JP2007145407A - 殺菌方法および殺菌装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】十分な殺菌効果によって蓋をむらなく殺菌することができる殺菌方法を提供する。
【解決手段】容器の蓋を殺菌する方法は、蓋10を支持する支持部材32および蓋の少なくとも一方に液体を付着させる工程と、支持部材の蓋を支持する側に配置された放電側電極50と、支持部材を挟んで放電側電極と対向して配置された接地側電極58と、の間に高電圧パルスを印加する工程と、を備えている。高電圧パルスが印加されると、放電側電極と接地側電極との間に大気圧プラズマが発生する。蓋は支持部材および放電側電極とともに殺菌される。
【選択図】図5

Description

本発明は、少なくとも一部が開放された中空部材、とりわけ包装用容器等の蓋、トレー、またはカップのような殺菌対象物を、大気圧プラズマを用いて殺菌する殺菌方法および殺菌装置に関する。
一般に、液体、固体、または液体と固体との組み合わせからなる飲料、食品、医薬品、漢方薬品、化粧品、飼料、または肥料等の被充填物は無菌環境下において包装容器(包装材料)に充填され、その後、無菌環境下で包装容器が密封される。包装容器は充填工程に先立ってその内面および外面を殺菌処理され、これにより、充填工程への菌の持ち込みが防止される。
包装容器の殺菌方法について様々な方法および装置が開発されてきた。昨今においては、薬剤等が残留しないこと、包装容器に影響を与えず十分な殺菌効果が得られること等の理由から、常温常圧下での大気圧プラズマを用いた殺菌方法が開発されつつある。(例えば、特許文献1)。
また、包装容器に限らず、一部が開放された中空部材、とりわけ包装容器の蓋のような複雑な形状を有する殺菌対象物を殺菌する分野においては、内部へ薬剤が残留しやすい、むらなく殺菌することが困難である等の理由から、大気圧プラズマを用いた殺菌方法に対する関心が非常に高まっている。
特開2004−26171号公報
しかしながら、現状においては、少なくとも一部が開放された中空部材のような複雑な形状を有した殺菌対象物に対し、大気圧プラズマを用いた殺菌を工業的に用いることができる程度まで、殺菌方法および殺菌装置の研究開発が進んでいるとは言えない。
また、大気圧プラズマを用いた公知の殺菌方法では、殺菌対象物を支持する支持部材(処理槽)の殺菌について言及されておらず、この支持部材の汚染に伴って悪影響が生ずる虞が残されたままである。
さらに、多数の殺菌対象物を順次連続して効率的に殺菌していくことができる方法および装置についても検討する必要がある。
本発明はこのような点を考慮してなされたものであり、少なくとも一部が開放された中空部材、とりわけ包装容器の蓋のような殺菌対象物を、十分な殺菌効果によってむらなく殺菌することができる殺菌方法および殺菌装置を提供することを目的とする。
また、本発明は、殺菌対象物とともに、該殺菌対象物を支持する支持部材をも殺菌することができる殺菌方法および殺菌装置を提供することを目的とする。
さらに、本発明は、多数の殺菌対象物を連続して効率的に殺菌することができる殺菌方法および殺菌装置を提供することを目的とする。
本発明による殺菌方法は、殺菌対象物および前記殺菌対象物を支持する支持部材の少なくとも一方に液体を付着させる工程と、前記支持部材および前記支持部材に支持された殺菌対象物を挟むようにして配置された電極間に高電圧パルスを印加して、前記電極間に大気圧プラズマを生じさせる工程と、を備えたことを特徴とする。
本発明による殺菌方法によれば、支持部材および殺菌対象物の少なくとも一方に液体が付着した状態で、電極間に高電圧パルスが印加され、電極間に存在する気体がプラズマ化する。この場合、高い殺菌能力を有した活性酸素種を殺菌対象物に接触させて、殺菌対象物を高いレベルで殺菌することができる。なお、液体を付着させる工程は、支持部材によって支持される前の殺菌対象物、あるいは殺菌対象物を支持する前の支持部材に対して行うようにしてもよい。
本発明による殺菌方法において、殺菌方法が、殺菌対象物を湿熱殺菌する工程をさらに備えるようにしてもよい。このような殺菌方法によれば、より確実で信頼性の高い殺菌を殺菌対象物に施すことができる。
また、本発明による殺菌方法の液体を付着させる工程において、支持部材および殺菌対象物の少なくとも一方を霧状の液体に曝すようにしてもよい。このような殺菌方法によれば、簡易な方法および装置により支持部材および蓋の少なくとも一方に液体を付着させることができる。なお、蓋を霧状の液体に曝す方法としては、例えば、液体を一流体ノズルで噴霧することにより、あるいは液体を空気とともに二流体ノズルで噴霧することにより、あるいは液体をネブライザーで噴霧すること等により、行うことができる。
あるいは、本発明による殺菌方法の液体を付着させる工程において、支持部材および殺菌対象物の少なくとも一方を、液体を蒸発させてなる蒸気に曝すようにしてもよい。このような殺菌方法によれば、支持部材および殺菌対象物の少なくとも一方に液体が結露し、これにより、微細な液滴を付着させることができる。とりわけ、支持部材または殺菌対象物が、液体を直接付着させることが困難であるような形状を有する場合であっても、支持部材および殺菌対象物の少なくとも一方に微細な液滴を均一に付着させることができる。したがって、電極間における大粒の液滴の発生を防止することができる。これにより、プラズマを均一かつ安定して発生させることができるとともに、殺菌処理をより信頼性高くかつよりむらなく行うことができる。
あるいは、本発明による殺菌方法の液体を付着させる工程が、支持部材および殺菌対象物の少なくとも一方を冷却する工程と、冷却された該支持部材および殺菌対象物の少なくとも一方を空気中に曝しその表面に結露を生じさせる工程と、を有するようにしてもよい。このような殺菌方法によれば、支持部材および殺菌対象物の少なくとも一方に微細な液滴を均一に付着させることができる。とりわけ、支持部材または殺菌対象物が、噴霧等によっては液体を直接付着させることができない複雑な形状を有するような場合であっても、微細な液滴を均一に付着させることができる。したがって、プラズマを均一かつ安定して発生させることができるとともに、殺菌処理をより信頼性高くかつよりむらなく行うことができる。
さらに、本発明による殺菌方法において、放電側の電極が規則的に配列された多数の突起状電極を有するようにしてもよい。このような殺菌方法によれば、プラズマを均一かつ安定して発生させることができる。また、突起状電極を多数用いることにより、広い範囲でプラズマを発生させることができ、これにより、多数の殺菌対象物に対し効率的に殺菌処理を行うことができる。
さらに、本発明による殺菌方法において、支持部材がレール状に延びる突起を有し、大気圧プラズマを生じさせる工程において、殺菌対象物がレール状突起上に支持されているようにしてもよい。このような殺菌方法によれば、とりわけ殺菌対象物が複雑な形状を有するような場合であっても、殺菌処理をむらなく行うことができる。
さらに、本発明による殺菌方法において、殺菌対象物が支持部材上を摺動して移動し、あるいは支持部材上を回転して移動し、これにより、多数の殺菌対象物が順次殺菌されるようにしてもよい。このような殺菌方法によれば、多数の殺菌対象物を連続して効率的に殺菌することができる。なお、殺菌対象物を支持部材上において摺動させる方法としては、例えば、エアの吐出により支持部材上で殺菌対象物を押し進める方法を用いることができる。
あるいは、本発明による殺菌方法において、支持部材が、電極のいずれか一方の周囲を回転する無端ベルトを有し、殺菌対象物が無端ベルトによって電極間を搬送され、これにより、多数の殺菌対象物が順次殺菌されるようにしてもよい。このような殺菌方法によれば、多数の殺菌対象物を連続して効率的に殺菌することができる。
この場合、無端ベルトが液体を収容する槽内を通過し、これにより、支持部材に液体が付着するようにしてもよい。このような殺菌方法によれば、簡易な方法および装置により、支持部材にむらなく液体を付着させていくことができる。
あるいは、本発明による殺菌方法において、支持部材がロールコンベアのロールの外周部分を含み、前記電極のいずれか一方が前記ロールの外周部分に覆われた部分を含み、前記殺菌対象物が前記ロールコンベア上を搬送されることによって前記電極間を移動し、これにより、多数の殺菌対象物が順次殺菌されるようにしてもよい。すなわち、支持部材の少なくとも一部分がロールコンベアのロールの外周部分からなるとともに、電極のいずれか一方の少なくとも一部分がロールの外周部分に覆われた部分からなるようにし、殺菌対象物をロールコンベアで搬送しながら殺菌するようにしてもよい。このような殺菌方法によれば、多数の殺菌対象物を連続して効率的に殺菌することができる。
この場合、各ロールの一部分が液体を収容する槽内に配置され、ロールが回転することによりロールの外周部分からなる支持部材に液体が付着するようにしてもよい。このような殺菌方法によれば、簡易な方法および装置により、支持部材にむらなく液体を付着させていくことができる。
さらに、本発明による殺菌方法において、両端が開放され殺菌対象物を収容した処理槽内で大気圧プラズマを生じさせ、殺菌対象物を処理槽内面とともに殺菌するようにしてもよい。このような殺菌方法によれば、処理槽内でプラズマを発生させるので、プラズマ化した気体の拡散を抑制し効率的に殺菌対象物を殺菌することができる。
さらに、本発明による殺菌方法において、電極間に高電圧パルスを印加する工程が、支持部材および殺菌対象物に対し所定の側に配置された放電側の電極と、支持部材および殺菌対象物を挟み該放電側電極の反対の側に配置された接地側の電極と、の間に高電圧パルスが印加される第1印加工程と、支持部材および殺菌対象物に対し所定の側以外の側に配置された放電側の電極と、支持部材および殺菌対象物を挟み該放電側電極の反対の側に配置された接地側の電極と、の間に高電圧パルスが印加される第2印加工程と、を有するようにしてもよい。このような殺菌方法によれば、大気圧プラズマにより生成される活性酸素種が殺菌対象物にむらなく接触するようになる。したがって、殺菌対象物をむらなく殺菌することができる。なお、このような方法において、放電側電極と接地側電極とをそれぞれ2つ設けるようにしてもよいし、第1印加工程および第2印加工程とにおいて、放電側電極および接地側電極の支持部材および殺菌対象物に対する相対位置を変化させるようにしてもよい。
この場合、第1印加工程において、放電側電極が支持部材および殺菌対象物の一側に配置されるとともに、接地側電極が支持部材および殺菌対象物の他側に配置された状態で、高電圧パルスが印加され、第2印加工程において、放電側電極が支持部材および殺菌対象物の他側に配置されるとともに、接地側電極が支持部材および殺菌対象物の一側に配置された状態で、高電圧パルスが印加されるようにしてもよい。このような殺菌方法によれば、大気圧プラズマにより生成される活性酸素種が殺菌対象物にむらなく接触するようになる。したがって、殺菌対象物をむらなく殺菌することができる。なお、このような方法において、放電側電極と接地側電極とをそれぞれ2つ設けるようにしてもよいし、第1印加工程および第2印加工程とにおいて、放電側電極および接地側電極の支持部材および殺菌対象物に対する相対位置を変化させるようにしてもよいし、さらには第1印加工程および第2印加工程とにおいて電極の極性を変化させるようにしてもよい。
本発明による殺菌装置は、電極間に高電圧パルスを印加して大気圧プラズマを発生させ殺菌対象物を殺菌する殺菌装置であって、殺菌対象物を支持する支持部材と、支持部材および殺菌対象物の少なくとも一方に液体を付着させる液体付着手段と、支持部材および支持部材に支持された殺菌対象物を挟むようにして配置された2つの電極と、電極間に高電圧パルスを印加する高電圧パルス印加装置と、を備えたことを特徴とする。
本発明による殺菌装置によれば、支持部材および殺菌対象物の少なくとも一方に液体が付着した状態で、電極間に高電圧パルスが印加され、電極間に存在する気体がプラズマ化する。したがって、高い殺菌能力を有した活性酸素種を殺菌対象物に接触させて、殺菌対象物を高いレベルで殺菌することができる。なお、液体付着手段を用いた支持部材および/または殺菌対象物への液体の付着は、支持部材によって支持される前の殺菌対象物、あるいは殺菌対象物を支持する前の支持部材に対して行うようにしてもよい。
本発明による殺菌装置において、殺菌装置が、殺菌対象物に湿熱殺菌を施す湿熱殺菌手段をさらに備えるようにしてもよい。このような殺菌装置によれば、より確実で信頼性の高い殺菌を殺菌対象物に施すことができる。
また、本発明による殺菌装置において、液体付着手段が、液体を噴霧する噴霧装置を有するようにしてもよい。このような殺菌装置によれば、簡易な方法および装置により支持部材および殺菌対象物の少なくとも一方に液体を付着させることができる。なお、噴霧装置を、例えば、液体を一流体ノズルで噴霧するように構成してもよいし、あるいは液体を空気とともに二流体ノズルで噴霧するように構成してもよいし、あるいは液体をネブライザーで噴霧するように構成してもよい。
あるいは、本発明による殺菌装置において、液体付着手段が、液体を蒸発させてなる蒸気を供給する蒸気供給装置を有するようにしてもよい。このような殺菌装置によれば、支持部材および殺菌対象物の少なくとも一方に液体が結露し、これにより、微細な液滴を付着させることができる。とりわけ、支持部材または殺菌対象物が、液体を直接付着させることができない困難であるような形状を有する場合であっても、微細な液滴を均一に付着させることができる。したがって、電極間における大粒の液滴の発生を防止することができる。これにより、プラズマを均一かつ安定して発生させることができるとともに、殺菌処理をより信頼性高くかつよりむらなく行うことができる。
あるいは、本発明による殺菌装置において、液体付着手段が、支持部材および殺菌対象物の少なくとも一方を冷却する冷却装置を有し、冷却された該支持部材および殺菌対象物の少なくとも一方を空気中に曝しその表面に結露を生じさせ、これにより、液体を付着させるようにしてもよい。このような殺菌装置によれば、支持部材および殺菌対象物の少なくとも一方に微細な液滴を均一に付着させることができる。とりわけ、支持部材または殺菌対象物が、噴霧等によっては液体を直接付着させることができない複雑な形状を有するような場合であっても、微細な液滴を均一に付着させることができる。したがって、プラズマを均一かつ安定して発生させることができるとともに、殺菌処理をより信頼性高くかつよりむらなく行うことができる。
さらに、本発明による殺菌装置において、放電側の電極が、規則的に配列された多数の突起状電極を有するようにしてもよい。このような殺菌装置によれば、プラズマを均一かつ安定して発生させることができる。また、突起状電極を多数用いることにより、広い範囲でプラズマを発生させることができ、これにより、多数の殺菌対象物に対し効率的に殺菌処理を行うことができる。
さらに、本発明による殺菌装置において、支持部材が、レール状に延びる突起であって、前記電極間に高電圧パルスが印加される際に前記殺菌対象物を支持する突起を有するようにしてもよい。このような殺菌装置によれば、とりわけ殺菌対象物が複雑な形状を有するような場合であっても、殺菌処理をむらなく行うことができる。
さらに、本発明による殺菌装置において、支持部材は細長状に延び、殺菌対象物が支持部材上を摺動して移動し、あるいは支持部材上を回転して移動し、これにより、多数の殺菌対象物を順次殺菌するようにしてもよい。このような殺菌装置によれば、多数の殺菌対象物を連続して効率的に殺菌することができる。なお、殺菌対象物を支持部材上において摺動させる方法としては、例えば、エアの吐出により支持部材上で殺菌対象物を押し進める方法を用いることができる。
あるいは、本発明による殺菌装置において、電極のいずれか一方が導電性板を有し、支持部材は導電性板の周囲を回転する無端ベルトを有し、殺菌対象物が無端ベルトによって電極間を搬送され、これにより、多数の殺菌対象物を順次殺菌するようにしてもよい。このような殺菌装置によれば、多数の殺菌対象物を連続して効率的に殺菌することができる。
この場合、液体付着手段が、前記いずれか一方の電極の他方の電極に対面しない側に配置され液体を収容する槽を有し、無端ベルトの少なくとも一部分が槽内に配置されるようにしてもよい。このような殺菌装置によれば、簡易な方法および装置により、支持部材にむらなく液体を付着させていくことができる。
あるいは、本発明による殺菌装置において、支持部材が、連続して配置された多数のロールを有するロールコンベアのロールの外周部分を含み、電極のいずれか一方がロールの外周部分に覆われた部分を含み、殺菌対象物がロールコンベア上を搬送され、これにより、多数の殺菌対象物を順次殺菌するようにしてもよい。すなわち、支持部材の少なくとも一部が、連続して配置された多数のロールを有したロールコンベアの各ロールの外周部分からなるとともに、接地側電極の少なくとも一部がロールの外周部分に覆われた部分からなるようにし、殺菌対象物をロールコンベアで搬送しながら殺菌するようにしてもよい。このような殺菌装置によれば、多数の殺菌対象物を連続して効率的に殺菌することができる。
この場合、液体付着手段が、前記いずれか一方の電極の他方の電極に対面しない側に配置され、液体を収容する槽を有し、ロールの少なくとも一部分が槽内に配置されるようにしてもよい。このような殺菌装置によれば、簡易な方法および装置により、支持部材にむらなく液体を付着させていくことができる。
さらに、本発明による殺菌装置において、殺菌装置が、両端が開放された処理槽をさらに備え、殺菌対象物を収容した処理槽内で大気圧プラズマを生じさせ、殺菌対象物をさらに処理槽内面とともに殺菌するようにしてもよい。このような殺菌装置によれば、処理槽内でプラズマを発生させるので、効率的に殺菌対象物を殺菌することができる。
さらに、本発明による殺菌装置において、支持部材および支持部材に支持された殺菌対象物を挟むようにして配置されたさらなる2つの電極を、さらに備え、2つの電極は、支持部材および殺菌対象物に対し所定の側に配置された第1放電側電極と、支持部材および殺菌対象物を挟み該第1放電側電極の反対の側に配置された第1接地側電極と、を有し、さらなる2つの電極は、支持部材および殺菌対象物に対し前記所定の側以外の側に配置された第2放電側電極と、支持部材および殺菌対象物を挟み該第2放電側電極の反対の側に配置された第2接地側電極と、を有するようにしてもよい。このような殺菌装置によれば、大気圧プラズマにより生成される活性酸素種が殺菌対象物にむらなく接触するようになる。したがって、殺菌対象物をむらなく殺菌することができる。
この場合、殺菌装置が、電極間を移動させながら殺菌対象物を殺菌するようになっており、前記さらなる2つの電極が、殺菌対象物の移動経路に沿って前記2つの電極の下流側に配置されるようにしてもよい。このような殺菌装置によれば、多数の殺菌対象物を連続して効率的かつむらなく殺菌することができる。
また、この場合、第2接地側電極が、支持部材および殺菌対象物に対し前記所定の側に配置され、第2放電側電極は、支持部材および殺菌対象物を挟み該第2接地側電極の反対の側に配置されるようにしてもよい。このような殺菌装置によれば、多数の殺菌対象物を連続して効率的かつむらなく殺菌することができる。
以下、本初発明による殺菌方法および殺菌装置の実施の形態について説明する。なお、以下の説明において、殺菌対象物を包装容器の蓋とした例を示しているが、本発明における殺菌対象は包装容器の蓋に限られるものではない。
<第1の実施の形態>
以下、図面を参照して本発明の第1の実施の形態について説明する。
図1乃至図8は本発明による殺菌方法および殺菌装置の第1の実施の形態を示す図である。
このうち図1は無菌充填方法の一例を示す概略工程図である。図1に示すように、成形された容器本体16が無菌室5内へ持ち込まれ、殺菌処理される。次に、無菌室5内で殺菌処理された容器本体16内に被充填物(内容物)が充填される。この被充填物は無菌室外で製造および殺菌されている。これらの工程に並行して、成形済の蓋10が無菌室5内に持ち込まれ、殺菌処理される。その後、被充填物を充填された容器本体16は殺菌済の蓋10によって閉蓋され、容器本体16と蓋10とからなる容器18によって被充填物が密封された製品が得られる。
本実施の形態における殺菌は、閉蓋に先だって行われる蓋10に対する殺菌として以下に説明されるが、当然、これに限定されるものではない。また、本実施の形態の対象とする蓋10とは、金属以外の各種の材料にて構成されたものであればよい。本実施の形態においては、図2および図3に示すように、一側端部を閉鎖された(塞がれた)略円筒状からなる、言い換えると、一部(他側端部)を開放された中空部材からなる蓋10を殺菌する例を示していく。
図2に示すように、この蓋10は、他側端部に開口13を形成され、内面11と外面12とを有している。また、図3に示すように、容器本体16と係合するため、内面11にねじ山14が形成されている。なお、このような蓋10自体は、例えば飲料用のPET製容器本体(いわゆるPETボトル)の蓋として、広く一般生活にまで普及している。
〔殺菌装置〕
まず、容器の蓋の殺菌装置30について説明する。
図4に示すように、本実施の形態における殺菌装置30は、無菌室5の一部をなすチャンバー20内に配置されている。チャンバー20には、チャンバー20内部に殺菌剤を供給する殺菌剤供給手段28が設けられている。殺菌剤供給手段28は、例えば、過酸化水素と加圧された空気とを二流体スプレーで混合し、過酸化水素ミストとしてチャンバー20内に送り込むように構成される。また、チャンバー20内への殺菌剤の供給に対応し、チャンバー20には1つ以上の排気口21が設けられている。
殺菌対象である蓋10は、チャンバー20の搬入路22を経由し搬入手段23により、殺菌装置30へと送り込まれるようになっている。また、殺菌装置30で殺菌された殺菌済みの蓋10は、チャンバー20の搬出路24を経由し搬出手段25により、次工程(例えば、図1の密封工程)へと搬出されるようになっている。なお、チャンバー20の搬入路22よりも下流側を陽圧に保つことができるようになっており、これにより、搬入路22から菌が持ち込まれることが防止される。
次に、殺菌装置30自体について説明する。
図5および図6に示すように、殺菌装置30は、電極50,58間に高電圧パルスを印加して大気圧プラズマを発生させ殺菌対象物を殺菌する殺菌装置であって、蓋10を支持する支持部材32と、蓋10に液体を付着させる液体付着手段40と、支持部材32および支持部材32に支持された蓋10を挟みむようにして対向して配置された2つの電極50,58と、電極50,58間に高電圧パルスを印加する高電圧パルス印加装置60と、を備えている。なお、図5および図6に示すように、本実施の形態における殺菌装置30において、支持部材32と支持部材32に支持された蓋10とを挟み、蓋10側に放電側電極50が配置され、支持部材32側に接地側電極が配置されている。
このような、殺菌装置30は、放電側電極50と接地側電極58との間に高電圧パルスを印加して、放電側電極50と接地側電極58との間の空気中に大気圧プラズマを生じさせ、蓋10を支持部材32および放電側電極50とともに殺菌する装置である。
また、図5に示されているように、殺菌装置30は、放電側電極50および接地側電極58の下流側に配置され蓋10を温水に曝す湿熱殺菌手段70と、湿熱殺菌手段70の下流側に配置され蓋10を乾燥させる乾燥手段80と、をさらに備えている。さらに、図6に示されているように、殺菌装置30は、殺菌対象物である蓋10の少なくとも一部分を包囲し(覆い)、処理槽38を形成する処理槽形成部材36をさらに備えている。なお、図5(並びに、図9、図12、図13、および図14)においては、処理槽形成部材36の紙面の手前側の部分が省略されている。
このうち、まず、支持部材32、処理槽形成部材36、並びにこれらによって形成される処理槽38について詳述する。
本実施の形態において、支持部材32は殺菌装置30の一側端部から他側端部まで延びる略平板状部材からなっている。また、図5および6に示すように、支持部材32は、その長手方向に沿って延び上方に突出したレール状の突起34を有している。
図6に示すように、本実施の形態において、支持部材32の上方に処理槽形成部材36が配置されている。処理槽形成部材36は、殺菌装置30の一方の端部から他方の端部まで延び、断面コ字状を有している。そして、支持部材32と処理槽形成部材36とによって、殺菌装置30の処理槽38が形成されるようになっている(図6)。
形成された処理槽38は、殺菌装置30の一方の端部から他方の端部まで延び、両端部が開放された断面矩形状を有する筒状(トンネル状)となっている。本実施の形態における殺菌対象物である多数の蓋10が殺菌装置30の処理槽38の一方の側から順次供給され、処理槽38内を他方の側に移動していくようになっている。このような蓋10の処理槽38内における移動は、上述した搬入手段23による蓋10の押し込み、あるいは、エア吐出による蓋10の押し込み等によって達成され得る。なお、図6において二点鎖線で示すように、処理槽形成部材36に蓋10の移動を案内するためのガイド37を設けるようにしてもよい。
本実施の形態において、支持部材32は、放電側電極50と接地側電極58との間で誘電体としても機能する。したがって、支持部材32は、アクリル樹脂、セラミック、ポリカーボネイト、ポリ塩化ビニル、フッ素系樹脂、ガラス等の各種の誘電性材料から構成され得る。ただし、薬品による洗浄、蓋10との摩擦、放電時にわずかに生じる紫外線の発生、並びに、処理槽38内における放電の確認を考慮して、耐薬品性、耐摩耗性、UV耐性、並びに、透光性(より好ましくは透明性)を有していることが好ましい。また、処理槽形成部材36の材料は、支持部材32に用いられる材料と同様の材料を用いることができるが、必ずしも支持部材32と同一の材料から構成する必要はない。
次に、液体付着手段40について詳述する。
図5に示すように、本実施の形態において、液体付着手段40は、液体を噴霧する噴霧装置42を有している。噴霧装置42は、蓋10の処理槽38内における移動経路に沿って配置された1以上の二流体ノズル44と、二流体ノズル44に液体を供給する液体源43と、二流体ノズル44に空気を供給するガス源45と、を有している。図5に示すように、本実施の形態において、二流体ノズル44は、支持部材32と、処理槽形成部材36の上部と、にそれぞれ取り付けられており、処理槽38内を移動する蓋10に対し、上方および下方から霧状の液体を吹き付けるようになっている。ただし、二流体ノズル44の取り付け位置および取り付け位置にともなった液体の吹き付け方向は、本実施の形態で説明する方法に限定されるものではなく、殺菌対象物や処理槽38等の形状等に対応して適宜変更することができる。
液体源43からの液体の供給およびガス源45からの空気の供給は、供給時間、供給量、供給圧力とも制御可能であり、流量計(図示せず)等の適当な計測器により監視することができるようになっている。液体源43から供給される液体として、水、とりわけ不純物を含まない純水を用いることが好ましい。ただし、これに限定されず、過酸化水素、エタノール、アセトン等を含む水溶液等を用いることもできる。
一方、ガス源45は空気を供給するようになっているが、これに限定されるものではない。求められる殺菌効果が非常に高レベルである場合には、ガス源45から、酸素、水素、窒素、二酸化炭素、空気、アルゴン、及びヘリウムからなる群から選ばれる少なくとも一種類含んだガスを供給することが有効である。また、その他のプラズマ生成に寄与する種々のガスを供給するようにしてもよい。
次に、放電側電極50および接地側電極58について詳述する。
放電側電極50は、規則的に配列された多数の突起状電極52からなっている。図5および図6に示すように、突起状電極52は先細りする錐体状の先端部、本実施の形態においては、略円錐形状に形成された先端部を有している。突起状電極52は、処理槽38内に突出し、先端部が支持部材32に向けて(下方に向けて)先細りするようにして、処理槽形成部材36の上部に配置されている。突起状電極52は蓋10の処理槽38内における移動経路に沿って配列されている。図7に示すように、本実施の形態における突起状電極52は、互いに等間隔空けて離間するよう、千鳥状に規則的に配列されている。このような突起状電極52は、例えばステンレス等の金属からなっている。
図5および図6に示されているように、処理槽38外となる処理槽形成部材36の上方に、導電性材料からなる導電性板54が設けられている。各突起状電極52は、処理槽形成部材36(処理槽38)を貫通してこの導電性板54に、例えばねじ等を介し、固定されるとともに導通されている。
一方、図5および図6に示すように、接地側電極58は薄板状からなり、処理槽38外である支持部材32の下方面に対して固定されている。そして、支持部材32は、この接地側電極58の全面を放電側電極50から覆い隠している。このような接地側電極58として、導電性の材料(例えばステンレス等の金属)からなる板または網、あるいは、支持部材32の外表面に導電性材料を蒸着することによって形成された導電性膜を用いることができる。
なお、突起状電極52の先端と支持部材32との離間長さは、殺菌対象である蓋10が通過するために必要となる最小長さに、多少の余裕を加えた程度となるようにすることが好ましい。例えば、直径略30mm、高さ略20mmの図2に示す蓋10(500mlや300mlのPETボトルに対して広く用いられている蓋)を殺菌する場合には、この離間長さを25mm以上50mm以下とすることができる。
また、上述した支持部材32の厚み、すなわち、接地側電極58から処理槽38内までの長さは、安定した放電を生じさせることができる範囲で適宜変更することができる。例えば、直径略30mm、高さ略20mmの図2に示す蓋10を殺菌する場合には、この長さを0.5mm以上10mm以下とすることができる。
次に、高電圧パルス印加装置60について説明する。
高電圧パルス印加装置60は正極と負極とを有している。高電圧パルス印加装置60の正極は導電性板54に接続され、この導電性板54を介して放電側電極50と導通している。一方、高電圧パルス印加装置60の負極は接地側電極58と導通するとともに、接地されている。
高電圧パルス印加装置60は、蓋10を安定して殺菌することができるよう、電圧20kV以上200kV以下、周波数100Hz(pulse per second)以上3000Hz以下の高電圧パルスを放電極35と対向電極30との間に印加できるようになっていることが好ましい。ただし、高電圧パルス印加装置60の性能はこの範囲に限定されず、殺菌対象である蓋10の構成や求められる殺菌レベルに応じて、適宜変更される。
次に、湿熱殺菌手段70について詳述する。
本実施の形態において、湿熱殺菌手段70は、高温多湿の蒸気を供給する蒸気供給装置71を有している。蒸気供給装置71は、水、とりわけ純水を蒸発させた水蒸気と、空気とを混合した水蒸気混合空気を処理槽内38に導入することができるようになっている。図5および図8に示すように、このような蒸気供給装置71は、処理槽38内まで延びる管72と、管72を加熱するヒーター74と、管72に空気を供給する空気源76と、管72に水を水滴の状態で供給する水供給手段75と、を有している。
管72の末端に設けられた供給口73は処理槽38内に通じており、蓋10の処理槽38内における移動経路に沿って配置されている。本実施の形態において、供給口73は、支持部材32と、処理槽形成部材36の上部と、にそれぞれ取り付けられており、処理槽38内を移動する蓋10に対し、上方および下方から水蒸気(更に詳しくは、水蒸気混合ガス)を吹き付けるようになっている。
図8に示すように、水供給手段75から供給される水は、管内を通過して混合部72aに向けて送り込まれる。同様に、空気源76から供給される空気は管72内を通過して混合部72aに向けて送り込まれる。混合部72aにおいて、水供給手段75から供給される水は水滴状となり、空気とともにヒーター74に送り込まれる。その後、水滴状の水は、ヒーター74で加熱されることにより蒸発して水蒸気となり、加熱された空気と合わさって水蒸気混合空気が生成されるようになっている。生成された水蒸気混合空気は供給口73を介して処理槽38内に導入されるようになっている。
また、図8に示すように、本実施の形態における蒸気供給装置71は、管72を加熱(保温)するためのテープヒーター(リボンヒーター)77をさらに有しており、テープヒーター77はヒーター74以降処理槽38近傍までの管72に巻き付けられている。これにより、ヒーター74の加熱によって一度蒸気化した液体が、処理槽38内に至るまでに再凝縮することを格段に抑制することができる。
水供給手段75からの水の供給および空気源76からの空気の供給は、供給時間、供給量、供給圧力とも制御可能であり、流量計(図示せず)等の適当な計測器により監視することができるようになっていることが好ましい。また、ヒーター74およびテープヒーター77の加熱温度も制御可能であり、温度計等の適当な計測器により監視することができるようになっていることが好ましい。
なお、供給口73の取り付け位置および取り付け位置にともなった蒸気の処理槽38内への供給方向は、本実施の形態で説明する方法に限定されるものではなく、殺菌対象物や処理槽38等の形状等に対応して適宜変更することができる。
また、上述した蒸気供給装置71は水蒸気混合空気を処理槽38内に供給するようになっているが、水蒸気を処理槽38内に供給するようにしてもよい。この場合、蒸気供給装置71は、末端に供給口73を設けられ処理槽38内まで延びる管72と、管72を加熱するヒーター74と、管72に水を水滴の状態で供給する水供給手段75と、を有していればよい。
次に、乾燥手段80について詳述する。
図5に示すように、乾燥手段80は、末端に供給口83が設けられ処理槽38内まで延びる管82と、管82に加熱された空気を供給する温風源85と、を有し、加熱された空気を処理槽38内へ供給して処理槽38を乾燥させるようになっている。
管82の末端に設けられた供給口83は処理槽38内に通じており、蓋10の処理槽38内における移動経路に沿って配置されている。本実施の形態において、供給口83は、支持部材32と、処理槽形成部材36の上部と、にそれぞれ取り付けられており、処理槽38内を移動する蓋10に対し、上方および下方から加熱された空気を吹き付けるようになっている。ところで、処理槽38内に供給される高温空気の温度および供給量は、蓋10を完全に乾燥することができるよう、適宜調節することができるようになっている。なお、供給口83の取り付け位置および取り付け位置にともなった空気(温風)の処理槽38内への供給方向は、本実施の形態で説明する方法に限定されるものではなく、殺菌対象物や処理槽38等の形状等に対応して適宜変更することができる。
〔殺菌方法〕
次にこのような構成からなる容器の蓋の殺菌装置30により蓋10を殺菌する方法について説明する。
図4を用いて殺菌方法の概略を説明する。
まず、蓋10の殺菌処理に先立ち、殺菌装置30を収容するチャンバー内全体を、殺菌剤供給手段28を用いて殺菌する。殺菌装置30の殺菌が完了すると、搬送手段23を介して殺菌対象である蓋10が殺菌装置30内に順次送り込まれてくる。殺菌装置30内に送り込まれた蓋10は、支持部材32上を摺動して移動しながら、液体を付着させる工程(液体付着領域A1)と、放電側電極50と接地側電極58との間に高電圧パルスが印加され、大気圧プラズマの発生下で殺菌される工程(放電領域A2)と、湿熱殺菌を施される工程(湿熱殺菌領域A3)と、乾燥させられる工程(乾燥領域A4)と、を経る。その後、搬出手段25により殺菌装置10、さらにはチャンバー20内から搬出され、次工程(例えば密封工程)へと搬送される。このような殺菌方法によれば、多数の容器1を順次連続して効率的に殺菌処理することができる。
次に、殺菌対象である蓋10の移動にともなって、殺菌装置30内において蓋10になされる処理工程を順に詳述していく。
まず、液体付着領域A1(図4)において、液体付着手段40から殺菌装置30の処理槽38内に液体が供給される。上述したように、液体付着手段40は液体源43からの液体とガス源45からの空気とを二流体ノズル44に供給し、これにより、処理槽38内の蓋10には二流体ノズル44から霧状の液体が吹き付けられる。また、図5に示されているように、二流体ノズル44は蓋10の上方および下方の両方から霧状の液体を吹き付ける。これにより、蓋10の外面12だけでなく内面11にも霧状の液体、すなわち、微細な液滴を均一に付着させることができる。
例えば、直径略30mm、高さ略20mmの図2に示す蓋10を殺菌する場合には、この液体付着工程において、1つの蓋10に対して0.005gから0.1gの液体を付着させるようにすることが好ましい。
次に、液体を付着させられた蓋10は放電領域A2(図4)へと移動する。
この領域では、高電圧パルス印加装置60により放電側電極50および接地側電極58との間に高電圧パルスが印加されており、これにより、放電側電極50および接地側電極58との間に大気圧プラズマが発生している。とりわけ、本実施の形態によれば、放電側電極50をなす突起状電極52が規則的に配列されているため、電極50,58間の広い範囲(空間)にわたって均一で安定したプラズマを発生させることができる。そして、プラズマ化した気体が、蓋10に接触して蓋10の内面11および外面12が殺菌処理される。
このとき、プラズマは、放電側電極50と、接地側電極58に接触した支持部材32と、の間に発生する。そして、プラズマの発生する範囲は、その一部を支持部材32によって構成されるトンネル状の処理槽38内空間である。したがって、プラズマ化された気体が外方に拡散してしまうことが防止され、効率的に蓋10を殺菌することができる。
加えて、本実施の形態においては、微細な液滴が内面11および外面12へ均一に付着した蓋10が放電領域A2に送り込まれるようになっている。そして、本発明者らが鋭意研究を重ねた結果、液体を付着させた場合は液体を付着させていない場合に比べ、格段に高いレベルで蓋10の内面11および外面12を殺菌処理することができることが見出された。
なお、高電圧パルス印加装置60から印加する高電圧パルスの条件は上述した範囲で適宜調整される。また、高電圧パルスの印加を継続する時間は、例えば直径略30mm、高さ略20mmの図2に示す蓋10を殺菌する場合、0.1秒〜60秒、より好ましくは1秒〜10秒範囲とすることができる。
次に、大気圧プラズマの発生下で殺菌された蓋10は湿熱殺菌領域A3(図4)へと移動する。
この領域では、湿熱殺菌手段70の蒸気供給装置71により処理槽38内へ水蒸気混合空気が供給され、蓋10が湿熱殺菌される。
本実施の形態においては、空気源76が空気をヒーター74に供給するとともに、水供給手段75が水滴の状態で水をヒーター74に供給することにより、水蒸気混合空気が生成される。このような方法で水蒸気混合空気を生成する場合、ヒーター温度、供給空気流速、供給水流速等を監視することにより、液体が蒸発しきれずに水滴の状態で処理槽38内に噴射されることを防止することができ、また、処理槽38内へ供給される水蒸気化した水の量を所望の量に正確に調節することができる。
供給される水蒸気混合空気は、管72の端部に設けられた供給口73を介し、処理槽38内に供給され、処理槽38内の蓋10に吹き付けられる。図5に示されているように、供給口73は蓋10の上方および下方の両方から水蒸気混合空気を吹き付ける。蓋10の内面11および外面12に吹き付けられた水蒸気は蓋10に接触して結露し、蓋10の内面11および外面12に微細な水滴が均一に付着する。これにより、蓋10が複雑で入り組んだ複雑な形状(例えば、図3に示す蓋10のねじ14)を有するような場合であっても、蓋10の全表面に水滴を付着させ、これにより、蓋10をむらなく均一に湿熱殺菌することができる。なお、湿熱殺菌の条件は、殺菌すべき種々の菌に応じて、適切な条件を選択すればよい。例えば、直径略30mm、高さ略20mmの図2に示す1つの蓋10を殺菌する場合には、40℃から200℃、より好ましくは60℃から100℃の水蒸気混合ガスを蓋10に向けて供給するようにしてもよい。さらに、この湿熱殺菌工程および湿熱殺菌手段70を省くこともできる。
次に、湿熱殺菌された蓋10は乾燥領域A4(図4)へと移動する。
図5に示すように、乾燥領域A4では乾燥手段80により加熱された空気が処理槽38内へ供給される。処理槽38に供給される加熱された空気は、管82の端部に設けられた供給口83を介し、処理槽38内の蓋10に上方および下方の両方から吹き付けられる。これにより、液体付着領域A1で蓋10に付着した液体および湿熱殺菌工程で蓋10に付着した水が乾燥されていく。
その後、乾燥された蓋10は、搬出手段25により次工程へと搬送される。以上のようにして、多数の蓋10が順次殺菌されていく。
〔作用効果〕
以上のように殺菌方法および殺菌装置30の第1の本実施の形態によれば、殺菌対象である蓋10に液体を付着させ、その後、該蓋10を大気圧プラズマの発生下で殺菌処理する。このような殺菌方法によれば、高い殺菌能力を有した活性酸素種が、蓋10の内面11および外面12に接触し、蓋10の内面11および外面12を高いレベルで殺菌することができる。とりわけ本実施の形態においては、殺菌装置30は両端が開放したトンネル状の処理槽38有しており、この処理槽38内にプラズマ化した気体が発生する。したがって、プラズマ化した気体の拡散を防止し、処理槽38および放電側電極50とともに蓋10に対して、高いレベルでむらなく均一な殺菌処理を安定して信頼性高くかつ効率的に施すことができる。
また、本実施の形態によれば、殺菌装置30が湿熱殺菌手段70を有し、蓋10に対し湿熱殺菌を施すようになっている。したがって、より信頼性の高い殺菌を蓋10に対して行うことができる。とりわけ本実施の形態においては、蒸気供給装置71により、水を完全に蒸発させた水蒸気に蓋10を曝している。したがって、殺菌対象である蓋10が複雑な形状を有するような場合であっても、蓋10の全面に極微細な水滴をむらなく均一に付着させることができ、これにより、蓋10の内面11および外面12をむらなく均一に湿熱殺菌することができる。
さらに、本実施の形態によれば、二流体ノズル44から吹き出される霧状の液体に蓋10を曝すことによって、蓋10に液体を付着させるようになっている。したがって、簡易な方法および手段により蓋10に付着する液滴を微細にすることができ、これにより、大気圧プラズマの発生が安定し、信頼性の高い殺菌処理を行うことができる。とりわけ本実施の形態によれば、蓋10に対して上方および下方の両方から霧状の液体を吹き付けるようになっている。したがって、液体が蓋10の内面11及び外面12にむらなく付着し、これにより、蓋10の内面11及び外面12をむらなく殺菌処理することができる。
さらに、本実施の形態によれば、放電側電極50が規則的に配列された多数の突起状電極52を有している。したがって、大気圧プラズマを均一かつ安定して発生させることができる。また、突起状電極52を多数用いることにより、広い範囲でプラズマを発生させることができ、これにより、多数の蓋10に対し効率的に殺菌処理を行うことができる。とりわけ本実施の形態によれば、突起状電極52が千鳥状に配列されているので、多数の突起状電極52が均一な距離だけ互いから離間している。したがって、大気圧プラズマをより均一かつ安定して発生させることができる。
さらに、本実施の形態によれば、支持部材32がレール状の突起34を有しており、このレール状の突起34に支持された蓋10を、プラズマ化した気体に曝すようになっている。したがって、高い殺菌能力を有した活性酸素種が蓋10の内面11及び外面12にむらなく接触するようし、これらにより、蓋10の内面11及び外面12をむらなくより均一に殺菌処理することができる。
さらに本実施の形態によれば、蓋10が支持部材32上を摺動して移動し、これにより、多数の蓋10が連続して殺菌されるようになっている。したがって、多数の蓋10を連続して効率的に殺菌することができる。
〔変形例〕
上述した第1の実施の形態に関し、本発明の要旨の範囲内で種々の変更が可能である。以下、変形例の一例について説明する。
(処理槽38および蓋10の移動方法の変形)
上述した第1の実施の形態において、空気の吐出によりあるいは搬送手段23によって、多数の蓋10が処理槽38(支持部材32)の一側端部から押し込まれ、処理槽38内(支持部材32上)を摺動して移動する例を示したがこれに限られず、例えば、図9乃至図11に示すように変形してもよい。図9乃至図11に示す例においては、一端が塞がれた略円筒状からなる蓋10が、その円筒状の側面が支持部材32に接触するようにして処理槽38内を移動する。この例においては、図10および図11に示すように、上述した実施の形態と同様に、ガイド37が処理槽38内に設けられている。ガイド37の構成は、殺菌対象である蓋10への液体の付着や活性酸素種の接触等を阻害しないよう、適宜設計される。また、この例においては、蓋10にむらなく液体を付着させるため、蓋10をむらなく湿熱処理するため、並びに、蓋10をむらなく乾燥させるため、処理槽38の両側方から、液体の吹きつけ、水蒸気の吹きつけ、並びに、加熱された空気の吹きつけが行われることが好ましい(図11)。このような例によれば、蓋10は回転しながら支持部材32上を移動するようになり、より滑らかな移動を期待することができる。なお、図9乃至図11におけるその他の部分は、図1乃至8を参照しながら上述した第1の実施の形態と略同一であり、重複する詳細な説明は省略する。
また、上述した第1の実施の形態において、平板状からなる支持部材32と、断面コ字状を有する処理槽形成部材36と、によって断面矩形状を有する処理槽38が構成される例を示したが、これに限られず、適宜変更することができる。例えば、処理槽形成部材36や支持部材32の形状を適宜変更してもよいし、処理槽形成部材36と支持部材32とが一体に形成されてもよい。
さらに、上述した第1の実施の形態において、平板状からなる支持部材32と、断面コ字状を有する処理槽形成部材36と、によって処理槽38が形成された例を示したが、これに限られず、例えば筒状を有し両端が開放された処理槽形成部材36内に、処理槽形成部材36とは別体の支持部材32が配置されるようにしてもよい。
(液体付着手段40の第1の変形例)
上述した実施の形態において、液体付着手段40の噴霧装置42が、二流体ノズル44と、液体源43と、ガス源45と、を有し、処理槽38内の蓋10に霧状の液体を吹き付けるようにした例を示したが、これに限られず、霧状の液体を吹き付けるその他の手段を用いることも可能である。例えば、噴霧装置42が、蓋10の処理槽38内における移動経路に沿って配置された1以上の一流体ノズルと、一流体ノズルに液体を供給する液体源と、を有するように構成し、処理槽38内の蓋10に霧状の液体を吹き付けるようにしてもよい。あるいは、噴霧装置42が、蓋10の処理槽38内における移動経路に沿って配置された1以上の供給口と、供給口に連通し液体を霧状にして放出するネブライザーと、を有するように構成し、処理槽38内の蓋10に霧状の液体を吹き付けるようにしてもよい。
(液体付着手段40の第2の変形例)
上述した実施の形態において、液体付着手段40が処理槽38内に霧状の液体を供給し、蓋10を霧状の液体に曝すようにした例を示したが、これに限られず、液体付着手段40が処理槽38内へ蒸気を供給する蒸気供給装置を有し、蓋10を蒸気に曝すようにしてもよい。このような蒸気供給装置として、図5および図8を参照しながら説明した蒸気供給装置70や、バブラー方式(いわゆる、バブリング)や膜方式等を用いたその他の蒸気発生手段を用いることができる。
蓋10が加熱された高温の水蒸気に曝されると、蓋10の表面に結露が生じる。したがって、蓋10が複雑な形状を有するような場合であっても、蓋10の内面11および外面12に極めて微細な液滴をむらなく均一に付着させることができる。これにより、大気圧プラズマの発生下において、蓋10をより高いレベルでよりむらなく均一に殺菌することができる。
また、蒸気供給装置から処理槽38内に供給される蒸気の温度を調整することにより、この蒸気供給装置を用いた液体付着工程と、湿熱殺菌工程と、を並行して行うことができるようになる。この場合、上述した第1の実施の形態における湿熱殺菌工程および殺菌装置30の湿熱殺菌手段70を省略することができる。
(液体付着手段40の第3の変形例)
上述した実施の形態において、液体付着手段40が処理槽38内に霧状の液体を供給し、蓋10を霧状の液体に曝すようにした例を示したが、これに限られず、図12に示すように、液体付着手段40が蓋10を冷却する冷却装置46を有し、冷却装置46により蓋10を冷却し、その後、冷却した蓋10を空気中に曝してその表面に結露を生じさせ、これにより、蓋10に液体を付着させるようにしてもよい。図12に示す冷却装置46の一例は、末端に供給口47が設けられ処理槽38内まで延びる管48と、管48に冷却した媒体(気体等)を供給する冷却媒体源49と、を有している。冷却媒体源49は、例えば液体窒素によって冷却された空気を供給するようにしてもよいし、液体窒素を気化させた低温窒素を供給するようにしてもよいし、あるいは、液体窒素を管48に供給し、適当なノズル(例えば、一流体ノズルや二流体ノズル)を有する供給口47を介し、処理槽38内に液体窒素を吹き付けるようにしてもよい。なお、冷却媒体源49から供給される媒体温度、媒体流速等が制御可能であり、適当な計測器によって監視することができるようになっていることが好ましい。
この例において、例えば直径略30mm、高さ略20mmの図2に示す蓋10を殺菌する場合、冷却装置46が蓋10を0℃以上20℃以下に冷却することができるようになっていることが好ましい。この温度まで蓋10を冷却した場合、結露によって1つの蓋10に付着する液体量が、上述した大気圧プラズマ下における殺菌に適した範囲内となるからである。
このような例によれば、蓋10の内面11および外面12に極めて微細な液滴をむらなく均一に付着させることができる。これにより、大気圧プラズマの発生下において、蓋10をより高いレベルでよりむらなく均一に殺菌することができる。なお、図12におけるその他の部分は、図1乃至8を参照しながら上述した第1の実施の形態と略同一であり、重複する詳細な説明は省略する。
(液体付着手段40に関連する変形例)
上述した実施の形態において、液体付着手段40のガス源45がプラズマ生成に寄与するガスを供給するようにしてもよい旨を説明したが、これに限られず、さらに、液体付着手段40とは別途、置換用ガス供給手段を設けるようにしてもよい。この場合、置換用ガス供給手段は、処理槽38内の放電領域A2に置換用ガスを導入し、電極50,58間の雰囲気をプラズマの生成に適したガスで置換することができるようにすることが好ましい。
(湿熱殺菌手段70の第1の変形例)
上述した第1の実施の形態において、湿熱殺菌手段70の蒸気供給装置71が、処理槽38内まで延びる管72と、管72を加熱するヒーター74と、管72に空気を供給する空気源76と、管72に水を水滴の状態で供給する水供給手段75と、を有している例を示したが、これに限られず、水蒸気を処理槽38内に供給し、蓋10を水蒸気に曝すことができる限りにおいて限定されない。蒸気供給装置71として、例えば、バブラー方式や膜方式等を用いたその他の蒸気発生手段を用いることができる。
(湿熱殺菌手段70の第2の変形例)
上述した実施の形態において、湿熱殺菌手段70が処理槽38内に水蒸気を供給し、蓋10を水蒸気に曝すようにした例を示したが、これに限られず、蓋10を直接温水に接触させて、湿熱殺菌処理を行うようにしてもよいし、さらには、その他の公知な湿熱殺菌手段を用いて湿熱殺菌処理するようにしてもよい。
<第2の実施の形態>
次に、図13を用い、本発明による殺菌方法および殺菌装置の第2の実施の形態について説明する。
図13に示す第2の実施の形態は、上述した第1の実施の形態と、液体付着手段および支持部材の構成が異なるのみであり、その他の構成は略同一である。したがって、図13において、図1乃至図12を用いて説明した第1の実施の形態およびその変形例と同一部分には同一符号を付すとともに、重複する詳細な説明は省略する。
図13に示すように、本実施の形態における、液体付着領域A1および放電領域A2には、導電性板からなる接地側電極58の周囲を回転する無端ベルト93と、無端ベルト93を張設し回転駆動する支持ロール94と、を有したベルトコンベア92が配置されている。そして、液体付着領域A1および放電領域A2における支持部材は、無端ベルト93として形成されている。すなわち、本実施の形態において、殺菌対象である多数の蓋10は、ベルトコンベア92の無端ベルト93によって、液体付着領域A1および放電領域A2(放電側電極50と接地側電極58との間)を搬送され、連続して殺菌されていく。また、液体付着領域A1および放電領域A2における処理槽38は、無端ベルト93の一部(図示する例においては、無端ベルト93の噴霧装置42および放電側電極50に対向する部分)と、処理槽形成部材36と、によって構成されている。
このようなベルトコンベア92の無端ベルト93は、接地側電極58を放電側電極50から覆い、放電側電極50と接地側電極58との間で誘電体としても機能する。したがって、無端ベルト93は、フッ素系樹脂やシリコンゴム等の誘電性材料から構成され得る。
また、図13に示すように、本実施の形態において、液体付着手段90は、第1の実施の形態で説明した噴霧装置42と、接地側電極58の放電側電極50に対向しない側に配置され、液体を収容する液体槽91と、を有している。そして、無端ベルト94の少なくとも一部、図示する例においては、蓋10を支持していない部分(無端ベルト93の噴霧装置42および放電側電極50に対向していない部分)が液体槽91内に配置されるようになっている。
このような殺菌装置30を用いて殺菌する場合、液体付着領域A1において蓋10は無端ベルト93によって支持搬送されるとともに、噴霧装置42からの噴霧によって霧状の液体に曝される。ここで、蓋10を支持する無端ベルト93は液体槽91内を通過してきているので、その蓋10を支持する面には液体が付着している。したがって、液体を付着させられた蓋10が、液体を付着させられた無端ベルト(支持部材)93によって放電領域A2に移動する。
ここで、噴霧装置42の液体源43から供給される液体と、液体槽91に蓄えられている液体と、が異なっていてもよい。すなわち、噴霧装置42によって蓋10および支持部材32に付着させられる液体と、液体槽91によって支持部材32に付着させられる液体と、は必ずしも同一である必要はない。
上述したように、放電領域A2では、電極50,58間に高電圧パルスが印加され、電極間に大気圧プラズマが生じる。また、蓋10および支持部材32には、液体が付着している。したがって、殺菌能力を有する活性酸素種との接触により、蓋10、無端ベルト93、および放電側電極50が高いレベルで殺菌処理される。
なお、本実施の形態において、無端ベルト93の蓋10を支持する側の面に上述したレール状の突起34を設けるようにしてもよい。
また、液体付着手段90の一部を構成する噴霧装置42を、上述した「(液体付着手段40の第1の変形例)」に示されているように変形することができ、また、上述した「(液体付着手段40の第2の変形例)」および「(液体付着手段40の第3の変形例)」に示されているように蒸気供給装置や冷却装置に置き換えることもできる。さらに、液体槽91から無端ベルト93に十分な量の液体が供給される場合には、噴霧装置42を削除する、すなわち、液体付着領域A1において支持部材(無端ベルト)93のみに液体を付着させるようにしてもよい。
さらに、本実施の形態においては、無端ベルト93が液体槽91内を通過することにより無端ベルト(支持部材)93に液体を付着させているが、これに限られず、上述した、噴霧装置42、蒸気供給装置71、冷却装置46等の液体付着手段40を用い、無端ベルト(支持部材)93および蓋10、あるいは無端ベルト(支持部材)93のみに液体を付着させるようにしてもよい。
さらに、本実施の形態において、噴霧装置42および放電側電極50に対向する領域に無端ベルト93が配置されている例を示したが、これに限られない。例えば、放電側電極50に対向する領域のみに無端ベルト93を配置するようにしてもよいし、あるいは殺菌装置の一側端部から他側端部までに渡って無端ベルト93を配置するようにしてもよい。
ところで、液体付着領域A1および放電領域A2以外における殺菌装置30および殺菌方法は、上述した第1の実施の形態およびその変形例と同一にすることができる。
<第3の実施の形態>
次に、図14および図15を用い、本発明による殺菌方法および殺菌装置の第3の実施の形態について説明する。
図14および図15に示す第3の実施の形態は、上述した第1の実施の形態と、液体付着手段、支持部材、接地側電極の構成が異なるのみであり、その他の構成は略同一である。したがって、図14および図15において、図1乃至図12を用いて説明した第1の実施の形態およびその変形例と同一部分には同一符号を付すとともに、重複する詳細な説明は省略する。
図14および図15に示すように、本実施の形態においては、液体付着手段90の噴霧装置42および放電側電極50に対向し、連続して配置された多数のロール96を有したロールコンベア95が配置されている。また、放電側電極50に対向するロールコンベア95の各ロール96は、外周部分97と外周部分97に覆われた導電性材料からなる心材98と、を有している。そして、噴霧装置42に対向する支持部材はロールコンベア95の各ロール96から形成され、放電側電極50に対向する支持部材は各ロール96の外周部分97によって形成されている。
また、図15に示すように、放電領域A2(放電側電極50と接地側電極58との間)における各ロール96の心材98は、高電圧パルス印加装置60の負極とともに接地されており、接地側電極を形成している。また、放電領域A2(放電側電極50と接地側電極58との間)におけるロール96の外周部分97は、アクリル樹脂、セラミック、ポリカーボネイト、ポリ塩化ビニル、フッ素系樹脂、ガラス等の各種の誘電性材料からなり、放電側電極50と接地側電極98との間で誘電体としても機能する。
すなわち、本実施の形態において、殺菌対象である多数の蓋10は、ロールコンベア95の各ロール96に支持されながら殺菌装置30内を移動し、連続して液体付着および殺菌処理を施されていく。また、液体付着および殺菌処理をなされる間に蓋10が収容される処理槽38は、支持部材(ロール96またはロール96の外周部分97)と、処理槽形成部材36と、によって構成されている。なお、ロールコンベア95の各ロール96が図示しない駆動機構に回転駆動され蓋10を搬送するようにしてもよいし、上述したように、搬入手段23あるいは空気の吹き付けにより蓋10が押し出され蓋10が移動するようにしてもよい。
また、図14に示すように、本実施の形態における液体付着手段90は、上述した第2の実施の形態と同様に、第1の実施の形態で説明した噴霧装置42と、接地側電極58の放電側電極50に対向しない側に配置され、液体を収容する液体槽91と、を有している。そして、ロールコンベア95のロール96の少なくとも一部分が液体槽91内に配置されるようになっている。
なお、上述した第2の実施の形態と同様に、噴霧装置42の液体源43から供給される液体と、液体槽91に蓄えられている液体と、が異なっていてもよい。
このような殺菌装置30を用いて殺菌する場合、蓋10はロールコンベア95によって支持されながら殺菌装置30内を移動するとともに、噴霧装置42からの噴霧によって霧状の液体に曝される。また、蓋10を支持するロールコンベア95の各ロール96の表面は回転しながら液体槽91内の液体に浸されるので、液体槽91内の液体を蓋10に支持面側から付着させることができる。
一方、放電側電極50と接地側電極(ロール97の心材)98との間では、電極50,58間に高電圧パルスが印加され、大気圧プラズマの発生にともない殺菌能力を有した活性酸素種が生成される。また、蓋10および支持部材32には、液体が付着している。したがって、殺菌能力を有する活性酸素種との接触により、蓋10、無端ベルト93、および放電側電極50が高いレベルで殺菌処理される。
ところで、放電側電極50と接地側電極(ロール97の心材)98との間における支持部材は各ロール96の外周部分97によって形成される。そして、この外周部分97は回転しながら液体槽91内に浸される。すなわち、本実施の形態においては、液体付着領域A1と放電領域A2とが重複していることになる。
なお、本実施の形態において、ロールコンベア95の各ロール96の外周面に、蓋10を支持するレール状の突起34を設けるようにしてもよい。
また、液体付着手段90の一部を構成する噴霧装置42を、上述した「(液体付着手段40の第1の変形例)」に示されているように変形することができ、また、上述した「(液体付着手段40の第2の変形例)」および「(液体付着手段40の第3の変形例)」に示されているように蒸気供給装置や冷却装置に置き換えることもできる。さらに、液体槽91からロール96の外周部分97に十分な量の液体が供給される場合には、噴霧装置42を削除する、すなわち、支持部材(ロール96の外周部分)97のみに液体を付着させるようにしてもよい。
さらに、本実施の形態において、噴霧装置42および放電側電極50に対向する領域にロールコンベア95が配置されている例を示したが、これに限られない。例えば、放電側電極50に対向する領域のみにロールコンベア95を配置するようにしてもよいし、あるいは殺菌装置の一側端部から他側端部までに渡ってロールコンベア95を配置するようにしてもよい。
ところで、液体付着領域A1および放電領域A2以外における殺菌装置30および殺菌方法は、上述した第1の実施の形態およびその変形例と同一にすることができる。
<第4の実施の形態>
次に、図16および図17を用い、本発明による殺菌方法および殺菌装置の第4の実施の形態について説明する。
図16および図17に示す第4の実施の形態は、上述した第1の実施の形態と、放電側電極および接地側電極の構成が異なるのみであり、その他の構成は略同一である。したがって、図16および図17において、図1乃至図12を用いて説明した第1の実施の形態およびその変形例と同一部分には同一符号を付すとともに、重複する詳細な説明は省略する。
図16に示すように、本実施の形態における殺菌方法においては、放電領域A2が第1の放電領域A2aと、第2の放電領域A2bと、に分割されている。これにともなって、本実施の形態における殺菌装置30は、蓋10の移動経路に沿って配置された2つの電極(第1放電側電極50aおよび第1接地側電極58a)と、蓋10の移動経路に沿ってこれら2つの電極50a,58aの下流側に配置されたさらなる2つの電極(第2放電側電極50bおよび第2接地側電極58b)と、を有している。
図16に示すように、第1放電領域A2aにおける第1放電側電極50aは、支持部材32および殺菌対象物10に対して上側(一側)に配置され、第1接地側電極58aは、支持部材32および殺菌対象物10を挟み第1放電側電極50aの反対側となる下側(他側)に配置されている。図16および図5の比較から明らかなように、第1放電領域A2aにおける第1放電側電極50aおよび第1接地側電極58aの構成は、上述した第1の実施の形態における放電側電極50および接地側電極58の構成と同一となっている。また、第1放電領域A2内における処理槽38等の他の構成要素の構成も、上述した第1の実施の形態における該当する構成要素の構成と同一となっている。
一方、図16に示すように、第2放電領域A2bにおける第2放電側電極50bは、支持部材32aおよび殺菌対象物10に対して下側(他側)に配置され、第2接地側電極58bは、支持部材32aおよび殺菌対象物10を挟み第1放電側電極50aの反対側となる上側(一側)に配置されている。また、図17に示すように、第2放電領域A2bにおいて、支持部材32aは上述したレール状突起34のみから構成されており、処理槽38aは断面ロ字状を有した四角形筒状からなる処理槽形成部材36aによって形成されている。また、支持部材32をなすレール状突起34は、処理槽38a内に支持されている。
このような殺菌装置30を用いて殺菌する場合、第1放電領域A2aおよび第2放電領域A2bにおいて活性酸素種の発生状態および蓋10への接触状態が異なるようになり、これにより、複雑な形状を有する殺菌対象物をむらなくより均一に殺菌することができるようになる。
なお、このような作用効果は、支持部材32,32aと殺菌対象物である蓋10とに対する放電側電極および接地側電極の相対位置が放電領域A2中で変化するようにすることにより、得られるものと考えられる。したがって、図16および図17に示す例に限られず、支持部材と蓋10とに対し所定の側に第1放電側電極50aが配置され、支持部材と蓋10とを挟み該第1放電側電極50aの反対の側に第1接地側電極58aが配置されるとともに、支持部材と蓋10とに対し前記所定の側以外の側に第2放電側電極50bが配置され、支持部材と蓋10とを挟み該第2放電側電極50bの反対の側に第2接地側電極58bが配置されるようにしてもよい。また、支持部材および蓋10に対する相対位置関係が異なる第1放電側電極50aおよび第1接地側電極58aと、第2放電側電極50bおよび第2接地側電極58bと、を同一区間内に設け、時間的な隔たりを設けて各電極間に高電圧パルスを印加するようにしてもよい。さらに、放電領域A2内に放電側電極と接地側電極を1つずつ設けるとともに、時間的に極性を変化させるようにして、電極間に高電圧パルスを印加するようにしてもよい。さらに、3組以上の放電側電極および接地側電極を設けるようにしてもよいし、1組の放電側電極および接地側電極間に3回以上極性を変化させるようにして高電圧パルスを印加してもよい。
ところで、放電領域A2以外における殺菌装置30および殺菌方法は、上述した第1の実施の形態およびその変形例と同一にすることができる。
液体付着条件および放電条件が変更された4つの実験を行い、各実験における殺菌効果の評価を行った。
(殺菌対象物)
実験1乃至実験4の殺菌対象物として、図2に示すような一端が開放された中空部材からなり、略円筒状の形状を有するPETボトル用の蓋を用いた。この蓋の直径は略30mmであり、高さは略20mmであった。このような蓋の内面の底部(底面)およびネジ部、並びに、外面の底部(底面)および胴部(側部)に、Bacillus subtilisあるいはAspergillus nigerの胞子を10箇所ずつ付着させた。
(液体付着条件)
実験1および実験4では、噴霧装置を用い、霧状の水に曝すことによって蓋に水を付着させた。実験2では、蒸気供給装置を用い、水蒸気に曝すことによって蓋に液体を付着させた。実験3では、冷却装置を用い、冷却してその後に結露を生じさせることによって、蓋に液体を付着させた。
なお、実験1乃至4において、蓋に付着させられた水の量はすべて0.02gであった。ここで、水の付着量は、水付け前後における蓋の重量を測定し、その差により計量した。
(放電条件)
放電側電極および接地側電極の構成:実験1乃至実験3では、放電側電極および接地側電極を蓋に対して図5に示すように配置した。実験4では、放電側電極および接地側電極を蓋に対して図16に示すように配置した。
放電電圧:75kv
パルス周波数:1000Hz
放電時間:30秒以下
なお、実験1、実験2、および実験3では、図5に示す状態で放電した。一方、実験4では、図16中のA2a領域における状態で一定時間放電し、その後、図16中のA2b領域における状態で同一時間放電した。すなわち、実験1、実験2、および実験3においては、蓋に対する放電側電極および接地側電極の相対位置関係を放電中一定としたのに対し、実験4においては、蓋の対する放電側電極と接地側電極との配置を放電途中に逆転させた。ただし、合計放電時間は、実験1乃至実験4で同一となるようにした。
(培養方法)
菌付けされた後に殺菌処理を施された蓋を、ビーカー中に蓄えられた寒天培地内に浸し、以下の条件で培養させた。
Bacillus subtilis :標準寒天培地,35℃,10日間
Aspergillus niger :ポテトデキストロース寒天培地,25℃,10日間
培養後、以下の式1から殺菌効果D値を算出し、殺菌効果を評価した。結果を表1に示す。
殺菌効果D値=−log(生存菌数/初発菌数)・・・式1
Figure 2007145407
いずれの実験においても、高いレベルで蓋を殺菌することができた。とりわけ、実験4においては、蓋の内面と外面とをむらなく高いレベルで殺菌することができた。
無菌充填方法の概略工程図。 殺菌対象となる蓋の一例を示す斜視図。 殺菌対象となる蓋を備えた容器を示す概略線図。 本発明による殺菌方法および殺菌装置の第1の実施の形態を示す概略構成図。 第1の実施の形態における殺菌方法および殺菌装置を示す側面図。 第1の実施の形態における殺菌方法および殺菌装置を示す断面図。 第1の実施の形態における放電側電極の配列を説明する図。 第1の実施の形態における湿熱殺菌手段の概略構成図。 殺菌方法および殺菌装置の第1の実施の形態の変形例を示す側面図。 殺菌方法および殺菌装置の第1の実施の形態の変形例を示す断面図。 殺菌方法および殺菌装置の第1の実施の形態の変形例を示す断面図。 殺菌方法および殺菌装置の第1の実施の形態の他の変形例を示す側面図。 本発明による殺菌方法および殺菌装置の第2の実施の形態を示す側面図。 本発明による殺菌方法および殺菌装置の第3の実施の形態を示す側面図。 第3の実施の形態におけるロールコンベアを示す上面図。 本発明による殺菌方法および殺菌装置の第4の実施の形態を示す側面図。 第4の実施の形態における殺菌方法および殺菌装置を示す断面図。
符号の説明
10 蓋
18 容器
30 容器の蓋の殺菌装置
32,32a 支持部材
34 突起
38,38a 処理槽
40 液体付着手段
42 噴霧装置
46 冷却装置
50 放電側電極
50a 第1放電側電極
50b 第2放電側電極
52 突起状電極
58 接地側電極
58a 第1接地側電極
58b 第2接地側電極
60 高電圧パルス印加装置
70 湿熱殺菌手段
71 蒸気供給装置
80 乾燥手段
90 液体付着手段
91 液体槽
93 無端ベルト
95 ロールコンベア
96 ロール
97 外周部分
98 外周部分に覆われる部分(心材)

Claims (21)

  1. 殺菌対象物および前記殺菌対象物を支持する支持部材の少なくとも一方に液体を付着させる工程と、
    前記支持部材と前記支持部材に支持された殺菌対象物とを挟むようにして配置された電極間に高電圧パルスを印加して、前記電極間に大気圧プラズマを生じさせる工程と、を備えたことを特徴とする殺菌方法。
  2. 前記液体を付着させる工程は、
    前記支持部材および前記殺菌対象物の少なくとも一方を冷却する工程と、
    冷却された該支持部材および殺菌対象物の少なくとも一方を空気中に曝しその表面に結露を生じさせる工程と、を有することを特徴とする請求項1に記載の殺菌方法。
  3. 前記殺菌対象物が前記支持部材上を摺動して移動し、あるいは前記支持部材上を回転して移動し、これにより、多数の殺菌対象物が順次殺菌されることを特徴とする請求項1または2に記載の殺菌方法。
  4. 前記支持部材が、前記電極のいずれか一方の周囲を回転する無端ベルトを有し、
    前記殺菌対象物が前記無端ベルトによって前記電極間を搬送され、これにより、多数の殺菌対象物が順次殺菌されることを特徴とする請求項1または2に記載の殺菌方法。
  5. 前記無端ベルトが液体を収容する槽内を通過し、これにより、前記無端ベルトからなる支持部材に液体が付着することを特徴とする請求項4に記載の殺菌方法。
  6. 前記支持部材がロールコンベアのロールの外周部分を含み、前記電極のいずれか一方が前記ロールの外周部分に覆われた部分を含み、
    前記殺菌対象物が前記ロールコンベア上を搬送されることによって前記電極間を移動し、これにより、多数の殺菌対象物が順次殺菌されることを特徴とする請求項1または2に記載の殺菌方法。
  7. 前記各ロールの一部分が液体を収容する槽内に配置され、前記ロールが回転することにより前記ロールの外周部分からなる支持部材に液体が付着することを特徴とする請求項6に記載の殺菌方法。
  8. 前記電極間に高電圧パルスを印加する工程は、
    前記支持部材および前記殺菌対象物に対し所定の側に配置された放電側の電極と、前記支持部材および前記殺菌対象物を挟み該放電側電極の反対の側に配置された接地側の電極と、の間に高電圧パルスが印加される第1印加工程と、
    前記支持部材および前記殺菌対象物に対し前記所定の側以外の側に配置された放電側の電極と、前記支持部材および前記殺菌対象物を挟み該放電側電極の反対の側に配置された接地側の電極と、の間に高電圧パルスが印加される第2印加工程と、を有することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の殺菌方法。
  9. 前記第1印加工程において、前記放電側電極が前記支持部材および前記殺菌対象物の一側に配置されるとともに、前記接地側電極が前記支持部材および前記殺菌対象物の他側に配置された状態で、高電圧パルスが印加され、
    前記第2印加工程において、前記放電側電極が前記支持部材および前記殺菌対象物の他側に配置されるとともに、前記接地側電極が前記支持部材および前記殺菌対象物の一側に配置された状態で、高電圧パルスが印加されることを特徴とする請求項8に記載の殺菌方法。
  10. 電極間に高電圧パルスを印加して大気圧プラズマを発生させ殺菌対象物を殺菌する殺菌装置において、
    前記殺菌対象物を支持する支持部材と、
    前記支持部材および前記殺菌対象物の少なくとも一方に液体を付着させる液体付着手段と、
    前記支持部材および前記支持部材に支持された殺菌対象物を挟むようにして配置された2つの電極と、
    前記電極間に高電圧パルスを印加する高電圧パルス印加装置と、を備えたことを特徴とする殺菌装置。
  11. 前記液体付着手段は、前記支持部材および前記殺菌対象物の少なくとも一方を冷却する冷却装置を有し、
    冷却された該支持部材および殺菌対象物の少なくとも一方を空気中に曝しその表面に結露を生じさせ、これにより、液体を付着させるようになっていることを特徴とする請求項10に記載の殺菌装置。
  12. 前記支持部材は、レール状に延びる突起であって、前記電極間に高電圧パルスが印加される際に前記殺菌対象物を支持する突起を有することを特徴とする請求項10または11に記載の殺菌装置。
  13. 前記支持部材は細長状に延び、
    前記殺菌対象物は前記支持部材上を摺動して移動し、あるいは前記支持部材上を回転して移動し、これにより、多数の殺菌対象物を順次殺菌するようになっていることを特徴とする請求項10乃至12のいずれか一項に記載の殺菌装置。
  14. 前記電極のいずれか一方は導電性板を有し、
    前記支持部材は、前記導電性板の周囲を回転する無端ベルトを有し、
    前記殺菌対象物が前記無端ベルトによって前記電極間を搬送され、これにより、多数の殺菌対象物を順次殺菌するようになっていることを特徴とする請求項10乃至12のいずれか一項に記載の殺菌装置。
  15. 前記液体付着手段は、前記いずれか一方の電極の他方の電極に対面しない側に配置され液体を収容する槽を有し、
    前記無端ベルトの少なくとも一部分が槽内に配置されることを特徴とする請求項14に記載の殺菌装置。
  16. 前記支持部材が、連続して配置された多数のロールを有するロールコンベアのロールの外周部分を含み、前記電極のいずれか一方が前記ロールの前記外周部分に覆われた部分を含み、
    前記殺菌対象物が前記ロールコンベア上を搬送され、これにより、多数の殺菌対象物を順次殺菌するようになっていることを特徴とする請求項10乃至12のいずれか一項に記載の殺菌装置。
  17. 前記液体付着手段は、前記いずれか一方の電極の他方の電極に対面しない側に配置され液体を収容する槽を有し、
    前記ロールの少なくとも一部分が槽内に配置されることを特徴とする請求項16に記載の殺菌装置。
  18. 両端が開放された処理槽をさらに備え、
    殺菌対象物を収容した処理槽内で大気圧プラズマを生じさせるようになっていることを特徴とする請求項10乃至17に記載の殺菌装置。
  19. 前記支持部材および前記支持部材に支持された殺菌対象物を挟むようにして配置されたさらなる2つの電極を、さらに備え、
    前記2つの電極は、前記支持部材および前記殺菌対象物に対し所定の側に配置された第1放電側電極と、前記支持部材および前記殺菌対象物を挟み該第1放電側電極の反対の側に配置された第1接地側電極と、を有し、
    前記さらなる2つの電極は、前記支持部材および前記殺菌対象物に対し前記所定の側以外の側に配置された第2放電側電極と、前記支持部材および前記殺菌対象物を挟み該第2放電側電極の反対の側に配置された第2接地側電極と、を有することを特徴とする請求項10乃至18のいずれか一項に記載の殺菌装置。
  20. 電極間を移動させながら前記殺菌対象物を殺菌するようになっており、
    前記さらなる2つの電極は、前記殺菌対象物の移動経路に沿って前記2つの電極の下流側に配置されていることを特徴とする請求項19に記載の殺菌装置。
  21. 前記第2接地側電極は、前記支持部材および前記殺菌対象物に対し前記所定の側に配置され、前記第2放電側電極は、前記支持部材および前記殺菌対象物を挟み該第2接地側電極の反対の側に配置されていることを特徴とする請求項20に記載の殺菌装置。
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