JP2007162621A - 圧縮機 - Google Patents

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Abstract

【課題】潤滑油分離装置の能力の向上を図りつつ、潤滑性能の低下を防止することができる圧縮機を提供する。
【解決手段】潤滑油を含む作動流体の吐出室(58)、及び吐出室に連なる吐出口(72)を備えるハウジング(18)内に収容され、吐出室と吐出口との間に位置付けられた分離室(82)、分離室の下方に位置する油孔(92)を介して分離された潤滑油を蓄える貯油室(90)、及び油孔に配設されたフィルタ(94)を備え、分離室にて作動流体から潤滑油を分離する潤滑油分離装置(74)とを具備する。
【選択図】図1

Description

本発明は、圧縮機に係り、詳しくは空調システムの冷凍回路に組み込まれる圧縮機に関する。
この種の冷凍回路用の圧縮機は作動流体としての冷媒を圧縮するが、この冷媒には通常、潤滑油が含まれている。冷媒中の潤滑油は圧縮機内の摺動面や軸受等の潤滑のみならず、摺動面のシールとしての機能を有する。しかしながら、この潤滑油が冷凍回路内を大量に循環する場合には冷凍回路の冷房能力を低下させる要因となる。
このため、潤滑油分離装置を内蔵した圧縮機がある。当該装置では圧縮機内にて圧縮された冷媒が吐出室から吐出口に導かれるまでの過程にて圧縮冷媒から潤滑油を分離する。具体的には、この装置は、吐出室と吐出口との間に配置された分離室を有し、噴出孔を介して分離室内に吐出室からの圧縮冷媒を導入して上記潤滑油を分離している。そして、冷媒から分離された潤滑油は油孔を介して分離室の下方の貯油室に蓄えられる(例えば、特許文献1参照)。
特開平11−82338号公報
ところで、上記従来の技術では、貯油室と吸入室とがリターン経路で接続されており、貯油室に蓄えられた潤滑油は、リターン経路に配設されたフィルタ及びオリフィスを介して吸入室に向けて戻されている。
しかしながら、このフィルタが仮に詰まった場合には、貯油室に蓄えられた潤滑油は貯油室内にそのまま滞留し続けることになり、潤滑性能の低下が懸念される。このように、リターン経路にフィルタを設ける場合には潤滑性能の点で問題があるが、フィルタの配設位置を単に変更するのではなく、潤滑油分離装置の能力の向上を図りつつ、上記問題を解決することが望ましい。圧縮機の省動力化に寄与するからである。
本発明は、このような課題に鑑みてなされたもので、潤滑油分離装置の能力の向上を図りつつ、潤滑性能の低下を防止することができる圧縮機を提供することを目的とする。
上記の目的を達成すべく、請求項1記載の圧縮機は、潤滑油を含む作動流体の吐出室、及び吐出室に連なる吐出口を備えるハウジングと、ハウジング内を延び、ハウジングに軸受を介して回転自在に支持された回転軸と、ハウジング内に収容され、回転軸により駆動されて作動流体の吸入、圧縮及び吐出の一連のプロセスを実施する圧縮ユニットと、ハウジング内に収容され、吐出室と吐出口との間に位置付けられた分離室、分離室の下方に位置する油孔を介して分離された潤滑油を蓄える貯油室、及び油孔に配設されたフィルタを備え、分離室にて作動流体から潤滑油を分離する潤滑油分離装置とを具備することを特徴としている。
また、請求項2記載の発明では、フィルタは、油孔に固定される固定部と、固定部に連なって分離室内に向けて突出し、作動流体に衝突する突出部とを含むことを特徴としている。
従って、請求項1記載の本発明の圧縮機によれば、潤滑油分離装置の分離室と貯油室との間にはフィルタが配設され、このフィルタを通じて分離室と貯油室とが連通されている。よって、仮にフィルタが詰まった場合にも、貯油室内での潤滑油の滞留がなくなる。この結果、潤滑に寄与しない潤滑油が少なくなり、潤滑性能の低下が防止されて圧縮機の耐久性向上が図られる。
また、請求項2記載の発明によれば、フィルタが分離室内に向けて突出される突出部を有し、この突出部が分離室内の作動流体に衝突することから、潤滑油分離装置における潤滑油の分離能力が向上し、圧縮機の省動力化に寄与する。
以下、図面により本発明の実施形態について説明する。
図1は本実施形態に係る圧縮機を示している。この圧縮機はスクロール型圧縮機4であり、車両の空調システムの冷凍回路2に組み込まれている。具体的には、冷凍回路2の循環経路には圧縮機4、凝縮器6、レシーバ8、膨張弁10及び蒸発器12が順次配置され、圧縮機4は循環経路の復路から冷媒を吸入し、この冷媒を圧縮して循環経路の往路に向けて吐出する。この冷媒は潤滑油を含み、この潤滑油は圧縮機4内の軸受や種々の摺動面を潤滑する他、摺動面のシールする機能をも発揮する。
上記圧縮機4はハウジング14を備えている。このハウジング14は駆動ケーシング16及び圧縮ケーシング18から形成され、これら各ケーシング16、18は複数の連結ボルト20を介して互いにフランジ結合されている。
駆動ケーシング16内には回転軸22が配置されており、この回転軸22は圧縮ケーシング18側に位置した大径端部24と、リップシール32を介して駆動ケーシング16から突出した小径軸部26とを有する。大径端部24はニードル軸受28を介して駆動ケーシング16に回転自在に支持され、小径軸部26はボール軸受30を介して駆動ケーシング16に回転自在に支持されている。
小径軸部26の突出端には電磁クラッチ34を内蔵した駆動プーリ36が取り付けられ、この駆動プーリ36は軸受38を介して駆動ケーシング16に回転自在に支持されている。また、駆動プーリ36には車両のエンジンの動力が図示しない駆動ベルトを介して伝達されており、駆動プーリ36の回転は電磁クラッチ34を介して回転軸22に伝達可能である。従って、上記エンジンの駆動中、電磁クラッチ34がオン作動されると、回転軸22は駆動プーリ36と一体的に回転する。
一方、圧縮ケーシング18は有底部分を有するカップ状をなし、この圧縮ケーシング18内にはスクロールユニット(圧縮ユニット)40が収容されている。このスクロールユニット40は互いに噛み合う可動スクロール42及び固定スクロール44から構成されている。これら各スクロール42、44の噛み合いはその内部に圧縮室46を形成し、この圧縮室46の容積が固定スクロール44に対する可動スクロール42の旋回運動に伴って増減される。
上述した可動スクロール42に旋回運動を付与するため、可動スクロール42と回転軸22の大径端部24とは、クランクピン48、偏心ブッシュ50及びニードル軸受52を介して互いに連結され、また、可動スクロール42の自転が可動スクロール42と駆動ケーシング16との間に配置されたボール型の旋回スラストベアリング54によって阻止されている。なお、図1中の参照符号56はカウンタウエイトを示し、このカウンタウエイト56は偏心ブッシュ50に取り付けられている。
固定スクロール44は圧縮ケーシング18内にて図示しない複数の固定ボルトを介して固定され、固定スクロール44と圧縮ケーシング18の有底部分との間に吐出室58が形成されている。より詳しくは、固定スクロール44の背面側の空間が仕切壁60を介して上下に区画され、また、圧縮ケーシング18の有底部分には、仕切壁62が固定スクロール44に向けて突設されている。そして、これら仕切壁60,62が突き合わされることにより、吐出室58と貯油室90とがそれぞれ形成される。
また、固定スクロール44は圧縮室46と吐出室58とを互いに連通させる吐出孔64を有している。この吐出孔64は吐出弁66によって開閉される。吐出弁66はストッパプレートとともにボルト68を介して固定スクロール44に取り付けられている。
一方、圧縮ケーシング18の周壁とスクロールユニット40との間には吸入室70が確保され、この吸入室70は上述した循環経路の復路に接続されている。また、圧縮ケーシング18の外面、具体的には、有底部分の上方には吐出口72が形成され、この吐出口72は循環経路の往路に接続される一方、潤滑油分離装置74を介して吐出室58にも接続されている。
より詳しくは、潤滑油分離装置74は圧縮ケーシング18内において吐出室58と吐出口72との間に配設されている。そして、図2に示される如く、圧縮ケーシング18の有底部分に一体に形成された膨出部76を有し、この膨出部76は、吐出室58内に向けて突出した柱状をなし、仕切壁62から圧縮ケーシング18の周壁に至るまで上方に向けて延びている。この膨出部76内には孔78が穿設され、孔78の開口端はプラグ80によって閉塞されている。
また、図2でみて、孔78の下部は分離室82として形成され、この分離室82の上部に分離管84が配置されている。この分離管84は上端に大径部を有し、この大径部が孔78に圧入され、孔78、つまり、分離室82内にて固定されている。更に、分離管84の上端には止め輪86が配置され、この止め輪86は分離室82からの分離管84の抜けを阻止している。そして、分離室82の内周面と分離管84の小径部の外周面との間には環状の空間が形成され、膨出部76には吐出室58とこの環状の空間とを連通させる2つの冷媒噴出孔88が上下に形成され、これら冷媒噴出孔88の孔軸線は分離管84の小径部の外周面に沿うように形成されている。
再び図1に戻り、仕切壁62の下側に形成された貯油室90は、この仕切壁62に形成された油孔92を通じて分離室82に連通されている。そして、固定スクロール44内には、貯油室90と吸入室70とを連通するリターン経路100が確保され、このリターン経路100にオリフィス102が介挿されている。
ここで、本実施形態においては、オリフィス102での詰まりを防止するフィルタ94が、貯油室90と吸入室70との間のオリフィス102ではなく、分離室82と貯油室90との間の油孔92に配設されている。より詳しくは、図3にも示されるように、フィルタ94は、金属製の網体で構成されており、油孔92に圧入にて固定される筒状の固定部95と、この固定部95に連なって分離室82内に向けて突出する筒状の突出部96とを備えている。
また、固定部95の近傍には樹脂製の環状支持部98が配設されており、これら固定部95及び環状支持部98が油孔92の内周側に当接されている。これにより、突出部96は上方に向けて突出して分離室82内に配設される。
上述した圧縮機4によれば、回転軸22の回転に伴い、可動スクロール42が自転することなく旋回運動する。この可動スクロール42の旋回運動は、吸入室70から圧縮室46内への冷媒の吸入工程や、吸入した冷媒の圧縮及び吐出工程をもたらし、この結果、高圧の冷媒が圧縮室46から吐出弁66を介して吐出室58内に吐出される。ここで、冷媒には潤滑油が含まれているので、この潤滑油は駆動ケーシング16内のニードル軸受28、52や、スクロールユニット40内の摺動面等を潤滑し、また、圧縮室46のシールにも役立つ。
吐出室58内の圧縮冷媒は、冷媒噴出孔88を通過して分離室82に流入し、分離管84の外周面を旋回しながら下降する。この過程にて、圧縮冷媒は分離管84内を通じて上昇して吐出口72に至り、この吐出口72から凝縮器6に向けて送出される。
一方、圧縮冷媒中の潤滑油は遠心分離の原理に基づいて冷媒から分離され、分離室82の内周面を伝って流下する。更に、圧縮冷媒中の潤滑油はフィルタ94との衝突による衝撃に基づいて冷媒から分離される。そして、いずれの潤滑油も油孔92を介して貯油室90に導かれて蓄えられる。貯油室90では分離室82と常時連通した状態にあるので、その内圧は吸入室70の圧力よりも高い。それ故、この貯油室90内の潤滑油は貯油室90と吸入室70との間の圧力差に基づき、オリフィス102を通じて吸入室70に向けて戻される。潤滑油がオリフィス102から吸入室70内に戻される際に、潤滑油は霧化し、吸入室70内の冷媒に混入される。
以上のように、本実施形態によれば、分離室82と貯油室90との間にはフィルタ94が配設され、このフィルタ94を通じて分離室82と貯油室90とが連通されている。よって、オリフィス102での詰まりが防止されるし、また、仮にフィルタ94が詰まった場合にも、貯油室90内での潤滑油の滞留がなくなる。具体的には、この場合の分離室82内にて分離された潤滑油は、貯油室90内に向かわずに、分離管84内を通じて凝縮器6に向けて放出されて吸入室70に到達するし、既に貯油室90内に溜まっている潤滑油は、貯油室90と吸入室70との差圧で吸入室70に向けて移動するからである。この結果、潤滑に寄与しない潤滑油が少なくなり、潤滑性能の低下が防止され、圧縮機の耐久性向上が達成される。
更に、フィルタ94が分離室92内に向けて突出される突出部96を有し、この突出部96が分離室92内の圧縮冷媒に衝突することから、潤滑油分離装置74の潤滑油の分離能力が向上し、圧縮機の省動力化に寄与する。
以上で本発明の一実施形態についての説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更ができるものである。
例えば、本発明のフィルタは、圧入にて固定される構成に代えてスナップリングの如くの構成であっても良く、また、筒状の他、圧縮冷媒の貯油室90への流入を防止する、及び潤滑油の分離室82への巻き上げを防止するために各種の形状を採用可能である。
また、本発明の圧縮ユニットは、例えば上述したスクロール型、或いはピストン往復動型のいずれのタイプであっても、冷媒の吸入、圧縮及び吐出の一連のプロセスが実施可能である。また、上記実施形態では車両用空調装置に具体化された例を示しているが、本発明の圧縮機は冷房・冷凍システム全般に適用可能である。
本発明の一実施形態に係る圧縮機を示した縦断面図である。 図1のII−II線に沿う断面図である。 図1のフィルタの構成図である。
符号の説明
4 スクロール型圧縮機(圧縮機)
18 圧縮ケーシング(ハウジング)
22 回転軸
40 スクロールユニット(圧縮ユニット)
58 吐出室
72 吐出口
74 潤滑油分離装置
82 分離室
90 貯油室
92 油孔
94 フィルタ
95 固定部
96 突出部

Claims (2)

  1. 潤滑油を含む作動流体の吐出室、及び該吐出室に連なる吐出口を備えるハウジングと、
    該ハウジング内を延び、該ハウジングに軸受を介して回転自在に支持された回転軸と、
    前記ハウジング内に収容され、前記回転軸により駆動されて作動流体の吸入、圧縮及び吐出の一連のプロセスを実施する圧縮ユニットと、
    前記ハウジング内に収容され、前記吐出室と前記吐出口との間に位置付けられた分離室、該分離室の下方に位置する油孔を介して分離された潤滑油を蓄える貯油室、及び前記油孔に配設されたフィルタを備え、前記分離室にて前記作動流体から潤滑油を分離する潤滑油分離装置と
    を具備することを特徴とする圧縮機。
  2. 前記フィルタは、前記油孔に固定される固定部と、該固定部に連なって前記分離室内に向けて突出し、前記作動流体に衝突する突出部とを含むことを特徴とする請求項1に記載の圧縮機。
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