JP2007157309A - 光ディスク製造方法、スピンコート装置及び光ディスク製造装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】スピンコート法によりディスク基板に均一な厚さの膜を形成することを可能とする。
【解決手段】中心にディスク装置のスピンドルに嵌合する円形開口10bが形成されたディスク基板10の表面に、スピンコート法を用いて薄膜を形成する場合に、まずディスク基板10の中央に設けられた円形開口10aをシール12をディスク基板に貼り付けることにより閉塞する。そして、このシール12中心、すなわちディスク基板10中心に、例えば紫外線硬化樹脂を所定量滴下したうえでディスク基板10を回転させて該ディスク基板10の表面に薄膜を形成する。
【選択図】図7
【解決手段】中心にディスク装置のスピンドルに嵌合する円形開口10bが形成されたディスク基板10の表面に、スピンコート法を用いて薄膜を形成する場合に、まずディスク基板10の中央に設けられた円形開口10aをシール12をディスク基板に貼り付けることにより閉塞する。そして、このシール12中心、すなわちディスク基板10中心に、例えば紫外線硬化樹脂を所定量滴下したうえでディスク基板10を回転させて該ディスク基板10の表面に薄膜を形成する。
【選択図】図7
Description
本発明は、光ディスク製造方法、スピンコート装置及び光ディスク製造装置に係り、さらに詳しくは、光ディスクに対し光硬化樹脂をスピンコートする工程を含む光ディスク製造方法、ディスク基板に対し光硬化樹脂をスピンコートするスピンコート装置、及び該スピンコート装置を用いた光ディスク製造装置に関する
近年、デジタル放送が開始されるなど情報のデジタル化に伴い、記録媒体としての光ディスクの大容量化が要求されている。この要求に対する主な方策としては、情報の記録又は再生のために用いられるレーザ光のスポット径を小さくし、情報の面密度を向上させることが考えられる。レーザ光のスポット径を小さくするには、その波長を短くし、対物レンズの開口数(NA)を大きくすることが有効であり、近年では波長400nm程度のレーザ光(以下、ブルーレーザ光という)を開口数0.8程度の対物レンズを介して記録層に集光する次世代型ディスク装置の研究開発が盛んに行なわれている。
ところで、CD(compact-disc)、DVD(digital versatile disc)などの光ディスクでは、レーザ光は、厚さ1.1mm〜0.6mmのディスク基板を介して記録層上に集光されているが、次世代型光ディスク装置に用いられる光ディスク(以下、適宜ブルーレイディスクという)では、ディスク基板に形成された記録層の表面を覆う厚さ約0.1mmの透明保護層を介してブルーレーザ光が記録層上に集光されている。
上述した透明保護層を形成する手段としては、記録層の表面に対し光硬化性樹脂をスピンコートして保護層を形成するスピンコート法がよく用いられる(例えば、特許文献1参照)。スピンコート法を用いて均一な膜厚の保護層を形成するためには、光硬化性樹脂をディスク基板の回転中心に滴下することが望ましい。そこで、特許文献1に記載のスピンコート法では、まずターンテーブル上に取り付けられたディスク基板中央の円形開口に、上面が上方に湾曲したキャップを嵌合して円形開口を閉塞し、キャップの上面へ光硬化性樹脂を滴下する。そして、ターンテーブルを高速回転させることにより、キャップ上に滴下された光硬化性樹脂をディスク基板の表面に展延し光硬化性樹脂の膜を形成する。
しかしながら、この方法では、光硬化性樹脂をディスク基板のほぼ中心に滴下するためには、高精度の位置決め装置が必要となり製造装置の高コスト化を招来してしまう。また、ディスク基板の開口を閉塞するキャップが上方に凸であるため、滴下された光硬化性樹脂はディスク基板が高速回転する前にキャップの外周に向かって不均一に発散してしまい、周縁部の膜厚が中心部に比べて厚くなる傾向があった。
本発明はかかる事情の下になされたもので、その第1の目的は、表面に均一な厚さの保護膜が形成された光ディスクを製造することが可能な光ディスクの製造方法を提供することにある。
また、本発明の第2の目的は、装置の高コスト化を招くことなく、ディスク基板に対し均一な膜厚で精度よく光硬化性樹脂の膜を形成することが可能なスピンコート装置を提供することにある。
また、本発明の第3の目的は、装置の高コスト化を招くことなく、表面に均一な厚さの保護膜が形成された光ディスクを製造することが可能な光ディスクの製造装置を提供することにある。
請求項1に記載の発明は、円形のディスク基板の中心に設けられた円形開口をシール部材を貼り付けて閉塞する工程と;前記シール部材が貼り付けられたディスク基板を第1の回転速度で回転させながら、前記円形開口の中心付近の前記シール部材上に光硬化樹脂を滴下する工程と;前記光硬化樹脂の滴下を停止して、前記ディスク基板を前記第1の回転速度より高速の第2の回転速度で回転させて、前記光硬化樹脂の膜を前記ディスク基板上に形成する工程と;前記シール部材を前記ディスク基板から取外すことなく、前記膜に光を照射して硬化させる工程と;を含む光ディスクの製造方法である。
これによれば、ディスク基板中央に設けられた円形開口がシール部材により閉塞され、このシール部材のディスク基板中心に対応する位置に光硬化樹脂が滴下される。したがって、ディスク基板を回転させて光硬化樹脂をディスク基板の表面に展延させた場合に、厚さが均一な膜を形成することが可能となる。また、シール部材はディスク基板に貼り付けられていることから、例えば、ディスク基板をスピンコート装置から光照射装置などに搬送する場合等にも、シールを剥離する必要がない。したがって、例えばディスク基板に薄膜を何層も積層形成するために、スピンコート装置と光照射装置の間の搬送が複数回行われるような場合であっても、ディスク基板の円形開口を閉塞する処理は一度で済み、ディスク基板の製造工程の削減を図ることが可能となる。
この場合において、請求項2記載のディスク製造方法の如く、前記シール部材は可撓性を有し、前記光硬化樹脂を滴下する前に、該シール部材を下方に湾曲して上面に凹状の液だまりを形成する工程を更に備えることとすることができる。
請求項1に記載のディスク製造方法において、請求項3に記載のディスク製造方法の如く、前記シール部材は、中央に凹状の液だまりが形成されていることとすることができる。
請求項1〜3に記載の各ディスク製造方法において、請求項4に記載のディスク製造方法の如く、前記シール部材の直径は、前記ディスク基板に形成された記録領域の内径よりも小さいこととすることができる。
請求項1〜4に記載の各ディスク製造方法において、請求項5に記載のディスク製造方法の如く、前記シール部材の厚さは、前記光硬化樹脂の膜厚よりも厚いこととすることができる。
請求項1〜5に記載の各ディスク製造方法において、請求項6に記載のディスク製造方法の如く、前記シール部材には、前記ディスク基板に設けられた開口の周囲に当接する外縁部に粘着材が塗布されていることとすることができる。
請求項1〜6に記載の各ディスク製造方法において、請求項7に記載のディスク製造方法の如く、前記シール部材は、プラスチック、金属、又は紙であることとすることができる。
請求項8に記載の発明は、円形のディスク基板の中心に設けられた円形開口を、開口中心に対応する部分が周囲に比べて凹んだ凹部を有する部材で閉塞する工程と;前記部材の凹部内に光硬化樹脂を滴下する工程と;前記光硬化樹脂の滴下を停止して、前記ディスク基板を所定の速度で回転させて、前記光硬化樹脂の膜を前記ディスク基板上に形成する工程と;前記膜に光を照射して硬化させる工程と;を含む光ディスク製造方法である。
これによれば、ディスク基板中央に設けられた円形開口は、開口中心に対応する部分が周囲に比べて凹んだ凹部を有する部材で閉塞され、この部材の凹部内に光硬化樹脂が滴下される。これにより、光硬化樹脂はディスク基板の中心にある部材の凹部を中心に滞留する。したがって、ディスク基板を回転させることにより、光硬化樹脂をディスク基板の表面に均一に展延させ光を照射して硬化させることにより、均一な厚さの膜を形成することが可能となる。
請求項9に記載の発明は、円形のディスク基板の中心に設けられた円形開口を、部材を貼り付けて閉塞するとともに、前記ディスク基板上にスピンコート法により光硬化樹脂の第1の膜を形成する第1の工程と;前記ディスク基板に前記部材を取り付けたまま前記第1の膜に光を照射して硬化させる第2の工程と;前記ディスク基板に前記部材を貼り付けたまま前記第1の膜上にスピンコート法により光硬化樹脂の第2の膜を形成する第3の工程と;前記第2の膜に光を照射して硬化させる第4の工程と;を含む光ディスク製造方法である。
これによれば、スピンコート法によりディスク基板に光硬化樹脂の膜が形成される際には、ディスク基板の円形開口は予め部材が貼り付けられることにより閉塞される。そして、ディスク基板に部材を取り付けたままの状態で、ディスク基板表面に複数の光硬化樹脂の膜がスピンコート法により積層形成される。したがって、例えば粘度の低い光硬化樹脂を用いて、面内分布のよい薄膜を積層形成することにより、結果的にディスク基板表面に均一な膜厚の保護層を形成することが可能となる。また、薄膜の層数を増減することによりディスク基板に所望の厚さの保護層を形成することが可能となる。
この場合において、請求項10に記載のディスク製造方法の如く、前記第1工程から前記第4工程の処理は、同一の回転テーブル上に前記ディスク基板を取り付けた状態で行なわれることとすることができる。
請求項9及び10に記載の光ディスクの製造方法において、請求項11に記載の光ディスクの製造方法の如く、前記第4工程の処理の後、前記ディスク基板に前記部材を取り付けたまま、前記第2の膜上に光硬化樹脂の膜を少なくとも一層更に積層形成する工程を含むこととすることができる。
請求項12に記載の発明は、中心に円形開口が設けられた円形のディスク基板を回転させて、前記ディスク基板の表面に光硬化樹脂を塗布するスピンコート装置であって、前記ディスク基板を、該ディスク基板に垂直な軸回りに回転可能に保持する回転テーブルと;前記回転テーブルに保持されたディスク基板に対し、前記円形開口を閉塞するシール部材を貼り付けるシール部材貼り付け装置と;前記シール部材を貼り付けたディスク基板に吸引力を作用させ、該ディスク基板を前記テーブルに固定する基板吸引装置と;前記円形開口の中心付近の前記シール部材上に前記光硬化樹脂を供給するノズルと;を備えるスピンコート装置である。
これによれば、ディスク基板にスピンコート処理が施される際には、回転テーブルに保持されたディスク基板に対し、予めシール部材が貼り付けられることにより円形開口が閉塞される。そして、このシール部材のディスク基板中心に対応する位置にノズルを介して光硬化樹脂が滴下される。したがって、回転テーブルを回転させてディスク基板の表面に光硬化樹脂を展延させた場合に、均一な厚さの膜を形成することが可能となる。
また、ディスク基板の円形開口はシール貼り付け装置によりディスク基板に貼り付けられるシール部材により閉塞される。したがって、例えばディスク基板に薄膜を何層も積層形成するために、スピンコート処理が複数回行われるような場合であっても、ディスク基板の円形開口を閉塞する処理は一度で済みディスク基板の製造工程の削減を図ることが可能となる。
この場合において、請求項13に記載のスピンコート装置の如く、前記シール部材は可撓性を有し、前記ディスク基板が前記基板吸引装置に吸引されたときに、下方に湾曲することとすることができる。
請求項12に記載のスピンコート装置において、請求項14に記載のスピンコート装置の如く、前記シール部材は、中央に凹状の液だまりが形成されていることとすることができる。
請求項12〜14に記載の各スピンコート装置において、請求項15に記載のスピンコート装置の如く、前記シール部材の直径は、前記ディスク基板に形成された記録領域の内径よりも小さいこととすることができる。
請求項12〜15に記載の各スピンコート装置において、請求項16に記載のスピンコート装置の如く、前記シール部材の厚さは、前記塗布された光硬化樹脂の膜の膜厚と同等以上であることとすることができる。
請求項12〜16に記載の各スピンコート装置において、請求項17に記載のスピンコート装置の如く、前記シール部材には、前記ディスク基板に設けられた開口の周囲に当接する外縁部に粘着材が塗布されていることとすることができる。
請求項12〜17に記載の各スピンコート装置において、請求項18に記載のスピンコート装置の如く、前記シール部材は、プラスチック、金属、又は紙であることとすることができる。
請求項19に記載の発明は、ディスク基板に保護膜を形成して光ディスクを製造するディスク製造方法であって、前記請求項6〜12のいずれか一項に記載のスピンコート装置と;前記スピンコート装置により前記ディスク基板の表面に塗布された液状材料に光を照射して、前記ディスク基板の表面に保護膜を形成する光照射装置と;前記保護膜が形成されたディスク基板からシール部材を剥離する剥離装置と;を備える光ディスク製造装置である。
これによれば、ディスク製造装置は請求項6〜12のいずれか一項に記載のスピンコート装置を備えている。これにより、回転テーブルを回転させてディスク基板の表面に光硬化樹脂を展延させた場合に、均一な厚さの膜を形成することができる。そして、ディスク基板に形成された膜は、光照射装置により光が照射されることで硬化されディスク基板表面に保護膜が形成される。したがって、表面に均一な保護膜が形成された光ディスクを製造することが可能となる。
《第1の実施形態》
以下、本発明の第1の実施形態を図1〜図11(B)に基づいて説明する。図1は、本実施形態にかかるディスク製造装置100の概略構成を示す図である。
以下、本発明の第1の実施形態を図1〜図11(B)に基づいて説明する。図1は、本実施形態にかかるディスク製造装置100の概略構成を示す図である。
ディスク製造装置100は、一例として、ブルーレーザ光に対応したディスク基板10の記録層上に保護膜を形成して、光ディスクを製造するディスク製造装置である。ディスク基板10は、例えば直径120mm、厚さ1.1mmのポリカーボネイト製の円形板状の部材からなる。また、ディスク基板10の中心には、図2の平面図に示されるように円形開口10aが形成され、上面には例えばブルーレーザ光に対応した記録層10bが形成されている。
図1に戻り、ディスク製造装置100は、ディスクホルダ30A,30B、シールホルダ40、ディスク回転装置50、樹脂供給装置96、紫外線照射装置60、シール剥離機構70、搬送アーム80,82,84、シール供給アーム90、上記各部が載置された長手方向をX軸方向とする平面視長方形のベース20、及び上記各部を統括的に制御する不図示の制御部を備えている。
前記ディスクホルダ30Aは、ベース20の上面−X側端部近傍に配置されZ軸方向を長手方向とする円柱状のピンホルダ30aを有している。不図示の搬送装置によって搬送された複数枚のディスク基板10は円形開口10aにピンホルダ30aが挿入された状態で上下方向に積み重ねられて収容される。そして、収容されたディスク基板10の下方には不図示のリフターが配置され、該リフターによって一番上のディスク基板10は常時所定の高さになるように調整されている。
前記シールホルダ40は、ディスクホルダ30Aの+Y側に配置されている。このシールホルダ40には、ディスク基板10に貼り付けるための円形シート状のシール12が複数枚収容されている。シール12は、例えば、シート状のプラスチック又は金属、若しくは紙などの可撓性のある部材からなり、下面外周縁に沿って予め接着材が塗布されている。また、シール12はディスク基板10の上面に形成される後述する紫外線硬化樹脂の膜の膜厚と同等以上の厚さを有し、外径はディスク基板10の円形開口10aよりも大きく、記録層10bの内周よりも小さくなっている。さらに具体的には、シール12は外径17mm〜23mmとし、厚さは形成する保護層と同等乃至100μm程度厚いことが望ましい。
図1に戻り、前記ディスク回転装置50は、シールホルダ40の+X側に配置されている。このディスク回転装置50は、ディスク回転装置50の平面図である図3(A)及び、ディスク回転装置50の縦断面をディスク回転装置50に保持されるディスク基板10とともに示す断面図である図3(B)を総合するとわかるように、センターテーブル52、センターテーブル52の中心から上方へ突出するセンターボス54、センターテーブル52の下面に設けられた回転継手57、真空ポンプ59を備えている。
センターテーブル52は、円形板状の部材であり、上面には上方に僅かに突出する円形の凸部52aが形成され、下面には下方に突出する円形の凸部52bが形成されている。凸部52aの上面には、その中央に円形の凹部52cが形成され、該凹部52cを囲むように回転継手57へ連通する8つの吸気孔52dが形成されている。そして、これら8つの吸気孔52dの上端と凹部52cの上端とは、凹部52cの上端から放射状に延設された8本の案内溝52eによって連通されている。また、センターテーブル52下面の凸部52bには、回転継手57の回転軸が接続されている。
回転継手57は、一例として回転体としてのセンターテーブル52に固定される回転軸と、回転軸を回転可能に保持するケーシングを備え、この回転継手57を介して外部から回転するセンターテーブル52の吸気孔52dに対し吸気の供給及び吸引することができるようになっている。
センターボス54は、センターテーブル52の凹部52cの内径よりも僅かに小さく、ディスク基板10の円形開口10aに嵌合する円柱状の部材である。また、センターボス54の上面と側面によって形成されるコーナー部分は、ディスク基板10の円形開口10aの挿入が容易になるように面取り加工が施されている。センターボス54はセンターテーブル52の凹部52cに上方から挿入され、例えばスプリングと外部から供給される圧縮空気により駆動される駆動機構54aにより上下方向に所定のストロークで移動可能となっている。
真空ポンプ59は、吸気管路58及び回転継手57を介して8つの吸気孔52dそれぞれに接続されている。
上記のように構成されたディスク回転装置50では、図3(B)に示されるようにディスク基板10の円形開口10aにセンターボス54が挿入されることにより、ディスク基板10の位置決め及び芯だしがなされ、センターテーブル52の凸部52aにより下方から支持される。すなわち、ディスク基板10は、その下面とセンターテーブル52上面とが凸部52aの高さ分だけ隔てた状態でセンターテーブル52上に保持される。そして、この状態からディスク基板10は、真空ポンプ59によりセンターテーブル52に設けられた8つの吸気孔52dを介して吸引されることにより、センターテーブル52に吸着保持される。
ディスク回転装置50は、センターテーブル52上にディスク基板10が載置されていない場合には、センターボス54をセンターテーブル52の上面から突出させる。また、センターテーブル52上にディスク基板10が載置されている場合には、センターボス54を凹部52c内部に格納し、ディスク基板10を吸着保持するようになっている。そして、後述する樹脂供給装置96が紫外線硬化樹脂を滴下する際にはディスク基板10を吸着保持するセンターテーブル52を、不図示の回転機構により例えば20rpm〜120rpmの低速で回転させ、所定量の紫外線硬化樹脂の滴下が完了するとセンターテーブル52を所定の時間だけ高速回転させてディスク基板10の上面に紫外線硬化樹脂の膜を形成する(以下単にスピンコートという)。なお、センターテーブルの高速回転時の回転数及び回転時間は、紫外線硬化樹脂の粘度及び目的とする膜厚などによって調整される。
図1に戻り、前記搬送アーム80は、一例としてディスクホルダ30Aに収容されたディスク基板10をディスク回転装置50に搬入するロボットアームである。この搬送アーム80はディスクホルダ30Aの+X側で、かつディスク回転装置50の−Y側に配置されている。
図4(A)は搬送アーム80の側面を該搬送アーム80に保持されたディスク基板10とともに示す図であり、図4(B)は搬送アーム80を下方から見た図である。搬送アーム80は、図4(A)及び図4(B)を総合するとわかるように、一端が不図示の駆動機構に接続された旋回アーム80a、旋回アーム80aの他端に設けられた円形板状のピックアップ80b、及び下端に吸盤状の吸着部が形成されたシリコンゴム製の円筒状部材からなる3つの吸着部材81を備えている。
3つの吸着部材81はピックアップ80bの下面外周縁に沿って120度間隔で配置され、それぞれの吸着部材81の上端がピックアップ80bの下面に固定されている。さらに、これらの吸着部材81の中空部上端はピックアップ80bの内部に設けられた吸気通路を介して不図示の吸引機構に接続されている。そして、吸引機構により空気が吸着部材81を介して吸引されるとディスク基板10を吸着し、吸引が停止されるとディスク基板10を開放するようになっている。
前記搬送アーム80は、アーム80aを駆動(旋回及び昇降)して、ピックアップ80bの吸着部材81の吸着部をディスクホルダ30Aの一番上にあるディスク基板10の上面に当接させて、ディスク基板10を吸着保持する。そして、吸着保持したディスク基板10を、図3(B)に示されるようにセンターテーブル52の凸部52a上面に載置する。
図1に戻り、前記シール供給アーム90は、一例としてシールホルダ40に収容されたシール12をディスク回転装置50のセンターテーブル52に吸着保持されたディスク基板10に貼り付けて、該ディスク基板10の円形開口10aを閉塞するロボットアームである。このシール供給アーム90はシールホルダ40とディスク回転装置50との間に配置されている。図5はシール供給アーム90の側面を該シール供給アーム90に保持されたシール12とともに示す側面図である。シール供給アーム90は、図5に示されるように一端が不図示の駆動機構に接続され他端部下面に円柱部90bが設けられた旋回アーム90a、旋回アーム90aの円柱部90bに取り付けられたガイド91及び吸着部材81を備えている。
吸着部材81は上端が旋回アーム90aの円柱部90bの下面に固定されるとともに、その中空部上端が旋回アーム90aの内部に設けられた吸気通路を介して不図示の吸引機構に接続されている。
ガイド91は、円形の上壁と該上壁下面の外周縁に設けられた円筒状の側壁からなる部材である。そして、上壁には旋回アーム90aに設けられた円柱部90bが挿入される丸孔91aが形成され、該丸孔91aに上方からアーム90aの円柱部90bが挿入され、側壁の下端が円柱部90bに取り付けられた吸着部材81の吸着部とほぼ同じ高さとなるように円柱部90bに固定されている。
図5に示されるように、シール供給アーム90では、シールホルダ40に収容されたシール12を、ガイド91の下端にシール12の上面外周縁が当接した状態で、シール12の上面中央部を吸着部材81により吸着することにより保持する。次に、旋回アーム90aを駆動(旋回及び昇降)して、図6(A)に示されるようにシール12の下面外周縁をディスク基板10の円形開口10aの周囲に圧接して、シール12の外周縁を円形開口10a周囲のディスク基板10の上面に貼り付ける。そして、シール12を貼り付けるとシール12を開放しディスク基板10の上方から退避する。
図6(B)にはディスク基板10に貼り付けられたシール12の様子が示されている。図6(B)に示されるようにディスク基板10にシール12が貼り付けられると、図6(B)に着色して示されるように該シール12の下面と、ディスク基板10の円形開口10aと、センターテーブル52に形成された凹部42とで規定される内部空間(以下単に内部空間という)が形成される。この内部空間内の空気は図6(B)中の矢印に示されるように、センターテーブル52に形成された案内溝52eと吸気孔52dとを介して真空ポンプ59により真空吸引される。このため、内部空間内は外部に対し負圧となりシール12の中央部が下方に湾曲し、その湾曲部の上面に凹部12aが形成される。
図1に戻り、前記樹脂供給装置96は、ディスク回転装置50の+X側に配置されている。この樹脂供給装置96は図7に示されるように一端が不図示の駆動機構に接続されたアーム96aと、該アーム96aに保持されたディスペンサ97とを備えている。
樹脂供給装置96では、ディスク回転装置50に保持されたディスク基板10にシール12が貼り付けられると、アーム96aを旋回及び下降させてディスペンサ97に設けられたノズル97aの先端を、図7に示されるようにセンターテーブル52に保持されたディスク基板10の中心に移動する。
そして、ディスク回転装置50により低速回転されるディスク基板10に貼り付けられたシール12の凹部12aに、図7に着色して示される紫外線硬化樹脂を所定量滴下する。この紫外線硬化樹脂の滴下が終了すると、ディスク回転装置50によりディスク基板10が高速回転されてディスク基板10の上面に上述したスピンコート処理が施される。
図1に戻り、前記搬送アーム82は、一例としてスピンコート処理が施されたディスク基板10をディスク回転装置50から搬出し紫外線照射装置60に受け渡すロボットアームであり、搬送アーム80の+X側に配置されている。図8は搬送アーム82を該搬送アーム82に吸着保持されたディスク基板10とともに示す側面図である。図8に示されるように、搬送アーム82は一端が不図示の駆動機構に接続され、他端部の下面に円柱部82bが形成された旋回アーム82aと、旋回アーム82aの円柱部82bに取り付けられた吸着部材81とを備えている。
吸着部材81は上端が旋回アーム82aに形成された円柱部82bの下面に固定されるとともに、その中空部上端が旋回アーム82aの内部に設けられた吸気通路を介して不図示の吸引機構に接続されている。
搬出アーム82では、旋回アーム82aを駆動(旋回及び昇降)して吸着部材81の吸着部を、ディスク回転装置50に保持されたディスク基板10に貼り付けられたシール12の上面に当接させて、ディスク基板10を図8に示されるようにシール12を介して吸着保持する。そして、搬送アーム82aを駆動(旋回及び昇降)して後述する紫外線照射装置60に受け渡す。
図1に戻り、前記紫外線照射装置60は搬送アーム82の+X側に配置されている。この紫外線照射装置60は図1に実線で示される位置から仮想線で示される位置までX軸方向に直線移動するステージ62aを備えた搬送装置62、及び該搬送装置62の上方に配置されたUV照射装置64を備えている。
搬送装置62では、図1に示されるようにステージ62aを−X側端(図1において実線で示される位置)へ移動させた状態で待機させ、上述した搬送アーム82によりディスク基板10がステージ62a上に載置されると、ステージ62aを+X側に移動させUV照射装置64の下方を経由して、搬送装置62の+X側端(図1において仮想線で示される位置)までディスク基板10を搬送する。UV照射装置64はステージ62aが直下にきたときに、ステージ62aに載置されたディスク基板10に紫外線を照射して該ディスク基板10の表面にスピンコートされた紫外線硬化樹脂を硬化させる。
前記シール剥離機構70は、紫外線照射装置60の+X側でベース20上面+Y側端近傍に配置されている。このシール剥離機構70は図9の側面図に示されるように中央にディスク基板10の円形開口10aに挿入される突出部70aが形成されている。
図1に戻り、前記ディスクホルダ30Bは、上述したディスクホルダ30Aと同等の構成を有し、ベース20上面の+X側端部近傍に配置されている。
前記搬送アーム84は、一例として紫外線照射装置60からシール剥離機構70を経由してディスクホルダ30Bへディスク基板10を搬送するロボットアームである。この搬送アーム84はシール剥離機構70の−Y側で、紫外線照射装置60とディスクホルダ30Bの間に配置されている。図10(A)は搬送アーム84の側面を該搬送アーム84に保持されたディスク基板10とともに示す側面図であり、図10(B)は搬送アーム84を下方から見た図である。搬送アーム84は、図10(A)及び図10(B)を総合するとわかるように、一端が不図示の駆動機構に接続された旋回アーム84a、旋回アーム84aの他端に設けられた円形板状のピックアップ84b、及び下端に吸盤状の吸着部が形成されたシリコンゴム製の円筒状部材からなる4つの吸着部材81を備えている。
4つの吸着部材81のうちの3つはピックアップ84bの下面外周縁に沿って120度間隔で配置され、1つはピックアップ84b下面中心に吸着部が下面外周縁に配置された3つの吸着部材の吸着部よりも上方にくるように配置されている。そして、これらの吸着部材81それぞれの上端はピックアップ80bの下面に固定されるとともに、中空部上端がピックアップ80bの内部に設けられた吸気通路を介して不図示の吸引機構に接続されている。
搬送アーム84では、アーム84aを駆動(旋回及び昇降)して、ピックアップ84bの下面外周縁に配置された3つの吸着部材81の吸着部を紫外線照射装置60の+X側端にあるステージ62aに載置されたディスク基板10の上面に当接させて、図10(A)に示されるようにディスク基板10を吸着保持する。そして、ディスク基板10をシール剥離機構70の上方に搬送し、図11(A)に示されるようにディスク基板10の円形開口10aにシール剥離機構70の突出部70aを挿入する。これにより、シール12はディスク基板10から剥離されピックアップ84bの下面中心に固定された吸着部材81に吸着される。なお、シール12は上述したように可撓性を有しているが、スピンコートされた際にシール12の上面にも紫外線硬化樹脂が硬化した膜が形成されていることから、上記動作によりディスク基板10から容易に剥離することが可能になっている。次に、この状態からアーム84aを上昇させると、図11(B)に示されるように、ディスク基板10はピックアップ84bの下面外周縁に沿って配置された3つの吸着部材81により吸着保持され、シール12はピックアップ84bの下面中心に配置された吸着部材81に吸着される。
このようにして、搬送アーム84によってディスク基板10とシール12がそれぞれ分離された状態で保持されると、ディスク基板10はディスクホルダ30Bに搬入されて、順次積み重ねられた状態で収容される。一方、シール50は不図示の回収ボックスなどに廃棄される。
以上の説明から明らかなように、本第1の実施形態に係るディスク製造装置100では、ディスク基板10に紫外線硬化樹脂の膜を形成して光ディスクを製造する光ディスクの製造方法の少なくとも一部が実施されている。すなわち、ディスク製造装置10では、ディスク回転装置50のセンターテーブル52にディスク基板10が吸着保持されると、まず、シール供給アーム90により、該ディスク基板10の円形開口10aにシール12を貼り付けて円形開口10aを閉塞する工程が実施される。次に、ディスク回転装置50と樹脂供給装置96とにより、ディスク基板10を低速回転させながら、シール12が下方に湾曲することにより形成された凹部12aに紫外線硬化樹脂を滴下する工程が実施される。次に、紫外線硬化樹脂の滴下が停止されると、ディスク回転装置50により、ディスク基板10を高速回転して紫外線硬化樹脂の膜をディスク基板10の上面に形成する工程が実施される。次に、紫外線照射装置60により、ディスク基板10からシール12が取外されることなくディスク基板10表面の紫外線硬化樹脂に紫外線を照射する工程が実施される。
以上説明したように、本第1の実施形態に係る光ディスク製造装置100によると、ディスク基板10にスピンコート処理が施される際には、センターテーブル52に吸着保持されたディスク基板10に対しシール12が貼り付けられる。貼り付けられたシール12はディスク基板12に作用する吸引力により下方に湾曲しシール12の上面には凹部12aが形成される。そして、樹脂供給装置96により、低速で回転されるディスク基板10に貼り付けられたシール12の凹部12aに紫外線硬化樹脂が滴下される。これによれば、滴下された紫外線硬化樹脂はシール12が湾曲することにより形成された凹部12aの中心に流れ込むため、紫外線硬化樹脂を効果的にディスク基板12の中心に滞留させることが可能となる。また、紫外線硬化樹脂を滴下する際にディスク基板12は低速に回転されていることから、シール12の凹部12aに均等に紫外線硬化樹脂を流し込むことが可能となっている。
そして、所定量の紫外線硬化樹脂の滴下が完了するとディスク基板10は高速回転され、ディスク基板10の表面に紫外線硬化樹脂の膜が形成される。したがって、上述したように紫外線硬化樹脂はディスク基板10の中心に均等に滞留していることから、ディスク基板10の表面に均等に展延され均一な厚さの紫外線硬化樹脂の膜を形成することが可能となる。
なお、本第1の実施形態にかかる光ディスク製造装置100によると、紫外線硬化樹脂を滴下する際にディスク基板12を低速回転しているが、シール12には凹部12aが形成されていることからディスク基板12を停止させた状態で紫外線硬化樹脂を滴下してもよい。この場合にも、紫外線硬化樹脂はシール12の凹部12aにながれ込み紫外線硬化樹脂をディスク基板10の中心付近に均等に滞留させることができる。
また、本第1の実施形態にかかる光ディスク製造装置100では、ディスク基板10に貼り付けたシール12を湾曲させることによりディスク基板10の中心に凹部を形成したが、これに限らずシール12に代えて、例えば予め凹部が形成された部材をディスク基板10に取り付けてもよい。
また、本第1の実施形態にかかる光ディスク製造装置100では、ディスク基板10に貼り付けたシール12を湾曲させることによりディスク基板10の中心に凹部12aを形成したが、シール12に凹部12aを形成しない場合であっても、ディスク基板10の中心はシール12に閉塞されてることから、効果的に紫外線硬化樹脂をディスク基板10の中心に滴下することができる。
《第2の実施形態》
次に、本発明の第2の実施形態を、図12に基づいて説明する。ここで前述した第1の実施形態と同一若しくは同等の構成部分には、同等の符号を用いるとともに、その説明を省略し又は簡略するものとする。
次に、本発明の第2の実施形態を、図12に基づいて説明する。ここで前述した第1の実施形態と同一若しくは同等の構成部分には、同等の符号を用いるとともに、その説明を省略し又は簡略するものとする。
図12は、本第2の実施形態にかかるディスク製造装置100’の概略構成を示す図である。ディスク製造装置100’は、一例としてディスク基板10に対し例えば通常の保護層を形成し、その上から更に硬度の高い保護層を形成することによりディスク基板10にハードコート処理を施す光ディスク製造装置である。
このディスク製造装置100’は図12に示されるように、第1の保護層を形成する第1紫外線硬化樹脂ユニット11と、第2の保護層を形成する第2紫外線硬化樹脂ユニット12とを備えている。ここで、説明の便宜上、第1の紫外線硬化樹脂ユニット11は単に第1ユニットと記述し、第2の紫外線硬化樹脂ユニット12は単に第2ユニット12と記述するものとする。
図12に示されるように、第1ユニット11は上述したディスク製造装置100を構成する搬送アーム84、ディスクホルダ30B及びシール剥離機構70を備えていない点で相違するが、他の構成部分はディスク製造装置100と同等の構成を有している。
第2ユニット12は、第1ユニット11の+X側に隣接して配置され、上述したディスク製造装置100を構成するディスクカートリッジ30A、シールホルダ40、及びシール供給アーム90を備えていない点で相違するが、他の構成部分はディスク製造装置100と同等の構成を有している。
次に、上述のように構成されたディスク製造装置100’を用いたディスク製造方法について説明する。ディスク基板10はまず不図示の搬送装置により第1ユニット11に搬送されディスクホルダ30Aに順次スタックされる。次に、搬送アーム80によりディスク回転装置50へ搬送されセンターテーブル52上に吸着保持される。次に、シール供給アーム90により、ディスク基板10にシール12が貼り付けられ円形開口10aが閉塞される。次に、樹脂供給装置96により、ディスク基板10に貼り付けられたシール12が下方に湾曲することにより形成される凹部12aに紫外線硬化樹脂が滴下される。また、ディスク回転装置50は、紫外線硬化樹脂が滴下されている間はセンターテーブル52を低速で回転させ、所定量の紫外線硬化樹脂の滴下が終了すると、センターテーブル52を高速回転させる。これによりディスク基板10の上面に紫外線硬化樹脂の第1の膜が形成される。次に、ディスク基板10は搬送アーム82により紫外線照射装置60に搬入され、ディスク基板10の表面の紫外線硬化樹脂が硬化されることにより、ディスク基板10の上面に第1の保護層が形成される。
このようにして、第1ユニット11での処理が終了すると、ディスク基板10は第2ユニット12の搬送アーム82によって第2ユニットのディスク回転装置50に搬送され、該ディスク回転装置50のセンターテーブル52に吸着保持される。次に、樹脂供給装置96により、ディスク基板10に貼り付けられたシール12に形成された凹部12aに紫外線硬化樹脂が滴下される。また、ディスク回転装置50は、紫外線硬化樹脂が滴下されている間はセンターテーブル52を低速で回転させ、所定量の紫外線硬化樹脂の滴下が終了すると、センターテーブル52を高速回転させる。これによりディスク基板10の上面に紫外線硬化樹脂の第2の膜が形成される。次に、ディスク基板10は搬送アーム82により紫外線照射装置60に搬入され、ディスク基板10表面の紫外線硬化樹脂が硬化されることにより、ディスク基板10の上面に第2の保護層が形成される。そして、第2の保護層が形成されたディスク基板10は搬送アーム84により、シール剥離機構70を経由することによりシール12が剥離された状態でディスクホルダ30Bに搬送され順次スタックされる。
以上の説明から明らかなように、本第2の実施形態にかかるディスク製造装置100’では、ディスク基板10に紫外線硬化樹脂の第1の保護層と第2の保護層を形成して光ディスクを製造する光ディスクの製造方法の少なくとも一部が実施される。すなわち、ディスク製造装置100’では、第1ユニット11において、ディスク基板10の上面にスピンコート処理を施すことにより、紫外線硬化樹脂の第1の膜を形成する工程が実施され、第2ユニット12において、ディスク基板10の上面にスピンコー処理を施すことにより、紫外線硬化樹脂の第2の膜を形成する工程が実施される。
以上説明したように、本第2の実施形態にかかる光ディスクの製造方法によると、ディスク基板10にシール12を貼り付けて円形開口10aを閉塞した後に、まず、第1ユニット11で最初のスピンコート処理が施されることにより紫外線硬化樹脂の第1の膜が形成され、該第1の膜に紫外線が照射され硬化されることに第1の保護層が形成される。次に、第2ユニットで2回目のスピンコート処理が施されることにより紫外線硬化樹脂の第2の膜が形成され、該第2の膜に紫外線が照射され硬化されることに第2の保護層が形成される。したがって、ディスク基板10の表面をコーティングする場合に、例えばディスク基板10の記録層10b上に第1の保護層を形成し、該第1の保護層の上面に比較的硬度の高い第2の保護層を形成してディスク基板10を複数の保護層でコーティングすることが可能となる。
また、ディスク基板10にスピンコート処理が施される際には、ディスク基板10の円形開口10aは、予めシール12が貼り付けられることにより閉塞される。これにより、第1の保護層及び第2の保護層を形成する場合にも、スピンコート処理を行うごとにディスク基板10の円形開口10aを閉塞する必要がなくなる。したがって、第2の保護層を形成する場合にも面内均一性の良い紫外線硬化樹脂の膜を形成することができ、結果的にディスク基板表面に均一な膜厚の保護層を形成することが可能となる。
なお、上記第2の実施形態にかかるディスク製造装置100’では、第1ユニット11及び第2ユニット12それぞれにディスク回転装置50を設けたが、これに限らず、例えば第1ユニットに可動式の紫外線照射装置を設け、ディスク回転装置50のセンターテーブル52上にディスク基板10を吸着保持した後は、スピンコート処理と、紫外線照射装置をセンターテーブル52上に移動して紫外線硬化樹脂を硬化させる処理を繰り返し、第1ユニットでディスク基板10の表面に複数の保護層を形成した後に、第2ユニットで、第1ユニットで形成された最も上の保護層上に硬度の高い保護層を形成してディスク基板10にハードコート処理を行ってもよい。この場合には、粘度の低い紫外線硬化樹脂を用いて面内分布のよい薄膜を積層形成することができるので、薄膜の層数を増減することにより面内分布のよい任意の厚さの保護層を形成することが可能となる。
また、上記第2の実施形態にかかるディスク製造装置100’では、ディスク基板10の表面に第1ユニットで形成された保護層と、第2ユニットで形成された保護層の2層の保護層が形成されている場合について説明したが、これに限らず例えば第1ユニット及び第2ユニットで2層の保護層を形成した後に、例えば第3ユニットによりさらに保護層を形成してもよい。このように薄膜を積層して形成することにより、スピンコート処理でのディスクの回転時間を長くとって面内分布の良い薄膜を積層形成することで、保護層全体の厚さを任意の厚さにすることが可能となる。
なお、上記各実施形態にかかるディスク製造装置100,100’は一例であって、本発明が上記各実施形態に限定されるものではない。
また、上記各実施形態では、ディスク基板10にブルーレーザ光に対応する記録層10bが形成されている場合について説明したが、これに限らず、ディスク製造装置100,100’は例えばCD、CD−R、CD−RW、及びDVDなどの光ディスクに対する記録層が形成されたディスク基板や、円形板状のディスク体への保護層の形成にも好適である。
また、上記各実施形態では、紫外線硬化樹脂を用いてディスク基板10の表面に保護層を形成する場合について説明したが、これに限らず、紫外線硬化性以外の例えば赤外線硬化性などを有する光硬化性樹脂や、電磁波硬化性、又はX線硬化性を有する樹脂を用いることもできる。
以上説明したように、本発明の光ディスク製造方法は光ディスクの製造に適しており、本発明のスピンコート装置はディスクに液状部材を塗布するのに適しており、本発明の光ディスク製造装置は光ディスクの製造に適している。
100,100’…ディスク製造装置、ディスク基板…10、10a…円形開口、10b…記録層、12…シール、12a…凹部、20…ベース、30A,30B…ディスクホルダ、30a…ピンホルダ、40…シールホルダ、50…ディスク回転装置、52…センターテーブル、52d…吸気孔、52e…案内溝、54…センターボス、56…シャフト、57…真空ポンプ、60…紫外線照射装置、62…搬送装置、62a…ステージ、70…シール剥離機構、70a…突出部、80,82,84…搬送装置、81…吸着部材、90…シール供給アーム、90a…旋回アーム、90b…柱状部、91…ガイド、96…樹脂供給装置、96a…旋回アーム、97…ディスペンサ、97a…ノズル。
Claims (19)
- 円形のディスク基板の中心に設けられた円形開口をシール部材を貼り付けて閉塞する工程と;
前記シール部材が貼り付けられたディスク基板を第1の回転速度で回転させながら、前記円形開口の中心付近の前記シール部材上に光硬化樹脂を滴下する工程と;
前記光硬化樹脂の滴下を停止して、前記ディスク基板を前記第1の回転速度より高速の第2の回転速度で回転させて、前記光硬化樹脂の膜を前記ディスク基板上に形成する工程と;
前記シール部材を前記ディスク基板から取外すことなく、前記膜に光を照射して硬化させる工程と;を含む光ディスク製造方法。 - 前記シール部材は可撓性を有し、前記光硬化樹脂を滴下する工程に先立って、前記シール部材を下方から真空吸引して上面に凹状の液だまりを形成する工程を更に含む請求項1に記載の光ディスク製造方法。
- 前記シール部材は、中央に凹状の液だまりが形成されていることを特徴とする請求項1に記載の光ディスク製造方法。
- 前記シール部材の直径は、前記ディスク基板に形成された記録領域の内径よりも小さいことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の光ディスク製造方法。
- 前記シール部材の厚さは、前記光硬化樹脂の膜の膜厚と同等以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の光ディスク製造方法。
- 前記シール部材には、前記ディスク基板に設けられた開口の周囲に当接する外縁部に粘着材が塗布されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の光ディスク製造方法。
- 前記シール部材は、プラスチック、金属、又は紙であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の光ディスク製造方法。
- 円形のディスク基板の中心に設けられた円形開口を、開口中心に対応する部分が周囲に比べて凹んだ凹部を有する部材で閉塞する工程と;
前記部材の凹部内に光硬化樹脂を滴下する工程と;
前記光硬化樹脂の滴下を停止して、前記ディスク基板を所定の速度で回転させて、前記光硬化樹脂の膜を前記ディスク基板上に形成する工程と;
前記膜に光を照射して硬化させる工程と;を含む光ディスク製造方法。 - 円形のディスク基板の中心に設けられた円形開口を、部材を貼り付けて閉塞するとともに、前記ディスク基板上にスピンコート法により光硬化樹脂の第1の膜を形成する第1工程と;
前記ディスク基板に前記部材を取り付けたまま前記第1の膜に光を照射して硬化させる第2工程と;
前記ディスク基板に前記部材を取り付けたまま前記第1の膜上にスピンコート法により光硬化樹脂の第2の膜を形成する第3の工程と;
前記第2の膜に光を照射して硬化させる第4の工程と;を含む光ディスク製造方法。 - 前記第1工程から前記第4工程の処理は、同一の回転テーブル上に前記ディスク基板を取り付けた状態で行われることを特徴とする請求項9に記載の光ディスク製造方法。
- 前記第4工程の処理の後、前記ディスク基板に前記部材を取り付けたまま、前記第2の膜上に光硬化樹脂の膜を少なくとも一層更に積層形成する工程を含む請求項9又は10に記載の光ディスク製造方法。
- 中心に円形開口が設けられた円形のディスク基板を回転させて、前記ディスク基板の表面に光硬化樹脂を塗布するスピンコート装置であって、
前記ディスク基板を、該ディスク基板に垂直な軸回りに回転可能に保持する回転テーブルと;
前記回転テーブルに保持されたディスク基板に対し、前記円形開口を閉塞するシール部材を貼り付けるシール部材貼り付け装置と;
前記シール部材を貼り付けたディスク基板に吸引力を作用させ、該ディスク基板を前記テーブルに固定する基板吸引装置と;
前記円形開口の中心付近の前記シール部材上に前記光硬化樹脂を供給するノズルと;を備えるスピンコート装置。 - 前記シール部材は可撓性を有し、前記ディスク基板が前記基板吸引装置に吸引されたときに、下方に湾曲することを特徴とする請求項12に記載のスピンコート装置。
- 前記シール部材は、中央に凹状の液だまりが形成されていることを特徴とする請求項12に記載のスピンコート装置。
- 前記シール部材の直径は、前記ディスク基板に形成された記録領域の内径よりも小さいことを特徴とする請求項12〜14のいずれか一項に記載のスピンコート装置。
- 前記シール部材の厚さは、前記塗布された光硬化樹脂の膜の膜厚と同等以上であることを特徴とする請求項12〜15のいずれか一項に記載のスピンコート装置。
- 前記シール部材には、前記ディスク基板に設けられた開口の周囲に当接する外縁部に粘着材が塗布されていることを特徴とする請求項12〜16のいずれか一項に記載のスピンコート装置。
- 前記シール部材は、プラスチック、金属、又は紙であることを特徴とする請求項12〜17のいずれか一項に記載のスピンコート装置。
- ディスク基板に保護膜を形成して光ディスクを製造するディスク製造装置であって、
前記請求項12〜18のいずれか一項に記載のスピンコート装置と;
前記スピンコート装置により前記ディスク基板の表面に塗布された光硬化樹脂に光を照射して、前記ディスク基板の表面に保護膜を形成する光照射装置と;
前記保護膜が形成されたディスク基板からシール部材を剥離する剥離装置と;を備える光ディスク製造装置。
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