JPH06264791A - 内燃機関の燃料噴射制御装置 - Google Patents

内燃機関の燃料噴射制御装置

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Publication number
JPH06264791A
JPH06264791A JP5053890A JP5389093A JPH06264791A JP H06264791 A JPH06264791 A JP H06264791A JP 5053890 A JP5053890 A JP 5053890A JP 5389093 A JP5389093 A JP 5389093A JP H06264791 A JPH06264791 A JP H06264791A
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JP
Japan
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internal combustion
combustion engine
fuel
amount
fuel injection
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Application number
JP5053890A
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English (en)
Inventor
Katsunori Kawatake
勝則 川竹
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Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
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Publication date
Application filed by Toyota Motor Corp filed Critical Toyota Motor Corp
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  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は良好な始動性と排気エミッションが
要求される内燃機関の噴射制御装置に関し、クランキン
グ時に生じた余剰燃料の影響を相殺して、内燃機関に供
給される燃料の総量を適量に制御することを目的とす
る。 【構成】 クランキング終了後(XSTART=0)所
定時間内(CSTART<T)は(ステップ200〜2
04)始動時増量噴射によって発生した余剰燃料に対す
る補正を行う。基準の燃料噴射時間TAUを算出後(ス
テップ206)、機関回転数Neが目標回転数に達する
まで(ステップ208)TAUを減量補正する。この
際、余剰燃料の気化量をNeの変化率(ΔNe)の緩急
で判断しΔNe≧Aなら急激に減衰(ステップ214,
216)、ΔNe<Aなら緩やかに減衰させる。(ステ
ップ214,216)。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は内燃機関の燃料噴射制御
装置に係り、特に良好な始動性と共に良好な排気エミッ
ションが要求される車載用内燃機関の燃料噴射制御に適
した内燃機関の燃料噴射制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】電子制御式燃料噴射装置を備える内燃機
関では、その始動性を向上させるため、一般にクランキ
ング時において燃料増量補正が行われている。特に冷間
始動時においては、吸気管内に噴射された燃料が十分に
気化されないこと、潤滑油が高粘度であり摩擦損失が大
きいこと等を考慮して、大幅な燃料増量が行われる。
【0003】しかし、このような燃料増量補正が継続的
に実行されると排気エミッションが著しく悪化すること
になる。燃料が増量されている間は当然に内燃機関から
燃料リッチな排気ガスが排出され、かかる燃料リッチな
排気ガス中には、一酸化炭素CO,炭化水素HC等の未
燃成分が多量に含有されているからである。
【0004】一方、内燃機関の運転状態は、十分に暖機
されるまでは不安定な状態が続く。このため、内燃機関
が始動した後即座に燃料の増量補正を終了すると、それ
に伴う混合気の急変に起因してエンジンストールが起き
る場合がある。従って、クランキング時において燃料増
量補正を行う内燃機関においては、始動した内燃機関を
安定した運転状態に維持しながら燃料増量補正を終了さ
せ得ることが要求される。
【0005】実開昭59−35653号公報は、このよ
うな燃料補正制御を実行する燃料噴射制御装置について
開示している。上記公報記載の装置は、クランキング時
において燃料増量を行い、内燃機関が始動した後は、冷
却水の温度上昇に従って燃料増量分を減少させるもので
ある。
【0006】従って、この装置によれば、内燃機関は良
好な始動性の下に始動し、十分な暖機がなされるまでの
間においても安定した運転状態を維持することができ
る。そして、冷却水温の上昇と共に供給される燃料が適
正量へと減量されるため、暖機終了後においては良好な
排気エミッションが確保されることになる。
【0007】また、実開平2−22644号公報は、ク
ランキング時に増量噴射された燃料の一部は吸気管の内
壁に付着して、内燃機関が始動した後に気化することに
着目した燃料噴射量の補正装置を開示している。
【0008】この装置は、始動直後の内燃機関を安定し
た状態に維持するために必要な燃料の一部は、クランキ
ング中に吸気管内に付着した余剰燃料の気化によって賄
われるとして始動後の燃料噴射量を補正するものであ
り、クランキングの実行された時間に応じて始動後の減
量値を設定している。内燃機関の始動後において余剰燃
料の気化によって賄われる燃料の量は、存在する余剰燃
料の量に対応し、余剰燃料の量は増量噴射の行われるク
ランキング時間に応じて増減するからである。
【0009】つまり、この装置によれば、始動直後の内
燃機関を安定した状態に維持するために必要な燃料の量
から、クランキング時間に応じて設定された減量値を低
減した量の燃料が供給されることになり、より一層排気
エミッション及び燃費が向上されることになる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、良好な
始動性を確保するためにクランキング時に供給すべき燃
料の量は必ずしも一定ではない。また、吸気管の温度が
異なれば気化できずに余剰燃料として残留する燃料の割
合も変動し、吸気管内壁に付着する燃料の量も当然にそ
の環境の影響を受ける。
【0011】更には、内燃機関が始動するに際して、そ
の運転状態がクランキング状態からアイドリング状態で
ある始動状態に移行する過程においては、機関回転数の
急激な変化に伴って吸気管内には急激な圧力変化が発生
する。そして、かかる圧力変化は、余剰燃料の気化性を
大幅に変化させることになる。つまり、内燃機関がクラ
ンキング状態から始動状態へと移行する場合、実際には
その過渡期において余剰燃料の気化性は大きく変動して
いることになる。
【0012】従って、上記従来の装置のように、余剰燃
料の気化性が一定であるとする前提の下、クランキング
が実行された期間だけを基準として余剰燃料の量を推定
する構成では、推定された余剰燃料の気化量が大きな誤
差を伴う場合がある。つまり、上記従来の装置は発生す
る余剰燃料に対して大まかな補正はできるものの、実情
に沿った高精度な補正を実現できないという問題を有し
ていた。
【0013】本発明は上述の点に鑑みてなされたもので
あり、内燃機関がクランキング状態から始動状態へと移
行する際の余剰燃料の気化量を精度よく推定することに
より、上記の課題を解決し得る内燃機関の燃料噴射制御
装置を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】図1は、上記の目的を達
成する内燃機関の燃料噴射装置の原理構成図を示す。同
図(A)において始動検出手段1は、内燃機関の始動状
態を検出する。燃料噴射量設定手段2は、内燃機関の始
動時には良好な始動性の確保のために燃料噴射量を増量
補正し、該増量補正された燃料に起因して吸気管内壁に
付着した状態で存在する余剰燃料の影響を相殺するため
内燃機関の始動後における燃料噴射量を減量補正する。
【0015】気化能力検出手段3は、前記余剰燃料の気
化能力を検出する。そして、減量値算出手段4は、該気
化能力検出手段3の検出結果に基づいて、前記内燃機関
の始動後における燃料噴射量の減量値を算出する。
【0016】また、同図(B)に示すように、前記減量
値算出手段4に代えて、気化能力検出手段3の検出結果
に基づいて内燃機関の始動後における燃料噴射量の減量
開始時期を設定する減量開始時期設定手段5を設けても
よい。
【0017】更に、同図(C)に示すように、内燃機関
の始動時における燃料噴射量増量値を検出する始動時増
量値検出手段6と、該始動時増量検出手段6の検出結果
に基づいて、内燃機関の始動後における燃料噴射量の減
量値を設定する減量値設定手段7とを設ける構成として
も効果的である。
【0018】
【作用】図1(A)に示す内燃機関の燃料噴射制御装置
において、前記気化能力検出手段は、内燃機関の吸気管
内壁への余剰燃料の付着量や吸気管内の環境等に応じて
変化する余剰燃料の気化能力を検出する。この気化能力
は、現実に余剰燃料の気化によって発生する気化燃料の
量に対応するため、減量値算出手段4では、余剰燃料に
起因して発生する気化燃料を精度良く相殺し得る減量値
が算出される。
【0019】そして、前記始動検出手段1によって内燃
機関が始動したことが検出されると、前記燃料噴射量設
定手段2は、前記減量値算出手段4によって算出された
減量値を基に、余剰燃料の影響を高精度に相殺し得る燃
料噴射量を、内燃機関に供給すべき燃料噴射量として設
定する。
【0020】図1(B)に示す内燃機関の燃料噴射制御
装置においては、前記気化能力検出手段3によって検出
された余剰燃料の気化性が大きいほど、前記減量開始時
期設定手段5では、減量開始時期を内燃気化始動直後に
設定する。
【0021】従って、気化能力が小さく余剰燃料の影響
が比較的小さい場合に、燃料噴射量設定手段2で設定さ
れる燃料噴射量が始動直後に過少となることがなく、気
化能力が大きく余剰燃料に起因して多量の気化燃料が発
生する場合には、内燃機関の始動直後からその影響を相
殺すべく燃料の減量補正が実行される。
【0022】また、図1(C)に示す内燃機関の燃料噴
射制御装置において、始動時増量値検出手段6は、内燃
機関の始動時における燃料噴射量の増量値を検出する。
この場合において、始動時増量値が多量であれば内燃機
関が始動した際に現存する余剰燃料は多量であると、ま
た始動時増量値が少量であれば余剰燃料は少量であると
予測することができる。
【0023】このため、前記減量値設定手段7では、現
存する余剰燃料の量を精度良く推定して、その推定値に
応じた減量値を設定することにより高精度に余剰燃料の
影響を相殺し得る補正値が設定される。従って、始動検
出手段1によって内燃機関の始動が検出された際には、
燃料噴射量設定手段2では高精度に余剰燃料に起因して
発生する気化燃料を相殺した燃料噴射量が設定される。
【0024】
【実施例】図2は、本発明に係る内燃機関の燃料噴射装
置の一実施例の構成を表す全体図を示す。本実施例装置
を備える内燃機関10のシリンダヘッド11の中央部に
は点火プラグ12が配設されている。そして、内燃機関
10の燃焼室を構成するシリンダ13の外壁には、ウォ
ータジャケット内を流通する冷却水の温度を検出する水
温センサ14が配設されている。
【0025】また内燃機関10の排気孔に連通する排気
管15は、触媒コンバータ16に連通している。この触
媒コンバータ16は、内燃機関10から排出される排気
ガス中に含有されるCOやHC等の未燃成分やNOx等
の酸化物を浄化する作用を有する部材であり、排気ガス
の空燃比が理論空燃比付近に制御されている場合に最も
効率良く排気ガスを浄化する特性を有している。従っ
て、内燃機関に供給する混合気を理論空燃比付近で制御
することができれば、良好な排気エミッションを得るこ
とができることになる。
【0026】一方、内燃機関10の吸気孔には吸気管1
7が連通している。この吸気管17には、内燃機関10
に供給される吸入空気の温度を検出する吸気温センサ1
8、アクセルペダル(図示せず)と連動して吸入空気量
を調整するスロットルバルブ19、及び吸入空気の脈動
を吸収するサージタンク20が設けられている。
【0027】サージタンク20には、その内圧を測定す
るため吸気圧センサ21が設置されている。ここで、吸
気圧センサ21は、スロットルバルブ19の開度が小さ
く吸入空気量が少ない場合は強い負圧を検出する。そし
て、スロットルバルブ19の開度と共に吸入空気量が増
加すると、それにつれて大気圧に近い圧力を検出する。
つまり、吸気圧センサ21が検出するサージタンク20
の内圧は、吸気管17内を流通する空気量の代用特性値
としての意義を有している。
【0028】また、符号22は燃料を吸気管17内に供
給するインジェクタを示す。インジェクタ22には周知
の燃料系統(図示せず)から所定の圧力で燃料が供給さ
れている。そしてこの燃料は、インジェクタ22内を通
って、インジェクタ22の先端に設けられた燃料噴射孔
に導かれる。
【0029】この燃料噴射孔には、後述の電子制御装置
30から供給される駆動信号に応じて開閉する燃料噴射
弁が設けられている。つまり、燃料噴射弁を開閉させる
とそれに応じて燃料噴射孔からは、その開孔時間に応じ
た燃料が間欠的に噴射されることになる。従ってかかる
構成のインジェクタ22によれば、燃料噴射孔の開閉デ
ューティ比を変えることにより、容易に単位時間当たり
の燃料噴射量を変更することができる。
【0030】ディストリビュータ23は図示されないク
ランクシャフトに連動して、各気筒の点火プラグ22に
高電圧の点火信号を分配する。そして、ディストリビュ
ータ23には、クランクシャフトの回転状態を検出する
クランク角センサ24,25が設けられている。
【0031】ここで、クランク角センサ24は、クラン
クシャフトが2回転(内燃機関1サイクル)する間に所
定回数、例えば24回のパルス信号を出力する。また、
クランク角センサ25は、クランクシャフトが2回転す
る間に一回のパルス信号を出力する。そして、電子制御
装置30は、これら両クランク角センサ24,25の出
力信号を組み合わせて、単位時間当たりのクランクシャ
フトの回転数と、クランクシャフトの回転位置とを検出
する。
【0032】また、これらクランク角センサ24,25
の出力信号の他、電子制御装置30には、上記水温セン
サ14,吸気温センサ18,吸気圧センサ21からそれ
ぞれ冷却水温,吸気温,吸入空気量に応じたアナログ信
号が供給されている。そして電子制御装置30は、これ
らの信号を基に理論空燃比を実現し得る燃料噴射量を演
算し、各気筒の吸気工程において、演算された噴射量が
供給されるべくインジェクタ22に駆動信号を供給す
る。
【0033】さらに、電子制御装置30には、図2に示
すようにスタータモータ26またはバッテリ27が接続
され、スタータモータの作動状態、またはスタータモー
タの作動に伴うバッテリ電圧の降下状態についての情報
が供給されている。そして電子制御装置30は、これら
の情報を基に内燃機関10のクランキング開始を検出し
たら、後述の如く本実施例の要部である始動時燃料補正
制御を実行する。
【0034】図3は、本実施例の電子制御装置30の構
成を表すブロック図を示す。以下、同図を参照して、電
子制御装置30の構成について詳細に説明する。尚、電
子制御装置30は後述するプログラムを実行することに
より、前記した始動検出手段1,燃料噴射量設定手段
2,気化能力検出手段3,減量値算出手段4,減量開始
時期設定手段5,始動時増量値検出手段6,減量値設定
手段7を実現する、本実施例の要部である。
【0035】同図に示すように電子制御装置30は、中
央処理装置(CPU)31を中心に構成している。すな
わち、CPU31には、固定データ及び各種プログラム
を格納するリードオンリメモリ(ROM)32、各種デ
ータの読みだし及び書き込みに用いるランダムアクセス
メモリ(RAM)33、及び入出力ポート34〜36
が、共通バス37を介して接続されている。従って、R
OM32,RAM33,入出力ポート34〜36はCP
U31の指令により、それぞれ相互にデータ等の授受が
行われることになる。
【0036】入力ポート34には、取り込んだアナログ
信号をディジタル化するA/D変換器37が接続されて
いる。そしてこのA/D変換器37には、CPU31か
らの指令に基づいて複数の入力信号から1つの信号を選
択して出力するマルチプレクサ38が接続されている。
更に、このマルチプレクサ38には、各センサから供給
される信号を必要に応じて増幅して出力するバッファ3
9〜43が接続されている。
【0037】そして、これらのバッファ39〜43に
は、それぞれスタータモータ26,バッテリ27,水温
センサ14,吸気温センサ18,吸気圧センサ21が接
続される。このため、上記のスタータモータ26や水温
センサ14等の出力信号は、バッファ39〜43で増幅
された後、適当にA/D変換器37に取り込まれ、ディ
ジタル信号として入力ポート34に供給されることにな
る。
【0038】他方の入力ポート35には、入力されるパ
ルス信号を整形して、なまりのない矩形信号に変換する
整形回路44が接続されている。この整形回路44に
は、上記したクランク各センサ23,24が接続されて
いる。従って、入力ポート35には、クランクシャフト
の回転速度に応じた周期で発生する矩形信号(クランク
角センサ24,25の信号)が供給されることになる。
【0039】出力ポート36には、所望の燃料噴射量を
確保すべく演算されたデューティ比を有する2値化信号
が供給される。そしてこの信号は駆動回路45で増幅さ
れ、所定のタイミングで各気筒に配設されているインジ
ェクタ27に供給される。これにより各気筒のインジェ
クタ33からは、燃料噴射信号のパルス幅に応じた燃料
が供給される。
【0040】かかる構成の電子制御装置30において
は、ROM32内に各種の処理を実現するためのプログ
ラム等が格納されている。すなわち本実施例装置におい
ては、後述の図5に示すクランキング時における噴射量
を演算する始動時ルーチンのプログラムや図6,図7,
図9,図10に示す始動後補正ルーチンの他、定常時に
おける燃料噴射量を演算する基本噴射量演算ルーチン、
加えてこれらのルーチン処理を実行する際に使用するマ
ップ等が格納されている。
【0041】以下、図4を参照して、本実施例のROM
32内に格納されているルーチン処理の内容について簡
単に説明する。
【0042】近年では良好なドライバビリティや優れた
燃費を確保することを目的として、内燃機関に供給する
燃料噴射量をその運転状態に合わせて逐次演算する構成
が広く用いられている。そこで、本実施例装置は特に内
燃機関の始動特性を向上させることを主目的として、図
4に示すように基本噴射量、冷却水温補正WL、始動後
要求量ASE1,ASE2、始動時噴射量TAUST,
及び始動後補正噴射量を演算し、それらを適宜組み合わ
せて必要な燃料噴射量を演算することとしている。
【0043】ここで基本噴射量とは、内燃機関10が十
分暖機された状態で定常走行する際の噴射量のことであ
り、基本噴射量ルーチンにより、吸気温センサ18及び
吸気圧センサ21の検出値を基に求めた吸入空気量に対
して、理論空燃比を実現し得る値として演算される。
【0044】また、冷却水温補正WLは、内燃機関10
が十分に暖機されていないことによる燃料の気化性の悪
化を補って、良好なドライバビリティを確保するために
行う補正である。そして、このWL補正量は、例えば冷
却水温と補正量との関係から予め設定されたマップを参
照することにより求めることができる。
【0045】始動後要求量ASE1,ASE2とは、始
動直後の内燃機関を安定した状態に維持するために必要
な燃料の量を意味する。始動直後の内燃機関10は運転
状態が不安定であり、エンジンストールを起こしやいす
いことから要求されるものである。ここで、本実施例に
おける始動後要求量は、経験値を基に設定したマップを
参照して求める構成を採用している。尚、そのマップ
は、始動後2sec 程度の比較的短時間のみについて定め
たASE1と、始動後20sec 程度の比較的長期にわた
る機関について定めたASE2とに分けて設定している
始動時噴射量TAUSTは、内燃機関10がまだ始動し
ていないクランキング時において供給される燃料噴射量
であり、冷却水温と機関回転数とで予め設定したマップ
を参照することにより求める。尚、1回目のTAUST
の演算は水温センサ14により検出した冷却水温にのみ
基づいて行う。1回目の演算を行う際には、他に参照す
べき物理量が存在しないからである。
【0046】ところで、内燃機関10のクランキング時
において、演算されたTAUSTに対応して噴射された
燃料は、クランキング中に全てが気化するわけではな
い。つまり、クランキング中に噴射された燃料の一部
は、まだ低温の吸気管17内で十分な気化性を発揮する
ことができず、内燃機関10が始動を開始した直後は、
吸気管17内に余剰燃料として存在することになる。
【0047】そして、この余剰燃料は内燃機関10の始
動後に気化される。このため、内燃機関10が始動した
後しばらくの間は、インジェクタ22から噴射される量
と余剰燃料から気化される量とを加えた量が内燃機関1
0に供給される燃料の総量となる。
【0048】このため、上記したASE1,ASE2に
より演算される始動後要求量を、インジェクタ22から
供給してしまうと、余剰燃料から気化されて内燃機関1
0に流入する分だけ過剰な燃料が供給されるこになる。
そこで、本実施例においては、内燃機関10の始動後し
ばらくの間は、内燃機関10に供給される燃料の総量が
始動後要求量となるように補正した噴射量(図4中、破
線で示す曲線)をインジェクタ22から噴射する構成と
している。
【0049】ところで、吸気管17内壁に付着していた
余剰燃料の気化性は、吸気管17内の圧力により大きく
変動する。また、吸気管17内の圧力は内燃機関10の
運転状態により大きく変動し、特にクランキング状態か
ら始動状態へと移行する際にその気化性は大きく変化す
る。
【0050】つまり、クランキング中に蓄えられた余剰
燃料は、内燃機関10が始動した後一律の蒸発速度で気
化するのではなく、機関回転数が急激に上昇する際に減
圧沸騰により一気に気化し、その後機関回転数が安定す
ると、吸気管17内の圧力の安定と相まって気化量も徐
々に減少することになる。このため内燃機関10に供給
される燃料の総量を、精度よく始動後要求量に近づける
ためには、始動後補正噴射量を図4中に破線で示す曲線
の如く制御することが必要となる。
【0051】以下、本実施例装置において、内燃機関1
0始動直後に適正な燃料噴射量を確保するために実行す
る始動後燃料補正の処理について説明する。
【0052】図5は、始動後燃料補正の前提として電子
制御装置30が実行する始動時ルーチン一例のフローチ
ャートを示す。このルーチンは、前記した始動検出手段
1を実現する処理として内燃機関10の始動状態の検出
を行うと共に、内燃機関10を良好に始動させ得る始動
時燃料噴射量の算出を行う。尚、本ルーチンは、クラン
クシャフトが360°回転する度に起動されるルーチン
である。
【0053】所定のタイミングで図5に示すルーチンが
起動すると、先ずステップ100においてスタータモー
タ26がオンとなっているかを見る。この場合、スター
タモータ26がオンとなっているか否かは、上記したよ
うに直接スタータモータ26の状態を検出する他、バッ
テリ27の電圧によっても検出することができる。
【0054】ここで、スタータモータ26がオンとなっ
ていないと判別された場合、すなわち内燃機関10がク
ランキング状態でないと判別された場合は、本ルーチン
による処理を行う必要はなく、そのまま今回の処理を終
了する。そして、上記ステップ100においてスタータ
モータ26がオンであると判別された場合は、良好な始
動性を確保し得る始動時燃料噴射量TAUSTを演算す
るためステップ102以降の処理を行うべく次のステッ
プへと進む。
【0055】ステップ102では、内燃機関10がクラ
ンキング状態であることを表すフラグXSTARTに
“1”を立てると共に、後述の補正係数KTAU及び始
動後カウンタCSTARTを、それぞれ“1.0”及び
“0”にイニシャライズする。
【0056】ステップ104では、TAUSTの演算を
行う。すなわち、今回の処理がスタータモータ26がオ
ンとなった後初回の処理であれば内燃機関の冷却水温に
基づき、それ以外であれば冷却水温及び機関回転数Ne
に基づいて、予め設定されたマップを参照して適切なT
AUSTを算出する。そして、TAUSTの算出が完了
したら、ステップ106へ進みその値を燃料噴射量TA
Uとして記憶する。
【0057】以後、ステップ108において機関回転数
Neが400rpm 以上であるか否かを判別し、Ne≧4
00rpm が不成立の場合は、まだ内燃機関10はクラン
キング状態であると判断して繰り返し上記ステップ10
0〜108の処理を実行する。
【0058】そして、内燃機関10に初爆が生じ、機関
回転数Ne≧400rpm が成立するに至った場合は、ク
ランキングが終了したと判断して移行したと判断してス
テップ110へ進む。以下、ステップ110において内
燃機関10がクランキング中であることを表すXSTA
RTフラグを“0”として本ルーチンを終了する。
【0059】尚、クランキングが終了すると、スタータ
モータ26は通常オフとされるため、以後本ルーチンが
起動した際には、上記ステップ100においてスタータ
モータ26がオフであると判別され、繰り返しステップ
110を実行して処理が終了されることなる。
【0060】図6は、本実施例において前記した燃料噴
射量設定手段2,気化能力検出手段3,減量値算出手段
4を実現する始動後ルーチンの第1実施例のフローチャ
ートを示す。尚、本ルーチンも、上記始動時ルーチンと
同様に360°CA毎に起動されるルーチンである。
【0061】図6に示すように本ルーチンが起動する
と、先ずステップ200においてXSTARTフラグを
見る。上記したようにXSTARTフラグは内燃機関1
0がクランキング状態であるか否かを表すフラグであ
り、XSTART=“0”でない場合、すなわち未だク
ランキングが続行されている場合は、本ルーチンを実行
する必要がないからである。
【0062】このため、上記ステップ200においてX
START=“0”が不成立であると判別された場合
は、そのまま今回の処理を終了し、XSTART=
“0”が成立した場合にのみ次のステップ202へ進
む。
【0063】ステップ202では、内燃機関のクランキ
ングが終了した後の経過時間をカウントするカウンタC
STARTの値が、まだ所定時間Tに達していないかを
判別する。本ルーチンは、クランキング中に増量噴射さ
れた燃料に起因して生じる余剰燃料が、クランキング終
了直後における内燃機関10の特性に与える影響を抑制
するための処理であり、クランキングが終了した後所定
の時間が経過した場合はもはや実行する必要のないルー
チンだからである。
【0064】この場合において、今回の処理がクランキ
ング終了後始めての処理であるとすれば、CSTART
は上記した始動時ルーチンによるイニシャライズにより
“0”とされているはずであり、CSTART<Tが成
立すると判別され、ステップ204へ進む。
【0065】ステップ204は、カウンタCSTART
をインクリメントするステップである。従って、以後、
本ルーチンが起動されると、上記ステップ202におい
てCSTART<Tが不成立とされるまで、本ステップ
が実行される毎にCSTARTの値が増加することとな
る。そして、CSTARTがTに達したと判別された場
合は、本ルーチンによる処理を実行する必要が消滅した
としてそのまま処理を終了する。
【0066】カウンタCSTARTのインクリメントが
終了した場合は、ステップ206において、始動後の内
燃機関10を安定した状態に維持するために要求される
燃料を噴射し得る燃料噴射時間TAUを演算する。つま
り、冷却水温度や機関回転数Ne等に基づいて、上記図
4に示した始動後要求量SAE1,SAE2を満たす燃
料を内燃機関10に供給し得るTAUを演算する。
【0067】そして、始動後TAUの計算が終了した
ら、余剰燃料の影響を相殺する補正を実行するためステ
ップ208へと進む。このステップ208では、機関回
転数Neが所定の目標値に達しているか否かの判別を行
う。ここで、判別の基準となる所定の目標値は、内燃機
関10の始動過程において吸気管17内の圧力変動が安
定した状態となる機関回転数が設定されている。
【0068】つまり、上記ステップ208においてNe
≧目標値が不成立と判別される領域では、Neの急上昇
に伴って吸気管17内の圧力が急降下していることが予
測される。また、Ne≧目標値が成立すると判別された
場合は、すでにNeの上昇が収まって吸気管17内の圧
力も所定の負圧で安定していると考えられる。
【0069】ところで、上記したようにNeの変動と余
剰燃料の気化量との間には密接な関係があり、Neが急
上昇過程にある場合は余剰燃料は減圧沸騰により多量に
気化し、Neの上昇が収束した状態ではその気化量も減
少する。従って、クランキング終了後における余剰燃料
の気化量は、Ne=目標値となる時点でほぼ最大とな
り、その後負圧が安定することに起因して徐々に減少す
ることになる。
【0070】このため、内燃機関10に供給される燃料
の総量を始動後要求量とするための理想的な始動後補正
噴射量は、図4に示すように内燃機関10の始動直後に
急激に減少し、その後機関回転数Neが目標値に達する
時刻t2 付近で最小値となり、次いで徐々に始動後要求
量の値に近づく変動を示すことになる。
【0071】そこで、本実施例においては、ステップ2
08においてNe≧目標値が不成立であると判別された
場合は、始動後補正噴射量を最小値へ向けて減少させる
処理(以下、ステップ210〜216)を行い、Ne≧
目標値成立と判別された場合は始動後補正噴射量を始動
後要求量へ向けて増量させる処理(ステップ216〜2
20)を行うこととした。尚、この場合においてステッ
プ210は前記した気化能力検出手段3に相当し、ステ
ップ212,214は前記した減量値算出手段4に相当
する。
【0072】上記した理由により、ステップ208にお
いてNeが目標値に達していないと判別された場合は、
始動後補正噴射量を減少させるためステップ210へ進
む。そして、ステップ210では、機関回転数の変化量
ΔNeが所定の判定値A以上であるか否かを判別する。
【0073】ΔNe≧Aである場合は、排気管内の圧力
が急激に変化しており、余剰燃料の気化量も急激に増量
することが予測されるのに対して、ΔNe≧Aが不成立
である場合は、余剰燃料の気化量の増加が比較的緩やか
に行われることが予測されるからである。
【0074】そして、上記ステップ210においてΔN
e≧Aが不成立と判別された場合はステップ212へ、
またΔNe≧A成立と判別された場合はステップ214
へ進み、それぞれ補正係数KTAUにαまたはβを乗算
して、その乗算結果を新たなKTAUとして記憶する。
尚、この場合においてαとβは、β<α<1を満たす所
定の定数である。
【0075】従って、Neの上昇速度が緩やかでΔNe
≧Aが不成立となる場合、KTAUは減衰率αで緩やか
に減衰する。また、Neの上昇速度が急でΔNe≧Aが
成立する場合は、減衰率βで急激に減衰することにな
る。ところで、このようにして算出した補正係数KTA
Uは、始動後要求量として算出されたTAUとステップ
216において乗算されて、始動後補正噴射量としての
TAUを確定するために用いられる係数である。尚、こ
のステップ216は前記した燃料噴射量設定手段2に相
当する。
【0076】このため、ある瞬間においてΔNe≧Aが
成立することが検出されると、その後に演算される始動
後補正噴射量TAUは大幅に減衰した値となる。そし
て、このよう演算されたTAUが仮に過少であったとす
ると、内燃機関10に供給される燃料の総量が始動後要
求量に満たなくなり必然的にΔNeが小さくなり、次回
の処理時にはKTAUの減衰率が抑制される。
【0077】一方、内燃機関10に供給される燃料が過
剰で、余剰燃料からの気化量と合わせると始動後要求量
を越えてしまう場合は、燃料リッチな混合気の下ΔNe
が大きくなり、KTAUがより大きく減衰されることに
なる。以後、上記ステップ150においてNe≧目標値
となるまで上記の処理が繰り返し実行される。
【0078】このため、本実施例によれば、内燃機関1
0が始動した後機関回転数Neが安定するまでの間は、
ΔNeが判定値A付近の値となるように始動後補正噴射
量の減衰率が適宜変化することになる。この結果、内燃
機関10に供給される燃料の総量は常に始動後要求量付
近に精度良く制御されることになり、必要最小限の燃料
による良好なドライバビリティの確保が可能となる。
【0079】そして、ステップ208においてNe≧目
標値が達成すると判別された場合は、減衰させた始動後
補正噴射量を始動後要求量に近づけるための処理を行う
ためステップ218へ進み、上記ステップ212,21
4において減衰させた補正係数KTAUが1以上である
か否かを判別する。
【0080】ここで、今回の処理がNe≧目標値の成立
した直後に行われたとすると、KTAU≧1が不成立と
判別されることになりステップ220が実行されること
になる。ステップ220では、1<γなる定数γをKT
AUに乗算してKTAUの復元を図る。そして新たなK
TAUを用いて上記ステップ216を実行して今回の処
理を終了する。
【0081】以後、ステップ218においてKTAU≧
1が成立すると判別されるまで上記の処理が繰り返し実
行される。従って、Ne≧目標値が成立した後の始動後
補正噴射量は、始動後要求量と同じ(KTAU=1)に
なるまで一定の増加率γで増加することになる。このた
め、内燃機関10が始動状態に移行して機関回転数Ne
が安定した後においては、余剰燃料の気化量が減少する
ことに対応して始動後補正噴射量が徐々に増加すること
になる。
【0082】上記したように本実施例装置によれば、始
動後の内燃機関10に供給される燃料の総量を、精度良
く始動後要求量に合わせることができる。従って、内燃
機関10の始動直後において、必要最小限の燃料で良好
なドライバビリティを確保することが可能となり、より
一層の燃費低減及び排気エミッションの向上が実現可能
となる。
【0083】図7は、本実施例の電子制御装置30が実
行する始動後補正ルーチンの第2実施例のフローチャー
トを示す。尚、本ルーチンは、吸気管17内壁に付着し
た余剰燃料の気化性が内燃機関10の温度によって異な
ることに着目して、水温センサ14の検出値を基に始動
後補正噴射量を演算する点に特徴を有している。
【0084】本実施例のルーチンが起動すると、上記し
た第1実施例の場合と同様に、XSTARTフラグに基
づくクランキング状態の判別(ステップ300)、クラ
ンキング終了後の経過時間CSTART<Tの判別(ス
テップ302)、カウンタCSTARTのインクリメン
ト(ステップ304)及び始動後要求量TAUの計算
(ステップ306)を実行する。
【0085】そして、今回の処理がクランキング終了後
所定の時間内に起動されたものである場合は、上記した
ステップ300〜306を経てステップ308が実行さ
れることになる。ステップ308は、本ルーチンの特徴
部であり、余剰燃料の気化性を判断するために水温セン
サ14の出力信号に基づいて冷却水温THWを読み込む
ステップである。
【0086】このようにしてTHWを読み込んだら、続
いてステップ310へ進みNe≧目標値の判別を行う。
尚、この目標値は、上記した第1実施例中、ステップ2
08で用いた目標値と同様に、吸気管負圧が安定した状
態となる機関回転数に設定されている。
【0087】ここで、内燃機関10のクランキングが終
了した直後であってNeがまだ目標値に達していない場
合は(Ne≧目標値が不成立)、上記したように余剰燃
料が多量に気化していると考えられるため、ステップ3
12へ進んで燃料噴射量の減衰係数αを算出する。
【0088】この場合において本実施例では、内燃機関
10の冷却水温THWと減衰係数αとの関係を予めマッ
プとして設定し、そのマップをTHWで参照することに
よりαを算出する構成としている。尚、本実施例におい
ては、上記したステップ308及びこのステップ312
が前記した気化能力検出手段3を構成している。
【0089】ところで、吸気管17内壁に付着した余剰
燃料の気化性は、吸気管17の温度、すなわち内燃機関
10の温度により変動し、内燃機関10が高温であるほ
ど良好な気化性が発揮される。従って、内燃機関10が
クランキング状態から始動状態へと移行する際の余剰燃
料の気化量も、内燃機関10が高温であるほど急激に変
化することが予想される。
【0090】従って、クランキング状態から始動状態へ
の移行過程における始動後補正噴射量は、内燃機関10
が高温であるほど急激に減衰させる必要がある。そこ
で、本実施例においては、かかる燃料の気化性の特性に
鑑み、ステップ312で参照するマップとしては図8
(A)に示すように冷却水温THWが高いほど減衰係数
αの値が小さく、THWが低いほどαが1に近づくマッ
プを設定している。
【0091】このため、仮に内燃機関10の始動時にお
いてTHWが比較的高温であったとすると、ステップ3
12においてαは比較的小さな値として設定されること
になり、ステップ314において演算・記憶される新た
な補正係数KTAUは急激な減衰を示すことになる。こ
れに対して、始動時におけるTHWが比較的低温である
場合は、αが1に近い値として設定されるため、KTA
Uは緩やかに減衰することになる。
【0092】従って、ステップ316において演算され
る始動後補正噴射量としてのTAUは、Neが目標値に
達するまでの間THWに応じた減衰率で減衰することと
なり、余剰燃料の気化に起因する燃料が適切に補正され
ることになる。
【0093】更に、本実施例においては、ステップ31
0でNe≧目標値が成立すると判別された場合、KTA
U≧1の判別を行うステップ318を経てステップ32
0に至り、図8(B)に示すマップをTHWで参照して
増加率γを算出する。ここで、図8(B)に示すマップ
は、THWが高温であるほど余剰燃料の気化量が急激に
変化することに対応したもので、THWが高温になるに
つれて増加率γが大きな値となるべく設定されている。
【0094】従って、ステップ322において演算・記
憶される新たなKTAUは、始動時におけるTHWが高
温であるほど急激に増加し、以後KTAU≧1となるま
で上記の処理が繰り返されるごとに、ステップ316に
おいて演算される始動後補正噴射量としてのTAUは急
激に始動後要求量として演算された値へと復元すること
になる。
【0095】このように、本実施例のルーチンにおいて
は、余剰燃料の気化性の温度依存性を考慮して、内燃機
関10の冷却水温THWに基づいて始動後補正噴射量を
演算している。このため、始動時における内燃機関10
の温度状態によらず、始動後補正噴射量の減衰または増
長特性を余剰燃料の気化特性に精度良く整合させること
が可能となり、内燃機関10に供給される燃料の総量を
精度よく始動後要求量付近に制御することが可能とな
る。
【0096】図9は、本実施例の電子制御装置30が実
行する始動後補正ルーチンの第3実施例のローチャート
を示す。尚、本ルーチンも、上記第1及び第2実施例と
同様に360°CA毎に起動されるルーチンである。
【0097】また、ルーチン起動後初期に実行する処理
も上記した第1実施例の場合と同様であり、先ずXST
ARTフラグの判別を実行した後(ステップ400)、
順次CSTART<Tの判別(ステップ402)及びイ
ンクリメント(ステップ404)、始動後要求量TAU
の計算(ステップ406)を経てNe≧目標値の判別
(ステップ408)を実行する。
【0098】そしてステップ408で、未だNe≧目標
値は成立していないと判別された場合は、前記した気化
能力検出手段3を実現すべく機関回転数ΔNeと所定の
判定値Aとの比較を行い(ステップ410)、第1実施
例の場合と同様にΔNe≧Aが成立する場合は、余剰燃
料が高い気化性を発揮していると判断してステップ41
2へ進む。またΔNe≧Aが不成立である場合は、余剰
燃料は比較的低い気化性を示していると判断してステッ
プ414へと進む。
【0099】ここで、ステップ412及び414は、前
記した減量開始時期設定手段5に相当し、共に始動後減
量補正の開始時期を設定するステップであり、それぞれ
カウンタCSTARTの値が所定値xまたはyに達した
時点で減量補正を開始するように構成されている。すな
わち、ステップ412でCSTART>xが、ステップ
414でCSTART>yがまだ成立しないと判別され
た場合はTAUの減量補正を行うことなくそのまま処理
を終了する。
【0100】一方、それらの関係が成立すると判別され
た場合は、共にステップ416へ進み、1<αなる所定
の減衰係数αを用いて補正係数KTAUの演算を行い、
続くステップ418でその新たなKTAUを用いて始動
後燃料噴射量TAUを演算して今回の処理を終了する。
そして、一旦KTAUの減衰補正が開始されると、以後
ステップ408においてNe≧目標値が成立すると判別
されるまで本ルーチンの起動毎にKTAUが減衰し、そ
の結果燃料噴射量TAUも減衰を続けることとなる。
【0101】ところで、上記ステップ412,414に
導入されたx,yなる判定値は、x<yの関係を有する
所定の値であり、例えばx=3、y=5程度に設定する
ことにより良好な減量補正が実行可能となる。この場合
は上記ステップ410において余剰燃料が高い気化性を
発揮していると判別されると、CSTARTが4となっ
た時点で燃料減量補正が開始され、余剰燃料の気化性が
比較的低水準であると判別された場合はCSTARTが
6となるまで減量補正が開始されない。
【0102】このため、クランキング終了後において実
行される燃料の減量補正が、実際に余剰燃料に起因して
発生する気化燃料の量に応じて実行されることとなり、
余剰燃料の気化性の変動のために内燃機関10に供給さ
れる燃料が過剰になったり過少になったりすることが防
止される。
【0103】以後、ステップ408においてNe≧目標
値が成立すると判別されるに至った場合は、上記第1実
施例と同様にKTAU≧1となるまで所定の増加率γで
補正係数KTAUが増加され(ステップ420,42
2)、それに伴って燃料噴射量TAUが始動後TAUへ
と復元される(ステップ418)。
【0104】尚、本ルーチンは、上記したようにクラン
キング後所定の時間だけ実行すれば十分であり、CST
ARTのカウントする時間が所定時間Tに達すると、そ
れ以後はステップ402においてCSTART<Tが不
成立とされ、本ルーチンの処理が実行されることはな
い。
【0105】図10は、本実施例の電子制御装置30が
実行する始動後補正ルーチンの第4実施例のフローチャ
ートを示す。尚、本ルーチンは上記した各実施例と同様
クランクシャフトが360°CA回転する度に起動され
るルーチンである。また、図10中、ステップ500〜
508,ステップ514〜518は、それぞれ上記第1
実施例(図6)中、ステップ200〜208,ステップ
216〜220と同一の処理を行うステップであり、ク
ランキング時の燃料増量値に着目して始動後減量値を設
定する点に特徴を有している。
【0106】すなわち、図10に示すルーチンが起動す
ると、XSTARTフラグの判別(ステップ500)、
CSTART<Tの判別(ステップ502)、CSTA
RTのインクリメント(ステップ504)、始動後要求
量TAUの計算(ステップ506)、Ne≧目標値の判
別(ステップ508)が順次実行される。
【0107】そしてステップ508で、未だNe≧目標
値は成立していないと判別された場合は本実施例の要部
であり前記した減量値設定手段7に相当するステップ5
10へ進む。このステップ510は、上記した始動時ル
ーチン(図5)においてクランキング中に内燃機関10
に向けて噴射された燃料の量TAUSTを読みだし、そ
のTAUSTに基づいて始動後燃料の減衰率αを算出す
るステップである。
【0108】すなわち、TAUSTが多量である場合、
クランキング終了時において吸気管17の内壁には多量
の余剰燃料が付着していることが経験則から知られてお
り、始動後に余剰燃料に起因して発生する気化燃料の量
が、TAUSTに応じた量となることに着目したもので
ある。
【0109】尚、内燃機関10自身が始動し易い状態、
すなわち比較的高温状態にありTAUSTが短い場合
は、クランキング時に噴射される燃料が少量であるうえ
に噴射された燃料が良好に気化し、余剰燃料は極めて少
量となる。これに対して、TAUSTが長い値に設定さ
れるのは、内燃機関10の温度が低く燃料が気化し難い
場合であり、クランキング終了時には多量の余剰燃料が
存在することとなる。
【0110】そこで、本実施例においては、図11に示
すようなTAUSTと減衰係数αとの関係を表すマップ
を予め設定し、ステップ508においてNe≧目標値が
不成立と判別された場合は、このマップをTAUSTで
参照することにより減衰係数αを算出することとした。
【0111】そして、このようにして適切なαが算出さ
れたら、以後ステップ512においてKTAUにαを乗
算することにより新たなKTAUを算出し、ステップ5
14において実際に噴射すべき量に対応したTAUを演
算して処理を終了する。
【0112】ところで、本実施例においてαの算出に用
いるマップは、図11に示すようにTAUSTが大きい
ほどαが小さな値となるように設定されている。従っ
て、補正係数KTAUは、TAUSTが長いほど急激に
減衰し、またTAUSTが短いほど緩やかに減衰するこ
とになる。
【0113】このため、本実施例においては、クランキ
ング時において蓄えられた余剰燃料が多量に存在する場
合ほど、始動後の燃料噴射量は急激に減衰し、また余剰
燃料が少量である場合ほど緩やかに減衰する。従って、
内燃機関10のクランキング終了後における燃料噴射量
は、精度良く余剰燃料に起因して発生する気化燃料を相
殺し得る量として算出され、内燃機関10に供給される
燃料は結果としてほぼ要求される量に沿った量に制御さ
れることになる。
【0114】以後、ステップ508においてNeが目標
値に達したと判別されるまで上記の処理が繰り返し実行
され、適正な量の燃料が供給され続ける。そして、Ne
≧目標値が成立すると判別された場合は、上記第1実施
例の場合と同様にKTAU≧1となるまで1<γなる増
加率γなる係数を用いてKTAUの復元が図られる(ス
テップ516,518)。
【0115】この結果、インジェクタ22から吸気管1
7内へ向けて実際に供給される燃料噴射量がは徐々に始
動後に要求される値として算出されるTAUに近づく。
そして、CSTARTのカウントする時間が所定時間T
に達するまで上記の処理が繰り返し実行され、高精度な
燃料噴射量制御が実現されることとなる。
【0116】このように、本実施例によれば、TAUS
Tの値から排気管内壁に付着している余剰燃料の量を推
定し、その余剰燃料の量を基に始動後補正噴射量の変動
パターンを設定することができる。
【0117】
【発明の効果】上記の如く請求項1記載の発明によれ
ば、クランキング時の燃料増量補正によって吸気管内壁
に付着した余剰燃料の気化能力を検出して、その検出値
に基づいて内燃機関始動後の減量値を算出するため、余
剰燃料に起因して実際に発生する気化燃料の量の対応し
た減量補正が実現でき、クランキング終了後即座に理想
的な空燃比に制御すること可能となる。従って、従来の
内燃機関の燃料噴射制御装置に比べて、内燃機関の排気
エミッションや燃費等を改善することができる。
【0118】また、請求項2記載の発明によれば、余剰
燃料の気化能力に応じて、内燃機関の始動後、燃料の減
量補正を開始する時期を適切に設定することができる。
このため、内燃機関に供給される燃料が適切に補正さ
れ、適切な燃料噴射量を確保することが可能となる。
【0119】請求項3記載の発明によれば、内燃機関の
クランキングが終了した時点において吸気管内に存在す
る余剰燃料の量を、始動時増量値に基づいて高精度に検
出することができると共に、その検出値に基づいてクラ
ンキング終了後における余剰燃料に起因する気化燃料の
量を高精度に推定することができる。従って、内燃機関
の始動後における燃料噴射量を容易に適切な量に制御す
ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る内燃機関の燃料噴射制御装置の原
理図である。
【図2】本発明に係る内燃機関の燃料噴射装置の一実施
例の構成を表す全体図である。
【図3】本実施例の電子制御装置の構成を表すブロック
図である。
【図4】本実施例装置の電子制御装置が実行する燃料補
正制御の例を説明するための図である。
【図5】本実施例の電子制御装置が実行する始動時ルー
チンの一例のフローチャートである。
【図6】本実施例の電子制御装置が実行する始動後補正
ルーチンの第1実施例のフローチャートである。
【図7】本実施例の電子制御装置が実行する始動後補正
ルーチンの第2実施例のフローチャートである。
【図8】始動後補正ルーチンの第2実施例で用いるマッ
プの一例である。
【図9】本実施例の電子制御装置が実行する始動後補正
ルーチンの第3実施例のフローチャートである。
【図10】本実施例の電子制御装置が実行する始動後補
正ルーチンの第4実施例のフローチャートである。
【図11】始動後補正ルーチンの第4実施例で用いるマ
ップの一例である。
【符号の説明】
1 始動検出手段 2 燃料噴射量設定手段 3 気化能力検出手段 4 減量値算出手段 5 減量開始時期設定手段 6 始動時増量値検出手段 7 減量値設定手段 10 内燃機関 14 水温センサ 17 吸気管 22 インジェクタ 24,25 クランク角センサ 26 スタータモータ 30 電子制御装置

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内燃機関の始動時には良好な始動性の確
    保のために燃料噴射量を増量補正し、該増量補正された
    燃料に起因して吸気管内壁に付着した状態で存在する余
    剰燃料の影響を相殺するため内燃機関の始動後における
    燃料噴射量を減量補正する内燃機関の燃料噴射制御装置
    において、 前記余剰燃料の気化能力を検出する気化能力検出手段
    と、 該気化能力検出手段の検出結果に基づいて、前記内燃機
    関の始動後における燃料噴射量の減量値を算出する減量
    値算出手段とを備えることを特徴とする内燃機関の燃料
    噴射制御装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の内燃機関の燃料噴射制御
    装置において、前記減量値算出手段に代えて、前記気化
    能力検出手段の検出結果に基づいて、前記内燃機関の始
    動後における燃料噴射量の減量開始時期を設定する減量
    開始時期設定手段を備えることを特徴とする内燃機関の
    燃料噴射制御装置。
  3. 【請求項3】 内燃機関の始動時には良好な始動性の確
    保のために燃料噴射量を増量補正し、該増量補正された
    燃料に起因して吸気管内壁に付着した状態で存在する余
    剰燃料の影響を相殺するため内燃機関の始動後における
    燃料噴射量を減量補正する内燃機関の燃料噴射制御装置
    において、 始動時における燃料噴射量増量値を検出する始動時増量
    値検出手段と、 該始動時増量検出手段の検出結果に基づいて、前記内燃
    機関の始動後における燃料噴射量の減量値を設定する減
    量値設定手段とを備えることを特徴とする内燃機関の燃
    料噴射制御装置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2007049772A1 (ja) * 2005-10-28 2007-05-03 Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha 内燃機関の燃料噴射制御装置
JP2018141396A (ja) * 2017-02-27 2018-09-13 ダイハツ工業株式会社 内燃機関の制御装置

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WO2007049772A1 (ja) * 2005-10-28 2007-05-03 Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha 内燃機関の燃料噴射制御装置
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