文脈において、用語PNS SCPまたは「実質的に対応する」は 、このような置換を包含する。
表1 元の残基 代表的な置換
Ala Gly;Ser
Arg Lys
Asn Gln;His
Asp Glu
Cys Ser
Gln Asn
Glu Asp
Gly Ala;Pro
His Asn;Gln
Ile Leu;Val
Leu Ile;Val
Lys Arg;Gln;Glu
Met Leu;Tyr;Ile
Phe Met;Leu;Tyr
Ser Thr
Thr Ser
Trp Tyr
Tyr Trp;Phe
Val Ile;Leu。
あるいは、本発明のPNS SCPの別の群の置換は、タンパク質分子における少なくとも1つのアミノ酸残基が除去されており、そして以下の表2に従って異なる残基がその場所に 付加されているものである。本発明のタンパク質またはペプチド分子において行われ得るこのタイプの置換は、例えば、Schulzら(以下)の表1〜2に示されるもののような、異 なる種の相同なタンパク質間のアミノ酸変化の頻度分析に基づき得る。このような分析に基づいて、別の保存的置換は、本明細書中で以下の5つの群のうちの1つの交換と定義さ れる:
表2
1.小さな脂肪族の非極性または微極性残基:Ala、Ser、Thr、(Pro、Gly);
2.極性で負の電荷を有する残基およびそれらのアミド:Asp、Asn、Glu、Gln;
3.極性で正の電 荷を有する残基:His、Arg、Lys;
4.大きな脂肪族の非極性残基:Met、Leu、Ile、Val、(Cys);および
5.大きな芳香族残基:Phe、Tyr、Trp。
本発明による多くの欠失および付加ならびに置換は、タンパク質またはペプチド分子の 特性に極端な変化を生じない。「特性」は、二次構造(例えば、α-ヘリックスまたはβ-シート)における変化、ならびに生理学的活性における(例えば、レセプター結合アッセ イにおける)変化の両方を定義するために、包含的でない様式で定義される。
従って、特定の置換の上記の例に基づいて、別の置換が日常的な実験によって行われ得 、例えば、SC活性を提供するSCフラグメントの1つ以上の保存的置換を行うことにより、本発明の別のPNS SCPが提供され得る。しかし、置換、欠失、または付加の正確な効果が 確認される場合、当業者は、少なくとも1つの置換、付加、または欠失の効果が、生物学的活性(例えば、ナトリウムチャンネル活性だが、これに限定されない)を確認するため に、少なくとも1つのナトリウムチャンネル活性のスクリーニングアッセイ(例えば、イムノアッセイまたはバイオアッセイだが、これらに限定されない)により評価されること を認識する。
本発明のPNS SCPのアミノ酸配列変異体がまた、そのDNA中の変異により調製され得る。このような変異体は、例えば、アミノ酸配列内の欠失形態、あるいはその付加または置換 を含む。最終的な構築物が、かなりのSC活性を保有するという条件で、任意の組み合わせの欠失、付加、および置換が、最終的な構築物へと到達するために行われ得る。改善され たSC活性は、非変異体ペプチドより高い活性が見出されることが好ましい。明らかに、変異体をコードするDNA中に作製される変異は、その配列をリーディングフレームの外にお くべきでなく、そしてmRNAの二次構造(例えば、EP特許出願公開第75,444号;Ausubel、以下;Sambrook、以下を参照のこと)を生じ得る相補的な領域を創出しないことが好まし い。遺伝子レベルでは、これらの変異体は、通常、PNS SCPをコードするDNAにおけるヌクレオチドの部位特異的変異誘発により調製され、それにより変異体をコードするDNAが生 成され、そしてその後、組換え細胞培養においてDNAを発現する。変異体は、代表的に、天然に存在するSC(例えば、Ausubel、以下;Sambrook、以下を参照のこと)と質的に同 じ生物学的活性を示す。
一旦PNSナトリウムチャンネルの構造または特性が決定されると、PNS SCPは、公知の方 法工程(例えば、Ausubel、以下;Sambrook、以下を参照のこと、これらは、本明細書中 に参考として全体が援用される)によって、組換えまたは合成により生産され得、必要に応じて精製され、診断または研究への適用に使用するために商業的に利用可能な量のPNS SCPが提供される。
当該分野で公知の種々の方法論が、本発明の単離されたPNS SCPを得るために利用され 得る。1つの実施態様において、ペプチドは、天然にそのペプチドを生成する組織または 細胞から精製される。あるいは、上記の単離された核酸フラグメントは、任意の生物中で、PNS SCPタンパク質を発現するために用いられ得る。本発明のサンプルは、細胞、細胞 のタンパク質抽出物または膜抽出物、あるいは生物学的液体を含む。サンプルは、アッセイの形式、検出方法、ならびにサンプルとして使用される組織、細胞、または抽出物の性 質に基づいて変化し得る。
細胞および/または組織は、例えば、正常なまたは病的な動物細胞または組織(例えば、末梢神経系、およびそれらの抽出物または細胞培養物)を含み得、培養された、継代さ れた、継代されていない、形質転換された、組換えの、または単離された、細胞および/または組織としてインビボ、インサイチュ、またはインビトロで提供される。
任意の高等真核生物が、その供給源の生物が天然にこのようなペプチドを含む限り、本発明の少なくとも1つのPNS SCIまたはPNS SCPの供給源として用いられ得る。本明細書中 で用いられるように、「供給源の生物」は、その生物でそのペプチドが発現されるか、および/または最終的に単離されるかにかかわらず、そのペプチドのアミノ酸配列が提供さ れた元の生物を指す。少なくとも1つのPNS SCIまたはコードされる核酸の供給源として好ましい生物は、任意の脊椎動物(例えば、哺乳動物、鳥類、硬骨魚、デンキウナギ、カ エル、およびヒキガエル)であり得る。哺乳動物のなかでは、好ましいレシピエントは、霊長類(ヒト、ヒトニザル(ape)、およびサル(monkey)を含む)、偶蹄類(Arterioda ctyla)(ウマ、ヤギ、ウシ、ヒツジ、ブタを含む)、齧歯類(マウス、ラット、ウサギ、およびハムスターを含む)、および食肉類(ネコおよびイヌを含む)の哺乳動物である 。最も好ましい供給源の生物は、ヒトである。
当業者は、天然の混入物を含まないペプチドを得るために、公知のタンパク質の単離方法を容易に行うことができる。これらは、以下を含むがこれらに限定されない:イムノク ロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、HPLC、イオン交換クロマトグラフィー、およびイムノアフィニティークロマトグラフィー。例えば、Ausubel、以下;Sambroo k、以下;Colligan、以下を参照のこと。
PNS SCPペプチドをコードする単離された核酸分子 1つの実施態様において、本発明 は、新規なPNS SCPに対応するアミノ酸配列を有するペプチドをコードする、単離された核酸分子に関する。1つの好ましい実施態様において、この単離された核酸分子は、配列 番号1に存在する少なくとも60ヌクレオチド配列に対して70%を超える、全体にわたる同一性または相同性を有するPNS SCPヌクレオチド配列を含む(好ましくは80%を超える; より好ましくは90%を超える、例えば、70〜99%の任意の範囲または値)。別の好ましい実施態様において、この単離された核酸分子は、図1、7、または9に対応するか、ある いは図1、7、8、10、および11の少なくとも1つのドメインをコードするPNS SCPヌク レオチド配列を含む。
本明細書中に記載の単離された核酸分子およびそれらの誘導体の機能的等価物もまた、 本発明の範囲内に含まれる。例えば、PNS SCPアミノ酸配列について上記のように、配列 番号1に示した核酸配列は、機能的に等価な分子を提供する置換、付加、または欠失によ って改変され得る。ヌクレオチドコード配列の縮重のために、PNS SCPの実質的に同じア ミノ酸配列をコードする他のDNA配列が、本発明の実施において使用され得る。これらは 、図1、8、10、および11のPNS SCPアミノ酸配列のすべてまたは一部をコードするアミノ酸配列を含むが、これらに限定されない。これらは、その配列内で機能的に等価なアミ ノ酸残基をコードする異なるコドンの置換により改変され、それによりサイレントな変化を生じる。
所定の核酸配列のこのような機能的改変は、それに融合された外来アミノ酸配列により コードされる異種タンパク質の分泌および/またはプロセシングを促進する機会を与える。従って、遺伝コードにより許容されるPNS SCP遺伝子およびそれらのフラグメントのヌ クレオチド配列のすべての変異体は、本発明に含まれる。例えば、Ausubel、以下;Sambrook、以下を参照のこと。
さらに、核酸配列は、図1、7、または9に対応するか、あるいは図1、8、10、また は11の少なくとも一部またはそれらの変異体をコードする、5'末端および/または3'末端の核酸配列に対して、少なくとも1つのヌクレオチドの付加、欠失、または置換により もたらされるヌクレオチド配列を含み得る。任意のヌクレオチドまたはポリヌクレオチドが、その付加、欠失、または置換が、そのヌクレオチド配列によりコードされるナトリウ ムチャンネル活性を消去しないという条件でこれに関して用いられ得る。さらに、本発明の核酸分子は、必要に応じて、コードされるPNS SCPの活性を消去しない制限エンドヌク レアーゼ認識部位を有し得る。
さらに、コドンを欠失したり、または1つ以上のコドンを縮重コドン以外のコドンにより置換して、構造的に改変されたペプチド(しかし、これは、改変されないアミノ酸分子 により生成されるペプチドと実質的に同じ有用性または活性を有する)を生成することが可能である。当該分野で認識されるように、その2つのペプチドは、たとえその核酸分子 間の相違が遺伝コードの縮重と関係していないとしても、それらの産生に対して生じる2つの核酸分子であるために、機能的に等価である。例えば、Ausubel、以下;Sambrook、 以下を参照のこと。
核酸の単離 本発明の別の局面において、PNS SCPに対応するアミノ酸配列を有するペ プチドをコードする単離された核酸分子が提供される。特に、その核酸分子は、高等真核 生物から得られるPNS SCに特異的なプローブに対応するように、哺乳動物核酸を含有する生物学的サンプルから単離され得る。
核酸分子は、核酸を含有する生物学的サンプルから公知の技術(例えば、プライマー増 幅またはcDNAクローニングであるが、これらに限定されない)を用いて単離され得る。
核酸分子は、ゲノムDNAを含有する生物学的サンプルまたはゲノムライブラリーから単 離され得る。適切な生物学的サンプルは、正常または病的な動物細胞または組織、例えば、脳脊髄液(CNS)、末梢神経系(神経、神経節)、および、心臓、平滑筋、骨格筋、ま たは心筋、自律神経系の一部、細胞、および培養された、継代された、継代されていない、形質転換された、組み換えの、または単離された、細胞および/または組織としてイン ビボ、インサイチュ、またはインビトロで提供される、それらの抽出物または細胞培養物を含むが、これらに限定されない。生物学的サンプルを得る方法は、サンプルの性質によ り変化する。
当業者は、哺乳動物のゲノムが、個体の間のわずかな対立遺伝子変異体に供され得ることを理解する。従って、その単離された核酸分子はまた、その配列がPNS SCPをコードす る限り、対立遺伝子変異を包含することが意図される。PNS SCP対立遺伝子が、図1、8、10、または11に見出されるものと同一のアミノ酸配列または少なくともそれらのドメイ ンをコードしない場合、PNS SCPとして本明細書中に用いられるのと同じ技術、特に、本明細書中に開示される配列に基づくプライマーを用いて、適切な遺伝子を増幅するための 核酸増幅技術を用いて、単離および同定され得る。このような変異体は、例えば、図11および表1および2に示される。
大きなcDNAのクローン化は、同様である(例えば、本発明のPNS SCPとしてのPN1は、約 13kDaの重複するクローンを含む)が、小さなcDNAよりも多くの日常的な実験を必要とする。1つの有用な方法は、cDNAバクテリオファージライブラリースクリーニングによる( 例えば、Sambrook、以下;Ausubel、以下を参照のこと)。スクリーニングのためのプローブは、例えば、ランダムヘキサマーおよびクレノウ酵素(Pharmaciaキット)を用いて 標識される。5'cDNAがこれらのアプローチによって得られない場合、subcDNAライブラリーが調製され得、ここで、オリゴdTまたはランダムプライマーの代わりに、特異的なPN1 プライマーが逆転写反応を準備するために用いられる。次いで、cDNAサブライブラリーは、標準的なベクター(例えば、λzap)にクローン化され、そして従来の技術を用いてス クリーニングされる。このストラテジーは、以前、脳のI型およびII型ナトリウムチャンネルcDNAをクローン化するために用いられた(Nodaら,Nature 320: 188-192 (1986); Nod aら, Nature 322:826-828 (1986))。完全長cDNAの構築は、重複するフラグメントを発 現ベクター(原核生物性または真核生物性のいずれか)にサブクローン化することにより行われる。この仕事は、大きなcDNAについてはより難しい。なぜなら、単一の制限部位が 少ないにもかかわらず、フラグメントを連結するために日常的に制限、クローン化、またはPCRが用いられるからである。
核酸の合成 本発明の単離された核酸分子はまた、化学的に合成されたものを含むこと が意図される。例えば、PNS SCP遺伝子の発現産物をコードするヌクレオチド配列を有す る核酸分子は、設計され得、そして必要であれば、適切なより小さいフラグメントに分割 される。次いで、核酸分子または分割されたフラグメントのそれぞれに対応するオリゴマーは、合成され得る(例えば、10〜6015ヌクレオチドまたはその中の任意の範囲または値 、例えば、10〜100ヌクレオチド)。このような合成オリゴヌクレオチドは、例えば、公知の技術(例えば、Ausubel、以下;Sambrook、以下を参照のこと)によって、または自 動DNA合成機を用いることによって調製され得る。
標識されたオリゴヌクレオチドプローブは、合成またはクローン化により分割される。 必要であれば、そのオリゴマーの5'末端は、T4ポリヌクレオチドキナーゼを用いてリン酸化され得る。アニール化の前または標識化のための一本鎖のリン酸化は、過剰の酵素を 用いることにより達成され得る。リン酸化がプローブの標識のためである場合、ATPは比活性の高い放射性同位元素を含有し得る。次いで、DNAオリゴマーは、アニール化およびT 4リガーゼなどを用いる連結に供され得る。
PNS SCPの特異的欠失のための核酸プローブ 別の実施態様において、本発明は、上記 の核酸分子または少なくとも1つのPNS SCPをコードする核酸に緊縮な条件下で結合する少なくとも1つのそれらのフラグメントを含むサンプルにおける、PNS SCPの存在の特異 的な検出のための15〜6000ヌクレオチドの核酸プローブに関する。
この核酸プローブは、本発明のPNS SCPをコードする核酸分子を得るために、公知のハ イブリダイゼーション方法の工程により、適切な染色体ライブラリーまたはcDNAライブラリーをスクリーニングするために用い得る。染色体DNAまたはcDNAライブラリーは、当該 分野で認識される方法(例えば、Ausubel、以下;Sambrook、以下を参照のこと)によって適切な細胞から調製され得る。
あるいは、PNS SCPのアミノ酸配列の適切な部分に対応するヌクレオチド配列を有する 核酸プローブを得るために、有機化学合成が行われる。従って、合成された核酸プローブは、核酸増幅方法の工程においてプライマーとして用いられ得る。
従って、本発明は、熱に安定な、交差結合する核酸プライマーを用いて、DNAおよび/またはRNAの増幅方法を提供し得る。このプライマーは、本発明のプライマーに交差連結 して本発明によるPNS SCPをコードする核酸を提供する。
RNAまたはDNAの増幅方法は当該分野で周知であり、そして本明細書中に示される教示お よび指針に基づいて、過度の実験を行うことなく本発明によって用いられ得る。本発明により、本発明によるPNS SCPの部分をコードする核酸の増幅プライマーとしての使用は、 増幅の感度、選択性、および/または速度における増加のために、公知の増幅プライマーを上回る利点を可能とする。
DNAまたはRNAの増幅の公知の方法は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)および関連する増 幅方法(例えば、Mullisらに対する米国特許第4,683,195号、同第4,683,202号、同第4,800,159号、同第4,965,188号;Taborらに対する同第4,795,699号および同第4,921,794号;I nnisに対する同第5,142,033号;Wilsonらに対する同第5,122,464号;Innisに対する同第5,091,310号;Gyllenstenらに対する同第5,066,584号;Gelfandらに対する同第4,889,818 号;Silverらに対する同第4,994,370号;Biswasに対する同第4,766,067号;Ringoldに対する同第4,656,134号;Groszらに対する同第5,340,728号;Gelfandらに対する同第5,322, 770号;Scaliceらに対する同第5,338,671号;CetusCorpに対するPCT WO 92/06200;Stra ckらに対するPCT WO 94/14978、この特許の開示は、本明細書中に参考として全体が援用 される)および二本鎖DNA合成のテンプレートとして標的配列に対するアンチセンスRNAを用いるRNA媒介増幅(商標NASBAを用いる、Malekに対する米国特許第5,130,238号)(これ らの特許および参考文献の全体の内容は、本明細書中に参考として全体が援用される)を包含するが、これらに限定されない。PCRの総説は、Mullis(Cold Spring Harbor Symp. Quant. Biol. 51:263-273 (1986));Saikiら(Bio/Technology 3:1008-1012 (1985));お よびMullisら(Meth.Enzymol.155: 335-350 (1987))により提供される。当業者は、本明 細書中に開示された配列に基づいて、当該分野で公知のコンピューターアラインメントお よび配列分析のような方法を用いて、このようなプローブを容易に設計し得る。例えば、Ausubel、以下;Sambrook、以下を参照のこと。
本発明のハイブリダイゼーションプローブは、例えば、放射標識、酵素標識、蛍光標識、ビオチン−アビジン標識、化学発光、および任意の他の公知で適切な標識を用いる標準 的な標識技術によって標識され得る。ハイブリダイゼーション後、プローブは公知の方法を使用して可視化され得る。本発明の核酸プローブには、RNAプローブおよびDNAプローブ が含まれ、このようなプローブは、当該分野において公知の技術を用いて作成される(例えば、Ausubel、下記;Sambrook、下記を参照)。上記の方法の1つの実施態様において、 核酸プローブは固体支持体に固定される。このような固体支持体の例には、プラスチック(例えば、ポリカーボネート)、複合炭水化物(例えば、アガロースおよびSEPHAROSE)、な らびにアクリル樹脂(例えば、ポリアクリルアミドおよびラテックスビーズ)が含まれるが、これらに限定されない。核酸プローブをこのような固体支持体に結合させる技術は、当 該分野において周知である(例えば、Ausubel、下記;Sambrook、下記)。
本発明の核酸プローブ法に適切な試験サンプルには、例えば、細胞または細胞の核酸抽 出物、あるいは生物学的液体が含まれる。上記の方法において使用されるサンプルは、アッセイの方式、検出方法、およびアッセイされるべき組織、細胞または抽出物の性質に基 づいて変化する。細胞の核酸抽出物を調製するための方法は当該分野において周知であり、そして利用する方法に適合するサンプルを得るために容易に適応され得る。
生物学的サンプルにおけるPNS SCPをコードする核酸の存在を検出するための方法。別の実施態様において、本発明は、サンプルにおけるPNS SCPをコードする核酸の存在を検 出するための方法に関する。このような方法は、(a)このサンプルを上記核酸プローブと、ハイブリダイゼーションを生じる条件下で、接触させる工程、および(b)この核酸プロ ーブに結合した標識プローブを検出する工程を包含する。当業者は、上記のような当該分野において公知の技術に従って、適切な、標識された核酸プローブを選択し得る。試験さ れるべきサンプルには、哺乳動物組織のRNAサンプルが含まれるが、これに限定されない。
PNS SCPは末梢神経および後根神経節細胞において発現することが見出されている。従 って、PNS SCPプローブは、このような生物学的サンプルにおけるPN細胞由来のRNAの存在を検出するために使用され得る。さらに、正常レベルと比較したとき、個体におけるPNS SCP RNAの発現レベルの変化は、疾患の存在を示し得る。PNS SCPプローブは、さらに、末梢神経系組織において一般的および特異的な細胞活性をアッセイするために使用され得る 。
サンプルにおけるPNS SCPの存在を検出するためのキット。別の実施態様において、本発明は、サンプルにおけるPNS SCPの存在を検出するための、上記核酸プローブが配置さ れた少なくとも1つの容器を含むキットに関する。好ましい実施態様において、キットは、1またはそれ以上の下記のものを含む他の容器をさらに含む:洗浄試薬、および結合し た核酸プローブの存在を検出し得る試薬。検出試薬の例には、放射標識プローブ、酵素標識プローブ(西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ)、および親和性標識 プローブ(ビオチン、アビジン、またはストレプトアビジン)が含まれるが、これらに限定されない(例えば、Ausubel、下記;Sambrook、下記を参照)。
区画化されたキット(compartmentalizedkit)には、試薬が別個の容器に含まれる任意 のキットが含まれる。このような容器には、小さなガラス容器、プラスチック容器、また はプラスチックまたは紙の小片(strip)が含まれる。このような容器は、ある区画から別の区画への試薬の効率的な移動を可能にし、サンプルおよび試薬が互いに混入せず、そし て各容器の因子(agent)または溶液がある区画から別の区画へ定量的な様式で添加され得る。このような容器には、試験サンプルを受容する容器、アッセイに使用されるプローブ またはプライマーを含む容器、洗浄試薬(例えば、リン酸緩衝化生理食塩水、TRIS緩衝液など)を含む容器、およびハイブリダイズしたプローブ、結合した抗体、増幅産物などを 検出するために使用される試薬が含まれる。
当業者は、本願に記載される核酸プローブが、当該分野において周知である確立されたキット方式のうちの1つに容易に組み込まれ得ることを容易に認識する。
PNS SCP核酸分子を含むDNA構築物、およびこれらの構築物を含む宿主。本発明のPNSSC Pをコードする核酸配列は、従来技術(連結のための平滑末端化末端またはスタッガー末端 化末端、適切な末端を提供する制限酵素消化、付着末端の適切な充填、望ましくない結合を避けるためのアルカリホスファターゼ処理、および適切なリガーゼでの連結)に従って ベクターDNAと組換えられ得る。このような操作のための技術は、例えば、Ausubelら、下記により開示され、そして当該分野において周知である。
核酸分子(例えば、DNA)は、それが転写および翻訳調節情報を含む核酸配列を含み、そしてこのような配列がポリペプチドをコードするヌクレオチド配列に「作動可能に連結し ている」場合、ポリペプチドを「発現し得る」という。作動可能な連結は、調節DNA配列および発現することを求められるDNA配列が、回収可能な量で、PNS SCPまたはAbフラグメ ントとしての遺伝子発現を可能にする方法で接続している連結である。遺伝子発現に必要とされる調節領域の正確な性質は、類似の分野において周知であるように生物ごとに変化 する(例えば、Sambrook、下記;Ausubel、下記を参照)。
従って、本発明は、真核細胞性の発現が好ましいが、原核生物細胞または真核生物細胞 のいずれかにおけるPNS SCPの発現を包含する。
好ましい宿主は、細菌宿主または真核生物宿主(インビボまたはインサイチュの細菌、酵母、昆虫、菌類、鳥類および哺乳動物の細胞、あるいは哺乳動物、昆虫、鳥類または酵 母起源の宿主細胞を含む)である。哺乳動物の細胞または組織は、ヒト、霊長類、ハムスター、ウサギ、齧歯類、ウシ、ブタ、ヒツジ、ウマ、ヤギ、イヌ、またはネコ起源である ことが好ましいが、任意の他の哺乳動物細胞を使用し得る。
真核生物宿主には、酵母、昆虫、菌類、およびインビボまたは組織培養の哺乳動物細胞が含まれ得る。好ましい真核生物宿主はまた、昆虫細胞、インビボまたは組織培養のいず れかの哺乳動物細胞を含むが、これらに限定されない。好ましい哺乳動物細胞には、Xenopus卵母細胞、HeLa細胞、線維芽細胞起源の細胞(例えば、VEROまたはCHO-K1)、あるいは リンパ様起源の細胞およびその誘導体が含まれる。
哺乳動物細胞は、タンパク質分子に対する翻訳後改変(正確な折り畳みまたは正確な部 位でのグリコシル化)を提供する。宿主として有用であり得る哺乳動物細胞には、線維芽細胞起源の細胞(例えば、NIH3T3、VEROまたはCHOであるが、これらに限定されない)、ま たはリンパ様起源の細胞(例えば、ハイブリドーマSP2/O-AgJ4またはマウスミエローマP3-X63Ag8であるが、これらに限定されない)、ハムスター細胞株(例えば、CHO-KIおよび始原 細胞、例えば、CHO-DUXB11)およびその誘導体が含まれる。哺乳動物細胞の1つの好ましいタイプは、遺伝的に欠陥のある細胞の機能をインビボで置換することを意図される細胞 である。神経系由来の細胞は、神経系の疾患の遺伝子療法に好ましい。哺乳動物細胞宿主について、多くの可能なベクター系が少なくとも1つのPNS SCPの発現のために利用可能 である。広範囲の転写および翻訳調節配列が、宿主の性質に依存して用いられ得る。転写および翻訳調節シグナルは、ウイルス起源(例えば、アデノウイルス、ウシパピローマウ イルス、シミアンウイルスなどであるが、これらに限定されない)に由来し得る。ここで、調節シグナルは、高レベルに発現する特定の遺伝子に関連する。あるいは、哺乳動物発 現産物(例えば、アクチン、コラーゲン、ミオシン、タンパク質産生であるが、これらに限定されない)由来のプロモーター(Ausubel、下記;Sambrook、下記を参照)に関連する。
生きている昆虫を使用する場合、silkmoth caterpillarおよびバキュロウイルスベク ターが、本発明に従う大規模なPNS SCP産生のために現在好ましい宿主である。昆虫におけ るPNS SCPの産生は、例えば、この昆虫宿主を、関連分野における当業者に公知の方法に よって少なくとも1つのPNS SCPを発現するように操作されたバキュロウイルスに感染させることによって達成され得る(Ausubelら編、Current Protocols in Molecular Biology , WileyInterscience,§§16.8-16.11(1987, 1992, 1993, 1994)を参照)。
好ましい実施態様において、導入されたヌクレオチド配列は、レシピエント宿主において自己複製可能なプラスミドまたはウイルスベクターに組み込まれ得る。任意の広範囲の ベクターがこの目的のために用いられ得る(例えば、Ausubelら、下記、§§1.5、1.10、7.1、7.3、8.1、9.6、9.7、13.4、16.2、16.6、および16.8-16.11を参照)。特定のプラス ミドまたはウイルスベクターを選択する際の重要な要因には、容易に、このベクターを含むレシピエント細胞が認識され、そしてこのベクターを含まないレシピエント細胞から選 択され得ること;特定の宿主において望ましいベクターのコピー数;および異なる種の宿主細胞間でベクターを「往復(shuttle)」させ得ることを望むかどうかが含まれる。
異なる宿主細胞は、タンパク質の翻訳および翻訳後のプロセッシングおよび改変(例えば、グリコシル化、切断)のための特徴的で特異的な機構を有する。適切な細胞株または 宿主系は、発現した外来タンパク質の所望の改変およびプロセッシングを確実にするよう選択され得る。例えば、細菌系における発現は、非グリコシル化コアタンパク質産物を産 生させるために使用され得る。酵母における発現はグリコシル化産物を産生する。哺乳動物細胞における発現は、異種PNS SCPタンパク質の「天然」のグリコシル化を確実にする ために使用され得る。さらに、異なるベクター/宿主発現系は、異なる程度のプロセッシング反応(例えば、タンパク質分解切断)をもたらし得る。
上記のように、真核生物宿主におけるPNS SCPの発現は真核生物の調節領域の使用を必要とする。このような領域には、一般には、RNA合成の開始を指揮するに十分なプロモー ター領域が含まれる(例えば、Ausubel、下記;Sambrook、下記)。
一旦、ベクターまたは核酸分子を含む構築物が発現のために調製されると、このDNA構 築物は、任意の種々の適切な手段(すなわち、形質転換、トランスフェクション、コンジュゲーション(conjugation)、プロトプラスト融合、エレクトロポレーション、パーティ クルガン技術、リン酸カルシウム沈降、ダイレクトマイクロインジェクションなど)によって適切な宿主細胞に導入され得る。ベクターの導入後、レシピエント細胞は、ベクター 含有細胞の増殖について選択する選択培地で増殖させられる。クローン化遺伝子分子の発現は、少なくとも1つのPNS SCPの産生を生じる。このことは、形質転換細胞自体または これらの細胞の分化の誘導(例えば、神経芽腫細胞へのブロモデオキシウラシルの投与によるなど)後に生じ得る。
PNS SCPの単離。本発明のPNS SCPタンパク質またはフラグメントは、上記の組換えDNA からの発現によって得られ得る。あるいは、PNS SCPは生物学的材料から精製され得る。 そのように所望であれば、発現した少なくとも1つのPNS SCPは、従来方法の工程(例えば 、抽出、沈降、クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、電気泳動など)に従って単離および精製され得る。例えば、少なくとも1つのPNS SCPを適切なレベルで 発現する細胞は、遠心分離により回収され、または適切な緩衝液を用いて溶解され、そして例えば、DEAE−セルロース、ホスホセルロース、ポリリボシチジル酸−アガロース、ヒ ドロキシアパタイト上でのカラムクロマトグラフィー、あるいは電気泳動または免疫沈降によってタンパク質を単離され得る。あるいは、PNS SCPは、特異的抗体(例えば、PNS SC PまたはSC抗体であるが、これらに限定されない)の使用によって単離され得る。このような抗体は、公知方法の工程によって得られ得る(例えば、Colligan、下記;Ausubel、下記 を参照)。
本発明の目的のために、精製の1つの方法(例示的であって、限定されない)は、以下の工程を包含する。PNS SCPの精製における最初の工程は、可溶化剤(例えば、尿素、ギ酸、 界面活性剤、またはチオシアネート)を含むかまたは含まない緩衝液中の生物学的サンプル(例えば、末梢神経組織または後根神経節(DRG))からのPNS SCP画分の抽出を包含する。 第2の工程は、可溶化された材料を、Mono-QまたはMono-Sカラム(PharmaciaLKB Biotech nology,Inc.;Piscataway, NJ)上でのイオン交換クロマトグラフィーにかける工程を包含 する。同様に、可溶化された材料は、分子が、例えば、電荷密度、電荷分布および分子サイズに従って分離され得る任意の他のプロセスによって分離され得る。イオン交換樹脂か らのPNS SCPの溶出は、各画分に対するイムノアッセイ(例えば、M-IRMA)によってモニターされる。次いで、免疫反応性ピークは透析され、凍結乾燥され、そして分子ふるいまた はゲルクロマトグラフィーにかけられる。第3の工程において、分子ふるいまたはゲルクロマトグラフィーは、分離が分子サイズに基づく分配クロマトグラフィーの1つのタイプ である。デキストラン、ポリアクリルアミド、およびアガロースゲルが、このタイプの分離のために通常使用される。本発明に有用な1つのゲルは、SEPHAROSE12(Pharmacia LKB Biotechnology, Inc.)である。しかし、当業者に公知の他の方法が、サイズに基づいて分子を効果的に分離するために使用され得る。PNS SCPの精製プロトコルにおける第4の工 程は、免疫反応性ピークを、ドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)によって分析する工程、さらなるゲルクロマトグラフィー精製工程、および染 色工程(例えば、銀染色など)を包含し得る。精製方法における第5の工程は、SDS-PAGE後に得られたPNS SCPをアフィニティークロマトグラフィー、または単離されるべき物質と これが特異的に結合し得る分子との間の親和性に基づく他の任意の手順にかける工程を包含し得る。PNS SCPのさらなる精製のために、抗PNS SCP mAb(実質的に純粋なPNS SCPに対 して作成された特異的mAb)に結合したSEPHAROSE上でのアフィニティークロマトグラフィーが使用され得る。別の方法(例えば、逆相HPLC)または良好なピーク分解能を有する迅速 な分離によって特徴付けられる他の任意の方法が有用である。
他の精製工程が上記の好ましい方法に代わり得ることが理解される。当業者は過度な実 験を要することなく別の精製スキームを考案し得る。
PNS SCPペプチドに対して結合親和性を有する抗体およびこの抗体を含むハイブリドー マ。別の実施態様において、本発明は、上記のようなPNS SCPペプチドまたはそのフラグメントに対して特異的な結合親和性を有する抗体に関する。PNS SCPに対して選択的に結 合する抗体が、PNS SCPを含む組織におけるPNS SCP発現の変化の分析を含むが、これに限定されない方法において使用されるために選択される。
本発明のPNS SCPタンパク質は、種々の手順および方法(例えば、抗体の作成のため、薬学組成物の同定に使用するため、およびDNA/タンパク質相互作用を研究するため)におい て使用され得る。本発明のPNS SCPペプチドは、抗体またはハイブリドーマを作成するために使用され得る。当業者は、抗体を所望する場合、このようなペプチドが、本明細書中 に記載されるように作成され、そして免疫原として使用されることを認識する。
本発明の抗体は、モノクローナルおよびポリクローナル抗体、ならびにこれらの抗体の フラグメントを包含する。本発明は単鎖抗体をさらに包含する。この分子のイディオタイプを含む抗体フラグメントは、公知技術により作成され得る。
用語「抗体」は、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体(mAb)、キメラ抗体、可溶形態または結合形態で標識され得る抗体に対する抗イディオタイプ(抗Id)抗体、ならびに 任意の公知技術(例えば、酵素的切断、ペプチド合成または組換え技術であるが、これらに限定されない)によって提供されるそれらのフラグメントを包含することを意図される 。ポリクローナル抗体は、抗原で免疫した動物の血清に由来する抗体分子の不均質な集団である。モノクローナル抗体は、抗原に対して特異的な抗体の実質的に均質な集団を含む 。この集団は、実質的に同じエピトープ結合部位を含む。mAbは当業者に公知の方法によって得られ得る(例えば、KohlerおよびMilstein、Nature 256:495-497(1975);米国特許 第4,376,110号;Ausubelら編、CURRENTPROTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY, Greene Publi shing Assoc. and WileyInterscience, N.Y.,(1987, 1992);ならびにHarlowおよびLane 、ANTIBODIES: A LABORATORYMANUAL Cold Spring Harbor Laboratory(1988);Colligan ら編、Current Protocols inImmunology, Greene Publishing Assoc. and Wiley Inters cience,N.Y.,(1992, 1993)、これらの文献の内容は、全体が、本明細書中に参考として援用される)。このような抗体は、任意の免疫グロブリンクラス(IgG、IgM、IgE、IgA、GILD およびこれらの任意のサブクラスを含む)であり得る。本発明のmAbを産生するハイブリドーマは、インビトロ、インサイチュまたはインビボで培養され得る。インビボまたはイン サイチュでの高力価のmAbの産生が現在好ましい産生方法である。
キメラ抗体は、異なる部分が異なる動物種に由来する分子(例えば、マウスmAbに由来す る可変領域およびヒト免疫グロブリンの定常領域を有する分子)である。これは、主に、適用における免疫原性を減少させるため、および産生における収率を増大させるために使 用される。例えば、マウスmAbは、ハイブリドーマからのより高い収率を有するが、ヒトにおけるより高い免疫原性を有するので、ヒト/マウスキメラmAbが使用される。キメラ 抗体およびその作成方法は当該分野において公知である(Cabillyら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 81:3273-3277(1984);Morrisonら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 81:6851-6855(1984);Boulianneら、Nature 312:643-646(1984);Cabillyら、欧州特許出願第125023号;Neuber gerら、Nature314:268-270(1985);Taniguchiら、欧州特許出願第171496号;Morrisonら 、欧州特許出願第173 494号;Neubergerら、PCT出願第WO86/01533号;Kudoら、欧州特許出願第184187号;Morrisonら、欧州特許出願第173 494号;Sahaganら、J.Immunol. 137:1 066-1074(1986);Robinsonら、国際特許公開第PCT/US86/02269号;Liuら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84:3439-3443(1987);Sunら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84:214-218(1987);Betterら、Science 240:1041-1043(1988);ならびにHarlow、下記。これらの文献は本明細 書中に参考として全体が援用される)。
抗イディオタイプ(抗Id)抗体は、抗体の抗原結合部位に一般的に関連する独特な決定基 を認識する抗体である。Id抗体は、mAbの供給源と同じ種および遺伝型の動物(例えば、マウス系統)を、mAb(これに対して抗Idが調製される)で免疫することによって調製され得る 。免疫された動物は、免疫抗体のイディオタイプ決定基を認識し、そしてこれに対して、これらのイディオタイプ決定基に対する抗体(抗Id抗体)を産生することによって応答する (例えば、米国特許第4,699,880号(これは、本明細書中に参考として援用される)を参照)。
抗Id抗体はまた、さらに別の動物において、いわゆる抗-抗Id抗体を産生する免疫応答 を誘導するための「免疫原」として使用され得る。抗-抗Idは、抗Idを誘導した元のmAbとエピトープが同一であり得る。従って、mAbのイディオタイプ決定基に対する抗体を使用 することによって、特異性が同一である抗体を発現する他のクローンを同定することが可能である。
従って、本発明のPNS SCPに対して作成されたmAbは、適切な動物(例えば、BALB/cマウ ス)において、抗Id抗体を誘導するために使用され得る。このような免疫された動物に由来する脾臓細胞は、抗Id mAbを分泌する抗Idハイブリドーマを作成するために使用される 。さらに、抗Id mAbは、キャリア(例えば、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH))に結合され、そして別のBALB/cマウスを免疫するために使用され得る。これらのマウス由来 の血清は、PNS SCP特異的エピトープに対して特異的な元のmAbの結合特性を有する抗抗Id抗体を含む。従って、抗Id mAbは、それ独自のイディオタイプエピトープ、または評価さ れるエピトープと構造的に類似する「イディオトープ」を有する。
用語「抗体」はまた、インタクトな分子および抗原に結合し得るそのフラグメント(例 えば、FabおよびF(ab')2)の両方を包含することを意味する。FabおよびF(ab')2フラグメントは、インタクトな抗体のFcフラグメントを欠き、循環からより迅速に排除され、そし てインタクトな抗体より非特異的な組織結合が少ない(Wahlら、J.Nucl.Med.24:316-325(1983))。本発明において有用な抗体のFabおよびF(ab')2ならびに他のフラグメントは、イ ンタクトな抗体分子について本明細書中で開示した方法に従って、PNS SCPの検出および/ または定量のために使用され得ることが理解される。このようなフラグメントは、代表的 には、酵素、例えば、パパイン(Fabフラグメントを作成するため)またはペプシン(F(ab')2フラグメントを作成するため)を使用するタンパク質分解切断によって作成される。抗体 は、それが分子と特異的に反応し、そのことによってこの分子を抗体に結合させ得る場合、この分子に「結合し得る」という。用語「エピトープ」は、抗体によって結合され得る 任意の分子の部分(これもまたこの抗体によって認識され得る)に言及することが意図される。エピトープまたは「抗原決定基」は、通常、分子の化学的に活性な表面配置(groupin g)(例えば、アミノ酸または糖側鎖)からなり、そして特異的な三次元構造的特性および特異的な電荷特性を有する。
「抗原」は、抗体によって結合され得る分子または分子の部分であって、さらに、その 抗原エピトープに結合し得る抗体を動物に産生させ得る分子または分子の部分である。抗原は、1つまたは1つより多いエピトープを有し得る。上記で言及した特異的反応は、抗 原が高度に選択的な様式で対応する抗体と反応し、そして他の抗原によって誘発され得る多数の他の抗体とは反応しないことを示すことを意味する。
イムノアッセイ。本発明の抗体(PNS SCPに対する抗体)は、PNS SCまたはPNSSC関連の 病状を検出または診断するために使用され得る。本発明によって提供されるスクリーニン グ方法には、PNS SCPに対する特異的抗体(モノクローナルまたはポリクローナル)の作成に基づく、例えば、ラジオイムノアッセイ(RIA)または酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA) 方法論を用いるイムノアッセイが含まれる。これらのアッセイのために、生物学的サンプルは、神経生検、または他の末梢神経系組織採取によって得られる。例えば、ある形態の RIAでは、試験される物質は、放射標識された抗原の存在下で、希釈された抗血清と混合される。この方法では、試験物質の濃度は、特異的抗体に結合した標識された抗原の量に 反比例し、そして標識された遊離抗原の量に直接関係(正比例)する。他の適切なスクリーニング方法は当業者に容易に明かである。
さらに、当業者は、合理的に設計された抗ペプチドペプチド(例えば、Hurbyら、「合成 ペプチドの応用:アンチセンスペプチド」、SyntheticPeptides, A User's Guide, W.H. Freeman, NY, 289〜307頁(1992)、ならびにKaspczakら、Biochemistry28:9230-8(1989) を参照)を作成するために、現在利用可能な手順、ならびに抗体に関して上記で開示した 技術、方法およびキットを、特定のペプチド配列に結合し得るペプチドを作成するよう容易に適応させ得る。
PNS SCPを含む生物学的サンプルに対して本発明の診断アッセイを実施するための1つ の実施態様は、 (a)検出可能に標識されたPNS SCP特異的抗体を固体支持体と接触させて、このPNS SCP 特異的抗体またはそのフラグメントを固定化する工程; (b)PNS SCPを含むことが疑われるサンプルと上記固体支持体を接触させる工程; (c)上記検出可能に標識されたPNS SCP特異的抗体をこの支持体と、固定したPNS SCP特 異的抗体がPNS SCPと結合することを可能にする十分な時間、インキュベートする工程; (d)上記固相支持体を、工程(c)で得られたインキュベーション混合物から分離する工 程;および (e)結合した標識を検出し、それによってPNS SCPを検出および定量する工程、を包含する。
検出可能に標識された抗体およびPNS SCPの特定の濃度、インキュベーションの温度お よび時間、ならびに他のアッセイ条件は、種々の要因(サンプル中のPNS SCPの濃度、サン プルの性質などを含む)に依存して変化し得る。所定の多くの抗PNS SCP抗体の結合活性は 、周知の方法に従って測定され得る。当業者は、日常的な実験を用いることによって、それぞれの測定について効果のある(operative)アッセイ条件および最適なアッセイ条件を 決定し得る。他の工程(洗浄工程、撹拌工程、振盪工程、濾過工程など)は、特定の状況に習慣的または必要であるようにアッセイに加えられ得る。
検出は、種々のアッセイのいずれを用いても達成され得る。例えば、PNS SCP特異的抗体または抗体フラグメントを放射活性標識することによって、ラジオイムノアッセイの使 用によりPNS SCPを検出することが可能になる。ラジオイムノアッセイの十分な記述は、本明細書中にその全体が参考として援用されるColligan(下記)およびAusubel(下記)に見 出され得る。好ましくは、PNS SCPを発現する細胞の検出は、インビボ画像化技術により達成され得る。ここでは、標識された抗体(またはそのフラグメント)が被験体に提供され 、そしてPNS SCPの存在が、いずれの組織サンプルをも前もって摘出することなく検出される。このようなインビボ検出手順は、他の検出方法より侵襲が少ないという利点を有し 、そしてさらに、患者から容易に摘出し得ない組織(例えば、脳組織)中のPNS SCPの存在 を検出し得る。
当業者に公知の多くの異なるインビボ標識および標識方法が存在する。本発明に使用し 得るタイプの標識の例には、放射活性同位体および常磁性同位体が含まれる。当業者は、本発明に使用される抗体への結合に適切な他の標識を理解するか、あるいは日常的な実験 を使用してこれを確認し得る。さらに、抗体へのこれらの標識の結合は、当業者に通常の標準的な技術を使用してなされ得る。
診断的インビボ画像化のために、利用可能な検出器具のタイプは、所定の放射性核種を 選択する際の主要な要因である。選択された核種は、所定のタイプの器具で検出可能なタイプの崩壊を有さなければならない。一般に、診断的画像化を視覚化するための任意の従 来の方法は、本発明に従って利用され得る。例えば、ポジトロンエミッショントモグラフィー(PET)、ガンマ、ベータ、および磁気共鳴画像(MRI)検出器が診断画像化を視覚化する ために使用し得る。
本発明に有用な抗体はまた、インビボ診断の目的のために常磁性同位体で標識され得る。特に有用な元素には、磁気共鳴画像化(MRI)のように、157Gd、55Mn、162Dy、および56Feが含まれる。
本発明に有用な抗体(またはそのフラグメント)は、体組織、流体(例えば、CSF)、 または細胞抽出物におけるPNS SCPの存在を検出するインビトロでの免疫アッセイの使用にも特に適している。このような免疫アッセイにおいて、抗体(またはそのフラグメント )は、上記のように、液相で利用され得るが、または、好ましくは、固相キャリアーと結合され得る。
インサイチュ検出は、患者由来の組織学的標本を除去し、そしてこのような標本への本 発明の標識された抗体の組合せを提供し得る。抗体(またはフラグメント)は、好ましくは、標識された抗体(またはフラグメント)を生物学的サンプルへ適用または重層するこ とによって提供される。このような手順の使用により、PNS SCPの存在だけでなく、試験される組織におけるPNS SCPの分布もまた決定することが可能である。本発明を使用して 、当業者は、広範な組織学的方法(例えば、染色手順)のいずれもが、このようなインサイチュ検出を達成するために改変され得ることを容易に認め得る。
本明細書中で使用されているように、効果的な量の診断試薬(例えば、抗体または抗体のフラグメント)とは、所望の診断識別を達成し得る量の試薬であり、そして被験者の年 齢、条件、性、疾患の範囲、反対指示(counter indication)(ある場合)、および医師によって調整される他の変動因によって変化する。診断試験において典型的に用いられるこ のような物質の量は、一般的に0.1〜5mgであり、そして好ましくは0.1〜0.5mgの間である。
本発明のアッセイはキットの調製にも理想的に適する。このようなキットは、バイアル 、試験管などのような1つ以上の容器を密閉した状態で受容するように区画化されているキャリアー手段を含有し得、これらの容器手段のそれぞれは免疫アッセイの個々の要素を 含有する。
例えば、固相上に固定化した第一の抗体を含有する容器手段、および溶液中に第二の検出可能に標識された抗体を含有するさらなる容器手段が存在し得る。さらなる容器手段は 、検出されるPNS SCPの連続希釈物を含有する標準溶液を含有し得る。PNS SCPの標準溶液 は、横座標軸上にPNS SCPの濃度を、および縦座標軸上に検出シグナルをプロットした標 準曲線を作成するために使用され得る。PNS SCPを含有するサンプルより得られた結果は、PNS SCPの濃度を得るためにこのようなプロットから補間され得る。
診断スクリーニングおよび処理。以下の議論はヒト患者に特に関するが、その教示は、少なくとも1つのPNS SCを発現するいかなる動物にも適用可能であるということが理解さ れるはずである。本発明の診断およびスクリーニング法は、特に、家族歴に基づいてPNS SCPの発現レベルの変化に関連した疾患の発達の危険性が予想される患者またはPNS SCP関 連疾患を診断することが所望される患者に有用である。
本発明に従って、このようなスクリーニングが必要な個体の前症状スクリーニング(pre symptomatic screening)は、現在、本発明のPNS SCPタンパク質をコードするDNAを用いる ことにより可能である。本発明のスクリーニング法は、個体における欠失または異常型の PNS SC遺伝子の存在の前症状診断(出生前診断を包含する)を可能とし、そして従って、このような個体がPNS SC関連疾患を発達させ得るかまたは発達させた見込みに関する見解 を得ることを可能とする。これは、例えば、PNS SC関連病状の家族歴をもつ個体に由来する、変化または欠失しているPNS SC遺伝子のキャリアーの同定に特に有効である。初期診 断もまた適切な適時介入を最大限に活用するために望ましい。
スクリーニング法の1つの好ましい実施態様では、組織サンプルはこのような個体から 採取され、そして(1)「正常」PNS SCP遺伝子の存在;(2) PNS SCP mRNAの存在、および/ または(3) PNS SCPタンパク質の存在についてスクリーニングされ得る。正常なヒト遺伝 子は、例えば、本発明において教示されているPNSSC配列(またはその機能性フラグメン ト)に対して調製されたDNAプローブを用いて、「正常」対患者のDNAにおける制限消化パ ターンの検出(RFLP解析を含む)に基づいて特徴づけられ得る。同様に、PNS SCP mRNAが 特徴づけられ得、そして類似のプローブを用いたPNS SCP関連疾患の発達の危険性のない ヒト集団で見られる正常なPNS SCP mRNAの(a)レベルおよび/または(b)サイズと比較され得る。最後に、PNS SCPタンパク質は、PNS SCP活性についての生物学的アッセイまたは免 疫学的アッセイおよびPNS SCP抗体を用いて(a)検出され得、および/または(b)定量され得る。PNS SCPタンパク質をアッセイする際、免疫学的アッセイは、その迅速さのために 好ましい。(1)異常型のPNS SCP DNAサイズパターン、および/または(2)異常型のPNS SCP mRNAサイズまたはレベル、および/または(3)異常型のPNS SCPタンパク質レベルは、患 者がPNS SCP関連疾患を発達させる危険性があることの指標となり得る。
本発明のスクリーニングおよび診断法は、全PNS SCP DNAコード配列がプローブに用い られ得ることを必要としない。むしろ、フラグメント、または正常または罹患個体由来のDNA調製物におけるPNS SCP遺伝子の存在、そのような遺伝子の欠損、またはそのような遺 伝子の物理的特徴の変化(例えば、電気泳動の移動パターンの変化)を検出するのに十分な長さの核酸の使用のみを必要とする。
出生前診断は、所望ならば、羊水穿刺、絨毛膜絨毛サンプリング(CVS)、および胎児内 視鏡検査を包含する、胎児細胞を獲得する公知のいかなる方法を用いても実施され得る。出生前染色体分析は、正常なPNS SCP遺伝子を所有する染色体の一部がヘテロ接合状態で 存在するかどうかを決定するために使用され得る。
PNS SCP精製および結晶化法の概説。一般的に、膜タンパク質としてのPNS SCPは、界面 活性剤(例えばオクチルグルコシド(octyglucoside)またはその他の適切な両親媒性分子を用いて可溶形態で精製される。得られるPNS SCPは、結晶化のために十分な純度および 濃度の状態にある。精製されたPNS SCPが、次いで単離され、そして生物学的活性について、および(結晶化を妨げる)凝集が存在しないことについてアッセイされる。精製され た切断型PNS SCPは、好ましくは、還元または非還元ポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)(非還元はシステイン架橋の存在を評価するために使用される)下で、単一のバンド として移動する。精製されたPNS SCPは、好ましくは、公知の方法により、以下の少なくとも1つの様々な条件下で結晶化される;pH、緩衝液のタイプ、緩衝液の濃度、塩のタイ プ、ポリマーのタイプ、ポリマーの濃度、その他の沈殿リガンド、および精製された断片型PNS SCPの濃度。例えば、Michelら、Trends in Biochem.Sci.8:56-59 (1983);Deisenh oferら、J.Mol.Biol180:385-398 (1984);Weissら、FEBS Lett.267:268-272 (1990);Bl undellら、ProteinCrystallography、Academic Press、London(1976);Oxenderら編、Pr otein Engineering Liss、NewYork (1986);McPherson;The Preparation and Analysis of Protein Crystals Wiley、N.Y.(1982);またはCRYSTALSCREEN(Hampton Research、R iverside、CA)のような市販のキットで供給される方法を参照のこと。結晶化されたタン パク質はまた、少なくとも1つのSC活性について試験され、そして個別にサイズ分類され、そして成形された結晶が、さらにX線回折における適合性について試験される。一般的 に、より小さい結晶よりもより大きい結晶の方がより良好な結晶学(crystallography)を提供し、そしてより厚い結晶は、より薄い結晶より良好な結晶学を提供する。例えば、Bl undell、下記;Oxender、下記;McPherson、下記;Wyckoffら編、生物学的巨大分子の回折法、114〜115巻、Methods in Enzymology、Orlando、FL Academic Press (1985)を参照 のこと。
タンパク質結晶化法。ハンギングドロップ法が、好ましくは、精製された可溶性のPNS SCPタンパク質の結晶化に使用される。例えば、Taylorら、J.Mol.Biol.226:1287-1290(1 992)、;Takimotoら、(1992)、下記;CRYCTAL SCREEN、Hampton Reseachを参照のこと。 タンパク質および沈殿剤の混合物は、以下を包含し得る:pH(例えば、4〜10);緩衝液のタイプ(例えば、トロメタミン(tromethamine)(TRIZMA)、アジ化ナトリウム、リン酸塩ナ トリウム、またはカコジル酸塩、酢酸塩、イミダゾール、TrisHCl、ヘペスナトリウム(sodium hepes));緩衝液濃度(例えば0.1〜100mM);塩のタイプ(例えば、アジ化ナトリ ウム、塩化カルシウム、クエン酸ナトリウム、塩化マグネシウム、酢酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、リン酸カリウム、酢酸マグネシウム、酢酸亜鉛;酢酸カルシウム);ポ リマーのタイプおよび濃度:(例えば、ポリエチレングリコール(PEG)1〜50%、タイプ6000〜10,000);その他の沈殿リガンド(塩:酒石酸ナトリウムカリウム、硫酸アンモニ ウム、酢酸ナトリウム、硫酸リチウム、ギ酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、ギ酸マグネシウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム;有機物;2−プロパノール;不揮発性物 質:2-メチル-2,4-ペンタンジオール);および精製されたPNS SCPの濃度(例えば、0.1〜100mg/ml、両親媒性分子を添加したもの(オクチルグルコシドのような界面活性剤)) 。例えば、CRYSTAL SCREEN、HamptonReseach、を参照のこと。
上記の混合物は、pH、緩衝液タイプ;緩衝液濃度、沈殿塩のタイプまたは濃度、PEGタ イプ、PEG濃度、および切断型タンパク質濃度の少なくとも1つを変化させて使用され、そしてスクリーニングされる。0.1〜1.5mmの大きさの範囲の結晶が、1〜14日で形成され る。これらの結晶は、少なくとも10Å分解能(例えば、1.5〜10.0Å)またはその中の任意の範囲の値(例えば、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、 2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、または3)にX線を回折し、3.5Å以下が最も高い分解能のために好ましい。この最も高い分解能を持つ回折パターンに加えて、 25〜3.5Åのようなより低い分解能がさらに使用され得る。
タンパク質結晶。結晶は、1〜14日後に出現し、そして日を重ねるごとに成長を続ける 。この結晶のいくらかが取り出され、洗浄され、そして生物学的活性についてアッセイされる。この活性は、さらなる特徴付けに使用するために好ましい活性である。他の洗浄さ れた結晶は、好ましくは、染色したゲル上で泳動し、そして精製された切断型PNS SCPと 同じ位置に移動する結晶が、好ましくは使用される。1つのドロップ中に2〜100個の結 晶が観察され、そして、結晶形態は、例えば、両錐形、長斜方形、および正六面体で生じ得るが、これらに限定されない。初期のX線分析では、このような結晶が中程度の高さの 分解能から高い分解能で回折することを示すと予想される。ドロップ中に結晶がほとんど形成されないとき、それらはずっとより大きいサイズ(例えば、0.2〜1.5mm)であり得る 。
PNS SCP X線結晶学的方法。そのように生成されたPNS SCPの結晶は、適切なX線源を 用いてX線解析される。適度な数の回折パターンが得られる。結晶は、好ましくは、X線 ビーム中で少なくとも10時間安定である。必要に応じて凍結結晶(例えば-220〜-50℃)がより長いX線照射(例えば4〜72時間)のために使用され、この結晶は凍結状態におい てX線に対し比較的より安定である。最大数の有用な反射を収集するために、必要に応じて複数のフレームが、結晶が例えば12〜96時間X線ビーム中で回転されるように収集され る。X線回折の分解能を増大させるために、より大きな結晶(0.2mmより大きい)が好ましい。結晶は、好ましくは、シンクロトロン高エネルギーX線源を用いて解析される。凍 結結晶を用いることにより、X線回折データは、本明細書中に記載のように非常に詳細にPNS SCPの三次元構造を十分に解明できる10〜1.5Åの分解能(25〜10Åのようなより低い 分解能もまた有用である)に回折する結晶において収集される。
コンピューターに関連した実施態様。PNS SCPのアミノ酸配列および/またはX線回折 データは、PNS SCPまたはその一部のコンピューター分子モデリングに有用であり、それらの使用を促進するために、種々の媒体において「提供」され得る。本明細書中において 使用されているように、提供されるとは、本発明のPNS SCPアミノ酸配列および/またはX線回折データを含有する製品のことをいい、例えば、アミノ酸配列は、図1、8、10、 または11において提供されたアミノ酸配列、それらの代表的なフラグメント、あるいは図11A〜11Fのアミノ酸配列またはその変種の5〜2005アミノ酸フラグメントに全体で少なく とも80〜100%の相同性を有するアミノ酸配列である。このような方法は、アミノ酸配列および/またはX線回折データを、当業者がPNS SCPまたはそのサブドメインの三次元構 造を分析でき、そして分子モデリングできる形式で提供する。
本実施態様の1つの適用において、本発明のPNS SCPまたはその少なくとも1つのサブ ドメインのアミノ酸配列および/またはX線回折データは、コンピューター読み出し可能な媒体に記録される。本明細書中で使用される「コンピューター読み出し可能な媒体」と は、コンピューターにより直接読み込みおよびアクセスされ得るあらゆる媒体をいう。このような媒体には、磁気保存媒体(例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードデ ィスク保存媒体、および磁気テープ);光学保存媒体(例えば、光ディスクまたはCD-ROM);電子保存媒体(例えば、RAMおよびROM);および磁気/光学保存媒体のようなこれら のカテゴリーのハイブリッドが包含されるが、これらに限定されない。当業者は、現在公知のコンピューター読み出し可能な媒体のいずれもが、本発明のアミノ酸配列および/ま たはX線回折データをそれらに記録したコンピューター読み出し可能な媒体を含む製品を制作するためにいかに使用され得るかを容易に認識し得る。
本明細書中で使用される「記録された」とは、コンピューター読み出し可能媒体に情報 を蓄積するプロセスをいう。当業者は、本発明のアミノ酸配列および/またはX線回折データの情報を含む製品を生成するために、コンピューター読み出し可能な媒体に情報を保 存するための現在公知のいずれの方法をも容易に採用し得る。
様々なデータ保存構造が、本発明のアミノ酸配列および/またはX線回折データをそれ に記録したコンピューター読み出し可能な媒体の制作のために、当業者に利用可能である。データ保存構造の選択は、一般的に、蓄積された情報をアクセスするために選択された 手段に基づいている。さらに、様々なデータプロセッサープログラムおよびフォーマットが、本発明の配列およびX線データ情報をコンピューター読み出し可能な媒体に蓄積する ために使用され得る。配列情報は、Word PerfectおよびMicroSoftWordのような商業的に 利用可能なソフトウェアでフォーマットされたワードプロセッサーのテキストファイルで 表示され得るか、またはデータベースアプリケーション(例えば、DB2、Sybase、Oracleなど)において蓄積されたASCIIファイルのフォームで表示され得る。当業者は、本発明 の情報をそれに記録したコンピューター読み出し可能な媒体を得るために、多くのデータプロセッサー構築フォーマット(例えば、テキストファイルまたはデータベース)を容易 に適合させ得る。
コンピューターで読み出し可能な媒体上のPNS SCP配列および/またはX線回折データを 提供することにより、当業者は、PNS SCP、そのサブドメイン、またはそのリガンドをモ デル化するための配列およびX線回折データを日常的に入手し得る。コンピューターアルゴリズムは、公的および商業的に利用可能であり、当業者がコンピューター読み出し可能 な媒体で提供されるこのデータを入手し、分子モデリングおよび/またはRDDのためにデータを分析することを可能にする。
本発明はさらに、本明細書中に記載の配列および/または回折データを有するシステム 、特に、コンピューターを基本とするシステムを提供する。このようなシステムは、PNS SCPまたは少なくともその1つのサブドメインのための分子モデリングおよびRDDを行うた めに設計される。
本明細書中で用いられる「コンピューターを基本としたシステム」は、本発明の配列および/またはX線回折データを分析するために利用されるハードウェア手段、ソフトウェ ア手段、およびデータ保存手段をいう。本発明のコンピューターを基本としたシステムの最小のハードウェア手段は、中央処理装置(CPU)、入力手段、出力手段、およびデータ保 存手段を含む。当業者は、現在入手可能なコンピューターを基本としたシステムのどれが本発明における利用に適切であるかということを容易に認め得る。
上記のように、本発明のコンピューターを基本としたシステムは、本発明のPNS SCPま たはフラグメントの配列および/またはX線回折データを保存するデータ保存手段および 分析手段を支援および実行するための必要なハードウェア手段およびソフトウェア手段を含む。本明細書中に利用される「データ保存手段」は、本発明の配列および/またはX線 回折データを保存し得るメモリー、または本発明の配列またはX線回折データを記録している製品にアクセスし得るメモリーアクセス手段をいう。
本明細書中で用いられる「検索手段」または「分析手段」は、データ保存手段で保存さ れている配列またはX線データを用いて標的配列または標的構造モチーフを比較するコンピューターを基本としたシステム上で実行される1つ以上のプログラムをいう。検索手段 は、特定の標的配列または標的モチーフと適合するPNS SCPのフラグメントまたは領域を同定するために利用される。様々な公知のアルゴリズムが公的に開示され、そして検索手 段を行うために様々な商業的に利用可能なソフトウェアが、本発明のコンピューターを基本としたシステムにおいて利用され、そして利用され得る。当業者は、コンピューター分 析を行うために利用し得るアルゴリズムまたは実行するソフトウェアパッケージのどれもが、本発明のコンピューターを基本としたシステムにおける利用に適合し得ることを容易 に認め得る。
本明細書中で用いられる「標的構造モチーフ」または「標的モチーフ」は、任意の合理的に選択された配列または配列の組合せをいい、それにおいてその配列が標的モチーフの 折りたたみによって形成された三次元配置または電子密度マップに基づいて選択される。当該分野には様々な標的モチーフが公知である。タンパク質標的モチーフは、酵素活性部 位、構造的サブドメイン、エピトープ、機能的ドメイン、およびシグナル配列を包含するが、これらに限定されない。入力または出力手段のための様々な構造の形式が、本発明の コンピューターを基本としたシステムにおいて情報を入力または出力するために使用され得る。
様々な比較手段は、構造的モチーフまたは電子密度マップを同定するためのデータ保存 手段とともに標的配列または標的モチーフを比較し得る。当業者は、任意の公的に利用可能なコンピューターモデリングプログラムが、本発明のコンピューターを基本としたシス テムの検索手段として利用され得ることを容易に認識する。
本実施様態の1つの適用を図12に提供する。図12は、本発明の実行に利用され得るコンピューターシステム102のブロックダイアグラムを提供する。コンピューターシステム102 は、バス104と連結したプロセッサー106を含む。104にはまた、主メモリー108(好ましくはランダムアクセスメモリー、RAMとして提供される)およびハードドライブ112および取 りはずし可能な保存媒体114のような様々な二次的な保存メモリー110が連結される。取りはずし可能な媒体、保存デバイス114は、例えばフロッピー(登録商標)ディスクドライ ブ、CD-ROMドライブ、磁気テープドライブなどを示す。(フロッピー(登録商標)ディスク、コンパクトディスク、磁気テープのような)制御ロジックおよび/またはその中に保 存されたデータを有する取りはずし可能な保存媒体116は、取りはずし可能な保存媒体114に挿入され得る。コンピューターシステム102は、一旦、取りはずし可能媒体保存デバイ ス114に挿入されると、取りはずし可能媒体媒体保存デバイス114から制御ロジックおよび/またはデータを読むための適切なソフトウェアを含む。モニター120は、構造決定デー タを視覚化するためにバス104に連結して利用され得る。
アミノ酸、コードする核酸、または本発明の他の配列および/またはX線回折データは 、主メモリー108、任意の二次的な保存デバイス110、および/または取りはずし可能な保存デバイス116に周知の方式で保存され得る。アミノ酸配列および/またはX線回折デー タをアクセスおよび処理するためのソフトウェア(検索ツール、比較ツールなど)は、実行中の主メモリー108に存在する。
三次元構造決定。1つ以上のコンピューターモデリング工程および/またはコンピュー ターアルゴリズムは、図1、8、10、または11(またはその変異体)からのアミノ酸配列データおよび/またはX線回折データを用いて、切断型PNS SCPの分子3-Dモデルを提供す るために用いられる。アミノ酸配列が用いられさえすれば、三次元構造決定のために、適切なモデリングプログラムが用いられ得る(例えば、LINUS(Roseら、Proteins:Structur e, Function and Genetics(1995年6月)および本明細書中に引用された参考文献)。PNS SCPモデルは、Ramachandranプロットの許容されない領域(disallowed region)に残基を 全く有さないか、またはAla置換(表面に対して)残基を有し、そして正の3D-1D輪郭(Luthyら、Nature 356:83-85(1992))を与えることが好ましい。これは、全ての残基が許容可 能な環境中に存在することを示唆する(Kraulis(1991)、下記)。あるいは、許容されない領域は、本明細書中に記載のRAVEプログラムのような適切なアルゴリズムの使用により 矯正され得る。位相決定は、必要に応じて、切断型PNS SCPの三次元構造を解明するために用いられる。この構造は、次いでPNS SCPノイラミニダーゼ、エンドセリン、カテプシ ンA、または他の生物学的活性(例えば、PNS SCP関連病状に関係がある活性)の調節物質のRDDのために用いられ得る。
密度修正およびマップ解釈。電子密度マップは、CCP4コンピューティングパッケージ( SERC(UK)Collaborative Computing Project 4, Daresbury Laboratory, UK, 1979)から のプログラムのようなプログラムを用いて算出され得る。二回相加平均(two-foldaverag ing)の周期が、プログラムRAVE(Kleywegt & Jones、Baileyら編、First Map to Final Model, SERC Daresbury,Laboratory, UK, 59〜66頁(1994))および漸次モデル拡大において 用いられ得るように、さらに用いられ得る。マップ視覚化およびモデル構築のために、「O」(Jones(1991)、下記)のようなプログラムが用いられ得る。
精密化およびモデル妥当性。剛直体および位置精密化が、例えば、EnghおよびHuberの立体化学パラメーター(Acta Cryst. A47:392-400(1991))を有するX-PLOR(Bruenger(19 92)、下記)のようなプログラムを用いて実施され得る。相加平均マップのこの段階でのモデルが依然として残基(例えば、サブユニット当たり少なくとも5〜10)を欠失する場 合、欠失残基のいくつかまたは全てが位置精密化およびモデル構築のさらなる周期の間にモデル中に取り込まれ得る。精密化手順は、より低い解像度からのデータを用いて出発し 得る(例えば、25-10Åから10-3.0Å、そして次いで12-6Åから3.0-1.5Åからのデータを包含するように漸次的に拡大し得る)。個々の原子に対するβ値は、一旦、2.9と1.5Åと の間のデータが加えられると、精密化され得る。続いて、水が徐々に加算され得る。ARP(LamzinおよびWilson、Acta Cryst. D49:129-147(1993))のようなプログラムは、結晶 学的に水を加えるために用いられ得、そしてモデルにおける不良領域についてチェックするツールとして用いられ得る。PROCHECK(Lackowskiら、J.Appl. Cryst. 26:283-291(199 3))、WHATIF(Vriend、J.Mol. Graph. 8:52-56(1990))、およびPROFILE3D(Luethyら 、Nature 356:83-85(1992))のようなプログラム、ならびにX-PLORにより生成される幾何学的解析は、構造を誤差についてチェックするために用いられ得ている。最終精密化周期 のために、20〜5%の最も弱いデータがIFobsI/δカットオフを用いて除かれ得、そしてFobsとFcalcとの間の異方性スケーリング因子が、データの質および完成度の評価を慎重 に行った後に適用され得る。
構造解析。DSSPのようなプログラムが、二次構造要素を割り当てるために用いられ得る (KabschおよびSander(1983)、下記)。(BIOMOL結晶学的コンピューティングパッケージからの)SUPPOSのようなプログラムが、種々のモデルおよびモデルの一部の最少二乗重な りのいくつかまたは全てについて用いられ得る。溶媒の接近可能な表面および静電ポテンシャルは、GRASP(Nichollsら(1991)、下記)のようなプログラムを用いて計算され得る 。
構造決定。このように、PNS SCPの構造は、X-PLOR(Bruenger(1992)、下記)を用いる ことによるような、分子置換手順を用いて解明され得る。モノマーについての部分検索モ デルは、関連タンパク質(例えば、コムギセリンカルボキシペプチダーゼ構造物(Liaoら(1992)、下記)を用いて構築され得る。回転および翻訳機能は、それらの相互作用に基づ いて決定されるように、生理学的二量体を形成する2つのサブユニットについて、2つ以上の配向および位置を得るために用いられ得る。周期的な二回密度相加平均もまたRAVEプ ログラムを用いて行われ得、そしてモデル拡大もまた、各モノマーに対する欠失残基を付加するために用いられ得る。これにより、総残基数の95〜99.9%を有するモデルが得られ る。モデルはX-PLOR(Bruenger(1992)、上記)のようなプログラムにおいて、適切な結晶学的Rfactorに精密化され得る。このモデルデータは、次いで、合理的薬物設計のような さらなる分析において使用するために、コンピューター読み出し可能な媒体上に保存される。
PNS SCPと相互作用する薬物の合理的設計.本明細書に記載の、切断されたPNS SCPの3 次元構造の決定により、少なくとも1つのPNS SCP関連病状の診断および/または処置の ための、新たなそして特異的なリガンドの設計のための基礎が提供される。いくつかのア プローチが、PNS SCPのリガンドの合理的な設計において、PNS SCPの結晶構造の使用のた めに取られ得る。活性部位構造のコンピューター支援された手動検討が必要に応じて行わ れる。GRID(Goodford,J.Med.Chem.28:849-857 (1985))(種々の官能基特性を有するプ ローブと酵素表面との間の可能な相互作用部位を決定するプログラム)のようなソフトウ エアの使用を用いて、活性部位を解析して阻害化合物の構造を決定する。プローブとしての分子上の適切な阻害基(例えば、プロトン化一級アミン)についてのプログラム計算を 用いて、適切なエネルギー等強度レベル(energy contourlevel)で接近可能な位置周辺 の可能なホットスポットを同定する。次いで、適切なリガンド(阻害または刺激調節化合 物または組成物)を、少なくとも1つのPNS SCPの調節活性について試験する。
本発明の診断的または治療的PNS SCP調節リガンドは、核酸、化合物、タンパク質、エ レメント、脂質、抗体、サッカリド、同位体、炭水化物、造影剤、リポタンパク質、糖タンパク質、酵素、検出可能プローブ、および抗体またはそのフラグメント、あるいはそれ らの任意の組み合わせから選択される少なくとも1つであり得るが、それらに限定されない。これらは、標識抗体について検出可能に標識され得る。そのような標識は、酵素的標 識、放射性同位体あるいは放射性化合物またはエレメント、蛍光化合物または金属、化学ルミネセンス化合物およびバイオルミネセンス化合物を包含するが、それらに限定されな い。あるいは、任意の他の既知の診断剤または治療剤が、本発明の方法において使用され得る。
予備的な実験を、PNS SCPの各酵素活性について基質のKmを決定するために行った後、 リガンドの調節の時間依存性の性質Ki値を測定する(例えば、Henderson(Biochem.J.127:321-333 (1972))の方法により)。例えば、基質(または適切な場合はブランク)およ び酵素を、緩衝液中でプレインキュベートする。反応を基質の添加により開始する。アリコートを適切な時間経過にわたって取り出し、そして各々を適切な停止緩衝液(例えば、 エタノール水溶液中の水酸化ナトリウム)のアリコート中に添加することにより停止する。産物の濃度を、例えば蛍光測定で、分光計を用いて測定する。時間に対する蛍光のプロ ットは、アッセイ期間にわたって直線に近くあり得、そしてこれを用いてリガンドの存在下の初速度(Vi)または非存在下の初速度(V0)についての値を得る。誤差はHenderson プロットにおける両方の軸において存在する。このことはこのプロットを標準的な回帰分析のために不適切にする(Leatherbarrow,Trends Biochem.Sci. 15:455-458 (1990))。 それゆえ、Ki値は、競合的阻害のためのHendersonの式の改変型に適合させることにより、データから得られる:
ここで(Henderson(Biochem.J. 127:321-333(1972))の表示を用いて):
この式は、SAS(SAS Institute Inc., Cary,North Carolina, USA)のPROCNLIN(これ は、最小自乗法を用いる非線形回帰を実行する)を用いて、以下の条件で正の根について 解かれる
使用される反復法は、任意に多変量割線法である。これは、Taylor級数における導関数が、解析的に与えられるのではなく、反復のヒストグラムから概算される以外、Gauss-Newt on法に類似している。例えば、10
-8未満の損失関数における変化が存在する場合、適切な収束基準が任意に使用される。
一旦調節リガンドが見出され、そして単離または合成されると、PNS SCPに複合体化さ れた化合物の結晶学的研究が行われる。非限定的な例として、PNS SCP結晶を2日間0.01 〜100 mMのリガンドに浸し、そしてX線回折データをエリアディテクターおよび/または イメージプレートディテクター(例えば、Marimageplatedetector)上に、回転陰極X線 源を用いて収集する。データを、可能な限り高い解像度で(例えば、1.5〜3.5Å)収集し 、そして適切な強度のR因子を用いて合わせる。インヒビターの原子モデルを、差分Fourierマップ(Finhibitorcomplex - Fnative)に組み立てる。モデルは、10〜500サイク ルのエネルギー精密化、100〜10,000I-FS工程の室温ダイナミクスおよび/または10〜500のさらなるサイクルのエネルギー精密化を含む刺激アニーリングのサイクル(Bruenger ( 1987)、下記)における解に対して精密化され得る。調和拘束(harmonicrestraint)も また、インヒビターから半径10〜15Å以内の原子以外、原子の精密化のために使用され得 る。R因子を、それぞれ、理想的な結合長からの両方のr.m.s.偏差および角度についてのモデルのために選択する。酵素阻害の直接的な測定により、モデリングされたリガンドが PNS SCの少なくとも1つの生物学的活性の調節物質であるというさらなる確認が提供される。
従って、PNS SCPのリガンドもまた、この酵素の結晶構造に基づいて、本発明により提 供される。臨床的に有用なレベルの実証(例えば、インビボ活性)も重要である。PNSSC Pを評価する際に、動物モデル(例えば、ラット、マウス、ウサギ)における生物学的活 性のインヒビターが、種々の経口投与経路および非経口投与経路を用いて評価される。このアプローチを用いて、適切な動物モデルにおいて、分子モデリングおよびX線結晶学に より見出されたリガンドを用いて、PNS SCPの調節が生じることが期待される。
診断的および/または治療的薬物.本発明の診断的または治療的PNS SCP調節薬剤また はリガンドは、核酸、化合物、タンパク質、エレメント、脂質、抗体、サッカリド、同位体、炭水化物、造影剤、リポタンパク質、糖タンパク質、酵素、検出可能プローブ、およ び抗体またはそのフラグメント、あるいはそれらの任意の組み合わせから選択される少なくとも1つであり得るが、それらに限定されない。これらは、本明細書中で記載されるよ うに標識抗体について検出可能に標識され得る。そのような標識は、酵素的標識、放射性同位体あるいは放射性化合物またはエレメント、蛍光化合物または金属、化学ルミネセン ス化合物およびバイオルミネセンス化合物を包含するが、それらに限定されない。あるいは、任意の他の既知の診断剤または治療剤が、本発明の方法において使用され得る。
本発明で使用される治療剤は、標的細胞(例えば、末梢神経系の細胞またはニューロン)における治療効果を有し得る。この効果は、以下のものから選択されるが、これらに限 定されない:欠陥遺伝子または欠陥タンパク質の修正、薬の作用、毒性効果、成長刺激効果、成長阻害効果、代謝効果、異化作用効果、同化作用効果、神経液性効果、細胞分化刺 激効果、細胞分化阻害効果、神経調節効果、多能性幹細胞刺激効果および任意の他の既知の治療効果(これは、末梢神経系の細胞において少なくとも1つのSCを調節する)が、薬 学的投与または本発明に従う送達ベクターを経て標的細胞へ送達される治療剤によって提供され得る。
治療剤としての治療核酸は、標的細胞における以下の治療効果のうち少なくとも1つを 有し得るが、これらに限定されない:DNA配列の転写阻害;RNA配列の翻訳阻害;RNAまたはDNA配列の逆転写阻害;タンパク質の翻訳後修飾阻害;DNA配列の転写誘導;RNA配列の 翻訳誘導;RNAまたはDNA配列の逆転写誘導;タンパク質の翻訳後修飾誘導;RNAとしての核酸の転写;タンパク質または酵素としての核酸の翻訳;および治療核酸の構成発現また は一過性発現のための標的細胞染色体への核酸の組み込み。
治療核酸の治療効果は、以下のものを包含し得るが、これらに限定されない:欠陥遺伝子の休止またはその発現のプロセシング(例えば、アンチセンスRNAまたはDNA);ウイル ス複製または合成の阻害;治療タンパク質をコードする異種核酸の発現または欠陥タンパク質の修正のような遺伝子療法;RNA(例えば、hnRNA、mRNA、tRNAまたはrRNA)の欠陥ま たは発現低下の改変;異常細胞またはキメラレセプターを発現する正常細胞における薬物またはプロドラッグ、あるいは薬物またはプロドラッグとしての化合物を産生する酵素の コード化;および任意の他の既知の治療効果。
病原性神経細胞への送達のための、任意の既知の毒素、プロドラッグまたは遺伝子薬物をコードするか、または治療効果を提供する本発明の治療核酸はまた、病原性SC含有細胞 に特異的な組織特異的転写調節配列(TRS)の制御下の遺伝子を包含し得る。このようなTRSはさらに、既知の方法に従って標的細胞における治療剤の発現を制限する。
本発明のこのようなPNS SCP調節剤またはリガンドの制限されない実施例およびその方法は、リドフラジン(例えば、Merck Index Monograph 5311および米国特許第3,267,104 号を参照のこと。両方の文献は本明細書中に参考として全体が援用される)のようなメチル/ハロフェニル置換ピペリジン化合物を包含する。このような化合物は試験され、そし て少なくとも1つのPNS SCPを発現する細胞株(例えば、PC12、PK1-4および本発明の少なくとも1つのPNS SCPを発現する他の単離された細胞または組換え細胞)において本発明 の少なくとも1つのPNS SCPのナトリウムチャンネル活性を阻害することが見出された。従って、本発明はメチル/ハロフェニル置換ピペリジンのようなPNS SCPを調節する薬剤ま たリガンドを提供する。この置換はアルキルおよび/またはハロフェニル置換ピペリジンを包含し得る。
薬学的/診断的投与。PNS SCPを調節する化合物または組成物(上記のようなアンタゴニ ストおよびアゴニストを含む)を使用して、本発明はさらに、細胞におけるPNS SCPタン パク質の活性を調節する方法を提供する。一般的に、PNS SCPの活性を阻害または増強す ることが同定されている薬剤(アンタゴニストまたはアゴニスト)は、その薬剤がインビボでPNS SCPタンパク質を発現する細胞と接触し得るように処方され得る。このような薬 剤とこのような細胞との接触は、PNS SCPタンパク質の活性のインビボ調節に帰する。処方バリアーまたは毒性バリアーが存在しない限り、上記のアッセイで同定された薬剤は、 インビボの使用で有効である。
別の実施態様において、本発明は、動物(好ましくは、哺乳動物(特に、ヒト))へ、その動物におけるPNS SCPのレベルの変化をもたらすために十分な量で、PNS SCPあるいは PNS SCPを調節する化合物または組成物(PNS SCPアンタゴニストおよびアゴニストを含む)を投与する方法に関する。投与されたPNS SCあるいはPNS SCPを調節する化合物または 組成物は、特にPNS SCP関連機能をもたらし得る。さらに、PNS SCPは、末梢神経系組織で 発現されるので、PNS SCあるいはPNS SCPを調節する化合物または組成物の投与は、末梢 神経系におけるPNS SCPレベルを改変するために使用され得る。
PNS SCPアンタゴニストは、外傷あるいは中枢神経系または末梢神経系に関与する病状 による痛み、または少なくとも1つの天然に存在する神経系特異的(NS)ナトリウムチャンネル(SC)の異常に高い発現レベルに関する病状を処置するために使用され得る。ここ で、PNS SCPアンタゴニストはまた、少なくとも1つのNS SCを阻害するか、またはここでこの痛みは、PN SCによってある程度まで媒介される。このような病状は、以下のものを 包含するが、それらに限定されない;炎症性疾患、神経障害(例えば、糖尿病性神経障害)、栄養失調(例えば、反射交感神経栄養失調、ヘルペス後神経痛);外傷(何らか原因 による組織損傷);何らか原因による焦点痛。
炎症性疾患は、慢性炎症性病状および血管炎症性病状を包含し得るが、それらに限定されない。慢性炎症性病状は、サルコイドーシス、慢性炎症性腸疾患、潰瘍大腸炎およびク ローン病を包含するが、それらに限定されない。そして、血管炎症性病状は、例えば、汎発性血管内凝固症候群、アテローム性動脈硬化症および川崎病を包含するが、それらに限 定されない。
PNS SCPアゴニストは、中枢神経系または末梢神経系に関与する病状あるいは少なくとも1つの天然に生じる神経系特異的(NS)ナトリウムチャンネル(SC)の異常に低い発現 レベルに関する病状を処置するために使用され得る。ここで、PNS SCPアゴニストはまた、少なくとも1つのNS SCを増強または刺激する。このような病状は、神経変性疾患、腸 神経系の機能不全による胃腸管疾患(例えば、大腸炎、回腸炎、炎症性腸症候群);心臓血管系疾患(例えば、高血圧およびうっ血性心不全);交感神経系および副交感神経系神 経支配に関与する尿生殖器管疾患(例えば、良性前立腺過形成、性的不能);神経筋系疾患(例えば、筋ジストロフィー、多発硬化症、てんかん)を包含するが、これらに限定さ れない。
神経変性疾患は、脱髄性疾患(例えば、多発硬化症および急性横断性脊髄炎);運動過剰運動障害(例えば、ハンチントン舞踏病および老年舞踏病);運動低下運動障害(例え ば、パーキンソン病);進行性核上麻痺;旧小脳変性(例えば、脊髄性運動失調、フリードリッヒ運動失調);多発性系変性(multiple systems degeneration)(Mencel, Dejer ine-Thomas,Shi-Drager, およびMachado-Joseph);および全身的な障害(レフサム病、 無βリポタンパク血症、運動失調、毛細管拡張症およびミトコンドリア多系障害(mitochondrial multi-system disorder));脱髄性コア障害(例えば、多発硬化症、急性横断 性骨髄炎);運動単位障害(例えば、神経性筋萎縮症(前角細胞変性(例えば、筋萎縮性側索硬化症、小児脊髄筋萎縮症および若年脊髄筋萎縮症));またはそれらの任意のサブ セットを包含し得るが、これらに限定されない。
PNSSCに関連する病状に対する本発明の診断的/薬学的な化合物または組成物の薬学的/ 診断的投与は、その意図される目的(例えば、癌または前癌性状態を処置または防止するために)を達成する任意の手段によって投与され得る。
本明細書中で使用された「感染または疾患からの保護」における用語「保護」は、「防 止」、「抑制」または「処置」を包含する。「防止」は、疾患の誘導前の薬学的組成物の投与を含む。「抑制」は、疾患の臨床出現前の組成物の投与を含む。「処置」は、疾患の 出現後の保護組成物の投与を含む。ヒト医薬および獣医薬において、最終的な誘導事象(単数または複数)は、未知で潜在的であり得、または患者を、この事象(単数または複数 )の発生後まで確かめないので、必ずしも「防止すること」と「抑制すること」との間の区別は可能であるとは限らないことが理解される。従って、本明細書中で定義される「防 止すること」と「抑制すること」の両方を包含するために、「処置」とは異なる用語「予防」を用いることは一般的である。本明細書中で使用される用語「保護」は、「予防」を 包含することが意味される。例えば、Berker、下記、Goodman、下記、Avery、下記およびKatzung、下記を参照のこと。これらの文献は、本明細書中に参考(その中で引用された 全ての参考を含む)として全体が援用される。提供される「保護」は、絶対である必要はない(すなわち、コントロール集団に比べ統計的に有意な改良があれば、疾患は、完全に 防止されるかまたは根絶される必要はない)。保護は、疾患の重篤度または症状の開始速度を和らげることに制限され得る。
本発明の少なくとも1つのPNS SCを調節する化合物または組成物は、既に記載のような 薬学的組成物を使用して、意図される目的を達成する任意の手段によって投与され得る。
例えば、投与は、種々の非経口ルート(例えば、皮下、静脈内、皮内、筋肉内、腹膜内 、鼻腔内、頭蓋内、経皮、または頬ルート)によるものであり得る。あるいは、または同時に、投与は、経口ルートによるものであり得る。非経口投与は、ボーラス注射または時 間にわたる緩やかな灌流によるものであり得る。
本発明の診断的/薬学的な化合物または組成物のさらなる使用の様式は、局所適用によるものである。本発明の診断的/薬学的な化合物または組成物は、局所的に適用されるビ ヒクル(例えば、膏薬または軟膏)に混ぜられ得る。
局所適用のために、処置されるべき末梢ニューロンに近接する標的領域(例えば、皮膚表面、粘膜など)へ、有効量の本発明による診断的/薬学的な化合物または組成物を投与 することが好ましい。この量は一般的に、処置されるべき領域、その使用が診断的、予防的または治療的であるかどうか、症状の重篤度および使用される局所ビヒクルの性質に依 存して一回の適用あたり約0.0001mgから約1gのPNS SC調節化合物の範囲である。好ましい局所調製物は、軟膏であり、それにおいて約0.001から約50mgの活性成分が、軟膏主薬 1ccあたりに使用される。
処置または予防のための局所レジメンは、一日または数日の期間にわたり、一週間と約6ヶ月との間まで、そしてそれを含む期間での有効量の投与を包含する。
インビボまたはインビトロで投与される本発明の診断的/薬学的な化合物または組成物の用量決定は、受容者の年齢、性別、健康、および体重、同時処置の種類、ある場合、処 置の頻度、ならびに所望の診断的/薬学的な効果の性質に依存することが理解される。本明細書中に提供される有効投与量の範囲は、制限されることが意図されるのではなく、そ して好ましい投与量範囲を示す。しかし、最も好ましい用量決定は、当業者によって理解され、そして決定され得るように個々の被験者に合わせて調整される。例えば、Berkowら 編、The Merck Manual、第16版、Merck andCo.,Rahway,N.J.,1992;Goodmanら編、Goodma n and Gilman's The Pharmacological Basisof Therapeutics,第8版、Pergamon Press, Inc.,Elmsford,N.Y.,(1990); Avery's DrugTreatment: Principles and Practice of Cl inical Pharmacology and Therapeutics,第3版、ADISPress,LTD.,Williams and Wilkin s,Baltimore,MD.(1987),Ebadi,Pharmacology,Little,Brownand Co.,Boston,(1985); Oso lら編、Remington's Pharmaceutical Sciences,第18版、MackPublishing Co.,Easton,PA (1990); Katzung,Basic and ClinicalPharmacology,Appleton and Lange,Norwalk,CT(19 92)を参照のこと。これらの文献は参考として本明細書中に全体が援用される。
各処置に必要とされる総投与量は、複数回の投与量、または単回投与量により投与され 得る。診断的/薬学的な化合物または組成物は、単独で投与され得るかまたは病状に関する、あるいは病状の他の症状に関する他の診断薬および/または医薬とともに投与され得 る。 本発明の、有効量の診断的/薬学的な化合物または組成物は、0.1μg〜約100mg/kg体重であり、4〜72時間の間隔で、2時間〜1年間の期間、および/あるいはその中の任意の範 囲または値で投与される。例えば、0.0001〜1.0、1〜10、10〜50および50〜100、0.0001〜0.001、0.001〜0.01、0.01〜0.1、0.1〜1.0、1.0〜10、5〜10、10〜20、20〜50、およ び50〜100mg/kgで、1〜4、4〜10、10〜16、16〜24、24〜36、36〜48、48〜72時間の間隔で、1〜14、14〜28、または30〜44日、あるいは1〜24週間、あるいはその中の任意の 範囲または値で投与される。
本発明の化合物および/または組成物の投与の受容者は、哺乳動物の中で鳥類、硬骨魚、カエル、およびヒキガエルのような、任意の脊椎動物でもあり得る。哺乳動物の中で好 ましい受容者は、霊長類(ヒト、ヒトニザル、およびサルを含む)、偶蹄類(ウマ、ヤギ、ウシ、ヒツジ、ブタを含む)、齧歯類(マウス、ラット、ウサギおよびハムスターを含 む)、および食肉類(ネコ、およびイヌを含む)の哺乳動物である。鳥類の中で好ましい受容者は、七面鳥、ニワトリおよび他の同目のメンバーである。最も好ましい受容者はヒ トである。
遺伝子療法。本発明の送達ベクターは、ウイルスベクター、リポソーム、抗PNS SCP抗 体または抗SC抗体、あるいはSCリガンドであり得るが、これに限定されない。これらの送 達ベクターの1つまたはそれ以上は、診断剤または治療剤と結合する。
送達ベクターは、標的細胞において治療的または診断的効果を有するいかなる診断剤ま たは治療剤も包含し得る。送達ベクターの標的細胞特異性は、このように標的細胞特異的送達ベクターを用いることによって供与される。
送達ベクターはまた、抗体またはフラグメントから成る群から選択される少なくとも1 つの結合ドメインを含む組換えウイルスベクター、キメラ結合部位抗体またはフラグメント、標的細胞または特異的リガンド、標的細胞のリガンドに結合するレセプター、抗イデ ィオタイプ抗体、標的細胞に特異的なリポソームまたは他の成分であり得る。PNS SCPは 、既に標的細胞と結合し得るか、または送達ベクターは標的細胞レセプターに対するリガ ンドを介して標的細胞に結合し得るか、またはその逆も可能である。
従って、治療剤または診断剤(例えば、治療核酸または診断核酸、タンパク質、薬物、 化合物、組成物など)は、標的細胞に優先的に送達される。例えば、ここで核酸は、好ましくは、部分的にまたは完全に非標的細胞を排除して標的細胞の染色体に挿入される。
本発明は、このように、遺伝子療法に適切なベクターを含む、1つまたはそれ以上の治療剤および/または診断剤を包含する送達ベクターを提供することが意図される。
このような処置を必要とする患者のPNS SCPに関連した疾患を処置する方法において、機能的PNS SCP DNAが、このような患者を処置するために十分な時間および量で(例えば 、適切な送達ベクター)、このような遺伝子によって供与されるPNS SCPタンパク質の発 現を可能にする方法および量で、このような患者のPNS細胞に供与され得る。細胞から欠 如している遺伝子またはタンパク質の必要なヒト患者にこのような送達を供与するための多くのベクター系が当業者には公知である。例えば、レトロウイルス系(特に改変したレ トロウイルス系および特に単純ヘルペスウイルス系)が使用され得る。このような方法は、例えば、Breakefieldら、The New Biologist 3:203-218(1991)、Huang,Qら、Experimen talNeurology 115:303-316(1992)、WO93/03743およびWO90/09441の教示により供与され る。機能的なPNS SCPタンパク質をコードしているDNA配列の送達は、本発明の欠如または変異したPNS SCP遺伝子を効果的に置き換える。
本発明の別の実施態様は、PNS SCPを調節する化合物または組成物は、細胞内で組換え遺伝子として発現され、そのため哺乳動物、好ましくは遺伝子療法を必要としているヒト にこの細胞を移植し得る。PNS SCPを調節する化合物または組成物の全部または一部をコードする遺伝子配列を、個体に対する遺伝子療法を供与するために、ベクターに組み込み 、そして宿主細胞に導入する。遺伝子療法に適切であり得る疾患の例は、神経変性疾患または障害、アルツハイマー病、精神分裂病、てんかん、腫瘍およびガンを包含するが、こ れらに限定されない。遺伝子療法に用いられ得るベクターの例は、欠陥レトロウイルス、アデノウイルス、または他のウイルスベクター(Mulligan,R.C.,Science 260:926-932(19 93))を包含するが、これに限定されない。Anderson,GeneTherapy,246 J.Amer.Med.Assn. 2737(1980); Friedmann,Progress toward human genetherapy,244 Science 1275(1989); Anderson,256 Science 808(1992); human genetherapy protocols published in Human Gene Therapy,Mary Ann LiebertPublishers,N.Y.(1990〜1994);Bankら、565 Ann.N.Y.A cad.Sci.37(1989); LTR-Vectors(米国特許第4,405,712号);Ausubel,下記,第9.10〜9.17 章;Jon A.Wolff編,Gene Therapeutics;methods and applicationsof direct gene trans fer,Birkhaeuser.Boston(1994)を参照のこと。
遺伝子を有するベクターが細胞に導入され得る方法は、マイクロインジェクション、エレクトロポレーション、トランスダクション、またはDEAE-Dextranを用いたトランスフェ クション、リポフェクション、リン酸カルシウムまたは当業者に公知の他の方法を包含するが、これに限定されない(Sambrook、下記、Ausubel、下記)。
非経口投与のための調製物は、滅菌溶液または水性溶液または非水性溶液、懸濁液、および乳濁液を含む。非水性溶剤の例は、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール 、オリーブ油のような植物油、およびオレイン酸エチルのような注入可能な有機エステルである。水性キャリアは水、アルコール性/水性溶液、乳濁液、または懸濁液(生理食塩 水および緩衝化媒体を含む)を含む。非経口ビヒクルは、塩化ナトリウム溶液、リンガーデキストロース、および塩化ナトリウム、乳酸化リンガー、または固定油を含む。静脈内 ビヒクルは流体および栄養補液、電解質補液(例えば、リンガーデキストロースに基づくものなど)を含む。保存剤および他の添加剤はまた、例えば、抗菌剤、酸化防止剤、キレ ート剤、不活性ガスなどであり得る。一般に、Osolら編、Remington'sPharmaceutical S cience,第16版,(1980)を参照のこと。
他の実施態様において、本発明は、PNS SCPに関連する活性を変化させるのに十分な量のPNS SCまたはPNS SCPを調節する化合物または組成物を包む薬学的組成物、および薬学 的に受容可能な希釈物、キャリア、あるいは賦形剤に関する。適切な濃度および投与量のユニットサイズは、当業者によって容易に決定され得る(例えば、Osolら編、Remington' s Pharmaceutical Sciences,第16版,Mack.EastonPA(1980)およびWO 91/19008を参照のこ と)。
本発明は、薬学的に受容可能なキャリアと組み合わせて、少なくとも1つの有効量のPNS SCPアンチセンスオリゴヌクレオチドを含む薬学的組成物である。このようなアンチセ ンスオリゴは、配列番号1のDNA配列に相補的な少なくとも1つの12〜500ベースの長さのヌクレオチド配列、または配列番号2の少なくとも4アミノ酸をコードするDNA配列、あ るいは図11A〜11Fを含むが、これに限定されない。
あるいは、PNS SCP核酸は、脂肪親和性キャリア(例えば、コレステロール、コール酸 塩およびデオキシコール酸を含む多くのステロール類のうちの任意の1つ)と結合され得 る。好ましいステロールはコレステロールである。
本発明のPNS SCP遺伝子療法核酸および薬学的組成物は、それらの意図された目的を達 成する任意の手段により投与され得る。例えば、投与は、非経口、皮下、静脈内、筋肉内、腹腔内、または経皮ルートによってであり得る。投与量は、受容者の年齢、健康、体重 、同時処置の種類、ある場合、処置の頻度、および所望される効果の性質に依存する。
本発明の範囲内の組成物は、末梢神経系ニューロンまたは神経節において少なくとも1 つのPNS SCPの増強された発現を達成するために有効な量で、PNS SCPアンチセンスオリゴ ヌクレオチドを含む全ての組成物を包含する。個体の要求性はさまざまであるが、各成分 の有効量の最適範囲の決定は当業者の範囲内である。代表的には、PNS SCP核酸は、哺乳 動物(例えば、ヒト)に、処置されている哺乳動物の体重1日あたり0.005〜1mg/kg/日 の投与量で、または薬学的に受容可能なその塩の等量で、投与され得る。
非経口投与の適切な処方物は、水溶性の形態(例えば水溶性の塩)で、PNS SCP核酸の 水溶液を含む。さらに、適切な油性注入懸濁物として活性化合物の懸濁物が投与され得る。適切な脂肪親和性溶剤またはビヒクルは、脂肪油(例えば、ゴマ油)あるいは合成脂肪 酸エステル(例えば、オレイン酸エチルまたはトリグリセリド)を含む。水性注入懸濁物は、例えば、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ソルビトール、および/またはデ キストランを含む懸濁物の粘性を増加させる物質を含み得る。必要に応じて、懸濁物は安定剤も含み得る。
あるいは、少なくとも1つのPNS SCPは、ビリオンの形態で(これは好ましくはインビ ボで複製できない(例えばTaylor,WO92/06693を参照のこと))投与されるDNA構築物によりコードされ得る。例えば、このようなDNA構築物はヘルペスを基にしたウイルスを用い て投与され得る(Gageら、米国特許第5,082,670号)。あるいは、PNS SCPアンチセンスRN A配列、PNS SCPリボザイム、およびPNS SCP EGSは、組換え型の複製欠陥レトロウイルス またはアデノウイルスのような、ビリオンの形態で投与されるRNA構築物によりコードされ得る。レトロウイルスベクターの調製は当該分野で周知である(例えば、Brownら、「 レトロウイルスベクター」DNA Cloning:A PracticalApproach,第3巻,IRL Press,Washin gton.D.C.(1987))。
末梢神経系における遺伝子発現の特異性は、細胞特異的エンハンサーおよびプロモーターのような、適切な細胞特異的調節配列を用いることより与えられ得る。タンパク質リン 酸化は神経調節に対して重要である(Kennedy,「セカンドメッセンジャーおよび神経機能」An Introduction to Molecular Neurobiology,Hall編,Sinauer Associates Inc.(1992))ので、プロテインキナーゼプロモーター配列は、十分なレベルのPNS SCP遺伝子発現を達 成するために用いられ得る。
従って、遺伝子療法は、特定の形態のPNSSCの不適切な発現を阻害することにより、ナ トリウムチャンネルと関連する病状を緩和するために用いられ得る。さらに、遺伝子療法 は、特定の形態のPNS SCPの適切なレベルの発現を供与することにより、このような病状を緩和するために用いられ得る。この場合、特定のPNS SCP核酸配列は、上記のようにウ イルスの形態で投与されるDNAまたはRNA構築物によりコードされ得る。
本発明をここで一般的に記載したが、本発明は、以下の実施例(これは例示のために供 与され、特定されない限り本発明を制限することを意図するものではない)の参照により、より容易に理解される。
実施例1: PNS SCをコードする核酸のクローニングおよび配列決定 材料と方法 細胞培養。P12細胞およびPKI-4PC12サブクローンを既に記述されているように増殖さ せた(Mandelら, 1988)。NGF(2.5Sサブユニット;S. Halegoua博士(StonyBrookのSUN Y)より譲渡された)を培養培地に最終濃度110ng/mlで加えた。cAMP依存性キナーゼイン ヒビタータンパク質(PKI)を発現するPKI-4PC12サブクローンもS. Halegoua博士から提 供された(D'Arcangeloら, J. Cell Biol. 122:915-921(1993)を参照のこと)。
PCR増幅。Cathalsら,DNA 2:329-335(1983)の方法に従って、高レベルのcAMP依存性プ ロテインキナーゼインヒビタータンパク質を発現するPC12サブクローン(PKI-4)から全細胞RNAを単離した。NGF処理PKI-4細胞から調製した全RNAの2μgを使用し、逆転写反応 用のランダムヘキサマープライマーを用いて第1鎖cDNAを合成した。次にそのcDNAを、ナトリウムチャンネルαサブユニット遺伝子の反復ドメインIII内の400塩基対領域を特定す る一対の縮重オリゴヌクレオチドプライマーを用いる、PCR増幅のためのテンプレートとした。5'プライマー(YJ1と命名:GCGAAGCTT(TC)TIATITT(TC)I(GATC)IAT(ATC)AT GGG(配列番号3);下線はHindIII制限部位を示す)(II型ナトリウムチャンネル遺伝子の1347-1354位のアミノ酸FWLIFSIM(配列番号4)に対応する)。3'プライマー(YO1Cと 命名:GCAGGATCC(AG)TT(AG)AAA(AG)TT(AG)TC(AGT)AT(AGT)AT(AGCT)AC(AGCT)CC(配列番号5);下線はBamHI制限部位を示す)(II型遺伝子の1470-1447位のアミ ノ酸GVIIDNFN(配列番号6)に対応する。増幅反応混合物は、0.1MKCl、0.1M TRIS HCl (pH8.3)およびゼラチン(1mg/ml)からなる緩衝液中に5%のcDNA、1mM MgCl2、0.2mMd NTP、0.5μM各プライマー、Taqポリメラーゼ(Perkin-Elmer)からなった。反応をPerkin -Elmerサーモサイクラー中で次のように行った:変性(94℃、1分)、アニーリング(37℃、1分)および伸長(72℃、1分)を5サイクルの後、変性(94℃、1分)、アニーリング (50℃、1分)および伸長(72℃、1分)を25サイクル。PCR産物を低融点アガロースゲル(SEAPLAQUEGTG,FMC BIOPRODUCTS)から切り出し、そしてHindIIIおよびBamHIで予め制 限しておいたBluescript IISKプラスミドベクターにサブクローニングした。ミニプレッ プ(miniprep)(Sambrookら、下記)によりクローンをcDNA挿入物についてスクリーニングし、そしてジデオキシ鎖終結法(Sequenase2.0キット,UNITED STATES BIOCHEMICAL)に より両方向に配列決定した。配列データをGENWORKSソフトウェア(INTELLIGENETICS,INC.,Mountain View, CA)を用いて編集および分析した。
cDNAライブラリーの構築およびスクリーニング。PKI-4 PC12サブクローン由来のポリ(A)+ mRNAを精製し(mRNA精製キット,PHARMACIA)、それを用いてランダム−およびオリ ゴ(dT)−プライムλZAPIIcDNAライブラリー(STRATAGENECORP, La Jolla, CA)を構築 した。このライブラリーは、増幅前に5.6×106個の独立したクローンからなった。ランダ ムプライマーで標識した(PHARMACIAキット)クローン化PCR産物pPC12-1を用いて約4×106個の組換え体をスクリーニングしたところ、1〜3kbのサイズの範囲の5つのcDNAが単離さ れた。配列分析および公表された配列に対する比較によって、これらのcDNAのうちの2つが3033bpの新規ナトリウムチャンネルαサブユニット(PNI)をともにコードすることが 確認された。
ノーザンブロット分析およびリボヌクレアーゼ保護アッセイ。Chirgwin,Biochemstry 18:5294-5299(1979)の標準的な方法を用いて、成体Sprague-Dawleyラットの脳、脊髄、 上頚神経節、後根神経節、骨格筋、心筋および副腎から全細胞RNAを単離した。既に記述されているようにして(Coopermanら,Proc. Nat'l Acad. Sci. USA 84:8721(1987))、 RNAを電気泳動し、そしてナイロン膜に移した(DURALON-UV:STRATAGENECORP.)。Strata linker UVクロスリンカー(STRATAGENE CORP.)を用いてRNAブロットをナイロンに架橋し 、以下の線状化したテンプレートから生成した32P-UTP標識アンチセンスRNAプローブにハイブリダイズさせた:pPC12-1、pRB211(Coopermanら,下記,1987)、plB15(シクロフィ リン:Danielsonら,DNA7:261-267(1988))、ならびにI型ナトリウムチャンネルの51bp のイントロン、5'非翻訳配列および267bpのコード配列を含有するラット脳I型。RNAプローブをT3(pPC12-1)、T7(pNach1)またはSP6(pRB211,p1B15)RNAポリメラーゼのいず れかを用いて、製造者(PROMEGACORP., Madison, WI)の説明書に従って転写した。ブロ ットを2×SSC,0.1% NaDodSO4中で68℃で15分間洗浄した後、0.2×SSC、0.1%NaDodSO4 中で68℃で15分間2回洗浄した。プレフラッシュしたXAR-5フィルム(EASTMAN KODAK CO. ,Rochester, NY)でのオートラジオグラフィーをデンシトメーターによるmRNAの定量に 用いた。
キット(RPA II,AMBION INC., Austin, TX)を用いて、リボヌクレアーゼ保護アッセ イを行った。全RNAをpPC12-1から生成した104cpmのアンチセンスRNAプローブにハイブリダイズさせた。試料間の全RNA量の相違を制御するために、本発明者らはpTRI-β-アクチ ン(AMBION,INC.)から転写したβ-アクチン用アンチセンスRNAプローブを含めた。
インサイチュハイブリダイゼーション。Yokouchiら, Develop. 113:431-444(1991)に 記載の手順の改変を用い、組織の調製およびハイブリダイゼーションを行った。SCGおよびDRGを成体Sprague-Dawleyラットから切り出し、そして4%パラホルムアルデヒド(0.1M PBS中)中で4℃で2〜6時間固定した。次に組織を0.1MPBS(pH7.3)中で約5分間リンスし、30%スクロース(0.1M PBS中)中で4℃で2時間凍結 保護し、そしてO.C.T.(TISSUE-TEK)に包埋した。クライオスタット切片(14μM)をSUPERFROST/Plusスライド(FISHER SCIENTIFIC)上に集め、室温で約2時間乾燥し、次いで− 80℃で保存した。
プレハイブリダイゼーションの直前に切片を室温にし、そして0.3%TritonX-100を含 む0.1M PBS(pH7.3)中で5分間再水和した。次に切片を0.2N HClで20分間処理し、0.1M P BS中で5分間洗浄し、そしてプロテイナーゼK(0.1MPBS中5μg/ml)で37℃で40分間消化 した。次に切片を4%パラホルムアルデヒド(0.1M PBS中)で後固定(postfix)し、0.1Mグ リシンを含む0.1MPBSで15分間リンスし、そして50%ホルムアミド,2×SSC中で1時間平 衡化した(室温)。
ジゴキシゲニン-UTPでのRNA標識についての製造者(BOEHRINGERMANNHEIM)の説明書に 従ってpPC12-1またはpNach2(Coopermanら, Proc. Nat'l Acad. Sci.USA84:8721(1987 ))から転写したアンチセンスジゴキシゲニン標識RNAプローブと切片をハイブリダイズ させた。ジゴキシゲニン-UTPをrUTPに置き換えることによって非標識プローブを合成した。20mM TRIS HCl(pH8.0)、2.5mM EDTA、50%ホルムアミド、0.3M NaCl、1×Denhardt's 、10%硫酸デキストラン、1mg/mltRNAおよび0.7μg/mlの濃度のプローブを含むハイブリ ダイゼーション溶液約100μlで、各切片を覆った。次に切片をPARAFILMカバーグラスで覆 い、そして加湿チャンバー中で終夜45℃でインキュベートした。ハイブリダイゼーション後、切片を50%ホルムアミド、2×SSC中で45℃で1時間洗浄し、その後0.5M NaCl、10mM T RIS HCl(pH8.0)および20μg/mlRNase A(BOEHRINGER MANNHEIM)中でRNase消化した。 次に切片を45℃で50%ホルムアミド、2×SSC中で1時間洗浄し、そして50%ホルムアミド、1×SSC中で1時間洗浄した。
製造者の説明書に従ってキット(GENIUS 3 KIT, BOEHRINGER MANNHEIM)を使用して、免疫学的検出を行った。ほとんどの実験において、切片を色溶液(color solution)中で約 3〜5時間室温でインキュベートした。次に切片にAQUA-MOUNT(LernerLaboratories)で カバーグラスをし、そして暗所に保存した。
デンシトメトリー。ナトリウムチャンネルmRNAのレベルを、BioImageソフトウェア(M illipore Corp., Ann Arbor, Michigan)を用いるオートラジオグラムのデンシメトリー 分析によって測定した。RNAのレベルを、定量したシクロフィリンmRNAレベルに対して正規化した。 結果 末梢神経内で優先的に発現されるcDNAの単離。PC12細胞のNGF処理が、既知のいずれの ナトリウムチャンネル遺伝子に特異的なプローブに対してもハイブリダイズしない約11kbのナトリウムチャンネル遺伝子転写物のレベルを増大させることは、D'Arcangeloら,J. C ell Biol. 122:915-921(1993)によって既に示されている。成体ラットの交感神経節および知覚神経節由来のmRNAにも同じサイズの転写物が検出されたが、脳由来のmRNAには検 出されなかった。これらの結果は、この転写物がナトリウムチャンネル遺伝子ファミリーの新たなメンバー(末梢神経I型(PNI)と命名)をコードすることを示唆した。
PNI遺伝子の正体を確認するために、NGF処理PC12サブクローン(これは、PNImRNAを優 先的に発現する)(PKI-4細胞)(D'Arcangeloら)由来のcDNAを、ナトリウムチャンネル αサブユニット遺伝子の400塩基対(bp)領域を特定する一対の縮重オリゴヌクレオチドプライマー(方法、図1を参照)を用いるポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により増幅した。 両プライマーは、電圧ゲートナトリウムチャンネル間で高度に保存されている反復ドメインIII内の推定の貫膜領域を特定する。プライマー間の増幅領域は、厳密に保存された細 孔内層(pore-lining)残基、および異なる哺乳動物αサブユニット間で異なる(divergent)する残基を含む。PCR産物の配列分析によって、新規の推定ナトリウムチャンネルαサブ ユニットの一部をコードするcDNA(pPC12-1)が明らかになった(図1)。全PNIコード領域を含むさらなるcDNAをさらに単離した。
pPC12-1がPNI遺伝子の一部をコードするかどうかを決定するために、cDNAを用いて、コントロールのPC12細胞およびNGF処理PC12細胞由来のmRNAのノーザンブロット分析用のア ンチセンスRNAプローブを生成した(図2B)。比較のために、2連のブロット(図2A)をアンチセンスプローブpRB211とハイブリダイズさせた。pRB211はナトリウムチャンネルα サブユニットの高度に保存された領域をコードし(Coopermanら,Proc.Nat'l Acad. Sci. USA 84:8721(1987))、PNI転写物とクロスハイブリダイズし、そしてD'Arcangeloら,J . CellBiol. 122:915-921(1993)により示されているように、検出される転写物のレベ ルが、NGF処理後に迅速かつ一時的に増大するはずである(最大約5時間)。図2Aと2Bとの比較により、pPC12-1がこれらの基準の両方を満たしたことが示される。また、D'Arcan geloら,J. Cell Biol. 122:915-921(1993)と合致して、本発明者らはpPC12-1によって検出される転写物のNGF誘導がcAMP依存性プロテインキナーゼ活性とは独立しているとい うことを見出した。
PNIをコードするさらなるcDNAを単離するために、ランダム−およびオリゴ(dT)−プライムλZAPII cDNAライブラリー(STRATAGENE、5.6×106個の独立クローン)を、pPC12- 1を単離したと同じPC12サブクローンから単離したポリ(A)+mRNAから調製した。pPC12-1から生成したプローブで4×104個の組換え体をスクリーニングしたところ、さらに2つの 重複cDNAが単離され、これらは連結されて3033bpのcDNAを与える(図7)。全PNIコード領域を含むさらなるcDNAをさらに単離した。
PNIの推定一次構造の分析。図8に示すように、PNIの推定一次構造は、ナトリウムチャ ンネルαサブユニット遺伝子の反復ドメインIIをコードする。II型ナトリウムチャンネルとの比較により、PNI配列は電圧ゲートナトリウムチャンネルに特有の構造モチーフを、6 つの推定貫膜ドメイン(IIIS1-IIIS6)を含めて、すべて含有することが示される。電圧センサーとして機能すると考えられているS4ドメインは、3番目の位置ごとでの正に荷電 した残基(リジンまたはアルギニン)の高度に保存されたパターンを示す。さらに、推定細孔内層セグメント(IIISS1-IIISS2)は、ナトリウム選択的透過(Heinemannら,Nature 356:441-443(1992))およびTTX親和性(Terlaueら,FEBS Lett. 293:93-96(1991)) に関与することが示されている残基を含有する。
このような高度に保存された構造上の特徴に加えて、ナトリウムチャンネルαサブユニットはいくつかの特徴的な翻訳後修飾を受ける。現在までに配列決定されているすべての ナトリウムチャンネルは、アスパラギン結合(N結合)グリコシル化部位の特有のパターンを示し、それらはほとんど排他的にS5膜貫通ヘリックスとS6膜貫通ヘリックスとを連結 する細胞外ループに見出される。PNIのN結合グリコシル化部位はこのパターンと良く一致し、3つの潜在的細胞外グリコシル化部位が、IIIS5とIIIS6との間に位置する。これら の部位のうちの2つは、I型、II型およびIII型ナトリウムチャンネルにも見出される。
αサブユニットはプロテインキナーゼC(PKC)によってリン酸化され、そして推定PNI 配列は高度に保存されたコンセンサスPKCリン酸化部位をセリン1506に含む(図1)。この残基はドメインIIIとドメインIVとを連結する細胞質ループ(これはチャンネルの不活化 に関連づけられている)内に位置し、そして突然変異分析によってこのセリンがチャンネル不活化のPKC調節に必要であることが示されている(Westら,1991)。
全DNA配列(図9A〜9C)および全アミノ酸配列(図10)を決定した。ラットPNIアミノ酸配列を実施例2に示す新たなヒト配列(図11A〜11F)と比較した。
まとめると、PNIの推定一次構造は電圧ゲートナトリウムチャンネルのαサブユニットに特有の特徴構造と機能ドメインをすべて含有する。
PNI遺伝子は優先的にPNS中で発現される。PNI遺伝子が優先的にPNS内で発現されるかどうかを決定するために、成体ラットの脳、脊髄、SCG、DRG、骨格筋および心筋から全RNA を単離し、そしてノーザンブロット分析に供した。ブロットを、pPC12-1から生成したPNI特異的アンチセンスプローブとハイブリダイズさせた。図3Aに示すように、本発明者らは 、約11kbの転写物に対する高レベルのハイブリダイゼーションを、SCGおよびDRGの両方に見出した。脊髄および脳の両方における転写物に対して、はるかに低いが検出し得るレベ ルのハイブリダイゼーションが見出された。骨格筋、心筋および肝臓由来のmRNAには、検出し得るハイブリダイゼーションは観測されなかった。
リボヌクレアーゼ(RNase)保護分析も行った。ノーザンブロット分析で使用した組織 と同じ組織および副腎から全RNAを単離し、そしてPNI特異的アンチセンスプローブ(pPC12-1)にハイブリダイズさせた。SCG、DRG、脳、脊髄および副腎由来のmRNAは、PNIプロー ブの343bpフラグメントを保護した(図4B)。保護されなかった塩基は、オリゴヌクレオチドプライマー配列およびプラスミド配列を表す。PNIプローブは骨格筋および心筋由来 のmRNAのいずれによっても保護されなかった。
様々な組織中のPNImRNAの相対量を測定するために、3つの別個のRNase保護実験由来のオートラジオグラフをデンシトメトリーによって分析した。試料間の全RNA量の小さな相 違を調節するために、本発明者らはβ-アクチン用のプローブを含めた。SCGおよびDRGの両方中のPNImRNAレベルは、脊髄、副腎および脳内よりも約40倍高かった。
PNI遺伝子は交感ニューロンおよび知覚ニューロンにおいて発現される。PNI遺伝子が末梢神経節のニューロン中で発現されるかどうかを決定するために、インサイチュハイブリ ダイゼーションを用いて、成体ラットのSCGおよびDRGにおけるPNImRNAの細胞分布を調査 した。クライオスタット切片を、PNI特異的ジゴキシゲニン標識RNAプローブ(pPC12-1) とハイブリダイズさせ、これをアルカリ性ホスファターゼに結合した抗ジゴキシゲニン抗体を用いて可視化した。図4AおよびBに示すように、このPNIアンチセンスプローブは、SC GおよびDRGの両方におけるほとんどのニューロン細胞体を標識した。このハイブリダイゼーション信号がPN mRNAに特異的なプローブの結合に起因することを確認するために、本 発明者らは2つの異なるネガティブコントロールを行った。(1)切片を、100倍過剰の非標識PNIアンチセンスプローブの存在下でジゴキシゲニン標識プローブとハイブリダイズ させた。(2)以前の実験によって、SCGおよびDRGは極めて低レベルのII型ナトリウムチャンネルmRNAを含有することが示された(Beckh,S., FEBS Lett. 262:317-322(1990)) 。そこで、本発明者らは、切片をII型特異的アンチセンスプローブともハイブリダイズさせた。図4C-Fに示すように、これらのコントロール実験の両方は、ハイブリダイゼーショ ン信号を大いに減少させた。また、ノーザンブロット分析およびRNase保護分析の結果に合致して、本発明者らは成体ラットの大脳皮質の切片に対する標識PNIプローブのハイブ リダイゼーションが、検出し得る染色を生じなかったことを見出した。
PNIプローブはSCGおよびDRGの両方におけるほとんどのニューロン細胞体を染色したが 、本発明者らはPNI mRNAレベルの細胞-細胞間の変動は2つの神経節間で異なることを見出した。SCGニューロンは、異なる細胞間で反応産物の強度が比較的一定であるという点 で、かなり均質であった。しかしDRGニューロンは、染色強度が細胞間でかなり変動するという点で、極めて不均質であった。例えば図4Bにおいて、矢印は直径がほぼ等しい、染 色強度が著しく異なる2つのDRGニューロンを示している。
最後に、本発明者らはPN2プローブは衛星細胞およびシュヴァン細胞などの非ニューロ ン細胞を染色しないことを見出した。しかし、これらの細胞がこの方法により検出され得ない極めて低レベルのPNI mRNAを含有する可能性はある。
SCGニューロンはI型ナトリウムチャンネル遺伝子をも発現する。以前のノーザンブロット分析により、SCG由来のmRNAが2つの異なるナトリウムチャンネル遺伝子転写物を含む ことが示された。本発明者らが明らかにしたように、より大きな11kbの転写物はPN1ナトリウムチャンネルをコードする。しかし、より小さい転写物はまだ同定されていない。本 発明者らは、他のPNS組織において中程度のレベルの1型mRNAが見出されているので(Beckh,S., FEBS Lett. 262:317-322(1990))、このより小さい転写物はI型ナトリウムチャ ンネルをコードするという仮説を立てた。この仮説を試験するために、成体ラットから単離したSCG mRNAのノーザンブロットを、I型ナトリウムチャンネル遺伝子に特異的なアン チセンスプローブ(pNach1,上記方法を参照のこと)とハイブリダイズさせた。図5に示すように、I型特異的プローブは、より小さい転写物に特異的にハイブリダイズした。さ らに、本発明者らはSCG mRNAがRNase保護アッセイにおいてI型プローブを保護することを見出した。
推定PNIαサブユニット遺伝子およびIαサブユニット遺伝子は発生の間にディファレン シャルに調節される。I型、II型およびIII型ナトリウムチャンネル遺伝子は中枢神経系および末梢神経系の両方における発生の間にディファレンシャルに制御されることが、いく つかの研究によって示された。PN1遺伝子およびI型遺伝子も発生の間に独立して調節されるかどうかを決定するために、本発明者らは異なる生後齢のラットから単離したSCGにお けるそれらの相対的mRNAレベルを測定した。両方の転写物を同時に可視化するために、ノーザンブロットを保存されたナトリウムチャンネル遺伝子プローブpRB211とハイブリダイ ズさせた。図6Aに示すように、生後7日(P7)に取り出したSCGにおいて、PN1mRNAおよ びI型mRNAのレベルはほぼ等しい。しかし、P14までに、それらの相対量は、PN1 mRNAのレ ベルがI型mRNAのレベルの約*倍を超えるように移行した。このI型mRNAレベルに対するPNI mRNAレベルの比率の増大は、少なくともこの後の生後4週間は続く。P42まで、PNIは主 要なナトリウムチャンネル遺伝子転写物であり、そのPN1 mRNAレベルはI型mRNAのmRNAレベルより数倍高い。
mRNAレベルの発生変化を定量化するために、3つの別個の実験由来のオートラジオグラ フをデンシトメトリーによって分析した。レーン間の全RNA量の相違を制御するために、続いてブロットを内部コントロールのシクロフィリン用のプローブとハイブリダイズさせ た。最大mRNA百分率を生後齢に対してプロットした図6Bに示すように、2つの転写物の相対量の移行は、I型ナトリウムチャンネルmRNAレベルの発生上の減少に大いに起因する。P 7からP42までに、I型mRNAのレベルは、ほぼ80%減少する。
実施例2: PN-1アンタゴニストについての薬物スクリーニング PNS SCPリガンド(例えば、アンタゴニストおよびアゴニスト)がPNS SCPの活性を阻害または増強する能力は、少なくとも1つのPNC SCPを発現する細胞を用いて評価される。そ のような細胞中のPNS SCP活性についてのアッセイを用いて、アンタゴニストまたはアゴニストとして作用し得る少なくとも1つの薬剤の存在下でPNS SCPタンパク質の機能性を測 定し、従ってPNS SCPの活性を妨害または増強する薬剤を同定する。2以上の細胞株(それぞれが異なるPNS SCPを発現する)を用い、そして任意にCNS特異的ナトリウムチャンネ ルを発現する1以上の細胞株をコントロールとして用いる。
これらの薬剤は(1)無作為に、(2)合理的な選択によって、および/または(3)例え ばコンピューターモデリング技術を用いる設計によって、選択され、そしてスクリーニングされる。
当業者が、PNS SCPの調節薬剤を単離するために、過度の実験を必要とすることなく使 用し得るアッセイの多数の改変が存在する。薬剤決定法には、既知の方法による、コンピューター支援分子設計(CAMD)、PNS SCP−薬剤結合、洗練された化学合成および試験、 標的化スクリーニング、ペプチド結合ライブラリー技術、アンチセンス技術および/または生物学的アッセイが含まれる。例えば、Rapakaら編,「薬物開発:薬物の発見、データ ベースおよびコンピューター支援薬物設計」,NIDA ResearchMonograph 134, NIH Public ation第93-3638号,U.S.Dept. of Health and HumanServices,Rockville, MD(1993);L angone, Methods in Enzymology, 第203巻,「分子設計およびモデリング:概念および応用,パートB,抗体および抗原、核酸、多糖および薬物」,第III項, 587-702頁, Academic Press, New York(1991)を参照のこと。
あるいは、本発明のPNS SCP核酸を使用することによってPNS SCPを発現し、そして提示 するように選択または遺伝子操作されている細胞発現ライブラリーまたは他の細胞を用いることが、このような方法では好ましい。ここで、関連する受容体を欠く宿主細胞株が選 択され得る。Rapaka,下記(1993)58-65頁。
本発明に関する限りPNS SCP薬剤とは、インビトロ、インサイチュまたはインビボでPNS SCPに結合する任意の化学的または生物学的分子をいうが、それは合成、組換えまたは天然由来の化合物および組成物、例えば、有機化合物、核酸、ペプチド、炭化水素、ビタミ ン誘導体、ホルモン、神経伝達物質、ウイルスまたはそのレセプター結合ドメイン、オプシン、ロドプシン、ヌクレオシド、ヌクレオチド、凝固カスケード因子、臭気物質または フェロモン(pheremone)、毒素、成長因子、血小板活性化因子、神経活性ペプチド、神経液あるいは薬物または天然化合物などの生物学的に活性な化合物などであり得るが、これ らに限定されるわけではない。
薬剤は無作為に選択され、そしてスクリーニングされるか、あるいはコンピューターモデリング技術を用いて合理的に選択または設計される。無作為スクリーニングのためには 、潜在的薬剤を選択し、そしてそれらのPNS SCPまたはそのフラグメントに結合する能力についてアッセイする。あるいは、薬剤を合理的に選択または設計し得る。本明細書にお いて用いられる場合、少なくとも1つの特定のPNS SCP(例えば、図11に示されるような)の立体配置に基づいて薬剤が選択されるときに、その薬剤は「合理的に選択または設計 された」という。例えば当業者は、特定のペプチド配列に結合し得る薬剤を生成するための現在利用可能な手順を、合理的に設計された化合物(例えば、化合物、核酸またはペプ チドなど)を生成するために、容易に適合させ得る。例えばRapaka,下記(1993);Hurbyら,「合成ペプチドの応用:アンチセンスペプチド」,Synthetic Peptides: A User's Gui de, W. H. Freeman,New York(1992), 289-307頁;およびKaspczakら,Biochemistry 28 :9230-2938(1989)を参照のこと。
少なくとも1つのPNS SCPの活性を調節する薬剤についてスクリーニングする方法は以 下の工程を包含する: (a)少なくとも1つのPNS SCPを発現する少なくとも1つの細胞株を試験しようとする薬剤と共にインキュベートする工程、および (b)PNS SCP結合またはPNS SCP活性に対する薬剤の影響を測定することによって、少な くとも1つの細胞を、少なくとも1つのPNS SCPタンパク質の活性についてアッセイする 工程。そのアッセイは好ましくは、別のPNS SCPに対する薬剤の影響を識別し、そしてそ の薬剤が、CNSナトリウムチャンネルに対する効果をほとんど有さないか、または全く有さないか、あるいはCNSナトリウムチャンネルに対して相対的にわずかな効果しか有さな いことを決定する。
上記のアッセイにおいて、その細胞が機能的な形態のPNS SCPタンパク質を発現し、か つそのPNS SCP活性が測定可能である限り、どのような細胞でも使用できる。好ましい発 現細胞は真核細胞または真核生物である。そのような細胞は、当該技術で公知の日常的な手順を用いて、PNS SCPタンパク質をコードするDNA配列を含むように改変され得る。ある いは、当業者は、PNS SCPタンパク質をコードするmRNAを細胞中に直接導入することもできる。
別の実施態様において、機能的なPNS SCPイオンチャンネルを発現するように、ニュー ロン細胞またはグリア細胞のいずれかについての幹細胞集団を、遺伝子操作することができる。PNS SCPイオンチャンネルを発現するそのような細胞を、哺乳動物の神経系の疾患 領域または損傷領域に移植することができる(NeuralTransplantation. A Practical Ap proach, DonnetおよびDjorklund編, Oxford UniversityPress、New York, NY(1992)) 。別の実施態様において、胚組織または胎児ニューロンを機能的なPNS SCPイオンチャン ネルを発現するように遺伝子操作し、そしてそれを哺乳動物の大脳辺縁系の疾患領域または損傷領域に移植することができる。パーキンソン病患者に胎児ドーパミンニューロンを 移植することの実施可能性は立証されている(Lindvallら,Archivesof Neurology 46:61 5-631(1989))。
機能的チャンネルタンパク質を生成するために、現在少なくとも2種類のアプローチを用いて、電圧依存性ナトリウムチャンネルクローンを発現させている。1つのアプローチ においては、クローン化cDNAをコードするmRNAを、Xenopus卵母細胞内で発現させる。ナトリウムチャンネルcDNAをpGEM組換えプラスミド(Meltonら,1984)などの細菌発現ベク ター中にクローン化する。SP6ポリメラーゼまたはT7ポリメラーゼなどのRNAポリメラーゼをM7G(5')ppp(5')Gなどのキャッピングアナログとともに用いて、クローン化cDNAの 転写を行う。得られたRNA(例えば、約50nl,2〜5ngに相当する)を、Xenopusから単離したV期およびVI期の卵母細胞に注入し、そして19℃で3〜5日間インキュベートする。二 微小電極電圧クランプを用いて、卵母細胞をナトリウムチャンネル発現について試験する(Trimmerら,Neuron 3:33-49, 1989)。
別のアプローチにおいて、電圧依存性ナトリウムチャンネルをコードするcDNAを、多数の哺乳動物発現ベクターのいずれかにクローン化し、そして内因性の電圧依存性ナトリウ ムチャンネルを発現しない哺乳動物細胞(例えば、繊維芽細胞株など)にトランスフェクトする。トランスフェクトされたクローンを、クローン化され、トランスフェクトされた cDNAの発現で選択する。パッチ電極を用いる全細胞電圧クランプ技術を用いて、ナトリウムチャンネル発現を測定する(D'Arcangeloら,J. Cell Biol. 122:915-921(1993))。
薬物スクリーニングに有用な細胞株およびPNS SCPの供給源。PNS SCPを(天然に、誘導 によって、または組換え発現によって)発現する任意の細胞株を、薬物スクリーニングに 使用することができる。非限定的な例として、PC12細胞はPNIナトリウムチャンネルおよびII型ナトリウムチャンネルの両方を発現する。A126-IB2細胞は、プロテインキナーゼA (PKA)活性が欠損した変異体であり、そしてPN1を発現するが、II型ナトリウムチャンネルを発現しないことがここに明らかになった。PKI-4は、PKAのペプチドインヒビターをコ ードするcDNAでトランスフェクトされたPC12細胞株である。これらの細胞株はいずれも、本発明のPNS SCPの一供給源として、または薬物スクリーニングに使用される細胞株その ものとして使用することができる。PC12細胞のNGFでの処理は、PNS SCP(PNI)ナトリウ ムチャンネルおよびII型ナトリウムチャンネルの両方を減少させるが、A126-182細胞にお いてはNGFがPN1のみを誘導する。PKI-4細胞は、NGF処理なしでPNS SCP(PNI)を発現する (D'Arcangeloら, J. Cell Biol. 122:915-921(1993))。
さらに、またはあるいは、異種発現系も使用できる。ここで、細胞株(チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)など)をPN-IをコードするcDNAで安定にトランスフェクトする 。異種細胞株を形成させるためにcDNAをトランスフェクトし、そしてそれを安定に発現させる方法工程は、当該技術分野で周知である。トランスフェクト細胞を使用する利点は、 非常に高レベルのPNS SCP(PN-Iなど)を発現するクローンが得られることにある。
アンタゴニストまたはアゴニストとしてのPNS SCP調節物質をスクリーニングするため には、薬剤をその薬物の以下の能力について調べる: (a)PNS SCPに対する放射性リガンドの結合を阻害または増強する能力(標識リガンド結 合反応)、および/または (b)PNS SCPを発現する細胞株においてPNS SCPのチャンネルを通過するイオン流を阻害 または増強する能力。
標識リガンド結合性神経毒を用いて、PNSナトリウムチャンネルを特徴づけることができる。例えば、以前の研究によって、少なくとも6つの異なる神経毒結合部位が、以前に 特徴づけられた非PNSナトリウムチャンネル上に同定されている(Lombertら,FEB219 (2) :355-359(1987)に概説されている)。これらの部位の多くは、互いにアロステリック 的に結合していると考えられている(総説として、Strichartzら,Ann.Rev. Neurosci. 1 0:237-267(1987)およびそこで引用されている文献を参照のこと)。言い換えれば、特 定の神経毒部位への薬物または毒素の結合は、その部位における薬物結合のみならず、そのチャンネル上の他の部位での薬物結合に対しても感受性であり得る。このことは、所定 の標識リガンドについて、PNS SCPに優先的に結合する薬剤を同定する可能性が増大するという点で、薬物スクリーニングプログラムにとって有利である。
懸濁状態のインタクトな細胞(例えば、PC12 PKIまたはPNS SCP発現異種細胞株)中での本発明のPNS SCPへの標識リガンドの結合を測定するための本明細書中に記載の技術は 、脳シナプトソーム調製物中の他のナトリウムチャンネルに対する放射性リガンドの結合に関して以前に記述されている技術と類似している(例えば、Cattcrallら,J. Biol. Che m. 256 (17):8922-8927(1981)を参照のこと)。しかし、これらの技術が、本明細書に示される教示および指導に基づいて、基質付着細胞または破壊細胞調製物を使用するため に日常的に改変されることは、当業者が十分に認識するところである。
A126-1B2、PC12、PKI-4あるいはPNS SCPを発現する他の細胞は、標準的な技術を用いて 増殖させられるが、そしてPN-1発現を誘導するために、任意にNGFで1日〜2日間処理される。細胞を収集し、そして別の潜在的薬剤を用いてイオン流活性について試験する。
両方の放射性リガンドについて、結合反応を、例えば37℃で行い、次いで停止する。試料をすばやく減圧ろ過し、氷冷緩衝液で洗浄し、そして結合した放射活性をシンチレーシ ョン計数によって測定する。
イオン流は、PNS SCPを通過するイオントレーサーの流入を阻害または増強する潜在的PNS SCP剤の能力によって、PNS SCP機能の活性を阻害または増強するそれらの能力を直接 的に試験する。
以前のナトリウムチャンネル研究のほとんどが、22Naをトレーサーとして使用している(例えば、Catterallら, J.Biol. Chem. 256(17):8922-8927(1981)を参照のこと)。 しかし、22Naの高い毒性は、高処理量薬物スクリーニングでの使用にとっては不利であり得る。毒性のより低い代替物は、(14C)グアニジニウムイオンであり、その流入はナト リウムチャンネル開口の信頼できる指標であることが示されている(Reith,Europ.J. Ph armacol. 188:33-41(1990))。従って、少なくとも1つのPNS SCPを発現するインタク トな細胞を用い、日常的な方法を用いて、PNS SCPイオンチャンネル活性(例えば(14C) グアニジニウムイオン流)を調節するための化合物をスクリーニングすることができる。 さらに、これらの方法は、22Naを使用するように容易に改良できることが周知である。同様に、これらの既知の方法工程は、基質付着細胞または破壊細胞から調製した小胞を使用 するように、公知の方法工程により、改良することができる。
グアニジニウム流アッセイのためには、22Naのための方法をReith(Europ. J. Pharmacol.188:33-41(1990)、脳シナプトソームについて)の方法から、例えば以下の実施例2に記述するように改変する。少なくとも1つのPNS SCPを発現する異種細胞を含 む細胞懸濁液のアリコートを、100μM(0.20mg〜0.25mgタンパク質)の総容積中、チャンネル開口物質(opener)(代表的には100μMベラトリジン)および試験薬物の存在下で、37 ℃で10分間インキュベートする。4mM塩酸グアニジン(最終)および1000dpm/nmol(14C)グアニジンも含有するHEPES/TRIS溶液の添加によって、イオン流を開始させる。反応を 30秒間続け、そして氷冷インキュベーション緩衝液を添加して反応を停止し、その後Whatman GF/Cフィルターを通してすばやくろ過する。フィルターを氷冷インキュベーション緩 衝液ですばやく洗浄し、そしてシンチレーション計数によって放射活性を測定する。プレインキュベーションおよび取り込みの両方の間に1mMテトロドトキシンを含めることによ って、非特異的な取り込みを並行して測定する。
グアニジニウム流アッセイを用いて、いくつかのメチル/ハロフェニル置換化合物(リドフラジンなど(例えば、Merck Index Monograph 5311および米国特許第3,267,104号、 これらの両方はその全体が参考として本明細書に援用される)を参照のこと)を試験し、そしてこれらが少なくとも1つのPNS SCPを発現する細株中で少なくとも1つの本発明PNS SCPのナトリウムチャンネル活性を阻害することが見出された。ここで、PKI-4細胞に対するリドフラジンについてのpIC50は6.51であった。したがって、本発明はメチル/ハロフ ェニル置換ピペリジンのようなPNS SCP調節薬剤を提供する。
実施例3: ヒト末梢神経系cDNAライブラリーからのヒトPNS SCP配列の同定 実施例1に提供される手順と同様に、ヒト末梢神経系cDNAライブラリー(ヒトDRGライブラリーとして)をポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅のために用いた。このPCRには、配 列番号2のアミノ酸604〜611をコードするDNAに対応する5'プライマー、および配列番号2のアミノ酸723〜731をコードする対応する3'プライマーを使用した。
PCR反応混合物は、0.1M KCl、0.1M TRISHCl(pH8.3)およびゼラチン(1mg/ml)から なる緩衝液中で5%のcDNA、1mM MgCl2、0.2mM dNTP、0.5mM各プライマー、Taqポリメラーゼ(Perkin-Elmer)からなった。反応はPerkin-Elmerサーモサイクラー中で以下のように 行った:変性(94℃、1分)、アニーリング(37℃、1分)および伸長(72℃、1分)を5サイクルの後、変性(94℃、1分)、アニーリング(50℃、1分)および伸長(72℃、1分) を25サイクル。
得られたPCR産物は、図11A〜11Fに示すように、配列番号2のアミノ酸646〜658をコードするヒト増幅cDNAを与えた。
実施例4: ヒト後根神経節cDNAライブラリーからのヒトPN-I配列の クローニングおよび配列決定 上記実施例1および3のように、1以上の本発明のヒトPNS SCPの全コード領域を含む クローンをヒトDRG cDNAライブラリーから単離するために、配列番号1に対応するさらな るPCRプライマーを使用する。5'プライマーは、配列5'TTTGTGCCCCACAGACCCCAG3'(配列番号17)を含み、そして3'プライマーは、配列5'ACACAAATTCTTGATCTGGAATTGCT3'(配列番号 18)または5'CAACCTCAGACAGAGAGCAATGA3'(配列番号19)(これはネステッドPCRのために使用する)を含む。上記実施例1および3に従って、PCRを行って、ヒトPNS SCPをコード するcDNAを得る。
上記PCR産物に対応する配列の5'側または3'側の「ウォーキング」によって、さらなるPCRを行う。この方法において、1以上のヒトPNS SCPの全コード領域を含むcDNAが提供さ れる。
得られたさらなるcDNAクローンまたはPCR産物(全ヒトPNS SCPをコードする)を、適切 な制限部位で予め制限しておいたプラスミドベクター中にサブクローニングする。これら のクローンをミニプレップ(Sambrookら、下記)によりcDNA挿入物についてスクリーニングし、そしてジデオキシ鎖終結法(Sequenase 2.0キット,United States Biochemical) によって両方向に配列決定する。配列データをGeneWorksソフトウェア(IntelliGenetic s,Inc.,Mountain View, CA)を用いて編集および分析する。ヒトPN1配列について予想される別のアミノ酸配列を、図11A〜11Fに、そして配列番号7、11および12として示す(こ こで、Xaaは0、1、2または3アミノ酸を表す)。
次に、得られたヒトPNS SCPのサイズの転写物が、ヒトPNS mRNAまたはcDNA(図11A〜11 Fの1970〜1990アミノ酸配列をコードする)中に存在することを確認する。しかし、実施例1におけるように、そのような転写物は脳由来のmRNA中に検出されるとは予想されない 。この予想される結果は、ナトリウムチャンネル遺伝子ファミリーの新たなメンバー(ヒト末梢神経I型(図11A〜EのHUMPNIA(ATCC番号 として寄託)およびHUMPNIB(ATCC番号 として寄託);ここでXは0、1、2また は3個の同じアミノ酸または異なるアミノ酸を表す)と命名)を確認する。
次に新規のヒトPNIの完全なDNA配列およびアミノ酸配列を確認する。これらは哺乳動物 電圧ゲートナトリウムチャンネルのαサブユニットに特有な構造および機能ドメインのすべてを含むと予想される。
本明細書で引用した文献は、雑誌の記事または抄訳、刊行されたあるいは対応する米国 または外国特許出願、発行された米国または外国特許、あるいは他のすべての文献を含めてすべて、引用した文献に示されるすべてのデータ、表、図および本文を含めて、参考と して本明細書中に援用される。特定の実施態様に関する上述の記載は、本発明の一般的性質を完全に明らかにするので、当該分野の技術内の知識(本明細書中に引用した文献の内 容を含む)を適用することによって、過度の実験を行うことなく、本発明の一般的概念から逸脱することなく、そのような特定の実施態様の様々な応用のために、容易に改変およ び/または適応し得る。したがって、そのような適応および改変は、本明細書中に示される教示および指導に基づいて、開示した実施態様の等価物の意味および範囲内にあると意 図される。本明細書における言い回しまたは用語は説明のためになされたものであって、限定的なものではないと理解すべきであり、したがって当業者は、当業者の知識と共に本 明細書中に示される教示および指導に照らして、本明細書の用語または言い回しを解釈すべきである。
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