JP4268962B2 - 電極段差吸収用印刷ペースト及び積層セラミック電子部品の製造方法 - Google Patents
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Description
ブチラール樹脂を含む厚さ5μm以下のセラミックグリーンシートと組み合わせて使用され、
セラミック粉末と、有機ビヒクルとを含み、
前記有機ビヒクル中の溶剤が、イソボニルプロピオネート、イソボニルブチレートおよびイソボニルイソブチレートから選択される1種以上を主成分とすることを特徴とする電極段差吸収用印刷ペーストが提供される。
前記積層体を焼成する工程と、を有する積層セラミック電子部品の製造方法であって、
前記積層体を形成する前に、所定パターンの前記電極層の隙間部分には、前記電極層と実質的に同じ厚みの余白パターン層を形成し、
前記余白パターン層を形成するための電極段差吸収用印刷ペーストとして、上記いずれかの電極段差吸収用印刷ペーストを用いることを特徴とする積層セラミック電子部品の製造方法が提供される。
すなわち、本発明によれば、積層セラミック電子部品を製造するために用いられ、シートアタックを生じない電極段差吸収用印刷ペーストと、この電極段差吸収用印刷ペーストを用いて製造され、ショート不良率が低く、高い耐電圧を有し、しかもデラミネーションが有効に防止された積層セラミック電子部品の製造方法と、を提供することができる。
図1は本発明の一実施形態に係る積層セラミックコンデンサの断面図、
図2(A)〜図2(C)は図1の積層セラミックコンデンサの製造工程の一部を示す断面図、
図3(A)、図3(B)はイソボニルプロピオネートとセラミックグリーンシートとの相溶性を示す顕微鏡写真、
図4(A)〜図4(C)はイソボニルイソブチレートとセラミックグリーンシートとの相溶性を示す顕微鏡写真、
図5(A)はターピネオールとセラミックグリーンシートとの相溶性を示す顕微鏡写真、図5(B)はジヒドロターピネオールとセラミックグリーンシートとの相溶性を示す顕微鏡写真である。
図1に示すように、本発明の一実施形態に係る積層セラミックコンデンサ1は、誘電体層2と内部電極層3とが交互に積層された構成のコンデンサ素体10を有する。このコンデンサ素体10の両側端部には、素体10の内部で交互に配置された内部電極層3と各々導通する一対の外部電極4,4が形成してある。内部電極層3は、各側端面がコンデンサ素体10の対向する2端部の表面に交互に露出するように積層してある。一対の外部電極4,4は、コンデンサ素体10の両端部に形成され、交互に配置された内部電極層3の露出端面に接続されて、コンデンサ回路を構成する。
次に、本実施形態に係る積層セラミックコンデンサ1の製造方法の一例を説明する。
(1)まず、焼成後に図1に示す誘電体層2を構成することになるセラミックグリーンシートを製造するために、誘電体ペーストを準備する。
本実施形態では、誘電体ペーストは、セラミック粉末と有機ビヒクルとを混練して得られる有機溶剤系ペーストで構成される。
(2)次に、この誘電体ペーストを用いて、ドクターブレード法などにより、図2(A)に示すように、キャリアシート20上に、好ましくは0.5〜30μm、より好ましくは0.5〜10μm程度の厚みで、セラミックグリーンシート30を形成する。
(3)次に、図2(B)に示すように、キャリアシート20上に形成されたセラミックグリーンシート30の表面に、焼成後に図1に示す内部電極層3となる所定パターンの電極層(内部電極パターン)40を形成する。
(4)本実施形態では、セラミックグリーンシート30の表面に、所定パターンの電極層40を印刷法で形成した後、またはその前に、図2(B)に示す電極層40が形成されていないセラミックグリーンシート30の表面隙間(余白パターン部分50)に、図2(C)に示すように、電極層40と実質的に同じ厚みの余白パターン層60を形成する。余白パターン層60の厚さを電極層40と実質的に同じ厚みとするのは、実質的に同じでないと段差が生じるからである。
(5)次に、以上のような、所定パターンの電極層40と余白パターン層60が表面に形成されたセラミックグリーンシート30を複数積層して、グリーンチップを作製し、脱バインダ工程、焼成工程、必要に応じて行われるアニール工程を経て形成された、焼結体で構成されるコンデンサ素体10に、外部電極用ペーストを印刷または転写して焼成し、外部電極4,4を形成して、積層セラミックコンデンサ1が製造される。
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は、上述した実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々に改変することができる。
まず、セラミックグリーンシートを形成するための誘電体ペーストを作製した。
BaTiO3 系セラミック粉末と、有機バインダとしてのポリビニルブチラール(PVB)と、溶媒としてのメタノールを準備した。次に、セラミック粉末100重量部に対して、10重量部の有機バインダと、150重量部の溶媒とをそれぞれ秤量し、ボールミルで混練し、スラリー化して誘電体ペーストを得た。
PETフィルム上に上記誘電体ペーストをドクターブレード法によって、所定厚みで塗布し、乾燥することで、乾燥後の厚みが3μmのセラミックグリーンシートを形成した。
次いで、上記にて作製したセラミックグリーンシート上に、以下に示す各溶剤を、ピペットを用いて滴下して、滴下後のセラミックグリーンシート表面を顕微鏡により観察した。
溶剤としては、以下の表1に示す各溶剤を使用し、各溶剤を滴下した後のセラミックグリーンシートの表面の顕微鏡写真を、それぞれ、表1に記載された各図に示した。なお、表1中、各溶剤の比率は重量比で示した。
電極段差吸収用印刷ペーストの作製
電極段差吸収用印刷ペーストを作製するための有機ビヒクルを、次の方法により調製した。
PETフィルム上に実施例1で作製した誘電体ペーストをドクターブレード法によって、所定厚みで塗布し、乾燥することで、厚みが3μmのセラミックグリーンシートを形成した。
得られた試験用試料を用い、「シートアタックの有無」と、「セラミックグリーンシートからのPETフィルムの剥離性」を評価した。
次いで、図1に示す積層セラミックチップコンデンサ試料を作製するために、図1に示す内部電極層3を形成するための導電性ペーストを、以下の方法により作製した。
すなわち、まず、導電性粉末としての平均粒径が0.3μmのNi粒子と、バインダとしてのエチルセルロースと、溶剤としてのイソボニルイソブチレートを準備した。次いで、溶剤100重量部に対して8重量部のバインダを溶解させて、有機ビヒクルを準備した。そして、導電性粉末100重量部に対して、50重量部の有機ビヒクルを添加し、ボールミルで混練し、スラリー化して導電性ペーストを得た。
次いで、実施例1で作製した誘電体ペーストと、上記にて作製した電極段差吸収用印刷ペーストおよび導電性ペーストと、を用い、以下のようにして、図1に示す積層セラミックチップコンデンサ1を製造した。
得られたコンデンサ試料のショート不良特性、耐電圧特性(IR特性)及びデラミネーションの有無を評価した。
電極段差吸収用印刷ペーストを製造する際に使用する有機ビヒクル中の溶剤を、イソボニルプロピオネート:ターピネオール=90:10(重量比)の混合溶剤とした以外は、実施例2と同様にして積層セラミックチップコンデンサ試料を作製し、同様に評価を行った。その結果、ショート不良率が0%、平均故障率が0%となり、また、デラミネーションの発生も確認されず、良好な結果となった。
電極段差吸収用印刷ペーストを製造する際に使用する有機ビヒクル中の溶剤を、イソボニルイソブチレート:ターピネオール=80:20(重量比)の混合溶剤とした以外は、実施例2と同様にして積層セラミックチップコンデンサ試料を作製し、同様に評価を行った。その結果、ショート不良率が0%、平均故障率が0%となり、また、デラミネーションの発生も確認されず、良好な結果となった。
10… コンデンサ素体
2… 誘電体層
3… 内部電極層
4… 外部電極
20… キャリアシート
30… セラミックグリーンシート
40… 電極層(内部電極パターン)
50… 余白パターン部分
60… 余白パターン層
Claims (8)
- 積層セラミック電子部品を製造するために用いる電極段差吸収用印刷ペーストであって、
ブチラール樹脂を含む厚さ5μm以下のセラミックグリーンシートと組み合わせて使用され、
セラミック粉末と、有機ビヒクルとを含み、
前記有機ビヒクル中の溶剤が、イソボニルプロピオネート、イソボニルブチレートおよびイソボニルイソブチレートから選択される1種以上を主成分とすることを特徴とする電極段差吸収用印刷ペースト。 - 前記有機ビヒクル中の溶剤が、前記セラミック粉末100重量部に対して、50〜240重量部含有されている請求項1に記載の電極段差吸収用印刷ペースト。
- 前記有機ビヒクル中の有機バインダが、エチルセルロースを主成分とし、前記セラミック粉末100重量部に対して2.5〜16重量部含有されている請求項1または2に記載の電極段差吸収用印刷ペースト。
- 前記セラミック粉末が、前記セラミックグリーンシートを形成するためのペーストに含まれるセラミック粉末と同じである請求項1〜3のいずれかに記載の電極段差吸収用印刷ペースト。
- 前記有機ビヒクル中の溶剤が、イソボニルブチレートおよびイソボニルイソブチレートから選択される1種以上と、ターピネオールと、を含有し、
前記溶剤中における、前記ターピネオールの含有量が、前記溶剤全体100重量%に対して、0重量%より多く、20重量%以下である請求項1〜4のいずれかに記載の電極段差吸収用印刷ペースト。 - 前記有機ビヒクル中の溶剤が、イソボニルプロピオネートと、ターピネオールと、を含有し、
前記溶剤中における、前記ターピネオールの含有量が、前記溶剤全体100重量%に対して、0重量%より多く、10重量%以下である請求項1〜4のいずれかに記載の電極段差吸収用印刷ペースト。 - ブチラール樹脂を含む厚さ5μm以下のセラミックグリーンシートと所定パターンの電極層とを交互に複数重ねてグリーンセラミック積層体を形成する工程と、
前記積層体を焼成する工程と、を有する積層セラミック電子部品の製造方法であって、
前記積層体を形成する前に、所定パターンの前記電極層の隙間部分には、前記電極層と実質的に同じ厚みの余白パターン層を形成し、
前記余白パターン層を形成するための電極段差吸収用印刷ペーストとして、請求項1〜6のいずれかに記載の電極段差吸収用印刷ペーストを用いることを特徴とする積層セラミック電子部品の製造方法。 - 前記電極段差吸収用印刷ペーストに含まれるセラミック粉末が、前記グリーンシートを形成するためのペーストに含まれるセラミック粉末と同じである請求項7に記載の積層セラミック電子部品の製造方法。
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