以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1は、本実施の形態の制御装置を含む監視システムを示している。まず、図1を参照して、監視システム1の概要を説明する。
図1に示すように、監視システム1は、移動ロボット2および制御装置3を含む。移動ロボット2と制御装置3は無線通信可能である。移動ロボット2は監視対象施設に配備されている。監視対象施設は例えば工場等の建物である。また、制御装置3は、監視対象の施設の監視室に備えられている。
移動ロボット2は、所定のタイミングで監視対象施設に設定された巡回経路の移動を開始し、巡回経路に沿って自律的に移動して巡回経路の移動が終了すると移動停止する。巡回移動中、移動ロボット2は、撮像ユニットを作動させて周囲の状況を撮影し、自己の現在位置とともに制御装置3に送信する。更に、移動ロボット2は、周囲の物体を検出する障害物検出部や、火災などの異常を検出する警備センサなどを用いて監視対象の異常を検知し、異常信号を制御装置3に送信する。
制御装置3は、移動ロボット2から受信する画像などの情報をモニタに出力する。制御装置3のオペレータとなる監視員は、移動ロボット2から受信される情報を確認し、異常の存在が認められると移動ロボット2を遠隔操縦して異常に対処させる。また、監視員は、移動ロボット2から受信する情報を参照して、安全に移動できない状況であれば移動を停止させる。このように、制御装置3は移動ロボット2を遠隔制御(リモートコントロール)可能であり、制御装置3は移動ロボット2の遠隔制御装置とも呼べる。そして、移動ロボット2は、巡回経路に沿って自律的に移動し、また、この自律的な制御の合間に制御装置3から移動停止の制御や遠隔操縦の制御を受けることで半自律的に動作する。
制御装置3は、さらに、監視対象施設を警備する警備装置4と通信可能に接続されており、警備装置4も監視対象施設に備えられている。警備装置4は、監視対象施設から遠隔に位置する監視センタ5と通信網6を介して接続される。制御装置3も、警備装置4を介して監視センタ5と通信することができる。監視センタ5は、警備会社などにより運営されるセンタであって、複数の施設の警備装置4と接続され、それら施設の警備状態を監視する。
次に、図2を参照し、移動ロボット2の構成を説明する。移動ロボット2は、自身に搭載されたバッテリ23の電力でもって、監視対象施設の巡回経路を自律的に走行する。巡回経路を走行するための構成として、移動手段11、ガイド検出部12および移動制御部13が設けられている。また、巡回中の画像や異常情報を制御装置3に送るために、自己位置検出部14、撮像ユニット15、障害物検出部16、警備センサ17および異常判定部18が設けられている。記憶部19はロボットの動作に必要な情報を記憶しており、通信部20は制御装置3と無線通信を行う。さらに、制御装置3からの遠隔制御に対応するために、制御信号処理部21が設けられている。また、制御部22はロボット全体を制御している。
移動手段11は、左右の駆動輪31、32と、それらを独立に駆動するモータ33、34で構成されている。モータ33、34が移動制御部13により制御され、これにより走行速度と走行方向が制御される。走行方向は、両区動輪31、32の回転数差によって制御される。変形例としては、操舵機構が設けられてもよい。また、移動手段は車輪に限定されず、例えばクローラでもよい。
ガイド検出部12は、ガイド手段としての白線テープ201と指示マーカ203を検出する。白線テープ201は、図3に示されるように、監視対象施設の巡回経路に沿って設定されており、指示マーカ203は巡回経路上の所定の地点に設けられている。
ガイド検出部12は、白線検出カメラ41と路面情報抽出部42を有し、白線検出カメラ41が移動ロボット2の下の路面を撮影し、路面情報抽出部42が撮影画像の画像処理によって白線テープ201と指示マーカ203を検出する。
移動制御部13は、ガイド検出部12により検出される白線テープ201に沿って走行するように、つまり、白線検出カメラ41が常に白線テープ201を撮影し続けるようにモータ33、34を制御する。
また、制御部23は、記憶部19に記憶された経路情報71を参照して、指示マーカ203の検出に応じて移動ロボット2を制御する。経路情報71は、指示マーカ203がある地点でのロボット動作や、指示マーカ203で挟まれる各区間でのロボット動作の情報を含み、この動作が制御部23の制御下で実現される。例えば、経路情報71が各区間の走行速度を含み、走行速度が制御部23から移動制御部13に指示される。
なお、ガイド検出部12およびガイド手段は上記の構成に限定されない。例えば、ガイド検出部12が磁気センサ、電磁誘導センサ、などであり、ガイド手段が磁気ガイド、電磁誘導ガイドやRFタグであってよい。ガイド検出部12およびガイド手段は、設置する環境に応じて選択されてよい。
また、施設側に巡回経路のガイド手段が設けられなくてもよい。移動ロボット2は、巡回経路の形状を記憶しており、デッドレコニングやGPSにより算出する位置情報を基に、記憶している巡回経路の形状及び巡回経路上の所定の地点に従って走行してよい。
自己位置検出部14はレゾルバ51、52を備え、レゾルバ51、52がモータ33、34の回転量を検出する。左右のモータ33、34の回転量から、位置算出部53により、現在のロボットの位置座標と姿勢(ロボットの向き)が算出される。この位置検出は、デッドレコニング(推測航法)として一般に知られる手法である。
撮像ユニット15は、複数のカメラで構成される。図1に示されるように、ロボット上部のハウジングに複数のカメラが備えられ、これらカメラがロボット周囲を撮影する。また、ロボット前部にはPTZカメラ(パン・チルト・ズームカメラ)が設けられている。PTZカメラは、予め決められた予定に従い、あるいは、制御装置3から遠隔制御されて、パン、チルトおよびズーム動作を行う。
障害物検出部16は、障害物センサ61と障害物判定部62を有する。障害物センサ61は、レーザ光線、可視光線、超音波、赤外線などを照射して反射波を検出することにより、移動ロボット2と障害物の相対位置を検出する。障害物判定部62は、障害物センサ61の出力信号より障害物の相対位置(距離と角度)を算出し、制御部22に出力する。
警備センサ17は、監視対象における防犯防災の異常を検出する手段である。警備センサ17は、撮像ユニット15から入力される撮像画像を画像処理して侵入者の存在を検出してもよい。警備センサ17は、赤外線やマイクロ波により人体を検出する人体センサでもよい。さらに、警備センサ17は、熱や煙、紫外線を検知する火災センサでもよい。複数種類のセンサが設けられてよいことはもちろんである。
異常判定部18は、障害物検出部16や警備センサ17の出力に基づき監視対象に侵入した物体や消失した物体、火災の発生などを検出して異常事態の有無を判定する。障害物に関しては、異常判定部18は、記憶部19に記憶された環境地図72を参照する。環境地図72と障害物検出結果を比較して、既設物体の存在しない位置に物体が検出されたときに異常が発生したと判定される。また、既設物体が存在する位置に物体が検出されないときにも、物体消失の異常が発生したと判定される。また、異常判定部18は、警備センサ17の出力が異常発生と判定するためのしきい値を超えているか否かを判別し、しきい値を超えていれば異常が発生したと判定する。
記憶部19は、上述したように、移動ロボット2の各種処理に使用される情報を記憶しており、記憶部19が記憶する情報には、巡回経路の情報を示した経路情報71と、監視対象を二次元座標系で示した環境地図72とが含まれる。
通信部20は、制御装置3と信号を送受信する無線通信手段である。通信部20は、撮像ユニット15により撮影された画像の圧縮データを、自己位置検出部14により検出された位置情報とともに制御装置3に送信する。また通信部20は、異常判定部18が異常有りと判定した場合、制御装置3に異常信号を送信する。また、通信部20は、制御装置3から送信された遠隔制御コマンドとしての制御信号を受信して制御部22に入力する。
制御信号処理部21は、通信部20により受信された制御信号に基づき、移動ロボット2の動作を制御する。例えば、移動手段11と撮像ユニット15が制御される。制御信号処理部21による制御は、経路情報71に基づく巡回経路の自律移動制御に優先して処理される。これにより、移動ロボット2は、たとえ巡回中であっても、制御装置3からの遠隔操作の制御信号に従って動作する。こうして、移動ロボット2が制御装置3から遠隔操作される。
制御部22は、移動ロボット2の各部構成を制御する手段であり、CPU等を備えたコンピュータで構成される。上述した各部構成で、コンピュータ処理可能なものも同コンピュータで実現される。例えば、路面情報抽出部42や、移動制御部13、位置算出部53、障害物判定部62、異常判定部18、制御信号処理部21などは制御部22の一部であってよく、コンピュータで実現される。また、記憶部19は、同コンピュータのメモリおよび外部記憶装置である。
以上に移動ロボット2の構成を説明した。次に、図1を参照して、制御装置3の構成を説明する。
制御装置3は、移動ロボット2と無線接続される。制御装置3は、監視対象の施設に設けられた監視室や防災センタ内、又は警備会社などにより運営される遠隔の監視センタに設置されてよい。図1の例では、監視対象施設内の監視室に制御装置3が設置される。監視室では、監視員が、移動ロボット2から伝送される情報により監視対象施設を監視している。なお、図1の例においても制御装置3を構成する全ての要素が監視室に設置される必要はなく、監視室には少なくとも移動ロボット2を遠隔制御するための操作部と表示部が設置されていればよい。制御装置3は、移動ロボット2を遠隔制御できる操作部近傍の利用者在否を判定して自身の動作モードを切り替える。
制御装置3は、表示部101、操作部102、記憶部103、ロボット通信部104、警備装置通信部105、在否判定部106、操作許容部107、モード設定部108および制御部109で構成されている。
表示部101は、液晶モニタやCRTなどで構成される。表示部101には、操作部102によるコマンド入力や許可コード入力のための入力メニュー画面と、監視対象の地図情報と移動ロボット2の位置情報、移動ロボット2が撮影した画像、移動ロボット2が検出した異常の情報などが表示される。
操作部102は、キーボードやポインティングデバイス、ジョイスティックなどで構成され、監視員によって操作されて移動ロボット2を遠隔制御するための所定のコマンドの入力が行われる。操作部102から入力されるコマンドとしては、監視対象内の巡回経路を指定するためのコマンド、移動ロボット2に巡回を開始させるコマンド、巡回のスケジュールを指定するコマンド、撮像ユニット15を制御するコマンド、移動ロボット2の移動方向や速度を指示する手動操縦のコマンド、移動ロボット2の移動を停止させるコマンドなどがある。また、操作部102は、制御装置の動作モードを変更するための許可コードの入力に用いられる。
監視員は、表示部101にて移動ロボット2の位置情報や撮像画像を参照しながら、上記のコマンド入力操作によって移動ロボット2の遠隔操縦ができる。監視員は、移動ロボット2が巡回経路を外れて移動した場合や、周囲の障害物に接近した場合など、移動の安全性が確保されない可能性がある場合には、移動ロボット2の移動を停止させるコマンドを入力する。また、確認が必要な物や異常が検出された場合には、監視員は、手動による移動操作のコマンドを操作部102に入力して、移動ロボット2を対象に接近させる。
記憶部103は、制御装置3の各種処理に使用される情報を記憶している。記憶部103が記憶する情報には、命令群111、動作モード112および許可コード113が含まれる。命令群111は、移動ロボット2を制御するための複数のコマンドのセットである。コマンドは本発明の命令に相当し、具体的には上述に例示した通りである。動作モード112は、制御装置3の現在の動作モードである。本実施の形態では、後述するように、動作モードとしては、ログアウトモード(またはログオフモード)、ログインモード(またはログオンモード)および不在モードが用意されている。また、許可コード113は、制御装置3の動作モード変更可否を判定するためのコードであり、予め監視員に付与されると共に記憶部103に記憶されている。
ロボット通信部104は、図示されないアンテナや無線基地局を介して移動ロボット2と信号を送受信する無線通信手段である。ロボット通信部104は、移動ロボット2から受信した信号に伸張等の処理を施して、受信信号を制御部109に出力するとともに、操作部102から入力されたコマンドを制御信号として移動ロボット2に送信する。
警備装置通信部105は、警備装置4と有線にて通信を行う。制御装置3は、警備装置通信部105を用いて警備装置4と通信を行うことにより、警備装置4を介して監視センタ5と通信できる。したがって、警備装置通信部105は、監視センタ5と通信するためにセンタ通信部として機能する。なお、警備装置通信部105の代わりに、警備装置4を介さずに監視センタ5と直接的に通信するように通信網6と接続されたセンタ通信部が設けられてもよい。
在否判定部106は、制御装置3の近傍に監視員が存在するか否かを判定する手段である。本実施の形態の例では、在否判定部106は、監視対象施設の警備装置4を活用して、監視員の在否を判定する。在否判定部106は、監視室を警備する警備装置4から信号が入力される警備状態受信部121と、警備装置4からの信号より監視室の警備状態を判別する警備状態判定部122とを含んでいる。警備状態には、警備セットと警備解除が含まれる。警備セットの信号が警備状態受信部121に受信されると、警備状態判定部122は、警備状態が警備セットであると判定する。また、警備解除の信号が警備状態受信部121に受信されると、警備状態判定部122は、警備状態が警備解除であると判定する。なお、上記構成では警備状態が警備状態受信部121により受信されたが、警備状態は警備装置通信部105により受信されてもよく、この場合は警備装置通信部105が警備状態受信部として機能する。
在否判定部122は、監視室の警備状態が警備解除であれば制御装置3の近傍に監視員が存在すると判定し、監視室の警備状態が警備セットであれば制御装置3の近傍に監視員が不在と判定する。元々、警備装置4は、警備対象区域が無人になったときにセンサを起動して機械的に警戒を行う装置である。そこで、警備装置4を活用して、監視室が無人になったか否かが判定され、これにより制御装置3の近傍における人の有無が判定される。
操作許容部107は、操作部102から入力されるコマンドを制限する手段である。操作許容部107は、動作モードに応じて、入力されたコマンドを受け付けるか否か判定する。動作モードとしてログインモードが設定されているときには、操作部102から入力された全てのコマンドを許容して制御部109に出力する。また、動作モードとしてログアウトモードが設定されているときには、所定の緊急制御コマンドと許可コードの入力のみを許容して制御部109に出力する。また、動作モードとして不在モードが設定されているときには、全てのコマンドの入力を許容しない。
上記の緊急制御コマンドは、緊急制御に必要なコマンドである。本実施の形態では、移動停止のコマンドが、緊急制御コマンドとして設定されている。したがって、ログアウトモード設定時には、移動停止のコマンドと許可コードの入力が許容される。
このようにして、操作許容部107は、動作モードに応じて、入力可能となるコマンドを変更する。そして、操作許容部107は、操作部102から入力されるコマンドを監視して、現在の動作モードで許容すべきコマンドであれば、当該コマンドを制御部109に出力する。また、操作許容部107は、ログアウトモード時において、許可コードが入力されると、当該許可コードをモード設定部108に出力する。また、操作許容部107は、不在モード時において、操作部102から入力があると、不正操作が行われたと判定する。
なお、操作許容部107は、動作モードに応じて、表示部101に表示するコマンド入力用のアイコン表示(GUI)を変更してもよい。具体的には、ログインモードでは、すべてのコマンドのアイコンが表示される。ログアウトモードでは、緊急制御に必要なコマンドのアイコンのみ、即ち本実施の形態では移動停止コマンドのアイコンのみが表示される。不在モードでは、コマンドのアイコンが表示されない。操作者は、アイコンの選択操作を操作部102に対して行うことによりコマンドを入力できる。このような構成によっても、動作モードに応じて入力可能なコマンドを変更でき、コマンドの入力を制限付きで許容する操作許容部107の機能を実現できる。
モード設定部108は、制御装置3の動作モードを切り換える手段である。モード設定部108は、図4に示すように、動作モードを切り換えて、現在の動作モードを記憶部103に記憶する。
具体的には、在否判定部106が監視員不在と判定すると、モード設定部108は動作モードを不在モードに設定する。在否判定部106により監視員が存在すると判定されれば、モード設定部108は、動作モードをログアウトモードに設定する。
さらに、ログアウトモードに設定されているときに、操作部102から許可コードが入力されたとする。モード設定部108は、入力された許可コードを記憶部の許可コードと比較する。両コード一致すれば認証が成功し、認証が成功すると、モード設定部108は動作モードをログインモードに設定する。
また、ログインモードにおいては、操作部が操作されない期間が計時される。最後の入力から所定時間以上、操作部102が操作されない場合、モード設定部108は、動作モードをログアウトモードに設定する。上記の計時には、計時部110が用いられる。計時部110は、制御装置3に内蔵される時計であり、例えば、制御部109を構成するコンピュータの時計である。
制御部109は、制御装置3の各部構成を制御する手段である。制御部109は、操作許容部107から入力されたコマンドを移動ロボット2に送信する。このコマンドは、操作部102から入力され、かつ、操作許容部107の判定で許容されたコマンドである。また、操作許容部107が不正操作が発生したと判定すると、制御部109は、警備装置通信部105から警備装置4に異常信号を出力し、警備装置4を介して警備会社などにより運営される遠隔の監視センタ5に異常通報を行う。
制御部109は、CPU等を備えたコンピュータで構成される。上述した各部構成で、コンピュータ処理可能なものも同コンピュータで実現されてよい。例えば、在否判定部106、操作許容部107、モード設定部108といった構成は、制御部109の一部でよく、制御部109のコンピュータで実現されてよい。また、記憶部103は、同コンピュータのメモリおよび外部記憶装置などで実現されてよい。
以上に制御装置3の構成について説明した。次に、図1を参照して、警備装置4の構成を説明する。
警備装置4は、防犯センサ131を用いて、監視対象となる施設内の警備区画毎、又は施設全体を警備する装置である。警備装置4は、防犯センサ131が侵入者などの異常を検知した場合、異常出力する。図1および図3に示すように、警備装置4は複数の防犯センサ131と接続されている。防犯センサ131は、監視対象となる施設内の警備区画に設置されており、監視室の区画にも防犯センサ131が設置されている。防犯センサ131は、検知状態になると、警備装置4に検知信号を送信する。防犯センサ131としては、例えば、窓や扉が開いたことを検知するセンサや、熱線や画像処理により移動体を検知するセンサなどがある。
警備装置4は、操作部132、センタ通信部133、移報部134、制御装置通信部135およびこれらを制御する制御部136で構成されている。
操作部132は、監視員などの利用者が警備装置4の警備状態を設定するための装置である。操作部132は、ICカードや暗証番号、バイオメトリクス情報などを読み込む。読み込まれたデータを用いて制御部136により利用者の照合が行われる。照合が成功すると、さらに、操作部132への操作が受け付けられる。
操作部132にて入力された警備状態は制御部136に出力され、設定される。ここで、制御部136にて設定される警備状態としては、警備セットの状態と、警備解除の状態とがある。警備セットの状態では、防犯センサ131が検知状態になり警備装置4に検知信号が入力されると、警備装置4は防犯センサ131が異常を検知したと判定し異常出力が行われる。警備解除は、異常出力が行われない状態である。利用者は、例えば対象となる警備区画が無人となる場合に、操作部132への操作により、当該警備区画を警備セットに設定する。また、利用者は、同区画に入る場合に、操作部132を操作して警備状態を警備解除に設定する。
センタ通信部133は、警備会社などにより運営される遠隔の監視センタ5などと通信網6を介して接続され、上記の警備状態を監視センタ5に送ったり、異常の発生時に異常通報する通信手段である。上記の異常出力は、センタ通信部133を介して監視センタ5に対して行われる。すなわち、センタ通信部133は、制御部136により制御されて、警備状態が警備セットであるときに防犯センサ131が検知信号を出力して制御部136が異常の発生と判定すると、通信線を介して監視センタ5に異常信号を送出する。
移報部134は、警備装置4と外部機器とを接続するインターフェースである。移報部134は、制御装置3の警備状態受信部121と接続されて、警備状態を制御装置3に出力する。本例において、移報部134は監視室を含む警備区画の警備状態を出力する。
制御装置通信部135は、制御装置3側の警備装置通信部105と通信を行う。前述したように、不在モードで制御装置3の操作部102が操作されると、不正操作を示す異常信号が、制御装置3の警備装置通信部105から、警備装置4の制御装置通信部135に送られる。この異常信号は、警備装置4で検出される他の異常信号と同様に、警備装置4のセンタ通信部133から監視センタ5に送信される。
なお、前出の移報部134および警備状態受信部121も、警備装置4と制御装置3の間の通信を実現しており、制御装置通信部および警備装置通信部ということもできる。
制御部136は、既に述べたように、警備装置4の各部構成を制御する。制御部136は、CPU等を備えたコンピュータで構成される。
以上に本実施の形態に係る監視システム1の構成を説明した。次に、監視システム1の動作を説明する。まず、移動ロボット2の自律的な巡回動作を説明し、それから、制御装置3による遠隔制御の動作を説明する。
移動ロボット2は、予め記憶された巡回開始時刻が到来すると、自律的な巡回動作を開始する。移動ロボット2では、ガイド検出部12および移動制御部13が機能して、移動手段11が移動制御部13に制御されて移動ロボット2を巡回経路に沿って走行させる。巡回走行制御では、ガイド手段としての白線テープ201がガイド検出部12により検出され、白線テープ201に沿って走行するように移動制御部13が移動手段11のモータ回転を制御する。走行中に同じくガイド手段としての指示マーカ203がガイド検出部12により検出されると、移動ロボット2は、記憶部19に記憶された経路情報71に従い、検出された指示マーカ203に対応する動作を行う。
移動ロボット2は、巡回を開始すると、撮像ユニット15、障害物検出部16および警備センサ17を作動させる。巡回走行中に、障害物検出部16および警備センサ17からの入力に基づき、異常判定部18が異常発生と判定すると、移動ロボット2は制御部22の指示で停止し、制御装置3に異常信号を送信する。異常信号は制御装置3の表示部101等から出力され、監視員に異常が通知される。
また、移動ロボット2の制御部22は、撮像ユニット15により撮像された画像情報を、自己位置検出部14により検出された現在位置情報と共に制御装置3に送信する。これら情報も制御装置3にて出力されて、監視員に提示される。
以上に移動ロボット2の自律動作を説明した。次に、制御装置3が移動ロボット2を遠隔制御するときの監視システム1の動作を説明する。遠隔制御では、制御装置3が監視員に操作されて、制御装置3から移動ロボット2に制御信号が送信されて、移動ロボット2が制御信号に従って動作する。
ただし、制御装置3では動作モードが設定され、動作モードに応じて制御が異なる。動作モードとしては、既に述べたように、不在モード、ログインモード、ログアウトモードが設定される。ここでは、まず最初に不在モードについて説明する。不在モードが設定されると、下記のように、遠隔制御は不可能になる。
警備装置4にて、監視室の区画の警備状態が警備セットに設定されていたとする。この場合、警備装置4の移報部134は、警備状態として警備セットを制御装置3に出力する。制御装置3では、警備状態が存否判定部106の警備状態受信部121に受信されて、警備状態判定部122により警備状態が警備セットであると判定され、そして、在否判定部106は、監視室の制御装置3の近傍に監視員が存在しないと判定する。在否判定部106により監視員が不在と判定されると、モード設定部108が、動作モードを不在モードに設定する。
不在モードが設定されると、操作許容部107は、記憶部116に記憶された命令群111の全てのコマンドの入力を許容せず、つまり拒否する。操作部102へのコマンドの入力は、操作許容部107に受け付けられず、制御部109から移動ロボット2へも送信されない。したがって、不在モードでは、制御装置3を操作して移動ロボット2を遠隔制御することはできない。
なお、コマンド入力拒否の構成としては、前述したように、アイコン表示が制限されてもよい。この構成は、入力可能なコマンドのアイコン等をディスプレイに表示するシステムにおいて有効である。不在モードではコマンドが表示されず、これによりコマンド入力が拒否される。
不在モードで、操作部102に対して何からかの操作が行われたとする。このときは、不正操作が発生したと操作許容部107が判定し、制御部109は、警備装置4を介して監視センタ5に異常信号を送信する。異常信号は、制御装置3の警備装置通信部105から警備装置4の制御装置通信部135に送信され、制御装置通信部135のセンタ通信部133から監視センタ5に送信される。このとき、警備装置通信部105は監視センタとの通信手段として機能する。
次に、ログアウトモードでの遠隔制御について説明する。ログアウトモードでは、極限られた範囲で遠隔制御が可能である。
警備装置4にて、警備状態が警備セットから警備解除に変更されたとする。この警備解除の情報が、移報部134から出力され、制御装置3の警備状態受信部121に受信されて、警備状態判定部122により警備状態が警備解除であると判定され、そして、在否判定部106は、監視室の制御装置3の近傍に監視員が存在する判定する。在否判定部106により監視員が存在すると判定されると、モード設定部108が、動作モードをログアウトモードに設定する。
ログアウトモードが設定されると、操作許容部107は、記憶部103に記憶された命令群111のうちで、所定の緊急制御コマンドの入力のみを許容する。本実施の形態では、緊急制御コマンドとしては移動停止コマンドが予め指定されている。操作部102から移動停止コマンドが入力された場合に、操作許容部107がコマンドの入力を許容する。その他の制御用のコマンドの入力は、操作許容部107に拒否され、許容されない。
ここでも、コマンド入力拒否の構成としては、コマンドの表示が制限されてよい。本実施の形態の場合には、入力を許容しないコマンドがディスプレイに表示されない。そして、入力が許容される移動停止のコマンドのみが、入力可能なコマンドとしてディスプレイに表示される。
移動停止コマンドが入力されて、操作許容部107によりコマンド入力が許容されると、制御部109は、ロボット通信部104を介して移動ロボット2に移動停止コマンドを送信する。移動ロボット2では、移動停止コマンドが通信部20により受信され、制御信号処理部21が、移動停止コマンドに従って移動制御部13に指示を出し、移動ロボット2を停止させる。
次に、ログインモードでの遠隔制御について説明する。ログインモードでは、通常の遠隔制御が可能である。
ログアウトモードにおいて操作部102から許可コードが入力されたとする。モード設定部108が許可コードを認証し、認証が成功すると、モード設定部108は動作モードをログアウトモードからログインモードに切り替える。
ログインモードでは、操作許容部107は、記憶部103に記憶された命令群111の全てのコマンドの入力を許容する。コマンドが操作部102から入力されると、制御部109がロボット通信部104を介して移動ロボット2にコマンドを送信する。そして、移動ロボット2では、コマンドが通信部20により受信され、制御信号処理部21が、受信されたコマンドに従って移動ロボット2を制御する。
ログインモードにて所定のログアウト操作が行われると、動作モードはログアウトモードに切り替えられる。また、最後の入力操作から所定時間以上、操作部102が操作されない場合、モード設定部108は、動作モードをログアウトモードに設定する。また、警備装置4にて警備状態が警備セットに変わると、動作モードは、ログインモードまたはログアウトモードから、不在モードへと切り替えられる。
以上に移動ロボット2の遠隔制御の動作を説明した。ログインモードでは、制御装置3の操作部102を操作することにより、移動ロボット2の遠隔制御が可能である。監視員は、移動ロボット2の移動方向や移動速度を制御でき、また、PTZカメラを操作しての撮影が可能である。
一方、ログアウトモードでは、上記のような自由な遠隔制御はできない。極限られた範囲での制御が可能であり、具体的には本実施の形態では移動ロボット2の停止が可能である。このような制限付きの遠隔制御は、例えば、下記の場合に有用である。ログアウトモードでは、映像は移動ロボット2から制御装置3に届いており、制御装置3の表示部101に表示されている。移動ロボット2の直前に急に物体が出現したとする。このような場合に、監視員は、許可コードを入力することなく、移動停止コマンドを入力して、移動ロボット2を緊急停止できる。許可コードを入力する手間が省けるので、迅速に移動ロボット2を停止できる。
また、不在モードでは、監視室に監視員が在席しないはずである。このような場合には、操作部102への操作を拒否することにより、移動ロボット2の不正な操縦を確実に防止できる。さらに、不在モードであるにも拘わらず操作部102が操作されたということは、監視室に不審人物が居る可能性がある。このような場合に異常信号を監視センタ5に送信することにより、本システムを活用して警備側のセキュリティ性も向上できる。
以上に本発明の好適な実施の形態について説明した。上記のように、本発明によれば、認証を行うことにより不正操作を防止できる。しかも、認証成功前のログアウトモードでも緊急制御命令の入力は許容されるので、緊急制御は認証を経ないで行うことができる。こうして、第三者に不正に操作されることを防止しつつ、緊急的な操作に適切に対応できる移動ロボットの制御装置を提供できる。
また、本発明によれば、制御装置の操作部の近傍に利用者が不在のときは不在モードが設定されて制御装置の操作が不可能になるので、第三者の操作をより確実に防止でき、セキュリティ性を向上できる。
また、本発明によれば、利用者の在否の判定を警備装置を利用して行うことにより、利用者の在否を好適に判定できる。既設の警備装置が利用されてよく、この場合、既設設備を有効活用して利用者の在否を判断できる。
さらに、本発明によれば、不在モードで制御装置が操作されると異常信号が監視センタに送信されるので、制御装置の在否判定機能を活用して監視センタに異常を通知することができ、セキュリティ性を向上できる。
上記の実施の形態では、不在モードで制御装置が操作されると異常信号が監視センタに通報されたが、ログオフモードで制御装置が操作された場合も異常信号を監視センタに通報してよい。これは、ログオフモードにおいて制御装置の操作部が操作されるのは、移動ロボットに緊急的な制御を要求する事態が発生したことを意味しているからである。これにより、ログオフモードにおいて、制御装置の操作部から緊急制御命令が入力されるような緊急事態が発生したことを監視センタに通報することができる。
また、このログオフモードにおける異常信号の出力は、操作許容部にて許容されない操作がなされた場合にのみ出力する構成であってもよい。この構成によれば、ログオフモードにおいて不正な操作がなされたことを監視センタに通報できる。
また、上記の実施の形態では、警備装置が在否判定に利用されたが、本発明はこれに限定されない。変形例としては下記の構成が挙げられる。この変形例では、監視システムがリーダ部を含む。リーダ部は、利用者が所持するデータキャリアからの無線信号を受信する装置であり、監視室に備えられる。
データキャリアは、カードなどの媒体で構成されており、予め決まった利用者に渡されている。例えば、データキャリアは、監視員にのみ渡される。あるいは、施設関係者全員にデータキャリアが渡されてよい。ただし、データキャリアによって権限が異なっており、制御装置の操作権限は監視員のデータキャリアに与えられる。
リーダ部は制御装置に接続されており、データキャリアが近傍に位置するときのみデータキャリアからの無線信号を受信する。リーダ部は、データキャリアからの受信信号を制御装置に供給する。リーダ部がデータキャリアの無線信号を検出しなければ(非検出状態)、制御装置は、利用者が操作部近傍に不在であると判定し、動作モードを不在モードに設定する。リーダ部がデータキャリアの無線信号を検出すると、制御装置は、利用者が近傍に存在すると判定し、動作モードを不在モードからログアウトモードに切り替える。
上記の構成によっても、利用者の在否を判定できる。この場合、警備装置を設けなくても、利用者の在否を判定できる。また、利用者に特別な操作を要求することなく利用者の在否に応じた制御が行われるので、利用者にとって便利である。
その他にも、本発明は上述の実施の形態に限定されず、当業者が本発明の範囲内で上述の実施の形態を変形可能なことはもちろんである。