JP2007142070A - 導電性高分子用ドーパント溶液、導電性高分子用酸化剤兼ドーパント、導電性組成物、固体電解コンデンサおよびその製造方法 - Google Patents

導電性高分子用ドーパント溶液、導電性高分子用酸化剤兼ドーパント、導電性組成物、固体電解コンデンサおよびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 導電率の高い導電性組成物を良好な反応効率で形成するための酸化剤兼ドーパント、該酸化剤兼ドーパントを構成するためのドーパント溶液、該導電性組成物、および該導電性組成物を用いた固体電解コンデンサとその製造方法を提供する。
【解決手段】 ナフタレンスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸、アントラキノンスルホン酸およびアントラキノンジスルホン酸よりなる群から選択される1種以上の芳香族スルホン酸を特定濃度で含有する導電性高分子用ドーパント溶液、該ドーパント溶液と過硫酸塩を特定濃度で含有する水溶液で構成されるか、上記ドーパント溶液と上記過硫酸塩水溶液の接触により析出物として得られる導電性高分子用酸化剤兼ドーパント、該酸化剤兼ドーパントを用いて得られる導電性組成物、および該導電性組成物を有する固体電解コンデンサである。
【選択図】 なし

Description

本発明は、導電性組成物の形成に使用されるドーパント溶液および酸化剤兼ドーパント、該導電性組成物、並びに該導電性組成物を有する固体電解コンデンサとその製造方法に関するものである。
導電性高分子を固体電解質として用いた固体電解コンデンサは、二酸化マンガンを固体電解質として用いた従来の固体電解コンデンサに比べて、発火しにくく、かつESR(等価直列抵抗)が低いなど、種々の特性が優れていることから、急速な勢いで市場が拡大している。
上記導電性高分子の製造は、一般に、化学酸化重合法で行われており、例えば、酸化剤兼ドーパントとしてパラトルエンスルホン酸鉄などの芳香族スルホン酸の遷移金属塩を用い、3,4−エチレンジオキシチオフェンなどのモノマーを重合させることによって行われている(特許文献1〜2)。
しかしながら、この方法は、大量生産に向いているものの、酸化剤として用いた遷移金属が導電性高分子内に残るという問題があった。そこで、遷移金属を取り除くため、洗浄工程を入れたとしても、遷移金属は完全に取り除きにくいという性質があり、遷移金属が導電性高分子中に残った場合、遷移金属の価数変化により導電性高分子の劣化が著しく加速され、それを固体電解質として用いた固体電解コンデンサは、長期信頼性を損なうという問題があった。そのため、酸化剤として遷移金属塩以外のもの、例えば、過酸化物を酸化剤として用いることが提案されているが、3,4−エチレンジオキシチオフェンをモノマーとして用いた場合は、遷移金属塩に比べて反応効率が非常に悪かったり、得られた導電性高分子の導電率が非常に悪いという問題があった。
特開平10−50558号公報 特開2000−106331号公報
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、導電率の高い導電性組成物を良好な反応効率で形成するための酸化剤兼ドーパント、該酸化剤兼ドーパントを構成するためのドーパント溶液、該導電性組成物、および該導電性組成物を用いた固体電解コンデンサとその製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成し得た本発明の導電性高分子用ドーパント溶液は、芳香族スルホン酸を含有するものであって、上記芳香族スルホン酸として、ナフタレンスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸、アントラキノンスルホン酸およびアントラキノンジスルホン酸よりなる群から選択されるすくなくとも1種の芳香族スルホン酸を含有しており、上記ドーパント溶液が含有するナフタレンスルホン酸とナフタレンジスルホン酸の合計の濃度をa(質量%)、上記ドーパント溶液が含有するアントラキノンスルホン酸とアントラキノンジスルホン酸の合計の濃度をb(質量%)としたとき、
a+b×2≧20
を満足することを特徴とするものである。
また、本発明の導電性高分子用酸化剤兼ドーパントは、下記の(1)または(2)の態様を有することを特徴とするものである。
(1)上記本発明の導電性高分子用ドーパント溶液と、過硫酸塩を20質量%以上の濃度で含有する水溶液で構成されている。
(2)上記本発明の導電性高分子用ドーパント溶液と、過硫酸塩を20質量%以上の濃度で含有する水溶液との接触により生成した析出物である。
更に、本発明の導電性組成物は、上記(2)の態様の導電性高分子用酸化剤兼ドーパントとチオフェンまたはその誘導体との反応により形成されたことを特徴とするものである。
また、本発明の固体電解コンデンサは、タンタルまたはニオブで構成されたコンデンサ素子を有し、かつ上記(2)の態様の導電性高分子用酸化剤兼ドーパントとチオフェンまたはその誘導体との反応により形成された導電性組成物を、固体電解質として有することを特徴とするものである。
加えて、本発明の固体電解コンデンサの製造方法は、タンタルまたはニオブで構成されたコンデンサ素子に、上記本発明の導電性高分子用ドーパント溶液を浸み込ませた後に、過硫酸塩を20質量%以上の濃度で含有する水溶液に上記コンデンサ素子を浸漬するか、またはタンタルまたはニオブで構成されたコンデンサ素子に、過硫酸塩を20質量%以上の濃度で含有する水溶液を浸み込ませた後に、上記本発明の導電性高分子用ドーパント溶液に上記コンデンサ素子を浸漬することにより、析出物(導電性高分子用酸化剤兼ドーパント)を析出させる工程(A)と、上記析出物とチオフェンまたはその誘導体とを反応させて導電性組成物を形成させる工程(B)と、上記導電性組成物を有するコンデンサ素子を用いて固体電解コンデンサを組み立てる工程(C)を有することを特徴とする。
なお、本発明の導電性組成物は、その主成分が上記本発明の導電性高分子用酸化剤兼ドーパントを取り込んで重合したチオフェンまたはその誘導体のポリマーで構成されているが、本発明において、導電性高分子とせず導電性組成物としているのは、上記酸化剤兼ドーパントが金属塩を含んでいないので、未反応分や反応残渣が若干含まれていても、それらが上記ドーパントを取り込んで重合したチオフェンまたはその誘導体のポリマーの劣化を加速することなく、導電性高分子とほぼ同様の特性を有し、導電性高分子とほぼ同様の用途に使用できるので、精製してそれらの未反応分や反応残渣を除去することなく、それらを含んだままで構成されていてもよいという意味である。つまり、本発明の導電性組成物とは、その主成分となる導電性高分子(上記特定のドーパントを取り込んで重合したチオフェンまたはその誘導体のポリマー)のみで構成されているもののみならず、その導電性高分子以外に未反応分や反応残渣を若干含んで構成されているものも含む概念である。
本発明の導電性高分子用酸化剤兼ドーパントによれば、導電率の高い導電性組成物を良好な反応効率で形成することができる。また、本発明の導電性高分子用ドーパント溶液によれば、上記効果を有する本発明の導電性高分子用酸化剤兼ドーパントを構成できる。
そして、本発明の固体電解コンデンサおよびその製造方法によれば、長期信頼性の高い固体電解コンデンサを提供できる。
すなわち、本発明では、導電性組成物を得るために用いられる酸化剤兼ドーパントとして、上記4種の芳香族スルホン酸の少なくとも1種を含有するドーパント溶液と過硫酸塩水溶液により生成する析出物を用いており、酸化剤兼ドーパント中に導電性高分子の劣化を加速させる原因となる金属塩を含んでいない。また、酸化剤兼ドーパントは、低濃度の溶液状態ではなく、析出物として存在する状況下でチオフェンまたはその誘導体の重合を行うことができるので、チオフェンまたはその誘導体を効率よく重合させることができる。このため、反応効率が高く、かつ導電率が高い導電性組成物を形成することができる。
従って、上記本発明の導電性組成物を固体電解質として有する本発明の固体電解コンデンサは、従来よりも信頼性の高いものとなる。
なお、本発明の酸化剤兼ドーパントによれば、導電率が高く、かつ金属塩を含まない導電性組成物を重合できるため、従来の導電性高分子に見られたような金属塩による急速な劣化が生じない。そのため、本発明の導電性組成物は、主として固体電解コンデンサの固体電解質に用いられるが、それ以外にも、それらの特性を生かして、例えば、バッテリーの正極活物質、帯電防止シート、帯電防止塗料、帯電防止樹脂などの帯電防止剤、耐腐食用塗料の耐腐食剤などに好適に用いることができる。
本発明の導電性高分子用ドーパント溶液は、過硫酸塩水溶液と共に導電性高分子用酸化剤兼ドーパントを構成するためのものであり、芳香族スルホン酸(ナフタレンスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸、アントラキノンスルホン酸、アントラキノンジスルホン酸)を高濃度で含有している。
すなわち、本発明の導電性高分子用ドーパント溶液は、上記特定の芳香族スルホン酸を高濃度で含有しており、高濃度の過硫酸塩水溶液と接触することで、直ちに析出物(導電性高分子用酸化剤兼ドーパント)を生成することができる。
例えば、固体電解コンデンサの製造時において、コンデンサ素子に固体電解質である導電性高分子を付着させるには、導電性高分子を形成するためのモノマーを含有する溶液中にコンデンサ素子を浸漬した状態で重合を行い、導電性高分子を直接コンデンサ素子表面に形成する方法が採用される場合がある。従来では、モノマーを重合するための酸化剤としての役割と形成される導電性高分子中に取り込まれてドーパントの役割を果たす酸化剤兼ドーパントを、このモノマー含有溶液中に含有させて導電性高分子の重合を行っていたが、モノマー溶液中の酸化剤兼ドーパントの濃度を高めることが困難であり、反応効率の向上や、重合後の導電性高分子の導電性向上を図ることが困難であった。
これに対し、本発明のドーパント溶液は高濃度であり、かつ高濃度の過硫酸塩水溶液と接触することで、酸化剤兼ドーパント[(2)の態様の酸化剤兼ドーパント]を析出物として容易に生成することができる。そのため、例えば、コンデンサ素子表面に酸化剤兼ドーパントを直接析出させることができることから、コンデンサ素子表面において、導電性に優れた導電性組成物を反応効率よく得ることができる。
本発明のドーパント溶液は、その含有するナフタレンスルホン酸とナフタレンジスルホン酸の合計の濃度をA(質量%)、上記ドーパント溶液が含有するアントラキノンスルホン酸とアントラキノンジスルホン酸の合計の濃度をB(質量%)としたとき、
a+b×2≧20
を満足するものである。
このように、本発明のドーパント溶液は、上記特定の芳香族スルホン酸を高濃度で含有しており、高濃度の過硫酸塩水溶液と接触することで、直ちに析出物[(2)の態様の酸化剤兼ドーパント]を生成することができる。そのため、この析出物を利用して形成される導電性組成物を用いた固体電解コンデンサの製造を容易とすることができる。すなわち、本発明のドーパント溶液と、過硫酸塩水溶液を用いて上記析出物を形成する際には、例えば、コンデンサ素子やその他の基材を、ドーパント溶液に浸漬し続いて過硫酸塩水溶液に浸漬するか、過硫酸塩水溶液に浸漬し続いてドーパント溶液に浸漬する方法が採用されるが、ドーパント溶液における上記特定の芳香族スルホン酸濃度が低すぎると、これら芳香族スルホン酸がコンデンサ素子やその他の基材に十分に付着しないため、上記析出物を良好に形成することができず、延いては、導電性組成物が良好に形成できなくなる。
なお、本発明のドーパント溶液において、芳香族スルホン酸の濃度を、「a+b×2」なる式で定めるのは、以下の理由による。アントラキノンスルホン酸やアントラキノンジスルホン酸は、ナフタレンスルホン酸やナフタレンジスルホン酸に比べて、より低濃度の溶液であっても、上記析出物[(2)の態様の酸化剤兼ドーパント]を生成することができ、例えば、ナフタレンスルホン酸やナフタレンジスルホン酸の溶液の大凡半分の濃度の溶液で、ほぼ同様の挙動を示す。そのため、本発明のドーパント溶液では、芳香族スルホン酸の濃度を、「a+b×2」で規定している。
なお、本発明のドーパント溶液において、「a+b×2」は、20以上、好ましくは40以上であって、好ましくは70以下である。
また、例えば、本発明のドーパント溶液が、上記芳香族スルホン酸として、ナフタレンスルホン酸および/またはナフタレンジスルホン酸のみを含有している場合には、両者の合計の濃度(いずれか一方しか含有しないときは、含有する一方の濃度)で、20質量%以上、好ましくは30質量%以上、より好ましくは40質量%以上であって、70質量%以下含有していることが望ましい。
更に、例えば、本発明のドーパント溶液が、芳香族スルホン酸として、アントラキノンスルホン酸および/またはアントラキノンジスルホン酸のみを含有している場合には、両者の合計の濃度(いずれか一方しか含有しないときは、含有する一方の濃度)で、10質量%以上、好ましくは20質量%以上、より好ましくは25質量%以上であって、70質量%以下含有していることが望ましい。
なお、本発明のドーパント溶液において、上記特定の4種の芳香族スルホン酸が選択されるのは、以下の理由による。上記4種の芳香族スルホン酸は、理由は定かではないが、導電性高分子の重合を良好に進める働きを有している。更にこれらの芳香族スルホン酸は、結晶水を持ちにくいことから、このような芳香族スルホン酸を高濃度で含有する本発明のドーパント液と、高濃度の過硫酸塩水溶液との接触により得られる析出物は、その表面が滑らかとなる。そのため、上記析出物をコンデンサ素子表面に析出させて導電性組成物の形成に供した場合には、得られる導電性組成物のコンデンサ素子表面への密着性も向上する。
詳しくは後記するが、本発明のドーパント溶液の溶媒は、水やアルコールなどの有機溶媒が使用されるが、例えば、ナフタレンスルホン酸ナトリウム、ナフタレンスルホン酸カルシウム、ナフタレンスルホン酸アンモニウムなどのナフタレンスルホン酸塩などでは、水溶液とした場合には、その濃度を10質量%程度にしか溶解させ得ず、アルコール溶液にした場合には、さらに低濃度の溶液しか得られないため、本発明のドーパント溶液のような高濃度の溶液とすることができない。また、アントラキノンスルホン酸ナトリウム、アントラキノンスルホン酸カルシウム、アントラキノンスルホン酸アンモニウムなどのアントラキノンスルホン酸塩などでは、水溶液とした場合には、その濃度を2質量%程度にしか溶解させ得ず、アルコール溶液にした場合には、さらに低濃度の溶液しか得られないため、本発明のドーパント溶液のような高濃度の溶液とすることができない。
なお、ナフタレンスルホン酸およびアントラキノンスルホン酸には、αとβの異性体が存在する。上記ドーパント溶液がナフタレンスルホン酸を含有している場合には、全ナフタレンスルホン酸のうち、β−ナフタレンスルホン酸の含有量が、例えば95モル%以上であることが好ましい。また、上記ドーパント溶液がアントラキノンスルホン酸を含有している場合には、全アントラキノンスルホン酸のうち、β−アントラキノンスルホン酸の含有量が、例えば95モル%以上であることが好ましい。理由は定かではないが、含有するナフタレンスルホン酸やアントラキノンスルホン酸のうち、β体の含有量が95モル%以上であるドーパント溶液を用いて得られる導電性組成物では、導電性がより良好となるため、これを用いた固体電解コンデンサの特性をより高めることができる。
ナフタレンスルホン酸やアントラキノンスルホン酸中のβ体の比率を高める方法としては、例えば、ナフタレンスルホン酸やアントラキノンスルホン酸の合成をより高温で行う方法や、α体とβ体の結晶性の違いを利用して、精製条件を調整する方法が挙げられる。
他方、ナフタレンジスルホン酸やアントラキノンジスルホン酸は、スルホン酸基を2つ有していることから、芳香環におけるスルホン酸基の置換位置の違いで種々の異性体が存在するが、本発明においては特に制限はなく、いずれの異性体も使用できる。ただし、ナフタレンジスルホン酸であれば、例えば、ナフタレン−1,5−ジスルホン酸、ナフタレン−2,6−ジスルホン酸、ナフタレン−2,7−ジスルホン酸などが、入手が容易であることから、好ましく使用できる。また、アントラキノンジスルホン酸であれば、例えば、アントラキノン−1,5−ジスルホン酸、アントラキノン−1,8−ジスルホン酸などが、入手が容易であることから、好ましく使用できる。
本発明のドーパント溶液の溶媒としては、水、アルコールなどの水親和性の有機溶媒、などが挙げられ、これらを1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
特に溶媒中のアルコール含有量が5質量%以上である場合には、例えば、コンデンサ素子表面で導電性組成物を形成するために、コンデンサ素子にドーパント溶液を付着させた際に、該ドーパント溶液が多孔体であるコンデンサ素子の孔の内部へ、より良好に浸透するようになることから好ましい。また、溶媒中のアルコール含有量が多いほど、上記析出物形成の際にドーパント溶液が乾燥しやすく、更に、コンデンサ素子などにドーパント溶液を付着後、過硫酸塩水溶液を付着させても、過硫酸塩がドーパント溶液溶媒に溶解し難いために過硫酸塩が付着せずに流れてしまうことを防ぐことができ、また、析出物の生成効率が向上するなど、析出物生成時の操作性が良好となる。この他、溶媒中のアルコール含有量が多いほど、ドーパント溶液に係る芳香族スルホン酸がより結晶水を持ちにくくなることから、上記析出物の表面がより滑らかとなる。そのため、上記析出物をコンデンサ素子表面に析出させて導電性組成物の形成に供した場合には、得られる導電性組成物のコンデンサ素子表面への密着性もより向上する。
ドーパント溶液の溶媒に使用するアルコールとしては、例えば炭素数が1〜4のアルコール(メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール)が好ましく、エタノールが特に好ましい。
また、上記ドーパント溶液には、乳化剤を添加しておくことが好ましい。これは、乳化剤を添加しておくことによって、チオフェンまたはその誘導体の重合反応をより均一に進行させることができるからである。上記乳化剤としては、種々のものを用いることができるが、特にアルキルアミンオキサイドが好ましい。アルキルアミンオキサイドは、たとえ導電性組成物中に残ったとしても、導電性組成物の導電率を大きく低下させたり、その導電性組成物を固体電解コンデンサの固体電解質として用いた場合に、該コンデンサの機能を著しく低下させるようなことはない。上記アルキルアミンオキサイドにおけるアルキル基は、炭素数が1〜20であることが好ましい。また、チオフェンまたはその誘導体の重合反応が進行すると、それに伴って反応系のpHが低下するが、上記アルキルアミンオキサイドはそのようなpHの低下を抑制する作用も有している。そのため、上記アルキルアミンオキサイドのドーパント溶液での使用は、例えば導電性高分子を生成させるために使用される基材(上記析出物を析出させる基材、コンデンサ素子など)の耐酸性があまり良好でない場合に、特に効果的である。
上記ドーパント溶液における上記乳化剤濃度は、例えば、0.01〜2質量%とすることが好ましい。
本発明の導電性高分子用酸化剤兼ドーパントのうち、上記(1)の態様は、上記本発明の導電性高分子用ドーパント溶液と、過硫酸塩の濃度が20質量%以上の水溶液で構成されている。
(1)の態様の導電性高分子用酸化剤兼ドーパントは、上記(2)の態様の酸化剤兼ドーパント(析出物)を形成するためのものである。すなわち、本発明の導電性高分子用ドーパント溶液は、導電性高分子重合に使用する酸化剤である過硫酸塩水溶液と接触すると、上記の通り析出物[(2)の態様の酸化剤兼ドーパント]を生成してしまうため、実際に導電性高分子を重合する段階以前においては、過硫酸塩水溶液と混合することはできない。そのため、(1)の態様の導電性高分子用酸化剤兼ドーパントは、それぞれ別個にパッケージするなどされた本発明の導電性高分子用ドーパント溶液と上記特定の過硫酸塩水溶液との組み合わせにより構成される。
(1)の態様の導電性高分子用酸化剤兼ドーパントを構成するための過硫酸塩水溶液に係る過硫酸塩としては、例えば、過硫酸ナトリウム塩、過硫酸カリウム塩、過硫酸バリウム塩、過硫酸アンモニウムなどの、過硫酸塩の遷移金属塩を除く過硫酸塩が挙げられる。ナトリウム、カリウム、バリウムなどは、遷移金属ではないので、導電性高分子の導電性を劣化させるという影響はほとんどない。ただし、コンデンサ中に金属塩が残ることによるコンデンサの電気特性への影響が残るという観点からすると、過硫酸アンモニウムが特に好ましい。
過硫酸塩水溶液における過硫酸塩濃度は、20質量%以上であり、40質量%以上であることが好ましい。このように高濃度で過硫酸塩を含有することで、上記ドーパント溶液との接触により、良好かつ速やかに析出物[(2)の態様の酸化剤兼ドーパント]を生成できる。そのため、この析出物を利用して形成される導電性組成物を用いた固体電解コンデンサの製造を容易とすることができる。すなわち、(1)の態様の酸化剤兼ドーパントを用いて上記析出物[(2)の態様の酸化剤兼ドーパント]を形成する際には、上述したように、例えば、コンデンサ素子やその他の基材を、ドーパント溶液に浸漬し続いて過硫酸塩水溶液に浸漬するか、過硫酸塩水溶液に浸漬し続いてドーパント溶液に浸漬する方法が採用されるが、過硫酸塩水溶液の過硫酸塩濃度が低すぎると、過硫酸塩がコンデンサ素子やその他の基材に十分に付着しないため、上記析出物を良好に形成することができず、延いては、導電性組成物が良好に形成できなくなる。なお、過硫酸塩水溶液の過硫酸塩濃度の上限は、例えば、50質量%であることが好ましい。
(1)の態様の酸化剤兼ドーパントにおいては、上記ドーパント溶液に含有される上記特定の芳香族スルホン酸1モルに対して、過硫酸塩水溶液の含有する過硫酸塩が、0.2モル以上、より好ましくは0.4モル以上であって、8.0モル以下、より好ましくは4.0モル以下である。ドーパント溶液中の上記芳香族スルホン酸と過硫酸塩水溶液中の過硫酸塩とが、上記の比率で構成される酸化剤兼ドーパントであれば、該ドーパント溶液と該過硫酸塩水溶液とを接触させることにより、導電性に優れた導電性組成物を良好な反応効率で形成できる析出物[(2)の態様の酸化剤兼ドーパント]を生成することができる。
なお、(1)の態様の酸化剤兼ドーパントに係るドーパント溶液は、比較的高価である一方長期保存が可能であり、他方、過硫酸塩水溶液は、安価ではあるが、常温下でも過硫酸塩の分解が進むため、長期保存はできない。本発明の(1)の態様の酸化剤兼ドーパントでは、ドーパント溶液と過硫酸塩水溶液とが別個にパッケージされたものであるため、高価なドーパント溶液は長期保存できる一方で、必要に応じて安価な過硫酸塩水溶液のみを新しいものに変更できることから、コストアップを抑えつつ常に良好な特性を有する析出物を生成することができる。
(2)の態様の導電性高分子用酸化剤兼ドーパントは、本発明の導電性高分子用ドーパント溶液と、過硫酸塩を20質量%以上の濃度で含有する水溶液とを接触させることにより生成する析出物であり、(1)の態様の導電性高分子用酸化剤兼ドーパントを用いることにより得られるものである。
(2)の態様の酸化剤兼ドーパントである析出物では、下記の方法によって測定される上記芳香族スルホン酸と過硫酸の比率が、0.3モル以上、4.0モル以下であることが好ましい。
ここで、上記析出物における上記芳香族スルホン酸と過硫酸の比率は、該析出物を蒸留水に入れて密封し、50℃で1週間放置させて過硫酸を硫酸に分解した後に、その上澄み液をイオンクロマトグラフィーで分析することにより上記芳香族スルホン酸と硫酸の比率として求める。すなわち、上記硫酸は過硫酸に由来するので、上記芳香族スルホン酸と硫酸の比率は、そのまま析出物における上記芳香族スルホン酸と過硫酸の比率となる。なお、上澄み液中の芳香族スルホン酸と硫酸の比率を求めるに当たっては、上記芳香族スルホン酸と硫酸の比率を変動させた水溶液を用いて予め作成しておいた検量線を用いればよい。
上記測定による上記芳香族スルホン酸と過硫酸の比率は、上記析出物の形成に用いられたドーパント溶液中の上記芳香族スルホン酸と過硫酸塩水溶液中の過硫酸塩との比率に基づいており、高濃度のドーパント溶液と高濃度の過硫酸塩水溶液から得られ、かつ上記測定方法により求められる上記芳香族スルホン酸と過硫酸の比率が上記所定値である析出物であれば、導電性に優れた導電性組成物を良好な反応効率で形成できる。
なお、上記析出物が、芳香族スルホン酸としてナフタレンスルホン酸のみを含有するドーパント溶液を用いて生成したものである場合には、上記の方法によって測定されるナフタレンスルホン酸と過硫酸の比率が、ナフタレンスルホン酸1モルに対して、過硫酸が、0.3モル以上、より好ましくは0.5モル以上であって、2.5モル以下、より好ましくは2.0モル以下であることが望ましい。
また、上記析出物が、芳香族スルホン酸として、ナフタレンジスルホン酸、アントラキノンスルホン酸およびアントラキノンジスルホン酸の少なくとも1種の芳香族スルホン酸を含有するドーパント溶液を用いて生成したものである場合には、上記の方法によって測定される芳香族スルホン酸と過硫酸の比率が、芳香族スルホン酸1モルに対して、過硫酸が、0.4モル以上、より好ましくは0.5モル以上であって、4.0モル以下、より好ましくは3.5モル以下であることが望ましい。
本発明の導電性組成物は、モノマーとして、チオフェンまたはその誘導体を用いる。チオフェンの誘導体としては、例えば、3,4−エチレンジオキシチオフェン、3−アルキルチオフェン、3−アルコキシチオフェン、3−アルキル−4−アルコキシチオフェン、3,4−アルキルチオフェン、3,4−アルコキシチオフェンなどが挙げられ、そのアルキル基やアルコキシ基の炭素数としては1〜16が好ましい。
そして、このチオフェンまたはその誘導体の重合にあたって、チオフェンまたはその誘導体は、液状なので、そのままで使用できるが、重合反応をよりスムーズに進行させるには、チオフェンまたはその誘導体を、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、アセトン、アセトニトリルなどの有機溶媒で希釈して溶液(有機溶媒液)状にしておくことが好ましい。
このチオフェンまたはその誘導体の重合時の態様としては、導電性組成物の使用形態によっては異なる態様を採ることが好ましい。例えば、導電性組成物をフィルム状などに形成し、それを導電性組成物の応用機器に組み込む場合は、どのような態様を採用してもよいが、導電性組成物を固体電解コンデンサの固体電解質として用いる場合は、固体電解コンデンサの製造工程において、コンデンサ素子の表面に酸化剤兼ドーパントである上記析出物を形成させ、これを上記のモノマー溶液に浸漬した状態でチオフェンまたはその誘導体を、コンデンサ素子表面で重合させることが好ましい。
以下に、固体電解コンデンサのコンデンサ素子に直接導電性組成物を形成する場合を例にとって、チオフェンまたはその誘導体の重合態様を説明する。下記の(A)工程と(B)工程を続けて行うことにより、チオフェンまたはその誘導体を重合させて、導電性組成物を形成できる。
工程(A)(酸化剤兼ドーパントの析出工程):コンデンサ素子を上記ドーパント溶液に浸漬して、該ドーパント溶液をコンデンサ素子の微細な孔の内部にまで浸み込ませた後、これを上記過硫酸塩水溶液に浸漬するか、コンデンサ素子を上記過硫酸塩水溶液に浸漬して、該過硫酸塩水溶液をコンデンサ素子の微細な孔の内部にまで浸み込ませた後、これを上記ドーパント溶液に浸漬することにより導電性高分子用酸化剤兼ドーパントを析出させる。なお、コンデンサ素子のドーパント溶液への浸漬時間は、例えば5秒〜2分とし、該溶液からコンデンサ素子を取り出してから、例えば1〜10分放置することが好ましい。また、コンデンサ素子の過硫酸塩水溶液への浸漬時間は、例えば5秒〜2分とし、該水溶液からコンデンサ素子を取り出してから、例えば1〜10分放置することが好ましい。
工程(B)(チオフェンまたはその誘導体の重合工程);チオフェンまたはその誘導体を、濃度が5〜100質量%、さらに好ましくは40〜100質量%になるように有機溶媒で希釈した液(有機溶媒液)に、上記析出物が付着したコンデンサ素子を浸漬し、10〜300秒、さらに好ましくは20〜120秒後にコンデンサ素子をモノマー溶液(チオフェンまたは誘導体の有機溶媒液)中から取り出して、0〜120℃、さらに好ましくは20〜70℃の温度で、1分〜1日、さらに好ましくは10分〜2時間放置してチオフェンまたはその誘導体の重合を行う。
工程(A)と工程(B)は、それぞれ1回ずつ実施してもよいが、工程(A)と工程(B)を続けて実施する一連の操作を、2回以上(2回、3回、4回など)繰り返すことが好ましく、このような操作を実施することで、コンデンサ素子の孔内面を含む全表面を、導電性組成物で良好に被覆することができる。
なお、導電性組成物の用途に応じて、フィルム状の導電性組成物が要求される場合などでは、例えば、上記の工程(A)において、コンデンサ素子の代わりに、例えばセラミックプレートなどの基材を用い、この基材表面に上記析出物を析出させた後に、これを工程(B)に供して導電性組成物を基材表面に形成させ、その後、基材から導電性組成物を剥離する方法などが採用できる。この場合、工程(A)および工程(B)における各条件については、コンデンサ素子表面に導電性組成物を形成する場合における上述の条件と同様の条件が採用できる。
上記のようにして得られる本発明の導電性組成物は、各種固体電解コンデンサの固体電解質として好適に用いられる。すなわち、本発明の固体電解コンデンサは、上記本発明の導電性組成物を固体電解質として有するものである。
なお、上記の通り、本発明の導電性組成物を固体電解コンデンサの電解質として用いる場合、固体電解コンデンサの製造工程中でチオフェンまたはその誘導体の重合を行うことが好ましいが、このような製法を採用する場合、固体電解コンデンサに係るコンデンサ素子は、(2)の態様の酸化剤兼ドーパントを析出させるために、上記ドーパント溶液および上記過硫酸塩水溶液に浸漬する必要がある。ところが、上記ドーパント溶液は、上記特定の芳香族スルホン酸を高濃度で含有する溶液であることから、酸性度が高い。
固体電解コンデンサとしては、例えば、タンタルで構成された素子を有するタンタルコンデンサ、ニオブで構成された素子を有するニオブコンデンサ、アルミニウムで構成された素子を有するアルミニウムコンデンサ(アルミニウム積層型コンデンサ、アルミニウム巻回型コンデンサなど)などが挙げられるが、特にアルミニウムコンデンサでは、コンデンサ素子に設ける誘電体層の耐酸性があまり良好でないため、酸性度の高いドーパント溶液に浸漬すると、該誘電体層が破壊されてしまい、優れた特性の固体電解コンデンサを構成できない虞がある。他方、タンタルコンデンサやニオブコンデンサなどは、コンデンサ素子に係る誘電体層の耐酸性が強いため、酸性度の高いドーパント溶液を用いても差し支えない。ただし、このように酸性度の高いドーパント溶液で構成される(1)の態様の導電性高分子用酸化剤兼ドーパントであっても、一定条件下においては、アルミニウムコンデンサに係るコンデンサ素子の誘電体層の破壊を抑制しつつ上記析出物を析出させることが可能であるため、本発明は、アルミニウムコンデンサへの適用も可能である。
本発明の固体電解コンデンサは、上記工程(A)および上記工程(B)を経て得られた導電性組成物を有するコンデンサ素子を用いて、固体電解コンデンサを組み立てる工程(C)を経て製造される。なお、本発明の固体電解コンデンサは、固体電解質(陰極層)として上記本発明の導電性組成物を有していればよく、その他の構成については、従来公知の固体電解コンデンサで採用されている構成が採用できる。
以下、実施例に基づいて本発明を詳細に述べる。ただし、下記実施例は本発明を制限するものではなく、前・後記の趣旨を逸脱しない範囲で変更実施をすることは、全て本発明の技術的範囲に包含される。なお、後記の実施例、比較例における「%」は、特に断らない限り質量基準(質量%)である。
ドーパント溶液の調製例(1)
撹拌装置の付いた反応器に98%濃硫酸150モルを入れ、撹拌しながら80℃まで加熱した。そこにナフタレン100モルを10分かけて添加した。添加終了後140℃に温度を上げ、3時間反応させた。反応終了後温度を徐々に下げ、80℃前後で水を添加し完全に反応を終了させた。その後20℃まで温度を下げることにより析出したナフタレンスルホン酸を、遠心分離器により回収した。
回収したナフタレンスルホン酸を、濃度が65%になるように80℃の純水に溶解させた後、撹拌しながら徐々に温度を下げ、室温(20℃)になったところで析出してきた析出物を遠心分離により取り出した。この操作を2回繰り返した後、最終的にナフタレンスルホン酸の濃度が50%になるように溶解させ、0.3μmのガラスフィルターで濾過した溶液の乾燥重量を測定することにより濃度を算出し、40%濃度になるように純水を添加してナフタレンスルホン酸水溶液を得た。この溶液中のナフタレンスルホン酸の異性体比率を測定するためにイオンクロマトグラフィーで分析したところ、β:α=99:1(モル比)であった。
ドーパント溶液の調製例(2)
0.3μmのフィルターを通すところまで上記調製例(1)と同様の操作を行い、その後蒸留により溶液を濃縮した後、エタノールを添加する操作を4回繰り返し、その後溶液の乾燥重量を測定することにより濃度を算出し、50%濃度になるようにエタノールを添加して、ナフタレンスルホン酸[β:α=99:1(モル比)]のエタノール溶液を得た。
ドーパント溶液の調製例(3)
撹拌装置の付いた反応器に98%濃硫酸150モルを入れし、撹拌しながら80℃まで加熱した。そこにナフタレン100モルを10分かけて添加した。添加終了後120℃に温度を上げ、3時間反応させた。反応終了後温度を徐々に下げ、80℃前後で水を添加し完全に反応を終了させた。その後20℃まで温度を下げることにより析出したナフタレンスルホン酸を、遠心分離器により回収した。
このナフタレンスルホン酸を濃度が50%になるようにエタノールに溶解させた。その後、この溶液を蒸留により濃縮した後、エタノールを添加する操作を4回繰り返し、その後に溶液の乾燥重量を測定することにより濃度を算出し、50%濃度になるようにエタノールを添加して、ナフタレンスルホン酸のエタノール溶液を得た。この溶液中のナフタレンスルホン酸の異性体比率を測定するためにイオンクロマトグラフィーで分析したところ、β:α=90:10であった。
後記の実施例においては、上記の調製例(1)〜(3)で得られたドーパント溶液を、そのまま使用するか、または更に必要な濃度に調製してから使用した。また、上記の調製例(1)〜(3)に係る芳香族スルホン酸以外の芳香族スルホン酸のうち、ナフタレン−1,5−ジスルホン酸、β−アントラキノンスルホン酸、アントラキノン−1,5−ジスルホン酸およびナフタレントリスルホン酸については和光純薬社から、ブチルナフタレンスルホン酸については、東京化成社から、いずれもNa塩の状態で購入し、陽イオン交換樹脂を通すことによりNaを除いて用いた。また、これらの芳香族スルホン酸以外の酸については、和光純薬社から購入したものをそのまま使用した。
<導電性組成物の形成と評価>
実施例1
40%濃度のナフタレンスルホン酸[β:α=99:1(モル比)]のエタノール溶液10mlを10mlのバイアルに入れた。ここに、5×30mm(厚み1mm)のセラミックプレートを含浸させ、30秒放置後にゆっくり引き上げた。室温で5分間放置後、あらかじめ用意しておいた10mlバイアルに入っている40%過硫酸アンモニウム水溶液10mlにそのセラミックプレートを含浸させ、30秒放置後にゆっくり引き上げ、室温で5分間放置した。その後、このセラミックプレートを、100%3,4−エチレンジオキシチオフェン(液状、以下同じ)に含浸させ、10秒後にゆっくり引き上げ、50℃で20分間放置した。その後、洗浄のため、10mlバイアルの中に入っている純水10mlに上記のセラミックプレートを入れて5分間放置し、引き出した後、50℃で5分間乾燥した。この操作を3回繰り返した後、150℃で1時間乾燥して、導電性組成物を形成した。そして、1.5トンの荷重をかけたまま5分間静置し、膜厚を均一にした後、電導度を、室温(約25℃)下で、JIS K 7194の規定に準じて、4探針方式の電導度測定器〔三菱化学社製MCP−T600(商品名)〕により測定した。結果を表1に示す。なお、実施例1で用いたドーパント溶液と過硫酸アンモニウム水溶液では、ドーパント溶液中のナフタレンスルホン酸1モルに対して、過硫酸アンモニウムが0.91モルであった。
実施例2
40%濃度のナフタレンスルホン酸[β:α=99:1(モル比)]のエタノール溶液に代えて、50%濃度のナフタレンスルホン酸[β:α=99:1(モル比)]のエタノール溶液を用いた他は、実施例1と同様にして導電性組成物を形成し、その電導度を測定した。結果を表1に示す。なお、実施例2で用いたドーパント溶液と過硫酸アンモニウム水溶液では、ドーパント溶液中のナフタレンスルホン酸1モルに対して、過硫酸アンモニウムが0.73モルであった。
実施例3
40%濃度のナフタレンスルホン酸[β:α=99:1(モル比)]のエタノール溶液に代えて、40%濃度のナフタレン−1,5−ジスルホン酸のエタノール溶液を用いた他は、実施例1と同様にして導電性組成物を形成し、その電導度を測定した。結果を表1に示す。なお、実施例3で用いたドーパント溶液と過硫酸アンモニウム水溶液では、ドーパント溶液中のナフタレン−1,5−ジスルホン酸1モルに対して、過硫酸アンモニウムが1.26モルであった。
実施例4
40%濃度のナフタレンスルホン酸[β:α=99:1(モル比)]のエタノール溶液に代えて、30%濃度のβ−アントラキノンスルホン酸の溶液[溶媒は、水:エタノール=5:5(質量比)]を用いた他は、実施例1と同様にして導電性組成物を形成し、その電導度を測定した。結果を表1に示す。なお、実施例4で用いたドーパント溶液と過硫酸アンモニウム水溶液では、ドーパント溶液中のβ−アントラキノンスルホン酸1モルに対して、過硫酸アンモニウムが1.68モルであった。
実施例5
40%濃度のナフタレンスルホン酸[β:α=99:1(モル比)]のエタノール溶液に代えて、30%濃度のアントラキノン−1,5−ジスルホン酸の溶液[溶媒は、水:エタノール=5:5(質量比)]を用いた他は、実施例1と同様にして導電性組成物を形成し、その電導度を測定した。結果を表1に示す。なお、実施例5で用いたドーパント溶液と過硫酸アンモニウム水溶液では、ドーパント溶液中のアントラキノン−1,5−ジスルホン酸1モルに対して、過硫酸アンモニウムが2.15モルであった。
比較例1
40%濃度の過硫酸アンモニウム水溶液に代えて、10%濃度の過硫酸アンモニウム水溶液を用いた他は、実施例1と同様にして導電性組成物を形成し、その電導度を測定した。結果を表1に示す。
比較例2
以下のように各操作を変更した以外は実施例1と同様にして導電性組成物を形成し、その電導度を測定した。40%濃度の過硫酸アンモニウム水溶液に代えて、10%濃度の過硫酸アンモニウム水溶液を使用し、40%濃度のナフタレンスルホン酸[β:α=99:1(モル比)]のエタノール溶液に含浸後乾燥させたセラミックプレートを、上記過硫酸アンモニウム水溶液に含浸させ、30秒放置後にゆっくり引き上げ、室温で5分間放置した。上記の手順で過硫酸アンモニウム水溶液に含浸し室温で放置する操作を4回繰り返した後に、100%3,4−エチレンジオキシチオフェンにセラミックプレートを含浸して、その後は実施例1と同様の操作を行った。導電性組成物の電導度測定の結果を表1に示す。
比較例3
40%濃度のナフタレンスルホン酸[β:α=99:1(モル比)]のエタノール溶液に代えて、10%濃度のナフタレンスルホン酸[β:α=99:1(モル比)]のエタノール溶液を用いた他は、実施例1と同様にして導電性組成物を形成し、その電導度を測定した。結果を表1に示す。
比較例4
30%濃度のβ−アントラキノンスルホン酸のエタノール溶液に代えて、5%濃度のβ−アントラキノンスルホン酸のエタノール溶液を用いた他は、実施例4と同様にして導電性組成物を形成し、その電導度を測定した。結果を表1に示す。
比較例5
以下のように各操作を変更した以外は実施例1と同様にして導電性組成物を形成し、その電導度を測定した。40%濃度のナフタレンスルホン酸[β:α=99:1(モル比)]のエタノール溶液に代えて、10%濃度のナフタレンスルホン酸[β:α=99:1(モル比)]のエタノール溶液を使用し、このエタノール溶液にセラミックプレートを含浸させ、30秒放置後にゆっくり引き上げ、室温で5分間放置する一連の操作を4回繰り返した後に、40%濃度の過硫酸アンモニウム水溶液に含浸させ、その後は実施例1と同様の操作を行った。導電性組成物の電導度測定の結果を表1に示す。
比較例6
40%濃度のナフタレンスルホン酸[β:α=99:1(モル比)]のエタノール溶液に代えて、40%濃度のフェノールスルホン酸のエタノール溶液を用いた他は、実施例1と同様にして導電性組成物を形成し、その電導度を測定した。結果を表1に示す。
比較例7
40%濃度のナフタレンスルホン酸[β:α=99:1(モル比)]のエタノール溶液に代えて、40%濃度のスルホイソフタル酸のエタノール溶液を用いた他は、実施例1と同様にして導電性組成物を形成し、その電導度を測定した。結果を表1に示す。
比較例8
40%濃度のナフタレンスルホン酸[β:α=99:1(モル比)]のエタノール溶液に代えて、40%濃度のブチルナフタレンスルホン酸のエタノール溶液を用いた他は、実施例1と同様にして導電性組成物を形成し、その電導度を測定した。結果を表1に示す。
比較例9
40%濃度のナフタレンスルホン酸[β:α=99:1(モル比)]のエタノール溶液に代えて、40%濃度のパラトルエンスルホン酸のエタノール溶液を用いた他は、実施例1と同様にして導電性組成物を形成し、その電導度を測定した。結果を表1に示す。
比較例10
40%濃度のナフタレンスルホン酸[β:α=99:1(モル比)]のエタノール溶液に代えて、40%濃度の1,3,6−ナフタレントリスルホン酸のエタノール溶液を用いた他は、実施例1と同様にして導電性組成物を形成し、その電導度を測定した。結果を表1に示す。
比較例11
40%濃度のパラトルエンスルホン酸第2鉄のブタノール溶液と、3,4−エチレンジオキシチオフェンを質量比で4:1で混合し、10秒間激しく振った後、これにセラミックプレートを含浸し、10秒後にゆっくり引き上げた後、50℃で20分間放置した。その後、洗浄のために、10mlバイアルの中に入っている純水10mlにセラミックプレートを入れて5分間放置し、引き出した後、50℃で5分間乾燥した。この操作を3回繰り返したあと、150℃で1時間乾燥した他は、実施例1と同様にして導電性組成物を形成し、その電導度を測定した。結果を表1に示す。
Figure 2007142070
なお、表1中、「(*1)」は、導電性組成物がまばらに形成されて、導電率の測定が不可能であったことを意味している。
表1から明らかなように、実施例1〜5では、優れた導電率を有する導電性組成物が良好に得られたが、濃度の低いドーパント溶液または過硫酸塩水溶液を用いた比較例1〜5、ドーパント溶液に上記4種のいずれかの芳香族スルホン酸の溶液を用いなかった比較例6〜10では、セラミックプレート表面に酸化剤兼ドーパントである析出物が良好に生成せず、導電性組成物をセラミックプレート表面に均一に形成させることができなかった。特に、比較例2、5では、濃度の低いドーパント溶液や過硫酸塩水溶液への含浸回数を多くしたにも関わらず、析出物の生成および導電性組成物が良好に形成できていないことから、高濃度のドーパント溶液および過硫酸塩水溶液を用いることが重要であることが分かる。また、ドーパント溶液に、芳香族スルホン酸の遷移金属塩の溶液を用いた比較例11では、得られた導電性組成物の導電率が劣っていた。
<析出物(酸化剤兼ドーパント)における芳香族スルホン酸と過硫酸の比率>
実施例1〜5、および比較例2〜5で用いたセラミックプレートに関して、100%3,4−エチレンジオキシチオフェンに含浸する前の、ドーパント溶液と過硫酸塩水溶液により形成された析出物が付着した状態のセラミックプレート10個ずつを、10mlのバイアルに入れ、そこに蒸留水10mlを入れた。その後、バイアルを密栓した状態で、50℃で1週間放置することにより過硫酸を硫酸に分解し、その上澄み液をイオンクロマトグラフィーにて分析し、ドーパントである芳香族スルホン酸(ナフタレンスルホン酸、1,5−ナフタレンジスルホン酸、β−アントラキノンスルホン酸、またはアントラキノンジスルホン酸)と過硫酸の比率(モル比)を分析した。結果を表2に示す。
Figure 2007142070
<固体電解コンデンサ(タンタルコンデンサ)での評価>
実施例6
タンタル焼結体をリン酸水溶液に浸漬した後、電圧をかけることによって電解酸化を行い、タンタル焼結体の表面に誘電体被膜を形成させてコンデンサ素子を得た。次に、50%濃度のナフタレンスルホン酸[β:α=99:1(モル比)]のエタノール溶液に上記コンデンサ素子を含浸させて1分後に取り出し、5分間放置した。その後、このコンデンサ素子を、予め用意しておいた45%過硫酸アンモニウム水溶液に含浸させて30秒後に取り出し、室温で10分放置した。その後、このコンデンサ素子を、100%3,4−エチレンジオキシチオフェンに含浸して5秒後に引き上げ、室温下で60分放置した。その後純水に素子を含浸し、30分間放置した後取り出して、105℃で30分間乾燥させた。この操作を6回繰り返した後、コンデンサ素子に形成された導電性組成物の層をカーボンペーストおよび銀ペーストで覆って、タンタルコンデンサを得た。なお、実施例6で用いたドーパント溶液と過硫酸アンモニウム水溶液では、ドーパント溶液中のナフタレンスルホン酸1モルに対して、過硫酸アンモニウムが0.82モルであった。
実施例7
50%濃度のナフタレンスルホン酸[β:α=99:1(モル比)]のエタノール溶液に代えて、60%濃度のナフタレンスルホン酸[β:α=99:1(モル比)]のエタノール溶液を使用した他は、実施例6と同様にしてタンタルコンデンサを作製した。なお、実施例7で用いたドーパント溶液と過硫酸アンモニウム水溶液では、ドーパント溶液中のナフタレンスルホン酸1モルに対して、過硫酸アンモニウムが0.68モルであった。
実施例8
50%濃度のナフタレンスルホン酸[β:α=99:1(モル比)]のエタノール溶液に代えて、50%濃度のナフタレン−1,5−ジスルホン酸のエタノール溶液を使用した他は、実施例6と同様にしてタンタルコンデンサを作製した。なお、実施例8で用いたドーパント溶液と過硫酸アンモニウム水溶液では、ドーパント溶液中のナフタレン−1,5−ジスルホン酸1モルに対して、過硫酸アンモニウムが1.14モルであった。
実施例9
50%濃度のナフタレンスルホン酸[β:α=99:1(モル比)]のエタノール溶液に代えて、50%濃度のナフタレンスルホン酸[β:α=90:10(モル比)]のエタノール溶液を使用した他は、実施例6と同様にしてタンタルコンデンサを作製した。なお、実施例9で用いたドーパント溶液と過硫酸アンモニウム水溶液では、ドーパント溶液中のナフタレンスルホン酸1モルに対して、過硫酸アンモニウムが0.82モルであった。
実施例10
50%濃度のナフタレンスルホン酸[β:α=99:1(モル比)]のエタノール溶液に代えて、50%濃度のナフタレンスルホン酸[β:α=99:1(モル比)]水溶液を使用した他は、実施例6と同様にしてタンタルコンデンサを作製した。なお、実施例10で用いたドーパント溶液と過硫酸アンモニウム水溶液では、ドーパント溶液中のナフタレンスルホン酸1モルに対して、過硫酸アンモニウムが0.82モルであった。
実施例11
コンデンサ素子を含浸する順序を入れ替えて、先に45%過硫酸アンモニウム水溶液に含浸させ、次に50%濃度のナフタレンスルホン酸[β:α=99:1(モル比)]のエタノール溶液に含浸させるようにした他は、実施例6と同様にしてタンタルコンデンサを作製した。
実施例12
50%濃度のナフタレンスルホン酸[β:α=99:1(モル比)]のエタノール溶液に代えて、30%濃度のβ−アントラキノンスルホン酸の溶液[溶媒は、水:エタノール=5:5(質量比)]を使用した他は、実施例6と同様にしてタンタルコンデンサを作製した。なお、実施例12で用いたドーパント溶液と過硫酸アンモニウム水溶液では、ドーパント溶液中のβ−アントラキノンスルホン酸1モルに対して、過硫酸アンモニウムが1.89モルであった。
実施例13
50%濃度のナフタレンスルホン酸[β:α=99:1(モル比)]のエタノール溶液に代えて、20%濃度のナフタレンスルホン酸[β:α=99:1(モル比)]のエタノール溶液と、15%濃度のβ−アントラキノンスルホン酸の水溶液を、質量比で1:1で混合した溶液を使用し、この溶液にコンデンサ素子(タンタル焼結体)を含浸させ、1分後に取り出して5分放置する操作を3回繰り返した他は、実施例6と同様にしてタンタルコンデンサを作製した。なお、実施例13で用いたドーパント溶液と過硫酸アンモニウム水溶液では、ドーパント溶液中のナフタレンスルホン酸とβ−アントラキノンスルホン酸の合計1モルに対して、過硫酸アンモニウムが2.66モルであった。
比較例12
50%濃度のナフタレンスルホン酸[β:α=99:1(モル比)]のエタノール溶液に代えて、10%濃度のナフタレンスルホン酸[β:α=99:1(モル比)]のエタノール溶液を使用した他は、実施例6と同様にしてタンタルコンデンサを作製した。
比較例13
50%濃度のナフタレンスルホン酸[β:α=99:1(モル比)]のエタノール溶液に代えて、10%濃度のナフタレンスルホン酸[β:α=99:1(モル比)]のエタノール溶液を使用し、その溶液にコンデンサ素子(タンタル焼結体)を含浸させ、1分後に取り出して5分間放置する操作を5回繰り返した他は、実施例6と同様にしてタンタルコンデンサを作製した。
比較例14
45%過硫酸アンモニウム水溶液に代えて、15%過硫酸アンモニウム水溶液を使用した他は、実施例6と同様にしてタンタルコンデンサを作製した。
比較例15
45%過硫酸アンモニウム水溶液に代えて、15%過硫酸アンモニウム水溶液を使用し、その溶液にコンデンサ素子を含浸させ、30秒後に取り出して室温で10分放置する操作を3回繰り返した他は、実施例6と同様にしてタンタルコンデンサを作製した。
比較例16
50%濃度のナフタレンスルホン酸[β:α=99:1(モル比)]のエタノール溶液に代えて、50%濃度のフェノールスルホン酸のエタノール溶液を使用した他は、実施例6と同様にしてタンタルコンデンサを作製した。
比較例17
50%濃度のナフタレンスルホン酸[β:α=99:1(モル比)]のエタノール溶液に代えて、50%パラトルエンスルホン酸のエタノール溶液を使用した他は、実施例6と同様にしてタンタルコンデンサを作製した。
比較例18
50%濃度のナフタレンスルホン酸[β:α=99:1(モル比)]のエタノール溶液に代えて、50%ブチルナフタレンスルホン酸のエタノール溶液を使用した他は、実施例6と同様にしてタンタルコンデンサを作製した。
比較例19
50%濃度のナフタレンスルホン酸[β:α=99:1(モル比)]のエタノール溶液に代えて、50%スルホイソフタル酸のエタノール溶液を使用した他は、実施例6と同様にしてタンタルコンデンサを作製した。
比較例20
50%濃度のナフタレンスルホン酸[β:α=99:1(モル比)]のエタノール溶液に代えて、50%濃度のナフタレン−1,3,6−トリスルホン酸のエタノール溶液を使用した他は、実施例6と同様にしてタンタルコンデンサを作製した。
比較例21
ドーパント溶液と過硫酸塩水溶液を用いる代わりに、パラトルエンスルホン酸第2鉄の40%エタノール溶液を用いた他は、実施例6と同様にしてタンタルコンデンサを作製した。
実施例6〜13において、コンデンサ素子をドーパント溶液と過硫酸塩水溶液に含浸させることで形成させた析出物について、実施例1と同様にして芳香族スルホン酸(ナフタレンスルホン酸、ナフタレン−1,5−ジスルホン酸またはβ−アントラキノンスルホン酸)と過硫酸の比率を求めた。結果を表3に示す。
Figure 2007142070
また、実施例8〜13および比較例12〜21のタンタルコンデンサについて、静電容量とESRを下記方法により測定した。結果を表4に示す。
静電容量:
HEWLETT PACKARD社製のLCRメーター(4284A)を用い、25℃、120Hzで静電容量を測定した。
ESR:
HEWLETT PACKARD社製のLCRメーター(4284A)を用い、25℃、100kHzでESRを測定した。
Figure 2007142070
なお、表4における「(*2)」は、コンデンサ素子全体を導電性組成物で覆うことができなかったため、静電容量およびESRの測定を実施していないことを意味している。
表4から明らかなように、実施例6〜13のタンタルコンデンサは、良好な静電容量とESRを示している。
これに対して、低濃度のドーパント溶液または過硫酸塩水溶液を用いた比較例12〜15のタンタルコンデンサ、およびドーパント溶液にナフタレンスルホン酸塩の溶液を用いなかった比較例16〜20のタンタルコンデンサは、コンデンサ素子表面に酸化剤兼ドーパントである析出物が良好に生成せず、コンデンサ素子全体を導電性組成物で覆うことができなかったため、固体電解コンデンサとして有効に機能し得るものではなかった。特に、比較例13、15では、濃度の低いドーパント溶液や過硫酸塩水溶液への含浸回数を多くしたにも関わらず、導電性組成物でコンデンサ素子を良好に覆うことができていないことから、高濃度のドーパント溶液および過硫酸塩水溶液を用いることが重要であることが分かる。なお、ドーパント溶液に、芳香族スルホン酸の遷移金属塩の溶液を用いた比較例21のタンタルコンデンサでは、静電容量、ESRとも、実施例6〜12のタンタルコンデンサと同レベルであった。
上記の実施例6〜13および比較例21のタンタルコンデンサを40個作製し、その中から無作為に選んだ各20個について、125℃で300時間放置した後の静電容量とESRを測定し、実施例・比較例毎に平均値を求めた。結果を表5に示す。
Figure 2007142070
表5から明らかなように、実施例6〜13のタンタルコンデンサでは、125℃で300時間放置した後においても、静電容量およびESRがほぼ維持されており、長期信頼性が優れているのに対し、比較例21のタンタルコンデンサでは、上記放置後の静電容量およびESRが悪化している。

Claims (14)

  1. 芳香族スルホン酸を含有する導電性高分子用ドーパント溶液であって、
    上記芳香族スルホン酸として、ナフタレンスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸、アントラキノンスルホン酸およびアントラキノンジスルホン酸よりなる群から選択されるすくなくとも1種の芳香族スルホン酸を含有しており、
    上記ドーパント溶液が含有するナフタレンスルホン酸とナフタレンジスルホン酸の合計の濃度をa(質量%)、上記ドーパント溶液が含有するアントラキノンスルホン酸とアントラキノンジスルホン酸の合計の濃度をb(質量%)としたとき、
    a+b×2≧20
    を満足することを特徴とする導電性高分子用ドーパント溶液。
  2. 上記芳香族スルホン酸として、ナフタレンスルホン酸および/またはナフタレンジスルホン酸を、合計で20質量%以上の濃度で含有する請求項1に記載の導電性高分子用ドーパント溶液。
  3. 上記芳香族スルホン酸として、アントラキノンスルホン酸および/またはアントラキノンジスルホン酸を、合計で10質量%以上の濃度で含有する請求項1に記載の導電性高分子用ドーパント溶液。
  4. 乳化剤を含有している請求項1〜3のいずれかに記載の導電性高分子用ドーパント溶液。
  5. 上記乳化剤が、炭素数1〜20のアルキル基を有するアルキルアミンオキサイドである請求項4に記載の導電性高分子用ドーパント溶液。
  6. 全溶媒のうち、アルコールが5質量%以上である請求項1〜5のいずれかに記載の導電性高分子用ドーパント溶液。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載のドーパント溶液と、過硫酸塩を20質量%以上の濃度で含有する水溶液で構成されたことを特徴とする導電性高分子用酸化剤兼ドーパント。
  8. 上記ドーパント溶液が含有する芳香族スルホン酸1モルに対して、上記過硫酸塩水溶液が含有する過硫酸塩が0.2〜8.0モルである請求項7に記載の導電性高分子用酸化剤兼ドーパント。
  9. 請求項1〜6のいずれかに記載のドーパント溶液と、過硫酸塩を20質量%以上の濃度で含有する水溶液との接触により生成した析出物であることを特徴とする導電性高分子用酸化剤兼ドーパント。
  10. 上記析出物について、下記方法によって測定される芳香族スルホン酸と過硫酸の比率が、芳香族スルホン酸1モルに対して、過硫酸0.3〜4.0モルである請求項9に記載の導電性高分子用酸化剤兼ドーパント。
    ここで、上記析出物における芳香族スルホン酸と過硫酸の比率は、該析出物を蒸留水に入れて密封し、50℃で1週間放置させて過硫酸を硫酸に分解した後に、その上澄み液をイオンクロマトグラフィーで分析することにより得られる芳香族スルホン酸と硫酸の比率として求める。
  11. 請求項9または10に記載の導電性高分子用酸化剤兼ドーパントとチオフェンまたはその誘導体との反応により形成されたことを特徴とする導電性組成物。
  12. タンタルまたはニオブで構成されたコンデンサ素子を有し、かつ請求項9または10に記載の導電性高分子用酸化剤兼ドーパントとチオフェンまたはその誘導体との反応により形成された導電性組成物を、固体電解質として有することを特徴とする固体電解コンデンサ。
  13. タンタルまたはニオブで構成されたコンデンサ素子に、請求項1〜6のいずれかに記載のドーパント溶液を浸み込ませた後に、過硫酸塩を20質量%以上の濃度で含有する水溶液に上記コンデンサ素子を浸漬するか、またはタンタルまたはニオブで構成されたコンデンサ素子に、過硫酸塩を20質量%以上の濃度で含有する水溶液を浸み込ませた後に、請求項1〜6のいずれかに記載のドーパント溶液に上記コンデンサ素子を浸漬することにより、導電性高分子用酸化剤兼ドーパントを析出させる工程(A)と、
    上記導電性高分子用酸化剤兼ドーパントとチオフェンまたはその誘導体とを反応させて導電性組成物を形成させる工程(B)と、
    上記導電性組成物を有するコンデンサ素子を用いて固体電解コンデンサを組み立てる工程(C)
    を有することを特徴とする固体電解コンデンサの製造方法。
  14. 上記工程(A)に続いて上記工程(B)を実施する一連の操作を、2回以上繰り返した後に、上記工程(C)を実施する請求項13に記載の製造方法。
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