以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1は、本実施の形態の監視システムを示している。まず、図1を参照して、監視システム1の概要を説明する。
図1に示すように、監視システム1は、移動ロボット2および制御装置3を含む。移動ロボット2と制御装置3は無線通信可能である。
移動ロボット2は監視対象施設に配備されており、監視対象施設は例えば工場等の建物である。移動ロボット2は、予め設定された巡回スケジュールに従って自ら発生した巡回監視信号を検知し、また、監視員による制御装置3への巡回開始操作に応じて移動ロボット2に入力された巡回開始信号を検知して、監視対象となる施設に設定された巡回経路の移動を開始する。移動ロボット2は、巡回経路に沿って自律的に移動して巡回経路の移動が終了すると移動を停止する。巡回中、移動ロボット2は、撮像ユニットを作動させて周囲の状況を撮影し、自己の現在位置とともに制御装置3に送信する。更に、移動ロボット2は、周囲の物体を検出する障害物検出部や、火災などの異常を検出する警備センサなどを用いて監視対象の異常を検知し、異常信号を制御装置3に送信する。
制御装置3は、監視対象の施設に設けられた監視室に設置され、移動ロボット2と無線接続される。制御装置3は、移動ロボット2から受信する画像などの情報をモニタ出力し、監視室内の監視員に対して異常等を報知する。制御装置のオペレータとなる監視員は、移動ロボット2から受信される情報を確認し、異常の存在が認められると移動ロボット2を遠隔操作して異常に対処させる。また、監視員は、移動ロボット2から受信する情報を参照して、安全に移動できない状況であれば移動を停止させる。このように、制御装置3は移動ロボット2を遠隔制御(リモートコントロール)可能であり、制御装置3は移動ロボット2の遠隔制御装置とも呼べる。
制御装置3は、さらに、監視対象施設を警備する警備装置4と通信可能に接続されており、警備装置4も監視対象施設に備えられている。警備装置4は、監視対象施設から遠隔に位置する監視センタ5と通信網6を介して接続される。制御装置3も、警備装置4を介して監視センタ5と通信することができる。監視センタ5は、警備会社などにより運営されるセンタであって、複数の施設の警備装置4と接続され、それら施設の警備状態を監視する。
また、本実施の形態の特徴として、制御装置3は、警備装置4にて監視室の警備がセットされて、警備状態が警備セットになると、移動ロボット2に施設警備信号を送信する。移動ロボット2は、制御装置3から施設警備信号を受信すると、予め記憶した画像監視位置Pに移動して静止し、撮影画像を制御装置3に送る。制御装置3は、画像監視位置Pの移動ロボット2から送られてくる撮影画像を監視センタ5に送信する。
次に、図2を参照し、移動ロボット2の構成を説明する。移動ロボット2は、自身に搭載されたバッテリ24の電力でもって、監視対象施設の巡回経路を自律的に走行する。巡回経路を走行するための構成として、移動手段11、ガイド検出部12および移動制御部13が設けられている。また、巡回中の画像や異常情報を制御装置3に送るために、自己位置検出部14、撮像ユニット15、障害物検出部16、警備センサ17および異常判定部18が設けられている。記憶部19は制御に必要な情報を記憶しており、通信部20は制御装置3と無線通信を行う。また、制御装置3からの遠隔制御に対応するために、制御信号処理部21が設けられている。さらに、制御装置3からの指示に応じて本実施の形態の画像監視モードを設定するためにモード設定部22が設けられている。また、制御部23はロボット全体を制御している。
移動手段11は、左右の駆動輪31、32と、それらを独立に駆動するモータ33、34で構成されている。モータ33、34が移動制御部13により制御され、これにより走行速度と走行方向が制御される。走行方向は、両駆動輪31、32の回転数差によって制御される。変形例としては、操舵機構が設けられてもよい。また、移動手段は車輪に限定されず、例えばクローラでもよい。
ガイド検出部12は、ガイド手段としての白線テープ201と指示マーカ203を検出する。白線テープ201は、図3に示されるように、監視対象施設の巡回経路に沿って設定されており、指示マーカ203は巡回経路上の所定の地点に設けられている。
ガイド検出部12は、白線検出カメラ41と路面情報抽出部42を有し、白線検出カメラ41が移動ロボット2の下の路面を撮影し、路面情報抽出部42が撮影画像の画像処理によって白線テープ201と指示マーカ203を検出する。
移動制御部13は、ガイド検出部12により検出される白線テープ201に沿って走行するように、つまり、白線検出カメラ41が常に白線テープ201を撮影し続けるようにモータ33、34を制御する。
また、制御部23は、記憶部19に記憶された経路情報71を参照して、指示マーカ203の検出に応じて移動ロボット2を制御する。経路情報71は、指示マーカ203がある地点でのロボットの動作や、指示マーカ203で挟まれる各区間でのロボットの動作の情報を含み、この動作が制御部23の制御下で実現される。例えば、経路情報71が各区間の走行速度を含み、走行速度が制御部23から移動制御部13に指示される。
なお、ガイド検出部12およびガイド手段は上記の構成に限定されない。例えば、ガイド検出部12が磁気センサ、電磁誘導センサ、などであり、ガイド手段が磁気ガイド、電磁誘導ガイドやRFタグであってよい。ガイド検出部12およびガイド手段は、設置する環境に応じて選択されてよい。
また、施設側に巡回経路のガイド手段が設けられなくてもよい。移動ロボット2は、巡回経路の形状を記憶しており、デッドレコニングやGPSにより算出する位置情報を基に、記憶している巡回経路の形状及び巡回経路上の所定の地点に従って走行してよい。
自己位置検出部14はレゾルバ51、52を備え、レゾルバ51、52がモータ33、34の回転量を検出する。左右のモータ33、34の回転量から、位置算出部53により、現在のロボットの位置座標と姿勢(ロボットの向き)が算出される。この位置検出は、デッドレコニング(推測航法)として一般に知られる手法である。
撮像ユニット15は、複数のカメラで構成される。図1に示されるように、ロボット上部のハウジングに複数のカメラが備えられ、これらカメラがロボット周囲を撮影する。また、ロボット前部にはPTZカメラ(パン・チルト・ズームカメラ)が設けられている。PTZカメラは、予め決められた予定に従い、あるいは、制御装置3から遠隔制御されて、パン、チルトおよびズーム動作を行う。
障害物検出部16は、障害物センサ61と障害物判定部62を有する。障害物センサ61は、レーザ光線、可視光線、超音波、赤外線などを照射して反射波を検出することにより、移動ロボット2と障害物の相対位置を検出する。障害物判定部62は、障害物センサ61の出力信号より障害物の相対位置(距離と角度)を算出し、制御部23に出力する。
警備センサ17は、監視対象における防犯防災の異常を検出する手段である。警備センサ17は、撮像ユニット15から入力される撮像画像を画像処理して侵入者の存在を検出してもよい。警備センサ17は、赤外線やマイクロ波により人体を検出する人体センサでもよい。さらに、警備センサ17は、熱や煙、紫外線を検知する火災センサでもよい。複数種類のセンサが設けられてよいことはもちろんである。
異常判定部18は、障害物検出部16や警備センサ17の出力に基づき監視対象に侵入した物体や消失した物体、火災の発生などを検出して異常事態の有無を判定する。障害物に関しては、異常判定部18は、記憶部19に記憶された環境地図72を参照する。環境地図72と障害物検出結果を比較して、既設物体の存在しない位置に物体が検出されたときに異常が発生したと判定される。また、既設物体が存在する位置に物体が検出されないときにも、物体消失の異常が発生したと判定される。また、異常判定部18は、警備センサ17の出力が異常発生と判定するためのしきい値を超えているか否かを判別し、しきい値を超えていれば異常が発生したと判定する。
記憶部19は、上述したように、移動ロボット2の各種処理に使用される情報を記憶しており、記憶部19が記憶する情報には、巡回経路の情報を示した経路情報71と、監視対象を二次元座標系で示した環境地図72とが含まれる。
通信部20は、制御装置3と信号を送受信する無線通信手段である。通信部20は、撮像ユニット15により撮影された画像の圧縮データを、自己位置検出部14により検出された位置情報とともに制御装置3に送信する。また通信部20は、異常判定部18が異常有りと判定した場合、制御装置3に異常信号を送信する。また、通信部20は、制御装置3から送信された遠隔制御コマンドとしての制御信号を受信して制御部23に入力する。
制御信号処理部21は、通信部20により受信された制御信号に基づき、移動ロボット2の動作を制御する。例えば、移動手段11と撮像ユニット15が制御される。制御信号処理部21による制御は、経路情報71に基づく巡回経路の自律移動制御に優先して処理される。これにより、移動ロボット2は、たとえ巡回中であっても、制御装置3からの遠隔操作の制御信号に従って動作する。こうして、移動ロボット2が制御装置3から遠隔操作される。
モード設定部22は、移動ロボット2の動作モードとして通常モードと画像監視モードとを設定し、これらの切替を行う。後述するように、警備装置4で警備セットが実施され、制御装置3から施設警備信号が送られてくると、画像監視モードが設定される。警備装置4で警備セットが解除されて、制御装置3から施設警備解除信号が送られてくると、画像監視モードから通常モードへ動作モードが切り替えられる。画像監視モードが設定されたときは、移動ロボット2は所定の画像監視位置Pに移動して停止するように制御部23により制御される。
制御部23は、移動ロボット2の各部構成を制御する手段であり、CPU等を備えたコンピュータで構成される。上述した各部構成で、コンピュータ処理可能なものも同コンピュータで実現される。例えば、路面情報抽出部42や、移動制御部13、位置算出部53、障害物判定部62、異常判定部18、制御信号処理部21などは制御部23の一部であってよく、コンピュータで実現される。また、記憶部19は、同コンピュータのメモリおよび外部記憶装置である。
ここで、上述の画像監視モードが設定されたときに移動ロボット2が移動する画像監視位置Pについて詳細に説明する。画像監視位置Pは予め記憶部19に記憶されている。より詳細には、画像監視位置Pは、記憶部19の経路情報71に含まれている。本実施の形態では経路情報71が指示マーカ203に関する情報であり、画像監視位置Pも指示マーカ203の情報として記憶されている。
図3を用いて説明したように、本実施の形態では、巡回経路に沿って白線テープ201が設置され、白線テープ201に沿った複数の地点に指示マーカ203が設定されている。本実施の形態では、画像監視位置Pは巡回経路上に設定されており、画像監視位置Pにも指示マーカ203が設置されている。すなわち、指示マーカ203の中に画像監視位置Pの指示マーカ203も存在する。画像監視位置Pの指示マーカ203は、他の指示マーカ203と同じように、白色四角形マークである。
記憶部19の経路情報71は、指示マーカ203に対応するロボット動作の情報である。例えば、経路情報71は、指示マーカ203で規定される区間の移動速度の情報を含む。画像監視位置Pの指示マーカ203も、経路情報71にて特定される。例えば、各指示マーカ203にマーカ番号が付されており、画像監視位置Pのマーカ番号が記憶されている。
移動ロボット2の制御では、移動中において指示マーカ203の検出回数から、各々の指示マーカ203のマーカ番号が特定され、該当指示マーカ203に応じたロボット動作が行われる。画像監視位置Pについても同様である。画像監視モードが設定されると、既に述べたように移動ロボット2は画像監視位置Pへ移動する。このとき、移動ロボット2は白線テープ201に沿って、すなわち巡回経路を走行するように制御される。巡回経路の走行過程で、指示マーカ203の検出回数がカウントされる。検出回数が、画像監視位置Pの指示マーカ203までのマーカ数に到達するまで、制御部23の制御下で移動ロボット2が走行制御され、これにより移動ロボット2が画像監視位置Pまで移動される。画像監視位置Pに達すると移動ロボット2が停止する。画像監視モードが通常モードに切り替わったときは、白線テープ201に沿って移動ロボット2が走行し、待機位置まで戻る。
記憶部19には、画像監視モードにおける画像監視位置Pでの移動ロボット2の姿勢、PTZカメラの撮影方向、ズーム倍率も記憶されている。これらの情報も経路情報71に含まれていてよく、画像監視位置Pの指示マーカ203と対応づけられていてよい。これら情報に従って移動ロボット2が制御される。
以上に移動ロボット2の構成を説明した。次に、図1を参照して、制御装置3の構成を説明する。
制御装置3は、移動ロボット2と無線接続される。制御装置3は、監視対象の施設に設けられた監視室に設置されている。監視室では、監視員が、移動ロボット2から伝送される情報により監視対象施設を監視する。なお、制御装置3を構成する全ての要素が監視室に設置される必要はなく、監視室には少なくとも移動ロボット2を遠隔制御するための操作部と表示部が設置されていればよい。制御装置3は、移動ロボット2を遠隔制御できる監視室の警備状態を受信して自身の動作を切り替える。
制御装置3は、表示部101、操作部102、記憶部103、ロボット通信部104、警備装置通信部105、警備状態受信部106、警備状態判定部107および制御部108で構成されている。
表示部101は、液晶モニタやCRTなどで構成される。表示部101には、操作部102によるコマンド入力のための入力メニュー画面と、監視対象の地図情報と移動ロボット2の位置情報、移動ロボット2が撮影した画像、移動ロボット2が検出した異常の情報などが表示される。
操作部102は、キーボードやポインティングデバイス、ジョイスティックなどで構成され、監視員によって操作されて移動ロボット2を遠隔制御するためのコマンドの入力が行われる。操作部102から入力されるコマンドとしては、監視対象内の巡回経路を指定するためのコマンド、移動ロボット2に巡回を開始させるコマンド、巡回のスケジュールを指定するコマンド、撮像ユニット15を制御するコマンド、移動ロボット2の移動方向や速度を指示する手動操縦のコマンド、移動ロボット2の移動を停止させるコマンド、所定の指示マーカ103を画像監視位置Pとして設定するコマンドなどがある。
監視員は、表示部101にて移動ロボット2の位置情報や撮像画像を参照しながら、上記のコマンド入力操作によって移動ロボット2の遠隔操縦ができる。監視員は、移動ロボット2が巡回経路を外れて移動した場合や、周囲の障害物に接近した場合など、移動の安全性が確保されない可能性がある場合には、移動ロボット2の移動を停止させるコマンドを入力する。また、確認が必要な物や異常が検出された場合には、監視員は、手動による移動操作のコマンドを操作部102に入力して、移動ロボット2を対象に接近させる。また、巡回経路やスケジュール、画像監視位置などの設定情報を入力、変更する場合に、監視員は、当該情報を設定するコマンドを操作部102に入力して移動ロボット2に送信する。
記憶部103は、制御装置3の各種処理に使用される情報を記憶している。記憶部103が記憶する情報には、命令群109が含まれる。命令群109は、移動ロボット2を制御するための複数のコマンドのセットである。コマンドの例は上述したとおりである。
ロボット通信部104は、図示されないアンテナや無線基地局を介して移動ロボット2と信号を送受信する無線通信手段である。ロボット通信部104は、移動ロボット2から受信した信号に伸張等の処理を施して、受信信号を制御部108に出力するとともに、操作部102から入力されたコマンドを制御信号として移動ロボット2に送信する。また、ロボット通信部104は後述する施設警備信号および施設警備解除信号も移動ロボット2に送信する。
警備装置通信部105は、警備装置4と有線にて通信を行う。制御装置3は、警備装置通信部105を用いて警備装置4と通信を行うことにより、警備装置4を介して監視センタ5と通信できる。したがって、警備装置通信部105は、監視センタ5と通信するためにセンタ通信部として機能する。なお、警備装置通信部105の代わりに、警備装置4を介さずに監視センタ5と直接的に通信するように通信網6と接続されたセンタ通信部が設けられてもよい。
警備状態受信部106は、監視室を警備する警備装置4から入力される警備状態の信号を受信する。警備状態判定部107は、警備状態受信部106により受信された信号から、監視室の警備状態を判別する。警備状態には、警備セットと警備解除が含まれる。警備セットの信号が警備状態受信部106にて受信されると、警備状態判定部107は、警備状態が警備セットであると判定する。また、警備解除の信号が警備状態受信部106にて受信されると、警備状態判定部107は、警備状態が警備解除であると判定する。
警備状態が警備解除から警備セットに切り替わると、制御部108は、施設警備信号を移動ロボット2へ送信すると共に、移動ロボット2から受信する画像を監視センタ5へ送信する。監視センタ5への送信は、前述したように、警備装置通信部105から警備装置4を介して行われる。警備状態が警備セットから警備解除に切り替わると、制御部108は、施設警備解除信号を移動ロボット2へ送信すると共に、監視センタ5への画像の送信を終了する。
上記構成では、警備状態が警備状態受信部106により受信された。しかし、警備状態は警備装置通信部105により受信されてもよく、この場合は警備装置通信部105が警備状態受信部として機能する。なお、上述のように、警備装置4を介さず制御装置3と監視センタ5とが直接的に通信するよう警備装置通信部105の代わりに通信網6と接続されたセンタ通信部を設ける場合には、警備装置4による監視室を含む区画の警備状態を監視センタ5から受信する構成としてもよい。この場合、センタ通信部が警備状態受信部として機能する。この構成によれば、制御装置3と警備装置4との通信接続が不要になる。
制御部108は、上記の処理を行う他に、制御装置3の各部構成を制御する手段であり、CPU等を備えたコンピュータで構成される。また、上述した各部構成で、コンピュータ処理可能なものも同コンピュータで実現されてよく、例えば、警備状態判定部107は制御部108の一部でよく、制御部108のコンピュータで実現されてよい。また、記憶部103は、同コンピュータのメモリおよび外部記憶装置などで実現されてよい。
以上に制御装置3の構成について説明した。次に、図1を参照して、警備装置4の構成を説明する。
警備装置4は、防犯センサ111を用いて、監視対象となる施設内の警備区画毎、又は施設全体を警備する装置である。警備装置4は、防犯センサ111が侵入者などの異常を検知した場合、異常出力する。図1および図3に示すように、警備装置4は複数の防犯センサ111と接続されている。防犯センサ111は、監視対象となる施設内の警備区画に設置されており、監視室の区画にも防犯センサ111が設置されている。防犯センサ111は、検知状態になると、警備装置4に検知信号を送信する。防犯センサ111としては、例えば、窓や扉が開いたことを検知するセンサや、熱線や画像処理により移動体を検知するセンサなどがある。
警備装置4は、操作部112、センタ通信部113、移報部114、制御装置通信部115およびこれらを制御する制御部116で構成されている。
操作部112は、監視員などの利用者が警備装置4の警備状態を設定するための装置である。操作部112は、ICカードや暗証番号、バイオメトリクス情報などを読み込む。読み込まれたデータを用いて制御部116により利用者の照合が行われる。照合が成功すると、さらに、操作部112への操作が受け付けられる。
操作部112にて入力された警備状態は制御部116に出力され、設定される。ここで、制御部116にて設定される警備状態としては、警備セットの状態と、警備解除の状態とがある。警備セットの状態では、防犯センサ111が検知状態になり警備装置4に検知信号が入力されると、警備装置4は防犯センサ111が異常を検知したと判定し異常出力が行われる。警備解除は、異常出力が行われない状態である。利用者は、例えば対象となる警備区画が無人となる場合に、操作部112への操作により、当該警備区画を警備セットに設定する。また、利用者は、同区画に入る場合に、操作部112を操作して警備状態を警備解除に設定する。
センタ通信部113は、警備会社などにより運営される遠隔の監視センタ5などと通信網6を介して接続され、上記の警備状態を監視センタ5に送ったり、異常の発生時に異常通報する通信手段である。上記の異常出力は、センタ通信部113を介して監視センタ5に対して行われる。すなわち、センタ通信部113は、制御部116により制御されて、警備状態が警備セットであるときに防犯センサ111が検知信号を出力して制御部116が異常の発生と判定すると、通信線を介して監視センタ5に異常信号を送出する。
移報部114は、警備装置4と外部機器とを接続するインターフェースである。移報部114は、制御装置3の警備状態受信部106と接続されて、警備状態を制御装置3に出力する。本例において、移報部114は監視室を含む警備区画の警備状態を出力する。
制御装置通信部115は、制御装置3側の警備装置通信部105と通信を行う。前述したように、警備セットのときは制御装置3から監視センタ5へ画像が送られる。このとき、画像データが警備装置4の制御装置通信部115にて受信され、センタ通信部113から監視センタ5に送信される。
なお、前出の移報部114および警備状態受信部106も、警備装置4と制御装置3の間の通信を実現しており、制御装置通信部および警備装置通信部ということもできる。
制御部116は、既に述べたように、警備装置4の各部構成を制御する。制御部116は、CPU等を備えたコンピュータで構成される。
以上に警備装置4の構成について説明した。次に、図1を参照して、監視センタ5の構成を説明する。
監視センタ5は、警備会社などにより運営される施設である。監視センタ5には、センタ装置121が設けられており、このセンタ装置121が通信網6を介して警備装置4と接続されており、また、警備装置4を介して制御装置3と接続されている。センタ装置121は、表示部122、操作部123、記憶部124、通信部125およびこれらを制御する制御部126で構成されている。記憶部124は装置動作に必要な情報を記憶し、通信部125は通信網6を介して警備装置4と通信する。
監視センタ5では、表示部122が警備装置4から受信する情報を表示し、センタ員が表示部122を見て監視対象の異常有無を監視している。また、監視センタ5では、制御装置3から伝送される画像が表示部122により表示される。画像は、上述のように移動ロボット2が画像監視位置から送ってくる。これにより、移動ロボット2が監視カメラとして用いられて、監視対象が監視される。
センタ員は、制御装置3から画像が伝送されているときに必要に応じてカメラ操作コマンドを操作部123に入力し、移動ロボット2の撮像ユニット15におけるカメラを操作して監視対象を監視する。カメラ操作コマンドは、制御部126の制御下で、通信部125から警備装置4を介して制御装置3に送られる。さらに、カメラ操作コマンドは、制御装置3から移動ロボット2へと送られる。制御装置3が遠隔制御のために自分から移動ロボット2に送る制御信号と同様に、監視センタ5からのカメラ操作コマンドも移動ロボット2へと送られ、そして、移動ロボット2はカメラ操作コマンドに従ってパン、チルト、ズームといった動作を行う。
また、監視センタ5では、警備装置4から異常信号を受信すると、又は、制御装置3からの画像に異常の存在が認められると、出動警備員に対処が指示され、出動警備員を監視対象に急行させる。
以上に本実施の形態に係る監視システム1の構成を説明した。次に、監視システム1の動作を説明する。
図4は制御装置3の動作を示している。ここでは、図4を参照して、本発明に関係する警備状態関連の制御装置3の動作について説明する。制御装置3では、警備状態判定部107が、監視室の警備状態が警備セットか否かを判定し(S1)、警備状態が警備セットになると(S1、Yes)、制御部108が移動ロボット2に施設警備信号を送信する(S3)。また、制御部108は、移動ロボット2からの受信画像を監視センタ5に送信し始める(S5)。画像データは、警備装置4を介して監視センタ5へ送信される。
制御装置3は、画像の送信を開始すると、監視センタ5からカメラ操作コマンドを受信したか否かを判定する(S7)。カメラ操作コマンドの通信も警備装置4を介して行われる。カメラ操作コマンドが受信されると(S7、Yes)、制御部108は移動ロボット2へカメラ操作コマンドを送信する(S9)。
ステップS9の送信処理の後、またはステップS7の判定がNoの場合、警備状態判定部107により、警備状態が警備解除になったか否かが判定される(S11)。警備状態が警備解除になっていなければ、ステップS7に戻る。警備状態が警備解除になると(S11、Yes)、制御部108が移動ロボット2に施設警備解除信号を送信し(S13)、監視センタ5への画像送信を終了し(S15)、リターンする。
次に、図5は、移動ロボット2の動作を示している。移動ロボット2では、制御部23が、現在の動作モードが通常モードであるか否かを判定する(S21)。動作モードが通常モードであれば(S21、Yes)、制御部23は、巡回開始信号を検知したか否かを判定する(S23)。
巡回開始信号は、巡回経路の巡回開始を指示する信号であり、巡回開始検知部として機能する制御部23により検知される。巡回動作は、制御装置3からの指示で開始される場合と、移動ロボット2の記憶部19に予め記憶された巡回スケジュールに従って開始される場合とがある。前者の場合、制御装置3からの巡回開始信号が通信部20に受信され、移動ロボット2の制御部23に入力され、これにより制御部23が巡回開始信号を検知する。後者の場合、制御部23は、記憶部19の巡回スケジュールに含まれる巡回開始時刻を参照する。そして、制御部23を構成するコンピュータの計時手段(時計)を利用して、巡回開始時刻が来たことを検出し、巡回開始信号を生成する。この巡回開始信号が制御部23自身に検知される。
巡回開始信号が検知されると(S23、Yes)、移動ロボット25は巡回処理を行い、自律的に巡回経路を走行して巡回する。ステップS25の巡回処理の後、またはステップS23で巡回開始信号が検知されないとき、制御部23は施設警備信号の入力の有無を判定する(S27)。前述のように、制御装置3からは、警備状態が警備セットになると施設警備信号が送られてきて、通信部20に受信されて、制御部23に入力される。施設警備信号が入力されると(S27、Yes)、画像監視位置移動処理が制御部23の制御下で行われる(S29)。ステップS29の画像監視位置移動処理の後、またはステップS27で施設警備信号が入力されない場合、処理はリターンしてステップS21に戻る。
ステップS29の画像監視位置移動処理の過程では、動作モードが通常モードから画像監視モードに切り替えられる。したがって、ステップS29の後で処理がリターンすると、ステップS21の判定がNoになる。この場合は、制御部23の制御下で画像監視処理が行われる(S31)。
図6は、図5におけるステップS25の巡回処理を示している。巡回処理は上述のように巡回開始信号の検知に応答して行われ、制御部23の制御下で巡回が開始される(S41)。巡回が開始すると、移動制御部13が移動手段11を制御して移動ロボット2を巡回経路に沿って走行させる。白線テープ201がガイド検出部12により検出され、白線テープ201に沿って走行するように移動制御部13がモータ回転を制御する。巡回走行中に、障害物検出部16および警備センサ17からの入力に基づき、異常判定部18が異常発生と判定すると、移動ロボット2は制御部23の指示で停止し、制御装置3に異常信号を送信する。また、移動ロボット2の制御部23は、画像送信制御部として機能し、撮像ユニット15により撮像された画像情報を、自己位置検出部14により検出された現在位置情報と共に制御装置3に送信する。
巡回が開始すると、制御部23は、施設警備信号が入力されたか否かを判定する(S43)。施設警備信号が入力されると(S43、Yes)、巡回処理が中断されて、図5のステップS29の画像監視位置移動処理が行われる。施設警備信号が入力されなければ(S43、No)、制御部23は、巡回が終了したか否かを判定する(S45)。移動ロボット2が白線テープ201に沿って走行して、ロボット待機位置に設けられた経路終点の指示マーカ203が検出されると、巡回が終了する。巡回が終了すると、制御部23は巡回処理を終了し、図5のステップS27に進む。
図7は、図5におけるステップS29の画像監視位置移動処理を示している。画像監視位置移動処理は上述のように施設警備信号の入力に応答して行われ、まず、画像監視モードがモード設定部22により設定される(S51)。現在の動作モードは記憶部19に記憶され、保持される。また、移動制御部13は、移動手段11を制御して、移動ロボット2を画像監視位置Pへ移動する(S53)。
画像監視位置Pへの移動は、既に説明したように、画像監視位置Pの指示マーカ203(図3)を検出するまで白線テープ201に沿って移動ロボット2を走行させることにより実現される。施設警備信号の入力時点で移動ロボット2が待機位置にいる場合、移動ロボット2は、白線テープ201に沿って巡回経路の走行を開始して画像監視位置Pへ向かう。施設警備信号の入力時点で移動ロボット2が巡回処理中である場合、移動ロボット2は白線テープ201に沿った走行を継続して画像監視位置Pの指示マーカ203へ向かう。
画像監視位置Pへの移動中、制御部23は、施設警備解除信号の入力の有無を判定する(S55)。前述のように、制御装置3からは、警備状態が警備解除になると施設警備解除信号が送られてきて、通信部20に受信されて、制御部23に入力される。施設警備解除信号が入力されていなければ(S55、No)、制御部23は、移動ロボット2が画像監視位置に到達したか否かを判定し(S57)、到達していなければ(S57、No)、ステップS55に戻る。ステップS57で移動ロボット2が画像監視位置に到達していれば(S57、Yes)、移動制御部13が、制御部23の指示を受けて、記憶部19に記憶された画像監視姿勢(向き)で移動ロボット2を静止させ(S59)、画像監視位置移動処理が終了する。このとき、PTZカメラも、記憶部19に記憶された所定の撮影方向を向き、所定のズーム倍率で撮影を行うように制御されてよい。
ステップS55にて施設警備解除信号が入力された場合(S55、Yes)、制御部23は移動制御部13を制御して移動ロボット2の移動を停止させ(S61)、モード設定部22に通常モードを設定させて(S63)、画像監視位置移動処理を終了する。通常モードが設定されると、移動ロボット2は白線テープ201に沿って走行し、待機位置まで移動して停止する。
図8は、図5におけるステップS31の画像監視処理を示している。画像監視処理の前提として、図5のステップS29の画像監視位置移動処理が行われ、その過程で画像監視モードが設定される。画像監視モード設定後に図5の処理がリターンすると、ステップS21の判定がNoになり、ステップS31の画像監視処理が行われる。画像監視位置移動処理を経ているので、画像監視処理が行われる時点では移動ロボット2は画像監視位置へ到達している。
画像監視処理では、制御部23が画像送信制御部として機能し、撮像ユニット15の撮像画像が制御部23から通信部20を介して制御装置3へと送信される。制御部23は、移動ロボット2の上面に設けられたカメラが周囲を撮影した画像を送信する。また、制御部23は、移動ロボット2の前面に設けられたPTZカメラが撮影した画像を送信する。
図8に示すように、制御部23は、カメラ操作信号の入力の有無を判定する(S71)。カメラ操作信号は、カメラ操作コマンドによる制御信号である。移動ロボット2で画像監視モードが設定されているときは、制御装置3から監視センタ5へと画像が転送されている。監視センタ5でセンタ装置121が操作されてカメラ操作コマンドが入力されると、カメラ操作コマンドが制御装置3へ送られる。そして、カメラ操作信号が制御装置3から移動ロボット2に送信されて、制御部23に入力される。制御部23は、カメラ操作信号が入力されると、該信号に従ってPTZカメラを操作する(S73)。パン方向およびチルト方向の向きが制御され、また、ズーム倍率が制御される。
また、画像監視処理では、制御部23は、施設警備解除信号の入力の有無を判定する(S75)。施設警備解除信号が入力されると、モード設定部22により通常モードが設定される(S77)。通常モードが設定されると、移動ロボット2は、白線テープ201に沿った走行を開始し、待機位置まで移動して停止する。
移動ロボット2では、画像監視モードが設定されているときに、巡回開始信号が検知される可能性がある。典型的には、画像監視モードの設定中に、巡回スケジュールの巡回開始時刻が到来すると、巡回開始信号が発生して、制御部23に検知される。しかし、本実施の形態では、巡回開始信号が検知されても、巡回経路を走行する移動制御は抑制される。すなわち、本実施の形態では、画像監視モードが設定されているときは、図5のステップS21の判定がNoになるので、ステップS23、S25の処理は行われず、したがって、巡回開始信号の検知の有無に基づいた巡回処理が行われず、巡回が行われない。こうして、画像監視モードの設定中は巡回動作が抑制される。
以上に制御装置3および移動ロボット2の動作を個別に説明した。監視システム1は全体としては下記のように動作する。
警備装置4にて警備状態が警備解除であったとする。この場合、制御装置3から移動ロボット2へは施設警備解除信号が送信されており、移動ロボット2では通常モードが設定されている。そして、移動ロボット2では、巡回開始信号が検知されると巡回処理が行われ、移動ロボット2は巡回動作を行い、すなわち、巡回経路を走行ながら異常検知や画像送信を行う。
監視室が無人になり、警備装置4にて監視室の警備状態が警備セットになると、この警備状態が制御装置3にて検出され、制御装置3は移動ロボット2に施設警備信号を送信する。移動ロボット2は、施設警備信号を受信すると、画像監視モードになり、予め記憶した画像監視位置Pに移動する。移動ロボット2は、画像監視位置Pに到達すると、画像監視姿勢(向き)で静止して、画像を制御装置3に送信する。
制御装置3は、移動ロボット2から受信する画像を遠隔の監視センタ5に送信する。監視センタ5では画像がセンタ装置121にて表示される。また、制御装置3は、遠隔の監視センタ5からカメラ操作コマンドを受信すると、そのカメラ操作コマンドを制御信号として移動ロボット2に送信する。移動ロボット2は、カメラ操作コマンドを受信すると、コマンドの指示内容に応じてズーム制御、パンチルト制御といったカメラコントロールを行う。このようにして、警備装置4の警備状態が警備セットになると、移動ロボット2は画像監視モードを設定し、監視センタ5にとっての監視カメラとして機能することになる。なお、移動ロボット2は、画像監視モードに設定されているときは、巡回開始信号を検知しても巡回を行うことはない。
警備装置4にて監視室の警備状態が警備セットから警備解除になると、制御装置3は、移動ロボット2に施設警備解除信号を送信する。また制御装置3は、監視センタ5への画像送信を終了する。移動ロボット2は、施設警備解除信号を受信すると、通常モードになり、巡回開始信号を待ち受ける。
以上に説明したように、本実施の形態によれば、操作部の設置された区画の警備状態が判定され、警備状態が警備であれば、移動ロボットは画像監視位置に静止して撮影画像を制御装置に送り、制御装置は撮影画像を監視センタに転送する。移動ロボットは、監視センタにとっては画像監視位置に固定された監視カメラとして機能することになる。このようにして、監視室が無人となった場合であっても移動ロボットを用いた施設の監視が可能であり、また、監視室が無人の時に移動ロボットが不用意に移動して巡回することを防止して安全性を向上できる。
また、本実施の形態によれば、制御装置が警備装置から警備状態を受信するように構成され、したがって、警備装置から受信される情報を利用することによって警備状態を好適に判定できる。
また、本実施の形態によれば、警備状態が警備であるときは移動ロボットが画像監視モードを設定し、巡回開始信号を検知しても巡回を行わない。したがって、監視室が無人の時に移動ロボットが不用意に移動して巡回することを防止して安全性を向上できる。
以上に本発明の好適な実施の形態を説明した。ただし、本発明は上述の実施の形態に限定されず、当業者が本発明の範囲内で上述の実施の形態を変形可能なことはもちろんである。