JP2007160904A - 共押出積層発泡体及びその成形体 - Google Patents

共押出積層発泡体及びその成形体 Download PDF

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Abstract

【課題】帯電防止性の持続性が高く、繰返し使用が可能で、機械的物性、緩衝性、熱成形性のバランスの取れた発泡体及び熱成形により展開倍率が大きい成形体を提供する。
【解決手段】見掛け密度300〜550g/L、厚み2.0〜3.5mm、連続気泡率40%以下のポリスチレン系樹脂組成物発泡層の少なくとも片面に帯電防止剤を含む坪量10〜100g/m2のポリオレフィン系樹脂層を有し、全坪量が650g/m2を超え1500g/m2以下の積層発泡体であって、発泡層を構成するポリスチレン系樹脂組成物はスチレン系エラストマーを含有し、且つ該樹脂組成物中のゴム成分含有量が9〜30重量%であり、積層発泡体のポリオレフィン系樹脂層表面のエタノール水溶液洗浄後の表面固有抵抗率が1×1013Ω以下、発泡層の表面から全厚みの25%を超える内層部の気泡が厚み方向の平均気泡径A(mm)、押出方向の平均気泡径B(mm)及び幅方向の平均気泡径C(mm)の間に0.6≦A/B≦1.2及び0.6≦A/C≦1.2 を満足する。
【選択図】図1

Description

本発明は、永久帯電防止性能を有する共押出積層発泡体に関し、より詳しくは緩衝性、耐衝撃性、熱成形性に優れる共押出積層発泡体及びその成形体に関する。
半導体や電子部品等のための包装形態としては、インジェクショントレー、ソリッドシートの真空成形トレー等といった包装・収納容器などの成形体が使用されている。しかし、インジェクショントレー、ソリッドシートの真空成形トレー等は緩衝性に乏しく、これらに半導体などを被包装体として収納して輸送する際、被包装体の破損の虞が大きいという欠点があった。
また、これらの成形体には、電子部品の静電破壊を防ぎ、埃やゴミの付着を防止するため、帯電防止処理がなされている必要がある。この帯電防止処理の方法としては、(1)シート或いは成形体の表面に界面活性剤タイプの帯電防止剤を塗布する方法、(2)シートに界面活性剤タイプの帯電防止剤を練り込みブリードアウトさせる方法、(3)シートにカーボンブラック等の導電性無機フィラーを添加する方法等が挙げられる。
しかし、(1)、(2)の方法では、帯電防止効果が現れるためには帯電防止剤が空気中の水分を吸着する必要があり、比較的湿度の低い環境下、特に日本における冬季では、帯電防止効果が発現しにくい。さらに、比較的湿度の高い環境下で帯電防止効果が発現されたとしても、帯電防止剤が多くの水分を吸着して被包装体の表面に移行して、被包装体が汚染されてしまう問題があった。またこれら方法では成形体の洗浄等により帯電防止効果が失われてしまうため、安定した帯電防止効果は期待できず、繰り返し使用する用途においては採用することが難しい。(3)の方法では導電性無機フィラーが脱落し易く被包装体を汚染する問題や被包装体が電子部品の場合には短絡の原因となる問題があった。
そこで上記問題点を解決すべく、特許文献1には帯電防止効果の持続性に優れた帯電防止性樹脂シート及びそのシートで成形された成形体が開示されている。この特許文献1の帯電防止樹脂シートは、スチレン系樹脂とオレフィン系樹脂からなる基材層にオレフィン系樹脂及び高分子型帯電防止剤で構成された表層が積層されたものである。
また、本出願人は高分子型帯電防止剤を添加して製造直後から長期的に安定した帯電防止機能を有しポリスチレン系樹脂を基材樹脂とする軽量で、機械的物性を十分に発現し得るポリスチレン系樹脂発泡体を見出した(特許文献2)。
特開2004−90609号公報 特開2005−145047号公報
しかしながら、特許文献1記載の帯電防止樹脂シートでは、帯電防止効果は十分であるものの耐衝撃性に改善の余地があった。また特許文献2記載の発泡体では展開倍率の大きい成形において成形性に改善の余地があった。
本発明は、上記課題を解消する為になされたものであり、持続性の高い十分な帯電防止性を有し、繰り返し使用が可能で、耐衝撃性、剛性等機械的物性、緩衝性、熱成形性のバランスの取れた発泡体及び熱成形により展開倍率が大きい成形体を提供するものである。
本発明は、(1)見掛け密度が300〜550g/L、厚み2.0〜3.5mm、連続気泡率が40%以下のポリスチレン系樹脂組成物発泡層の少なくとも片面に帯電防止剤を含む坪量10〜100g/m2のポリオレフィン系樹脂層を有し、全体坪量が650g/m2を超え1500g/m2以下の共押出積層発泡体であって、該発泡層を構成するポリスチレン系樹脂組成物にはスチレン系エラストマーを含有し、且つポリスチレン系樹脂組成物中のゴム成分含有量が9〜30重量%であり、該積層発泡体の該ポリオレフィン系樹脂層表面のエタノール水溶液洗浄後の表面固有抵抗率が1×1013Ω以下であって、該発泡層の表面から全厚みの25%を超える内層部に存在する気泡が厚み方向の平均気泡径A(mm)、押出方向の平均気泡径B(mm)及び幅方向の平均気泡径C(mm)との間に下記の式(1)及び(2)を満足することを特徴とする共押出積層発泡体に係る。
(数1)
0.6≦A/B≦1.2 (1)
0.6≦A/C≦1.2 (2)
好ましくは(2)ポリオレフィン系樹脂層を構成するポリオレフィン系樹脂がポリエチレン系樹脂であり、ポリオレフィン系樹脂層の坪量(g/m2)と共押出積層発泡体の少なくとも片面の飽和電圧(kV)との積が12kV・g/m2以下であることを特徴とする上記(1)に記載の共押出積層発泡体、また(3)共押出積層発泡体の少なくとも片面の飽和電圧(kV)が0.05kV以下であることを特徴とする上記(1)に記載の共押出積層発泡体に係る。
また、本発明は、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の共押出積層発泡体を熱成形してなり、展開倍率が2倍を超える成形体に係る。
本発明の共押出積層発泡体は、安定した帯電防止性能を有し、緩衝性や耐衝撃性に優れる発泡体である。その上、押出方向の平均気泡径、幅方向の平均気泡径及び厚み方向の平均気泡径との間に上記(1)、(2)の式で示される特定の関係を満足するものであるので、熱成形時の成形性に優れており、展開倍率の大きい成形体を得ることができるとともに耐衝撃性等の機械的物性と緩衝性とのバランスのとれた成形体が得られる。また、得られた成形体は、機械的物性に優れているため、繰り返し使用可能なものとなる。
本発明の共押出積層発泡体は、ポリオレフィン系樹脂層の坪量を上記した範囲の値とすることにより、これが熱成形される際、熱により軟化しやすく容易に延伸される。そして、共押出積層発泡体の延伸の際、これに含まれる高分子型帯電防止剤が配向するので、延伸された共押出積層発泡体の帯電防止性能は更に向上したものとなる。これにより得られる成形体に優れた帯電防止性能を付与することができる。
本発明の共押出積層発泡体は、特にポリオレフィン系樹脂層の坪量(g/m2)と共押出積層発泡体の飽和電圧(kV)との積が特定の値以下のものが好ましく、帯電防止性能発現効率に優れたものである。
本発明の共押出積層発泡体は、少なくとも片面の飽和電圧が0.05kV以下のものが好ましく、特に帯電防止性能に優れたものである。
本発明の成形体は、上記したような共押出積層発泡体を熱成形してなるものであるから、持続性の高い十分な帯電防止性能を有し、被包装体の表面を汚染せず、耐衝撃性、剛性等の機械的物性、緩衝性に優れるものであり、特に半導体や電子部品等の複雑な形状や成形凹部の深さが深い形状等、成形の際の展開倍率が大きな包装用容器や保管容器等として有用である。
図面に基づき本発明を詳細に説明する。図1は本発明の共押出積層発泡体の一例を示す厚み方向断面である。図1に示す態様の共押出積層発泡体は、シート状又は板状の共押出積層発泡体(以下、積層発泡体と言うこともある。)1の形態を採るものであって、ポリスチレン系樹脂組成物発泡層(以下、発泡層と言うこともある。)4の表裏両面に、帯電防止剤を含有するポリオレフィン系樹脂層(以下、樹脂層と言うこともある。)3、3が積層されている。上記発泡層4は、見掛け密度が、300〜550g/Lに形成されており、上記ポリオレフィン系樹脂層3,3はそれぞれ坪量が10〜100g/m2に形成され、ポリオレフィン系樹脂層3の表面におけるエタノール水溶液洗浄後の表面固有抵抗率が1×1013 (Ω)以下を示すものである。
積層発泡体1の層構成としては、図1に示すように、発泡層4の表裏両面の表面層として、ポリオレフィン系樹脂層3、3が積層されてなるものが好ましいが、ポリオレフィン系樹脂層3が発泡層4の片面側の表面にのみ積層されているものでもよい。
また、上記の態様以外にも本発明の積層発泡体1は、ポリオレフィン系樹脂層3が発泡層4の少なくとも片面に積層され、更にポリオレフィン系樹脂層3の表面側に本発明の目的、効果が達成できるような重合体層が積層されたもの(特に図示しない)であってもよい。更に、本発明において、発泡層4とポリオレフィン系樹脂層3とは、両者の間にポリオレフィン系樹脂等からなる重合体層を介在させて積層する(特に図示しない)こともできる。
本発明において、積層発泡体1の発泡層4を構成するポリスチレン系樹脂組成物は、スチレン系樹脂とスチレン系エラストマーとの混合物である。このポリスチレン系樹脂組成物のスチレン系樹脂とスチレン系エラストマーの重量比率は40/60〜85/15であることが好ましい。スチレン系エラストマーの割合が少なすぎる場合、積層発泡体1の耐衝撃性が不十分となり得られる部品トレー等の成形体が割れ易く、繰返し使用に耐えられなくなる虞がある。また、スチレン系エラストマーの割合が多すぎる場合、発泡層の連続気泡率の増大や剛性低下の虞があり、熱成形した際、成形体が肉厚不足や厚み厚薄(肉厚の不均一)が大きくなる虞がある。
ポリスチレン系樹脂組成物を構成するスチレン系樹脂としては、スチレンの単独重合体及び共重合体が包含され、その重合体中に含まれるスチレン系モノマー単位は少なくとも25重量%以上、好ましくは50重量%以上である。このスチレン系樹脂としては、具体的には、ポリスチレン、耐衝撃性ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリスチレン−ポリフェニレンエーテル共重合体、ポリスチレンとポリフェニレンエーテルとの混合物などが例示される。
また、スチレン系エラストマーとしては、例えば、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体やスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、それらの水添物等が包含される。なお、スチレン系熱可塑性エラストマーについては、「プラスチックエージ」、第101頁〜第106頁(June 1985)に詳述されている。
また、スチレン系エラストマーとしては、スチレン成分比率が30〜60重量%であるものが好ましく用いられる。スチレン成分が少なすぎる場合は、スチレン系エラストマーのスチレン系樹脂中への分散状態が悪化し、積層発泡体1の成形性が悪くなる虞がある。また、スチレン成分が多すぎる場合は、積層発泡体1の成形性が悪くなるばかりか、十分な耐衝撃性が得られない虞がある。したがって、スチレン系エラストマーのスチレン成分は、35〜55重量%であることが更に好ましく、40〜55重量%であることが特に好ましい。
発泡層4を構成するポリスチレン系樹脂組成物には、本発明の目的、効果が達成できる範囲において、プロピレン単独重合体、エチレン−プロピレン共重合体等のポリプロピレン系樹脂、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン等のポリエチレン系樹脂等を更に混合してもよい。
発泡層4を構成するポリスチレン系樹脂組成物には、ゴム成分含有量が9〜30重量%となるように、上記スチレン系エラストマーや必要に応じてその他のゴム成分が含まれている。ゴム成分含有量が9重量%未満であると、耐衝撃性が不十分となる虞があり、しかも、その場合、得られる成形体も割れ易いものとなり、繰り返しの使用に耐えられないものとなる。また、発泡層4とポリオレフィン系樹脂層との接着強度が低下する。このような観点から、ゴム成分含有量としては、好ましくは12重量%以上であり、より好ましくは14重量%以上である。また、ゴム成分含有量が30重量%を超えると、連続気泡率40%以下の発泡層を得ることができない虞があり、また、熱成形の際に成形体の厚みに不均一が生じる等といった熱成形性の低下をきたす虞がある。この点から、ゴム成分含有量としては、好ましくは25重量%以下であり、より好ましくは22重量%以下である。
発泡層4におけるゴム成分の含有量(重量%)は、次のようにして測定された値である。
まず500mLの三角フラスコに試料0.2〜0.4gを秤量し、クロロホルム50mLを加えて溶解する。次いで一塩化ヨウ素四塩化炭素溶液25mLを添加して1時間暗所にて放置する。放置後、2.5重量%ヨウ化カリウム溶液75mLを加え、更にチオ硫酸ナトリウム20重量%エタノール溶液によりフラスコ内容物の色が薄くなるまで滴定する。その後、1重量%デンプン指示薬約0.5mLを加え、エタノールでフラスコ内壁を洗浄し、再度無色になるまでチオ硫酸ナトリウム20重量%エタノール溶液で滴定し、次に示す式(3)によりゴム成分の含有量(ゴム成分含有量)(重量%)を算出する。
(数2)
ゴム成分含有量(重量%)={(c - d)×0.1×f×27/1000}/W×100・・・(3)
ただし、上記式中、c、d、f、Wは次に示すような値である。
c:ブランクの滴定に要した1/10規定のチオ硫酸ナトリウム20重量%アルコール溶
液量(mL)
d:試料の滴定に要した1/10規定のチオ硫酸ナトリウム20重量%アルコール溶液量
(mL)
f:1/10規定のチオ硫酸ナトリウム20重量%アルコール溶液のファクター
W:試料重量(g)
ポリオレフィン系樹脂層3を構成するポリオレフィン系樹脂としては、プロピレン単独重合体、エチレン−プロピレン共重合体等のポリプロピレン系樹脂、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン等のポリエチレン系樹脂などが例示される。また、ポリオレフィン系樹脂として、スチレン−共役ジエンブロック共重合体やその水添物等の熱可塑性エラストマー、エチレン−プロピレンゴム、ブタジエンゴム等のゴムなどの重合体を45重量%以下の割合で含むものを使用することができる。尚、本発明の積層発泡体においてポリオレフィン系樹脂層を構成する樹脂としてポリオレフィン系樹脂を使用することにより耐溶剤性、耐衝撃性が改善され、特にポリエチレン系樹脂およびポリプロピレン系樹脂から選択される1種、或いは2種以上の混合物であることが好ましい。更に、本発明の積層発泡体の成形性、特に成形時の金型離型性の観点から、ポリオレフィン系樹脂層を構成するポリオレフィン系樹脂が融点115℃以上(なお、融点の上限は概ね170℃である。)のポリオレフィン系樹脂が好ましく、特に該離型性、成形適性温度範囲の広さの観点から、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンが好ましい。また、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンからなるポリオレフィン系樹脂層は、発泡層との接着性に優れるものでもある。
また、必要に応じて設けられる重合体層としては、上記ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂等の熱可塑性樹脂が挙げられる。
本発明の積層発泡体1を構成する各層には、前記した樹脂に各種の添加剤を添加してもよい。各種の添加剤としては、例えば、導電性付与剤、造核剤、酸化防止剤、熱安定剤、耐候剤、紫外線吸収剤、難燃剤、無機充填剤、抗菌剤、光拡散剤、電磁波遮蔽剤、ガスバリヤー剤、収縮防止剤等が挙げられる。その場合の添加量は添加剤の添加目的が達成される範囲で適宜配合すればよく、本発明の目的、効果が達成できる範囲の添加量で概ね10重量%以下が好ましく、5重量%以下がより好ましく、3重量%以下が特に好ましい。下限は概ね0.01重量%である。
本発明の積層発泡体は、発泡層の内部の気泡が厚み方向の平均気泡径A(mm)、押出方向の平均気泡径B(mm)及び幅方向の平均気泡径C(mm)との間に下記の式(1)及び(2)を満足する関係を有する。
(数3)
0.6≦A/B≦1.2 (1)
0.6≦A/C≦1.2 (2)
上記式においてA/B及びA/Cの値は気泡形状の扁平度合いの指標であり、該値が小さいほど、気泡はより扁平なものであることを表している。上記式を満足する本発明の積層発泡体は気泡形状が多少扁平な形状から球に近い形状であることから、熱成形時の発泡体の伸びが良く、更に後述する見掛け密度の構成と相俟ってコルゲートと呼ばれる厚みムラの極めて少ないものとなっていることにより、熱成形時に展開倍率が2倍を超える熱成形の困難な成形体を、発泡体に亀裂などの発生がなく、外観が良好な成形体を得ることができる。なお、上記の熱成形時に展開倍率の上限は、概ね4倍である。
上記の式(1)、(2)において、A/B及び/またはA/Cが0.6よりも小さい場合は熱成形時の際の伸びが悪く亀裂が入り易いなど成形不良を起す虞がある。またA/B及び/またはA/Cが1.2を超えるようなものは、本発明が対象とするシート状又は板状の積層発泡体を製造すること自体に困難性があり、仮にそのようなものが得られたとしても外観不良となり積層発泡体として実用性に欠けるものとなる。
上記の式(1)、(2)において、A/B及びA/Cは0.6〜0.9が好ましい。また、本発明の積層発泡体は、厚み方向の平均気泡径Aは熱成形性と外観の観点から、0.1〜0.5mm、更に0.1〜0.4mm、特に0.1〜0.3mmが好ましい。
上記平均気泡径A、B、Cは、図1(a)及び(b)に基づいて以下の通り測定することができる。
図1(a)は本発明の積層発泡体1の押出方向(以下、押出方向という)に沿う厚み方向断面、図1(b)は本発明積層発泡体1の幅方向(以下、幅方向という)に沿う厚み方向断面を、それぞれ表す顕微鏡拡大写真に基づく模式図である。図中2は気泡を表す。また、a(a1、a2 、a3 、・・・、an )は各々気泡2の発泡層4の厚み方向の径、b(b1 、b2 、b3 、・・・、bn )は各々気泡2の発泡層4の押出方向の径、c(c1 、 c2 、c3 、・・・、cn )は各々気泡2の発泡層4の幅方向の径をそれぞれ表す。
本発明において、押出方向とは、積層発泡体1を押出発泡にて得る場合の樹脂の押し出される方向をいい、幅方向とは、押出方向に対して幅なりの方向をいう。また、積層発泡体1の、押出方向、幅方向、厚み方向は、それぞれ互いに直交する。
本発明積層発泡体1は、aの平均である〔(a1+a2+a3+・・・+an)/n〕をAと置き換え、bの平均である〔(b1+b2+b3+・・・+bn)/n〕をBと置き換え、cの平均である〔(c1+c2+c3+・・・+cn)/n〕をCと置き換えて表したときに〔但し、A、B、Cは発泡層の内層部Ti(図1参照)において、発泡層4の厚みTの5倍の幅(T×5)にある全ての気泡の平均値であり、気泡径a、b、cの単位はmmとする。〕A、B、Cが上記式(1)、(2)を満足する気泡形状を有する。尚、各気泡の気泡径、a1、a2 、a3 、・・・、an 、b1 、b2 、b3 、・・・、bn、c1、 c2 、c3 、・・・、cnは、図2に示すような、厚み方向、押出方向、又は幅方向の、各気泡に対する接線の最大接線間隔を採用するものとする。また、これらの各気泡2の厚み方向、押出方向、幅方向のそれぞれの径a1、a2 、a3 、・・・、an 、b1 、b2 、b3 、・・・、bn、c1、c2 、c3 、・・・、cn は、例えば、積層発泡体1の押出方向に沿う厚み方向断面、及び積層発泡体1の幅方向に沿う厚み方向断面のそれぞれの顕微鏡拡大写真を得、得られた写真をもとに求めることができる。また、厚み方向の径a1、a2 、a3 、・・・、an は、押出方向に沿う厚み方向断面の顕微鏡拡大写真から求めることとする。また、本発明において、図1における気泡20 のように、発泡層4の両表面S、Sの各々から発泡層4の全厚みTの各々25%の位置上、即ち表層部Tsと内層部Tiとに跨がって気泡が存在する場合、気泡20 の断面積の50%を超える部分が内層部Ti側に位置すれば、この気泡は内層部Tiに存在するものとして気泡径の測定対象とする。
気泡形状の測定方法は次の通りである。気泡形状は、上記の通りに押出方向と幅方向のそれぞれの切断断面の顕微鏡拡大写真から該写真の拡大率を考慮して厚み方向の平均気泡径A、押出方向の平均気泡径B、幅方向の平均気泡径Cを測定し、Aに対するB、Cの各々の比(A/B、A/C)が求められる。
ポリオレフィン系樹脂層3において表面のエタノール水溶液洗浄後の表面固有抵抗率が1×1013Ω以下の帯電防止機能を発現させる為には帯電防止剤として、例えば高分子型帯電防止剤を使用して高分子型帯電防止剤の連続層をポリオレフィン系樹脂中に形成しなければならないことから、該帯電防止剤を一定量以上の濃度で添加しなければならない。一方、一定量以上の濃度で高分子型帯電防止剤が添加された樹脂層は、坪量に比例して高価な該帯電防止剤の添加量も増えることになる。
本発明の積層発泡体1において、ポリオレフィン系樹脂層3の坪量は、10〜100g/m2である。ポリオレフィン系樹脂層3の坪量が小さすぎる場合には、積層発泡体1に十分な帯電防止性能を付与することができない。一方、ポリオレフィン系樹脂層3の坪量が大き過ぎる場合には、発泡層の連続気泡率が増大する虞があり、積層発泡体1の用途によっては軽量性が不十分となる虞があり、またポリオレフィン系樹脂層3の坪量が大きい分だけ高分子型帯電防止剤の添加量を増やすことを余儀なくされるため積層発泡体1の製造時の原材料費も高くなってしまう。この点を考慮すれば、ポリオレフィン系樹脂層3の坪量は、好ましくは15〜95g/m2、更に好ましくは20〜90g/m2である。
なお、本発明における上記に特定される坪量範囲内において予期せぬことに該坪量が小さい程、高分子型帯電防止剤のポリオレフィン系樹脂層3中の同濃度における表面固有抵抗率が小さくなる傾向にあることも本発明者らの研究の結果認められている。
また本発明の積層発泡体全体の坪量は、650g/m2を超え1500g/m2以下である。積層発泡体全体の坪量が、上記の650g/m2以下の場合には引張り、曲げ、圧縮強度が不十分となる虞があり、1500g/m2を超えると用途によっては軽量性が不十分となり、原材料費も高くなり経済的にも不利となり好ましくない。これらのことから、好ましくは670〜1400g/m2、更に好ましくは700〜1300g/m2である。
更に、帯電防止機能において、飽和電圧が小さいことも重要であり、本発明の共押出発泡法により得られた積層発泡体は、少なくとも片面の飽和電圧を0.05kV以下に容易に調整することができる。この飽和電圧は後述する方法で測定され、高分子型帯電防止剤が含有されているポリオレフィン系樹脂層の厚みや坪量が大きければ飽和電圧は小さくなり、逆に厚みや坪量が小さければ飽和電圧は大きくなる。従って、飽和電圧を小さくする為にはポリオレフィン系樹脂層の厚みや坪量を大きくすればよい。
本発明の積層発泡体において、ポリオレフィン系樹脂層を構成する樹脂がポリエチレン系樹脂であり、該樹脂層の坪量(g/m2)と積層発泡体の飽和電圧(kV)との積が12kV・g/m2以下、さらに10kV・g/m2以下であることが好ましい。該樹脂層の坪量(g/m2)と積層発泡体の飽和電圧(kV)との積の下限は小さい値ほど好ましいが概ね0.1kV・g/m2である。尚、上記ポリエチレン系樹脂には、ポリエチレン系樹脂を50重量%以上含有する、ポリエチレン系樹脂と他の重合体との混合物も含まれる。
本発明において上記積層発泡体の飽和電圧の測定方法は次の通りである。
株式会社宍戸商会製のスタティック・オネストメーターTYPE S−5109等の装置を使用して、JIS L 1094(1988)に基づいて測定する。まず縦45mm、横45mmの正方形の試験片を測定面が上になるよう測定装置上の試験片取付枠に取付け、印加部の針電極の先端から試験片上面までの距離を20mm、受電部の電極から試験片までの距離を15mmに各々調整する。次に、ターンテーブルを回転させながら(+)10kVの電圧を印加し、最大帯電圧に達し安定した電圧の値を当該飽和電圧値とする。尚、測定は試験片の筒状積層発泡体の外側表面(S面)、筒状積層発泡体の冷却装置(マンドレル)側に位置する内面(M面)夫々について5回以上行いその平均値を採用する。
本発明の積層発泡体1において前記重合体層を設ける場合には、重合体層の坪量は、10〜200g/m2の範囲とすることが好ましく、更に、該発泡層4に積層されるポリオレフィン系樹脂層3と重合体層との坪量の合計は、該発泡層4の片面において210g/m2未満、特に150g/m2以下であることが軽量性の観点から好ましい。
また、ポリオレフィン系樹脂層3の厚みや重合体層の厚みは、均一であることが好ましいが、本発明の目的、効果が達成される範囲内であれば、僅かな厚みムラがあってもかまわない。
本発明において、上記のポリオレフィン系樹脂層3および必要に応じて設けられる重合体層の坪量は、以下の方法にて求めることができる。
積層発泡体1の押出方向に直交する方向の断面、即ち図1(b)に示す幅方向垂直断面から、ポリオレフィン系樹脂層3の厚みを全幅に亘り等間隔に幅方向に10点測定し、得られた値の算術平均値をポリオレフィン系樹脂層3の平均厚みとし、該平均厚みに該ポリオレフィン系樹脂層3を構成している基材樹脂の密度を乗じ、単位換算してポリオレフィン系樹脂層3の坪量(g/m2)を求めることができる。
また、重合体層の坪量もポリオレフィン系樹脂層3の坪量測定と同様に、重合体層の平均厚みを測定し、得られた重合体層の平均厚みに該重合体層を構成している基材樹脂の密度を乗じ、単位換算して求めることができる。なお、ポリオレフィン系樹脂層3の厚み又は重合体層の厚みを測定し易いように、それらの層を着色することもできる。
本発明において発泡層4の厚みは、2.0〜3.5mmである。本発明の積層発泡体においては加熱軟化させたシート状積層発泡体を容器等に金型を用いて成形する熱成形性、更に断熱性、緩衝性の観点から、発泡層4の厚みは、2.0〜3.0mmが好ましい。なお発泡層4の厚みは、該発泡層4の幅方向垂直断面において、厚みを幅方向に全幅に亘り等間隔で10点測定し、測定した各点における厚みの算術平均値である。
本発明の積層発泡体1の厚みは、剛性、軽量性、生産性、熱成形性の観点から、2.0〜3.0mmに形成することが好ましい。
なお積層発泡体1の厚みは、発泡層4の厚みおよびポリオレフィン系樹脂層3の厚み、更に必要に応じて設けられる重合体層の厚みを合せた積層発泡体1全体の厚み(全厚み)のことである。
本発明において積層発泡体1の厚みは、以下の測定方法により得られるものである。まず、積層発泡体1の幅方向垂直断面において、積層発泡体1の厚みを全幅に亘り等間隔に幅方向に10点測定する。そして、測定した各点における積層発泡体1の厚みの算術平均値を、積層発泡体1の厚みとする。
また、本発明の積層発泡体1は上記の通り発泡層4の見掛け密度が300〜550g/Lのものである。該見掛け密度が300g/L未満であると、積層発泡体1の剛性、引張強さ、曲げの強度が不十分になる虞がある。上記観点から発泡層4の見掛け密度は、好ましくは310g/L以上であり、より好ましくは320g/L以上である。一方、発泡層4の見掛け密度が550g/Lを超えると積層発泡体1の軽量性および緩衝性が大きく低下する。上記観点から発泡層4の見掛け密度は、好ましくは530g/L以下であり、より好ましくは515g/L以下、特に好ましくは500g/L以下である。
本発明において発泡層4の見掛け密度は、例えば重合体層が設けられていない発泡層とポリオレフィン系樹脂層との積層発泡体の場合で説明すると以下の操作にて測定することができる。まず前述した方法により、積層発泡体1の厚み、ポリオレフィン系樹脂層3の厚みを予め測定する。次に積層発泡体1の坪量、ポリオレフィン系樹脂層3の坪量を測定する。積層発泡体1の坪量 (g/m2)は、縦25mm、横25mm(厚みは積層発泡体1の厚み)の大きさに試験片を切り出し、この試験片の重量(g)を測定した後、その重量を1600倍することで得られる。またポリオレフィン系樹脂層3の坪量は、上記した測定方法により求めることができる。
次に、積層発泡体1の坪量からポリオレフィン系樹脂層3の坪量を差し引いて発泡層4の坪量 (g/m2)を求める。また、積層発泡体1の厚みから上記の測定方法により求められるポリオレフィン系樹脂層3の厚みを差し引いて発泡層4の厚みを求める。そして、発泡層4の見掛け密度は、前記発泡層4の坪量(g/m2)を前記発泡層4の厚み(mm)で除した値を単位換算し、発泡層4の見掛け密度(g/L)とする。なお、重合体層が設けられている場合は積層発泡体1の坪量からポリオレフィン系樹脂層3の坪量と重合体層の坪量を差し引いて発泡層4の坪量(g/m2)を求め、積層発泡体1の厚みから上記の測定方法により求められるポリオレフィン系樹脂層3の厚みと重合体層の厚みを差し引いて発泡層4の厚みを求め、以下同様の操作にて発泡層4の見掛け密度を求めることができる。
また積層発泡体1において、発泡層4の連続気泡率は40%以下である。発泡層4はこのような連続気泡率であることにより、積層発泡体1は剛性に優れたものとなり、熱成形により厚みが均一で強度、緩衝性にも優れた成形体を形成することができる。この点を考慮して、連続気泡率は35%以下が好ましく、30%以下がより好ましく、20%以下が更に好ましく、特に15%以下が好ましい。
発泡層4の連続気泡率S(%)は、ASTM D2856−70(1976再認定)に記載されている手順Cに準拠し、東芝ベックマン株式会社製の空気比較式比重計930型等を使用して測定される試験片の実容積(独立気泡部分の容積と樹脂部分の容積との和)Vx(cm3)から、下記式(4)により算出される値である。
(数4)
S(%)=(Va−Vx)×100/(Va−W/ρ) ・・・(4)
但し、上記式中の、Va、W、ρは以下の通りである。
Va:測定に使用した試験片の見掛け容積(cm3)
W:試験片の重量(g)
ρ:試験片を構成する樹脂の密度(g/cm3)
なお、連続気泡率を測定するための樹脂の密度ρ(cm3)は、試験片の重量W(g) 及び測定に使用した試験片を加熱プレスにより気泡を脱泡させてから冷却する操作を行い、得られたサンプルの体積(cm3)から求めることができる。試験片は、空気比較式比重計に付属のサンプルカップに非圧縮状態で収納しなければならないので、縦が25mm、横が40mm、厚みが積層発泡体の厚みの積層発泡体片を複数枚用意して、見掛け容積が概ね25cm3となるように最小限の枚数を積重ねて試験片として使用する。
ポリオレフィン系樹脂層における、前述した高分子型帯電防止剤は、ポリオレフィン系樹脂層を構成するポリオレフィン系樹脂中に5〜40重量%の範囲で添加されることが好ましい。高分子型帯電防止剤の添加量が、ポリオレフィン系樹脂に対して少なすぎる場合は帯電防止性能が不十分となり、多すぎる場合はポリオレフィン系樹脂層の形成自体が困難になると共に、安価な積層発泡体の製造が困難となる。上記観点から、該帯電防止剤の添加量の下限値は、7重量%以上が好ましく、13重量%以上がより好ましい。一方、該帯電防止剤の添加量の上限値は30重量%以下が好ましく、25重量%以下がより好ましく、20重量%以下が特に好ましい。
本発明の積層発泡体は、少なくとも片面のポリオレフィン系樹脂層の表面のエタノール水溶液を用いた超音波洗浄後の表面固有抵抗率が1.0×1013(Ω)以下である。
積層発泡体におけるポリオレフィン系樹脂層の表面固有抵抗率が 1.0×1013(Ω)を超える場合は、帯電防止性能が不十分となる虞があり、積層発泡体の表面には静電荷が蓄積し、埃が付着しやすくなる。この点を考慮すれば、ポリオレフィン系樹脂層の表面固有抵抗率は、8.0×1012(Ω)以下が好ましく、5.0×1012(Ω)以下がより好ましく、更に1.0×1012(Ω)以下が好ましい。
なお、積層発泡体におけるポリオレフィン系樹脂層の表面固有抵抗率が1.0×108(Ω)未満の場合は、帯電防止性能として品質過剰となりコスト高に繋がるため、積層発泡体におけるポリオレフィン系樹脂層の表面固有抵抗率は1.0×108 (Ω)以上とすることが好ましい。
ポリオレフィン系樹脂層は高分子型帯電防止剤を含有することにより、エタノール水溶液による超音波洗浄後であっても、帯電防止効果は失われない。界面活性剤からなる帯電防止剤が添加されてなるポリオレフィン系樹脂層の場合は、該帯電防止剤が成形体表面にブリードアウトし、空気中の水分を取り込み帯電防止効果を発揮していても、エタノール水溶液による超音波洗浄後には該帯電防止剤が樹脂表面から洗い流されてしまい帯電防止効果は失われてしまう。よって、ポリオレフィン系樹脂層に含有されている帯電防止剤が高分子型のもの或いはそれに類するものであるのか否かを判別する手段としても、エタノール水溶液による超音波洗浄後の表面固有抵抗率の測定は有効である。
本発明積層発泡体は、エタノール水溶液を用いた超音波洗浄後において表面固有抵抗率が1.0×1013(Ω)以下を示すものであるため、洗浄前、洗浄直後において適切な帯電防止効果が発揮されており、その効果は湿度条件に殆ど依存しない。
ポリオレフィン系樹脂層のエタノール水溶液洗浄後の表面固有抵抗率は、試験片の状態調整以降はJIS K 6911(1995)に準拠して測定する。具体的には、測定対象物である積層発泡体から縦100mm×横100mm(厚みは積層発泡体の厚みのまま)の大きさに切り出した試験片を23℃のエタノール40重量%水溶液(エタノール40重量%とイオン交換水60重量%との混合溶液)中に沈めて超音波洗浄を24時間行った後、該試験片を温度30℃、相対湿度30%の雰囲気下で36時間放置して乾燥することにより試験片の状態調整を完了し、印加電圧500Vの条件にて電圧印加を開始して1分経過後の表面固有抵抗率を求める。
ポリオレフィン系樹脂層に含有される前述した高分子型帯電防止剤としては、数平均分子量が2000以上、好ましくは2000〜100000、更に好ましくは5000〜60000、特に好ましくは8000〜40000の帯電防止剤であり、界面活性剤からなる帯電防止剤とは区別される。尚、該高分子型帯電防止剤の数平均分子量の上限は概ね1000000である。また、高分子型帯電防止剤は表面固有抵抗率が1×1010(Ω)未満である樹脂が好ましい。高分子型帯電防止剤の数平均分子量を上記の範囲とすることにより、帯電防止性能が環境に左右されずより安定的に発現され、被包装体へ帯電防止剤が移行して被包装体表面を汚染することも殆どない。
なお、上記数平均分子量は、高温ゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いて求められる。例えば、高分子型帯電防止剤がポリエーテルエステルアミドやポリエーテルを主成分とする親水性樹脂の場合にはオルトジクロロベンゼンを溶媒として試料濃度3mg/mlとし、ポリスチレンを基準物質としてカラム温度135℃の条件にて測定される値である。なお、上記溶媒の種類、カラム温度は、高分子型帯電防止剤の種類に応じて適宜変更する。
また、該高分子型帯電防止剤の融点は、好ましくは70〜270℃、より好ましくは80〜230℃、特に好ましくは80〜200℃であることが、本発明積層発泡体のような坪量の小さなポリオレフィン系樹脂層の形成性および良好な帯電防止機能発現性の観点から望ましい。
高分子型帯電防止剤の融点は、以下のJIS K 7121(1987)に準拠する方法により測定することができる。即ちJIS K 7121(1987)における試験片の状態調節(2)の条件(但し、冷却速度は10℃/分)により前処理を行い、10℃/分にて昇温することにより融解ピークを得る。そして得られた融解ピークの頂点の温度を融点とする。尚、融解ピークが2つ以上現れる場合は、最も面積の大きな融解ピークの頂点の温度を融点とする。但し、最も面積の大きな融解ピークが複数存在する場合は、それらの融解ピークの内、最も高温側の融解ピークの頂点の温度を融点とする。
本発明で使用される高分子型帯電防止剤としては、金属イオンとしてカリウム、ルビジウム及びセシウムからなる群より選ばれたアルカリ金属を含むアイオノマー樹脂、ポリエーテルエステルアミドやポリエーテルを主成分とする親水性樹脂が好ましい。また高分子型帯電防止剤にはポリオレフィン系樹脂層の基材樹脂との相溶性を向上させ、優れた帯電防止効果を与えると共に、帯電防止剤を添加することによる物性低下を抑制する効果を得るために、ポリオレフィン系樹脂層の基材樹脂と同種或いは相溶性の高い樹脂をブロック共重合させたものを用いることが更に好ましい。
特に好ましい高分子型帯電防止剤は、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体の一部又は全部がカリウム、ルビジウム及びセシウムからなる群より選ばれたアルカリ金属で中和されているアイオノマーや特開2001-278985号公報に記載されている組成物が挙げられる。
特開2001-278985号公報記載の組成物は、ポリオレフィン(a)のブロックと、体積固有抵抗率が105〜1011Ω・cmの親水性ポリマー(b)のブロックとが、繰り返し交互に結合した構造を有する数平均分子量(Mn)が2000〜60000のブロックコポリマーである。上記(a)のブロックと(b)のブロックとは、エステル結合、アミド結合、エーテル結合、ウレタン結合、イミド結合から選ばれる少なくとも1種の結合を介して繰り返し交互に結合した構造を有するものである。上記高分子型帯電防止剤はそれぞれ単独で使用することができるが、複数組み合わせて使用してもよい。尚、上記のような高分子型帯電防止剤としては、例えば三洋化成工業株式会社製「ペレスタット300」、「ペレスタットNC7530」というものがある。
なお、本発明の積層発泡体1は従来の界面活性剤タイプの帯電防止剤が発泡層4及び/またはポリオレフィン系樹脂層3に含まれるものを完全に排除するものではないが、界面活性剤タイプの帯電防止剤を使用しなくても十分な帯電防止性能が発揮でき、その場合には被包装体等の接触面を殆ど汚染することがないものとなることから、ポリオレフィン系樹脂層中には界面活性剤タイプの帯電防止剤が実質的に含まれていないこと、更に全く含まれていないことが好ましい。尚、界面活性剤タイプの帯電防止剤が実質的に含まれていないとは、被包装体の接触面の汚染が用途に応じた許容範囲内に調整できるのであれば界面活性剤タイプの帯電防止剤が含まれていてもかまわないことを意味する。
図3は本発明共押出積層発泡体の製造方法の一態様を示す説明図であり、図1に示す積層発泡体の製造例を示す。図3に示すように積層発泡体1の製造方法は、ポリオレフィン系樹脂5、及び帯電防止剤6、更に、特開2004−181933号公報に開示されているように必要に応じて揮発性可塑剤などを添加して第1の押出機12にて混練してなるポリオレフィン系樹脂層形成用樹脂溶融物8と、ポリスチレン系樹脂組成物9、気泡調整剤、発泡剤10を第2の押出機13にて混練してなるポリスチレン系樹脂発泡層形成用樹脂溶融物11とを環状ダイより共押出しすることにより筒状積層発泡体を得る。
次に、上記筒状積層発泡体は内面を円柱状冷却装置の側面上を通過させて冷却してから一端を切り開くことで、シート状の積層発泡体が得られる。また上記筒状積層発泡体を内面が軟化状態にある内にピンチロールにて圧着し筒状積層発泡体の内面を張り合わせることや、前記の通り筒状積層発泡体を切り開くことにより得られたシート状積層発泡体を加熱炉にて加熱し二次発泡させロール間に引き取ることにより板状の積層発泡体が得られる。
図3に示す態様は共押出発泡法により得られた筒状積層発泡体の一端を切り開く方法による、発泡層4の表裏両面にポリオレフィン系樹脂層3が積層形成されたシート状積層発泡体の製造例を示すものである。本発明の共押出積層発泡体は、押出発泡時の静電気によるブタン等の可燃性発泡剤への着火事故を防ぐことができ、積層発泡体製造時の安全性が極めて高いものである。また環状ダイによる共押出発泡法により本発明の積層発泡体を製造することで、前述の通り、帯電防止剤性能において特に優れたものを得ることがでる。
図3において、ポリオレフィン系樹脂層形成用樹脂溶融物(以下、樹脂層形成用溶融物と言うこともある。) 8と、ポリスチレン系樹脂発泡層形成用樹脂溶融物(以下、発泡層形成用溶融物と言うこともある。)11とは、各押出機12、13内においてそれぞれ押出適正温度に調整してから、ダイ14より共押出しすることにより発泡層形成用溶融物を発泡させる。
なお、本発明の積層発泡体1の製造は、上記のように環状ダイを使用する共押出発泡法により製造することが、帯電防止性能に優れるもの、広幅のもの等が得られ易い観点からも好ましい。
上記溶融物11の押出適正温度とは、発泡層形成用溶融物11が発泡層を形成するのに最適な粘弾性を示す温度のことである。また上記溶融物8の押出適正温度とは、樹脂層形成用溶融物8が樹脂層を形成するのに良好な伸長性を示し且つ発泡層の形成を阻害しない温度のことである。具体的には、発泡層形成用溶融物11及び樹脂層形成用溶融物8の温度を140〜185℃の範囲に調整する。更に溶融物11の押出適正温度は、主原料の溶融粘度と発泡剤の注入量によって適正範囲が厳密には異なるが、150〜180℃の範囲であることが好ましい。
以下、環状ダイを用いて共押出発泡して積層発泡体1を得る方法を例にして、積層発泡体1の共押出発泡による製造方法についてさらに詳しく述べる。
図3に示すように、まず、ポリオレフィン系樹脂5及び高分子型帯電防止剤6等を第1の押出機12に供給し、加熱溶融し混練した後、必要に応じて揮発性可塑剤7を添加し溶融混練してポリオレフィン系樹脂層形成用樹脂溶融物8とする。同時に、ポリスチレン系樹脂組成物9と気泡調整剤を第2の押出機13に供給し、加熱溶融し混練してから発泡剤10を圧入して、更に混練しポリスチレン系樹脂発泡層形成用樹脂溶融物11とする。
次に、上記発泡層形成用樹脂溶融物11と樹脂層形成用樹脂溶融物8とを、それぞれ押出適正温度に調整してから、一つの環状ダイ14に導入して、該環状ダイ14から筒状積層発泡体として共押出しする。尚、上記の共押出の方法においては、環状ダイの出口や、ダイの出口の外でポリオレフィン系樹脂層3と発泡層4とを積層する共押出方法を採用することもできる。以下、前述の方法によりシート状或いは板状の積層発泡体を形成することができる。
高分子型帯電防止剤を使用してポリオレフィン系樹脂層3が十分な帯電防止性能を発揮するためには、該ポリオレフィン系樹脂層3を構成しているポリオレフィン系樹脂中における高分子型帯電防止剤の分散状態が重要である。即ち、ポリオレフィン系樹脂と高分子型帯電防止剤との混練により帯電防止剤の分散が縞状、網状、層状など連続層を形成した状態で分散することにより、高分子型帯電防止剤が樹脂中において導電ネットワーク構造を形成すると考えられる。一方、高分子型帯電防止剤の混練が不適切であると、高分子型帯電防止剤がポリオレフィン系樹脂中に均一に分散されずに、ばらばらに存在してしまい、十分な導電ネットワーク構造を形成することができない。
ポリオレフィン系樹脂層3は、内部に導電ネットワーク構造を形成することにより、表面固有抵抗率が1.0×1013(Ω)以下になるように形成される。なお、該表面固有抵抗率の下限は概ね1.0×108(Ω)である。因って、高分子型帯電防止剤は、単純にポリオレフィン系樹脂5に配合すれば帯電防止性能を発揮するというものではなく、該高分子型帯電防止剤がポリオレフィン系樹脂層3中に、導電ネットワーク構造を形成している必要がある。なお、導電ネットワーク構造は、樹脂層形成用樹脂溶融物8を共押出してポリオレフィン系樹脂層3を形成する際に、適度な配向をかけることにより高性能な導電ネットワーク構造を形成される。この観点から、環状ダイによる共押出が好ましい。
樹脂層形成用樹脂溶融物8において、高分子型帯電防止剤が分散し、導電ネットワークを形成可能するには、樹脂層形成用樹脂溶融物8の混練中の粘性を考慮し、また、共押出発泡成形の際には高分子型帯電防止剤の結晶化温度が重要である。具体的には、樹脂層形成用樹脂溶融物8の高分子型帯電防止剤を選択する場合、下記の結晶化温度の関係を満足することが望ましい。
結晶化温度については、下記式(5)を満たすことが望ましい。
(数5)
Tb<190℃ ・・・(5)
(但し、式中Tbは高分子型帯電防止剤の結晶化温度(℃)である。)
高分子型帯電防止剤の結晶化温度の関係が上記式(5)を満足することにより外観良好な積層発泡体1を得ることができる。一方、高分子型帯電防止剤の結晶化温度が190℃よりも高い場合、積層発泡体を製造する際、高分子型帯電防止剤6が結晶化し、塊となって積層発泡体の表面が凹凸状となる虞がある。したがって、高分子型帯電防止剤はポリオレフィン系樹脂の溶融温度で十分に溶融していることが重要である。
なお、高分子型帯電防止剤の結晶化温度は、JIS K 7122(1987)に基づき求めることができる。具体的には、試料を2〜4mg採取し、熱流束示差走査熱量計を用いて、昇温速度10℃/分で室温(約23℃)から転移ピーク終了時よりも30℃高い温度まで昇温させた後、40℃まで10℃/分の速度で降温させる際に得られた発熱ピークに基づきピークの頂点温度を結晶化温度とする。尚、発熱ピークが2つ以上現れる場合は、最も面積の大きな発熱ピークの頂点の温度を結晶化温度とする。但し、最も面積の大きな発熱ピークが複数存在する場合は、それら中で最も高温側の発熱ピークの頂点の温度を結晶化温度とする。
また、本発明の積層発泡体の発泡層における平均気泡径比A/B、A/Cの値は、用いるポリスチレン系樹脂組成物にもよるが、吐出量や引取り速度等によって調整することができる。例えば、押出方向の気泡形状を調整する場合、具体的にはA/Bの値を0.6≦A/B≦1.2とする場合には、吐出量を減少させる、引取り速度を上げる等の方法でA/Bの値は小さく調整できる。一方、吐出量を増加させる、引取り速度を下げる等の方法でA/Bの値は大きく調整できる。
幅方向の気泡形状を調整する場合、具体的にはA/Cの値を0.6≦A/C≦1.2とする場合には、発泡体が幅方向に広がるように押出す方法、即ち、環状ダイを用いる場合は筒状の冷却装置であるマンドレルの直径と環状ダイの吐出口径との比(筒状の冷却装置であるマンドレルの直径/環状ダイの吐出口径)を大きくする方法でA/Cの値は小さく調整できる。一方、発泡体が幅方向に広がらないように押出する方法、即ち、環状ダイを用いる場合は筒状の冷却装置であるマンドレルの直径と環状ダイの吐出口径との比を小さくする方法でA/Cの値は大きく調整できる。さらに前記した吐出量を減少または増加させる、引取り速度を下げるまたは上げる等の方法を組み合わせて調整することができる。
また、発泡層4の平均気泡径の調整方法としては、用いるポリスチレン系樹脂組成物にもよるが、例えば、ダイの圧力を上げることによって平均気泡径を小さくする方法、後述する気泡調整剤の添加量で調整する方法等が挙げられる。
また、本発明の積層発泡体、およびその樹脂層等の坪量は、各層を構成する樹脂組成物や樹脂の吐出量(kg/時)と積層発泡体製造時の発泡体引取り速度(m/時)とを調整することにより調整することができる。即ち、吐出量(kg/時)を多くすることにより坪量は大きくなり、引取り速度を速くすることにより坪量は小さくなる。
発泡層形成用溶融物11に添加される、発泡剤としては、例えば、プロパン、ノルマルブタン、イソブタン、ノルマルペンタン、イソペンタン、ノルマルヘキサン、イソヘキサン、等の脂肪族炭化水素、シクロヘキサン、シクロペンタン等の脂環式炭化水素、塩化メチル、塩化エチル等の塩化炭化水素、1,1,1,2-テトラフロロエタン、1,1-ジフロロエタン等のフッ化炭化水素等の有機系物理発泡剤、窒素、二酸化炭素等の無機系物理発泡剤、アゾジカルボンアミド等の分解型発泡剤が挙げられる。上記した発泡剤は、2種以上を混合して使用することが可能である。これらのうち、特にスチレン系樹脂との相溶性、発泡効率の観点から物理発泡剤が好ましく、中でもノルマルブタン、イソブタン、二酸化炭素又はこれらの混合物を主成分とするものが好適である。
発泡層形成用溶融物11には、通常、気泡調整剤が添加される。該気泡調整剤としては有機系のもの、無機系のもののいずれも使用することができる。無機系気泡調整剤としては、ホウ酸亜鉛、ホウ酸マグネシウム、硼砂等のホウ酸金属塩、塩化ナトリウム、水酸化アルミニウム、タルク、ゼオライト、シリカ、炭酸カルシウム、重炭酸ナトリウム等が挙げられる。また有機系気泡調整剤としては、リン酸-2,2-メチレンビス(4,6-tert-ブチルフェニル)ナトリウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸カルシウム、安息香酸アルミニウム、ステアリン酸ナトリウム等が挙げられる。またクエン酸と重炭酸ナトリウム、クエン酸のアルカリ塩と重炭酸ナトリウム等を組み合わせたもの等も気泡調整剤として用いることができる。これらの気泡調整剤は2種以上を混合して用いることができる。
発泡層形成用樹脂溶融物11における発泡剤の添加量は、発泡剤の種類、目的とする見かけ密度に応じて調節する。また気泡調整剤の添加量は、目的とする気泡径に応じて調節する。発泡剤として通常使用される、イソブタン30重量%とノルマルブタン70重量%とのブタン混合物等の有機系物理発泡剤を用いた場合、有機系物理発泡剤の添加量はポリスチレン系樹脂組成物100重量部当たり0.3〜5重量部、好ましくは0.4〜4重量部、より好ましくは0.5〜3重量部である。また、気泡調整剤の添加量はポリスチレン系樹脂組成物100重量部当たり0.05〜10重量部、好ましくは0.5〜5重量部である。
以下の実施例、比較例において、ポリスチレン系樹脂組成物及びポリオレフィン系樹脂層に用いた樹脂は次の通りである。
(1)PS:ポリスチレン(密度=1050g/L、MFR=1.5g/10min、PSジャパン株式会社製 商品名「HH32」)
(2)SBS:スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重体(密度=980g/L、MFR=4.0g/10min、JSR株式会社製 商品名「TR2250」)
(3)LL:直鎖状低密度ポリエチレン(密度=924g/L、MFR=8.0g/10min、日本ポリエチレン株式会社製 商品名「AM630A」)
(4)P300:ポリエーテル−ポリプロピレンブロック共重合体を主成分とする高分子型帯電防止剤(密度=990g/L、MFR = 20g/10min、数平均分子量14000、融点136℃、結晶化温度90℃、三洋化成工業株式会社製 商品名「ペレスタット300」)
実施例1〜4、6、比較例1、2、5、6
ポリスチレン系樹脂発泡層形成用樹脂溶融物を得るための押出機として内径(D)90mm、L/D=32の押出機と内径(D)120mm、L/D=34の押出機との2台の押出機からなるタンデム押出機を使用し、高分子型帯電防止剤を含有するポリオレフィン系樹脂層形成用樹脂溶融物を得るための押出機として内径(D)40mm、L/D=42の押出機を使用した。
ポリスチレン系樹脂組成物の発泡層形成のために、スチレン樹脂:PS (密度=1050g/L、MFR=1.5g/10min、PSジャパン株式会社製 商品名「HH32」)65重量%とスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体:SBS(密度=980g/L、MFR=4.0g/10min、JSR株式会社製 商品名「TR2250」)35重量%をブレンドした主原料(PS/SBSブレンド原料)100重量部に対し、気泡調整剤タルクマスターバッチ(スチレン樹脂70重量%とタルク30重量%の混合組成物)を5.5重量部配合して、内径90mmの押出機の原料投入口に供給、加熱混練後、約200℃に調整し溶融樹脂混合物とした。該溶融樹脂混合物に物理発泡剤としてノルマルブタン70重量%とイソブタン30重量%のブタン混合発泡剤を用いて、目的の見掛け密度に応じPS/SBSブレンド原料100重量部に対して0.6〜2.0重量部圧入後、次いで前記内径90mmの押出機の下流側に連結された内径120mmの押出機に供給して、ポリスチレン系樹脂発泡層形成用樹脂溶融物を得た。
一方、高分子型帯電防止剤を含有する樹脂層形成のために、表1に示す配合の樹脂を内径40mmの押出機の原料投入口に供給し、加熱溶融して約175℃に調整されたポリオレフィン系樹脂層形成用樹脂溶融物を得た。
得られたポリオレフィン系樹脂層形成用樹脂溶融物及びポリスチレン系樹脂発泡層形成用樹脂溶融物を合流ダイ中へ供給し、積層合流させて直径90mmの環状スリットを有する環状ダイ(但し、比較例5のみは直径69mmの環状スリットを有する環状ダイを使用した。)から、ポリスチレン系樹脂発泡層形成用樹脂溶融物の吐出量を70kg/hr、ポリオレフィン系樹脂層形成用樹脂溶融物の吐出量を目的の坪量に応じて5.6〜12kg/hrとし表1に示す押出温度(ダイ内ブレーカー部で検出される温度)にて共押出し、外側から高分子型帯電防止剤を含有するポリオレフィン樹脂層/ポリスチレン発泡層/高分子型帯電防止剤を含有するポリオレフィン樹脂層の順に3層構成に積層された筒状の積層発泡体を得、その後筒状積層発泡体を直径208mmの円柱状冷却装置の側面を通して冷却し、切り開いてシート状積層発泡体を得た。なお、表2におけるダイ圧は、ダイの環状スリットの間隔を調節することにより調整した。
得られた積層発泡体について、見掛け密度、連続気泡率、坪量、厚み、セル形状(A/B)、(A/C)を各々前述した方法を用いて測定した。その結果を表2に示す。
また、得られた積層発泡体についてエタノール水溶液洗浄前、洗浄後の表面固有抵抗率、飽和電圧、ポリオレフィン系樹脂層坪量と飽和電圧の積、成形性について評価した。その結果を表3に示す。
成形性については、積層発泡体から得られる成形体の外観を評価するとともに、外観の良好な成形体が得られる表面温度の範囲を測定し、これにもとづき次のように評価した。
まず、単発真空成形機(株式会社浅野研究所製:FSK型)と、外寸が390mm×300mm、深さ120mm、展開倍率2.4倍の部品トレー金型を用いて、金型表面温度を80℃に温調しつつ、積層発泡体の表面温度145℃で成形を行ってトレー形状の成形体を得た。この際、成形体に、裂け、デラミ、厚みの偏り、表面ヤケなどの有無を目視により判断し評価した。
実施例5、比較例3、4
ポリスチレン系樹脂組成物からなる発泡層形成のために、PSとSBSを表1に示す配合量に変更し、表2に示す押出条件を採用した以外は実施例1と同様にして、積層発泡体を得た。
得られた積層発泡体について、見掛け密度、連続気泡率、坪量、厚み、セル形状(A/B)、(A/C)を各々前述した方法を用いて測定し、またエタノール水溶液洗浄前、洗浄後の表面固有抵抗率、飽和電圧、ポリオレフィン系樹脂層坪量と飽和電圧の積、成形性について評価した。その結果を表2、表3に示す。
実施例7
ポリスチレン系樹脂組成物からなる発泡層形成のために、物理発泡剤としてブタン混合発泡剤を0、4重量部の二酸化炭素に変更した以外は実施例1と同様にして、積層発泡体を得た。
得られた積層発泡体について、見掛け密度、連続気泡率、坪量、厚み、セル形状(A/B)、(A/C)を各々前述した方法を用いて測定し、またエタノール水溶液洗浄前、洗浄後の表面固有抵抗率、飽和電圧、ポリオレフィン系樹脂層坪量と飽和電圧の積、成形性について評価した。その結果を表2、表3に示す。
Figure 2007160904
Figure 2007160904
Figure 2007160904
なお、実施例及び比較例にて用いた樹脂のMFRの測定条件は以下の通りである。
PS、SBS:200℃、49.03N
LL、高分子型帯電防止剤:190℃、21.18N
本発明積層発泡体の一例を示す断面図である。 本発明積層発泡体における気泡径の測定対象となる気泡部分を示す説明図である。 本発明積層発泡体の製造方法の一例を示す説明図である。
符号の説明
1 共押出積層発泡体
2 気泡
3 高分子型帯電防止剤を含有してなるポリオレフィン系樹脂層
4 ポリスチレン系樹脂組成物発泡層
5 ポリオレフィン系樹脂
6 帯電防止剤
7 揮発性可塑剤
8 ポリオレフィン系樹脂層形成用樹脂溶融物
9 ポリスチレン系樹脂組成物
10 発泡剤
11 ポリスチレン系樹脂発泡層形成用樹脂溶融物
12 第1の押出機
13 第2の押出機
14 環状ダイ

Claims (4)

  1. 見掛け密度が300〜550g/L、厚み2.0〜3.5mm、連続気泡率が40%以下のポリスチレン系樹脂組成物発泡層の少なくとも片面に帯電防止剤を含む坪量10〜100g/m2のポリオレフィン系樹脂層を有し、全体坪量が650g/m2を超え1500g/m2以下の共押出積層発泡体であって、該発泡層を構成するポリスチレン系樹脂組成物にはスチレン系エラストマーを含有し、且つポリスチレン系樹脂組成物中のゴム成分含有量が9〜30重量%であり、該積層発泡体の該ポリオレフィン系樹脂層表面のエタノール水溶液洗浄後の表面固有抵抗率が1×1013Ω以下であって、該発泡層の表面から全厚みの25%を超える内層部に存在する気泡が厚み方向の平均気泡径A(mm)、押出方向の平均気泡径B(mm)及び幅方向の平均気泡径C(mm)との間に下記の式(1)及び(2)を満足することを特徴とする共押出積層発泡体。
    (数1)
    0.6≦A/B≦1.2 (1)
    0.6≦A/C≦1.2 (2)
  2. ポリオレフィン系樹脂層を構成するポリオレフィン系樹脂がポリエチレン系樹脂であり、ポリオレフィン系樹脂層の坪量(g/m2)と共押出積層発泡体の少なくとも片面の飽和電圧(kV)との積が12kV・g/m2以下であることを特徴とする請求項1に記載の共押出積層発泡体。
  3. 共押出積層発泡体の少なくとも片面の飽和電圧(kV)が0.05kV以下であることを特徴とする請求項1に記載の共押出積層発泡体。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の共押出積層発泡体を熱成形してなり、展開倍率が2倍を超える成形体。
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