JP2007134445A - 窒化物半導体レーザ素子 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 基板と、前記基板上に積層された半導体層と、前記半導体層に電流注入領域を構成するリッジ14と、リッジに接続された電極17と、該リッジの両側に形成された保護膜16を有する半導体レーザ素子であって、前記保護膜16の密度が5g/cm3以上であるか、あるいは、保護膜の表面粗さ(Ra)が30Å以下である半導体レーザ素子。
【選択図】図1
Description
このような積層構造のレーザ素子では、p型半導体層13表面にストライプ状のリッジ14が形成されており、さらに、リッジ14の両側のp型半導体層13の露出面に、保護膜16が形成されている。これによってストライプ状のリッジ14に選択的に電流を注入することができる。また、リッジ14直下の導波路領域と、このリッジ両側直下の領域とにおける実効的な屈折率分布を確保し、光の閉じ込めを最適化し、横モードの制御を行うとともに、閾値の制御をも行うことができる。
なお、このような保護膜としては、TiO2、ZrO2、HfO2、CeO2、In2O3、Nd2O3、Sb2O3、SnO2、Ta2O5、ZnO等の誘電体膜が一般に用いられている(例えば、特許文献1)。
しかし、屈折率を満足させる材料を選択したとしても、レーザ素子の保護膜として十分に機能させることができないことがある。例えば、所望の屈折率をした保護膜を形成したとしても保護膜の膜厚が一定とならず、その結果として保護膜の表面状態に大きなばらつきが生じ、保護膜と他の部材との界面で剥がれが発生する恐れがある。これでは光閉じ込め等の厳密な制御が望めない。
また、窒化物半導体レーザ素子は、短波長や長波長になるほど光閉じ込めを強くすることが要求されるため、さらに保護膜の膜厚を厚くする必要がある。
基板は、サファイア等の絶縁基板であってもよいし、GaN等の導電性基板であってもよい。絶縁性基板の場合には、半導体層の一部を厚さ方向に除去して、半導体層に接触するように電極が形成されていてもよい。
保護膜は、単層及び積層構造のいずれの場合にも、最表面に位置する膜は、その直下に位置する膜よりも大きい屈折率を有するものが好ましい。言い換えると、最上層の直下には、最上層よりも小さい屈折率を有する膜が配置されていることが好ましい。例えば、最上層の膜の屈折率は、2.20よりも大きい、2.21以上、2.22以上、2.23以上の膜であることが適当である。また、その直下の膜は、2.20以下の屈折率であることが適当である。
別の観点から、保護膜は、密度が大きいものが好ましい。密度が大きいとは、保護膜が緻密であることを意味し、例えば、5g/cm3以上の密度であることが好ましく、4.8g/cm3以上、4.6g/cm3以上、4.2g/cm3以上、4.0g/cm3以上、3.8g/cm3以上、3.5g/cm3以上、3.0g/cm3以上であることがより好ましい。
密度は、例えば、断面を透過電子顕微鏡法(TEM)により観察する方法、走査型電子顕微鏡法(SEM)により観察する方法、電子回折パターン又はX線回折パターン等を測定する方法、超薄膜評価装置で観察する方法等によって測定することができる。特にXRD装置を用いることが好ましい。
保護膜が2層以上の積層構造の場合には、最表面の膜は、その直下に位置する膜と異なる表面粗さを有する膜が配置されていてもよい。例えば、下層膜が上層膜(最表面の層)よりも表面粗さが粗い、言い換えると、最表面の層の表面が、保護膜の中で最も平滑であることが好ましい。
なお、保護膜は、上述したように、緻密で、かつ表面粗さが小さいことがより好ましい。
保護膜の密度及び/又は表面粗さが上述した範囲を満足する場合には、その上に形成される膜、例えば、電極、保護膜等との密着性を向上させることが可能となる。また、素子特性として、キンクを防止することが可能となる。
保護膜を単一層とする場合には、1つの成膜方法で形成してもよいし、その途中で成膜条件を異ならせるなどして屈折率等を変化させてもよい。
加えて、ジルコニウム膜を途中まで形成した後、熱処理し、引き続き成膜して熱処理するなどの多段階での熱処理を利用してもよい。
さらに、これらの方法を任意に組み合わせてもよい。
なかでも、ジルコニウム膜を形成した後、成膜されたジルコニウム膜に酸素を含有させる方法(具体的には、熱酸化)は、得られた酸化ジルコニウムの面内方向での酸素(酸化)のばらつきを防止することができ、面内方向において均一な組成の膜を形成することができる。
保護膜の膜厚は、用いる材料及び成膜方法などによって適宜調整することができ、例えば、酸化ジルコニウム膜のみで形成される場合には0.01〜1μm程度、最上層に配置される場合には、0.01〜1μm程度(少なくとも2層で形成される最上層の場合も含む)、少なくとも2層で形成される場合の総膜厚0.01〜1μm程度が挙げられる。また、別の観点から、リッジが形成されている場合には、リッジの高さよりも低い膜厚とすることが適当である。保護膜は、リッジ側面にも形成されていることが好ましく、この場合、リッジ両側の半導体層の露出面上に形成される保護膜に対して、同一膜厚か、またはやや薄い膜厚となる。
以下に、本発明の半導体レーザ素子の実施例を詳細に説明する。しかし、本発明は、以下の実施例には限定されない。
この実施例の半導体レーザ素子は、図1(a)に示すように、基板10上に、n型半導体層11、活性層12、p型半導体層13がこの順に積層されており、基板10及びp型半導体層13に、それぞれ電極20、17が接続されて構成されている。p型半導体層13表面にはストライプ状のリッジ14が形成されており、さらに、リッジ14の側面を含む両側のp型半導体層13の露出面に、保護膜16が形成されている。リッジ14上面には、リッジと電気的に接続され、一部保護膜16上にわたるp電極17が形成されている。また、半導体層の側面には、その一部が保護膜16上に及ぶ第2の保護膜18が形成されている。基板10裏面には、n電極20が形成されている。
まず、窒化物半導体基板上に、MOCVD装置を用いて、Siをドープしたn型Al0.036Ga0.964Nからなるn側クラッド層を20000Å、GaNからなるn側光ガイド層を1900Å積層した。続いて、In0.02Ga0.98Nからなる障壁層140Å、In0.07Ga0.93Nからなる井戸層70Å、In0.02Ga0.98Nからなる障壁層140Åを積層し、さらにこの上に井戸層と障壁層とを1層ずつ積層し、量子井戸構造の活性層を形成した。ここで、障壁層にはSiをドープする。さらに、MgをドープしたAl0.25Ga0.75Nからなるp側キャップ層を100Å、GaNからなるp側光ガイド層を1250Å積層する。Al0.10Ga0.90Nよりなる層2.50Å、MgをドープしたGaNからなる層2.50Åの膜厚で成長させ、合計膜厚4500Åの超格子構造のp側クラッド層(平均Al混晶0.050)を積層した。最後に、MgをドープしたGaNからなるp側コンタクト層150Åを成長させた。
最上層のp側コンタクト層(上部コンタクト層)のほぼ全面に、SiO2膜を0.5μmの膜厚で形成し、このSiO2膜をストライプ幅1.6μmに加工した。続いて、SiO2膜をマスクとして用いて、p側コンタクト層およびp側クラッド層、さらにはp側光ガイド層の一部が露出するまでエッチングして、p側光ガイド層の膜厚が1000Åとなる深さまでエッチングすることにより、幅が略1.6μmのリッジストライプを形成した。
次いで、ウェハをフッ酸に浸漬し、SiO2膜をリフトオフ法により除去した。これにより、p側コンタクト層の上に設けられていたSiO2膜が除去されて、p側コンタクト層が露出する。また、保護膜は、リッジの両側及びp側光ガイド層の上面に残る。
続いて、リッジ上面の露出したp側コンタクト層の表面及び保護膜上に、Ni−Au(100Å−1500Å)の順にp電極を積層した。p電極はストライプ幅を15μmとしており、p側コンタクト層上のみならず保護膜の上に渡って形成した。
続いて、マスクを除去した後、p電極上にNi−Ti−Au(1000Å−1000Å−8000Å)の順にパッド電極を積層した。
その後、窒化物半導体基板の裏面にV−Ti−Au(100Å−2000Å−3000Å)よりなるn電極を形成した。
続いて、ウェハをリッジに垂直な方向に、劈開により分割して共振器面を形成することにより、ウェハをバー状にし、p電極に平行な方向で、ウェハをチップ状に分割してレーザ素子(共振器長600μm)を得た。
以上より得られる実施例及び比較例のレーザ素子における保護膜の密度をXRD装置(PHILIPS (日本フィリップス株式会社)社製PW3040/00 MRD)を用い、入射角を大きくして光を全反射させ、その反射光により解析して測定した。また、表面粗さを測定した。
その結果、実施例のレーザ素子では、密度が5.4321g/cm3、表面粗さが27.99Åであった。
実施例のレーザ素子をヒートシンクに設置し、p電極をワイヤーボンディングして、室温でレーザ発振させたところ、発振波長400〜420nm、閾値電流38.2mA、Vf 3.69mV、Eta 1.398mW/mAにおいて室温で良好な連続発振を示す。さらに、光出力がCW80mW以上、動作温度が70℃の状態で寿命が1万時間と、特性の良いレーザ素子を再現性良く製造することができた。
また、実施例及び比較例のレーザー素子について、電流に対するI−L(光強度)を測定することにより、キンクの発生を評価した。その結果を図3に示す。なお、図3においては、I−Lを微分することによりΔLとして表示した。
50mA以上の電流を印加した場合のΔLが1以上であった。一方、比較例では、5
0mA付近から徐々に下がりだし、100〜125mAにかけてΔLが漸減した。こ
れは、比較例において、部分的な電極剥がれが発生することにより、部分発光してキンクが生じると考えられるが、実施例においては、電極等の剥がれが抑制され、キンクが改善されることが確認された。
保護膜として、マグネトロンスパッタ装置を利用して、酸化ジルコニウムからなるターゲットと、スパッタガスとしてアルゴンガスとを用い、RFパワー300W、成膜圧力0.2Paにて、1000Åの酸化ジルコニウム膜を形成し、得られた膜を酸素雰囲気下で、600℃にて20分間熱処理する以外は、実施例1と同様にしてレーザ素子を形成する。
得られるレーザ素子について密度及びその特性を評価したところ、実施例1と同等である。
保護膜として、マグネトロンスパッタ装置を利用して、酸化ジルコニウムからなるターゲットと、スパッタガスとしてアルゴンガスを用い、RFパワー250W、成膜圧力0.1Paにて、1000Åの酸化ジルコニウム膜を形成し、得られた膜を酸素雰囲気下で、600℃にて20分間熱処理する以外は、実施例1と同様にしてレーザ素子を形成する。
得られるレーザ素子について密度及びその特性を評価したところ、実施例1と同等である。
保護膜として、マグネトロンスパッタ装置を利用して、酸化ジルコニウムからなるターゲットと、スパッタガスとしてアルゴンガスを用い、RFパワー200W、成膜圧力0.05Paにて、1000Åの酸化ジルコニウム膜を形成し、得られた膜を酸素雰囲気下で、600℃にて20分間熱処理する以外は、実施例1と同様にしてレーザ素子を形成する。
得られるレーザ素子について密度及びその特性を評価したところ、実施例1と同等でである。
保護膜として、ECRスパッタ装置を利用して、ジルコニウムからなるターゲットと、スパッタガスとしてアルゴンガスと酸素ガスとを用い、RFパワー350W、成膜圧力0.1Paにて、1000Åの酸化ジルコニウム膜を形成し、得られた膜を酸素雰囲気下で、600℃にて20分間熱処理する以外は、実施例1と同様にしてレーザ素子を形成する。
得られるレーザ素子について密度及びその特性を評価したところ、実施例1と同等でである。
この半導体レーザ素子は、0.3°のオフアングルを有する窒化物半導体基板上に、窒化物半導体層として、表1に示す積層構造を第1下地層から順に形成する。また、実施例1と同様に、リッジ幅が2.0μmで、リッジ深さをpガイド層まで1000Åエッチングして形成し、共振器長を650μmとする。保護膜を、ECRスパッタによって、酸化ジルコニウム2000Å、表面粗さ(Ra)50Å以下で形成する。さらに、pコンタクト層上にp電極をNi(100Å)/Au(1500Å)で形成する。窒化物半導体基板の裏面に、n電極をV(100Å)/Ti(2000Å)/Au(3000Å)のレーザ素子を形成する。
このように、波長が短いUVでは、特に利得を増やす必要があり、そのために光閉じ込めを強くすべく保護膜の膜厚を増大させることが考えるが、本実施例のように、保護膜が密で、厚膜(例えば、2000Å又はそれ以上)においてもその表面粗さを小さくすることができるために、密着性を向上させることができる。これによって電極等の剥がれを防止しするとともに、キンクを改善することができる。
この半導体レーザ素子は、0.3°のオフアングルを有する窒化物半導体基板上に、窒化物半導体層として、表2に示す積層構造を第1下地層から順に形成し、実施例1と同様に、リッジ幅が2.0μmで、リッジ深さをpガイド層まで1800Åエッチングして形成し、共振器長を600μmとする。保護膜を、ECRスパッタによって、酸化ジルコニウムを膜厚1500Å、表面粗さ(Ra)50Å以下で形成する。次に、pコンタクト層上にp電極をNi(100Å)/Au(1500Å)で形成し、窒化物半導体基板の裏面にn電極をV(100Å)/Ti(2000Å)/Au(3000Å)で形成して、レーザ素子とする。
このように、発振波長が420nm以上の長波長のLDでは、発振波長が400nm帯のLDに比べて利得を増やす必要がある。そのために、光閉じ込めを強くすべく保護膜の膜厚を増大させることが考えられるが、本実施例のように、保護膜の密度が5g/cm3以上で、厚膜(例えば、2000Å又はそれ以上)においてもその表面粗さを小さくすることができるために、保護膜と他の部材との密着性を向上させることができる。これによって電極等の剥がれを防止するとともに、キンクを改善することができる。
この半導体レーザ素子は、0.3°のオフアングルを有する窒化物半導体基板上に、窒化物半導体層として、表3に示す積層構造を第1下地層から順に形成する。次に、リッジ幅が2.0μmで、リッジ深さをpガイド層まで1800Åエッチングして形成し、共振器長を600μmとする。次に、保護膜を、ECRスパッタによって、酸化ジルコニウムを2000Å、表面粗さ(Ra)50Å以下で形成する。その後、pコンタクト層上にp電極をNi(100Å)/Au(1500Å)で形成し、前記窒化物半導体基板の裏面にn電極をV(100Å)/Ti(2000Å)/Au(3000Å)の順に形成してのレーザ素子とする。
このように、発振波長が450nm以上のLDでは、特に利得を増やす必要がある。そのために、光閉じ込めを強くすべく保護膜の膜厚を増大させることが考えられるが、本実施例のように、厚膜(例えば、2000Å又はそれ以上)においてもその表面粗さを50Å以下に維持することができるために、密着性を向上させることができる。これによって電極等の剥がれを防止しするとともに、キンクを改善することができる。
11 n型半導体層
12 活性層
13 p型半導体層
14 リッジ
15 エアギャップ
16 保護膜
17 p電極
18 第2の保護膜
19 パッド電極
20 n電極
Claims (8)
- 基板と、前記基板上に積層された半導体層と、前記半導体層に電流注入領域を構成するリッジと、リッジに接続された電極と、該リッジの両側に形成された保護膜を有する半導体レーザ素子であって、
前記保護膜の密度が5g/cm3以上であることを特徴とする半導体レーザ素子。 - 基板と、前記基板上に積層された半導体層と、前記半導体層に電流注入領域を構成するリッジ部と、該リッジ部の両側に形成された保護膜を有する半導体レーザ素子であって、
前記保護膜の表面粗さ(Ra)が30Å以下であることを特徴とする半導体レーザ素子。 - 基板と、前記基板上に積層された半導体層と、前記半導体層に電流注入領域を構成するリッジ部と、該リッジ部の両側に形成された保護膜を有する半導体レーザ素子であって、
前記保護膜の膜厚が500Å以上において、該保護膜の表面粗さ(Ra)が50Å以下であることを特徴とする半導体レーザ素子。 - 保護膜が、前記リッジの露出面も被覆しており、該保護膜上には電極又は第2の保護膜が積層されてなる請求項1〜3のいずれか1つに記載の半導体レーザ素子。
- 保護膜が、単層で構成されてなる請求項1〜4のいずれか1つに記載の窒化物半導体レーザ素子。
- 保護膜が、2層以上の積層構造の膜で構成されてなる請求項1〜4のいずれか1つに記載の窒化物半導体レーザ素子。
- 保護膜が酸化物からなる請求項1〜6のいずれか1つに記載の窒化物半導体レーザ素子。
- 保護膜が、酸素とジルコニウムとを含有する請求項7に記載の窒化物半導体レーザ素子。
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- 2005-11-09 JP JP2005324891A patent/JP2007134445A/ja active Pending
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