JP2007154210A - ポリエステル組成物およびコネクター - Google Patents

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貞紀 熊澤
Hirokazu Oome
裕千 大目
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憲一 歌崎
Jiro Kumaki
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Abstract

【課題】 耐加水分解性に優れ、さらに溶融時のガスの発生や粘度変化が少ないポリエステル組成物を提供する。
【解決手段】カルボキシル末端基濃度が7eq/t以下である ポリエステル100重量部に(b)グリシジルエステル化合物0.1〜2重量部(c)分子内にグリシジル基を2つ以上有するグリシジルエーテル化合物0.5〜3重量部および(d)触媒0.001〜1重量部、さらには耐衝撃改良材を溶融混練してなることを特徴とするポリエステル組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、耐加水分解性に優れ、さらに溶融時のガスの発生や粘度変化が少ないポリエステル組成物に関するものである。
ポリエステル、なかでもポリブチレンテレフタレート(以下PBTと称する)は、成形性、耐熱性、機械的性質および耐薬品性などに優れているため、自動車や電気・電子機器のコネクター、リレー、スイッチなどの部品のように各種成形材料として広く用いられている。
しかしながら、PBTは耐加水分解性に問題がある。PBTの耐加水分解性はカルボキシル末端基濃度に大きく依存すると考えられており、高温高湿雰囲気などの厳しい環境においても十分に使用可能な耐加水分解性を実現するために、カルボキシル末端基濃度が低いPBTが求められている。
これについて各種の方法が検討されている。例えば、フェニルグリシジルエーテル化合物を添加する方法(特許文献1参照)、モノグリシジルエステル化合物を添加する方法(特許文献2参照)、グリシジルエステル化合物およびグリシジルエーテル化合物を添加する方法(特許文献3参照)などが提案されているが、耐加水分解性が不十分であったり、溶融時に増粘するなどの問題が生じた。また、エポキシ化合物に加え、さらに触媒となるような添加剤を添加する方法も知られている(特許文献4〜14参照)。しかしながら、特許文献4〜9に記載されているように単にエポキシ化合物と特定の触媒と組み合わせるのみでは、まだ十分な効果を得るには至らず、特許文献10〜14に記載されているように単一の特定のエポキシ化合物を使用し触媒を添加するのみでは、カルボキシル末端基濃度が減少し耐加水分解性が向上するものの、その効果は十分でなく、また加工時や使用時にガスが大量に発生したり、成形品を加水分解処理した際にブリードアウトするなどの問題があり、十分に満足できる方法は得られていない。
特公昭44−27911号公報 特開昭57−87452号公報 特開昭58−52344号公報 米国特許第4229553号公報 特公昭63−47804号公報 特開平3−287657号公報 特表平5−506055号公報 米国特許第5026790号公報 特開平6−287419号公報 特開平5−222279号公報 米国特許5026790号公報 特公平7−47685号公報 米国特許第5026790号公報 米国特許第5731390号公報
本発明は、上述した従来技術における問題点の解決を課題として検討した結果達成されたものである。
従って、本発明の目的は、耐加水分解性に優れ、さらに溶融時のガスの発生や粘度変化が少ないポリエステル組成物を提供することにある。
上記の目的を達成するために、本発明のポリエステル組成物は、(a)ポリエステルに(b)グリシジルエステル化合物、(c)グリシジルエーテル化合物および(d)触媒を溶融混練してなることを特徴とするものであり、これにより耐加水分解性に優れ、さらに溶融時のガスの発生や粘度変化が少ないポリエステル組成物を提供することができる。
なお、本発明のポリエステル組成物は、前記(a)ポリエステル100重量部に対して(e)耐衝撃性改良材1〜100重量部を溶融混練してなること、前記(a)ポリエステル100重量部に対して(f)充填材1〜100重量部を溶融混練してなること、ポリエステル組成物中のカルボキシル末端基濃度が5eq/t以下であること、前記(b)グリシジルエステル化合物が分子内にグリシジル基を一つ有する化合物であること、
前記(b)グリシジルエステル化合物が、飽和脂肪族モノカルボン酸のグリシジルエステル化合物または芳香族モノカルボン酸のグリシジルエステル化合物であること、前記(b)グリシジルエステル化合物が、安息香酸グリシジルエステルまたはバーサティック酸グリシジルエステルであること、前記(c)グリシジルエーテル化合物が分子内にグリシジル基を一つもしくは二つ有する化合物であること、前記(c)グリシジルエーテル化合物が、芳香族グリシジルエーテルであること、前記(c)グリシジルエーテル化合物が、フェニルグリシジルエーテルまたはビスフェノールAジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂であること、前記(d)触媒が、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の有機塩であること、前記(d)触媒が、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の炭素数6以上の有機酸塩であること、前記(d)触媒が、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウムのいずれか一種以上であること、前記ポリエステルがジカルボン酸あるいはそのエステル形成性誘導体と1,4−ブタンジオールを主成分とする縮合反応により得られる重合体ないしは共重合体、あるいはこれらの混合物であることが、いずれも好ましい条件である。
さらに、本発明は(a)ポリエステルに(b)グリシジルエステル化合物、(c)グリシジルエーテル化合物および(d)触媒を溶融混練することを特徴とするポリエステル組成物の製造方法である。
さらに、本発明は上記ポリエステル組成物からなるコネクターである。
本発明の効果発現については明らかでないが、カルボキシル末端基との反応性などの性質が異なる(b)グリシジルエステル化合物と(c)グリシジルエーテル化合物を併用し、さらに(d)触媒を併用することで、(a)ポリエステルに元々存在するカルボキシル末端基との反応性だけでなく、加水分解により新たに生成するカルボキシル末端基との反応性により、カルボキシル末端基濃度の増加が顕著に抑制されることが考えられる。
本発明のポリエステル組成物は、耐加水分解性に優れ、さらに溶融時のガスの発生や粘度変化が少ないため、自動車用コネクター、電気・電子機器用コネクターなどとして有用である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明で用いる(a)ポリエステルとはジカルボン酸(あるいは、そのエステル形成性誘導体)とジオール(あるいはそのエステル形成性誘導体)とを主成分とする縮合反応により得られる重合体ないしは共重合体、あるいはこれらの混合物である。
上記ジカルボン酸成分としてはテレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、ビス(p−カルボキシフェニル)メタン、アントラセンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカンジオン酸などの脂肪族ジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸およびこれらのエステル形成性誘導体などが挙げられる。また、ジオール成分としては炭素数2〜20の脂肪族グリコールすなわち、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、デカメチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジオールなど、あるいは分子量400〜6000の長鎖グリコール、すなわちポリエチレングリコール、ポリ−1、3−プロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどおよびこれらのエステル形成性誘導体などが挙げられる。
これらの重合体ないし共重合体の好ましい例としてはポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレートおよびポリエチレン−1,2−ビス(フェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボキシレートなどのほか、ポリエチレンイソフタレート/テレフタレート、ポリブチレンテレフタレート/イソフタレート、ポリブチレンテレフタレート/アジペート、ポリブチレンテレフタレート/セバケート、ポリブチレンテレフタレート/デカンジカルボキシレート、ポリエチレンテレフタレート/アジペート、ポリエチレンテレフタレート/5−ナトリウムスルホイソフタレート、ポリブチレンテレフタレート/5−ナトリウムスルホイソフタレートなどが挙げられ、これらは1種または2種以上使用することができる。なかでも、ポリエステル組成物の成形性の観点から、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート/アジペート、ポリブチレンテレフタレート/デカンジカルボキシレート、ポリエチレンテレフタレート/アジペートなどが好ましく、さらに好ましいのはポリブチレンテレフタレート、その共重合およびこれらの混合物である。
なお、使用する(a)ポリエステルは0.5%のオルトクロルフェノール溶液を25℃で測定した固有粘度が0.5〜1.5dl/gの範囲のものが好ましい。
本発明において用いられる(b)グリシジルエステル化合物とは、エステル化されたグリシジル基を有する化合物のことであり、その具体例としては、安息香酸グリシジルエステル、p−トルイル酸グリシジルエステル、シクロヘキサンカルボン酸グリシジルエステル、ステアリン酸グリシジルエステル、ラウリン酸グリシジルエステル、パルミチン酸グリシジルエステル、バーサティック酸グリシジルエステル、オレイン酸グリシジルエステル、リノール酸グリシジルエステル、リノレン酸グリシジルエステル、テレフタル酸ジグリシジルエステル、イソフタル酸ジグリシジルエステル、フタル酸ジグリシジルエステル、ナフタレンジカルボン酸ジグリシジルエステル、ビ安息香酸ジグリシジルエステル、メチルテレフタル酸ジグリシジルエステル、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、テトラヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、シクロヘキサンジカルボン酸ジグリシジルエステル、アジピン酸ジグリシジルエステル、コハク酸ジグリシジルエステル、セバシン酸ジグリシジルエステル、ドデカンジオン酸ジグリシジルエステル、オクタデカンジカルボン酸ジグリシジルエステル、トリメリット酸トリグリシジルエステル、ピロメリット酸テトラグリシジルエステルなどが挙げられ、これらは1種または2種以上使用することができる。なかでも、溶融粘度安定性の観点から、分子内にグリシジル基を一つ有する化合物が好ましく、さらに飽和脂肪族モノカルボン酸のグリシジルエステル化合物または芳香族モノカルボン酸のグリシジルエステルであることが好ましく、さらに安息香酸グリシジルエステルやバーサティック酸グリシジルエステルがより好ましい。
(b)グリシジルエステル化合物の添加量は、ポリエステル100重量部に対して0.1〜3重量部が好ましく、また0.1〜2重量部がより好ましく、さらには0.3〜1.5重量部が最も好ましい。
本発明において用いられる(c)グリシジルエーテル化合物とは、エーテル化されたグリシジル基を有する化合物のことであり、その具体例としては、ブチルグリシジルエーテル、ステアリルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、o−フェニルフェニルグリシジルエーテル、エチレンオキシドラウリルアルコールグリシジルエーテル、エチレンオキシドフェノールグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、ポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホンなどのビスフェノール類とエピクロルヒドリンとの縮合反応から得られるビスフェノールAジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、ビスフェノールFジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、ビスフェノールSジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂などが挙げられ、これらは1種または2種以上使用することができる。なかでも、溶融粘度安定性の観点から、分子内にグリシジル基を一つ、または二つ有する化合物が好ましく、さらに芳香族グリシジルエーテルが好ましく、さらにフェニルグリシジルエーテルやビスフェノールAジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂がより好ましい。
(c)グリシジルエーテル化合物の添加量は、ポリエステル100重量部に対して0.1〜5重量部が好ましく、また0.5〜3重量部がより好ましく、さらには1.0〜2.5重量部が最も好ましい。
本発明において用いられる(d)触媒とは、グリシジル基と(a)ポリエステルのカルボキシル末端基との反応を促進する効果のある化合物であり、その具体例としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化セシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸リチウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸リチウム、水素化ほう素ナトリウム、水素化ほう素リチウム、フェニル化ほう素ナトリウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸リチウム、りん酸水素二ナトリウム、りん酸水素二カリウム、りん酸水素二リチウム、ビスフェノールAの二ナトリウム塩、同二カリウム塩、同二リチウム塩、フェノールのナトリウム塩、同カリウム塩、同リチウム塩、同セシウム塩などのアルカリ金属化合物、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化マグネシウム、水酸化ストロンチウム、炭酸水素カルシウム、炭酸バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸ストロンチウム、酢酸カルシウム、酢酸バリウム、酢酸マグネシウム、酢酸ストロンチウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸ストロンチウムなどのアルカリ土類金属化合物、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリヘキシルアミン、トリアミルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、トリエチレンジアミン、ジメチルフェニルアミン、ジメチルベンジルアミン、2−(ジメチルアミノメチル)フェノール、ジメチルアニリン、ピリジン、ピコリン、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7などの3級アミン、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−イソプロピルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、4−フェニル−2−メチルイミダゾールなどのイミダゾール化合物、テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムブロマイド、トリメチルベンジルアンモニウムクロライド、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド、トリプロピルベンジルアンモニウムクロライド、N−メチルピリジニウムクロライドなどの第4級アンモニウム塩、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリオクチルホスフィンなどのホスフィン化合物、テトラメチルホスホニウムブロマイド、テトラブチルホスホニウムブロマイド、テトラフェニルホスホニウムブロマイド、エチルトリフェニルホスホニウムブロマイド、トリフェニルベンジルホスホニウムブロマイドなどのホスホニウム塩、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、トリ(p−ヒドロキシ)フェニルホスフェート、トリ(p−メトキシ)フェニルホスフェートなどのリン酸エステル、シュウ酸、p−トルエンスルホン酸、ジノニルナフタレンジスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸などの有機酸、三フッ化ホウ素、四塩化アルミニウム、四塩化チタン、四塩化スズなどのルイス酸などが挙げられ、これらは1種または2種以上使用することができる。なかでも、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、リン酸エステルを使用するのが好ましく、特にアルカリ金属、またはアルカリ土類金属の有機塩を好ましく使用することができる。特に好ましい化合物は、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸カルシウム、酢酸マグネシウムである。さらにアルカリ金属またはアルカリ土類金属の炭素数6以上の有機塩が好ましく、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウムをいずれか一種以上用いることが好ましい。
(d)触媒の添加量は、特に限定されるものではないが、ポリエステル100重量部に対して0.001〜1重量部が好ましく、また0.01〜0.1重量部がより好ましく、さらには0.03〜0.1重量部が最も好ましい。触媒量が 0.001重量部未満では加水分解性の改善が不充分であり、逆に1重量部を越えると副反応等による物性低下が無視できなくなる。
本発明においてポリエステル組成物の機械強度その他の特性を付与するために(e)耐衝撃改質材を使用することができる。(e)耐衝撃改質材としては、ポリエステルに対して公知のものを使用することができ、具体的には、天然ゴム、低密度ポリエチレンや高密度ポリエチレンなどのポリエチレン、ポリプロピレン、耐衝撃改質ポリスチレン、ポリブタジエン、スチレン・ブタジエン共重合体、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・アクリル酸メチル共重合体、エチレン・アクリル酸エチル共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・グリシジルメタクリレート共重合体、ポリエチレンテレフタレート・ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコールブロック共重合体、ポリエチレンテレフタレート/イソフタレート・ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコールブロック共重合体などが挙げられ、これらは1種または2種以上使用することができる。
(e)耐衝撃改質材の添加量はポリエステル100重量部に対し0.1〜100重量部、特に好ましくは1〜50重量部である。
本発明においてポリエステル組成物の機械強度その他の特性を付与するために(f)充填材を使用することが可能であり、その種類は特に限定されるものではないが、繊維状、板状、粉末状、粒状などの充填材を使用することができる。具体的には、ガラス繊維、PAN系やピッチ系の炭素繊維、ステンレス繊維、アルミニウム繊維や黄銅繊維などの金属繊維、芳香族ポリアミド繊維などの有機繊維、石膏繊維、セラミック繊維、アスベスト繊維、ジルコニア繊維、アルミナ繊維、シリカ繊維、酸化チタン繊維、炭化ケイ素繊維、ロックウール、チタン酸カリウムウィスカー、チタン酸バリウムウィスカー、ほう酸アルミウィスカー、窒化ケイ素ウィスカーなどの繊維状、ウィスカー状充填材、マイカ、タルク、カオリン、シリカ、炭酸カルシウム、ガラスビーズ、ガラスフレーク、ガラスマイクロバルーン、クレー、二硫化モリブデン、ワラステナイト、モンモリロナイト、酸化チタン、酸化亜鉛、ポリリン酸カルシウム、グラファイトなどの粉状、粒状あるいは板状の充填材が挙げられ、なかでもガラス繊維が好ましい。ガラス繊維の種類は、一般に樹脂の強化用に用いるものなら特に限定はなく、例えば長繊維タイプや短繊維タイプのチョップドストランド、ミルドファイバーなどから選択して用いることができる。また、上記の(f)充填材は2種以上を併用して使用することもできる。なお、本発明に使用する上記の(f)充填材はその表面を公知のカップリング剤(例えば、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤など)、その他の表面処理剤で処理して用いることもできる。また、ガラス繊維はエチレン/酢酸ビニル共重合体などの熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂で被覆あるいは集束されていてもよい。
(f)充填材の添加量はポリエステル100重量部に対し0.1〜100重量部、特に好ましくは1〜50重量部である。
本発明のポリエステル組成物に対し、本発明の目的を損なわない範囲で、通常の添加剤、例えば難燃剤、核剤、紫外線吸収剤、熱安定剤、滑剤、離形剤、染料および顔料を含む着色剤などの1種または2種以上を添加することができる。また、他の熱可塑性樹脂(例えばポリアミド、ポリアセタール、ポリカーボネートなど)や熱硬化性樹脂(例えばフェノール樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂など)などを少量の割合で含有することもできる。
本発明の製造方法は、特に限定されるものではないが、(a)ポリエステルに(b)グリシジルエステル化合物、(c)グリシジルエーテル化合物および(d)触媒を溶融混練することが必要であり、好ましくは(a)ポリエステルの融点以上において、(a)ポリエステル、(b)グリシジルエステル化合物、(c)グリシジルエーテル化合物、(d)触媒および必要に応じてその他の添加剤をドライブレンドした後に押出機を用いて溶融混練する方法や、投入口を2カ所有する押出機を用い、スクリュー根元側に設置した主投入口から(a)ポリエステル、(b)グリシジルエステル化合物、(d)触媒および必要に応じてその他の添加剤を供給し、主投入口と押出機先端の間に設置した副投入口から(c)グリシジルエーテル化合物を供給し溶融混合する方法などが挙げられる。
なお、得られた組成物は、通常公知の射出成形、押出成形などの任意の方法で成形することができる。
本発明のポリエステル組成物においては、耐加水分解性を達成するための第一の要因として、カルボキシル末端基との反応性などの性質が異なる(b)グリシジルエステル化合物と(c)グリシジルエーテル化合物に(d)触媒を併用し、(a)ポリエステルに元々存在するカルボキシル末端基を反応により減少させることが重要であると考えられ、その観点から、溶融混練後のポリエステル組成物中のカルボキシル末端基濃度はできる限り低いことが好ましく、5eq/t以下であることが特に好ましい。さらに、耐加水分解性を達成するための第二の要因として、加水分解により新たに生成するカルボキシル末端基も反応させて増加を抑制することが重要であると考えられ、これら二つの要因により、本発明は達成されたものである。なお、ポリエステル組成物中のカルボキシル末端基濃度は、ポリマーを溶媒に溶解後滴定する方法や高分解能NMRにより定量する方法で求めることができる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。各特性の測定方法は以下の通りである。
(1)ガス発生量
溶融混合したペレットを計量した後、熱風乾燥機中に260℃で30分放置した。その後、乾燥機から取り出し、その重量を測定し減少分をガス発生量とした。
(2)機械特性
射出成形したASTM−1号ダンベル試験片についてASTM D−638に従い、引張降伏強度、引張破断強度を測定した。
(3)耐加水分解性の評価
作製した試験片をプレッシャークッカー試験装置中に温度121℃、相対湿度100%の条件で200時間放置した。その後、装置から取り出し、その引張降伏強度、引張破断強度を上記の方法(2)により測定した。
また、カルボキシル末端基濃度は、試験片をo−クレゾール/クロロホルム溶媒に溶解し、エタノール性水酸化カリウムで滴定して測定した。
(4)溶融粘度安定性の評価
ASTM D−1238に準じて、メルトインデクサーにより、250℃、荷重1kgでのメルトフローレート(MFR)を5分後、20分後で測定した。
[実施例1〜8、比較例1〜11]
固有粘度0.89dl/gかつカルボキシル末端基濃度36eq/tのPBT100重量部に対して、表1記載の割合でグリシジルエステル化合物、グリシジルエーテル化合物、その他のエポキシ化合物および触媒をドライブレンドした後、250℃に設定した30mmφ二軸スクリュー押出機を使用して溶融混合ペレタイズを行った。
得られたペレットを250℃に設定したスクリューインライン型射出成形機を使用してASTM−1号ダンベル試験片を金型温度80℃で成形した。
各サンプルのガス発生量、溶融粘度安定性、機械特性および耐加水分解性の測定結果を表1に示す。
Figure 2007154210
Figure 2007154210
表1の結果から明らかなように、本発明のポリエステル組成物は、耐加水分解性に優れ、さらに溶融時のガスの発生や粘度変化が少ない。
[実施例9〜16、比較例12〜22]
固有粘度0.82dl/gかつカルボキシル末端基濃度40eq/tのPBT100重量部に対してガラス繊維を20重量部およびエチレン・アクリル酸エチル共重合体を5重量部添加する以外は表2に記載の組成で実施例1と同様な方法で押出、成形、評価を行った。これらの結果を表2に示す。
Figure 2007154210
Figure 2007154210
表2の結果から明らかなように、ガラス繊維およびエチレン・アクリル酸エチル共重合体を添加した場合にも、本発明のポリエステル組成物は、耐加水分解性に優れ、さらに溶融時のガスの発生や粘度変化が少ない。
本発明の方法により得られるポリエステル組成物は、耐加水分解性に優れ、さらに溶融時のガス発生量や粘度変化が少ないことを活かして、自動車部品、電気・電子機器部品などの成形材料として広く用いることができ、特に自動車用コネクター、電気・電子機器用コネクターとして好適である。

Claims (15)

  1. (a)ポリエステル100重量部に対して(b)グリシジルエステル化合物0.1〜2重量部、(c)分子内にグリシジル基を二つ以上有するグリシジルエーテル化合物0.5〜3重量部および(d)触媒0.001〜1重量部を溶融混練してなることを特徴とするポリエステル組成物であって、ポリエステル組成物中のカルボキシル末端基濃度が7eq/t以下であることを特徴とするポリエステル組成物。
  2. 前記(a)ポリエステル100重量部に対して(e)耐衝撃性改良材1〜100重量部を溶融混練してなることを特徴とする請求項1に記載のポリエステル組成物。
  3. 前記(a)ポリエステル100重量部に対して(f)充填材1〜100重量部を溶融混練してなることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載のポリエステル組成物。
  4. ポリエステル組成物中のカルボキシル末端基濃度が5eq/t以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポリエステル組成物。
  5. 前記(b)グリシジルエステル化合物が分子内にグリシジル基を一つ有する化合物であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のポリエステル組成物。
  6. 前記(b)グリシジルエステル化合物が、飽和脂肪族モノカルボン酸のグリシジルエステル化合物または芳香族モノカルボン酸のグリシジルエステル化合物であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のポリエステル組成物。
  7. 前記(b)グリシジルエステル化合物が、安息香酸グリシジルエステルまたはバーサティック酸グリシジルエステルであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のポリエステル組成物。
  8. 前記(c)グリシジルエーテル化合物が、芳香族グリシジルエーテルであることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のポリエステル組成物。
  9. 前記(c)グリシジルエーテル化合物が、ビスフェノールAジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のポリエステル組成物。
  10. 前記(d)触媒が、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の有機塩であることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載のポリエステル組成物。
  11. 前記(d)触媒が、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の炭素数6以上の有機酸塩であることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載のポリエステル組成物。
  12. 前記(d)触媒が、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウムのいずれか一種以上であることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載のポリエステル組成物。
  13. 前記ポリエステルが芳香族ジカルボン酸あるいはそのエステル形成性誘導体と1,4−ブタンジオールを主成分とする縮合反応により得られる重合体ないしは共重合体、あるいはこれらの混合物であることを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載のポリエステル組成物。
  14. (a)ポリエステルに(b)グリシジルエステル化合物、(c)グリシジルエーテル化合物および(d)触媒を溶融混練することを特徴とするポリエステル組成物の製造方法。
  15. 請求項1〜14のいずれかに記載のポリエステル組成物からなるコネクター。
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