JP2007149975A - セラミックコンデンサ、セラミックコンデンサの製造方法及びセラミックグリーンシート - Google Patents
セラミックコンデンサ、セラミックコンデンサの製造方法及びセラミックグリーンシート Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】磁性及び導電性を有するナノファイバー4又はナノチューブを含有するシート状のセラミック焼結体2と、前記セラミック焼結体2のシート面上に形成された外部電極3とからなるセラミックコンデンサ1であって、前記セラミック焼結体2において、前記磁性及び導電性を有するナノファイバー4又はナノチューブは、前記外部電極3が形成されたシート面に対して垂直方向に配向しており、かつ、少なくとも一部の前記磁性及び導電性を有するナノファイバー4又はナノチューブは、一方の端が前記外部電極3と接しているセラミックコンデンサ1。
【選択図】図1a
Description
このように、積層セラミックコンデンサの製造には、極めて複雑かつ煩雑な工程を要する。
しかしながら、このような積層セラミックコンデンサにおいては、セラミックグリーンシートの表面に所定のパターンで電極層が形成された領域と、電極層が形成されていない領域との間に生じた段差が累積することによって、積層体を圧着する工程で、均一に圧力を加えることができず、デラミネーションと呼ばれる層間剥離が発生するという問題があった。
図1aは、本発明のセラミックコンデンサの電圧印加前の状態を示す断面図であり、図1bは、本発明のセラミックコンデンサの電圧印加後の状態を示す断面図である。
図1aに示すように、セラミックコンデンサ1は、セラミック焼結体2と、セラミック焼結体2のシート面上に形成された外部電極3とからなる。セラミック焼結体2は、磁性及び導電性を有するナノファイバー4を含有しており、磁性及び導電性を有するナノファイバー4は、外部電極2が形成されたシート面に対して垂直方向に配向しており、少なくとも一部の磁性及び導電性を有するナノファイバー4は、一方の端が外部電極2と接している。磁性及び導電性を有するナノファイバー4同士は、ナノファイバー連鎖部4aを形成し、電気的に接続されている。
このようなセラミックコンデンサ1に電圧を印加すると、図1bに示すように、シート上面に形成された負電極3aとシート下面に形成された正電極3bとが、セラミック焼結体2を介して電気的に接続されている。
本明細書において、上記磁性及び導電性を有するナノファイバーとは、磁性及び導電性を有する材料からなる極細繊維のことを意味する。また、上記磁性及び導電性を有するナノチューブとは、磁性及び導電性を有する材料からなる極細中空繊維のことを意味する。
このようなナノファイバー又はナノチューブを用いることによって、本発明のセラミックコンデンサにおいて、上記磁性及び導電性を有するナノファイバー又はナノチューブを内部電極とすることができ、電気特性に優れたコンデンサを得ることができる。
このように配向していることによって、本発明のセラミックコンデンサにおいて、上記磁性及び導電性を有するナノファイバー又はナノチューブを内部電極とすることができ、電気特性に優れたセラミックコンデンサを得ることができる。
なお、上記ナノファイバー連鎖部又はナノチューブ連鎖部とは、上記磁性及び導電性を有するナノファイバー又はナノチューブ同士が電気的に接続している部分のことを意味する。
このような連鎖部を有することによって、本発明のセラミックコンデンサにおいて、上記磁性及び導電性を有するナノファイバー又はナノチューブ同士が電気的に導通して、内部電極となることにより、優れた電気特性を有するセラミックコンデンサが得られる。
上記セラミック粉末としては、誘電性を示すものであれば特に限定されず、複合酸化物又は酸化物となる各種化合物、例えば、炭酸塩、硝酸塩、水酸化物、有機金属化合物等、又は、これらを混合した粉末を用いることができる。具体的には、例えば、チタン酸バリウム、炭酸マグネシウム、酸化マンガン等の粉末が挙げられる。これらのセラミック粉末は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記外部電極としては特に限定されず、例えば、導電体粉末、有機バインダー等を含有する外部電極用ペーストを用いて形成することができる。
このような製造方法によって、セラミック焼結体のシート面に対して垂直方向に配向した磁性及び導電性を有するナノファイバー又はナノチューブを含有するセラミックコンデンサを得ることができ、上記磁性及び導電性を有するナノファイバー又はナノチューブは、セラミックコンデンサにおいて内部電極とすることができるため、セラミックコンデンサの製造工程を簡易化し、生産性を向上させることが可能となる。
上記セラミックグリーンシート用組成物は、上記磁性及び導電性を有するナノファイバー又はナノチューブ、セラミック粉末、及び、有機バインダーを含有する。
上記有機溶剤としては特に限定されず、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、ジプロピルケトン、ジイソブチルケトン等のケトン類;メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸ブチル、ブタン酸メチル、ブタン酸エチル、ブタン酸ブチル、ペンタン酸メチル、ペンタン酸エチル、ペンタン酸ブチル、ヘキサン酸メチル、ヘキサン酸エチル、ヘキサン酸ブチル、酢酸2−エチルヘキシル、酪酸2−エチルヘキシル等のエステル類;メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、ブチルセルソルブ、α−テルピネオール、ターピニルアセテート、ジヒドロテルピネオール、ジヒドロテルピネオールアセテート、ブチルセルソルブアセテート、ブチルカルビトールアセテート等が挙げられる。これらの有機溶剤は単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記分散剤としては特に限定されないが、例えば、脂肪酸、脂肪族アミン、アルカノールアミド、リン酸エステルを好適に用いることができる。
上記脂肪族アミンとしては特に限定されず、例えば、ラウリルアミン、ミリスチルアミン、セチルアミン、ステアリルアミン、オレイルアミン、アルキル(ヤシ)アミン、アルキル(硬化牛脂)アミン、アルキル(牛脂)アミン、アルキル(大豆)アミン等が挙げられる。
上記アルカノールアミドとしては特に限定されず、例えば、ヤシ脂肪酸ジエタノールアミド、牛脂脂肪酸ジエタノールアミド、ラウリン酸ジエタノールアミド、オレイン酸ジエタノールアミド等が挙げられる。
上記リン酸エステルとしては特に限定されず、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテルリン酸エステルが挙げられる。
上記セラミックグリーンシート用組成物をポリエチレンテレフタレート等の支持体上に塗工する方法としては特に限定されず、例えば、ドクターブレード、エクストルージョンコーター、ワイヤーバーコーター等やスクリーン印刷機、グラビア印刷機等を用いる方法が挙げられる。
上記成形機を用いる方法としては特に限定されず、例えば、カレンダ成形、Tダイ等を用いる方法が挙げられる。
このようなセラミックグリーンシートもまた、本発明の一つである。
上記セラミックグリーンシートを焼成する方法としては特に限定されず、例えば、まず大気雰囲気下において200〜500℃にて徐々に脱バインダーを行い、その後、還元雰囲気下において950〜1350℃の高温で焼成してセラミックを焼結させる方法等が挙げられる。
このような両面研磨を施すことによって、少なくとも一部の上記磁性及び導電性を有するナノファイバー又はナノチューブの一方の端が、セラミック焼結体のシート面に露出し、外部電極と接続するため、内部電極として機能することができる。
上記両面研磨の方法としては特に限定特に限定されず、例えば、バレル研磨、バフ研磨、ガラ研磨、ベルト研磨、ブラスト研磨等が挙げられる。
上記外部電極を形成する方法としては特に限定されず、例えば、上記導電粉末、上記有機バインダー等を混合して得られた外部電極用ペーストを塗工し、窒素雰囲気下で焼結することによって形成する方法が挙げられる。
(磁性ナノチューブの作製)
6−{2−sec−ブチル−4−(4−ピリジルアゾ)フェノキシ}ヘキサン酸の粉末1gをpH12の水酸化ナトリウム水溶液1000mlに溶解し、均質な水溶液を調製した。この水溶液に二酸化炭素を3時間吹き込み(吹き込み量:100ml/min)、軸径1μm、長さ約20μmの有機物繊維を得た。
ポリビニルブチラール樹脂(エスレックB「BM−S」、重合度800、積水化学工業社製)6重量部を、トルエン70重量部とエタノール70重量部との混合溶剤に加え、攪拌溶解した。更に、この樹脂溶液に可塑剤としてジブチルフタレート3重量部を加え、攪拌溶解した。こうして得られた樹脂溶液に、得られたニッケルチューブ20重量部、セラミック粉末としてチタン酸バリウム(BT−01、平均粒径0.1μm、堺化学工業社製)100重量部を加え、ボールミルで48時間混合してセラミックスラリー組成物を得た。
得られたセラミックスラリー組成物を、減圧オーブンを用いて、40℃で、1時間、有機溶剤を揮発させた後に、PETフィルム上に乾燥後の膜厚が150μmになるように塗工し、電流20A、電圧30Vを印加した直流ソレノイドコイル(玉川製作所社製)の上に10分間放置し、常温で1時間風乾し、更に熱風乾燥機を用いて80℃で3時間乾燥させてセラミックグリーンシートを得た。
得られたセラミックグリーンシートを5cm角の大きさに切断し、窒素雰囲気下において、昇温速度3℃/分で450℃まで昇温し、5時間保持後、更に昇温速度5℃/分で1350℃まで昇温し、10時間保持してセラミック焼結体を得た。このようにして得られたセラミック焼結体に、両面研磨を施した後、図2に示すように外部電極用ペーストを両面にパターン印刷をした。
次いで、窒素雰囲気下において、昇温速度10℃/分で700℃まで昇温し、10分間保持後、冷却して外部電極を形成した。更に、形成した外部電極上にめっきを施して、セラミックコンデンサを作製した。
(セラミックグリーンシートの作製)
ポリビニルブチラール樹脂(エスレックB「BM−S」、重合度800、積水化学工業社製)6重量部を、トルエン70重量部とエタノール70重量部との混合溶剤に加え、攪拌溶解した。この樹脂溶液に可塑剤としてジブチルフタレート3重量部を加え、攪拌溶解した。更に、この樹脂溶液に、セラミック粉末としてチタン酸バリウム(BT−01、平均粒径0.1μm、堺化学工業社製)100重量部を加え、ボールミルで48時間混合してセラミックスラリー組成物を得た。
得られたセラミックスラリー組成物を、剥離層を形成した基材シート上に、乾燥後の厚みが約1μmになるように塗布し、常温で1時間風乾し、更に熱風乾燥機、80℃で3時間、続いて120℃で2時間乾燥させてセラミックグリーンシートを得た。
導電粉末としてのニッケル微粒子(2020SS、三井金属社製)100重量部に対して、ポリビニルブチラール樹脂(エスレックB「BM−S」、積水化学工業社製)7重量部とα−テルピネオール60重量部とを加え、三本ロールで混練して導電ペーストを得た。混練は光学顕微鏡にて凝集物(未解砕物)が認められなくなるまでロールを通すことにより行った。
得られた導電ペーストをセラミックグリーンシート上にスクリーン印刷により導電パターンを印刷した。印刷速度は約4m/分であった。導電パターンが形成されることによって生じた段差を吸収するための誘電層用ペーストは40℃で加熱し、撹拌して余剰のエタノール及びトルエンを揮発させて調整し、セラミックグリーンシート上の導電パターンが形成されていない部分にスクリーン印刷を行った。
得られた電極層を形成したグリーンシートを50層積層し、カットした後に焼結させた。これを研磨した後に外部電極用ペーストを両端にディップ法にて塗布し、実施例と同様に焼成、めっきを施してセラミックコンデンサを作製した。
実施例で得られたセラミックコンデンサに電気信号を加えたところ、コンデンサとしての応答が認められた。
また、実施例では、従来必要とされていた内部電極のスクリーン印刷工程、セラミックグリーンシートと内部電極とからなるユニットの積層工程等を省くことができるため、比較例に比して、セラミックコンデンサの製造に要する時間を40%以上も短縮することができた。
更に、実施例で得られたセラミックコンデンサは、積層体ではないため、従来、生産効率を考える上で大きな問題となっていたデラミネーションが発生することなく、極めて効率的にセラミックコンデンサを作製し得ることが判明した。
2 セラミック焼結体
3 外部電極
3a 負電極
3b 正電極
4 磁性及び導電性を有するナノファイバー
4a ナノファイバー連結部
Claims (4)
- 磁性及び導電性を有するナノファイバー又はナノチューブを含有するシート状のセラミック焼結体と、前記セラミック焼結体のシート面上に形成された外部電極とからなるセラミックコンデンサであって、
前記セラミック焼結体において、前記磁性及び導電性を有するナノファイバー又はナノチューブは、前記外部電極が形成されたシート面に対して垂直方向に配向しており、かつ、少なくとも一部の前記磁性及び導電性を有するナノファイバー又はナノチューブは、一方の端が前記外部電極と接している
ことを特徴とするセラミックコンデンサ。 - 磁性及び導電性を有するナノファイバー又はナノチューブ、セラミック粉末、及び、有機バインダーを含有するセラミックグリーンシート用組成物をシート状に成形してシート成形体を作製する工程、
前記シート成形体に磁場を印加することによって前記磁性及び導電性を有するナノファイバー又はナノチューブを前記シート成形体のシート面に対して垂直方向に配向させてセラミックグリーンシートを作製する工程、
前記セラミックグリーンシートを焼成してシート状のセラミック焼結体を作製する工程、及び、
前記セラミック焼結体のシート面上に外部電極を形成する工程を有する
ことを特徴とするセラミックコンデンサの製造方法。 - シート成形体に磁場を印加することによって磁性及び導電性を有するナノファイバー又はナノチューブを前記シート成形体のシート面に対して垂直方向に配向させてセラミックグリーンシートを作製する工程において、前記シート成形体は、回転式粘度計を用いて測定した粘度が10万Pa・s未満であることを特徴とする請求項2記載のセラミックコンデンサの製造方法。
- 磁性及び導電性を有するナノファイバー又はナノチューブ、セラミック粉末、及び、有機バインダーを含有するセラミックグリーンシートであって、前記磁性及び導電性を有するナノファイバー又はナノチューブは、前記セラミックグリーンシートのシート面に対して垂直方向に配向されていることを特徴とするセラミックグリーンシート。
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