JP2007154091A - 水性樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】 作業性や得られる加工物の耐食性、ワニスの保存安定性を損なうことなく、ワニスや塗料用組成物中の不揮発分(固形分)含有量を増量させることができ、塗料、接着剤、繊維集束剤、コンクリートプライマー等に好適に用いることができる水性樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】 エポキシ樹脂(a1)と、ポリオキシアルキレンアミン化合物(a2)とその他の1級アミン(a3)とを、エポキシ樹脂(a1)のエポキシ当量と、ポリオキシアルキレンアミン化合物(a2)の活性水素当量とその他の1級アミン(a3)の活性水素当量の合計との当量比(a1)/[(a2)+(a3)]が、1.0/1.0〜1.0/1.5の範囲で仕込み、反応させて得られる変性樹脂(A)と水(B)とを含有することを特徴とする水性樹脂組成物。
【選択図】 なし

Description

本発明は、作業性や得られる加工物の耐食性、ワニスの保存安定性を損なうことなく、ワニスや塗料用組成物中の不揮発分(固形分)含有量を増量させることができ、塗料、接着剤、繊維集束剤、コンクリートプライマー等に好適に用いることができる水性樹脂組成物に関する。
エポキシ樹脂組成物は一般的に得られる硬化物の機械的性質、耐食性、密着性等に優れるため、塗料、接着剤、積層板、電気・電子部品用途等の各分野で広く使用されている。エポキシ樹脂は有機溶剤に希釈し組成物として使用されることが多いが、近年の環境問題から、エポキシ樹脂が有する上述の高性能を損なうことなく、該組成物中から排出する有機溶剤量の低減が望まれている。
上記問題に対し、従来溶剤が水主体である水性エポキシ樹脂組成物とすることで解決を図る方法が行われており、例えば、アミン変性エポキシ樹脂に4級オニウム塩を導入し、水性化する手法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。しかしながら、前記特許文献1記載の手法では、エポキシ樹脂の水溶性化を達成したものの、該樹脂の粘度が高く、これを用いて得られる塗料用樹脂組成物等に含まれる不揮発分(固形分)を増量することができず、厚塗り使用できないために使用できる場面が限られており、また、乾燥工程等に伴って排出される廃棄物量も多くなる問題があり、解決方法が求められている。
特開2005−239928号公報(第5〜6頁)
上記実状に鑑み、本発明の課題は、作業性や得られる加工物の耐食性、ワニスの保存安定性を損なうことなく、ワニスや塗料用組成物中の不揮発分(固形分)含有量を増量させることができ、塗料、接着剤、繊維集束剤、コンクリートプライマー等に好適に用いることができる水性樹脂組成物を提供することにある。
本発明者は上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、特定のアミノ基含有化合物によりエポキシ樹脂を変性した重付加物をバインダー樹脂とする水性樹脂組成物は、優れたワニス安定性と塗膜性能を両立し、保存中や加工時の臭気の発生がなく、且つ、不揮発分を増量できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち本発明は、エポキシ樹脂(a1)と、ポリオキシアルキレンアミン化合物(a2)とその他の1級アミン(a3)とを、エポキシ樹脂(a1)のエポキシ当量と、ポリオキシアルキレンアミン化合物(a2)の活性水素当量とその他の1級アミン(a3)の活性水素当量の合計との当量比(a1)/[(a2)+(a3)]が、1.0/1.0〜1.0/1.5の範囲で仕込み、反応させて得られる変性樹脂(A)と水(B)とを含有することを特徴とする水性樹脂組成物を提供するものである。
更に本発明は、エポキシ樹脂(a1)とポリオキシアルキレンアミン化合物(a2)とその他の1級アミン(a3)とグリシジル基含有4級オニウム塩(a4)とを反応させて得られる変性樹脂(C)と水(B)とを含有することを特徴とする水性樹脂組成物をも提供するものである。
本発明によれば、作業性や得られる加工物の耐食性、ワニスの保存安定性を損なうことなく、ワニスや塗料用組成物中の不揮発分(固形分)含有量を増量させることができ、塗料、接着剤、繊維集束剤、コンクリートプライマー等に好適に用いることができる水性樹脂組成物を提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明で用いる変性樹脂(A)は、エポキシ樹脂(a1)とポリオキシアルキレンアミン化合物(a2)とその他の1級アミン(a3)とを、エポキシ樹脂(a1)のエポキシ当量と、ポリオキシアルキレンアミン化合物(a2)の活性水素当量とその他の1級アミン(a3)の活性水素当量の合計との当量比(a1)/[(a2)+(a3)]が、1.0/1.0〜1.0/1.5の範囲で反応させて得られる化合物である。
前記仕込みの当量比が1.0/1.0よりエポキシ樹脂の割合が多くなった場合、水性樹脂組成物としたときの保存安定性が悪く、該当量比が1.0/1.5よりアミンの割合が多くなると、得られる樹脂の分子量が小さく、塗料等に用いた場合の耐食性や基材との密着性において満足できるレベルではなく、好ましくない。更に好ましい仕込み当量比としては前述の(a1)/[(a2)+(a3)]が1.0/1.0〜1.0/1.3の範囲である。
前記エポキシ樹脂(a1)としては、特に制限されるものではなく、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ビスクレゾールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、p−tert−ブチルフェノールノボラック型エポキシ樹脂、ノニルフェノールノボラック型エポキシ樹脂、t−ブチルカテコール型エポキシ樹脂等の多価エポキシ樹脂が挙げられ、更に1価のエポキシ樹脂としては、ブタノール等の脂肪族アルコール、炭素数11〜12の脂肪族アルコール、フェノール、p−エチルフェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、p−ターシャリブチルフェノール、s−ブチルフェノール、ノニルフェノール、キシレノール等の1価フェノール類とエピハロヒドリンとの縮合物、ネオデカン酸等の1価カルボン酸とエピハロヒドリンとの縮合物等が挙げられ、グリシジルアミンとしては、ジアミノジフェニルメタンとエピハロヒドリンとの縮合物等、多価脂肪族エポキシ樹脂としては、例えば、大豆油、ヒマシ油等の植物油のポリグリシジルエーテルが挙げられ、多価アルキレングリコール型エポキシ樹脂としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、グリセリン、エリスリトール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、トリメチロールプロパンとエピハロヒドリンとの縮合物が挙げられ、これらは1種類でも、2種類以上でも併用する事ができる。これらの中でも、後述のポリオキシアルキレンアミン化合物(a2)との反応性が良好であり、得られる水性樹脂組成物を用いて得られる加工物の耐食性が良好である点から、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂を用いることが好ましい。
また、前記エポキシ樹脂(a1)のエポキシ当量としては、得られる加工物の耐食性と水性樹脂組成物としたときの保存安定性とのバランスに優れる点から、200〜1000g/eqであることが好ましく、300〜700g/eqであることがより好ましい。
本発明で用いるポリオキシアルキレンアミン化合物(a2)としては、前述のエポキシ樹脂(a1)中のグリシジル基と反応することができるアミノ基を有し、更にポリオキシアルキレン鎖を有している化合物であれば、特に制限されることなく、種々の化合物を用いることができ、例えば、下記一般式(1)
Figure 2007154091
[式中、nは2〜100の整数であり、Rはアルコキシ基であり、複数個のRはそれぞれ独立に−CH−CHR−又は−CHR−CH−であり(但しRは水素原子又はアルキル基である。)、Rは水素原子又はアルキル基である。]
で表される化合物を挙げることができる。
前記一般式(1)における複数個のRがそれぞれ独立に−CH−CHR−又は−CHR−CH−を示すとは、複数個のRがそれぞれ独立にどちらかの繰り返し単位であることを意味し、従って結果として、両方の繰り返し単位をランダムに含んでいてもよいことを意味する。Rについても同様に、複数個のRがそれぞれ独立に水素原子又はアルキル基であることを意味する。前記Rのアルコキシ基としては例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基の炭素数1〜3のアルコキシ基が好ましいものとして挙げられるが、メトキシ基がより好ましい。Rとしては水素原子又はメチル基が好ましい。繰り返し単位数nは2〜100であるが、2〜70がより好ましく、また、ポリオキシアルキレンアミン化合物(a2)の数平均分子量としては通常、250〜10,000であり、250〜6,600であることが好ましく、特に500〜4,000の範囲であることが好ましい。
前記一般式(1)で表される化合物の市販品としては、ジェファーミンM−1000(テキサコケミカル社製、Rは−CH−CHR−、Rはメトキシ基、繰り返し単位のRはメチル基/水素原子が3/19(モル比)、数平均分子量約600)、ジェファーミンM−2000(テキサコケミカル社製、Rは−CH−CHR−、Rはメトキシ基、繰り返し単位のRはメチル基/水素原子が10/32(モル比)、数平均分子量約2,000)等が挙げられる。
前記ポリオキシアルキレンアミン化合物(a2)と併用する、一級アミン(a3)としては、特に限定されるものではなく、例えば、ブチルアミン、オクチルアミン、オレイルアミン、2−エチルヘキシルアミン等の一級アルキルアミン類、モノエタノールアミン、2−エトキシエタノールアミン、2−ヒドロキシプロパノールアミン等の一級アルカノールアミン類、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、m−キシレンジアミン、p−キシレンジアミン等の脂肪族ポリアミン類、1,3−ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン等の脂環式ポリアミン類、ポリアミン類とアルデヒド化合物と1価または多価フェノール類との重縮合物からなるマンニッヒ塩基、ジアミノジフェニルメタン等の芳香族ポリアミン類、ポリアミン類とポリカルボン酸やダイマー酸と反応により得られるポリアミドポリアミン類等が挙げられる。これらの中でも、得られる変性樹脂(A)と水(B)との相溶性に優れ、水性樹脂組成物の保存安定性に優れる点から、一級アルキルアミン類及び/または一級アルカノールアミン類であることが好ましく、特にモノエタノールアミン、2−エトキシエタノールアミンを用いることが好ましい。
本発明で用いるポリオキシアルキレンアミン化合物(a2)と1級アミン(a3)との配合比としては、特に限定されるものではないが、得られる水性樹脂組成物の保存安定性に優れる点から、ポリオキシアルキレンアミン化合物(a2)の活性水素当量と、その他の1級アミン(a3)の活性水素当量との比(a2)/(a3)が1.0/1.0〜1.0/10.0の範囲であることが好ましく、特に1.0/2.0〜1.0/7.0の範囲であることが好ましい。
前記エポキシ樹脂(a1)とポリオキシアルキレンアミン化合物(a2)、1級アミン(a3)との重付加反応の手法としては、例えば、酸、塩基、金属塩、金属酸化物等の触媒存在下または無触媒で、溶融状態あるいは溶剤存在下で行う方法が挙げられる。この時の反応温度としては、反応時間が適切であり、且つ、反応時の増粘を押さえる点から50〜160℃であることが好ましく、特に60〜140℃であることが好ましい。前記溶剤としては、原料であるエポキシ樹脂(a1)とポリオキシアルキレンアミン化合物(a2)、1級アミン(a3)及び反応生成物である変性樹脂(A)を均一に溶解し、且つこれらに対して不活性であれば特に限定されるものではないが、例えば、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、デカリン等の炭化水素類、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸n−アミル、エトキシエチルプロピロネート、3−メトキシブチルアセテート、メトキシプロピルアセテート、セロソルブアセテート等のエステル類、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール等のアルコール類、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、プロピルセロソルブ、ブチルセロソルブ、イソブチルセロソロブ、tert−ブチルセロソロブ等のセロソルブ類、モノグライム、ジグライム、トリグライム等のグライム類、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノイソブチルエーテル、プロピレングリコールモノtert−ブチルエーテル等のプロピレングリコールモノアルキルエーテル類が挙げられ、これらの中でも、アルコール類、セロソルブ類、グライム類、プロピレングリコールモノアルキルエーテル類が好ましい。
前記反応を行う際に原料の仕込み方法については特に限定されるものではないが、反応が速やかに進行する点から、エポキシ樹脂(a1)を溶剤に均一に溶解してから、前記ポリオキシアルキレンアミン化合物(a2)とその他の1級アミン(a3)を仕込み、反応させる方法が好ましい。このようにして得られる溶剤に溶解した変性樹脂は、そのまま本発明の水性樹脂組成物として用いてもよく、また、必要に応じて触媒の失活、溶剤の除去等の精製工程を行ってもよい。また、前記手法で得られた変性樹脂(A)は単独でも2種以上を混合して用いてもよい。
本発明で用いる水(B)としては、変性樹脂(A)を均一に溶解または分散させるために使用するものであり、脱イオン水が好ましい。水(B)は、変性樹脂(A)を得る反応終了後に添加し、均一に攪拌混合することによって、本発明の水性樹脂組成物とすることができる。
本発明の第二の発明では、上述した第一の発明で用いる原料であるエポキシ樹脂(a1)、ポリオキシアルキレンアミン化合物(a2)、その他の1級アミン(a3)に加え、グリシジル基含有4級オニウム塩(a4)を用いることを特徴とする。第二の発明で用いるエポキシ樹脂(a1)、ポリオキシアルキレンアミン化合物(a2)、その他の1級アミン(a3)としては、上述した、第一の発明で用いたものを何れも使用することが可能であり、好ましい化合物も同様である。但し、グリシジル基含有4級オニウム塩(a4)を用いることから、該オニウム塩(a4)との反応性を考慮し、ポリオキシアルキレンアミン化合物(a2)の活性水素当量とその他の1級アミン(a3)の活性水素当量との比比(a2)/(a3)が1.0/3.0〜1.0/10.0であることが好ましい。
本発明で用いるグリシジル基含有4級オニウム塩(a4)としては、分子内にグリシジル基を有した4級オニウム塩であれば、特に制限されずに使用することができる。
前記グリシジル基含有オニウム塩(a3)としては、例えば、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、ビニル基を有する脂環式モノエポキシド等のエポキシ基含有ビニルモノマーと、4級オニウム塩を有するアクリル酸モノマー、4級オニウム塩を有するアクリル酸モノマー等の4級オニウム塩を有するビニルモノマーとの共重合物や、下記一般式(1)
Figure 2007154091
(式中、R’は水素原子又はメチル基であり、Qは窒素原子又はリン原子であり、Xは塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子であり、R、R、Rはそれぞれアルキル基又はアリール基であり、これらは同一でも異なっていても良い。)
で表される化合物が挙げられる。
前記ビニル基を有する脂環式モノエポキシドとしては、例えば、セロキサイド2000(商品名:ダイセル化学工業株式会社製)が挙げられ、4級オニウム塩を有するアクリル酸モノマーとしては、例えば、DMAEA−Q(株式会社興人製、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート−メチルクロライド塩、79%水溶液)や、DMAPAA−Q(株式会社興人製、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド−メチルクロライド塩、75%水溶液)等が挙げられる。
また、グリシジル基含有4級オニウム塩(a4)として、エポキシ基含有ビニルモノマーと、アクリルアミドや3級アミンを有するアクリルモノマーを共重合させた後に、アルキルハライドで4級塩化した化合物も使用することができる。
これらの中でも、得られる化合物(A)と水(B)との相溶性に優れる点から、前記一般式(2)で表される化合物を用いることが好ましく、特に入手が容易である点から、前記一般式(2)中のR、R、Rがそれぞれ同一または異なる炭素原子数1〜4の直鎖状のアルキル基である化合物を用いることが好ましく、R’が水素原子、Qが窒素原子、R、R、Rがメチル基であり、Xが塩素原子であるSY−GTA80[商品名、阪本薬品工業株式会社製、NV=80%水溶液、エポキシ当量(固形分):151g/eq]が最も好ましい。
前記グリシジル基含有4級オニウム塩(a4)の変性樹脂(C)への導入方法としては、特に限定されるものではないが、エポキシ樹脂(a1)とポリオキシアルキレンアミン化合物(a2)とその他の1級アミン(a3)とを反応させて得られる前述の変性樹脂(A)に、更にグリシジル基含有4級オニウム塩(a4)を反応させたものであることが好ましい。
前述の変性樹脂(A)と前記グリシジル基含有4級オニウム塩(a4)との反応は、無溶剤または適切な溶剤下に行う事ができる。前記溶剤としては、前記変性樹脂(A)と前記グリシジル基含有4級オニウム塩(a4)とを均一に溶解し、且つ、反応生成物(A)に対して不活性であれば特に限定されるものではなく、例えば、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール等のアルコール類、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、デカリン等の炭化水素類、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸n−アミル、エトキシエチルプロピロネート、3−メトキシブチルアセテート、メトキシプロピルアセテート、セロソルブアセテート等のエステル類、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、プロピルセロソルブ、ブチルセロソルブ、イソブチルセロソロブ、tert−ブチルセロソロブ等のセロソルブ類、モノグライム、ジグライム、トリグライム等のグライム類、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノイソブチルエーテル、プロピレングリコールモノtert−ブチルエーテル等が挙げられ、1種でも2種以上の混合溶剤としても使用することができる。これらの中でも得られる反応生成物の溶液をそのまま本発明の水性樹脂組成物として用いることが可能である点から、水単独、又は、水とアルコール類、セロソルブ類、グライム類との混合溶剤を用いることが好ましい。
前記変性樹脂(A)と前記グリシジル基含有4級オニウム塩(a3)との反応比率としては、特に限定されないが、得られる水性樹脂組成物の加工物の耐水性が良好であり、かつ、該組成物の保存安定性が良好である点から、(A)中の活性水素当量と(a4)中のエポキシ当量との比(A)/(a4)は通常0.1以上200以下であり、好ましくは0.5以上50以下である。特に該比が0.7以上15以下であることが最も好ましい。
前記反応によって得られた変性樹脂(C)は、そのままでも使用しても、必要に応じて溶剤の除去等の精製工程を行っても良く。単独でも、2種以上を混合して用いてもよい。また、第二の発明で用いる水(B)については、第一の発明と同様であり、得られた変性樹脂(C)の合成途中、または合成の後に、添加し、均一化して用いる。
本発明の第一、及び第二の発明で得られる水性樹脂組成物には、必要に応じて親水性の助剤を使用することができる。親水性の助剤としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール類、メチルソロソルブ、エチルセロソルブ、n−プロピルセロソルブ、イソプロピルセロソロブ、ブチルセロソルブ、イソブチルセロソルブ、tert−ブチルセロソルブ等のセロソルブ類、モノグライム、ジグライム、トリグライム等のグライム類、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ポリプロピレングリコールモノエチルエーテル、ポリプロピレングリコールモノn−ブチルエーテル、ポリプロピレングリコールモノイソブチルエーテル、ポリプロピレングリコールモノ−tert−ブチルエーテル等のプロピレングリコールモノアルキルエーテル類が挙げられる。
これらの中でも、変性樹脂(A)及び変性樹脂(C)に対する溶解性が良好である点から、イソプロパノール、プロピルセロソルブ、ブチルセロソルブ、イソブチルセロソルブ、tert−ブチルセロソルブ、ジグライム、プロピレングリコールモノメチルエーテルを用いることが好ましい。また、これらの助剤は、エポキシ樹脂(a1)とポリオキシアルキレンアミン化合物(a2)とその他の1級アミン(a3)との反応時若しくは反応終了後、又は、変性樹脂(A)と、グリシジル基含有4級オニウム塩(a4)との反応時若しくは反応終了後に添加する事ができる。
また、本発明の水性樹脂組成物としては、本発明の特性を損なわない範囲で、必要に応じて、他のポリエステル系水性樹脂、アクリル系水性樹脂等を併用しても良い。
更に、本発明の水性樹脂組成物は、得られる加工物の性能、例えば基材との密着性、耐食性をより優れたものとするために、硬化剤(D)を併用することができる。
前記硬化剤(D)としては、前記変性樹脂(A)または変性樹脂(C)中における水酸基と硬化反応が可能である化合物であれば特に限定されるものではないが、工業的入手の容易性、得られる硬化物の前述の性能に優れる点からアミノ樹脂(d1)、イソシアネート化合物(d2)、フェノール樹脂(d3)を用いること好ましい。
前記アミノ樹脂(d1)としては、例えば、メラミンとアルデヒド化合物から誘導されるメラミン樹脂、ベンゾグアナミン、アセトグアナミン等とアルデヒド化合物から誘導されるグアナミン樹脂、尿素、チオ尿素等とアルデヒド化合物から誘導される尿素樹脂等が挙げられる。これらは単独でも2種類以上の併用でも使用できる。
更に、前記アミノ樹脂(d1)としてはメラミン、尿素等のアミノ成分が共縮合されたものや樹脂中のメチロール基がメタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール等のアルコールで置換されたものも使用することができる。
前記アミノ樹脂(d1)の使用割合としては、水性樹脂組成物中の樹脂固形分100重量部に対してアミノ樹脂中の固形分が1〜40重量部であることが好ましく、更に好ましくは2〜30重量部である。
前記イソシアネート化合物(d2)としては、特に限定されるものではないが、例えば、ジイソシアネートとして、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、キシリレンジイソシアネート、メタキシリレンジイソシアネート等の芳香族イソシアネート類、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート類、イソホロンジイソシアネート、水素化トリレジイソシアネート、水素化ジフェニルメタンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネート、水素化メタキシリレンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネート類等が挙げられ、無溶剤でも、溶剤に希釈されているものも使用できる。
前記ジイソシアネート以外のポリイソシアネートとしては、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート、ジメチルトリフェニルメタンテトライソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス(イソシアナートフェニル)−トリホスフェート等が挙げられる。
更にイソシアネート化合物(d2)としては、上記イソシアネートを用いて、蒸気圧低下や粘度、官能基数、反応性の調整、特殊な物性を付与する等の目的で、種々の変性反応を行ったものも使用することができる。これらの例としては、アルコール類との反応物であるウレタンプレポリマー類、イソシアネート基同士を付加反応させて得られるアロファネート変性イソシアネート類、ビウレット変性イソシアネート類、ウレトジオン変性イソシアネート類、イソシアヌレート変性イソシアネート類、イソシアネート基の縮合反応等を利用したカルボジイミド変性体、ウレトニミン変性体、アシル尿素ジイソシアネート体等が挙げられる。
前記ウレタンプレポリマー類としては、例えば、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、オレイルアルコール等の不飽和アルコールの2量体からなるジオール類、トリメチロールプロパン、グリセリン、1,2,6−ヘキサントリオール、ポリエステルポリオール等のポリオールと上記イソシアネート化合物とを反応させて得られる、末端にイソシアネート基を有する化合物類等が挙げられる。
これらのイソシアネート化合物(d2)は、単独で用いても、2種類以上の混合物として用いても良い。
前記イソシアネート化合物(d2)と使用割合としては、特に制限されるものではないが、得られる硬化物の前記性能に優れる点から、水性樹脂組成物中の樹脂固形分100重量部に対してイソシアネート化合物(d2)中の固形分を1〜30重量部で用いることが好ましく、更に好ましくは3〜25重量部である。
前記フェノール樹脂(d3)としては、フェノール類とアルデヒド化合物とを触媒の存在下に縮合反応させた化合物であれば特に限定されず、単独でも2種類以上の併用も可能である。
前記フェノール類としては、例えば、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、o−tert−ブチルフェノール、m−tert−ブチルフェノール、p−tert−ブチルフェノール、p−シクロヘキシルフェノール、ノニルフェノール、キシレノール等の1価フェノール類や、ビスフェノールA、ビスフェノールF、テトラメチルビスフェノールF、ビスフェノールAD、ビスフェノールZ等のビスフェノール類、1,5−ジオキシナフタレン、1,6−ジオキシナフタレン等のナフタレンジオール類、ビフェノール、テトラメチルビフェノールが挙げられ、これらは単独または2種類以上の併用も可能である。
前記触媒としては、塩基性触媒または酸触媒を使用することができる。塩基性触媒としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属水酸化物、アミン類、アンモニアなどが挙げられ、レゾール型縮合物が得られる。酸触媒としては塩酸、リン酸、シュウ酸等が挙げられ、ノボラック型縮合物が得られる。
前記フェノール樹脂(d3)の使用割合としては、特に限定されないが、水性樹脂組成物の樹脂固形分100重量部に対してフェノール樹脂中の固形分1〜40重量部で用いることが好ましく、更に好ましくは2〜30重量部である。
また、本発明の水性樹脂組成物には、必要に応じて、ハジキ防止剤、ダレ止め剤、流展剤、消泡剤、硬化促進剤、紫外線吸収剤、光安定剤等の各種添加剤を配合してもよい。
本発明の水性樹脂組成物の用途としては、特に制限されるものではないが、例えば、塗料、接着剤、繊維集束剤、コンクリートプライマー等として好適に用いることができる。特に、得られるか好物の耐食性に優れる点から、水性塗料用樹脂組成物として用いることが好ましい。
本発明の水性樹脂組成物を塗料用途に用いる場合には、必要に応じて、防錆顔料、着色顔料、体質顔料等の各種フィラーや各種添加剤等を配合することが好ましい。前記防錆顔料としては亜鉛粉末、リンモリブテン酸アルミニウム、リン酸亜鉛、リン酸アルミニウム、クロム酸バリウム、クロム酸アルミニウム、グラファイト等の鱗片状顔料等が挙げられ、着色顔料としては、カーボンブラック、酸化チタン、硫化亜鉛、ベンガラが挙げられ、また体質顔料としては硫酸バリウム、炭酸カルシウム、タルク、カオリン等が挙げられる。これらフィラーの配合量としては、変性樹脂(A)または変性樹脂(C)、水(B)及び必要に応じて配合される硬化剤(D)の合計100重量部に対して、10〜70重量部であることが、塗膜性能、塗装作業性等の点から好ましい。
本発明の水性樹脂組成物を塗料用に使用する場合における塗装方法については、特に限定されず、ロールコート、スプレー、刷毛、ヘラ、バーコーター、浸漬塗装、電着塗装方法にて行う事ができ、その加工方法としては、常温乾燥〜加熱硬化を行うことができる。加熱する場合は50〜250℃、好ましくは60〜230℃で、2〜30分、好ましくは5〜20分反応させることにより、塗膜を得ることが出来る。
また、本発明の水性樹脂組成物を接着剤として使用する場合は、特に限定されず、スプレー、刷毛、ヘラにて基材へ塗布後、基材の接着面を合わせることで行う事ができ、接合部は周囲の固定や圧着する事で強固な接着層を形成することができる。基材としては鋼板、コンクリート、モルタル、木材、樹脂シート、樹脂フィルムが適し、必要に応じて研磨等の物理的処理やコロナ処理等の電気処理、化成処理等の化学処理などの各種表面処理を施した後に塗布すると更に好ましい。
また、本発明の水性樹脂組成物を繊維集束剤として使用する場合は、特に限定されず行う事ができ、例えば、紡糸直後の繊維にローラーコーターを用いて塗布し、繊維ストランドとして巻き取った後、乾燥を行う方法が挙げられる。用いる繊維としては、特に制限されるものではなく、例えば、ガラス繊維、セラミック繊維、石綿繊維、炭素繊維、ステンレス繊維等の無機繊維、綿、麻等の天然繊維、ポリエステル、ポリアミド、ウレタン等の合成繊維等が挙げられ、その基材の形状としては短繊維、長繊維、ヤーン、マット、シート等が挙げられる。繊維集束剤としての使用量としては繊維に対して樹脂固形分として0.1〜2重量%であることが好ましい。
また、本発明の水性樹脂組成物をコンクリートプライマーとして使用する場合は、特に限定されず、ロール、スプレー、刷毛、ヘラ、鏝にて行う事ができる。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明する。なお、実施例中「部」、「%」は特に断りのない限り、重量基準である。
実施例1
温度計、撹拌装置、窒素ガス導入管を付した4つ口フラスコに、EPICLON 850(ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量188g/eq、大日本インキ化学工業株式会社製)200部とビスフェノールA 58.6部を仕込み、80℃まで加熱撹拌することによって均一にした。ここに、触媒としてテトラメチルアンモニウムクロライド50%水溶液を0.1部仕込み、更に140℃で3時間撹拌した後、ブチルセロソルブ 85部を仕込み、溶液が均一となった事を確認した後、液温を60℃まで冷却した。ここにモノエタノールアミン(一級アルカノールアミン、三井化学株式会社製)を16.5部、ポリオキシアルキレンアミン化合物(前記ジェファーミンM−1000)を81.6部仕込み、更に130℃で3時間反応させた。続いてイオン交換水565.5部を加え、不揮発分35%の白色液体状の水性樹脂組成物を得た。これを(E−1)とする。尚、エポキシ樹脂のエポキシ当量と、ポリオキシアルキレンアミン化合物とモノエタノールアミンの活性水素当量との当量比は1.0/1.24である。
実施例2
実施例1において、ビスフェノールAを85.1部、ブチルセロソルブを125部、モノエタノールアミンを9.7部、ジェファーミンM−1000を81.8部、イオン交換水753部に変更した以外は同様に行い、不揮発分30%の白色液体状の水性樹脂組成物を得た。これを(E−2)とする。尚、エポキシ樹脂のエポキシ当量と、ポリオキシアルキレンアミン化合物とモノエタノールアミンの活性水素当量との当量比は1.0/1.4である。
実施例3
温度計、撹拌装置、窒素ガス導入管を付した4つ口フラスコに、EPICLON 830(ビスフェノールF型エポキシ樹脂、エポキシ当量170g/eq、大日本インキ化学工業株式会社製)200部とビスフェノールF 64.7部を仕込み、80℃まで加熱撹拌することによって均一にした。ここに、触媒としてテトラメチルアンモニウムクロライド50%水溶液を0.1部仕込み、更に140℃で3時間撹拌した後、ブチルセロソルブ 88.2部を仕込み、溶液が均一となった事を確認した後、液温を60℃まで冷却した。ここにモノエタノールアミンを16.1部、ジェファーミンM−1000を79.4部仕込み、更に130℃で3時間反応させた。続いてイオン交換水580.7部を加え、不揮発分35%の白色液体状の水性樹脂組成物を得た。これを(E−3)とする。尚、エポキシ樹脂のエポキシ当量と、ポリオキシアルキレンアミン化合物とモノエタノールアミンの活性水素当量との当量比は1.0/1.24である。
実施例4
実施例1において、モノエタノールアミンを2−エチルヘキシルアミン34.9部とし、ジェファーミンM−1000 81.6部、イオン交換水612部に変更した以外は同様に行い、不揮発分35%の白色液体状の水性樹脂組成物を得た。これを(E−4)とする。尚、エポキシ樹脂のエポキシ当量と、ポリオキシアルキレンアミン化合物とエチルヘキシルアミンの活性水素当量との当量比は1.0/1.24である。
実施例5
温度計、撹拌装置、窒素ガス導入管を付した4つ口フラスコに、EPICLON 850 200部とビスフェノールA 58.6部を仕込み、80℃まで加熱撹拌することによって均一にした。ここに、触媒としてテトラメチルアンモニウムクロライド50%水溶液を0.1部仕込み、更に140℃で3時間撹拌した後、ブチルセロソルブ 85部を仕込み、溶液が均一となった事を確認した後液温を60℃まで冷却した。ここにモノエタノールアミンを18.6部、ジェファーミンM−1000を40.8部仕込み、更に130℃で3時間反応させた。続いてSY−GTA80(前記阪本薬品工業株式会社製)2.2部を仕込み更に80℃で3時間反応させ、イオン交換水660.8部を加え、不揮発分30%の白色液体状の水性樹脂組成物を得た。これを(E−5)とする。尚、エポキシ樹脂のエポキシ当量と、ポリオキシアルキレンアミン化合物とモノエタノールアミンの活性水素当量との当量比は1.0/1.24である。
比較例1
実施例1において、モノエタノールアミンを10.3部、ジェファーミンM−1000を204部として同様の反応を行い、更にイオン交換水を793.1部とすることによって、不揮発分35%の白色液体状の水性樹脂組成物を得た。これを(E’−1)とする。尚、エポキシ樹脂のエポキシ当量と、ポリオキシアルキレンアミン化合物とモノエタノールアミンの活性水素当量との当量比は1.0/1.24である。
比較例2
温度計、撹拌装置、窒素ガス導入管を付した4つ口フラスコに、EPICLON 850 200部とビスフェノールA 58.6部を仕込み、80℃まで加熱撹拌することによって均一にした。ここに、触媒としてテトラメチルアンモニウムクロライド50%水溶液を0.1部仕込み、更に140℃で3時間撹拌した後、ブチルセロソルブ 293.3部を仕込み、溶液が均一となった事を確認した後液温を60℃まで冷却した。ここにモノエタノールアミンを20.6部仕込み、更に130℃で3時間反応させた。続いてSY−GTA80 17.6部を仕込み更に80℃で3時間反応させ、イオン交換水876.3部を加え、不揮発分20%の白色液体状の水性樹脂組成物を得た。これを(E’−2)とする。
比較例3
実施例1において、ビスフェノールAを32.8部、ブチルセロソルブを35.1部、モノエタノールアミンを17.7部、ジェファーミンM−1000を87.4部として同様の反応を行い、更にイオン交換水を122.8部とすることによって、不揮発分40%の白色液体状の水性樹脂組成物を得た。これを(E’−3)とする。尚、エポキシ樹脂のエポキシ当量と、ポリオキシアルキレンアミン化合物とモノエタノールアミンの活性水素当量との当量比は1.07/1.0である。
表1に、実施例1〜5、比較例1〜3で得られた水性樹脂組成物(E−1)〜(E−5)及び(E’−1)〜(E’−3)の性状値および、40℃の乾燥機内保存時における外観の変化を示す。表1において、ワニス保存安定性は、水性樹脂組成物を100ml容量のマヨネーズ瓶に90g量り取り、40℃の乾燥機内にて保管し、所定の経過時間後に目視にて外観を観察した。
〇:沈殿、分離なし。×:分離が見られる。××:凝集物発生。
また、安定性試験6ヵ月後のマヨネーズ瓶を開け、臭気について官能試験を行った。
○:臭気無し。×:臭気有り。
Figure 2007154091
表1の脚注
NV(%):水性樹脂組成物中の不揮発分(%)
尚、E’−2の組成物において、VOCを10%にしたところ、流動性が失われ、塗料化等を行うことができなかった。
試験例1〜5、及び比較試験例1〜2
次に、得られた水性樹脂組成物を用いて表2の配合比で水性塗料を作成し、#400のサンドペーバーで表面処理を行った冷却圧延鋼板に対しバーコーターにて乾燥膜厚が20μmとなるように塗布した後、塗膜物性評価を行った。なお、表2記載のラッカー塗膜物性は100℃×20分+25℃×5日後養生後の試験結果である。尚、各試験方法及び評価基準は下記の通りである。
塗料安定性:作製した塗料を100ml容量のマヨネーズ瓶に90g量り取り、室温(25℃)下に保管し、所定の経過時間後に目視にて外観を観察した。
〇:沈殿、分離なし。×:分離が見られる。××:凝集物発生。
衝撃強度:JIS K−5600−5−3(1999)に準拠し、デュポン式にて、撃心1/2インチ、荷重500gにて行った。
〇:50cmで亀裂等の発生無し。×:50cmで亀裂等の発生が認められる。
碁盤目試験:JIS K−5600−5−6(1999)に準拠し、1mm間隔で切れ目を入れ、テープを貼り付け後に引き剥がした後の塗膜状態を目視で観察した。
〇:剥がれなし。×:剥がれが見られる。
MEKラビング:塗膜に対してMEKを染み込ませたウエスを一定の力でこすり、基材表面が現れるまで試験した。
〇:100往復以上。×:100往復以内に基材まで達する。
屈曲性:JIS K−5600−5−1(1999)に準拠し、円筒形マンドレル(直径2mm)により折り曲げられた場合の塗膜の割れおよび、基材からの剥れの有無を観察した。
〇:割れ、剥れ発生せず。×:割れ、又は剥れ発生。
SST:JIS K−5600−7−1(1999)に準拠して行った。試験片にカッターでクロスカットを入れた後、試験器内に置き、300hr試験を行った後、クロスカット部からの塗膜の膨れ幅を記す。単位はmmである。
Figure 2007154091
表2の脚注
P−W−2 :菊地色素株式会社製 防錆顔料
NS#100 :日東粉化株式会社製 炭酸カルシウム
SW :日本タルク株式会社製 タルク
BYK−341:ビックケミー社製 添加剤
PWC(%) :塗料固形分に占める充填剤の重量割合
NV(%) :塗料の不揮発分(樹脂+充填剤)

Claims (15)

  1. エポキシ樹脂(a1)と、ポリオキシアルキレンアミン化合物(a2)とその他の1級アミン(a3)とを、エポキシ樹脂(a1)のエポキシ当量と、ポリオキシアルキレンアミン化合物(a2)の活性水素当量とその他の1級アミン(a3)の活性水素当量の合計との当量比(a1)/[(a2)+(a3)]が、1.0/1.0〜1.0/1.5の範囲で仕込み、反応させて得られる変性樹脂(A)と水(B)とを含有することを特徴とする水性樹脂組成物。
  2. 前記エポキシ樹脂(a1)のエポキシ当量が200〜1000g/eqである請求項1記載の水性樹脂組成物。
  3. ポリオキシアルキレンアミン化合物(a2)が、下記一般式(1)
    Figure 2007154091
    [式中、nは2〜100の整数であり、Rはアルコキシ基であり、複数個のRはそれぞれ独立に−CH−CHR−又は−CHR−CH−であり(但しRは水素原子又はアルキル基である。)、Rは水素原子又はアルキル基である。]
    で表される化合物である請求項1記載の水性樹脂組成物。
  4. ポリオキシアルキレンアミン化合物(a2)の数平均分子量が250〜6,600である請求項1記載の水性樹脂組成物。
  5. ポリオキシアルキレンアミン化合物(a2)の活性水素当量と、その他の1級アミン(a3)の活性水素当量との比(a2)/(a3)が1.0/2.0〜1.0/7.0である請求項1記載の水性樹脂組成物。
  6. 水性塗料用樹脂組成物である請求項1〜5の何れか1項記載の水性樹脂組成物。
  7. エポキシ樹脂(a1)とポリオキシアルキレンアミン化合物(a2)とその他の1級アミン(a3)とグリシジル基含有4級オニウム塩(a4)とを反応させて得られる変性樹脂(C)と水(B)とを含有することを特徴とする水性樹脂組成物。
  8. 前記変性樹脂(C)が、エポキシ樹脂(a1)とポリオキシアルキレンアミン化合物(a2)とその他の1級アミン(a3)とを反応させた後、更にグリシジル基含有4級オニウム塩(a4)を反応させたものである請求項7記載の水性樹脂組成物。
  9. 前記エポキシ樹脂(a1)のエポキシ当量が200〜1000g/eqである請求項7記載の水性樹脂組成物。
  10. ポリオキシアルキレンアミン化合物(a2)が、下記一般式(1)
    Figure 2007154091
    [式中、nは2〜100の整数であり、Rはアルコキシ基であり、複数個のRはそれぞれ独立に−CH−CHR−又は−CHR−CH−であり(但しRは水素原子又はアルキル基である。)、Rは水素原子又はアルキル基である。]
    で表される化合物である請求項7記載の水性樹脂組成物。
  11. ポリオキシアルキレンアミン化合物(a2)の数平均分子量が250〜6,600である請求項7記載の水性樹脂組成物。
  12. ポリオキシアルキレンアミン化合物(a2)の活性水素当量と、その他の1級アミン(a3)の活性水素当量との比(a2)/(a3)が1.0/3.0〜1.0/10.0である請求項7記載の水性樹脂組成物。
  13. グリシジル基含有4級オニウム塩(a4)が下記一般式(2)
    Figure 2007154091
    (式中、R’は水素原子又はメチル基であり、Qは窒素原子又はリン原子であり、Xは塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子であり、R、R、Rはそれぞれアルキル基又はアリール基であり、これらは同一でも異なっていても良い。)
    で表される化合物である請求項7記載の水性樹脂組成物。
  14. 前記一般式(2)中のR、R、Rがそれぞれ同一または異なる炭素原子数1〜4の直鎖状のアルキル基である請求項13記載の水性樹脂組成物。
  15. 水性塗料用樹脂組成物である請求項7〜15の何れか1項記載の水性樹脂組成物。

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