JP4622974B2 - 導電性ペースト、積層セラミック電子部品及びその製造方法 - Google Patents
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Description
導電性粉末と、有機ビヒクルとを含み、
前記有機ビヒクル中の有機バインダが、エチルセルロース樹脂、アルキド樹脂およびアクリル樹脂から選択される1種以上を主成分とし、
前記有機ビヒクル中の溶剤が、プロピレングリコールジアセテート(CH3COOCH2CHCH3COOCCH3)と、炭素数5〜40の脂肪族炭化水素と、を含み、
前記プロピレングリコールジアセテートと炭素数5〜40の脂肪族炭化水素との比が、重量比で、プロピレングリコールジアセテート:炭素数5〜40の脂肪族炭化水素=99:1〜70:30であることを特徴とする導電性ペーストが提供される。
内部電極層と、厚さ3μm以下の誘電体層と、を有する積層セラミック電子部品が提供される。
すなわち、本発明によれば、積層セラミック電子部品の内部電極を形成するために用いられ、シートアタックを生じず、かつ、印刷用のスキージゴムの膨潤/変形させることのない導電性ペーストと、この導電性ペーストを用いて製造され、ショート不良率が低く、高い耐電圧を有し、しかもデラミネーションが有効に防止された積層セラミック電子部品と、該積層セラミック電子部の製造方法と、を提供することができる。
図1は本発明の一実施形態に係る積層セラミックコンデンサの断面図、
図2は本発明の一実施形態に係る導電性ペーストの印刷方法を説明するための図、
図3は印刷用のスキージゴムの膨潤状態を説明するための図、
図4(A)〜図4(C)、図5(A)〜図5(D)は本発明の実施例および比較例に係る導電性ペーストに含有される溶剤の室温におけるセラミックグリーンシートに対する相溶性を示す顕微鏡写真、
図6(A)〜図6(C)、図7(A)〜図7(C)は本発明の実施例および比較例に係る導電性ペーストに含有される溶剤の温度50℃の条件におけるセラミックグリーンシートに対する相溶性を示す写真、
図8(A)〜図8(D)は本発明の実施例および比較例に係る導電性ペーストに含有される溶剤に対するウレタン製スキージの膨潤試験の結果を示す写真である。
図1に示すように、本発明の一実施形態に係る積層セラミックコンデンサ1は、誘電体層2と内部電極層3とが交互に積層された構成のコンデンサ素体10を有する。このコンデンサ素体10の両側端部には、素体10の内部で交互に配置された内部電極層3と各々導通する一対の外部電極4,4が形成してある。内部電極層3は、各側端面がコンデンサ素体10の対向する2端部の表面に交互に露出するように積層してある。一対の外部電極4,4は、コンデンサ素体10の両端部に形成され、交互に配置された内部電極層3の露出端面に接続されて、コンデンサ回路を構成する。
次に、本実施形態に係る積層セラミックコンデンサ1の製造方法の一例を説明する。
(1)まず、焼成後に図1に示す誘電体層2を構成することになるセラミックグリーンシートを製造するために、誘電体ペーストを準備する。
本実施形態では、誘電体ペーストは、セラミック粉体(誘電体原料)と有機ビヒクルとを混練して得られる有機溶剤系ペーストで構成される。
(2)次に、この誘電体ペーストを用いて、ドクターブレード法などにより、キャリアシート上に、好ましくは0.5〜30μm、より好ましくは0.5〜10μm、さらに好ましくは0.5〜5μm程度の厚みで、セラミックグリーンシートを形成する。セラミックグリーンシートは、焼成後に図1に示す誘電体層2となる。
(3)次に、焼成後に図1に示す内部電極層3を構成することになる所定パターンの電極層(内部電極パターン)を製造するために、導電性ペーストを準備する。
本実施形態で用いる導電性ペーストは、導電性粉末と有機ビヒクルとを含有する。
(4)次に、この導電性ペーストを用いて、キャリアシート上に形成されたセラミックグリーンシートの表面に、スクリーン印刷法により、焼成後に図1に示す内部電極層3となる所定パターンの電極層(内部電極パターン)を形成する。
特に、本発明者等は、セラミックグリーンシートの更なる薄層化を可能とするために、シートアタックの発生しない溶剤について検討したところ、プロピレングリコールジアセテートが、有機バインダ(たとえば、エチルセルロース樹脂、アルキド樹脂、アクリル樹脂)を良好に溶解し、かつ、室温においてはもちろんのこと、溶剤の乾燥温度(たとえば、40〜90℃)においても、シートアタックを有効に防止できることを見出した。しかし、その一方で、プロピレングリコールジアセテートは単独で用いると、印刷用のスキージゴム12を膨潤させてしまうことがあることも解った。すなわち、プロピレングリコールジアセテートを単独で用い、印刷を複数回行うと、図3(B)に示すように、スキージゴム12が、膨潤/変形してしまい、スクリーンとの接触部分が丸みを帯びてしまうことが解った。
しかも、高温条件におけるシートアタックを防止できるため、溶剤の乾燥温度を比較的に高くすることができ、製造効率の向上も図ることもできる。
(4)次に、以上のような、所定パターンの電極層が表面に形成されたセラミックグリーンシートを複数積層して、グリーンチップを作製し、脱バインダ工程、焼成工程、必要に応じて行われるアニール工程を経て形成された、焼結体で構成されるコンデンサ素体10に、外部電極用ペーストを印刷または転写して焼成し、外部電極4,4を形成して、積層セラミックコンデンサ1が製造される。
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は、上述した実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々に改変することができる。
まず、セラミックグリーンシートを形成するための誘電体ペーストを作製した。
BaTiO3 系セラミック粉末と、有機バインダとしてのポリビニルブチラール(PVB)と、溶媒としてのメタノールを準備した。次に、セラミック粉末100重量部に対して、10重量部の有機バインダと、150重量部の溶媒とをそれぞれ秤量し、ボールミルで混練し、スラリー化して誘電体ペーストを得た。
PETフィルム上に上記誘電体ペーストをドクターブレード法により、所定厚みで塗布し、乾燥することで、乾燥後の厚みが1.5μmのセラミックグリーンシートを形成した。
上記にて作製したセラミックグリーンシートをPETフィルムから剥離し、次いで、両面テープによりスライドガラス上に貼り付けた。次いで、スライドガラス上に貼り付けたセラミックグリーンシートに、表1に示す各溶剤を室温(25℃)条件下にて滴下して、その後、室温で溶剤を自然乾燥させ、乾燥後のセラミックグリーンシート表面を顕微鏡により観察することにより、室温における相溶性を評価した。なお、各溶剤の滴下は、まず、針金の先端を溶剤にディップさせ、次いで、ディップした溶剤をシート上に滴下することにより行った。
溶剤としては、以下の表1に示す各溶剤を使用し、各溶剤を滴下した後のセラミックグリーンシートの表面の顕微鏡写真を、それぞれ、表1に記載された各図に示した。なお、表1中、各溶剤の比率は重量比で示した(表2〜表4においても同様)。
上記にて作製したセラミックグリーンシートを、PETフィルム上に形成されたままの状態で、表2に示す各溶剤中に浸漬させ(各溶剤は、所定のサンプル瓶に予め入れておいた。)、次いで、浸漬させたシートを温度50℃とした恒温槽中に入れ、4時間放置した。その後、恒温槽中から、各シートサンプルの入ったサンプル瓶を取り出し、50℃、4時間放置後の各シートサンプルの状態を観察した。
溶剤としては、以下の表2に示す各溶剤を使用し、各溶剤に浸漬させた後のセラミックグリーンシートの写真を、それぞれ、表2に記載された各図に示した。
ウレタン製スキージの膨潤試験
ウレタン製スキージの膨潤試験は、ウレタン製スキージ表面に、表3に示す各溶剤を滴下し、60分間放置し、その後、ウレタン製スキージについてトルエンによる洗浄および乾燥を行い、乾燥後のウレタン製スキージ表面における溶剤の跡を観察することにより行った。
導電性ペーストの作製
導電性ペーストを作製するための有機ビヒクルを、次の方法により調製した。
PETフィルム上に実施例1で作製した誘電体ペーストをドクターブレード法によって、所定厚みで塗布し、乾燥することで、厚みが1μmのセラミックグリーンシートを形成した。
得られた試験用試料を用い、「シートアタックの有無」と、「セラミックグリーンシートからのPETフィルムの剥離性」を評価した。
次いで、実施例1で作製した誘電体ペーストと、上記にて作製した導電性ペーストを用い、以下のようにして、図1に示す積層セラミックチップコンデンサ1を製造した。
得られたコンデンサ試料のショート不良特性、耐電圧特性(IR特性)及びデラミネーションの有無を評価した。
10… コンデンサ素体
2… 誘電体層
3… 内部電極層
4… 外部電極
12… スキージゴム
14… スクリーン
16… 導電性ペースト
Claims (7)
- 積層セラミック電子部品の内部電極を形成するために用いる導電性ペーストであって、
導電性粉末と、有機ビヒクルとを含み、
前記有機ビヒクル中の有機バインダが、エチルセルロース樹脂、アルキド樹脂およびアクリル樹脂から選択される1種以上を主成分とし、
前記有機ビヒクル中の溶剤が、プロピレングリコールジアセテートと、炭素数5〜40の脂肪族炭化水素と、を含み、
前記プロピレングリコールジアセテートと炭素数5〜40の脂肪族炭化水素との比が、重量比で、プロピレングリコールジアセテート:炭素数5〜40の脂肪族炭化水素=95:5〜80:20であることを特徴とする導電性ペースト。 - 前記有機ビヒクル中の溶剤が、前記導電性粉末100重量部に対して50〜200重量部含有されている請求項1に記載の導電性ペースト。
- 前記導電性ペーストは、ブチラール樹脂を含む厚さ5μm以下のセラミックグリーンシートと組み合わせて使用される請求項1または2に記載の導電性ペースト。
- 前記有機ビヒクル中の有機バインダが、前記導電性粉末100重量部に対して1〜10重量部含有されている請求項1〜3のいずれかに記載の導電性ペースト。
- 前記導電性粉末が、NiまたはNi合金を主成分とする請求項1〜4のいずれかに記載の導電性ペースト。
- ブチラール樹脂を含む厚さ5μm以下のセラミックグリーンシートと、請求項1〜5のいずれかに記載の導電性ペーストを用いて所定パターンで形成される電極層とを、交互に複数重ねたグリーンセラミック積層体を用いて製造され、
内部電極層と、厚さ3μm以下の誘電体層と、を有する積層セラミック電子部品。 - ブチラール樹脂を含む厚さ5μm以下のセラミックグリーンシートと、請求項1〜5のいずれかに記載の導電性ペーストを用いて所定パターンで形成される電極層とを、交互に複数重ねたグリーンセラミック積層体を焼成する積層セラミック電子部品の製造方法。
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