JP2004011511A - 内燃機関用噴射率制御装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】パイロット噴射期間に対する噴射量バラツキ量やインジェクタ経時劣化量があると、Tq−Qマップに破線で示したように、Tq−Q特性の傾きにばらつきが存在する。そこで、1圧力水準(同一の圧力水準)の時のマルチ噴射回数を変更(5→4→3→2→1回噴射)して、FCCB補正やISC補正を用いてパイロット噴射期間に対する噴射量バラツキ量やインジェクタ経時劣化量を学習補正するパイロット学習制御を実行することにより、比較例では傾き補正係数を用いて補正していたTq−Q特性の傾きを、パイロット学習制御によって算出されたマルチ噴射回数毎の各学習値を用いて補正することができるため、パイロット学習制御における学習精度を向上することができる。
【選択図】 図12
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関の各気筒毎に対応して搭載されたインジェクタの駆動を、内燃機関の圧縮行程中、膨張行程中に複数回実施することで、メイン噴射に先立って1回以上のパイロット噴射を行なうことが可能な内燃機関用噴射率制御装置に関するもので、特に平均回転速度補正または回転速度変動気筒間噴射量補正を用いて算出されたパイロット噴射量補正量またはパイロット噴射期間補正量から、パイロット噴射期間に対する噴射量バラツキ、インジェクタの経時劣化量を学習補正するパイロット学習制御における学習精度の向上に係わる。
【0002】
【従来の技術】
従来より、ディーゼルエンジン用の燃料噴射装置として、コモンレールに蓄圧した高圧燃料をエンジンの各気筒内に噴射供給する蓄圧式燃料噴射システムが知られている。このような蓄圧式燃料噴射システムにおいては、主噴射の開始時から安定した燃焼を行なって燃焼騒音やエンジン振動の低減、更には排気ガス性能の向上を目的として、エンジントルクと成り得る主噴射(メイン噴射)に先立って複数回の微少の先立ち噴射(パイロット噴射)を実施するようにしている。
【0003】
ここで、通常、エンジンの各気筒への噴射量制御は、エンジンの運転状態または運転条件によって設定される指令噴射量とセンサ等によって検出される燃料噴射圧力(コモンレール圧力)とから算出される指令噴射期間(インジェクタ噴射指令パルス時間、TQパルス幅)に応じて、インジェクタの電磁弁に印加されるインジェクタ駆動電流値を決定することで実施される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、通常、エンジンの各気筒への噴射量制御は、インジェクタの電磁弁に印加される指令噴射期間(インジェクタ噴射指令パルス時間、TQパルス幅)に対する噴射量バラツキを、各気筒のインジェクタ個々の調整等により保証されているが、パイロット噴射はその噴射量が主に5mm3/st以下と非常に小さいため、インジェクタ噴射指令パルス時間に対する噴射量バラツキや、噴射量経時変化等によるインジェクタの性能(機能)の劣化(インジェクタの経時劣化)などによって、パイロット噴射が消失したり、過大となり過ぎたりすることにより、上記のパイロット噴射の効果が十分に発揮できないという課題がある。
【0005】
それらの課題に対して、エンジンの各気筒毎の回転速度変動を検出し、全気筒の回転速度変動の平均値と比較し、その比較結果に応じて気筒間の回転速度変動が平滑化するように、エンジンの各気筒毎への噴射量補正量または噴射期間補正量を更新する回転速度変動気筒間噴射量補正(FCCB補正)や、エンジンの平均回転速度と目標回転速度とを比較し、その比較結果に応じて目標回転速度となるように、エンジンの各気筒毎への噴射量補正量または噴射期間補正量を更新する平均回転速度補正(ISC補正)を用いて、パイロット噴射期間に対する実際の噴射量バラツキやインジェクタ経時劣化量を学習補正するパイロット学習制御装置が考えられる。
【0006】
しかるに、上記のパイロット学習制御装置においては、図13に示したように、1圧力水準(同一の圧力水準)に対して1ポイントで学習補正を実施し、Tq−Qの横ズレ補正量を算出し、予め求めておいた傾き係数を掛け算することにより、1圧力水準の、パイロット噴射量に対するパイロット噴射期間特性(Tq−Q特性)のばらつき補正を実施していた。しかし、実際には、1圧力水準の、パイロット噴射量に対するパイロット噴射期間特性(Tq−Q特性)の傾きにもばらつきがあるため、完全に正しい学習補正はできていなかった。
【0007】
【発明の目的】
本発明は、燃料の噴射圧力が所定の圧力の時の、マルチ噴射量に対するマルチ噴射期間特性の傾きのばらつきを解消することで、学習制御における学習精度を向上することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明によれば、指令噴射量をマルチ噴射回数分だけ略均等に分割した分割噴射を行ないながら、マルチ噴射回数を変更する毎に、内燃機関の各気筒毎への噴射量補正量または噴射期間補正量を算出する。そして、マルチ噴射回数を変更する毎に、内燃機関の各気筒毎への噴射量補正量または噴射期間補正量を、前記マルチ噴射回数毎の各学習値として更新して記憶する。
【0009】
そして、マルチ噴射回数毎の各学習値を、指令噴射量をマルチ噴射回数分だけ略均等に分割したマルチ噴射の各々の燃料噴射のマルチ噴射量またはマルチ噴射期間の算出に反映させるようにしている。そして、燃料の噴射圧力が所定の圧力の時の、マルチ噴射量に対するマルチ噴射期間特性の傾きを、マルチ噴射回数毎の各学習値を用いて補正することにより、燃料の噴射圧力が所定の圧力の時の、マルチ噴射量に対するマルチ噴射期間特性の傾きのばらつきが解消されるため、例えばパイロット学習制御における学習精度を向上することができる。
【0010】
請求項2に記載の発明によれば、マルチ噴射回数を変更する毎に、内燃機関の各気筒毎への噴射量補正量または噴射期間補正量をマルチ噴射回数で割り算した値を、マルチ噴射回数毎の各学習値として更新して記憶することにより、マルチ噴射期間に対する実際の噴射量バラツキ量またはインジェクタ経時劣化量を、マルチ噴射回数を変更する毎に、しかも内燃機関の各気筒毎に定量的に把握することができる。なお、上記の噴射量バラツキ量またはインジェクタ経時劣化量と前回学習値との和を、内燃機関の各気筒毎の学習値として更新して記憶するようにしても良い。この場合には、マルチ噴射量に対するマルチ噴射期間特性の傾きのばらつきを確実に解消できるため、理想的なマルチ噴射量とマルチ噴射期間との相関が得られるようになる。
【0011】
請求項3に記載の発明によれば、例えばアイドル安定状態またはアイドル運転の時の燃料の噴射圧力に限定することなく、複数の異なる各圧力水準毎に、例えば上記のパイロット学習制御を実行することにより、インジェクタ単品でも保証が難しい高噴射圧力で、且つ微少なマルチ噴射量の場合、あるいは低噴射圧力で、且つ微少なマルチ噴射量の場合、あるいは中噴射圧力で、且つ微少なマルチ噴射量の場合でも、マルチ噴射期間に対する実際の噴射量バラツキ量またはインジェクタ経時劣化量を、マルチ噴射回数を変更する毎に、しかも内燃機関の各気筒毎に定量的に把握することができる。
【0012】
請求項4に記載の発明によれば、1圧力水準または同一の圧力水準に対して連続して、マルチ噴射回数を変更しながら、例えば上記のパイロット学習制御を実行することにより、燃料の噴射圧力が所定の圧力の時の、マルチ噴射量に対するマルチ噴射期間特性の傾きを、マルチ噴射回数毎の各学習値を用いて補正することができる。また、請求項5に記載の発明によれば、先ずマルチ噴射回数を第1噴射回数に固定し、この第1噴射回数に対して複数の異なる各圧力水準毎の、例えば上記のパイロット学習制御を実行する。次に、マルチ噴射回数を第2噴射回数に固定し、この第2噴射回数に対して複数の異なる各圧力水準毎の、例えば上記のパイロット学習制御を実行することにより、燃料の噴射圧力が所定の圧力の時の、マルチ噴射量に対するマルチ噴射期間特性の傾きを、マルチ噴射回数毎の各学習値を用いて補正することができる。さらに、請求項6に記載の発明によれば、今回の、例えば上記のパイロット学習制御が途中で中断されても、次回の、例えば上記のパイロット学習制御を中断された途中から開始するようにしても良い。
【0013】
請求項7に記載の発明によれば、マルチ噴射回数を変更する毎に、内燃機関の各気筒毎の回転速度変動を検出し、各気筒毎の回転速度変動の検出値と全気筒の回転速度変動の平均値とを比較し、その比較結果に応じて気筒間の回転速度変動が平滑化するように、内燃機関の各気筒毎への噴射量補正量または噴射期間補正量を更新して記憶することにより、マルチ噴射回数を変更する毎に、燃料の噴射圧力が所定の圧力の時のマルチ噴射期間に対する噴射量バラツキ量または気筒毎のインジェクタ経時劣化量を学習補正することができる。
【0014】
請求項8に記載の発明によれば、マルチ噴射回数を変更する毎に、内燃機関の平均回転速度を検出し、内燃機関の平均回転速度と目標回転速度とを比較し、その比較結果に応じて目標回転速度となるように、内燃機関の各気筒毎への噴射量補正量または噴射期間補正量を更新することにより、マルチ噴射回数を変更する毎に、燃料の噴射圧力が所定の圧力の時のマルチ噴射期間に対する噴射量バラツキ量または全気筒のインジェクタ経時劣化量を学習補正することができる。
【0015】
請求項9に記載の発明によれば、マルチ噴射として、メイン噴射の前に1回以上のパイロット噴射を行なうマルチ噴射であるか、あるいはメイン噴射の後に1回以上のアフター噴射を行なうマルチ噴射であるか、あるいはメイン噴射の前に1回以上のパイロット噴射を行ない、更にメイン噴射の後に1回以上のアフター噴射を行なうマルチ噴射を用いても良い。
【0016】
【発明の実施の形態】
[実施例の構成]
発明の実施の形態を実施例に基づき図面を参照して説明する。ここで、図1はコモンレール式燃料噴射システムの全体構成を示した図である。
【0017】
本実施例のコモンレール式燃料噴射システムは、4気筒ディーゼルエンジン等の内燃機関(以下エンジンと言う)1の各気筒に噴射供給する燃料噴射圧力に相当する高圧燃料を蓄圧する蓄圧容器としてのコモンレール2と、吸入した燃料を加圧してコモンレール2内に圧送する燃料供給ポンプとしてのサプライポンプ3と、コモンレール2内に蓄圧された高圧燃料をエンジン1の各気筒内に噴射供給する複数個(本例では4個)のインジェクタ4と、サプライポンプ3および複数個のインジェクタ4を電子制御する電子制御ユニット(以下ECUと呼ぶ)10とを備えている。
【0018】
エンジン1の各気筒(シリンダ)の吸気ポートは、吸気弁(インテークバルブ)11により開閉され、排気ポートは、排気弁(エキゾーストバルブ)12により開閉される。また、各シリンダ内には、連接棒を介してクランクシャフト(図示せず)に連結されたピストン13が摺動自在に配設されている。そして、エンジン1を収容するエンジンルーム(図示せず)内の走行風を受け易い場所には、ラジエータ14が配設されている。ラジエータ14には、エンジン1を冷却する冷却水の温度(エンジン冷却水温)を検出する冷却水温センサ37が設置されている。
【0019】
ここで、エンジン1の運転中に、シリンダ内で燃焼した排気ガスは、排気管15を通り、バリアブル・ジアメトリ・ターボ(VGT)16のタービンの駆動源となった後に、触媒(図示せず)、マフラー(図示せず)を経て排出される。上記のVGT16の制御は、吸気圧センサと過給圧力センサ44とVGTポジションセンサ47の信号とに基づいて行なわれる。過給(圧縮)され高温になった吸入空気は、インタクーラ18で冷却された後に、エンジン1の吸気ポートを経てシリンダ内へ導入される。
【0020】
そして、吸気管17の途中には、吸気管17内の吸気通路を開閉してエンジン1に供給する吸入空気量(吸気量)を調整するための吸気絞り弁(スロットルバルブ)19が配設され、このスロットルバルブ19の弁開度は、ECU10からの信号により作動するアクチュエータ20によって調節される。なお、アクチュエータ20内には、スロットルバルブ19の弁開度を検出するスロットルポジションセンサ(図示せず)が装備されている。スロットルポジションセンサとして、スロットルバルブ19の弁開度を全閉のアイドリング時と全開に近い高負荷時に分けて感知し、ECU10へ送信するセンサを用いても良い。
【0021】
また、吸気管17の吸気ポート近傍には、ECU10からの信号により作動する渦流制御弁(スワールコントロールバルブ:以下SCVと言う)21が配設されている。そのSCV21は、吸気温センサ45を設置した吸気通路22を迂回するバイパス路23内に設置され、低負荷時に通電停止(OFF)されて閉弁し、高負荷時に通電(ON)されて開弁する。
【0022】
また、本実施例の吸気管17には、排気管15を流れる排気ガスの一部の排気ガス(排気再循環ガス:EGRガス)を吸気管17へ導く排気ガス還流管24が接続されている。そして、吸気管17と排気ガス還流管24との合流部には、排気ガス再循環装置用バルブ(EGRバルブ)25が設置されている。したがって、シリンダ内に吸い込まれる吸入空気は、窒素酸化物(NOx)の生成量を少なくする目的で、エンジン1の運転状態毎に設定された排気ガス還流量(EGR量)になるようにEGRバルブ25の弁開度を制御し、排気管15からの排気ガスとミキシングされることになる。なお、EGR量は、吸入空気量センサ43と吸気温センサ45と排気O2センサ48とEGRポジションセンサ46からの信号で、所定値を保持できるようにフィードバック制御している。
【0023】
コモンレール2には、連続的に燃料噴射圧力に相当する高圧燃料が蓄圧される必要があり、そのためにコモンレール2に蓄圧される高圧燃料は、高圧配管26を介してサプライポンプ3から供給されている。なお、コモンレール2から燃料タンクへ燃料をリリーフするリリーフ配管(図示せず)には、燃料噴射圧力が限界設定圧を越えることがないように、圧力を逃がすためのプレッシャリミッタ27が取り付けられている。また、コモンレール2内に蓄圧された燃料噴射圧力に相当する燃料圧力(コモンレール圧力とも言う)は、燃料圧力センサ30等の燃料圧力検出手段によって測定される。
【0024】
サプライポンプ3は、図示しない燃料タンクから燃料を汲み上げるフィードポンプ(図示せず)、およびコモンレール2への高圧燃料の圧送量(吐出量)を調整するための電磁弁(例えば吸入調量弁)等のアクチュエータ(図示せず)を内蔵する高圧供給ポンプである。このサプライポンプ3内には、燃料タンクから吸入される燃料温度を検出する燃料温度センサ36が設置されている。
【0025】
インジェクタ4は、エンジン1のシリンダブロックに(各気筒#1〜#4に個別に対応して)取り付けられ、各気筒毎内に高圧燃料を噴射する燃料噴射ノズル、この燃料噴射ノズルのノズルニードルを開弁方向に駆動する電磁弁等のアクチュエータ、およびノズルニードルを閉弁方向に付勢するスプリング等の付勢手段などから構成された電磁式燃料噴射弁である。これらのインジェクタ4からエンジン1への燃料噴射は、例えば電磁弁が開弁している間、コモンレール2に蓄圧された高圧燃料がエンジン1の各気筒内に噴射供給されることで成される。
【0026】
ここで、インジェクタ4からのリーク燃料またはノズルニードルの背圧制御室からの排出燃料(リターン燃料)は、燃料還流路を経て燃料タンクに還流するように構成されている。なお、インジェクタ4のノズルニードルの開弁時間(燃料の噴射期間)が長い程、エンジン1の各気筒内に噴射される実際の噴射量が多くなる。
【0027】
ECU10には、制御処理、演算処理を行なうCPU、各種プログラムおよびデータを保存する記憶装置(ROM、スタンバイRAMまたはEEPROM、RAM等のメモリ)、入力回路、出力回路、電源回路、インジェクタ駆動回路およびポンプ駆動回路等の機能を含んで構成される周知の構造のマイクロコンピュータが設けられている。そして、燃料圧力センサ30からの電圧信号や、その他の各種センサからのセンサ信号は、A/D変換器でA/D変換された後に、ECU10に内蔵されたマイクロコンピュータに入力されるように構成されている。
【0028】
また、ECU10は、エンジン1をクランキングさせた後にエンジンキーをIG位置に戻して、図示しないイグニッションスイッチがオン(ON)すると、メモリ内に格納された制御プログラムに基づいて、例えばサプライポンプ3の電磁弁やインジェクタ4の電磁弁等の各制御部品のアクチュエータを電子制御するように構成されている。
【0029】
ここで、本実施例の気筒判別手段は、エンジン1のカムシャフトに対応して回転するシグナルロータ(例えばクランクシャフトが2回転する間に1回転する回転体)31と、このシグナルロータ31の外周に設けられた各気筒に対応した気筒歯(突起部)と、これらの気筒歯の接近と離間によって気筒判別信号パルス(G)を発生する気筒判別センサ(電磁ピックアップ)32とから構成されている。
【0030】
また、本実施例の回転速度検出手段は、エンジン1のクランクシャフトに対応して回転するシグナルロータ(例えばクランクシャフトが1回転する間に1回転する回転体)33と、このシグナルロータ33の外周に多数形成されたクランク角検出用の歯(突起部)と、これらの歯の接近と離間によってNE信号パルスを発生するクランク角センサ(電磁ピックアップ)34とから構成されている。このクランク角センサ34は、シグナルロータ33が1回転(クランクシャフトが1回転)する間に複数のNE信号パルスを出力する。なお、特定のNE信号パルスは、各#1〜#4気筒のピストンの上死点(TDC)の位置に対応している。そして、ECU10は、NE信号パルスの間隔時間を計測することによってエンジン回転速度(NE)を検出する。
【0031】
そして、ECU10は、エンジン1の運転状態または運転条件に応じた最適な燃料の噴射圧力(以下コモンレール圧力と言う)を演算し、ポンプ駆動回路を介してサプライポンプ3の電磁弁を駆動する吐出量制御手段を有している。すなわち、ECU10は、通常のエンジン運転時に、エンジン回転速度(NE)と指令噴射量(QFIN)とに応じて目標燃料圧力(PFIN)を算出し、この目標燃料圧力(PFIN)を達成するために、サプライポンプ3の電磁弁へのポンプ駆動信号(駆動電流値)を調整して、サプライポンプ3より吐出される燃料の圧送量(ポンプ吐出量)を制御するように構成されている。
【0032】
さらに、より好ましくは、燃料噴射量の制御精度を向上させる目的で、燃料圧力センサ30によって検出されるコモンレール2内の燃料圧力(コモンレール圧力:NPC)がエンジン1の運転状態または運転条件に応じて設定される目標燃料圧力(PFIN)と略一致するように、サプライポンプ3の電磁弁へのポンプ駆動信号をフィードバック制御することが望ましい。なお、サプライポンプ3の電磁弁への駆動電流値の調整は、デューティ(DUTY)制御により行なうことが望ましい。すなわち、コモンレール圧力(NPC)と目標燃料圧力(PFIN)との圧力偏差に応じて単位時間当たりのポンプ駆動信号のオン/オフの割合(通電時間割合・DUTY比)を調整して、サプライポンプ3の電磁弁の開度を変化させるデューティ制御を用いることで、高精度なデジタル制御が可能になる。
【0033】
また、ECU10は、各気筒のインジェクタ4から噴射される燃料噴射量を個別に制御する内燃機関用噴射量制御装置に相当する。これは、エンジン回転速度(NE)とアクセル開度(ACCP)と予め実験等により測定して作成した特性マップ(図示せず)とによって最適な指令噴射時期(メイン噴射開始時期、以下噴射タイミングと言う:TFIN)を算出する噴射時期決定手段と、エンジン回転速度(NE)とアクセル開度(ACCP)と予め実験等により測定して作成した特性マップ(図2参照)とによって最適な基本噴射量(Q)を算出する基本噴射量決定手段とから構成されている。
【0034】
また、基本噴射量(Q)に、燃料温度センサ36によって検出された燃料温度(THF)および冷却水温センサ37によって検出されたエンジン冷却水温(THW)等を考慮した噴射量補正量を加味して指令噴射量(QFIN)を算出する指令噴射量決定手段と、コモンレール圧力(NPC)と指令噴射量(QFIN)と予め実験等により測定して作成した特性マップ(図3参照)から指令噴射期間(噴射指令パルス時間、インジェクタ通電パルス時間:TQまたはTq)を算出する噴射期間決定手段と、インジェクタ駆動回路(EDU)を介して各気筒のインジェクタ4の電磁弁にパルス状のインジェクタ駆動電流(インジェクタ噴射指令パルス、TQパルス)を印加するインジェクタ駆動手段とから構成されている。ここで、図4は特定気筒(例えば#1気筒)の噴射指令パルス時間(=噴射量指令値:TQ)、この噴射指令パルス時間に対応して特定気筒(例えば#1気筒)のインジェクタ4の電磁弁に出力されるインジェクタ駆動電流波形、および特定気筒(例えば#1気筒)の燃料噴射率を示したタイミングチャートである。
【0035】
ここで、本実施例では、エンジン1の運転状態または運転条件を検出する運転状態検出手段として、クランク角センサ34等の回転速度検出手段およびアクセル開度センサ35を用いて基本噴射量(Q)、噴射タイミング(TFIN)、目標燃料圧力(PFIN)を演算するようにしているが、燃料圧力センサ30によって検出されるコモンレール圧力(NPC)、あるいは運転状態検出手段としてのその他のセンサ類(例えば燃料温度センサ36、冷却水温センサ37、燃料リーク温度センサ38、油温センサ39、アイドルアクセル位置センサ40、大気圧センサ41、大気温(外気温)センサ42、吸入空気量センサ43、過給圧力センサ44、吸気温センサ45、EGRポジションセンサ46、VGTポジションセンサ47、排気O2センサ48、排気温センサ49、排気圧センサ50、スロットルポジションセンサ、吸気圧センサ、噴射時期センサ等)からの検出信号(エンジン運転情報)を加味して基本噴射量(Q)または指令噴射量(QFIN)、噴射タイミング(TFIN)および目標燃料圧力(PFIN)を補正するようにしても良い。
【0036】
そして、ECU10には、エンジンキーをシリンダ内に差し込んでST位置まで回すと、スタータスイッチがオン(ON)してスタータを通電するスタータ通電回路が接続されている。また、ECU10には、エンジン1により駆動されるトランスミッションのギアポジションを示す信号、運転者(ドライバー)がクラッチペダルを踏んだことを検出する信号、スタータへの通電信号、車速センサからの車速信号、エアコン用電磁クラッチ、エアコンのコンデンサ用電動ファン、エアコンの室内送風用ファン、ラジエータ用電動ファンやヘッドライト等の電気負荷、エアコン用コンプレッサやパワーステアリングやオイルポンプ等の駆動負荷等の車両情報を検出する信号が入力するように構成されている。
【0037】
ここで、本実施例のコモンレール式燃料噴射システムにおいては、エンジン1の特定気筒のインジェクタ4においてエンジン1の1周期(1行程:吸気行程−圧縮行程−膨張行程(爆発行程)−排気行程)中、つまりエンジン1のクランクシャフトが2回転(720°CA)する間、特にエンジン1の各気筒の1燃焼行程中に燃料を複数回に分けて噴射する多段噴射を行なうことが可能である。例えばエンジン1の圧縮行程中、膨張行程中にインジェクタ4の駆動を複数回実施することで、メイン噴射の前に複数回のパイロット噴射を行なうマルチ噴射、あるいはメイン噴射の後に複数回のアフター噴射を行なうマルチ噴射、あるいはメイン噴射の前に1回以上のパイロット噴射を行なうと共に、メイン噴射の後に1回以上のアフター噴射を行なうマルチ噴射が可能である。
【0038】
したがって、ECU10は、エンジン1の運転状態または運転条件に応じて、マルチ噴射における各噴射量を算出する。具体的には、エンジン回転速度(NE)と指令噴射量(QFIN)と予め実験等により測定して作成した特性マップ(図示せず)とからパイロット噴射量(QPILOT)を算出するパイロット噴射量決定手段と、トータル噴射量(totalQ)からパイロット噴射量(QPILOT)を減算してメイン噴射量(QMAIN)を算出するメイン噴射量決定手段とを有している。
【0039】
また、ECU10は、エンジン回転速度(NE)と指令噴射量(QFIN)と予め実験等により測定して作成した特性マップ(図示せず)とからマルチ噴射におけるパイロット噴射とメイン噴射との間のインターバルを算出する無噴射間隔決定手段と、エンジン回転速度(NE)とパイロット噴射量(QPILOT)と予め実験等により測定して作成した特性マップ(図示せず)とからマルチ噴射におけるパイロット噴射とパイロット噴射との間のインターバルを算出する無噴射間隔決定手段とを有している。
【0040】
また、ECU10は、パイロット噴射量(QPILOT)とコモンレール圧力(NPC)と予め実験等により測定して作成した特性マップ(図示せず)とからパイロット噴射期間(噴射量指令値:TQPILOT)を算出するパイロット噴射期間決定手段と、メイン噴射量(QMAIN)とコモンレール圧力(NPC)と予め実験等により測定して作成した特性マップ(図示せず)とからメイン噴射期間(噴射量指令値:TQMAIN)を算出するメイン噴射期間決定手段とを有している。
【0041】
ここで、本実施例のECU10は、エンジン1のアイドル運転(アイドル安定状態)またはパイロット学習制御の実行(パイロット学習実行条件の成立)時に、エンジン1の各気筒の爆発行程毎の回転速度変動を検出し、エンジン1の各気筒毎の回転速度変動の検出値と全気筒の回転速度変動の平均値とを比較し、エンジン1の気筒間の回転速度変動を平滑化するように、エンジン1の各気筒毎への最適な噴射量を個々に調整する回転速度変動気筒間噴射量補正(FCCB補正)を実施するように構成されている。
【0042】
具体的には、クランク角センサ34より取り込んだNE信号パルスの間隔時間を計算することで、エンジン1の各気筒の爆発行程毎の瞬時回転速度を算出し、BTDC90°CA〜ATDC90°CA間のNE信号パルスの間隔時間の最大値を当該気筒の瞬時回転速度の最低回転速度(Nl)として読み込む。また、BTDC90°CA〜ATDC90°CA間のNE信号パルスの間隔時間の最小値を当該気筒の瞬時回転速度の最高回転速度(Nh)として読み込む。但し、Nl、Nhは必ずしも最低回転速度、最高回転速度である必要はなく、当該気筒の回転速度変動を代表する低回転速度、高回転速度であっても良い。
【0043】
そして、これらの計算を各気筒毎に行なった後に、各気筒毎の最高回転速度(Nh)と各気筒毎の最低回転速度(Nl)との気筒毎回転速度差分(ΔNk)を算出する。これにより、エンジン1の各気筒毎の回転速度変動の検出値を算出する。そして、エンジン1の全気筒の回転速度変動の平均値(ΣΔNk)を算出する。つまり、エンジン1の全気筒の回転速度変動を平均化して、全気筒の回転速度変動の平均値(ΣΔNk)を算出した後に、各気筒毎の回転速度変動の検出値と全気筒の回転速度変動の平均値(ΣΔNk)から各気筒間の回転速度変動の偏差を算出する。そして、エンジン1の各気筒間の回転速度変動が平滑化するように、各気筒毎に算出される各噴射の噴射量に、各気筒間の回転速度変動を平滑化する方向への噴射量補正量(FCCB補正量とも言う)または噴射期間補正量(インジェクタ通電パルス時間補正量)を各気筒毎に付加する(補正量算出手段)。
【0044】
また、本実施例のECU10は、アイドル運転時またはパイロット学習制御の実行(パイロット学習実行条件の成立)時に、現在のエンジン回転速度であるアイドル回転速度(平均エンジン回転速度)を目標回転速度に合わせるために、アイドル回転速度と目標回転速度との偏差(ΔNE)に対して全気筒一律に平均回転速度補正(ISC補正)を実施するように構成されている。なお、ISC補正は、例えば50〜70msec間隔で1mm3/stずつ全気筒に一律に付加して所定時間またはISC補正量(QISC)が安定(平均エンジン回転速度が目標回転速度に略一致)するまで継続して実行される。
【0045】
具体的には、エンジン1の各気筒の平均回転速度(エンジン回転速度:NE)と目標回転速度(目標アイドル回転速度、目標NE)とを比較し、その回転速度差に応じた噴射量補正量(ISC補正量とも言う)または噴射期間補正量を算出する。そして、平均エンジン回転速度が目標回転速度に略一致するように、各気筒毎に算出される噴射量に、目標回転速度に合わせるのに必要な噴射量補正量または噴射期間補正量(インジェクタ通電パルス時間補正量)を全気筒一律に付加する(補正量算出手段)。なお、ISC補正は、アイドル回転速度に相当するエンジン回転速度(NE)とエンジン冷却水温(THW)や燃料温度(THF)等の運転状態または運転条件や電気負荷や駆動負荷等の車両情報によって設定される目標回転速度とを比較し、その差に比例して目標回転速度となるように噴射量をフィードバック制御することが望ましい。
【0046】
[実施例の制御方法]
次に、本実施例のパイロット学習制御方法を図1ないし図12に基づいて簡単に説明する。ここで、図5はパイロット学習制御方法を示したフローチャートである。この図5の制御ルーチンは、イグニッションスイッチがONとなった後に、所定のタイミング毎に繰り返される。
【0047】
図5の制御ルーチンに進入するタイミングになると、パイロット学習実行条件が成立しているか否かを判定する(ステップS1)。この判定結果がNOの場合には、図5の制御ルーチンを抜ける。ここで、下記の(1)、(2)を全て満足した時に、パイロット学習実行条件が成立(YES)し、下記の(1)、(2)のうちいずれか1つでも満足しない時に、パイロット学習実行条件が不成立(NO)となる。
【0048】
(1)先ず、エンジン1または車両に取り付けられたエンジン1の運転状態または運転条件を検出できる各種センサ、スイッチからの信号によりエンジン1の燃焼状態がアイドル安定状態であるか否かを確認する。例えばエンジン回転速度(NE)が所定値(例えば1000rpm)以下、アクセル開度(ACCP)が所定値(例えば0%)以下、車両の走行速度(SPD:以下車速と言う)が所定値(例えば0km/h)以下、指令噴射量(QFIN)が所定値(例えば5mm3/st)以下、トランスミッションのギアポジションがN(ニュートラル)であることを検出した際に、エンジン1の燃焼状態がアイドル安定状態であることを検出できる。
【0049】
(2)次に、エンジン1または車両に取り付けられたエンジン1の負荷状態を検出できる各種センサ、スイッチ、制御指令値からの信号によりエンジン負荷が所定の範囲内であることを確認する。これらの例としては、ラジエータ用電動ファン、電気ヒータ、ヘッドライト、電磁ブレーキ等の電気負荷を検出可能なスイッチ、センサ、エアコン、パワーステアリング等のコンプレッサ、ポンプ負荷を検出できるスイッチ、センサやアイドル回転速度変化またはアイドル回転速度を所定値に保つために必要なISC補正量の変化量等がある。
【0050】
また、ステップS1の判定結果がYESの場合、つまりパイロット学習実行条件が成立している場合には、以下のFCCB補正やISC補正によって算出された各気筒毎のパイロット噴射量補正量またはパイロット噴射期間補正量から、パイロット噴射期間に対する噴射量バラツキやインジェクタ経時劣化量を学習補正するパイロット学習制御を実行する(学習制御実行手段)。
【0051】
具体的には、先ずエンジン1の燃焼状態(噴射条件、吸排気条件)を固定するために、図6に示したように、マルチ噴射における1噴射当たりのマルチ噴射回数(Ninj)をN回(本例では5回)にセットする。また、N回(本例では5回)噴射の噴射タイミング(TFIN)基準位置をTDC近傍にセットする。また、ISC補正の目標回転速度を750rpmにセットする。また、過給圧目標値、EGR量を無し(EGRカット)、スロットルバルブ(吸気絞り弁)19の弁開度、SCV21の弁開度を固定する。また、パイロット学習制御の実行時の多段噴射における各インターバルを固定する(ステップS2)。
【0052】
次に、複数の異なる各圧力水準のコモンレール圧力の目標値を順次設定する。すなわち、図6に示したように、目標燃料圧力(PFIN)を先ずA(MPa)にセットする。つまり、圧力カウンタをj=1にセットする。ここで、本実施例では、目標燃料圧力(PFIN)を以降B(MPa)〜E(MPa)に順次セットする。つまり、圧力カウンタをj=2〜5に順次セットする(噴射圧力変更手段:ステップS3)。
【0053】
なお、設定する目標燃料圧力(PFIN)、つまりパイロット学習制御の実行時に使用する複数の異なる各圧力水準のコモンレール圧力は、任意に設定可能であり、更にコモンレール圧力の数も5種類だけでなく、3種類、7種類、10種類等任意に設定可能である。また、同一の圧力水準の噴射量補正量(学習値)の算出が終了したら、設定された次の圧力水準(例えばA→B,B→C,C→D,D→E)のコモンレール圧力に変更し、ステップS4へ進む。
【0054】
このとき、ステップS3にて設定されたコモンレール圧力の目標値としての目標燃料圧力(PFIN)を達成する目的で、燃料圧力センサ30によって検出されるコモンレール圧力(NPC)とステップS3にて設定される目標燃料圧力(PFIN)との圧力偏差に応じてサプラポンプ3の電磁弁へのポンプ駆動信号(駆動電流値)が調整される。例えばコモンレール圧力(NPC)と目標燃料圧力(PFIN)との圧力偏差に応じて単位時間当たりのポンプ駆動信号のオン/オフの割合(通電時間割合・DUTY比)が調整されて、サプライポンプ3の電磁弁の開度を変化させることにより、サプライポンプ3よりコモンレール2内に吐出される燃料の圧送量(ポンプ圧送量、ポンプ吐出量)が制御されることで、コモンレール圧力(NPC)が目標燃料圧力(PFIN)に略一致するようにフィードバック制御される。これにより、通常のアイドル安定状態の時の低噴射圧力に相当する1圧力水準(同一の圧力水準)Aから、通常のアイドル安定状態とは異なる高噴射圧力に相当する1圧力水準(同一の圧力水準)Eまで、コモンレール圧力が変更されることになる。
【0055】
次に、エンジン1の1燃焼行程中の燃料噴射が均等にN回に分割されるN分割噴射における1噴射当たりの各噴射量指令値(均等Ninj分割噴射量、各パイロット噴射量)を算出する(均等N分割噴射量算出手段、パイロット噴射量算出手段:ステップS4)。この各噴射量指令値は、下記の数1の演算式に示したように、エンジン回転速度(NE)とアクセル開度(ACCP)との関係を予め実験により測定して作成した特性マップ(図2参照)または演算式から算出される基本噴射量(Q)に対し、エンジン冷却水温(THW)や燃料温度(THF)等の噴射量補正量を加味して算出される指令噴射量(QFIN)をマルチ噴射回数(N回)分だけ略均等に分割したトータル噴射量(totalQ)の1/N、例えばエンジン1の運転状態がアイドル安定状態の時に用いる無負荷燃費(Qidle)の1/Nに相当するパイロット噴射量である。
【数1】
【0056】
ここで、パイロット噴射量は無負荷燃費の1/Nの噴射量指令値である(Qidle)/Nをベースとし、下記の数2の演算式に示したように、パイロット学習制御の実行時の多段噴射における各インターバルの影響、各噴射の開始時期(タイミング)による気筒内圧の影響、コモンレール圧力の影響等を考慮し、図7に示したように、N回噴射が実際に等量のパイロット噴射量となるように各噴射量指令値(QPL1=QPL2=QPL3=QPL4(Qmain)=QPL5(Qfup)=totalQ/N)を補正するようにしても良い。
【数2】
【0057】
但し、Qidleはエンジン回転速度(NE)とアクセル開度(ACCP)と基本噴射量(Q)との関係を予め実験等により測定して作成した特性マップまたは演算式より算出される適合値で、QPLCPQは気筒内圧補正係数で、QINTはインターバル依存性補正係数である。ここで、QPLCPQおよびQINTは噴射量補正量ではなく、噴射期間補正量(インジェクタ通電パルス時間補正量)であっても良い。
【0058】
次に、図8に示したように、エンジン1の各気筒間の回転速度変動量差に応じて、各気筒の燃料噴射量を増減するFCCB補正により、各気筒間の回転速度変動が平滑化するように、各気筒毎の多段噴射における1噴射当たりの各噴射量指令値に、各気筒間の回転速度変動を平滑化する方向への噴射量補正量(FCCB補正量:QFCCB)をそれぞれ付加する(補正量算出手段:ステップS5)。このとき、各気筒毎の各噴射のFCCB補正量は、上記の無負荷燃費(Qidle)の1/Nに相当するパイロット噴射量にそれぞれQFCCB/Nずつ反映させる。
【0059】
次に、同じく、図8に示したように、各気筒毎の平均エンジン回転速度を目標回転速度(目標アイドル回転速度)に合わせるために、全気筒一律にISC補正を行ない、各気筒毎の各噴射のFCCB補正量(QFCCB/N)に、目標回転速度に合わせるための噴射量補正量(ISC補正量:QISC)を全気筒一律に付加する(補正量算出手段:ステップS6)。このとき、ISC補正量は、上記の無負荷燃費(Qidle)の1/Nに相当するパイロット噴射量と各気筒毎の各噴射のFCCB補正量(QFCCB/N)とを加算した値にQISC/Nを全気筒一律に反映させる。なお、ISC補正は、例えば50〜70msec間隔で1mm3/stずつ全気筒一律に負荷して所定時間またはISC補正量(QISC)が安定するまで、つまり各気筒毎の平均エンジン回転速度が目標回転速度に略一致するまで継続して実行される。
【0060】
次に、図9に示したように、ISC補正量およびFCCB補正量から現在の圧力水準のコモンレール圧力での、エンジン1の各気筒毎への噴射量補正量(今回学習値)を算出する(補正量算出手段、学習値算出手段:ステップS7)。なお、上記の今回学習値は、ステップS5の各噴射毎のFCCB補正量をマルチ噴射回数(N回)で割り算した値{(QFCCB)/N}とステップS6の各噴射毎のISC補正量をマルチ噴射回数(N回)で割り算した値{(QISC)/N}により、下記の数3の演算式で表わされ、マルチ噴射回数を変更した毎に、しかもエンジン1の各気筒毎に、しかも予め設定された複数の異なる各圧力水準のコモンレール圧力毎に算出される。
【数3】
【0061】
なお、今回学習値は各噴射の無負荷燃費の1/Nの噴射量指令値(totalQ/N)に加算する、現在の圧力水準のコモンレール圧力での噴射量補正量として算出される。ここで、今回学習値は噴射量補正量ではなく、噴射期間補正量(インジェクタ通電パルス時間補正量)であっても良い。
【0062】
次に、マルチ噴射回数および各インターバル等の噴射パターンを変更する。すなわち、マルチ噴射回数(Ninj)を、複数の異なる噴射回数に変更する。例えばマルチ噴射回数(Ninj)を下記の数4の演算式に基づいて1回ずつ減らす(噴射回数変更手段、噴射パターン変更手段:ステップS8)。なお、本実施例では、マルチ噴射回数を5回噴射から4回噴射に1回減らす場合には、図7に示したパイロット噴射(QPL1)を廃止し、残りの各インターバル(QP2−3)、(QP3−4)、(QP4−5)は図6に示した値にセットする。
【0063】
また、マルチ噴射回数を4回噴射から3回噴射に1回減らす場合には、図7に示したパイロット噴射(QPL2)を廃止し、残りの各インターバル(QP3−4)、(QP4−5)は図6に示した値にセットする。また、マルチ噴射回数を3回噴射から2回噴射に1回減らす場合には、図7に示したパイロット噴射(QPL3)を廃止し、残りの各インターバル(QP4−5)は図6に示した値にセットする。また、マルチ噴射回数を2回噴射から1回噴射に1回減らす場合には、図7に示したパイロット噴射(Qfup)を廃止する。なお、噴射パターンを変更しても、パイロット噴射(Qmain)の噴射タイミング(TFIN)は図6に示したようにTDC付近とする。
【数4】
【0064】
次に、マルチ噴射回数が(Ninj=0)であるか否かを判定する(ステップS9)。この判定結果がNOの場合、すなわち、複数の異なる全マルチ噴射回数毎の学習値の算出が終了していない場合には、ステップS3に進み、エンジン1の燃焼状態(噴射条件、吸排気条件)を変更することなく、ただマルチ噴射回数(Ninj)を1回だけ減らして、パイロット噴射量の演算処理を行ない、上記のパイロット学習制御を繰り返す。
【0065】
また、ステップS9の判定結果がYESの場合には、予め設定された複数の異なる全圧力水準のコモンレール圧力毎の学習値の算出が終了しているか否かを判定する(ステップS10)。このステップS10の判定結果がNOの場合、すなわち、予め設定された複数の異なる全圧力水準(A,B,C,D,E)のコモンレール圧力毎の各学習値の算出が終了していない場合には、ステップS2の処理に進み、ステップS2にてエンジン1の噴射条件や吸排気条件等を変更することなく、ただ設定された先の圧力水準から次の圧力水準(例えばA→B,B→C,C→D,D→E)にコモンレール圧力を変更して、ステップS4から、再度パイロット学習制御を実行して、ISC補正量およびFCCB補正量から次の圧力水準のコモンレール圧力での、マルチ噴射回数(Ninj)を変更する毎に、エンジン1の各気筒毎への学習値を算出する。
【0066】
また、ステップS10の判定結果がYESの場合、つまり予め設定された複数の異なる全圧力水準のコモンレール圧力毎の学習値の算出が終了していることが確認できた場合には、各圧力水準のコモンレール圧力毎の、マルチ噴射回数(Ninj)を変更する毎の各学習値を、図10の形式の5回噴射時の学習値マップ、4回噴射時の学習値マップ、3回噴射時の学習値マップ、2回噴射時の学習値マップ、1回噴射時の学習値マップに順次書き込み、各圧力水準のコモンレール圧力毎の、マルチ噴射回数(Ninj)を変更する毎の各学習値を例えばスタンバイRAMまたはEEPROM等のメモリに記憶(バックアップ)する(学習値記憶手段:ステップS11)。
【0067】
次に、格納された各圧力水準のコモンレール圧力毎の、マルチ噴射回数(Ninj)を変更する毎の各学習値を噴射量補正量として、下記の数5の演算式に基づくパイロット噴射量の算出時に反映させると共に、各圧力水準のコモンレール圧力毎の、マルチ噴射量に対するマルチ噴射期間特性(Tq−Q特性)の傾きを、図11および図12のTq−Q特性マップに破線で示すように、各圧力水準のコモンレール圧力毎の、マルチ噴射回数毎の各学習値を用いて補正する(ステップS12)。その後に、本パイロット学習制御を終了して、図5の制御ルーチンを抜ける。
【数5】
【0068】
但し、QPLBは適合値(エンジン回転速度(NE)とアクセル開度(ACCP)と基本噴射量(Q)との関係を予め実験等により測定して作成した特性マップより算出)で、QISCはISC補正量で、KISCはISC補正量反映係数で、QKTHFは燃料温度補正係数で、QFCCBはFCCB補正量で、KFCCBはFCCB補正量反映係数である。
【0069】
また、学習値は各圧力水準のコモンレール圧力毎の、マルチ噴射回数(Ninj)を変更する毎の各学習値(噴射量補正量)で、QKPCは学習値圧力感度補正係数で、QKNEは学習値エンジン回転速度感度補正係数で、QPLCPQは気筒内圧補正係数で、QINTはインターバル依存性補正係数である。学習値は、メモリに記憶された図10の形式の5〜1回噴射時の学習値マップから算出する。なお、パイロット学習制御で使用した圧力水準以外、つまり予め設定された複数の異なる全圧力水準のコモンレール圧力以外のコモンレール圧力毎の噴射量補正量については2点補間等にて算出する。ここで、学習値、QPLCPQおよびQINTは噴射量補正量ではなく、噴射期間補正量(インジェクタ通電パルス時間補正量)であっても良い。
【0070】
[実施例の特徴]
本実施例のような、エンジン1の各気筒毎へのISC補正量を算出するISC補正や、エンジン1の各気筒毎へのFCCB補正量を算出するFCCB補正を用いて、パイロット噴射期間に対する噴射量バラツキ量やインジェクタ経時劣化量を学習補正する制御ロジックにおいては、図12および図13に示したように、1圧力水準(同一の圧力水準)に対して1ポイントで学習補正を実施し、Tq−Qの横ズレ補正量(学習値)を算出し、この学習値に予め求めておいた傾き係数を掛け算することにより、1圧力水準の、パイロット噴射量に対するパイロット噴射期間特性(Tq−Q特性)のばらつき補正を実施する方法が考えられる(比較例)。しかし、実際には、1圧力水準の、パイロット噴射量に対するパイロット噴射期間特性(Tq−Q特性)の傾きにもばらつきがあるため、完全に正しい学習補正はできていなかった。
【0071】
そこで、本実施例のパイロット学習制御装置においては、パイロット学習制御における学習精度の向上を目的として、パイロット噴射量の噴射量補正量またはパイロット噴射期間の噴射期間補正量から、ECU10で演算されたパイロット噴射量またはパイロット噴射期間に対する噴射量バラツキ量やインジェクタ経時劣化量を学習補正する制御ロジックに対し、1圧力水準(同一の圧力水準)でマルチ噴射回数(Ninj)を1回ずつ減らしながら(5回噴射→4回噴射→3回噴射→2回噴射→1回噴射)、上記のパイロット学習制御を実施し、1圧力水準(同一の圧力水準)の時の、パイロット噴射量に対するパイロット噴射期間特性(Tq−Q)の傾きを、図11および図12に示したように、1圧力水準(同一の圧力水準)の時の、マルチ噴射回数毎の各学習値を用いて補正するようにしている。
【0072】
ここで、本実施例のパイロット学習制御装置においては、エンジン1の運転状態がアイドル安定状態の時のトータル噴射量(totalQ)=無負荷燃費(Qidle)が5.00mm3/stであり、マルチ噴射回数(Ninj)を5回にセットすると、5回噴射時の各パイロット噴射量は1.00mm3/stとなる。また、マルチ噴射回数(Ninj)を4回にセットすると、4回噴射時の各パイロット噴射量は1.25mm3/stとなる。
【0073】
また、マルチ噴射回数(Ninj)を3回にセットすると、3回噴射時の各パイロット噴射量は1.66mm3/stとなる。また、マルチ噴射回数(Ninj)を2回にセットすると、2回噴射時の各パイロット噴射量は2.50mm3/stとなる。また、マルチ噴射回数(Ninj)を1回にセットすると、1回噴射時の各パイロット噴射量は5.00mm3/stとなる。
【0074】
したがって、上記の1圧力水準(同一の圧力水準)の時の、5〜1回噴射時の各パイロット噴射量を、図11および図12のTq−Qマップにポイントすると、基本Tq−Q特性は図示実線で示したように途中で傾きが変わる変更点を有する傾きを持つものとなる。また、ECU10で演算されたパイロット噴射量またはパイロット噴射期間に対する噴射量バラツキ量やインジェクタ経時劣化量があると、図11および図12のTq−Qマップに破線で示したように、Tq−Q特性の傾きにばらつきが存在する。
【0075】
そこで、本実施例のパイロット学習制御装置のように、1圧力水準(同一の圧力水準)の時のマルチ噴射回数を変更(5→4→3→2→1回噴射)して、例えば1回ずつ減らして、上記のようなFCCB補正やISC補正を用いてパイロット噴射量またはパイロット噴射期間に対する噴射量バラツキ量やインジェクタ経時劣化量を学習補正するパイロット学習制御を実行するようにしている。それによって、比較例では傾き補正係数を用いて補正(図12の二点鎖線参照)していたTq−Q特性の傾きを、図12のTq−Qマップに破線で示したように、パイロット学習制御によって算出された1圧力水準(同一の圧力水準)の時の、マルチ噴射回数毎の各学習値を用いて補正することができる。このため、より精度良く、FCCB補正やISC補正を用いて算出された噴射量補正量または噴射期間補正量(インジェクタ通電パルス時間補正量)から、パイロット噴射量またはパイロット噴射期間に対する噴射量バラツキ量やインジェクタ経時劣化量を学習補正することができる。すなわち、パイロット学習制御における学習精度を向上することができる。
【0076】
また、本実施例のパイロット学習制御装置においては、例えばスタンバイRAMまたはEEPROM等のメモリに格納された複数の異なる各圧力水準のコモンレール圧力毎の、各気筒毎への各学習値を噴射量補正量または噴射期間補正量(インジェクタ通電パルス時間補正量)として、パイロット噴射量(QPILOT)またはパイロット噴射期間(TQPILOT)の算出時に反映させるようにしている。なお、パイロット学習制御で使用した複数の異なる全圧力水準以外のコモンレール圧力に関しては2点補間等を行なうことが望ましい。この場合には、パイロット学習制御の実行時のコモンレール圧力以外のコモンレール圧力を含め実車におけるコモンレール圧力の使用領域全域で、メモリに記憶された学習値を噴射量補正量または噴射期間補正量(インジェクタ通電パルス時間補正量)としてパイロット噴射量(QPILOT)またはパイロット噴射期間(TQPILOT)の算出に反映させることができる。これにより、常に、理想的なパイロット噴射期間とパイロット噴射量との相関が得られるようになる。
【0077】
[変形例]
本実施例では、本発明をパイロット学習制御装置を用いたコモンレール式燃料噴射システムに適用した例を示したが、本発明をコモンレールを備えず、電子制御方式の分配型燃料噴射ポンプまたは電子制御方式の列型燃料噴射ポンプ等を備えた内燃機関用噴射量制御装置に適用しても良い。また、本実施例では、電磁式燃料噴射弁よりなるインジェクタ4を用いた例を説明したが、圧電方式の燃料噴射弁よりなるインジェクタを用いても良い。また、メイン噴射に先立って行なわれるパイロット噴射(プレ噴射とも言う)の回数は、1回以上任意に設定しても良く、また、メイン噴射の後に行なわれるパイロット噴射(アフター噴射とも言う)の回数も、0回または1回以上任意に設定しても良い。
【0078】
本実施例では、図5の制御ルーチンのステップS4に示す分割噴射を正確に均等にN回に分割する均等分割噴射としたが、これは必ずしも正確に均等にN回に分割する均等分割噴射に限定しなくても良い。あるいは、N回均等分割噴射を、例えばtotalQ=5mm3/stの場合、1mm3/st、1mm3/st、1mm3/st、2mm3/stの4回に略均等に分割噴射し、FCCB補正量、ISC補正量の各噴射への反映を分割方法に応じて適切に(例えば1:1:1:2の比例配分または各々1/4等)反映し、図5の制御ルーチンのステップS7に示す噴射量補正量(学習値)の算出を行なっても良い。以上のような方法で本発明を実施しても、概ね上記実施例と同等の効果を達成することができる。
【0079】
本実施例では、複数の異なる圧力水準毎の、エンジン1の各気筒毎への噴射量補正量または噴射期間補正量を更新して記憶する学習値記憶手段(補正量記憶手段)としてスタンバイRAMまたはEEPROMを用いたが、スタンバイRAMまたはEEPROMを用いずに、EPROM、フラッシュ・メモリ等の不揮発性メモリ、DVD−ROM、CD−ROM、あるいはフレキシブル・ディスクのような他の記憶媒体を用いて、前回または今回のパイロット学習制御により更新した前回学習値または今回学習値を記憶するようにしても良い。この場合にも、イグニッションスイッチをオフ(IG・OFF)した後、あるいはエンジンキーをキーシリンダより抜いた後も、記憶した内容は保存される。
【0080】
また、上記のパイロット学習制御によってFCCB補正量が所定値以上の場合、あるいはISC補正量が所定値以上の場合、あるいはトータルの学習量が所定値以上の場合、あるいは前回学習値と今回学習値との差が所定の範囲外の場合には、パイロット噴射期間(噴射量指令値)に対して所定値以上の噴射量バラツキがあることを検出できるので、インジェクタ単品個々の故障も検出できる。この場合には、異常警告ランプ(インジケータランプ)を点灯して運転者にインジェクタ4の交換を促すようにしても良い。また、上記のパイロット学習制御を1圧力水準(同一圧力水準)、例えばアイドル運転またはアイドル安定状態でのコモンレール圧力に限定して実行しても良い。また、上記のパイロット学習制御を一定または可変の学習補正頻度(例えば走行距離等)にて実行できるようにしても良い。
【0081】
本実施例では、図5の制御ルーチンのステップS2にてマルチ噴射回数をNinj=5回として、1圧力水準(同一の圧力水準)に対して連続してマルチ噴射回数を変更(5→4→3→2→1回噴射)しながら、FCCB補正およびISC補正を用いたパイロット学習制御を実行しているが、パイロット学習制御が途中で中断された場合を考えて、マルチ噴射回数をスタンバイRAMまたはEEPROM等のメモリに記憶しておいて、次回のパイロット学習制御の実行時に途中から開始するようにしても良い。
【0082】
本実施例では、図5の制御ルーチンのステップS2にてマルチ噴射回数をNinj=5回として、1圧力水準(同一の圧力水準)に対して連続してマルチ噴射回数を変更(5→4→3→2→1回噴射)しながら、FCCB補正およびISC補正を用いたパイロット学習制御を実行しているが、マルチ噴射回数やマルチ噴射の各インターバルを第1の噴射条件に固定した先の(第1)噴射パターンに対して、複数の異なる全圧力水準でのパイロット学習制御を実行し、次に、マルチ噴射回数やマルチ噴射の各インターバルを第2の噴射条件に固定した次の(第2)噴射パターンに対して、複数の異なる全圧力水準でのパイロット学習制御を実行するようにして、学習順序を変更しても同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】コモンレール式燃料噴射システムの全体構成を示した概略図である(実施例)。
【図2】基本噴射量を算出するための特性図である(実施例)。
【図3】噴射指令パルス時間を算出するための特性図である(実施例)。
【図4】インジェクタ噴射指令パルス(TQパルス)、インジェクタ駆動電流波形および燃料噴射率を示したタイミングチャートである(実施例)。
【図5】パイロット学習制御方法を示したフローチャートである(実施例)。
【図6】均等Ninj分割噴射の噴射パターンを示した説明図である(実施例)。
【図7】噴射挙動および制御内容概要を示したモデル図である(実施例)。
【図8】噴射挙動および制御内容概要を示したモデル図である(実施例)。
【図9】噴射挙動および制御内容概要を示したモデル図である(実施例)。
【図10】5〜1回噴射時の学習値マップを示した図である(実施例)。
【図11】Tq−Qマップを示した図である(実施例)。
【図12】Tq−Qマップを示した図である(実施例)。
【図13】Tq−Qマップを示した図である(比較例)。
【符号の説明】
1 エンジン(内燃機関)
2 コモンレール(蓄圧容器)
3 サプライポンプ(燃料供給ポンプ)
4 インジェクタ(電磁式燃料噴射弁)
10 ECU(インジェクタ駆動手段、噴射回数変更手段、補正量算出手段、学習値記憶手段、学習値反映手段、噴射圧力変更手段)
Claims (9)
- 内燃機関の運転状態または運転条件に応じて設定される指令噴射量と燃料の噴射圧力とから、前記内燃機関の各気筒毎に搭載されたインジェクタの指令噴射期間を算出し、この算出した指令噴射期間に応じて前記インジェクタを駆動するインジェクタ駆動手段を備え、
前記内燃機関の1燃焼行程中に、前記インジェクタを複数回駆動して、燃料噴射を複数回に分けて行なうマルチ噴射を実施することが可能な内燃機関用噴射率制御装置において、
(a)前記マルチ噴射における1噴射当たりのマルチ噴射回数を、複数の異なる噴射回数に変更する噴射回数変更手段と、
(b)前記指令噴射量を前記マルチ噴射回数分だけ略均等に分割した分割噴射を行ないながら、前記マルチ噴射回数を変更する毎に、前記内燃機関の各気筒毎への噴射量補正量または噴射期間補正量を算出する補正量算出手段と、
(c)前記マルチ噴射回数を変更する毎に、前記内燃機関の各気筒毎への噴射量補正量または噴射期間補正量を、前記マルチ噴射回数毎の各学習値として更新して記憶する学習値記憶手段と、
(d)前記マルチ噴射回数毎の各学習値を、前記指令噴射量を前記マルチ噴射回数分だけ略均等に分割した前記マルチ噴射の各々の燃料噴射のマルチ噴射量またはマルチ噴射期間の算出に反映させる学習値反映手段と
を備え、
前記学習値反映手段は、前記燃料の噴射圧力が所定の圧力の時の、前記マルチ噴射量に対するマルチ噴射期間特性の傾きを、前記マルチ噴射回数毎の各学習値を用いて補正することを特徴とする内燃機関用噴射率制御装置。 - 請求項1に記載の内燃機関用噴射率制御装置において、
前記学習値記憶手段は、前記マルチ噴射回数を変更する毎に、前記内燃機関の各気筒毎への噴射量補正量または噴射期間補正量を前記マルチ噴射回数で割り算した値を、前記マルチ噴射回数毎の各学習値として更新して記憶することを特徴とする内燃機関用噴射率制御装置。 - 請求項1または請求項2に記載の内燃機関用噴射率制御装置において、
前記補正量算出手段は、前記マルチ噴射回数を変更する毎に、前記内燃機関の各気筒毎への噴射量補正量または噴射期間補正量から、前記燃料の噴射圧力が所定の圧力の時の、前記マルチ噴射期間に対する噴射量バラツキまたはインジェクタ経時劣化を補正学習する学習制御を実行する学習制御実行手段、
および前記学習制御の実行時の燃料の噴射圧力を、複数の異なる各圧力水準に変更する噴射圧力変更手段を有し、
前記学習制御実行手段は、前記複数の異なる各圧力水準毎に、前記学習制御を実行することを特徴とする内燃機関用噴射率制御装置。 - 請求項3に記載の内燃機関用噴射率制御装置において、
前記学習制御実行手段は、1圧力水準または同一の圧力水準に対して連続して、前記マルチ噴射回数を変更しながら、前記学習制御を実行することを特徴とする内燃機関用噴射率制御装置。 - 請求項3に記載の内燃機関用噴射率制御装置において、
前記学習制御実行手段は、先ず前記マルチ噴射回数を第1噴射回数に固定し、この第1噴射回数に対して前記複数の異なる各圧力水準毎の前記学習制御を実行し、
次に、前記マルチ噴射回数を前記第1噴射回数と異なる第2噴射回数に固定し、この第2噴射回数に対して前記複数の異なる各圧力水準毎の前記学習制御を実行することを特徴とする内燃機関用噴射率制御装置。 - 請求項3ないし請求項5のいずれかに記載の内燃機関用噴射率制御装置において、
前記学習制御実行手段は、今回の前記学習制御が途中で中断されても、次回の前記学習制御を中断された途中から開始することを特徴とする内燃機関用噴射率制御装置。 - 請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の内燃機関用噴射率制御装置において、
前記補正量算出手段は、前記マルチ噴射回数を変更する毎に、
前記内燃機関の各気筒毎の回転速度変動を検出し、全気筒の回転速度変動の平均値と比較し、その比較結果に応じて気筒間の回転速度変動が平滑化するように、前記内燃機関の各気筒毎への噴射量補正量または噴射期間補正量を算出することを特徴とする内燃機関用噴射率制御装置。 - 請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の内燃機関用噴射率制御装置において、
前記補正量算出手段は、前記マルチ噴射回数を変更する毎に、
前記内燃機関の平均回転速度を検出し、目標回転速度と比較し、その比較結果に応じて前記目標回転速度となるように、前記内燃機関の各気筒毎への噴射量補正量または噴射期間補正量を更新することを特徴とする内燃機関用噴射率制御装置。 - 請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の内燃機関用噴射率制御装置において、
前記マルチ噴射とは、メイン噴射の前に1回以上のパイロット噴射を行なうマルチ噴射であるか、あるいはメイン噴射の後に1回以上のアフター噴射を行なうマルチ噴射であるか、あるいはメイン噴射の前に1回以上のパイロット噴射を行ない、更にメイン噴射の後に1回以上のアフター噴射を行なうマルチ噴射であることを特徴とする内燃機関用噴射率制御装置。
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