JP2007146826A - 内燃機関の燃料噴射制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】機関始動時の目標噴射量の増量補正に際し、空燃比のリーン化を抑制しつつ過剰な量の燃料噴射を抑制することのできる内燃機関の燃料噴射制御装置を提供する。
【解決手段】電子制御装置は、ポート噴射式のガソリンエンジンの始動開始から所定の増量補正期間にわたり目標噴射量を増量補正するとともに、燃焼サイクルを経る毎に増量補正量を徐々に減少させる(二点鎖線参照)。電子制御装置は、初回の燃焼サイクルについては、初爆に必要な燃料が燃焼室に供給されるように目標噴射量を増量補正する。さらに、電子制御装置は、目標噴射量の上記増量補正期間のうち、初回の燃焼サイクル近傍の所定の期間(輸送遅れ燃焼期間)について増量補正量を減少させる(実線参照)とともに、その減少度合いを、2回目の燃焼サイクル以降、燃焼サイクルを経る毎に小さくする。
【選択図】図6
【解決手段】電子制御装置は、ポート噴射式のガソリンエンジンの始動開始から所定の増量補正期間にわたり目標噴射量を増量補正するとともに、燃焼サイクルを経る毎に増量補正量を徐々に減少させる(二点鎖線参照)。電子制御装置は、初回の燃焼サイクルについては、初爆に必要な燃料が燃焼室に供給されるように目標噴射量を増量補正する。さらに、電子制御装置は、目標噴射量の上記増量補正期間のうち、初回の燃焼サイクル近傍の所定の期間(輸送遅れ燃焼期間)について増量補正量を減少させる(実線参照)とともに、その減少度合いを、2回目の燃焼サイクル以降、燃焼サイクルを経る毎に小さくする。
【選択図】図6
Description
本発明は、ポート噴射式の内燃機関における機関始動時の燃料噴射を制御する内燃機関の燃料噴射制御装置に関するものである。
ポート噴射式の内燃機関では、燃料噴射弁から噴射された燃料の一部が吸気ポートの壁面や吸気バルブに付着する。付着した燃料は、内燃機関の冷間時等、燃料の蒸発しにくい状況下では、現燃焼サイクルで燃焼室に輸送されず燃焼されないことがある。この場合には、上記燃料(燃焼未寄与燃料)の分、現燃焼サイクルで燃焼される燃料の量が必要量に対し不足することとなる。
こうした状況が起こりやすい場面の1つとして、内燃機関の冷間始動時が挙げられる。ただし、冷間始動時であっても燃料の燃焼に伴い機関の温度が次第に上昇していくことや、シリンダ内が減圧されていくことから、後の燃焼サイクルになるに従い燃料が蒸発しやすくなる。そのため、各燃焼サイクルでの燃焼未寄与燃料は、燃焼サイクルを経るに従い少なくなっていく。
そこで、従来は、機関始動時の所定期間(増量補正期間)にわたり目標噴射量を増量補正することで上記燃焼未寄与燃料による燃料の不足分を補うとともに、その増量補正量を、燃焼サイクルを経る毎に一定の比率で小さくするようにしている。
また、内燃機関の始動開始時には、各燃焼サイクルでの吸気ポートの壁面等に燃料が付着していない状態で燃料噴射が行われることから、初回の燃焼サイクルで噴射された燃料の多くが、吸気ポート等に対する付着や液膜形成に使われる。同燃焼サイクルについては、吸気ポート等に対する燃料の付着量が特に多く、燃焼室へ輸送されて燃焼に供される燃料がとりわけ少ないことから、初爆が行われないおそれがある。そのため、初回の燃焼サイクルで、初爆に必要な燃料が燃焼室に供給されるように目標噴射量が特に多く増量補正される。
なお、本発明にかかる先行技術文献としては、例えば以下の特許文献1が挙げられる。
特開2002−256933号公報
ところで、燃料噴射制御に際しては、炭化水素HCの排出量を少なくすることが排気エミッション低減の点で重要である。炭化水素HCは、燃料が適正量よりも多く噴射された場合に、その噴射量が多いほど多く排出される。
一方、初回の燃焼サイクルでは、前述したように初爆に必要な燃料を確保するために目標噴射量が特に多く増量補正されることから、同燃焼サイクルでの燃焼未寄与燃料が多くなる。これに伴い、2回目以降の燃焼サイクルで遅れて燃焼室に輸送されて燃焼される燃料が多く、燃焼に供される燃料の量に及ぼす影響が大きい。しかし、上述した背景技術では、こうした影響については十分考慮されていない。
そのため、2回目以降の燃焼サイクルであって、上記初回の燃焼サイクルでの燃焼未寄与燃料が遅れて輸送されて燃焼される期間(輸送遅れ燃焼期間)には、その燃料が加わる分、過剰な燃料が燃焼に供されることとなる。
これについては、目標噴射量の増量補正量を2回目の燃焼サイクル以降全体的に減らすことで対処可能である。しかし、この場合には、増量補正期間の後半、すなわち、輸送遅れ燃焼期間よりも後の燃焼サイクルにおいて、空燃比が目標とする値に対し過剰にリーンになって失火するおそれがある。そのため、失火を回避する観点からは、上述したように増量補正量を全体的に減らすにも限度がある。
本発明はこのような実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、機関始動時における空燃比のリーン化を抑制しつつ過剰な量の燃料噴射を抑制することのできる内燃機関の燃料噴射制御装置を提供することにある。
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について記載する。
請求項1に記載の発明では、吸気通路に設けた燃料噴射弁から燃料を噴射する内燃機関に適用されるものであり、機関始動開始から所定の増量補正期間にわたり目標噴射量を増量補正するとともに、燃焼サイクルを経る毎に増量補正量を徐々に減少させ、さらに、初回の燃焼サイクルについては、初爆に必要な燃料が燃焼室に供給されるように前記目標噴射量を増量補正する始動時増量補正手段を備える内燃機関の燃料噴射制御装置において、前記始動時増量補正手段による目標噴射量の増量補正期間のうち、前記初回の燃焼サイクル近傍の所定の期間について、前記始動時増量補正手段による増量補正量を減少させるとともに、その減少度合いを、所定の燃焼サイクル以降、燃焼サイクルを経る毎に小さくする補正量変更手段を備えるものであるとする。
請求項1に記載の発明では、吸気通路に設けた燃料噴射弁から燃料を噴射する内燃機関に適用されるものであり、機関始動開始から所定の増量補正期間にわたり目標噴射量を増量補正するとともに、燃焼サイクルを経る毎に増量補正量を徐々に減少させ、さらに、初回の燃焼サイクルについては、初爆に必要な燃料が燃焼室に供給されるように前記目標噴射量を増量補正する始動時増量補正手段を備える内燃機関の燃料噴射制御装置において、前記始動時増量補正手段による目標噴射量の増量補正期間のうち、前記初回の燃焼サイクル近傍の所定の期間について、前記始動時増量補正手段による増量補正量を減少させるとともに、その減少度合いを、所定の燃焼サイクル以降、燃焼サイクルを経る毎に小さくする補正量変更手段を備えるものであるとする。
上記の構成によれば、燃料噴射弁から噴射されて吸気ポート、吸気バルブ等に付着した燃料の一部は、温度が低く燃料の蒸発しにくい状況下では、現燃焼サイクルで燃焼されない場合がある。この燃料(燃焼未寄与燃料)の分、現燃焼サイクルで燃焼される燃料の量が燃焼に必要な量に対し不足する。燃焼未寄与燃料は、次回以降の燃焼サイクルで遅れて燃焼室に輸送されて燃焼される。ただし、燃焼サイクルを経るに従い機関温度が上昇し燃料が蒸発しやすくなって燃焼サイクル毎の燃焼未寄与燃料の量が少なくなる。この点、請求項1に記載の発明では、始動時増量補正手段により、機関始動開始から所定の増量補正期間にわたり目標噴射量が増量補正されるとともに、その増量補正量が徐々に減少される。この増量補正により、燃焼未寄与燃料による上記燃料の不足分が補われる。
特に、機関始動時における初回の燃焼サイクルについては、吸気ポート等に対する燃料の付着量がさらに多く、燃焼室へ輸送されて燃焼に供される燃料がとりわけ少ないことから、初爆が行われないおそれがある。これに対しては、初回の燃焼サイクルで、初爆に必要な燃料が燃焼室に供給されるように目標噴射量が特に多く増量補正される。この初回の燃焼サイクルでの燃焼未寄与燃料は多い。これに伴い、2回目以降の燃焼サイクルで遅れて燃焼室に輸送されて燃焼される燃料が多くなり、これが燃焼に供される燃料の量に及ぼす影響が大きくなる。
この点、請求項1に記載の発明では、目標噴射量の増量補正期間のうち、初回の燃焼サイクル近傍の所定の期間について増量補正量が減少される。そのため、減少量を適切に設定することで、2回目以降の燃焼サイクルで燃焼に供される燃料の量を、初回の燃焼サイクルでの燃焼未寄与燃料を含んだ形で適正値に近づけることができる。ここでの適正値とは、始動時増量補正手段により増量補正された当初の目標噴射量、すなわち、初回の燃焼サイクルでの燃焼未寄与燃料が2回目以降の燃焼サイクルに及ぼす影響がないとした場合の目標噴射量である。その結果、増量補正量が減少されない場合に比べ、燃焼室への過剰な燃料の流入が抑制され、それに伴い炭化水素の排出量が少なくなる。
しかも、上記増量補正量が、目標噴射量の増量補正期間のうち増量補正量の多いとき(初回の燃焼サイクル近傍の燃焼サイクル)に減少される。増量補正量の少なくなるときには減少されず、従って、上記増量補正量の減少が空燃比のリーン化に及ぼす影響が小さく、失火の発生が抑制される。
ここで、初回の燃焼サイクルでの燃焼未寄与燃料は、2回目以降の各燃焼サイクルで同量ずつ輸送されて燃焼されるわけではなく、その輸送量は初回の燃焼サイクルの直後の燃焼サイクルで多く、後の燃焼サイクルになるに従い減少してゆく傾向にある。
この点、請求項1に記載の発明では、所定の燃焼サイクル以降、増量補正量の減少度合いが燃焼サイクルを経る毎に小さく(減衰)される。そのため、減少度合いを燃焼サイクルに拘わらず一定とする場合に比べ、2回目以降の各燃焼サイクルで燃焼に供される燃料の量を、上述した適正値により確実に近づけることができる。燃焼室への過剰な燃料の流入を抑制し、炭化水素の排出量を少なくする効果が一層確実なものとなる。
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載に記載の発明において、前記補正量変更手段は、前記初回の燃焼サイクルで噴射され、かつ燃焼に寄与しない燃焼未寄与燃料が最も多く輸送及び燃焼される燃焼サイクルを、前記減少度合いを小さくする期間の始期とするものであるとする。
増量補正量の減少に際しては、初回の燃焼サイクルでの燃焼未寄与燃料のうち、2回目以降の燃焼サイクルで遅れて輸送されて燃焼される量の傾向に則して減少量を決定することが望ましい。すなわち、遅れて輸送されて燃焼される燃焼未寄与燃料の量が最も多い燃焼サイクルにおいて減少量を最も多くし、燃焼サイクルを経る毎に減少量を漸減させることが望ましい。ここで、初回の燃焼サイクルでの燃焼未寄与燃料のうち、最も多く燃焼される燃焼サイクルが2回目の燃焼サイクルでない場合があり得る。
この点、請求項2に記載の発明では、初回の燃焼サイクルでの燃焼未寄与燃料が最も多く燃焼される燃焼サイクルが基準とされ、この燃焼サイクルにおいて増量補正量の減少度合いが最も大きくされる。その後は、燃焼サイクルを経る毎に減少度合いが小さく(減衰)される。このように、実際に遅れて燃焼される燃焼未寄与燃料の減少傾向に則して減少度合いを小さくすることができる。
請求項3に記載の発明では、請求項1又は2に記載の発明において、前記始動時増量補正手段は、補正係数を用いて前記増量補正量を算出するとともに、その補正係数の少なくとも一部に、小さくなるほど前記増量補正量の前記減少度合いを小さくする減量係数を含んでおり、前記補正量変更手段は、燃焼サイクルを経る毎に前記減量係数を所定の比率で小さくするものであるとする。
上記の構成によれば、機関始動時の燃料の増量補正量は補正係数を用いて算出される。また、その補正係数の中には、増量補正量を減少させるための項(減量係数)が含まれており、この減量係数が大きければ増量補正量が多く減少され(減少度合い:大)、同補正係数が小さくなるに従い増量補正量の減少量が少なくなる(減少度合い:小)。
請求項3に記載の発明では、上記減量係数が燃焼サイクルを経る毎に所定の比率で小さくされる。従って、複雑な演算を行うことなく減少度合いを算出することができ、燃焼サイクル毎にそのときの機関運転状態に基づき減少度合いをそれぞれ演算する場合に比べ、演算装置にかかる負荷を小さくすることが可能となる。
請求項4に記載の発明では、請求項3に記載の発明において、前記補正量変更手段は、一定の減衰率を用いて前記減量係数を小さくするものであるとする。
上記の構成によれば、燃焼サイクルを経る毎に、一定の減衰率をもって減量係数が小さくされる。これに伴い増量補正量の減少度合いが小さくなる。従って、減衰率を算出する処理が不要であり、減衰率を条件に応じて変更する場合に比べ、演算装置にかかる負荷を一層小さくすることが可能となる。
上記の構成によれば、燃焼サイクルを経る毎に、一定の減衰率をもって減量係数が小さくされる。これに伴い増量補正量の減少度合いが小さくなる。従って、減衰率を算出する処理が不要であり、減衰率を条件に応じて変更する場合に比べ、演算装置にかかる負荷を一層小さくすることが可能となる。
請求項5に記載の発明では、請求項3又は4に記載の発明において、前記補正量変更手段は、前記内燃機関の温度に応じて前記減量係数の初期値を変更するものであるとする。
吸気ポート等に付着した燃料の蒸発のしやすさは、機関始動時における内燃機関の温度に応じて異なる。これに伴い、初回の燃焼サイクルでの燃焼未寄与燃料について、2回目以降の各燃焼サイクルで遅れて輸送されて燃焼される燃料の量が、内燃機関の温度に応じて異なってくる。
吸気ポート等に付着した燃料の蒸発のしやすさは、機関始動時における内燃機関の温度に応じて異なる。これに伴い、初回の燃焼サイクルでの燃焼未寄与燃料について、2回目以降の各燃焼サイクルで遅れて輸送されて燃焼される燃料の量が、内燃機関の温度に応じて異なってくる。
この点、請求項5に記載の発明では、減量係数の初期値として内燃機関の温度に応じた値が用いられ、この初期値を基準として、減量係数が燃焼サイクルを経る毎に所定の比率で小さくされる。従って、初期値を内燃機関の温度に拘わらず一定とした場合に比べ、上述した内燃機関の温度に応じて異なる輸送遅れの燃料量に対応し、かつ2回目以降の各燃焼サイクルで燃焼に供される燃料の量を、初回の燃焼サイクルでの燃焼未寄与燃料を含んだ形でより的確に上記適正値に近づけることが可能となる。
請求項6に記載の発明では、請求項3〜5のいずれか1つに記載の発明において、前記補正量変更手段は、前記減量係数が所定値よりも小さくなる直前の燃焼サイクルを、前記減少度合いを小さくする期間の終期とするものであるとする。
上記の構成によれば、所定の燃焼サイクル以降、燃焼サイクルを経る毎に補正係数が小さくされ、それに伴い増量補正量の減少度合いが小さくされる。この補正係数を小さくする処理は、同補正係数が所定値よりも小さくなる直前の燃焼サイクルまで行われる。補正係数が所定値よりも小さくなった燃焼サイクル以降の燃焼サイクルでは、同補正係数を小さくする処理が行われなくなる。これに伴い増量補正量の減少が終了する。従って、増量補正量の少ないときに同増量補正量が減少されないようにすることができ、増量補正量の減少が空燃比のリーン化に及ぼす影響を小さくして、失火の発生を抑制するといった上記請求項1に記載の発明が確実に得られる。
請求項7に記載の発明では、請求項1に記載の発明において、前記補正量変更手段は、前記始動時増量補正手段による増量補正量から減少量を減算することで同増量補正量を減少させるものであり、前記補正量変更手段は、初回の燃焼サイクルで噴射され、かつ燃焼に寄与しない燃焼未寄与燃料のうち、前回までの燃焼サイクルで燃焼されずに残っている残余燃料量を所定の分配率にて分配することにより現燃焼サイクルでの減少量を算出するものであるとする。
上記の構成によれば、始動時増量補正手段による増量補正量の減少に際しては、同増量補正量から減少量が減算される。この減少量は増量補正量を減少させる際の減少度合いに相当するものであり、減少量が多ければ減少度合いが大きく、同減少量が少なくなるに従い減少度合いが小さくなる。
請求項7に記載の発明では、上記減少量が、初回の燃焼サイクルでの燃焼未寄与燃料のうち、前回までの燃焼サイクルで燃焼されずに残っている残余燃料量を所定の分配率にて分配することにより算出される。燃焼サイクルが行われる毎に、初回の燃焼サイクルでの燃焼未寄与燃料の一部が燃焼されて残余燃料量が少なくなることから、この残余燃料量を分配率にて分配することにより算出される減少量は、燃焼サイクルを経る毎に少なくなる。この傾向は、初回の燃焼サイクルでの燃焼未寄与燃料について、その後の燃焼サイクルで燃焼される量が燃焼サイクルを経る毎に減少する傾向に対応するものである。
従って、複雑な演算を行うことなく減少度合いに相当する減少量を算出することができ、燃焼サイクル毎にそのときの機関運転状態に基づき減少量をそれぞれ演算する場合に比べ、演算装置にかかる負荷を小さくすることが可能となる。
請求項8に記載の発明では、請求項7に記載の発明において、前記補正量変更手段は、前回の燃焼サイクルでの残余燃料量から現燃焼サイクルでの減少量を減算し、その減算結果を次回の燃焼サイクルでの減少量の算出に用いられる残余燃料量として設定するものであるとする。
上記の構成によれば、補正量変更手段では、前回の燃焼サイクルでの残余燃料量が読出される。この残余燃料量を所定の分配率にて分配することにより現燃焼サイクルでの減少量が算出される。前回の燃焼サイクルでの残余燃料量から現燃焼サイクルでの減少量が減算される。そして、その減算結果が次回燃焼サイクルでの残余燃料量として設定される。このようにして、上記請求項7に記載の発明における残余燃料量が求められる。
請求項9に記載の発明では、請求項7又は8に記載の発明において、前記補正量変更手段は、前記残余燃料量が所定値より少なくなる直前の燃焼サイクルを、前記減少度合いを小さくする期間の終期とするものであるとする。
上記の構成によれば、所定の燃焼サイクル以降、燃焼サイクルを経る毎に残余燃料量が分配され、同残余燃料量が少なくなって減少量が少なくなり、それに伴い増量補正量の減少度合いが小さくされる。この残余燃料量を分配する処理は、同残余燃料量が所定値よりも少なくなる直前の燃焼サイクルまで行われる。残余燃料量が所定値よりも少なくなった燃焼サイクル以降の燃焼サイクルでは、同残余燃料量の分配処理が行われなくなる。これに伴い増量補正量の減少が終了する。従って、増量補正量の少ないときに同増量補正量が減少されないようにすることができ、増量補正量の減少が空燃比のリーン化に及ぼす影響を小さくして、失火の発生を抑制するといった上記請求項1に記載の発明が確実に得られる。
また、所定値を適正な値、例えば「0」に近い値に設定することで、初回の燃焼サイクルでの燃焼未寄与燃料が燃焼される期間と、増量補正量が減少される期間とを略合致させることができる。このことは、2回目以降の各燃焼サイクルで燃焼に供される燃料の量を、初回の燃焼サイクルでの燃焼未寄与燃料を含んだ形で必要な量に近づけるうえで有効である。
請求項10に記載の発明では、請求項7〜9のいずれか1つに記載の発明において、前記補正量変更手段は、前記減少度合いを小さくする期間の全ての燃焼サイクルについて前記分配率として一定の値を用いるものであるとする。
上記の構成によれば、燃焼サイクルを経る毎に、一定の分配率をもって残余燃料量が分配される。これに伴い、燃焼サイクルを経る毎に減少量が少なくなって増量補正量の減少度合いが小さくなる。従って、分配率を算出する処理が不要であり、分配率を条件に応じて変更する場合に比べ、演算装置にかかる負荷を一層小さくすることが可能となる。
請求項11に記載の発明では、請求項1〜10のいずれか1つに記載の発明において、初回の燃焼サイクルでの燃焼状態を検出する検出手段をさらに備え、前記補正量変更手段は、前記検出手段により燃焼状態の悪化が検出されないと、前記燃焼サイクルを経る毎に増量補正量の減少度合いを小さくする処理を行う一方、燃焼状態の悪化が検出されると、検出されないときに行われる処理に対し前記燃焼室に供給される燃料の不足分を加味した態様で、前記減少度合いを小さくする処理を行うものであるとする。
ここで、機関始動時の燃焼サイクルにおいて想定した量の燃焼未寄与燃料が噴射燃料に加わらなかったり、燃料噴射弁から目標噴射量に相当する量の燃料が噴射されなかったりして燃焼室への燃料の供給量が不足することが起こり得る。この場合には、混合気が完爆する前に増量補正量の減量が始まり、混合気の空燃比が過渡にリーンになって燃焼が適正に行われず排気エミッションが悪化する懸念がある。
この点、請求項11に記載の発明では、検出手段によって初回の燃焼サイクルにおける燃焼状態が検出される。また、補正量変更手段では、検出手段による燃焼状態の検出結果に応じて、増量補正量の減少度合いを小さくする処理の内容が変えられる。具体的には、燃焼状態の悪化が検出されないと、燃焼サイクルを経る毎に増量補正量の減少度合いを小さくする処理が行われる。これに対し、燃焼状態の悪化が検出されると、検出されないときに行われる処理に対し燃焼室に供給される燃料の不足分を加味した態様で、減少度合いを小さくする処理が行われる。この処理により、燃料不足が原因で燃焼状態が悪化しているときに、増量補正量が過剰に減少されて混合気の空燃比が過度にリーンになる現象が起こりにくくなる。その結果、燃焼が適正に行われず排気エミッションが悪化する上記不具合が抑制される。
請求項12に記載の発明では、請求項11に記載の発明において、前記補正量変更手段は、前記燃焼状態の悪化が検出されたときに前記減少度合いを小さくする処理の内容を、前記検出手段による燃焼状態の悪化度合いに応じて変更するものであるとする。
燃焼室への燃料の供給不足の程度に応じ、初回の燃焼サイクルでの燃焼状態の悪化度合いが異なる。また、2回目以降の燃焼サイクルでの燃焼未寄与燃料の輸送量が異なり、増量補正量についての必要な減少度合いも異なってくる。
この点、請求項12に記載の発明では、燃焼状態の悪化が検出された場合、減少度合いを小さくする処理の内容が燃焼状態の悪化度合いに応じて変更される。従って、燃焼状態の悪化度合いに拘わらず常に同じ処理内容で増量補正量を減少させる場合とは異なり、どの悪化度合いについても増量補正量の減少度合いを適切な大きさにすることができる。
請求項13に記載の発明では、請求項11又は12に記載の発明において、前記補正量変更手段は、前記検出手段により燃焼状態の悪化が検出されると、燃焼サイクル毎の増量補正量の減少度合いを、前記燃焼状態の悪化が検出されないときよりも小さくするものであるとする。
上記の構成によれば、燃焼状態の悪化が検出されると、燃料の不足分を加味した態様で減少度合いを小さくする処理として、各燃焼サイクルについての増量補正量の減少度合いが、燃焼状態の悪化が検出されないときよりも小さくされる。こうして減少度合いが小さくされることで、燃焼室に供給される燃料の不足分が補われる。従って、燃料が不足しているときに増量補正量が過剰に減少されて混合気の空燃比が過度にリーンになる現象が起こりにくくなり、上記請求項11又は12に記載の発明の効果が確実に得られる。
請求項14に記載の発明では、請求項13に記載の発明において、前記補正量変更手段は、前記検出手段により燃焼状態の悪化が検出されると、燃焼状態の悪化が検出されないときに前記増量補正量の減少に用いられる減少量を燃焼サイクル毎に一定割合ずつ減少させ、その減少後の値を、同燃焼状態の悪化が検出されたときの増量補正量の減少量として用いて前記減少度合いを小さくするものであるとする。
上記の構成によれば、検出手段によって燃焼状態の悪化が検出されると、燃焼状態の悪化が検出されないときに増量補正量の減少に用いられる減少量が、燃焼サイクル毎に一定割合ずつ減少させられる。そして、その減少後の値が、燃焼状態の悪化が検出されたときの減少量とされ、この減少量が用いられて増量補正量の減少度合いが小さくされる。このようにして、燃焼サイクル毎の増量補正量の減少度合いが、燃焼状態の悪化が検出されないときよりも小さくされて、燃焼室に供給される燃料の不足分が補われる。
請求項15に記載の発明では、請求項11〜14のいずれか1つに記載の発明において、前記検出手段は、初回の燃焼サイクルでの空燃比に基づき燃焼状態の悪化を検出するものであるとする。
初回の燃焼サイクルにおいて、燃焼に必要な量の燃料が燃焼室に供給されないと、供給された場合よりも混合気の空燃比がリーンになる。従って、請求項15に記載の発明によるように、初回の燃焼サイクルでの空燃比に基づくことで、燃焼状態の悪化の有無を検出することが可能となる。
請求項16に記載の発明では、請求項11〜14のいずれか1つに記載の発明において、前記検出手段は、初回の燃焼サイクルでの燃焼に応じた機関回転速度に基づき燃焼状態の悪化を検出するものであるとする。
混合気の燃焼により得られるエネルギの一部は機関出力軸の回転上昇に消費されるところ、初回の燃料サイクルにおいて、燃焼に必要な量の燃料が燃焼室に供給されない場合には、供給された場合よりも燃焼により得られるエネルギが少なく、機関出力軸の回転速度(機関回転速度)が低い。従って、請求項16に記載の発明によるように、初回の燃焼サイクルでの燃焼に応じた機関回転速度に基づくことで、燃焼状態の悪化の有無を検出することが可能となる。
請求項17に記載の発明では、請求項11〜14のいずれか1つに記載の発明において、前記検出手段は、初回の燃焼サイクルでの燃焼に応じた機関回転速度の変化度合いに基づき燃焼状態の悪化を検出するものであるとする。
混合気の燃焼により得られるエネルギの一部は機関出力軸の回転上昇に消費されるところ、初回の燃焼サイクルにおいて、燃焼に必要な量の燃料が燃焼室に供給されない場合には、供給された場合よりも燃焼により得られるエネルギが少なく、機関出力軸の単位時間当たりの回転上昇量が少ない。従って、請求項17に記載の発明によるように、初回の燃焼サイクルでの燃焼に応じた機関回転速度の変化度合い(単位時間当たりの変化量)に基づくことで、燃焼状態の悪化の有無を検出することが可能となる。
(第1実施形態)
以下、本発明を具体化した第1実施形態について、図1〜図8を参照して説明する。
図1に示すように、車両には、内燃機関としてポート噴射式のガソリンエンジン(以下、単にエンジンという)11が搭載されている。エンジン11は、複数の気筒(シリンダ)12を有するシリンダブロック10Aと、その上に取付けられたシリンダヘッド10Bとを備えている。各気筒12にはピストン13が往復動可能に収容されている。
以下、本発明を具体化した第1実施形態について、図1〜図8を参照して説明する。
図1に示すように、車両には、内燃機関としてポート噴射式のガソリンエンジン(以下、単にエンジンという)11が搭載されている。エンジン11は、複数の気筒(シリンダ)12を有するシリンダブロック10Aと、その上に取付けられたシリンダヘッド10Bとを備えている。各気筒12にはピストン13が往復動可能に収容されている。
気筒12毎の燃焼室14には、スロットルバルブ15、サージタンク16、吸気マニホルド17等を有する吸気通路18が接続されている。吸気通路18の最下流部分は、シリンダヘッド10Bに形成された吸気ポート20によって構成されている。エンジン11の外部の空気は、吸気通路18の各部を順に通過して燃焼室14に吸入される。スロットルバルブ15は吸気通路18の途中に回動可能に設けられており、電動モータ等からなるスロットル用のアクチュエータ19によって駆動される。アクチュエータ19は、運転者によるアクセルペダル21の踏込み操作等に応じて作動し、スロットルバルブ15を回動させる。吸気通路18を流れる空気の量(吸入空気量)は、スロットルバルブ15の回動角度(スロットル開度)に応じて変化する。
また、燃焼室14には、排気マニホルド22、触媒コンバータ23等を有する排気通路24が接続されている。燃焼室14で生じた燃焼ガスは、排気通路24の各部を順に通ってエンジン11の外部へ排出される。触媒コンバータ23には、排気を浄化するための三元触媒等からなる排気浄化触媒が内蔵されている。
エンジン11には、吸気通路18(吸気ポート20)の各気筒12における開口部を開閉する吸気バルブ25と、排気通路24の各気筒12における開口部を開閉する排気バルブ26とが、気筒12毎に往復動可能に設けられている。これらの吸・排気バルブ25,26はバルブスプリング27によって、上記開口部を閉じる方向(閉弁方向)である上方へ常に付勢されている。
吸気バルブ25の略上方には吸気カムシャフト28が設けられ、また排気バルブ26の略上方には排気カムシャフト29が設けられている。これらの吸・排気カムシャフト28,29には、エンジン11の出力軸(機関出力軸)であるクランクシャフト31の回転が伝達される。この伝達により吸・排気カムシャフト28,29が回転し、バルブスプリング27に抗して吸・排気バルブ25,26を押下げる。これらの押下げにより、吸・排気通路18,24の気筒12における各開口部が開放される。
吸気通路18には、吸気下流側(燃焼室14側)へ燃料を噴射する燃料噴射弁32が各気筒12に対応して取付けられている。この燃料噴射弁32から噴射された燃料は、吸気通路18を通る吸入空気と混ざり合って混合気となる。
エンジン11には、点火プラグ33が気筒12毎に取付けられている。各点火プラグ33は、イグナイタ34からの点火信号に基づいて作動する。点火プラグ33には、点火コイル35から出力される高電圧が印加される。そして、前記混合気は点火プラグ33の火花放電によって着火され、燃焼する。このときに生じた高温高圧の燃焼ガスによりピストン13が往復動される。ピストン13の往復運動は、コネクティングロッド36によって回転運動に変換された後、クランクシャフト31に伝達される。この伝達によりクランクシャフト31が回転されて、エンジン11の駆動力(出力トルク)が得られる。
さらに、エンジン11には、その始動時にクランキングによってクランクシャフト31に回転力を付与するためのスタータ37が設けられている。
上記エンジン11では、空気が燃焼室14内に吸入されて燃焼ガスが排出されるまでの期間、すなわち1サイクル(以下、燃焼サイクルという)の間に、ピストン13が2往復してクランクシャフト31が2回転する。この燃焼サイクルは、周知のように、吸気行程、圧縮行程、膨張行程及び排気行程の4つの行程からなる。各行程では、基本的には次のような動作が行われる。
上記エンジン11では、空気が燃焼室14内に吸入されて燃焼ガスが排出されるまでの期間、すなわち1サイクル(以下、燃焼サイクルという)の間に、ピストン13が2往復してクランクシャフト31が2回転する。この燃焼サイクルは、周知のように、吸気行程、圧縮行程、膨張行程及び排気行程の4つの行程からなる。各行程では、基本的には次のような動作が行われる。
吸気行程では、排気バルブ26が閉弁されるとともに吸気バルブ25が開弁され、かつ燃料噴射弁32から燃料が噴射される。ピストン13の下降に伴う燃焼室14内の圧力(筒内圧)の低下によって、吸気通路18内の空気と燃料とが混ざり合った状態で燃焼室14内に吸入される。圧縮行程では、排気バルブ26に加えて吸気バルブ25が閉弁される。このため、ピストン13の上昇に伴って筒内圧が上昇し、混合気が昇圧、昇温される。
膨張行程では、点火プラグ33により点火が行われ、上記混合気が着火、燃焼される。この燃焼によってピストン13には下向きの力が付与され、同ピストン13が下降運動する。排気行程では排気バルブ26が開弁される。このため、燃焼室14内で発生した排気がピストン13の上昇に伴い排気通路24へ排出される。
さらに、車両には、各部の状態を検出するセンサが種々取付けられている。これらのセンサとして、本実施形態ではクランク角センサ41、水温センサ42、エアフロメータ43、スロットルセンサ44、アクセルセンサ45、イグニション(IG)スイッチ46等が用いられている。
クランク角センサ41は、クランクシャフト31が一定角度回転する毎にパルス状の信号を発生する。この信号は、クランクシャフト31の回転角度であるクランク角や、単位時間当りのクランクシャフト31の回転数であるエンジン回転速度の算出等に用いられる。水温センサ42はシリンダブロック10Aに取付けられており、エンジン11の内部を流れる冷却水の温度(エンジン水温)を、エンジン11の温度(機関温度)の相当値として検出する。エアフロメータ43は、吸気通路18を流れる空気の量(吸入空気量)を検出し、スロットルセンサ44はスロットル開度を検出し、アクセルセンサ45は運転者によるアクセルペダル21の踏込み量を検出する。
イグニションスイッチ46は、運転者により「オフ」、「アクセサリ」、「オン」及び「スタート」といった4つの切替え位置のいずれかに切替え操作され、そのときの切替え位置に対応した信号を出力する。エンジン11の停止中に、イグニションスイッチ46が「オフ」から「スタート」に切替え操作されると、その「スタート」に切替えられた時点でエンジン11の始動指令がなされ、スタータ37の駆動を通じてエンジン11のクランキングが開始される。そして、クランキング中に、燃焼室14への燃料及び空気の供給が行われた後、それら燃料及び空気の混合気への点火が行われることで、エンジン11の自立運転が開始され、エンジン11が始動される。
車両には、前記センサ41〜46等の各種信号に基づいて、エンジン11等の各部を制御する電子制御装置51が設けられている。電子制御装置51はマイクロコンピュータを中心として構成されており、中央処理装置(CPU)が、読出し専用メモリ(ROM)に記憶されている制御プログラム、初期データ、制御マップ等に従って演算処理を行い、その演算結果に基づいて各種制御を実行する。CPUによる演算結果は、ランダムアクセスメモリ(RAM)において一時的に記憶される。
電子制御装置51が行う制御としては、例えば燃料噴射制御、点火時期制御等が挙げられる。電子制御装置51は、例えば燃料噴射制御に際し、エアフロメータ43によって検出されるエンジン11への吸入空気量とエンジン回転速度とに基づき基本噴射量taubase (図3参照)を求める。基本噴射量taubase は、エンジン水温がある程度高くなった温間時に混合気の空燃比を所定の値、例えば理論空燃比(ストイキ)とするための燃料噴射量である。ここで、空燃比とは、混合気中の空気と燃料との重量比であり、理論空燃比とは、燃料を完全に酸化させるのに必要な酸素量を過不足なく含んだ混合気の空燃比値である。そして、上記基本噴射量taubase に各種補正を加えて目標噴射量tau を算出する。この目標噴射量tau に対応した量の燃料が噴射されるよう燃料噴射弁32に対する通電時間(開弁時間)を制御する。
また、電子制御装置51は点火時期制御に際し、吸気圧、エンジン回転速度等のエンジン11の運転状態に基づき目標点火時期を算出し、この時期にイグナイタ34を制御することにより点火プラグ33を作動させる。前記混合気は点火プラグ33の点火に伴う火花放電によって着火されて燃焼する。
ところで、上述したポート噴射式のエンジン11では、燃料を燃焼室14に直接噴射する筒内噴射式のエンジンとは異なり、燃料噴射弁32から噴射された燃料の全てが同一の燃焼サイクルで燃焼室14内に流入するわけではなく、図2に示すように、噴射燃料の一部が吸気ポート20の壁面や吸気バルブ25に付着する。付着した燃料は、エンジン11の温度が低い冷間時等、燃料の蒸発しにくい状況下では、吸気ポート20の壁面等に液膜30となって残り、噴射された燃焼サイクルで燃焼室14に輸送されず燃焼されないことがある。この燃料(燃焼未寄与燃料)の分、現燃焼サイクルで燃焼される燃料の量が不足する。燃焼未寄与燃料は、図2において矢印で示すように、次回以降の燃焼サイクルで遅れて燃焼室14に輸送されて燃焼される。なお、上記付着燃料の量は、始動直前のエンジン11の温度に応じて異なり、一般的には、同温度が低いほど多い。
こうした状況が起こりやすい場面の1つとして、エンジン11の冷間始動時が挙げられる。ただし、冷間始動時であっても燃料の燃焼に伴いエンジン11の温度が次第に上昇していくことから、後の燃焼サイクルほど燃料が蒸発しやすくなる。そのため、吸気ポート20や吸気バルブ25に付着したまま同一燃焼サイクルで燃焼室14に流入しない燃焼未寄与燃料の量は、燃焼サイクルを経るにつれて少なくなっていく。
そこで、図3において「増量補正量」として示すように、エンジン11の始動時に目標噴射量を増量補正することで燃焼未寄与燃料による上記不足分を補充するとともに、その増量補正量を、燃焼サイクルを経る毎に一定の比率で小さくするようにしている(図8(A)の二点鎖線参照)。
より具体的には、次式(i)に従い、基本噴射量taubase を補正係数krichaddによって増量補正することで目標噴射量tau を算出するようにしている。すなわち、目標噴射量tau の算出に際し、基本噴射量taubase に補正係数krichaddを乗算した値を基本噴射量taubase に加算するようにしている。
tau =taubase +taubase ×krichadd
=taubase ×(krichadd+1) ・・・(i)
krichadd=fwl +fase ・・・(ii)
上記式(i)では、taubase ×krichaddによって表される値が、基本噴射量taubase を増量補正する増量補正量に相当する。
=taubase ×(krichadd+1) ・・・(i)
krichadd=fwl +fase ・・・(ii)
上記式(i)では、taubase ×krichaddによって表される値が、基本噴射量taubase を増量補正する増量補正量に相当する。
また、上記式(ii)中のfwl は、吸気ポート20や吸気バルブ25に対する燃料の付着が平衡状態となっているときに必要な値(補正項)であり、エンジン11の温度によって一義的に決まる。また、faseは、エンジン11の始動開始後、上記平衡状態に達するまでの過渡状態で必要な値(補正項)であり、これもまたエンジン11の温度によって一義的に決まる。
特に、エンジン11の始動開始時には、通常、吸気ポート20の壁面等に燃料が付着していない状態で燃料噴射が行われることから、初回の燃焼サイクルで噴射された燃料の多くが、吸気ポート20等に対する付着や液膜30の形成に使われる。このように、初回の燃焼サイクルについては吸気ポート20等に対する燃料の付着量が特に多く、燃焼室14に輸送されて燃焼に供される燃料がとりわけ少ないことから初爆が行われないおそれがある。そのため、この不足分を補うべく、初回の燃焼サイクルでは上記増量補正量として、上記一定の比率に基づき決定される量よりも多い値を設定することで、初爆に必要な量の燃料が燃焼室14に供給されるようにしている。
ところで、燃料噴射制御に際しては、炭化水素HCの排出量を少なくすることが排気エミッション低減の点で重要である。炭化水素HCは、燃料が適正量よりも多く噴射された場合に、その噴射量が多いほど多く排出される。
一方、初回の燃焼サイクルでは、前述したように初爆に必要な燃料を確保するために目標噴射量tau が特に多く増量補正されることから、同燃焼サイクルでの燃焼未寄与燃料が多くなる。ここで、初回の燃焼サイクルでの燃焼未寄与燃料を、2回目以降の燃焼サイクルでの燃焼未寄与燃料と区別するために「燃焼未寄与燃料F1 」と表記するものとする。この燃焼未寄与燃料F1は、2回目以降の各燃焼サイクルで遅れて燃焼室14に輸送されて燃焼されることから、これが2回目以降の燃焼サイクルで燃焼に供される燃料の量に及ぼす影響は大きい。
そのため、2回目以降の燃焼サイクルであって、上記初回の燃焼サイクルでの燃焼未寄与燃料F1が遅れて輸送されて燃焼される期間(以下「輸送遅れ燃焼期間」という)には、その燃焼未寄与燃料F1が、図4において二点鎖線で示すように分配されて、複数の燃焼サイクルでの噴射燃料に加わる。この加わる分、過剰な燃料が燃焼に供されることとなり、炭化水素HCの排出量がHC排出指標を大きく上回る。ここでのHC排出指標は、炭化水素HCの排出量の目安となるもので、例えば、炭化水素HCの排出量の規制値等に基づき設定されている。
これに対しては、図8(A)において一点鎖線で示すように、目標噴射量の増量補正量を2回目の燃焼サイクル以降全体的に減らすことが考えられる。しかし、この場合には、図8(B)において一点鎖線で示すように、増量補正期間の後半、すなわち、輸送遅れ燃焼期間よりも後の燃焼サイクルにおいて、空燃比が目標とする値に対し過剰にリーンになって失火するおそれがある。そのため、失火を回避する観点からは、上述したように増量補正量を全体的に減らすにも限度がある。
そこで、本実施形態では、輸送遅れ燃焼期間、又はそれに近い期間において、エンジン11の始動開始後の増量補正量を減少させる(図6及び図8(A)の各実線参照)ことで、上記の不具合に対処するようにしている。
なお、初回の燃焼サイクルで吸気ポート20や吸気バルブ25に付着して同燃焼サイクルで燃焼されなかった燃焼未寄与燃料F1が、2回目以降の燃焼サイクルで燃焼室14へ分配・輸送されて燃焼されることについては先に説明したが、その輸送量は燃焼サイクル毎に同じではない。この輸送量は、輸送遅れ燃焼期間の初期、例えば2回目の燃焼サイクルや3回目の燃焼サイクルで最も多く、後の燃焼サイクルになるに従って徐々に減少してゆく傾向にある。これは、1つには、燃焼サイクルを経る毎に燃焼未寄与燃料F1 が燃焼されて残余の燃料が少なくなる、すなわち後の燃焼サイクルになるほど輸送の対象となる燃焼未寄与燃料の量が少なくなることによる。加えて、吸気ポート20の壁面等に付着した燃料のうち蒸発しやすい成分や粘性の低い成分から順に燃焼室14に輸送されて燃焼され、後の燃焼サイクルになるほど付着燃料において、蒸発しにくい成分や粘性の高い成分が占める割合が多くなるからでもある。
こうした傾向を考慮し、本実施形態では増量補正量の減少度合いを、燃焼サイクルを経る毎に徐々に小さくする(減衰させる)こととしている。具体的には、目標噴射量tau の算出に用いられる補正係数krichaddを、上記式(ii)に代えて、次式(iii )に基づき算出するようにしている。
krichadd=fwl +fase−Cn ・・・(iii )
上記式(iii )中のCn は補正係数krichaddを減少させるための減量係数(≧0)である。
上記式(iii )中のCn は補正係数krichaddを減少させるための減量係数(≧0)である。
この減量係数Cn は、図5のフローチャートにて示される「減量係数算出ルーチン」を、所定のタイミング、例えばクランクシャフト31が所定角度(クランク角)回転する毎(燃焼サイクル毎)に繰り返し実行することで算出される。ここでは、初回の燃焼サイクルでの燃焼未寄与燃料F1であって、2回目以降の燃焼サイクルで燃焼室14に輸送されて燃焼される燃料の量は、2回目の燃焼サイクルで最も多くなることを前提としている。
この減量係数算出ルーチンでは、電子制御装置51はまずステップ100において、現燃焼サイクルが初回の燃焼サイクルであるかどうかを判定する。例えば、イグニションスイッチ46の切替え位置が「オフ」から「スタート」に切替え操作された後の燃料噴射の回数をカウントし、そのカウント値が「1」であるかどうかを判定する。ステップ100の判定条件が満たされている(初回の燃焼サイクルである)と、ステップ110,120において、減量係数Cn の初期値C0 を設定する処理を行う。
この初期値C0 として本実施形態では、エンジン11の運転状態に応じて変化する値が用いられる。ここでは、初期値C0 の設定に際し、エンジン11の温度の相当値であるエンジン水温と初期値C0 との関係を予め規定した図7のマップが用いられる。このマップでは、初期値C0 は、エンジン11の温度が低いときに大きな値を採り、同エンジン11の温度が高くなるに従い小さくなる。なお、図7では、初期値C0 が採り得る範囲の最小値を「0」とし、最大値を「1」よりも大きな値としているが、これに限られない。
ステップ110では、水温センサ42によるそのときのエンジン水温を読込み、そのエンジン水温に対応する初期値C0 を上記図7のマップから割出す。ステップ120では、この割出した初期値C0 を減量係数Cn として設定し、これをメモリ(RAM)に記憶する。そして、ステップ120の処理を経た後に減量係数算出ルーチンを一旦終了する。
一方、上記ステップ100の判定条件が満たされていない(2回目以降の燃焼サイクルである)と、ステップ130において、前回の燃焼サイクルでの減量係数Cn をメモリ(RAM)から読出す。次に、ステップ140において、上記ステップ130での減量係数Cn が所定値αよりも小さいかどうかを判定する。所定値αとしては、例えば「0」に近い正の値を設定することができる。
ステップ140の判定条件が満たされていないと、ステップ150において、前記ステップ130での減量係数Cn に所定の減衰率K1 を乗算する。ここでは、減衰率K1 として、「0<K1 <1」の関係を満たす一定の値が用いられる。従って、ステップ150での演算により得られる減量係数Cn は、ステップ130で読出した減量係数Cn よりも小さな値となる。この乗算結果を現燃焼サイクルでの減量係数Cn として設定し、メモリ(RAM)に記憶する。このステップ150の処理を経た後に、減量係数算出ルーチンを一旦終了する。従って、2回目以降の燃焼サイクルにおいて、ステップ140の判定条件(Cn <α)が満たされない限りステップ150の処理が繰り返し行われ、燃焼サイクルを経る毎に減量係数Cn が一定の比率(減衰率K1 )で減少していく。
そして、この減少によりステップ140の判定条件が満たされるようになる(Cn <α)と、ステップ160において、減量係数Cn を「0」に設定し、その後に減量係数算出ルーチンを一旦終了する。従って、ステップ140の判定条件が満たされた後の燃焼サイクルでは、減量係数Cn が「0」に保持されることとなる。
上述した減量係数算出ルーチンによると、2回目以降の燃焼サイクルでは、減量係数Cn は2回目の燃焼サイクルで最大値となり、それよりも後の燃焼サイクルでは、後になるに従い一定の比率(減衰率K1 )で小さくなっていき(ステップ150)、最終的に「0」になる(ステップ160)。
一方、補正係数krichaddを算出する式(ii)における右辺(fwl +fase)は、2回目以降の燃焼サイクルでは、2回目の燃焼サイクルで最大値となり、それよりも後の燃焼サイクルでは、エンジン11の温度上昇に伴い後の燃焼サイクルになるに従って小さくなっていく。
従って、初回の燃焼サイクルでの燃焼未寄与燃料F1が2回目以降の燃焼サイクルでの燃焼に及ぼす影響を考慮しない場合には、増量補正量は図3に示すようになるところ、本実施形態では図6において二点鎖線で示す分だけ少なくなる。
その結果、最終的に燃料噴射弁32に指令される目標噴射量tau は、図6において実線で示すように2回目の燃焼サイクルで少なく、3回目、4回目の燃焼サイクルでは漸増し、その後の燃焼サイクルでは漸減する。
これに対し、初回の燃焼サイクルで吸気ポート20の壁面等に付着した燃焼未寄与燃料F1は、2回目以降の数燃焼サイクルにわたる輸送遅れ燃焼期間において、燃焼室14に輸送される。各燃焼サイクルで輸送される燃料の量は、図6において二点鎖線で示す量に近い。従って、輸送遅れ燃焼期間では、現燃焼サイクルで燃料噴射弁32から噴射される燃料(正確には吸気ポート20等に新たに付着する分を除く)と、初回の燃焼サイクルでの燃焼未寄与燃料F1の一部とが併せて燃焼室14に輸送されて燃焼に供される。しかし、その量は、増量補正された当初、すなわち、初回の燃焼サイクルでの燃焼未寄与燃料F1 が2回目以降の燃焼サイクルに及ぼす影響がないとした場合の目標噴射量tau に近い値となる。
増量補正期間における輸送遅れ燃焼期間では、初回の燃焼サイクルでの燃焼未寄与燃料F1を考慮しない場合(図4の実線及び図8(A)の二点鎖線参照)に比べ、燃焼室14への過剰な燃料供給が抑制される。なお、増量補正期間における輸送遅れ燃焼期間よりも後の期間については、目標噴射量tau 及び実際に燃焼室14に供給される燃料の量は同程度となる。
以上詳述した第1実施形態によれば、次の効果が得られる。
(1)2回目以降の燃焼サイクルでの目標噴射量tau の増量補正に用いられる補正係数krichaddを式(ii)に基づいて算出しているところ、この式(ii)に代え、減算項(減量係数Cn )を新たに設けた式(iii )を用いるようにしている。この減量係数Cn を用いて補正係数krichaddを小さくし、増量補正量(taubase ×krichadd)を減少させるようにしている。
(1)2回目以降の燃焼サイクルでの目標噴射量tau の増量補正に用いられる補正係数krichaddを式(ii)に基づいて算出しているところ、この式(ii)に代え、減算項(減量係数Cn )を新たに設けた式(iii )を用いるようにしている。この減量係数Cn を用いて補正係数krichaddを小さくし、増量補正量(taubase ×krichadd)を減少させるようにしている。
この減少により、2回目以降の各燃焼サイクルで燃焼に供される燃料の量を、初回の燃焼サイクルでの燃焼未寄与燃料F1を含んだ形で適正値、すなわち式(i),(ii)で表される目標噴射量tau に近づけることができる。その結果、増量補正量が減少されない場合(背景技術に相当)に比べ、燃焼室14への過剰な燃料の流入を抑制し、炭化水素HCの排出量を少なくすることができる(図8(B)の実線参照)。
(2)燃焼未寄与燃料F1のうち2回目以降の燃焼サイクルで燃焼される燃料の量が、後の燃焼サイクルになるに従い減少してゆく現象を考慮し、減衰率K1 (0<K1 <1)を用い、これを減量係数Cn に乗算する(ステップ150)ことで、燃焼サイクルを経る毎に減量係数Cn を小さくしている。このようにして、増量補正量の減少度合いを、燃焼サイクルを経る毎に減衰させている。
そのため、減少度合いを燃焼サイクルに拘わらず一定とする場合に比べ、2回目以降の各燃焼サイクルで燃焼に供される燃料の量を、上記(1)の適正値により確実に近づけることができる。燃焼室14への過剰な燃料の流入を抑制し、炭化水素HCの排出量を少なくする上記(1)の効果が一層確実なものとなる。
(3)上記減量係数Cn と「0」に近い正の値である所定値αとを比較し(ステップ140)、減量係数Cn が所定値αよりも小さくなった後には減量係数Cn を「0」にする(ステップ160)ことで、補正係数krichaddの減少を行わないようにしている。表現を変えると、減量係数Cn が所定値αよりも小さくなる直前の燃焼サイクルを、減少度合いを小さくする期間の終期としている。
そのため、目標噴射量tau の増量補正期間のうち、初回の燃焼サイクル近傍の所定の期間である2回目の燃焼サイクルから数燃焼サイクルまでの期間について、減量係数Cn が小さくなって増量補正量が減衰される。増量補正量が少ないとき(増量補正期間の後期)には、減量係数Cn が「0」とされて同増量補正量が減少されない(図8(A)の実線参照)。従って、上記増量補正量の減少が空燃比のリーン化に及ぼす影響を小さくし、失火の発生を抑制することができる(図8(B)の実線参照)。
(4)減量係数Cn は増量補正量の減少度合いを決定する要素である。減量係数Cn の大きいときには減少度合いが大きく、同減量係数Cn が小さくなる(「0」に近づく)に従って減少度合いが小さくなる。本実施形態では、前回の燃焼サイクルにてメモリ(RAM)に記憶された減量係数Cn を読出し(ステップ130)、これに所定の減衰率K1 を乗算する(ステップ150)ことで、現燃焼サイクルでの減量係数Cn を算出するようにしている。得られる減量係数Cn は、燃焼サイクルを経る毎に所定の比率(減衰率K1 )で小さくなる。
従って、複雑な演算を行うことなく減量係数Cn (減少度合い)を算出することができ、燃焼サイクル毎にそのときのエンジン11の運転状態に基づき減量係数Cn をそれぞれ演算する場合に比べ、演算装置(電子制御装置51)にかかる負荷を小さくすることができる。
特に、第1実施形態では減衰率K1 として一定の値を用いていることから、減衰率K1 を算出する処理が不要である。同減衰率K1 として、条件に応じて変わる値(可変値)が用いられる場合に比べ、上記の効果(負荷減少)がより確実に得られる。
(5)吸気ポート20等に付着した燃料の蒸発のしやすさは、始動時におけるエンジン11の温度に応じて異なる。これに伴い、初回の燃焼サイクルでの燃焼未寄与燃料F1について、2回目以降の各燃焼サイクルで遅れて輸送されて燃焼される燃料の量が、エンジン11の温度(エンジン水温)に応じて異なってくる。
この点、本実施形態では、減量係数Cn の初期値C0 をエンジン水温に応じて可変とし、この初期値C0 を基準として、減量係数Cn を、燃焼サイクルを経る毎に一定の比率(減衰率K1 )で小さくしている。従って、初期値C0 をエンジン11の温度(エンジン水温)に拘わらず一定とした場合に比べ、同温度に応じて異なる輸送遅れの燃料の量に対応し、かつ2回目以降の各燃焼サイクルで、燃焼に供される燃料の量を、初回の燃焼サイクルでの燃焼未寄与燃料F1を含んだ形でより的確に上記(1)の適正値に近づけることができる。
(第2実施形態)
次に、本発明を具体化した第2実施形態について、図9を参照して説明する。
上述した増量補正量(=taubase ×krichadd)の減少に際しては、初回の燃焼サイクルでの燃焼未寄与燃料F1のうち、2回目以降の燃焼サイクルで遅れて輸送されて燃焼される量の傾向に則して減少量を決定することが望ましい。すなわち、燃焼未寄与燃料F1のうち遅れて輸送されて燃焼される燃料の量が最も多い燃焼サイクルにおいて減少量を最も多くし、燃焼サイクルを経る毎に減少量を漸減させることが望ましい。ここで、初回の燃焼サイクルでの燃焼未寄与燃料F1のうち、最も多く燃焼される燃焼サイクルが2回目の燃焼サイクルでない場合があり得る。
次に、本発明を具体化した第2実施形態について、図9を参照して説明する。
上述した増量補正量(=taubase ×krichadd)の減少に際しては、初回の燃焼サイクルでの燃焼未寄与燃料F1のうち、2回目以降の燃焼サイクルで遅れて輸送されて燃焼される量の傾向に則して減少量を決定することが望ましい。すなわち、燃焼未寄与燃料F1のうち遅れて輸送されて燃焼される燃料の量が最も多い燃焼サイクルにおいて減少量を最も多くし、燃焼サイクルを経る毎に減少量を漸減させることが望ましい。ここで、初回の燃焼サイクルでの燃焼未寄与燃料F1のうち、最も多く燃焼される燃焼サイクルが2回目の燃焼サイクルでない場合があり得る。
そこで、第2実施形態では、初回の燃焼サイクルでの燃焼未寄与燃料F1が最も多く燃焼される燃焼サイクルを基準とし、この燃焼サイクルにおいて増量補正量を最も多く減少させ、その後は、燃焼サイクルを経る毎に減少度合いを小さくするようにしている。
そのために、第1実施形態での図5に対応する図9の減量係数算出ルーチンでは、ステップ100とステップ130との間に、ステップ125の判定処理を加えている。
この減量係数算出ルーチンでは、ステップ100の判定条件が満たされていないこと(初回の燃焼サイクルでないこと)を条件にステップ125へ移行する。
この減量係数算出ルーチンでは、ステップ100の判定条件が満たされていないこと(初回の燃焼サイクルでないこと)を条件にステップ125へ移行する。
ステップ125では、初回の燃焼サイクルでの燃焼未寄与燃料F1が最も多く燃焼される燃焼サイクルであるかどうかを判定する。具体的には、該当する燃焼サイクルを予め実験等により特定しておく。エンジン11の始動開始後、燃焼サイクルを経る毎にその数をカウントする。カウント値が上記特定した燃焼サイクルに対応する値であるかどうかを判定する。この判定条件が満たされていると、燃焼未寄与燃料F1が最も多く燃焼される燃焼サイクルであるとする。これに代えて、エンジン11の始動開始後、上記特定した燃焼サイクルになるまでに要する時間を予め設定しておき、エンジン11の始動開始後からの経過時間がこの設定時間に達したかどうかを判定してもよい。この判定条件が満たされていると、燃焼未寄与燃料F1が最も多く燃焼される燃焼サイクルであるとする。
そして、ステップ125の判定条件が満たされた場合にのみ、上述したステップ130〜160の処理を行う。ステップ125の判定条件が満たされていない場合には、ステップ120へ移行し、初期値C0 を減量係数Cn として設定する。
上述した図9の減量係数算出ルーチンによると、エンジン11の始動開始後、初回の燃焼サイクルでの燃焼未寄与燃料F1が最も多く燃焼される燃焼サイクルになるまでは、ステップ125の判定条件が満たされず、初期値C0 が減量係数Cn として設定及び保持される。これに対し、燃焼未寄与燃料F1が最も多く燃焼される燃焼サイクル以降には、第1実施形態と同様に、ステップ140の判定条件(Cn <α)が満たされるまで、減量係数Cn が一定の比率(減衰率K1 )で小さくされる。
従って、第2実施形態によると、上記(1)〜(5)に加え、次の効果が得られる。
(6)2回目以降の燃焼サイクルであって、初回の燃焼サイクルでの燃焼未寄与燃料F1が最も多く燃焼される燃焼サイクルよりも前の燃焼サイクルについては、初期値C0 を減量係数Cn として保持する。燃焼未寄与燃料F1が最も多く燃焼される燃焼サイクル以降の燃焼サイクルについては、減量係数Cn を漸減させている。
(6)2回目以降の燃焼サイクルであって、初回の燃焼サイクルでの燃焼未寄与燃料F1が最も多く燃焼される燃焼サイクルよりも前の燃焼サイクルについては、初期値C0 を減量係数Cn として保持する。燃焼未寄与燃料F1が最も多く燃焼される燃焼サイクル以降の燃焼サイクルについては、減量係数Cn を漸減させている。
このため、燃焼未寄与燃料F1が最も多く燃焼される燃焼サイクルが基準とされ、この燃焼サイクルにおいて増量補正量が最も多く減少される。その後は、燃焼サイクルを経る毎に減少度合いが小さくされる。従って、実際に遅れて燃焼される燃焼未寄与燃料F1の量の減少傾向に則して減少度合いを小さくすることができる。
(第3実施形態)
次に、本発明を具体化した第3実施形態について、図10を参照して説明する。
第3実施形態は、増量補正量(=taubase ×krichadd)を減少させる処理、及びその減少度合いを燃焼サイクルを経る毎に小さくする(減衰させる)処理について、第1及び第2実施形態と異なっている。より具体的には、第3実施形態では減少量Fd (≧0)を別途算出し、上記式(i)に代わる次式(iv)に従って目標噴射量tau を算出するようにしている。
次に、本発明を具体化した第3実施形態について、図10を参照して説明する。
第3実施形態は、増量補正量(=taubase ×krichadd)を減少させる処理、及びその減少度合いを燃焼サイクルを経る毎に小さくする(減衰させる)処理について、第1及び第2実施形態と異なっている。より具体的には、第3実施形態では減少量Fd (≧0)を別途算出し、上記式(i)に代わる次式(iv)に従って目標噴射量tau を算出するようにしている。
tau =taubase +taubase ×krichadd−Fd ・・・(iv)
上記式(iv)中の補正係数krichaddは、前述した式(ii)で表される補正項fwl 及び補正項faseの総和である。また、減少量Fd は、図9のフローチャートにて示される「減少量算出ルーチン」を、所定のタイミング、例えば所定クランク角毎(燃焼サイクル毎)に繰り返し実行することで算出される。
上記式(iv)中の補正係数krichaddは、前述した式(ii)で表される補正項fwl 及び補正項faseの総和である。また、減少量Fd は、図9のフローチャートにて示される「減少量算出ルーチン」を、所定のタイミング、例えば所定クランク角毎(燃焼サイクル毎)に繰り返し実行することで算出される。
この減少量算出ルーチンでは、電子制御装置51はまずステップ200において、現燃焼サイクルが初回の燃焼サイクルであるかどうかを判定する。この判定条件が満たされていると、ステップ210において、残余燃料量Fr の初期値を設定する処理を行う。ここで、残余燃料量Fr は、初回の燃焼サイクルでの燃焼未寄与燃料F1 について、各燃焼サイクルにおいて前回までの燃焼サイクルで燃焼されずに未だ残っている燃料の量をいう。例えば、2回目の燃焼サイクルにおける燃焼前の状態では、初回の燃焼サイクルでの燃焼未寄与燃料F1 の全部が残余燃料量Fr になる。3回目の燃焼サイクルにおける燃焼前の状態では、初回の燃焼サイクルでの燃焼未寄与燃料F1 の量から2回目の燃焼サイクルで燃焼される燃料の量を減算した値が残余燃料量Fr になる。ステップ210では、燃焼未寄与燃料F1 の量、すなわち増量補正量(=taubase ×krichadd)が残余燃料量Fr に相当する。そのため、同ステップ210では、燃焼未寄与燃料F1 の量(=増量補正量)を残余燃料量Fr の初期値として設定し、メモリ(RAM)に記憶する。そして、ステップ210の処理を経た後に減少量算出ルーチンを一旦終了する。
一方、上記ステップ200の判定条件が満たされていない(2回目以降の燃焼サイクルである)と、ステップ220において、前回の燃焼サイクルでの残余燃料量Fr をメモリ(RAM)から読出す。次に、ステップ230において、上記ステップ220での残余燃料量Fr が所定値βよりも小さいかどうかを判定する。所定値βとしては、「0」に近い正の値を設定することができる。
そして、ステップ230の判定条件が満たされていない(Fr ≧β)と、ステップ240において、前記ステップ220での残余燃料量Fr に所定の分配率K2 を乗算する。ここでは、分配率K2 として、「0<K2 <1」の関係を満たす一定の値が用いられる。この乗算結果を現燃焼サイクルでの減少量Fd として設定し、メモリ(RAM)に記憶する。
続いて、ステップ250において、ステップ220での残余燃料量Fr から前記ステップ240での減少量Fd を減算する。この減算結果を、次回の燃焼サイクルに備え、減少量の算出に用いられる残余燃料量Fr として設定し、メモリ(RAM)に記憶する。このステップ250の処理を経た後に、減少量算出ルーチンを一旦終了する。従って、2回目以降の燃焼サイクルにおいて、ステップ230の判定条件が満たされない(Fr ≧β)限り、ステップ240,250の処理が繰り返し行われる。燃焼サイクルを経る毎に、減少量Fd 及び残余燃料量Fr が徐々に減少していく。
そして、上記の減少によりステップ230の判定条件が満たされる(Fr <β)と、ステップ260において、減少量Fd を「0」に設定し、その後に減少量算出ルーチンを一旦終了する。従って、ステップ230の判定条件が満たされた後の燃焼サイクルでは、減少量Fd が「0」に保持されることとなる。
上述した減少量算出ルーチンによると、残余燃料量Fr は初回の燃焼サイクルで最大値となり、2回目以降の燃焼サイクルでは、後の燃焼サイクルになるに従い小さくなっていき、最終的に「0」に近い値になる。また、減少量Fd は2回目の燃焼サイクルで最大となり、後の燃焼サイクルになるに従い少なくなっていき、最終的に「0」になる。
従って、第3実施形態によれば、次の効果が得られる。
(7)2回目以降の燃焼サイクルで減少量Fd を算出し、目標噴射量tau の増量補正量(taubase ×krichadd)から上記減少量Fd を減算することで、同増量補正量を減少させるようにしている。
(7)2回目以降の燃焼サイクルで減少量Fd を算出し、目標噴射量tau の増量補正量(taubase ×krichadd)から上記減少量Fd を減算することで、同増量補正量を減少させるようにしている。
この減少により、2回目以降の各燃焼サイクルで燃焼に供される燃料の量を、初回の燃焼サイクルでの燃焼未寄与燃料F1を含んだ形で適正値(式(i),(ii)で表される目標噴射量tau )に近づけることができる。その結果、増量補正量を減少させない場合(背景技術に相当)に比べ、燃焼室14への過剰な燃料の供給を抑制し、炭化水素HCの排出量を少なくすることができる。この効果は、上述した(1)の効果に相当するものである。
(8)燃焼未寄与燃料F1のうち2回目以降の燃焼サイクルで燃焼される燃料の量が後の燃焼サイクルになるに従い減少してゆく現象を考慮し、分配率K2 (0<K2 <1)を用い、これを残余燃料量Fr に乗算する(ステップ240)ことで、燃焼サイクル毎の減少量Fd を算出する。また、前回の燃焼サイクルでの残余燃料量Fr から現燃焼サイクルでの減少量Fd を減算し、その減算結果を次回燃焼サイクルでの減少量Fd の算出に用いられる残余燃料量Fr として設定する(ステップ250)ようにしている。この残余燃料量Fr は燃焼サイクルを経る毎に少なくなっていく。これに伴い、減少量Fd も燃焼サイクルを経る毎に少なくなっていく。
そのため、減少度合いを燃焼サイクルに拘わらず一定とする場合に比べ、2回目以降の燃焼サイクルで燃焼に供される燃料の量を、上記(7)の適正値により確実に近づけることができる。燃焼室14への過剰な燃料の流入を抑制し、炭化水素HCの排出量を少なくする上記効果が一層確実なものとなる。この効果は、上述した(2)の効果に相当するものである。
(9)上述したように、初回の燃焼サイクルでの燃焼未寄与燃料のうちの残余燃料量Fr を分配率K2 にて分配することにより現燃焼サイクルでの減少量Fd を算出するようにしている。燃焼サイクルが行われる毎に残余燃料量Fr が少なくなることから、この残余燃料量Fr を分配率K2 にて分配することにより算出される減少量Fd もまた、燃焼サイクルを経る毎に少なくなる。この傾向は、初回の燃焼サイクルでの燃焼未寄与燃料F1 について、その後の燃焼サイクルで燃焼される量が燃焼サイクルを経る毎に減少する傾向に対応するものである。
従って、複雑な演算を行うことなく減少度合いに相当する減少量Fd を算出することができ、燃焼サイクル毎にエンジン11のそのときの運転状態に基づき減少量Fd をそれぞれ演算する場合に比べ、演算装置(電子制御装置51)にかかる負荷を小さくすることができる。
(10)上記(9)に関連するが、減少度合いを小さくする期間の全ての燃焼サイクルについて分配率K2 として一定値を用いている。そのため、燃焼サイクルを経る毎に、一定の分配率K2 をもって残余燃料量Fr が分配される。これに伴い、燃焼サイクルを経る毎に減少量Fd が少なくなって増量補正量の減少度合いが小さくなる。従って、分配率K2 を別途算出する処理が不要であり、同分配率K2 を条件に応じて変更する場合(分配率K2 を可変値とする場合)に比べ、演算装置(電子制御装置51)にかかる負荷を一層小さくすることができる。
(11)上記残余燃料量Fr と「0」に近い正の値である所定値βとを比較し(ステップ230)、残余燃料量Fr が所定値βよりも小さくなった後には減少量Fd を「0」にしている(ステップ260)。こうすることで、残余燃料量Fr が所定値βより少なくなる直前の燃焼サイクルを、減少度合いを小さくする期間の終期としている。
そのため、目標噴射量tau の増量補正期間のうち、初回の燃焼サイクル近傍の所定の期間である2回目の燃焼サイクルから数燃焼サイクルまでの期間について、残余燃料量Fr が少なくなって増量補正量の減少量Fd が減衰される。増量補正量の少ない増量補正期間の後期には、残余燃料量Fr が所定値βよりも小さくなり減少量Fd が「0」とされて増量補正量の減少が行われない。従って、上記増量補正量の減少が空燃比のリーン化に及ぼす影響を小さくし、失火の発生を抑制することができる。
(12)上記(11)で説明したように、残余燃料量Fr が燃焼サイクルを経る毎に減少し、「0」に近い値である所定値βよりも少なくなった場合には減少量Fd を「0」にしている。こうすることで、初回の燃焼サイクルでの燃焼未寄与燃料が燃焼される期間である輸送遅れ燃焼期間と、増量補正量が減少される期間とを略合致させることができる。このことは、2回目以降の各燃焼サイクルで燃焼に供される燃料の量を、初回の燃焼サイクルでの燃焼未寄与燃料F1を含んだ形で必要な量に近づけるうえで有効である。
(第4実施形態)
次に、本発明を具体化した第4実施形態について、図11〜図14を参照して説明する。
次に、本発明を具体化した第4実施形態について、図11〜図14を参照して説明する。
第1実施形態では、燃焼未寄与燃料F1が輸送遅れ燃焼期間に分配され、複数の燃焼サイクルでの噴射燃料に加わることを前提条件として、輸送遅れ燃焼期間、又はそれに近い期間において、エンジン11の始動開始後の増量補正量を減少させるようにしている。ところが、上記前提条件が成立しない場合もあり得る。例えば、上記複数の燃焼サイクルにおいて想定した量の燃焼未寄与燃料が噴射燃料に加わらなかったり、燃料噴射弁32から目標噴射量tau に相当する量の燃料が噴射されなかったりした場合である。前者の現象は、例えば、正規の燃料とは異なる成分を有していて蒸発性に劣る粗悪燃料が使用されたときに起こる。この場合、粗悪燃料が正規の燃料を使用した場合よりも蒸発しにくく、燃焼室14に流入する燃料の量が少なくなる。また、後者の現象は、例えば燃料噴射弁32に供給される燃料の圧力が正規の値よりも低い状態で燃料噴射が行われたときに起こる。そのほか、燃料噴射弁32の噴口部に付着した燃料が徐々に炭化しデポジットとして堆積した場合、噴孔部の流路面積が小さくなって、噴射される燃料量が少なくなる。
そして、このようにして燃焼室14への燃料の供給量が不足すると、初回の燃焼サイクルにおける混合気が完爆する前に増量補正量の減少が始まり、混合気の空燃比が過渡にリーンになって燃焼が適正に行われず排気エミッションが悪化する懸念がある。
そこで、第4実施形態では、初回の燃焼サイクルでの燃焼状態が悪化しているときには、燃焼室14に供給される燃料の不足分を加味した態様で減少度合いを小さくする処理を行うようにしている。
また、上記の処理を実行するに当たり、図11に示すように、触媒コンバータ23の排気上流に空燃比センサ61が設けられている。空燃比センサ61は、混合気の空燃比と密接な関係にある排気中の酸素の濃度に応じた信号を出力する。従って、空燃比センサ61の出力信号に基づき、混合気の空燃比についてそのリーン度合いやリッチ度合いを検出することが可能である。
上記燃料不足分を加味した態様で減少度合いを小さくする処理を行うために、第4実施形態では、第1実施形態での図5に対応する図12の減量係数算出ルーチンにおいて、ステップ140の処理(NO)の後にステップ170,180の処理が加えられている。
この減量係数算出ルーチンでは、ステップ140の判定条件が満たされない(Cn <α)ことを条件にステップ170へ移行する。ステップ170では、初回の燃焼サイクルについて、燃焼状態の悪化が検出されたかどうかを判定する。
ここで、初回の燃焼サイクルでは、前述したように初爆に必要な燃料を確保するために目標噴射量tau が特に多く増量補正される。このことから、増量補正後の目標噴射量tau に相当する量の燃料が噴射されれば、同燃焼サイクルでの空燃比は図13において二点鎖線で示すように一時的に大きくリッチ側の値となる。しかし、粗悪燃料が使用されたり、燃圧低下、デポジット等が原因で燃料噴射弁32から目標噴射量tau に相当する量の燃料が噴射されなかったりして、燃焼室14に意図した量の燃料が供給されない場合には、図13において破線で示すように、空燃比は上記燃焼状態の非悪化時(正常時)ほどリッチにならない。このように初回の燃焼サイクルでの空燃比は、燃焼状態が悪化していない(正常である)場合と悪化している場合とで大きく異なる。
そこで、この現象を利用して、初回の燃焼サイクルにおいて空燃比センサ61によって検出された空燃比に基づき、燃焼状態の悪化の有無を検出するようにしている。より具体的には、検出された空燃比と所定値γとを比較する。所定値γとしては、初回の燃焼サイクルにおいて燃焼が適切に行われた場合の空燃比をもとに、それよりも若干リーン側の値が設定されることが望ましい(図13参照)。そして、空燃比が上記所定値γよりもリーンであると、燃焼状態が悪化している旨の検出を行い、リーンでないと燃焼状態が悪化している旨の検出を行わない。
上記ステップ170の判定条件が満たされていない、すなわち燃焼状態の悪化が検出されないとステップ150へ移行する。ステップ150では、次式(v)に従い、前回の減量係数Cn に所定の減衰率K1 (0<K1 <1)を乗算し、その乗算結果を現燃焼サイクルでの減量係数Cn として設定する。この処理は第1実施形態での図5のステップ150の処理と同じである。
Cn ←Cn ×K1 ・・・(v)
上記式(v)により求めた減量係数Cn をメモリ(RAM)に記憶した後、減量係数算出ルーチンを一旦終了する。従って、燃焼状態の悪化が検出されない場合には、2回目以降の燃焼サイクルにおいて、ステップ140の判定条件(Cn <α)が満たされない限りステップ150の処理が繰り返し行われ、燃焼サイクルを経る毎に減量係数Cn が一定の比率(減衰率K1 )で減少していく。これに伴い、増量補正量の減少に用いられる減少量(図6中、二点鎖線の枠で示される箇所)が、2回目以降の燃焼サイクルにおいて燃焼サイクルを経る毎に少なくなっていく。
上記式(v)により求めた減量係数Cn をメモリ(RAM)に記憶した後、減量係数算出ルーチンを一旦終了する。従って、燃焼状態の悪化が検出されない場合には、2回目以降の燃焼サイクルにおいて、ステップ140の判定条件(Cn <α)が満たされない限りステップ150の処理が繰り返し行われ、燃焼サイクルを経る毎に減量係数Cn が一定の比率(減衰率K1 )で減少していく。これに伴い、増量補正量の減少に用いられる減少量(図6中、二点鎖線の枠で示される箇所)が、2回目以降の燃焼サイクルにおいて燃焼サイクルを経る毎に少なくなっていく。
これに対し、上記ステップ170の判定条件が満たされている、すなわち燃焼状態の悪化が検出されるとステップ180へ移行する。ステップ180では、次式(vi)に従い、前回の減量係数Cn に悪化時補正係数aを乗算して補正し、さらにこれに減衰率K1 (0≦K1 <1)を乗算する。
Cn ←(a×Cn )K1 ・・・(vi)
上記式(vi)中の悪化時補正係数aとしては、「0≦a<1」の関係を満たす一定の値が用いられる。従って、ステップ180での演算により得られる減量係数Cn は、前回の減量係数Cn よりも小さな値となる。また、ステップ180での演算により得られる減量係数Cn は、燃焼状態が悪化しないと仮定した場合にステップ150で算出される減量係数Cn よりも小さな値となる。そして、上記ステップ180での乗算結果を現燃焼サイクルでの減量係数Cn として設定し、メモリ(RAM)に記憶する。このステップ180の処理を経た後に、減量係数算出ルーチンを一旦終了する。
上記式(vi)中の悪化時補正係数aとしては、「0≦a<1」の関係を満たす一定の値が用いられる。従って、ステップ180での演算により得られる減量係数Cn は、前回の減量係数Cn よりも小さな値となる。また、ステップ180での演算により得られる減量係数Cn は、燃焼状態が悪化しないと仮定した場合にステップ150で算出される減量係数Cn よりも小さな値となる。そして、上記ステップ180での乗算結果を現燃焼サイクルでの減量係数Cn として設定し、メモリ(RAM)に記憶する。このステップ180の処理を経た後に、減量係数算出ルーチンを一旦終了する。
従って、燃焼状態の悪化が検出された場合には、2回目以降の燃焼サイクルにおいて、ステップ140の判定条件(Cn <α)が満たされない限りステップ180の処理が繰り返し行われ、燃焼サイクルを経る毎に減量係数Cn が、一定の比率(a×K1)で減少していく。この際の減少の比率は、上述した燃焼状態の悪化が検出されない場合の比率(K1)よりも小さい。これに伴い燃焼サイクル毎の上記減少量が、図14中、網掛けされた箇所の分だけ少なくなる。二点鎖線の枠中、網掛けされた箇所を除いた空白部分が、燃焼状態の悪化が検出されたときの減少量となる。
そして、ステップ150又は180での減量係数Cn の減少によりステップ140の判定条件が満たされるようになる(Cn <α)と、ステップ160において減量係数Cn を「0」に設定し、その後に減量係数算出ルーチンを一旦終了する。従って、ステップ140の判定条件が満たされた後の燃焼サイクルでは、減量係数Cn が「0」に保持されることとなる。減少量が「0」となり、増量補正量が減量補正されない。
上記減量係数算出ルーチンでは、電子制御装置51によるステップ170の処理が検出手段に相当する。
上述した減量係数算出ルーチンによると、燃焼状態の悪化が検出されない場合と検出される場合とで、減量係数Cn 及び減少量の減少態様が以下のように異なる。
上述した減量係数算出ルーチンによると、燃焼状態の悪化が検出されない場合と検出される場合とで、減量係数Cn 及び減少量の減少態様が以下のように異なる。
<燃焼状態の悪化が検出されない場合>
正規の燃料が用いられ、また燃料噴射弁32から目標噴射量tau に相当する量の燃料が噴射されると、初回の燃焼サイクルにおいて、燃焼室14に燃焼に必要な量の燃料が供給されて燃焼が適正に行われる。このとき、初爆に必要な燃料が燃焼室14に供給されるように目標噴射量tau が特に多く増量補正されることから、空燃比が図13において二点鎖線で示すように、一旦は大きくリッチ側の値となる。
正規の燃料が用いられ、また燃料噴射弁32から目標噴射量tau に相当する量の燃料が噴射されると、初回の燃焼サイクルにおいて、燃焼室14に燃焼に必要な量の燃料が供給されて燃焼が適正に行われる。このとき、初爆に必要な燃料が燃焼室14に供給されるように目標噴射量tau が特に多く増量補正されることから、空燃比が図13において二点鎖線で示すように、一旦は大きくリッチ側の値となる。
この場合には、燃焼状態の悪化が検出されず(ステップ170:NO)、ステップ150の処理が行われる。前回の減量係数Cn に「0<α<1」の関係を満たす減衰率K1 が乗算されることにより、現制御周期での減量係数Cn が求められる。この減量係数Cn は第1実施形態と同様、燃焼サイクルを経る毎に減少する。すなわち、2回目以降の燃焼サイクルでは、減量係数Cn は2回目の燃焼サイクルで最大値となり、それよりも後の燃焼サイクルでは、後になるに従い一定の比率(減衰率K1 )で小さくなっていき(ステップ150)、最終的に「0」になる(ステップ160)。
こうした減量係数Cn の減量補正により、初回の燃焼サイクルでの燃焼未寄与燃料F1が2回目以降の燃焼サイクルでの燃焼に及ぼす影響を考慮しない場合(図3参照)に比べ、上記減量係数Cn に対応する減少量(図6において二点鎖線の枠で示す箇所)だけ増量補正量が少なくなる。
従って、輸送遅れ燃焼期間では、現燃焼サイクルで燃料噴射弁32から噴射される燃料と、初回の燃焼サイクルでの燃焼未寄与燃料F1の一部とが併せて燃焼室14に輸送されて燃焼に供される。この燃焼に供される燃料の量は、初回の燃焼サイクルでの燃焼未寄与燃料F1 が2回目以降の燃焼サイクルに及ぼす影響がないとした場合の目標噴射量tau (図3参照)に近い値となる。そして、上記のようにして、2回目以降の燃焼サイクルで増量補正量が減少されることにより、空燃比は図13において二点鎖線で示すように目標空燃比に収束していく。混合気の空燃比が過渡にリーンになる現象が起こりにくく、従って燃焼が適正に行われず排気エミッションが悪化する不具合は起こりにくい。
<燃焼状態の悪化が検出される場合>
正規の燃料よりも揮発性に劣る粗悪燃料が使用されたり、燃料噴射弁32から目標噴射量tau に相当する量の燃料が噴射されなかったりした場合には、初回の燃焼サイクルにおいて、燃焼室14に燃焼に必要な量の燃料が供給されずに燃焼が適正に行われないことがある。この場合、空燃比は、図13において破線で示すように、燃焼状態の悪化が検出されない場合ほどリッチにならない。そのため、この空燃比に基づき燃焼状態の悪化が検出される(ステップ170:YES)。
正規の燃料よりも揮発性に劣る粗悪燃料が使用されたり、燃料噴射弁32から目標噴射量tau に相当する量の燃料が噴射されなかったりした場合には、初回の燃焼サイクルにおいて、燃焼室14に燃焼に必要な量の燃料が供給されずに燃焼が適正に行われないことがある。この場合、空燃比は、図13において破線で示すように、燃焼状態の悪化が検出されない場合ほどリッチにならない。そのため、この空燃比に基づき燃焼状態の悪化が検出される(ステップ170:YES)。
このとき、仮に、上述した燃焼状態の悪化が検出されない場合と同様にステップ150の処理が行われると、初回の燃焼サイクルにおける混合気が完爆する前に、燃焼室14に供給される燃料の不足分が考慮されないまま増量補正量が過剰に減少される(図14の二点鎖線参照)。この減少により、2回目以降の燃焼サイクルにおいて、混合気の空燃比が目標空燃比に対し過渡にリーンになって燃焼が適正に行われず排気エミッションが悪化するおそれがある(図13の破線参照)。
しかし、第4実施形態では、燃焼状態の悪化が検出されると、上記ステップ150に代わるステップ180の処理が行われる。ステップ180では、減量係数Cn に対し上記減衰率K1 に加え、「0≦a<1」の関係を満たす悪化時補正係数aが乗算され、その乗算結果が現制御周期での減量係数Cn とされる。このようにして、減量係数Cn は燃焼状態の悪化が検出されないときよりも小さくされる。
その結果、2回目以降の燃焼サイクルでは、減量係数Cn は2回目の燃焼サイクルで最大値となり、それよりも後の燃焼サイクルでは、後になるに従い一定の比率(a×K1 )で小さくなっていき(ステップ180)、最終的に「0」になる(ステップ160)。この比率は、上記燃焼状態の悪化が検出されない場合の比率(K1 )よりも悪化時補正係数aが乗算される分小さくなる。
このように燃焼状態の悪化が検出されたときの減量係数Cn が、目標噴射量tau の算出に用いられる補正係数krichaddに反映されることで、増量補正量の減少量が、燃焼サイクル毎に一定割合ずつ減少させられる。そして、その減少後の値が、燃焼状態の悪化が検出されたときの増量補正量の減少量として用いられて、減少度合いが小さくされる。
燃焼状態の悪化が検出されないときには、増量補正量に対する減少量が図14における二点鎖線の枠で示されるところ、燃焼状態の悪化が検出されるときには、上記のように減量係数Cn が小さくされることで同枠中、網掛けされた箇所の分、減少量が少なくなる。燃焼状態の悪化が検出されたときの減少量は、二点鎖線の枠中、網掛けされた箇所を除いた空白部分となる。減少量が少なくなる分、この減少量を反映した後の増量補正量及び目標噴射量tau は、燃焼状態の悪化が検出されないときよりも多くなる。
このようにして、燃焼状態の悪化が検出されないときに行われる処理に対し、燃焼室14に供給される燃料の不足分を加味した態様で減少度合いを小さくする処理が行われ、燃焼サイクル毎の増量補正量の減少度合いが、燃焼状態の悪化が検出されないときよりも小さくされて、燃焼室14に供給される燃料の不足分が補われる。
従って、燃焼室14への燃料の供給不足が原因で燃焼状態が悪化しているときに、増量補正量が過剰に減少されて混合気の空燃比が過度にリーンになる現象が起こりにくくなる。その結果、空燃比は図13において実線で示すように、燃焼状態の悪化が検出されない場合に対し若干の遅れは生ずるものの、燃焼状態の悪化が検出されない場合と同様にリッチになった後に、目標空燃比に収束する。
従って、第4実施形態によれば、第1実施形態における上記(1)〜(5)の効果に加え、次の効果が得られる。
(13)初回の燃焼サイクルにおける燃焼状態を検出し(ステップ170)、燃焼状態の悪化が検出されないときには、燃焼サイクルを経る毎に増量補正量の減少度合いを小さくする処理を行う(ステップ150)。燃焼状態の悪化が検出されると、検出されないときに行われる処理に対し、燃焼室14に供給される燃料の不足分を加味した態様で減少度合いを小さくする処理を行うようにしている(ステップ180)。
(13)初回の燃焼サイクルにおける燃焼状態を検出し(ステップ170)、燃焼状態の悪化が検出されないときには、燃焼サイクルを経る毎に増量補正量の減少度合いを小さくする処理を行う(ステップ150)。燃焼状態の悪化が検出されると、検出されないときに行われる処理に対し、燃焼室14に供給される燃料の不足分を加味した態様で減少度合いを小さくする処理を行うようにしている(ステップ180)。
このため、機関始動時の燃焼サイクルにおいて、想定した量の燃焼未寄与燃料が噴射燃料に加わらなかったり、燃料噴射弁32から目標噴射量tau に対応する量の燃料が噴射されなかったりしても、増量補正量が過剰に減少されて混合気の空燃比が過度にリーンになる現象を起こりにくくすることができる。その結果、燃焼が適正に行われず排気エミッションが悪化する不具合を抑制することができる。
(14)上記(13)における燃料の不足分を加味した態様で減少度合いを小さくする処理として、各燃焼サイクルについての増量補正量の減少度合いを、燃焼状態の悪化が検出されないときよりも小さくして、増量補正量が過剰に減少されないようにしている(ステップ180)。こうして減少度合い(減少量)を小さくすることで、燃焼室14に供給される燃料の不足分を補い、増量補正量が過剰に減少されるのを抑制することができる。これに伴い混合気の空燃比が過度にリーンになる現象を起こりにくくし、上記(13)の効果を確実なものとすることができる。
(15)燃焼状態の悪化が検出されると、減量係数Cn に悪化時補正係数a(0≦a≦)を乗算することにより、同悪化が検出されないときに用いられる増量補正量の減少量を、燃焼サイクル毎に一定割合ずつ減少させる(ステップ180)。そして、その減少後の値を、燃焼状態の悪化が検出されたときの増量補正量の減少量として用い、減少度合いを小さくするようにしている。このため、燃焼サイクル毎の増量補正量の減少度合いを、燃焼状態の悪化が検出されないときよりも小さくして、燃焼室14に供給される燃料の不足分を補うことができる。
(16)初回の燃焼サイクルにおける混合気の空燃比は、燃焼に必要な量の燃料が燃焼室14に供給されない場合と供給された場合とで異なる。このような空燃比の差異に基づき、必要量の燃料が供給されたときの空燃比から所定値γを設定し、初回の燃焼サイクルでの空燃比と所定値γとを比較している。そのため、比較結果に基づき燃焼状態の悪化の有無を検出することができる。
なお、本発明は次に示す別の実施形態に具体化することができる。
・前記第1、第2及び第4実施形態において、減量係数Cn の初期値C0 として、前記可変値に代え、エンジン11の運転状態(エンジン水温等)に拘わらず一定の値を用いてもよい。
・前記第1、第2及び第4実施形態において、減量係数Cn の初期値C0 として、前記可変値に代え、エンジン11の運転状態(エンジン水温等)に拘わらず一定の値を用いてもよい。
・前記第1、第2及び第4実施形態における減衰率K1 、第3実施形態における分配率K2 の少なくとも一方として、エンジン11の運転状態、例えばエンジン水温等のエンジン11の温度に応じて変化する値(可変値)を用いてもよい。
・前記各実施形態ではエンジン11の温度としてエンジン水温を用いたが、これに代えて、エンジンオイルの温度(油温)や吸入空気の温度(吸気温)を用いてもよい。
・第3実施形態において、初回の燃焼サイクルでの燃焼未寄与燃料F1 が、その直後の燃焼サイクル、例えば、2回目の燃焼サイクルで、それ以降の燃焼サイクルに比して特に多く燃焼される場合が起こり得る。この場合には、2回目の燃焼サイクルにおいて、その後の燃焼サイクルよりも大きな分配率K2 を用いて減少量Fd を算出するようにしてもよい。
・第3実施形態において、初回の燃焼サイクルでの燃焼未寄与燃料F1 が、その直後の燃焼サイクル、例えば、2回目の燃焼サイクルで、それ以降の燃焼サイクルに比して特に多く燃焼される場合が起こり得る。この場合には、2回目の燃焼サイクルにおいて、その後の燃焼サイクルよりも大きな分配率K2 を用いて減少量Fd を算出するようにしてもよい。
・第4実施形態において、空燃比に代え機関回転速度(エンジン回転速度)、又はその変化度合い(単位時間当たりの変化量)を用いて燃焼状態の悪化の有無を検出するようにしてもよい。
<エンジン回転速度に基づき燃焼状態の悪化の有無を検出する態様>
燃焼サイクルでの燃焼により得られるエネルギの一部は機関出力軸であるクランクシャフト31の回転上昇に消費される。
燃焼サイクルでの燃焼により得られるエネルギの一部は機関出力軸であるクランクシャフト31の回転上昇に消費される。
一方、初回の燃焼サイクルでは、前述したように初爆に必要な燃料を確保するために目標噴射量tau が特に多く増量補正される。このことから、増量補正後の目標噴射量tau に対応する量の燃料が噴射されれば、燃焼が正常に行われて、同燃焼サイクルでのエンジン回転速度は、図15において二点鎖線で示すように一時的に急激に上昇する。2回目以降の燃焼サイクルでは増量補正量の減少によりエンジン回転速度は低下し、その後一定の値に収束する。
しかし、粗悪燃料が使用されたり、燃圧低下、デポジット等が原因で燃料噴射弁32から目標噴射量tau に相当する量の燃料が噴射されなかったりして、燃焼室14に適正な量の燃料が供給されず燃焼状態が悪化した場合には、燃焼により得られるエネルギが少なく、クランクシャフト31の回転上昇が少ない。図15において破線で示すように、エンジン回転速度は、燃焼状態の悪化が検出されないときほど高くならない。このように初回の燃焼サイクルでのエンジン回転速度は、燃焼状態の悪化が検出されない場合と検出される場合とで大きく異なる。
そこで、この現象を利用して、初回の燃焼サイクルでのエンジン回転速度に基づき、燃焼状態の悪化の有無を検出するようにしてもよい。より具体的には、エンジン回転速度と所定値δ(図15参照)とを比較する。所定値δとしては、初回の燃焼サイクルにおいて燃焼状態の悪化が検出されない場合のエンジン回転速度のピーク値(最大値)をもとに、それよりも若干低回転側の値を設定する。そして、エンジン回転速度が所定値δよりも低いと燃焼状態が悪化している旨の検出を行い、所定値δ以上であると燃焼状態が悪化している旨の検出を行わない。このようにして、初回の燃焼サイクルでの燃焼に応じたエンジン回転速度と所定値δとを比較することで、その比較結果に基づき燃焼状態の悪化の有無を検出することが可能となる。
なお、図15中の実線は、燃焼状態の悪化が検出された場合に、図12におけるステップ180の処理を行ったときのエンジン回転速度の変化を示している。エンジン回転速度は、燃焼状態の悪化が検出されない場合に対し若干の遅れは生ずるものの、一旦上昇し、その後に一定の値に収束する。
<エンジン回転速度の変化度合いに基づき燃焼状態の悪化の有無を検出する態様>
上述したように、初回の燃焼サイクルで燃焼状態の悪化が検出されない場合(図15の二点鎖線参照)と、燃焼状態の悪化が検出される場合(図15の破線参照)とでは、エンジン回転速度の変化(上昇)の度合いが大きく異なる。こうした差異が生ずるのは、初回の燃焼サイクルにおいて、燃焼に必要な量の燃料が燃焼室14に供給されない場合には、燃焼により得られるエネルギが少なく、クランクシャフト31の回転上昇量が少ないからである。
上述したように、初回の燃焼サイクルで燃焼状態の悪化が検出されない場合(図15の二点鎖線参照)と、燃焼状態の悪化が検出される場合(図15の破線参照)とでは、エンジン回転速度の変化(上昇)の度合いが大きく異なる。こうした差異が生ずるのは、初回の燃焼サイクルにおいて、燃焼に必要な量の燃料が燃焼室14に供給されない場合には、燃焼により得られるエネルギが少なく、クランクシャフト31の回転上昇量が少ないからである。
そこで、この現象を利用して、初回の燃焼サイクルを経た後のエンジン回転速度の変化度合いに基づき、燃焼状態の悪化の有無を検出するようにしてもよい。より具体的には、エンジン回転速度の変化度合いと所定値εとを比較する。所定値εとしては、初回の燃焼サイクルにおいて燃焼状態の悪化が検出されない場合のエンジン回転速度の変化度合い(図15中、エンジン回転速度を示す特性線の傾き)をもとに、それよりも若干小さい値を設定する。そして、エンジン回転速度の変化度合いが所定値εよりも小さいと燃焼状態が悪化している旨の検出を行い、所定値ε以上であると燃焼状態が悪化している旨の検出を行わない。このようにして、初回の燃焼サイクルでの燃焼に応じたエンジン回転速度の変化度合いと所定値εとを比較することで、その比較結果に基づき燃焼状態の悪化の有無を検出することが可能となる。
・図12の減量係数算出ルーチンにおけるステップ180の処理内容を、上記第4実施形態とは異なる処理内容に変更してもよい。
減量係数Cn の算出に当たり、第4実施形態では、前回の減量係数Cn に悪化時補正係数aを乗算したが、これに代えて、次式(vii )に従い減衰率K1 に悪化時補正係数bを乗算してもよい。
減量係数Cn の算出に当たり、第4実施形態では、前回の減量係数Cn に悪化時補正係数aを乗算したが、これに代えて、次式(vii )に従い減衰率K1 に悪化時補正係数bを乗算してもよい。
Cn ←Cn (b×K1 ) ・・・(vii )
上記式(vii )中の悪化時補正係数bは、「0≦b<1」の関係を満たす一定の値である。この場合、悪化時補正係数bが乗算される対象が減量係数Cn から減衰率K1 に変わるに過ぎない。そのため、このような変更を行った場合にも第4実施形態と同様の効果が得られる。
上記式(vii )中の悪化時補正係数bは、「0≦b<1」の関係を満たす一定の値である。この場合、悪化時補正係数bが乗算される対象が減量係数Cn から減衰率K1 に変わるに過ぎない。そのため、このような変更を行った場合にも第4実施形態と同様の効果が得られる。
また、減量係数Cn の算出に当たり、第4実施形態の内容(前回の減量係数Cn に悪化時補正係数aを乗算すること)に加え、次式(viii)に従い減衰率K1 に悪化時補正係数bを乗算してもよい。
Cn ←(a×Cn )(b×K1 ) ・・・(viii)
このようにすると、第4実施形態と同様の効果が得られる。また、この場合には、悪化時補正係数bとして「1」よりも大きな値を用いてもよい。このように、減量係数Cn の算出に当たり悪化時補正係数a及び悪化時補正係数bの両方を乗算することにより、減量係数Cn を補正する期間を任意に変更することが可能となる。この変更には、同期間を、燃焼状態の悪化が検出されないときよりも長くすることが含まれる。こうした変更は、次の点で有効であると考えられる。
このようにすると、第4実施形態と同様の効果が得られる。また、この場合には、悪化時補正係数bとして「1」よりも大きな値を用いてもよい。このように、減量係数Cn の算出に当たり悪化時補正係数a及び悪化時補正係数bの両方を乗算することにより、減量係数Cn を補正する期間を任意に変更することが可能となる。この変更には、同期間を、燃焼状態の悪化が検出されないときよりも長くすることが含まれる。こうした変更は、次の点で有効であると考えられる。
燃焼状態の悪化が検出されると、検出されないときよりも増量補正量に対する減少量が少なくされる。これに伴い増量補正量及び目標噴射量tau が多くなり、吸気ポート20の壁面や吸気バルブ25に付着する燃料量も多くなる。これらの付着燃料は後の燃焼サイクルで蒸発し遅れて輸送され、燃焼室14へ供給される燃料量に影響を及ぼすこととなる。これに対しては、上述したように悪化時補正係数bとして適切な値(1<b)を設定し、減量係数Cn (減少量)の補正期間を、燃焼状態の悪化が検出されない場合よりも長くする。こうすることで、上記の影響を小さくすることができる。
・第4実施形態では、第1実施形態における図5の減量係数算出ルーチンについてステップ170,180の処理を加えることとしたが、第2実施形態における図9の減量係数算出ルーチンについても同様に、ステップ140の処理(NO)の後にステップ170,180の処理を加えてもよい。このようにすると、第2実施形態における(6)の効果に加え、第4実施形態における(13)〜(16)の効果が得られる。
・第3実施形態についても、第4実施形態と同様の処理を行ってもよい。この場合、図10の減少量算出ルーチンにおいて、減少量Fd を算出するステップ240の処理について、燃焼状態の悪化が検出された場合に、減少量Fd を少なくする処理を行う。この処理としては、(I)残余燃料量Fr に悪化時補正係数cを乗算する態様、(II)分配率K2 に悪化時補正係数dを乗算する態様、(III )減少量Fd に悪化時補正係数eを乗算する態様、(IV)悪化時補正係数c〜eのうち少なくとも2つを組み合わせて乗算する態様、が挙げられる。このようにしても、第4実施形態と同様の効果が得られる。
・燃料は、エンジン11の温度が低いときよりも高いときの方が蒸発しやすく、燃焼が行われやすくなる。燃焼の悪化時についても同様のことがいえる。そこで、第4実施形態における悪化時補正係数aとして一定の値に代え、エンジン11の温度に応じて変化する値(可変値)を用いてもよい。エンジン11の温度としては、例えばエンジン水温で代用することができる。
図16は、エンジン水温と悪化時補正係数aとの関係を予め規定したマップの一例を示している。このマップでは、悪化時補正係数aはエンジン水温が低いときに大きな値を採り、同エンジン水温が高くなるに従い小さくなるような設定がなされている。そして、水温センサ42によるそのときのエンジン水温を読み込み、そのエンジン水温に対応する悪化時補正係数aを図16のマップから割出し、これをステップ180での減量係数Cn の算出に用いる。
上記のマップを用い、エンジン水温に応じて悪化時補正係数aを変えることにより、エンジン水温に拘わらず一定の値を用いる場合に比べ、増量補正量の減少量をより適切な値にすることができる。燃焼状態の悪化が検出されたときに、空燃比の過度なリーンに起因して燃焼が適正に行われず排気エミッションが悪化する不具合を、より好適に抑制することができる。
なお、上記悪化時補正係数aに限らず他の悪化時補正係数b〜eについても、エンジン11の温度に応じて変化する値(可変値)としてもよい。この場合にも上記と同様の効果が得られる。
・第4実施形態において、燃焼状態の悪化が検出されるとき、又は燃焼状態の悪化度合いが大きいときに悪化時補正係数aを「0」にしてもよい。この場合には、減量係数Cn が「0」となり、減少量が「0」となり、増量補正量が減少されなくなる。そのため、混合気の空燃比が過度にリーンになって燃焼が適正に行われなくなるのを確実に抑制することが可能となる。
また、他の悪化時補正係数b〜eについても、燃焼状態の悪化が検出されるとき、又は燃焼状態の悪化度合いが大きいときに「0」にしてもよい。この場合にも上記と同様の効果が得られる。
・燃焼室14への燃料の供給不足の程度に応じ、初回の燃焼サイクルでの燃焼状態の悪化度合いが異なる。また、2回目以降の燃焼サイクルでの燃焼未寄与燃料の輸送量が異なり、増量補正量についての必要な減少度合いも異なってくる。
そこで、第4実施形態において、燃焼状態の悪化が検出されたときに増量補正量の減少度合いを小さくする処理の内容を、燃焼状態の悪化度合いに応じて変更するようにしてもよい。
この場合、例えば、初回の燃焼サイクルにおいて燃焼状態が悪化した場合に採り得る空燃比を予め複数の領域に分け、その領域毎に悪化度合いを対応させておく。この対応付けに際しては、空燃比についてリーン側の領域になるほど悪化度合いを大きくする。そして、空燃比センサ61によって検出された空燃比がどの領域に属するかを判定し、その属した領域に対応する悪化度合いを用いる。
上記減少度合いを小さくする処理の内容を燃焼状態の悪化度合いに応じて変更するために、例えば図17に示すように、燃焼状態の悪化度合いと悪化時補正係数aとの関係を予め規定したマップを用いてもよい。このマップでは、悪化時補正係数aは悪化度合いが小さいときに大きな値を採り、同悪化度合いが大きくなるに従い小さくなるような設定がなされている。そして、燃焼状態の悪化が検出されたときには、その悪化度合いに対応する悪化時補正係数aを上記図17のマップから割出し、これをステップ180での減量係数Cn の算出に用いる。
上記のマップを用い、燃焼状態の悪化度合いに応じて悪化時補正係数aを変えることにより、悪化度合いに拘わらず悪化時補正係数aとして一定の値を用いる場合とは異なり、どの悪化度合いについても増量補正量の減少度合いを適切な大きさにすることができる。ひいては、空燃比のリーン化に起因する燃焼悪化の抑制効果を、悪化度合いに拘わらず得ることができるようになる。なお、図18は、悪化度合いが大きな場合と小さな場合との各目標噴射量tau を燃焼サイクル毎に示している。各燃焼サイクルについて、左側が悪化度合いの大きな場合の目標噴射量tau を示し、右側が悪化度合いの小さな場合の目標噴射量tau を示している。燃焼状態の悪化度合いの大きい方が減少量が少なくなり、目標噴射量tau が多くなる。
より詳しくは、燃焼状態の悪化が検出されないときには、増量補正量に対する減少量が図18における二点鎖線の枠で示されるところ、燃焼状態の悪化が検出されたときには、減量係数Cn が小さくされることで、同枠中、網掛けされた箇所の分、減少量が少なくなる。燃焼状態の悪化が検出されたときの減少量は、二点鎖線の枠中の空白部分となる。減少量が少なくなる分、この減少量を反映した後の増量補正量及び目標噴射量tau は、燃焼状態の悪化が検出されないときよりも多くなる。
さらに、燃焼状態の悪化度合いが大きいときには小さいときよりも減少量(空白部分)が少なくなる。これに伴い、減少量を反映した後の増量補正量及び目標噴射量tau は、燃焼状態の悪化度合いの大きいときには小さいときよりも多くなる。
なお、他の悪化時補正係数b〜eについても、上記悪化時補正係数aと同様に、燃焼状態の悪化度合いに応じて変更してもよい。この場合にも上記と同様の効果が得られる。
・上記悪化時補正係数a〜eを用いた補正を、3回目の燃焼サイクル以降で実施してもよい。この場合、2回目の燃焼サイクルでは、燃焼状態の悪化の検出状況に拘わらず減少量及び増量補正量が同一となる。
・上記悪化時補正係数a〜eを用いた補正を、3回目の燃焼サイクル以降で実施してもよい。この場合、2回目の燃焼サイクルでは、燃焼状態の悪化の検出状況に拘わらず減少量及び増量補正量が同一となる。
11…ガソリンエンジン(内燃機関)、14…燃焼室、18…吸気通路、32…燃料噴射弁、51…電子制御装置(始動時増量補正手段、補正量変更手段、検出手段)、Cn …減量係数、C0 …減量係数の初期値、F1 …初回の燃焼サイクルでの燃焼未寄与燃料、Fd …減少量、Fr …残余燃料量、K1 …減衰率、K2 …分配率、krichadd…補正係数、tau …目標噴射量、α,β…所定値。
Claims (17)
- 吸気通路に設けた燃料噴射弁から燃料を噴射する内燃機関に適用されるものであり、機関始動開始から所定の増量補正期間にわたり目標噴射量を増量補正するとともに、燃焼サイクルを経る毎に増量補正量を徐々に減少させ、さらに、初回の燃焼サイクルについては、初爆に必要な燃料が燃焼室に供給されるように前記目標噴射量を増量補正する始動時増量補正手段を備える内燃機関の燃料噴射制御装置において、
前記始動時増量補正手段による目標噴射量の増量補正期間のうち、前記初回の燃焼サイクル近傍の所定の期間について、前記始動時増量補正手段による増量補正量を減少させるとともに、その減少度合いを、所定の燃焼サイクル以降、燃焼サイクルを経る毎に小さくする補正量変更手段を備えることを特徴とする内燃機関の燃料噴射制御装置。 - 前記補正量変更手段は、前記初回の燃焼サイクルで噴射され、かつ燃焼に寄与しない燃焼未寄与燃料が最も多く輸送及び燃焼される燃焼サイクルを、前記減少度合いを小さくする期間の始期とする請求項1に記載に記載の内燃機関の燃料噴射制御装置。
- 前記始動時増量補正手段は、補正係数を用いて前記増量補正量を算出するとともに、その補正係数の少なくとも一部に、小さくなるほど前記増量補正量の前記減少度合いを小さくする減量係数を含んでおり、
前記補正量変更手段は、燃焼サイクルを経る毎に前記減量係数を所定の比率で小さくする請求項1又は2に記載の内燃機関の燃料噴射制御装置。 - 前記補正量変更手段は、一定の減衰率を用いて前記減量係数を小さくする請求項3に記載の内燃機関の燃料噴射制御装置。
- 前記補正量変更手段は、前記内燃機関の温度に応じて前記減量係数の初期値を変更する請求項3又は4に記載の内燃機関の燃料噴射制御装置。
- 前記補正量変更手段は、前記減量係数が所定値よりも小さくなる直前の燃焼サイクルを、前記減少度合いを小さくする期間の終期とする請求項3〜5のいずれか1つに記載の内燃機関の燃料噴射制御装置。
- 前記補正量変更手段は、前記始動時増量補正手段による増量補正量から減少量を減算することで同増量補正量を減少させるものであり、
前記補正量変更手段は、初回の燃焼サイクルで噴射され、かつ燃焼に寄与しない燃焼未寄与燃料のうち、前回までの燃焼サイクルで燃焼されずに残っている残余燃料量を所定の分配率にて分配することにより現燃焼サイクルでの減少量を算出するものである請求項1に記載の内燃機関の燃料噴射制御装置。 - 前記補正量変更手段は、前回の燃焼サイクルでの残余燃料量から現燃焼サイクルでの減少量を減算し、その減算結果を次回の燃焼サイクルでの減少量の算出に用いられる残余燃料量として設定する請求項7に記載の内燃機関の燃料噴射制御装置。
- 前記補正量変更手段は、前記残余燃料量が所定値より少なくなる直前の燃焼サイクルを、前記減少度合いを小さくする期間の終期とする請求項7又は8に記載の内燃機関の燃料噴射制御装置。
- 前記補正量変更手段は、前記減少度合いを小さくする期間の全ての燃焼サイクルについて前記分配率として一定の値を用いる請求項7〜9のいずれか1つに記載の内燃機関の燃料噴射制御装置。
- 初回の燃焼サイクルでの燃焼状態を検出する検出手段をさらに備え、
前記補正量変更手段は、前記検出手段により燃焼状態の悪化が検出されないと、前記燃焼サイクルを経る毎に増量補正量の減少度合いを小さくする処理を行う一方、燃焼状態の悪化が検出されると、検出されないときに行われる処理に対し前記燃焼室に供給される燃料の不足分を加味した態様で、前記減少度合いを小さくする処理を行う請求項1〜10のいずれか1つに記載の内燃機関の燃料噴射制御装置。 - 前記補正量変更手段は、前記燃焼状態の悪化が検出されたときに前記減少度合いを小さくする処理の内容を、前記検出手段による燃焼状態の悪化度合いに応じて変更する請求項11に記載の内燃機関の燃料噴射制御装置。
- 前記補正量変更手段は、前記検出手段により燃焼状態の悪化が検出されると、燃焼サイクル毎の増量補正量の減少度合いを、前記燃焼状態の悪化が検出されないときよりも小さくする請求項11又は12に記載の内燃機関の燃料噴射制御装置。
- 前記補正量変更手段は、前記検出手段により燃焼状態の悪化が検出されると、燃焼状態の悪化が検出されないときに前記増量補正量の減少に用いられる減少量を燃焼サイクル毎に一定割合ずつ減少させ、その減少後の値を、同燃焼状態の悪化が検出されたときの増量補正量の減少量として用いて前記減少度合いを小さくする請求項13に記載の内燃機関の燃料噴射制御装置。
- 前記検出手段は、初回の燃焼サイクルでの空燃比に基づき燃焼状態の悪化を検出する請求項11〜14のいずれか1つに記載の内燃機関の燃料噴射制御装置。
- 前記検出手段は、初回の燃焼サイクルでの燃焼に応じた機関回転速度に基づき燃焼状態の悪化を検出する請求項11〜14のいずれか1つに記載の内燃機関の燃料噴射制御装置。
- 前記検出手段は、初回の燃焼サイクルでの燃焼に応じた機関回転速度の変化度合いに基づき燃焼状態の悪化を検出する請求項11〜14のいずれか1つに記載の内燃機関の燃料噴射制御装置。
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