JP5343687B2 - 窒化物半導体レーザ素子 - Google Patents

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本発明は、窒化物半導体レーザ素子に関し、より詳細には、リッジ導波路構造を有する窒化物半導体レーザ素子に関する。
窒化物半導体は、InAlGa1−x−yN(0≦x、0≦y、0≦x+y≦1)を含む化合物半導体によって形成されており、これを用いた半導体レーザ素子は、Blu−ray Discなどの大容量・高密度の情報記録・再生が可能な光ディスクシステムへの利用、パーソナルコンピュータ等の電子機器への利用に対する要求が高まりつつある。このため、窒化物半導体レーザ素子の研究は、盛んに行われている。
また、窒化物半導体を用いたレーザ素子は、紫外域から赤色に至るまで、幅広い可視光の波長域での発振が可能と考えられていることから、その応用範囲は、レーザプリンタ、レーザディスプレイ、光ネットワークの光源など、多岐にわたるものと期待されている。
また、半導体レーザ素子の構造に関しては、種々の研究がなされており、横モードの好適な制御を可能にする構造、低消費電力化、高出力化、高信頼性、小型化、長寿命化などを図るための構造などが提案されている。なかでも、特に有望視されている構造として、リッジ導波路構造を有するものがある。このような構造の半導体レーザ素子は、通常、リッジ側面からリッジ両側の窒化物半導体層の表面にわたって絶縁性保護膜が形成されている(例えば、特許文献1)。このような絶縁性保護膜は、窒化物半導体層との屈折率差、密着性などを考慮して選択されている。また、このような絶縁性保護膜は多層で設けられることがある(例えば、特許文献2及び3)。また、導波路周辺には空隙が設けられることがある(例えば、特許文献4〜7)。
また、半導体レーザ素子の特性を評価する場合、APC(Auto Power Control;自動出力制御)駆動させ、その一定出力時における駆動電流値の変動をモニタリングし、評価することがある。その駆動電流値が、時間が経過するにつれてどのような挙動を示すかによって、そのレーザ素子の特性を判断したり寿命を推定したりすることができる。
特開平10−270792号公報 特開平9−283845号 特開2006−24703号 特開2005−166718号公報 特開2005−64262号公報 特開2007−150269号公報 特開2007−288149号公報
窒化物半導体レーザ素子では、光閉じ込め及び窒化物半導体層との密着性の双方について、長期間の駆動にわたって良好に機能し続けるように絶縁性保護膜を形成することが必要とされる。しかし、屈折率や窒化物半導体層との密着性を考慮して絶縁性保護膜を選択し、形成時には光閉じ込め及び窒化物半導体層との密着性がともに良好であったとしても、駆動時間の経過により、絶縁性保護膜が剥がれてしまうことがある。絶縁性保護膜が剥がれると、APC駆動時の駆動電流値に変動が見られたり、屈折率分布が変わり光閉じ込めに影響を与えたりする。その結果、レーザ素子の推定寿命が短くなったり、レーザ発振が停止してしまうことがある。
また、窒化物半導体層表面に空隙を設ける場合には、空隙の屈折率により横方向の光閉じ込めを強めることができる一方で、空隙の存在により半導体層表面が劣化し、レーザの効率が落ちて長寿命化が困難となることがある。
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、窒化物半導体レーザ素子において、長時間の駆動にわたってもリッジ両側の保護膜の密着性を確保して良好な光閉じ込めを実現し、窒化物半導体レーザ素子のAPC駆動時の動作電流に急激な変動を生じさせず、長寿命の窒化物半導体レーザ素子を提供することを目的とする。
本発明の窒化物半導体レーザ素子は、基板と、該基板上に形成され表面にリッジを有する窒化物半導体層と、該窒化物半導体層表面に設けられた絶縁性保護膜とを有する窒化物半導体レーザ素子において、前記絶縁性保護膜は、リッジの側面及び窒化物半導体層表面に接触して設けられる第1膜と、第1膜上に設けられた第2膜とを有し、第1膜と第2膜の間に空隙を有することを特徴とする。
前記第1膜と前記第2膜は異なる材料で形成されることが好ましい。
前記第1膜は、前記リッジの側面を被覆するように設けられることが好ましい。
前記第1膜は、リッジ側面の一部を露出するように設けられることが好ましい。
前記第1膜は結晶質の材料で形成され、前記第2膜はアモルファスを含む材料で形成されることが好ましい。
前記空隙は、前記窒化物半導体層の表面に設けられた第1膜の表面と前記リッジの側面に設けられた第1膜の表面で規定される角部において、第1膜及び第2膜に囲まれて設けられることが好ましい。
前記空隙は、前記窒化物半導体層の表面に設けられた第1膜の表面と前記リッジの側面とで規定される角部において、第1膜、第2膜及びリッジ側面に囲まれて設けられることが好ましい。
前記空隙は断面視で横長であることが好ましい。
前記第1膜は、前記第2膜よりも膜厚が薄いことが好ましい。
前記第1膜はAlN又はAlで形成され、前記第2膜はZrO又はSiOで形成されることが好ましい。
本発明によれば、窒化物半導体レーザ素子において長時間の駆動に耐え得る保護膜の密着性を確保して良好な光閉じ込めを実現し、窒化物半導体レーザ素子のAPC駆動時の動作電流に急激な変動を生じさせず、長寿命の窒化物半導体レーザ素子を得ることができる。
本発明の窒化物半導体レーザ素子の構造を説明するための概略断面図である。 本発明の窒化物半導体レーザ素子の構造を説明するための要部の概略拡大図である。 本発明の別の窒化物半導体レーザ素子の構造を説明するための要部の概略拡大図である。 本発明の別の窒化物半導体レーザ素子の構造を説明するための要部の概略拡大図である。 本発明の別の窒化物半導体レーザ素子の構造を説明するための要部の概略拡大図である。 本発明の別の窒化物半導体レーザ素子の構造を説明するための要部の概略拡大図である。 本発明の窒化物半導体レーザ素子の初期駆動電流値で規格化した駆動電流と駆動時間の関係を示すグラフである。 比較例の窒化物半導体レーザ素子の初期駆動電流値で規格化した駆動電流と駆動時間の関係を示すグラフである。
本発明の窒化物半導体レーザ素子は、主として、基板、窒化物半導体層、第1膜と第2膜とを有する絶縁性保護膜及び第1膜と第2膜の間に配置される空隙を含んで構成される。
絶縁性保護膜は、埋込膜とも称されるものであり、通常、窒化物半導体層の表面及びリッジの側面にわたって形成されている。つまり、窒化物半導体層上であって、窒化物半導体層と、後述する電極とが直接接触して、電気的な接続をとる領域以外の領域に形成されている。なお、窒化物半導体層と電極との接続領域としては、特にその位置、大きさ、形状等は限定されず、窒化物半導体層の表面の一部、例えば、窒化物半導体層の表面に形成されるストライプ状のリッジ上面のほぼ全面又はリッジ上面のほぼ全面からその両側にわたる部分が例示される。ここで、絶縁性とは、窒化物半導体レーザ素子の駆動時に、選択的にリッジの窒化物半導体層と電極との接続領域から電流を流すことができることを意味する。
絶縁性保護膜は、一般に、窒化物半導体層よりも屈折率が小さな絶縁材料によって形成されている。具体的には、屈折率が2.4以下のものが適している。屈折率は、エリプソメトリーを利用した分光エリプソメータ、具体的には、J.A.WOOLLAM社製のHS−190等を用いて測定することができる。また、絶縁性保護膜は、第1膜と第2膜とが窒化物半導体層上にこの順に形成された多層膜として構成されている。具体的には、図2乃至6に示したように、リッジの側面を完全に被覆するか否かにかかわらず、第1膜15aが第2膜15bから一部を露出されるように積層された状態(図2,3及び6)、第1膜15aが第2膜15bに完全に被覆された積層状態(図4及び5)、等が挙げられる。絶縁性保護膜は、Zr、Si、V、Nb、Hf、Ta、Al、Ce、In、Sb、Zn等の酸化物、窒化物、酸化窒化物等の絶縁膜から選択される。リッジの側面から、リッジの両側の窒化物半導体表面にわたって保護膜が形成されていることにより、窒化物半導体層、特にp側半導体層に対する屈折率差を確保して、活性層からの光の漏れを制御することができる。また、リッジ内に効率的に光閉じ込めができるとともに、リッジ基底部近傍における絶縁性をより確保することができ、リーク電流の発生を回避することができる。
このような作用を十分効果的に発揮させるためには、窒化物半導体層に対して、応力を生じさせることなく、密着性が良好であることも要求される。それには、窒化物半導体層とリッジ両側の絶縁性保護膜との間の応力を最小化し、密着性を確保することによって、窒化物半導体層の割れや絶縁性保護膜の剥がれを防止することが必要である。つまり、窒化物半導体層表面に空隙を有する場合は、空隙部分に有機物や水分が入りやすく、その部分から窒化物半導体層が劣化して、レーザ効率が悪くなり、寿命特性が低下することがある。そのため第1膜は、リッジ側面及び窒化物半導体層表面に接触して設けられる必要がある。さらに、本発明では窒化物半導体層上に上述した第1膜と第2膜をこの順に形成し、間に空隙を設けることによって、窒化物半導体層と絶縁性保護膜、もしくは第1膜と第2膜の熱膨張係数や格子定数の差異によって発生する応力を緩和し、窒化物半導体層へのダメージやそれによるリーク電流の発生を防止し、絶縁性保護膜の剥がれを抑制することができる。つまり、第1膜は、窒化物半導体層に対する応力の緩和、第2膜は、絶縁性保護膜全体としての密着性の確保という異なる目的を達成するために、第1膜と第2膜は異なる材料、若しくは異なる結晶状態のもので構成されることが好ましい。
また、本発明では、第1膜と第2膜の間に空隙を有している。本発明における空隙は、第1膜と第2膜の間の応力を吸収し、駆動時間の経過に対しても絶縁性保護膜の密着性を維持するために設けられる。つまり、絶縁性保護膜の形成時に空隙を設けておくことによって、窒化物半導体層と絶縁性保護膜、さらに第1膜と第2膜の間の応力や歪みを逃がし、絶縁性保護膜の剥がれを抑制することができる。また、詳細は後述するが、単結晶の第1膜と多結晶又はアモルファスの第2膜を設けることで、保護膜の剥がれを防止し、応力を緩和して窒化物半導体層の割れを抑制することができる。しかし、両者を全面的に密着させて形成し、素子を長時間駆動させると次第に第1膜と第2膜の間で浮きが生じ、第2膜の剥がれが観察されることがある。第1膜と第2膜の界面が剥がれると、窒化物半導体層に対する絶縁性は維持できるが、横方向の屈折率分布が変化し、APC駆動時の動作電流に変動が生じる。その結果、突然の発振停止などが起こり、長寿命を維持することができなくなってしまう。しかも、第2膜が、絶縁性保護膜全体としての膜厚及び/又は屈折率を確保する目的で、厚膜で設けられた場合には、その第2膜が剥がれると、光の閉じ込めに大きな変動が起こり、その制御が困難になる。これに対して、本願のように第1膜と第2膜の間に空隙を設けておくことによって長時間の駆動に対しても絶縁性保護膜、特に第2膜の剥がれを抑制し、長寿命の窒化物半導体レーザ素子を得ることができる。
空隙15は、第1膜が窒化物半導体層表面に接触して設けられ、その上に設けられる第2膜が、第1膜の一部を接触状態で被覆し、他の部分においては非接触状態で第1膜上に設けられることにより、第1膜と第2膜の間に配置される。
空隙の位置は、第1膜と第2膜の間であれば特に限定されず、第1膜と第2膜の間にかかる応力を逃がすことができるように設けられていればよい。例えば、リッジの基底部周辺の第1膜上に設けられることが好ましい。リッジ基底部周辺は、導波路領域に近いため、熱による応力がかかりやすい。また、光学的劣化も起こりやすいため、リッジ周辺部から絶縁性保護膜の剥がれが起こりやすい。そのため、リッジ基底部周辺に空隙を設けておくことによって、リッジ周辺部の絶縁性保護膜の剥がれを抑制することができる。
また、図2及び3に示すように、リッジの側面全体を被覆するように第1膜が設けられる場合には、窒化物半導体層表面に設けられた第1膜の表面とリッジ側面に設けられた第1膜の表面で規定される角部に、第1膜及び第2膜に囲まれるようにして規定されることが好ましい。リッジの側面を第1膜で覆うことにより、リッジ側面における絶縁性を確保し、安定した電気的特性を得ることができる。さらに、第1膜が単結晶からなる場合には、窒化物半導体層に対する密着性を良好にすることができ好ましい。
また、図4及び5に示すように、第1膜がリッジの側面の一部を被覆する場合には、窒化物半導体層表面に設けられた第1膜の表面とリッジの側面とで規定される角部に設けられる。このとき空隙は、第1膜、第2膜及びリッジ側面に囲まれて規定されることが好ましい。このようにリッジ側面に接触して空隙を配置することで、窒化物半導体層に対する光閉じ込めを安定化させることができるので、効率のよい状態を長時間にわたって維持することのできる窒化物半導体レーザ素子を得られる。
さらには、図6に示すように、第1膜上に設けられた空隙が、第2膜によって完全に囲まれず、その一部が開放状態となり、リッジ14側面からリッジ14基底部周辺にわたる空隙20が配置されていてもよい。言い換えると、第2膜15bは、リッジ14側面から、リッジ14両側の窒化物半導体層の表面に至る領域まで連続する空隙15を介して窒化物半導体層の表面に形成されている。この場合には、この空隙15は、第1膜16、第2膜及び窒化物半導体層で囲まれているのではなく、その一部が、これらに規定されない状態となっている。例えば、空隙15の上側の一部が、p電極16又はp側パッド電極19等で覆われることにより規定されている。
また、空隙の大きさは、特に限定されず、絶縁性保護膜とリッジ又は窒化物半導体層との界面にかかる応力を緩和することができる大きさであればよい。これにより、応力を効果的に抑制することができ、さらなる寿命特性の向上を図ることができる。この空隙15はエアギャップ、ギャップ等の空間であってもよいし、その内部にどのような雰囲気が存在しているかは限定されない。
空隙の大きさは、横長であることが好ましく、例えば、リッジ側面における高さよりもリッジ基底部周辺における幅が広いことが好ましい。例えば、第1膜の直上においては、その幅は、50〜1000nm程度であることが適当であり、その領域での高さは、1〜50nm程度が適当である。また、図6に示すようにその一部が開放状態で設けられた空隙である場合には、第1膜表面からリッジ上面までの高さと同等であることが好ましい。これらのような範囲であれば、空隙の大きさの制御が容易であり、ひいては光閉じ込めの制御も可能になるためである。なお、幅50nm以上の大きい横長の空隙の場合、電極の光吸収抑制に特に効果がある。
空隙の形状は特に限定されず、例えば、図2乃至5に示すような長方形であってもよいし、図6に示すようなL字状であってもよい。また、一部において膨らんだ形状や、幅又は高さが変化した形状等、種々の形状が挙げられる。また、空隙は、リッジと略並行な方向に延びた形状であることが好ましい。例えば、共振器方向に、1つの連なった空隙であってもよいし、複数の空隙に分割されて存在していてもよい。これにより、リッジのストライプ方向にわたって、光を閉じ込めることができる。なお、共振器端面側における空隙の端部は、保護膜等で塞がれるか、埋め込まれていてもよいし、開放状態であってもよい。空隙は必ずしも全ての領域において上述した幅及び高さを有していなくてもよい。
また、このような空隙が第1膜と第2膜の間に配置されることにより、空隙とリッジ(窒化物半導体)との屈折率差により、リッジ内に効率的に光を閉じ込めることができる。例えば、空隙がエアギャップであった場合、空気は、屈折率が最小(1.0)であるため、第1膜と第2膜との間に空隙が存在しない(リッジと保護膜の屈折率差により光を閉じ込める)場合と比較して、リッジ内外の屈折率差が大きくなり、リッジ内への光閉じ込めを強くすることができる。しかも、空隙を有することにより、例えば熱に対して屈折率が変動しやすい材料を第2膜に採用したとしても屈折率の変化の影響を受けにくくなるため、安定して横方向の光を閉じ込めることができる。これにより、閾値を低下させることができ、投入電力の低下、温度特性及び寿命特性の向上を達成することができる。なお、これらの効果は、第1膜が第2膜よりも薄膜で形成される場合により効果的である。
また、空隙は、第1膜と第2膜との間の完全な空間でなくてもよく、上述した応力緩和、光閉じ込め等の種々の効果に悪影響を及ぼさない限り、絶縁性保護膜、窒化物半導体層、マスクとして用いた材料等の膜残りが存在していてもよい。
空隙の形成方法としては、リッジ形成に用いるマスクパターンとそのマスクパターン上に存在する絶縁性保護膜とを除去する際に空隙を形成することができる。具体的には、マスクパターン及び絶縁性保護膜を除去するのと同時若しくはその後に、リッジ側面からリッジ基底部周辺にわたる第2膜を除去して空隙を形成する。これらの除去は、公知のドライ又はウェットエッチングにより行うことができる。例えば、HF及び/又はBHFを用いたウェットエッチング、リフトオフ法により行うことが適当である。この際の第2膜の材料、膜厚、積層構造、成膜方法、エッチング方法、エッチャントの種類、エッチャントの濃度、エッチング時間等の種々の条件を適宜調整することにより、リッジの両側面から基底部周辺における空隙を確保することができるようにエッチングする。加えて、第1膜の表面であって、リッジ及びその周辺部以外の領域においては接触状態で被覆し、リッジ基底部周辺からリッジ両側面においては非接触状態で被覆するように、第2膜を加工する。このような空隙の大きさや形状は、例えば、リッジの傾斜角度、エッチャントの種類、濃度、処理(浸潰)時間等によって調整することができる。
このようにして空隙を形成すると、第2膜と、第1膜若しくはリッジ側面の間に隙間ができ、図6のような形とすることができる。その後、このまま後の工程を進めることで、リッジ側面の第2膜は、第2膜自身の重みにより傾倒し、第1膜若しくはリッジ側面と接触する。また、電極形成工程において第2膜の側面を被覆するようにp側電極が設けられると、p側電極により第2膜が押さえられ、第2膜を第1膜若しくはリッジ側面と接触させることができる。また、図6のような形を維持するためには、リッジ側面までの距離を調整し、リッジ側面への傾倒が起こらないようにすればよい。リッジ側面までの距離を大きくすることで第2膜が接触しないようにすることができ、具体的には、5〜10nm程度とすることが挙げられる。この場合のリッジ側面の第2膜の膜厚は、50μm以下とするように調整することが好ましい。あるいは、p側電極をリッジの表面のみに形成し、電極により押さえられ接触するのを抑制してもよい。
また、別の空隙の形成方法としては、マスクを設けることにより空隙部分を確保する方法もある。図3を用いて具体的に説明する。まず、前工程として、第1膜を形成後、空隙形成領域であるリッジの基底部周辺にマスクパターンを設け、図3中に示すXの膜厚で第2膜を設ける。なお、この領域は任意に選択することができる。続いて、後工程として、先に形成した第2膜を被覆するように、再び同一材料で第2膜を設ける。これにより、空隙を形成することができる。また、第1膜形成後に設けられたマスクパターンは、後工程の第2膜形成前に除去してもよいし、後工程の第2膜形成後に上記と同様の方法で除去してもよい。
あるいは、第1膜を形成後に局所的に熱処理、露光、粗面化等の処理を施し、部分的に第2膜を形成しにくく加工し、第2膜を形成することで局所的に空隙を設ける方法もある。
また、空隙をエッチングにより形成する場合には、第1膜が除去されないようにする必要がある。例えば、第1膜は除去されず第2膜が除去されるようなエッチャントを用いることで、第1膜は除去されず、第2膜に好適な空隙を設けることができる。具体的には、上述したようなHF及び/又はBHF等を用いることができる。あるいは、第1膜形成後に任意で加工を施すことにより第1膜が除去されにくくなるように変質、改質してもよい。その方法としては、熱処理、光照射等が挙げられる。または、第1膜を結晶質の膜とすることで、マスクパターン及び第2膜を除去するエッチング条件では除去されにくくなるため、第1膜の形成条件を調整することで第1膜が除去されないようにしてもよい。第1膜を結晶質の膜とするための条件は後述する。
また、第1膜は、絶縁体又は誘電体からなる単結晶の膜であることが好ましい。単結晶の膜を形成した場合には、第1膜を窒化物半導体の結晶に対応して均一に配向させることができ、窒化物半導体層に対する応力を最小限に止めることができる。特に、窒化物半導体層がInAlGa1−x−yN(0≦x、0≦y、0≦x+y≦1)からなり、InAlGa1−x−yN[0002]及びGaN[11−20]に対して、第1膜が、それぞれ[1−210]及び[10−10]に配向していることが好ましい。さらに、窒化物半導体層がGaNからなり、GaN[0002]及び[11−20]に対して、第1膜が、それぞれ、[1−210]及び[10−10]に配向していることが好ましい。つまり、C軸及びA軸の窒化物半導体層に対して、A軸及びM軸の第1膜が形成されていることが好ましい。第1膜は、例えば、Al酸化物(例えば、Al)、Ga酸化物、Al窒化物(例えば、AlN)からなる群から選択されることが好ましい。
第1膜がAl(アルミナ)であって、窒化物半導体層の表面であるC面に対して、その上に形成されるこのAlがA軸配向又はM軸配向している結晶、特にA軸配向している結晶を含有していることがより好ましい。
また、別の観点から、第1膜は、六方晶の結晶を含有していることが好ましい。六方晶の結晶は、代表的には、AlNの結晶構造が挙げられる。
第2膜は、絶縁体又は誘電体からなる多結晶又はアモルファスの膜であることが好ましい。例えば、Zr酸化物(例えば、ZrO)、Si酸化物(例えば、SiO)、Al酸化物(例えば、Al)等が挙げられる。また、その成膜方法によって、多結晶又はアモルファスの膜とすることができるものを用いてもよい。なお、第2膜は、積層構造でもよい。この場合、その材料又は組成、結晶系、成膜方法等のいずれか又は2以上が異なる膜の積層構造とすることができる。第1膜がAl(アルミナ)である場合には、第2膜はZrOであることが密着性もよく好ましい。
ここで、上述した第1膜及び第2膜の結晶性は、電子線による回折像によって容易に判定することができる。一般に、材料の結晶度合いの大きさによって、単結晶、多結晶、アモルファスに分類される。単結晶は、材料中で格子定数の変動が略なく、格子面傾斜が略ないものである。言い換えると、材料中で原子配列が規則的に並び、長距離的な秩序が保たれたものであり、格子定数の変動がほぼなく、格子面傾斜がほぼないものである。多結晶とは、多数の微小な単結晶、すなわち微結晶から構成されているものである。アモルファスは、結晶におけるような周期的構造をもたないもの、つまり原子配列が不規則、長距離秩序がないものを意味する。これらの材料に電子線を入射することによって、格子定数の大きさと面方向に対応して、電子線回折像が規則正しく表れることが知られている。
また、第1膜は、第2膜よりも薄膜であることが好ましい。これによって、保護膜の応力を効果的に抑制することができる。例えば、絶縁性保護膜は、1000Å〜5000Å程度の総膜厚であることが好ましい。この保護膜の総膜厚が1000Å以上あることで光閉じ込めの効果を有し、かつ電極による光吸収を防止することができる。また、この保護膜の総膜厚が5000Å以下であることで応力による保護膜の剥がれや割れを抑止することができる。第1膜は、絶縁性保護膜の5〜30%程度の膜厚、さらに好ましくは7〜20%程度の膜厚であることが適している。具体的には、第1膜は、1000Å程度以下、さらに好ましくは500Å程度以下が挙げられる。
例えば、絶縁性保護膜を形成する多層膜において、窒化物半導体層に接触する第1膜が多結晶又はアモルファスからなる膜の場合、光吸収が発生しレーザ効率が悪化し、駆動電流が高くなる。これでは、窒化物半導体レーザ素子の長寿命を確保することができない。また、保護膜を単結晶の単層構造とすれば、保護膜と窒化物半導体との間の応力が大きくなる。そのため、所望の膜厚を確保しようとすれば窒化物半導体層に割れが生じたり、窒化物半導体レーザ素子の劣化速度が大きくなる。一方、本発明のように、保護膜を窒化物半導体層側から順に単結晶の第1膜と、多結晶又はアモルファスの第2膜とを組み合わせて積層した構成とすることにより、このような課題を解消することができる。
絶縁性保護膜は、当該分野で公知の方法によって形成することができる。例えば、蒸着法、スパッタ法、反応性スパッタ法、ECRプラズマスパッタ法、マグネトロンスパッタ法、イオンビームアシスト蒸着法、イオンプレーティング法、レーザアブレーション法、CVD法、スプレー法、スピンコート法、ディップ法又はこれらの方法の2種以上を組み合わせる方法、あるいはこれらの方法と酸化処理(熱処理)とを組み合わせる方法等、種々の方法を利用することができる。
特に、単結晶の膜を得るためには、ECRプラズマスパッタ法を用いることが適している。その成膜条件は、酸化膜では成膜中に、単結晶膜の原料からなるターゲット表面を十分に酸化させることができるように酸素流量を調整することが好ましく、具体的には、酸素流量を10〜20sccmとすることが好ましい。また、窒化膜の場合は窒素流量を調整することが好ましい。いずれの方法においても、所望の膜を得るために、例えば、マイクロ波電力、アルゴン流量、等を適宜調整して成膜することができる。具体的には、マイクロ波電力300〜800W、RF電力300〜800W、アルゴン流量10〜40sccmの場合に、酸素流量を10〜20sccmとすることが好ましい。あるいは、窒化膜では、例えば、マイクロ波電力300〜800W、RF電力300〜800W、アルゴン流量10〜40sccmの場合に、窒素流量を5〜20sccmとすることが適している。
また、多結晶又はアモルファスの膜を得るためには、ECRプラズマスパッタ法を用いて、その成膜条件は、成膜中に、多結晶又はアモルファスの原料からなるターゲット表面を酸化させることができない酸素流量とすることが適しており、具体的には、マイクロ波電力300〜800W、RF電力300〜800W、アルゴン流量10〜40sccmの場合に、酸素流量を3〜8sccmとすることが好ましい。
また、絶縁性保護膜が、側面を被覆するように形成するには、絶縁性保護膜の成膜時間を長くする、若しくはアルゴン流量を増やす等の方法で側面を被覆するような絶縁性保護膜を形成することができる。具体的には、マイクロ波電力300〜800W、RF電力300〜800W、アルゴン流量30〜50sccmの場合には、酸素流量を3〜8sccmとすることが好ましい。
本発明の窒化物半導体レーザ素子は、例えば、図1に示したように、基板10上に、窒化物半導体層として、n側半導体層11、活性層12、p側半導体層13がこの順に形成されている。窒化物半導体の表面にはリッジ14が形成されており、リッジ14の側面から、窒化物半導体層の表面にわたって上述した絶縁性保護膜15が第1膜15a、第2膜15bの2層構造で形成され,第1膜と第2膜の間であって、窒化物半導体層表面に形成された第1膜とリッジ側面に形成された第1膜とで規定される角部に空隙20が設けられている。
リッジ14上面にはp側電極16が形成されている。また、基板の裏面にn側電極19が形成されている。また、窒化物半導体層の側面から、上面にかけて、窒化物半導体層を保護するための別の保護膜17が形成されている。絶縁性保護膜15、p側電極16及び保護膜17の上面には、pパッド電極18が形成されている。
なお、本発明の窒化物半導体レーザ素子は、420nm程度以上の波長のレーザ光を照射する素子であってもよいが、420nm程度以下の波長のレーザ光を照射する素子である場合に、特に有利である。つまり、上述したような時間の経過による絶縁膜の剥がれは、レーザ光の波長が短いほどさらにはその出力が大きいほど起こりやすい。さらに、一般に絶縁性保護膜として用いられている酸化膜(例えば、ZrO)は、酸素と酸化膜を構成する他の元素との結合力が弱いために、酸素が、窒化物半導体を構成する元素(例えば、Ga)と結合しやすいと考えられ、その結果、絶縁性保護膜の密着性及び/又は光閉じ込めに悪影響を与え、レーザ素子の駆動電流値が不安定になる。つまり、420nm程度以下の光(例えば、紫外線)が照射されることによって、多結晶又はアモルファス状態の絶縁性保護膜における酸素がイオン化しやすくなり、窒化物半導体と結合することにより、リークの発生、光閉じ込めの変化が起こりAPC駆動時の動作電流値を不安定にする。これに対して、本発明では、このような酸化膜と窒化物半導体層との間に、単結晶を含む第1膜を形成することにより、420nm以下の波長の光の照射を緩和することができるとともに、このような波長の光の照射に起因する上述した酸素のイオン化を有効に防止することが可能となる。
本発明において、基板10は、絶縁性基板であってもよいし、導電性基板であってもよい。基板としては、例えば、第1主面及び/又は第2主面に0°より大きく10°以下のオフ角を有する窒化物半導体基板であることが好ましい。その膜厚は、例えば、50μm以上10mm以下が挙げられる。なお、例えば、特開2006−24703号公報に例示されている種々の基板等の公知の基板、市販の基板等を用いてもよい。
窒化物半導体基板は、MOCVD法、HVPE法、MBE法等の気相成長法、超臨界流体中で結晶育成させる水熱合成法、高圧法、フラックス法、溶融法等により形成することができる。
窒化物半導体層としては、一般式InAlGa1−x−yN(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦x+y≦1)を含むものを用いることができる。また、これに加えて、III族元素としてBが一部に置換されたものを用いてもよいし、V族元素としてNの一部をP、Asで置換されたものを用いてもよい。n側半導体層は、n型不純物として、Si、Ge、Sn、S、O、Ti、Zr、CdなどのIV族元素又はVI族元素等のいずれか1つ以上を含有していてもよい。また、p側半導体層は、p型不純物として、Mg、Zn、Be、Mn、Ca、Sr等を含有していてもよい。不純物は、例えば、5×1016/cm〜1×1021/cm程度の濃度範囲で含有されていることが好ましい。
活性層は、多重量子井戸構造又は単一量子井戸構造のいずれでもよい。
窒化物半導体層は、n側半導体層とp側半導体層に光の導波路を構成する光ガイド層を有することで、活性層を挟んだ分離光閉じ込め型構造であるSCH(Separate Confinement Heterostructure)構造とすることが好ましい。但し、本発明は、これらの構造に限定されるものではない。
窒化物半導体層の成長方法は、特に限定されないが、MOVPE(有機金属気相成長法)、MOCVD(有機金属化学気相成長法)、HVPE(ハイドライド気相成長法)、MBE(分子線エピタキシー法)など、窒化物半導体の成長方法として知られている全ての方法を好適に用いることができる。特に、MOCVD又はMBEは結晶性良く成長させることができるので好ましい。
窒化物半導体層、つまり、p側半導体層の表面には、リッジが形成されている。リッジは、導波路領域として機能するものであり、その幅は1.0μm〜30.0μm程度、さらに、1.0μm〜15.0μm程度が好ましい。その高さ(エッチングの深さ)は、p側半導体層を構成する層の膜厚、材料等、さらに光閉じ込めの程度等を適宜調整することができ、例えば、0.1〜2μmが挙げられる。リッジは、共振器方向の長さが100μm〜1000μm程度になるように設定することが好ましい。また、共振器方向においてすべて同じ幅でなくてもよいし、その側面が垂直であっても、テーパー状であってもよい。
この場合のテーパー角は45°〜90°程度が適当である。
なお、リッジの形成は、当該分野で通常用いられる方法により形成することができる。例えば、フォトリソグラフィ及びエッチング工程が挙げられる。この際のエッチングは、RIE(反応性イオンエッチング)法などのドライエッチング、ウェットエッチングのいずれでもよいし、双方を、この順序又は逆の順序で、行ってもよい。なかでも、窒化物半導体の表面をドライエッチング、続いてウェットエッチングすることが好ましい。このようなリッジの形成により、上述した第1膜及び第2膜からなる絶縁性保護膜を形成することができる。
本発明における電極は、p及びn側窒化物半導体層と電気的に接続された一対の電極をさす。p側電極は、窒化物半導体層及び絶縁性保護膜上に形成されることが好ましい。電極が最上層の窒化物半導体層及び絶縁性保護膜の第1膜上に連続して形成されていることにより、第1膜の剥がれを防止することができる。特に、リッジ側面に形成された絶縁性保護膜の表面までp側電極が形成されていれば、絶縁性保護膜の剥がれを有効に防止することができる。
電極は、例えば、パラジウム、白金、ニッケル、金、チタン、タングステン、銅、銀、亜鉛、錫、インジウム、アルミニウム、イリジウム、ロジウム、ITO等の金属又は合金の単層膜又は積層膜により形成することができる。電極の膜厚は、用いる材料等により適宜調整することができ、例えば、500〜5000Å程度が適当である。電極は、少なくともp側及びn側半導体層又は基板上にそれぞれ形成していればよく、さらにこの電極上にパッド電極等、単数又は複数の導電層を形成してもよい。
また、絶縁性保護膜上には、保護膜が形成されていることが好ましい。このような保護膜は、少なくとも窒化物半導体層表面において絶縁性保護膜上に配置していればよく、絶縁性保護膜を介して又は介さないで、窒化物半導体層の側面及び/又は基板の側面又は表面等をさらに被覆していることが好ましい。保護膜は、絶縁性保護膜で例示したものと同様の材料で形成することができる。これにより、絶縁性のみならず、露出した窒化物半導体層の側面又は表面等を確実に保護することができる。
なお、共振器端面には、反射ミラーを形成してもよい。反射ミラーは、酸化膜、窒化膜、酸窒化膜、これらの組み合わせ等により形成することができる。具体的には、SiO、ZrO、TiO、Al、Nb、SiN、AlN、SiON、AlON等の酸化膜、窒化膜等からなる誘電体多層膜である。反射ミラーは、共振面の光反射側及び/又は光出射面に形成することが好ましく、さらに、共振面の光反射側及び光出射面に形成す
ることが好ましい。劈開によって形成された共振面であれば、反射ミラーを再現性よく形
成することができる。
以下に、本発明の窒化物半導体レーザ素子の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
この実施例の窒化物半導体レーザ素子は、図1及び2に示すように、基板10上に、窒化物半導体層として、n側半導体層11、活性層12、p側半導体層13がこの順に形成されており、p側半導体層13の表面にリッジ14が形成されている。リッジ14の側面から、窒化物半導体層の表面にわたって第1膜15a(単結晶のAl膜)及び第2膜15b(多結晶又はアモルファスのZrO)からなる絶縁性保護膜15が形成されている。
リッジ14上面にはp側電極16が形成されている。また、基板の裏面にはn側電極19が形成されている。窒化物半導体層の側面には、素子を保護するための保護膜17が形成されており、絶縁性保護膜15、p側電極16及び保護膜17の上面には、pパッド電極18が形成されている。
この窒化物半導体レーザ素子は、以下の方法で製造することができる。
(基板)
まず、n型不純物を含有した窒化物半導体基板を準備する。この窒化物半導体基板をMOVPE反応容器内にセットし、SiドープしたAl0.02Ga0.98Nよりなる層を2μmの膜厚で成長させる。その後、Siドープしたn−In0.05Ga0.95Nよりなる層を1500オングストロームの膜厚で成長させる。
(n側半導体層11)
SiドープしたAl0.11Ga0.89N層を0.7μmの膜厚で成長させる。次に、アンドープのAl0.06Ga0.94N層を0.15μmの膜厚で成長させる。
(活性層12)
SiをドープしたAl0.15Ga0.85N層を70オングストロームの膜厚で成長させる。続いて、アンドープのIn0.01Ga0.09Nよりなる井戸層を100オングストロームの膜厚で成長させる。さらに、Al0.15Ga0.85N層を50オングストロームの膜厚で成長させて、単一量子井戸(SQW)からなる活性層を成長させる。
(p側半導体層13)
MgドープしたAl0.30Ga0.70N層を100オングストロームの膜厚で成長させる。続いて、アンドープのAl0.06Ga0.94N層を0.15μmの膜厚で成長させる。続いて、アンドープのAl0.13Ga0.87N層を25オングストロームの膜厚で成長させ、MgドープしたAl0.09Ga0.91N層を25オングストロームの膜厚で成長させ、これを繰り返し、総膜厚0.6μmの超格子層を成長させる。最後に、MgドープしたGaN層を150オングストロームの膜厚で成長させる。
(リッジ14の形成)
得られた窒化物半導体を成長させたウェハを反応容器から取り出し、最上層のp側コンタクト層の表面に、所定の形状のマスク形成し、RIEにてエッチングを行い、n側半導体層の表面を露出させる。
最上層のp側コンタクト層の表面に、所定の形状のマスクを介して、幅2.0μmのストライプ状のSiOよりなる保護膜を形成する。その後、RIEを用い、p側クラッド層とp側光ガイド層との界面付近までエッチングを行い、幅7.0μmのストライプ状のリッジ14を形成する。
(絶縁性保護膜15及び空隙20の形成)
続いて、SiOマスクをつけたまま、窒化物半導体層の表面に、ECRプラズマスパッタ装置にて、Alターゲットを用いて、第1膜15aとしてAl膜を200Åで形成し、400℃以上で熱処理を行う。続いて、第2膜15bとして、ZrO膜をECRプラズマスパッタ装置にて、2000Å成膜する。その後、熱処理をし、バッファードフッ酸に浸漬して、リッジ表面に形成したSiOを溶解除去し、リフトオフ法によりSiO及びリッジ表面に形成されているAl膜及びZrO膜を除去する。続けてバッファードフッ酸に浸漬し、リッジ側面に形成された第1膜との界面付近の第2膜を一部除去し、さらに窒化物半導体層表面に形成された第2膜も除去することで空隙を形成する。
(p側電極の形成)
p側コンタクト層のリッジ最表面にNiとAuを順に形成してなるp側電極16を形成する。
(保護膜17の形成)
絶縁性保護膜上から窒化物半導体層の側面及び先に露出したn側半導体層の表面にかけて、SiOよりなる保護膜17を形成する。
(パッド電極の形成)
続いて、p側電極16と電気的に接続したp側パッド電極18を形成する。
(n側電極の形成)
その後、基板を80μm程度の厚さに研磨し、基板10の裏面にn側電極19を形成する。
(分割)
その後、窒化物半導体層及び基板10を劈開してバー状とし、そのバーの劈開面に共振面を作製する。共振面作製後、共振器面に保護膜及び反射膜を形成し、さらに共振面に垂直な方向でバー状のウェハを切断して窒化物半導体レーザ素子を得る。
(評価)
得られた窒化物半導体レーザ素子について、各電極をダイボンディング若しくはワイヤーボンディングして、Tc=25℃、出力100mWでレーザ発振を試みたところ、閾値電流密度2.3kA/cm、発振波長375nmの連続発振が確認され、5000時間以上の推定寿命を示した。
また、上述と同様の方法で、同様の窒化物半導体レーザ素子を8個形成し、それらについて同様に連続発振させた。その結果である初期駆動電流値で規格化した駆動電流と駆動時間の関係のグラフを図7Aに示す。
図7Aに示すように、全ての窒化物半導体レーザ素子において、駆動電流値が長時間にわたって安定していることが確認された。
また、比較のため、空隙を有しない以外は同様の窒化物半導体レーザ素子を作成し、それらについて同様に連続発振させた。その結果を図7Bに示す。この結果によれば、500時間経過程度までは、駆動電流値は比較的安定して動作するが、750時間を経過したあたりから電流値の変動が大きくなるものが見られた。また、突然破壊により、駆動電流の急激な劣化が発生するものも確認された。
また、比較例の素子について、駆動前及び1000時間経過後にその断面を観察すると、駆動前においては、窒化物半導体、第1膜及び第2膜は良好に密着していることが確認された。しかし、1000時間経過後には、第1膜と第2膜の間に空隙が確認され、第2膜の剥がれが確認された。つまり、比較例の窒化物半導体レーザ素子では、駆動時間の経過により、第2膜の剥がれが起こり、電流値が変動し、安定した素子駆動が困難となったものと推測される。
<実施例2>
本実施例の窒化物半導体レーザ素子は、図3に示すように、第1膜がリッジ側面を被覆し、第2膜はリッジ側面の第1膜を露出するように設けられている以外、実質的に実施例1の窒化物半導体レーザ素子と同様の構成である。
なお、第1膜は、実施例1と同様に形成し、第2膜は、2000Åの膜厚とする。具体的には、第1膜形成後、リッジ基底部周辺の第1膜上に、図3中Xで示す膜厚で、縦10nm、横300nmの大きさのマスクパターンを設けて第2膜を形成し、マスクパターンを除去することにより空隙を形成する。
その結果、実施例1とほぼ同様の結果が得られる。
<実施例3>
本実施例の窒化物半導体レーザ素子は、図4に示すように、第1膜がリッジ側面の一部を被覆し、第2膜は第1膜から露出したリッジ側面を被覆するように設けられている以外、実質的に実施例1の窒化物半導体レーザ素子と同様の構成である。
なお、第1膜は、リッジ側壁にマスクパターンを形成した状態で第1膜を形成することで半導体層表面のみに第1膜を形成する。
第2膜は実施例1と同様の方法で形成する。
その結果、実施例1とほぼ同様の結果が得られる。
<実施例4>
本実施例の窒化物半導体レーザ素子は、図5に示すように、第1膜がリッジ側面の一部を被覆し、第2膜は第1膜から露出したリッジ側面の一部を被覆するように設けられている以外、実質的に実施例1の窒化物半導体レーザ素子と同様の構成である。
なお、第1膜は、実施例3と同様に形成し、第2膜は、実施例2と同様に形成する。
その結果、実施例1とほぼ同様の結果が得られる。
<実施例5>
本実施例の窒化物半導体レーザ素子は、図6に示すように、第1膜がリッジ側面の一部を被覆し、第2膜はリッジ側面と非接触状態となるように設けられている以外、実質的に実施例1の窒化物半導体レーザ素子と同様の構成である。
なお、第1膜は、実施例3と同様に形成し、第2膜は、実施例1と同様に形成する。その後、実施例1と同様の方法を用いて、リッジ側面に形成された第2膜を40Å程度の膜厚となるように除去する。具体的には、エッチング時間を20分程度長くする。
その結果、実施例1の窒化物半導体レーザ素子と比較して光閉じ込めを強くすることができ、効率のよい窒化物半導体レーザ素子を得ることができる。
<実施例6>
この実施例の窒化物半導体レーザ素子は、絶縁性保護膜として、第1膜(単結晶のAlN膜:膜厚200Å)及び第2膜(アモルファスのSiO:膜厚1500Å)が形成されている以外、実施例1と実質的に同様の構成である。
その結果、実施例1の窒化物半導体レーザ素子と比較して第2膜の屈折率が小さいため、光閉じ込めを強くすることができ、効率のよい窒化物レーザ素子を得ることができる。
<実施例7>
この実施例の窒化物半導体レーザ素子は、絶縁性保護膜として、第1膜(単結晶のAlN膜:膜厚200Å)及び第2膜(アモルファスのAl膜:膜厚1500Å)が形成されている以外、実施例1と実質的に同様の構成である。
その結果、実施例1とほぼ同様の結果が得られる。
本発明は、レーザダイオード(LD)のみならず、発光ダイオード(LED)、スーパールミネセンスダイオード等の発光素子、太陽電池、光センサ等の受光素子、あるいはトランジスタ、パワーデバイス等の電子デバイスに用いられるような、絶縁性保護膜と同じ材料の膜と、電極材料との密着性を確保する必要がある窒化物半導体素子に広く適用することができる。特に、光ディスク用途、光通信システム、ディスプレイ、印刷機、露光用途、測定、バイオ関連の励起用光源等における窒化物半導体レーザ素子に利用することができる。
10 基板
11 n側半導体層
12 活性層
13 p側半導体層
14 リッジ
15 絶縁性保護膜
15a 第1膜
15b 第2膜
16 p側電極
17 保護膜
18 pパッド電極
19 n側電極

Claims (9)

  1. 基板と、該基板上に形成され表面にリッジを有する窒化物半導体層と、該窒化物半導体層表面に設けられた絶縁性保護膜とを有する窒化物半導体レーザ素子において、
    前記絶縁性保護膜は、リッジの側面及び窒化物半導体層表面に接触して設けられる第1膜と、第1膜上に設けられた第2膜とを有し、第1膜と第2膜の間に空隙を有し、
    前記空隙は、前記窒化物半導体層の表面に設けられた第1膜の表面と前記リッジの側面とで規定される角部において、第1膜、第2膜及びリッジ側面に囲まれて設けられることを特徴とする窒化物半導体レーザ素子。
  2. 基板と、該基板上に形成され表面にリッジを有する窒化物半導体層と、該窒化物半導体層表面に設けられた絶縁性保護膜とを有する窒化物半導体レーザ素子において、
    前記絶縁性保護膜は、リッジの側面及び窒化物半導体層表面に接触して設けられる第1膜と、第1膜上に設けられた第2膜とを有し、第1膜と第2膜の間に空隙を有し、
    前記空隙は、前記窒化物半導体層の表面に設けられた第1膜の表面と前記リッジの側面に設けられた第1膜の表面で規定される角部において、第1膜及び第2膜に囲まれて設けられることを特徴とする窒化物半導体レーザ素子。
  3. 前記第1膜と前記第2膜は異なる材料で形成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の窒化物半導体レーザ素子。
  4. 前記第1膜は、前記リッジの側面の一部を露出するように設けられることを特徴とする請求項2又は3に記載の窒化物半導体レーザ素子。
  5. 前記第1膜は、前記リッジの側面を被覆するように設けられることを特徴とする請求項2又は3に記載の窒化物半導体レーザ素子。
  6. 前記第1膜は結晶質の材料で形成され、前記第2膜はアモルファスを含む材料で形成されることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の窒化物半導体レーザ素子。
  7. 前記空隙は断面視で横長である請求項1乃至のいずれか1項に記載の窒化物半導体レーザ素子。
  8. 前記第1膜は、前記第2膜よりも膜厚が薄い請求項1乃至のいずれか1項に記載の窒化物半導体レーザ素子。
  9. 前記第1膜はAlN又はAlで形成され、前記第2膜はZrO又はSiOで形成されることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の窒化物半導体レーザ素子。
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