JP2007161509A - フッ化物微粒子の分散液及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】アルカリ土類金属塩の溶液中にフッ素化剤を添加することによりフッ化物のコロイド粒子のゲルまたはゾルを生成させる工程と、前記ゲルまたはゾルを、カルボン酸無水物の溶液に添加して水分と副生塩類を除去する工程とを有することを特徴とする。これにより、一次粒子径が100nm以下であるフッ化物の微粒子がカルボン酸に分散しているフッ化物微粒子分散液が得られる。
【選択図】 なし
Description
請求項2に係る発明は、前記のフッ化物が、アルカリ土類金属のフッ化物であることを特徴とする請求項1記載のフッ化物微粒子分散液である。
請求項3に係る発明は、前記分散液中の水分が0.1%(wt%:以下同じ)以下である請求項1記載のフッ化物微粒子分散液である。
前記ゲルまたはゾルを、カルボン酸無水物の溶液に添加して水分と副生塩類を除去する工程IIと、
を有することを特徴とするフッ化物微粒子分散液の製造方法である。
請求項5に係る発明は、前記フッ素化剤は、フッ化水素酸、フッ化アンモニウム、酸性フッ化アンモニウム、フッ素ガスの1種又は2種以上からなることを特徴とする請求項4記載のフッ化物微粒子分散液の製造方法である。
請求項6に係る発明は、前記フッ化水素酸は液体またはガスであることを特徴とする請求項5記載のフッ化物微粒子分散液の製造方法である。
請求項7に係る発明は、前記フッ化水素酸は、濃度が10%以上のフッ化水素酸又は無水フッ化水素酸であることを特徴とする請求項5又は6記載のフッ化物微粒子分散液の製造方法である。
請求項8に係る発明は、前記アルカリ土類金属塩が、塩化物、硝酸塩、酢酸塩またはアルコキシドの1又は2種以上であることを特徴とする請求項4ないし7のいずれか1項記載のフッ化物微粒子分散液の製造方法である。
請求項9に係る発明は、前記アルカリ土類金属塩は、塩化マグネシウム、硝酸マグネシウム、酢酸マグネシウム、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、酢酸カルシウムのいずれか1種又は2種以上からなることを特徴とする請求項7又は8記載のフッ化物微粒子分散液の製造方法である。
請求項10に係る発明は、前記アルカリ土類金属塩に対するフッ素化剤中のフッ素のモル比が2.0以上であることを特徴とする請求項4ないし9のいずれか1項記載のフッ化物微粒子分散液の製造方法である。
請求項11に係る発明は、前記アルカリ土類金属塩の溶液は、水または水と低級アルコールとの混合液であることを特徴とする請求項4ないし10のいずれか1項記載のフッ化物微粒子分散液の製造方法である。
請求項12に係る発明は、前記低級アルコールは、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールのいずれか1種又は2種以上であることを特徴とする請求項11記載のフッ化物微粒子分散液の製造方法である。
請求項13に係る発明は、前記カルボン酸無水物は、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸のいずれか1種又は2種以上であることを特徴とする請求項4ないし12のいずれか1項記載のフッ化物微粒子分散液の製造方法である。
請求項14に係る発明は、前記ゲルまたはゾル中の水分に対するカルボン酸無水物のモル比が1.0〜1.5であることを特徴とする請求項4ないし13のいずれか1項記載のフッ化物微粒子分散液の製造方法である。
請求項15に係る発明は、請求項4ないし14のいずれか1項記載のフッ化物微粒子分散液の製造方法により得られたフッ化物微粒子分散液を、溶媒置換法により有機溶媒に置換する工程IIIをさらに行うことを特徴とするフッ化物微粒子のオルガノゾルの製造法である。
請求項16に係る発明は、置換する有機溶媒が、アルコール、ケトン、カルボン酸系の有機溶媒であることを特徴とする請求項15記載のフッ化物微粒子のオルガノゾルの製造法である。
前記ゲルまたはゾルを、カルボン酸無水物の溶液に添加して水分と副生塩類を除去する工程IIと、を有する製造方法によっても製造することができる。
本発明では、フッ化物微粒子分散液アルカリ土類金属塩の溶液中にフッ素化剤を添加する。
ここで、アルカリ土類金属塩は、水に可溶の塩であり、例えば、塩化物、硝酸塩、酢酸塩、ギ酸塩またはアルコキシドであり、単独または2種以上混合して使用することができる。
より具体的には、例えば、塩化マグネシウム、硝酸マグネシウム、酢酸マグネシウム、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、酢酸カルシウムなどが挙げられ、これらの中では塩化マグネシウム、酢酸マグネシウムが好ましい。
工程Iにおける溶媒は、水または水と低沸点の有機溶媒の混合液であり、例えば、メタノールやエタノール、イソプロピルアルコールなどの低級アルコールを使用することができる。
溶液中におけるアルカリ土類金属塩の濃度は、1%以上が好ましい。5%以上がより好ましい。かかる範囲は、生成されるフッ化物微粒子の粒子径をより細かくできるという点から好ましい。
工程Iにおけるフッ素化剤は、アルカリ土類金属をフッ化するために用いられる。フッ素化剤としては、水に可溶の塩であり、例えば、フッ化水素酸、フッ化アンモニウム、酸性フッ化アンモニウム、フッ素ガスが挙げられる。単独または2種以上混合して使用することが出来る。
特に、フッ化水素酸が好ましい。フッ化水素酸を用いることによって反応によって低沸点の副生塩類が生じるので留去しやすくなる。
なお、フッ化水素酸は、液体またはガスとして用いられる。また、フッ化水素酸の濃度は、10wt%以上が好ましい。特に無水フッ化水素酸が好ましい。10wt%以上とした場合、生成されるフッ化物微粒子の粒子径をより細かくできるという観点から好ましい。
本発明のフッ化物微粒子のカルボン酸分散液の製造方法の工程IIにおいて、使用するカルボン酸無水物としては、液状のものであれば制限されず、加水分解によって比較的低沸点のカルボン酸となるものが好ましい。具体的には、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸、無水トリフルオロ酢酸、無水トリクロロ酢酸などの液状のカルボン酸無水物が例示される。これらの中では、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸が好ましい。
本発明において、上記製造法により得られたフッ化物微粒子のカルボン酸分散液は、所定の有機溶媒に溶媒置換する工程IIIによって所望の溶媒を分散媒としたオルガノゾルとすることができる。置換方法としては、遠心分離することによって所望の溶媒へ置換する方法、および溶媒の沸点を利用して常圧下または減圧下で置換する方法が挙げられる。
本発明のフッ化物分散液におけるフッ化物は、一次粒子径が100nm以下である。一次粒子径が100nm以下であるため反射防止膜に要求される膜厚に適用することが可能である。なお、一次粒子の凝集により二次粒子を生成する場合があり、これを100nm以下に制御するという観点から50nm以下が好ましい。
一次粒子径は、フッ素化反応の反応温度、スラリー濃度、溶液の粘度を制御することにより制御することができる。すなわち、希薄な原料濃度の溶液を低いスラリー濃度で高温下で反応すれば径を大きくでき、高濃度の原料溶液とすることで粘度が高くなり、かつスラリー濃度が高い状態で低温を維持した状態で反応させることで径を小さくできる。
この塩化マグネシウム水溶液を撹拌しながら室温下で50%濃度のフッ化水素酸(半導体用高純度品)125.4gを添加したところフッ化マグネシウムのコロイド粒子のゲルを519.2g得た。塩化マグネシウムとフッ化水素酸のフッ素とマグネシウムの比は、F/Mgモル比で2.1であった。得られたフッ化マグネシウムのコロイド粒子のゲルは、無色透明であり、ゲル中のフッ化マグネシウムの濃度は17.3%であった。副生する塩は塩化水素酸であり、その濃度はゲル中に20.2%であった。電子顕微鏡観察の結果、フッ化マグネシウムのコロイド粒子の一次粒子径は10〜30nmで、動的光散乱法による粒子径は60nmであり、フッ化マグネシウムのナノ粒子が合成されていることを確認した。
上記の脱水反応において、ゲル中の水分量に対する無水酢酸のモル比は1.05であった。得られたフッ化マグネシウムの酢酸ゾルは、透明で分散性も良好であった。ゾル中のフッ化マグネシウムの濃度は4.8%であった。カールフィッシャーにより求めたゾル中の水分は0.04%であり、残存する塩素量を比濁法によって求めたところ0.01%であった。またガスクロマトグラフィーによって求めた酢酸ゾル中の無水酢酸の残量は0.5%であった。
電子顕微鏡観察の結果、フッ化マグネシウムのコロイド粒子の一次粒子径は10〜30nmで、動的光散乱法による粒子径は60nmであった。これより粒子を凝集させることなく良好な分散性をもつ酢酸ゾルが製造できることがわかった。
下記にその詳細を記す。
・透明樹脂フィルム:PETフィルム、東洋紡績(株)製「コスモシャインA4100」(厚さ188μm)
・ハードコート材料:アクリル系UV硬化型樹脂、大日精化工業(株)製「セイカビームPET−HC15」(有効成分60%)
そして上記の透明樹脂フィルムの表面に上記のハードコート材料をバーコータで塗布し、これを40℃で1分間乾燥させた後に、UV照射(1000mJ/cm2)して硬化させることによって、ハードコート層を形成した。
Claims (18)
- 一次粒子径が100nm以下であるフッ化物の微粒子がカルボン酸に分散していることを特徴とするフッ化物微粒子分散液。
- 前記のフッ化物が、アルカリ土類金属のフッ化物であることを特徴とする請求項1記載のフッ化物微粒子分散液。
- 前記分散液中の水分が0.1%(wt%:以下同じ)以下である請求項1記載のフッ化物微粒子分散液。
- アルカリ土類金属塩の溶液中にフッ素化剤を添加することによりフッ化物のコロイド粒子のゲルまたはゾルを生成させる工程Iと、
前記ゲルまたはゾルを、カルボン酸無水物の溶液に添加して水分と副生塩類を除去する工程IIと、
を有することを特徴とするフッ化物微粒子分散液の製造方法。 - 前記フッ素化剤は、フッ化水素酸、フッ化アンモニウム、酸性フッ化アンモニウム、フッ素ガスの1種又は2種以上からなることを特徴とする請求項4記載のフッ化物微粒子分散液の製造方法。
- 前記フッ化水素酸は液体またはガスであることを特徴とする請求項5記載のフッ化物微粒子分散液の製造方法。
- 前記フッ化水素酸は、濃度が10%以上のフッ化水素酸又は無水フッ化水素酸であることを特徴とする請求項5又は6記載のフッ化物微粒子分散液の製造方法。
- 前記アルカリ土類金属塩が、塩化物、硝酸塩、酢酸塩またはアルコキシドの1又は2種以上であることを特徴とする請求項4ないし7のいずれか1項記載のフッ化物微粒子分散液の製造方法。
- 前記アルカリ土類金属塩は、塩化マグネシウム、硝酸マグネシウム、酢酸マグネシウム、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、酢酸カルシウムのいずれか1種又は2種以上からなることを特徴とする請求項7又は8記載のフッ化物微粒子分散液の製造方法。
- 前記アルカリ土類金属塩に対するフッ素化剤中のフッ素のモル比が2.0以上であることを特徴とする請求項4ないし9のいずれか1項記載のフッ化物微粒子分散液の製造方法。
- 前記アルカリ土類金属塩の溶液は、水または水と低級アルコールとの混合液であることを特徴とする請求項4ないし10のいずれか1項記載のフッ化物微粒子分散液の製造方法。
- 前記低級アルコールは、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールのいずれか1種又は2種以上であることを特徴とする請求項11記載のフッ化物微粒子分散液の製造方法。
- 前記カルボン酸無水物は、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸のいずれか1種又は2種以上であることを特徴とする請求項4ないし12のいずれか1項記載のフッ化物微粒子分散液の製造方法。
- 前記ゲルまたはゾル中の水分に対するカルボン酸無水物のモル比が1.0〜1.5であることを特徴とする請求項4ないし13のいずれか1項記載のフッ化物微粒子分散液の製造方法。
- 請求項4ないし14のいずれか1項記載のフッ化物微粒子分散液の製造方法により得られたフッ化物微粒子分散液を、溶媒置換法により有機溶媒に置換する工程IIIをさらに行うことを特徴とするフッ化物微粒子のオルガノゾルの製造法。
- 置換する有機溶媒が、アルコール、ケトン、カルボン酸系の有機溶媒であることを特徴とする請求項15記載のフッ化物微粒子のオルガノゾルの製造法。
- 請求項4ないし14のいずれか1項記載の製造方法により製造したことを特徴とするフッ化物微粒子分散液。
- 請求項1−3記載のフッ化物微粒子分散液からなることを特徴とする反射防止コーティング剤。
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