JP2007154593A - 外装パネルの目地構造 - Google Patents

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一美 早乙女
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Abstract

【課題】外装パネルの目地構造において、一時的に相対的な位置関係がずれた場合であっても、美感を損ねさせず、止水性、耐久性に優れる目地構造とすることである。
【解決手段】外装パネルに形成された段差によって接合する構成の外装パネルの目地構造であって、前記外装パネルの目地部が、一方の外装パネルのオーバーラップ部及び他方の外装パネルのアンダーラップ部で構成され、外装パネルの表面側目地部には前記外装パネルのオーバーラップ部と他方の外装パネル間に隙間を有し、外装パネルの裏面側目地部には前記外装パネルのアンダーラップ部と一方の外装パネル間で互いに当接する当接面を有することを特徴とする外装パネルの目地構造とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、目地構造に関する。
外装パネルを接合する場合、隣接するパネルの目地部を噛み合うように形成し、互いに噛み合わせて接合させる、いわゆる「あいじゃくり」といわれるような接合構造がある(例えば、特許文献1の図7、特許文献2の図1(A)参照)。
このような外装パネルを接合させる場合の、従来の構成を説明する。図6は従来の外装パネルの接合構成を示す断面図である。ここで、目地には縦目地、横目地等があるが、図6においては横目地の構造を例示して説明する。
まず、各部の名称を説明する。図6(a)に示すように、胴縁106の外部に配設される外装パネル101の目地部には、外装の表面側(屋外側)を覆うように突出するオーバーラップ部102と、外装の裏面側(屋内側)を覆うように突出するアンダーラップ部103とが形成される。このため、オーバーラップ部102は、表面側が突部102aとなり、裏面側が溝部102bとなる。一方、アンダーラップ部103は、表面側が溝部103aとなり、裏面側が突部103bとなる。
ここで、従来は、表面側の保護を考慮し、外装パネル101の表面となるオーバーラップ部102の突部102aとアンダーラップ部103の溝部103aとを突き当てて、外装パネルを接合させていた。即ち、オーバーラップ部102の長さL1をアンダーラップ部103の長さL2よりも長くなるように(L1>L2)構成し、オーバーラップ部102の突部102aとアンダーラップ部103の溝部103aとを当接させて外装パネル101を接合していた。
尚、外装パネル101のあいじゃくり部には、水が表面側から入らないように、止水材104を配設する。止水材104を配設する位置としては、図6に示すように、オーバーラップ部102よりもアンダーラップ部103側に配置することが考えられる。また、外装パネル101表面の突部102aと溝部103aとの間に止水材104を配設することも考えられる。
特開2000−64556 特許第2760259号
しかしながら、オーバーラップ部102の長さをアンダーラップ部103の長さよりも長く構成(L1>L2)して、外装パネル同士を表面側で当接させる構成の場合、次のような課題がある。
図6(b)に示すように、外装パネル101の表面には塗料により塗装膜110が塗られている。このため、地震等の影響で外装パネル101間の位置関係がずれると、オーバーラップ部102の突部102a及びアンダーラップ部103の溝部103aが互いに擦れ、塗装膜110が剥がれてしまう。すると、外装パネル101の相対位置関係が戻ったとしても、外部からの美感を損ねるという問題があった。
そこで本発明の目的は、外装パネルの目地構造において、一時的に相対的な位置関係がずれた場合であっても、外装パネルの美感を損ねさせず、止水性、耐久性に優れる目地構造とすることである。
前記目的を達成するための本発明に係る外装パネルの目地構造は、次の通りである。
(1)
外装パネルに形成された段差によって接合する構成の外装パネルの目地構造であって、前記外装パネルの目地部が、一方の外装パネルのオーバーラップ部及び他方の外装パネルのアンダーラップ部で構成され、外装パネルの表面側目地部には前記外装パネルのオーバーラップ部と他方の外装パネル間に隙間を有し、外装パネルの裏面側目地部には前記外装パネルのアンダーラップ部と一方の外装パネル間で互いに当接する当接面を有することを特徴とする外装パネルの目地構造。
(2)
外装パネルに形成された段差によって接合する構成の外装パネルの目地構造であって、前記外装パネルの目地部が、一方の外装パネルの凸状部及び他方の外装パネルの凹状部で構成され、外装パネルの表面側目地部には前記外装パネルの凸状部と凹状部との間に隙間を有し、外装パネルの裏面側目地部には前記外装パネルの凹状部と一方の外装パネルとで互いに当接する当接面を有することを特徴とする外装パネルの目地構造。
(3)
前記隙間よりも裏面側で且つ前記当接面よりも表面側において、前記オーバーラップ部及び前記アンダーラップ部の間に止水材を有するようにしたことを特徴とする(1)乃至(2)のいずれか1項に記載の外装パネルの目地構造。
上述の構成によれば、表面側に隙間があることで、外装パネルが互いに擦れて美感を損ねることがなくなる。また、裏面が当接されていることで、位置決め部材に対して位置決めを確実に行うことができる。更に、止水材を配設したことで、止水性、耐久性を確保することができる。また、本構成は、いわゆるあいじゃくり構造の外装パネルの接合構造においても、いわゆる実はぎ構造の接合構造においても、適用することができる。
〔実施例1〕
図1を用いて本発明の実施例1を説明する。図1は本実施例の外装パネル1の目地構造(横目地)の断面図である。ここで、図1(a)は概略構成を説明する図であり、図1(b)は目地構造の目地部Aの拡大断面図である。
(目地構造の概略構成)
まず、図1を用いて目地構造の概略構成の説明をする。図1に示すように、外装パネル1の目地部Aは、いわゆるあいじゃくり構造である。目地部Aは、所定の厚み(例えば外装パネル1の厚みの半分)を有するオーバーラップ部2と、オーバーラップ部2と噛み合うアンダーラップ部3とで構成される。オーバーラップ部2とアンダーラップ部3との間には、アンダーラップ部3の表面側(屋外側)に配設された止水材4が配設される。
尚、外装パネル1は、繊維強化セメント板、押出成形板のように、密度の高い硬質のものが好適である。この様な壁材は、目地部Aの形状を形成しやすく、輸送中・施工中の破損を防ぎ易いからである。
止水材4としては工場にて構成させるときには樹脂系のホットメルト等が代表的であり、施工現場にて構成させるときにはブチルゴム・EPDM・ウレタン等の材質でできた、定形の公知の材質のものを適宜使用する。止水材4は、外装パネル1を重ねる前に、アンダーラップ部3の側部3c又はオーバーラップ部2の側部2cのいずれかに塗られており、外装パネル1を互いに重ねると、オーバーラップ部2とアンダーラップ部3とが止水材4を挟んで重なり、防水の役割を担う。
外装パネル1は、釘等の固定手段5を用いて、位置決め部材としての胴縁6に固定される。また胴縁6は、不図示の固定手段により建物躯体8に固定され、胴縁6と建物躯体8との間には防水シート7が配設されている。
図1(b)を用いて、本実施例の代表的な構成を説明する。図1(b)に示すように、外装パネル1の目地部Aは、外装パネル1の表面側目地部を覆うように突出するオーバーラップ部2と、外装パネル1の裏面側目地部を覆うように突出するアンダーラップ部3とが形成される。このため、オーバーラップ部2は、表面側が突部2aとなり、裏面側(屋内側)が溝部2bとなる。一方、アンダーラップ部3は、表面側が溝部3aとなり、裏面側が突部3bとなる。
ここで、本実施例は、外装パネル1の裏面側目地部において、アンダーラップ部3の突部3bとオーバーラップ部2の溝部2bとを突き当てて、外装パネル1を接合させる。即ち、アンダーラップ部3の長さL2をオーバーラップ部2の長さL1よりも長くなるように(L2>L1)構成して、外装パネル1を接合する。このように構成すると、アンダーラップ部3の長さL2とオーバーラップ部2の長さL1との差である長さL3(L2−L1)の隙間Dが外装パネル1の表面側目地部に構成されることになる。
尚、図1は横目地の構造を説明したが、縦目地の場合も同様の構成である。図2は本実施例の外装パネル1の目地構造(縦目地)の断面図である。
図2に示すように、外装パネル1は、その裏面側で胴縁6に当接される。また、外装パネル1の裏面側目地部において、オーバーラップ部2の溝部2bとアンダーラップ部3の突部3bとで当接させて胴縁6に取り付けられ、釘等の固定手段5により固定される。ここで、組立性向上のため、胴縁6に外装パネル1の設置位置にケガキ線K等の目印をしてもよい。
(目地構造の詳細構成)
図3を用いて本実施例の目地構造の詳細構成を説明する。図3は目地部Aの拡大図である。図3(a)は工場で塗装膜10を塗った場合の断面図であり、図3(b)は施工現場で塗装膜10を塗った場合の断面図である。尚、図3(b)では、徐々に塗装が薄くなっている。これは、施工現場では表面側から塗装作業を行うため、表面側よりも裏面側の塗装が薄くなることを表しているが、本発明の構成には直接関係するものではなく、これに限定されるものではない。
前述のように、図3において、本実施例のオーバーラップ部2の長さL1とアンダーラップ部3の長さL2とは、L2>L1の関係がある。このため、オーバーラップ部2の突部2aとアンダーラップ部3の溝部3aとはL3(=L2−L1)の間隔がある。
ここで、図3に示すように、外装パネル1の表面には、塗装膜10が形成されている。このため、実際にはオーバーラップ部2の突部2aとアンダーラップ部3の溝部3aとの間隔は、塗装膜10の厚さを差し引いて、長さL3より小さい長さL4となる。ここで、具体的には、長さL3が2mm以上となるように、オーバーラップ部2の突部2aとアンダーラップ部3の溝部3aとの間隔を構成することが好ましい。
(目地構造の作用・効果)
上述の構成により、本実施例の目地構造は次のような作用効果を有する。
外装パネル1の表面側において、オーバーラップ部2の突部2aとアンダーラップ部3の溝部3aとの間には間隔が開く。すると、外装パネル1が地震等により一時的に外力が加わっても、隣接する外装パネル1の塗装膜10同士に擦れが生じない。このため、塗装膜10が剥がれることがない。このように、本実施例によれば、塗装膜10が互いに擦れて剥がれることを防止することができ、外装パネル1の美感を損ねることがない。また、外装パネル1の美感を長期間維持することができる。
また、図3に示すオーバーラップ部2の突部2aとアンダーラップ部3の溝部3aとの間隔L3は、2mm以上となるように構成することが好ましい。このように構成することで、塗装膜10を裏面側まで十分に塗装することができる。また、外装パネル1の表面側目地部に隙間Dが生じることで、隙間Dの陰影が外装パネル1に奥行き観を生み、重みのある意匠となる。このように、意匠性を向上させることができる。
本実施例においては、外装パネル1の裏面側目地部において、オーバーラップ部2の溝部2bとアンダーラップ部3の突部3bとが当接している。このように構成することで、外装パネル1の固定作業を行う際に、作業者は、図2に示す胴縁6に記されているケガキ線Kに対して、外装パネル1のアンダーラップ部3の突部3bの端部位置が合っていることを直接視認しながら作業を行うことができる。このため、外装パネル1の位置決めを、ケガキ線Kに対して確実に行うことができ、作業性を向上させることができる。
〔実施例2〕
図4を用いて本発明の実施例2を説明する。図4は本実施例の外装パネル1の目地構造の断面図である。図4(a)は横目地の場合を示し、図4(b)は縦目地の場合を示す。前述と同様の構成については、同符号を付し、説明を省略する。
前述の実施例において、図1(b)に示すように、オーバーラップ部2の突部2aと溝部2bの間の側部2cの面は、突部2a及び溝部2bの面に対して直交するように構成されている。また、アンダーラップ部3の側部3cの面も、溝部3a及び突部3bの面に対して直交するように構成されている。
これに対して、本実施例においては、オーバーラップ部2の側部2cとアンダーラップ部3の側部3cは、いずれも、突部2a、溝部2b、溝部3a、突部3bに対して直交しない。即ち、図4に示すように、側部2cの面は、溝部2bの面に対して、所定の角度θ1(45°≦θ1<90°)を有するように構成されている。一方、側部3cの面も同様に、溝部3aに対して、所定の角度θ2(45°≦θ2<90°)を有するように構成されている。
このように構成すると、オーバーラップ部2における突部2aと側部2cとがなす角度θ3と、アンダーラップ部3における突部3bと側部3cとがなす角度θ4とが、いずれも鈍角になる。このように構成すると、突部2a、3bから外装パネル1の溝部2b、3a側にいくに従って外装パネル1の厚みが増すことになる。すると、外装パネル1のオーバーラップ部2、アンダーラップ部3は、応力や衝撃力に強い構成となる。このため、搬送時、施工時の外装パネル1の、目地部Aにおけるオーバーラップ部2及びアンダーラップ部3の強度を上げることができ、外装パネル1の目地部Aの破損を防止することができる。この様な構成はALCを代表とする多孔質性の材料に適している。
〔実施例3〕
図5を用いて本発明の実施例3を説明する。図5は本実施例の外装パネル1の目地構造の断面図である。図5(a)は横目地の場合を示し、図5(b)は縦目地の場合を示す。前述と同様の構成については、同符号を付し、説明を省略する。
前述の実施例では、外装パネル1の端部を同じような段差を形成して、互いに噛み合わせて接ぐ「あいじゃくり」構造であったが、これに限るものではなく、表面側に隙間Dがあり、裏面側が当接していればよい。このため、例えば、図5に示すように、外装パネル1の一方の目地部に形成される凹状の溝部12bを有する凹状部12と、外装パネル1の他方の目地部に形成される凸状の突部13bを有する凸状部13とを有する、いわゆる「実はぎ」構造でもよい。
本実施例の構成を説明する。まず、凹状部12は、表面側目地部から裏面側目地部にかけて、突部12a、溝部12b、突部12cが形成される。そして、突部12aと溝部12bとの間に側部12dが、溝部12bと突部12cとの間に側部12eが形成される。同様に、凸状部13は、表面側目地部から裏面側目地部にかけて、溝部13a、突部13b、溝部13cが形成され、その間を側部13d、13eが形成される。
本実施例においては、図5に示すように、外装パネル1の裏面側目地部において、凹状部12の突部12cと凸状部13の溝部13cとを当接させる。一方、外装パネル1の表面側目地部において、凹状部12の突部12aと溝部13aとの間に、長さL4の隙間Dを開ける。また、凹状部12の溝部12bと凸状部13の突部13bとの間に止水材4を配設する。
本実施例においても、実施例2と同様に、凹状部12の表面側の突部12aと隣接する側部12dとのなす角度θ1と、凸状部13の表面側の溝部13aと隣接する側部13dとのなす角度θ2とを、45°≦θ1及びθ2<90°とする。これにより、外装パネル1の強度を保つことができる。
また、本実施例の構成において、図5(b)に示すように、裏面側で当接する突部12c及び溝部13cと、表面側で突部12a及び溝部13aが構成する隙間Dの中央とを、一直線上になるように構成することで、次のような効果がある。
通常、パネル水平方向のジョイント等は、柱、間柱の中心線を基準に取り付けることが多い。このため、ケガキ線Kも胴縁6の中心線に書くことが多い。図2に示されるあいじゃくりの構成の場合、ケガキ線は中心線よりアンダーラップ部3b分離れた距離に記さねばならなかったが、本実施例のように、突部12c又は溝部13cと隙間Dの中央部とが一直線上にあると、組立作業時に突部12c又は溝部13cの後端部をケガキ線Kに合わせると、隙間Dが、ちょうどケガキ線Kと重なる位置に配置されることになる。このため、隙間Dの位置が胴縁6の中心線の位置と一致しているかどうかの確認がとり易くなり、簡便に作業をすることができる。
尚、本実施例においては、止水材4は、溝部12bと突部13bとの間に配設したが、これに限るものではない。隙間Dよりも裏面側で突部12c及び溝部13cの当接面よりも表面側の間ならば、どの位置に配設してもよい。また防水に対する要求条件もしくはアンダーラップ部の長さ設定によっては、止水材を省略する事も可能である。
本発明は、建物の外装を板壁とする場合、外装パネル全般に利用することができる。
実施例1の外装パネル1の目地構造(横目地)の断面図。 実施例1の外装パネル1の目地構造(縦目地)の断面図。 実施例1の目地部Aの拡大図。 実施例2の外装パネル1の目地構造の断面図。 実施例3の外装パネル1の目地構造の断面図。 従来の外装パネルの接合構成を示す断面図。
符号の説明
A…目地部、D…隙間、K…ケガキ線、1…外装パネル、2…オーバーラップ部、2a…突部、2b…溝部、2c…側部、3…アンダーラップ部、3a…溝部、3b…突部、3c…側部、4…止水材、5…固定手段、6…胴縁、7…防水シート、8…建物躯体、10…塗装膜、12…凹状部、12a…突部、12b…溝部、12c…突部、12d…側部、12e…側部、13…凸状部、13a…溝部、13b…突部、13c…溝部、13d…側部、13e…側部

Claims (3)

  1. 外装パネルに形成された段差によって接合する構成の外装パネルの目地構造であって、
    前記外装パネルの目地部が、一方の外装パネルのオーバーラップ部及び他方の外装パネルのアンダーラップ部で構成され、
    外装パネルの表面側目地部には前記外装パネルのオーバーラップ部と他方の外装パネル間に隙間を有し、
    外装パネルの裏面側目地部には前記外装パネルのアンダーラップ部と一方の外装パネル間で互いに当接する当接面を有することを特徴とする外装パネルの目地構造。
  2. 外装パネルに形成された段差によって接合する構成の外装パネルの目地構造であって、
    前記外装パネルの目地部が、一方の外装パネルの凸状部及び他方の外装パネルの凹状部で構成され、
    外装パネルの表面側目地部には前記外装パネルの凸状部と凹状部との間に隙間を有し、
    外装パネルの裏面側目地部には前記外装パネルの凹状部と一方の外装パネルとで互いに当接する当接面を有することを特徴とする外装パネルの目地構造。
  3. 前記隙間よりも裏面側で且つ前記当接面よりも表面側において、前記オーバーラップ部及び前記アンダーラップ部の間に止水材を有するようにしたことを特徴とする請求項1乃至2のいずれか1項に記載の外装パネルの目地構造。
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