JP2007165754A - 電極段差吸収用印刷ペースト及び積層セラミック電子部品の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】積層セラミック電子部品を製造するために用いる電極段差吸収用印刷ペーストであって、ブチラール樹脂を含む厚さ5μm以下のセラミックグリーンシートと組み合わせて使用され、セラミック粉末と、有機ビヒクルとを含み、前記ビヒクル中の溶剤が、ターピニルアセテートと、イソボニルプロピオネート、イソボニルブチレート及びイソボニルイソブチレートから選択される1種以上と、を含有することを特徴とする電極段差吸収用印刷ペースト。
【選択図】なし
Description
ブチラール樹脂を含む厚さ5μm以下のセラミックグリーンシートと組み合わせて使用され、
セラミック粉末と、有機ビヒクルとを含み、
前記ビヒクル中の溶剤が、ターピニルアセテートと、イソボニルプロピオネート、イソボニルブチレート及びイソボニルイソブチレートから選択される1種以上と、を含有することを特徴とする電極段差吸収用印刷ペーストが提供される。
前記積層体を焼成する工程と、を有する積層セラミック電子部品の製造方法であって、
前記積層体を形成する前に、所定パターンの前記電極層の隙間部分には、前記電極層と実質的に同じ厚みの余白パターン層を形成し、
前記余白パターン層を形成するための電極段差吸収用印刷ペーストとして、上記いずれかの電極段差吸収用印刷ペーストを用いることを特徴とする積層セラミック電子部品の製造方法が提供される。
すなわち、本発明によれば、積層セラミック電子部品の内部電極を形成するために用いられ、シートアタックを生じない電極段差吸収用印刷ペーストと、この電極段差吸収用印刷ペーストを用いて製造され、ショート不良率が低減され、耐電圧が高く、しかもデラミネーションが有効に防止され、信頼性の高い積層セラミック電子部品と、該積層セラミック電子部の製造方法と、を提供することができる。
図1は本発明の一実施形態に係る積層セラミックコンデンサの断面図、
図2(A)〜図2(C)は図1に示す積層セラミックコンデンサの製造工程の一部を示す断面図、
図3は比較例に係る積層セラミックコンデンサの要部拡大断面図である。
図1に示すように、本発明の一実施形態に係る積層セラミックコンデンサ1は、誘電体層2と内部電極層3とが交互に積層された構成のコンデンサ素体10を有する。このコンデンサ素体10の両側端部には、素体10の内部で交互に配置された内部電極層3と各々導通する一対の外部電極4,4が形成してある。内部電極層3は、各側端面がコンデンサ素体10の対向する2端部の表面に交互に露出するように積層してある。一対の外部電極4,4は、コンデンサ素体10の両端部に形成され、交互に配置された内部電極層3の露出端面に接続されて、コンデンサ回路を構成する。
次に、本実施形態に係る積層セラミックコンデンサ1の製造方法の一例を説明する。
(1)まず、焼成後に図1に示す誘電体層2を構成することになるセラミックグリーンシートを製造するために、誘電体ペーストを準備する。
本実施形態では、誘電体ペーストは、セラミック粉末と有機ビヒクルとを混練して得られる有機溶剤系ペーストで構成される。
(2)次に、この誘電体ペーストを用いて、ドクターブレード法などにより、図2(A)に示すように、キャリアシート20上に、好ましくは0.5〜30μm、より好ましくは0.5〜10μm程度の厚みで、セラミックグリーンシート30を形成する。
(3)次に、図2(B)に示すように、キャリアシート20上に形成されたセラミックグリーンシート30の表面に、焼成後に図1に示す内部電極層3となる所定パターンの電極層(内部電極パターン)40を形成する。
(4)本実施形態では、セラミックグリーンシート30の表面に、所定パターンの電極層40を印刷法で形成した後、またはその前に、図2(B)に示す電極層40が形成されていないセラミックグリーンシート30の表面隙間(余白パターン部分50)に、図2(C)に示すように、電極層40と実質的に同じ厚みの余白パターン層60を形成する。余白パターン層60の厚さを電極層40と実質的に同じ厚みとするのは、実質的に同じでないと段差が生じるからである。
すなわち、これらの溶剤を単独で用いた電極段差吸収用印刷ペーストを使用して、余白パターン層60を形成すると、得られる余白パターン層60に厚みむらが発生してしまい、この厚みむらにより、余白パターン層60上にセラミックグリーンシート30を積層した際に、これらの界面に空間(非接触部分)が生じてしまい、この界面に発生した空間(非接触部分)が原因となり、図3に示すように焼結後の余白パターン層形成部分(すなわち、外部電極4a付近)に空隙(ポア)が発生してしまうことがある。そして、この余白パターン層形成部分に発生した空隙(ポア)により、最終物たる積層セラミックコンデンサに構造欠陥が発生し易くなってしまい、その結果、生産時における歩留まりが低下したり、信頼性が悪化してしまうという問題がある。なお、図3は比較例に係る積層セラミックコンデンサの外部電極4a付近の要部拡大断面図であり、誘電体層2aのうち、余白パターン層形成部分に相当する部分に空隙(ポア)が存在する以外は、図1に示すような構成を有するものである。また、図3中、符号3aは内部電極層を示す。
(5)次に、以上のような、所定パターンの電極層40と余白パターン層60が表面に形成されたセラミックグリーンシート30を複数積層して、グリーンチップを作製し、脱バインダ工程、焼成工程、必要に応じて行われるアニール工程を経て形成された、焼結体で構成されるコンデンサ素体10に、外部電極用ペーストを印刷または転写して焼成し、外部電極4,4を形成して、積層セラミックコンデンサ1が製造される。
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は、上述した実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々に改変することができる。
まず、セラミックグリーンシートを形成するための誘電体ペーストを作製した。
BaTiO3 系セラミック粉末と、有機バインダとしてのポリビニルブチラール(PVB)と、溶媒としてのメタノールを準備した。次に、セラミック粉末100重量部に対して、10重量部の有機バインダと、150重量部の溶媒とをそれぞれ秤量し、ボールミルで混練し、スラリー化して誘電体ペーストを得た。
電極段差吸収用印刷ペーストを作製するための有機ビヒクルを、次の方法により調製した。
すなわち、まず、溶剤としてのターピニルアセテート及びイソボニルイソブチレートを準備し、次いで、準備したターピニルアセテートとイソボニルイソブチレートとを表1に示す割合(重量比)で混合した(表1の試料番号1〜8)。そして、有機バインダとしてのエチルセルロースを準備し、上記にて混合した溶剤100重量部に対して10重量部のエチルセルロースを溶解させて、有機ビヒクルを調製した。
PETフィルム上に、上記にて作製した誘電体ペーストをドクターブレード法によって、所定厚みで塗布し、乾燥することで、厚みが3μmのセラミックグリーンシートを形成した。
得られた試験用試料を用い、「シートアタックの有無」と、「セラミックグリーンシートからのPETフィルムの剥離性」を評価した。
次いで、図1に示す積層セラミックチップコンデンサ試料を作製するために、内部電極層3を形成するための導電性ペーストを、以下の方法により作製した。
すなわち、まず、導電性粉末としての平均粒径が0.3μmのNi粒子と、バインダとしてのエチルセルロースと、溶剤としてのターピニルアセテートとイソボニルイソブチレートとの混合溶剤(ターピニルアセテート:イソボニルイソブチレート=40:60(重量比))と、を準備した。次いで、溶剤100重量部に対して8重量部のバインダを溶解させて、有機ビヒクルを準備した。そして、導電性粉末100重量部に対して、50重量部の有機ビヒクルを添加し、ボールミルで混練し、スラリー化して導電性ペーストを得た。
次いで、上記にて作製した誘電体ペーストと、電極段差吸収用印刷ペーストと、導電性ペーストと、を用い、以下のようにして、図1に示す積層セラミックチップコンデンサ1を製造した。
脱バインダは、昇温速度:15℃/時間、保持温度:280℃、保持時間:8時間、処理雰囲気:空気雰囲気、の条件で行った。
焼成は、昇温速度:200℃/時間、保持温度:1200〜1380℃、保持時間:2時間、降温速度:300℃/時間、処理雰囲気:還元雰囲気(酸素分圧:10−6PaにN2 とH2 との混合ガスを水蒸気に通して調整した)、の条件で行った。
アニールは、保持温度:900℃、保持時間:9時間、降温速度:300℃/時間、処理雰囲気:加湿したN2ガス雰囲気、の条件で行った。焼成及びアニールにおけるガスの加湿には、ウェッターを用い、水温は35℃とした。
得られたコンデンサ試料のショート不良特性、耐電圧特性(IR特性)、デラミネーションの有無、及び外部電極付近における空隙(ポア)の有無を評価した。
なお、本実施例では、測定した100個のコンデンサ試料中、空隙が確認されなかった試料(すなわち、0個であった試料)を「○」、空隙が確認されたコンデンサ試料が1〜5個であった試料を「△」、空隙が確認されたコンデンサ試料が5個を超えた試料を「×」と評価した。
電極段差吸収用印刷ペーストを作製する際に、イソボニルイソブチレートの代わりに、イソボニルブチレートを使用した以外は、実施例1と同様にして、試験用試料及び積層セラミックチップコンデンサ試料(表2に示す試料番号11〜17)を作製し、実施例1と同様に評価した。
電極段差吸収用印刷ペーストを作製する際に、イソボニルイソブチレートの代わりに、イソボニルプロピオネートを使用した以外は、実施例1と同様にして、試験用試料及び積層セラミックチップコンデンサ試料(表2に示す試料番号21〜27)を作製し、実施例1と同様に評価した。
電極段差吸収用印刷ペーストを作製する際に、ターピネオールとイソボニルイソブチレートとの混合溶剤の代わりに、ターピネオール(試料番号31)、ジヒドロターピネオール(試料番号32)、ジヒドロターピニルアセテート(試料番号33)を使用した以外は、実施例1と同様にして、積層セラミックチップコンデンサ試料を作製し、実施例1と同様に評価した。結果を表4に示す。
溶剤として、表5に示すような溶剤を使用した以外は、実施例1と同様にして電極段差吸収用印刷ペーストを作製した。すなわち、実施例5においては、溶剤として、ターピニルアセテートのみを使用した電極段差吸収用印刷ペースト、イソボニルイソブチレートのみを使用した電極段差吸収用印刷ペースト、及びターピニルアセテートとイソボニルイソブチレートとを50:50(重量比)で混合した混合溶剤を使用した電極段差吸収用印刷ペーストをそれぞれ作製した。
得られた各電極段差吸収用印刷ペーストについて、「クリープ特性」を評価した。「クリープ特性」は、各電極段差吸収用印刷ペーストに1Paの応力を与えたときの最大クリープ値(クリープmax)を、粘度・粘弾性測定装置(レオストレスRS1、英弘精機社製)により測定することにより評価した。最大クリープ値が大きいほどクリープ特性に優れ、すなわちレベリング性に優れ、溶解性が高い(よく溶けている)ものと考えられる。また、溶解性が高いと経時的粘度変化も少ないと判断できる。結果を表5に示す。
10… コンデンサ素体
2… 誘電体層
3… 内部電極層
4… 外部電極
20… キャリアシート
30… セラミックグリーンシート
40… 電極層(内部電極パターン)
50… 余白パターン部分
60… 余白パターン層
Claims (7)
- 積層セラミック電子部品を製造するために用いる電極段差吸収用印刷ペーストであって、
ブチラール樹脂を含む厚さ5μm以下のセラミックグリーンシートと組み合わせて使用され、
セラミック粉末と、有機ビヒクルとを含み、
前記ビヒクル中の溶剤が、ターピニルアセテートと、イソボニルプロピオネート、イソボニルブチレート及びイソボニルイソブチレートから選択される1種以上と、を含有することを特徴とする電極段差吸収用印刷ペースト。 - 前記溶剤として含有される、前記ターピニルアセテートと、前記イソボニルプロピオネート、イソボニルブチレート及びイソボニルイソブチレートから選択される1種以上と、の割合が、重量比で20:80〜80:20の範囲である請求項1に記載の電極段差吸収用印刷ペースト。
- 前記有機ビヒクル中の溶剤が、前記セラミック粉末100重量部に対して、50〜240重量部含有されている請求項1または2に記載の電極段差吸収用印刷ペースト。
- 前記有機ビヒクル中の有機バインダが、エチルセルロースを主成分とし、前記セラミック粉末100重量部に対して2.5〜16重量部含有されている請求項1〜3のいずれかに記載の電極段差吸収用印刷ペースト。
- 前記セラミック粉末が、前記セラミックグリーンシートを形成するためのペーストに含まれるセラミック粉末と同じである請求項1〜4のいずれかに記載の電極段差吸収用印刷ペースト。
- ブチラール樹脂を含む厚さ5μm以下のセラミックグリーンシートと所定パターンの電極層とを交互に複数重ねてグリーンセラミック積層体を形成する工程と、
前記積層体を焼成する工程と、を有する積層セラミック電子部品の製造方法であって、
前記積層体を形成する前に、所定パターンの前記電極層の隙間部分には、前記電極層と実質的に同じ厚みの余白パターン層を形成し、
前記余白パターン層を形成するための電極段差吸収用印刷ペーストとして、請求項1〜5のいずれかに記載の電極段差吸収用印刷ペーストを用いることを特徴とする積層セラミック電子部品の製造方法。 - 前記電極段差吸収用印刷ペーストに含まれるセラミック粉末が、前記グリーンシートを形成するためのペーストに含まれるセラミック粉末と同じである請求項6に記載の積層セラミック電子部品の製造方法。
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