JP5391588B2 - 窒化物半導体レーザ素子 - Google Patents

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Description

本発明は、窒化物半導体レーザ素子に関し、より詳細には、共振器端面に特定構造の保護膜を有する窒化物半導体レーザ素子に関する。
窒化物半導体レーザ素子では、RIE(反応性イオンエッチング)又は劈開によって形成された共振器端面はバンドギャップエネルギーが小さいため、出射光の吸収が端面で起こりやすい。この出射光の吸収により端面に熱が発生し、高出力レーザを実現するには寿命特性等に問題があった。このため、例えば、Siの酸化膜や窒化膜を、共振器端面の保護膜として形成する高出力半導体レーザの製造方法が提案されている(例えば、特許文献1)。この保護膜は窓層として機能し、共振器端面での光吸収を抑制する。
特開平10−70338
しかし、窒化物半導体レーザ素子においては、前記保護膜が共振器端面での光吸収を抑制できる材料であったとしても、窒化物半導体との格子定数の違いから積層された窒化物半導体層にクラックが発生することや、保護膜に剥がれが生じることで、所望の機能を果たすことができなくなるという問題がある。
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、窒化物半導体層にクラックが発生することを抑制し、かつ端面において保護膜の剥がれが生じず、良好な特性を有する窒化物半導体レーザ素子を提供することを目的とする。
本発明者らは、信頼性の高い窒化物半導体レーザ素子を実現するために、つまり、高出力駆動を行っても良好な特性、特に高いCODレベルを得るために、共振器端面の保護膜について鋭意研究を行った。その結果、保護膜自体の配向性が、保護膜の応力による半導体層への負荷、保護膜の剥がれ等に影響を及ぼすこと、特に、高出力駆動において経時変化を与えることを見出した。つまり、保護膜の配向性が均一である場合には、駆動の初期ではCODレベルが高いが、高出力駆動に伴って、半導体層への負荷、保護膜の剥がれ等に起因してCODレベルが経時的に低下することを見出した。
また、積層された窒化物半導体層の露出面である共振器端面の格子定数と、共振器端面に形成される保護膜の格子定数との差異が大きい場合には、共振器端面上に形成される保護膜に多結晶等からなる光吸収領域が形成されるため、CODレベルが低下すること、さらに、これは、窒化物半導体層内に形成される光導波路領域、特に活性層上に形成される保護膜の物性によって影響を受けることをも見出した。
これにより、保護膜の配向性及び/又は格子定数の調整が半導体レーザ素子の特性を長期的に維持し得ることを突き止め、本発明の完成に至った。
本発明の窒化物半導体レーザ素子は、第1導電型の窒化物半導体層と、活性層と、第1導電型とは異なる導電型の第2導電型の窒化物半導体層とが順に積層されてなる窒化物半導体層と、該窒化物半導体層に形成された共振器端面と、該共振器端面に形成された保護膜(以下、「第1保護膜」と記すことがある)とを備えてなる窒化物半導体レーザ素子であって、
前記保護膜は、前記窒化物半導体層の積層方向に、結晶の軸配向が異なる領域を有するか、あるいは、前記共振器端面との接触界面において該共振器端面とは結晶の軸配向が異なる領域を有することを特徴とする。
これらの窒化物半導体レーザ素子では、さらに、前記保護膜は、(1)前記窒化物半導体層の積層界面上において、窒化物半導体層の積層方向に結晶の軸配向が異なるか、(2)少なくとも前記窒化物半導体層のバンドギャップエネルギーがGaNより大きい層上において、前記共振器端面と同軸配向の結晶構造を有するか、(3)前記窒化物半導体層のバンドギャップエネルギーがGaN以下の層上において、前記共振器端面と異軸配向の結晶構造を有するか、(4)少なくとも前記窒化物半導体層の格子定数がGaNより小さい層上において、前記共振器端面と同軸配向の結晶構造を有するか、(5)前記窒化物半導体層の格子定数がGaN以上の層上において、前記共振器端面と異軸配向の結晶構造を有するか、(6)少なくとも光出射面側の共振器端面に形成されたものであるか、(7)六方晶系の結晶構造を有するか、(8)窒素を含むか、(9)前記保護膜は、前記窒化物半導体層のバンドギャップエネルギーがGaNより大きい層上でM軸配向の結晶構造を有し、かつバンドギャップエネルギーがGaN以下の層上でC軸配向の結晶構造を有するか、(10)窒化物半導体層と格子整合している領域を有することが好ましい。
また、前記活性層は、井戸層と障壁層とを有する単一又は多重量子井戸構造であり、前記保護膜は、前記井戸層と障壁層との積層界面上において、窒化物半導体層の積層方向に結晶の軸配向が異なることが好ましい。
さらに、前記窒化物半導体層は、InGa1−xN(0<x≦1)層を有しており、前記InGa1−xN(0<x≦1)層は、前記窒化物半導体層の積層方向にC軸配向の結晶構造を有し、かつ、前記保護膜は前記共振器端面に垂直方向にC軸配向の結晶構造を有していることが好ましい。
また、本発明の別の窒化物半導体レーザ素子は、第1導電型の窒化物半導体層と、活性層と、第1導電型とは異なる導電型の第2導電型の窒化物半導体層とが順に積層されてなる窒化物半導体層と、該窒化物半導体層に形成された共振器端面と、該共振器端面に形成された保護膜とを備えてなる窒化物半導体レーザ素子であって、
前記保護膜は、前記共振器端面との接触界面において該共振器端面とは結晶の軸配向が異なる領域を有することを特徴とする。
さらに、本発明の別の窒化物半導体レーザ素子は、第1導電型の窒化物半導体層と、量子井戸構造をした活性層と、第1導電型とは異なる導電型の第2導電型の窒化物半導体層とが順に積層されてなる窒化物半導体層と、該窒化物半導体層に形成された共振器端面と、該共振器端面に形成された保護膜とを備えてなる窒化物半導体レーザ素子であって、
前記保護膜は、井戸層との接触界面から保護膜の膜厚方向に前記共振器端面とは結晶の軸配向が異なる領域を有することを特徴とする。
この窒化物半導体レーザ素子では、前記活性層は、2以上の井戸層を備える多重量子井戸構造であり、前記保護膜は、両側の井戸層間の活性層上において、窒化物半導体層の積層方向に、同じ結晶の軸配向が連続してなることが好ましい。
本発明によれば、共振器端面に形成された保護膜を、窒化物半導体層の積層方向に、結晶の軸配向が異なる領域を有するように配置することにより、窒化物半導体レーザ素子の高出力駆動時においても、保護膜の応力による半導体層への負荷を緩和すること、つまり窒化物半導体層にクラックが発生することを抑制し、保護膜の剥がれ等を防止することが可能となる。そのため、高いCODレベルに対して、経時変化を生じさせにくくすることが可能となり、高性能、高出力、高信頼性の窒化物半導体レーザ素子を提供することができる。
本発明の窒化物半導体レーザ素子は、例えば、典型的には図1及び図2Aに示すように、主として、第1窒化物半導体層12、活性層13及び第2窒化物半導体層14が順に積層された半導体層と、この半導体層に形成された共振器端面とを備えて構成されている。このような窒化物半導体レーザ素子は、通常、基板11上に形成されており、第2窒化物半導体層14の表面にはリッジ16が形成され、共振器端面には第1保護膜21、第2保護膜22が形成され、その他には埋込膜15、p電極17、n電極20が形成されている。また、図1に示すように、第3保護膜18、pパッド電極19等が形成されていてもよい。
第1保護膜は、図2A、B又はCに示すように、共振器端面の少なくとも一方の面(特に光出射面、フロント側とも記すことがある)に接触して形成されている膜である。この明細書では、特に断りのない限り「保護膜」は「第1保護膜」を意味する。また、第1保護膜及び第2保護膜のように共振器端面に形成された保護膜の総称として「端面保護膜」と記載することがある。
この第1保護膜は、窒化物半導体層の積層方向に結晶の軸配向が異なる領域を有する。つまり、第1保護膜は、その面内において、均一な結晶の軸配向を有しておらず、軸配向が変化している。このような面内での異なる軸配向の組み合わせとしては、例えば、M軸〈1−100〉配向の領域及びC軸〈0001〉配向の領域を有するもの、M軸配向の領域及びA軸〈11−20〉配向の領域を有するもの、M軸配向の領域及びR軸〈1−102〉配向の領域を有するもの、C軸配向の領域及びA軸配向の領域を有するもの、C軸配向の領域及びR軸配向の領域を有するもの、A軸配向の領域及びR軸配向の領域を有するもの等の種々の態様が含まれる。
また、第1保護膜の膜厚方向においても、均一な結晶の軸配向を有しておらず、軸配向が変化していてもよい。このような膜厚方向の軸配向の変化は、面内における軸配向の変化と同様に、共振器端面側からその表面側にかけて、M軸〈1−100〉配向からC軸〈0001〉配向に変化したもの、M軸配向からA軸〈11−20〉配向に変化したもの、M軸配向からR軸〈1−102〉配向に変化したもの、C軸配向からA軸配向に変化したもの、C軸配向からR軸配向に変化したもの、A軸配向からR軸配向に変化したもの、又はそれらの逆等の種々の態様が含まれる。
ここで、軸配向とは、単結晶で、精密にM軸、C軸、A軸又はR軸に配向した状態のみならず、多結晶が混在するが、M軸、C軸、A軸又はR軸に配向する部位を含む状態、均一に分布して含む状態であってもよい。このように、多結晶状態である場合には、共振器端面との格子定数の差異が厳格に表れず、その差異を緩和することができる。
また、この軸配向の変化は、異なる軸配向への完全な変化でなくてもよく、異なる軸配向が混在する状態又は異なる軸配向の割合が高くなるものであってもよい。
なお、第1保護膜における結晶の軸配向は、共振器端面との接触界面において共振器端面とは結晶の軸配向が異なる領域を有することが好ましい。
本発明における第1保護膜の結晶構造は、少なくとも窒化物半導体層と接触する側の面内において軸配向が異なる領域を有するために、軸配向の異なる領域同士の界面で応力が分断され、第1保護膜に内在する応力が緩和されている。また、この軸配向の異なる領域同士の界面では、格子定数差、熱膨張係数差を有している。特に、軸配向の異なる領域同士の界面において、格子定数差を有することによって、第1保護膜内部での応力を緩和し、ひいては窒化物半導体への応力を緩和して、第1保護膜の剥がれを防止し、CODレベルを向上させることができる。
第1保護膜の軸配向は、共振器端面の窒化物半導体層の組成によって決定することができる。例えば、後述するように、この窒化物半導体層が、InAlGa1−x−yN(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦x+y≦1)によって形成されている場合、GaNを基準として、xの組成が大きくなるに従って、第1保護膜の軸配向は、共振器端面の軸配向とは異なるものとなる傾向がある。また、yの組成が大きくなるに従って、第1保護膜の軸配向は、共振器端面の軸配向と同軸配向する傾向がある。
具体的には、共振器端面がM面の場合、つまり、窒化物半導体層が積層方向にC軸配向を有している場合、図9に示すように、共振器端面を構成する窒化物半導体層のうち、GaN層に接触する第1保護膜61の領域では、M軸配向とC軸配向とが混在する。
窒化物半導体層がInGaN層の場合、Inの組成が極めて小さい場合には、第1保護膜に対してはGaN層の性質が優勢となり、第1保護膜には、M軸配向とC軸配向とが混在するが、Inの組成が大きくなるに従って、第1保護膜に対してInの性質が徐々に現れ、さらにInの性質が優勢となり、ほぼC軸配向のみが存在する領域が現れる傾向がある(図9参照)。ここで、Inの性質が現れるポイントは、例えば、成膜方法、膜厚等によって適宜調整することができ、例えば、前記xの値であるInの組成比が、0.01〜0.30程度の範囲内、好ましくは0.01〜0.20程度、さらに好ましくは、0.02〜0.07程度の範囲内が挙げられる。
また、AlGaN層の場合には、Alの組成が大きくなるに従って、第1保護膜に対してAlの性質が徐々に現れ、さらにAlの性質が優勢となり、第1保護膜には、ほぼM軸配向のみが存在する領域が現れる(図9参照)。ここで、Alの性質が現れるポイントは、例えば、成膜方法、膜厚等によって適宜調整することができるが、前記yの値を0.0001以上、好ましくは0.001以上、より好ましくは0.01以上の範囲内とすることが挙げられる。
ここで、優勢とは、割合が高いことを示すこともあるが、他に比べて性質が顕著であることをも示す。
なお、図9では、第1保護膜内において、C軸配向、M軸配向、M軸配向とC軸配向とが混在する領域の界面を点線で示しているが、各窒化物半導体層のIn、Al組成によって、その界面の位置を変動させることができる。これにより、発光に直接寄与しない窒化物半導体層に接触する第1保護膜は、窒化物半導体層との密着性を確保することができ、一方、発光に寄与する窒化物半導体層に接触する第1保護膜では、光吸収を最小限に止めることが可能となる。
特に、窒化物半導体層がInGa1−xN(0<x≦1)層を有している場合、通常、InGa1−xN(0<x≦1)層は窒化物半導体層の積層方向にC軸配向の結晶構造を有しており、第1保護膜は、共振器端面に垂直方向にC軸配向の結晶構造を有することが好ましい。
しかし、積層された窒化物半導体層の軸配向と第1保護膜の軸配向とは、両者の接触界面において、その全て又は一部が、必ずしも同じでなくてもよい。
た、別の観点から、窒化物半導体層が、InxAlyGa1-x-yN(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦x+y≦1)によって形成されている場合、GaNを基準として、第1保護膜に接触する窒化物半導体層のバンドギャップエネルギーを同等又はそれよりも小さくすることにより、第1保護膜において、ほぼC軸配向のみが存在する領域を得ることができる。また、第1保護膜に接触する窒化物半導体層のバンドギャップエネルギーをそれより大きくすることにより、第1保護膜において、ほぼM軸配向のみが存在する領域を得ることができる。
さらに別の観点から、窒化物半導体層が、InxAlyGa1-x-yN(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦x+y≦1)によって形成されている場合、GaNを基準として、第1保護膜に接触する窒化物半導体層の格子定数を同等又はそれよりも大きくすることにより、第1保護膜において、ほぼC軸配向のみが存在する領域を得ることができる。また、第1保護膜に接触する窒化物半導体層の格子定数を、GaNを基準としてそれより小さくすることにより、第1保護膜において、ほぼM軸配向のみが存在する領域を得ることができる。
つまり、活性層を構成する井戸層の格子定数と、第1保護膜の格子定数との差異を小さくするのであれば、第1保護膜の軸配向を共振器端面に露出した井戸層の軸配向とは異なるものとする、つまり格子整合させなくてもよい。共振器端面として露出した窒化物半導体層の格子定数と、共振器端面に形成される第1保護膜の格子定数との差異を小さくすることで、これらの接触界面での光吸収は抑制でき、よって、CODレベルを向上させることができると考えられる。
また、第1保護膜は、窒化物半導体層と格子整合していてもよい。ただし、窒化物半導体層と第1保護膜との接触界面の全面で格子整合している必要はない。
第1保護膜におけるこのような面内の軸配向の差異は、1つの態様では、積層半導体において、第1保護膜が接触する窒化物半導体層自体の軸配向、組成等のみならず、隣接する窒化物半導体層の組成、膜厚、格子定数、バンドギャップ等の差異によって現れ、変動する場合があると考えられる。そのため、これらの第1保護膜での軸配向の変化又は差異は、前記窒化物半導体層の積層界面上又はその付近で起こりやすい。
例えば、窒化物半導体層がInGaN層であり、その一方の側にAlGaN層が配置する場合、InGaN層に接触する第1保護膜は、それに隣接するAlGaN層の影響を受ける傾向があり、Alの組成が大きくなるに従って、AlGaN層から受ける影響が増大することが確認されている。
従って、第1保護膜における面内の軸配向の変化又は軸配向の差異は、必ずしも窒化物半導体の全ての積層界面で起こらない場合がある。
具体的には、第1保護膜における面内方向の軸配向の差異は、活性層と第1導電型の窒化物半導体層との界面上や、活性層と第2導電型の窒化物半導体層との界面上で形成されやすい。また、活性層が量子井戸構造の場合には、障壁層と井戸層との1以上の界面上で起こりやすく、最も外側の障壁層と井戸層の界面又は界面付近においてより形成されやすい。第1保護膜における面内の軸配向は、窒化物半導体層に形成された共振器端面上において、活性層又は活性層を含んだ光導波路上と、その上下に積層された窒化物半導体層上とでは異なることにより第1保護膜に内在する応力を緩和することができる。
第1保護膜における面内の軸配向は、窒化物半導体層に形成された共振器端面上において、活性層又は活性層を含んだ光導波路上、好ましくは、井戸層とその上又は下に配置する障壁層の近傍との上では、共振器端面と異軸配向をしており、その上下に積層された窒化物半導体層上では共振器端面と同軸配向をしていることが好ましい。この上下に積層された窒化物半導体層上で共振器端面と同軸配向をしていることにより、第1保護膜と窒化物半導体層との密着性は良好となる。また、第1保護膜は、活性層又は活性層を含んだ光導波路上では、共振器端面と異軸配向をして形成されることで、第1保護膜において面内の軸配向が異なる領域が形成され、よって、軸配向が異なる領域の界面が形成されるため、第1保護膜に内在する応力が緩和される。これにより、特に活性層の近傍における共振器端面でのレーザ光の照射による熱に起因する応力を第1保護膜の軸配向の差異によって、緩和させることができ、窒化物半導体層への負荷、第1保護膜の剥離などを有効に防止することができる。
井戸層が複数存在する場合には、第1保護膜は、両端の井戸層の間で連続して、共振器端面と異軸配向で形成されていることが好ましい。
特に、活性層が2以上の井戸層を備える多重量子井戸構造の場合、第1保護膜は、両側に位置する井戸層間の活性層上において、窒化物半導体層の積層方向に、同じ結晶の軸配向が連続していることが好ましい(図8参照)。
また、第1保護膜は、井戸層との接触界面から第1保護膜の膜厚方向に、共振器端面とは結晶の軸配向が異なる領域を有していてもよい(図3、図6等参照)。これによって、第1保護膜の膜厚方向においても、応力を緩和させることができる。
第1保護膜は、例えば、Si、Mg、Al、Hf、Nb、Zr、Sc、Ta、Ga、Zn、Y、B、Ti等の酸化物、窒化物(例えば、AlN、AlGaN、BN等)又はフッ化物等が挙げられ、なかでも、六方晶系の結晶構造を有する膜であることが適しており、特に、AlNであることが好ましい。
第1保護膜の膜厚は、例えば、5〜500nm程度であることが適しており、5〜100nm程度であることが好ましい。なお、本発明では、このような第1保護膜が、共振器端面の光出射面、その反対側の面である反射側(リア側と記すことがある)の双方に形成されていてもよい。
一般に、第1保護膜の状態は、その第1保護膜を構成する材料の結晶度合いによって、単結晶、多結晶、アモルファスに分類される。単結晶は、材料中で格子定数の変動がほとんどなく、格子面傾斜がほとんどない。言い換えると、材料中で原子配列が規則的に並び、長距離的な秩序が保たれている。多結晶とは、多数の微小な単結晶、すなわち微結晶から構成されているものである。アモルファスは、結晶におけるような周期的構造をもたないもの、つまり原子配列が不規則、長距離秩序がないものを意味する。
このような膜の状態(結晶質である場合は、その結晶性又は結晶状態)は、電子線による回折像によって容易に判定することができる。結晶を構成する元素の配列の様子は、電子線回折によって、視覚的に捉えることができる。
つまり、膜に電子線を入射することによって、格子定数の大きさ及び面方向に対応して、電子線回折像が表れる。例えば、単結晶の場合は、結晶面が略そろっているため、規則正しく回折点が並んで観察される。多結晶の場合は、微結晶から構成されるため、それぞれの格子面の向きがそろっておらず、回折点が複雑に合わさった状態で見られたり、デバイリングが見られたりする。一方、アモルファスの場合、原子配列が長距離に周期的な構造をもたないため、電子線回折が起こらない。したがって、回折像に回折点がない状態で観察される。
結晶性が異なる、つまり結晶の軸配向が異なることは、例えば、透過型電子顕微鏡(TransmissionElectron Microscope:TEM)、走査透過電子顕微鏡(Scanning TransmissionElectron Microscope:STEM)、走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope:SEM)等による断面観察(明視野、制限視野、高分解能等)で認められるのみならず、上述したような電子線回折又はこれらのパターンを高速フーリエ変換(FFT:FastFourier Transform)処理したもの等、あるいはエッチングレートの差異からも確認することができる。
つまり、顕微鏡における第1保護膜の観察において、結晶性の違いに起因して、活性層に接する領域と、第1窒化物半導体層及び第2窒化物半導体層に接触する領域とで、視覚的な差異が認められる。
特に、STEM、TEM等による観察では、その膜の状態の違い(結晶質である場合は、その結晶性又は結晶状態)により明暗(コントラスト)が観察される。
また、同じ膜を観察した場合でも、観察条件(STEM像、TEM像の表示設定)を変えることで、明暗が逆転して観察されることがある。
電子線回折像は、第1保護膜が形成されている端面に対して第1保護膜の断面が露出するように切断し、電子線を当てて観察することができる。電子線回折像は、例えば、日本電子株式会社製のJEM−2010F型を用いて観察することができる。
観察の手順としては、まず、収束イオンビーム(Focused Ion Beam:FIB)加工装置(例えば、セイコーインスツルメンツ株式会社製:SMI3050MS2)を用いて、マイクロプロービングによる試料切り出しを行い、試料をFIB加工により薄膜加工し(例えば、100nm程度以下)。さらにイオンミリング加工によりさらに薄膜加工する(例えば、50nm程度以下)。次に、所定に加速電圧(例えば、200kV程度)にて、TEM観察を行うことで暗視像を得ることができる。
さらに、得られた第1保護膜を適当なエッチャント、例えば、酸(例えば、バッファードフッ酸等)又はアルカリ(例えば、KOH等)溶液に浸漬することにより、それらの溶解性の違い(エッチングレートの差)から、結晶性の差異が認められる。このエッチングでは、結晶性の悪いものは速やかに溶解又は除去され、結晶性の良好のものが残る又は維持される。
また、これらの方法に限られず、公知の方法を用いて第1保護膜の結晶性を評価することが可能である。
第1保護膜は、当該分野で公知の方法によって形成することができる。例えば、蒸着法、スパッタ法(反応性スパッタ法、ECRプラズマスパッタ法、マグネトロンスパッタ法等)、イオンビームアシスト蒸着法、イオンプレーティング法、レーザアブレーション法、CVD法、スプレー法、スピンコート法、ディップ法又はこれらの方法の2種以上を組み合わせる方法、あるいはこれらの方法と酸化処理(熱処理)とを組み合わせる方法等、種々の方法を利用することができる。なかでも、ECRプラズマスパッタ法が好ましい。
また、その成膜方法にもよるが、成膜前に共振器端面の表面を窒素プラズマで処理する、成膜速度を比較的速いレートに調整する、成膜時の雰囲気において、例えば、吸収をもたない程度に窒素ガス分圧を下げる、成膜圧力を比較的高く調整するなどのいずれか1つ又は2以上を組み合わせて成膜を制御することが好ましい。各方法での成膜時に、徐々に又は急激に窒素分圧を変えてもよいし、徐々に又は急激に成膜圧力を変えてもよい。
スパッタ法で成膜する際、ターゲットとして第1保護膜材料を用い、成膜レートを徐々に又は急激に増大させるか、RF電力を徐々に又は急激に増大(増大させる範囲が100〜1000W程度)させるか、あるいはターゲットと基板との距離を徐々に又は急激に変化させる(変化させる範囲が元の距離の0.2〜3倍程度)方法、ターゲットとして第1保護膜材料を用いて成膜する際に圧力を徐々に又は急激に低下させる(低下させる圧力範囲が0.1〜2.0Pa程度)方法等が挙げられる。
例えば、ECRプラズマスパッタ法で成膜する場合には、成膜速度を調整する際に、0.5nm/min〜10nm/minの範囲で成膜することが好ましい。また、マイクロ波電力は、300〜1000Wであって、RF電力は、100W〜1000W程度が好ましい。
また、基板の温度を徐々に又は急激に上昇または低下させる(変化させる温度範囲が50〜500℃程度)方法が挙げられる。なお、この後、任意に熱処理を行ってもよい。
特に、ECRプラズマスパッタ法でAlNを成膜する場合、共振器端面がM面であれば、M軸(同軸)とC軸(安定)に配向させることができる。配向を制御するために成膜レートを制御する必要があり、成膜レート下げるとM軸の配向を引き継ぎやすくなる。成膜レートを下げるためには、RF電力を下げる、成膜ガス圧を下げる、窒素ガス分圧を上げる等が挙げられる。また、RF電力を上げる、成膜ガス圧を上げる、窒素ガス分圧を下げる等により、成膜レートを上げることにより、部分的にM軸配向及びC軸配向したAlNを形成することが可能となる。このような条件によって、共振器端面上に形成された第1保護膜には、窒化物半導体層の積層方向に結晶の軸配向がM軸配向とC軸配向とで異なるように形成されたAlNを成膜することが好ましい。これによって、窒化物半導体への応力を緩和し、第1保護膜の剥がれを防止することができ、CODレベルを高出力駆動後も高く維持することが可能となる。
さらに、これらの方法を任意に組み合わせてもよい。
第1保護膜を成膜するより好ましい条件として、成膜速度2.5〜10nm/min、マイクロ波400〜1000W、RF400〜1000Wが挙げられる。雰囲気ガスにはAr、Kr、Xe等の希ガスを用いることが適している。さらに、AlNを成膜する場合には、Alをターゲットとし、窒素原料である窒素の流量を3〜8sccmとし、雰囲気ガスの流量を25〜50sccmとすることが好ましい。なお、第1保護膜の面内及び/又は膜厚方向における軸配向及び/又は格子定数の差異の形成は、これらのパラメータを組み合わせて、適宜調整することによって実現することができる。
本発明の窒化物半導体レーザ素子においては、端面保護膜として、図2Aに示すように、第1保護膜21の上に、さらに第2保護膜22が積層されていることが好ましい。このような第2保護膜を形成することにより、端面保護膜をより強固に共振器端面に密着させることができる。第2保護膜としては、Si、Mg、Al、Hf、Nb、Zr、Sc、Ta、Ga、Zn、Y、B、Ti等の酸化物が挙げられ、なかでもSiO膜が好ましい。
第2保護膜は、単層構造、積層構造のどちらを用いてもよい。さらに、第2保護膜は、アモルファスの膜であることが好ましい。これにより、第1保護膜に形成された結晶の軸配向が異なる界面で応力を分断し、より応力を逃がしやすくすることができ、窒化物半導体層と第1保護膜の密着性をより良好なものとすることができる。
第2保護膜の膜厚は、上述した第1保護膜の膜厚よりも厚いことが好ましい。例えば、上述した第1保護膜と第2保護膜との総膜厚が0.1〜2μm以下が挙げられる。これにより上記の効果をより顕著なものとすることができる。
なお、図2B及び2Cに示すように、第1保護膜及び/又は第2保護膜は、出射側と反射側とでその材料や膜厚等が異なるものとしてもよい。出射面側の第2保護膜としては、SiOの単層により形成されることが好ましい。反射面側の第2保護膜としては、SiとZrとの酸化物の積層構造、AlとZrの酸化物の積層構造等が挙げられる。所望の反射率に合わせて適宜その積層周期等を調整することができる。
アモルファスの第2保護膜は、上述した第1保護膜と同様に、例示した公知の方法等を利用して形成することができる。特に、アモルファスの膜とするために、その成膜方法にもよるが、成膜速度をより早いレートに調整する、成膜時の雰囲気を、例えば、酸素雰囲気に制御する、成膜圧力をより高く調整するなどのいずれか1つ又は2以上を組み合わせて成膜を制御することが好ましい。また、酸素雰囲気に制御する場合、吸収をもたない程度に酸素を導入することが好ましい。具体的な成膜条件としては、ECRプラズマスパッタ装置でSiターゲットを用いて成膜し、酸素の流量は、3〜20sccm、マイクロ波電力は、300〜1000W、RF電力は、300〜1000W程度で成膜することが好ましい。
本発明の窒化物半導体レーザ素子を形成するために用いる基板は、絶縁性基板であってもよいし、導電性基板であってもよい。基板としては、例えば、第1主面及び/又は第2主面に0°以上10°以下のオフ角を有する窒化物半導体基板であることが好ましい。その膜厚は、例えば、50μm以上10mm以下が挙げられる。なお、例えば、特開2006−24703号公報に例示されている種々の基板等の公知の基板、市販の基板等を用いてもよい。窒化物半導体基板は、MOCVD法、HVPE法、MBE法等の気相成長法、超臨界流体中で結晶育成させる水熱合成法、高圧法、フラックス法、溶融法等により形成することができる。
窒化物半導体層としては、一般式InAlGa1−x−yN(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦x+y≦1)のものを用いることができる。また、これに加えて、III族元素としてBが一部に置換されたものを用いてもよいし、V族元素としてNの一部をP、Asで置換されたものを用いてもよい。
窒化物半導体層は、n型不純物として、Si、Ge、Sn、S、O、Ti、Zr、CdなどのIV族元素又はVI族元素等のいずれか1つ以上を含有していてもよく、p型不純物として、Mg、Zn、Be、Mn、Ca、Sr等を含有していてもよい。不純物は、例えば、5×1016/cm〜1×1021/cm程度の濃度範囲で含有されていることが好ましい。なお、第1導電型と第2導電型とは、いずれがn型及びp型であってもよい。
第1導電型及び第2導電型半導体層は、それぞれ、単層、多層又は超格子構造のクラッド、ガイド、キャップ、コンタクト、クラック防止などの機能を有する層を、目的とする特性を有する半導体レーザ素子を得るために、適所に、適切な構造及び組成で形成することができる。また、第1導電型及び第2導電型半導体層は、それらを構成する少なくとも1層がn型又はp型であればよく、全てがn型又はp型を示さなくてもよい。
活性層は、多重量子井戸構造又は単一量子井戸構造のいずれかであることが好ましい。また、Inを含有する層を備えていることが好ましい。この場合のInの平均混晶は、0%より大きく、15%以下であることが適しており、0.5〜10%程度であることが好ましく、0.5〜7%程度であることがより好ましい。
窒化物半導体層は、n側半導体層とp側半導体層に光の導波路を構成する光ガイド層を有することで、活性層を挟んだ分離光閉じ込め型構造であるSCH(SeparateConfinement Heterostructure)構造とすることが好ましい。但し、本発明は、これらの構造に限定されるものではない。
また、本発明では、特に発振波長が370nm〜500nmのものにおいて、端面保護膜の剥がれを防止し、CODレベルを向上させることができる。
窒化物半導体層の成長方法は、特に限定されないが、MOVPE(有機金属気相成長法)、MOCVD(有機金属化学気相成長法)、HVPE(ハイドライド気相成長法)、MBE(分子線エピタキシー法)など、窒化物半導体の成長方法として知られている全ての方法を好適に用いることができる。特に、MOCVDは結晶性良く成長させることができるので好ましい。
窒化物半導体層、つまり、第2導電型半導体層の表面には、リッジが形成されている。リッジは、導波路領域として機能するものであり、その幅は1.0μm〜30.0μm程度、1.0μm〜8.0μm程度、さらに、1.0μm〜3.0μm程度が好ましい。その高さ(エッチングの深さ)は、例えば、0.1〜2μmが挙げられる。また、第2導電型半導体層を構成する層の膜厚、材料等を調整することにより、光閉じ込めの程度を適宜調整することができる。リッジは、共振器方向の長さが200μm〜5000μm程度になるように設定することが好ましい。また、共振器方向においてすべて同じ幅でなくてもよいし、その側面が垂直であっても、テーパー状であってもよい。この場合のテーパー角は45°〜90°程度が適当である。
なお、窒化物半導体層によって形成される共振器端面は、M面(1−100)、A面(11−20)、C面(0001)又はR面(1−102)のいずれであってもよいが、M面であることが好ましい。劈開により、容易かつ高精度で形成することができるからである。
通常、窒化物半導体層の表面及びリッジの側面にわたって、埋込膜が形成されている。つまり、埋め込み膜は、窒化物半導体層上であって、窒化物半導体層と後述する電極とが直接接触する領域以外の領域に形成されている。なお、窒化物半導体層と電極との接続領域としては、特にその位置、大きさ、形状等は限定されず、窒化物半導体層の表面の一部、例えば、窒化物半導体層の表面に形成されるストライプ状のリッジ上面のほぼ全面が例示される。
埋込膜は、一般に、窒化物半導体層よりも屈折率が小さな絶縁材料によって形成されている。屈折率は、エリプソメトリーを利用した分光エリプソメータ、具体的には、J.A.WOOLLAM社製のHS−190等を用いて測定することができる。例えば、埋込膜は、Zr、Si、V、Nb、Hf、Ta、Al、Ce、In、Sb、Zn等の酸化物、窒化物、酸化窒化物等の絶縁膜又は誘電体膜の単層又は積層構造が挙げられる。また、埋込膜は、単結晶であってもよいし、多結晶又はアモルファスであってもよい。このように、リッジの側面から、リッジの両側の窒化物半導体表面にわたって保護膜が形成されていることにより、窒化物半導体層、特に第2導電型半導体層に対する屈折率差を確保して、活性層からの光の漏れを制御することができ、リッジ内に効率的に光閉じ込めができるとともに、リッジ基底部近傍における絶縁性をより確保することができ、リーク電流の発生を回避することができる。
埋込膜は、当該分野で公知の方法によって形成することができる。例えば、蒸着法、スパッタ法(反応性スパッタ法、ECRプラズマスパッタ法、マグネトロンスパッタ法等)、イオンビームアシスト蒸着法、イオンプレーティング法、レーザアブレーション法、CVD法、スプレー法、スピンコート法、ディップ法又はこれらの方法の2種以上を組み合わせる方法、あるいはこれらの方法と酸化処理(熱処理)とを組み合わせる方法等、種々の方法を利用することができる。
本発明における電極は、第1導電型及び第2導電型窒化物半導体層と電気的に接続された一対の電極である。
電極は、例えば、パラジウム、白金、ニッケル、金、チタン、タングステン、銅、銀、亜鉛、錫、インジウム、アルミニウム、イリジウム、ロジウム、ITO等の金属又は合金の単層膜又は積層膜により形成することができる。電極の膜厚は、用いる材料等により適宜調整することができ、例えば、50〜500nm程度が適当である。
第2導電型窒化物半導体層に接続する電極は、窒化物半導体層及び埋込膜上に形成されることが好ましい。
第1導電型窒化物半導体層に接続する電極は、直接第1導電型窒化物半導体層上に形成されていてもよいし(例えば、基板に対してp−電極と同じ面側に形成)、基板上に形成されていてもよい。
また、埋込膜上には、第3保護膜が形成されていることが好ましい。第3保護膜は、少なくとも窒化物半導体層表面において埋込膜上に配置されていればよく、埋込膜を介して又は介さないで、窒化物半導体層の側面及び/又は基板の側面又は表面等をさらに被覆していることが好ましい。第3保護膜は、埋込膜で例示したものと同様の材料で形成することができる。これにより、絶縁性のみならず、露出した側面又は表面等を確実に保護することができる。
窒化物半導体層の側面から、上面にかけて、埋込膜、電極及び第3保護膜の上面には、パッド電極等、単数又は複数の導電層が形成されていることが好ましい。
以下に、本発明の窒化物半導体レーザ素子の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。但し、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
実施例1
この実施例の窒化物半導体レーザ素子は、図1及び図2Cに示すように、基板11上に、第1窒化物半導体層12、活性層13及び表面にリッジ16が形成された第2窒化物半導体層14をこの順に積層しており、共振器が形成されて構成されている。このような窒化物半導体レーザ素子は、共振器端面の光出射面側に第1保護膜21、第2保護膜22、反射面側に保護膜21a、第2保護膜22a、埋込膜15、p電極17、n電極20、第3保護膜18、パッド電極19等が形成されている。
共振器端面は、M軸配向を有する窒化物半導体層により形成されており、第1保護膜は、面内において軸配向が異なるAlNからなり、膜厚は30nm程度である。
この窒化物半導体レーザ素子は、以下のように製造することができる(図3参照)。
まず、窒化ガリウム基板(図示せず)を準備する。反応容器内で、この窒化ガリウム基板上に、1160℃でTMA(トリメチルアルミニウム)、TMG(トリメチルガリウム)、アンモニア、シランガスを用い、Siを4×1018/cmドープしたAl0.03Ga0.97Nよりなるn側クラッド層12bを膜厚2μmで成長させる。なお、このn側クラッド層12bは超格子構造とすることもできる。
続いて、シランガスを止め、1000℃でアンドープGaNよりなるn側光ガイド層12aを0.175μmの膜厚で成長させる。このn側光ガイド層12aにn型不純物をドープしてもよい。
次に、温度を900℃にして、SiドープIn0.02Ga0.98Nよりなる障壁層13bを14nmの膜厚で成長させ、続いて同一温度で、アンドープIn0.07Ga0.93Nよりなる井戸層13aを8nmの膜厚で成長させる。障壁層13bと井戸層13aとを2回交互に積層し、最後にアンドープIn0.02Ga0.98Nよりなる障壁層13bで終わり、総膜厚58nmの多重量子井戸構造(MQW)の活性層13を成長させる。
温度を1000℃に上げ、TMG、TMA、アンモニア、CpMg(シクロペンタジエニルマグネシウム)を用い、Mgを1×1020/cmドープしたp型Al0.2Ga0.8Nよりなるp側キャップ層14aを10nmの膜厚で成長させる。なお、このp側キャップ層14aは省略可能である。
続いて、CpMg、TMAを止め、1000℃で、アンドープGaNよりなるp側光ガイド層14bを0.145μmの膜厚で成長させる。
次に、1000℃でアンドープAl0.10Ga0.90Nよりなる層を2.5nmの膜厚で成長させ、続いてTMAを止め、Cp2Mgを用いてp型GaNよりなる層を2.5nmの膜厚で成長させ、総膜厚0.4μmの超格子層よりなるp側クラッド層14cを成長させる。
最後に、1000℃で、p側クラッド層14cの上に、Mgを1×1020/cmドープしたp型GaNよりなるp側コンタクト層(図示せず)を15nmの膜厚で成長させる。
このようにして窒化物半導体を成長させたウェハを反応容器から取り出し、最上層のp側コンタクト層の表面にSiOからなるマスクを形成して、このマスクを用いて、窒化物半導体層をエッチングして、800μmの長さ(共振器長に対応する)のストライプ構造を形成する。この部分がレーザ素子の共振器本体となる。共振器長は、200μm〜5000μm程度の範囲であることが好ましい。
次に、p側コンタクト層の表面にSiOからなるストライプ状のマスクを形成し、このマスクを用いて、p側コンタクト層の表面をRIE(反応性イオンエッチング)により、SiClガスを用いてエッチングする。これにより、ストライプ状の導波路領域であるリッジ部16を幅1.5μmで形成する。
このリッジ部の側面をZrOからなる埋込層15で保護する。
次いで、p側コンタクト層及び埋込膜上の表面にNi(10nm)/Au(100nm)/Pt(100nm)よりなるp電極17を形成する。p電極を形成した後、600℃でオーミックアニールを行う。その後、Si酸化膜(SiO)からなる第3保護膜を埋込膜の上及び半導体層の側面に0.5μmの膜厚で、スパッタリングにより成膜する。
次に、第3保護膜で覆われていない露出しているp電極上に連続して、Ni(8nm)/Pd(200nm)/Au(800nm)からなるpパッド電極19を形成する。
その後、基板厚みが80μmになるように窒化物半導体層の成長面と反対側の面から研磨する。
研磨した面に、V(10nm)/Pt(200nm)/Au(300nm)よりなるn電極20を形成する。
n電極とp電極及びpパッド電極とを形成したウェハ状の窒化物半導体基板の第1の主面側に、けがきによって、凹部溝を形成する。この凹部溝は、例えば、深さを10μmとする。また、共振器端面と平行方向に、側面から50μm、垂直方向に15μmの幅とする。次に、この凹部溝を劈開補助溝として窒化物半導体基板のn電極の形成面側からバー状に劈開し、劈開面を(1−100)面として共振器端面を作製する。
共振器端面の光出射面側に、第1保護膜21を形成し、その上にさらに第2保護膜22を形成する。
つまり、ECRプラズマスパッタ装置で、Alターゲットを用いて、Arの流量が30sccm、Nの流量が10sccm、マイクロ波電力800W、RF電力800W、成膜速度3nm/minの条件で、膜厚30nmのAlNからなる第1保護膜21を形成する。
続いて、出射面側の共振器端面にスパッタ装置でSiターゲットを用いて、酸素の流量が5sccm、マイクロ波電力500W、RF電力500Wの条件でSiOからなる第2保護膜22を250nmの膜厚で成膜する。
また、反射面側には、Alからなる保護膜23を膜厚62nmで成膜し、その上に(SiO/ZrO)を、膜厚(67nm/44nm)で6周期成膜した保護膜24を形成する。
最後に、共振器端面に垂直な方向で、バーをチップ化することで半導体レーザ素子とする。
得られた窒化物半導体レーザ素子の第1保護膜の構成を検証するために、窒化物半導体レーザ素子の断面を電界放出型透過電子顕微鏡(JEM−2010F)により観察し、明視野TEM像を測定した。これは、第1保護膜をカメラ長50cmにGaN(11−20)面方向から電子線を入射することにより測定できる。
図3で示した第1保護膜21における各ポイントでの軸配向の状態を、電子線回折像として、図4に示す。
図4の写真から、図3に示すように、窒化物半導体層の組成によって、共振器端面に対して、面内で軸配向が異なる第1保護膜を形成することができることがわかる。
AlNの膜厚の増加に伴って、M軸配向とC軸配向が混在する領域において、C軸配向に変化することが認められた。このC軸配向への変化は、窒化物半導体層の組成によって、5〜20nm程度に現れることが観察された。
このように、得られた電子線回折像から、第1保護膜の結晶を構成する元素の配列の様子を視覚的に捉えることができる。
なお、共振器面近傍の膜を観察する場合は、窒化物半導体層を構成するGaNの回折点が観察される場合もある。この場合、GaNの回折点を分離して解析することもできる。
得られた半導体レーザ素子について、Tc=80℃、Po=320mW、発振波長405nmで高出力連続発振させる前後の光出力を測定した。その結果を図5に示す。
図5においては、細線で示したデータが高出力連続発振前のI−L特性を示し、太線で示したデータが高出力連続発振後のI−L特性を示す。
図5によれば、高出力連続発振の前後においても、CODレベルは殆ど変化することなく、高いまま維持されることが分かった。
このように、この実施例の窒化物半導体レーザ素子は、共振器端面を構成する窒化物半導体に対して応力を生じさせることなく、窒化物半導体へのクラックの発生を防止し、共振器端面との密着性が良好で、剥がれを防止した端面保護膜を得ることができる。これによって、CODレベルを向上させた、高性能及び高出力の窒化物半導体レーザ素子を得ることができる。
実施例2
図2Bに示すように、実施例1における共振器端面の保護膜を、リア側において、AlN(32nm)からなる第1保護膜21a及びSiO(250nm)からなる第2保護膜22aとする以外、実質的に実施例1と同様の構成、方法の半導体レーザ素子を形成する。
得られた半導体レーザ素子は、実施例1と同様の第1保護膜の結晶性を有し、同様にCODレベルを向上させることができる。
実施例3
実施例1における共振器端面の保護膜を、フロント側において、AlN(20nm)とする以外、実質的に実施例1と同様の構成、方法の半導体レーザ素子を形成する。
図6に示すように、得られた半導体レーザ素子の第1保護膜31は、窒化物半導体層の積層方向に、結晶の軸配向が異なる領域が認められた。図6に示す各ポイントにおける電子線回折像は、図4に示したものと略同様である。
得られた半導体レーザ素子は、実施例1と同様の第1保護膜の結晶性を有し、同様にCODレベルを向上させることができる。
実施例4
実施例1における共振器端面の保護膜を、フロント側において、AlN(10nm)とする以外、実質的に実施例1と同様の構成、方法の半導体レーザ素子を形成する。
図7に示すように、得られた半導体レーザ素子の第1保護膜41は、窒化物半導体層の積層方向に、結晶の軸配向が異なる領域が認められた。図7に示す各ポイントにおける電子線回折像は、図4に示したものと略同様である。
得られた半導体レーザ素子は、実施例1と同様の第1保護膜の結晶性を有し、同様にCODレベルを向上させることができる。
実施例5
実施例5では、共振器端面にAlNからなる第1保護膜21を形成する際、Arの流量を50sccm、Nの流量を10sccm、マイクロ波電力500W、RF電力500W、成膜速度3nm/minの条件とする以外、実質的に実施例1と同様に窒化物半導体レーザ素子を作製する。
得られた窒化物半導体レーザ素子の第1保護膜の構造及び特性は、いずれも実質的に実施例1と同様である。
実施例6
実施例6では、共振器端面にAlNからなる第1保護膜21を形成する際、Arの流量を30sccm、Nの流量を6sccm、マイクロ波電力500W、RF電力500W、成膜速度3nm/minの条件とする以外、実質的に実施例1と同様に窒化物半導体レーザ素子を作製する。
得られた窒化物半導体レーザ素子の第1保護膜の構造及び特性は、いずれも実質的に実施例1と同様である。
実施例7
実施例7では、共振器端面にAlNからなる第1保護膜21を形成する際、最初に、Arの流量を30sccm、Nの流量を10sccm、マイクロ波電力800W、RF電力800W、成膜速度3nm/minとし、その後、Arの流量を30sccm、Nの流量を10sccm、マイクロ波電力500W、RF電力500W、成膜速度2nm/minの条件とする以外、実質的に実施例1と同様に窒化物半導体レーザ素子を作製する。
得られた窒化物半導体レーザ素子の第1保護膜の構造及び特性は、いずれも実質的に実施例1と同様である。
実施例8
実施例8では、共振器端面にAlNからなる第1保護膜21を形成する際、最初に、Arの流量を50sccm、Nの流量を10sccm、マイクロ波電力500W、RF電力500W、成膜速度3nm/minとし、その後、Arの流量を30sccm、Nの流量を10sccm、マイクロ波電力500W、RF電力500W、成膜速度2nm/minの条件とする以外、実質的に実施例1と同様に窒化物半導体レーザ素子を作製する。
得られた窒化物半導体レーザ素子の第1保護膜の構造及び特性は、いずれも実質的に実施例1と同様である。
実施例9
実施例9では、共振器端面にAlNからなる第1保護膜21を形成する際、最初に、Arの流量を30sccm、Nの流量を6sccm、マイクロ波電力500W、RF電力500W、成膜速度3nm/minとし、その後、Arの流量を30sccm、Nの流量を10sccm、マイクロ波電力500W、RF電力500W、成膜速度2nm/minの条件とする以外、実質的に実施例1と同様に窒化物半導体レーザ素子を作製する。
得られた窒化物半導体レーザ素子の第1保護膜の構造及び特性は、いずれも実質的に実施例1と同様である。
実施例10
実施例10では、共振器端面にAlNからなる第1保護膜21を形成する際、最初に、Arの流量を30sccm、Nの流量を10sccm、マイクロ波電力500W、RF電力500W、成膜速度2nm/minとし、その後、ウェハとターゲットとの間の距離を、20mm遠ざけ、Arの流量を30sccm、Nの流量を10sccm、マイクロ波電力500W、RF電力500W、成膜速度1.7nm/minの条件とする以外、実質的に実施例1と同様に窒化物半導体レーザ素子を作製する。
得られた窒化物半導体レーザ素子の第1保護膜の構造及び特性は、いずれも実質的に実施例1と同様である。
実施例11
実施例11では、共振器端面にAlNからなる第1保護膜21を10nm、で形成する以外、実質的に実施例1と同様に窒化物半導体レーザ素子を作製する。
得られた窒化物半導体レーザ素子の第1保護膜の軸配向は、いずれの窒化物半導体層の上においても、第1保護膜の膜厚方向ではほとんど変化せず、第1保護膜の面内においてのみ、実施例1と同様の差異が認められた。
実施例12
共振器端面の光出射面側に、ECRプラズマスパッタ装置を用いて、Arの流量が50sccm、Nの流量が5sccm、マイクロ波電力800W、RF電力800W、成膜速度7nm/minの条件で、膜厚30nmのAlNからなる第1保護膜21を形成する以外、実施例1と同様に窒化物半導体レーザ素子を作製する。
実施例12で得られた窒化物半導体レーザ素子を、実施例1と同様に、電界放出型透過電子顕微鏡にて観察し、その模式図を図8に示す。
図8によれば、窒化物半導体層の組成によって、共振器端面に対して、面内で軸配向が異なり、InGaN層を含む窒化物半導体層上では大部分が、窒化物半導体層の共振器面とは結晶配向の異なる第1保護膜を形成することができた。
第1保護膜(AlN)の膜厚の増加に伴って、M軸配向とC軸配向が混在する領域において、C軸配向に変化することが認められた。このC軸配向への変化は、窒化物半導体層の組成によって、5〜20nm程度に現れることが観察された。
得られた半導体レーザ素子について、実施例1と同様に、光出力を測定したところ、実施例1とほぼ同様の結果が得られた。
このように、この実施例の窒化物半導体レーザ素子は、共振器端面を構成する窒化物半導体に対して応力を生じさせることなく、窒化物半導体へのクラックの発生を防止し、共振器端面との密着性が良好で、剥がれを防止した端面保護膜を得ることができる。これによって、CODレベルを向上させた、高性能及び高出力の窒化物半導体レーザ素子を得ることができることが確認された。
実施例13
活性層13を、SiドープIn0.02Ga0.98Nよりなる障壁層13bを14nmの膜厚で成長させ、続いて同一温度で、アンドープIn0.07Ga0.93Nよりなる井戸層13aを8nmの膜厚で成長させ、障壁層13bと井戸層13aとを2回交互に積層し、最後にアンドープIn0.02Ga0.98Nよりなる28nmの膜厚の障壁層13bで終わり、総膜厚72nmの多重量子井戸構造(MQW)とし、さらに、共振器端面の光出射面側に、ECRプラズマスパッタ装置を用いて、Arの流量が50sccm、Nの流量が5sccm、マイクロ波電力800W、RF電力800W、成膜速度7nm/minの条件で、膜厚30nmのAlNからなる第1保護膜51を形成する以外、実施例1と同様に窒化物半導体レーザ素子を作製する。
得られた窒化物半導体レーザ素子の第1保護膜の構造及び特性は、いずれも実質的に実施例1と同様である。
実施例14
この実施例の窒化物半導体レーザ素子は、実施例1の方法に準じて、以下のように製造することができる。
まず、窒化ガリウム基板上に、1100℃でTMA、TMG、アンモニア、シランガスを用い、Siを4×1018/cm3ドープしたAl0.02Ga0.98Nよりなるn層を膜厚1μm成長させる。続いて、930℃でSiドープIn0.05Ga0.95Nを0.15μmの膜厚で成長させる。1000℃でSiを4×1018/cmドープしたAl0.06Ga0.94Nよりなる層を膜厚2μmで成長させる。なお、このn側クラッド層は超格子構造とすることもできる。
1000℃でアンドープGaNよりなるn側光ガイド層を0.3μmの膜厚で成長させる。このn側光ガイド層の一部および全部にn型不純物をドープしてもよい。
次に、温度を900℃にして、SiドープIn0.02Ga0.98Nよりなる第1障壁層を70nmの膜厚で成長させ、第1障壁層の上に膜厚が1nmアンドープGaN層を形成する。続いて850℃で、アンドープIn0.13Ga0.87Nよりなる井戸層を3nmの膜厚で成長させる。この後、900℃にして、アンドープGaNを14nm、続いて850℃にし、アンドープIn0.13Ga0.87Nよりなる井戸層を3nmの膜厚で成長させる。最後に障壁層アンドープIn0.02Ga0.98N70nmで終わる。
実施例1と同様に、p側キャップ層を形成する。
続いて、CpMg、TMAを止め、1000℃で、アンドープGaNよりなるp側光ガイド層を0.3μmの膜厚で成長させる。このp型光ガイド層には、一部および全部にp型不純物をドープしてもよい。
次に、実施例1と同様に、p側クラッド層を成長させ、最後に、p側コンタクト層を15nmの膜厚で成長させる。
このようにして窒化物半導体を成長させたウェハを反応容器から取り出し、実施例1と同様に、レーザ素子の共振器本体となるストライプ状構造を形成する。
次に、p側コンタクト層の表面にストライプ状のSiOよりなる膜を形成して、RIE(反応性イオンエッチング)を用いてSiClガスによりエッチングし、ストライプ状の導波路領域であるリッジ部16を幅2.0μmで形成する。
このリッジ部の側面をZrOからなる200nmの埋込層15で保護する。
続いて、実施例1と同様に、p電極17及び第3保護膜を形成し、オーミックアニールを行う。
次に、実施例1と同様に、pパッド電極を形成し、基板を研磨する。
共振器端面の光出射面側に、AlNからなる第1保護膜21を形成し、その上にさらにSiOからなる第2保護膜22を形成する。
つまり、ECRプラズマスパッタ装置を用いて、Arの流量が30sccm、Nの流量が10sccm、マイクロ波電力800W、RF電力800W、成膜速度3nm/minの条件で、膜厚10nmのAlNからなる第1保護膜を形成する。
続いて、出射面側の共振器端面にスパッタ装置でSiターゲットを用いて、酸素の流量が5sccm、マイクロ波電力500W、RF電力500Wの条件でSiOからなる第2保護膜22を295nmの膜厚で成膜する。
また、反射面側には、ZrOを膜厚49nmで成膜し、その上に(SiO/ZrO)を、膜厚(75nm/49nm)で6周期成膜した保護膜24を形成する。
最後に、共振器端面に垂直な方向で、バーをチップ化することで半導体レーザ素子とする。
得られた窒化物半導体レーザ素子の第1保護膜の構造及び特性は、いずれも実質的に実施例1と同様である。
実施例15
この実施例の窒化物半導体レーザ素子は、端面保護膜として、共振器端面側から順に、AlN32nm、SiO260nm、ZrO45nmを形成する以外は、実施例1と同様の方法で形成する。
得られた窒化物半導体レーザ素子の第1保護膜の構造及び特性は、いずれも実質的に実施例1と同様である。
本発明は、レーザダイオード素子(LD)のみならず、発光ダイオード素子(LED)、スーパーフォトルミネセンスダイオード等の発光素子、太陽電池、光センサ等の受光素子、あるいはトランジスタ、パワーデバイス等の電子デバイスに用いられるような、端面保護膜と半導体層との密着性を確保する必要がある窒化物半導体素子に広く適用することができる。特に、光ディスク用途、光通信システム、印刷機、露光用途、測定、バイオ関連の励起用光源等における窒化物半導体レーザ素子に利用することができる。
本発明の窒化物半導体レーザ素子の構造を説明するための要部の概略断面図である。 本発明の窒化物半導体レーザ素子の第1保護膜を説明するための要部の概略断面図である。 本発明の別の窒化物半導体レーザ素子の第1保護膜を説明するための要部の概略断面図である。 本発明の別の窒化物半導体レーザ素子の第1保護膜を説明するための要部の概略断面図である。 本発明の窒化物半導体レーザ素子の断面における第1保護膜の軸配向を観察したTEM像を模式的に示した図である。 本発明の窒化物半導体レーザ素子の第1保護膜における各ポイントの配向性を示す電子線回折像である。 本発明の窒化物半導体レーザ素子の高出力駆動前後での光出力−電流の関係を示すグラフである。 本発明の別の窒化物半導体レーザ素子の断面における第1保護膜の軸配向を観察したTEM像を模式的に示した図である。 本発明のさらに別の窒化物半導体レーザ素子の断面における第1保護膜の軸配向を観察したTEM像を模式的に示した図である。 本発明のさらに別の窒化物半導体レーザ素子の断面における第1保護膜の軸配向を観察したTEM像を模式的に示した図である。 本発明の窒化物半導体レーザ素子の断面における第1保護膜の軸配向の状態を模式的に示した図である。
符号の説明
11 基板
12 第1導電型半導体層
12a n側光ガイド層
12b n側クラッド層
13 活性層
13a 井戸層
13b 障壁層
14 第2導電型半導体層
14a p側キャップ層
14b p側光ガイド層
14c p側クラッド層
15 埋込膜
16 リッジ
17 電極
18 第3保護膜
19 パッド電極
20 電極
21、31、41、51、61 出射面側の第1保護膜
22 出射面側の第2保護膜
21a、23 反射面側の保護膜
22a、24 反射面側の第2保護膜

Claims (16)

  1. 第1導電型の窒化物半導体層と、活性層と、第1導電型とは異なる導電型の第2導電型の窒化物半導体層とが順に積層されてなる窒化物半導体層と、該窒化物半導体層に形成されたM面が露出した共振器端面と、該共振器端面に形成されたAlNからなる保護膜とを備えてなる窒化物半導体レーザ素子であって、
    前記保護膜は、前記窒化物半導体層の積層方向に、少なくともM軸配向及びC軸配向のいずれかを示す結晶の軸配向が異なる領域を有することを特徴とする窒化物半導体レーザ素子。
  2. 前記保護膜は、前記窒化物半導体層の積層界面上において、窒化物半導体層の積層方向に結晶の軸配向が異なる請求項1に記載の窒化物半導体レーザ素子。
  3. 前記保護膜は、少なくとも前記窒化物半導体層のバンドギャップエネルギーがGaNより大きい層上において、前記共振器端面と同軸配向の結晶構造を有する請求項1又は2に記載の窒化物半導体レーザ素子。
  4. 前記保護膜は、前記窒化物半導体層のバンドギャップエネルギーがGaN以下の層上において、前記共振器端面と異軸配向の結晶構造を有する請求項1〜3のいずれか1つに記載の窒化物半導体レーザ素子。
  5. 前記保護膜は、少なくとも前記窒化物半導体層の格子定数がGaNより小さい層上において、前記共振器端面と同軸配向の結晶構造を有する請求項1〜4のいずれか1つに記載の窒化物半導体レーザ素子。
  6. 前記保護膜は、前記窒化物半導体層の格子定数がGaN以上の層上において、前記共振器端面と異軸配向の結晶構造を有する請求項1〜5のいずれか1つに記載の窒化物半導体レーザ素子。
  7. 前記活性層は、井戸層と障壁層とを有する単一又は多重量子井戸構造であり、前記保護膜は、前記井戸層と障壁層との積層界面上において、窒化物半導体層の積層方向に結晶の軸配向が異なる請求項1〜6のいずれか1つに記載の窒化物半導体レーザ素子。
  8. 前記保護膜は、少なくとも光出射面側の共振器端面に形成されたものである請求項1〜7のいずれか1つに記載の窒化物半導体レーザ素子。
  9. 前記保護膜は、該保護膜の積層方向に、軸配向が変化している請求項1〜8のいずれか1つに記載の窒化物半導体レーザ素子。
  10. 前記保護膜は、5〜100nmの膜厚を有する請求項1〜9のいずれか1つに記載の窒化物半導体レーザ素子。
  11. 前記保護膜は、前記窒化物半導体層のバンドギャップエネルギーがGaNより大きい層上でM軸配向の結晶構造を有し、かつバンドギャップエネルギーがGaN以下の層上でC軸配向の結晶構造を有する請求項1〜10のいずれか1つに記載の窒化物半導体レーザ素子。
  12. 前記窒化物半導体層は、InxGa1-xN(0<x≦1)層を有しており、前記InxGa1-xN(0<x≦1)層は、前記窒化物半導体層の積層方向にC軸配向の結晶構造を有し、かつ、前記保護膜は、前記共振器端面に垂直方向にC軸配向の結晶構造を有する請求項1〜11のいずれか1つに記載の窒化物半導体レーザ素子。
  13. 前記保護膜は、窒化物半導体層と格子整合している領域を有する請求項1〜12のいずれか1つに記載の窒化物半導体レーザ素子。
  14. 第1導電型の窒化物半導体層と、活性層と、第1導電型とは異なる導電型の第2導電型の窒化物半導体層とが順に積層されてなる窒化物半導体層と、該窒化物半導体層に形成されたM面が露出した共振器端面と、該共振器端面に形成されたAlNからなる保護膜とを備えてなる窒化物半導体レーザ素子であって、
    前記保護膜は、前記共振器端面との接触界面において該共振器端面とは結晶の軸配向が異なる領域を有することを特徴とする窒化物半導体レーザ素子。
  15. 第1導電型の窒化物半導体層と、量子井戸構造をした活性層と、第1導電型とは異なる導電型の第2導電型の窒化物半導体層とが順に積層されてなる窒化物半導体層と、該窒化物半導体層に形成されたM面が露出した共振器端面と、該共振器端面に形成されたAlNからなる保護膜とを備えてなる窒化物半導体レーザ素子であって、
    前記保護膜は、井戸層との接触界面から保護膜の膜厚方向に前記共振器端面とは結晶の軸配向が異なる領域を有することを特徴とする窒化物半導体レーザ素子。
  16. 前記活性層は、2以上の井戸層を備える多重量子井戸構造であり、前記保護膜は、両側の井戸層間の活性層上において、窒化物半導体層の積層方向に、同じ結晶の軸配向が連続してなる請求項14又は15に記載の窒化物半導体レーザ素子。
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