JP4985374B2 - 窒化物半導体レーザ素子 - Google Patents

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本発明は、窒化物半導体レーザ素子に関し、より詳細には、リッジ導波路構造を有した窒化物半導体レーザ素子に関する。
窒化物半導体は、InxAlyGa1-x-yN(0≦x、0≦y、0≦x+y≦1)を含む化合物半導体によって形成されており、これを用いた半導体レーザ素子は、次世代DVDなどの大容量・高密度の情報記録・再生が可能な光ディスクシステムへの利用、パーソナルコンピュータ等の電子機器への利用に対する要求が高まりつつある。このため、窒化物半導体を用いた半導体レーザ素子の研究は、盛んに行われている。
また、窒化物半導体を用いた半導体レーザ素子は、紫外域から赤色に至るまで、幅広い可視光の波長域での発振が可能と考えられていることから、その応用範囲は、レーザプリンタ、レーザディスプレイ、光ネットワークの光源など、多岐にわたるものと期待されている。
特に、半導体レーザ素子の構造に関しては、種々の研究がなされており、横モードの好適な制御を可能にする構造、低消費電力化、高出力化、高信頼性、小型化、長寿命化などを図るための構造などが提案されている。なかでも、特に有望視されている構造として、リッジ導波路構造を有するものがある。このような構造の半導体レーザ素子は、通常、リッジ側面から、リッジ両側の窒化物半導体層の表面にわたって、光閉じ込めを行うために、保護膜が形成されている(例えば、特許文献1〜3)。
このような絶縁性保護膜は、窒化物半導体層との屈折率差、密着性などを考慮して選択されている。
特開平9−283845号 特開平10−270792号 特開2006−24703号
しかし、屈折率を考慮して保護膜を選択した場合であっても、その保護膜は、必ずしも窒化物半導体層との密着性が良好ではないことがある。また、窒化物半導体層との密着性が良好な保護膜を選択した場合であっても、光閉じ込めが良好ではないこともあり得る。従って、密着性及び光閉じ込めの双方において、長期間の連続駆動にわたって良好に機能し続ける保護膜を形成することが窒化物半導体レーザ素子には必要とされる。
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、特に、窒化物半導体レーザ素子において良好な光閉じ込めを実現し、リッジ両側の保護膜の密着性を確保し、投入電流に対する出力特性を向上させ、低閾値で長寿命の窒化物半導体レーザ素子を提供することを目的とする。
本発明の窒化物半導体レーザ素子は、基板と、該基板上に積層され、その表面にリッジを有する窒化物半導体層と、該窒化物半導体層と電気的に接続する電極とを備えた窒化物半導体レーザ素子であって、
前記リッジ側面から、該リッジ両側の窒化物半導体層の表面にわたって、単結晶の第1膜と、多結晶又はアモルファスを含有する第2膜とが窒化物半導体層側からこの順に形成されてなる絶縁性保護膜を備えていることを特徴とする。
これらの窒化物半導体レーザ素子では、第1膜は、六方晶構造の結晶からなることが好ましく、さらに、M軸配向をした六方晶構造を含有することが好ましい。
また、第1膜は、第2膜よりも薄膜であることが好ましい。
さらに、絶縁性保護膜は総膜厚1000Å〜5000Åであり、第1膜は1000Å以下の膜厚であることが好ましい。
また、窒化物半導体層の表面は、C面であることが好ましく、第1膜は、A軸配向をした膜であることがより好ましい。
さらに、第1膜はAl23であり、窒化物半導体層はInxAlyGa1-x-yN(0≦x、0≦y、0≦x+y≦1)であり、InxAlyGa1-x-yN[0002]//Al23[1−210]及びGaN[11−20]//Al23[10−10]に配向した結晶を含有することが好ましい。
なお、本発明は、窒化物半導体レーザ素子の製造方法として、
基板と、該基板上に積層され、その表面にリッジを有する窒化物半導体層と、該窒化物半導体層と電気的に接続する電極とを備えた窒化物半導体レーザ素子の製造方法であって、
窒化物半導体の表面をドライエッチング、続いてウェットエッチングすることによりリッジを形成し、
該リッジ側面から、リッジ両側の窒化物半導体層の表面にわたって、単結晶の第1膜を形成し、
前記第1膜の上に、多結晶又はアモルファスを含有する第2膜を形成して、絶縁性保護膜を形成することを特徴とするものであってもよい。
本発明によれば、窒化物半導体レーザ素子において良好な光閉じ込めを実現しながら、窒化物半導体層とリッジ両側の保護膜との間の応力を最小化し、密着性を確保することができる。その結果、窒化物半導体層の割れや保護膜の剥がれを防止することができ、ひいては、投入電流に対する出力特性を向上させ、低閾値かつ長寿命で安定した電流駆動を示す窒化物半導体レーザ素子を得ることができる。
本発明の窒化物半導体レーザ素子は、主として、基板、窒化物半導体層、電極及び絶縁性保護膜を含んで構成される。
絶縁性保護膜は、埋込膜とも称されるものであり、通常、窒化物半導体層の表面及び/又はリッジの側面にわたって形成されている。つまり、窒化物半導体層上であって、窒化物半導体層と、後述する電極とが直接接触して、電気的な接続をとる領域以外の領域に形成されている。なお、窒化物半導体層と電極との接続領域としては、特にその位置、大きさ、形状等は限定されず、窒化物半導体層の表面の一部、例えば、窒化物半導体層の表面に形成されるストライプ状のリッジ上面のほぼ全面又はリッジ上面のほぼ全面からその両側にわたる部分が例示される。ここで、絶縁性とは、窒化物半導体レーザ素子の駆動時に、選択的にリッジの窒化物半導体層と電極との接続領域から電流を流すことができることを意味する。ただし、この絶縁性保護膜は、ショートしない程度の電流であれば、導通するものであってもよい。
絶縁性保護膜は、一般に、窒化物半導体層よりも屈折率が小さな絶縁材料によって形成されている。具体的には、屈折率が2.4以下のものが適している。屈折率は、エリプソメトリーを利用した分光エリプソメータ、具体的には、J.A.WOOLLAM社製のHS−190等を用いて測定することができる。例えば、絶縁性保護膜は、単結晶の第1膜と、多結晶又はアモルファスの第2膜とが窒化物半導体層上にこの順に形成された多層膜として構成されている。具体的には、図9(a)〜(d)に示したように、リッジの側面を完全に被覆するか否かにかかわらず、第1膜15bが第2膜15aから一部を露出するように積層された状態(図9(a)、(b))、第1膜15bが第2膜15aに完全に被覆された積層状態(図9(c)、(d))等が挙げられる。絶縁性保護膜は、Zr、Si、V、Nb、Hf、Ta、Al、Ce、In、Sb、Zn等の酸化物、窒化物、酸化窒化物等の絶縁膜から選択される。リッジの側面から、リッジの両側の窒化物半導体表面にわたって保護膜が形成されていることにより、窒化物半導体層、特にp側半導体層に対する屈折率差を確保して、活性層からの光の漏れを制御することができる。また、リッジ内に効率的に光閉じ込めができるとともに、リッジ基底部近傍における絶縁性をより確保することができ、リーク電流の発生を回避することができる。
このような作用を十分効果的に発揮させるためには、窒化物半導体層に対して、応力を生じさせることなく、密着性が良好であることも要求される。それには、窒化物半導体層とリッジ両側の絶縁性保護膜との間の応力を最小化し、密着性を確保することによって、窒化物半導体層の割れや絶縁性保護膜の剥がれを防止することが必要である。本発明では窒化物半導体層上に上述した第1膜と第2膜をこの順に形成することによって、窒化物半導体層と絶縁性保護膜との熱膨張係数や格子定数の差異によって発生する応力を抑制することができる。
第1膜は、絶縁体又は誘電体からなる単結晶の膜であればよい。このように、単結晶の膜を形成することにより、窒化物半導体の結晶に対応して、均一に配向させることができ、窒化物半導体層に対する応力を最小限に止めることができる。特に、窒化物半導体層がInxAlyGa1-x-yN(0≦x、0≦y、0≦x+y≦1)からなり、InxAlyGa1-x-yN[0002]及びGaN[11−20]に対して、第1膜が、それぞれ[1−210]及び[10−10]に配向していることが好ましい。さらに、窒化物半導体層がGaNからなり、GaN[0002]及び[11−20]に対して、第1膜が、それぞれ、[1−210]及び[10−10]に配向していることが好ましい。つまり、C軸及びA軸の窒化物半導体層に対して、A軸及びM軸の第1膜が形成されていることが好ましい。第1膜は、例えば、Al酸化物(例えば、Al23)、Ga酸化物、Al窒化物(例えば、AlN)からなる群から選択されることが好ましい。
第1膜がAl23(アルミナ)であって、窒化物半導体層の表面であるC面に対して、その上に形成されるこのAl23がA軸配向又はM軸配向している結晶、特にA軸配向している結晶を含有していることがより好ましい。
また、別の観点から、第1膜は、六方晶の結晶を含有していることが好ましい。六方晶の結晶は、代表的には、AlNの結晶構造が挙げられる。
第2膜は、絶縁体又は誘電体からなる多結晶又はアモルファスの膜であればよく、例えば、Zr酸化物(例えば、ZrO2)、Si酸化物(例えば、SiO2)等が挙げられる。また、その成膜方法によって、多結晶又はアモルファスの膜とすることができるものを用いてもよい。なお、第2膜は、積層構造でもよい。この場合、その材料又は組成、結晶系、成膜方法等のいずれか又は2以上が異なる膜の積層構造とすることができる。第1膜がAl23(アルミナ)である場合には、第2膜はZrO2であることが密着性もよく好ましい。
ここで、上述した第1膜及び第2膜の結晶性は、電子線による回折像によって容易に判定することができる。一般に、材料の結晶度合いの大きさによって、単結晶、多結晶、アモルファスに分類される。単結晶は、材料中で格子定数の変動が略なく、格子面傾斜が略ないものである。言い換えると、材料中で原子配列が規則的に並び、長距離的な秩序が保たれたものであり、格子定数の変動がほぼなく、格子面傾斜がほぼないものである。多結晶とは、多数の微小な単結晶、すなわち微結晶から構成されているものである。アモルファスは、結晶におけるような周期的構造をもたないもの、つまり原子配列が不規則、長距離秩序がないものを意味する。
これらの材料に電子線を入射することによって、格子定数の大きさと面方向に対応して、電子線回折像が規則正しく表れることが知られている。例えば、単結晶の場合は、結晶面が略そろっているため、図8Aのように規則正しく回折点が並んでいる。多結晶の場合は、微結晶から構成されるため、それぞれの格子面の向きがそろっておらず、図8Bのように回折点が複雑に合わさった状態でみられたり、デバイリングがみられたりする。一方、アモルファスの場合、原子配列が長距離に周期的な構造をもたないため、電子線回折がおこらない。したがって、回折像に回折点はなく、図8Cのようになる。
第1膜は、第2膜よりも薄膜であることが好ましい。これによって、保護膜の応力を効果的に抑制することができる。例えば、絶縁性保護膜は、1000Å〜5000Å程度の総膜厚であることが好ましい。この保護膜の総膜厚が1000Å以上あることで光閉じ込めの効果を有し、かつ電極による光吸収を防止することができる。また、この保護膜の総膜厚が5000Å以下であることで応力による保護膜の剥がれや割れを抑止することができる。第1膜は、絶縁性保護膜の5〜30%程度の膜厚、さらに好ましくは7〜20%程度の膜厚であることが適している。具体的には、第1膜は、1000Å程度以下、さらに好ましくは500Å程度以下が挙げられる。
なお、絶縁性保護膜は、通常、リッジ側面及び窒化物半導体層表面に形成されるため、成膜装置及び方法などによって、両者における膜厚に差異が生じる場合がある。例えば、図9(a)(e)に示したように、絶縁性保護膜、第1膜又は第2膜の高さW(Wb、Wa)と幅Y(Yb、Ya)との比は、1〜2:1程度、好ましくは2:1程度である。つまり、幅Yが高さWの半分程度の膜厚となり得る。
例えば、絶縁性保護膜を形成する多層膜において、窒化物半導体層に接触する第1膜が多結晶又はアモルファスの積層膜では、窒化物半導体層との密着性が不十分となり、該保護膜の剥がれが生じることになる。これでは、窒化物半導体レーザ素子の長寿命を確保することができない。また、保護膜を単結晶の単層構造とすれば、保護膜と窒化物半導体との間の応力が大きくなる。そのため、所望の膜厚を確保しようとすれば窒化物半導体層に割れが生じたり、窒化物半導体レーザ素子の劣化速度が大きくなる。一方、本発明のように、保護膜を窒化物半導体層側から順に単結晶の第1膜と、多結晶又はアモルファスの第2膜とを組み合わせて積層した構成とすることにより、このような課題を解消することができる。
絶縁性保護膜は、当該分野で公知の方法によって形成することができる。例えば、蒸着法、スパッタ法、反応性スパッタ法、ECRプラズマスパッタ法、マグネトロンスパッタ法、イオンビームアシスト蒸着法、イオンプレーティング法、レーザアブレーション法、CVD法、スプレー法、スピンコート法、ディップ法又はこれらの方法の2種以上を組み合わせる方法、あるいはこれらの方法と酸化処理(熱処理)とを組み合わせる方法等、種々の方法を利用することができる。
特に、単結晶の膜を得るためには、ECRプラズマスパッタ法を用いることが適している。その成膜条件は、酸化膜では成膜中に、単結晶膜の原料からなるターゲット表面を十分に酸化させることができる酸素流量とすることが適している。例えば、マイクロ波電力300〜800W、RF電力300〜800W、アルゴン流量10〜40sccmの場合に、酸素流量を10〜20sccmとすることが好ましい。あるいは、窒化膜では、例えば、マイクロ波電力300〜800W、RF電力300〜800W、アルゴン流量10〜40sccmの場合に、窒素流量を5〜20sccmとすることが適している。
また、多結晶又はアモルファスの膜を得るためには、ECRプラズマスパッタ法を用いて、その成膜条件は、成膜中に、多結晶又はアモルファスの原料からなるターゲット表面を酸化させることができない酸素流量とすることが適している。例えば、マイクロ波電力300〜800W、RF電力300〜800W、アルゴン流量10〜40sccmの場合には、酸素流量を3〜8sccmとすることが好ましい。
本発明の窒化物半導体レーザ素子は、例えば、図1Aに示したように、第1主面と第2主面の2つの主面を有する基板10上に、窒化物半導体層として、n側半導体層11、活性層12、p側半導体層13がこの順に形成されている。窒化物半導体の表面にはリッジ14が形成されており、リッジ14の側面から、窒化物半導体層の表面にわたって上述した絶縁性保護膜15が第1膜15b、第2膜15aの2層構造で形成されている。
リッジ14上面にはp側電極16が形成されている。また、窒化物半導体層の一部を厚さ方向に除去して、n側半導体層11に接触するようにn側電極19が形成されている。
また、窒化物半導体層の側面から、上面にかけて、窒化物半導体層を保護するための別の保護膜17が形成されている。絶縁性保護膜15、p側電極16及び保護膜17の上面には、pパッド電極18が形成されている。
本発明の窒化物半導体レーザ素子の別形態としては、図1Bに示したように、p側電極16とn側電極19は、基板10に対して異なる主面側に形成されている。例えば、基板10の第1主面上にn側半導体層11、活性層12、p側半導体層13がこの順に形成されており、p側半導体層13上にp側電極16が形成されている。また、基板10の第2主面側に、n側電極19が形成されている。
なお、本発明の窒化物半導体レーザ素子は、420nm程度以上の波長のレーザ光を照射する素子であってもよいが、420nm程度以下の波長のレーザ光を照射する素子である場合に、特に有利である。つまり、一般に絶縁性保護膜として用いられている酸化膜(例えば、ZrO)は、酸素と酸化膜を構成する他の元素との結合力が弱いために、酸素が、窒化物半導体を構成する元素(例えば、Ga)と結合しやすいと考えられ、その結果、絶縁性保護膜の密着性及び/又は光閉じ込めに悪影響を与え、レーザ素子の駆動電流値が不安定になる(例えば、比較例3参照)。つまり、420nm程度以下の光(例えば、紫外線)が照射されることによって、多結晶又はアモルファス状態の絶縁性保護膜における酸素がイオン化しやすくなり、駆動電流値を不安定にする。これに対して、本発明では、このような酸化膜と窒化物半導体層との間に、第1膜を形成することにより、420nm以下の波長の光の照射を緩和することができるとともに、このような波長の光の照射に起因する上述した酸素のイオン化を有効に防止することが可能となる。
本発明において、基板10は、絶縁性基板であってもよいし、導電性基板であってもよい。基板としては、例えば、第1主面及び/又は第2主面に0°より大きく10°以下のオフ角を有する窒化物半導体基板であることが好ましい。その膜厚は、例えば、50μm以上10mm以下が挙げられる。なお、例えば、特開2006−24703号公報に例示されている種々の基板等の公知の基板、市販の基板等を用いてもよい。
窒化物半導体基板は、MOCVD法、HVPE法、MBE法等の気相成長法、超臨界流体中で結晶育成させる水熱合成法、高圧法、フラックス法、溶融法等により形成することができる。
窒化物半導体層としては、一般式InxAlyGa1-x-yN(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦x+y≦1)を含むものを用いることができる。また、これに加えて、III族元素としてBが一部に置換されたものを用いてもよいし、V族元素としてNの一部をP、Asで置換されたものを用いてもよい。n側半導体層は、n型不純物として、Si、Ge、Sn、S、O、Ti、Zr、CdなどのIV族元素又はVI族元素等のいずれか1つ以上を含有していてもよい。また、p側半導体層は、p型不純物として、Mg、Zn、Be、Mn、Ca、Sr等を含有していてもよい。不純物は、例えば、5×1016/cm3〜1×1021/cm3程度の濃度範囲で含有されていることが好ましい。
活性層は、多重量子井戸構造又は単一量子井戸構造のいずれでもよい。
窒化物半導体層は、n側半導体層とp側半導体層に光の導波路を構成する光ガイド層を有することで、活性層を挟んだ分離光閉じ込め型構造であるSCH(Separate Confinement Heterostructure)構造とすることが好ましい。但し、本発明は、これらの構造に限定されるものではない。
窒化物半導体層の成長方法は、特に限定されないが、MOVPE(有機金属気相成長法)、MOCVD(有機金属化学気相成長法)、HVPE(ハイドライド気相成長法)、MBE(分子線エピタキシー法)など、窒化物半導体の成長方法として知られている全ての方法を好適に用いることができる。特に、MOCVD又はMBEは結晶性良く成長させることができるので好ましい。
窒化物半導体層、つまり、p側半導体層の表面には、リッジが形成されている。リッジは、導波路領域として機能するものであり、その幅は1.0μm〜30.0μm程度、さらに、1.0μm〜3.0μm程度が好ましい。その高さ(エッチングの深さ)は、p側半導体層を構成する層の膜厚、材料等、さらに光閉じ込めの程度等を適宜調整することができ、例えば、0.1〜2μmが挙げられる。リッジは、共振器方向の長さが100μm〜1000μm程度になるように設定することが好ましい。また、共振器方向においてすべて同じ幅でなくてもよいし、その側面が垂直であっても、テーパー状であってもよい。この場合のテーパー角は45°〜90°程度が適当である。
なお、リッジの形成は、当該分野で通常用いられる方法により形成することができる。例えば、フォトリソグラフィ及びエッチング工程が挙げられる。この際のエッチングは、ドライエッチング(例えば、RIE法)、ウェットエッチングのいずれでもよいし、双方を、この順序又は逆の順序で、行ってもよい。なかでも、窒化物半導体の表面をドライエッチング、続いてウェットエッチングすることが好ましい。このようなリッジの形成により、上述した第1膜及び第2膜からなる絶縁性保護膜を形成することができる。
本発明における電極は、p及びn側窒化物半導体層と電気的に接続された一対の電極をさす。p側電極は、窒化物半導体層及び絶縁性保護膜上に形成されることが好ましい。電極が最上層の窒化物半導体層及び絶縁性保護膜の第1膜上に連続して形成されていることにより、第1膜の剥がれを防止することができる。特に、リッジ側面に形成された絶縁性保護膜の表面までp側電極が形成されていれば、絶縁性保護膜の剥がれを有効に防止することができる。
電極は、例えば、パラジウム、白金、ニッケル、金、チタン、タングステン、銅、銀、亜鉛、錫、インジウム、アルミニウム、イリジウム、ロジウム、ITO等の金属又は合金の単層膜又は積層膜により形成することができる。電極の膜厚は、用いる材料等により適宜調整することができ、例えば、500〜5000Å程度が適当である。電極は、少なくともp側及びn側半導体層又は基板上にそれぞれ形成していればよく、さらにこの電極上にパッド電極等、単数又は複数の導電層を形成してもよい。
また、絶縁性保護膜上には、保護膜が形成されていることが好ましい。このような保護膜は、少なくとも窒化物半導体層表面において絶縁性保護膜上に配置していればよく、絶縁性保護膜を介して又は介さないで、窒化物半導体層の側面及び/又は基板の側面又は表面等をさらに被覆していることが好ましい。保護膜は、絶縁性保護膜で例示したものと同様の材料で形成することができる。これにより、絶縁性のみならず、露出した窒化物半導体層の側面又は表面等を確実に保護することができる。
なお、共振器端面には、反射ミラーを形成してもよい。反射ミラーは、酸化膜、窒化膜、酸窒化膜、これらの組み合わせ等により形成することができる。具体的には、SiO2、ZrO2、TiO2、Al23、Nb25、SiN、AlN、SiON、AlON等の酸化膜、窒化膜等からなる誘電体多層膜である。反射ミラーは、共振面の光反射側及び/又は光出射面に形成することが好ましく、さらに、共振面の光反射側及び光出射面に形成することが好ましい。劈開によって形成された共振面であれば、反射ミラーを再現性よく形成することができる。
以下に、本発明の窒化物半導体レーザ素子の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
実施例1
この実施例の窒化物半導体レーザ素子は、図1Aに示すように、基板10上に、窒化物半導体層として、n側半導体層11、活性層12、p側半導体層13がこの順に形成されており、p側半導体層13の表面にリッジ14が形成されている。リッジ14の側面から、窒化物半導体層の表面にわたって第1膜15b(単結晶のAl23膜)及び第2膜15a(多結晶又はアモルファスのZrO2)からなる絶縁性保護膜15が形成されている。
リッジ14上面にはp側電極16が形成されている。また、窒化物半導体層の一部を厚さ方向に除去して、n側半導体層11に接触するようにn側電極19が形成されている。窒化物半導体層の側面から、上面にかけて、素子を保護するための保護膜17が形成されており、絶縁性保護膜15、p側電極16及び保護膜17の上面には、pパッド電極18が形成されている。
このレーザ素子は、以下の方法で製造することができる。
(基板)
まず、C面を窒化物半導体層の成長面とするサファイアからなる基板10を準備する。この基板をMOVPE反応容器内に搬入し、原料ガスとして、トリメチルガリウム(TMG)、アンモニア(NH3)を用い、800℃以下の成長温度でGaNよりなるバッファ層を200オングストロームの膜厚で成長させる。
(n側半導体層11)
成長温度を1050℃まで昇温して、原料ガスとして、トリメチルガリウム(TMG)、TMA(トリメチルアルミニウム)、アンモニア(NH3)、不純物ガスにシランガスを用い、Siを3×1018/cm3ドープしたAl0.02Ga0.98Nを4.5μmの膜厚で成長させる。この層をn側コンタクト層とする。
その後、原料ガスとして、トリメチルインジウム(TMI)、TMG、アンモニア、不純物ガスにシランガスを用い、Siを3×1018/cm3ドープしたInyGa1-yN(0<y≦1)層を1500オングストロームの膜厚で成長させる。
次に、TMA、TMG、アンモニアを用い、1050℃でアンドープAl0.16Ga0.84Nよりなる層を25オングストロームの膜厚で成長させ、続いてTMAを止めて、シランガスを流し、Siを1×1019/cm3ドープしたn−GaNよりなる層を25オングストロームの膜厚で成長させる。それらの層を交互積層して超格子層を構成し、総膜厚1.2μmの超格子よりなるn側クラッド層を成長させる。n側クラッド層には、微細なクラックが発生しておらず、クラックの発生が良好に防止されている。
続いて、原料ガスにTMG及びアンモニアを用い、1050℃の温度で、アンドープのGaNよりなるn側光ガイド層を750オングストロームの膜厚で成長させる。
(活性層12)
温度を880℃にして、原料ガスにTMI、TMG及びアンモニア、シランガスを用い、Siを5×1018/cm3ドープしたIn0.01Ga0.99Nよりなる障壁層を100オングストロームの膜厚で成長させる。続いて、温度を820℃に下げ、シランガスを止め、アンドープのIn0.1〜0.3Ga0.9〜0.7Nよりなる井戸層を50オングストロームの膜厚で成長させる。さらに、同温度でTMAを用い、Al0.3Ga0.7Nよりなる中間層を10オングストロームの膜厚で成長させる。この障壁層、井戸層、中間層の3層構造をさらに2回繰り返して積層し、最後に障壁層を形成して、総膜厚580オングストロームの多重量子井戸(MQW)からなる活性層12を成長させる。
(p側半導体層13)
TMIを止め、Cp2Mgを流し、Mgを1×1020/cm3ドープしたp−GaNよりなるp側キャップ層を100オングストロームの膜厚で成長させる。続いてCp2Mg、TMAを止め、1050℃で、アンドープGaNよりなるp側光ガイド層を0.1μmの膜厚で成長させる。このp側光ガイド層は、アンドープとして成長させるが、p側キャップ層からのMgの拡散により、Mg濃度が5×1016/cm3となりp側を示す。
Cp2Mgを止め、TMAを流し、1050℃でアンドープAl0.2Ga0.8Nよりなる層を25オングストロームの膜厚で成長させ、TMAを止め、Cp2Mgを流し、Mg濃度が1×1019/cm3からなるアンドープGaNよりなる層を25オングストロームの膜厚で成長させ、総膜厚0.6μmの超格子層よりなるp側クラッド層を成長させる。
最後に、p側クラッド層の上に、Mgを1×1020/cm3ドープしたp−GaNよりなるp側コンタクト層を150オングストロームの膜厚で成長させる。
(リッジ14の形成)
得られた窒化物半導体を成長させたウェハを反応容器から取り出し、最上層のp側コンタクト層の表面に、所定の形状のマスクを介して、幅2.0μmのストライプ状のSiO2よりなる保護膜を形成する。その後、RIE(反応性イオンエッチング)を用い、p側クラッド層とp側光ガイド層との界面付近までエッチングを行い、任意に酸性溶液(例えば、リン酸と硫酸との混合溶液)を用いたウェットエッチング(表面処理)を行い、幅2.0μmのストライプ状のリッジ14を形成する。
(絶縁性保護膜15の形成)
続いて、SiO2マスクをつけたまま、窒化物半導体層の表面に、ECRプラズマスパッタ装置にて、Alターゲットを用いて、マイクロ波電力500W、RF電力500W、アルゴン流量20sccm、酸素流量15sccmの条件で、第1膜15bとしてAl23膜を200Åで形成する。
このように成膜したAl23膜とGaNの界面にGaN(10−10)面方向から電子線を入射すると図2Aの回折像が得られた。回折点が規則的に認められた。図2B及び図2CのAl23とGaNの電子線回折像のシミュレーション結果より、図2Aの回折点は、Al23単結晶(0001)入射の電子線回折点と、GaN(10−10)入射の電子線回折点に分離することができる。このことからC面のGaN上に、Al23膜が単結晶状態で、GaN[0002]//Al23[1−210]、GaN[11−20]//Al23[10−10]に配向していること、つまりA軸及びM軸配向していることが確認された。結晶化したAl23膜は、吸収が少なく、GaNとの密着性が良好で、非常に安定な絶縁性保護膜の一部として機能する。
続いて、第2膜15aとして、ZrO2膜をECRプラズマスパッタ装置にて、Zrターゲットを用いて、マイクロ波電力500W、RF電力500W、アルゴン流量20sccm、酸素流量5sccmの条件で、2000Å成膜する。得られたZrO2膜は、図3の電子回折像に示すように、回折点はあるが、まだらであり、多結晶状態で成膜されていることを確認した。
その後、400℃以上でアニールした後、バッファードフッ酸に浸漬して、p側コンタクト層上に形成したSiO2を溶解除去し、リフトオフ法によりSiO2と共に、p側コンタクト層上にあるAl23膜及びZrO2膜を除去する。
(電極の形成)
次に、リッジ表面にSiO2マスクを形成し、RIEにてエッチングを行い、n側コンタクト層の表面を露出させる。
p側コンタクト層のリッジ最表面にNiとAuを順に形成してなるp側電極16をストライプ状に形成する。一方、TiとAlを順に形成してなるn側電極19を、先ほど露出させたn側コンタクト層表面にストライプ状に形成する。
(保護膜17の形成)
p側電極16と、n側電極19との間に露出した窒化物半導体層の表面に、SiO2よりなる保護膜17を形成する。
(パッド電極の形成)
この保護膜17を介してp側電極16と電気的に接続したp側パッド電極18およびn側電極19と電気的に接続したn側パッド電極(図示せず)を形成する。
(分割)
その後、基板10を劈開してバー状とし、そのバーの劈開面に共振面を作製する。共振面作製後、さらに共振面に垂直な方向でバー状のウェハを切断してレーザチップとする。
(評価)
得られた半導体レーザチップについて、各電極をワイヤーボンディングして、室温でレーザ発振を試みたところ、所望の光閉じ込めが実現しており、室温において閾値電流密度3kA/cm2、発振波長405nmの連続発振が確認され、1000時間以上の長寿命を示す。
実施例2
この実施例の半導体レーザ素子は、図1Bに示すように、絶縁性保護膜として、第1膜(単結晶のAl23膜)及び第2膜(アモルファスのZrO2)が形成され、n側電極19が、基板10の第2主面に形成されている以外、実質的に実施例1の半導体レーザ素子と同様の構成である。
このレーザ素子は、以下のように製造することができる。
まず、n型不純物を含有したGaN基板を準備する。このGaN基板の第1主面を成長面として、MOVPE反応容器内にセットし、原料ガスとして、TMA(トリメチルアルミニウム)、トリメチルガリウム(TMG)、アンモニア(NH3)、不純物ガスとして、シランガス(SiH4)を用い、Siを1.8×1018/cm3ドープしたn−Al0.02Ga0.98Nよりなる第1バッファ層を2μmの膜厚で成長させる。その後、昇温して、原料ガスとして、TMI(トリメチルインジウム)、TMG、アンモニア、不純物ガスにシランガスを用い、Siを3×1018/cm3ドープしたn−In0.05Ga0.95Nよりなる第2バッファ層を1500オングストロームの膜厚で成長させる。
その後、アンモニア、TMA、TMG、不純物ガスとしてシランガスを用い、Siを1×1018/cm3ドープしたAl0.11Ga0.89Nよりなるn側クラッド層を0.7μmの膜厚で成長させる。ここで、成長されたn側クラッド層には、微細なクラックが発生しておらず、結晶性の良好な素子構造を成長させることができる。
次に、原料ガスにTMA、TMG及びアンモニアを用い、同様の温度で、アンドープのAl0.06Ga0.94Nよりなるn側光ガイド層を0.15μmの膜厚で成長させる。
温度を950℃にして、原料ガスにTMA、TMG及びアンモニアを用い、不純物ガスとしてシランガスを用い、Siを5×1018/cm3ドープしたAl0.15Ga0.85Nよりなる障壁層を70オングストロームの膜厚で成長させる。続いて、シランガスを止め、原料ガスにTMI、TMG及びアンモニアを用い、アンドープのIn0.01Ga0.09Nよりなる井戸層を100オングストロームの膜厚で成長させる。さらに、同温度で原料ガスにTMA、TMG、アンモニアを用い、Al0.15Ga0.85Nよりなる障壁層を50オングストロームの膜厚で成長させて、単一量子井戸(SQW)からなる活性層を成長させる。
その後、原料ガスにTMA、TMG、アンモニアを用い、さらに、Cp2Mgを流し、Mgを1×1020/cm3ドープしたp−Al0.30Ga0.70Nよりなるp側キャップ層を100オングストロームの膜厚で成長させる。続いてCp2Mgを止め、1050℃で、アンドープAl0.06Ga0.94Nよりなるp側光ガイド層を0.15μmの膜厚で成長させる。このp側光ガイド層は、アンドープとして成長させるが、p側キャップ層からのMgの拡散により、Mg濃度が5×1016/cm3となりp型を示す。
続いて、1050℃でアンドープAl0.13Ga0.87Nよりなる層を25オングストロームの膜厚で成長させ、続いてCp2Mgを流し、Mg濃度が1×1019/cm3からなるAl0.09Ga0.91Nよりなる層を25オングストロームの膜厚で成長させ、総膜厚0.6μmの超格子層よりなるp側クラッド層を成長させる。
最後に、p側クラッド層の上に、Mgを1×1020/cm3ドープしたp側GaNよりなるp側コンタクト層を150オングストロームの膜厚で成長させる。
その後、実施例1と同様にストライプ状のリッジを形成する。
また、実施例1と同様に、第1膜(単結晶のAl23膜)及び第2膜(アモルファスのZrO2)からなる絶縁性保護膜を形成する。
その後、GaNからなる基板10の第2主面にn側電極19を形成する。
続いて、GaN基板のM面(窒化物半導体を六角柱で表した場合にその六角柱の側面に相当する面)でGaNを劈開してバー状とし、そのバーの劈開面に共振面を作製する。共振面作製後、さらに共振面に垂直な方向でバー状のウェハを切断してレーザチップとする。
電子線回折像により、第1膜は、単結晶のAl23膜、第2膜は、アモルファスのZrO2であることを確認した。
(評価)
得られた半導体レーザチップについて、各電極をワイヤーボンディングして、室温でレーザ発振を試みたところ、所望の光閉じ込めが実現しており、室温において閾値電流密度3kA/cm2、発振波長375nmの連続発振が確認され、5000時間以上の寿命を示した。
また、上述したのと同様の方法で、同様の半導体レーザチップを10個形成し、それらについて同様に連続発振させた。その結果を図4に示す。
図4によれば、全てのチップにおいて、駆動電流値が長時間にわたって安定していることが確認された。
なお、絶縁性保護膜の第1膜及び第2膜の膜厚変化に対する特性変化を測定するために、上述したGaNからなるp側窒化物半導体表面に、絶縁性保護膜の総膜厚を、例えば、2000Åに固定して、第1膜である単結晶のAl23の膜厚を変化させて形成した。
その結果を図5に示す。
図5によれば、スロープ効率(投入電流に対する出力、IL特性)が、単結晶のAl23膜の膜厚の増加に伴って増加しており、総膜厚のほぼ10%程度でプラトーとなっていることから、絶縁性保護膜の5〜20%程度の膜厚、さらに7〜15%程度の膜厚とすることが適当であることが確認された。
実施例3
この実施例の半導体レーザ素子は、絶縁性保護膜として、第1膜(単結晶のAl23膜)及び第2膜(アモルファスのSiO2)が形成さている以外、実質的に実施例2の半導体レーザ素子と同様の構成である。
なお、第1膜の成膜条件は、実施例2と同様に設定し、第2膜の成膜条件は、マイクロ波500W、RF500W、Ar20sccm、O26sccmとし、SiO2を1500Åの膜厚とする。
その結果、実施例1とほぼ同様の結果が得られる。
実施例4
この実施例の半導体レーザ素子は、絶縁性保護膜として、第1膜(単結晶のAlN膜)及び第2膜(多結晶又はアモルファスのZrO2)が形成されている以外、実施例1と実質的に同様の構成である。
なお、第1膜の成膜条件は、マイクロ波500W、RF500W、Ar20sccm、N210sccmに設定し、AlNを200Åの膜厚とする。また、第2膜の成膜条件は、実施例2と同様であり、ZrO2を1800Åの膜厚とする。
その結果、実施例1とほぼ同様の結果が得られる。
実施例5
この実施例の半導体レーザ素子は、絶縁性保護膜として、第1膜(単結晶のAlN膜:膜厚200Å)及び第2膜(アモルファスのSiO2:膜厚1500Å)が形成されている以外、実施例1と実質的に同様の構成である。
その結果、実施例1とほぼ同様の結果が得られる。
実施例6
この実施例の半導体レーザ素子は、基板として、C面を主面とするウェハ状のGaN基板を用いる以外、実施例2と実質的に同様の構成である。
なお、このGaN基板は、幅が50μm以下である高転位密度領域と、幅が200μm以上である低転位密度領域とを交互にストライプ状に有するGaN基板である。
その結果、実施例2とほぼ同様の結果が得られる。
実施例7
この実施例の半導体レーザ素子は、基板として、C面を主面とするウェハ状のGaN基板であって、その表面に凹部が形成されているものを用いる以外、実施例2と実質的に同様の構成である。
このGaN基板は、幅が50μm以下である高転位密度領域と幅が200μm以上である低転位密度領域とを交互にストライプ状に有するGaN基板である。
また、GaN基板高転位密度領域上表面に凹部が形成されている。このような凹部は、以下のように形成することができる。まず、例えば、GaN基板上に、SiO2からなるマスクをパターン形成する。このマスクパターンは、低転位密度領域はマスクしており、高転位密度領域はマスクの開口部が配置している。その後、RIE(反応性イオンエッチング)を用いてCl2ガスによりエッチングを行い、幅が60μmであり、深さが2.5μmである凹部を形成する。凹部の側面は高転位密度領域の端部からの距離が5μm以上である。
その結果、実施例2とほぼ同様の結果が得られる。
比較例1
この半導体レーザ素子は、絶縁性保護膜として、単結晶のAl23膜の単層構造膜が形成されている以外、実施例1と実質的に同様の構成である。
この単結晶のAl23の成膜条件は、マイクロ波500W、RF500W、Ar20sccm、O215sccmとし、2000Åの膜厚とした。
得られたレーザ素子を10個準備し、実施例1と同様に、連続発振させた。
その結果を図6に示す。
図6によれば、全てのチップにおいて、突然破壊により、駆動電流の急激な劣化が発生することが確認された。これは、チップ割れが生じたことに起因する。
比較例2
この半導体レーザ素子は、絶縁性保護膜として、第1膜(単結晶のAl23膜)及び第2膜(多結晶のAl23)が形成されている以外、実施例1と実質的に同様の構成である。
第1膜であるAl23の成膜条件は、マイクロ波500W、RF500W、Ar20sccm、O215sccmとし、1000Åの膜厚とした。
第2膜であるAl23の成膜条件は、マイクロ波500W、RF500W、Ar20sccm、O26sccmとし、1000Åの膜厚とした。
このレーザ素子について実施例1と同様に評価したところ、突然破壊により、駆動電流の急激な劣化が発生することが確認された。これは、第1膜と第2膜とが同一材料からなり、第2膜が単結晶化されることから、クラック発生したことに起因する。
比較例3
この半導体レーザ素子は、絶縁性保護膜として、アモルファスのZrO3膜の単層膜が形成されている以外、実施例1と実質的に同様の構成である。
このレーザ素子について実施例1と同様に評価した。
その結果を図7に示す。
図7によれば、駆動電流値が長時間にわたって不安定となり、発振時間が長期化すると駆動電流が激しく振動することが確認された。また、突然破壊が生じたものも認められた。これらは、絶縁性保護膜に浮きが生じたか、窒化物半導体層にクラックが発生し、チップ割れが生じたためである。
本発明は、レーザダイオード(LD)のみならず、発光ダイオード(LED)、スーパールミネセンスダイオード等の発光素子、太陽電池、光センサ等の受光素子、あるいはトランジスタ、パワーデバイス等の電子デバイスに用いられるような、埋め込み膜と同じ材料の膜と、電極材料との密着性を確保する必要がある窒化物半導体素子に広く適用することができる。特に、光ディスク用途、光通信システム、ディスプレイ、印刷機、露光用途、測定、バイオ関連の励起用光源等における窒化物半導体レーザ素子に利用することができる。
本発明の窒化物半導体レーザ素子の構造を説明するための要部の概略断面図である。 本発明の窒化物半導体レーザ素子の別の構造を説明するための要部の概略断面図である。 本発明の窒化物半導体レーザ素子の第1膜の上面からの電子線回折像である。 本発明の窒化物半導体レーザ素子の第2膜の上面からの電子線回折像である。 本発明の窒化物半導体レーザ素子の駆動電流−時間の関係を示すグラフである。 本発明の窒化物半導体レーザ素子の絶縁性保護膜の膜厚に対する特性変化を示すグラフである。 比較例における窒化物半導体レーザ素子の駆動電流−時間の関係を示すグラフである。 別の比較例における窒化物半導体レーザ素子の駆動電流−時間の関係を示すグラフである。 材料の結晶性について説明するための電子線回像である。 本発明の絶縁性保護膜の積層状態を説明する概略断面図である。
符号の説明
10 基板
11 n側半導体層
12 活性層
13 p側半導体層
14 リッジ
15 絶縁性保護膜
15b 第1膜
15a 第2膜
16 p側電極
17 保護極
18 pパッド電極
19 n側電極

Claims (7)

  1. 基板と、該基板上に積層され、その表面にリッジを有する窒化物半導体層と、該窒化物半導体層と電気的に接続する電極とを備えた窒化物半導体レーザ素子であって、
    前記リッジ側面から、該リッジ両側の窒化物半導体層の表面にわたって、単結晶の第1膜と、多結晶又はアモルファスを含有する第2膜とが窒化物半導体層側からこの順に形成されてなる絶縁性保護膜を備えていることを特徴とする窒化物半導体レーザ素子。
  2. 第1膜は、六方晶構造の結晶からなる請求項1に記載の窒化物半導体レーザ素子。
  3. 第1膜は、第2膜よりも薄膜である請求項1又は2に記載の窒化物半導体レーザ素子。
  4. 絶縁性保護膜は、総膜厚1000Å〜5000Åであり、第1膜は、1000Å以下の膜厚である請求項1〜3のいずれか1つに記載の窒化物半導体レーザ素子。
  5. 窒化物半導体層の表面は、C面である請求項1〜4のいずれか1つに記載の窒化物半導体レーザ素子。
  6. 第1膜は、A軸配向をした膜である請求項1〜のいずれか1つに記載の窒化物半導体レーザ素子。
  7. 第1膜はAl23であり、窒化物半導体層はInxAlyGa1-x-yN(0≦x、0≦y、0≦x+y≦1)であり、InxAlyGa1-x-yN[0002]//Al23[1−210]及びGaN[11−20]//Al23[10−10]に配向した結晶を含有する請求項1〜のいずれか1つに記載の窒化物半導体レーザ素子。
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