JP2007161509A - フッ化物微粒子の分散液及びその製造方法 - Google Patents

フッ化物微粒子の分散液及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】有機バインダーや有機溶剤との相溶性を満たし、良質な反射膜を形成することが可能なフッ化物微粒子分散液を提供すること。
【解決手段】アルカリ土類金属塩の溶液中にフッ素化剤を添加することによりフッ化物のコロイド粒子のゲルまたはゾルを生成させる工程と、前記ゲルまたはゾルを、カルボン酸無水物の溶液に添加して水分と副生塩類を除去する工程とを有することを特徴とする。これにより、一次粒子径が100nm以下であるフッ化物の微粒子がカルボン酸に分散しているフッ化物微粒子分散液が得られる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、フッ化物微粒子の分散液及びその製造方法に係る。より詳細には、例えば、レンズ及び陰極線管や液晶表示装置の画像表示面などの反射防止膜用コーティング剤に好適に用いられる溶媒がカルボン酸であるフッ化物微粒子のカルボン酸分散液及びその製造方法に関する。
特開昭63−124332号公報 特開平7−69621号公報 WO02/018982号公報
陰極管表示装置(CRT)や液晶ディスプレー(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)等の画像表示装置の画像表示面はその視認性を高めるために、外部光源から照射された光線の反射が少ないことが求められる。そこで、低屈折率の透明皮膜で被覆すると反射率が小さくなる現象を利用した反射防止膜の利用が図られている。
反射防止膜に含まれる低屈折率層の形成は、一般に真空蒸着法やコーティング法により行われる。真空蒸着法による場合には、製造装置が複雑で大型化するために製造コストが高くなるという問題がある。また、透明薄膜を大面積化や複雑な形状を持つフィルム等の表面に透明薄膜を均一な膜厚に形成することが困難とされる。このため、成膜原料の利用効率が良く、大量生産や設備コスト面でのメリットが大きいコーティング法が有望視されている。
コーティング法によって塗膜される低屈折率層は原理上、反射防止膜の最表面又は表面付近に設けられることが多いので、優れた膜強度が求められる。従って、コーティング法におけるコーティング組成物に無機フィラーを配合することで塗膜の硬度及び強度を向上させる必要がある。
無機フィラーとしては可視光域における屈折率が1.55以下のものが好ましく、例えば、波長550nmにおける屈折率が1.46であるシリカ(SiO2)が一般的に用いられる。また、フッ化マグネシウム(MgF2、屈折率1.38)、フッ化カルシウム(CaF2、屈折率1.44)等のフッ化物はシリカよりも低屈折であるため好ましい。また、無機フィラーである微粒子の一次粒子径は、反射防止膜の膜厚以下である必要があり、好ましくは100nm以下である。
コーティング(塗膜)は、無機微粒子の分散液を原料としたコーティング組成物を被塗工体の表面に塗布し、硬化させることによって行われる。得られる塗膜には、実用に耐え得る硬度及び強度を有すること、密着性及び透明性に優れることが求められている。
しかし、無機微粒子の表面にはその性質上、水酸基が存在し易く、そのため樹脂や有機バインダー成分と無機微粒子の親和性がそれほど良くない。その結果、無機微粒子が充分に分散したコーティング液が得られるとしても、当該コーティング液を塗工後に乾燥させる過程において塗膜内で無機微粒子の凝集が起こり、塗膜が白化し易いといった問題が生じる。
こうした問題を解決するため、(1)微粒子表面の極性基を減らして水素結合による凝集を抑える方法、(2)微粒子の表面を低分子有機化合物で表面処理し、疎水性を付与することにより有機バインダー成分や有機溶剤に対する濡れ性を調節する方法が有効である。こういった観点からも無機微粒子の分散液中の水分は低いことが好ましい。
フッ化物のゾル及び微粉末の製造法については下記のようなものが報告されている。特許文献1には、酢酸マグネシウムとポリビニルアルコールの混合水溶液にフッ化水素酸水溶液を添加し、酸性のフッ化マグネシウムのコロイド粒子の分散液を製造する方法が提案されている。この方法で得られるコロイド粒子の分散液は、その状態では水分を含むため有機バインダー成分との相溶性や濡れ性に難があり、コーティング組成物の原料としては適さない。
特許文献2には、MgF2 ・nH2Oの組成を有するフッ化マグネシウム水和物のコロイド粒子からなるゾルが提案されている。しかし、フッ化マグネシウム水和物ゾルは、明らかに結晶水を有しており、有機溶媒に分散させたとしても、有機バインダー成分等との相溶性に劣るため、粒子の表面改質を施して疎水性を付与する必要がある。
特許文献3には、酢酸マグネシウムとフッ酸をメタノール溶媒中で反応させる方法が提案されている。しかし、塗膜の対象となる基材がKrFやArFエキシマレーザーを用いた縮小投影露光装置の投影光学系のレンズ、例えば石英(SiO)や蛍石(CaF)とされており、生成したフッ化マグネシウムの分散液をオートクレーブ処理することによってフッ化マグネシウム微粒子に親水性を付与させることが目的である。また、得られるフッ化マグネシウムの分散液中には原料由来の水分も含まれている。このため、疎水性を向上させることを必要とするコーティング組成物の原料としては適さない。
有機バインダーや有機溶剤との相溶性が良好であり、優れた硬度・強度を有し、密着性及び透明性に優れた膜を塗布することが可能なフッ化物微粒子分散液及びその製造方法を提供することを目的とする。
請求項1に係る発明は、一次粒子径が100nm以下であるフッ化物の微粒子がカルボン酸に分散していることを特徴とするフッ化物微粒子分散液である。
請求項2に係る発明は、前記のフッ化物が、アルカリ土類金属のフッ化物であることを特徴とする請求項1記載のフッ化物微粒子分散液である。
請求項3に係る発明は、前記分散液中の水分が0.1%(wt%:以下同じ)以下である請求項1記載のフッ化物微粒子分散液である。
請求項4に係る発明は、アルカリ土類金属塩の溶液中にフッ素化剤を添加することによりフッ化物のコロイド粒子のゲルまたはゾルを生成させる工程Iと、
前記ゲルまたはゾルを、カルボン酸無水物の溶液に添加して水分と副生塩類を除去する工程IIと、
を有することを特徴とするフッ化物微粒子分散液の製造方法である。
請求項5に係る発明は、前記フッ素化剤は、フッ化水素酸、フッ化アンモニウム、酸性フッ化アンモニウム、フッ素ガスの1種又は2種以上からなることを特徴とする請求項4記載のフッ化物微粒子分散液の製造方法である。
請求項6に係る発明は、前記フッ化水素酸は液体またはガスであることを特徴とする請求項5記載のフッ化物微粒子分散液の製造方法である。
請求項7に係る発明は、前記フッ化水素酸は、濃度が10%以上のフッ化水素酸又は無水フッ化水素酸であることを特徴とする請求項5又は6記載のフッ化物微粒子分散液の製造方法である。
請求項8に係る発明は、前記アルカリ土類金属塩が、塩化物、硝酸塩、酢酸塩またはアルコキシドの1又は2種以上であることを特徴とする請求項4ないし7のいずれか1項記載のフッ化物微粒子分散液の製造方法である。
請求項9に係る発明は、前記アルカリ土類金属塩は、塩化マグネシウム、硝酸マグネシウム、酢酸マグネシウム、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、酢酸カルシウムのいずれか1種又は2種以上からなることを特徴とする請求項7又は8記載のフッ化物微粒子分散液の製造方法である。
請求項10に係る発明は、前記アルカリ土類金属塩に対するフッ素化剤中のフッ素のモル比が2.0以上であることを特徴とする請求項4ないし9のいずれか1項記載のフッ化物微粒子分散液の製造方法である。
請求項11に係る発明は、前記アルカリ土類金属塩の溶液は、水または水と低級アルコールとの混合液であることを特徴とする請求項4ないし10のいずれか1項記載のフッ化物微粒子分散液の製造方法である。
請求項12に係る発明は、前記低級アルコールは、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールのいずれか1種又は2種以上であることを特徴とする請求項11記載のフッ化物微粒子分散液の製造方法である。
請求項13に係る発明は、前記カルボン酸無水物は、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸のいずれか1種又は2種以上であることを特徴とする請求項4ないし12のいずれか1項記載のフッ化物微粒子分散液の製造方法である。
請求項14に係る発明は、前記ゲルまたはゾル中の水分に対するカルボン酸無水物のモル比が1.0〜1.5であることを特徴とする請求項4ないし13のいずれか1項記載のフッ化物微粒子分散液の製造方法である。
請求項15に係る発明は、請求項4ないし14のいずれか1項記載のフッ化物微粒子分散液の製造方法により得られたフッ化物微粒子分散液を、溶媒置換法により有機溶媒に置換する工程IIIをさらに行うことを特徴とするフッ化物微粒子のオルガノゾルの製造法である。
請求項16に係る発明は、置換する有機溶媒が、アルコール、ケトン、カルボン酸系の有機溶媒であることを特徴とする請求項15記載のフッ化物微粒子のオルガノゾルの製造法である。
多様な用途の光学薄膜のコーティング剤の原料として利用することができ、特に反射防止膜の低屈折率層を形成する材料として好適であり、陰極管表示装置(CRT)や液晶表示装置(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)等の画像表示装置の表示面やカラーフィルターにコーティングすることによって良質な反射防止膜を形成することができる。
本発明の分散液は、一次粒子径が100nm以下であるフッ化物の微粒子がカルボン酸に分散しているフッ化物微粒子分散液である。この分散液は、アルカリ土類金属塩の溶液中にフッ素化剤を添加することによりフッ化物のコロイド粒子のゲルまたはゾルを生成させる工程Iと、
前記ゲルまたはゾルを、カルボン酸無水物の溶液に添加して水分と副生塩類を除去する工程IIと、を有する製造方法によっても製造することができる。
(アルカリ土類金属塩)
本発明では、フッ化物微粒子分散液アルカリ土類金属塩の溶液中にフッ素化剤を添加する。
ここで、アルカリ土類金属塩は、水に可溶の塩であり、例えば、塩化物、硝酸塩、酢酸塩、ギ酸塩またはアルコキシドであり、単独または2種以上混合して使用することができる。
より具体的には、例えば、塩化マグネシウム、硝酸マグネシウム、酢酸マグネシウム、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、酢酸カルシウムなどが挙げられ、これらの中では塩化マグネシウム、酢酸マグネシウムが好ましい。
(アルカリ土類金属塩の溶液)
工程Iにおける溶媒は、水または水と低沸点の有機溶媒の混合液であり、例えば、メタノールやエタノール、イソプロピルアルコールなどの低級アルコールを使用することができる。
溶液中におけるアルカリ土類金属塩の濃度は、1%以上が好ましい。5%以上がより好ましい。かかる範囲は、生成されるフッ化物微粒子の粒子径をより細かくできるという点から好ましい。
(フッ素化:ゲル化工程)
工程Iにおけるフッ素化剤は、アルカリ土類金属をフッ化するために用いられる。フッ素化剤としては、水に可溶の塩であり、例えば、フッ化水素酸、フッ化アンモニウム、酸性フッ化アンモニウム、フッ素ガスが挙げられる。単独または2種以上混合して使用することが出来る。
特に、フッ化水素酸が好ましい。フッ化水素酸を用いることによって反応によって低沸点の副生塩類が生じるので留去しやすくなる。
なお、フッ化水素酸は、液体またはガスとして用いられる。また、フッ化水素酸の濃度は、10wt%以上が好ましい。特に無水フッ化水素酸が好ましい。10wt%以上とした場合、生成されるフッ化物微粒子の粒子径をより細かくできるという観点から好ましい。
アルカリ土類金属に対するフッ素のモル比は2.0以上とすることが好ましい。より好ましくは、2.02以上である。2.0以上では反応未反応の原料分を低減することができる。一方、2.0未満では、未反応の原料分が発生してしまう。なお、生成されるフッ化物微粒子が凝集して2次粒子が成長するのを抑制させる観点から上限は2.5とすることが好ましい。
また、フッ素化を行う温度は、100℃以下が好ましい。50℃以下がより好ましい。かかる温度でフッ素化を行うと、生成されるフッ化物の溶解度が低くなることで、より細かな微粒子が得やすいという効果が得られる。
工程Iにおける反応によって得られるゲルまたはゾル中のフッ化物微粒子の濃度は5wt%以上が好ましく、5wt%未満の濃度でも良いが、含水量が多くなり、工程IIにおいて脱水反応に用いるカルボン酸無水物を多量に必要とするため不利である。
また、フッ化物微粒子の表面には水分子及び原料由来の陰イオンが吸着または配位している。例えば、アルカリ土類金属の塩化物を原料に用いると、フッ化物微粒子の表面には塩酸イオンが微粒子の表面に付着または配位している。このためフッ化物微粒子の濃度が高い場合はゲルになりやすいが、水を溶媒として遠心分離置換することにより副生塩類を除去することでゾルとすることも可能である。
(脱水工程II)
本発明のフッ化物微粒子のカルボン酸分散液の製造方法の工程IIにおいて、使用するカルボン酸無水物としては、液状のものであれば制限されず、加水分解によって比較的低沸点のカルボン酸となるものが好ましい。具体的には、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸、無水トリフルオロ酢酸、無水トリクロロ酢酸などの液状のカルボン酸無水物が例示される。これらの中では、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸が好ましい。
工程IIにおいて、ゲルまたはゾル中の水分量に対するカルボン酸無水物量のモル比は1.0〜1.5であることが好ましい。1.0未満となると脱水反応が不十分となりカルボン酸分散液中に水分が高濃度で残存する。1.5以上になるとカルボン酸分散液中にカルボン酸無水物が多量に含まれるためコーティング剤として好ましくない。
以上のようにして、ゲルまたはゾル中に含まれる水分と有機酸無水物とを反応させることによりゾル中の水分を0.1%以下とすることができ、得られるフッ化物微粒子のカルボン酸分散液は低水分であることから、フッ化物微粒子の表面にはカルボン酸が配位または吸着されることによって疎水性を付与されたゾルとなっている。また、疎水基との濡れ性が向上された粒子表面をもつゾルを簡易に製造することが可能となる。
(工程III)
本発明において、上記製造法により得られたフッ化物微粒子のカルボン酸分散液は、所定の有機溶媒に溶媒置換する工程IIIによって所望の溶媒を分散媒としたオルガノゾルとすることができる。置換方法としては、遠心分離することによって所望の溶媒へ置換する方法、および溶媒の沸点を利用して常圧下または減圧下で置換する方法が挙げられる。
以上のようにして得られるオルガノゾルの濃度はいずれも2〜20%であり、2%未満でも良いが、コーティング剤を調製する際にバインダー成分や溶剤と混合されることにより濃度が更に薄くなるため、オルガノゾルとしては濃度が高いほうが好ましい。
分散媒として使用する溶媒は、種々の有機溶剤、例えば、イソプロピルアルコール、メタノール、エタノール等のアルコール類やメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルイアミルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、および酢酸、プロピオン酸、酪酸等のカルボン酸類、或いはこれらの混合物を用いることができる。
(フッ化物微粒子分散液)
本発明のフッ化物分散液におけるフッ化物は、一次粒子径が100nm以下である。一次粒子径が100nm以下であるため反射防止膜に要求される膜厚に適用することが可能である。なお、一次粒子の凝集により二次粒子を生成する場合があり、これを100nm以下に制御するという観点から50nm以下が好ましい。
一次粒子径は、フッ素化反応の反応温度、スラリー濃度、溶液の粘度を制御することにより制御することができる。すなわち、希薄な原料濃度の溶液を低いスラリー濃度で高温下で反応すれば径を大きくでき、高濃度の原料溶液とすることで粘度が高くなり、かつスラリー濃度が高い状態で低温を維持した状態で反応させることで径を小さくできる。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
容量1リッターのフッ素樹脂容器中で、塩化マグネシウム6水和物(試薬特級)302.2gを、超純水102.2gに溶解して塩化マグネシウム水溶液404.4gを調製した。この水溶液中の塩化マグネシウムの濃度は35%であった。
この塩化マグネシウム水溶液を撹拌しながら室温下で50%濃度のフッ化水素酸(半導体用高純度品)125.4gを添加したところフッ化マグネシウムのコロイド粒子のゲルを519.2g得た。塩化マグネシウムとフッ化水素酸のフッ素とマグネシウムの比は、F/Mgモル比で2.1であった。得られたフッ化マグネシウムのコロイド粒子のゲルは、無色透明であり、ゲル中のフッ化マグネシウムの濃度は17.3%であった。副生する塩は塩化水素酸であり、その濃度はゲル中に20.2%であった。電子顕微鏡観察の結果、フッ化マグネシウムのコロイド粒子の一次粒子径は10〜30nmで、動的光散乱法による粒子径は60nmであり、フッ化マグネシウムのナノ粒子が合成されていることを確認した。
実施例1で得られたフッ化マグネシウムのコロイド粒子のゲル200.3gを、無水酢酸(試薬特級)736.4gを仕込んでおいた容器に溶液の液温を20〜50℃で制御しながら少量ずつ添加した。その後、窒素ガスを溶液に浸した挿入管より常温下において毎分5Lで2時間通ガスし、塩化水素を除去してフッ化マグネシウムの酢酸ゾル721.5gを得た。
上記の脱水反応において、ゲル中の水分量に対する無水酢酸のモル比は1.05であった。得られたフッ化マグネシウムの酢酸ゾルは、透明で分散性も良好であった。ゾル中のフッ化マグネシウムの濃度は4.8%であった。カールフィッシャーにより求めたゾル中の水分は0.04%であり、残存する塩素量を比濁法によって求めたところ0.01%であった。またガスクロマトグラフィーによって求めた酢酸ゾル中の無水酢酸の残量は0.5%であった。
電子顕微鏡観察の結果、フッ化マグネシウムのコロイド粒子の一次粒子径は10〜30nmで、動的光散乱法による粒子径は60nmであった。これより粒子を凝集させることなく良好な分散性をもつ酢酸ゾルが製造できることがわかった。
更に、得られたフッ化マグネシウムの濃度4.8%のフッ化マグネシウム酢酸ゾル300gを、ロータリーエバポレーターにて減圧下に液温40〜70℃でメチルイソブチルケトンに溶媒置換を行い、フッ化マグネシウムメチルイソブチルケトンゾル169.5gを得た。溶媒置換後のゾル中のフッ化マグネシウムの濃度は8.4%であった。得られたフッ化マグネシウムメチルイソブチルケトンゾルは、ガスクロマトグラフィーによって求めたゾル中の酢酸の濃度は3.4%、カールフィッシャーにより求めた水分は0.08%であった。電子顕微鏡観察の結果、フッ化マグネシウムのコロイド粒子の一次粒子径は10〜30nmで、動的光散乱法による粒子径は60nmであった。
塩化マグネシウム6水和物の代わりに酢酸マグネシウム4水和物(試薬特級)を用いた以外は実施例1と同様の条件で反応したところ、フッ化マグネシウムのコロイド粒子のゲル483.0gが得られた。このフッ化マグネシウムのコロイド粒子のゲルは、無色透明であり、ゲル中のフッ化マグネシウムの濃度は12.8%であった。副生物は酢酸であり、その濃度はゲル中に24.6%であった。電子顕微鏡観察の結果、フッ化マグネシウムのコロイド粒子の一次粒子径は30〜50nmであった。動的光散乱法による粒子径は90nmであり、フッ化マグネシウムのナノ粒子が合成されていることを確認した。
実施例3で得られたフッ化マグネシウムのコロイド粒子のゲル200.1gを、無水酢酸により処理する時点の液温を50〜80℃、および窒素ガス導入時の液温を40〜60℃で制御した以外は実施例2と同様の方法を用いて無水酢酸で処理することによりフッ化マグネシウム酢酸ゾル603.4gを得た。得られたフッ化マグネシウムの酢酸ゾルは、透明で分散性も良好であった。ゾル中のフッ化マグネシウムの濃度は4.1%であった。カールフィッシャーにより求めたゾル中の水分は0.06%であった。またガスクロマトグラフィーによって求めた酢酸ゾル中の無水酢酸の残量は0.7%であった。電子顕微鏡観察の結果、フッ化マグネシウムのコロイド粒子の一次粒子径は30〜50nmであった。動的光散乱法による粒子径は90nmであった。これより粒子を凝集させることなく良好な分散性をもつ酢酸ゾルが製造できることがわかった。
更に、得られたフッ化マグネシウムの濃度4.1%のフッ化マグネシウム酢酸ゾル300gを、ロータリーエバポレーターにて減圧下に液温40〜70℃でメチルイソブチルケトンに溶媒置換を行い、フッ化マグネシウムメチルイソブチルケトンゾル153.8gを得た。溶媒置換後のゾル中のフッ化マグネシウムは8.0%であった。得られたフッ化マグネシウムメチルイソブチルケトンゾルは、ガスクロマトグラフィーによって求めたゾル中の酢酸は3.5%、カールフィッシャーにより求めた水分は0.08%であった。電子顕微鏡観察の結果、フッ化マグネシウムのコロイド粒子の一次粒子径は30〜50nmであった。動的光散乱法による粒子径は90nmであった。
実施例1で得られたフッ化マグネシウムのコロイド粒子のゲル200.5gを、無水プロピオン酸(試薬特級)939.9gを仕込んでおいた容器に溶液の液温を20〜50℃で制御しながら少量ずつ添加した。その後、窒素ガスを溶液に浸した挿入間より溶液の液温を20〜50℃で制御しながら毎分5Lで2時間通ガスし、塩化水素を除去してフッ化マグネシウムのプロピオン酸ゾル931.7gを得た。上記の脱水反応において、ゲル中の水分量に対する無水酢酸のモル比は1.05であった。得られたフッ化マグネシウムのプロピオン酸ゾルは、透明で分散性も良好であった。ゾル中のフッ化マグネシウムの濃度は3.7%であった。カールフィッシャーにより求めたゾル中の水分は0.05%であり、残存する塩素量を比濁法によって求めたところ0.01%であった。またガスクロマトグラフィーによって求めたプロピオン酸ゾル中の無水プロピオン酸の残量は0.8%であった。電子顕微鏡観察の結果、フッ化マグネシウムのコロイド粒子の一次粒子径は10〜30nmで、動的光散乱法による粒子径は60nmであった。これより粒子を凝集させることなく良好な分散性をもつプロピオン酸ゾルが製造できることがわかった。
更に、得られたフッ化マグネシウムの濃度3.7%のフッ化マグネシウムプロピオン酸ゾル300gを、ロータリーエバポレーターにて減圧下に液温40〜80℃でメチルアミルケトンに溶媒置換を行い、フッ化マグネシウムメチルアミルケトンゾル169.5gを得た。溶媒置換後のゾル中のフッ化マグネシウムの濃度は6.5%であった。得られたフッ化マグネシウムメチルアミルケトンゾルは、ガスクロマトグラフィーによって求めたゾル中のプロピオン酸の濃度は4.6%、カールフィッシャーにより求めた水分は0.08%であった。電子顕微鏡観察の結果、フッ化マグネシウムのコロイド粒子の一次粒子径は10〜30nmで、動的光散乱法による粒子径は60nmであった。
実施例1で得られたフッ化マグネシウムのコロイド粒子のゲル50.1gを、無水酪酸(試薬特級)285.1gを仕込んでおいた容器に溶液の液温を50℃以下で制御しながら少量ずつ添加した。その後、窒素ガスを溶液に浸した挿入間より溶液の液温を80〜100℃で制御しながら毎分5Lで2時間通ガスし、塩化水素を除去してフッ化マグネシウムの酪酸ゾル296.0gを得た。上記の脱水反応において、ゲル中の水分量に対する無水酪酸のモル比は1.05であった。得られたフッ化マグネシウムの酪酸ゾルは、透明で分散性も良好であった。ゾル中のフッ化マグネシウムの濃度は2.9%であった。カールフィッシャーにより求めたゾル中の水分は0.04%であり、残存する塩素量を比濁法によって求めたところ0.01%以下であった。またガスクロマトグラフィーによって求めた酪酸ゾル中の無水酪酸の残量は1.3%であった。電子顕微鏡観察の結果、フッ化マグネシウムのコロイド粒子の一次粒子径は10〜30nmで、動的光散乱法による粒子径は60nmであった。これより粒子を凝集させることなく良好な分散性をもつ酪酸ゾルが製造できることがわかった。
更に、得られたフッ化マグネシウムの濃度2.9%のフッ化マグネシウム酪酸ゾル200gを、ロータリーエバポレーターにて減圧下に液温60〜100℃でメチルアミルケトンに溶媒置換を行い、フッ化マグネシウムメチルアミルケトンゾル139.5gを得た。溶媒置換後のゾル中のフッ化マグネシウムの濃度は4.2%であった。得られたフッ化マグネシウムメチルアミルケトンゾルは、ガスクロマトグラフィーによって求めたゾル中の酪酸の濃度は2.6%、カールフィッシャーにより求めた水分は0.07%であった。電子顕微鏡観察の結果、フッ化マグネシウムのコロイド粒子の一次粒子径は10〜30nmで、動的光散乱法による粒子径は60nmであった。
上記で得られたフッ化マグネシウムコロイド粒子を用いて塗膜を行った。
下記にその詳細を記す。
透明支持体(透明樹脂フィルム)及びハードコート材料として、以下のものを用いた。
・透明樹脂フィルム:PETフィルム、東洋紡績(株)製「コスモシャインA4100」(厚さ188μm)
・ハードコート材料:アクリル系UV硬化型樹脂、大日精化工業(株)製「セイカビームPET−HC15」(有効成分60%)
そして上記の透明樹脂フィルムの表面に上記のハードコート材料をバーコータで塗布し、これを40℃で1分間乾燥させた後に、UV照射(1000mJ/cm)して硬化させることによって、ハードコート層を形成した。
テトラエトキシシラン200gに酢酸667.5gを加え、室温で2時間攪拌することにより、有機溶液(A)を得た。
次に、実施例2で得られたフッ化マグネシウムの酢酸分散ゾル(固形分5重量%、平均粒子径60nm)を用い、これを有機溶液(A)に加え、フッ化マグネシウムコロイド粒子/有機溶液が縮合固形物換算で体積比50/50となるように配合し、その後、全固形分が1%になるように酢酸で希釈することによって、コーティング剤組成物を調製した。
上記のようにして形成したハードコート層の表面に、コーティング剤組成物を膜厚が約1μmになるようにワイヤーバーコータで塗布した。コーティング組成物は相溶しており、一様に塗布されていた。次に、これを105℃、1時間の条件で乾燥させ、硬化させることによって、低屈折率層を形成した。

Claims (18)

  1. 一次粒子径が100nm以下であるフッ化物の微粒子がカルボン酸に分散していることを特徴とするフッ化物微粒子分散液。
  2. 前記のフッ化物が、アルカリ土類金属のフッ化物であることを特徴とする請求項1記載のフッ化物微粒子分散液。
  3. 前記分散液中の水分が0.1%(wt%:以下同じ)以下である請求項1記載のフッ化物微粒子分散液。
  4. アルカリ土類金属塩の溶液中にフッ素化剤を添加することによりフッ化物のコロイド粒子のゲルまたはゾルを生成させる工程Iと、
    前記ゲルまたはゾルを、カルボン酸無水物の溶液に添加して水分と副生塩類を除去する工程IIと、
    を有することを特徴とするフッ化物微粒子分散液の製造方法。
  5. 前記フッ素化剤は、フッ化水素酸、フッ化アンモニウム、酸性フッ化アンモニウム、フッ素ガスの1種又は2種以上からなることを特徴とする請求項4記載のフッ化物微粒子分散液の製造方法。
  6. 前記フッ化水素酸は液体またはガスであることを特徴とする請求項5記載のフッ化物微粒子分散液の製造方法。
  7. 前記フッ化水素酸は、濃度が10%以上のフッ化水素酸又は無水フッ化水素酸であることを特徴とする請求項5又は6記載のフッ化物微粒子分散液の製造方法。
  8. 前記アルカリ土類金属塩が、塩化物、硝酸塩、酢酸塩またはアルコキシドの1又は2種以上であることを特徴とする請求項4ないし7のいずれか1項記載のフッ化物微粒子分散液の製造方法。
  9. 前記アルカリ土類金属塩は、塩化マグネシウム、硝酸マグネシウム、酢酸マグネシウム、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、酢酸カルシウムのいずれか1種又は2種以上からなることを特徴とする請求項7又は8記載のフッ化物微粒子分散液の製造方法。
  10. 前記アルカリ土類金属塩に対するフッ素化剤中のフッ素のモル比が2.0以上であることを特徴とする請求項4ないし9のいずれか1項記載のフッ化物微粒子分散液の製造方法。
  11. 前記アルカリ土類金属塩の溶液は、水または水と低級アルコールとの混合液であることを特徴とする請求項4ないし10のいずれか1項記載のフッ化物微粒子分散液の製造方法。
  12. 前記低級アルコールは、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールのいずれか1種又は2種以上であることを特徴とする請求項11記載のフッ化物微粒子分散液の製造方法。
  13. 前記カルボン酸無水物は、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸のいずれか1種又は2種以上であることを特徴とする請求項4ないし12のいずれか1項記載のフッ化物微粒子分散液の製造方法。
  14. 前記ゲルまたはゾル中の水分に対するカルボン酸無水物のモル比が1.0〜1.5であることを特徴とする請求項4ないし13のいずれか1項記載のフッ化物微粒子分散液の製造方法。
  15. 請求項4ないし14のいずれか1項記載のフッ化物微粒子分散液の製造方法により得られたフッ化物微粒子分散液を、溶媒置換法により有機溶媒に置換する工程IIIをさらに行うことを特徴とするフッ化物微粒子のオルガノゾルの製造法。
  16. 置換する有機溶媒が、アルコール、ケトン、カルボン酸系の有機溶媒であることを特徴とする請求項15記載のフッ化物微粒子のオルガノゾルの製造法。
  17. 請求項4ないし14のいずれか1項記載の製造方法により製造したことを特徴とするフッ化物微粒子分散液。
  18. 請求項1−3記載のフッ化物微粒子分散液からなることを特徴とする反射防止コーティング剤。
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